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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-04
(45)【発行日】2023-09-12
(54)【発明の名称】ディスプレイの表示制御方法および装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/0969 20060101AFI20230905BHJP
   G01C 21/36 20060101ALI20230905BHJP
【FI】
G08G1/0969
G01C21/36
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021546491
(86)(22)【出願日】2019-09-19
(86)【国際出願番号】 IB2019001143
(87)【国際公開番号】W WO2021053366
(87)【国際公開日】2021-03-25
【審査請求日】2022-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】弁理士法人とこしえ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】増野 俊之
(72)【発明者】
【氏名】笹沼 慶与
(72)【発明者】
【氏名】酒井 翔
【審査官】小林 勝広
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-254299(JP,A)
【文献】国際公開第2013/046429(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/082774(WO,A1)
【文献】国際公開第2011/065113(WO,A1)
【文献】特開2011-237560(JP,A)
【文献】特開2005-286557(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0017956(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00-21/36、23/00-25/00
G06F 3/14- 3/153
G08G 1/00-99/00
H04M 1/00、 1/24- 1/82、99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示制御器が、
地図を表示する機能と目的地までのルート案内を行う機能とを有するソフトウェアを含む複数のソフトウェアのうち、少なくとも一つのソフトウェアによる情報を、車両のセンターコンソールボックスに収納されたディスプレイに表示し、
前記ソフトウェアによる情報を表示しながら、通話又はメッセージ受信の少なくともいずれか一つの機能を有する連絡用ソフトウェアによる情報を、前記ディスプレイに表示する表示制御方法であって、
前記表示制御器は、
前記連絡用ソフトウェアによる電話の着信又はメッセージの受信を検出し、
前記電話の着信又は前記メッセージの受信を検出した場合に、現在ディスプレイに情報を表示しているソフトウェアを検出し、
前記現在ディスプレイに情報を表示しているソフトウェアに応じて、前記連絡用ソフトウェアによる情報の表示形態を、前記現在ディスプレイに情報を表示しているソフトウェアの表示領域の一部に表示する第1表示形態、又は前記第1表示形態より表示面積が大きい第2表示形態のいずれか一方に決定するディスプレイの表示制御方法において、
前記ディスプレイは、自律走行制御機能を備える車両に搭載され、
前記表示制御器は、
前記自律走行制御機能が実行されているか否かを判定し、
前記自律走行制御機能が実行されていると判定された場合には、前記連絡用ソフトウェアによる情報の表示形態を前記第2表示形態に優先的に決定するディスプレイの表示制御方法
【請求項2】
表示制御器が、
地図を表示する機能と目的地までのルート案内を行う機能とを有するソフトウェアを含む複数のソフトウェアのうち、少なくとも一つのソフトウェアによる情報を、車両のセンターコンソールボックスに収納されたディスプレイに表示し、
前記ソフトウェアによる情報を表示しながら、通話又はメッセージ受信の少なくともいずれか一つの機能を有する連絡用ソフトウェアによる情報を、前記ディスプレイに表示する表示制御方法であって、
前記表示制御器は、
前記連絡用ソフトウェアによる電話の着信又はメッセージの受信を検出し、
前記電話の着信又は前記メッセージの受信を検出した場合に、現在ディスプレイに情報を表示しているソフトウェアを検出し、
前記現在ディスプレイに情報を表示しているソフトウェアに応じて、前記連絡用ソフトウェアによる情報の表示形態を、前記現在ディスプレイに情報を表示しているソフトウェアの表示領域の一部に表示する第1表示形態、又は前記第1表示形態より表示面積が大きい第2表示形態のいずれか一方に決定するディスプレイの表示制御方法において、
前記表示制御器は、
前記連絡用ソフトウェアによる情報の表示を前記第2表示形態で表示する場合には、前記現在ディスプレイに情報を表示しているソフトウェアの操作が不能な状態で表示するディスプレイの表示制御方法。
【請求項3】
前記表示制御器は、
前記現在ディスプレイに情報を表示しているソフトウェアが、前記連絡用ソフトウェアに比べて、情報の表示が優先されるソフトウェアであるか否かを判定し、
前記現在ディスプレイに情報を表示しているソフトウェアが、情報の表示が優先されるソフトウェアであると判定された場合には、前記連絡用ソフトウェアによる情報の表示形態を前記第1表示形態に決定し、
前記現在ディスプレイに情報を表示しているソフトウェアが、情報の表示が優先されるソフトウェアでないと判定された場合には、前記連絡用ソフトウェアによる情報の表示形態を前記第2表示形態に決定する請求項1又は2に記載のディスプレイの表示制御方法。
【請求項4】
前記表示制御器は、
前記現在ディスプレイに情報を表示しているソフトウェアが、地図を表示する機能と目的地までのルート案内を行う機能とを有するソフトウェアであるか否かを判定し、
前記現在ディスプレイに情報を表示しているソフトウェアが、地図を表示する機能と目的地までのルート案内を行う機能とを有するソフトウェアであると判定された場合には、前記連絡用ソフトウェアによる情報の表示形態を前記第1表示形態に決定し、
前記現在ディスプレイに情報を表示しているソフトウェアが、地図を表示する機能と目的地までのルート案内を行う機能とを有するソフトウェアでないと判定された場合には、前記連絡用ソフトウェアによる情報の表示形態を前記第2表示形態に決定する請求項1~3のいずれか一項に記載のディスプレイの表示制御方法。
