(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-04
(45)【発行日】2023-09-12
(54)【発明の名称】蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液、蓄電デバイスセパレータスラリー、蓄電デバイスセパレータ、蓄電デバイスセパレータ/電極積層体及び蓄電デバイス
(51)【国際特許分類】
H01M 50/403 20210101AFI20230905BHJP
H01M 50/414 20210101ALI20230905BHJP
H01M 50/42 20210101ALI20230905BHJP
H01M 50/434 20210101ALI20230905BHJP
H01M 50/443 20210101ALI20230905BHJP
H01M 50/446 20210101ALI20230905BHJP
H01M 50/451 20210101ALI20230905BHJP
H01M 50/46 20210101ALI20230905BHJP
【FI】
H01M50/403 D
H01M50/414
H01M50/42
H01M50/434
H01M50/443 M
H01M50/446
H01M50/451
H01M50/46
(21)【出願番号】P 2023528076
(86)(22)【出願日】2022-09-15
(86)【国際出願番号】 JP2022034570
(87)【国際公開番号】W WO2023053989
(87)【国際公開日】2023-04-06
【審査請求日】2023-05-10
(31)【優先権主張番号】P 2021159976
(32)【優先日】2021-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000168414
【氏名又は名称】荒川化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】市村 文孝
(72)【発明者】
【氏名】尾▲崎▼ 真仁
(72)【発明者】
【氏名】笹川 巨樹
【審査官】福井 晃三
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/013102(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/065370(WO,A1)
【文献】特開2019-121508(JP,A)
【文献】特開2019-57486(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/40-50/497
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液であって、
前記蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液は、水溶性ポリマー(A)並びに水溶性ポリマー(B)を含み、
前記水溶性ポリマー(A)は、
(メタ)アクリルアミド基含有化合物単位65モル%~99モル%及び
水酸基含有モノマー単位1モル%~30モル%を含み、
前記水溶性ポリマー(A)の重量平均分子量は、10万~100万であり、
前記水溶性ポリマー(B)は、
不飽和カルボン酸及び/又はその塩単位50モル%~99.99モル%及び
多官能モノマー単位0.01モル%~5モル%を含み、
前記水溶性ポリマー(B)の重量平均分子量は、1万~100万であり、
前記蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液のpHは、3~9である、
蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液。
【請求項2】
前記水溶性ポリマー(A)及び前記水溶性ポリマー(B)が有するカルボキシル基と
前記水溶性ポリマー(A)及び前記水溶性ポリマー(B)が有するヒドロキシ基とのモル比[COOH/OH]が0.3~20である、請求項1に記載の蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液。
【請求項3】
蓄電デバイスセパレータスラリーであって、
前記蓄電デバイスセパレータスラリーは、水溶性ポリマー(A)、水溶性ポリマー(B)、水並びに非導電性粒子を含み、
前記水溶性ポリマー(A)は、
(メタ)アクリルアミド基含有化合物単位65モル%~99モル%及び
水酸基含有モノマー単位1モル%~30モル%を含み、
前記水溶性ポリマー(A)の重量平均分子量は、10万~100万であり、
前記水溶性ポリマー(B)は、
不飽和カルボン酸及び/又はその塩単位50モル%~99.99モル%及び
多官能モノマー単位0.01モル%~5モル%を含み、
前記水溶性ポリマー(B)の重量平均分子量は、1万~100万であり、
前記蓄電デバイスセパレータスラリーのpHは、3~9である、
蓄電デバイスセパレータスラリー。
【請求項4】
請求項3に記載の蓄電デバイスセパレータスラリーの乾燥物を基材上に有する、蓄電デバイスセパレータ。
【請求項5】
請求項3に記載の蓄電デバイスセパレータスラリーの乾燥物を電極の活物質側に有する、蓄電デバイスセパレータ/電極積層体。
【請求項6】
請求項4に記載の蓄電デバイスセパレータ及び/又は請求項5に記載の蓄電デバイスセパレータ/電極積層体を含む、蓄電デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液、蓄電デバイスセパレータスラリー、蓄電デバイスセパレータ、蓄電デバイスセパレータ/電極積層体及び蓄電デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
蓄電デバイスセパレータにおいて、コーティング層(耐熱層)と基材との接着を維持するため、バインダーが用いられている。
【0003】
蓄電デバイスセパレータスラリーは、バインダー及び溶媒を含む。出願人は、水溶性ポリ(メタ)アクリルアミドをバインダーとして用いる手法を検討している(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、良好な分散性をスラリーに付与でき、良好な耐熱性をセパレータに付与できる蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液を提供することとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、特定の成分を用いることにより、上記課題が解決されることを見出した。
【0007】
本開示により以下の項目が提供される。
(項目1)
蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液であって、
前記蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液は、水溶性ポリマー(A)並びに水溶性ポリマー(B)を含み、
前記水溶性ポリマー(A)は、
(メタ)アクリルアミド基含有化合物単位65モル%~99モル%及び
水酸基含有モノマー単位1モル%~30モル%を含み、
前記水溶性ポリマー(A)の重量平均分子量は、10万~100万であり、
前記水溶性ポリマー(B)は、
不飽和カルボン酸及び/又はその塩単位50モル%~99.99モル%及び
多官能モノマー単位0.01モル%~5モル%を含み、
前記水溶性ポリマー(B)の重量平均分子量は、1万~100万であり、
前記蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液のpHは、3~9である、
蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液。
(項目2)
前記水溶性ポリマー(A)及び前記水溶性ポリマー(B)が有するカルボキシル基と
前記水溶性ポリマー(A)及び前記水溶性ポリマー(B)が有するヒドロキシ基とのモル比[COOH/OH]が0.3~20である、上記項目に記載の蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液。
(項目3)
蓄電デバイスセパレータスラリーであって、
前記蓄電デバイスセパレータスラリーは、水溶性ポリマー(A)、水溶性ポリマー(B)、水並びに非導電性粒子を含み、
前記水溶性ポリマー(A)は、
(メタ)アクリルアミド基含有化合物単位65モル%~99モル%及び
水酸基含有モノマー単位1モル%~30モル%を含み、
前記水溶性ポリマー(A)の重量平均分子量は、10万~100万であり、
前記水溶性ポリマー(B)は、
不飽和カルボン酸及び/又はその塩単位50モル%~99.99モル%及び
多官能モノマー単位0.01モル%~5モル%を含み、
前記水溶性ポリマー(B)の重量平均分子量は、1万~100万であり、
前記蓄電デバイスセパレータスラリーのpHは、3~9である、
蓄電デバイスセパレータスラリー。
(項目4)
上記項目に記載の蓄電デバイスセパレータスラリーの乾燥物を基材上に有する、蓄電デバイスセパレータ。
(項目5)
上記項目に記載の蓄電デバイスセパレータスラリーの乾燥物を電極の活物質側に有する、蓄電デバイスセパレータ/電極積層体。
(項目6)
上記項目に記載の蓄電デバイスセパレータ及び/又は上記項目に記載の蓄電デバイスセパレータ/電極積層体を含む、蓄電デバイス。
【0008】
本開示において、上述した1又は複数の特徴は、明示された組み合わせに加え、さらに組み合わせて提供され得る。
【発明の効果】
【0009】
本開示の蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液は、良好な分散性をスラリーに付与でき、良好な耐熱性をセパレータに付与できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の全体にわたり、各物性値、含有量等の数値の範囲は、適宜(例えば下記の各項目に記載の値から選択して)設定され得る。具体的には、数値αとして、A3、A2、A1(A3>A2>A1とする)が挙げられる場合、数値αの範囲は、例えば、A3以下、A2以下、A3未満、A2未満、A1以上、A2以上、A1より大きい、A2より大きい、A1~A2(A1以上A2以下)、A1~A3、A2~A3、A1以上A3未満、A1以上A2未満、A2以上A3未満、A1より大きくA3未満、A1より大きくA2未満、A2より大きくA3未満、A1より大きくA3以下、A1より大きくA2以下、A2より大きくA3以下等が挙げられる。
【0011】
本開示において、各成分、条件、数値等は、明細書で具体的に例示されたものに限定されるわけではない。本発明が解決しようとする課題が解決される限りにおいて、各成分、条件、数値等は、特に限定されない。
【0012】
「α%β量(A/B)」は、B100αに対するAのβ量(α%)を意味する。αは、例えば、質量%、モル%、質量部等が挙げられる。β量は、例えば、含有量、使用量等が挙げられる。
【0013】
「γ比(A/B)」は、式「A÷B」により算出されるγ比を意味する。γ比は、例えば、質量比、モル比等が挙げられる。
【0014】
「(メタ)アクリル」は、「アクリル及びメタクリルからなる群より選択される少なくとも1つ」を意味する。「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート及びメタクリレートからなる群より選択される少なくとも1つ」を意味する。「(メタ)アクリロイル」は、「アクリロイル及びメタクリロイルからなる群より選択される少なくとも1つ」を意味する。
【0015】
アルキル基は、例えば、直鎖アルキル基、分岐アルキル基、シクロアルキル基等が挙げられる。
【0016】
直鎖アルキル基は、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デカメチル基等が挙げられる。
