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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-04
(45)【発行日】2023-09-12
(54)【発明の名称】電動圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04B 39/00 20060101AFI20230905BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20230905BHJP
   H02K 11/33 20160101ALI20230905BHJP
   H01R 4/58 20060101ALI20230905BHJP
【FI】
F04B39/00 106Z
F04B39/00 106A
H02M7/48 Z
H02K11/33
H01R4/58 C
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020064650
(22)【出願日】2020-03-31
(65)【公開番号】P2021161944
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2022-06-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】山蔭 駿平
(72)【発明者】
【氏名】木下 雄介
(72)【発明者】
【氏名】篠原 光毅
【審査官】大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/066569(WO,A1)
【文献】特開2011-015586(JP,A)
【文献】特開2005-036773(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0200761(US,A1)
【文献】特開2014-217223(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 39/00
H02M 7/48
H02K 11/33
H01R 4/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を圧縮する圧縮部と、
前記圧縮部を駆動する電動モータと、
前記電動モータを駆動するとともに回路基板を有するモータ制御装置と、
前記モータ制御装置を収容するインバータ収容室を有するハウジングと、
前記インバータ収容室の内部に収容されるとともに前記回路基板と前記インバータ収容室の外部とを接続するコネクタと、を備え、
前記コネクタは、前記回路基板に半田付けされるバスバーと、前記バスバーを内部に収容保持する樹脂製のケースと、を備えた電動圧縮機であって、
前記回路基板及び前記ケースは前記ハウジングに固定されており、
前記バスバーは、前記回路基板の揺れに応じ前記ケース内で移動することを特徴とする電動圧縮機。
【請求項2】
前記バスバーは、外部電源と前記回路基板とを電気的に接続するための入力バスバーを含み、
一端が前記入力バスバーに電気的に接続されるとともに他端が前記外部電源に電気的に接続される高圧電線が前記ハウジングから外部へ延びていることを特徴とする請求項1に記載の電動圧縮機。
【請求項3】
前記電動モータと前記モータ制御装置とを電気的に接続するとともに前記ハウジングを貫通する導電部材を備え、
前記バスバーは、前記導電部材と前記回路基板とを電気的に接続するための出力バスバーを含んでいることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電動圧縮機。
【請求項4】
前記ケースは、前記回路基板の厚み方向に対して交差する方向で前記バスバーにおける前記ケースに対する移動を規制する規制部を有していることを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の電動圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
電動圧縮機は、流体を圧縮する圧縮部と、圧縮部を駆動する電動モータと、電動モータを駆動するとともに回路基板を有するモータ制御装置と、モータ制御装置を収容するインバータ収容室を有するハウジングと、を備えている。また、例えば特許文献1に開示されているように、電動圧縮機は、インバータ収容室の内部に収容されるとともに回路基板とインバータ収容室の外部とを接続するコネクタを備えている。コネクタは、回路基板に電気的に接続されるバスバーと、バスバーを内部に収容保持する樹脂製のケースと、を備えている。バスバーは、例えば、インサート成形によってケースにモジュール化されている。また、バスバーは、回路基板に対して、例えば、半田付けされることにより回路基板に電気的に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-40538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記構成の電動圧縮機の場合、例えば、電動圧縮機が振動する環境下においては、電動圧縮機の振動が生じて、回路基板がコネクタに対して移動しようとすると、バスバーに応力が加わって、バスバーが折れ曲がってしまったり、半田付けなどの回路基板との接続部位が破損してしまったりする虞がある。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、耐振性に優れた電動圧縮機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する電動圧縮機は、流体を圧縮する圧縮部と、前記圧縮部を駆動する電動モータと、前記電動モータを駆動するとともに回路基板を有するモータ制御装置と、前記モータ制御装置を収容するインバータ収容室を有するハウジングと、前記インバータ収容室の内部に収容されるとともに前記回路基板と前記インバータ収容室の外部とを接続するコネクタと、を備え、前記コネクタは、前記回路基板に電気的に接続されるバスバーと、前記バスバーを内部に収容保持する樹脂製のケースと、を備えた電動圧縮機であって、前記回路基板及び前記コネクタは前記ハウジングに固定されており、前記バスバーは、前記回路基板の揺れに応じた前記ケース内での移動が許容されている。