【請求項5】
前記表示制御器は、
前記現在ディスプレイに情報を表示しているソフトウェアが、特定の機能を実行しているか否かを判定し、
前記現在ディスプレイに情報を表示しているソフトウェアが、前記特定の機能を実行していると判定された場合には、前記連絡用ソフトウェアによる情報の表示形態を前記第1表示形態に決定し、
前記現在ディスプレイに情報を表示しているソフトウェアが、前記特定の機能を実行していないと判定された場合には、前記連絡用ソフトウェアによる情報の表示形態を前記第2表示形態に決定する請求項1又は2に記載のディスプレイの表示制御方法。
【請求項6】
前記表示制御器は、
前記現在ディスプレイに情報を表示しているソフトウェアに対する、前記連絡用ソフトウェアによる情報の表示形態が関連付けて記憶された場合、
前記連絡用ソフトウェアによる電話の着信又はメッセージの受信を検出し、
前記電話の着信又は前記メッセージの受信を検出した場合に、前記ディスプレイに現在表示しているソフトウェアを検出し、
前記現在ディスプレイに情報を表示しているソフトウェアに関連付けて記憶された前記連絡用ソフトウェアによる情報の表示形態を取得し、前記連絡用ソフトウェアによる情報の表示形態を取得した前記現在ディスプレイに情報を表示しているソフトウェアに関連付けて記憶された前記表示形態に、優先的に決定する請求項1~5のいずれか一項に記載のディスプレイの表示制御方法。
【請求項7】
前記表示制御器は、
前記現在ディスプレイに情報を表示しているソフトウェアに対する前記連絡用ソフトウェアによる情報の表示形態が、前記ソフトウェアを使用するユーザにより設定された場合、
前記連絡用ソフトウェアによる情報の表示形態を、前記ソフトウェアを使用するユーザにより設定された前記現在ディスプレイに情報を表示しているソフトウェアに対する前記連絡用ソフトウェアによる情報の表示形態に、優先的に決定する請求項1~6のいずれか一項に記載のディスプレイの表示制御方法。
【請求項8】
前記表示制御器は、
前記現在ディスプレイに情報を表示しているソフトウェアが、前記目的地までのルート案内を行う機能を実行しているか否かを判定し、
前記目的地までのルート案内を行う機能を実行していると判定された場合には、前記連絡用ソフトウェアによる情報の表示位置を、前記ルート案内の表示位置と干渉しない位置に設定する請求項1~7のいずれか一項に記載のディスプレイの表示制御方法。
【請求項9】
前記ディスプレイは、自律走行制御機能を備える車両に搭載され、
前記表示制御器は、
前記自律走行制御機能が実行されているか否かを判定し、
前記自律走行制御機能が実行されていると判定された場合には、前記連絡用ソフトウェアによる情報の表示形態を前記第2表示形態に優先的に決定する請求項に記載のディスプレイの表示制御方法。
【請求項10】
前記連絡用ソフトウェアによる情報は、電話の着信があった旨の情報又は通話中である旨の情報のいずれかである請求項1~9のいずれか一項に記載のディスプレイの表示制御方法。
【請求項11】
前記連絡用ソフトウェアの前記第2表示形態による情報は、前記第1表示形態で表示する場合に比べ、前記連絡用ソフトウェアのオプション操作又は相手の属性情報が多く設定されている請求項1~10のいずれか一項に記載のディスプレイの表示制御方法。
【請求項12】
前記表示制御器は、
前記連絡用ソフトウェアによる情報の表示を前記第2表示形態で表示する場合には、前記現在ディスプレイに情報を表示しているソフトウェアの操作が不能な状態で表示する請求項1に記載のディスプレイの表示制御方法。
【請求項13】
前記表示制御器は、
前記連絡用ソフトウェアによる情報は、前記ディスプレイの、前記現在ディスプレイに情報を表示しているソフトウェアによる表示画面の上のレイヤーに、サブ画面として表示する請求項1~12のいずれか一項に記載のディスプレイの表示制御方法。
【請求項14】
地図を表示する機能と目的地までのルート案内を行う機能とを有するソフトウェアを含む複数のソフトウェアのうち、少なくとも一つのソフトウェアによる情報を、車両のセンターコンソールボックスに収納されたディスプレイに表示し、
前記ソフトウェアによる情報を表示しながら、通話又はメッセージ受信の少なくともいずれか一つの機能を有する連絡用ソフトウェアによる情報を前記ディスプレイに表示するプロセッサを備えたディスプレイの表示制御装置であって、
前記プロセッサは、
前記連絡用ソフトウェアによる電話の着信又はメッセージの受信を検出し、
前記電話の着信又は前記メッセージの受信を検出した場合に、現在ディスプレイに情報を表示しているソフトウェアを検出し、
前記現在ディスプレイに情報を表示しているソフトウェアに応じて、前記連絡用ソフトウェアによる情報の表示形態を、前記現在ディスプレイに情報を表示しているソフトウェアの表示領域の一部に表示する第1表示形態、又は前記第1表示形態より表示面積が大きい第2表示形態のいずれか一方に決定するディスプレイの表示制御装置において、
前記ディスプレイは、自律走行制御機能を備える車両に搭載され、
前記プロセッサは、
前記自律走行制御機能が実行されているか否かを判定し、
前記自律走行制御機能が実行されていると判定された場合には、前記連絡用ソフトウェアによる情報の表示形態を前記第2表示形態に優先的に決定するディスプレイの表示制御装置
【請求項15】
地図を表示する機能と目的地までのルート案内を行う機能とを有するソフトウェアを含む複数のソフトウェアのうち、少なくとも一つのソフトウェアによる情報を、車両のセンターコンソールボックスに収納されたディスプレイに表示し、
前記ソフトウェアによる情報を表示しながら、通話又はメッセージ受信の少なくともいずれか一つの機能を有する連絡用ソフトウェアによる情報を前記ディスプレイに表示するプロセッサを備えたディスプレイの表示制御装置であって、
前記プロセッサは、
前記連絡用ソフトウェアによる電話の着信又はメッセージの受信を検出し、
前記電話の着信又は前記メッセージの受信を検出した場合に、現在ディスプレイに情報を表示しているソフトウェアを検出し、
前記現在ディスプレイに情報を表示しているソフトウェアに応じて、前記連絡用ソフトウェアによる情報の表示形態を、前記現在ディスプレイに情報を表示しているソフトウェアの表示領域の一部に表示する第1表示形態、又は前記第1表示形態より表示面積が大きい第2表示形態のいずれか一方に決定するディスプレイの表示制御装置において、
前記プロセッサは、
