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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-04
(45)【発行日】2023-09-12
(54)【発明の名称】車両用カメラユニット
(51)【国際特許分類】
   B60R 1/06 20060101AFI20230905BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20230905BHJP
   G03B 17/56 20210101ALI20230905BHJP
   H04N 23/51 20230101ALI20230905BHJP
   H04N 23/90 20230101ALI20230905BHJP
   B60R 1/26 20220101ALI20230905BHJP
【FI】
B60R1/06 G
G03B15/00 V
G03B17/56 H
H04N23/51
H04N23/90
B60R1/26 100
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020096509
(22)【出願日】2020-06-02
(65)【公開番号】P2021187373
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2022-05-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀部 人嗣
(72)【発明者】
【氏名】北芝 真之
【審査官】上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-055646(JP,A)
【文献】特開2002-330427(JP,A)
【文献】特開2014-215418(JP,A)
【文献】特開2018-043632(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0149077(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 1/00
G03B 15/00
G03B 17/56
H04N 23/51
H04N 23/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両後部に搭載され後方を撮像するバックカメラと、
前記バックカメラのさらに後方に配置されたガーニッシュ部材と、
前記ガーニッシュ部材の上方に配置されたボデー側部材と、を具備し、
前記バックカメラは後方を向くレンズを具備し、
前記ガーニッシュ部材は、ハーフミラーであり前記レンズを少なくとも後方から覆う透過部と、前記透過部の上方に配置され前記バックカメラの下部を後上方から覆う意匠部と、を具備し
記意匠部の可視光透過率は前記透過部の可視光透過率よりも小さく、
前記ボデー側部材は、後方に開口する溝状をなす凹状取付部を下端に有し、
前記意匠部は、前記凹状取付部に入り込む凸状取付部を上端に有する、車両用カメラユニット。
【請求項2】
車両後部に搭載され後方を撮像するバックカメラと、
前記バックカメラのさらに後方に配置されたガーニッシュ部材と、を具備し、
前記バックカメラは後方を向くレンズを具備し、
前記ガーニッシュ部材は、ハーフミラーであり前記レンズを少なくとも後方から覆う透過部と、前記透過部の上方に配置され前記バックカメラの下部を後上方から覆う意匠部と、を具備し
記意匠部の可視光透過率は前記透過部の可視光透過率よりも小さい、車両用カメラユニット。
【請求項3】
記意匠部はメッキ層を有する、請求項1または請求項2に記載の車両用カメラユニット。
【請求項4】
前記透過部は、後下方を向く透過面を有し、
前記意匠部は、後上方を向く意匠面を有する、請求項1~請求項3の何れか一項に記載の車両用カメラユニット。
【請求項5】
前記車両用カメラユニットは、バックドアに配設され、前記バックドアのハンドルを具備し、
前記バックカメラは、前記ハンドルよりも上方に配置され、