【0017】
「分岐アルキル基」は、直鎖アルキル基の少なくとも1つの水素原子がアルキル基によって置換された、環状構造を有さない基を意味する。
【0018】
分岐アルキル基は、例えば、i-プロピル基、ジエチルペンチル基、トリメチルブチル基、トリメチルペンチル基、トリメチルヘキシル基等が挙げられる。
【0019】
シクロアルキル基は、例えば、単環シクロアルキル基、架橋環シクロアルキル基、縮合環シクロアルキル基等が挙げられる。なお、シクロアルキル基の少なくとも1つの水素原子がアルキル基によって置換された基もシクロアルキル基とする。
【0020】
本開示において、「単環」は、炭素の共有結合により形成された内部に橋かけ構造を有しない環状構造を意味する。「縮合環」は、2つ以上の単環が2つの原子を共有している(すなわち、それぞれの環の辺を互いに1つだけ共有(縮合)している)環状構造を意味する。「架橋環」は、2つ以上の単環が3つ以上の原子を共有している環状構造を意味する。
【0021】
単環シクロアルキル基は、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロデシル基、3,5,5-トリメチルシクロヘキシル基等が挙げられる。
【0022】
架橋環シクロアルキル基は、例えば、トリシクロデシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基等が挙げられる。
【0023】
[蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液:水溶液]
本開示は、蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液であって、
前記蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液は、水溶性ポリマー(A)並びに水溶性ポリマー(B)を含み、
前記水溶性ポリマー(A)は、
(メタ)アクリルアミド基含有化合物単位65モル%~99モル%及び
水酸基含有モノマー単位1モル%~30モル%を含み、
前記水溶性ポリマー(A)の重量平均分子量は、10万~100万であり、
前記水溶性ポリマー(B)は、
不飽和カルボン酸及び/又はその塩単位50モル%~99.99モル%及び
多官能モノマー単位0.01モル%~5モル%を含み、
前記水溶性ポリマー(B)の重量平均分子量は、1万~100万であり、
前記蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液のpHは、3~9である、蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液に関する。
【0024】
<水溶性ポリマー(A):(A)成分>
水溶性ポリマー(A)は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0025】
本開示において、「水溶性」は、25℃において、その化合物0.5gを100gの水に溶解した際に、不溶分が0.5質量%未満(2.5mg未満)であることを意味する。
【0026】
水溶性ポリマー(A)0.5gを水100gに溶解した際における、不溶分(水溶性ポリマー(A))は、例えば、0.5質量%未満、0.4質量%未満、0.3質量%未満、0.2質量%未満、0.1質量%未満、0質量%等が挙げられる。
【0027】
((メタ)アクリルアミド基含有化合物)
(メタ)アクリルアミド基含有化合物は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0028】
1つの実施形態において、(メタ)アクリルアミド基含有化合物は下記式により表される。
【化1】
(式中、R
1は水素原子又はメチル基を表す。
R
2及びR
3はそれぞれ独立して、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル基、又はアセチル基を表すか、或いはR
2及びR
3が一緒になって環構造を形成する。
R
4及びR
5はそれぞれ独立して、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル基、ヒドロキシ基、置換若しくは非置換のアミノ基、アセチル基を表す。)
【0029】
置換基は、例えば、ヒドロキシ基、アミノ基、アセチル基等が挙げられる。
【0030】
環構造は、例えば、モルホリル基等が挙げられる。
【0031】
上記(メタ)アクリルアミド基含有化合物は、例えば、(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、マレイン酸アミド、(メタ)アクリロイルモルフォリン、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0032】
1つの実施形態において、(メタ)アクリルアミド基含有化合物は、好ましくは、(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミドが挙げられる。
【0033】
モル%含有量((メタ)アクリルアミド基含有化合物単位/水溶性ポリマー(A))は、例えば、99モル%、98モル%、97.8モル%、97モル%、96モル%、95モル%、94モル%、93.8モル%、93.75モル%、93.4モル%、93モル%、92モル%、91モル%、90モル%、85モル%、80モル%、75モル%、70モル%、69モル%、68.8モル%、68モル%、65モル%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、65モル%~99モル%が挙げられ、より好ましくは、68モル%~98モル%が挙げられ、さらに好ましくは、90モル%~98モル%が挙げられる。
【0034】
質量%含有量((メタ)アクリルアミド基含有化合物単位/水溶性ポリマー(A))は、例えば、99質量%、98質量%、97.8質量%、97質量%、96質量%、95質量%、94質量%、93.8質量%、93.75質量%、93.4質量%、93質量%、92質量%、91質量%、90質量%、85質量%、80質量%、75質量%、70質量%、69質量%、68.8質量%、68質量%、65質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、65質量%~99質量%が挙げられ、より好ましくは、68質量%~98質量%が挙げられ、さらに好ましくは、90質量%~98質量%が挙げられる。
【0035】
(水酸基含有モノマー)
水酸基含有モノマーは、単独又は2種以上で使用され得る。
【0036】
水酸基含有モノマーは、例えば、水酸基含有不飽和カルボン酸エステル、水酸基含有ビニルエーテル等が挙げられる。
【0037】
水酸基含有不飽和カルボン酸エステルは、例えば、(メタ)アクリル酸1-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸1-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシ-1-メチルエチル、(メタ)アクリル酸1-ヒドロキシ-2-メチルエチル、(メタ)アクリル酸1-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸1-ヒドロキシ-1-メチル-プロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシ-1-メチル-プロピル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシ-1-メチル-プロピル、(メタ)アクリル酸1-エチル-2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸1-ヒドロキシ-2-メチル-プロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシ-2-メチル-プロピル、(メタ)アクリル酸1,1-ジメチル-2-ヒドロキシエチル等が挙げられる。
【0038】
水酸基含有ビニルエーテルは、例えば、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、ポリアルキレングリコールモノビニルエーテル等が挙げられる。
【0039】
ヒドロキシアルキルビニルエーテルは、例えば、ヒドロキシ直鎖アルキルビニルエーテル、ヒドロキシ分岐アルキルビニルエーテル、ヒドロキシシクロアルキルビニルエーテル等が挙げられる。
【0040】
ヒドロキシ直鎖アルキルビニルエーテルは、例えば、2-ヒドロキシエチルビニルエーテル、3-ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4-ヒドロキシブチルビニルエーテル、5-ヒドロキシペンチルビニルエーテル等が挙げられる。
【0041】
ヒドロキシ分岐アルキルビニルエーテルは、例えば、2-ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピルビニルエーテル、4-ヒドロキシ-2-メチルブチルビニルエーテル等が挙げられる。
【0042】
ヒドロキシシクロアルキルビニルエーテルは、例えば、4-ヒドロキシシクロペンチルビニルエーテル等が挙げられる。
【0043】
ポリアルキレングリコールモノビニルエーテルは、例えば、ポリメチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリプロピレングリコールモノビニルエーテル等が挙げられる。
【0044】
ポリメチレングリコールモノビニルエーテルは、例えば、ジメチレングリコールモノビニルエーテル、トリメチレングリコールモノビニルエーテル、テトラメチレングリコールモノビニルエーテル、ペンタメチレングリコールモノビニルエーテル、ヘキサメチレングリコールモノビニルエーテル、ヘプタメチレングリコールモノビニルエーテル、オクタメチレングリコールモノビニルエーテル、ノナメチレングリコールモノビニルエーテル、デカメチレングリコールモノビニルエーテル等が挙げられる。
【0045】
ポリエチレングリコールモノビニルエーテルは、例えば、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、テトラエチレングリコールモノビニルエーテル、ペンタエチレングリコールモノビニルエーテル、ヘキサエチレングリコールモノビニルエーテル、ヘプタエチレングリコールモノビニルエーテル、オクタエチレングリコールモノビニルエーテル、ノナエチレングリコールモノビニルエーテル、デカエチレングリコールモノビニルエーテル等が挙げられる。
【0046】
ポリプロピレングリコールモノビニルエーテルは、例えば、ジプロピレングリコールモノビニルエーテル、トリプロピレングリコールモノビニルエーテル、テトラプロピレングリコールモノビニルエーテル、ペンタプロピレングリコールモノビニルエーテル、ヘキサプロピレングリコールモノビニルエーテル、ヘプタプロピレングリコールモノビニルエーテル、オクタプロピレングリコールモノビニルエーテル、ノナプロピレングリコールモノビニルエーテル、デカプロピレングリコールモノビニルエーテル等が挙げられる。
【0047】
モル%含有量(水酸基含有モノマー単位/水溶性ポリマー(A))は、例えば、30モル%、25モル%、20モル%、15モル%、10モル%、9モル%、7モル%、6モル%、5モル%、4モル%、2モル%、1モル%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、1モル%~30モル%が挙げられ、より好ましくは、1モル%~10モル%、さらに好ましくは、1モル%~6モル%が挙げられる。
【0048】
