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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-04
(45)【発行日】2023-09-12
(54)【発明の名称】産業車両の衝撃抑制装置
(51)【国際特許分類】
   B66F 9/22 20060101AFI20230905BHJP
   F15B 11/02 20060101ALI20230905BHJP
   F15B 11/00 20060101ALI20230905BHJP
   F15B 11/04 20060101ALI20230905BHJP
   F16F 9/19 20060101ALI20230905BHJP
   F16F 9/32 20060101ALI20230905BHJP
   F16F 9/46 20060101ALI20230905BHJP
   F16F 15/02 20060101ALI20230905BHJP
   F16F 15/027 20060101ALI20230905BHJP
【FI】
B66F9/22 T
B66F9/22 X
F15B11/02 V
F15B11/00 V
F15B11/04 J
F16F9/19
F16F9/32 T
F16F9/46
F16F15/02 B
F16F15/027
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020127657
(22)【出願日】2020-07-28
(65)【公開番号】P2022024841
(43)【公開日】2022-02-09
【審査請求日】2022-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】近藤 英介
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-112516(JP,A)
【文献】特開2007-162387(JP,A)
【文献】特開2005-119784(JP,A)
【文献】特開2018-185015(JP,A)
【文献】特開2007-238301(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0075750(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 9/00-11/04
F15B 11/02
F15B 11/00
F15B 11/04
F16F 9/19
F16F 9/32
F16F 9/46
F16F 15/02
F16F 15/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積載物を積載する積載部を備える車体と、
ボトム室を有し、当該ボトム室に導入された作動油圧に応じて前記積載部を昇降するリフトシリンダと、
前記ボトム室に対して給排油路を介して接続された油タンクと、
作動油が導入されることに応じて容積が変化するアキュムレータ油圧室を備えるアキュムレータと、
前記給排油路から分岐して前記アキュムレータ油圧室に接続される接続油路と、
前記接続油路を開いて前記ボトム室と前記アキュムレータ油圧室を連通させる開位置と、前記接続油路を遮断して前記ボトム室と前記アキュムレータ油圧室を非連通とする閉位置とを取り得る切換弁と、
前記切換弁の切り換えを制御する制御装置と、
前記制御装置と信号接続され、前記リフトシリンダを操作するための操作部材と、を備え、
前記制御装置は、前記操作部材の中立位置では前記切換弁を前記開位置に切り換えており、
前記制御装置は、前記中立位置にある前記操作部材の操作開始から当該操作が行われている間に前記切換弁を前記閉位置に切り換えるとともに、
前記制御装置は、前記操作部材の操作停止の後の時点であって、前記積載部の昇降停止に伴って生じる前記ボトム室の前記作動油圧の変動が収束する収束時点に前記切換弁を前記開位置に切り換えることを特徴とする産業車両の衝撃抑制装置。
【請求項2】
前記収束時点は、前記操作部材の操作停止時点から、前記積載部の昇降停止に伴って生じる前記作動油圧の振幅が収束するまでに要する待機時間が経過した時点である請求項1に記載の産業車両の衝撃抑制装置。
【請求項3】
前記ボトム室の前記作動油圧を計測するリフトシリンダ用圧力センサを備え、前記制御装置は前記リフトシリンダ用圧力センサによって計測される前記作動油圧を取得し、前記収束時点は、前記リフトシリンダ用圧力センサから取得した前記作動油圧が閾値未満になった時点である請求項1に記載の産業車両の衝撃抑制装置。
【請求項4】
前記積載部の加速度を検出する加速度センサを備え、前記制御装置は前記加速度センサによって計測される加速度を取得し、前記収束時点は、前記加速度センサから取得した前記加速度が閾値未満になった時点である請求項1に記載の産業車両の衝撃抑制装置。
【請求項5】
前記積載部を上昇させる場合、前記制御装置は、前記中立位置からの前記操作部材の操作開始時点よりも後であり、かつ操作停止時点よりも前に設定される準備完了時点に前記切換弁を前記閉位置に切り換え、
