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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-04
(45)【発行日】2023-09-12
(54)【発明の名称】非乾燥糖加工食材、及び加熱加工食品
(51)【国際特許分類】
   A21D 2/18 20060101AFI20230905BHJP
   A21D 2/36 20060101ALI20230905BHJP
【FI】
A21D2/18
A21D2/36
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019043234
(22)【出願日】2019-03-09
(65)【公開番号】P2020141647
(43)【公開日】2020-09-10
【審査請求日】2022-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】304025068
【氏名又は名称】斉藤 進一
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 進一
【審査官】手島 理
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-145454(JP,A)
【文献】特表2016-534753(JP,A)
【文献】特開2009-201423(JP,A)
【文献】特開2013-179900(JP,A)
【文献】特開2008-079602(JP,A)
【文献】特開昭59-091831(JP,A)
【文献】特開昭61-028337(JP,A)
【文献】特開平05-137495(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A21D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
糖類と、澱粉又は穀物粉と、15-25重量%の水分を必須成分として、前記水分が浸潤した粒状の非乾燥成形物の糖加工品である非乾燥糖加工食材を、加工食品材料に添加して、分散させ、
モルダー、リバースシーター処理及び手作業ローラーの内より選ばれる何れか1種又は2種以上により転圧、ガス抜きした上で、
折り込み処理或いはロール処理し、もしくは圧力を加えて成形し、加熱することで、前記加工食品材料に異なる、色、食感及び風味の内1種、又は2種以上を付与することを特徴とする加熱加工食品の製造方法。
【請求項2】
少なくとも50重量%以上の糖類と、澱粉又は穀物粉と、15-25重量%の水分を必須成分として、前記水分が浸潤した粒状の非乾燥成形物の糖加工品であって、
非乾燥の状態(冷凍状態を除く)で、加熱処理されて完成する加熱加工食品の生地に添加、転圧され、前記加熱加工食品と異なる、色、食感及び呈味の内1種、又は2種以上を、前記加熱加工食品に付与することを特徴とする非乾燥糖加工食材。
【請求項4】
さらに保存性を向上させるべく、保存手段を伴って袋に保管される非乾燥糖加工食材であって、
前記保存手段を、脱酸素剤の同封、窒息ガス充填、希ガス充填及びアルコール揮発材の内から選ばれる1種、又は2種以上の保存手段としたことを特徴とする請求項又は請求項3に記載の非乾燥糖加工食材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、加熱加工食品の材料(生地ともいう)に配合され、生地とともに加熱され、加熱加工食品と異なる、色、食感、味や香り・酸味などの呈味の何れか1種以上を、加熱加工食品に付与する非乾燥糖加工食材、及びそれを利用した加熱加工食品に関する。
【背景技術】
【0002】
発明者は、これまでに、パン・菓子生地等に添加して焼成することによりジャム様に変化する顆粒に関する発明を特許出願しており、いずれも特許を得ている(特許文献1、2)。
【0003】
特許文献1には、糖類と澱粉を主原料とする錠剤にフルーツの果汁やエキスを添加することにより、安定した形状、栄養素、色彩、風味及び食感を維持できる打錠製品及びそれを利用した小麦粉加工食品が開示されている。
【0004】
特許文献1の請求項1に係る特許発明は、「フルーツ、糖類及び5%より多く20%以下の澱粉を含む練り混ぜた混合生地を乾燥、打錠した又は打錠、乾燥したことを特徴とする小麦粉加工食品用打錠製品。」である。
【0005】
また、特許文献2には、糖類、澱粉、呈味原料を主原料に、澱粉量の添加量を高め、総水分量を少なく調整し、乾燥時間を短縮した製菓製パン材料と、それを用いて低価格で、見た目に鮮やかでジューシーな食感の穀粉加熱加工食品が開示されている。
【0006】