前記連絡用ソフトウェアによる情報の表示を前記第2表示形態で表示する場合には、前記現在ディスプレイに情報を表示しているソフトウェアの操作が不能な状態で表示するディスプレイの表示制御装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイの表示制御方法およびディスプレイの表示制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイに表示された地図上に現在位置を表示するとともに、電話機に接続して電話機の通信制御を行う車載ナビゲーション装置において、電話機に着信があったとき、着信音を出力するとともに、着信したことをディスプレイに表示するものが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-331417号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の車載ナビゲーション装置では、現在ディスプレイに表示されている情報が何であろうと、電話に着信があったことを定型の表示形態で表示するので、着信情報の柔軟性に欠けるという問題がある。たとえば、上記従来の車載ナビゲーション装置にあっては、「電話がかかっています 日産太郎さん」といった最小限の情報しか表示しないので、乗員に提供すべき情報量が不足することがある。したがって、上記従来の車載ナビゲーション装置のような小さい面積のウィンド表示では、十分な量の情報を提供することは難しいという問題がある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、現在ディスプレイに表示されている情報に応じた適切な量の連絡用ソフトウェアによる情報を、表示することができるディスプレイの表示制御方法および装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、連絡用ソフトウェアによる電話の着信又はメッセージの受信を検出したら、当該連絡用ソフトウェアによる情報の表示形態を、特定のソフトウェアにより現在ディスプレイに表示されている情報に応じて、現在の表示領域の一部に表示する第1表示形態、又は前記第1表示形態より表示面積が大きい第2表示形態のいずれか一方に決定することによって上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、特定のソフトウェアにより現在ディスプレイに表示されている情報に応じ、過不足のない適切な量の連絡用ソフトウェアによる情報を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係るディスプレイの表示制御方法及び装置を適用した車両を示すブロック図である。
図2図1の表示制御器にて実行されるディスプレイの表示制御方法を示すフローチャートである。
図3A】ナビゲーション装置を起動した場合のディスプレイの表示画面の一例を示す図である。
図3B】ラジオ装置を起動した場合のディスプレイの表示画面の一例を示す図である。
図4A】ナビゲーション装置を起動している場合に、電話の着信があったときのディスプレイの表示画面の一例を示す図である。
図4B】ナビゲーション装置を起動している場合に、電話の着信があり、通話を継続しているときのディスプレイの表示画面の一例を示す図である。
図5A】ラジオ装置を起動している場合に、電話の着信があったときのディスプレイの表示画面の一例を示す図である。
図5B】ラジオ装置を起動している場合に、電話の着信があり、通話を継続しているときのディスプレイの表示画面の一例を示す図である。
図6A】ナビゲーション装置を起動している場合に、電子メールを受信したときのディスプレイの表示画面の一例を示す図である。
図6B図6Aに示す状態から確認ボタンを押し、電子メールの内容を表示したときのディスプレイの表示画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係るディスプレイの表示制御方法及び装置を適用した車両1を示すブロック図である。本実施形態の車両1は、少なくとも、ナビゲーション装置2と、車両制御装置3と、通信装置4と、ディスプレイ5と、スピーカ6と、マイクロフォン7と、表示制御器8と、を備える。
【0010】
ナビゲーション装置2は、GPS受信器、ジャイロセンサ、および車速センサなどで構成される位置検出装置から自車両の現在位置を取得し、地図データベース21に格納された地図情報にアクセスし、自車両の現在位置とその周囲の地図情報を、表示制御器8及び描画制御器51を用いて、ディスプレイ5に表示する。また、ナビゲーション装置2は、ユーザが入力した目的地と、位置検出装置により求められた自車両の現在位置と、予め設定された検索条件とから、目的地までのルートを検索し、スピーカ6を用いて音声によるルート案内も実行しながら、ディスプレイ5に当該ルート案内を表示する。
【0011】
ナビゲーション装置2は、テレビジョン装置22、ラジオ装置23及びオーディオ再生器24などのオーディオ・ビジュアル機器を含んで構成されている。そして、ナビゲーション装置2に設けられたAV機器選択ボタン(不図示)を選択することで、テレビジョン装置22、ラジオ装置23、オーディオ再生器24のいずれかを起動することができる。たとえば、テレビジョン装置22を選択すると、表示制御器8は、テレビチューナにより受信したテレビジョン映像情報を、描画制御器51を用いてディスプレイ5に表示するとともに、テレビチューナにより受信したテレビジョン音声情報を、音声出力制御器61を用いてスピーカ6から出力する。このとき、表示制御器8は、テレビジョン装置22の各種の操作メニューもディスプレイ5に表示する。
【0012】
同様に、ラジオ装置23を選択すると、表示制御器8は、ラジオチューナにより受信したラジオ音声情報を、音声出力制御器61を用いてスピーカ6から出力する。このとき、表示制御器8は、ラジオ装置23の各種の操作メニューもディスプレイ5に表示する。また、オーディオ再生器24を選択すると、表示制御器8は、CDなどに記録された音声情報を読み出し、音声出力制御器61を用いてスピーカ6から出力する。このとき、表示制御器8は、オーディオ再生器24の各種の操作メニューもディスプレイ5に表示する。
【0013】
車両制御装置3は、内燃機関及び/又は駆動用モータなどの駆動系、ブレーキ装置などの制動系、及びステアリング装置などの操舵系のそれぞれを、運転手によるアクセルペダルの入力、運転手によるブレーキペダルの入力、及び運転手によるステアリングホイールの入力に応じて制御する。また、本例の車両は、いわゆる自律走行機能を備え、設定された一定速度を保って走行する定速走行制御、設定された速度を上限に先行車に追従走行する追従走行制御、目的地までのルートに沿った車線変更を含む自律操舵制御などを実行することができる。
【0014】