前記準備完了時点は、前記操作開始時点の後に、前記ボトム室の作動油圧と前記アキュムレータ油圧室の作動油圧とが均衡する時点である請求項1~請求項4のうちいずれか一項に記載の産業車両の衝撃抑制装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アキュムレータを備える産業車両の衝撃抑制装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、フォークリフトにおいては、凹凸面等を走行した際に、積載部としてのフォークに積載された積載物が沈むと、リフトシリンダのボトム室において、作動油がピストンによって急激に圧縮される。すると、作動油圧が急激に上昇して、積載物に大きな衝撃が生じることがある。このような大きな衝撃が発生することを抑制するために、リフトシリンダのボトム室にアキュムレータを接続することが提案されている。
【0003】
アキュムレータは、リフトシリンダから作動油が導入されるアキュムレータ油圧室と、アキュムレータ油圧室と区画されたアキュムレータガス室とを備える。そして、フォークに積載された積載物が沈んだとき、リフトシリンダのボトム室から作動油が押し出され、押し出された作動油はアキュムレータ油圧室に導入される。このとき、アキュムレータにおいて、アキュムレータガス室のガスが圧縮されることにより、作動油圧は緩やかに上昇し、積載物に大きな衝撃が発生することが抑制される。
【0004】
また、リフトシリンダのボトム室とアキュムレータ油圧室とは、ボトム室に作動油を供給するための給排油路から分岐する接続油路によって接続されている。接続油路には流量制御弁が設けられている(例えば、特許文献1参照)。流量制御弁は可変オリフィスを備える。可変オリフィスにより、ボトム室からアキュムレータ油圧室への作動油の流れは抵抗なく流し、アキュムレータ油圧室からボトム室への流れは可変オリフィスにより抵抗を与え、ボトム室の圧力変動を低減させる。
【0005】
したがって、特許文献1においては、上昇位置に保持された積載物を下降させるときや、上昇中に停止させるときなど、可変オリフィスにより、ボトム室の圧力が急激に低下する場合の圧力降下の速度が緩和される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2003-201098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、フォークの上昇中の急停止、及び下降中の急停止の際は、積載物に作用する慣性力を原因としてボトム室とアキュムレータ油圧室との間で作動油の往来が繰り返されてしまい、アキュムレータを備えることを原因としてフォークの浮き沈みが増大してしまう。
【0008】
本発明の目的は、操作停止時の積載部の浮き沈みの増大を抑制できる産業車両の衝撃抑制装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記問題点を解決するための産業車両の衝撃抑制装置は、積載物を積載する積載部を備える車体と、ボトム室を有し、当該ボトム室に導入された作動油圧に応じて前記積載部を昇降するリフトシリンダと、前記ボトム室に対して給排油路を介して接続された油タンクと、作動油が導入されることに応じて容積が変化するアキュムレータ油圧室を備えるアキュムレータと、前記給排油路から分岐して前記アキュムレータ油圧室に接続される接続油路と、前記接続油路を開いて前記ボトム室と前記アキュムレータ油圧室を連通させる開位置と、前記接続油路を遮断して前記ボトム室と前記アキュムレータ油圧室を非連通とする閉位置とを取り得る切換弁と、前記切換弁の切り換えを制御する制御装置と、前記制御装置と信号接続され、前記リフトシリンダを操作するための操作部材と、を備え、前記制御装置は、前記操作部材の中立位置では前記切換弁を前記開位置に切り換えており、前記制御装置は、前記中立位置にある前記操作部材の操作開始から当該操作が行われている間に前記切換弁を前記閉位置に切り換えるとともに、前記制御装置は、前記操作部材の操作停止の後の時点であって、前記積載部の昇降停止に伴って生じる前記ボトム室の前記作動油圧の変動が収束する収束時点に前記切換弁を前記開位置に切り換えることを要旨とする。
【0010】
これによれば、操作部材の操作停止によって積載部の昇降が停止すると積載物に慣性力が作用する。この慣性力を原因とした作動油圧の振幅がボトム室の作動油に発生する。しかし、作動油圧の振幅が収束する収束時点までは切換弁は閉位置にあり、ボトム室とアキュムレータ油圧室との間が遮断されている。このため、積載部の昇降停止時点から収束時点まではボトム室とアキュムレータ油圧室との間での作動油の往来が阻止されている。そして、作動油圧の振幅が収束した収束時点で、制御装置は切換弁を開位置に切り換える。このため、操作部材の操作停止時の積載部の浮き沈みの増大することを抑制できる。
【0011】
産業車両の衝撃抑制装置について、前記収束時点は、前記操作部材の操作停止時点から、前記積載部の昇降停止に伴って生じる前記作動油圧の振幅が収束するまでに要する待機時間が経過した時点であってもよい。
【0012】