特許文献2の請求項1に係る特許発明は「糖類、澱粉、呈味原料を必須原料とし、全原料の総水分量を12-27重量%の範囲に調整し、混練し混合生地とし、続いて前記混合生地を1MPa/m以上の高加圧下で浸潤させ、成型し、乾燥してなることを特徴とする製菓製パン用材料」であり、請求項2に係る特許発明は「請求項1に記載の製菓製パン用材料を、穀粉加熱加工食品の生地に配合し、加熱することを特徴とする穀粉加熱加工食品。」である。
【0007】
特許文献1,2のいずれの特許発明に係る製品も、乾燥物を、菓子・パン生地等に、添加、混合され、生地の焼成等の加熱とともに、生地から発生する蒸気により、澱粉が膨潤し、ジューシーな食感、まるでジャムのような物性に変化するタブレット、顆粒などである(図2、3)。これら素材は、従来の製菓・製パン業界にない画期的な商品で、メーカー及び消費者にも注目され、機能性、食感、味において、高い評価を得ている。さらに、それらの販売量は増加し、海外にも輸出され高い評価を得ている。
【0008】
そして、特許文献1、2の特許発明に係る商品は、製菓・製パン生地に添加され、焼成された場合、賞味期限が3日程度の一般的な菓子パン(販売保証期間5日間程度)などではジューシーな物性を十分維持することができる(図2)。
【0009】
しかし、残念ながら、1週間を経過すると、ジャム様化した部分が縮小して、生地に空洞が形成されるとともに、糖の再結晶が発生し、見た目、食感的には異物のようであり、特に、寒い時期や冷蔵冷凍保管品、流通製品において顕著であった。またカッティングなどの際にベト付いて製品の断面や包装材を汚したり、焼成用の天板などに汚れを生じさせたりして作業性を著しく損ねることとなっていた。
【0010】
糖の結晶化を抑制するため、特許文献2に係る製品において、糖の配合量を減少させても糖の再結晶は抑制することができなかった。これは、ジャム様化した部分の水分が、菓子、パン生地に移行することが原因であると思われる。
【0011】
なお、菓子、パン生地の水分、油分などによって、水分移行速度が異なるため、使用できる菓子・パン生地組成を調整すること、使用する用途、例えばデニッシュ、パイなどであれば上記期間以上であっても、ジャム様化した形状を維持することもできる。しかし、メーカーにパン生地の組成の調整を依頼し、或いは用途限定することは、加熱によってジャム様化する商品の販路拡大の障害であった。
【0012】
特に、菓子メーカーの製品やお土産製品など1ヶ月以上の賞味期間を有するロングライフの菓子、パン製品に利用においては、ジャム様化した部分の空洞、糖の再結晶は極めて重大な問題である。
【0013】
また、酸味を強調した、例えばオレンジ、いちご、レモンなど特許文献1、2に係る商品では、酸が澱粉質を切断する作用を有するため焼成後、適正な硬さを発現させることが困難である上、焼成品内で長期内在させる場合には澱粉質の軟化が進み、適正な硬さを維持することが困難であった。
【0014】
空洞化、糖の再結晶の問題を解決するため、特許文献1、2の改良を繰り返した。例えば寒天、セルロースなど添加して、加熱物を固化させる水分移行を遅らせる試みは、酸の影響でそれらゲル化剤は固化せず、うまくいかなかった。
【0015】
そこで、発明者は、特許文献3の発明を開発した。その請求項1に係る発明は、糖及び穀物粉を必須成分とする固形物であって、水分を多く含む食品素材中においても難分解性、難溶性を示し、かつ焼成などの加熱を受けた後でも、当初の形状をほぼ留めつつ、食品素材の水分で糖が溶解するとともに穀物粉が加熱され、物性変化を起こし、さらに加熱食品中に長期間保持されても加熱食品内でその形を維持して空洞化せず、糖の再結晶も抑制する加熱食品用材料及びそれを用いた加熱食品であって、「水分を含む食品素材中に於いて難分解性及び難溶性を示すとともに加熱を受けたあとでも加熱前の形状を留めることができる加熱食品用材料であって、前記加熱食品用材料を前記食品素材に加えて加熱することで加熱食品として完成し、前記食品素材を加熱して得られる食感と異なる食感を、前記加熱食品に付与するための加熱食品用材料であって、特許文献1および2がジャム様化に変化するのに対して、特許文献3はやや固形感のあるもしくはグミ状に変化、糖類、穀物粉(穀物から抽出した澱粉単体を除く)、呈味原料を必須原料とし、水分を調整して混合生地とし、圧力下で前記混合生地に水分を浸潤させて混練生地とし、成形し、乾燥してなることを特徴とする加熱食品用材料。」である(図3)。
【0016】
これまで発明者が開発してきた上記発明(図2,3)は、いずれも、加工食品中に点在する色、パン部と異なる食感であって、ゴマやドライフルーツ、豆類などを生地中に点在させる手法と同様に、視覚的効果、存在を感知する特徴的な食感を付与して、パン、菓子のバラエティ化を可能にするものであった。なお、焼成後の図2の材料はジューシー感があるジャム様物性で、図3の材料は弾力があるグミ様物性をしている。そして、いずれも、点在するものであって、焼成生地に着色はなく、もちろん濃淡もない。材料と生地の境界は明りょうである。
【0017】