そして、車両情報取得器31は、車両制御装置3により実行される駆動系、制動系及び操舵系の各種制御の情報を取得する。車両情報取得器31により取得される車両情報としては、ハイブリッド車の充電/放電状態の情報、自律走行制御の情報、燃費/電費などが挙げられ、表示制御器8は、描画制御器51を用いてディスプレイ5に車両状態の情報を表示する。また、警告情報取得器32は、車両制御装置3により実行される駆動系、制動系及び操舵系の各種制御において、予め定められた正常範囲を超える場合に発生する警告情報を取得する。警告情報取得器32により取得される警告情報としては、各機器の故障、バッテリの充電量不足などが挙げられ、表示制御器8は、描画制御器51を用いてディスプレイ5に警告情報を表示する。
【0015】
通信装置4は、電話回線を含む電気通信回線網に接続可能とされ、電話機41を用いて電話回線により通話することができる。電話機41により通話する場合、通話相手の音声は、音声出力制御器61を介してスピーカ6から車内に出力され、自分の音声は、マイクロフォン7で集音され、音声入力制御器71を介して電話機41に入力されたのち通話相手に送信される。また、車載されたコンピュータ(不図示)に、メーラ42やウェブブラウザ43がインストールされ、メーラ42を用いて電子メールなどのメッセージの送受信を行うことができ、ウェブブラウザ43を用いて、ソーシャルネットワークへの接続、メッセージの送受信、その他情報検索を行うことができる。そして、表示制御器8は、電話の着信時や通話中、メッセージの送受信、ウェブの検索中などに、種々の情報をディスプレイに表示する。この表示については後述する。
【0016】
ディスプレイ5は、タッチパネル式液晶ディスプレイなどで構成され、車内のたとえばセンターコンソールボックスに収納されている。表示制御器8からの表示指令が描画制御器51に入力されることで、ディスプレイ5には、そのときに起動した各種の装置、すなわちナビゲーション装置2の地図情報、テレビジョン装置22、ラジオ装置23、オーディオ再生器24、車両制御装置3から情報を取得する車両情報取得器31、同じく車両制御装置3から情報を取得する警告情報取得器32、電話機41、メーラ42、ウェブブラウザ43といった各種の装置のソフトウェアに応じた情報が表示される。
【0017】
図3Aは、ナビゲーション装置2を起動し、目的地を入力してルート案内をしている状態のディスプレイ5の表示画面の一例を示す図である。同図に示すように、ディスプレイ5には、地図データベース21から読み出された自車両の現在位置の周辺の地図情報52と、自車両の現在位置を示すマーク53と、表示された地図情報を拡大又は縮小するボタン54と、方位磁針55とが表示されている。また、地図情報の道路には、目的地までのルートが特定の色で表示されている(同図には太線で示す)。そして、自車両が移動するにしたがい、自車両の現在位置が例えばディスプレイ5の中心に位置するように地図情報52も徐々に移動するように表示される。運転手は、ディスプレイ5に表示された自車両の現在位置を示すマーク53と、目的地までのルートとが示された地図情報を見ながら、この先の進路を決定することになる。このように、ナビゲーション装置2により表示される地図情報やルート案内情報は、自車両の進路を選択するうえで重要な情報となる。
【0018】
図3Bは、ラジオ装置23を起動し、AM放送のうちの特定の番組を選択した状態のディスプレイ5の表示画面の一例を示す図である。同図に示すように、ディスプレイ5には、たとえば予め5つの放送局の周波数が設定された選局ボタン56と、選択する周波数を任意の周波数に設定することができる周波数の増減スイッチ57と、選択する周波数を上昇方向又は下降方向にスキャンして受信感度が強い放送局を検出するスキャンボタン58と、現在選局した放送局の周波数及び番組名59と、が表示されている。ラジオ装置23やオーディオ再生器24は、映像を伴わない音声情報だけを出力する装置であるため、これらラジオ装置23やオーディオ再生器24によりディスプレイ5に表示される情報は、放送局の選択操作といった時にのみ必要とされるが、一旦選局したら、それ以上の必要性はない情報となる。
【0019】
図3Aに示すナビゲーション装置2の地図情報の表示や、図3Bに示すラジオ装置23の表示以外にも、テレビジョン装置22を起動すると、起動初期画面として、選局すべき放送局などが表示されたのち、選局した放送局からの映像情報がディスプレイ5に表示される。また、車両情報取得器31を起動すると、ユーザの選択に応じて、ハイブリッド車の充電/放電状態の情報や自律走行制御の情報などがディスプレイ5に表示される。また、電話機41のソフトウェアを起動すると、電話をかけるためのテンキーや予め記憶させている電話帳リストのほか、通話中にあっては通話時間などがディスプレイ5に表示される。また、メーラ42やウェブブラウザ43を起動すると、そのメーラ42やウェブブラウザ43のメニュー画面がディスプレイ5に表示される。
【0020】
本実施形態のディスプレイ5は、一つの装置のソフトウェアを起動している場合に、他の装置のソフトウェアが起動すると、ディスプレイ5に、当該他の装置のソフトウェアによる情報を、小さく又は大きく表示する。ここで、一つの装置のソフトウェアを起動している場合としては、ナビゲーション装置2の地図情報、テレビジョン装置22、ラジオ装置23、オーディオ再生器24、車両制御装置3から情報を取得する車両情報取得器31といった各種装置のソフトウェアを起動している場合が挙げられる。また、他の装置のソフトウェアとしては、通話又はメッセージ受信の少なくともいずれか一つの機能を有する連絡用ソフトウェア、たとえば車両制御装置3から情報を取得する警告情報取得器32、電話機41、メーラ42、ウェブブラウザ43といった装置のソフトウェアが挙げられる。そして、本実施形態の表示制御器8は、現在ディスプレイ5に情報を表示しているソフトウェアに応じて、連絡用ソフトウェアによる情報の表示形態を、現在ディスプレイ5に表示しているソフトウェアの表示領域の一部に表示する第1表示形態、又は当該第1表示形態より表示面積が大きい第2表示形態のいずれか一方に決定する。
【0021】
たとえば、ナビゲーション装置2のソフトウェアを起動し、ディスプレイ5に、地図情報と目的地までのルートを表示しているときに、電話機41に電話がかかってくると、スピーカ6から呼び出し音を出力するとともに、ディスプレイ5に当該通話に関係する情報を表示する。図4Aは、ナビゲーション装置2を起動している場合に電話の着信があったときのディスプレイ5の表示画面の一例を示す図、図4Bは、ナビゲーション装置2を起動している場合に電話の着信があり、通話を継続しているときのディスプレイの表示画面の一例を示す図である。本実施形態の表示制御器8は、電話機41の着信を検出するとともに、現在ディスプレイ5に情報を表示しているソフトウェアが何かを検出する。そして、表示制御器8は、現在ディスプレイ5に情報を表示しているソフトウェアが、ナビゲーション装置2の地図情報と目的地までのルート案内であることを検出した場合には、図4Aに示すように、電話機41の着信情報P1の表示形態を第1表示形態(現在ディスプレイ5に情報を表示しているソフトウェアの表示領域の一部に表示する形態)に決定し、これを表示する。この電話機41の着信情報P1、すなわち連絡用ソフトウェアによる情報は、液晶ディスプレイで構成されたディスプレイ5の、現在表示されているソフトウェアによる表示画面の上のレイヤーに、サブ画面として表示される。
