(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-04
(45)【発行日】2023-09-12
(54)【発明の名称】おにぎり製造装置
(51)【国際特許分類】
A23L 7/10 20160101AFI20230905BHJP
A47J 43/28 20060101ALN20230905BHJP
【FI】
A23L7/10 G
A47J43/28
(21)【出願番号】P 2019114636
(22)【出願日】2019-06-20
【審査請求日】2022-04-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000236746
【氏名又は名称】不二精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】青木 太志
【審査官】高山 敏充
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-040133(JP,A)
【文献】特開2006-345707(JP,A)
【文献】特開2002-315523(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
A47J
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(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
米飯塊を所定のおにぎり形状に成形するおにぎり製造装置であって、
所定の形状に予備的に成形された米飯塊を搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送された米飯塊を受け、米飯塊を前記おにぎり形状に成形する米飯成形部と、を備え、
前記米飯成形部は、型基部と、前記型基部に対して移動可能に設けられた複数の成形型と、を含む成形ユニット部を有し、前記成形ユニット部に米飯塊の供給を受け、前記成形ユニット部により、起立姿勢のおにぎりに対応した向きを保持した状態で米飯塊を前記おにぎり形状に成形する
ものであり、
前記成形ユニット部は、
前記複数の成形型として、
第1の方向を成形型の移動方向として開閉するように設けられ閉じることで米飯塊に作用する第1の成形型組をなす一対の成形型と、
平面視で前記第1の方向に直交する第2の方向を成形型の移動方向として開閉するように設けられ閉じることで米飯塊に作用する第2の成形型組をなす一対の成形型と、を含む
ことを特徴とするおにぎり製造装置。
【請求項2】
前記米飯成形部は、前記成形ユニット部を複数有し、前記搬送部から供給された米飯塊に対し、複数の前記成形ユニット部を所定の順序で作用させることで、米飯塊を段階的に成形する
請求項1に記載のおにぎり製造装置。
【請求項3】
複数の前記成形ユニット部のうち少なくとも1つの前記成形ユニット部は、
前記型基部に形成された底面に臨んで開口した開口部を介して米飯塊に作用するように設けられた底成形
型を含み、
前記第1の成形型組および前記第2の成形型組の少なくともいずれか一方の成形型組が閉じた状態で、米飯塊を圧縮する方向に前記底成形型を移動させるように構成されている
ことを特徴とする請求項2に記載のおにぎり製造装置。
【請求項4】
前記おにぎり形状は、正面視で略三角形状をなす三角おにぎりの形状であり、
複数の前記成形ユニット部のうち、前記搬送部から供給された米飯塊に最初に作用する前記成形ユニット部の前記第1の成形型組は、米飯塊を成形する成形面として、前記三角おにぎりの頂部をなす左右両側の斜面部を含む傾斜側面部に対応した側方成形面を有し、
前記側方成形面は、前記三角おにぎりの前記斜面部を形成する斜面成形面部の勾配を、前記三角おにぎりの前記斜面部の勾配よりも大きくしている
ことを特徴とする請求項3に記載のおにぎり製造装置。
【請求項5】
前記おにぎり形状は、正面視で略三角形状をなす三角おにぎりの形状であり、
前記第1の成形型組の一対の成形型のそれぞれは、前記三角おにぎりの頂部を形成するための成形面をなす頂部形成部を有し、前記頂部形成部には、前記第1の成形型組の型閉じ状態において前記第1の成形型組の成形空間を外部に連通させる開口部をなす凹部が形成されている
ことを特徴とする請求項
1~4
のいずれか1項に記載のおにぎり製造装置。
【請求項6】
前記米飯成形部により前記おにぎり形状に成形された米飯塊であるおにぎりを所定の場所へと搬送する搬出搬送部をさらに備え、
前記米飯成形部は、前記おにぎりを前記搬出搬送部に払い出す払出部を有し、前記払出部により、前記おにぎりを起立姿勢のまま前記搬出搬送部に払い出す
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のおにぎり製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば正面視で略三角形状を有するいわゆる三角おにぎりの製造に用いられるおにぎり製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スーパーやコンビニエンスストア等の店頭に並ぶおにぎりの多くは、米飯を所定の形状に成形することでおにぎりを製造するおにぎり製造装置によって製造されている。
【0003】
従来、おにぎり製造装置には、最終的なおにぎりの形状に対応した形状を有する成形用の型穴部が複数形成された円盤状の成形用回転テーブルを備えた構成のものがある。複数の型穴部は、成形用回転テーブルの上面側において、回転テーブルの回転軸の周囲に、周方向に所定の間隔をあけて設けられている(例えば、特許文献1,2参照。)。
【0004】
このような構成のおにぎり製造装置において、成形用回転テーブルは、間欠的に回動することで、複数の型穴部を順次所定の供給位置に位置させ、供給位置にある型穴部に、コンベアベルト上等において予備的な成形を受けた米飯塊の供給を受ける。そして、型穴部内の米飯塊に対して、上方からの押型による押圧等が適宜行われ、型穴部内の米飯塊がおにぎりの形状に成形される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2010-187564号公報
【文献】特開2009-089619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように成形用回転テーブルによって米飯塊の成形を行う構成によれば、次のような問題がある。特許文献1,2に開示されているように、成形用回転テーブルの型穴部への米飯塊の供給に際しては、成形用回転テーブル上に設けられたブロック状の型枠による米飯塊の成形が予め行われる。すなわち、成形用回転テーブル上の型枠に対し、米飯塊が側方から押し込まれ、その型枠で部分的に成形された米飯塊が、成形用回転テーブルの型穴部に落とし込まれる。このように成形用回転テーブル上の型枠に米飯塊が押し込まれて米飯塊の成形が行われるため、型枠の形状により、米飯の密度が局所的に高くなり、おにぎりが部分的に硬くなることがある。
【0007】
具体的には、例えば正面視で略三角形状を有するいわゆる三角おにぎりの場合、例えば特許文献1,2に図示されているように、成形用回転テーブルの型穴部は平面視で略正三角形状となり、その頂部側を、成形用回転テーブルの中心側に向けている。このような成形用回転テーブルの上方に、型穴部の平面視形状である略正三角形状に沿うとともに上下両側および成形用回転テーブルの径方向外側を開放させた成形形状をなす型枠が設けられている。この型枠の成形空間は、平面視で成形用回転テーブルの中心側を頂部側とした略「V」字状に沿う形状となっている。
【0008】
このような型枠に対し、成形用回転テーブルの径方向外側から略水平方向に押し込まれる態様で米飯塊が供給される。この場合、米飯塊の供給を受けた型枠において、米飯塊の押込み方向の奥側となる頂部に米飯が集中し、この頂部に対応する部分が他の部分に比して硬い三角おにぎりが形成されることになる。このようにおにぎりにおいて比較的硬い部分が生じることは、おにぎりの食感を損なう原因となり得る。
【0009】
また、成形用回転テーブルで成形される米飯塊は、平置き姿勢のおにぎりに対応した向きで成形され、成形後のおにぎりも、成形時の向きを保持した状態で取り出されて搬送される。成形用回転テーブルでの成形後に成形用回転テーブルから取り出されたおにぎりは、平置きの姿勢を続けると、上記のとおり米飯の密度が不均一であること等からも、自重によって継時的にだれるように変形しやすい。このため、例えば、成形直後において、おにぎりが全体的に丸みを帯びた手作り風の三角形状を有する場合であっても、経時的な変形として、平置き姿勢での底側が平坦な形状となるような変形が生じるときがある。
【0010】
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、簡単な構成により、おにぎりの形態安定性を向上することができ、自重による経時的な型くずれを抑制することができるとともに、良好な食感を得ることができるおにぎり製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るおにぎり製造装置は、米飯塊を所定のおにぎり形状に成形するおにぎり製造装置であって、所定の形状に予備的に成形された米飯塊を搬送する搬送部と、前記搬送部により搬送された米飯塊を受け、米飯塊を前記おにぎり形状に成形する米飯成形部と、を備え、前記米飯成形部は、型基部と、前記型基部に対して移動可能に設けられた複数の成形型と、を含む成形ユニット部を有し、前記成形ユニット部に米飯塊の供給を受け、前記成形ユニット部により、起立姿勢のおにぎりに対応した向きを保持した状態で米飯塊を前記おにぎり形状に成形するものである。
【0012】
本発明に係るおにぎり製造装置の他の態様は、前記おにぎり製造装置において、前記米飯成形部は、前記成形ユニット部を複数有し、前記搬送部から供給された米飯塊に対し、複数の前記成形ユニット部を所定の順序で作用させることで、米飯塊を段階的に成形するものである。
【0013】
本発明に係るおにぎり製造装置の他の態様は、前記おにぎり製造装置において、複数の前記成形ユニット部のうち少なくとも1つの前記成形ユニット部は、前記複数の成形型として、第1のタイミングで閉じることで米飯塊に作用する第1の成形型組をなす一対の成形型と、前記第1のタイミングの後の第2のタイミングで閉じることで、前記第1の成形型組による成形作用を受けた米飯塊に作用する第2の成形型組をなす一対の成形型と、前記型基部に形成された底面に臨んで開口した開口部を介して米飯塊に作用するように設けられた底成形型と、を含み、前記第1の成形型組および前記第2の成形型組の少なくともいずれか一方の成形型組が閉じた状態で、米飯塊を圧縮する方向に前記底成形型を移動させるように構成されているものである。
【0014】
