(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-04
(45)【発行日】2023-09-12
(54)【発明の名称】磁場及びデバイスを使用したハイスループットな粒子ハンドリングのための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
C12M 1/00 20060101AFI20230905BHJP
C12N 15/10 20060101ALI20230905BHJP
C12Q 1/6809 20180101ALI20230905BHJP
C12Q 1/686 20180101ALI20230905BHJP
【FI】
C12M1/00 A
C12N15/10 Z
C12Q1/6809 Z
C12Q1/686 Z
(21)【出願番号】P 2020536003
(86)(22)【出願日】2019-03-04
(86)【国際出願番号】 US2019020575
(87)【国際公開番号】W WO2019169395
(87)【国際公開日】2019-09-06
【審査請求日】2022-02-25
(32)【優先日】2018-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520021048
【氏名又は名称】プソマーゲン, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】PSOMAGEN, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】アプテ、ザッカリー
(72)【発明者】
【氏名】リッチマン、ジェシカ
(72)【発明者】
【氏名】アルモナシド、ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】モラレス、エドゥアルド
(72)【発明者】
【氏名】ノリス、コンスタンス
(72)【発明者】
【氏名】オルデネス、ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】ニエト、パメラ
【審査官】西村 亜希子
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-329986(JP,A)
【文献】米国特許第06409925(US,B1)
【文献】米国特許第05567326(US,A)
【文献】特開2010-127941(JP,A)
【文献】国際公開第2011/162290(WO,A1)
【文献】特開2011-234671(JP,A)
【文献】特開2011-127965(JP,A)
【文献】特開2012-034612(JP,A)
【文献】国際公開第2012/017629(WO,A1)
【文献】特開2010-133952(JP,A)
【文献】国際公開第2014/007074(WO,A1)
【文献】中国実用新案第206408241(CN,U)
【文献】中国実用新案第206956049(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第107058062(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第108642045(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M
C12N15/
G01N
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの試料から核酸物質を単離するための磁場を促進するための(for facilitating)磁気デバイスを含む、核酸物質を単離するためのシステム
であって、
前記磁気デバイスは、
支持構成要素と、
前記支持構成要素に取り付けられる一セットの磁気ピン群であって、前記支持構成要素に取り付けられた場合には
自由度が少なくと
も3の可動性を有する一セットの磁気ピン群と、
を含み、前記一セットの磁気ピン群の各ピンは、互いに独立して可動であり、前記一セットの磁気ピン群は、前記少なくとも1つの試料を収容する少なくとも1つの試料区画に挿入されるように構成され、前記一セットの磁気ピン群の前記独立した可動性、及び前記一セットの磁気ピン群の前記
自由度が少なくと
も3の前記可動性が、前記試料からの前記核酸物質に付着した磁気ビーズの位置に対する適合性をもたら
し、前記磁気ピンは磁石構成要素(magnet components)である、
前記システム。
【請求項2】
前記磁気デバイスが、自動ロボット試料処理プラットフォームに組み込み可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記磁気デバイスが、前記自動ロボット試料処理プラットフォームに組み込むための圧縮グリップ構成要素を含み、前記圧縮グリップ構成要素は、トング、クランプ、及び留め具のうちの少なくとも1つを含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記磁気デバイスが、前記磁気ピンからの前記磁気ビーズの解放を促進するために振動器具に取り付け可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記支持構成要素が、前記一セットの磁気ピン群を前記
少なくとも1つの試料区画から洗浄溶液及び溶出溶液のうちの少なくとも1つに移動させるために動かすことができる、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記一セットの磁気ピン群が前記
少なくとも1つの試料区画に挿入されるときに、前記一セットの磁気ピン群と前記試料との間に介在物を提供する一セットの接触界面群内に前記一セットの磁気ピン群が収容され、ここで各接触界面は前記一セットの磁気ピン群の少なくとも1つの磁気ピンを収容する、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記一セットの磁気ピン群と、前記核酸物質に付着した、直接誘引される磁気ビーズとの間に介入する面を伴わず、前記試料から前記核酸物質に付着した磁気ビーズを直接誘引するように、前記一セットの磁気ピン群が前記
少なくとも1つの試料区画に挿入されるように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記一セットの磁気ピン群が
磁気ピンを96本含み、
前記96本の磁気ピンは、96ウェルプレートの各ウェルの位置及び表面形状に適合するために、
前記96本の磁気ピンの配置によって形成される面(facet)及び前記96本の磁気ピンの位置が少なくとも3軸にお