【0007】
これによれば、例えば、電動圧縮機が振動する環境下において、電動圧縮機の振動が生じても、バスバーにおける回路基板の揺れに応じたケース内での移動が許容されているため、回路基板がコネクタに対して移動しようとしても、バスバーに加わる応力が低減される。したがって、バスバーの折れ曲がりや回路基板との接続部位の破損を抑制することができ、耐振性に優れる。
【0008】
上記電動圧縮機において、前記バスバーは、外部電源と前記回路基板とを電気的に接続するための入力バスバーを含み、一端が前記入力バスバーに電気的に接続されるとともに他端が前記外部電源に電気的に接続される高圧電線が前記ハウジングから外部へ延びているとよい。
【0009】
外部電源に接続される高圧電線がハウジングから外部へ延びている構成では、例えば、電動圧縮機が振動する環境下において、電動圧縮機の振動が生じた場合に、高圧電線も振動するため、電動圧縮機の振動が大きくなり易い。したがって、電動圧縮機が振動する環境下において、回路基板がコネクタに対してさらに移動し易くなる。しかしながら、入力バスバーにおける回路基板の揺れに応じたケース内での移動が許容されているため、回路基板がコネクタに対して移動しようとしても、入力バスバーに加わる応力が低減される。したがって、入力バスバーの折れ曲がりや回路基板との接続部位の破損を抑制することができ、耐振性に優れる。
【0010】
上記電動圧縮機において、前記電動モータと前記モータ制御装置とを電気的に接続するとともに前記ハウジングを貫通する導電部材を備え、前記バスバーは、前記導電部材と前記回路基板とを電気的に接続するための出力バスバーを含んでいるとよい。
【0011】
これによれば、出力バスバーにおける回路基板の揺れに応じたケース内での移動が許容されているため、ケースが、導電部材と回路基板とを電気的に接続するための出力バスバーを内部に収容保持している構成において、回路基板がコネクタに対して移動しようとしても、出力バスバーに加わる応力が低減される。その結果、ケースが、導電部材と回路基板とを電気的に接続するための出力バスバーを内部に収容保持している構成であっても、各出力バスバーの折れ曲がりや回路基板との接続部位の破損を抑制することができ、耐振性に優れる。
【0012】
上記電動圧縮機において、前記ケースは、前記回路基板の厚み方向に対して交差する方向で前記バスバーにおける前記ケースに対する移動を規制する規制部を有しているとよい。
【0013】
これによれば、規制部によって、回路基板の厚み方向に対して交差する方向でのバスバーにおけるケースに対する移動が規制されているため、回路基板の厚み方向に対して交差する方向でのバスバーと回路基板との接続箇所のずれを抑制することができる。したがって、バスバーに加わる応力をさらに低減することができるため、バスバーの折れ曲がりや回路基板との接続部位の破損をさらに抑制することができ、耐振性に優れる。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、耐振性に優れた電動圧縮機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態における電動圧縮機を一部破断して示す側断面図。
図2】インバータケース周辺を拡大して示す断面図。
図3】入力バスバー収容部周辺を拡大して示す断面図。
図4図3における4-4線断面図。
図5】出力バスバー収容部周辺を拡大して示す断面図。
図6図5における6-6線断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、電動圧縮機を具体化した一実施形態を図1図6にしたがって説明する。本実施形態の電動圧縮機は、例えば、車両空調装置に用いられる。
図1に示すように、電動圧縮機10のハウジング11は、有底筒状の吐出ハウジング12と、吐出ハウジング12に連結される有底筒状のモータハウジング13と、モータハウジング13に連結されるインバータケース14と、を備えている。吐出ハウジング12、モータハウジング13、及びインバータケース14は金属材料製であり、例えば、アルミニウム製である。モータハウジング13は、底壁13aと、底壁13aの外周縁から筒状に延びる周壁13bと、を有している。
【0017】
モータハウジング13内には、回転軸15が収容されている。また、モータハウジング13内には、回転軸15の回転によって駆動して流体としての冷媒を圧縮する圧縮部16と、回転軸15を回転させて圧縮部16を駆動する電動モータ17と、が収容されている。圧縮部16及び電動モータ17は、回転軸15の回転軸線が延びる方向である軸線方向に並んで配置されている。電動モータ17は、圧縮部16よりもモータハウジング13の底壁13a側に配置されている。そして、モータハウジング13内における圧縮部16と底壁13aとの間には、電動モータ17を収容するモータ室18が形成されている。
【0018】
圧縮部16は、例えば、モータハウジング13内に固定された図示しない固定スクロールと、固定スクロールに対向配置される図示しない可動スクロールとから構成されるスクロール式である。
【0019】
電動モータ17は、筒状のステータ19と、ステータ19の内側に配置されるロータ20と、を有している。ロータ20は、回転軸15と一体的に回転する。ステータ19は、ロータ20を取り囲んでいる。ロータ20は、回転軸15に止着されたロータコア20aと、ロータコア20aに設けられた図示しない複数の永久磁石と、を有している。ステータ19は、筒状のステータコア19aと、ステータコア19aに巻回されたモータコイル21とを有している。
【0020】
