(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-04
(45)【発行日】2023-09-12
(54)【発明の名称】中留、バンド及びリスト機器
(51)【国際特許分類】
A44C 5/18 20060101AFI20230905BHJP
【FI】
A44C5/18 G
(21)【出願番号】P 2021014781
(22)【出願日】2021-02-02
【審査請求日】2022-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 堅士
【審査官】遠藤 邦喜
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3143552(JP,U)
【文献】実開昭55-098221(JP,U)
【文献】特表2001-507605(JP,A)
【文献】国際公開第1998/030123(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第1248889(CN,A)
【文献】特開2005-040159(JP,A)
【文献】米国特許第5870803(US,A)
【文献】登録実用新案第3001890(JP,U)
【文献】実開昭57-146519(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A44C 5/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バンドを連結させる中留であって、
上面部と、前記上面部のバンド幅方向における両側部に配置される側面部と、を有するカバー部材と、
一端側がバンド幅方向に設けられた第1の軸に回動可能に軸支され、上方から前記カバー部材の少なくとも一部を覆うロック状態と、前記カバー部材と重なり合わない解除状態とを取り得
て、他端側に穴部が形成されるロック部材と、
を備え、
前記カバー部材の側面部には、
前記ロック部材を前記第1の軸周りに回動した際に、前記ロック部材の側面部と前記カバー部材の側面部との間に介在し、前記ロック部材の側面部と前記カバー部材の側面部との面接触を回避させる、第1の凸部と、
第2の凸部と、
が設けられ、
前記第1の凸部は、前記第2の凸部よりも外側への突出量が少な
く、
前記ロック部材の前記穴部は、前記ロック状態において前記第2の凸部を係止させる
ことを特徴とする中留。
【請求項2】
前記穴部は、前記ロック部材の両側部
に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の中留。
【請求項3】
バンドを連結させる中留であって、
上面部と、前記上面部のバンド幅方向における両側部に配置される側面部と、を有するカバー部材と、
バンド幅方向に設けられた第1の軸に回動可能に軸支され、上方から前記カバー部材の少なくとも一部を覆うロック状態と、前記カバー部材と重なり合わない解除状態とを取り得るロック部材と、
を備え、
前記カバー部材の側面部には、
前記ロック部材を前記第1の軸周りに回動した際に、前記ロック部材の側面部と前記カバー部材の側面部との間に介在し、前記ロック部材の側面部と前記カバー部材の側面部との面接触を回避させる、第1の凸部と、
第2の凸部と、
が設けられ、
前記第1の凸部は、
前記第2の凸部よりも外側への突出量が少なく、
前記ロック部材が前記ロック状態を取った際に、前記ロック部材の側面部と前記カバー部材の側面部との間に介在して、前記ロック部材の側面部と前記カバー部材の側面部との面接触を回避させる
ことを特徴とする中留。
【請求項4】
前記カバー部材に設けられた第2の軸は、両端部が前記カバー部材の側面部から外側に突出し、
前記第2の軸の突出した両端部が前記第1の凸部を構成することを特徴とする請求項1
から請求項
3のいずれか一項に記載の中留。
【請求項5】
前記第1の凸部は、前記ロック状態において前記ロック部材の側部内側面に当接することを特徴とする請求項1から請求項
4のいずれか一項に記載の中留。
【請求項6】
前記ロック部材の両側部であって、前記第1の凸部に対応する位置には、前記第1の凸部を導入させるための凹部が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項
5のいずれか一項に記載の中留。
【請求項7】
前記
穴部は、凹部であることを特徴とする請求項1
又は請求項
2に記載の中留。
【請求項8】
折り畳み可能に構成された下板及び中板を備え、折り畳み状態において前記下板及び中板が前記カバー部材の下方に重なり合う折り畳み部と、
前記折り畳み部を前記折り畳み状態に維持させる係止部材と、
を備え、
前記折り畳み部は、前記第2の軸を介して前記カバー部材に対して回動可能に連結されていることを特徴とする請求項
4に記載の中留。
【請求項9】
請求項1から請求項
8のいずれか一項に記載の中留を備え、
前記中留によって連結されることを特徴とするバンド。
【請求項10】
請求項
9に記載のバンドと、
装置本体と、
を備えることを特徴とするリスト機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中留、バンド及びリスト機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、腕時計等のリスト機器に設けられるバンドの連結部に適用される中留として、カバー部材等を備える三つ折れ方式の中留が知られている。
このような三つ折れ方式の中留では、三つ折れ部分の折り畳み状態を維持させる係止ユニット(例えば、プッシュボタンユニット)を備えるが、係止ユニットが外部からの衝撃や誤操作等で解除状態となると、意図せず中留が外れてバンドの連結が解かれてしまうおそれがある。
【0003】