前記ガーニッシュ部材は、前記バックカメラおよび前記ハンドルのさらに後方に配置されている、請求項1~請求項4の何れか一項に記載の車両用カメラユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はバックカメラを具備する車両用のカメラユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の後方を撮像するためのバックカメラを車両後部に搭載する技術が一般的になっている。当該バックカメラにより車両の後方を撮像し、得られた画像をドライバーに提供することで、ドライバーは、車両後方の道路の状態や、歩行者の有無等を容易にかつ正確に把握することができる。このように、バックカメラを車両に搭載することは、バック駐車の安全性向上や、歩行者保護等の観点から有利である。
【0003】
ところで、一般に、バックカメラは車両の後部かつ下部に配置される。このような位置に配置されたバックカメラによると、車両後方における路面付近を撮像することはできるが、車両後方を広範囲にわたって撮像するのは困難である。
近年、走行安全の観点から、車両後方を広範囲にわたって検知し後続車の走行状況や道路状況等のデータを取得する必要性が高まっている。
【0004】
特許第6524395号の実施形態1および図3には、バックカメラを車両後方における比較的高い位置、具体的にはライセンスプレートよりも上方に配置し、当該バックカメラのレンズの向きを真下ではなく後方に向ける技術が提案されている。
バックカメラをこのように配置することで、当該バックカメラによって車両後方を比較的広範囲にわたって撮像でき、後続車の走行状況や路面状況等のデータを取得することが可能になると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6524395号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、バックカメラを上方に配置し、かつ、バックカメラのレンズの向きを後方に向けることで、バックカメラによって車両後方を比較的広範囲にわたって撮像することが可能となるが、その一方で、バックカメラがユーザーや通行人等から視認され易くなり、車両の意匠性が悪化する虞がある。特許第6524395号の図3には、バックカメラ30のレンズ32が装飾部材20すなわちガーニッシュの下方に露出している様子が図示されている。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、バックカメラを具備する車両用カメラユニットにおいて、車両後方を撮像でき、かつ、車両の意匠性向上に寄与し得る技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する本発明の車両用カメラユニットは、
車両後部に搭載され後方を撮像するバックカメラと、
前記バックカメラのさらに後方に配置されたガーニッシュ部材と、
前記ガーニッシュ部材の上方に配置されたボデー側部材と、を具備し、
前記バックカメラは後方を向くレンズを具備し、
前記ガーニッシュ部材は、ハーフミラーであり前記レンズを少なくとも後方から覆う透過部と、前記透過部の上方に配置され前記バックカメラの下部を後上方から覆う意匠部と、を具備し、
前記意匠部はハーフミラーであるか、または、前記意匠部の可視光透過率は前記透過部の可視光透過率よりも小さく、
前記ボデー側部材は、後方に開口する溝状をなす凹状取付部を下端に有し、
前記意匠部は、前記凹状取付部に入り込む凸状取付部を上端に有する、車両用カメラユニットである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の車両用カメラユニットは、車両後方を撮像でき、かつ、車両の意匠性向上に寄与し得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例1の車両用カメラユニットを車両に搭載した様子を模式的に表す説明図である。
図2】実施例1の車両用カメラユニットにおけるガーニッシュ部材およびボデー側部材以外の部分を模式的に表す説明図である。
図3】実施例1の車両用カメラユニットにおけるボデー側部材以外の部分を模式的に表す説明図である。
図4】実施例1の車両用カメラユニットを車幅方向における中央線で切断した断面を模式的に説明する説明図である。