周壁13bには、吸入口13hが形成されている。吸入口13hには、外部冷媒回路22の一端が接続されている。吐出ハウジング12には、吐出口12hが形成されている。吐出口12hには、外部冷媒回路22の他端が接続されている。吸入口13hは、周壁13bにおける底壁13a側に位置する部分に形成されている。吸入口13hは、モータ室18に連通している。
【0021】
外部冷媒回路22から吸入口13hを介してモータ室18内に吸入された冷媒は、圧縮部16の駆動により圧縮部16で圧縮されて、吐出口12hを介して外部冷媒回路22へ流出する。そして、外部冷媒回路22へ流出した冷媒は、外部冷媒回路22の熱交換器や膨張弁を経て、吸入口13hを介してモータ室18内に還流する。電動圧縮機10及び外部冷媒回路22は、車両空調装置23を構成している。
【0022】
インバータケース14は、モータハウジング13の底壁13aに取り付けられている。インバータケース14内には、モータ制御装置30を収容するインバータ収容室14aが形成されている。したがって、ハウジング11は、インバータ収容室14aを有しており、内部にモータ制御装置30を収容している。圧縮部16、電動モータ17、及びモータ制御装置30は、この順序で、回転軸15の軸線方向に並んで配置されている。
【0023】
図2に示すように、インバータケース14は、有底筒状のインバータケース本体24と、インバータケース本体24の開口を閉塞する有底筒状のインバータ蓋部材25と、を有している。インバータケース本体24は、円板状のインバータケース本体底壁24aと、インバータケース本体底壁24aの外周縁から円筒状に延びるインバータケース本体周壁24bと、を有している。インバータ蓋部材25は、円板状のインバータ蓋底壁25aと、インバータ蓋底壁25aの外周縁から円筒状に延びるインバータ蓋周壁25bと、を有している。
【0024】
インバータケース本体24及びインバータ蓋部材25は、インバータケース本体周壁24bの開口端面とインバータ蓋周壁25bの開口端面とが突き合わさった状態で互いに配置されている。インバータ収容室14aは、インバータケース本体24及びインバータ蓋部材25によって区画されている。インバータケース14は、インバータケース本体24のインバータケース本体底壁24aの外面がモータハウジング13の底壁13aの外面に接した状態でモータハウジング13の底壁13aに取り付けられている。
【0025】
インバータケース本体底壁24aの外面の面積は、モータハウジング13の底壁13aの外面の面積よりも大きい。このため、インバータケース本体底壁24aの一部は、モータハウジング13の底壁13aの縁部よりも外側にはみ出している。インバータケース本体底壁24aにおけるモータハウジング13の底壁13aの縁部よりもはみ出した部位には、インバータケース本体底壁24aを貫通するハーネス挿通孔14hが形成されている。
【0026】
インバータケース本体底壁24aの内面には、複数のインバータケースボス部24fが立設されている。また、インバータケース本体24には、ボルト挿通孔24hが複数形成されている。各ボルト挿通孔24hは、各インバータケースボス部24fを貫通している。各ボルト挿通孔24hは、インバータケース本体底壁24aの外面に開口している。また、モータハウジング13の底壁13aには、各ボルト挿通孔24hに連通する雌ねじ孔13cがそれぞれ形成されている。
【0027】
モータハウジング13の底壁13aには、底壁13aを貫通する孔13dが形成されている。また、インバータケース本体24のインバータケース本体底壁24aには、インバータケース本体底壁24aを貫通する孔24cが形成されている。両孔13d,24cは互いに連通している。
【0028】
インバータケース本体24のインバータケース本体底壁24aには、端子ピン26が取り付けられている。端子ピン26は、3つの導電部材27と、支持板28と、を有している。各導電部材27は、円柱状である。なお、図1及び図2では、図示の都合上、1つの導電部材27のみ図示している。支持板28は、孔24cを閉塞した状態でインバータケース本体底壁24aの内面に取り付けられている。
【0029】
3つの導電部材27は、両孔13d,24cを貫通した状態で、支持板28を介してインバータケース本体底壁24aに支持されている。したがって、各導電部材27の一端部は、モータ室18内に突出するとともに、各導電部材27の他端部は、インバータ収容室14a内に突出している。よって、各導電部材27は、ハウジング11を貫通している。モータ室18内には、クラスタブロック29が配置されている。また、モータコイル21からは3つのモータ配線21aが引き出されている。3つの導電部材27と3つのモータ配線21aとは、クラスタブロック29を介してそれぞれ電気的に接続されている。
【0030】
モータ制御装置30は、電動モータ17を駆動するための回路基板31を有している。回路基板31は、インバータ収容室14a内に収容されている。また、電動圧縮機10は、インバータ収容室14aの内部に収容されるコネクタ35を備えている。コネクタ35は、回路基板31に電気的に接続されるバスバーである2つの入力バスバー50及び3つの出力バスバー60と、各入力バスバー50及び各出力バスバー60を内部に収容保持する樹脂製のケース40と、を備えている。したがって、本実施形態のバスバーは、入力バスバー50及び出力バスバー60を含んでいる。なお、図1及び図2では、図示の都合上、1つの入力バスバー50及び1つの出力バスバー60のみ図示している。また、特に図示しないが、ケース40は、フィルタ素子であるコンデンサやコイル、さらには、スイッチング素子をモジュール化したパワーモジュール等の電子部品も保持している。
【0031】
ケース40は、板状のケース本体部41を有している。ケース本体部41は、筒状のケースボス部41fを複数有している。各ケースボス部41fの軸線方向は、ケース本体部41の厚み方向に一致している。各ケースボス部41fは、ケース本体部41の厚み方向の一方に位置する第1本体面41aから突出している。ケース40は、ケース本体部41の厚み方向の他方に位置する第2本体面41bが、各インバータケースボス部24fに載置された状態で、インバータ収容室14a内に配置されている。各ケースボス部41fの内側は、インバータケース本体24の各ボルト挿通孔24hにそれぞれ連通している。