いて調整できるように少なくとも3軸において可動性である、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記一セットの磁気ピン群の各ピンが、1ウェル~96ウェルの異なる数の試料ウェルからなる一セットの異なる試料区画群に対して前記一セットの磁気ピン群の構成を適合させるために、前記支持構成要素から取り外し可能でありかつ前記支持構成要素に再取り付け可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記支持構成要素が、
自由に可動な蓋と、
前記自由に可動な蓋に取り付けられ、一セットの穿孔群を含むプレートと、
を含み、前記一セットの磁気ピン群の各磁気ピンが、前記一セットの穿孔群の各穿孔に装着可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記少なくと
も3の自由度が、x軸における第1の自由度、y軸における第2の自由度、及びz軸における第3の自由度を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
核酸物質に付着した磁気ビーズを含む、少なくとも1つの試料混合物に、磁気デバイスの一セットの磁気ピン群を挿入することを含む、核酸物質を単離するための方法
であって、
前記一セットの磁気ピン群は、前記磁気デバイスの支持構成要素に取り付けられた場合には
自由度が少なくと
も3の可動性を有し、前記一セットの磁気ピン群の各ピンは、前記支持構成要素に取り付けられた場合には互いに独立して可動であり、前記一セットの磁気ピン群の前記独立した可動性、及び前記一セットの磁気ピン群の前記
自由度が少なくと
も3の前記可動性が、前記核酸物質に付着した前記磁気ビーズの位置に対する適合性をもたら
し、前記磁気ピンは磁石構成要素(magnet components)である、
前記方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つの試料混合物中で、前記一セットの磁気ピン群を0.5分間~10分間インキュベートすることをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記一セットの磁気ピン群を前記少なくとも1つの試料混合物から取り除いた後、洗浄溶液及び溶出溶液のうちの少なくとも1つに、前記一セットの磁気ピン群を挿入することをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記洗浄溶液及び前記溶出溶液のうちの前記少なくとも1つに前記一セットの磁気ピン群を挿入した後、前記一セットの磁気ピン群から前記磁気ビーズを解放するために振動デバイスを用いることをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記一セットの磁気ピン群と前記試料混合物との間に第1の介在物を提供し、前記一セットの磁気ピン群と前記洗浄溶液及び前記溶出溶液のうちの前記少なくとも1つとの間に第2の介在物を提供する、一セットの接触界面群内に、前記一セットの磁気ピン群が収容される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記一セットの磁気ピン群の前記独立した可動性、及び前記一セットの磁気ピン群の前記
自由度が少なくと
も3の前記可動性が、前記核酸物質に付着した磁気ビーズの直接的な誘引を、前記一セットの磁気ピン群と前記核酸物質に付着した前記直接誘引される磁気ビーズとの間に介入する面を伴わずに促進する、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも3
の自由度は、x軸における第1の自由度、y軸における第2の自由度、及びz軸における第3の自由度を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つの試料混合物に前記一セットの磁気ピン群を挿入する前に、前記磁気デバイスを自動ロボット試料処理プラットフォームに組み込むことをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記磁気デバイスを組み込むことが、前記磁気デバイスの圧縮グリップ構成要素を介して前記磁気デバイスを組み込むことを含み、前記圧縮グリップ構成要素は、トング、クランプ、及び留め具のうちの少なくとも1つを含む、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2018年3月2日に出願された米国特許仮出願第62/637,959号明細書、2018年3月19日に出願された米国特許仮出願第62/645,091号明細書、及び2018年5月14日に出願された米国特許仮出願第62/671,410号明細書の利益を主張するものであり、その全体がそれぞれ参考として本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は一般に、実験及び臨床研究室のための試料処理用デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
今日において、科学技術の発展が市場製品及びソリューションに次第に適用されてきている。それにもかかわらず、科学的なブレイクスルーを具体的な製品開発に移行させるには、いくつかの障壁が依然として存在する。これらの技術の完全な開発を妨げる障壁の1つは、それらの生産プロセスのための著しく高いコスト、及び多くの時間であり、ラージスケールの市場用の選択肢の実現性が乏しいということである。
【0004】
これらの問題を解決するための戦略の一環として、研究室は自動化されたインフラストラクチャを実装し、部分的又は完全な様式(mode)で、労働力に関する費用及び時間を低減させてきた。コストを上昇させるさらなる要因は、材料及びエネルギー資源である。したがって、この業界から市場製品に関与する量と多様性とを促進するためには、科学的製品のスケーリングのために必要となる時間及び資源を低減させることが可能な、効率的かつ効果的な生産プロセスに焦点を当て続けることが重要である。しかしながら、生産のために必要となる一部の手順の複雑さ、及び高い品質基準によって、かなりの割合のプロセスがこれらの必要条件を満たさない結果となる。
【0005】
例えば、自動試薬ハンドリングプラットフォームは、生体試料のハンドリング、核酸及びタンパク質操作、溶媒の混合、小分子のハイスループットな試料採取等を含む、研究室での作業を行うことができる。これらの自動化されたプラットフォームを実装することで、処理される試料の量を実体がスケールアップすることを可能にし、特にその他の利点のうち、試料の汚染に対する可能性を低減し、かつ人為的エラーにより導入される変動性を最小化しながら、プロセスを高度に再現可能なものとなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