図5】本発明の車両用カメラユニットにおけるガーニッシュ部材とボデー側部材との見切り部分の他の例を模式的に表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の車両用カメラユニットは、バックカメラとガーニッシュ部材とボデー側部材とを具備する。このうちバックカメラは車両後部に搭載されかつ後方を撮像する。
ガーニッシュ部材は、バックカメラのさらに後方に配置される。
【0012】
本発明の車両用カメラユニットによると、バックカメラのレンズを透過部によって少なくとも後方から覆い、かつ、バックカメラの下部を意匠部によって後上方から覆う。
【0013】
透過部はハーフミラーであるため、バックカメラにより当該透過部を通して車両後方を撮像することは可能であるが、ユーザーや通行人等が車両後方からバックカメラのレンズを視認することは困難である。
また、意匠部はハーフミラーであるか、または、意匠部の可視光透過率は透過部の可視光透過率よりも小さい。このため、当該意匠部で覆われたバックカメラの下部をユーザー等が車両後方から視認することもまた困難である。
【0014】
このように、バックカメラの下部およびレンズが、視覚的に、車両後方から隠されるために、本発明の車両用カメラユニットは、車両後方を撮像できるにも拘わらず、車両の意匠性向上に寄与し得る。
【0015】
また、本発明の車両用カメラユニットは、ガーニッシュ部材の上方に配置されるボデー側部材を具備する。
【0016】
当該ボデー側部材は、後方に開口する溝状をなす凹状取付部を下端に有する。一方、ガーニッシュ部材のうちボデー側部材の側に位置する部分である意匠部は、ボデー側部材の凹状取付部に入り込む凸状取付部を上端に有する。換言すると、ガーニッシュ部材とボデー側部材との見切り部分において、ガーニッシュ部材の上端部は、ボデー側部材の下端部に設けられた凹溝に入り込み、ボデー側部材によって覆われる。これにより、本発明の車両用カメラユニットは、ガーニッシュ部材とボデー側部材との見切り部分においても、優れた意匠性を発揮する。
このことによっても、本発明の車両用カメラユニットは車両の意匠性向上に寄与し得る。
【0017】
以下、本発明の車両用カメラユニットをその構成要素毎に説明する。
【0018】
本発明の車両用カメラユニットは、バックカメラ、ガーニッシュ部材およびボデー側部材を具備する。
【0019】
バックカメラとしては、動画や静止画を撮像可能な一般的なものを用いれば良く、撮像の様式については特に限定しない。
バックカメラは、レンズを後方に向ける。なお、バックカメラは1つのみのレンズを有するものであっても良いし、複数のレンズを有するものであっても良い。バックカメラが複数のレンズを有する場合、外界からバックカメラに向けた光路の最上流側、換言すると被写体の最も近くに位置するレンズが、本発明においてバックカメラが後方に向ける「レンズ」に相当する。
被写体の最も近くに位置するレンズは、外界から最も視認され易いレンズといい得る。
【0020】
バックカメラは、真下ではなく後方にレンズを向けることで、車両後方を撮像することができる。記述したように、レンズは後方からガーニッシュ部材のハーフミラーたる透過部によって覆われる。このため、当該レンズを真下ではなく後方に向けても、ユーザー等からレンズを視認され難いために、本発明の車両用カメラユニットを搭載した車両の意匠性は損なわれない。
【0021】
なお、本発明の車両用カメラユニットにおけるバックカメラは、レンズを後下方に向けるのがより好ましい。レンズを後下方すなわち真後ろよりもやや下向きに向けることで、レンズをユーザー等からより視認され難くでき、本発明の車両用カメラユニットを搭載する車両の意匠性向上により寄与し得る。
【0022】
ここで、真下とは、鉛直方向の下方向を意味する。また、真後ろとは、水平方向の後方向を意味する。本発明の車両用カメラユニットにおいて、バックカメラのレンズの向きである「後方」とは、鉛直方向の下方向および鉛直方向の上方向の間の方向を意味する。当該レンズの向きは、好ましくは、後下方すなわち、鉛直方向の下方向と水平方向の後方向との間の方向であるのが良い。更には、バックカメラのレンズの向きは、鉛直方向に対する交差角が5°以上85°以下の範囲内、5°以上60°以下の範囲内、10°以上45°以下の範囲内、15°以上45°以下の範囲内の何れかであるのが好ましい。
【0023】