【0022】
これに対して、たとえばラジオ装置23を起動し、ディスプレイ5に、図3Bに示すようなラジオ装置23の制御情報を表示しているときに、電話機41に電話がかかってくると、スピーカ6から呼び出し音を出力するとともに、ディスプレイ5に当該通話に関係する情報を表示する。図5Aは、ラジオ装置23を起動している場合に電話の着信があったときのディスプレイ5の表示画面の一例を示す図、図5Bは、ラジオ装置を起動している場合に電話の着信があり、通話を継続しているときのディスプレイ5の表示画面の一例を示す図である。本実施形態の表示制御器8は、電話機41の着信を検出するとともに、現在ディスプレイ5に情報を表示しているソフトウェアが何かを検出する。そして、表示制御器8は、現在ディスプレイ5に情報を表示しているソフトウェアが、ラジオ装置23のソフトウェアであることを検出した場合には、図5Aに示すように、電話機41の着信情報P3の表示形態を第2表示形態(図4Aに示す着信情報P1の第1表示形態より表示面積が大きい形態)に決定し、これを表示する。この電話機41の着信情報P3、すなわち連絡用ソフトウェアによる情報は、液晶ディスプレイで構成されたディスプレイ5の、現在表示されているソフトウェアによる表示画面の上のレイヤーに、サブ画面として表示される。
【0023】
また、たとえば、ナビゲーション装置2のソフトウェアを起動し、ディスプレイ5に地図情報を表示しているときに、電子メールを受信すると、スピーカ6からメール受信音を出力するとともに、ディスプレイ5に当該メールの受信に関係する情報を表示する。図6Aは、ナビゲーション装置2を起動している場合に、電子メールを受信したときのディスプレイ5の表示画面の一例を示す図、図6Bは、図6Aに示す状態から確認ボタンを押して電子メールの内容を表示したときのディスプレイ5の表示画面の一例を示す図である。本実施形態の表示制御器8は、メーラ42による電子メールの受信を検出するとともに、現在ディスプレイ5に情報を表示しているソフトウェアが何かを検出する。そして、表示制御器8は、現在ディスプレイ5に情報表示しているソフトウェアが、ナビゲーション装置2のソフトウェアであることを検出した場合には、図6Aに示すように、メーラ42の受信情報P5の表示形態を第1表示形態(現在ディスプレイ5に表示しているソフトウェアの表示領域の一部に表示する形態)に決定し、これを表示する。このメーラ42の受信情報P5、すなわち連絡用ソフトウェアによる情報は、液晶ディスプレイで構成されたディスプレイ5の、現在表示されているソフトウェアによる表示画面の上のレイヤーに、サブ画面として表示される。
【0024】
本実施形態の表示制御器8は、現在ディスプレイ5に情報を表示しているソフトウェア、すなわちナビゲーション装置2、テレビジョン装置22、ラジオ装置23、オーディオ再生器24、車両情報取得器31の各ソフトウェアに応じて、連絡用ソフトウェア、すなわち警告情報取得器32、電話機41、メーラ42、ウェブブラウザ43の各ソフトウェアのディスプレイ5への表示形態を、第1表示形態か第2表示形態のいずれかに決定する。この場合、現在ディスプレイ5に情報を表示しているソフトウェアの種類に応じて、連絡用ソフトウェアの表示形態を決定してもよいし、現在ディスプレイ5に情報を表示しているソフトウェアが特定の機能を実行しているか否かに応じて、連絡用ソフトウェアの表示形態を決定してもよい。またはこれに代えて、運転手などのユーザが、現在ディスプレイ5に情報を表示しているソフトウェアの種類に応じて、連絡用ソフトウェアの表示形態を決定(カスタマイズ)してもよい。
【0025】
現在ディスプレイ5に情報を表示しているソフトウェアの種類に応じて、連絡用ソフトウェアの表示形態を決定する場合、表示制御器8は、現在ディスプレイ5に情報を表示しているソフトウェアが、連絡用ソフトウェアに比べて情報の表示が優先されるソフトウェアであるか否かを判定する。そして、表示制御器8は、現在ディスプレイ5に情報を表示しているソフトウェアが、情報の表示が優先されるソフトウェアであると判定された場合には、連絡用ソフトウェアによる情報の表示形態を第1表示形態に決定し、逆に現在ディスプレイ5に情報を表示しているソフトウェアが、情報の表示が優先されるソフトウェアでないと判定された場合には、連絡用ソフトウェアによる情報の表示形態を第2表示形態に決定する。
【0026】
現在ディスプレイ5に情報を表示しているソフトウェアが、連絡用ソフトウェアに比べて情報の表示が優先されるソフトウェアであるか否かは、予め複数のソフトウェア間で優先度を決定して記憶しておけばよい。たとえば、ナビゲーション装置2のソフトウェアによる地図表示および目的地までのルートを表示する情報は、電話機41の着信情報P1,P3やメーラ42の受信情報P5に比べると、運転中である場合は特に、優先されるべきものである。優先されるべきものであるかどうかの判断は、一例として、運転手に対する重要度を基準に判断することができる。したがって、図4Aに示すように、ナビゲーション装置2のソフトウェアを起動し、ディスプレイ5に地図情報と目的地までのルートを表示しているときに、電話機41に電話がかかってきた場合には、当該着信情報P1を第1表示形態でディスプレイ5に表示する。このとき、着信情報P1の表示位置を、自車両の現在位置を示すマーク53や目的地までのルート(同図に太線で示す道路)に干渉しない位置に制御することが望ましい。これにより、運転手は、現在位置周辺と進行先の地図情報の知得を邪魔されることなく、電話機41の受信を知ることができる。
【0027】
ただし、連絡用ソフトウェアのうち、機器の故障や燃料切れといった警告情報取得器32による警告情報は、たとえ運転中であっても、ナビゲーション装置2の地図情報と目的地までのルートを表示するソフトウェアに比べて優先されるべきものである。したがって、ナビゲーション装置2のソフトウェアを起動し、ディスプレイ5に地図情報と目的地までのルートを表示しているときに、警告情報取得器32により何らかの車両の警告情報を受信した場合には、当該警告情報を第2表示形態でディスプレイ5に表示する。
【0028】