質量%含有量(水酸基含有モノマー単位/水溶性ポリマー(A))は、例えば、30質量%、25質量%、20質量%、15質量%、10質量%、9質量%、7質量%、6質量%、5質量%、4質量%、2質量%、1質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、1質量%~30質量%が挙げられ、より好ましくは、1質量%~10質量%、さらに好ましくは、1質量%~6質量%が挙げられる。
【0049】
(上記のいずれでもない単量体:その他成分(A))
上記水溶性ポリマー(A)は、任意で、(メタ)アクリルアミド基含有化合物、水酸基含有モノマーのいずれでもない単量体(その他成分)単位を含み得る。その他成分(A)は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0050】
その他成分(A)は、例えば、不飽和カルボン酸及び/又はその塩、不飽和スルホン酸及び/又はその塩、多官能モノマー、不飽和リン酸及び/又はその塩、α,β-不飽和ニトリル、水酸基非含有不飽和カルボン酸エステル、共役ジエン、芳香族ビニル化合物等が挙げられる。
【0051】
不飽和カルボン酸は、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等が挙げられる。
【0052】
不飽和カルボン酸の塩は、例えば、不飽和カルボン酸の無機塩、不飽和カルボン酸の有機塩等が挙げられる。
【0053】
不飽和カルボン酸の無機塩は、例えば、不飽和カルボン酸のナトリウム塩、不飽和カルボン酸のリチウム塩、不飽和カルボン酸のカルシウム塩等が挙げられる。
【0054】
不飽和カルボン酸の有機塩は、例えば、不飽和カルボン酸のアンモニウム塩、不飽和カルボン酸のアミン塩等が挙げられる。
【0055】
モル%含有量(不飽和カルボン酸及び/又はその塩単位/水溶性ポリマー(A))は、例えば、5モル%、4モル%、3モル%、2モル%、1モル%、0.9モル%、0.7モル%、0.5モル%、0.3モル%、0.1モル%、0モル%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、0モル%~5モル%が挙げられ、より好ましくは、0.1モル%~2モル%が挙げられ、さらに好ましくは、0.5モル%~1.5モル%が挙げられる。
【0056】
質量%含有量(不飽和カルボン酸及び/又はその塩単位/水溶性ポリマー(A))は、例えば、5質量%、4質量%、3質量%、2質量%、1質量%、0.9質量%、0.7質量%、0.5質量%、0.3質量%、0.1質量%、0質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、0質量%~5質量%が挙げられ、より好ましくは、0.1質量%~2質量%が挙げられ、さらに好ましくは、0.5質量%~1.5質量%が挙げられる。
【0057】
不飽和スルホン酸は、例えば、α,β-エチレン性不飽和スルホン酸、(メタ)アクリルアミド基含有不飽和スルホン酸、不飽和スルホン酸カルボン酸エステル等が挙げられる。
【0058】
α,β-エチレン性不飽和スルホン酸は、例えば、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸等が挙げられる。
【0059】
(メタ)アクリルアミド基含有不飽和スルホン酸は、例えば、(メタ)アクリルアミドt-ブチルスルホン酸、2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-(メタ)アクリルアミド-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸等が挙げられる。
【0060】
不飽和スルホン酸カルボン酸エステルは、例えば、3-スルホプロパン(メタ)アクリル酸エステル、ビス-(3-スルホプロピル)イタコン酸エステル等が挙げられる。
等が挙げられる。
【0061】
不飽和スルホン酸の塩は、例えば、不飽和スルホン酸の無機塩、不飽和スルホン酸の有機塩等が挙げられる。
【0062】
不飽和スルホン酸の無機塩は、例えば、不飽和スルホン酸のナトリウム塩、不飽和スルホン酸のリチウム塩、不飽和スルホン酸のカルシウム塩等が挙げられる。
【0063】
不飽和スルホン酸の有機塩は、例えば、不飽和スルホン酸のアンモニウム塩、不飽和スルホン酸のアミン塩等が挙げられる。
【0064】
本開示において、「(メタ)アクリルアミド基含有化合物にも不飽和スルホン酸及び/又はその塩にも該当する化合物」は、不飽和スルホン酸及び/又はその塩を意味する。
【0065】
モル%含有量(不飽和スルホン酸及び/又はその塩単位/水溶性ポリマー(A))は、例えば、10モル%、9モル%、8モル%、7モル%、6モル%、5モル%、4モル%、3モル%、2モル%、1モル%、0.9モル%、0.7モル%、0.5モル%、0.3モル%、0.1モル%、0.09モル%、0.07モル%、0.05モル%、0.04モル%、0.03モル%、0.025モル%、0.02モル%、0.01モル%、0モル%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、0モル%~10モル%が挙げられ、より好ましくは、0.1モル%~2モル%が挙げられ、さらに好ましくは、0.1モル%~1モル%が挙げられ、特に好ましくは、0.1モル%~0.3モル%が挙げられる。
【0066】
質量%含有量(不飽和スルホン酸及び/又はその塩単位/水溶性ポリマー(A))は、例えば、10質量%、9質量%、8質量%、7質量%、6質量%、5質量%、4質量%、3質量%、2質量%、1質量%、0.9質量%、0.7質量%、0.5質量%、0.3質量%、0.1質量%、0.09質量%、0.07質量%、0.05質量%、0.04質量%、0.03質量%、0.025質量%、0.02質量%、0.01質量%、0質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、0質量%~10質量%が挙げられ、より好ましくは、0.1質量%~2質量%が挙げられ、さらに好ましくは、0.1質量%~1質量%が挙げられ、特に好ましくは、0.1質量%~0.3質量%が挙げられる。
【0067】
「多官能モノマー」は、エチレン性不飽和二重結合を2個以上有するモノマーを意味する。
【0068】
多官能モノマーは、例えば、N,N’-アルキレンビス(メタ)アクリルアミド、トリ(アリル基)含有モノマー、トリ((メタ)アクリロイル基)含有トリアジン等が挙げられる。
【0069】
N,N’-アルキレンビス(メタ)アクリルアミドは、例えば、N,N’-メチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’-エチレンビス(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0070】
トリ(アリル基)含有モノマーは、例えば、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルトリメリテート、トリアリルアミン、トリアリル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0071】
トリ((メタ)アクリロイル基)含有トリアジンは、例えば、1,3,5-トリ((メタ)アクリロイル)-1,3,5-トリアジン、1,3,5-トリ((メタ)アクリロイル)ヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン等が挙げられる。
【0072】
モル%含有量(多官能モノマー単位/水溶性ポリマー(A))は、例えば、10モル%、9モル%、8モル%、7モル%、6モル%、5モル%、4モル%、3モル%、2モル%、1モル%、0.9モル%、0.7モル%、0.5モル%、0.3モル%、0.1モル%、0.05モル%、0モル%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、0モル%~10モル%が挙げられ、より好ましくは、0.05モル%~2モル%が挙げられ、さらに好ましくは、0.05モル%~0.5モル%が挙げられ、特に好ましくは、0.05モル%~0.2モル%が挙げられる。
【0073】
質量%含有量(多官能モノマー単位/水溶性ポリマー(A))は、例えば、10質量%、9質量%、8質量%、7質量%、6質量%、5質量%、4質量%、3質量%、2質量%、1質量%、0.9質量%、0.7質量%、0.5質量%、0.3質量%、0.1質量%、0.05質量%、0質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、0質量%~10質量%が挙げられ、より好ましくは、0.05質量%~2質量%が挙げられ、さらに好ましくは、0.05質量%~0.5質量%が挙げられ、特に好ましくは、0.05質量%~0.2質量%が挙げられる。
【0074】
不飽和リン酸は、例えば、ビニルホスホン酸、ビニルホスフェート、ビス((メタ)アクリロキシエチル)ホスフェート、ジフェニル-2-(メタ)アクリロイロキシエチルホスフェート、ジブチル-2-(メタ)アクリロイロキシエチルホスフェート、ジオクチル-2-(メタ)アクリロイロキシエチルホスフェート、モノメチル-2-(メタ)アクリロイロキシエチルホスフェート、3-(メタ)アクリロキシ-2-ヒドロキシプロパンリン酸等が挙げられる。
【0075】
不飽和リン酸の塩は、例えば、不飽和リン酸の無機塩、不飽和リン酸の有機塩等が挙げられる。
【0076】
不飽和リン酸の無機塩は、例えば、不飽和リン酸のナトリウム塩、不飽和リン酸のリチウム塩、不飽和リン酸のカルシウム塩等が挙げられる。
【0077】
不飽和リン酸の有機塩は、例えば、不飽和リン酸のアンモニウム塩、不飽和リン酸のアミン塩等が挙げられる。
【0078】
α,β-不飽和ニトリルは、例えば、(メタ)アクリロニトリル、α-クロル(メタ)アクリロニトリル、α-エチル(メタ)アクリロニトリル、シアン化ビニリデン等が挙げられる。
【0079】
水酸基非含有不飽和カルボン酸エステルは、好ましくは、水酸基非含有(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。水酸基非含有(メタ)アクリル酸エステルは、例えば、水酸基非含有直鎖(メタ)アクリル酸エステル、水酸基非含有分岐(メタ)アクリル酸エステル、水酸基非含有脂環(メタ)アクリル酸エステル、水酸基非含有置換(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
【0080】
水酸基非含有直鎖(メタ)アクリル酸エステルは、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸n-アミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル等が挙げられる。
【0081】
水酸基非含有分岐(メタ)アクリル酸エステルは、例えば、(メタ)アクリル酸i-プロピル、(メタ)アクリル酸i-ブチル、(メタ)アクリル酸i-アミル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル等が挙げられる。
【0082】
水酸基非含有脂環(メタ)アクリル酸エステルは、例えば、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等が挙げられる。
【0083】
共役ジエンは、例えば、1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、2-クロル-1,3-ブタジエン、置換直鎖共役ペンタジエン、置換及び側鎖共役ヘキサジエン等が挙げられる。
【0084】
芳香族ビニル化合物は、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、ビニルトルエン、クロルスチレン、ジビニルベンゼン等が挙げられる。
【0085】