他方、加工食品の生地に、模様を描き、色調変化を付与するものとしては、2色の生地を折り込む方式、発明者の特許文献4、フルーツピューレなどがある。特許文献4の発明による着色は、パン製造者は、着色材料の入手、準備が簡単であるが、生地に濃淡を付与して着色するには、添加量、タイミング、撹拌強度、時間を見極める必要があり、それらが過剰であれば、生地全体がモノトーンに着色され、少なければ、殆ど濃淡を付与することはできない。特許文献4による加工食品への濃淡の付与は、熟練の技術が必要であった。
【0018】
そこで、特許文献5として、色の濃淡変化(濃淡)を対象に付与する、特に焼成パン及び菓子の生地の調整とともに濃淡を付与し、焼成後もその模様を保持することができる、加工食品用の濃淡付与材、さらに濃淡付与材を使用した加工食品に関する発明を出願した。
この発明の特長はパンなどのミキシングに際してグルテンが生じて生地に硬さが増してきた段階でこの粒を投入することで、この粒がミキシングの圧力により崩壊して生地の中に拡散し、色をにじませてマーブル状の演出をすることができるというものである。粒を崩壊させて所望の目的を達成させるためにはパン菓子生地に限らず、対象物にある程度の生地の固さが要求される。
【0019】
なお「濃淡」とは、例えば粒状の濃淡付与材が、色素付与対象中で徐々に崩壊、分散することで、対象に付与される模様であり、色素の濃淡を含む線、帯状、にじみ状の色調、形状の模様である。
【0020】
また、特許文献6として、糖類、食物繊維及び増粘多糖類を含む粉体の一体成型物で、加熱調理を必要とすることなく食することができる、食品の外観、食感に変化を付与するトッピング材、添加材又は混合材などの食材素材、及びそれを利用したデコレート食品に関する発明を出願した。
【0021】
発明者の従来出願の発明に係る製品(既出願製品)が広く製菓、製パン業界で利用されることで、問題点も指摘されるようになってきた。
製パン業界においては、商品の品質を高めるにあたりいろいろな技術が導入される。その一つとして生地のガス抜き工程が昔から行われている。原料を計量・混合し出来上がったパン生地は目的に応じて分割されて、成形される。
しかしながら、混合された生地は不均一に空気を内包しており、それらを内包したまま生地の成形を行うと、完成した商品の断面には大きな空洞が存在し、著しく商品価値が下がることとなる。
そのために、ガス抜きのためモルダー処理がされる。モルダー処理により、分割された生地はローラー間を通り、2~4ミリ程度の厚さに薄く転圧される。このモルダー処理により生地に内包された空気は外に取り出された状態になる。
【0022】
ここで、既出願製品の形状は、タテヨコ5ミリ粒が通常規格である。そのため、これらの既出願製品が配合された生地においては、モルダー処理工程で不具合が生じることがある。すなわち、ハンマーで叩いても割れないくらい硬い、乾燥状態に仕上がっている既出願製品の粒を含む生地を、隙間2ミリのローラーを通過させるとローラーにキズが付き、故障する恐れがあるうえ、ローラー破片が生地に混入する恐れもある。また、生地自体も引きちぎられ、所望の状態に成形、製品化することができないことがある。
【0023】
モルダー処理工程の問題の解決策としては、通常規格よりも小粒なものをモルダー処理する生地に使用することが考えられる。しかしながら、既出願製品の粒が密集、重なって生地の中に存在すると、見掛け上大きな粒になり、上記問題がやはり生じてしまい、その問題を解決するに至らなかった。
【0024】
さらに深刻な問題として、通常規格より小さな粒を生地に添加、使用すると、焼成後に生地と同化してしまい存在感が著しく低下し、期待した品質の商品が得られないこととなる。
【0025】
そのため、利用者は麺棒などを利用して、ひとつひとつ手作業で生地が破れないように且つ丁寧に、内包している空気を、時間をかけて除去している。
【0026】
このような問題の他に、既出願製品は、流通、保存性などの観点から、また粒を生地に点在させる用途などの観点から、乾燥工程、乾燥状態が必須であった。しかし、乾燥工程は、時間を要し、コスト高につながっていた。乾燥工程が、製造、利用において、極めて制限的要素を構成していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0027】
【文献】特許第4072778号公報/粒ジャム(打錠)
【文献】特許第4258784号公報/粒ジャム(押出)
【文献】特許第5509235号公報/ナゲット
【文献】特許第3707058号公報/ビルベリーピューレ
【文献】特願2017-175288/グラデーション
【文献】特願2017-197746/生食
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