これに対して、たとえばラジオ装置23のソフトウェアを起動した場合にディスプレイ5に表示される情報は、電話機41の着信情報P1,P3やメーラ42の受信情報P5に比べると、優先されるべきものとは言えない。ラジオ装置23のソフトウェアを起動した場合にディスプレイ5に表示される情報は、放送局の選択操作といった時にのみ必要とされるものであり、一旦選局したら、それ以上の必要性はない情報となるからである。したがって、図5Aに示すように、ラジオ装置23のソフトウェアを起動し、ディスプレイ5にラジオ装置23の制御情報を表示しているときに、電話機41に電話がかかってきた場合には、当該着信情報P3を第2表示形態でディスプレイ5に表示する。
【0029】
また、ナビゲーション装置2の地図情報と目的地までのルートをディスプレイ5に表示している場合であっても、車両が、目的地までのルートに沿った車線変更を含む自律走行制御機能を実行中には、運転手は、ディスプレイ5に表示された地図情報と目的地までのルートを注視ながら手動運転する必要がない。このように、手動運転に比べて運転手の運転負荷が小さい場合に、電話機41に電話がかかってきたときは、図5Aに示すように、当該着信情報P3を第2表示形態でディスプレイ5に表示してもよい。
【0030】
現在ディスプレイ5に情報を表示しているソフトウェアが、特定の機能を実行しているか否かに応じて連絡用ソフトウェアの表示形態を決定する場合、表示制御器8は、現在ディスプレイ5に情報を表示しているソフトウェアが、特定の機能を実行しているか否かを判定する。そして、表示制御器8は、現在ディスプレイ5に情報を表示しているソフトウェアが、特定の機能を実行していると判定された場合には、連絡用ソフトウェアによる情報の表示形態を第1表示形態に決定し、逆に現在ディスプレイ5に情報を表示しているソフトウェアが、特定の機能を実行していないと判定された場合には、連絡用ソフトウェアによる情報の表示形態を第2表示形態に決定する。
【0031】
たとえば、ナビゲーション装置2は、地図情報及び自車両の現在位置を表示する機能と、これに加えて目的地までのルート案内を行う機能とを備えるが、目的地までのルート案内を行う機能を、ここでいう特定の機能とする。そして、現在ディスプレイ5に情報を表示しているソフトウェアが、目的地までのルート案内を行う機能を実行していると判定された場合には、連絡用ソフトウェアによる情報の表示形態を第1表示形態に決定し、目的地までのルート案内を行う機能を実行していないと判定された場合には、連絡用ソフトウェアによる情報の表示形態を第2表示形態に決定する。
【0032】
ちなみに、現在ディスプレイ5に表示されている情報に重畳して、連絡用ソフトウェアにより表示される情報は、特に限定されないが、電話機41の着信情報である場合、電話機41に着信があった旨の情報、具体的には、図4Aに示す「受話」、「終話」、「保留」の各入力ボタン、及び通話相手の氏名「日産太郎」である。または、図4Bの右上に示すように、通話中である旨の情報、具体的には、「通話中」、相手の電話番号「090-1234-5678」、通話時間「00:08」である。
【0033】
また、現在ディスプレイ5に表示されている情報に重畳して、連絡用ソフトウェアにより第2表示形態として表示される情報は、第1表示形態で表示する場合に比べ、連絡用ソフトウェアのオプション操作又は相手の属性情報が多く設定されていることが望ましい。たとえば、連絡用ソフトウェアによる情報としての電話機41の着信情報について言えば、第1表示形態で表示する場合には、図4Aに示す「受話」、「終話」、「保留」の各入力ボタン、及び通話相手の氏名「日産太郎」を含む着信情報P1である。これに対し、第2表示形態で表示する場合には、たとえば図5Aに示す着信時には、着信情報P3として、相手の氏名(図4Aに示す着信情報P1)だけでなく、電話番号、顔写真、及び電話の種別などの属性情報も表示するとともに、着信に対する「応答」ボタンと「拒否」ボタンといったオプション操作も表示する。また、図5Bに示す通話中においては、通話中情報P4として、相手の電話番号(図4Bに示す通話中情報P2)だけでなく、氏名、顔写真、及び電話の種別などの属性情報も表示するとともに、通話をハンドセットにより行う「ハンドセット」ボタンと「キーパッド」ボタンといったオプション操作も表示する。
【0034】
また、現在ディスプレイ5に表示されている情報に重畳して、連絡用ソフトウェアによる情報の表示を第2表示形態で表示する場合には、現在ディスプレイ5に表示しているソフトウェアの操作が不能な状態で表示することが望ましい。たとえば、図5Aに示すように、電話機41の着信情報P3を第2表示形態で表示する場合、その背面に表示されているラジオ装置23の制御画面のうち、5つの放送局の周波数が示された選局ボタン56、選択する周波数を任意の周波数に設定する周波数の増減スイッチ57、選択する周波数を上昇方向又は下降方向にスキャンして受信感度が強い放送局を検出するスキャンボタン58などの入力ボタンからの入力情報を受け付けない。
【0035】
次に、本実施形態の表示制御器8の情報処理について説明する。図2は、図1の表示制御器8にて実行される表示制御方法を示すフローチャートである。まず、ステップS1にて、表示制御器8が、電話機41の着信又はメーラ42若しくはウェブブラウザ43(SNSなどの受信機能)のメッセージ受信を検出したら、ステップS2へ進み、ステップS1における検出が、電話の着信か否かを判定する。そして、電話の着信である場合はステップS3へ進み、電話の着信ではなくメーラ42又はウェブブラウザ43によるメッセージの受信である場合はステップS10へ進む。なお、ステップS10からS13までの処理内容は後述する。
【0036】
ステップS3では、現在ディスプレイ5に情報を表示しているソフトウェアが、ナビゲーション装置2のソフトウェアか否かを判定し、ナビゲーション装置2のソフトウェアである場合はステップS4へ進み、ナビゲーション装置2以外のソフトウェアである場合はステップS14へ進む。ステップS4では、ナビゲーション装置2のソフトウェアにおいて、目的地までのルート案内を実行中か否かを判定し、ルート案内を実行中である場合はステップS5へ進み、ルート案内を実行中でない場合はステップS14へ進む。なお、ステップS14からS17までの処理内容は後述する。
【0037】
ステップS5では、現在のディスプレイ5には、ナビゲーション装置2のソフトウェアにより地図情報とルート案内の情報が表示されているので、この表示を優先するために、図4Aに示すように、電話の着信があった旨の着信情報P1を、画面の下部に、小さい面積の第1表示形態で表示する。これにより、運転手などのユーザは、「日産太郎」から着信があったことを知得する。この着信に応答する場合、ユーザは、着信情報P1の受話ボタンをONし(又は図示しないステアリングホイールなどに設けられた受話ボタンをONし)、拒否する場合はそのまま放置する。ステップS6にて、着信に応答するために受話ボタンをONしたと判定した場合には、ステップS7へ進み、拒否するために放置したと判定した場合には、ステップS8へ進む。