磁石の使用は、磁場に誘引される粒子(以下「磁性粒子」と称する)の機械的、物理的操作に応用することができ、該粒子は試料溶液中の対象の化学物質及び生体物質と直接相互作用することができる。磁性粒子は、特に、イオン性、疎水性又は親和性交互作用によって標的分子に結合し得るように、イオン的に帯電したポリマーによってカプセル化されていてもよく、又は特定の化合物によって官能化されていてもよい。これらの磁性粒子は、磁石を使用して捕捉することができ、手動、又は自動化されたピペット操作を用いて対象の容器からその他の物質を除去した後、及び1又は複数の洗浄工程の後には、元々の容器中に磁性粒子及びそれらの標的結合分子のみが残る。
【0007】
自動化の文脈において、磁石は、介入するための溶液を含有する受容器の下に位置する基体として使用され得る。この磁性基体は、溶液の残りから粒子を単離するための洗浄工程が連続することを伴うものであり、そのため、これらの洗浄の残存結果物(residual consequence)が生じている。このことは、洗浄のための供給品及び時間が大きく費やされることを示唆している。
【0008】
底部から粒子を磁気的にハンドリングする代わりに、表面から粒子をハンドリングして、所望により器具と溶液との間の使い捨て可能な介在物によって媒介させることが可能であり、これは手動操作の文脈において実行され得る。
【0009】
器具と媒介要素との嵌合い(fit)は、密接な高精度の嵌合いを必要とするものであり、ひいては器具と共に使用される型式及び銘柄の互換性を限定する。
【0010】
これらの媒介要素が使い捨て可能であることを考慮すると、それらの目的が汚染を回避することであるため、それらを製造するために用いられるプロセス及び原材料は、製造される同一のバッチの同一の要素間で厚み及び形状さえもが大きくばらついているため、高精度でも高品質でもない。この物理的不一致は、媒介要素の商標及び銘柄を限定することに加え、要素の嵌合いのクオリティーに基づくために、プロセスの遂行能力を損なう恐れがあり、このことが陳腐化及びコスト増大のリスクとなり得る。
【0011】
核酸の操作は、イオン的に帯電した磁気ビーズによって実行することができる。このプロセスは、イオン溶液の存在下で、磁気ビーズを対象の試料と混合することを含み得る。次に、核酸が磁気ビーズに結合することができるように、混合物を規定された時間インキュベートし、続いて試料を含有するプレート又はチューブを、磁石を含有する面に移動する(例えば、単一のチューブ又は磁気プレートのいずれか)。磁場は、ビーズ、結果として核酸をチューブの側面に誘引し、そこでそれらが付着したままになる。次に、試料は不定回数洗浄されるが、その間、ビーズは磁場によって磁石が存在する容器の側面に付着したままである。最終的に、残液を除去するためにビーズを乾燥して磁気プレートから取り除き、水又は任意のその他の好適な溶液を加えてビーズから核酸を解放させ、続いて清浄なリザーバ(例えば、チューブ、プレート、等)に清浄な核酸を移送する。そのようなアプローチのある部分は、多くの時間を必要とし、かつ費用がかかる場合があり、それにより処理することができる試料数が制限され、このことが生産プロセスをスケールアップする際に大きな障害となる可能性がある。磁性粒子の操作中に、最も多くの時間を必要とし、かつ費用がかかる工程のうちの1つは、各パイプラインに含まれる多数の工程に応じて、試薬と試料との間の相互汚染を回避するために、自動ロボットによって複数回、又は手動で行われる場合は操作者によって交換されなければならない、使い捨て可能なピペットチップの使用である。さらにまた、液体の様々な量をハンドリングするために、異なるサイズのピペットチップを使用しなければならず、一工程ごとにピペッティングヘッドの器具変更を必要とし、プロセスの速度をさらに一層遅らせる。ピペットチップを広範囲に使用すること(extensive use)、及び異なるサイズのピペットチップを使用する必要性の問題は、試料が手動で処理される場合にも発生する。加えて、自動化されたワークステーションの設定では、磁性粒子を標的とするために固定化(immobilization)が起こる場合があり、また懸濁液へと再懸濁されて液体取り扱い者によって処理される際に移動性が時に制限されることがあり、これによりプラットフォームの汎用性が低下する可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
実施形態の以下の説明(例えば、実施形態の変形形態、実施形態の例、実施形態の具体例、その他の好適な変形例、等を含む)は、これらの実施形態に制限することを意図するものではなく、むしろ、当業者が作製及び使用するのを可能にすることを意図するものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】システムの実施形態の構成要素の視覚的表現の具体例を含む。
【
図2】方法の実施形態における、機能的なワークフローの視覚的表現の具体例を含む。
【
図3】PCR反応からのDNA洗浄及び精製を比較した具体例を含む。ここでは、PCR反応のDNA産物を、従来の磁石を用いた磁気ビーズで洗浄及び精製して、システムの実施形態の磁気デバイスと比較している。また、得られたDNAをマイクロ流体電気泳動によって解析しており、ここでは、対象のバンド(例えば、約300bp)の精製収率が、比較される構成要素に対して同程度であり、より小さいサイズの産物(例えば、100~150bp)を洗浄する能力が、比較される構成要素に対して同程度である。
【
図4】システムの実施形態の磁気デバイスの正面図の視覚的表現の具体例を含む。
【
図5】システムの実施形態の磁気デバイスの上面図の視覚的表現の具体例を含む。
【
図6】システムの実施形態の磁気デバイスの側面図の視覚的表現の具体例を含む。
【
図7】得られたライブラリの断片のサイズの具体例を含む。
【
図8】A、Bはメタゲノム配列決定のリード結果の具体例を含む。
【
図9】A、Bはメタゲノム配列決定のリード結果の具体例を含む。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図4~