【0032】
回路基板31は、ボルト挿通孔31hを複数有している。回路基板31は、各ボルト挿通孔31hと各ケースボス部41fの内側とが連通した状態で、各ケースボス部41fにおける第1本体面41aとは反対側の端部に載置されている。そして、回路基板31の各ボルト挿通孔31h、各ケースボス部41fの内側、各ボルト挿通孔24hを通過した各ボルトB1が、モータハウジング13の底壁13aの各雌ねじ孔13cに螺合されることにより、回路基板31及びコネクタ35が、モータハウジング13に固定されている。
【0033】
したがって、ケース40は、インバータ収容室14a内に回路基板31と重なって配置されている。なお、以下の説明では、回路基板31とケース40とが重なっている方向を、回路基板31とケース40との積層方向X1と記載する。回路基板31とケース40との積層方向X1は、回転軸15の軸線方向に一致する。また、回路基板31とケース40との積層方向X1は、回路基板31の厚み方向に一致する。回路基板31は、ケース本体部41の第1本体面41aに対して、各ケースボス部41fにおける第1本体面41aからの突出量だけ離間した状態で、インバータ収容室14a内に収容されている。
【0034】
図3及び図4に示すように、ケース本体部41の第2本体面41bには、入力バスバー収容凹部42が2つ形成されている。図4に示すように、各入力バスバー収容凹部42は、平面視すると、略細長四角孔状であるメイン凹部42aと、帯状のサブ凹部42bと、を有している。各入力バスバー収容凹部42は、ケース本体部41の第2本体面41bを平面視すると、各入力バスバー収容凹部42のメイン凹部42aの長手方向がそれぞれ互いに一致した状態で、ケース本体部41の第2本体面41bに形成されている。よって、各入力バスバー収容凹部42は、ケース本体部41の第2本体面41bを平面視すると、各入力バスバー収容凹部42のメイン凹部42aの短手方向がそれぞれ互いに一致した状態で、ケース本体部41の第2本体面41bに形成されている。各入力バスバー収容凹部42のメイン凹部42aは、ケース本体部41の第2本体面41bを平面視すると、入力バスバー収容凹部42のメイン凹部42aの短手方向で隣り合っている。
【0035】
各入力バスバー収容凹部42のサブ凹部42bは、メイン凹部42aに連通している。サブ凹部42bは、メイン凹部42aの内周面における長手方向の一方に位置する部位に開口している。各入力バスバー収容凹部42のサブ凹部42bは、平面視すると、メイン凹部42aからメイン凹部42aの長手方向に延びた後、メイン凹部42aの短手方向に延びるように折れ曲がって延び、さらに、メイン凹部42aの長手方向に延びるクランク形状である。
【0036】
図3に示すように、ケース40は、2つの入力バスバー収容凹部42の開口を閉塞する有底筒状の入力バスバー用蓋部43を有している。入力バスバー用蓋部43は、板状の蓋部底壁43aと、蓋部底壁43aの外周縁から筒状に延びる蓋部周壁43bと、を有している。
【0037】
入力バスバー用蓋部43は、蓋部周壁43bにおける蓋部底壁43aとは反対側の端部がケース本体部41の第2本体面41bに接触した状態で、ケース本体部41の第2本体面41bに取り付けられている。そして、各入力バスバー収容凹部42及び入力バスバー用蓋部43により、各入力バスバー50を収容するバスバー収容部としての入力バスバー収容部44が形成されている。したがって、ケース40は、入力バスバー50を収容するバスバー収容部としての入力バスバー収容部44を有している。
【0038】
蓋部底壁43aの内面は、各入力バスバー収容凹部42の底面にそれぞれ対向している。蓋部底壁43aには、各入力バスバー収容凹部42のメイン凹部42aに連通する端子挿通孔43hがそれぞれ形成されている。各端子挿通孔43hは、蓋部底壁43aを厚み方向に貫通している。入力バスバー収容部44は、各入力バスバー収容凹部42の底面、各入力バスバー収容凹部42の内周面、蓋部底壁43aの内面、及び蓋部周壁43bの内周面により区画されている。したがって、各入力バスバー収容凹部42の底面、各入力バスバー収容凹部42の内周面、蓋部底壁43aの内面、及び蓋部周壁43bの内周面は、入力バスバー収容部44を区画するケース40の内面である。
【0039】
図3及び図4に示すように、各入力バスバー50は、四角筒状の接続端子51と、接続端子51から延びるバスバー連結部52と、バスバー連結部52に連結されるリード線53と、を有している。接続端子51とバスバー連結部52とは一体形成されている。バスバー連結部52とリード線53とは、例えば、溶接により接合されることにより互いに一体化されている。各入力バスバー50の接続端子51及びバスバー連結部52は、各入力バスバー収容凹部42のメイン凹部42a内に配置されている。各入力バスバー50のリード線53は、メイン凹部42aからサブ凹部42b内に延びて、サブ凹部42bに沿って延びるクランク形状である。
【0040】
ケース本体部41は、各入力バスバー収容凹部42のサブ凹部42bに連通するリード挿通孔411hをそれぞれ有している。各リード挿通孔411hは、ケース本体部41を厚み方向に貫通している。各リード挿通孔411hは、ケース本体部41の第1本体面41aに開口している。そして、各入力バスバー50のリード線53は、各入力バスバー収容凹部42から各リード挿通孔411hを介して回路基板31に向けて突出して回路基板31に半田付けされている。したがって、各入力バスバー50の一部分は、入力バスバー収容部44から回路基板31に向けて突出して回路基板31に半田付けされている。
【0041】