そこで、本願発明は、既出願製品において、乾燥工程を省き、加熱加工食品の材料に配合され、生地とともに加熱され、加熱加工食品と異なる、色、食感、味や香り・酸味などの呈味の何れか1種以上を、加熱加工食品に付与する非乾燥糖加工食材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0029】
上記の課題を解決するために、本願発明は、
(1)
糖類と、澱粉又は穀物粉と、水分を必須成分として、前記水分が浸潤した粒状の非乾燥成形物の糖加工品であって、
非乾燥の状態で、加熱処理されて完成する加熱加工食品の材料に添加され、前記加熱加工食品と異なる、色、食感及び呈味の内1種、又は2種以上を、前記加熱加工食品に付与することを特徴とする非乾燥糖加工食材。
(2)
前記粒状成形物に、さらに、風味材、色素材、保存料の内から選ばれる1種、又は2種以上の材料を含むことを特徴とする(1)に記載の非乾燥糖加工食材。
(3)
さらに保存性を向上させるべく、保存手段を伴って袋に保管される非乾燥糖加工食材であって、
前記保存手段を、脱酸素剤の同封、窒息ガス充填、希ガス充填及びアルコール揮発材の内から選ばれる1種、又は2種以上の保存手段としたことを特徴とする(1)又は(2)に記載の非乾燥糖加工食材。
(4)
(1)~(3)のいずれかに記載の非乾燥糖加工食材を、加工食品材料に添加して、分散させ、モルダー、リバースシーター処理、手作業ローラーにより転圧、ガス抜きした上で、折り込み処理或いはロール処理し、もしくは圧力を加えて成形し、加熱することで、前記加工食品材料に異なる、色、食感及び風味の内1種、又は2種以上を付与することを特徴とする加熱加工食品の製造方法。
の構成とした。
【0030】
そして、本発明のより詳細は、特許文献2,3,5の請求項の記載から、「乾燥工程」を省き、非乾燥で流通、使用するものである。
【0031】
すなわち、特許文献2用途タイプ(ジャム様化/粒ジャム)では、
(1)
糖類と、5重量%より多く80重量%以下の澱粉、或いは0.1~5重量%の澱粉及び0.01~5重量%の粉末状増粘多糖類と、呈味原料とを必須原料とし、前記必須原料を含む材料の混合生地の成形物(打錠物を除く)であって、
非乾燥であることを特徴とする加熱加工食品用の非乾燥糖加工食材。
(2)
糖類、澱粉、呈味原料を必須原料とし、前記必須原料を含む材料を加圧下で調整された混合生地の成形物であって、
非乾燥であることを特徴とする加熱加工食品用の非乾燥糖加工食材。
(3)
前記澱粉が5重量%以上であることを特徴とする(2)に記載の非乾燥糖加工食材。
(4)
前記混合生地中の総水分量を12~27重量%の範囲であることを特徴とする(1)~(3)の何れか1つに記載の非乾燥糖加工食材。
(5)
前記加圧が、1MPa/m以上であることを特徴とする(1)~(4)の何れかに1つに記載の非乾燥糖加工食材。
(6)
(1)~(5)の何れか1つに記載の非乾燥糖加工食材が、生地に配合され、加熱されてなることを特徴とする加熱加工食品。
より詳しくは、
(I)
糖類、澱粉、呈味原料を必須原料とし、全原料の総水分量が12~27重量%の範囲で、1MPa/m以上の高加圧下で調製された浸潤成形物であって、非乾燥であることを特徴とする加熱加工食品用の非乾燥糖加工食材。
(II)
(I)に記載の非乾燥糖加工食材が、生地に配合され、加熱されてなることを特徴とする加熱加工食品。
【0032】
他方、特許文献3用途タイプ(グミ様点在/ナゲット)では、
(1)
糖類、穀物粉(穀物から抽出した澱粉単体を除く)、呈味原料を必須原料とし、前記必須原料を含む材料の水分が浸潤した混合生地の成形物であって、
非乾燥であることを特徴とする加熱加工食品用の非乾燥糖加工食材。
(2)
前記穀物粉として、トウモロコシ粉を含むことを特徴とする(1)に記載の非乾燥糖加工食材。
(3)
前記穀物粉として、さらに小麦粉を含むことを特徴とする(2)に記載の非乾燥糖加工食材。
(4)
前記糖類において、砂糖類又は/及び果糖が5-90重量%の範囲であることを特徴とする(1)~(3)の何れか1つに記載の非乾燥糖加工食材。
(5)
(1)~(4)の何れか1つに記載の非乾燥糖加工食材が、水分を含む食品素材もしくは水分を加えた食品素材に配合され、加熱してなることを特徴とする加熱加工食品。
より詳しくは、
(I)
水分を含む食品素材中に於いて難分解性及び難溶性を示すとともに加熱を受けることで加熱前の形状を留めることができる加熱加工食品用の非乾燥糖加工食材の製造方法であって、
前記を前記食品素材に加えて加熱することで加熱食品として完成し、
前記食品素材を加熱して得られる食感と異なる食感を、前記加熱食品に付与するための非乾燥糖加工食材であって、
糖類、穀物粉(穀物から抽出した澱粉単体を除く)、呈味原料を必須原料とし、水分を調整して混合生地とし、圧力下で前記混合生地に水分を浸潤させて混練生地とし、成形し、乾燥してなることを特徴とする非乾燥糖加工食材の製造方法。
(II)
(I)に記載の非乾燥糖加工食材の製造方法で得られた非乾燥糖加工食材を、水分を含む前記食品素材もしくは水分を加えた食品素材とともに加熱してなることを特徴とする加熱加工食品の製造方法。