図6に示すように、(例えば、ハイスループットな粒子ハンドリングのため、核酸物質を単離するため、等の)システム100の実施形態は、試料から核酸物質を単離するための磁場を促進するための(for facilitating)磁気デバイス110を含むことができ、磁気デバイス110は、支持構成要素125、及び/又は前記支持構成要素125に取り付けられる一セットの磁気ピン群115であって、前記支持構成要素125に取り付けられた場合には少なくとも自由度3の可動性を有する前記一セットの磁気ピン群115を含み、前記一セットの磁気ピン群115の各ピンは、前記支持構成要素125に取り付けられた場合は互いに独立して可動であり、前記一セットの磁気ピン群は、少なくとも1つの試料を収容する少なくとも1つの試料区画に挿入されるように構成され、及び/又は、前記一セットの磁気ピン群115の独立した可動性、及び前記一セットの磁気ピン群115の前記少なくとも自由度3の可動性が、前記試料から前記核酸物質に付着した磁気ビーズの位置に対する適合性をもたらす。
【0015】
支持構成要素は、蓋130(例えば、自由に可動な蓋、手動での操作者によって手動で可動な、自動ロボット試料処理プラットフォームによって自動で可動な、等)と、自由に可動な前記蓋に取り付けられ、一セットの穿孔群を備えるプレート135の1又は複数とを含むことができ、ここで前記一セットの磁気ピン群の各磁気ピンは、前記一セットの穿孔群の各穿孔に装着可能である。
【0016】
磁気デバイス110は、所望の物質(例えば、標的要素、等)に対して磁場を発生させることができ、所望の物質を単離(例えば、磁気的手段により物質を誘引する、等)及び/又は輸送することができる(例えば、磁気デバイス110は輸送器具として機能することができる、等)。磁気デバイスは、1若しくは複数の磁気ピン115、及び/又は好適なすでに磁化された構成要素、及び/又は追加の処置によって磁化される可能性を有する構成要素(例えば、電磁石との交互作用などの、直接的又は間接的な処置、等)を含むことが好ましい。そのような磁気構成要素は、一時的又は永久的に、双極子構造を提供し得る。具体例では、デバイスから各双極子によって発生する力は、物質の(例えば、試料の、等)標的要素(1又は複数)を誘引及び分離するのに十分強力であることができ、並びに/又は磁気ピン群115(及び/又は磁気デバイス110の好適な磁気構成要素、等)に対して、及び/若しくは磁気ピン群115(及び/又は磁気デバイス110の好適な磁気構成要素、等)と標的要素(1又は複数)との間の(例えば、磁気ピン群115と標的要素(1又は複数)を収容している受容容器との間の)接触界面120に対して、標的要素(1又は複数)を固定することが可能な程度の力を及ぼすことができ、例えばこの場合、磁力及び/又は接触界面120は、物質が離脱するリスクを全く伴わずに標的要素の輸送を容易にすることができる。
図2に示すように、接触界面と物質容器との間には、対象物間の物理的相互作用を促進するための体積的な適合性があり、これにより、それらの接触面を最大にすることが優先される。
【0017】
方法200の実施形態は(例えば、
図2に示すように)、核酸物質に付着した磁気ビーズを含む、少なくとも1つの試料混合物に、磁気デバイスの一セットの磁気ピン群を挿入することを含むことができ、前記一セットの磁気ピン群は、前記磁気デバイスの支持構成要素に取り付けられた場合は少なくとも自由度3の可動性を有し、前記一セットの磁気ピン群の各ピンは、支持構成要素に取り付けられた場合は互いに独立して可動であり、及び/又は前記一セットの磁気ピン群の独立した可動性、及び前記一セットの磁気ピン群の前記少なくとも自由度3の可動性が、前記核酸物質に付着した前記磁気ビーズの位置に対する適合性をもたらす。
【0018】
システム100及び/又は方法200の実施形態は、磁性粒子の自動化されたハンドリングを実行するコスト及び時間を低減させるための、完全自動化可能なデバイス及び/又はプロセスを提供するように機能することができる。具体例では、磁場を用いて対象の磁性粒子を使用液から直接取り出し、磁性粒子のハンドリングプロセスを、ピペットチップの使用及びピペッティングヘッドの器具交換と独立させる。具体例では、システム100の実施形態は、所望の作業手順により付着した磁性粒子を移動することができる1又は複数の磁気デバイス110を含むことができ、結果として粒子及びそれらの付着分子を、より速く、かつより動的に操作することとなり(例えば、固定されたビーズを短い時間枠内で、順次異なる液体溶液中に速やかに浸漬することができる、等)、全プロセスを完了するのに必要とされるコスト及び時間が低減される(ピペットチップを使用する必要がないため、等)。
【0019】
具体例では、システム100及び/又は方法200は、核酸抽出、及び/又はその他の好適なアプローチに対して作用する逆動力学などに磁気的原理を適用することを通じて要素(1又は複数)をハンドリングすることにより、物質の特定の要素(1又は複数)(例えば、構成要素、等)を単離するための、操作上の方法論を構築する。
【0020】
システム100及び/又は方法200の実施形態は、追加的に又は代替的に、試料処理自動化機器などの任意の好適な構成要素(例えば、圧縮クランプ及び/又は類似の構成要素を占めるか又は含む、等)に組み込まれ得る。具体例では、磁気デバイス110は、1又は複数の自動ロボット試料処理プラットフォームに組み込み可能であり得る(例えば、組み込まれ得る、等)。追加的に又は代替的に、システム100及び/又は方法200の実施形態の一部は、直接的な操作者の管理により手動で使用、及び/又は実行され得る。
【0021】
システム100及び/又は方法200の実施形態は、その他の要素と嵌合うように適合するために機能し得る。磁気デバイス110の構成要素(例えば、磁気ピン群115、等)は、独立した(例えば、互いに独立した、等)自由度が少なくとも3(例えば、少なくともX、Y及びZ軸、等)である可動性を有することができ、これにより、構成要素(例えば、磁気ピン群115、等)を、取り付けることができる異なる面(例えば、面の端部、内面、等)に適合することを可能にし得る。具体例では、各磁気ピンは他の磁気ピンから独立し、線形位置(X軸及びY軸)並びに奥行き(Z軸)を含む3つの軸における運動の自由度を有し、それにより、面の不規則性に適合することが可能になる。
【0022】
具体例では、磁気ピン群115の運動の自由度により、デバイス110が使用される場合のプロセスの品質を確保することができる。これは、各磁気ピン115(及び/又は好適な磁気構成要素)が、介入する要素(例えば、標的核酸物質、その他の標的、等)の位置及びその他の物理的特性に適合し、実際のタイミングを監視する必要条件及び再現能力が無くても実行が可能となるためである。システム100及び/又は方法200の実施形態は、体積、物質及び形状としての物理的特性を、ロボット使用と互換性があるように適合させることができる場合などに、人間の操作者を伴わない、自動化の文脈において使用することができる。具体例では、磁気ピン群115は、通常であれば互いに独立して取り外し可能であり、破損が生じた場合は、器具の邪魔をすることなく修理して置き換えることができる。具体例では、磁気デバイス110が使用される場合、磁気ピン群115の可動性により、磁石は、1~96(及び/又は任意の好適な数)の量及び構成に適合することが可能となり、文脈の必要条件にカスタマイズすることができる。具体例では、一セットの磁気ピン群115の各ピンは、異なる数の試料ウェルからなる一セットの異なる試料区画群に対し、一セットの磁気ピン群115の構成を適合させるために、支持構成要素125から取り外し可能であり、かつそこに再取り付け可能である。