この点、例えば特許文献1には、カバー部材(特許文献1において、上箱)の上面に当接するロックカバー(特許文献1において、ロック部材)を備え、カバー部材に当接した状態のときに、ロックカバーが係止ユニットを覆い隠して、係止ユニットへの外部からの衝撃や誤操作等を防ぐダブルロック方式の中留が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、中留の組立時やユーザがバンドを着脱するためにロックカバーの開閉操作をした際、中留の外観面を構成するカバー部材の側面にロックカバーの側面が摺接する。
このような面同士の摺接が繰り返されると、中留の外観に現れる面であるカバー部材の側面に傷が発生し中留の外観品質を損なうおそれがある。
傷を防止するために保護テープを巻く等の手法も考えられるが、手間がかかり作業の工数も増えてコストが増大する。
【0006】
また、操作時等に捩じれ方向の力が中留部分に加わるとロックカバーが外れてしまうおそれもある。
【0007】
本発明は以上のような事情に鑑みてなされたものであり、ロックカバーの開閉操作による中留外観面への傷発生を防止することのできる中留、バンド及びリスト機器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明に係る一の中留は、
バンドを連結させる中留であって、
上面部と、前記上面部のバンド幅方向における両側部に配置される側面部と、を有するカバー部材と、
一端側がバンド幅方向に設けられた第1の軸に回動可能に軸支され、上方から前記カバー部材の少なくとも一部を覆うロック状態と、前記カバー部材と重なり合わない解除状態とを取り得て、他端側に穴部が形成されるロック部材と、
を備え、
前記カバー部材の側面部には、
前記ロック部材を前記第1の軸周りに回動した際に、前記ロック部材の側面部と前記カバー部材の側面部との間に介在し、前記ロック部材の側面部と前記カバー部材の側面部との面接触を回避させる、第1の凸部と、
第2の凸部と、
が設けられ、
前記第1の凸部は、前記第2の凸部よりも外側への突出量が少なく、
前記ロック部材の前記穴部は、前記ロック状態において前記第2の凸部を係止させる
ことを特徴としている。
本発明に係る他の中留は、
バンドを連結させる中留であって、
上面部と、前記上面部のバンド幅方向における両側部に配置される側面部と、を有するカバー部材と、
バンド幅方向に設けられた第1の軸に回動可能に軸支され、上方から前記カバー部材の少なくとも一部を覆うロック状態と、前記カバー部材と重なり合わない解除状態とを取り得るロック部材と、
を備え、
前記カバー部材の側面部には、
前記ロック部材を前記第1の軸周りに回動した際に、前記ロック部材の側面部と前記カバー部材の側面部との間に介在し、前記ロック部材の側面部と前記カバー部材の側面部との面接触を回避させる、第1の凸部と、
第2の凸部と、
が設けられ、
前記第1の凸部は、
前記第2の凸部よりも外側への突出量が少なく
前記ロック部材が前記ロック状態を取った際に、前記ロック部材の側面部と前記カバー部材の側面部との間に介在して、前記ロック部材の側面部と前記カバー部材の側面部との面接触を回避させる
ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ロックカバーの開閉操作による中留外観面への傷発生を防止することのできる中留及びこれを備えるバンド、リスト機器を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態における中留が適用されたバンドを備える腕時計の外観斜視図である。
【
図2】本実施形態における中留の分解斜視図である。
【
図3】ロックカバーが解除状態となった中留を表面側から見た斜視図である。
【
図4】ロックカバーが解除状態となった中留を裏面側から見た斜視図である。
【
図5】ロックカバーが解除状態となった中留を表面側から見た平面図である。
【
図6】ロックカバーがロック状態となった中留を表面側から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1から
図6を参照しつつ、本発明に係る中留とこの中留を有するバンド、及びバンドを備えるリスト機器の一実施形態について説明する。
なお、以下に述べる実施形態では中留を有するバンドが装置本体としての時計本体に取り付けられる時計バンドであり、リスト機器が腕時計である場合を例として説明する。また、以下の実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0012】
図1は、本実施形態における中留が適用されたバンドを備える腕時計を視認側から見た斜視図である。
図1に示すように、腕時計100は、後述する中留10を備えるバンド1と、このバンド1が取り付けられる時計本体2と、を備えている。
時計本体2は、本体ケース21を備えている。本体ケース21の側部には、操作ボタン22が設けられており、本体ケース21の表側(視認側)には透明なガラス等で形成された風防部材23が設けられている。
また、本体ケース21内には、図示しない時計モジュールや時計モジュールによって動作する各種の表示装置等が収容されている。
【0013】
また、本体ケース21の上下(アナログ方式の時計における12時側と6時側、
図1における上下)には、バンド取付部25が設けられている。
本体ケース21の下側(アナログ方式の時計における6時側、
図1における下側)に設けられているバンド取付部25には、第1のバンド1aの一端側が取り付けられている。
また本体ケース21の上側(アナログ方式の時計における12時側、
図1における上側)に設けられているバンド取付部25には、第2のバンド1bの一端側が取り付けられている。
【0014】
本実施形態では、第1のバンド1aと第2のバンド1bとが、中留10によって連結されて、バンド1が構成されている。
【0015】
本実施形態において、バンド1(第1のバンド1a及び第2のバンド1b)は、複数の駒体11が連結されることにより構成されている。
バンド1を構成する駒体11は、例えばチタンやステンレス鋼(SUS)、アルミニウム等の金属や、セラミック等で形成されている。