これによれば、作動油圧の振幅が収束した時点を時間経過によって把握できるため、制御装置の制御負荷を抑えることができる。
産業車両の衝撃抑制装置について、前記ボトム室の前記作動油圧を計測するリフトシリンダ用圧力センサを備え、前記制御装置は前記リフトシリンダ用圧力センサによって計測される前記作動油圧を取得し、前記収束時点は、前記リフトシリンダ用圧力センサから取得した前記作動油圧が閾値未満になった時点であってもよい。
【0013】
これによれば、リフトシリンダ用圧力センサにより、ボトム室の作動油圧を実測できるため、作動油圧の振幅が収束したか否かを的確に判定できる。
産業車両の衝撃抑制装置について、前記積載部の加速度を検出する加速度センサを備え、前記制御装置は前記加速度センサによって計測される加速度を取得し、前記収束時点は、前記加速度センサから取得した前記加速度が閾値未満になった時点であってもよい。
【0014】
これによれば、加速度センサにより、ボトム室の作動油圧を間接的に計測できるため、作動油圧の振幅が収束したか否かを判定できる。
産業車両の衝撃抑制装置について、前記積載部を上昇させる場合、前記制御装置は、前記中立位置からの前記操作部材の操作開始時点よりも後であり、かつ操作停止時点よりも前に設定される準備完了時点に前記切換弁を前記閉位置に切り換え、前記準備完了時点は、前記操作開始時点の後に、前記ボトム室の作動油圧と前記アキュムレータ油圧室の作動油圧とが均衡する時点であってもよい。
【0015】
これによれば、準備完了時点までに、ボトム室の作動油圧とアキュムレータ油圧室の作動油圧を均衡させることができる。このため、操作停止後の収束時点に切換弁が開位置に切り換えられたとき、例えば、ボトム室の作動油がアキュムレータ油圧室に急激に流入することを抑制できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、操作停止時の積載部の浮き沈みの増大を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態のフォークリフトを示す側面図。
図2】衝撃抑制機能を発揮する状態の衝撃抑制装置を示す図。
図3】フォーク上昇時に切換弁が開位置とされている衝撃抑制装置を示す図。
図4】準備完了時点の衝撃抑制装置を示す図。
図5】上昇操作停止時点の衝撃抑制装置を示す図。
図6】(a)は上昇時のリフト操作レバーと弁位置との関係を示すグラフ、(b)はフォーク高さと作動油圧との関係を示すグラフ。
図7】上昇用収束時点の衝撃抑制装置を示す図。
図8】(a)は下降時のリフト操作レバーと弁位置との関係を示すグラフ、(b)はフォーク高さと作動油圧との関係を示すグラフ。
図9】下降操作開始時点の衝撃抑制装置を示す図。
図10】下降操作停止時点の衝撃抑制装置を示す図。
図11】衝撃抑制装置の別例を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、産業車両の衝撃抑制装置をフォークリフトの衝撃抑制装置に具体化した一実施形態を図1図10にしたがって説明する。
図1に示すように、産業車両としてのバッテリ式のフォークリフト11の車体12にはその前部にマスト13が立設されている。マスト13は車体12に対して前後に傾動可能に支持された左右一対のアウタマスト13aと、これらアウタマスト13aにスライドして昇降するインナマスト13bとから構成されている。各アウタマスト13aの後部にはリフトシリンダ14が配設され、リフトシリンダ14のピストンロッド14aの先端はインナマスト13bの上部に連結されている。インナマスト13bの内側には、リフトブラケット15が取り付けられている。リフトブラケット15は、フォーク15aを備える。
【0019】
図2に示すように、フォーク15aには積載物Wが積載されるため、フォーク15aは積載部を構成する。リフトシリンダ14のピストンロッド14aをシリンダチューブ14cに対して出没させると、チェーン18を介してリフトブラケット15が昇降するとともに、フォーク15aが昇降する。
【0020】
図1に示すように、車体12の上部には、運転室16が設けられている。運転室16の前部には、リフトシリンダ14を作動させてリフトブラケット15を昇降させるための操作部材としてのリフト操作レバー17が設けられている。フォークリフト11は、リフトシリンダ14を作動させる油圧装置20を備える。
【0021】
図2に示すように、油圧装置20において、リフトシリンダ14のボトム室14bには、給排油路21を介して油タンク24が接続されている。給排油路21にはコントロールバルブ22及び油圧ポンプ23が設けられている。リフトシリンダ14は、ボトム室14bに導入された作動油圧に応じてフォーク15aを昇降させる。
【0022】
コントロールバルブ22は、3位置2ポート弁である。コントロールバルブ22は、第1位置22a、第2位置22b、及び第3位置22cのいずれか1つの位置に切り換えられる。コントロールバルブ22が切り換えられることにより、給排油路21を介したボトム室14bと油タンク24との接続状態が切り換えられる。
【0023】