【0023】
具体例では、システム100及び/又は方法200の実施形態は、再現可能で、一貫性があり、自動化され、カスタマイズ可能で、広範な種類の供給品によって使用するための互換性、及び/又は広範な種類のロボットによって使用するための互換性に関する改善をもたらすことができる。
【0024】
システム100及び/又は方法200の実施形態は、任意の好適なフォーマットの使い捨て可能な試料プレート(例えば、ウェルプレート、等)及び/又は任意の好適な試料容器との適合性があり、その構成要素を含み、それと共に適用することができ、及び/又は別様にそれと関連する(otherwise be associated with)ことができる。使い捨て可能な試料プレート及び/又は試料容器は、磁石構成要素(magnet components)(例えば、磁気ピン群115)と試料との間で界面として機能することができる、ポリスチレン及び/又は任意のその他の好適な物質によって構成されることが好ましい。
【0025】
システム100及び/又は方法200の実施形態は、任意の好適な種類の核酸物質(例えば、DNA、RNA、mRNA、cDNA、ゲノムDNA、微生物核酸物質、等)を単離するために使用され得る。
【0026】
システム100及び/又は方法200の実施形態は、試料を処理するための自動化されたプロセス及び/又は手動のプロセスとの適合性があり、その構成要素を含み、それと共に適用することができ、及び/又は別様にそれと関連することができる。システム100及び/又は方法200の実施形態は、任意の好適な液体、半固体、固体、生物物質、有機物質、無機物質、及び/又は任意の好適な物質に適用することができる。
【0027】
変形形態では、システム100及び/又は方法200は、生体分子の単離(例えば、核酸精製)、核酸洗浄、核酸の標準化、タンパク質のプルダウン、タンパク質精製、並びに/又は、薬剤、医薬及び/若しくは任意のその他の化合物、及び/若しくは対象の巨大分子のみならず、炭水化物、脂質、抗体及び/若しくは小分子の単離(例えば、精製、等)にも、適用することができ且つ/又はそれらのプロセスを含むことができる。変形形態では、システム100及び/又は方法200は、精製、標準化、単離及び/若しくは抽出に適用することができ且つ/又はそれらのプロセスを含むことができ、ここでは例えば、磁性粒子をハンドリングすることによって、標的のマイクロ粒子及びナノ粒子試料を操作することなどにより、マイクロ粒子及び/又はナノ粒子が磁場の挙動の影響を受けやすくなり得る。
【0028】
変形形態では、磁性の使用により物質から特定の要素を選択するためのプロセスにおいて、操作ロジックは、所望の要素を固定し、それを単離するためにその物理的コンテキストを除去することに基づき得る。具体例では、DNA精製(並びに/又は任意の好適な核酸及び/若しくは分子の単離)の場合、DNAを誘引して一時的に付着する磁気ビーズを使用することができる。具体例では、続いて磁気スタンドを使用して磁場を印加した後(及び/又は任意の好適な時期)に、ビーズ、したがってDNAは、それらが位置する容器の底部に固定される。DNA及びビーズを受容器(例えば、試料容器)に固定する一方で、元々の物質に属しており、対象のものではない、又は下流プロセスを阻害/影響を及ぼす恐れのある、その他の化合物を除去するという目的で、流体を繰り返し分注及び吸引し(例えば、洗浄、等)、結果として固定された物質を単離する。
【0029】
変形形態では、システム100及び/又は方法200は、所望の物質自体に介入することによって選択される要素(1又は複数)の単離に適用されること及び/又はそれを含むことができる。それ故、物質の残余成分を取り除く代わりに(例えば、外部資源及び時間を使うことを意味する、連続した操作で残る結果として対象の化合物を単離することとは対照的に)、所望の物質を残余成分から直接取り除く。
【0030】
追加的に又は代替的に、その他の資源の使用を最小化するだけでなく、精製プロセスをより迅速に、より効果的に、かつ効率的にするために、システム100及び/又はシステム200の変形形態は、所望の物質と直接ハンドリングするため、得られた所望の物質を直接移動させることができる(例えば、それにより、
図1に示すように洗浄などのその他の後続のプロセスのために必要とされる物質の量を低減させるのにも役立つ可能性がある、等)。
【0031】
具体例では、標的物質は、磁気によって構造体(例えば、磁気ピン群115)に固定され、ここで前記構造体は、磁気ビーズ、及び/又は構造体と物質との間のプレートなどの物理的界面、及び/又はこの目的を達成するための任意のその他の好適な様式(例えば、
図1に示すような)、などの、場合に応じた1又は複数の介在する接触界面120の使用を伴うか又は伴わない、磁化されるのに好適な任意の手段であってよい。具体例では、一度標的物質が固定されると、元々の容器に存在する任意のその他の成分からそれらを単離するために、標的物質が最初の試料溶液から分離及び除去され、続いて、プロセスの次の段階に直接取り込むことができる。具体例では、標的分子は、元々の容器中で捕捉及び保持され、磁気要素の使用を含んでも含まなくてもよく、それを保持することで特定の標的物質を単離することが目的である場合、一連の連続した洗浄工程の後に、物質を単離して、さらなる汚染物質及び/又は任意のその他の成分を含まない溶液中に溶出させることができる。
【0032】