質量%含有量(その他成分(A)(不飽和カルボン酸及び/又はその塩、不飽和スルホン酸及び/又はその塩、多官能モノマーを除く)単位/水溶性ポリマー(A))は、例えば、10質量%未満、9質量%未満、7質量%未満、5質量%未満、4質量%未満、2質量%未満、1質量%未満、0.9質量%未満、0.7質量%未満、0.5質量%未満、0.4質量%未満、0.2質量%未満、0.1質量%未満、0質量%等が挙げられる。
【0086】
モル%含有量(その他成分(A)(不飽和カルボン酸及び/又はその塩、不飽和スルホン酸及び/又はその塩、多官能モノマーを除く)単位/水溶性ポリマー(A))は、例えば、10モル%未満、9モル%未満、7モル%未満、5モル%未満、4モル%未満、3モル%未満、2モル%未満、1モル%未満、0.9モル%未満、0.7モル%未満、0.5モル%未満、0.4モル%未満、0.2モル%未満、0.1モル%未満、0モル%等が挙げられる。
【0087】
<製造方法(水溶性ポリマー(A))>
製造方法(水溶性ポリマー(A))は、例えば、ラジカル重合法等が挙げられる。1つの実施形態において、重合温度は、好ましくは、50℃~100℃が挙げられる。1つの実施形態において、重合時間は、好ましくは、1時間~10時間が挙げられる。
【0088】
ラジカル重合開始剤は、例えば、アゾ系開始剤、過硫酸塩、レドックス系重合開始剤等が挙げられる。
【0089】
アゾ系開始剤は、例えば、2,2’-アゾビス-2-アミジノプロパン 二塩酸塩等が挙げられる。
【0090】
過硫酸塩は、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等が挙げられる。
【0091】
レドックス系重合開始剤は、例えば、併用系(過硫酸塩及び還元剤)等が挙げられる。
【0092】
還元剤は、例えば、亜硫酸水素ナトリウム等が挙げられる。
【0093】
質量部使用量(ラジカル重合開始剤/単量体群)は、好ましくは、0.05質量部~5.0質量部が挙げられ、より好ましくは、0.1質量部~3.0質量部が挙げられる。
【0094】
ラジカル重合反応前及び/又は得られた水溶性ポリマー(A)を水溶化する際等に、好ましくは、中和剤を用いて、反応溶液のpH調整が行われ得る。好ましい理由は、例えば、製造安定性向上等が挙げられる。その場合、pHは、好ましくは、2~11が挙げられる。中和剤は、例えば、アンモニア、有機アミン、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等が挙げられる。また、同様の目的で、金属イオン封止剤(エチレンジアミン四酢酸(EDTA)又はその塩等)も使用され得る。
【0095】
<物性等(水溶性ポリマー(A))>
重量平均分子量(水溶性ポリマー(A))は、例えば、100万、95万、90万、85万、80万、75万、70万、67万、65万、60万、57万、55万、50万、45万、40万、36万、35万、34万、30万、25万、20万、15万、14万、10万等が挙げられる。1つの実施形態において、上記重量平均分子量は、好ましくは、10万~100万が挙げられ、より好ましくは、10万~60万が挙げられ、さらに好ましくは、10万~40万が挙げられる。
【0096】
数平均分子量(水溶性ポリマー(A))は、例えば、90万、85万、80万、75万、70万、65万、60万、55万、50万、45万、40万、35万、30万、25万、20万、15万、10万、5万、1万等が挙げられる。1つの実施形態において、上記数平均分子量は、好ましくは、1万~90万が挙げられる。
【0097】
分子量分布(Mw/Mn)(水溶性ポリマー(A))は、例えば、15、14、13、11、10、9、7.5、5、4、3、2.9、2.5、2、1.5、1.1等が挙げられる。1つの実施形態において、上記分子量分布は、好ましくは、1.1~15が挙げられる。
【0098】
重量平均分子量、数平均分子量、分子量分布は、下記条件により測定され得る。
・測定機器:東ソー(株)製、GPC(型番:HLC-8420)
・カラム:TSKgel guardcolum PWXL、TSK-GEL G2500PWXL、TSK-GEL GMPWXL(以上東ソー(株)製)
・溶離液:0.2M リン酸バッファー/アセトニトリル=9/1水溶液
・カラム温度:40℃
・検量線:標準ポリエチレンオキシド-ポリエチレングリコール
・測定濃度:0.10質量%(水溶性ポリマー濃度)
・測定方法:フィルターろ過後に測定。
・フィルター:セルロースアセテートカートリッジフィルター(東ソー(株)製、マイショリディスク W-13-2、孔径 0.2μm)
【0099】
B型粘度(水溶性ポリマー(A)/水=15質量%/85質量%)は、例えば、10000mPa・s、9500mPa・s、9000mPa・s、8500mPa・s、8000mPa・s、7500mPa・s、7000mPa・s、6500mPa・s、6000mPa・s、5500mPa・s、5000mPa・s、4500mPa・s、4000mPa・s、3500mPa・s、3000mPa・s、2500mPa・s、2000mPa・s、1500mPa・s、1000mPa・s、990mPa・s、988mPa・s、980mPa・s、975mPa・s、974mPa・s、960mPa・s、959mPa・s、955mPa・s、950mPa・s、900mPa・s、750mPa・s、700mPa・s、690mPa・s、685mPa・s、650mPa・s、600mPa・s、500mPa・s、250mPa・s、100mPa・s等が挙げられる。1つの実施形態において、上記B型粘度は、好ましくは、100mPa・s~10,000mPa・sが挙げられ、より好ましくは、100mPa・s以上10000mPa・s未満が挙げられ、さらに好ましくは、100mPa・s~1000mPa・sが挙げられる。
【0100】
B型粘度は、下記条件により測定され得る。
固形分濃度:15質量%
測定温度:25℃
B型粘度計:東機産業株式会社製 製品名「B型粘度計モデルBM」
粘度100,000~20,000mPa・s:No.4ローター使用、回転数6rpm
粘度20,000mPa・s未満:No.3ローター使用、回転数6rpm
【0101】
ガラス転移温度(水溶性ポリマー(A))は、例えば、180℃、175℃、170℃、165℃、160℃、155℃、150℃、145℃、140℃、135℃、130℃、125℃、120℃、115℃、110℃、105℃、100℃、95℃、90℃、85℃、80℃、75℃、70℃、65℃、60℃等が挙げられる。1つの実施形態において、上記ガラス転移温度は、好ましくは、60℃~180℃が挙げられ、より好ましくは、90℃~150℃が挙げられ、さらに好ましくは、100℃~150℃が挙げられる。
【0102】
ガラス転移温度は、下記条件により測定され得る。
試料:120℃で4時間乾燥
測定機器:DSC(SHIMADZU製TAC―60L)
窒素流量:50mL/min
昇温速度:10℃/min
【0103】
質量%含有量(水溶性ポリマー(A)/蓄電デバイスバインダー水溶液)は、例えば、20質量%、19質量%、15質量%、14質量%、12質量%、10質量%、9質量%、7質量%、6質量%、5質量%、4質量%、3質量%、2質量%、1質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、1質量%~20質量%が挙げられる。
【0104】
<水溶性ポリマー(B):(B)成分>
水溶性ポリマー(B)は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0105】
水溶性ポリマー(B)0.5gを水100gに溶解した際における、不溶分(水溶性ポリマー(B))は、例えば、0.5質量%未満、0.4質量%未満、0.3質量%未満、0.2質量%未満、0.1質量%未満、0質量%等が挙げられる。
【0106】
(不飽和カルボン酸及び/又はその塩)
不飽和カルボン酸及び/又はその塩は、単独又は2種以上で使用され得る。不飽和カルボン酸及び/又はその塩は、例えば、上記化合物等が挙げられる。
【0107】
モル%含有量(不飽和カルボン酸及び/又はその塩単位/水溶性ポリマー(B))は、例えば、99.99モル%、99.97モル%、99.965モル%、99.95モル%、99.92モル%、99モル%、98.98モル%、98.975モル%、98.97モル%、98.9モル%、98モル%、97.8モル%、97.975モル%、97.97モル%、97.9モル%、97モル%、96モル%、95モル%、94.975モル%、94.97モル%、94.9モル%、94モル%、93.8モル%、93.75モル%、93.4モル%、93モル%、92モル%、91モル%、90モル%、85モル%、80モル%、75モル%、70モル%、69モル%、68.8モル%、68モル%、65モル%、60モル%、55モル%、54モル%、51モル%、50モル%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、50モル%~99.99モル%が挙げられ、より好ましくは、90モル%~99.99モル%が挙げられ、さらに好ましくは、94モル%~99.99モル%が挙げられる。
【0108】
質量%含有量(不飽和カルボン酸及び/又はその塩単位/水溶性ポリマー(B))は、例えば、99.99質量%、99.97質量%、99.965質量%、99.95質量%、99.92質量%、98.98質量%、98.975質量%、98.97質量%、98.9質量%、98質量%、97.8質量%、97.975質量%、97.97質量%、97.9質量%、97質量%、96質量%、95質量%、94.975質量%、94.97質量%、94.9質量%、94質量%、93.8質量%、93.75質量%、93.4質量%、93質量%、92質量%、91質量%、90質量%、85質量%、80質量%、75質量%、70質量%、69質量%、68.8質量%、68質量%、65質量%、60質量%、55質量%、54質量%、51質量%、50質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、50質量%~99.99質量%が挙げられ、より好ましくは、90質量%~99.99質量%が挙げられ、さらに好ましくは、94質量%~99.99質量%が挙げられる。
【0109】
(多官能モノマー)
多官能モノマーは、単独又は2種以上で使用され得る。多官能モノマーは、例えば、上記化合物等が挙げられる。
【0110】
モル%含有量(多官能モノマー単位/水溶性ポリマー(B))は、例えば、5モル%、4.5モル%、4モル%、3.5モル%、3モル%、2.5モル%、2モル%、1.5モル%、1.1モル%、1モル%、0.9モル%、0.7モル%、0.5モル%、0.4モル%、0.2モル%、0.1モル%、0.09モル%、0.07モル%、0.05モル%、0.04モル%、0.02モル%、0.01モル%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、0.01モル%~5モル%が挙げられ、より好ましくは、0.01モル%~2モル%が挙げられる。
【0111】
質量%含有量(多官能モノマー単位/水溶性ポリマー(B))は、例えば、5質量%、4.5質量%、4質量%、3.5質量%、3質量%、2.5質量%、2質量%、1.5質量%、1.1質量%、1質量%、0.9質量%、0.7質量%、0.5質量%、0.4質量%、0.2質量%、0.1質量%、0.09質量%、0.07質量%、0.05質量%、0.04質量%、0.02質量%、0.01質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、0.01質量%~5質量%が挙げられ、より好ましくは、0.01質量%~2質量%が挙げられる。
【0112】
(上記のいずれでもない単量体:その他成分(B))
上記水溶性ポリマー(B)は、任意で、不飽和カルボン酸及び/又はその塩、多官能モノマーのいずれでもない単量体(その他成分(B))単位を含み得る。その他成分(B)は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0113】