ガーニッシュ部材は、透過部と意匠部とを有する。透過部はハーフミラーである。ハーフミラーの特性、具体的には、可視光透過率、可視光反射率、および、可視光透過率と可視光反射率との比率は、ガーニッシュ部材に要求される意匠や、車両に対するガーニッシュ部材の取り付け位置等に応じて適宜適切に選択すれば良く、本発明においては特に限定されない。当然乍ら、可視光透過率と可視光反射率との比率は50:50に限定されない。可視光透過率と可視光反射率との比率の好ましい範囲は、強いて挙げるとすれば、70:30~10:90の範囲である。
【0024】
透過部は、バックカメラのレンズを少なくとも後方から覆うことができれば良く、バックカメラのレンズを、さらに、後方以外の方向から覆っても良い。また、透過部は、レンズの後方に加えてレンズ以外の部分を覆っても良い。ここでいう後方とは、既述した方向を意味する。なお、レンズの向きと、当該レンズを覆う透過部の向きとは、必ずしも一致しなくても良いが、レンズが後下方を向く場合には、透過部もまた後下方を向くのが好ましい。
【0025】
意匠部は、透過部の上方に配置されバックカメラの下部を後上方から覆う。意匠部はハーフミラーであるか、または、意匠部の可視光透過率は透過部の可視光透過率よりも小さいため、意匠部で隠されたバックカメラの下部は、車両の後上方から視認され難い。このような透過部と意匠部とを有することで、本発明の車両用カメラユニットにおけるガーニッシュ部材は、バックカメラの下部およびレンズを車両後方から視覚的に隔離できる。
【0026】
意匠部がハーフミラーである場合、意匠部を構成するハーフミラーの特性、すなわち可視光透過率や可視光反射率は、透過部を構成するハーフミラーの当該特性と同じであっても良いし、異なっていても良い。
【0027】
意匠部の可視光透過率が透過部の可視光透過率よりも小さい場合、意匠部の可視光透過率は透過部の可視光透過率よりも小さい値であれば良く、その程度は特に限定しない。強いて挙げるとすると、意匠部の可視光透過率の好ましい範囲として、透過部の可視光透過率の90%以下、70%以下、50%以下、30%以下の各範囲を挙げ得る。なお、意匠部の可視光透過率は0%であっても良いため、上記範囲には下限値はない。
【0028】
ガーニッシュ部材の材料は特に問わない。ガーニッシュ部材のうち透過部は、バックカメラによって車両後方を撮像すべく、当該バックカメラに可視光を透過可能であることが要求される。
当該透過部の材料は特に限定されないが、例えば、アクリルやポリカーボネートのような透明樹脂製の基体に、可視光反射性を有するコート層を形成した複合樹脂材料が例示される。当該コート層の材料や厚さは、透過部に要求される可視光透過率および可視光反射率に応じて適宜選択すれば良い。
【0029】
ガーニッシュ部材のうち意匠部は、可視光透過性がなくても良く、その材料は如何なるものであっても良いが、コスト面を考慮すると、透過部と共通する透明樹脂製の基体を有するのが好ましい。
【0030】
意匠部には、ハーフミラーであること、または、その可視光透過率が透過部の可視光透過率よりも小さいことが要求される。このため、意匠部が透明樹脂製の基体を有する場合には、当該基体に可視光の透過を制御し得るコート層を形成する必要がある。以下、必要に応じて、意匠部のコート層を意匠コート層と称し、透過部のコート層を透過コート層と称して、両者を区別する。
意匠コート層は、透過コート層と同様に可視光反射性を有するものであっても良い。この場合、透過部に加えて意匠部もまたハーフミラーとなる。
意匠コート層は透過コート層と異なるものであっても良い。
【0031】
ところで、ガーニッシュ部材は、車両における外装部品の一種であり、車両の外側に露出する。このため、一般に、ガーニッシュ部材には各種の意匠が付与される。
【0032】
具体的には、ガーニッシュ部材はメッキや塗装、印刷、転写等により各種の意匠を表示することができ、ガーニッシュ部材の意匠部は、メッキや塗装、印刷、転写等による意匠コート層を有し得る。意匠部によってバックカメラの下部およびレンズを隠すためには、意匠コート層の塗料やインク等として可視光透過性の低いものを選択するのが好ましく、メッキ等の可視光透過性のないものを選択するのが特に好ましい。
【0033】
意匠部は、後上方を向く意匠面を有するのが好ましい。ユーザーや歩行者等の目の位置が、本発明の車両用カメラユニットにおける意匠面の位置よりも高い場合、ユーザー等は本発明の車両用カメラユニットを後上方から見る。本発明の車両用カメラユニットにおける意匠部が後上方を向く意匠面を有する場合、ユーザー等の注意は、先ず、後上方を向く意匠面に引きつけられる。