コントロールバルブ22が第1位置22aに切り換えられると、1つのポートでは、油圧ポンプ23とボトム室14bとが連通する。コントロールバルブ22が第1位置22aに切り換えられると、油圧ポンプ23による作動油55の圧送により、油タンク24からボトム室14bへの作動油55の供給が可能になる。もう1つのポートにおいては、ボトム室14bと油タンク24とが遮断されている。
【0024】
コントロールバルブ22が第2位置22bに切り換えられると、両方のポートにおいてボトム室14bと油タンク24とが遮断される。
コントロールバルブ22が第3位置22cに切り換えられると、1つのポートでは、油圧ポンプ23を迂回してボトム室14bと油タンク24が連通する。コントロールバルブ22が第3位置22cに切り換えられると、ボトム室14bから油タンク24への作動油55の排出が可能になる。もう1つのポートにおいては、ボトム室14bと油タンク24とが遮断されている。
【0025】
コントロールバルブ22は、制御装置60に信号接続されている。また、リフト操作レバー17は制御装置60に信号接続されている。リフト操作レバー17の操作に応じて制御装置60はコントロールバルブ22の位置を切り換える。
【0026】
フォーク15aを上昇させるために、リフト操作レバー17が上昇操作され、制御装置60がリフト操作レバー17の上昇操作を検出すると、制御装置60は、コントロールバルブ22を第1位置22aに切り換える。フォーク15aを下降させるために、リフト操作レバー17が下降操作され、制御装置60がリフト操作レバー17の下降操作を検出すると、制御装置60は、コントロールバルブ22を第3位置22cに切り換える。フォーク15aの昇降を停止させるため、リフト操作レバー17の操作が停止されるとリフト操作レバー17は中立位置に位置する。中立位置は、リフト操作レバー17の上昇操作及び下降操作のいずれも行われていない位置である。制御装置60は、リフト操作レバー17の中立位置を検出するとコントロールバルブ22を第2位置22bに切り換える。
【0027】
次に、フォークリフト11の衝撃抑制装置について説明する。
衝撃抑制装置は、アキュムレータ26と、切換弁51と、切換弁51を制御する制御装置60と、を備える。さらに、衝撃抑制装置は、給排油路21から分岐してアキュムレータ26に接続される接続油路25を備える。
【0028】
給排油路21には、接続油路25を介してアキュムレータ26が接続されている。アキュムレータ26の内部には、ピストン27が摺動可能に収容されている。ピストン27は、アキュムレータ26の内部をアキュムレータ油圧室28と、アキュムレータガス室29とに区画する。アキュムレータ油圧室28には接続油路25が接続されている。アキュムレータ油圧室28に作動油55が導入されると、アキュムレータガス室29のガスが圧縮され、アキュムレータ油圧室28に作動油圧が蓄圧される。
【0029】
接続油路25には切換弁51が接続されている。切換弁51は、制御装置60に信号接続されている。切換弁51の切り換えは制御装置60によって制御される。切換弁51は、制御装置60からの制御信号が入力されていない状態で開弁しているノーマルオープンタイプである。切換弁51は、制御装置60からの制御信号が入力されると閉弁する。
【0030】
切換弁51が開弁している状態では、給排油路21及び接続油路25を介してボトム室14bとアキュムレータ油圧室28を連通させる。以下の説明において、切換弁51が開弁している状態に位置することを開位置K1とする。切換弁51が開位置K1に切り換えられると、ボトム室14bとアキュムレータ油圧室28との間で作動油55の往来が可能になる。
【0031】
一方、制御装置60から制御信号が入力され、切換弁51が閉弁した状態では、ボトム室14bとアキュムレータ油圧室28とが遮断され、非連通とされる。以下の説明において、切換弁51が閉弁した状態に位置することを閉位置K2とする。切換弁51が閉位置K2に切り換えられると、ボトム室14bとアキュムレータ油圧室28との間での作動油55の往来は不可能になる。したがって、切換弁51は、制御装置60の制御により、開位置K1と閉位置K2に切換が可能である。なお、制御装置60は、リフト操作レバー17の中立位置を検出すると、切換弁51を開位置K1に切り換える。
【0032】
制御装置60は、RAM及びROM等からなる記憶部60bと、タイマ60cと、を備える電子制御ユニット(Electronic Control Unit)である。記憶部60bには、切換弁51を切り換えるためのプログラム等が記憶されている。制御装置60は、各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する専用のハードウェア、例えば、特定用途向け集積回路:ASICを備えていてもよい。制御装置60は、コンピュータプログラムに従って動作する1つ以上のプロセッサ、ASIC等の1つ以上の専用のハードウェア回路、あるいは、それらの組み合わせを含む回路として構成し得る。プロセッサは、CPU、並びに、RAM及びROM等のメモリを含む。記憶部60bは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。