図3に示すように、各入力バスバー50の接続端子51における軸線方向の両側に位置する両端部の一方である第1端部51aは、回路基板31とケース40との積層方向X1で各入力バスバー収容凹部42の底面に対向している。各入力バスバー50の接続端子51における軸線方向の両側に位置する両端部の他方である第2端部51bは、回路基板31とケース40との積層方向X1で蓋部底壁43aの内面に対向している。接続端子51の第1端部51aが入力バスバー収容凹部42の底面に接触しているとき、接続端子51の第2端部51bは、蓋部底壁43aの内面から離間している。一方で、接続端子51の第2端部51bが蓋部底壁43aの内面に接触しているとき、接続端子51の第1端部51aは、入力バスバー収容凹部42の底面から離間している。したがって、ケース40の内面と各入力バスバー50との間には、回路基板31とケース40との積層方向X1で回路基板31及び各入力バスバー50におけるケース40に対する移動を許容する隙間55が形成されている。したがって、この隙間55によって、各入力バスバー50は、回路基板31の揺れに応じたケース40内での移動が許容されている。
【0042】
図4に示すように、ケース40は、一対の第1突起56及び一対の第2突起57を有している。一対の第1突起56及び一対の第2突起57は、各入力バスバー収容凹部42のサブ凹部42bの内側面からそれぞれ突出している。
【0043】
一対の第1突起56は、サブ凹部42bを平面視すると、サブ凹部42bの内側面のうち、メイン凹部42aの長手方向に延びる一対の内側面それぞれから互いに向き合うように突出している。一対の第1突起56は、リード線53におけるサブ凹部42b内をメイン凹部42aの長手方向に延びる部位を挟み込んでいる。そして、リード線53が一対の第1突起56に挟み込まれていることにより、回路基板31とケース40との積層方向X1に対して直交する方向である第1交差方向Y1で、入力バスバー50におけるケース40に対する移動が規制されている。第1交差方向Y1は、メイン凹部42aの短手方向に一致する。
【0044】
一対の第2突起57は、サブ凹部42bを平面視すると、サブ凹部42bの内側面のうち、メイン凹部42aの短手方向に延びる一対の内側面それぞれから互いに向き合うように突出している。一対の第2突起57は、リード線53におけるサブ凹部42b内をメイン凹部42aの短手方向に延びる部位を挟み込んでいる。そして、リード線53が一対の第2突起57に挟み込まれていることにより、回路基板31とケース40との積層方向X1に対して直交し、且つ第1交差方向Y1とも直交する方向である第2交差方向Y2で、入力バスバー50におけるケース40に対する移動が規制されている。第2交差方向Y2は、メイン凹部42aの長手方向に一致する。
【0045】
したがって、一対の第1突起56及び一対の第2突起57は、回路基板31とケース40との積層方向X1に対して交差する方向、つまり、回路基板31の厚み方向で交差する方向で入力バスバー50におけるケース40に対する移動を規制する規制部として機能している。
【0046】
図1及び図2に示すように、電動圧縮機10は、高圧電線70を備えている。高圧電線70は、高電圧コネクタ71、高電圧ハーネス72、高電圧接続端子73、及び2つの高電圧接続ピン74を有している。高電圧接続端子73は、インバータ収容室14a内に配置されている。各高電圧接続ピン74の一端部は、高電圧接続端子73に電気的に接続されている。各高電圧接続ピン74の他端部は、蓋部底壁43aの各端子挿通孔43hを介して各入力バスバー50の接続端子51に挿抜可能になっている。そして、各高電圧接続ピン74の他端部が、各端子挿通孔43hを通過して各入力バスバー50の接続端子51にそれぞれ挿し込まれることにより、高圧電線70と各入力バスバー50とが電気的に接続されている。
【0047】
高電圧ハーネス72の一端部は、高電圧接続端子73に電気的に接続されている。高電圧ハーネス72の他端部は、インバータケース本体底壁24aのハーネス挿通孔14hを通過して、インバータケース14から外部へ延びている。したがって、高電圧ハーネス72の他端部は、ハウジング11から外部へ延びている。高電圧コネクタ71は、高電圧ハーネス72の他端部に電気的に接続されている。高電圧コネクタ71は、外部電源75に電気的に接続されている。そして、外部電源75と回路基板31とが、高電圧コネクタ71、高電圧ハーネス72、高電圧接続端子73、各高電圧接続ピン74、及び各入力バスバー50を介して電気的に接続されている。したがって、各入力バスバー50は、外部電源75と回路基板31とを電気的に接続するために用いられている。そして、高圧電線70は、一端が各入力バスバー50に電気的に接続されるとともに他端が外部電源75に電気的に接続され、ハウジング11から外部へ延びている。したがって、コネクタ35は、回路基板31とインバータ収容室14aの外部の外部電源75とを接続している。
【0048】
図5及び図6に示すように、ケース本体部41の第2本体面41bには、出力バスバー収容凹部45が3つ形成されている。図6に示すように、各出力バスバー収容凹部45は、平面視すると、略細長四角孔状であるメイン凹部45aと、帯状のサブ凹部45bと、を有している。各出力バスバー収容凹部45は、ケース本体部41の第2本体面41bを平面視すると、各出力バスバー収容凹部45のメイン凹部45aの長手方向がそれぞれ互いに一致した状態で、ケース本体部41の第2本体面41bに形成されている。よって、各出力バスバー収容凹部45は、ケース本体部41の第2本体面41bを平面視すると、各出力バスバー収容凹部45のメイン凹部45aの短手方向がそれぞれ互いに一致した状態で、ケース本体部41の第2本体面41bに形成されている。各出力バスバー収容凹部45のメイン凹部45aは、ケース本体部41の第2本体面41bを平面視すると、出力バスバー収容凹部45のメイン凹部45aの短手方向で隣り合っている。
【0049】
各出力バスバー収容凹部45のサブ凹部45bは、メイン凹部45aに連通している。サブ凹部45bは、メイン凹部45aの内周面における長手方向の一方に位置する部位に開口している。各出力バスバー収容凹部45のサブ凹部45bは、平面視すると、メイン凹部45aからメイン凹部45aの長手方向に延びた後、メイン凹部45aの短手方向に延びるように折れ曲がって延び、さらに、メイン凹部45aの長手方向に延びるクランク形状である。