具体例では、磁気デバイス100は、生体試料(例えば、微生物核酸物質などの微生物を含む生体試料、等)からのDNA抽出のプロセスのための自動化されていない実験で使用することができる(且つ/又はRNA抽出などの任意の好適な核酸抽出のために使用することができる)。具体例では、96ウェルプレート(例えば、96ウェルポリスチレンプレート等)が使用されるが、任意の好適なウェル数を有する任意の好適なプレート(例えば、96以外のウェルプレート、6、12、24、48及び/又は384ウェルプレート、等)を追加的に又は代替的に使用することができる。具体例では、96ウェルポリスチレンプレート内の対象の試料を、イオン溶液中でイオン的に帯電した磁気ビーズと混合し、短時間インキュベートする。具体例では、接触界面120として新規の96ウェルプレート(及び/又はウェルプレートなどの任意の好適な試料容器、及び/又はその他の好適な構成要素、等を接触界面として使用することができる)を磁気デバイス110に嵌め入れ、磁気ビーズと混合された試料を含有するプレート内に入れた(例えば、接触界面120のウェルを、試料の入ったプレートのウェルの開口に入れた、等)。具体例では、界面プレートの表面に付着した磁気ビーズを短時間インキュベートした後に、(例えば、磁気デバイス110を引き上げること等によって)試料から磁気ビーズ及び付着DNAを取り除く。具体例では、試料からDNAが付着した磁気ビーズを取り除いた後(及び/又は任意の好適な時期に)、DNAが付着した磁気ビーズを、好適な回数で(例えば、複数回、一回、等)洗浄溶液(例えば、エタノール80%)の入った新規のプレート(例えば、新規の96ウェルプレート等)に浸漬し、核酸分子(例えば、付着したDNA等)をさらに洗浄する。具体例では、洗浄後(及び/又は任意の好適な時期に)、付着したDNA(及び/又は好適な核酸物質)を磁気ビーズから離脱させることができる、水及び/又は任意の溶媒に、DNAが付着した磁気ビーズを浸漬する。それによって、付着したDNA(及び/又は好適な核酸物質)が解放される。解放された核酸物質(例えば、磁気デバイス110を使用して試料から単離された、解放された核酸物質、等)は、PCR、RT-PCR、ライブラリ調製、制限酵素分析、ライゲーション及び/又は好適な用途の任意の1又は複数を含む、任意の用途(例えば、下流用途等)に使用することができる。
【0033】
具体例では、表1に示すように、システム100及び/又は方法200の実施形態の任意の好適な一部を使用する場合、DNA回収率を評価することができ、そのようなDNA回収率は、蛍光色素分析によって定量化することができる。具体例では、ヒト試料のイオン的に帯電した磁気ビーズのインキュベーションから回収されたDNAの、蛍光色素分析による測定量(ng/μL)は、表1に示す通りであり、ここではすべての試料がビーズから等量の分子グレードの水(molecular grade water)に溶出した。それ故、濃度は各アプローチの収率を表しており、直接比較をすることが可能である。ここでは、DNA抽出手順のネガティブコントロールとして、DNAフリーである試料溶解バッファを使用した。標準偏差値と共に平均値を各列の最後に示す。
【表1】
【0034】
具体例では、本明細書に記載される、PCR反応から得られた産物からDNAを精製及び洗浄するための1又は複数のアプローチを使用することなどによって、DNA(及び/又は微生物核酸物質、ゲノムDNAなどの、好適な核酸物質、等)を抽出することができる。PCR産物の洗浄に磁気ビーズを使用する目的には、標的DNA分子(例えば、長さが200bpより大きい、任意の好適なサイズ閾値を超える及び/又はそれに関する、等)を保持しながら、より小さいサイズのDNA断片(例えば、長さが200bp未満、任意の好適なサイズ閾値未満及び/又はそれに関する、等)及びPCR反応のその他の成分を除去することを含み得る。システム100(例えば、磁気デバイス110等)及び/又は方法200の実施形態の任意の好適な一部は、PCR洗浄に適用することができ(例えば、磁気ビーズを用いて、等)、
図3に示すように、従来の磁気プレートと比較することができる。具体例では、PCR産物及び洗浄された試料におけるDNAの蛍光強度に基づいて
図3に示すように、従来の磁石及び磁気デバイス110は、同程度の収量の対象のDNA(及び/又は好適な核酸物質)を精製することが可能であり(例えば、約300bpのバンド)、この場合、より小さいサイズのDNA産物(例えば、サイズが100~150bpの)から試料を洗浄する能力が同程度であり得る。
【0035】
変形形態では、前記方法は:ビーズを加え、抽出されるべき標的を含有する溶液を(手動又は自動で)混合すること;標的がビーズに結合することが可能となるのに十分な時間インキュベートすること;界面に結合された磁気デバイスを取り、それをプレートの中に沈めること;0.5~10分間インキュベートすること;ビーズが界面の外側に付着した状態で、磁気デバイスを取り出すこと;続いて磁気デバイスを洗浄溶液中に沈めること;0.5~10分間インキュベートすること(任意);前述の2工程は、1~5回繰り返すことが可能である;界面に結合された磁気デバイス及びビーズを、溶媒が蒸発するように0.5~15分間懸濁すること;界面に結合された磁気デバイス及びビーズを、溶液を含有するプレートの中に沈めて、ビーズから標的を溶出及び解放させること;続いて磁気デバイスを除去して界面を保持すること;0.5~5分間インキュベートし、それを水和させることにより標的の解放を容易にすること;ビーズからの標的の解放を容易にするために、界面に接続された振動デバイス若しくは振盪デバイスを使用する(任意)すること;及び/又は、残存するビーズを溶液から除去するために、磁気デバイスを界面に再度結合すること、のうち1又は複数の任意の組み合わせを含み得る。
【0036】
具体例では、方法200は、少なくとも1つの試料混合物中で、一セットの磁気ピン群を0.5~10分間インキュベートすること;少なくとも1つの試料混合物から一セットの磁気ピン群を取り除いた後、洗浄溶液及び溶出溶液のうちの少なくとも1つに、一セットの磁気ピン群を挿入すること;洗浄溶液及び溶出溶液のうちの少なくとも1つに一セットの磁気ピン群を挿入した後、一セットの磁気ピン群から磁気ビーズを解放させるために、振動デバイスを用いること、を含むことができ、且つ/又は、ここで一セットの磁気ピン群は一セットの接触界面群内に収容され、該一セットの接触界面群は、一セットの磁気ピン群と試料混合物との間の第1の介在物(first intermediary)及び一セットの磁気ピン群と洗浄溶液及び溶出溶液のうちの少なくとも1つとの間の第2の介在物(second intermediary)を提供する。
【0037】
具体例では、一セットの磁気ピン群の独立した可動性、及び一セットの磁気ピン群の少なくとも自由度3の可動性により、一セットの磁気ピン群と、核酸物質に付着した、直接誘引される磁気ビーズとの間に介入する面を伴わずに、核酸物質に付着した磁気ビーズの直接的な誘引が促進される。具体例では、前記少なくとも自由度3には、x軸における第1の自由度、y軸における第2の自由度、及びz軸における第3の自由度が含まれる。
【0038】
具体例では、方法200は、少なくとも1つの試料混合物に一セットの磁気ピン群を挿入する前に、磁気デバイスを自動ロボット試料処理プラットフォームに組み込むことを含み得る。具体例では、磁気デバイスを組み込むことは、磁気デバイスの圧縮グリップ構成要素を介して磁気デバイスを組み込むことを含み、ここで圧縮グリップ構成要素は、トング、クランプ、及び留め具のうちの少なくとも1つを含む。
【0039】