本発明に係るおにぎり製造装置の他の態様は、前記おにぎり製造装置において、前記おにぎり形状は、正面視で略三角形状をなす三角おにぎりの形状であり、複数の前記成形ユニット部のうち、前記搬送部から供給された米飯塊に最初に作用する前記成形ユニット部の前記第1の成形型組は、米飯塊を成形する成形面として、前記三角おにぎりの頂部をなす左右両側の斜面部を含む傾斜側面部に対応した側方成形面を有し、前記側方成形面は、前記三角おにぎりの前記斜面部を形成する斜面成形面部の勾配を、前記三角おにぎりの前記斜面部の勾配よりも大きくしているものである。
【0015】
本発明に係るおにぎり製造装置の他の態様は、前記おにぎり製造装置において、前記第1の成形型組の一対の成形型のそれぞれは、前記三角おにぎりの頂部を形成するための成形面をなす頂部形成部を有し、前記頂部形成部には、前記第1の成形型組の型閉じ状態において前記第1の成形型組の成形空間を外部に連通させる開口部をなす凹部が形成されているものである。
【0016】
本発明に係るおにぎり製造装置の他の態様は、前記おにぎり製造装置において、前記米飯成形部により前記おにぎり形状に成形された米飯塊であるおにぎりを所定の場所へと搬送する搬出搬送部をさらに備え、前記米飯成形部は、前記おにぎりを前記搬出搬送部に払い出す払出部を有し、前記払出部により、前記おにぎりを起立姿勢のまま前記搬出搬送部に払い出すものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、簡単な構成により、おにぎりの形態安定性を向上することができ、自重による経時的な型くずれを抑制することができるとともに、良好な食感を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係るおにぎり製造装置の斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るおにぎり製造装置の平面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るおにぎり製造装置の正面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るおにぎり製造装置により製造されるおにぎりについての説明図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係るベルト成形搬送部が有するローラの構成を示す斜視図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係るベルト成形搬送部が有するローラの構成を示す正面図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係るベルト成形搬送部による米飯塊の成形の過程を示す説明図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係るベルト成形搬送部による米飯塊の成形態様を示す説明図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る米飯成形部および搬出搬送部の構成を示す平面図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係る中継部の構成を示す斜視図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係るスライド面形成板および中継用搬送円盤の構成を示す分解斜視図である。
【
図12】本発明の一実施形態に係る中継用搬送円盤および成形用搬送円盤の構成を示す縦断面図である。
【
図13】本発明の一実施形態に係るベルト成形搬送部から米飯成形部への米飯塊の供給の態様を示す説明図である。
【
図14】本発明の一実施形態に係るスライド面形成板および成形用搬送円盤の構成を示す分解斜視図である。
【
図15】本発明の一実施形態に係る成形用搬送円盤の構成を示す縦断面図である。
【
図16】本発明の一実施形態に係る成形ユニット部の配置態様を示す斜視図である。
【
図17】本発明の一実施形態に係る成形ユニット部の構成を示す分解斜視図である。
【
図18】本発明の一実施形態に係る型開き状態の成形ユニット部を示す図であり、(a)は側面図、(b)は平面図である。
【
図19】本発明の一実施形態に係る型開き状態の成形ユニット部を示す断面図であり、(a)は側面断面図、(b)は平面断面図である。
【
図20】本発明の一実施形態に係る型閉じ状態の成形ユニット部を示す図であり、(a)は側面図、(b)は平面図である。
【
図21】本発明の一実施形態に係る型閉じ状態の成形ユニット部を示す断面図であり、(a)は側面断面図、(b)は平面断面図である。
【
図22】本発明の一実施形態に係る型開き状態の成形ユニット部およびスライド面形成板を示す側面一部断面図である。
【
図23】本発明の一実施形態に係る成形ユニット部の側方成形型の型閉じ状態についての説明図である。
【
図24】本発明の一実施形態に係る成形ユニット部の三角成形型の型閉じ状態についての説明図である。
【
図25】本発明の一実施形態に係る成形ユニット部の第1変形例の構成を示す側面一部断面図である。
【
図26】本発明の一実施形態に係る成形ユニット部の第1変形例による米飯塊の成形工程についての説明図である。
【
図27】本発明の一実施形態に係る成形ユニット部の第2変形例の構成を示す側面一部断面図である。
【
図28】本発明の一実施形態に係る成形ユニット部の第2変形例による米飯塊の成形工程についての説明図である。
【
図29】本発明の一実施形態に係る成形ユニット部の第3変形例の側方成形型を示す斜視図である。
【
図30】本発明の一実施形態に係る成形ユニット部の第3変形例による米飯塊の成形工程についての説明図である。
【
図31】本発明の一実施形態に係る成形ユニット部の第3変形例の構成により得られるおにぎりの例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、米飯塊を所定のおにぎり形状に成形するおにぎり製造装置において、米飯塊を所定のおにぎり形状に成形する米飯成形部における成形用の型の構成を工夫することにより、簡単な構成により、おにぎりの形態安定性を向上させて型くずれの抑制を図るとともに、食感の向上を図ろうとするものである。以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0020】
[おにぎり製造装置の全体構成]
本実施形態に係るおにぎり製造装置1の全体構成について、
図1から
図3を用いて説明する。
図1から
図3に示すように、本実施形態に係るおにぎり製造装置1は、米飯塊を所定のおにぎり形状に成形する装置であり、ベルト成形搬送部3と、米飯成形部4と、搬出搬送部5とを備える。おにぎり製造装置1は、床面10上に設置される。
【0021】
ベルト成形搬送部3は、所定の形状に予備的に成形された米飯塊である予備成形米飯塊2を搬送する搬送部として機能する。米飯成形部4は、ベルト成形搬送部3により搬送された予備成形米飯塊2を受け、予備成形米飯塊2をおにぎり形状に成形する。搬出搬送部5は、米飯成形部4によりおにぎり形状に成形された米飯塊であるおにぎり6を所定の場所へと搬送する。
【0022】
本実施形態に係るおにぎり製造装置1は、いわゆる三角おにぎりであるおにぎり6を製造する装置である。つまり、本実施形態において、所定のおにぎり形状は、正面視で略三角形状をなす三角おにぎりの形状であり、米飯成形部4は、ベルト成形搬送部3から供給された予備成形米飯塊2を三角おにぎり形状に成形する。また、おにぎり製造装置1により製造されるおにぎり6は、例えば鮭や明太子等の具材を内包している。
【0023】
具体的には、
図4(a)、(b)に示すように、おにぎり製造装置1により製造されるおにぎり6は、全体的に丸みを帯びた手作り風の三角形状を有する。おにぎり6は、外側に膨出した曲面形状を有する正面部6aおよび正面部6aと対称的に形成された背面部6bと、平坦状の底面をなす底面部6cと、おにぎり6の上側の端部である頂部6dとを有する。なお、おにぎり6は、
図4(b)に示す正面視で略左右対称、かつ側面視で略左右対称の形状を有する。
【0024】
また、おにぎり6は、頂部6dをなす左右両側の斜面部6fを含む傾斜側面部6eを有する。斜面部6fは、
図4(b)に示すように、おにぎり6の正面視で水平方向A0に対して傾斜角度α1をなす傾斜線A1に沿う部分となる。傾斜角度α1は、例えば60°程度である。底面部6cと左右の斜面部6fとにより、左右の側頂部6gが形成されている。
【0025】
また、おにぎり6の内部には、具材7が入っている。具材7は、特に限定されるものではなく、例えば、鮭やツナ等の魚肉、明太子等の魚卵、梅干し、漬物、佃煮、天ぷら、唐揚げ、卵、肉などのあらゆるものを具材7として適用することができる。また、具材7の形態についても、ペースト状、フレーク状、固形状等、各種の形態が適用される。
【0026】
[ベルト成形搬送部の構成]
ベルト成形搬送部3の構成について説明する。ベルト成形搬送部3は、米飯塊を搬送しながら成形する装置構成であり、所定の予備成形形状に成形した予備成形米飯塊2を、米飯成形部4に供給する。ベルト成形搬送部3は、略矩形板状のシート状に成形された米飯塊であるシート状米飯8(
図2参照)の供給を受け、シート状米飯8を搬送しながら成形することで、予備成形米飯塊2を形成する。
【0027】
ベルト成形搬送部3に供給されるシート状米飯8は、米飯をほぐしてシート状に成形する米飯供給装置(図示略)によって形成される。米飯供給装置は、例えば、回転駆動する螺旋状のスクリューを内蔵し米飯の投入を受けるホッパー、米飯塊の重量を測定する重量測定部、米飯塊をシート状に成形する成形部、米飯塊を搬送するコンベア等の搬送部等を含んで構成されている。米飯供給装置は、おにぎり製造装置1とともに、おにぎり6を製造するための一連のおにぎり製造プロセスを実行するおにぎり製造ユニットを構成する。
【0028】
ベルト成形搬送部3は、外形的にボックス状に構成された装置本体部11と、装置本体部11の前面側(正面側)に設けられた成形搬送部12とを有する。
【0029】
成形搬送部12は、装置本体部11から前方に向けて突出した態様で設けられた基台13と、基台13の周囲を囲むように設けられたベルトコンベア15と、ベルトコンベア15の下流側に設けられた送出し用のベルトコンベア16とを有する。
【0030】
基台13は、装置本体部11から水平状に突設され、平面視で矩形状を有し、その上面を水平面状の支持面13aとしている。
【0031】
ベルトコンベア15は、所定の脚部によって床面10上における所定の高さ位置に設けられている。ベルトコンベア15は、その搬送方向の前後両端に設けられた支持ローラ21,22と、テンションローラ23と、これらのローラ21,22,23に対して巻回状態で設けられた無端状のコンベアベルト24とを有する。前側の支持ローラ21は、基台13の前方に設けられており、後側の支持ローラ22は、基台13の後方に設けられている。また、テンションローラ23は、基台13の下方に設けられている。
【0032】
コンベアベルト24は、基台13を囲むように配されている。コンベアベルト24は、幅方向について曲げることが可能な可撓性部材により形成されている。コンベアベルト24としては、例えばゴム等や樹脂製のフラットベルト(平ベルト)が適用される。