【0050】
図5に示すように、ケース40は、3つの出力バスバー収容凹部45の開口を閉塞する有底筒状の出力バスバー用蓋部46を有している。出力バスバー用蓋部46は、板状の蓋部底壁46aと、蓋部底壁46aの外周縁から筒状に延びる蓋部周壁46bと、を有している。
【0051】
出力バスバー用蓋部46は、蓋部周壁46bにおける蓋部底壁46aとは反対側の端部がケース本体部41の第2本体面41bに接触した状態で、ケース本体部41の第2本体面41bに取り付けられている。そして、各出力バスバー収容凹部45及び出力バスバー用蓋部46により、各出力バスバー60を収容するバスバー収容部としての出力バスバー収容部47が形成されている。したがって、ケース40は、出力バスバー60を収容するバスバー収容部としての出力バスバー収容部47を有している。
【0052】
蓋部底壁46aの内面は、各出力バスバー収容凹部45の底面にそれぞれ対向している。蓋部底壁46aには、各出力バスバー収容凹部45のメイン凹部45aに連通する端子挿通孔46hがそれぞれ形成されている。各端子挿通孔46hは、蓋部底壁46aを厚み方向に貫通している。出力バスバー収容部47は、各出力バスバー収容凹部45の底面、各出力バスバー収容凹部45の内周面、蓋部底壁46aの内面、及び蓋部周壁46bの内周面により区画されている。したがって、各出力バスバー収容凹部45の底面、各出力バスバー収容凹部45の内周面、蓋部底壁46aの内面、及び蓋部周壁46bの内周面は、出力バスバー収容部47を区画するケース40の内面である。
【0053】
図5及び図6に示すように、各出力バスバー60は、四角筒状の接続端子61と、接続端子61から延びるバスバー連結部62と、バスバー連結部62に連結されるリード線63と、を有している。接続端子61とバスバー連結部62とは一体形成されている。バスバー連結部62とリード線63とは、例えば、溶接により接合されることにより互いに一体化されている。各出力バスバー60の接続端子61及びバスバー連結部62は、各出力バスバー収容凹部45のメイン凹部45a内に配置されている。各出力バスバー60のリード線63は、メイン凹部45aからサブ凹部45b内に延びて、サブ凹部45bに沿って延びるクランク形状である。
【0054】
ケース本体部41は、各出力バスバー収容凹部45のサブ凹部45bに連通するリード挿通孔412hをそれぞれ有している。各リード挿通孔412hは、ケース本体部41を厚み方向に貫通している。各リード挿通孔412hは、ケース本体部41の第1本体面41aに開口している。そして、各出力バスバー60のリード線63は、各出力バスバー収容凹部45から各リード挿通孔412hを介して回路基板31に向けて突出して回路基板31に半田付けされている。したがって、各出力バスバー60の一部分は、出力バスバー収容部47から回路基板31に向けて突出して回路基板31に半田付けされている。
【0055】
図5に示すように、各出力バスバー60の接続端子61における軸線方向の両側に位置する両端部の一方である第1端部61aは、回路基板31とケース40との積層方向X1で各出力バスバー収容凹部45の底面に対向している。各出力バスバー60の接続端子61における軸線方向の両側に位置する両端部の他方である第2端部61bは、回路基板31とケース40との積層方向X1で蓋部底壁46aの内面に対向している。接続端子61の第1端部61aが出力バスバー収容凹部45の底面に接触しているとき、接続端子61の第2端部61bは、蓋部底壁46aの内面から離間している。一方で、接続端子61の第2端部61bが蓋部底壁46aの内面に接触しているとき、接続端子61の第1端部61aは、出力バスバー収容凹部45の底面から離間している。したがって、ケース40の内面と各出力バスバー60との間には、回路基板31とケース40との積層方向X1で回路基板31及び各出力バスバー60におけるケース40に対する移動を許容する隙間65が形成されている。したがって、この隙間65によって、各出力バスバー60は、回路基板31の揺れに応じたケース40内での移動が許容されている。
【0056】
図6に示すように、ケース40は、一対の第1突起66及び一対の第2突起67を有している。一対の第1突起66及び一対の第2突起67は、各出力バスバー収容凹部45のサブ凹部45bの内側面からそれぞれ突出している。
【0057】
一対の第1突起66は、サブ凹部45bを平面視すると、サブ凹部45bの内側面のうち、メイン凹部45aの長手方向に延びる一対の内側面それぞれから互いに向き合うように突出している。一対の第1突起66は、リード線63におけるサブ凹部45b内をメイン凹部45aの長手方向に延びる部位を挟み込んでいる。そして、リード線63が一対の第1突起66に挟み込まれていることにより、回路基板31とケース40との積層方向X1に対して直交する方向である第1交差方向Y1で、出力バスバー60におけるケース40に対する移動が規制されている。第1交差方向Y1は、メイン凹部45aの短手方向に一致する。
【0058】
一対の第2突起67は、サブ凹部45bを平面視すると、サブ凹部45bの内側面のうち、メイン凹部45aの短手方向に延びる一対の内側面それぞれから互いに向き合うように突出している。一対の第2突起67は、リード線63におけるサブ凹部45b内をメイン凹部45aの短手方向に延びる部位を挟み込んでいる。そして、リード線63が一対の第2突起67に挟み込まれていることにより、回路基板31とケース40との積層方向X1に対して直交し、且つ第1交差方向Y1とも直交する方向である第2交差方向Y2で、出力バスバー60におけるケース40に対する移動が規制されている。第2交差方向Y2は、メイン凹部45aの長手方向に一致する。
【0059】