その他成分は、例えば、(メタ)アクリルアミド基含有化合物、水酸基含有モノマー、不飽和スルホン酸及び/又はその塩、不飽和リン酸及び/又はその塩、多官能モノマー、α,β-不飽和ニトリル、水酸基非含有不飽和カルボン酸エステル、共役ジエン、芳香族ビニル化合物等が挙げられる。
【0114】
その他成分の具体的な化合物は、例えば、上記化合物等が挙げられる。
【0115】
モル%含有量((メタ)アクリルアミド基含有化合物単位/水溶性ポリマー(B))は、例えば、50モル%、45モル%、40モル%、35モル%、30モル%、25モル%、20モル%、15モル%、10モル%、9モル%、7モル%、6モル%、5モル%、4モル%、2モル%、1モル%、0モル%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、0モル%~50モル%が挙げられる。
【0116】
質量%含有量((メタ)アクリルアミド基含有化合物単位/水溶性ポリマー(B))は、例えば、50質量%、45質量%、40質量%、35質量%、30質量%、25質量%、20質量%、15質量%、10質量%、9質量%、7質量%、6質量%、5質量%、4質量%、2質量%、1質量%、0質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、0質量%~50質量%が挙げられる。
【0117】
モル%含有量(不飽和スルホン酸及び/又はその塩単位/水溶性ポリマー(B))は、例えば、10モル%、9モル%、8モル%、7モル%、6モル%、5モル%、4モル%、3モル%、2モル%、1モル%、0.9モル%、0.7モル%、0.5モル%、0.3モル%、0.1モル%、0.09モル%、0.07モル%、0.05モル%、0.04モル%、0.03モル%、0.025モル%、0.02モル%、0.01モル%、0モル%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、0モル%~10モル%が挙げられ、より好ましくは、0.01モル%~1モル%が挙げられ、さらに好ましくは、0.01モル%~0.07モル%が挙げられ、特に好ましくは、0.02モル%~0.03モル%が挙げられる。
【0118】
質量%含有量(不飽和スルホン酸及び/又はその塩単位/水溶性ポリマー(B))は、例えば、10質量%、9質量%、8質量%、7質量%、6質量%、5質量%、4質量%、3質量%、2質量%、1質量%、0.9質量%、0.7質量%、0.5質量%、0.3質量%、0.1質量%、0.09質量%、0.07質量%、0.05質量%、0.04質量%、0.03質量%、0.025質量%、0.02質量%、0.01質量%、0質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、0質量%~10質量%が挙げられ、より好ましくは、0.01質量%~1質量%が挙げられ、さらに好ましくは、0.01質量%~0.07質量%が挙げられ、特に好ましくは、0.02質量%~0.03質量%が挙げられる。
【0119】
質量%含有量(その他成分((メタ)アクリルアミド基含有化合物、不飽和スルホン酸及び/又はその塩を除く)単位/水溶性ポリマー(B))は、例えば、10質量%未満、9質量%未満、7質量%未満、5質量%未満、4質量%未満、2質量%未満、1質量%未満、0.9質量%未満、0.7質量%未満、0.5質量%未満、0.4質量%未満、0.2質量%未満、0.1質量%未満、0質量%等が挙げられる。
【0120】
モル%含有量(その他成分((メタ)アクリルアミド基含有化合物、不飽和スルホン酸及び/又はその塩を除く)単位/水溶性ポリマー(B))は、例えば、10モル%未満、9モル%未満、7モル%未満、5モル%未満、4モル%未満、3モル%未満、2モル%未満、1モル%未満、0.9モル%未満、0.7モル%未満、0.5モル%未満、0.4モル%未満、0.2モル%未満、0.1モル%未満、0モル%等が挙げられる。
【0121】
製造方法(水溶性ポリマー(B))は、例えば、上記方法等が挙げられる。
【0122】
<物性等(水溶性ポリマー(B))>
重量平均分子量(水溶性ポリマー(B))は、例えば、100万、95万、90万、85万、80万、75万、70万、67万、65万、60万、57万、55万、50万、45万、40万、36万、35万、34万、30万、25万、23万、20万、19万、16万、15万、14万、10万、9万、7万、5万、3万、2万、1万等が挙げられる。1つの実施形態において、上記重量平均分子量は、好ましくは、1万~100万が挙げられ、より好ましくは、10万~90万が挙げられ、さらに好ましくは、10万~50万が挙げられ、特に好ましくは、15万~40万が挙げられる。
【0123】
数平均分子量(水溶性ポリマー(B))は、例えば、100万、95万、90万、85万、80万、75万、70万、67万、65万、60万、57万、55万、50万、45万、40万、36万、35万、34万、30万、25万、23万、20万、19万、16万、15万、14万、10万、9万、7万、5万、3万、2万、1万、9000、7000、5000、4000、2000、1000等が挙げられる。1つの実施形態において、上記数平均分子量は、好ましくは、1000~100万が挙げられる。
【0124】
分子量分布(Mw/Mn)(水溶性ポリマー(B))は、例えば、15、14、13、11、10、9、7.5、5、4、3、2.9、2.5、2、1.5、1.1等が挙げられる。1つの実施形態において、上記分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは、1.1~15が挙げられる。
【0125】
B型粘度(水溶性ポリマー(B)/水=15質量%/85質量%)は、例えば、10000mPa・s、9500mPa・s、9000mPa・s、8500mPa・s、8000mPa・s、7500mPa・s、7000mPa・s、6500mPa・s、6000mPa・s、5500mPa・s、5000mPa・s、4500mPa・s、4000mPa・s、3500mPa・s、3000mPa・s、2500mPa・s、2000mPa・s、1500mPa・s、1000mPa・s、900mPa・s、750mPa・s、500mPa・s、250mPa・s、100mPa・s、50mPa・s、45mPa・s、40mPa・s、30mPa・s、25mPa・s、20mPa・s、15mPa・s、14mPa・s、11mPa・s、10mPa・s、9mPa・s、5mPa・s、4mPa・s、2mPa・s、1mPa・s等が挙げられる。1つの実施形態において、上記B型粘度は、好ましくは、1mPa・s~10000mPa・sが挙げられ、より好ましくは、1mPa・s以上10000mPa・s未満が挙げられ、さらに好ましくは、1mPa・s~1000mPa・sが挙げられ、特に好ましくは、1mPa・s~20mPa・sが挙げられる。
【0126】
ガラス転移温度(水溶性ポリマー(B))は、例えば、220℃、215℃、210℃、205℃、200℃、195℃、190℃、185℃、180℃、175℃、170℃、165℃、160℃、155℃、150℃、145℃、140℃、135℃、130℃、125℃、120℃、115℃、110℃、105℃、100℃、95℃、90℃、85℃、80℃等が挙げられる。1つの実施形態において、上記ガラス転移温度は、好ましくは、80℃~220℃が挙げられる。
【0127】
質量%含有量(水溶性ポリマー(B)/蓄電デバイスバインダー水溶液)は、例えば、20質量%、19質量%、15質量%、14質量%、12質量%、10質量%、9質量%、7質量%、6質量%、5質量%、4質量%、3質量%、2質量%、1質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、1質量%~20質量%が挙げられる。
【0128】
<水>
水は、例えば、超純水、純水、蒸留水、イオン交換水、水道水等が挙げられる。
【0129】
含有量(水/蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液)は、例えば、99.9質量%、99質量%、95質量%、90質量%、85質量%、80質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、80質量%~99.9質量%が挙げられる。
【0130】
モル比[水溶性ポリマー(A)及び水溶性ポリマー(B)が有するカルボキシル基(COOH)/水溶性ポリマー(A)及び水溶性ポリマー(B)が有するヒドロキシ基(OH)]の上限及び下限は、例えば、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11.9、11、10、9、7、6、5、4、3、2.5、2.4、2.3、2.2、2、1.5、1.4、1、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3等が挙げられる。1つの実施形態において、上記モル比は、好ましくは、0.3~20が挙げられ、より好ましくは、0.3~13が挙げられ、さらに好ましくは、0.3~3が挙げられる。
【0131】
質量比〔水溶性ポリマー(A)/水溶性ポリマー(B)〕は、例えば、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、0.1等が挙げられる。1つの実施形態において、上記質量比は、好ましくは、0.1~10が挙げられる。
【0132】
質量比〔水溶性ポリマー(A)/水〕は、例えば、0.25、0.24、0.22、0.20、0.18、0.15、0.12、0.10、0.09、0.07、0.05等が挙げられる。1つの実施形態において、上記質量比は、好ましくは、0.05~0.25が挙げられる。
【0133】
質量比〔水溶性ポリマー(B)/水〕は、例えば、0.25、0.24、0.22、0.20、0.18、0.15、0.12、0.10、0.09、0.07、0.05等が挙げられる。1つの実施形態において、上記質量比は、好ましくは、0.05~0.25が挙げられる。
【0134】
<添加剤>
蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液は、任意で、水溶性ポリマー(A)、水溶性ポリマー(B)、水のいずれにも該当しない剤を添加剤として含み得る。添加剤は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0135】
添加剤は、例えば、分散剤、レベリング剤、酸化防止剤等が挙げられる。
【0136】
分散剤は、例えば、アニオン性分散剤、カチオン性分散剤、非イオン性分散剤、高分子分散剤等が挙げられる。
【0137】
レベリング剤は、例えば、アルキル系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、金属系界面活性剤等の界面活性剤等が挙げられる。界面活性剤を用いることにより、塗工時に発生するはじきを防止し、上記スラリーの層(コーティング層)の平滑性が向上し得る。
【0138】
酸化防止剤は、例えば、フェノール化合物、ハイドロキノン化合物、有機リン化合物、硫黄化合物、フェニレンジアミン化合物、ポリマー型フェノール化合物等が挙げられる。
【0139】
「ポリマー型フェノール化合物」は、フェノール構造を有する重合体を意味する。重量平均分子量(ポリマー型フェノール化合物)は、好ましくは、200~1000が挙げられ、より好ましくは、600~700が挙げられる。
【0140】
質量部含有量(添加剤/水溶性ポリマー(A))は、例えば、5質量%未満、4質量%未満、2質量%未満、1質量%未満、0.9質量%未満、0.5質量%未満、0.4質量%未満、0.2質量%未満、0.1質量%未満、0.09質量%未満、0.05質量%未満、0.04質量%未満、0.02質量%未満、0.01質量%未満、0質量%等が挙げられる。