【0033】
ベルトコンベア15は、平面視でおにぎり製造装置1の前後方向に直交する方向(
図3における左右方向)を搬送方向とし、搬送方向に沿って直線状に延設されている。したがって、前後の支持ローラ21,22およびテンションローラ23は、いずれも、おにぎり製造装置1における前後方向(
図2における上下方向)を回転軸方向としている。ベルトコンベア15は、前後の支持ローラ21,22を互いに略同じ高さに位置させており、コンベアベルト24の上側の面を搬送面15aとする。ベルトコンベア15においては、ベルト成形搬送部3に対する米飯成形部4の配置側(
図3における左側)が搬送の下流側となり、その反対側(
図3における右側)が搬送の上流側となる。
【0034】
ベルトコンベア15の駆動方式としては、駆動源からの動力を摩擦を利用して伝達するものや、歯車等の噛み合いによるもの等がある。具体的には、例えば、駆動軸に取り付けられるプーリおよびこれに巻回されるベルトによるプーリ駆動方式や、コンベアベルト24の裏面の中央に沿って設けたラック部およびこれに噛合するピニオンギアによるラックアンドピニオン駆動方式等がある。
【0035】
ベルトコンベア16は、その搬送方向の前後両端に設けられた支持ローラ16a,16bと、これらのローラ16a,16bに対して巻回状態で設けられた無端状のコンベアベルト16cとを有する。ベルトコンベア16は、水平状の搬送面16dをなし、幅寸法をベルトコンベア15の幅寸法と略同じとするとともに、搬送面16dを、ベルトコンベア15の搬送面15aと略連続させるように、ベルトコンベア15に対して近接配置されている。つまり、ベルトコンベア16は、ベルトコンベア15とともに一連の搬送面を形成するものであり、ベルトコンベア15上の米飯塊がベルトコンベア15からベルトコンベア16にスムーズに引き継がれるように設けられている。
【0036】
ベルト成形搬送部3は、ベルトコンベア15の上方に設けられてベルトコンベア15上の米飯塊に作用するローラとして、姿勢修正ローラ26、上側整形ローラ27、および間欠押圧ローラ28を有する。これらのローラは、ベルトコンベア15の搬送方向の上流側から下流側にかけて、姿勢修正ローラ26、上側整形ローラ27、間欠押圧ローラ28の順で、横方向に所定の間隔を隔てて設けられている。
【0037】
これらのローラ26,27,28は、それぞれ装置本体部11から前方に向けて突設されたローラ軸26a,27a,28aにより回転可能に支持されている。3つのローラのローラ軸26a,27a,28aは、おにぎり製造装置1における前後方向を軸方向とし、略共通の高さ位置に配設されている。3つのローラ26,27,28は、いずれも、ローラ軸26a,27a,28aの回転駆動によって、おにぎり製造装置1の前面視(正面視)で時計方向(右回り)に回転し、ベルトコンベア15上の米飯塊に作用する。
【0038】
ベルト成形搬送部3は、ベルトコンベア15の幅方向の両側に設けられたベルト案内部としての左右一対のベルト持上げ体29,29を有する。ベルト持上げ体29,29は、ベルトコンベア15の搬送方向について、姿勢修正ローラ26と上側整形ローラ27との間の位置、詳細には上側整形ローラ27の直後方の位置に設けられている。一対のベルト持上げ体29,29は、ベルトコンベア15の搬送方向について共通の位置に設けられている。
【0039】
ベルト持上げ体29は、円筒状の外形を有し、上下方向(鉛直方向)を中心軸方向として、基台13の支持面13a上に立設されている。ベルト持上げ体29は、円筒状の外形における外周面29aをコンベアベルト24に対する作用面とし、コンベアベルト24の搬送面15aをなす部分の搬送方向の中間部について、コンベアベルト24を左右両側からめくり上げて狭窄状態とするように作用する。
【0040】
すなわち、一対のベルト持上げ体29,29は、互いの間の間隔をコンベアベルト24の幅寸法よりも短くし、外周面29aをコンベアベルト24の裏面24bに接触させた状態で、コンベアベルト24をその幅方向の両側からまくり上げて搬送面を絞り込むように、コンベアベルト24を部分的に支持している。一対のベルト持上げ体29,29によれば、コンベアベルト24の幅方向の両側が起立させられ、コンベアベルト24が、搬送方向視で略「U」字状となるように幅方向について湾曲し、側面視(おにぎり製造装置1の前面視)で、ベルトコンベア15の搬送方向の中央部を頂部としたなだらかな山形状をなすような形態に保持される(
図3参照)。コンベアベルト24は、一対のベルト持上げ体29,29の作用による形態を保持した状態で、支持ローラ21,22等による回転支持構造によって基台13の周りを回動する。
【0041】
姿勢修正ローラ26、上側整形ローラ27、および間欠押圧ローラ28について、
図5から
図7を用いて説明する。
【0042】
姿勢修正ローラ26は、ベルト成形搬送部3に供給されたシート状米飯8のベルトコンベア15上における姿勢(向き)を適正な姿勢にするためのローラ状姿勢修正部である。ベルト成形搬送部3に供給されるシート状米飯8は、ベルトコンベア15の上流側の端部における搬送面15a上に載置される。
【0043】
シート状米飯8は、コンベアベルト24に対して、略矩形状の平面視外形の長手方向をコンベアベルト24の幅方向に沿わせた姿勢を適正な姿勢とする。この適正な姿勢に対して、搬送面15a上に載置されたシート状米飯8の姿勢が傾く等してずれていた場合、シート状米飯8の姿勢が、姿勢修正ローラ26によって修正される。搬送面15a上に載置されるシート状米飯8上には、その略中央部に適量の具材7が乗せられている。
【0044】
姿勢修正ローラ26は、軸心部分にローラ軸26aを貫通させた略円筒状の軸部31と、軸部31の周囲に突設形成された一対の突出板部32とを有する。突出板部32は、姿勢修正ローラ26の回転軸方向視において、軸部31が沿う円周形状に対する接線方向に沿うように突出した板状の突片部分である。突出板部32は、突出先端側を凸側とした略半円状の板面形状を有し、その両側の板面を、姿勢修正ローラ26の回転軸方向(コンベアベルト24の幅方向)に沿う平面としている。
【0045】
一対の突出板部32は、姿勢修正ローラ26の回転軸方向視において、ローラ軸26aの軸心位置を中心として点対称に設けられている。姿勢修正ローラ26は、その回転動作において下側に位置する突出板部32の先端部を、搬送面15a上のシート状米飯8の前側面または後側面に当接させるように作用する。このため、姿勢修正ローラ26において、突出板部32は、下向きとなる回動位置にある状態で先端がコンベアベルト24の表面(搬送面15a)の直上に位置するように設けられている。なお、姿勢修正ローラ26の形状は、搬送面15a上のシート状米飯8に対する後述の姿勢修正の作用を得ることができるものであれば特に限定されない。
【0046】
上側整形ローラ27は、搬送面15a上のシート状米飯8の上側の部分を整形するためのローラ状押圧整形部である。上側整形ローラ27は、その回転軸方向視で円周形状を有し、その中心部にローラ軸27aを位置させている。
【0047】
上側整形ローラ27は、その周方向に沿って略「V」状の外周溝部33を形成しており、略鼓状の形状を有する。すなわち、上側整形ローラ27は、外周溝部33を形成する面として、上側整形ローラ27の軸方向に対称な截頭円錐面34,34を有し、これらの截頭円錐面34,34により、上側整形ローラ27の軸方向の両側から中央部にかけて徐々に縮径させた形状をなしている。
【0048】
上側整形ローラ27は、その下端部を、搬送面15a上のシート状米飯8に対して上側から押し当てるように作用する。なお、上側整形ローラ27の形状は、搬送面15a上の米飯塊(巻き状米飯8A)の上側の部分に対する後述の整形作用を得ることができるものであれば特に限定されない。
【0049】
間欠押圧ローラ28は、具材7を包み込んだ状態で筒状に整形された米飯塊の搬送方向の前後両端部を押圧し、筒状の米飯塊の両端部を閉塞させるためのローラ状押圧閉塞部である。間欠押圧ローラ28は、その外周部に、間欠押圧ローラ28の周方向について凹凸形状をなす押圧突部としてのカム突部36を複数有する。本実施形態では、カム突部36は、間欠押圧ローラ28の周方向について等間隔(120°間隔)で3箇所に形成されている。すなわち、間欠押圧ローラ28は、中心部にローラ軸28aを貫通させるローラベース部35と、ローラベース部35の周囲に突出形成された3つのカム突部36とを有する。
【0050】
カム突部36は、間欠押圧ローラ28の軸方向視(ローラ軸方向視)において頂点をなす稜線36aを形成する傾斜面36bをなす前側押圧斜面部36cおよび後側押圧斜面部36dを有し、稜線36aに対応する頂点を中心として対称な山形状を有する。複数のカム突部36は、間欠押圧ローラ28の周方向に隣り合うカム突部36の間隔が押圧対象である米飯塊(筒状米飯8B)の長さと略同じとなるように設けられる。
【0051】
間欠押圧ローラ28の周方向に隣り合うカム突部36の間には、カム谷部37が形成されている。カム谷部37は、ローラ軸方向視で円弧状の湾曲線をなす凹周面37aにより形成された凹状の部分である。カム谷部37は、その両側のカム突部36に対して絶壁状の面を形成している。カム突部36とカム谷部37とは、間欠押圧ローラ28の周方向について互いに略同じ角度範囲で形成されている。
【0052】
カム突部36の前側押圧斜面部36cおよび後側押圧斜面部36dのそれぞれには、略半楕円形状の凹状面38aをなす凹部38が切欠状に形成されている。両斜面部36c,36dの凹部38は、ローラ軸方向視で稜線36aに対応する頂点を中心として対称に形成されている。凹部38は、その略半楕円形状の端部側(凸側)を稜線36a側とし、略半楕円形状の開放側をカム谷部37側として形成されている。各斜面部36c,36dとカム谷部37との境界部分においては、ローラ軸方向の中間部に、凹状面38aと凹周面37aとによる稜線が形成されており、ローラ軸方向の両側に、各斜面部36c,36dの傾斜面36bと凹周面37aとによる稜線が形成されている。
【0053】
凹部38は、その深さを、稜線36a側からカム谷部37側にかけて徐々に深くしている。また、ローラ軸方向について、凹状面38aは、ローラ軸方向の両側から中央側にかけて凹部38の深さが徐々に深くなるような湾曲形状を有する。
【0054】
間欠押圧ローラ28は、ベルトコンベア15上の米飯塊に対して、前側押圧斜面部36cを米飯塊の前端部に押し当て、後側押圧斜面部36dを米飯塊の後端部に押し当てるように作用する。なお、間欠押圧ローラ28の形状は、ベルトコンベア15上の米飯塊(筒状米飯8B)に対する後述の端部閉塞の作用を得ることができるものであれば特に限定されず、例えば風車形状や四角形状や星型形状等であってもよい。
【0055】
以上のような姿勢修正ローラ26、上側整形ローラ27および間欠押圧ローラ28の材質としては、例えばプラスチック等の樹脂、金属、ゴム等が適用される。また、これらのローラについては、米飯に対する接触面に微小な凹凸部を形成することで、ローラと米飯との間の過度の滑動を抑制することができる。