したがって、一対の第1突起66及び一対の第2突起67は、回路基板31とケース40との積層方向X1に対して交差する方向、つまり、回路基板31の厚み方向で交差する方向で出力バスバー60におけるケース40に対する移動を規制する規制部として機能している。
【0060】
図5及び図6に示すように、各導電部材27の他端部は、蓋部底壁46aの各端子挿通孔46hを介して各出力バスバー60の接続端子61に挿抜可能になっている。そして、各導電部材27の他端部が、各端子挿通孔46hを通過して各出力バスバー60の接続端子61にそれぞれ挿し込まれることにより、導電部材27と各出力バスバー60とが電気的に接続されている。
【0061】
電動モータ17とモータ制御装置30の回路基板31とは、各モータ配線21a、クラスタブロック29、各導電部材27、及び各出力バスバー60を介して電気的に接続されている。したがって、各出力バスバー60は、各導電部材27と回路基板31とを電気的に接続するために用いられている。そして、各導電部材27は、電動モータ17とモータ制御装置30とを電気的に接続するために用いられている。したがって、コネクタ35は、回路基板31とインバータ収容室14aの外部の電動モータ17とを接続している。
【0062】
次に、本実施形態の作用について説明する。
例えば、車両の走行時のような、電動圧縮機10が振動する環境下においては、電動圧縮機10の振動が生じて、回路基板31がコネクタ35に対して移動しようとする。特に、外部電源75に接続される高圧電線70がハウジング11から外部へ延びている構成では、電動圧縮機10の振動が生じた場合に、高圧電線70も振動するため、電動圧縮機10の振動が大きくなり易い。したがって、電動圧縮機10が振動する環境下において、回路基板31がコネクタ35に対してさらに移動し易くなる。
【0063】
このとき、回路基板31とケース40との積層方向X1での回路基板31及び各入力バスバー50におけるケース40に対する移動が、ケース40の内面と各入力バスバー50との間に形成されている隙間55によって許容される。したがって、各入力バスバー50における回路基板31の揺れに応じたケース40内での移動が許容されている。また、回路基板31とケース40との積層方向X1での回路基板31及び各出力バスバー60におけるケース40に対する移動が、ケース40の内面と各出力バスバー60との間に形成されている隙間65によって許容される。したがって、各出力バスバー60における回路基板31の揺れに応じたケース40内での移動が許容されている。このため、回路基板31がコネクタ35に対して移動しようとしても、各入力バスバー50及び各出力バスバー60に加わる応力が低減される。したがって、各入力バスバー50及び各出力バスバー60の折れ曲がりや回路基板31との接続部位の破損が抑制される。
【0064】
また、一対の第1突起56,66及び一対の第2突起57,67によって、回路基板31とケース40との積層方向X1に対して交差する方向での各入力バスバー50及び各出力バスバー60におけるケース40に対する移動が規制されている。このため、回路基板31とケース40との積層方向X1に対して交差する方向での各入力バスバー50及び各出力バスバー60と回路基板31との接続箇所のずれが抑制される。したがって、各入力バスバー50及び各出力バスバー60に加わる応力がさらに低減されるため、各入力バスバー50及び各出力バスバー60の折れ曲がりや回路基板31との接続部位の破損がさらに抑制される。
【0065】
上記実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)各入力バスバー50及び各出力バスバー60は、回路基板31の揺れに応じたケース40内での移動が許容されている。したがって、回路基板31がコネクタ35に対して移動しようとしても、各入力バスバー50及び各出力バスバー60に加わる応力が低減されるため、各入力バスバー50及び各出力バスバー60の折れ曲がりや回路基板31との接続部位の破損を抑制することができ、耐振性に優れる。
【0066】
(2)外部電源75に接続される高圧電線70がハウジング11から外部へ延びている構成では、例えば、電動圧縮機10が振動する環境下において、電動圧縮機10の振動が生じた場合に、高圧電線70も振動するため、電動圧縮機10の振動が大きくなり易い。したがって、電動圧縮機10が振動する環境下において、回路基板31がコネクタ35に対してさらに移動し易くなる。しかしながら、各入力バスバー50における回路基板31の揺れに応じたケース40内での移動が許容されているため、回路基板31がコネクタ35に対して移動しようとしても、各入力バスバー50に加わる応力が低減される。したがって、各入力バスバー50の折れ曲がりや回路基板31との接続部位の破損を抑制することができ、耐振性に優れる。
【0067】
(3)各出力バスバー60における回路基板31の揺れに応じたケース40内での移動が許容されている。このため、ケース40が、各導電部材27と回路基板31とを電気的に接続するための各出力バスバー60を内部に収容保持している構成において、回路基板31がコネクタ35に対して移動しようとしても、各出力バスバー60に加わる応力が低減される。その結果、ケース40が、各導電部材27と回路基板31とを電気的に接続するための各出力バスバー60を内部に収容保持している構成であっても、各出力バスバー60の折れ曲がりや回路基板31との接続部位の破損を抑制することができ、耐振性に優れる。
【0068】
(4)一対の第1突起56,66及び一対の第2突起57,67によって、回路基板31の厚み方向に対して交差する方向での各入力バスバー50及び各出力バスバー60におけるケース40に対する移動が規制されている。このため、回路基板31の厚み方向に対して交差する方向での各入力バスバー50及び各出力バスバー60と回路基板31との接続箇所のずれを抑制することができる。したがって、各入力バスバー50及び各出力バスバー60に加わる応力をさらに低減することができるため、各入力バスバー50及び各出力バスバー60の折れ曲がりや回路基板31との接続部位の破損をさらに抑制することができ、耐振性に優れる。