【0034】
意匠部はハーフミラーであるか、または、意匠部の可視光透過率は透過部の可視光透過率よりも小さい。つまり、意匠部は透過部と同程度かそれ以上に、バックカメラの下部を車両後方から視覚的に隔離する機能を有する。このような意匠部によって、ユーザー等の注視をあびる意匠面を形成することで、ユーザー等の注意を透過部から逸らすことができる。これにより、バックカメラのレンズをユーザー等から視認され難くでき、本発明の車両用カメラユニットを搭載した車両の意匠性悪化を抑制できる。
なおバックカメラのレンズは、一般的なカメラのレンズと同様に、その形状から、ユーザーの注意を惹き易い。このため、バックカメラのレンズからユーザーの注意を逸らすことは、本発明の車両用カメラユニットを搭載した車両の意匠性向上に大きく貢献する。
【0035】
本発明の車両用カメラユニットは、上記のバックカメラおよびガーニッシュ部材に加えて、ボデー側部材を具備する。ボデー側部材は、ガーニッシュ部材とは別体の部材である。
【0036】
ボデー側部材としては、バックカメラの取り付け位置に応じた適宜適切な部材を選択すれば良い。例えば、バックカメラがバックドアよりも下方に配置される場合には、ボデー側部材としてリヤバンパを選択できる。ボデー側部材としてのリヤバンパは、ボデーに一体化されたものであっても良いし、ボデーと別体のものであっても良い。また、例えばバックカメラがバックドアに配置される場合には、ボデー側部材としてバックドアのドアパネルを選択できる。
【0037】
ボデー側部材は、後方に開口する溝状をなす凹状取付部を下端に有する。ボデー側部材の下方に配置されるガーニッシュ部材の意匠部は、当該凹状取付部に入り込む凸状取付部を上端に有する。既述したように、ボデー側部材の凹状取付部に意匠部の凸状取付部が入り込むことで、ボデー側部材と意匠部との実質的な見切り部分が凹状取付部の溝内に隠され、ボデー側部材と意匠部との見切り部分の意匠性が向上する。
【0038】
本発明の車両用カメラユニットにおいて、ガーニッシュ部材のうちバックカメラのレンズを覆う部分、すなわち透過部は、ハーフミラーである。このため、バックカメラは透過部を通じて車両後方を撮像できるが、バックカメラのレンズ自体は透過部によって隠されるために車両後方から視認され難い。
さらに、バックカメラのうちレンズよりも上方に位置するバックカメラの下部は、ガーニッシュ部材の意匠部によって後上方から覆われる。これらの協働により、バックカメラはガーニッシュ部材によって多角的に隠される。
【0039】
このため本発明の車両用カメラユニットは、車両下部に限らず、上下方向における車両中央部や、車両上部に配置しても車両の意匠性を損なわない。換言すると、本発明の車両用カメラユニットは、車両下部よりも上方に配置する車両用カメラユニットとして好適である。
【0040】
本発明の車両用カメラユニットの車両に対する好ましい搭載位置としては、バンパの下端部よりも上方、バンパよりも上方、ライセンスプレートの下端部よりも上方、ライセンスプレートよりも上方、および、バックドアの下端部よりも上方、の各位置が例示される。
【0041】
なお、本発明の車両用カメラユニットをライセンスプレートよりも上方に配置する場合、本発明の車両用カメラユニットはライセンスプレートを照射するライセンスランプを具備するのが好ましい。
【0042】
ところで、近年、車両には各種の車両搭載装置が配置されている。このうち車両後部に配置されるものの多くは、車幅方向における中央位置に配置されるのが好ましい。具体的には、車両後方を撮像するバックカメラ、ライセンスプレートを照らすライセンスランプ、バックドアを開閉するためのハンドル等は、車幅方向における中央位置に配置されるのが好ましい。
【0043】
しかし、車両後部における車幅方向の中央部には、これらの車両搭載装置のすべてを配置するだけのスペースはない。したがって、多くの場合には、これら車両搭載装置の一部を車幅方向における端部に配置することで、上記したスペース不足の問題を凌いでいる。
【0044】