【0056】
姿勢修正ローラ26、上側整形ローラ27および間欠押圧ローラ28の各ローラのローラ軸26a,27a,28aは、装置本体部11内に設けられた図示せぬ駆動源としての駆動モータによって回転駆動する。駆動モータは、例えばステッピングモータであり、その動作は、おにぎり製造装置1が備える制御部により制御される。すなわち、各ローラ軸26a,27a,28aの基端側は、対応する駆動モータに連動連結されており、制御部による駆動モータの動作制御により、ローラ軸26a,27a,28aを介して、各ローラ26,27,28の回転動作が制御される。制御部は、例えば、装置本体部11内に設けられる。
【0057】
制御部は、3つのローラ26,27,28の回転動作と、ベルトコンベア15の搬送動作とを関連付けて制御する。制御態様の一例として、制御部は、上側整形ローラ27および間欠押圧ローラ28の2つのローラの回転動作と、ベルトコンベア15の搬送動作とを同期制御する。具体的には、2つのローラ27,28の回動量と、ベルトコンベア15の搬送量とが、2つのローラ27,28がベルトコンベア15上の米飯塊に対して正しく作用するように関連付けられ、2つのローラ27,28およびベルトコンベア15の間欠的な動作が同期するように、つまり動作の開始・停止のタイミングが互いに一致するように、2つのローラ27,28およびベルトコンベア15の動作が制御される。
【0058】
また、姿勢修正ローラ26について、制御部は、ベルトコンベア15の間欠的な搬送動作に対して所定のタイムラグをもって同じ周期で所定の回動量で間欠的に回動するように、姿勢修正ローラ26の回転動作を制御する。なお、ベルトコンベア16は、制御部により、例えば、ベルトコンベア15の間欠的な動作にかかわらず所定の搬送速度で連続的に動作するように制御される。
【0059】
このように、ベルト成形搬送部3は、各ローラのローラ軸26a,27a,28aを駆動させる駆動モータと、駆動モータを制御する制御部とを含むローラ駆動制御機構を備えている。ローラ駆動制御機構は、例えば、各ローラ軸26a,27a,28aの高さを調整するための調整機構および高さ調整用のモータを有する。
【0060】
制御部は、おにぎり製造装置1の全体の動作を制御するとともに、おにぎり製造装置1に設けられた各種センサやキーボードなどの入力デバイス等により取得されるシート状米飯8の大きさや搬送速度や具材7の種類等の情報に応じて各部を制御する。
【0061】
ベルト成形搬送部3による米飯塊の成形動作について説明する。ベルト成形搬送部3は、米飯塊の成形として、直接的に米飯塊に作用する上側整形ローラ27および間欠押圧ローラ28、並びにコンベアベルト24を介して間接的に米飯塊に作用する一対のベルト持上げ体29,29による巻きベルト成形を行う。
【0062】
上述した米飯供給装置からベルト成形搬送部3に供給されるシート状米飯8は、その略中央部に適量の具材7が乗せられた状態で、ベルトコンベア15の上流側の端部における搬送面15a上に載置される。ベルト成形搬送部3に供給されたシート状米飯8は、ベルトコンベア15により搬送され、姿勢修正ローラ26の場所に至る。
【0063】
姿勢修正ローラ26の場所において、ベルトコンベア15上のシート状米飯8は、一方の突出板部32を下方に向けて停止状態となっている姿勢修正ローラ26の下向きの突出板部32に後側から突き当たる。ここで、シート状米飯8の姿勢が不適正である場合、シート状米飯8は、その前端部を突出板部32の一側(回動方向の後側)の板面に当接させることで、その板面にならい姿勢の修正を受ける。
【0064】
次いで、ベルトコンベア15の動作中に、姿勢修正ローラ26は、回動を開始して約180°回転することで、上向きであった突出板部32を下側に位置させ、その突出板部32の他側(回動方向の前側)の板面によりシート状米飯8を後側から押し出すように作用する。これにより、シート状米飯8の姿勢の修正が行われる。
【0065】
すなわち、姿勢修正ローラ26は、一方の突出板部32の後側でシート状米飯8を受け止めることと、他方の突出板部32によりシート状米飯8を前側に押し出すことにより、2段階でシート状米飯8の姿勢の修正を行う。なお、シート状米飯8の姿勢が搬送面15a上に載置された時点から適正である場合は、姿勢修正ローラ26が作用することによってもシート状米飯8の適正な姿勢が保持される。
【0066】
姿勢修正ローラ26を通過したシート状米飯8は、コンベアベルト24において一対のベルト持上げ体29,29によって狭窄状態となった部分に進入する。これにより、
図8(a)に示すように、シート状米飯8は、コンベアベルト24の湾曲形状にならって、長手方向の両端側を持ち上げるように変形し、長手方向の両側の端部同士を対称に突き合わせて具材7を包み込んだ状態(すのこ巻き状態)の巻き状米飯8Aに成形されて上側整形ローラ27に供給される。
【0067】
上側整形ローラ27において、巻き状米飯8Aは、
図8(b)に示すように、シート状米飯8の長手方向の両側部同士の当接部分の境界線をローラ軸方向について外周溝部33の中心に位置させ、その当接部分が上側整形ローラ27により搬送方向に沿って上側から押圧される。これにより、シート状米飯8の長手方向の両側部同士の当接部分が接合された態様となり、巻き状米飯8Aが、筒軸方向を搬送方向に沿わせるとともに具材7を内在させた筒状米飯8Bに成形される。
【0068】
筒状米飯8Bは、一対のベルト持上げ体29,29による狭窄部分から徐々に広がるコンベアベルト24により搬送されて間欠押圧ローラ28に達する。間欠押圧ローラ28においては、筒状米飯8Bの前端部および後端部が上側から押圧され、筒状米飯8Bの前後両端の開口が閉塞される。これにより、筒状米飯8Bの前後両端が閉塞された俵状米飯8Cが得られる。
【0069】
詳細には、間欠押圧ローラ28は、まず、下側に位置するカム突部36の前側押圧斜面部36cを、筒状米飯8Bの前端部に上側から押圧作用させることで、筒状米飯8Bの前側の開口を閉塞する。次いで、ベルトコンベア15の搬送動作と同期した間欠押圧ローラ28の回動動作にともない、筒状米飯8Bの前後中間部がカム谷部37の凹周面37aにより上側からの押圧作用を受ける。ここでの押圧作用は、前側押圧斜面部36cによる筒状米飯8Bの前端部に対する押圧作用に比べて小さいものとなる。その後、引き続きベルトコンベア15の搬送動作と同期して回動する間欠押圧ローラ28の回動動作にともない、筒状米飯8Bの前端部に作用したカム突部36の次のカム突部36の後側押圧斜面部36dを、筒状米飯8Bの後端部に上側から押圧作用させることで、筒状米飯8Bの後側の開口を閉塞する。これにより、俵状米飯8Cが得られる。
【0070】
このように、間欠押圧ローラ28によれば、筒状米飯8Bの前後両端部は、前後の押圧斜面部36c,36dによって比較的しっかりと押圧作用を受けて開口を閉塞させ、筒状米飯8Bの前後中間部は、カム谷部37により筒状米飯8B上をなぞるような比較的弱い押圧作用を受ける。このような間欠押圧ローラ28による成形作用によれば、筒状米飯8Bの前後両端部については開口部が閉塞されるとともに、筒状米飯8Bにおいて具材7が位置する前後中間部分が過度な押圧作用を受けることがないため、具材7の漏出を防止した俵状米飯8Cが得られる。
【0071】
以上のようにしてベルト成形搬送部3によって得られた俵状米飯8Cが、ベルト成形搬送部3から米飯成形部4に供給される予備成形米飯塊2となる。予備成形米飯塊2は、ベルトコンベア15からその下流側のベルトコンベア16に引き継がれ、ベルトコンベア16から米飯成形部4へと供給される。
【0072】
[米飯成形部の構成]
米飯成形部4の構成について説明する。なお、米飯成形部4および搬出搬送部5の説明においては、ベルトコンベア15の搬送方向の前側を前側、同搬送方向の後側を後側とし、おにぎり製造装置1の前側(
図9における下側)を左側とし、その反対側(
図9における上側)を右側とする。
【0073】
米飯成形部4は、ベルト成形搬送部3により得られた予備成形米飯塊2の供給を受けてこれを成形し、予備成形米飯塊2をおにぎり6として、搬出搬送部5へと送り出す。米飯成形部4は、その主たる構成として、予備成形米飯塊2を成形しておにぎり6とするための構成であるラウンド成形部40を有する。また、米飯成形部4は、ベルト成形搬送部3から供給された予備成形米飯塊2をラウンド成形部40に受け渡すための構成である中継部41と、ラウンド成形部40により得られたおにぎり6を搬出搬送部5へと送り出す払出部42とを有する。
【0074】
米飯成形部4は、ラウンド成形部40、中継部41、および払出部42の各部を動作させるための駆動源や駆動機構等をボックス状のハウジング45内に収めた基台部44を有する。ハウジング45は、水平状の上面(以下「ハウジング上面」という。)45aを有し、ハウジング上面45a上に、ラウンド成形部40、中継部41、および払出部42が設けられている。ハウジング45は、その下側に所定の脚部を有し、床面10上に設置されている。
【0075】
中継部41について説明する。中継部41は、ベルトコンベア16により搬送された予備成形米飯塊2を受け入れ、予備成形米飯塊2を起立姿勢の状態で搬送し、その起立姿勢を保持したまま、ラウンド成形部40における所定のセット位置に予備成形米飯塊2を供給するための構成である。すなわち、間欠押圧ローラ28による成形を経て搬送方向を長手方向とする俵状の外形を有する予備成形米飯塊2(俵状米飯8C)は、中継部41においてその長手方向を上下方向とした向きで移動させられる。
【0076】
中継部41は、ベルトコンベア16から供給された予備成形米飯塊2を中継搬送する搬送押上機構部51と、ベルトコンベア16から搬送押上機構部51への予備成形米飯塊2の移動をガイドするガイド部52とを有する。
【0077】
搬送押上機構部51は、上下方向について、ベルトコンベア16の下方の位置に設けられている。搬送押上機構部51は、固定円板であるスライド面形成板54と、第1の搬送円盤である中継用搬送円盤55と、昇降台部56とを有する。
【0078】
スライド面形成板54は、略円板状の部材であり、ハウジング上面45a上において、ボルト等の固定具によって所定の位置に固定されている。スライド面形成板54は、その上面(上側の板面)を、予備成形米飯塊2のスライド搬送面57としている。予備成形米飯塊2は、中継用搬送円盤55の作用を受けることで、スライド搬送面57上を円周形状に沿ってスライド移動する。スライド搬送面57には、例えば、スライド面形成板54が有する円周形状の中心位置に対して同心円状に多数の円周溝が形成される。これにより、スライド搬送面57上における予備成形米飯塊2の接触抵抗の低減が図られる。
【0079】
中継用搬送円盤55は、スライド面形成板54と略同径の円盤状(扁平な円柱状)の部材であり、水平状の上面55aおよび下面55bを有する。中継用搬送円盤55は、上面視でスライド面形成板54に重なるように、スライド面形成板54上に載置された状態で設けられている。
【0080】