変形形態では、システム100及び/又は方法200は、メタゲノムライブラリの構築に(例えば、メタゲノム配列決定のための微生物メタゲノム配列決定ライブラリ調製等に)適用することができる。具体例では、PCR(例えばP5/P7配列決定アダプタを伴う、等)の後、及びDNA標準化の前に(及び/又は任意の好適な時期に)、磁気デバイス110を(例えば、標的核酸物質を付着する等のために)磁気ビーズと共に適用することができ、
図7に示すように(例えば、500bp近辺の長さなどの、予期される断片を有する試料が得られたことを評価するバイオアナライザーによって)結果を視覚化することができる。具体例では、
図7に示すように、異なる濃度及び同様なサイズでライブラリを得ることができ、これは、異なるバンド強度及び約500bp近辺のサイズで視覚化される。具体例では、PCR(及び/又はその他の好適なアプローチ)によって、タグメンテーションされた試料断片(及び/又は好適な成分)に、インデックス配列及びアダプタ配列を付加することができる。
【0040】
変形形態では、システム100及び/又は方法200を、メタゲノム配列決定に適用することができる(例えば、本明細書に記載されるアプローチを使用して構築されるメタゲノムライブラリを用いて、等)。具体例では、腸及び生殖試料(例えば、微生物核酸物質を含む消化管関連試料、微生物核酸物質を含む生殖試料であるが、身体部位が腸部位、膣部位などの生殖部位、口部位、鼻部位、皮膚部位、等の任意の1又は複数を含み得る場合などの、任意の好適な身体部位に関連する任意の好適な試料を、本明細書に記載される任意の好適なアプローチに対し、追加的に又は代替的に使用することができる)を使用して、2つの異なるメタゲノムライブラリが構築された。具体例では、例えばメタゲノムのリードの量及び深度を(例えば、機能遺伝子及び/又は病原性遺伝子に対して等で)評価するために、好適なパイプラインで構築される16Sライブラリを各メタゲノムライブラリにロードすることができる。具体例では、
図8A~
図8Bに示すように、双方のシークエンシングランに対して平均15Mの総生リード、及び13Mのフィルターを通過したリードであって、seqラン17.11.16では、種、属及びドメイン当たり平均1.2Mの割り当てリード(assigned reads)が得られた。seqラン17.1204では、同一の分類学的分類に対して平均4Mの割り当てリードが得られた。seqラン17.1204では、seqラン17.11.16と比較して、分類学的に割り当てられるリードがより多く得られた。これは、ウェル当たり1:20のビーズ:PEG比率を使用する、ビーズに基づく標準化プロトコルの使用(例えば、磁気デバイス110を使用する)により、水ベースのDNA溶出工程の後に、さらなるDNA収率回収がもたらされる可能性があることを示し得るものであり、このことは、最後のシークエンシングランにおけるより多くの割り当てリードと相関し得る。
【0041】
具体例では、
図9A~
図9Bに示すように、リードデータに割り当てられたシークエンシングランのドメインは、古細菌、真正細菌、真核生物及びウイルスに割り当てられたものに細分類された。双方のseqランに、ウイルス及び真核生物の配列の検出が含まれていた。Seqラン17.11.16では、真正細菌に割り当てられるリードが約1.2M得られた。その一方で、バイオインフォマティクス解析では約300,000リードが真核生物ドメインに割り当てられた(例えば、
図9Aに示すように)。Seqラン17.12.04では、真核生物及び真正細菌についてそれぞれ約3Mのリード及び約800,000のリードが得られた(例えば、
図9Bに示すように)。ここで、結果における差異は、ビーズ標準化プロトコルの違いによって説明することができ、双方のライブラリは、ビーズとPEGとの比率に対し、ビーズ:PEGバッファ比率で1:40及び1:20を使用して構築されていた。seqラン17.12.04及び17.11.16に対して、3Mのホモサピエンス配列リード及び約260,000のチンパンジー配列リードがそれぞれ得られた。このことは、異なるビーズ:PEG比率を使用する場合、ホモサピエンス及びチンパンジー配列の比率が同程度であり得、したがって、ビーズ標準化中での異なるビーズ比率により、ライブラリを構築し、統合するためのインプットDNAをより増大させうることを示しうる。
【0042】
具体例では、システム100及び/又は方法200は、自動メタゲノムライブラリ構築パイプラインを含み、及び/又はこれを実行することができ(例えば、約500bp近辺が得られるメタゲノムライブラリのサイズに基づいて、等)、かかるアプローチにより、実際の試料において異なる分類学上の目を同定することが可能になり(例えば、真核生物、古細菌、真正細菌及び/又はウイルス、等)、及び/又は、そのようなアプローチにより、腸及び/又は生殖試料からウイルス及び/又は真核生物である微生物の配列を検出することが可能になる。
【0043】
方法100及び/又はシステム200の実施形態は、任意の変形例(例えば実施形態、変形形態、実施例、具体例、図、等)を含む、種々のシステム構成要素、及び種々の方法プロセスのあらゆる組み合わせ及び並べ替えを含むことができ、本明細書に記載される方法100及び/又はプロセスの実施形態の一部を、システム200の1又は複数の例、要素、構成要素、及び/若しくはその他の態様、及び/若しくは本明細書に記載されるその他の実体によって、並びに/又はそれを使用して、非同期的に(例えば逐次的に)、並行して(例えば並列して)、又は任意のその他の好適な順番で実行することができる。
【0044】
本明細書に記載される変形例のいずれか(例えば、実施形態、変形形態、実施例、具体例、図、等)、及び/又は本明細書に記載される変形例の任意の一部は、追加的に又は代替的に組み合わせられ、集約され、除外され、使用され、連続的に実行され、並列して実行され、及び/又は別様に適用され得る。
【0045】
方法100及び/又はシステム200の実施形態の一部は、少なくとも部分的には、コンピュータ可読命令を記憶するコンピュータ可読媒体を受容するように構成された機械として、具現化及び/又は実装され得る。この命令は、システム200の実施形態に組み込まれることができる、コンピュータ実行可能構成要素によって実行され得る。コンピュータ可読媒体は、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EEPROM、光学デバイス(CD若しくはDVD)、ハードドライブ、フロッピードライブ、又は任意の好適なデバイスなどの、任意の好適なコンピュータ可読媒体に記憶され得る。コンピュータ実行可能構成要素は、汎用又は特定用途向けプロセッサであり得るが、任意の好適な専用ハードウェア、又はハードウェア/ファームウェアを組み合わせたデバイスにより、代替的に又は追加的に命令を実行することができる。
【0046】
