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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-04
(45)【発行日】2023-09-12
(54)【発明の名称】ハイブリッド車両
(51)【国際特許分類】
   B60K 6/40 20071001AFI20230905BHJP
   B60K 6/46 20071001ALI20230905BHJP
   B60K 6/54 20071001ALI20230905BHJP
   B60L 15/20 20060101ALI20230905BHJP
   B60L 50/10 20190101ALI20230905BHJP
【FI】
B60K6/40 ZHV
B60K6/46
B60K6/54
B60L15/20 S
B60L50/10
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2023506374
(86)(22)【出願日】2021-03-15
(86)【国際出願番号】 JP2021010281
(87)【国際公開番号】W WO2022195646
(87)【国際公開日】2022-09-22
【審査請求日】2023-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】阿部 裕
(72)【発明者】
【氏名】濱本 高行
【審査官】佐々木 淳
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-161053(JP,A)
【文献】特開2013-172574(JP,A)
【文献】特開2010-88224(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 6/20- 6/547
B60L 1/00-58/40
B60W 10/00-20/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動輪に接続されたドライブシャフトと、
上記ドライブシャフトに同軸に取り付けられた電動機と、
上記電動機と同軸に配置されたギヤボックスと、
上記電動機に供給される電力を発電する発電機と、
上記発電機を駆動する内燃機関と、
車両の下面を覆うフロアパネルと、を有し、
上記ギヤボックスは、上記電動機の回転を変速して上記ドライブシャフトに伝達し、
上記電動機は、ドライブシャフト軸方向に沿って上記ギヤボックスとの間に間隙を形成するよう配置され、
上記フロアパネルは、車両前後方向に沿って延びるフロアトンネルを備え、
上記電動機と上記ギヤボックスは、上記電動機と上記ギヤボックスとの間隙が、ドライブシャフト軸方向で上記フロアトンネルと重なり合うように配置されるハイブリッド車両。
【請求項3】
上記内燃機関と上記発電機は、上記ドライブシャフトよりも車両前方側に配置され、
上記電動機と上記ギヤボックスは、上記電動機と上記ギヤボックスとの間隙が、上記内燃機関と対向するよう配置されている請求項1に記載のハイブリッド車両。
【請求項4】
上記内燃機関からの排気が流れる排気管は、上記電動機と上記ギヤボックスとの間隙を通るように配置される請求項3に記載のハイブリッド車両。
【請求項5】
上記電動機と上記排気管の間に遮熱板が配置されている請求項4に記載のハイブリッド車両。
【請求項6】
上記排気管は、上記電動機と上記ギヤボックスとの間隙において上記ドライブシャフトよりも上方側に配置される請求項4または5に記載のハイブリッド車両。
【請求項7】
ハーネス及び上記内燃機関の燃料配管は、上記電動機と上記ギヤボックスとの間隙において上記ドライブシャフトよりも下方側に配置される請求項6に記載のハイブリッド車両。
【請求項8】
上記電動機と上記ギヤボックスは、ブラケットにより連結されている請求項7に記載のハイブリッド車両。
【請求項9】
上記ブラケットは、マウントインシュレータを介して車体に結合されている請求項8に記載のハイブリッド車両。
【請求項10】
上記ブラケットは、上記燃料配管や上記ハーネスの下側から上記電動機及び上記ギヤボックスに取り付けられている請求項8または9に記載のハイブリッド車両。
【請求項11】
上記電動機と同軸に配置されたインバータを有し、