本発明の車両用カメラユニットは、上記したように、車両下部よりも上方に配置する車両用カメラユニットとして好適である。つまり、本発明の車両用カメラユニットを、上記したハンドルおよび/またはライセンスランプよりも上方に配置することで、これらの全てまたは殆どを車幅方向における中央位置に配置することが可能である。このような本発明の車両用カメラユニットは、バックドアのハンドルおよびライセンスランプを具備するのが好ましい。
【0045】
なお、本発明の車両用カメラユニットを、バックドア等の車両における状態変化する部分に配置する場合には、車両用カメラユニットにおける各方向もまた状態変化する。この場合には、車両用カメラユニットにおける各方向とは、車両用カメラユニットを搭載した車両が走行できる状態にあるときの方向を意味する。つまり、本発明の車両用カメラユニットをバックドアに配置する場合には、ガーニッシュ部材の透過部はバックドアが閉じているときにおける後方からバックカメラのレンズを覆う。また、ガーニッシュ部材の意匠部はバックドアが閉じているときにおける後上方からバックカメラの下部を覆う。
【0046】
本発明の車両用カメラユニットは、ボデー側部材を具備しない場合、すなわち、バックカメラおよびガーニッシュ部材のみを具備する場合にも、ガーニッシュ部材の透過部によってバックカメラの撮像を許容しつつ、ガーニッシュ部材の透過部および意匠部によってバックカメラの下部およびレンズを車両後方から視覚的に隔離する効果を発揮する。つまりこの場合にも、「車両後方を撮像でき、かつ、車両の意匠性向上に寄与し得る技術を提供する」という本発明の課題が解決される。
本発明の車両用カメラユニットの他の一態様は、ボデー側部材を具備しない車両用カメラユニットである。
【0047】
すなわち、上記課題を解決する本発明の車両用カメラユニットは、
車両後部に搭載され後方を撮像するバックカメラと、
前記バックカメラのさらに後方に配置されたガーニッシュ部材と、を具備し、
前記バックカメラは後方を向くレンズを具備し、
前記ガーニッシュ部材は、ハーフミラーであり前記レンズを少なくとも後方から覆う透過部と、前記透過部の上方に配置され前記バックカメラの下部を後上方から覆う意匠部と、を具備し、
前記意匠部はハーフミラーであるか、または、前記意匠部の可視光透過率は前記透過部の可視光透過率よりも小さい、車両用カメラユニットである。
【0048】
さらに、本発明の車両用カメラユニットがボデー側部材および意匠部を具備しない場合、換言すると、ガーニッシュ部材が透過部のみで構成される場合について検討する。
【0049】
この場合、意匠部にかえて、バックカメラの後方に配置されるバックドアのドアパネルやリヤバンパ等が、透過部の上方においてバックカメラの下部を後上方から覆えば、当該ドアパネル等によってバックカメラの下部を後上方から隠すことができる。勿論この場合にも、ハーフミラーたる透過部によってバックカメラによる車両後方の撮像を許容しつつ、バックカメラのレンズを後方から隠すことができる。
したがってこの場合にも、「車両後方を撮像でき、かつ、車両の意匠性向上に寄与し得る技術を提供する」という本発明の課題が解決される。
本発明の車両用カメラユニットの他の一態様は、ボデー側部材およびガーニッシュ部材の意匠部を具備しない車両用カメラユニットである。
【0050】
すなわち、上記課題を解決する本発明の車両用カメラユニットは、
車両後部に搭載され後方を撮像するバックカメラと、
前記バックカメラのさらに後方に配置されたガーニッシュ部材と、を具備し、
前記バックカメラは後方を向くレンズを具備し、
前記ガーニッシュ部材は、ハーフミラーであり前記レンズを少なくとも後方から覆う透過部を具備する、車両用カメラユニットである。
【0051】
以下、具体例を挙げて本発明の車両用カメラユニットを説明する。
【0052】
(実施例1)
実施例1の車両用カメラユニットは、車両のバックドアに搭載され、ライセンスプレートの上方に配置される。実施例1の車両用カメラユニットにおけるボデー側部材はバックドアのドアパネルである。
実施例1の車両用カメラユニットを車両に搭載した様子を模式的に表す説明図を図1に示し、実施例1の車両用カメラユニットにおけるガーニッシュ部材およびボデー側部材以外の部分を模式的に表す説明図を図2に示し、実施例1の車両用カメラユニットにおけるボデー側部材以外の部分を模式的に表す説明図を図3に示し、実施例1の車両用カメラユニットを車幅方向における中央線で切断した断面を模式的に説明する説明図を図4に示す。なお、図4は、ガーニッシュ部材とボデー側部材との見切り部分の拡大図を含む。さらに、本発明の車両用カメラユニットにおけるガーニッシュ部材とボデー側部材との見切り部分の他の例を図5に示す。図5は、図4と同位置におけるガーニッシュ部材およびボデー側部材の断面を模式的に表す説明図である。