とするとよい。
【0033】
また、特許文献5用途タイプ(模様描画/グラデーション)では、
(1)
糖類と、穀物粉と、色素材からなる粒状の非乾燥成形物であって、
着色する対象の加工食品の原料に投入され、原料の混合調整に伴い濃淡を対象に付与することを特徴とする濃淡付与機能を備えた非乾燥糖加工食材。
(2)
前記穀物粉の配合量が、非乾燥糖加工食材において5-35重量%であることを特徴とする(1)に記載の非乾燥糖加工食材。
(3)
アルファ化澱粉を、非乾燥糖加工食材において0.1以上5重量%未満含むことを特徴とする(1)又は(2)に記載の非乾燥糖加工食材。
(4)
増粘多糖類を、前記非乾燥糖加工食材において0.01以上5重量%未満含むことを特徴とする(1)~(3)のいずれか1つに記載の非乾燥糖加工食材。
(5)
食物繊維を、前記非乾燥糖加工食材において0.01-10重量%含むことを特徴とする(1)~(4)のいずれか1つに記載の非乾燥糖加工食材。
(6)
(1)~(5)のいずれか1つに記載の非乾燥糖加工食材を、加工食品材料に添加して、撹拌し、撹拌に伴って、前記非乾燥糖加工食材が崩壊、分散して、前記加工食品材料に濃淡を付与することを特徴とする加工食品の製造方法。
必要に応じて、その後、加熱する。
【0034】
本発明は、上記のように、特許文献2,3,5の既出願製品の製造に際して、乾燥工程を省略したものであるが、一見すると簡単なように思える。しかしながら、本発明の完成は「コロンブスの卵」のような発想であり、既出願製品の利用拡大、それに伴う課題が浮き上がり、フィードバックされなければ、このような手法を予見し、本発明に至ることは、当業者であっても到底できるものでない。
【0035】
既出願製品は、乾燥工程を経ることで自由水と呼ばれるAw値は0.60を下回り、微生物の増殖が抑制され、腐敗して食せなくなるということがない。そのため製造後3年以上経過しても使用することができる。実際、10年以上経過した製品であっても微生物の繁殖や腐敗は認められていない。また、乾燥工程により製造直後のやわらかい粒は硬化し、長距離の輸送、輸出、また保管・輸送を繰り返し、箱を開封して中の小袋で出荷されても何ら変形せず品質は保たれている。このような安定した物性から、課題がなければ、乾燥工程を除き、水分を残存させ非乾燥で流通、使用し得ることに想到することは到底できない。
【0036】
乾燥工程を省き、多量の水分(概ね、15重量%~25重量%)を保持した状態で生産された本発明に係る製品は、生地に配合され、生地からガスを抜く、モルダーを通ってもスムーズにパンや菓子生地と一緒に転圧、伸展される。当然のことながらモルダーへのキズ、破損、欠けなどの損傷ダメージはなく、生地も引きちぎれて商品価値を逸することはない。また転圧、圧延された後においても、本発明はジャム様化、グミ化し、加熱加工食品を空洞化させず、その形状を加熱加工食品の中で保持している。また、崩壊すれば、模様描画も可能になる。
【0037】
本発明である非乾燥糖加工食材は、「糖類」、「澱粉」又は「穀物粉」、「水分」を必須とし、用途に応じて、「食物繊維」、「増粘多糖類」を含み、さらに、呈味原料、香料、着色料、酸味料などの食品添加物を加え、加水、混合、主に粒状に成形、包装されてなる。
【0038】
このようにしてなる非乾燥糖加工食材は、パン、菓子生地、餅製品、米加工品、コロッケや畜肉、魚類加工食品などに配合(添加、混合、トッピング)され、最終的に加熱調理され、加熱加工食品になる。
【0039】
「糖類」としてはブドウ糖、上白糖やグラニュー糖などの砂糖類、果糖、異性化液糖、液糖、乳糖、麦芽糖、水あめ、トレハロース、オリゴ糖、デキストリン、それらの糖アルコール、還元糖など食品に使用できる糖が採用でき、単独もしくは複数の糖類を使用することができる。ここでは、糖類には食品添加物に区分される甘味料も含まれるものとし、必要に応じて、甘味料を添加してもよい。
本発明における糖類の配合量としては、好ましくは、55~95重量%、用途別の好ましい範囲としては、特許文献2用途の粒ジャムタイプでは60~95重量%、特許文献3用とのナゲットタイプでは50~70重量%、特許文献5用途のグラデーションタイプでは55~85重量%である。
【0040】
「水分」は、完成製品全体に対して、特許文献2-3用途タイプの何れも、15-25重量%程度が望ましい。組成による粘度、結着性、分散性から、水分量はその範囲でなくとも可能なことがある。
【0041】
「澱粉」とは、コーンスターチ、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、浮粉澱粉、米澱粉、サツマイモ澱粉、またはくず澱粉、それらの架橋、α化などの澱粉、加工澱粉等、一般に食品に利用できる澱粉を使用する。上記記載の単独もしくは複数の組み合わせも可能とする。
【0042】