上記電動機は、一端側が上記ギヤボックスに対向し、他端側に上記インバータが隣接している請求項4~10のいずれかに記載のハイブリッド車両。
【請求項12】
上記ギヤボックスは、外径が上記電動機と同一外径となるよう形成されている請求項1、3~11のいずれかに記載のハイブリッド車両。
【請求項13】
上記ドライブシャフトは、後輪用である請求項1、3~12のいずれかに記載のハイブリッド車両。
【請求項14】
上記ドライブシャフトは、ギヤボックス側駆動輪に動力を伝達する上記ギヤボックス側駆動輪のドライブシャフトと、上記ギヤボックス側駆動輪のドライブシャフトと同軸に配置され、電動機側駆動輪に動力を伝達する上記電動機側駆動輪のドライブシャフトと、を有し、
上記電動機は、上記電動機側駆動輪のドライブシャフトが貫通する中空形状の回転軸を有し、
上記ギヤボックスは、上記ギヤボックス側駆動輪のドライブシャフト及び上記電動機側駆動輪のドライブシャフトが接続されるディファレンシャルギヤと、上記ディファレンシャルギヤに上記電動機の回転を減速して伝達する減速ギヤと、を有し、
上記ギヤボックス側駆動輪のドライブシャフトと上記電動機側駆動輪のドライブシャフトは、上記ギヤボックス内のディファレンシャルギヤに接続され、
上記電動機の回転軸は、上記ギヤボックス内の減速ギヤに接続されている請求項1、3~13のいずれかに記載のハイブリッド車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド車両に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、ドライブシャフトの上方に駆動モータが配置されたハイブリッド車両が開示されている。
【0003】
しかしながら、特許文献1のハイブリッド車両は、ドライブシャフトよりも高い位置に重量の重い駆動モータが配置されるため、車両としての重心が高くなり、車両安定性が悪化する虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-67132号公報
【発明の概要】
【0005】
本発明のハイブリッド車両は、ドライブシャフトに同軸に取り付けられた電動機がドライブシャフト軸方向に沿ってギヤボックスまたは第2電動機との間に間隙を形成するよう配置されている。
【0006】
ハイブリッド車両は、電動機がドライブシャフトと同軸に配置されているので、電動機を低い位置に搭載でき、車両の低重心化により車両安定性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係るハイブリッド車両の前部構造を車両後方側から見た説明図。
図2】本発明に係るハイブリッド車両の前部構造を車両上方から見た説明図。
図3】本発明に係るハイブリッド車両の動力伝達系統の概略を模式的に示した説明図。
図4】本発明に係るハイブリッド車両の他の実施例を模式的に示した説明図。
図5】本発明に係るハイブリッド車両の他の実施例を模式的に示した説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0009】
図1図3は、本発明が適用された前輪駆動のハイブリッド車両の前部構造の概略を模式的に示す説明図である。図1は、ハイブリッド車両の前部構造を車両後方側から見た説明図(背面図)である。図2は、ハイブリッド車両の前部構造を車両上方から見た説明図(平面図)である。図3は、ハイブリッド車両の動力伝達系統の概略を模式的に示した説明図である。
【0010】
ハイブリッド車両は、車両前部のエンジンルーム内に、発電機1と、発電機1を駆動する内燃機関2と、発電機1で発電された電力を利用して駆動する駆動用モータ3と、駆動用モータ3の回転を変速してドライブシャフト4に伝達する歯車列が内蔵されたギヤボックス5と、駆動用モータ3に隣接したインバータ6と、が配置されている。
【0011】
発電機1と内燃機関2は、ハイブリッド車両の発電ユニット7を構成する。インバータ6は、発電ユニット7で発電された電力や、発電ユニット7で発電された電力を充電するバッテリ(図示せず)からの電力を駆動用モータ3に供給する。駆動用モータ3、ギヤボックス5、ドライブシャフト4は、ハイブリッド車両の左右に駆動輪に駆動力(回転力)を伝達する動力伝達系統を構成する。また、駆動用モータ3、ギヤボックス5及びブラケット19(後述)は、動力生成ユニット8を構成する。
【0012】