なお、駒体11を構成する材料はここに例示したものに限定されない。例えばABS樹脂や、ポリアリレート(PAR)等のスーパーエンジニアリング・プラスチック、ポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(PC)等のエンジニアリング・プラスチック等の硬質の合成樹脂によって駒体11を形成してもよい。
【0016】
図2は、本実施形態における中留の分解斜視図である。
図3は、中留を表側から見た斜視図であり、
図4は、中留を裏側(内側)から見た斜視図である。また、
図5、
図6は、中留を表面側から見た平面図である。
中留10は、前述のようにバンドを連結させるものであり、
図2~
図4に示すように、カバー部材3と、折り畳み部6と、係止ユニット7(係止部材)と、ロックカバー8(ロック部材)と、を備えている。
【0017】
カバー部材3は、中留10の折り畳み時(すなわち、中留10による第1のバンド1aと第2のバンド1bとの連結時)において後述の折り畳み部6(すなわち、下板4及び中板5)の上に重なり合うように配置されるものであり、中留10の外観部分を構成する。
またカバー部材3の下側には、後述の係止ユニット7が配置される。
カバー部材3は、中留10の上側の外観面を構成する上面部31を有している。上面部31は、長尺な平板状に形成されている。この上面部31のバンド幅方向における両側部には一対の側面部32が垂設されている。
【0018】
カバー部材3は、例えばチタンやステンレス鋼(SUS)、アルミニウム等の金属や、セラミック等で形成されている。なお、カバー部材3を構成する材料はここに例示したものに限定されない。例えばABS樹脂や、ポリアリレート(PAR)等のスーパーエンジニアリング・プラスチック、ポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(PC)等のエンジニアリング・プラスチック等の硬質の合成樹脂によってカバー部材3を形成してもよい。
なお、カバー部材3を、第1のバンド1a及び第2のバンド1bを構成する駒体11と同じ材料で形成した場合には、中留10の部分が目立たなくなり、第1のバンド1a及び第2のバンド1bがあたかも一繋がりであるかのような優れた外観のバンド1を実現することができ、好ましい。
【0019】
カバー部材3の一端側(
図1では上側、
図2では右側)には、第2のバンド1bの自由端側(時計本体2に取り付けられていない側)の駒体11が連結されている。
一対の側面部32の一端側であって、第2のバンド1bが配置されている側とは逆側(
図1では下側、
図2では左側)には、カバー部材3を折り畳み部6(本実施形態では、折り畳み部6を構成する中板5)と連結させるための連結軸54が挿通される連結用の軸孔34が設けられている。
一対の側面部32において軸孔34よりも第2のバンド1bが配置されている側寄りの位置には、係止軸37が挿通される軸孔36が設けられている。
【0020】
カバー部材3の側面部32であって後述するロックカバー8の軸支側(
図5等において左側)には、第1の凸部が設けられ、カバー部材3の側面部32であってロックカバー8の自由端側(
図5等において右側)には、第2の凸部が設けられている。
本実施形態では、カバー部材3の軸孔34及び軸孔36は、いずれも貫通孔となっている。軸孔34からは連結軸54の先端部541が側面部32から外側に突出し、軸孔36からは係止軸37の先端部371が側面部32から外側に突出するようになっている。側面部32から外側に突出した連結軸54(第2の軸)の先端部541が「第1の凸部」を構成し、側面部32から外側に突出した係止軸37の先端部371が「第2の凸部」を構成する。
なお、連結軸54の先端部541のカバー部材3からの突出量は、係止軸37の先端部371のカバー部材3からの突出量よりも小さくなっている。
先端部541の突出量をどの程度先端部371の突出量よりも小さくするかは適宜設定される。本実施形態では
図5に示すように、連結軸54の先端部541の突出量が係止軸37の先端部371の突出量よりも「α」だけ小さくなっている。
【0021】
また、一対の側面部32であって軸孔33と軸孔34との間には、後述する係止ユニット7のプッシュボタン74が嵌め込まれて側面部32から外側に露出する開口部35が形成されている。
係止ユニット7は、後述するように連結部72が中板5とともにカバー部材3の側面部32に軸支され、プッシュボタン74が開口部35に嵌め込まれることにより、カバー部材3内の所定位置に保持される。
側面部32の一部であって開口部35の周辺は、側面部32の他の部分よりも一段低い窪み部321となっている。これにより、
図5に示すように、開口部35から突出するプッシュボタン74の先端が側面部32とほぼ面一の範囲内に収まる。
また、上面部31のうち、側面部32の窪み部321とつながる部分は、上面部31の他の部分よりも一段低い窪み部311となっている。上面部31の窪み部311には、後述のロックカバー8の一部が配置される。
【0022】
折り畳み部6は、折り畳み可能に構成された下板4、中板5等を備え、折り畳み状態において下板4及び中板5がカバー部材3の下方(裏側、非視認側)に重なり合うように構成されている。
下板4は、例えばステンレス鋼(SUS)等の金属材料で形成された長尺な板状の部材であり、平板状の部分である下板本体41を有している。
本実施形態では、
図1等に示すように、下板本体41は、バンド1を腕に装着した際に腕の形状に沿うように、長手方向においてわずかに湾曲している。
また、後述するように、下板本体41は、枠状に形成されている中板5の切欠き部511よりも狭い幅に形成されており、中留10の折り畳み状態(三つ折れ状態)において、下板本体41が切欠き部511内に嵌め込まれるようになっている。
【0023】