【0038】
ステップS7では、図4Bに示すように、ディスプレイ5の下部に着信情報P1を表示したまま、通話中である旨の表示と、相手の電話番号と、通話時間とを含む通話中情報P2を、たとえばディスプレイ5の右上の地図情報を遮らない部分に、小さい面積の第1表示形態で表示する。なおここで、運転手などのユーザが、所定のボタンをONしたら、図5Bに示すような第2表示形態の通話中情報P4に表示を変更してもよい。
【0039】
ステップS8では、ユーザが着信情報P1の終話ボタンをONしたか否かを判定し、終話ボタンをONした場合にはステップS9へ進み、終話ボタンをONしていない場合にはステップS7の処理を継続する。ステップS9では、それまで表示していた連絡用ソフトウェア(電話機41又はメーラ42若しくはウェブブラウザ43)による表示を消去し、表示制御処理を終了する。
【0040】
ステップS3に戻り、現在ディスプレイ5に情報を表示しているソフトウェアが、ナビゲーション装置2以外のソフトウェアである場合、たとえばラジオ装置23のソフトウェアである場合は、ステップS14へ進む。また、ステップS3にて、現在ディスプレイ5に情報を表示しているソフトウェアが、ナビゲーション装置2のソフトウェアではあるが、ステップS4にて、目的地までのルート案内の機能を実行中でないと判定された場合も、ステップS14へ進む。
【0041】
このステップS14では、現在のディスプレイ5には、ナビゲーション装置2以外のソフトウェアによる情報の表示又はナビゲーション装置2のソフトウェアによる表示であってもルート案内の実行を伴わない地図情報のみの表示がされているだけである。そのため、連絡用ソフトウェアによる情報の表示を優先するために、図5Aに示すように、電話の着信があった旨の着信情報P3を、画面のほぼ全面に、大きい面積の第2表示形態で表示する。この着信情報P3としては、図4Aに示す着信情報P1のように相手の氏名だけでなく、電話番号、顔写真、及び電話の種別などの属性情報も表示するとともに、着信に対する「応答」ボタンと「拒否」ボタンといったオプション操作も表示する。これにより、運転手などのユーザは、「日産太郎」から着信があったことに加え、電話番号、顔写真、及び電話の種別などの属性情報をも知得することができる。また、図4Aに示す「受話」、「終話」、「保留」の各入力ボタンに加え、着信の拒否ボタンも追加されているので、「只今運転中につき応答できませんので、おかけ直し下さい」といった拒否メッセージを自動的に送信など、電話の相手に対する応答の自由度を広げることができる。
【0042】
運転手などのユーザは、電話の着信に応答する場合は、図5Aに示す着信情報P3の応答ボタンをONし(又は図示しないステアリングホイールなどに設けられた応答ボタンをONし)、拒否する場合は拒否ボタンをONする。ステップS15にて、着信に応答するために応答ボタンをONしたと判定した場合には、ステップS16へ進み、拒否するために拒否ボタンをONしたと判定した場合には、ステップS17へ進む。
【0043】
ステップS16では、図5Bに示すように、ディスプレイ5のほぼ全面に、それまでの着信情報P3に代えて、通話中である旨の表示と、相手の電話番号と、電話の種別と、顔写真と、終話ボタンと、消音ボタンと、ハンドセットボタンと、キーパッドボタンとを含む通話中情報P4を、大きい面積の第2表示形態で表示する。
【0044】
ステップS17では、ユーザが通話中情報P4の終話ボタンをONしたか否かを判定し、終話ボタンをONしたと判定された場合にはステップS9へ進み、終話ボタンをONしていないと判定された場合にはステップS16の処理を継続する。ステップS9では、それまで表示していた連絡用ソフトウェア(電話機41又はメーラ42若しくはウェブブラウザ43)による表示を消去し、表示制御処理を終了する。
【0045】
ステップS2へ戻り、ステップS1の処理がメーラ42又はウェブブラウザ43によるメッセージ受信である場合は、ステップS10へ進み、図6Aに示すように、メッセージの受信があった旨の受信情報P5を、画面の下部に、小さい面積の第1表示形態で表示する。これにより、運転手などのユーザは、「日産太郎」からメーラ42又はウェブブラウザ43によるメッセージの受信があったことを知得する。メーラ42又はウェブブラウザ43によるメッセージの受信は、電話の着信に比べ、すぐに応答する必要が少ないという意味で、緊急性が低い。そのため、受信情報P5に確認ボタンを設け、この確認ボタンをONすれば、図6Bに示すように、メッセージの内容を、第1表示形態で表示した受信情報P5の面積より大きい面積の第2表示形態で表示し、確認ボタンをONしない場合には所定時間を経過したら図6Aに示す受信情報P5の表示を消去する。
【0046】
すなわち、図2のステップS11では、ユーザが受信情報P5の確認ボタンをONしたか否かを判定し、ONした場合にはステップS12へ進み、ONしない場合はステップS13へ進む。ステップS12では、図6Bに示すように、受信したメッセージの内容を大きい面積の第2表示形態で表示する。ステップS13では、所定時間が経過したか否かを判定し、所定時間が経過した場合はステップS9へ進み、図6Aの受信情報P5又は図6Bのメッセージの内容P6を消去し、表示制御処理を終了する。
【0047】
以上のとおり、本実施形態のディスプレイの表示制御方法および装置を適用した車両1によれば、現在ディスプレイ5に情報を表示しているソフトウェアに応じて、連絡用ソフトウェアによる情報の表示形態を、前記現在ディスプレイに情報を表示しているソフトウェアの表示領域の一部に表示する第1表示形態、又は前記第1表示形態より表示面積が大きい第2表示形態のいずれか一方に決定する。これにより、特定のソフトウェアにより現在ディスプレイ5に表示されている情報に応じ、適切な量の連絡用ソフトウェアによる情報を表示することができ、より柔軟性の高い表示ディスプレイの表示が可能となる。
【0048】
また本実施形態のディスプレイの表示制御方法および装置を適用した車両1によれば、現在ディスプレイ5に情報を表示しているソフトウェアが、情報の表示が優先されるソフトウェアであると判定された場合には、前記連絡用ソフトウェアによる情報の表示形態を前記第1表示形態に決定し、前記現在ディスプレイに情報を表示しているソフトウェアが、情報の表示が優先されるソフトウェアでないと判定された場合には、前記連絡用ソフトウェアによる情報の表示形態を前記第2表示形態に決定する。これにより、情報の表示が優先されるソフトウェアの場合はその表示を遮ることのない表示形態となる一方、情報の表示が優先されないソフトウェアである場合は充分な情報量が確保できる表示形態で連絡用ソフトウェアの情報を表示することができる。