【0069】
(5)各入力バスバー50及び各出力バスバー60は、1つのケース40に収容保持されている。したがって、例えば、各入力バスバー50を収容保持するケースと、各出力バスバー60を収容保持するケースとが、別部品である場合に比べると、部品点数を削減することができるとともに、組付点数を削減することができる。
【0070】
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0071】
○ 実施形態において、電動圧縮機10は、高圧電線70がハウジング11から外部へ延びている構成でなくてもよい。すなわち、電動圧縮機10は、インバータケース本体底壁24aのハーネス挿通孔14hを通過して、インバータケース14から外部へ延びる高電圧ハーネス72を有する高圧電線70を備えた構成でなくてもよい。そして、電動圧縮機10は、高圧電線70に代わって、例えば、インバータケース14から突出する筒状のコネクタ接続部を備えており、コネクタ接続部に外部電源75が接続されることにより、外部電源75と各入力バスバー50とが電気的に接続される構成であってもよい。
【0072】
○ 実施形態において、例えば、各入力バスバー50が、インサート成形によってケース40にモジュール化されていてもよい。要は、電動圧縮機10は、ケース40の内面と各入力バスバー50との間に、回路基板31とケース40との積層方向X1で回路基板31及び各入力バスバー50におけるケース40に対する移動を許容する隙間55が形成されていない構成であってもよい。つまり、各入力バスバー50は、回路基板31の揺れに応じたケース40内での移動が許容されていなくてもよい。
【0073】
○ 実施形態において、例えば、各出力バスバー60が、インサート成形によってケース40にモジュール化されていてもよい。要は、電動圧縮機10は、ケース40の内面と各出力バスバー60との間に、回路基板31とケース40との積層方向X1で回路基板31及び各出力バスバー60におけるケース40に対する移動を許容する隙間65が形成されていない構成であってもよい。つまり、各出力バスバー60は、回路基板31の揺れに応じたケース40内での移動が許容されていなくてもよい。
【0074】
○ 実施形態において、各入力バスバー50を収容保持するケースと、各出力バスバー60を収容保持するケースとが、別部品であってもよい。
○ 実施形態において、電動圧縮機10は、一対の第1突起56及び一対の第2突起57が、各入力バスバー収容凹部42のサブ凹部42bの内側面からそれぞれ突出していない構成であってもよい。
【0075】
○ 実施形態において、電動圧縮機10は、一対の第1突起66及び一対の第2突起67は、各出力バスバー収容凹部45のサブ凹部45bの内側面からそれぞれ突出していない構成であってもよい。
【0076】
○ 実施形態において、電動圧縮機10は、一対の第1突起56及び一対の第2突起57が、各入力バスバー収容凹部42のサブ凹部42bの内側面からそれぞれ突出しておらず、さらには、一対の第1突起66及び一対の第2突起67も、各出力バスバー収容凹部45のサブ凹部45bの内側面からそれぞれ突出していない構成であってもよい。
【0077】
○ 実施形態において、各入力バスバー収容凹部42の形状は、特に限定されるものではない。要は、各入力バスバー収容凹部42に各入力バスバー50が収容可能であれば、各入力バスバー収容凹部42の形状は適宜変更してもよい。
【0078】
○ 実施形態において、各出力バスバー収容凹部45の形状は、特に限定されるものではない。要は、各出力バスバー収容凹部45に各出力バスバー60が収容可能であれば、各出力バスバー収容凹部45の形状は適宜変更してもよい。
【0079】
○ 実施形態において、各入力バスバー50は、バスバー連結部52とリード線53とが、例えば、溶接によって接合されることにより互いに一体化されている構成ではなく、バスバー連結部52とリード線53とが予め一体形成されている構成であってもよい。
【0080】
○ 実施形態において、各出力バスバー60は、バスバー連結部62とリード線63とが、例えば、溶接によって接合されることにより互いに一体化されている構成ではなく、バスバー連結部62とリード線63とが予め一体形成されている構成であってもよい。
【0081】
○ 実施形態において、例えば、モータハウジング13の底壁13aに、有底筒状のカバー部材が取り付けられることにより、モータハウジング13の底壁13a及びカバー部材によって、インバータ収容室14aが区画されている構成であってもよい。この場合、コネクタ35は、例えば、モータハウジング13の底壁13aとカバー部材との間に挟み込まれた状態で、インバータケース14に取り付けられている。
【0082】
○ 実施形態において、電動圧縮機10は、例えば、モータ制御装置30が、ハウジング11に対して回転軸15の径方向外側に配置されている構成であってもよい。要は、圧縮部16、電動モータ17、及びモータ制御装置30が、この順で、回転軸15の軸線方向に並設されていなくてもよい。
【0083】
○ 実施形態において、圧縮部16は、スクロール式に限らず、例えば、ピストン式やベーン式等であってもよい。
○ 実施形態において、電動圧縮機10は、車両空調装置23を構成していたが、これに限らず、例えば、電動圧縮機10は、燃料電池車に搭載されており、燃料電池に供給される流体としての空気を圧縮部16により圧縮するものであってもよい。
【符号の説明】
【0084】
10…電動圧縮機、11…ハウジング、14a…インバータ収容室、16…圧縮部、17…電動モータ、27…導電部材、30…モータ制御装置、31…回路基板、35…コネクタ、40…ケース、44…バスバー収容部としての入力バスバー収容部、47…バスバー収容部としての出力バスバー収容部、50…バスバーである入力バスバー、60…バスバーである出力バスバー、56,66…規制部として機能する第1突起、57,67…規制部として機能する第2突起、70…高圧電線、75…外部電源。
図1
図2
図3
図4
図5
図6