「穀物粉」としては、穀物を碾いた粉、例えば、トウモロコシ粉、小麦粉、豆粉、芋粉、米粉、粟粉、ひえ粉、きな粉、大麦粉、ライ麦粉などそれらの加工穀物粉等、一般に利用できる穀物粉が使用でき、単独もしくは複数の穀類を使用することができる。
なお、澱粉単体と穀物粉は、タンパク質、繊維質、ミネラル、その他組成において、本願発明においては全く異なる物質である。
【0043】
穀物粉は、価格や性状、濃淡付与機能性から「トウモロコシ粉」や「小麦粉」が望ましい。また、「トウモロコシ粉」と「小麦粉」の二種混合粉もしくはそれ以上の混合粉でもいい。穀物粉は原料によりその崩壊、分散性が異なり、複数組み合わせることで希望する濃淡を提供する物性になる。
【0044】
通常は、濃淡付与機能としては、「トウモロコシ粉」だけでよいが、少し粘り気を加え、濃淡付与機能を備えた非乾燥糖加工食材の崩壊遅延をさせたい場合には「小麦粉」、「米粉」を追加する。「えんどう豆粉」及び「きな粉」はそのままだと香りがきつく粉自体がかなり茶色を呈しているので用途選択が重要である。「ひえ粉」は大変もろく粘りがないためまとまりが悪く、小麦粉や米粉などと併用するのがよい。いずれにしても穀物粉をある程度の量を配合することで、非乾燥糖加工食材の崩壊、分散性、引いては、濃淡を実現し、添加量の増減で、模様、濃淡、形状を調節することができる。
【0045】
他方、穀物粉を添加することで、押出し造粒(特許文献2)においては、押出し圧力を低下させることができる。穀物粉は、繊維質、油分を含み、非乾燥糖加工食材の混合生地の段階ではスクリーン通過時の滑りをよくする。その結果、押出し造粒効率を向上させることができる。
【0046】
「色素材」は、合成色素、天然色素、さらにココアパウダーやブルーベリー、ビルベリーなど色を含む食品素材であり、添加物、製剤、素材の如何を問わず色素材に含まれる。その添加量は、目的の色調に応じて、適宜調節する。
【0047】
「食物繊維」とは、セルロース、リグニンなどの不溶性食物繊維を言う。この食物繊維は、一般的には粉末状の製品であるが、意図的にフルーツ加工品やココアパウダー等の呈味原料や添加物に加えられている場合(特定保健用食品など)も、その作用は有効である。従って、本発明では、実際には食物繊維を添加しない場合であっても、その前段階で標準的な呈味原料や添加物の割合を超えてこの食物繊維が添加されている原料を使用した場合は、標準的な割合を超えた部分の食物繊維を加えたに等しいこととする。すなわち、予め呈味原料、添加物に含まれる食物繊維も本発明の食物繊維の組成物を構成する。なお、この食物繊維は食品として供されるものと、食品添加物として供されるものがあるが、そのどちらでも問題ないこととする。増粘多糖類も同様である。
【0048】
「増粘多糖類」とは、ペクチン、アラビアガム、グアーガム、タマリンドガム、ローカーストビーンガム、カラギーナン、キサンタンガム、ジュランガム、セルロースガム、寒天、それらの加工品、混合製剤化品(他の添加物を含むこともある)などの水溶性食物繊維を言う。特に、加熱することなく、溶解によって粘度を発現するものが好適である。単独もしくは複数の増粘多糖類を組み合わせて使用してもよいものとする。
【0049】
「呈味原料」としては、フルーツ、生クリームやバター、練乳、ヨーグルト、チーズ等の乳製品や乳加工品、卵や卵加工品、カスタードクリーム他各種クリーム、はちみつ、抹茶、コーヒー、紅茶、メープルシロップ、チョコレート、ココア等の応用が可能である。
【0050】
「フルーツ」としては、ブルーベリー、ビルベリー、ストロベリー、クランベリー、リンゴンベリー、レモン、ブドウ、オレンジ、リンゴ、トマト、バナナ、桃、さくらんぼ、マンゴー、メロン、スイカ、パイナップル、梨、グレープフルーツ等の一般に入手できるものであり、その形態は果汁、果実、ピューレ、ジュース、濃縮果汁、粉末、エキス(特定成分)またはシロップやジュース、糖分や酸味料等を加えた加工品などが例示できる。
【0051】
さらに、低糖化にすれば、カレー、ガーリック、ケチャップ、ピザ、マヨネーズ、シナモン、黒糖、しょうゆ、酢、塩、マスタード、テリヤキソース、とんかつソース、チリソース、ゆず等の各種調味量、辛子、胡椒等の各種香辛料、小豆、かぼちゃ、アロエ、パセリ、トマト、セロリ等の野菜およびその加工品、キャラメル、ラムネ等の各種嗜好品等、食せるものであればあらゆるものを本願発明の呈味原料とすることが可能となる。
【0052】
その他の「呈味原料」としては、植物油脂、動物油脂およびその加工品、タンパク、例えば大豆タンパクなども有益である。
【0053】
「食品添加物」としては酸味料、着色料、香料、乳化剤、増粘剤、結着剤、ゲル化剤、甘味料、pH調整剤、カルシウム粉末などのミネラル原料等の食品に添加できるものなら利用することができる(他の構成と重複する場合もある)。
【0054】
上述の材料を混合、湿潤させ、成形して完成する。混合は規定の原料をミキサーに投入して撹拌・加圧・混合する。各材料が均等に分散して混ざり合うことが重要である。