【0049】
また本実施形態のディスプレイの表示制御方法および装置を適用した車両1によれば、現在ディスプレイ5に情報を表示しているソフトウェアが、地図を表示する機能と目的地までのルート案内を行う機能とを有するソフトウェアであると判定された場合には、前記連絡用ソフトウェアによる情報の表示形態を前記第1表示形態に決定し、前記現在ディスプレイ5に情報を表示しているソフトウェアが、地図を表示する機能と目的地までのルート案内を行う機能とを有するソフトウェアでないと判定された場合には、前記連絡用ソフトウェアによる情報の表示形態を前記第2表示形態に決定する。これにより、地図表示と目的地までのルート案内表示を遮ることのない表示形態となる一方、地図表示および目的地までのルート案内表示がされない場合は、充分な情報量が確保できる表示形態で連絡用ソフトウェアの情報を表示することができる。
【0050】
また本実施形態のディスプレイの表示制御方法および装置を適用した車両1によれば、現在ディスプレイ5に情報を表示しているソフトウェアが、前記特定の機能を実行していると判定された場合には、前記連絡用ソフトウェアによる情報の表示形態を前記第1表示形態に決定し、前記現在ディスプレイ5に情報を表示しているソフトウェアが、前記特定の機能を実行していないと判定された場合には、前記連絡用ソフトウェアによる情報の表示形態を前記第2表示形態に決定する。これにより、特定の機能を実行した場合の表示を遮ることのない表示形態となる一方、特定の機能を実行した場合の表示がされないときは、充分な情報量が確保できる表示形態で連絡用ソフトウェアの情報を表示することができる。
【0051】
また本実施形態のディスプレイの表示制御方法および装置を適用した車両1によれば、現在ディスプレイ5に情報を表示しているソフトウェアが、前記目的地までのルート案内を行う機能を実行していると判定された場合には、前記連絡用ソフトウェアによる情報の表示形態を前記第1表示形態に決定し、前記現在ディスプレイ5に情報を表示しているソフトウェアが、前記目的地までのルート案内を行う機能を実行していないと判定された場合には、前記連絡用ソフトウェアによる情報の表示形態を前記第2表示形態に決定する。これにより、地図表示と目的地までのルート案内表示を遮ることのない表示形態となる一方、地図表示および目的地までのルート案内表示がされない場合は、充分な情報量が確保できる表示形態で連絡用ソフトウェアの情報を表示することができる。
【0052】
また本実施形態のディスプレイの表示制御方法および装置を適用した車両1によれば、現在ディスプレイに情報を表示しているソフトウェアのそれぞれに対する、前記連絡用ソフトウェアによる情報の表示形態を関連付けて記憶した場合、前記連絡用ソフトウェアによる電話の着信又はメッセージの受信を検出し、前記電話の着信又は前記メッセージの受信を検出した場合に、前記ディスプレイに現在表示しているソフトウェアを検出し、前記現在ディスプレイに情報を表示しているソフトウェアに関連付けて記憶された前記連絡用ソフトウェアによる情報の表示形態を取得し、連絡用ソフトウェアによる情報の表示形態を取得した現在ディスプレイに情報を表示しているソフトウェアに関連付けて記憶された表示形態に優先的に決定する。これにより、現在ディスプレイに情報を表示しているソフトウェアに対する、前記連絡用ソフトウェアによる情報の表示形態を関連付けて記憶した場合、連絡用ソフトウェアによる情報の表示形態が、記憶された現在ディスプレイに情報を表示しているソフトウェアに対する最適な表示形態で表示することが可能となる。
【0053】
また本実施形態のディスプレイの表示制御方法および装置を適用した車両1によれば、現在ディスプレイに情報を表示しているソフトウェアに対する連絡用ソフトウェアによる情報の表示形態は、前記ソフトウェアを使用するユーザにより設定された場合、前記連絡用ソフトウェアによる情報の表示形態を、前記ソフトウェアを使用するユーザにより設定された前記現在ディスプレイに情報を表示しているソフトウェアに対する前記連絡用ソフトウェアによる情報の表示形態に、優先的に決定する。これにより、ユーザの嗜好に応じた連絡用ソフトウェアの情報の表示形態とすることができる。
【0054】
また本実施形態のディスプレイの表示制御方法および装置を適用した車両1によれば、現在ディスプレイに情報を表示しているソフトウェアが、前記目的地までのルート案内を行う機能を実行しているか否かを判定し、前記目的地までのルート案内を行う機能を実行していると判定された場合には、前記連絡用ソフトウェアによる情報の表示位置を、前記ルート案内の表示位置と干渉しない位置に設定する。これにより、連絡用ソフトウェアの情報が、少なくともルート案内の表示位置に干渉しないので、運転手は、この先の走行ルートをディスプレイ5の表示から認識することができる。
【0055】
また本実施形態のディスプレイの表示制御方法および装置を適用した車両1によれば、自律走行制御機能が実行されていると判定された場合には、前記連絡用ソフトウェアによる情報の表示形態を前記第2表示形態に優先的に決定する。これにより、運転負荷が相対的に小さい場合に、連絡用ソフトウェアの情報に関し十分な情報量の表示を行うことができる。
【0056】
また本実施形態のディスプレイの表示制御方法および装置を適用した車両1によれば、連絡用ソフトウェアの前記第2表示形態による情報は、前記第1表示形態で表示する場合に比べ、前記連絡用ソフトウェアのオプション操作又は相手の属性情報が多く設定されている。これにより、連絡用ソフトウェアの情報に関し、より一層十分な情報量の表示を行うことができる。
【符号の説明】
【0057】
1…車両
2…ナビゲーション装置
21…地図データベース
22…テレビジョン装置
23…ラジオ装置
24…オーディオ再生器
3…車両制御装置
31…車両情報取得器
32…警告情報取得器
4…通信装置
41…電話機
42…メーラ
43…ウェブブラウザ
5…ディスプレイ
51…描画制御器
52…地図情報
53…自車両の現在位置を示すマーク
54…拡大・縮小ボタン
55…方位磁針
56…選局ボタン
57…周波数の増減スイッチ
58…スキャンボタン
59…現在選局した放送局の周波数及び番組名
6…スピーカ
61…音声出力制御器
7…マイクロフォン
71…音声入力制御器
8…表示制御器
P1,P3…着信情報
P2,P4…通話中情報
P5…受信情報
P6…メッセージの内容
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B