図2に示すように、この下板本体41の一端側には、下板4を第1のバンド1aの自由端側と連結させるための第1のバンド連結部42が設けられている。第1のバンド連結部42は、下板本体41の外側面(すなわち、腕時計100を腕に嵌めた際に外側となる面、
図2において上側の面)から上方に立ち上がるように形成された立設部である。
駒体11には、駒体11の幅方向(すなわち、バンド1の幅方向)に貫通する連結用の軸孔111が形成されており、第1のバンド連結部42には、この駒体11の連結用の軸孔111に対応する位置に連結軸12を挿通させる貫通孔421が形成されている。
【0024】
本実施形態では、第1のバンド1aの自由端側に設けられた駒体11に形成されている軸孔111と、第1のバンド連結部42の貫通孔421とに連結軸12を挿通させることにより、この連結軸12等を介して下板4の一端側が第1のバンド1aの自由端側に回動自在に取り付けられる。
また、連結軸12には後述のロックカバー8も連結されるようになっている。
なお、第1のバンド連結部42は、第1のバンド1aを下板4に回動自在に連結可能なものであればよく、その構成は図示例に限定されない。
【0025】
下板本体41の他端側には、下板4に中板5を連結させるための中板連結部43が設けられている。
中板連結部43には、下板本体41の幅方向(バンド1の幅方向)に貫通する図示しない貫通孔が形成されている。
中板5は、中板連結部43の貫通孔と中板5の中板連結部43に形成されている貫通孔との位置を合わせた上でこの貫通孔に軸部材431を挿通させることにより、下板4に回動自在に取り付けられる。
なお、中板連結部43は、中板5を下板4に回動自在に連結可能なものであればよく、その構成は図示例に限定されない。
【0026】
また、下板4における下板本体41の外側面(すなわち、腕時計100を腕に嵌めた際に外側となる面、
図2において上側の面)には、係止用突起44が設けられている。
本実施形態では、係止用突起44は、下板本体41上の第1のバンド連結部42の近傍であって、バンド1の幅方向のほぼ中央部に配置されている。
図2に示すように、本実施形態において、係止用突起44は、下板本体41の上に立設された軸部441と当該軸部441の先端に設けられ当該軸部441の径よりも径が大きく形成された係止部442からなり、外形形状がほぼきのこ状に形成されたロックピンである。本実施形態において、係止部442は、下方に向かって徐々に径が大きくなり、側面視において傘状に広がった形状となっている。
係止用突起44は、中留10の折り畳み状態(三つ折れ状態)において後述するように係止ユニット7の開閉窓73内に受け入れられ、係止される。これにより中留10の折り畳み状態(三つ折れ状態)が維持される。
なお、係止用突起44の形状や配置等は図示例に限定されない。
【0027】
中板5は、例えばステンレス鋼(SUS)等の金属材料で形成された長尺な部材であり、長手方向に沿って表裏に貫通する切欠き部511が形成された枠状の部分である中板本体51を有している。
前述のように、切欠き部511の幅は、下板4の下板本体41の幅よりも大きく形成されており、中留10の折り畳み状態(三つ折れ状態)において、下板本体41は切欠き部511内に嵌め込まれ、
図2に示すように、下板4と中板5とがほぼ面一となるようになっている。また、このように下板本体41が切欠き部511内に嵌め込まれた状態において、係止用突起44は、中板5の切欠き部511から中板本体51の上方に突出する。
【0028】
図2に示すように、この中板本体51の一端側には、中板5を下板4と連結させるための下板連結部52が設けられている。下板連結部52には、中板本体51の幅方向(バンド1の幅方向)に貫通する図示しない貫通孔が形成されている。
中板5は、下板連結部52の貫通孔と下板4の中板連結部43に形成されている貫通孔との位置を合わせた上でこの貫通孔に軸部材431を挿通させることにより、下板4に回動自在に取り付けられる。
なお、下板連結部52は、中板5を下板4に回動自在に連結可能なものであればよく、その構成は図示例に限定されない。
【0029】
中板本体51の他端側には、カバー部材3に中板5を連結させるためのカバー部材連結部53が設けられている。
カバー部材連結部53は、中板本体51の外側面(すなわち、腕時計100を腕に嵌めた際に外側となる面、
図2において上側の面)から上方に立ち上がるように形成された立設部である。
後述するように、カバー部材3の一対の側面部32には、バンド1の幅方向における対応する位置に連結用の軸孔34が形成されており、カバー部材連結部53には、このカバー部材3の連結用の軸孔34に対応する位置に連結軸54を挿通させる貫通孔531が形成されている。
【0030】
また、カバー部材連結部53におけるバンド1の幅方向のほぼ中央部には、係止ユニット7の連結部72が嵌め込まれる切欠き部532が形成されている。
本実施形態では、カバー部材連結部53の切欠き部532に係止ユニット7の連結部72を嵌め込んだ上で、カバー部材連結部53の貫通孔531と係止ユニット7の連結部72の軸孔とに連結軸54を挿通させて、この連結軸54の両端部をカバー部材3の側面部32に設けられた一対の軸孔34にそれぞれ嵌め込む。本実施形態において、連結軸54は、折り畳み部6をカバー部材3に対して回動可能に連結させる「第2の軸」である。
これにより、折り畳み部6を構成する中板5とカバー部材3と係止ユニット7とが連結軸54(第2の軸)を介してそれぞれ回動自在に連結される。
なお、第1のバンド連結部42は、第1のバンド1aを中板5に回動自在に連結可能なものであればよく、その構成は図示例に限定されない。
【0031】
係止ユニット7は、折り畳み部6を折り畳み状態に維持させるものである。係止ユニット7は、本体部71と、その一端部(本実施形態では、第1のバンド1a側に配置される端部、
図2等において左側端部)に設けられ中板5のカバー部材連結部53の切欠き部532に嵌め込まれる連結部72とを備えている。