【0033】
記憶部60b、即ち、コンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆるものを含む。記憶部60bには、準備時間UT1、上昇用待機時間UT2、及び下降用待機時間DTが記憶されている。準備時間UT1、上昇用待機時間UT2、下降用待機時間DTについては後述する。
【0034】
次に、積載物Wが載置されたフォーク15aの上昇を急停止させたときに生じる積載物Wの浮き沈みの増大を抑制するための構成について説明する。
まず、フォーク15aによって積載物Wをすくう動作を説明する。リフトブラケット15が下降し、フォーク15aが積載物Wの下側に潜り込める位置にある状態において、ボトム室14b及びアキュムレータ油圧室28は容積最小である。
【0035】
図2に示すように、リフト操作レバー17は操作されず、中立位置にある状態では、コントロールバルブ22は第2位置22bにあり閉弁状態であるとともに、切換弁51は、開位置K1にあり開弁状態である。
【0036】
積載物Wをフォーク15aで上昇させるには、積載物Wの下側にフォーク15aを入り込ませる。オペレータによってリフト操作レバー17が上昇操作され、リフトブラケット15を上昇させる操作がなされる。
【0037】
図3及び図6(a)に示すように、制御装置60は、リフト操作レバー17の上昇操作開始を検出すると、その上昇操作開始時点Ut0に、コントロールバルブ22を第1位置22aに切り換え、開弁状態とするとともに、油圧ポンプ23を駆動させる。なお、切換弁51は開位置K1のままである。
【0038】
すると、図6(b)に示すように、ボトム室14bの作動油圧が上昇する。作動油圧の上昇に伴いリフトブラケット15が上昇を開始し、フォーク15aの高さが徐々に高くなっていく。
【0039】
フォーク15aが積載物Wの下面に接触し、積載物Wの積載荷重を受け、作動油圧が上昇するに従い、油タンク24から送られた作動油55が、接続油路25を介してアキュムレータ油圧室28に導入されていくとともに、アキュムレータガス室29のガスも圧縮され、アキュムレータガス室29のガス圧が上昇する。そして、アキュムレータガス室29のガス圧が既定値まで圧縮され、アキュムレータ26に蓄圧される。このとき、ボトム室14bの作動油圧とアキュムレータ油圧室28の作動油圧が均衡状態となる。ボトム室14bとアキュムレータ油圧室28の作動油圧が均衡した時点を準備完了時点Ut1とする。
【0040】
準備完了時点Ut1は、フォーク15aを上昇させる場合において、中立位置からのリフト操作レバー17の上昇操作開始時点Ut0よりも後であり、かつ後述する上昇操作停止時点Ut2よりも前に設定される。また、準備完了時点Ut1は、上昇操作開始時点Ut0の後に、ボトム室14bとアキュムレータ油圧室28の作動油圧が均衡する時点である。
【0041】
本実施形態において、上昇操作開始時点Ut0から準備完了時点Ut1までに要する時間は実験等によって予め求められている。上昇操作開始時点Ut0から準備完了時点Ut1までに要する時間を準備時間UT1とする。したがって、上昇操作開始時点Ut0から準備時間UT1が経過すると、ボトム室14bとアキュムレータ油圧室28の作動油圧が均衡する。以下、ボトム室14bとアキュムレータ油圧室28の作動油圧が均衡したときの作動油圧を均衡油圧とする。
【0042】
準備時間UT1は、制御装置60の記憶部60bに記憶されている。制御装置60のタイマ60cは、リフト操作レバー17の上昇操作開始時点Ut0から時間計測を開始する。制御装置60は、タイマ60cによって計測された時間が準備時間UT1に到達すると、図4及び図6(a)に示すように、切換弁51を閉位置K2に切り換える。つまり、制御装置60は、上昇操作開始時点Ut0から準備時間UT1が経過した時点で切換弁51を閉位置K2に切り換える。言い換えると、制御装置60は、上昇操作開始時点Ut0の後、リフト操作レバー17を上昇操作している間に、切換弁51を開位置K1から閉位置K2に切り換える。なお、コントロールバルブ22は第1位置22aのままである。
【0043】
すると、ボトム室14bとアキュムレータ油圧室28の作動油圧が均衡した状態で、ボトム室14bとアキュムレータ油圧室28との連通が遮断される。このため、ボトム室14bとアキュムレータ油圧室28の間での作動油55の往来が不可能になり、均衡油圧に保持される。
【0044】
リフト操作レバー17の上昇操作開始時点Ut0から準備時間UT1が経過した後も、リフト操作レバー17の上昇操作が継続され、フォーク15aが上昇している間は、切換弁51は閉位置K2に維持される。このため、ボトム室14bとアキュムレータ油圧室28とは遮断された状態が維持され、ボトム室14bとアキュムレータ油圧室28の作動油圧は均衡油圧に維持される。また、コントロールバルブ22は、第1位置22aに維持され、開弁状態に維持される。このため、作動油55は、油圧ポンプ23によってボトム室14bに圧送されている。
【0045】
そして、リフト操作レバー17の上昇操作が停止される。