中継用搬送円盤55は、上下方向を軸方向として中継用搬送円盤55の中心部を貫通する回転軸58により、所定の位置で回転可能に設けられている。中継用搬送円盤55は、回転軸58を中心とした略90°の角度範囲の回動動作を間欠的に行
うように設けられている。回転軸58は、中継用搬送円盤55に対して固定状態で設けられ、中継用搬送円盤55と一体的に回動する。中継用搬送円盤55は、その下面55bをスライド搬送面57に対する摺動面として回動する。中継用搬送円盤55は、おにぎり製造装置1の動作時における回動方向を、平面視で左回りの方向(反時計方向)とする(
図9、矢印C1参照)。
【0081】
回転軸58は、中継用搬送円盤55からスライド面形成板54およびハウジング45の上面部を貫通して基端側(下側)の部分をハウジング45内に位置させ、ハウジング45内に設けられた駆動源としての駆動モータに連動連結されており、駆動モータによって回転駆動する。駆動モータは、例えばステッピングモータであり、その動作は、おにぎり製造装置1が備える制御部により制御される。すなわち、制御部による駆動モータの動作制御により、回転軸58を介して中継用搬送円盤55の回転動作が制御される。スライド面形成板54の中央部には、回転軸58を貫通させるための開口部54aが形成されている。
【0082】
中継用搬送円盤55は、上下方向に貫通した複数の貫通孔部61を有する。貫通孔部61は、平面視で矩形状をなす鉛直状の4つの壁面により形成されている。貫通孔部61は、その平面視形状である矩形状の長手方向を中継用搬送円盤55の径方向に沿わせるように形成されている。貫通孔部61は、中継用搬送円盤55の周方向について等角度間隔(90°間隔)で4箇所に設けられている。したがって、4つの貫通孔部61は、平面視で十字状をなすように配設されている。
【0083】
貫通孔部61の下側の開口がスライド搬送面57によって塞がれることで、予備成形米飯塊2の搬送収容部として、上側を開放側とした収容凹部62が形成される。各貫通孔部61とともに収容凹部62を形成するスライド搬送面57の部位、つまり収容凹部62の底面をなすスライド搬送面57の部位は、中継用搬送円盤55の回動にともなって変化することになる。収容凹部62内に収容された予備成形米飯塊2は、その下端側をスライド搬送面57に接触させた状態となる。また、貫通孔部61内の予備成形米飯塊2は、貫通孔部61をなす壁面によって支持されることで、起立姿勢を保持する。
【0084】
収容凹部62に対し、予備成形米飯塊2は、その長手方向を上下方向とするとともに、予備成形米飯塊2の幅方向を貫通孔部61の平面視での長手方向に沿わせる向きで、全体が収まるように収容される。したがって、貫通孔部61は、中継用搬送円盤55の厚さに相当する上下方向の寸法について、予備成形米飯塊2の長手方向の寸法よりも長い寸法を有する。また、貫通孔部61は、平面視における長手方向の寸法について、予備成形米飯塊2の幅方向よりも長い寸法を有する。4つの貫通孔部61は、共通の形状・寸法を有する。
【0085】
搬送押上機構部51は、ベルトコンベア16との関係において、中継用搬送円盤55がその間欠的な回動動作における所定の停止位置にある状態で1つの貫通孔部61を、ベルトコンベア16により搬送された予備成形米飯塊2の投入を受ける「投入位置」に位置させるように設けられている。投入位置は、平面視でベルトコンベア16の下流側の縁端の直前方の位置かつベルトコンベア16の下方の位置である。投入位置にある貫通孔部61(以下「投入用貫通孔部61X」ともいう。)は、その平面視形状における長手方向をベルトコンベア16の幅方向に沿わせている。
【0086】
本実施形態では、搬送押上機構部51は、回転軸58をベルトコンベア16の左前方に位置させ、回転軸58の右方の位置が貫通孔部61についての投入位置となるように設けられている。したがって、搬送押上機構部51は、平面視において中継用搬送円盤55の右後側の略1/4の角度範囲の部分がベルトコンベア16の前部によって覆われるように配置されている。
【0087】
以上のようなスライド面形成板54および中継用搬送円盤55によれば、収容凹部62内に収容された予備成形米飯塊2は、回動する中継用搬送円盤55に押される態様で、下端側をスライド搬送面57に接触させた状態でスライド搬送面57を摺動面として移動する。ここで、予備成形米飯塊2は、中継用搬送円盤55の回動にともなう貫通孔部61の移動にならい、起立姿勢を保持するとともに回転軸58に対する向きを一定とし、平面視での向きを変えながら、回転軸58を中心とした円周方向に沿って移動する。したがって、例えば、投入用貫通孔部61Xによる収容凹部62内の予備成形米飯塊2は、中継用搬送円盤55が反時計方向に略90°回動することで、平面視での長手方向を左右方向から前後方向とするように90°向きを変えることになる。
【0088】
昇降台部56は、スライド面形成板54に対して出没するように昇降移動可能に設けられた昇降体65を有する。昇降台部56は、中継用搬送円盤55が、4つの貫通孔部61を、投入位置を含む回転軸58に対する前後左右の位置に位置させた状態において、回転軸58の前方に位置する貫通孔部61に対応する位置に設けられている。
【0089】
中継用搬送円盤55の回動にともなって移動する貫通孔部61の位置に関し、昇降台部56の配設位置に対応した位置を「引渡し位置」とする。つまり、引渡し位置は、投入位置にある貫通孔部61が、中継用搬送円盤55が反時計方向に90°回動することで達する位置である。
【0090】
昇降体65は、例えば直方体状あるいは矩形板状の外形をなす本体部分を有し、その本体部分の上面を水平状の支持面65aとしている。昇降体65は、平面視外形の形状・寸法を貫通孔部61の平面視の形状・寸法と略同じとし、貫通孔部61に挿嵌された態様で昇降するように構成されている。
【0091】
昇降体65は、下降端に位置する状態で、支持面65aをスライド搬送面57と略同じ高さに位置させる。昇降体65は、下降端に位置する状態、つまりスライド搬送面57の下側に没入した状態を待機状態とし、かかる状態において、支持面65aによりスライド搬送面57と面一状の面を形成する。一方、昇降体65は、上昇端に位置する状態で、支持面65aを、ラウンド成形部40における予備成形米飯塊2の供給位置である所定のセット位置に対応する高さ位置に位置させる。
【0092】
スライド面形成板54には、昇降体65の平面視外形に対応した矩形状の開口部54bが貫通形成されており、開口部54bが、下降端に位置する昇降体65により塞がれた状態となる。昇降体65は、引渡し位置にある貫通孔部61(以下「引渡し用貫通孔部61Y」ともいう。)の下側の開口を塞ぎ、貫通孔部61とともに予備成形米飯塊2の収容部を一時的に形成する。
【0093】
昇降体65は、ハウジング45内に設けられたエアシリンダや電動シリンダ等のシリンダ機構66によって構成された昇降機構部によって昇降動作する(
図12参照)。シリンダ機構66は、上下方向を伸縮方向とするように設けられており、固定状態で設けられたシリンダ部66aと、シリンダ部66aに対して移動可能に設けられた移動軸部66bとを有する。移動軸部66bの上端部に、昇降体65が固定されており、移動軸部66bと昇降体65とが一体的にシリンダ部66aに対して昇降動作する。なお、ハウジング45の上面部には、シリンダ機構66を貫通させる開口部が形成されている。
【0094】
シリンダ機構66を含む昇降機構部の動作は、おにぎり製造装置1が備える制御部により制御される。制御部は、中継用搬送円盤55の回転動作と、昇降体65の昇降動作とを関連付けて制御する。制御部は、中継用搬送円盤55が貫通孔部61を引渡し位置に位置させて停止している状態において、シリンダ機構66により昇降体65を昇降動作させる(
図12、矢印F1参照)。
【0095】
ガイド部52は、ベルトコンベア16の前側に設けられており、ベルトコンベア16の下流側端から、その下方に位置する投入用貫通孔部61Xによる収容凹部62への予備成形米飯塊2の通路を形成する部分である。ガイド部52は、左右の側壁部67と前壁部68とを有し、平面視で後側を開放側とした略「コ」字状の形状を有する。ガイド部52は、ベルトコンベア16に対して固定の位置に設けられている。
【0096】
ガイド部52は、左右の側壁部67の後下側に、ベルトコンベア16の前端部の側面視形状に対応した湾曲状の切欠部67aを有し、この切欠部67aに、ベルトコンベア16の前端部をあてがわせた状態で設けられている。したがって、左右の側壁部67は、その前側の部分とともに切欠部67aをなす後方への突出部分である突片部67bを、ベルトコンベア16の後端部の上側に位置させている。左右の突片部67bの内側には、後側から前側にかけて互いの間の間隔を徐々に狭くするように傾斜したガイド斜面67cが形成されている。左右の突片部67bは、ベルトコンベア16の前端部において予備成形米飯塊2の受入口を形成している。
【0097】
ガイド部52は、平面視で、投入用貫通孔部61Xをその平面視形状に対応して左右両側および前側から囲むように設けられている。ガイド部52は、その下面を、中継用搬送円盤55の上面55aの直上に位置させ、ベルトコンベア16の前側から投入用貫通孔部61Xにかけて、上下方向に貫通したトンネル状の米飯塊通路69を形成している。米飯塊通路69が、ベルトコンベア16の搬送端からの予備成形米飯塊2の投入口となる。
【0098】
以上のような構成によれば、
図13に示すように、長手方向を前後方向に向けてベルトコンベア16により搬送された予備成形米飯塊2は(矢印B1参照)、ベルトコンベア16の搬送作用によってベルトコンベア16の下流側端からガイド部52による米飯塊通路69を介して投入用貫通孔部61Xによる収容凹部62内に投入される(矢印B2参照)。ここで、
図13において二点鎖線で示すように、予備成形米飯塊2は、ベルトコンベア16上で前端部であった部分を下側に向けるように向きを変えながら収容凹部62内に落とし込まれる。つまり、予備成形米飯塊2は、ベルトコンベア16から投入用貫通孔部61Xによる収容凹部62に投入されることで、ベルトコンベア16上における横臥姿勢から側面視で略90°回動するように姿勢を変化させ、投入された収容凹部62内において起立状態となる。
【0099】
以上のような構成を備えた中継部41において米飯塊に接触する部分をなす部材、例えばスライド面形成板54、中継用搬送円盤55、ガイド部52、昇降体65等の材料としては、例えばプラスチック等の樹脂、金属、ゴム等が適用される。
【0100】
ラウンド成形部40について説明する。ラウンド成形部40は、中継部41から供給された起立姿勢の予備成形米飯塊2を起立姿勢のままおにぎり6のおにぎり形状に成形するための構成である。ラウンド成形部40は、予備成形米飯塊2を成形するための複数の成形ユニット部70(70A,70B,70C)を有する。
【0101】
すなわち、本実施形態に係る米飯成形部4は、ラウンド成形部40において複数の成形ユニット部70を有し、成形ユニット部70に米飯塊の供給を受け、成形ユニット部70により、起立姿勢のおにぎり6に対応した向きを保持した状態で米飯塊をおにぎり形状に成形する。つまり、ベルトコンベア16から収容凹部62に投入されて起立状態となった予備成形米飯塊2の上下方向の向きを保持した状態で、複数の成形ユニット部70による米飯塊の成形が行われる。