【0141】
質量部含有量(添加剤/水溶性ポリマー(B))は、例えば、5質量%未満、4質量%未満、2質量%未満、1質量%未満、0.9質量%未満、0.5質量%未満、0.4質量%未満、0.2質量%未満、0.1質量%未満、0.09質量%未満、0.05質量%未満、0.04質量%未満、0.02質量%未満、0.01質量%未満、0質量%等が挙げられる。
【0142】
質量%含有量(添加剤/水溶液)は、例えば、5質量%未満、4質量%未満、2質量%未満、1質量%未満、0.9質量%未満、0.5質量%未満、0.4質量%未満、0.2質量%未満、0.1質量%未満、0.09質量%未満、0.05質量%未満、0.04質量%未満、0.02質量%未満、0.01質量%未満、0質量%等が挙げられる。
【0143】
<物性等(水溶液)>
pH(蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液)は、例えば、9、8.5、8、7.5、7、6.9、6.6、6.5、6、5.5、5、4.5、4、3.9、3.7、3.6、3.5、3.4、3.3、3.2、3.1、3等が挙げられる。1つの実施形態において、上記pHは、好ましくは、3~9が挙げられ、より好ましくは、3~7が挙げられ、さらに好ましくは、3以上7未満が挙げられ、特に好ましくは、3~4が挙げられる。
【0144】
pHは、下記条件により測定され得る。
測定機器:ガラス電極pHメータ(例えば株式会社堀場製作所製 製品名「pHメータ D-52」)
測定温度:25℃
【0145】
ガラス転移温度(水溶性ポリマー(A)及び水溶性ポリマー(B)を混合した混合ポリマー)は、例えば、240℃、235℃、230℃、225℃、220℃、215℃、210℃、205℃、200℃、195℃、190℃、185℃、180℃、175℃、170℃、169℃、165℃、160℃、156℃、155℃、150℃、148℃、147℃、146℃、145℃、140℃、135℃、130℃、125℃、120℃、115℃、110℃、105℃、100℃等が挙げられる。1つの実施形態において、上記ガラス転移温度は、好ましくは、100℃~240℃が挙げられ、より好ましくは、100℃~180℃が挙げられ、さらに好ましくは、100℃~170℃が挙げられる。
【0146】
B型粘度(水溶性ポリマー(A)及び水溶性ポリマー(B)の合計/水=15/85質量%)は、例えば、20000mPa・s、19500mPa・s、19000mPa・s、18500mPa・s、18000mPa・s、17500mPa・s、17000mPa・s、16500mPa・s、16000mPa・s、15500mPa・s、15000mPa・s、14500mPa・s、14000mPa・s、13500mPa・s、13000mPa・s、12500mPa・s、12000mPa・s、11500mPa・s、11000mPa・s、10500mPa・s、10000mPa・s、9500mPa・s、9000mPa・s、8500mPa・s、8000mPa・s、7500mPa・s、7000mPa・s、6500mPa・s、6000mPa・s、5500mPa・s、5000mPa・s、4500mPa・s、4000mPa・s、3500mPa・s、3000mPa・s、2500mPa・s、2000mPa・s、1500mPa・s、1000mPa・s、900mPa・s、750mPa・s、500mPa・s、250mPa・s、200mPa・s等が挙げられる。1つの実施形態において、上記B型粘度は、好ましくは、200mPa・s~20000mPa・sが挙げられる。
【0147】
使用形態(蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液)は、例えば、電池セパレータバインダー水溶液、非水系二次電池セパレータバインダー水溶液、リチウムイオン電池セパレータバインダー水溶液、ナトリウムイオン電池セパレータバインダー水溶液等が挙げられる。
【0148】
[蓄電デバイスセパレータスラリー:スラリー]
本開示は、蓄電デバイスセパレータスラリーであって、
前記蓄電デバイスセパレータスラリーは、水溶性ポリマー(A)、水溶性ポリマー(B)、水並びに非導電性粒子を含み、
前記水溶性ポリマー(A)は、
(メタ)アクリルアミド基含有化合物単位65モル%~99モル%及び
水酸基含有モノマー単位1モル%~30モル%を含み、
前記水溶性ポリマー(A)の重量平均分子量は、10万~100万であり、
前記水溶性ポリマー(B)は、
不飽和カルボン酸及び/又はその塩単位50モル%~99.99モル%及び
多官能モノマー単位0.01モル%~5モル%を含み、
前記水溶性ポリマー(B)の重量平均分子量は、1万~100万であり、
前記蓄電デバイスセパレータスラリーのpHは、3~9である、蓄電デバイスセパレータスラリーに関する。
【0149】
本開示において、「スラリー」は、液体と固体粒子の懸濁液を意味する。
【0150】
上記水溶性ポリマー(A)、水溶性ポリマー(B)、水は、例えば、上述のもの等が挙げられる。
【0151】
質量%含有量(水溶性ポリマー(A)/スラリー)は、例えば、10質量%、9質量%、8質量%、7質量%、6質量%、5質量%、4質量%、3質量%、2質量%、1質量%、0.9質量%、0.7質量%、0.5質量%、0.3質量%、0.1質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、0.1質量%~10質量%が挙げられる。
【0152】
質量%含有量(水溶性ポリマー(B)/スラリー)は、例えば、10質量%、9質量%、8質量%、7質量%、6質量%、5質量%、4質量%、3質量%、2質量%、1質量%、0.9質量%、0.7質量%、0.5質量%、0.3質量%、0.1質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、0.1質量%~10質量%が挙げられる。
【0153】
質量%含有量(水/スラリー)は、例えば、80質量%、75質量%、70質量%、65質量%、60質量%、55質量%、50質量%、45質量%、40質量%、35質量%、30質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、30質量%~80質量%が挙げられる。
【0154】
pH(蓄電デバイスセパレータスラリー)は、例えば、9、8.5、8、7.5、7、6.9、6.6、6.5、6、5.5、5、4.5、4、3.9、3.7、3.6、3.5、3.4、3.3、3.2、3.1、3等が挙げられる。1つの実施形態において、上記pHは、好ましくは、3~9が挙げられ、より好ましくは、3~7が挙げられ、さらに好ましくは、3以上7未満が挙げられ、特に好ましくは、3~4が挙げられる。
【0155】
<非導電性粒子>
非導電性粒子は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0156】
非導電性粒子は、例えば、酸化物粒子、窒化物粒子、共有結合性結晶粒子、難溶性イオン結晶粒子、粘土微粒子等が挙げられる。
【0157】
酸化物粒子は、例えば、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化アルミニウムの水和物(ベーマイト(AlOOH)、ギブサイト(Al(OH)3)、ベークライト、酸化鉄、酸化ケイ素、酸化マグネシウム(マグネシア)、水酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化チタン(チタニア)、BaTiO3、ZrO、アルミナ-シリカ複合酸化物等が挙げられる。
【0158】
窒化物粒子は、例えば、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化硼素等が挙げられる。
【0159】
共有結合性結晶粒子は、例えば、シリコン、ダイヤモンド等が挙げられる。
【0160】
難溶性イオン結晶粒子は、例えば、硫酸バリウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム等が挙げられる。
【0161】
粘土微粒子は、例えば、シリカ微粒子、タルク微粒子、モンモリロナイト微粒子等が挙げられる。
【0162】
1つの実施形態において、非導電性粒子は、好ましくは、ベーマイト、アルミナ、酸化マグネシウム、硫酸バリウムが挙げられ、より好ましくは、ベーマイトが挙げられる。好ましい理由は、例えば、低吸水性、高耐熱性等が挙げられる。
【0163】
平均粒子径(非導電性粒子)は、例えば、30μm、25μm、20μm、15μm、10μm、5μm、1μm、0.5μm、0.1μm、0.05μm、0.01μm等が挙げられる。1つの実施形態において、上記平均粒子径は、好ましくは、0.01μm~30μmが挙げられる。
【0164】
質量%含有量(非導電性粒子/スラリー)は、例えば、99.9質量%、95質量%、90質量%、80質量%、70質量%、60質量%、50質量%、40質量%、30質量%、20質量%、10質量%、5質量%、1質量%、0.5質量%、0.2質量%、0.1質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、0.1質量%~99.9質量%が挙げられる。
【0165】
質量%含有量(水溶性ポリマー(A)/非導電性粒子)は、例えば、15質量%、14質量%、13質量%、12質量%、11質量%、10質量%、9質量%、8質量%、7質量%、6質量%、5質量%、4質量%、3質量%、2質量%、1.5質量%、1質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、1質量%~15質量%が挙げられ、より好ましくは、1.5質量%~14質量%が挙げられ、さらに好ましくは、2質量%~12質量%が挙げられる。
【0166】
質量%含有量(水溶性ポリマー(B)/非導電性粒子)は、例えば、15質量%、14質量%、13質量%、12質量%、11質量%、10質量%、9質量%、8質量%、7質量%、6質量%、5質量%、4質量%、3質量%、2質量%、1.5質量%、1質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、1質量%~15質量%が挙げられ、より好ましくは、1.5質量%~14質量%が挙げられ、さらに好ましくは、2質量%~12質量%が挙げられる。
【0167】
<スラリー粘度調整溶媒>
スラリー粘度調整溶媒は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0168】
スラリー粘度調整溶媒は、例えば、アミド溶媒、炭化水素溶媒、アルコール溶媒、ケトン溶媒、エーテル溶媒、エステル溶媒、アミン溶媒、ラクトン溶媒、スルホキシド・スルホン溶媒、水等が挙げられる。
【0169】
アミド溶媒は、例えば、N-メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等が挙げられる。
【0170】
炭化水素溶媒は、例えば、トルエン、キシレン、n-ドデカン、テトラリン等が挙げられる。
【0171】
アルコール溶媒は、例えば、メタノール、エタノール、2-プロパノール、イソプロピルアルコール、2-エチル-1-ヘキサノール、1-ノナノール、ラウリルアルコール等が挙げられる。
【0172】
ケトン溶媒は、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ホロン、アセトフェノン、イソホロン等が挙げられる。
【0173】
エーテル溶媒は、例えば、ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)等が挙げられる。
【0174】
エステル溶媒は、例えば、酢酸ベンジル、酪酸イソペンチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル等が挙げられる。