図5及び図6(a)に示すように、制御装置60は、リフト操作レバー17の上昇操作停止を検出すると、その上昇操作停止時点Ut2に、コントロールバルブ22を第1位置22aから第2位置22bに切り換え、コントロールバルブ22を閉弁状態とする。すると、油圧ポンプ23からボトム室14bへの作動油55の圧送が停止され、リフトブラケット15の昇降が停止される。
【0046】
リフトブラケット15の上昇が停止されると、慣性力により積載物Wに上向きの力が作用し、上向きの力が作用したことによりボトム室14bの作動油圧が低下する。その後、重力により積載物Wが落下すると、リフトブラケット15が下方へ押圧され、ボトム室14bの作動油55が圧縮される。すると、ボトム室14bの作動油圧が上昇する。積載物Wの上下動が収束するまでボトム室14bの作動油圧の低下及び上昇が繰り返される。
【0047】
積載物Wの上下動は、フォーク15aの上昇を停止した直後が最も大きく、積載物Wの上下動は時間の経過とともに徐々に小さくなっていき、最後に収束する。図6(b)に示すように、積載物Wの上下動と同様に、作動油圧の振幅は、フォーク15aの上昇を停止した直後が最も大きく、時間の経過とともに徐々に小さくなっていき、収束する。作動油圧の振幅が大きいほど、作動油圧の変動が大きく、積載物Wの上下方向への変位が大きい。
【0048】
積載物Wの上下動が収束すると、ボトム室14bの作動油圧の振幅も収束し、均衡油圧に近似する。本実施形態では、作動油圧の振幅が収束する時点を上昇用収束時点Ut3とする。上昇用収束時点Ut3とは、作動油圧の振幅が、最大振幅の5~15%の範囲まで小さくなった時点である。その後、作動油圧は、均衡油圧となり、変動が収まる。
【0049】
本実施形態において、上昇操作停止時点Ut2から上昇用収束時点Ut3までに要する時間は実験等によって予め求められている。上昇操作停止時点Ut2から上昇用収束時点Ut3までに要する時間を上昇用待機時間UT2とする。したがって、上昇操作停止時点Ut2から上昇用待機時間UT2が経過すると、作動油圧の変動が収束する。
【0050】
上昇用待機時間UT2は、制御装置60の記憶部60bに記憶されている。制御装置60のタイマ60cは、リフト操作レバー17の上昇操作停止時点Ut2からの経過時間を計測する。制御装置60は、タイマ60cによって計測された経過時間が上昇用待機時間UT2に到達すると、切換弁51を開位置K1に切り換える。
【0051】
つまり、制御装置60は、上昇操作停止時点Ut2から上昇用待機時間UT2が経過した時点で切換弁51を開位置K1に切り換える。すると、ボトム室14bとアキュムレータ油圧室28の作動油圧の変動が収束した状態で、ボトム室14bとアキュムレータ油圧室28とが連通される。
【0052】
次に、積載物Wが載置されたフォーク15aの下降を急停止させたときに生じる積載物Wの浮き沈みの増大を抑制するための構成について説明する。
図7及び図8(a)に示すように、リフト操作レバー17が中立位置にあり、フォーク15aが上昇位置に保持されている状態では、ボトム室14bとアキュムレータ油圧室28の作動油圧は均衡し、均衡油圧に保持されている。また、コントロールバルブ22は、第2位置22bに位置し、閉弁状態とされている。また、切換弁51は開位置K1に位置する。
【0053】
積載物Wを下降させるため、オペレータによってリフト操作レバー17が下降操作され、リフトブラケット15を下降させる操作がなされる。
図8(a)及び図9に示すように、制御装置60は、リフト操作レバー17の下降操作開始を検出すると、その下降操作開始時点Dt0に、コントロールバルブ22を第3位置22cに切り換え、開弁状態とするとともに、切換弁51を閉位置K2に切り換える。すると、ボトム室14bから給排油路21に作動油が排出される。ボトム室14bから排出された作動油は油タンク24に排出される。
【0054】
ボトム室14bから作動油が排出されると、リフトブラケット15が下降を開始し、フォーク15aの高さが徐々に低くなっていく。リフト操作レバー17の下降操作開始時点Dt0の後、リフト操作レバー17が下降操作され、リフトブラケット15が下降している間は、切換弁51は閉位置K2に維持される。つまり、ボトム室14bとアキュムレータ油圧室28との連通が遮断される。このため、ボトム室14bとアキュムレータ油圧室28とは遮断された状態が維持され、ボトム室14bとアキュムレータ油圧室28との間での作動油圧の往来は不可能となる。また、コントロールバルブ22は、第3位置22cに維持され、開弁状態に維持される。このため、作動油55は、ボトム室14bから油タンク24に排出されている。
【0055】
そして、リフト操作レバー17の下降操作が停止される。
図8(a)及び図10に示すように、制御装置60は、リフト操作レバー17の下降操作停止を検出すると、その下降操作停止時点Dt1に、コントロールバルブ22を第3位置22cから第2位置22bに切り換え、コントロールバルブ22を閉弁状態とする。すると、ボトム室14bから油タンク24への作動油55の排出が停止され、リフトブラケット15の下降が停止される。
【0056】