連結部72には、バンド1の幅方向に貫通する軸孔が形成されており、連結部72が中板5の切欠き部532に嵌め込まれた際にカバー部材連結部53の貫通孔531と連結部72の軸孔とが連通するようになっている。
【0032】
本実施形態では、中板5のカバー部材連結部53に形成された貫通孔531と係止ユニット7の連結部72に形成された軸孔とに連結軸54を挿通させて中板5と係止ユニット7とを連結させた上で、この連結軸54の両端部をカバー部材3の側面部32に設けられた一対の軸孔34にそれぞれ嵌め込むことで、中板5とカバー部材3と係止ユニット7とが連結軸54を介してそれぞれ回動自在に連結される。
また、係止ユニット7のプッシュボタン74は、カバー部材3の側面部32に形成された開口部35嵌め込まれる。
係止ユニット7は、このように連結部72が中板5とともにカバー部材3の側面部32に軸支され、プッシュボタン74が開口部35に嵌め込まれることにより、カバー部材3内の所定位置に保持される。
【0033】
本体部71には、中留10の折り畳み状態(三つ折れ状態)において下板4の係止用突起44に係止される開閉窓73が形成されている。また、本体部71の両側部には、プッシュボタン74が突出している。
本体部71は、内部に図示しないばね等を含む係止機構を内蔵しており、プッシュボタン74を内側に押し込むことで開閉窓73が開口して係止用突起44の係止部442を受け入れ、プッシュボタン74から手を放すと図示しないばねの復元力等によって開閉窓73が閉じて係止用突起44の係止部442を挟み込むようになっている。これにより、係止用突起44は係止ユニット7に係止される。
なお、本体部71に内蔵される係止機構は、各種公知の構成を適用することができるものであるため、詳細な説明は省略する。
【0034】
ロックカバー8は、バンド幅方向に設けられた第1の軸に回動可能に軸支され、上方からカバー部材3の少なくとも一部を覆うロック状態と、カバー部材3と重なり合わない解除状態とを取り得るようになっている。
図3~
図5では、ロックカバー8が解除状態である場合を示しており、
図6では、ロックカバー8がロック状態である場合を示している。
【0035】
本実施形態では、下板4の一端側と第1のバンド1aの自由端側(時計本体2に取り付けられていない側)の駒体11とを連結させる連結軸12が、ロックカバー8を回動可能に取り付ける「第1の軸」である場合を例示する。なお、「第1の軸」は、下板4と駒体11とを連結させる連結軸12に限定されない。例えば第1のバンド1aを構成する駒体11同士を連結させる図示しない連結軸が、ロックカバー8を回動可能に取り付ける「第1の軸」であってもよい。
【0036】
ロックカバー8は、カバー部材3の上面部31の少なくとも一部を覆う上面部81と、この上面部81のバンド幅方向における両側部に垂設される一対の側面部82とを有している。
本実施形態では、ロックカバー8が、カバー部材3の上面部31の一部を覆うロック状態となったときに、上面部31に設けられた窪み部311にロックカバー8の上面部81が嵌り、ほぼ面一となるようになっている。
なお、ロックカバー8の上面部81の形状等は図示例に限定されない。例えば上面部81の形状をカバー部材3の上面部31とほぼ同様の形状とし、ロックカバー8がロック状態となったときには上面部81がカバー部材3の上面部31のほぼ全体を覆うようになっていてもよい。
【0037】
一対の側面部82は、ロックカバー8がロック状態となったときにカバー部材3の両側部に配置される。これにより、開口部35から露出するプッシュボタン74がロックカバー8の側面部82によって覆われ、外部からの衝撃や誤操作等を避けることのできる構成となっている。
なお、ロックカバー8がロック状態となったときに中留10をダブルロックする構成は、ここに示したものに限定されない。例えば、ロックカバー8がロック状態となると、プッシュボタン74自体がロックされ、プッシュボタン74が押し込めなくなる構成としてもよい。この場合には、ロック状態になってもプッシュボタン74がロックカバー8の側面部82から露出していてもよく、側面部82の形状はカバー部材3の両側部を覆う形状でなくてもよい。
【0038】
一対の側面部82には、一端側に軸孔83が形成され、他端側に係止孔84が形成されている。
軸孔83は、「第1の軸」である連結軸12が挿通されるものであり、連結軸12が、下板4の貫通孔421、駒体11の軸孔111及びロックカバー8の係止孔84に挿通されることで、下板4、駒体11及びロックカバー8がそれぞれ回動可能に連結される(
図4等参照)。
なお、図示例(
図2~
図4等)では軸孔83が貫通孔である場合を例示しているが、軸孔83は連結軸12の先端部121を係止可能であればよく、貫通していても貫通しない凹部であってもよい。
【0039】
ロックカバーの両側部(一対の側面部82)であって、「第2の凸部」としての係止軸37の先端部371に対応する位置にはロック状態において先端部371(第2の凸部)を係止させる係止部としての係止孔84が設けられている。
なお、係止孔84についても、図示例(
図2~
図4等)では係止孔84が貫通孔である場合を例示しているが、係止孔84は係止軸37の先端部371を係止可能であればよく、貫通していても貫通しない凹部であってもよい。
【0040】
また、ロックカバー8の両側部(一対の側面部82)であって、「第2の凸部」である係止軸37の先端部371に対応する位置には、先端部371(第2の凸部)を導入させるための凹部85が設けられている。
凹部85は、係止孔84の周囲に、先端部371(第2の凸部)に覆い被さる側が広く開放されるように形成されている。これにより、ロックカバー8を連結軸12周りに回動させた際に抵抗が少なくなり、円滑に動作する。なお、凹部85を設けることは必須ではなく、円滑な動作が妨げられなければ凹部85を設けなくてもよい。
【0041】
また、ロックカバー8が連結軸12周りに回動した際、ロックカバー8の側面部82は、「第1の凸部」である連結軸54の先端部541に当接する。