【0055】
ここで、「成形」としては、打錠を除き、加圧しながら混合・混練し、成型する「押出し機」、加圧し水分を浸潤させる「プレス加工機」(別途成型が必要)、混合生地を加圧と別途成型する装置、例えば「整丸」、「整粒機」、など用いて行うことができる。
【0056】
「押出し機」としては、特許文献2の図4に開示の押出し機が好適である。水分を浸潤させるための「加圧混練」には、ミキサーで生地を混合後、押出し機を利用すること、或いは混合しサラサラの生地を加圧だけするプレス機などを用いて行うことができる。圧力としては、1MPa/m以上かかればよい。特に好ましくは2MPa/m~10MPa/mである。
【0057】
「保存手段」としては、脱酸素剤の同封、窒息ガス充填、希ガス充填及びアルコール揮発材の内から選ばれる1種、又は2種以上を採用することができる。
【0058】
「加熱加工食品」としては、生地に水分を含む、もしくは水分を加えて混合された材料をもとに、加熱工程を経て完成する食品全般を含み、さらには、菓子・パン、料理、その他水分を含み、もしくは水分を加えて加熱して完成する食品全般を含む。
市場への供給形態はドライ、常温、冷蔵、冷凍いずれでも構わないこととする。より具体的には、加熱加工食品としては、パンや菓子などの小麦粉加工食品のほかに、米飯、餅製品、麺製品、卵や乳加工製品、畜肉或いはかまぼこなどの魚肉加工製品、コロッケなどの総菜が例示できる。
【0059】
「加熱工程」とは、加熱加工食品の原料(生地)を成形したのち、オーブン、ガス・電気などの熱を鉄板や型などで用いる加熱、フライ、蒸し器、圧力なべ、ボイル、燻煙や電磁調理器、電子レンジなどによる加熱を指す。
【発明の効果】
【0060】
本願発明は、上記構成であるので、次の効果を奏する。
本願出願に係る発明(本発明)の物性的視点
1)生地ダメージ
既出願製品では、生地のガス抜きの際、モルダー処理工程で、生地の引きちぎりなどのダメージが生じ、加工製品の品質が低下していた。
他方、本発明では、それら品質低下が改善される。また、乾燥した粒より水分を多く含むため、パンや菓子生地からの水分吸収が抑えられるためのため老化現象の発生を遅らせることができた。
2)再結晶の改善
本発明は、成形物自体に水分が多く含まれることから、糖の再結晶化が既出願製品に比べ改善された。すなわち、再結晶までの時間が長くなった。
3)香料の低減
既出願製品のように、乾燥工程がある場合は、成形乾燥された粒に後から香料を表面上に塗り付ける感じであり、一体性が乏しく揮発量も多い。
他方、本発明では、未乾燥粒を生産する場合は原料の混合時点で投入されるので、原料とのなじみ具合がよく深く香気成分が浸潤し粒の中に内包されることができるため、本発明は、香料を既出願製品に比べ低減させることができる。
4)特許文献2,3タイプの用途拡大
特許文献2,3に係る製品の場合、加熱膨潤させるため、原理的に、生地にある程度の水分の配合が必要であったため、クッキーなどの生地水分の低い加熱加工食品へ利用が制限されていた。他方、本発明では、自身に水分が含まれるようになったため、従来対応できなかった、クッキーやビスケット生地など比較的水分の少ない生地製品への利用も可能になった。
また、既出願製品では、ジャム様化させるために、焼成などの加熱時間は最低10分以上必要で、十分でないとジャム様化せず、シャリシャリとした糖質部が残り、不完全状態になる。他方、本発明であれば、粒内部への水分の浸透が必要でなく、ホットケーキなど短時間で焼き上げられる製品においても、ジャム様化させることができるようになり、利用分野を拡大させることができた。
5)特許文献5タイプの用途拡大
特許文献5では、粒の利用について、原理的に配合される生地にグルテンが発生するなど、ある程度の固さが必要とされてきた。
他方、本発明の非乾燥糖加工食材では、マフィンなど柔らかな生地でも、色のにじみが確認される。また特許文献5に係る製品に比べて、分散性が向上し、色目のにじみ方が著しく向上した。その結果、色素、香料を低減させることができる。
本発明の利用者の視点
1)モルダーの使用
既出願製品を添加した生地では、生地のガス抜きにモルダーを実質的に使用できなかったが、本発明を添加した生地では、生地のガス抜きにモルダーを使用することができ、手作業のガス抜きと比べて2倍以上の生産性と品質の安定性が得られる。またモルダーのメンテナンスも容易になる。
3)リバースシーター使用
既出願製品では実質的に使用できなかった、生地とバターやフィリングを折り込むデニッシュペストリーやパイ製品への使用も可能となる。その際、リバースシーターなどの折り畳み機も従来同様に使用することができる。
4)自動パン焼き器での改善
家庭でパン作りを楽しむ場合、自動パン焼き器を使用することが多い。この機械は生地をミキシング・焼成するパンケース(ボウル)と呼ばれる部分があり、焼成後の生地が取り出しやすいようにテフロン(登録商標)加工が施されている。