リフトブラケット15の下降が停止されると、慣性力により積載物Wに下向きの力が作用し、下向きの力が作用したことによりボトム室14bの作動油圧が圧縮され、上昇する。その後、圧縮された作動油圧が膨張する。すると、ボトム室14bの作動油圧が低下する。積載物Wの上下動が収束するまでボトム室14bの作動油圧の低下及び上昇が繰り返される。積載物Wの上下動は、リフトブラケット15の下降を停止した直後が最も大きく、積載物Wの上下動は時間の経過とともに徐々に小さくなっていき、最後に収束する。
【0057】
図8(b)に示すように、積載物Wの上下動と同様に、ボトム室14bの作動油圧の振幅は、リフトブラケット15の下降を停止した直後が最も大きく、時間の経過とともに作動油圧の振幅は徐々に小さくなっていき、収束する。作動油圧の振幅が大きいほど、積載物Wの上下方向への変位が大きい。
【0058】
積載物Wの上下動が収束すると、ボトム室14bの作動油圧の振幅も収束し、均衡油圧に近似する。本実施形態では、作動油圧の振幅が収束する時点を下降用収束時点Dt2とする。下降用収束時点Dt2とは、作動油圧の振幅が、最大振幅の5~15%の範囲まで小さくなった時点である。その後、作動油圧は、均衡油圧となり、振幅が収まる。
【0059】
本実施形態において、下降操作停止時点Dt1から下降用収束時点Dt2までに要する時間は実験等によって予め求められている。下降操作停止時点Dt1から下降用収束時点Dt2までに要する時間を下降用待機時間DTとする。したがって、下降操作停止時点Dt1から下降用待機時間DTが経過すると、作動油圧の振幅が収束する。
【0060】
下降用待機時間DTは、制御装置60の記憶部60bに記憶されている。制御装置60のタイマ60cは、リフト操作レバー17の下降操作停止時点Dt1からの経過時間を計測する。制御装置60は、タイマ60cによって計測された経過時間が下降用待機時間DTに到達すると、切換弁51を開位置K1に切り換える。
【0061】
つまり、制御装置60は、下降操作停止時点Dt1から下降用待機時間DTが経過した時点で切換弁51を開位置K1に切り換える。すると、ボトム室14bとアキュムレータ油圧室28の作動油圧の変動が収束した状態で、ボトム室14bとアキュムレータ油圧室28とが連通される。
【0062】
次に、衝撃抑制装置の作用を説明する。
図7に示すように、リフトブラケット15が上昇位置に保持された状態でフォークリフト11が走行するとき、コントロールバルブ22は第2位置22bにある。また、切換弁51は開位置K1にある。
【0063】
フォークリフト11の走行時、凹凸面に乗り上げると、フォーク15aの積載物Wが沈み込む。すると、リフトシリンダ14のボトム室14bの作動油55が押し出され、押し出された作動油55は、接続油路25に流れ込む。このとき、切換弁51が開位置K1にあるため、ボトム室14bから押し出された作動油55は、切換弁51を介してアキュムレータ油圧室28に導入される。アキュムレータ油圧室28に作動油55が導入されるのに伴い、アキュムレータガス室29のガスが圧縮され、作動油圧は緩やかに上昇する。その結果、積載物Wに衝撃が発生することで抑制される。
【0064】
さて、フォークリフト11の走行停止時、フォーク15aに積載物Wの載置された状態で、フォーク15aを上昇させる際、上昇操作開始時点Ut0から準備時間UT1が経過するまでは、切換弁51は開位置K1に位置し、準備時間UT1の経過時点にボトム室14bとアキュムレータ油圧室28が均衡する。
【0065】
そして、準備時間UT1の経過後に、制御装置60は切換弁51を閉位置K2に切り換えるため、リフト操作レバー17の上昇操作中は、ボトム室14bとアキュムレータ油圧室28の連通は遮断される。その後、フォーク15aの上昇を急停止させたとき、閉位置K2に位置する切換弁51により、ボトム室14bからアキュムレータ油圧室28への作動油55の流入が抑制される。上昇操作停止時点Ut2から上昇用待機時間UT2が経過すると、制御装置60は、切換弁51を開位置K1に切り換える。つまり、急停止に伴う積載物Wの浮き沈みが収束し、作動油55の変動が収束した時点で切換弁51が開位置K1に切り換えられる。
【0066】
また、フォークリフト11の走行停止時、フォーク15aに積載物Wの載置された状態で、フォーク15aを下降させる際、制御装置60は切換弁51を閉位置K2に切り換えるため、リフト操作レバー17の下降操作中は、ボトム室14bとアキュムレータ油圧室28の連通は遮断される。その後、フォーク15aの下降を急停止させたとき、切換弁51は閉位置K2に位置し、下降操作停止時点Dt1から下降用待機時間DTが経過すると、制御装置60は、切換弁51を開位置K1に切り換える。つまり、急停止に伴う積載物Wの浮き沈みが収束し、作動油55の変動が収束した時点で切換弁51が開位置K1に切り換えられる。
【0067】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)フォーク15aの昇降を急停止させた際、制御装置60は、操作停止時点から待機時間UT2,DTが経過するまで切換弁51を閉位置K2に位置させる。閉位置K2にある切換弁51によってボトム室14bとアキュムレータ油圧室28との間が遮断され、作動油55の往来が阻止される。作動油圧の振幅が収束した収束時点Ut3,Dt2に、制御装置60は切換弁51を開位置K1に切り換える。このため、フォーク15aの昇降を急停止させた際に、ボトム室14bとアキュムレータ油圧室28との間での作動油55の往来を原因としたフォーク15aの浮き沈みの増大が抑制される。