すなわち、「第1の凸部」である先端部541は側面部32よりも突出している。このため、ロックカバー8が回動した際、ロックカバー8の側面部82の内側面には、先端部541のみが当接し、カバー部材3の側面部32と摺接しないようになっている。
【0042】
次に、本実施形態における中留及びこれを適用したバンド、バンドを備えるリスト機器としての腕時計の作用について説明する。
本実施形態において、バンド1は、時計本体2の本体ケース21の一方のバンド取付部25に第1のバンド1aを取り付け、他方のバンド取付部25に第2のバンド1bを取り付けて、第1のバンド1aと第2のバンド1bの各自由端を繋ぐ位置に中留10を取り付けることで構成される。
【0043】
中留10をバンド1に取り付ける際には、中留10の下板4における第1のバンド連結部42に第1のバンド1aの自由端側の駒体11を取り付け、さらにロックカバー8の一端側を重ね合わせる。第1のバンド連結部42の軸孔241、駒体11の軸孔111、ロックカバー8の軸孔83に、連結軸12を挿通させて、下板4、駒体11、ロックカバー8をそれぞれ連結軸12周りに回動可能に連結させる。
また、第2のバンド1bの自由端側の駒体11を、図示しない連結軸を介してカバー部材3に取り付ける。
さらに、下板4の中板連結部43と中板5の下板連結部52とに軸部材431を挿通させて下板4に中板5を取り付ける。
【0044】
また、中板5のカバー部材連結部53と係止ユニット7の連結部72とに連結軸54を挿通させた上で、この連結軸54の各先端部541をカバー部材3における軸孔34に嵌め込み、カバー部材3の側面部32から外側に突出させる。さらに、係止ユニット7のプッシュボタン74をカバー部材3の開口部35に嵌め込むことでプッシュボタン74をカバー部材3の外側(側部)に露出させる。これにより、中板5と係止ユニット7とがカバー部材3に係止される。
また係止軸37をカバー部材3の側面部32に形成されている軸孔36に挿通させ、その先端部371を側面部32から外側に突出させる。
これにより、中留10の組み立てが完了する。なお、中留10の組み立て手順は上記に限定されない。
【0045】
中留10を留める(連結する)際には、下板4、中板5及びカバー部材3を三つ折れに折り畳み、係止ユニット7のプッシュボタン74を押し込んで開閉窓73を開口して係止用突起44の係止部442を受け入れ、プッシュボタン74から手を放すことで開閉窓73を閉じ係止用突起44の係止部442を開閉窓73内に挟み込む。これにより、係止ユニット7が係止用突起44に係止された状態が維持され、中留10は、第1のバンド1aと第2のバンド1bとを連結させた連結状態となる。
【0046】
本実施形態では、さらに、ロックカバー8を連結軸12周りに回動させて、上面部81がカバー部材3の上面部31に被さるようにする。このとき、上面部81は、カバー部材3の上面部31に形成された窪み部311内に配置され、ロックカバー8の上面部81とカバー部材3の上面部31とがほぼ面一となる。
またこのとき、ロックカバー8の側面部82はプッシュボタン74を露出させない位置に配置される(
図1参照)。これにより、プッシュボタン74が外力等により誤って操作されることのないロック状態(係止ユニット7によるロックとロックカバー8によるロックのダブルロック状態)となる。
【0047】
ロックカバー8は、係止孔84が「第2の凸部」である係止軸37の先端部371に係止されることで連結軸12周りに自由に回動しない、ロック状態が維持される。
またロック状態において、
図6に示すように、「第1の凸部」である連結軸54の先端部541がロックカバー8の側面部82の内側面に当接する。
このため、「第1の凸部」である先端部541部分のみがロックカバー8の側面部82と摺接し、ロックカバー8の側面部82の内側面とカバー部材3の側面部32の外側面とが面同士で接触しない。
また、ロックカバー8(ロックカバー8の側面部82)は、2つの「第2の凸部」(先端部371)と2つの「第1の凸部」(先端部541)の4点で支えられているために、捩じれ方向の力が加わっても、ロックカバー8がカバー部材3から外れにくくなる。
なお、
図5に示すように、「第1の凸部」である先端部541は「第2の凸部」である先端部371よりも突出量が「α」だけ小さい。このため、「第1の凸部」である先端部541を設けても、ロックカバー8の円滑な動作が妨げられない。
【0048】
また、中留10の連結を解除する場合には、まず、ロックカバー8をカバー部材3の上面部31から離れるよう方向に引き起こし、解除状態とする。そして、再びプッシュボタン74を押し込んで、係止用突起44の係止状態を解除する。これにより、中留10の連結状態が解除され、バンド1が取り外し可能な状態となる。
【0049】
以上のように、本実施形態によれば、バンド1を連結させる中留10が、上面部31と、上面部31のバンド幅方向における両側部に配置される側面部32と、を有するカバー部材3と、バンド幅方向に設けられた「第1の軸」である連結軸12に回動可能に軸支され、上方からカバー部材3の少なくとも一部を覆うロック状態と、カバー部材3と重なり合わない解除状態とを取り得るロック部材としてのロックカバー8と、を備え、カバー部材3の側面部32であってロックカバー8の軸支側には、ロックカバー8を回動した際に、ロックカバー8の側面部とカバー部材3の側面部32との間に介在し、ロックカバー8の側面部とカバー部材3の側面部32との面接触を回避する「第1の凸部」としての先端部541が設けられている。
【0050】
このようにロック部材としてのロックカバー8を設けることで、誤ってプッシュボタン74が押されてしまうことがなく、中留10が開状態とならないダブルロック構成とすることができる。
また、カバー部材3の側面部32は中留の着脱時に外観に現れる部分であり、傷がつくと中留10、ひいてはこれを備えるバンド1の外観を損ねる。
この点本実施形態のように、ロックカバー8の軸支側に第1の凸部(先端部541)を配置することで、ロックカバー8を連結軸12周りに回動させた際に、ロックカバー8の側面部82がまず先端部541(第1の凸部)に接触し、直接カバー部材3の側面部32の表面に接触しない(面接触しない)。