しかしながら、既出願製品のように乾燥硬化した硬い粒をボウルに入れてミキシングするとボウルが傷つき、テフロン(登録商標)が剥がれ、焼成後に融けた既出願製品の粒とボウルが強く付着して取り出せなくなることが多々あった。そのため既出願製品の粒を投入する場合、いったん生地を取り出して別の場所で手作業により生地と粒を混ぜ合わせていた。
他方、本発明の非乾燥糖加工食材の粒を使用すれば、自動パン焼き器を用いた家庭でのパン焼きにおいて、このような面倒な作業から解放されることになる。
【0061】
本発明の製造者の視点
1)製造時間の大幅な短縮、および生産性の向上
既出願製品は、1日目に糖を主体とした原料を計量・混合・成形してセイロと呼ばれる穴の開いた容器に入れたうえで、乾燥庫に移動して一晩乾燥させていた。2日目は前日から乾燥庫に保管していた製品を取出し、水分活性値を確認したうえで、問題なければ香料添加の工程になる。
セイロの重量を一枚一枚計量しながら混合機に乾燥された粒を投入して、規定された分量だけ香料を計量して投入し時間をかけて均等に分散混合していた。
他方、本発明では、未乾燥品の製造ラインでは当日中に作業は完結する。さらに香料添加工程は、原料を混合する工程に香料添加工程を組み入れることで、粒成形後、乾燥後に必要なくなり、著しい生産上のメリットを享受できる。
2)乾燥工程の制限解放
既出願製品では、乾燥室の容量が、生産量のボトルネックとなっていた。
他方、本発明では、乾燥室容量を気にすることなく、成形された分だけ生産が増える。
3)不良在庫の解消
大口の顧客の要望に応えるためには欠品は絶対に許されない。そのため、ある程度予測生産をして対応してきた。しかしながら多くの場合は、特注品として企画された製品のため、不良在庫として大量に余ってしまうことになった。
他方、本発明では、当日生産が可能となったことで、予測生産をする必要がなく、当日生産、当日出荷・納品も可能で、タイムリーに顧客の要望に応えることが可能となり、不良在庫を大幅に削減できることとなる。
4)乾燥工程の設備軽減
生産設備における乾燥工程や香料添加工程、装置は、投資額および専有面積において、全体のほぼ半分を占めていた。それら工程を省略するだけで、大幅な経費削減と生産性の向上が見込まれる。その結果、生産工程全体として2倍以上の生産性の向上が期待され、極めて画期的なことである。
5)乾燥工程の省略による清掃作業削減
既出願製品について、多数の品目が開発、生産されている。どんなに計画的にし、効率的化しようとしても、品目の違う製品を生産する場合、セイロや台車など乾燥工程に関する機器材を清掃する必要があった。これらはアレルギー物質の除去や異物混入の防止の観点からどうしても必要で、大きな手間と労力であり、清掃コストはほぼ毎日発生していた。
他方、本発明では、乾燥工程を必要としないことから、乾燥工程の清掃コストは発生しない。
【図面の簡単な説明】
【0062】
図1】特許文献5の発明を使用したパン生地の写真(A)、その焼成物の断面(B)である。
図2】特許文献2の発明を使用したパン生地の焼成物の断面である。
図3】特許文献3の発明を使用したパン生地の焼成物の断面である。
【発明を実施するための形態】
【0063】
以下、本願発明について、詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0064】
以下、本発明である非乾燥糖加工食材(茶色、蜂蜜味)の製造方法について説明する。各種原材料の配合量は次の通りである。
【0065】
ブドウ糖 1,890g、
上白糖 810g
コーンフラワー1,300g
澱粉(タピオカ) 300g
はちみつ 100g
香料 50g
カラメル色素 10g
加水 550g~ 650g
合計 5,010g~5,110g
主原料4,460に対して水分量12.3~14.6%
水分 730g~ 830g
水分含量14.5重量%~16.2重量%
【0066】
上記原料を混合する。その後、押出し機(特許文献2,図4参照)に投入して、孔径5mmのダイスを通し、押し出したうえで、長さ5mm程度でカットした。そのときの水分量は、蜂蜜が水分量20重量%、コーンフラワー及び澱粉の水分が10重量%であったので、水分730g(14.6)/全体5,010gであった。他方、水の加水量は、加水を除く主原料4,460gに対する加水で、12.3(550g/4,460g)%~14.6(650g/4,460g)%であった。
【0067】
その後、2kgの量を袋に充填し、脱酸素剤も同封したうえで、ヒートシールで袋の口を閉じた。そして、ダンボールの中に梱包し、保管した。その後、金属探知機などの検査を実施し、市場に提供される。
【0068】
これをパン生地に混合し、モルダーにてガス抜きを行っても、モルダーのローラーをキズ付けることなく、スムーズに作業を行うことができた。焼成後は、パン生地に色、味ともに、異なる変化を付与することができた。
図1
図2
図3