【0102】
ラウンド成形部40は、3つの成形ユニット部70と、固定円板であるスライド面形成板71と、第2の搬送円盤である成形用搬送円盤72とを有する。成形用搬送円盤72は、ハウジング45上において、上下方向を軸方向として成形用搬送円盤72の中心部を貫通する回転軸部73により、所定の位置で回転可能に設けられている。成形用搬送円盤72は、回転軸部73を中心とした略60°の角度範囲の回動動作を間欠的に行うように設けられている。回転軸部73は、中継用搬送円盤55の回転軸58の前方に位置し、回転軸部73および回転軸58の軸心同士の左右方向の位置は略一致している。
【0103】
成形ユニット部70は、平面視で略矩形状の外形を有するブロック状の部分であり、内部空間を米飯塊の成形空間とするとともに、上面70aに臨んで開口した受入口70bを有する。つまり、成形ユニット部70は、上側の受入口70bから供給される米飯塊を成形空間内に受け入れ、成形空間内において米飯塊に所定の成形作用を与える。受入口70bは、平面視で矩形状の開口形状を有し、その平面視外形の形状・寸法を、貫通孔部61の平面視外形の形状・寸法と略同じとしている。成形ユニット部70は、ハウジング上面45a上における所定の位置に固定された状態で設けられている。
【0104】
ハウジング上面45aにおける成形ユニット部70の高さは、中継用搬送円盤55の高さと略同じとなっている。つまり、成形ユニット部70の上面70aと、中継用搬送円盤55の上面55aとは、互いに略同じ高さ位置に位置している(略同一の水平面上に位置している)。
【0105】
3つの成形ユニット部70は、平面視で回転軸部73の軸心位置を中心とした円周に沿うように略等間隔で配設されている。詳細には、3つの成形ユニット部70は、平面視において、回転軸部73の軸心位置を中心として、引渡し用貫通孔部61Yの左前の位置から、時計方向に約60°の角度範囲で略等間隔に設けられている。ここで、成形ユニット部70は、その受入口70bの平面視形状である矩形状の長手方向を成形用搬送円盤72の径方向に沿わせるとともに、成形用搬送円盤72の径方向についての受入口70bの位置を、同径方向についての引渡し用貫通孔部61Yの位置と共通にするように設けられている。
【0106】
以上のような配設態様で設けられた3つの成形ユニット部70は、成形用搬送円盤72の軸心位置と中心として、引渡し用貫通孔部61Yに近い側から時計方向に順に、第1成形ユニット部70A、第2成形ユニット部70B、第3成形ユニット部70Cとなる。成形用搬送円盤72の軸心位置と中心とした円周方向の間隔(角度範囲)について、引渡し用貫通孔部61Yと第1成形ユニット部70Aとの間隔、および隣り合う成形ユニット部70間の間隔は、いずれも略60°となる。したがって、引渡し用貫通孔部61Yと、第3成形ユニット部70Cの受入口70bとは、平面視で回転軸部73の軸心位置を中心として前後方向に対称に位置することになる。
【0107】
このように、本実施形態に係る米飯成形部4は、成形ユニット部70を複数(3つ)有し、ベルト成形搬送部3から供給された米飯塊に対し、3つの成形ユニット部70を所定の順序で作用させることで、米飯塊を段階的に成形する。米飯成形部4は、ラウンド成形部40において、第1成形ユニット部70A、第2成形ユニット部70B、第3成形ユニット部70Cの順番で米飯塊に対して成形ユニット部70を作用させて成形を行い、米飯塊を最終的なおにぎり形状とする。成形ユニット部70の構成については後述する。
【0108】
スライド面形成板71は、略円板状の部材であり、成形用搬送円盤72と同心配置されている。スライド面形成板71は、3つの成形ユニット部70と成形用搬送円盤72との間に介装され、非回転部分として固定状態で設けられている。スライド面形成板71は、その後部を、中継用搬送円盤55の前部に対して上側から重ねるように設けられている。スライド面形成板71は、平面視で中継用搬送円盤55に対するオーバーラップ部分に、引渡し用貫通孔部61Yの全体を含むように配置されている。
【0109】
スライド面形成板71における、引渡し用貫通孔部61Y、および3つの成形ユニット部70の受入口70bに対応する部位には、これらの開口部に整合するように矩形状の開口部71aが貫通形成されている。したがって、スライド面形成板71には、回転軸部73の軸心位置を中心とした円周について略60°の角度間隔で4つの開口部71aが形成されている。開口部71aは、貫通孔部61および受入口70bと略同じ形状・寸法を有し、これらの開口部と連続するように形成されている。
【0110】
スライド面形成板71は、その上面(上側の板面)を、米飯塊のスライド搬送面74としている。米飯塊は、成形用搬送円盤72の作用を受けることで、スライド搬送面74上を円周形状に沿ってスライド移動する。スライド搬送面74には、例えば、スライド面形成板71が有する円周形状の中心位置に対して同心円状に多数の円周溝が形成される。これにより、スライド搬送面74上における米飯塊の接触抵抗の低減が図られる。
【0111】
成形用搬送円盤72は、スライド面形成板71と略同径の円盤状(扁平な円柱状)の部材であり、水平状の上面72aおよび下面72bを有する。成形用搬送円盤72は、中継用搬送円盤55よりも大径の円盤であり、本実施形態では中継用搬送円盤55の略2倍の径を有する。また、成形用搬送円盤72の厚さ(上下方向の寸法)は、中継用搬送円盤55の厚さと略同じである。成形用搬送円盤72は、上面視でスライド面形成板71に重なるように、スライド面形成板71上に載置された状態で設けられている。
【0112】
成形用搬送円盤72を軸支する回転軸部73は、成形用搬送円盤72に対して固定状態で設けられ、成形用搬送円盤72と一体的に回動する。成形用搬送円盤72は、その下面72bをスライド搬送面74に対する摺動面として回動する。成形用搬送円盤72は、おにぎり製造装置1の動作時における回動方向を、平面視で右回りの方向(時計方向)とする(
図9、矢印C2参照)。
【0113】
回転軸部73は、成形用搬送円盤72からスライド面形成板71およびハウジング45の上面部を貫通して基端側(下側)の部分をハウジング45内に位置させ、ハウジング45内に設けられた駆動源としての駆動モータに連動連結されており、駆動モータによって回転駆動する。駆動モータは、例えばステッピングモータであり、その動作は、おにぎり製造装置1が備える制御部により制御される。すなわち、制御部による駆動モータの動作制御により、回転軸部73を介して成形用搬送円盤72の回転動作が制御される。スライド面形成板71の中央部には、回転軸部73を貫通させるための開口部71bが形成されている。
【0114】
成形用搬送円盤72は、上下方向に貫通した複数の貫通孔部76を有する。貫通孔部76は、平面視で矩形状をなす鉛直状の4つの壁面により形成されている。貫通孔部76は、中継用搬送円盤55の貫通孔部61と略同じ形状・寸法を有する。貫通孔部76は、その平面視形状である矩形状の長手方向を成形用搬送円盤72の径方向に沿わせるように形成されている。貫通孔部76は、成形用搬送円盤72の周方向について等角度間隔(60°間隔)で6箇所に設けられている。つまり、貫通孔部76の配置間隔は、スライド面形成板71における開口部71aの配置間隔に対応している。
【0115】
成形用搬送円盤72は、各貫通孔部76をスライド面形成板71の開口部71aに整合させた状態で、後側に位置する貫通孔部76を、引渡し用貫通孔部61Yの内部空間と連続させる。つまり、引渡し用貫通孔部61Yの内部空間は、開口部71aを介して、後側に位置する貫通孔部76に連通する。同じく成形用搬送円盤72は、各貫通孔部76を開口部71aに整合させた状態で、貫通孔部76を、成形ユニット部70の成形空間と連続可能な状態とする。つまり、成形ユニット部70の成形空間は、受入口70bから開口部71aを介して貫通孔部76に連通する。
【0116】
また、成形用搬送円盤72の回動の過程において、貫通孔部76の下側の開口がスライド搬送面74によって塞がれることで、米飯塊の搬送収容部として、上側を開放側とした収容凹部が一時的に形成される。各貫通孔部76とともに収容凹部を形成するスライド搬送面74の部位、つまり収容凹部の底面をなすスライド搬送面74の部位は、成形用搬送円盤72の回動にともなって変化することになる。収容凹部内に収容された米飯塊は、その下端側をスライド搬送面74に接触させた状態となる。また、貫通孔部76内の米飯塊は、貫通孔部76をなす壁面によって支持されることで、起立姿勢を保持する。
【0117】
貫通孔部76に対し、米飯塊は、その長手方向を上下方向として、全体が収まるように収容される。したがって、貫通孔部76は、成形用搬送円盤72の厚さに相当する上下方向の寸法について、米飯塊の長手方向の寸法よりも長い寸法を有する。6つの貫通孔部76は、共通の形状・寸法を有する。
【0118】
以上のような構成を備えたラウンド成形部40においては、成形用搬送円盤72が貫通孔部76をスライド面形成板71の開口部71aに整合させる回動位置(以下「孔整合回動位置」という。)にある状態で、引渡し用貫通孔部61Yに整合した位置(以下「受入位置」という。)にある貫通孔部76内が、中継部41からの予備成形米飯塊2の供給位置であるセット位置となる。
【0119】
したがって、昇降体65が上昇端に位置する状態で支持面65aが位置する、セット位置に対応する高さ位置は、スライド搬送面74と略同じ高さ位置となる。昇降体65は、上昇端に位置する状態において、支持面65aによりスライド搬送面74と面一状の面を形成する。このように、昇降体65は、下側の搬送面であるスライド搬送面57に支持面65aを対応させた高さ位置から、上側の搬送面であるスライド搬送面74に支持面65aを対応させた高さ位置までの範囲で、昇降動作するように設けられている。
【0120】
以上のようなスライド面形成板71および成形用搬送円盤72によれば、貫通孔部76内の米飯塊は、回動する成形用搬送円盤72に押される態様で、下端側をスライド搬送面74に接触させた状態でスライド搬送面74を摺動面として移動する。ここで、米飯塊は、成形用搬送円盤72の回動にともなう貫通孔部76の移動にならい、起立姿勢を保持するとともに回転軸部73の軸心に対する向きを一定とし、平面視での向きを変えながら、回転軸部73の軸心位置を中心として周方向に沿って移動する。
【0121】
また、成形用搬送円盤72の回動による米飯塊の搬送に関し、スライド面形成板71の複数の開口部71aのうち、昇降体65に対応する開口部71aは、上昇した昇降体65により下側から塞がれ、支持面65aによってスライド搬送面74と面一状の搬送面が形成される。また、詳細は後述するが、各成形ユニット部70に対応する残りの開口部71aは、昇降体65と同様に昇降する昇降部材(昇降体130)によって下側から塞がれ、その昇降部材が有する平面(支持面131)によってスライド搬送面74と面一状の搬送面が形成される。
【0122】