このためカバー部材3の側面部32に傷が生じるのを防ぐことができる。
【0051】
また、本実施形態では、カバー部材3の側面部であってロック部材としてのロックカバー8の自由端側には、「第2の凸部」としての係止軸37の先端部371が設けられ、ロックカバー8の両側部である側面部32であって、第2の凸部である先端部371に対応する位置にはロック状態において先端部371(第2の凸部)を係止させる係止部として係止孔84が設けられている。
このような構成により、ロック状態においてロックカバー8の自由端側が係止軸37の左右の先端部371(第2の凸部)の2点に係止される。
さらに本実施形態では「第1の凸部」としての連結軸54の先端部541もカバー部材3の側面部32とロックカバー8の側面部82との間に介在している。これにより、ロックカバー8(ロックカバー8の側面部82)を、2つの「第2の凸部」(先端部371)と2つの「第1の凸部」(先端部541)の4点で支える構成を実現することができる。
このため、中留10に捩じれ方向の力が加わった場合にもロックカバー8が外れにくく、意図しない中留10の解除、バンド1の解除を防止することができる。
【0052】
また本実施形態では、「第1の凸部」としての連結軸54の先端部541は、ロック状態においてロックカバー8の側部内側面(すなわち、側面部82の内側面)に当接する。
これにより、「第1の凸部」である先端部541部分のみがロックカバー8の側面部82と摺接し、ロックカバー8の側面部82の内側面とカバー部材3の側面部32の外側面とが面同士で接触しない。このため、外観に現れる面であるカバー部材3の側面部32自体が傷つくのを防止して、繰り返し中留10を着脱しても外観に優れた状態を維持することができる。
また、ロックカバー8(ロックカバー8の側面部82)は、2つの「第2の凸部」(先端部371)と2つの「第1の凸部」(先端部541)の4点で支えられているために、捩じれ方向の力が加わっても、ロックカバー8がカバー部材3から外れにくくなる。
【0053】
また本実施形態において、「第1の凸部」としての連結軸54の先端部541は、「第2の凸部」としての係止軸37の先端部371よりも外側への突出量が少ない。
このため、ロックカバー8を連結軸12周りに回動させた際に先端部541が引っ掛からず、円滑に回動させ、中留10の着脱(ひいてはバンド1の着脱)を行うことができる。
【0054】
また本実施形態の中留10は、折り畳み可能に構成された下板4及び中板5を備え、折り畳み状態において下板4及び中板5がカバー部材3の下方に重なり合う折り畳み部6と、折り畳み部6を折り畳み状態に維持させる係止部材としての係止ユニット7と、を備えており、折り畳み部6は、「第2の軸」である連結軸54を介してカバー部材3に対して回動可能に連結されている。
これにより、折り畳み部6はカバー部材3に対して円滑に回動する。
そして本実施形態では、「第2の軸」である連結軸54がカバー部材に設けられており、連結軸54(第2の軸)は、両端部である軸両端の先端部541がカバー部材3の側面部32から外側に突出し、連結軸54(第2の軸)の突出した先端部541が「第1の凸部」を構成する。
このような構成とすることにより、もともとある構成から軸部等を増やすことなく、「第1の凸部」を設けることができる。
【0055】
またバンドが本実施形態の中留10を備え、当該中留10によって連結されるバンド1である場合には、中留10のうち、腕に装着する際に外観に現れる部分であるカバー部材3の側面部32がロックカバー8の内側面と直接摺接して傷付くことがない。
このため、繰り返し中留10を操作してバンド1を着脱しても外観を損なわないバンド1を実現することができる。
さらに、中留10のロックカバー8(ロックカバー8の側面部82)を、2つの「第2の凸部」(先端部371)と2つの「第1の凸部」(先端部541)の4点で支える構成とした場合には、中留10に捩じれ方向の力が加わった場合にもロックカバー8が外れにくく、意図しない中留10の解除、バンド1の解除が防止される。
【0056】
また腕時計が、本実施形態に示す中留10を備えるバンド1と、このバンド1が取り付けられる装置本体である時計本体2と、を備える構成である場合には、中留10のうち、腕に装着する際に外観に現れる部分であるカバー部材3の側面部32がロックカバー8の内側面と直接摺接して傷付くことがない。
このため、繰り返し中留10を操作してバンド1を着脱しても外観を損なわない腕時計100を実現することができる。
さらに、中留10のロックカバー8(ロックカバー8の側面部82)を、2つの「第2の凸部」(先端部371)と2つの「第1の凸部」(先端部541)の4点で支える構成とした場合には、中留10に捩じれ方向の力が加わった場合にもロックカバー8が外れにくく、意図しない中留10の解除、バンド1の解除を防止して、より安心して腕時計を使用することができる。
【0057】
なお、以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変形が可能であることは言うまでもない。
【0058】
例えば、上記実施形態では、ロックカバー8の両側部(一対の側面部82)であって、「第1の凸部」である連結軸54の先端部541に対応する位置は、側面部82の他の部分と面一であり、「第1の凸部」である先端部541に側面部82の内側面が摺接する場合を例示したが、ロックカバーの構成はこれに限定されない。
例えば、
図7に示すように、ロック部材としてのロックカバー8aの両側部(一対の側面部82)であって、「第1の凸部」である連結軸54の先端部541に対応する位置に、先端部541(第1の凸部)を導入させるための導入凹部87が形成されていてもよい。
【0059】
この場合、「第1の凸部」である連結軸54の先端部541は、