【0068】
(2)制御装置60は、上昇操作開始時点Ut0から準備時間UT1が経過すると、切換弁51を閉位置K2に切り換える。このため、準備時間UT1の間は、切換弁51は開位置K1に維持され、ボトム室14bとアキュムレータ油圧室28を連通させてボトム室14bの作動油圧とアキュムレータ油圧室28の作動油圧を均衡させることができる。その後、リフト操作レバー17の操作が停止され、切換弁51が開位置K1に切り換えられたとき、ボトム室14bとアキュムレータ油圧室28との差圧を原因として低圧側に作動油55が急激に流入することを抑制できる。
【0069】
(3)フォーク15aの上昇時において、上昇用収束時点Ut3を上昇操作停止時点Ut2から上昇用待機時間UT2が経過した時点とした。また、フォーク15aの下降時において、下降用収束時点Dt2を下降操作停止時点Dt1から下降用待機時間DTが経過した時点とした。このため、作動油圧の振幅が収束した時点を時間経過によって把握できるため、制御装置60の制御負荷を抑えることができる。
【0070】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
○ 切換弁51はノーマルクローズタイプでもよい。この場合、制御装置60から切換弁51に出力される制御信号は、ノーマルオープンタイプの場合と逆になる。
【0071】
図11に示すように、給排油路21にボトム室14bの作動油圧を検出するリフトシリンダ用圧力センサ31を配置するとともに、接続油路25にアキュムレータ油圧室28の作動油圧を検出するアキュムレータ用圧力センサ32を配置する。リフトシリンダ用圧力センサ31及びアキュムレータ用圧力センサ32は、制御装置60に信号接続されている。制御装置60は、リフトシリンダ用圧力センサ31によって検出されたボトム室14bの作動油圧を取得する。また、制御装置60は、アキュムレータ用圧力センサ32によって検出されたアキュムレータ油圧室28の作動油圧を取得する。
【0072】
作動油圧の振幅が収束する収束時点を、リフトシリンダ用圧力センサ31から取得した作動油圧が予め定めた閾値未満になった時点としてもよい。
これによれば、リフトシリンダ用圧力センサ31により、ボトム室14bの作動油圧を実測できるため、作動油圧の振幅が収束したか否かを的確に判定できる。
【0073】
図11に示す形態において、フォーク15aの上昇操作時、制御装置60は、リフトシリンダ用圧力センサ31から取得した作動油圧の振幅の変動幅がほぼ一定となった時点を、準備完了時点Ut1としてもよい。
【0074】
図11に示す形態において、フォーク15aの上昇操作時、制御装置60はリフトシリンダ用圧力センサ31から取得した作動油圧と、アキュムレータ用圧力センサ32から取得した作動油圧の差が閾値未満になるまで近似した時点を、準備完了時点Ut1としてもよい。
【0075】
図11に示すように、リフトブラケット15に加速度センサ33を設け、制御装置60は、加速度センサ33によって検出された加速度を取得する。そして、作動油圧の振幅が収束する収束時点を、加速度センサ33から取得した加速度が閾値未満になった時点としてもよい。
【0076】
フォーク15aの昇降が停止されると、フォーク15aの昇降停止時点は加速度が大きく、時間が経過するに従い加速度は徐々に小さくなっていく。そして、加速度が小さくなれば、ボトム室14bの作動油圧の振幅も小さくなる。したがって、加速度センサ33により、ボトム室14bの作動油圧を間接的に計測できるため、作動油圧の振幅が収束したか否かを判定できる。
【0077】
○ アキュムレータ26は、アキュムレータ油圧室28とアキュムレータガス室29とをゴム製の隔壁で隔てたブラダ形や、ダイヤフラム型、金属ベローズ型であってもよい。
○ 積載部は、フォーク15a以外でもよく、例えば建設機械のショベルであってもよい。
【0078】
○ 操作部材は、リフト操作レバー17以外の操作スイッチであってもよい。
○ 産業車両は、エンジン式のフォークリフトであってもよい。
【符号の説明】
【0079】
Dt0…下降操作開始時点、Dt1…下降操作停止時点、Dt2…下降用収束時点、DT…下降用待機時間、K1…開位置、K2…閉位置、Ut0…上昇操作開始時点、Ut1…準備完了時点、Ut2…上昇操作停止時点、Ut3…上昇用収束時点、UT2…上昇用待機時間、W…積載物、11…産業車両としてのフォークリフト、12…車体、14…リフトシリンダ、14b…ボトム室、15a…積載部としてのフォーク、17…操作部材としてのリフト操作レバー、21…給排油路、24…油タンク、25…接続油路、26…アキュムレータ、28…アキュムレータ油圧室、31…リフトシリンダ用圧力センサ、33…加速度センサ、51…切換弁、55…作動油、60…制御装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11