以上のような構成を備えたラウンド成形部40において米飯塊に接触する部分をなす部材、例えば成形ユニット部70、スライド面形成板71、成形用搬送円盤72等の材料としては、例えばプラスチック等の樹脂、金属、ゴム等が適用される。
【0123】
払出部42について説明する。払出部42は、ラウンド成形部40により成形した米飯塊、つまりおにぎり6を搬出搬送部5に払い出すための構成である。米飯成形部4は、払出部42により、ラウンド成形部40による成形物であるおにぎり6を起立姿勢のまま搬出搬送部5に払い出す。
【0124】
払出部42は、搬出用昇降台部81と、払出アーム82と、搬送面形成部材83とを有する。
【0125】
搬出用昇降台部81は、スライド面形成板71に対して出没するように昇降移動可能に設けられた昇降体85を有する。搬出用昇降台部81は、孔整合回動位置にある状態の成形用搬送円盤72において、時計方向で第3成形ユニット部70Cに対応する貫通孔部76の次の貫通孔部76、つまり回転軸部73の右前方に位置する貫通孔部76に対応する位置に設けられている。
【0126】
成形用搬送円盤72の回動にともなって移動する貫通孔部76の位置に関し、搬出用昇降台部81の配設位置に対応した位置を「送出し位置」とする。つまり、送出し位置は、受入位置にある貫通孔部76が、成形用搬送円盤72が時計方向に略240°回動することで達する位置となる。
【0127】
昇降体85は、例えば直方体状あるいは矩形板状の外形をなす本体部分を有し、その本体部分の上面を水平状の支持面85aとしている。昇降体85は、平面視外形の形状・寸法を貫通孔部76の平面視の形状・寸法と略同じとし、貫通孔部76に挿嵌された態様で昇降するように構成されている。
【0128】
昇降体85は、下降端に位置する状態で、支持面85aをスライド搬送面74と略同じ高さに位置させる。昇降体85は、下降端に位置する状態、つまりスライド搬送面74の下側に没入した状態を待機状態とし、かかる状態において、支持面85aによりスライド搬送面74と面一状の面を形成する。
【0129】
一方、昇降体85は、上昇端に位置する状態で、支持面85aを、ラウンド成形部40におけるおにぎり6の送出位置である所定の払出し待機位置に対応する高さ位置に位置させる。この払出し待機位置に対応する高さ位置は、成形用搬送円盤72の上面72aと略同じ高さ位置となる。昇降体85は、上昇端に位置する状態において、支持面85aにより成形用搬送円盤72の上面72aと面一状の面を形成する。このように、昇降体85は、スライド搬送面74に支持面85aを対応させた高さ位置から、成形用搬送円盤72の上面72aに支持面85aを対応させた高さ位置までの範囲で、昇降動作するように設けられている。
【0130】
スライド面形成板71には、昇降体85の平面視外形に対応した矩形状の開口部71cが貫通形成されており、かかる開口部71cが、下降端に位置する昇降体85により塞がれた状態となる。昇降体85は、送出し位置にある貫通孔部76(以下「送出し用貫通孔部76X」ともいう。)の下側の開口を塞ぎ、貫通孔部76とともにおにぎり6の収容部を一時的に形成する。そして、成形用搬送円盤72が孔整合回動位置にある状態で、上昇端に位置する昇降体85の支持面85a上の位置が、おにぎり6の払出し待機位置となる。
【0131】
また、昇降体85は、ハウジング45内に設けられたエアシリンダや電動シリンダ等のシリンダ機構86によって構成された昇降機構部によって昇降動作する(
図15参照)。シリンダ機構86は、上下方向を伸縮方向とするように設けられており、固定状態で設けられたシリンダ部86aと、シリンダ部86aに対して移動可能に設けられた移動軸部86bとを有する。移動軸部86bの上端部に昇降体85が固定されており、移動軸部86bと昇降体85とが一体的にシリンダ部86aに対して昇降動作する。
【0132】
昇降体85の昇降機構部の動作は、おにぎり製造装置1が備える制御部により制御される。制御部は、成形用搬送円盤72の回転動作と、昇降体85の昇降動作とを関連付けて制御する。制御部は、成形用搬送円盤72が孔整合回動位置で停止している状態において、シリンダ機構86により昇降体85を昇降動作させる(
図15、矢印F2参照)。
【0133】
払出アーム82は、水平回動可能に支持されており、その回動動作によって払出し待機位置にあるおにぎり6を、成形用搬送円盤72上から搬出搬送部5へと払い出す。払出アーム82は、略四角柱状の外形を有するアーム部材により構成されており、その一端側(基端側)が、上下方向を軸方向とする回動軸84により支持されている。
【0134】
回動軸84は、ハウジング45内からハウジング上面45a上に突出しており、払出アーム82を、成形用搬送円盤72の上側の高さ位置にて回動可能に支持している。回動軸84は、平面視において成形用搬送円盤72の後端部の右方の位置に設けられており、回動軸84の位置から払出アーム82が左前方に向けて延伸している。
【0135】
払出アーム82は、その他端側(先端側)に、払出し待機位置にあるおにぎり6に係止作用する係止部87を有する。係止部87は、払出し待機位置にあるおにぎり6に対して、成形用搬送円盤72の径方向の内側、つまり回転軸部73側から作用する。払出アーム82は、係止部87をおにぎり6に作用させた状態で回動動作することにより、成形用搬送円盤72の径方向の内側から外側に向けておにぎり6を押し出す態様で払い出す。
【0136】
係止部87は、成形用搬送円盤72の上面72aに対して接触ないし略接触させた状態とする水平状の下面87aを有するとともに、おにぎり6の一部を受け入れておにぎり6を係止させる係止凹部87bを有する。係止凹部87bは、払出し待機位置にあるおにぎり6の、成形用搬送円盤72の径方向の内側の略半分の部分を受け入れる。係止凹部87bは、貫通孔部76の平面視形状に対応して平面視で略矩形状に沿う形状を有するとともに、おにぎり6の受入れ側(払出アーム82の時計方向の回動方向の前側)および下側を開放側とした形状を有する。係止部87は、係止凹部87bの平面視形状を払出アーム82の回動中心を中心とした円周の接線に沿わせるように形成されている。
【0137】
払出アーム82は、その回動位置について、払出し待機位置にあるおにぎり6の平面視形状に対応すべく、送出し用貫通孔部76Xの成形用搬送円盤72の径方向内側の略半分の部分の平面視形状に係止凹部87bを沿わせた位置を待機位置とする。このような構成によれば、払出アーム82が待機位置にある状態で、昇降体85の上昇によって送出し用貫通孔部76X内から払出し待機位置に送り出されたおにぎり6は、自動的に係止凹部87b内に位置する状態、つまり係止部87により払出アーム82に係止された状態となる。
【0138】
払出アーム82は、待機位置にある状態からの回動軸84を中心とした時計方向の回動動作により、係止部87におにぎり6を係止させた状態を保持しながら、おにぎり6を搬出搬送部5における所定の搬出位置に搬送する。ここで、おにぎり6は、係止部87の係止作用により、起立姿勢を保持するとともに、平面視外形の長手方向を、回動軸84の軸心位置を中心とした円周の接線方向に沿わせるように向きを変化させながら移動する。
【0139】
払出アーム82は、待機位置から、おにぎり6を搬出搬送部5上の搬出位置に位置させる回動位置(以下「回動端位置」という。)まで時計方向に回動した後、反時計方向に回動して元の待機位置に戻る。これにより、おにぎり6は、搬出搬送部5上の搬出位置に残された状態となる。かかる状態のおにぎり6は、起立姿勢であって、平面視の長手方向を左右方向に沿わせた状態となっている。
【0140】
このように、払出アーム82は、その待機位置から回動端位置までの範囲で、回動軸84によって往復回動動作するように設けられている(
図9、矢印G1参照)。払出アーム82の回動範囲である角度β1は約30°である。回動端位置にある払出アーム82は、その長手方向を前後方向に沿わせた状態となる。
【0141】
払出アーム82を支持する回動軸84は、ハウジング45内に設けられた図示せぬ駆動源としての駆動モータによって回転駆動する。回動軸84を回転駆動させる駆動モータの動作は、おにぎり製造装置1が備える制御部により制御される。すなわち、回動軸84の基端側は、駆動モータに連動連結されており、制御部による駆動モータの動作制御により、回動軸84を介して、払出アーム82の回転動作が制御される。
【0142】
搬送面形成部材83は、成形用搬送円盤72と搬出搬送部5との間に介設されており、これらの間の隙間を埋めるとともに、少なくとも払出アーム82によるおにぎり6の移動軌跡を含むように搬送面を形成している。搬送面形成部材83は、板状の部材であり、一方の板面である上面83aを、おにぎり6の搬送面とする。搬送面形成部材83は、その上面83aにより、成形用搬送円盤72の上面72aおよび搬出搬送部5の搬送面それぞれに対して略連続して面一状の面を形成するように、水平状態で支持固定されている。
【0143】
以上のような構成を備えた払出部42において米飯塊に接触する部分をなす部材、例えば昇降体85、払出アーム82、搬送面形成部材83等の材料としては、例えばプラスチック等の樹脂、金属、ゴム等が適用される。
【0144】
[搬出搬送部の構成]
搬出搬送部5の構成について説明する。搬出搬送部5は、前後方向を搬送方向とするベルトコンベア90を主たる構成として備える。ベルトコンベア90は、その搬送方向の前後両端に設けられた支持ローラ91,92と、これらのローラ91,92に対して巻回状態で設けられた無端状のコンベアベルト93とを有する。ベルトコンベア90は、水平状の搬送面90aをなし、搬送面90aを、成形用搬送円盤72の上面72aと略同じ高さに位置させている。ベルトコンベア90は、その幅寸法を、ベルトコンベア15の幅寸法の略半分としている。
【0145】
ベルトコンベア90は、払出アーム82の回動軸84の前方の位置に設けられており、後端部を成形用搬送円盤72の中央部近傍に位置させるとともに、成形用搬送円盤72よりも前方の位置まで延設されている。ベルトコンベア90は、その後端部を、成形用搬送円盤72の前後中間部の前側寄りの部位の右側に位置させている。そして、ベルトコンベア90の後端部の左側と、成形用搬送円盤72との間に、搬送面形成部材83が設けられている。
【0146】
搬送面形成部材83は、平面視形状として、ベルトコンベア90と成形用搬送円盤72との間の隙間に応じた形状を有する。具体的には、搬送面形成部材83は、ベルトコンベア90の後端部の左側の辺部に沿う部分として、前後方向に沿う直線状の右辺部83bを有し、成形用搬送円盤72の右前側の縁部に沿う部分として、円弧状の湾曲部83cを有する。搬送面形成部材83は、湾曲部83cの湾曲形状により、前側から後側にかけて徐々に幅を狭めた形状を有する。
【0147】
以上のような構成において、払出アーム82によって払い出されるおにぎり6は、昇降体85の支持面85a上から、成形用搬送円盤72の上面72a、搬送面形成部材83の上面83aを経て、ベルトコンベア90の搬送面90a上の搬出位置に搬送される。ベルトコンベア90の後部の幅方向中間部の位置が、搬出搬送部5における所定の搬出位置となる。
【0148】
[成形ユニット部の構成]