当業者であれば、前述の詳細な説明、並びに図面及び特許請求の範囲から認識するように、方法100、システム200の実施形態、及び/又は変形例には、特許請求の範囲に定められた範囲から逸脱することなく、修正及び変更を加えることができる。本明細書に記載される変形例は、限定することを意図したものではない。図に含まれる特定の特徴は、サイズが誇張されている場合があり、その他の特徴は、明確にするために省略されている場合があり、限定すべきものではない。図は、必ずしも一定の縮尺ではない。本明細書のセクションの表題は、編集上の便宜のために使用されるものであって、限定することを意図したものではない。任意の変形例の記載は、必ずしも本明細書の任意のセクションに限定されるものではない。
本開示に係る態様には以下の態様も含まれる。
<1>
少なくとも1つの試料から核酸物質を単離するための磁場を促進するための(for facilitating)磁気デバイスを含む、核酸物質を単離するためのシステム、ここで前記磁気デバイスは、
支持構成要素と、
前記支持構成要素に取り付けられる一セットの磁気ピン群であって、前記支持構成要素に取り付けられた場合には自由度が少なくとも3の可動性を有する一セットの磁気ピン群と、
を含み、前記一セットの磁気ピン群の各ピンは、互いに独立して可動であり、前記一セットの磁気ピン群は、前記少なくとも1つの試料を収容する少なくとも1つの試料区画に挿入されるように構成され、前記一セットの磁気ピン群の前記独立した可動性、及び前記一セットの磁気ピン群の前記自由度が少なくとも3の前記可動性が、前記試料からの前記核酸物質に付着した磁気ビーズの位置に対する適合性をもたらす。
<2>
前記磁気デバイスが、自動ロボット試料処理プラットフォームに組み込み可能である、<1>に記載のシステム。
<3>
前記磁気デバイスが、前記自動ロボット試料処理プラットフォームに組み込むための圧縮グリップ構成要素を含み、前記圧縮グリップ構成要素は、トング、クランプ、及び留め具のうちの少なくとも1つを含む、<2>に記載のシステム。
<4>
前記磁気デバイスが、前記磁気ピンからの前記磁気ビーズの解放を促進するために振動器具に取り付け可能である、<1>に記載のシステム。
<5>
前記支持構成要素が、前記一セットの磁気ピン群を前記試料区画群から洗浄溶液及び溶出溶液のうちの少なくとも1つに移動させるために動かすことができる、<1>に記載のシステム。
<6>
前記一セットの磁気ピン群が前記試料区画群に挿入されるときに、前記一セットの磁気ピン群と前記試料との間に介在物を提供する一セットの接触界面群内に前記一セットの磁気ピン群が収容され、ここで各接触界面は前記一セットの磁気ピン群の少なくとも1つの磁気ピンを収容する、<1>に記載のシステム。
<7>
前記一セットの磁気ピン群と、前記核酸物質に付着した、直接誘引される磁気ビーズとの間に介入する面を伴わず、前記試料から前記核酸物質に付着した磁気ビーズを直接誘引するように、前記一セットの磁気ピン群が前記試料区画群に挿入されるように構成される、<1>に記載のシステム。
<8>
前記一セットの磁気ピン群が、96ウェルプレートの各ウェルの位置及び表面形状に適合するために、少なくとも3軸における面及び位置適合性(facet and position adaptability in at least 3 axes)を有する磁気ピンを96本含む、<1>に記載のシステム。
<9>
前記一セットの磁気ピン群の各ピンが、1ウェル~96ウェルの異なる数の試料ウェルからなる一セットの異なる試料区画群に対して前記一セットの磁気ピン群の構成を適合させるために、前記支持構成要素から取り外し可能でありかつ前記支持構成要素に再取り付け可能である、<1>に記載のシステム。
<10>
前記支持構成要素が、
自由に可動な蓋と、
前記自由に可動な蓋に取り付けられ、一セットの穿孔群を含むプレートと、
を含み、前記一セットの磁気ピン群の各磁気ピンが、前記一セットの穿孔群の各穿孔に装着可能である、<1>に記載のシステム。
<11>
前記少なくとも3の自由度が、x軸における第1の自由度、y軸における第2の自由度、及びz軸における第3の自由度を含む、<1>に記載のシステム。
<12>
核酸物質に付着した磁気ビーズを含む、少なくとも1つの試料混合物に、磁気デバイスの一セットの磁気ピン群を挿入することを含む、核酸物質を単離するための方法、ここで前記一セットの磁気ピン群は、前記磁気デバイスの支持構成要素に取り付けられた場合には自由度が少なくとも3の可動性を有し、前記一セットの磁気ピン群の各ピンは、前記支持構成要素に取り付けられた場合には互いに独立して可動であり、前記一セットの磁気ピン群の前記独立した可動性、及び前記一セットの磁気ピン群の前記自由度が少なくとも3の前記可動性が、前記核酸物質に付着した前記磁気ビーズの位置に対する適合性をもたらす。
<13>
前記少なくとも1つの試料混合物中で、前記一セットの磁気ピン群を0.5分間~10分間インキュベートすることをさらに含む、<12>に記載の方法。
<14>
前記一セットの磁気ピン群を前記少なくとも1つの試料混合物から取り除いた後、洗浄溶液及び溶出溶液のうちの少なくとも1つに、前記一セットの磁気ピン群を挿入することをさらに含む、<13>に記載の方法。
<15>
前記洗浄溶液及び前記溶出溶液のうちの前記少なくとも1つに前記一セットの磁気ピン群を挿入した後、前記一セットの磁気ピン群から前記磁気ビーズを解放するために振動デバイスを用いることをさらに含む、<14>に記載の方法。
<16>
前記一セットの磁気ピン群と前記試料混合物との間に第1の介在物を提供し、前記一セットの磁気ピン群と前記洗浄溶液及び前記溶出溶液のうちの前記少なくとも1つとの間に第2の介在物を提供する、一セットの接触界面群内に、前記一セットの磁気ピン群が収容される、<15>に記載の方法。
<17>
前記一セットの磁気ピン群の前記独立した可動性、及び前記一セットの磁気ピン群の前記自由度が少なくとも3の前記可動性が、前記核酸物質に付着した磁気ビーズの直接的な誘引を、前記一セットの磁気ピン群と前記核酸物質に付着した前記直接誘引される磁気ビーズとの間に介入する面を伴わずに促進する、<12>に記載の方法。
<18>
前記少なくとも3の自由度は、x軸における第1の自由度、y軸における第2の自由度、及びz軸における第3の自由度を含む、<12>に記載の方法。
<19>
前記少なくとも1つの試料混合物に前記一セットの磁気ピン群を挿入する前に、前記磁気デバイスを自動ロボット試料処理プラットフォームに組み込むことをさらに含む、<12>に記載の方法。
<20>
前記磁気デバイスを組み込むことが、前記磁気デバイスの圧縮グリップ構成要素を介して前記磁気デバイスを組み込むことを含み、前記圧縮グリップ構成要素は、トング、クランプ、及び留め具のうちの少なくとも1つを含む、<12>に記載の方法。