以下、上、下、左、右、前、後とは、各図に示す上、下、左、右、前、後を指すものとする。なお、上下方向は鉛直方向と一致し、前後方向は車両進行方向と一致し、左右方向は車幅方向と一致する。
【0053】
図1に示すように、実施例1の車両用カメラユニット1は車両90のバックドア91に搭載される。
【0054】
実施例1の車両用カメラユニット1は、図2に示すバックカメラサブユニット10と、図3に示すガーニッシュ部材20と、図1に示すボデー側部材30とを具備する。
バックカメラサブユニット10は、バックカメラ11、バックドア91のハンドル15およびライセンスランプ18を具備する。
【0055】
図4に示すようにハンドル15はバックカメラ11の下方に配置される。図2に示すようにライセンスランプ18は光源18Liと一対のレンズ18Leとを有する。車幅方向の中央線Loは、光源18Li、ハンドル15およびバックカメラ11をとおる。なお、ライセンスランプ18の一対のレンズ18Leは、光源18Liを挟んで車幅方向に対称に配置されている。したがって、当該一対のレンズ18Leの中心もまた、中央線Loをとおる。図2に示すように、ライセンスランプ18の光源18Liは、ハンドル15およびバックカメラ11のレンズ12よりも前方に配置される。ライセンスランプ18はライセンスプレート93の上方において、ライセンスプレート93を左右から照らす。
【0056】
図2図4に示すように、バックカメラ11はレンズ12を後下方に向けている。
【0057】
図3に示すように、ガーニッシュ部材20は、バックカメラサブユニット10の後方に配置されている。ガーニッシュ部材20は、透過部21と意匠部22とを有し、全体として左右方向すなわち車幅方向に延びる長尺状をなす。
透過部21は、ガーニッシュ部材20における車幅方向の中央部かつ上下方向の下部に配置された矩形状をなす。
ガーニッシュ部材20のうち透過部21以外の部分は意匠部22である。意匠部22の下部は、図3に示すように左右方向に延びるとともに図4に示すように前下方から後上方に向けて延びる。意匠部22の上部、すなわち後述する意匠面22s有する部分は、図3に示すように左右方向に延びるとともに、図4に示すように意匠部22の下部(図略)および透過部21に対して前上方に向けて屈曲する。
【0058】
図3および図4に示すように、透過部21は後下方を向く透過面21sを有する。意匠部22は、後上方を向く意匠面22sと、透過面21sと面一の一般面22gsとを有する。透過部21および意匠部22は、各々、透明樹脂製の基体(図略)上にコート層(図略)が形成されてなる。透過部21のコート層である透過コート層は、可視光透過率と可視光反射率がおおよそ1:1となる鏡面コートであり、透過部21はハーフミラーである。意匠部22のコート層である意匠コート層は無電解メッキによるメッキ層である。したがって、透過部21の透過面21s、ならびに、意匠部22の意匠面22sおよび一般面22gsは、何れも金属光沢を表示する。
【0059】
実施例1の車両用カメラユニット1では、意匠部22の意匠面22sおよび一般面22gsに同じ意匠コート層を形成した。当該意匠コート層は透過コート層と同様の色および光沢を有し、両者の境界は、一目では判別し難い。
したがって、実施例1の車両用カメラユニット1におけるガーニッシュ部材20は、統一感のある意匠を表示する。
なお、実施例1の車両用カメラユニット1では、意匠部22の意匠面22sおよび一般面22gsに同じ意匠コート層を形成したが、意匠面22sおよび一般面22gsに異なる意匠コート層を形成しても良い。
【0060】
図2および図4に示すように、バックカメラ11はレンズ12を後下方に向ける。図4に示すように、バックカメラ11のレンズ12は、ガーニッシュ部材20の透過部21によって後下方から覆われている。透過部21は、ハーフミラーであるため、当該透過部21で覆われたレンズ12は、ユーザー等から視認され難い。
【0061】