【0175】
アミン溶媒は、例えば、o-トルイジン、m-トルイジン、p-トルイジン等が挙げられる。
【0176】
ラクトン溶媒は、例えば、γ-ブチロラクトン、δ-ブチロラクトン等が挙げられる。
【0177】
スルホキシド・スルホン溶媒は、例えば、ジメチルスルホキシド、スルホラン等が挙げられる。
【0178】
1つの実施形態において、スラリー粘度調整溶媒は、好ましくは、N-メチルピロリドンが挙げられる。好ましい理由は、例えば、塗布作業性向上等が挙げられる。
【0179】
質量%含有量(スラリー粘度調整溶媒/スラリー)は、例えば、10質量%、9質量%、8質量%、7質量%、6質量%、5質量%、4質量%、3質量%、2質量%、1質量%、0.5質量%、0.1質量%、0質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、0質量%~10質量%が挙げられる。
【0180】
<添加剤>
上記スラリーは、任意で、添加剤として、水溶性ポリマー(A)、水溶性ポリマー(B)、水、非導電性粒子、スラリー粘度調整溶媒のいずれにも該当しない剤を含み得る。添加剤は、例えば、上記剤等が挙げられる。
【0181】
質量%含有量(添加剤/水溶性ポリマー(A))は、例えば、0質量%~5質量%、1質量%未満、0.1質量%未満、0.01質量%未満、0質量%等が挙げられる。
【0182】
質量%含有量(添加剤/水溶性ポリマー(B))は、例えば、0質量%~5質量%、1質量%未満、0.1質量%未満、0.01質量%未満、0質量%等が挙げられる。
【0183】
質量%含有量(添加剤/非導電性粒子)は、例えば、0質量%~5質量%、1質量%未満、0.1質量%未満、0.01質量%未満、0質量%等が挙げられる。
【0184】
上記剤を混合することにより、スラリーは、製造され得る。
【0185】
混合手段(スラリー)は、例えば、ボールミル、サンドミル、顔料分散機、擂潰機、超音波分散機、ホモジナイザー、プラネタリーミキサー、ホバートミキサー等が挙げられる。
【0186】
使用形態(蓄電デバイスセパレータスラリー)は、例えば、蓄電デバイスセパレータスラリー、電池セパレータスラリー、非水系二次電池セパレータスラリー、リチウムイオン電池セパレータスラリー、ナトリウムイオン電池セパレータスラリー等が挙げられる。
【0187】
[蓄電デバイスセパレータ:セパレータ]
本開示は、上記蓄電デバイスセパレータスラリーの乾燥物を基材上に有する、蓄電デバイスセパレータに関する。
【0188】
基材は、例えば、多孔質のポリオレフィン樹脂基材、プラスチック製不織布等が挙げられる。
【0189】
(多孔質のポリオレフィン樹脂基材)
「多孔質のポリオレフィン樹脂基材」は、ポリオレフィン及びそれらの混合物又は共重合体等の樹脂を50質量%以上含む微多孔膜を意味する。
【0190】
ポリオレフィン樹脂は、単独又は2種以上で使用され得る。ポリオレフィン樹脂は、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン等のホモポリマー、コポリマー等が挙げられる。
【0191】
立体構造(ポリオレフィン樹脂)は、例えば、アイソタクティック、シンジオタクティック、アタクティック等が挙げられる。
【0192】
1つの実施形態において、ポリオレフィン樹脂は、好ましくは、高密度ポリエチレンが挙げられ、より好ましくは、高密度ポリエチレン及びポリプロピレンが挙げられる。
【0193】
1つの実施形態において、質量%含有量(ポリオレフィン樹脂/基材)は、好ましくは、50質量%~100質量%が挙げられ、より好ましくは、60質量%~100質量%が挙げられ、さらに好ましくは、70質量%~100質量%が挙げられる。好ましい理由は、例えば、シャットダウン性能向上等が挙げられる。
【0194】
多孔質のポリオレフィン樹脂基材は、任意で、フィラー、繊維化合物を含み得る。強度、硬度、熱収縮率(多孔質のポリオレフィン樹脂基材)は、フィラー、繊維化合物により制御され得る。
【0195】
多孔質のポリオレフィン樹脂基材は、必要に応じて、表面処理が行われ得る。
【0196】
表面処理は、例えば、被覆処理、電磁線処理、プラズマ処理等が挙げられる。
【0197】
1つの実施形態において、表面処理は、好ましくは、極性基含有高分子による被覆処理が挙げられる。上記被覆処理により、電解液含侵性、スラリー乾燥物との密着性が高められ得る。極性基は、例えば、カルボン酸基、水酸基、スルホン酸基等が挙げられる。
【0198】
1つの実施形態において、厚さ(多孔質のポリオレフィン樹脂基材)は、好ましくは、2μm~100μmが挙げられ、より好ましくは、5μm~50μmが挙げられる。
【0199】
(プラスチック製不織布)
プラスチック製不織布は、例えば、合成繊維のみから構成される不織布等が挙げられる。
【0200】
材料(合成繊維)は、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリロニトリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリビニルエーテル系樹脂、ポリビニルケトン系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ジエン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、フェノール系樹脂、メラミン系樹脂、フラン系樹脂、尿素系樹脂、アニリン系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、アルキド樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアゾメチン系樹脂、ポリエステルアミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリ-p-フェニレンベンゾビスオキサゾール樹脂、ポリベンゾイミダゾール系樹脂、エチレン-ビニルアルコール共重合体系樹脂等が挙げられる。
【0201】
ポリオレフィン系樹脂は、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン、エチレン-ビニルアルコール共重合体、オレフィン系共重合体等が挙げられる。
【0202】
ポリエステル系樹脂は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)系樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)系樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート(PPT)系樹脂、ポリエチレンメフタレート(PEN)系樹脂、ポリブチレンナフタレート系樹脂、ポリエチレンイソナフタレート系樹脂、全芳香族ポリエステル系樹脂等が挙げられる。
【0203】
アクリロニトリル系樹脂は、例えば、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリルと(メタ)アクリル酸誘導体、酢酸ビニル等との共重合物等が挙げられる。
【0204】
ポリアミド系樹脂は、例えば、脂肪族ポリアミド、全芳香族ポリアミド、半芳香族ポリアミド等が挙げられる。
【0205】
脂肪族ポリアミドは、例えば、ナイロン等が挙げられる。
【0206】
全芳香族ポリアミドは、例えば、ポリ-p-フェニレンテレフタルアミド、ポリ-p-フェニレンテレフタルアミド-3,4-ジフェニルエーテルテレフタルアミド、ポリ-m-フェニレンイソフタルアミド等が挙げられる。
【0207】
「半芳香族ポリアミド」は、芳香族ポリアミド主鎖の一部が脂肪鎖であるポリイミドを意味する。
【0208】
繊維(プラスチック製不織布)は、任意で、合成樹脂繊維以外の繊維を含み得る。
【0209】
合成樹脂繊維以外の繊維は、例えば、溶剤紡糸セルロース、溶剤紡糸セルロースのフィブリル化物、再生セルロース、再生セルロースのフィブリル化物、天然セルロース繊維、天然セルロース繊維のパルプ化物、天然セルロース繊維のフィブリル化物、無機繊維等が挙げられる。
【0210】
質量%含有量(合成繊維以外の繊維/不織布)は、好ましくは、30質量%以下が挙げられ、より好ましくは、20質量%以下が挙げられ、さらに好ましくは、10質量%以下が挙げられる。
【0211】
形態(繊維)は、例えば、単繊維、複合繊維等が挙げられる。
【0212】
「単繊維」は、単一の樹脂からなる繊維を意味する。「複合繊維」は、2種以上の樹脂からなる繊維を意味する。
【0213】
複合繊維は、例えば、芯鞘型、偏芯型、サイドバイサイド型、海島型、オレンジ型、多重バイメタル型等が挙げられる。
【0214】
1つの実施形態において、平均繊維径(プラスチック製不織布)は、好ましくは、1μm~15μmが挙げられ、より好ましくは、1μm~10μmが挙げられる。
【0215】
本開示において、「平均繊維径」は、走査型電子顕微鏡写真から無作為に選んだ20本の繊維の繊維径の平均値を意味する。
【0216】
1つの実施形態において、平均ポア径(プラスチック製不織布)は、好ましくは、1μm~20μmが挙げられ、より好ましくは、3μm~20μmが挙げられ、さらに好ましくは、5μm~20μmが挙げられる。
【0217】
本開示において、「ポア径」は、繊維同士の隙間の幅を意味する。「平均ポア径」は、走査型電子顕微鏡写真から無作為に選んだ20本の繊維のポア径の平均値を意味する。
【0218】
厚さ(プラスチック製不織布)は、好ましくは、5μm~25μmが挙げられ、より好ましくは、5μm~15μmが挙げられる。好ましい理由は、例えば、厚さを薄くし、内部抵抗の少ないセパレータを得ること等が挙げられる。
【0219】
<製造方法(蓄電デバイスセパレータ)>
製造方法(蓄電デバイスセパレータ)は、例えば、下記工程を含む方法等が挙げられる。
塗工工程:基材の片面又は両面に蓄電デバイスセパレータスラリーを塗工
乾燥工程:塗工した蓄電デバイスセパレータスラリーを乾燥
【0220】
(塗工工程)
塗工方法は、例えば、塗工方式、印刷方式、転写方式、浸漬方式等が挙げられる。
【0221】
塗工方式は、例えば、ブレード、ロッド、リバースロール、リップ、ダイ、カーテン、エアーナイフ等が挙げられる。
【0222】
印刷方式は、例えば、フレキソ、スクリーン、オフセット、グラビア、インクジェット等が挙げられる。
【0223】
転写方式は、例えば、ロール転写、フィルム転写等が挙げられる。
【0224】
浸漬方式は、例えば、ディッピング等が挙げられる。
【0225】
(乾燥工程)
乾燥方法は、例えば、送風乾燥(温風、熱風、低湿風等)、照射乾燥(赤外線、遠赤外線、電子線等)、真空乾燥等が挙げられる。
【0226】
乾燥温度は、好ましくは、40℃~90℃が挙げられ、より好ましくは、50℃~80℃が挙げられる。
【0227】
乾燥時間は、好ましくは、5秒~3分が挙げられ、より好ましくは、15秒~2分が挙げられる。
【0228】
製造方法(蓄電デバイスセパレータ)は、任意で、プレス工程を含み得る。
【0229】
プレス手段は、例えば、金型プレス、ロールプレス等が挙げられる。
【0230】
使用形態(蓄電デバイスセパレータ)は、例えば、電池セパレータ、非水系二次電池セパレータ、リチウムイオン電池セパレータ、ナトリウムイオン電池セパレータ等が挙げられる。
【0231】
[蓄電デバイスセパレータ/電極積層体:セパレータ/電極積層体]
本開示は、上記蓄電デバイスセパレータスラリーの乾燥物を電極の活物質側に有する、蓄電デバイスセパレータ/電極積層体に関する。
【0232】
蓄電デバイスセパレータ/電極積層体を製造する際に用いられる電極は、例えば、各種公知の電極等が挙げられる。
【0233】
製造方法(蓄電デバイスセパレータ/電極積層体)は、例えば、下記工程を含む方法等が挙げられる。