発電機1は、例えばロータに永久磁石を用いた同期型モータからなっている。発電機1は、内燃機関2に発生した回転エネルギーを電気エネルギーに変換し、インバータ6を介して駆動用モータ3や図示せぬバッテリに供給する。発電機1は、内燃機関2に接続されている。
【0013】
内燃機関2は、例えば火花点火内燃機関である。図1図2における符号9は、内燃機関2に接続される排気マニホールドである。図1図2における符号10は、排気マニホールド9の下流側に位置するマニホールド触媒である。マニホールド触媒10は、排気マニホールド9に隣接している。また、図1図2における符号11は、マニホールド触媒10に接続された排気管11である。排気管11は、内燃機関2からの排気が流れるものであり、内燃機関2に接続された排気通路を構成するものである。
【0014】
発電機1及び内燃機関2からなる発電ユニット7は、ドライブシャフト4よりも車両前方側に位置している。発電ユニット7は、左右のサイドメンバ12に対してそれぞれ発電ユニットマウントブラケット13及び発電ユニットマウントインシュレータ14を介して弾性支持されている。左右のサイドメンバ12は、ハイブリッド車両の車体を構成するものである。
【0015】
駆動用モータ3は、電動機に相当するものであって、ハイブリッド車両の左右の駆動輪(図示せず)を回転駆動する駆動源である。駆動用モータ3は、ドライブシャフト4にドライブシャフト4と同軸となるよう取り付けられている。駆動用モータ3は、ドライブシャフト4軸方向(車両幅方向)に沿ってギヤボックス5との間に間隙を形成するように配置されている。駆動用モータ3は、ドライブシャフト4軸方向(車両幅方向)で、一端側がギヤボックス5に対向し、他端側にインバータ6が隣接している。
【0016】
インバータ6は、駆動用モータ3と同軸に配置されている。インバータ6は、全体の外形が略円柱形状を呈する部材であって、外径が駆動用モータ3と同一外径となるよう形成されている。なお、インバータ6は、駆動用モータ3と一体に構成するようにしてもよい。
【0017】
ドライブシャフト4は、図示せぬ左右の駆動輪に接続されたものであって、ギヤボックス5が取り付けられている。
【0018】
ギヤボックス5は、ドライブシャフト4にドライブシャフト4と同軸となるよう取り付けられており、駆動用モータ3と同軸に配置されている。ギヤボックス5は、ドライブシャフト4軸方向(車両幅方向)に沿って駆動用モータ3との間に間隙を形成するように配置されている。ギヤボックス5は、外径が駆動用モータ3と同一外径となるよう形成されている。
【0019】
ここで、図3を用いてハイブリッド車両の動力伝達系統について詳述する。
【0020】
ドライブシャフト4は、右側の駆動輪に動力を伝達する右側ドライブシャフト4aと、左側の駆動輪に動力を伝達する左側ドライブシャフト4bと、を有している。右側ドライブシャフト4aと左側ドライブシャフト4bは、ギヤボックス5内に収容されたディファレンシャルギヤ15に接続されている。右側ドライブシャフト4aと左側ドライブシャフト4bは、互いに同軸となるように配置される。すなわち、右側ドライブシャフト4aの回転軸は、左側ドライブシャフト4bの回転軸と一致している。
【0021】
ギヤボックス5は、略円筒形状の中空のケーシングであり、上述したディファレンシャルギヤ15と、ディファレンシャルギヤ15に駆動用モータ3の回転を減速して伝達する減速ギヤ16と、が歯車列として内部に収容されている。ディファレンシャルギヤ15には、右側ドライブシャフト4aと左側ドライブシャフト4bが接続されている。
【0022】
駆動用モータ3は、断面形状が略円形の部材であって、回転軸(ロータ軸)17を有している。駆動用モータ3の回転軸17は、中空形状(円筒状)を呈している。本実施例においては、回転軸17の内部を左側ドライブシャフト4bが貫通している。つまり、駆動用モータ3は、左側ドライブシャフト4bに取り付けられている。駆動用モータ3の回転軸17は、ギヤボックス5の減速ギヤ16に接続される。なお、図3中の符号18は、ドライブシャフト4に取り付けられたユニバーサルジョイントである。
【0023】
再び図1図2を参照して、駆動用モータ3とギヤボックス5は、ドライブシャフト4とは別体のブラケット19により互いに連結されている。すなわちブラケット19は、駆動用モータ3とギヤボックス5の両者に結合されている。
【0024】