また、レンズ12よりも上方に位置するバックカメラ11の下部13は、ガーニッシュ部材20の意匠部22によって後上方から覆われている。意匠部22は、メッキ層である意匠コート層を有するため、意匠部22の可視光透過率は透過部21の可視光透過率よりも小さくほぼ0%である。このため、当該意匠部22で覆われたバックカメラ11の下部13は、バックカメラ11のレンズ12よりもさらに、ユーザー等から視認され難い。
【0062】
さらに、図4に示すように、意匠部22は、後上方を向く意匠面22sを有する。意匠面22sは、ガーニッシュ部材20のなかでもバックドア91の後方に立つユーザー等の視界に入り易い部分であり、ユーザー等の注意を惹く部分である。また、意匠面22sは、意匠コート層に由来する意匠を表示するとともに、メッキ層たる意匠コート層によって可視光を遮る。
【0063】
実施例1の車両用カメラユニット1におけるバックカメラ11は、このように、ユーザー等の注意を惹き、かつ、可視光を遮ることのできる意匠部22の奥すなわち前方に置かれている。このことは、ユーザー等に認識され易いレンズ12からユーザー等の注意を逸らし、バックカメラ11を搭載することによる車両90の意匠性悪化を抑制するのに非常に有効である。
換言すると、実施例1の車両用カメラユニット1は、意匠のなかにバックカメラ11を置くことで、ユーザー等の注意を当該意匠に引きつけ、レンズ12から逸らすものである。
【0064】
なお、バックカメラ11のレンズ12は既述したように透過部21で後方から覆われている。このため、例えばユーザー等がバックドア91の下方からバックカメラ11を覗き込んだ場合には、透過部21がユーザーの視界に入る。
または、バックドア91が開くと、レンズ12および透過部21の位置が変化して、透過部21がレンズ12の後上方を覆う。この場合には、意匠部22に代わり透過部21がユーザーの視界に入る。
しかし、透過部21はハーフミラーであるために、これらの場合にも、バックカメラ11のレンズ12が透過部21によって隠され、ユーザー等から視認され難いことに変わりはない。
【0065】
さらに、実施例1の車両用カメラユニット1において、ガーニッシュ部材20の上方にはボデー側部材30が配置されている。図4に示すように、当該ボデー側部材30は、上方に延び、その下端に凹状取付部35を有する。当該凹状取付部35は、後方および下方に開口する溝状をなし、その溝内には意匠部22の上端部である凸状取付部25が入り込んでいる。
【0066】
これにより、実施例1の車両用カメラユニット1におけるガーニッシュ部材20とボデー側部材30との実質的な見切り部分は、凹状取付部35の溝内に隠される。これにより、ボデー側部材30と意匠部22との見切り部分の意匠性が向上する。
【0067】
また、意匠部22の上部とボデー側部材30の下部とは互いに交差する方向を向き、ガーニッシュ部材20とボデー側部材30とは見切り部分において角状に接続されるといい得る。このため、意匠部22とボデー側部材30との境界にある凸状取付部25および凹状取付部35は、当該角の奥に隠される。このことによっても、ガーニッシュ部材20とボデー側部材30との見切り部分の意匠性が向上する。
【0068】
なお、実施例1の車両用カメラユニット1における凹状取付部35は後方および下方に開口する溝状をなすが、本発明の車両用カメラユニット1における凹状取付部35はこの形状に限定されない。
例えば、図5に示すように、凹状取付部35は、後方に開口しかつ下方は閉じた溝状をなしても良い。この場合には、凹状取付部35と凸状取付部25とが安定的に係合し、ガーニッシュ部材20とボデー側部材30との実質的な見切り部分を、凹状取付部35の溝内に信頼性高く隠し得る。よって、この場合にも、ボデー側部材30と意匠部22との見切り部分の意匠性が向上する。
【0069】
本発明は、上記し且つ図面に示した実施形態にのみ限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。また、実施形態を含む本明細書に示した各構成要素は、それぞれ任意に抽出し組み合わせて実施できる。
【符号の説明】
【0070】
1:車両用カメラユニット 11:バックカメラ
12:レンズ 13:バックカメラの下部
15:バックドアのハンドル 20:ガーニッシュ部材
21:透過部 21s:透過面
22:意匠部 22s:意匠面
25:凸状取付部 30:ボデー側部材
35:凹状取付部 90:車両
91:バックドア
図1
図2
図3
図4
図5