(1)集電体に電極材料含有スラリーを塗布する工程
(2)電極材料含有スラリーを乾燥させる工程
(3)電極材料含有スラリーの乾燥物をプレスする工程
(4)電極材料含有スラリーの乾燥物に蓄電デバイスセパレータスラリーを塗布する工程
(5)蓄電デバイスセパレータスラリーを乾燥させる工程
【0234】
塗布方法、乾燥方法、プレス方法は、例えば、上記方法等が挙げられる。
【0235】
使用形態(蓄電デバイスセパレータ/電極積層体)は、例えば、電池セパレータ/電極積層体、電池セパレータ/負極積層体、電池セパレータ/正極積層体、非水系二次電池セパレータ/電極積層体、非水系二次電池セパレータ/負極積層体、非水系二次電池セパレータ/正極積層体、リチウムイオン電池セパレータ/電極積層体、リチウムイオン電池セパレータ/負極積層体、リチウムイオン電池セパレータ/正極積層体、ナトリウムイオン電池セパレータ/電極積層体、ナトリウムイオン電池セパレータ/負極積層体、ナトリウムイオン電池セパレータ/正極積層体等が挙げられる。
【0236】
[蓄電デバイス]
本開示は、上記蓄電デバイスセパレータ及び/又は上記蓄電デバイスセパレータ/電極積層体を含む、蓄電デバイスに関する。
【0237】
(電解液)
蓄電デバイスは、電解液を含む。電解液は、例えば、非水系溶媒に支持電解質を溶解させた溶液等が挙げられる。
【0238】
非水系溶媒は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0239】
非水系溶媒は、例えば、鎖状カーボネート溶媒、環状カーボネート溶媒、鎖状エーテル溶媒、環状エーテル溶媒、鎖状エステル溶媒、環状エステル溶媒、アセトニトリル等が挙げられる。
【0240】
鎖状カーボネート溶媒は、例えば、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等が挙げられる。
【0241】
環状カーボネート溶媒は、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート等が挙げられる。
【0242】
鎖状エーテル溶媒は、例えば、1,2-ジメトキシエタン等が挙げられる。
【0243】
環状エーテル溶媒は、例えば、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、スルホラン、1,3-ジオキソラン等が挙げられる。
【0244】
鎖状エステル溶媒は、例えば、ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル等が挙げられる。
【0245】
環状エステル溶媒は、例えば、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン等が挙げられる。
【0246】
1つの実施形態において、非水系溶媒は、好ましくは、環状カーボネート及び鎖状カーボネートの組み合わせが挙げられる。
【0247】
支持電解質は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0248】
支持電解質は、例えば、リチウム塩等が挙げられる。リチウム塩は、例えば、LiPF6、LiAsF6、LiBF4、LiSbF6、LiAlCl4、LiClO4、CF3SO3Li、C4F9SO3Li、CF3COOLi、(CF3CO)2NLi、(CF3SO2)2NLi、(C2F5SO2)NLi等が挙げられる。1つの実施形態において、支持電解質は、好ましくは、LiPF6、LiClO4、CF3SO3Liが挙げられる。好ましい理由は、例えば、リチウムイオン伝導度を高くすること等が挙げられる。
【0249】
1つの実施形態において、非水系電解液は、任意で、被膜形成剤を含み得る。被膜形成剤は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0250】
被膜形成剤は、例えば、カーボネート、アルケンサルファイド、スルトン、酸無水物等が挙げられる。
【0251】
カーボネートは、例えば、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、ビニルエチルカーボネート、メチルフェニルカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、ジフルオロエチレンカーボネート等が挙げられる。
【0252】
アルケンサルファイドは、例えば、エチレンサルファイド、プロピレンサルファイド等が挙げられる。
【0253】
スルトンは、例えば、1,3-プロパンスルトン、1,4-ブタンスルトン等が挙げられる。
【0254】
酸無水物は、例えば、マレイン酸無水物、コハク酸無水物等が挙げられる。
【0255】
1つの実施形態において、質量%含有量(被膜形成剤/電解液全量)は、好ましくは、10質量%以下が挙げられ、より好ましくは、8質量%以下が挙げられ、さらに好ましくは、5質量%以下が挙げられ、特に好ましくは、2質量%以下が挙げられる。
【0256】
形態(蓄電デバイス)は、例えば、シート電極及びセパレータをスパイラル状にしたシリンダータイプ、ペレット電極及びセパレータを組み合わせたインサイドアウト構造のシリンダータイプ、ペレット電極及びセパレータを積層したコインタイプ等が挙げられる。
【0257】
製造方法(蓄電デバイス)は、例えば、特開2013-089437号公報に記載する方法等が挙げられる。外装ケース上に負極を乗せ、その上に電解液とセパレータを設け、更に負極と対向するように正極を乗せて、ガスケット、封口板によって固定して電池を製造できる。
【0258】
使用形態(蓄電デバイス)は、例えば、電池、非水系二次電池、リチウムイオン電池、ナトリウムイオン電池等が挙げられる。
【実施例】
【0259】
以下、実施例及び比較例を通じて本発明を具体的に説明する。但し、上述の好ましい実施形態における説明及び以下の実施例は、例示の目的のみに提供され、特許請求の範囲を限定する目的で提供するものではない。また、各実施例及び比較例において、特に説明がない限り、部、%等の数値は質量基準である。
【0260】
実施例1
撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素ガス導入管を備えた反応装置に、イオン交換水741g、50%アクリルアミド水溶液234g(1.64mol)、2-ヒドロキシエチルアクリレート10.2g(87.5mmol)、メタリルスルホン酸ナトリウム0.554g(3.50mmol)を入れ、窒素ガスを通じて反応系内の酸素を除去した後、50℃まで昇温した。そこに2,2’-アゾビス-2-アミジノプロパン 二塩酸塩(日宝化学株式会社製 製品名「NC-32」)1.16g、イオン交換水11.6gを投入し、80℃まで昇温し1.5時間反応を行った。続いて、2,2’-アゾビス-2-アミジノプロパン 二塩酸塩(日宝化学株式会社製 製品名「NC-32」)0.129g、イオン交換水1.29gを投入し1.5時間保温した。その後、中和剤として48%水酸化ナトリウム水溶液0.73g(8.8mmol)とイオン交換水0.73gを入れ撹拌し、水溶性ポリマー(A)を得た。
撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素ガス導入管、滴下ロート2つを備えた上記とは別の反応装置に、イオン交換水381gを入れ85℃まで昇温し、窒素ガスを通じて反応系内の酸素を除去した。その後、滴下ロートに80%アクリル酸水溶液96.9g(1.08mol)、N,N’-メチレンビスアクリルアミド1.67g(10.9mmol)、メタリルスルホン酸ナトリウム0.0429g(0.271mmol)を入れ、別の滴下ロートに2,2’-アゾビス-2-アミジノプロパン 二塩酸塩(日宝化学株式会社製 製品名「NC-32」)0.634g、イオン交換水253gを投入し、85℃のまま3時間滴下を行った。1時間保温後、2,2’-アゾビス-2-アミジノプロパン 二塩酸塩(日宝化学株式会社製 製品名「NC-32」)0.158g、イオン交換水1.58gを投入し2時間保温後水溶性ポリマー(B)を得た。
水溶性ポリマー(A)と水溶性ポリマー(B)とを固形分の混合比率90/10になるように混合し、蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液を得た。水溶性ポリマー(A)、水溶性ポリマー(B)ともに不溶分はなかった。
【0261】
特段言及がない限り、実施例1以外の実施例及び比較例は、下記表のように変更した以外は、実施例1と同様にして行った。
【0262】
【0263】
<説明>
AM:アクリルアミド
HEA:2-ヒドロキシエチルアクリレート
AA:アクリル酸
MBAA:N,N’-メチレンビスアクリルアミド
SMAS:メタリルスルホン酸ナトリウム
TAF:1,3,5-トリアクロイルヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン
【0264】
測定条件(重量平均分子量)は下記条件である。
・測定機器:東ソー(株)製、GPC(型番:HLC-8420)
・カラム:TSKgel guardcolum PWXL、TSK-GEL G2500PWXL、TSK-GEL GMPWXL(以上東ソー(株)製)
・溶離液:0.2M リン酸バッファー/アセトニトリル=9/1水溶液
・カラム温度:40℃
・検量線:標準ポリエチレンオキシド-ポリエチレングリコール
・測定濃度:0.10質量%(水溶性ポリマー濃度)
・測定方法:フィルターろ過後に測定。
・フィルター:セルロースアセテートカートリッジフィルター(東ソー(株)製、マイショリディスク W-13-2、孔径 0.2μm)
【0265】
測定条件(B型粘度)は下記条件である。
固形分濃度:15質量%
測定温度:25℃
B型粘度計:東機産業株式会社製 製品名「B型粘度計モデルBM」
粘度100,000~20,000mPa・s:No.4ローター使用、回転数6rpm
粘度20,000mPa・s未満:No.3ローター使用、回転数6rpm
【0266】
測定条件(ガラス転移温度)は下記条件である。
試料:120℃で4時間乾燥
測定機器:DSC(SHIMADZU製TAC―60L)
窒素流量:50ml/min
昇温速度:10℃/min
【0267】
測定条件(pH)は下記条件である。
測定機器:株式会社堀場製作所製 製品名「pHメータ D-52」
測定温度:25℃
【0268】
<動作評価(蓄電デバイスセパレータ)>
(1)製造(蓄電デバイスセパレータスラリー)
実施例で得られた蓄電デバイスセパレータバインダー水溶液を固形分換算で5質量部と、水113質量部を撹拌混合し、非導電性粒子としてベーマイト(平均粒径0.8μm)を95質量部加え、ホモジナイザー(IKA社製 T25 digital ULTRA-TURRAX)で15000rpm 60分間、分散撹拌させた。さらにイオン交換水を加えて粘度を調整し、蓄電デバイスセパレータスラリーを製造した。
【0269】
(2)製造(セパレータ):セパレータ用スラリー層(コーティング層)の積層
湿式法により製造された単層ポリエチレン製セパレータ基材(PE基材:幅250mm、長さ200mm、厚さ6μm)を用意した。上記蓄電デバイスセパレータスラリーをセパレータの一方の面上に、乾燥後の厚みが3.0μmになるようにグラビアコーターを用いて塗工、乾燥し、蓄電デバイスセパレータを得た。
【0270】
<分散性>
市販のレーザ回析・散乱式粒子径分布測定装置(製品名「LA-960」、HORIBA製)を用いて、得られた蓄電デバイスセパレータスラリーのメジアン径(D50)を測定した。
【0271】
<耐熱性>
得られたセパレータを、正方形(幅12cm×長さ12cm)に切り、正方形内部に正方形(幅10cm×長さ10cm)を描き試験片とした。試験片を恒温槽(150℃)に入れ1時間放置することにより加熱処理した。加熱処理後、内部に描いた正方形の面積を測定し、加熱処理前後の面積変化を熱収縮率として求めた。