ブラケット19は、剛性を有する板状の部材であって、車両幅方向でハイブリッド車両の略中央に位置している。ブラケット19は、駆動用モータ3とギヤボックス5の間にあり、かつ駆動用モータ3及びギヤボックス5と重なり合う部分を有している。
【0025】
ブラケット19は、燃料配管21やハーネス22の下側から駆動用モータ3及びギヤボックス5に取り付けられている。燃料配管21は、内燃機関2に燃料を供給する配管である。ハーネス22は、例えば発電機1や駆動用モータ3に電気的に接続されるものである。
【0026】
駆動用モータ3、ギヤボックス5及びブラケット19からなる動力生成ユニット8は、マウントインシュレータ23を介して3点で第1サスペンションメンバ24と第2サスペンションメンバ25に弾性支持されている。
【0027】
詳述すると、動力生成ユニット8は、ブラケット19が第1サスペンションメンバ24に第1マウントインシュレータ23aを介して弾性支持されている。また、動力生成ユニット8は、駆動用モータ3が第2サスペンションメンバ25に第2マウントインシュレータ23bを介して弾性支持され、ギヤボックス5が第2サスペンションメンバ25に第3マウントインシュレータ23cを介して弾性支持されている。
【0028】
第1サスペンションメンバ24は、車両幅方向に沿って延びるハイブリッド車両の車体を構成する部材であり、ドライブシャフト4の下方に位置している。第2サスペンションメンバ25は、車両幅方向に沿って延びるハイブリッド車両の車体を構成する部材であり、車両前後方向で発電ユニット7とドライブシャフト4との間に位置している。第2サスペンションメンバ25は、第1サスペンションメンバ24よりも車両前後方向で車両前方側に位置している。
【0029】
マウントインシュレータ23による3つの支持点は、平面視で二等辺三角形の頂点にそれぞれ位置するように設定される。つまり、動力生成ユニット8は、3つのマウントインシュレータ23によってバランス良く車体に弾性支持されている。
【0030】
駆動用モータ3とギヤボックス5は、ドライブシャフト4軸方向(車両幅方向)に沿った駆動用モータ3とギヤボックス5との間隙26が、ドライブシャフト4軸方向(車両幅方向)でフロアパネル27のフロアトンネル28と重なり合う(オーバーラップする)ように配置されている。ハイブリッド車両は、ドライブシャフト4と同軸に配置された2部材(駆動用モータ3とギヤボックス5)が互いに離間するようにドライブシャフト4に取り付けられている。
【0031】
フロアパネル27は、ハイブリッド車両の下面を覆う部材である。フロアトンネル28は、フロアパネル27に形成された断面略U字形状(断面略逆U字形状)で車両前後方向に沿って延びる突条部分である。
【0032】
排気管11は、駆動用モータ3とギヤボックス5との間隙26を通るように配置されている。詳述すると、排気管11は、間隙26においてドライブシャフト4よりも上方側に配置される。
【0033】
駆動用モータ3とギヤボックス5との間隙26には、遮熱板29が配置されている。遮熱板29は、駆動用モータ3の一端側と排気管11との間に位置するよう配置される。遮熱板29は、例えば排気管11や駆動用モータ3に対して取り付けられる。
【0034】
燃料配管21やハーネス22は、間隙26においてドライブシャフト4より下方側に配置される。
【0035】
駆動用モータ3とギヤボックス5は、ドライブシャフト4軸方向(車両幅方向)に沿った駆動用モータ3とギヤボックス5との間隙26が、内燃機関2と対向するように配置されている。
【0036】
以上説明してきたハイブリッド車両においては、駆動用モータ3がドライブシャフト4と同軸に配置されているので、駆動用モータ3を低い位置に搭載でき、車両の低重心化により車両安定性を向上させることができる。
【0037】
また、ハイブリッド車両は、駆動用モータ3がドライブシャフト4の上方に位置するような構成に比べて、車両事故等による衝突時に電動機がエンジンルーム内の他の部品(例えばブレーキマスターシリンダ等)に衝突しにくくなる。
【0038】
ハイブリッド車両は、間隙26がドライブシャフト4軸方向(車両幅方向)でフロアパネル27のフロアトンネル28と重なり合う(オーバーラップする)ように駆動用モータ3とギヤボックス5が配置されているので、間隙26にフロアトンネル28もしくその近くを通る排気管11、内燃機関2の燃料配管21、発電機1や駆動用モータ3等に接続されるハーネス22等を通しやすくなる。
【0039】