図5に示したように「第2の凸部」である係止軸37の先端部371よりもカバー部材3から外部に突出する突出量が小さくなるように形成されていてもよいし、先端部371と同等の突出量となっていてもよい。
先端部541の突出量を先端部371と同等とした場合でも、「第1の凸部」である先端部541が導入凹部87に受け入れられるため、カバー部材3に対してロック状態となる位置、解除状態となる位置となるように、繰り返し連結軸12を中心としてロック部材8aを回動させた場合にも、先端部541が引っ掛からずに円滑にロックカバー8aを回動させることができる。
【0060】
なお、ロックカバー8の回動が阻害されなければ、先端部541の突出量を先端部371よりも小さくしたり、先端部541を導入する導入凹部87を設けなくてもよい。
また、上記実施形態では、連結軸54の先端部541を「第1の凸部」としたが、カバー部材3の側面部32に突起などの凸部を設けて「第1の凸部」として、ロックカバー8の側面部82の内側面に摺接するようにしても良い。
【0061】
また、上記実施形態では、バンド1が複数の駒体11から構成されている場合を例として説明したが、本発明の中留を適用可能なバンドは複数の駒体11で構成されるものに限定されない。例えば、バンド1(第1のバンド1a及び第2のバンド1b)がウレタン樹脂や革等で形成され、第1のバンド1a及び第2のバンド1bを連結させるバックル部分に本発明の中留を適用してもよい。
またバンド1は、2つの構成部(本実施形態では、第1のバンド1a及び第2のバンド1b)からなるものに限定されない。例えば中留10は、1つながりのバンドの一端側と他端側とを連結させるものであってもよい。
【0062】
また、上記実施形態では、中留10が腕時計100のバンド1に設けられている場合を例示したが、本発明の中留を適用可能なバンドは、腕時計のバンドに限定されない。
中留によって連結する構造のバンドであれば、本発明の中留を広く適用することができる。
【0063】
また、本発明に係る中留を有するバンドを備えるリスト機器は腕時計に限定されない。バンドによって腕に取り付けられる機器であれば広く適用可能であり、リスト機器は、例えば歩数計、高度計、気圧計等や、心拍数計等の各種生体情報を取得する機器等であってもよい。
【0064】
以上本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
〔付記〕
<請求項1>
バンドを連結させる中留であって、
上面部と、上面部のバンド幅方向における両側部に配置される側面部と、を有するカバー部材と、
バンド幅方向に設けられた第1の軸に回動可能に軸支され、上方から前記カバー部材の少なくとも一部を覆うロック状態と、前記カバー部材と重なり合わない解除状態とを取り得るロック部材と、
を備え、
前記カバー部材の側面部であって前記ロック部材の軸支側には、前記ロック部材を回動した際に、前記ロック部材の側面部と前記カバー部材の側面部との間に介在し、前記ロック部材の側面部と前記カバー部材の側面部との面接触を回避させる、第1の凸部が設けられることを特徴とする中留。
<請求項2>
前記カバー部材の側面部であって前記ロック部材の自由端側には、第2の凸部が設けられ、
前記ロック部材の両側部であって、前記第2の凸部に対応する位置には前記ロック状態において前記第2の凸部を係止させる係止部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の中留。
<請求項3>
前記カバー部材に設けられた第2の軸は、両端部が前記カバー部材の側面部から外側に突出し、
前記第2の軸の突出した両端部が前記第1の凸部を構成することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の中留。
<請求項4>
前記第1の凸部は、前記ロック状態において前記ロック部材の側部内側面に当接することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の中留。
<請求項5>
前記ロック部材の両側部であって、前記第1の凸部に対応する位置には、前記第1の凸部を導入させるための凹部が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の中留。
<請求項6>
前記カバー部材の側面部であって前記ロック部材の自由端側には、第2の凸部が設けられ、
前記第1の凸部は、前記第2の凸部よりも外側への突出量が少ないことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の中留。
<請求項7>
前記カバー部材の側面部であって前記ロック部材の自由端側には、第2の凸部が設けられ、
前記ロック部材の両側部であって、前記第2の凸部に対応する位置には、前記第2の凸部を導入させるための凹部が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の中留。
<請求項8>
折り畳み可能に構成された下板及び中板を備え、折り畳み状態において前記下板及び中板が前記カバー部材の下方に重なり合う折り畳み部と、
前記折り畳み部を前記折り畳み状態に維持させる係止部材と、を備え、
前記折り畳み部は、第2の軸を介して前記カバー部材に対して回動可能に連結されていることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の中留。
<請求項9>
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の中留を備え、
前記中留によって連結されることを特徴とするバンド。
<請求項10>
請求項9に記載のバンドと、
装置本体と、
を備えることを特徴とするリスト機器。
【符号の説明】
【0065】
1 バンド
2 時計本体(装置本体)
3 カバー部材
4 下板
5 中板
6 折り畳み部
7 係止ユニット(係止部材)
8 ロックカバー(ロック部材)
10 中留
100 腕時計(リスト機器)