また、ハイブリッド車両は、排気管11を内燃機関2側からフロアトンネル28に向けて直線状に配置することが可能となり、排気通路の圧力損失を低減することができる。
【0040】
ハイブリッド車両は、間隙26が内燃機関2と対向するように駆動用モータ3とギヤボックス5が配置されている。そのため、ハイブリッド車両は、内燃機関2が配置されるエンジンルーム内の熱気を間隙26を通してフロアトンネル28に流しやすくなり、総じて内燃機関2の吸気温度を下げることが可能となって充填効率向上による出力向上を図ることができる。
【0041】
ハイブリッド車両は、間隙26を利用して排気管11を配置するスペースを確保することができる。
【0042】
ハイブリッド車両は、駆動用モータ3と排気管11の間に遮熱板29が配置されているので、追加部品を最小限に抑えてコストの増加を抑制しつつ電動機の遮熱対策を実現できる。
【0043】
ハイブリッド車両は、排気管11が間隙26においてドライブシャフト4よりも上方側に配置されているので、排気管11からの熱影響を最小源に抑制することができる。
【0044】
ハイブリッド車両は、燃料配管21及びハーネス22が間隙26においてドライブシャフト4よりも下方側に配置されているので、燃料配管21やハーネス22が熱源となる排気管11の下方に配置されることになる。そのためハイブリッド車両は、燃料配管21やハーネス22の排気管11からの熱による悪影響を避けることができる。
【0045】
ハイブリッド車両は、駆動用モータ3とギヤボックス5がブラケット19により連結されているので、駆動用モータ3とギヤボックス5の剛性を向上させることができ、音振性能を向上させることができる。
【0046】
ハイブリッド車両は、互いに離間した駆動用モータ3とギヤボックス5を車体に支持する際に、駆動用モータ3とギヤボックス5に連結されたブラケット19を車体に支持することで、駆動用モータ3の支持点とギヤボックス5の支持点を一部共用化ができ、総じてマウントインシュレータ23の数を削減することが可能となる。つまり、ハイブリッド車両は、ブラケット19で駆動用モータ3とギヤボックス5とを連結することで、駆動用モータ3とギヤボックス5を車体に弾性支持するマウントインシュレータ23の数を減らすことができ、コストを低減することができる。
【0047】
ハイブリッド車両は、ブラケット19が燃料配管21やハーネス22の下側から駆動用モータ3及びギヤボックス5に取り付けられているので、ブラケット19により路面の干渉から燃料配管21やハーネス22を保護することができる。
【0048】
ハイブリッド車両は、駆動用モータ3の一端側がギヤボックス5に対向し、駆動用モータ3の他端側がインバータ6に隣接しているので、熱に弱いインバータ6が排気管11から離して配置されることになり、インバータ6の遮熱対策のための追加コストを抑制することができる。
【0049】
ハイブリッド車両は、ギヤボックス5の外径が駆動用モータ3と同一外径となるよう形成されているので、発電ユニット7と駆動用モータ3及びギヤボックス5との隙間を小さくしつつ、発電ユニット7のドライブシャフト4(駆動用モータ3及びギヤボックス5)からの車両前方側への突出量(オーバーハング)を小さくすることができる。そのため、ハイブリッド車両は、音振性能や旋回性能を向上させることができる。
【0050】
以上、本発明の具体的な実施例を説明してきたが、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。ハイブリッド車両は、ドライブシャフト4と同軸に配置された2つの部材が互いに離間するように配置されていれば、上述した実施例の間隙26に関わる作用効果を奏することが可能となる。なお、駆動用モータ3の回転軸17の外側を覆うようにカバーを設け、当該カバーによって駆動用モータ3のハウジングとギヤボックス5のケースとが連結されるようにしても良い。
【0051】
上述した実施例のハイブリッド車両は、前輪駆動車であったが、本発明は図4に示すように後輪駆動車にも適用可能である。図4は、ハイブリッド車両の後部構造の概略を模式的に示した説明図である。ハイブリッド車両は、左右の後輪に対して駆動力を伝達する後輪用ドライブシャフト41に対して、後輪駆動用モータ42と後輪用ギヤボックス43を上述した実施例のように配置してもよい。
【0052】
すなわち、後輪駆動用モータ42と後輪用ギヤボックス43は、後輪用ドライブシャフト41軸方向(車両幅方向)に沿った後輪駆動用モータ42と後輪用ギヤボックス43との間隙44が、後輪用ドライブシャフト41軸方向(車両幅方向)でフロアパネル27のフロアトンネル28と重なり合う(オーバーラップする)ように配置されている。間隙44は、上述した実施例の間隙26に相当する隙間である。
【0053】
また、後輪用ギヤボックス43は、外径が後輪駆動用モータ42と同一外径となるよう形成されている。
【0054】
そして、排気管11は、後輪駆動用モータ42と後輪用ギヤボックス43との間隙44を通り、間隙44において後輪用ドライブシャフト41よりも上方側に位置するよう配置される。
【0055】
なお、後輪用ドライブシャフト41、後輪駆動用モータ42及び後輪用ギヤボックス43の構成は、上述したドライブシャフト4、駆動用モータ3及びギヤボックス5と同一構成である。また、図4に示す例では、ハイブリッド車両の前部に、上述した発電ユニット7とインバータ6が配置されることになる。図4中の符号45は、消音用のマフラーである。
【0056】
本発明を後輪駆動車両に適用した場合、排気管11は、後輪用ドライブシャフト41を跨いで、フロアトンネル28から直線状に配置することが可能となり、排気通路の圧力損失を低減することができる。
【0057】
本発明を後輪駆動車両に適用する場合においては、上述した前輪駆動車両に適用された特徴的な構成を適宜適用可能である。
【0058】
すなわち、本発明を後輪駆動車両に適用した場合、ハイブリッド車両は、例えば、後輪駆動用モータ42と排気管11の間に遮熱板を配置してもよいし、後輪用ドライブシャフト41とは別体の後輪用ブラケット(図示せず)で後輪駆動用モータ42と後輪用ギヤボックス43を連結してもよい。
【0059】
上記後輪用ブラケットは、後輪用マウントインシュレータを介して車体に弾性支持するようにしてもよい。
【0060】
また、後輪駆動用モータ42に隣接してインバータ6を設ける場合には、後輪駆動用モータ42の一端側を後輪用ギヤボックス43に対向させ、後輪駆動用モータ42の他端側にインバータ6を後輪駆動用モータ42と同軸に配置するようにしてもよい。
【0061】
本発明は、4輪駆動車に対しても適用可能である。
【0062】
本発明は、図5に示すように、左右の駆動輪を異なる駆動用モータで駆動するハイブリッド車両に対しても適用可能である。
【0063】
図5に示す例では、ドライブシャフトが互いに切り離された(独立した)右側ドライブシャフト51と左側ドライブシャフト52とからなっている。右側ドライブシャフト51は、左側ドライブシャフト52と同軸となるよう配置されている。
【0064】
駆動用モータは、右側の駆動輪に右側ドライブシャフト51を介して駆動力(回転)を伝達する右側駆動用モータ53(右側電動機)と左側の駆動輪に左側ドライブシャフト52を介して駆動力(回転)を伝達する左側駆動用モータ54(左側電動機)とからなっている。右側駆動用モータ53は、右側ドライブシャフト51に、右側ドライブシャフト51と同軸に配置され(取り付けられ)ている。左側駆動用モータ54は、左側ドライブシャフト52に、左側ドライブシャフト52と同軸に配置され(取り付けられ)ている。右側駆動用モータ53と左側駆動用モータ54は、ドライブシャフト軸方向に沿って互いに離間するよう配置されている。
【0065】
そして、右側駆動用モータ53と左側駆動用モータ54は、ドライブシャフト軸方向(右側ドライブシャフト51軸方向または左側ドライブシャフト52軸方向)に沿った右側駆動用モータ53と左側駆動用モータ54との間隙55が、ドライブシャフト軸方向でフロアパネルのフロアトンネルと重なり合う(オーバーラップする)ように配置される。間隙55は、上述した実施例の間隙26に相当する隙間である。
【0066】
なお、図5に示す例では、右側駆動用モータ53及び左側駆動用モータ54のうちの一方が電動機に相当し、他方が第2電動機に相当する。
【0067】
図5に示す例では、上述した実施例のギヤボックス5に相当する構成は省略されているが、減速機を介して駆動用モータの出力をドライブシャフトに伝達するようにしてもよい。すなわち、ハイブリッド車両は、減速機を介して右側駆動用モータ53の出力を右側ドライブシャフト51に伝達し、減速機を介して左側駆動用モータ54の出力を左側ドライブシャフト52に伝達するようにしてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5