成形ユニット部70の構成について、
図17から
図22を用いて説明する。成形ユニット部70は、型基部100と、型基部100に対して移動可能に設けられた複数の成形型(110,120)と、成形型により形成したおにぎり6を上方に向けて搬出するための昇降体130とを含む。成形ユニット部70を構成する型基部100および複数の成形型の材料としては、例えばプラスチック等の樹脂、金属、ゴム等が適用される。
【0149】
なお、
図18(a),(b)、
図19(a),(b)は、いずれも型開き状態の成形ユニット部70を示しており、
図20(a),(b)、
図21(a),(b)は、いずれも型閉じ状態の成形ユニット部70を示している。また、
図19(a)は、
図18(b)におけるH-H断面図であり、
図19(b)は、
図18(a)におけるJ-J断面図である。また、
図21(a)は、
図20(b)におけるK-K断面図であり、
図21(b)は、
図20(a)におけるL-L断面図である。
【0150】
型基部100は、ボルト等の固定具によって、ハウジング上面45a上に固定状態で設けられている。この型基部100に対し、米飯塊の成形面を有する複数の成形型(110,120)および昇降体130が、所定の駆動機構によって移動可能に設けられている。
【0151】
型基部100は、成形ユニット部70の外形の大半をなす部分であり、平面視で略矩形状をなす略箱状の部材により構成されている。型基部100は、互いに平行で略同じ平面視形状を有する水平状の天面部101および底面部102と、平面視で型基部100の短手方向に対向した一対の側壁部103,103とを有する。型基部100の平面視外形の四隅に対応する部分には、面取部が形成されている。
【0152】
成形ユニット部70の説明においては、型基部100の平面視形状における長手方向(
図18(b)における左右方向)および短手方向(
図18(b)における上下方向)を、それぞれ「ユニット長手方向」および「ユニット短手方向」とする。成形ユニット部70は、全体として、ユニット長手方向およびユニット短手方向の各方向について対称的に構成されている。
【0153】
天面部101は、水平面である上面101aを有し、この上面101aが、成形ユニット部70の上面70aとなる。天面部101の中央部に、受入口70bが貫通形成されている。受入口70bは、ユニット長手方向を長手方向とする矩形状の開口部である。
【0154】
成形ユニット部70は、複数の成形型として、第1の成形型組をなす一対の成形型である一対の側方成形型110,110と、第2の成形型組をなす一対の成形型である一対の三角成形型120,120とを有する。
【0155】
側方成形型110は、平面視および側面視(ユニット長手方向視)で矩形状を有し、ユニット長手方向の内側に、第1成形面である側方成形面111を有する。側方成形型110は、その平面視外形をなす水平状の平面である上面112と、ユニット短手方向の両側の鉛直状の平面である横側面113,113と、側方成形型110の側面視外形をなす面であってユニット長手方向の外側の鉛直状の平面である外側面114と、上面112の反対側の水平状の平面である下面115とを有する。
【0156】
側方成形型110は、側方成形面111の上側において、ユニット長手方向の内側の鉛直状の平面である内側端面116を有する。内側端面116は、ユニット短手方向を長手方向とする細長い矩形状の面である。内側端面116は、対向した一対の側方成形型110同士の合わせ面となる。側方成形型110は、ユニット短手方向視での縦断面形状がユニット短手方向の全体にわたって略一定となる形状を有する。つまり、側方成形面111、上面112、外側面114、および下面115は、いずれも全体的にユニット短手方向に沿う面となっている。
【0157】
側方成形面111は、おにぎり6の左右方向一側の側方部を形成する成形面である。一対の側方成形型110の型閉じ状態において、両方の側方成形面111により、おにぎり6の正面視形状である略三角形状に沿う形状が形成される。
【0158】
側方成形面111は、おにぎり6の斜面部6fの成形面となる斜面成形面部111aと、斜面成形面部111aの上側に形成されおにぎり6の頂部6dの左右一側の半分の成形面となる上曲面部111bと、斜面成形面部111aの下側に形成されおにぎり6の側頂部6gの成形面となる下曲面部111cとを有する。斜面成形面部111a、上曲面部111b、および下曲面部111cは、滑らかに連続している。
【0159】
上曲面部111bは、上面112とともに、ユニット長手方向の外側から内側にかけて徐々に板厚を薄くする板状の部分を形成している。また、下曲面部111cは、下面115とともに、鋭角状の稜線部をなしてユニット長手方向に突出した底側突出部117を形成している。
【0160】
側方成形型110は、型基部100に対して、ユニット長手方向の外側から挿嵌された態様で、ユニット長手方向に移動可能に設けられている。型基部100においては、天面部101の下面101dと、底面部102の上面102dと、側壁部103それぞれの内壁面103dとにより、ユニット長手方向視で縦長矩形状をなすとともにユニット長手方向に貫通した内部空間100aが形成されている。型基部100は、ユニット長手方向の両側の鉛直状の端面100bを、内部空間100aの開口端面としている。
【0161】
このような内部空間100aを有する型基部100に対し、ユニット長手方向で縦長矩形状の外形をなす側方成形型110が摺動可能に挿嵌されている。すなわち、内部空間100aを形成する天面部101の下面101d、底面部102の上面102d、および両方の側壁部103の内壁面103dのそれぞれに対し、側方成形型110は、上面112、下面115、および両方の横側面113のそれぞれを摺動面として、ユニット長手方向に移動可能に設けられている(
図19(a)、矢印M1、M2参照)。
【0162】
一対の側方成形型110は、側方成形面111同士をユニット長手方向に対向させている。また、一対の側方成形型110は、その型閉じ状態において、互いの内側端面116を接触ないし略接触させる(
図21(a)参照)。また、各側方成形型110は、型開き状態において、型基部100に対し、外側面114が端面100bと面一状となる位置に位置する(
図19(a)参照)。
【0163】
側方成形型110は、シリンダ機構等を駆動部として往復移動する往復移動部を含む駆動機構部により、ユニット長手方向に往復水平移動可能に設けられている。駆動機構部は、ハウジング45内に設けられている。側方成形型110は、駆動機構部の往復移動部に対して支持軸部118を介して連結されている。
【0164】
支持軸部118は、上下方向を軸方向とする直線棒状の部分であり、ハウジング45内の駆動機構部の往復移動部と一体的に往復移動可能に設けられ、ハウジング45内からハウジング上面45aをなす上面部を貫通して上方に向けて突出している。支持軸部118は、その上端部を、側方成形型110の外側面114の中央部に突設された筒状の連結用突起部119に貫通させて連結させている。
【0165】
このような構成により、側方成形型110は、支持軸部118と一体的にユニット長手方向に往復移動する。側方成形型110の底面部102には、支持軸部118の移動経路を確保するため、ユニット長手方向に沿うスリット状の開口102bが形成されている。また、ハウジング上面45aには、支持軸部118の移動経路を確保するため、支持軸部118の往復移動方向を長手方向とする長孔45bが形成されている(
図16参照)。
【0166】
三角成形型120は、ユニット短手方向視でおにぎり6の正面視形状に対応した略三角形状を有し、ユニット短手方向の内側に、第2成形面である三角凹状成形面121を有する。三角成形型120は、ユニット短手方向視の外形をなす側周面122と、ユニット短手方向の外側の鉛直状の平面である背面123とを有する。
【0167】
三角成形型120は、三角凹状成形面121の周縁に沿って、ユニット短手方向の内側の鉛直状の平面に沿う内側端面124を有する。内側端面124は、三角成形型120の正面視外形に沿う幅狭の面である。三角成形型120は、ユニット短手方向視での外形がユニット短手方向の全体にわたって略一定となる形状を有する。つまり、側周面122は、全体的にユニット短手方向に沿う面となっている。
【0168】
三角凹状成形面121は、おにぎり6の正面部6aまたは背面部6bおよびそれぞれの周縁部に連続する周囲の面部を形成する成形面であり、おにぎり6の正面部6a側または背面部6b側の外形を形成する。一対の三角成形型120が型閉じ状態となることにより、型閉じ状態の一対の側方成形型110とともに、おにぎり6の全体の形状に対応した成形空間が形成される。
【0169】
三角凹状成形面121は、その凹形状の底面をなす略三角形状の面部であっておにぎり6の正面部6aまたは背面部6bの成形面となる平坦面部121aと、平坦面部121aの周縁部に対して全周にわたって滑らかに連続した面部であっておにぎり6の正面部6a側または背面部6b側の側周面の成形面となる側周面部121bとを有する。側周面部121bは、おにぎり6の底面部6c、頂部6d、両方の傾斜側面部6e、および両方の側頂部6gそれぞれの正面側または背面側の部分を形成する面部を有する。
【0170】
側周面部121bは、平坦面部121a側から三角凹状成形面121のユニット短手方向内側にかけて徐々に三角凹状成形面121の開口を広げる曲面形状を有する。側周面部121bと側周面122とにより、三角成形型120の略三角形状の外形に沿って稜線部分が形成されており、この稜線部分の端面が、内側端面124となっている。
【0171】
三角成形型120は、型基部100に対して、側壁部103のユニット長手方向の中間部に形成された三角状ガイド孔部105にユニット短手方向の外側から挿嵌された態様で、ユニット短手方向に移動可能に設けられている。三角状ガイド孔部105は、鉛直状に沿う側壁部103の壁面に対して垂直方向に側壁部103を貫通し、ユニット短手方向視で三角成形型120の略三角形状の外形と略同じ外形をなすガイド面105aを形成している。
【0172】
略三角形状に沿うガイド面105aを形成する三角状ガイド孔部105を有する側壁部103に対し、略三角形状の三角成形型120が摺動可能に挿嵌されている。すなわち、ガイド面105aに対し、三角成形型120は、側周面122を摺動面として、ユニット短手方向に移動可能に設けられている(
図19(b)、矢印N1、N2参照)。
【0173】
また、ガイド面105aは、一対の側方成形型110が型閉じ状態で両方の側方成形面111により形成する成形面と略面一状の面をなす。つまり、一対の側方成形型110が型閉じ状態となることで、各成形型の側方成形面111と、そのユニット短手方向両側の側壁部103のガイド面105aとにより、ユニット短手方向視で略三角形状をなす連続した面が形成される。
【0174】
一対の三角成形型120は、三角凹状成形面121同士をユニット短手方向に対向させている。また、各三角成形型120は、型開き状態において、型基部100に対し、ユニット短手方向の外側(背面123側)の一部を側壁部103の外側の壁面から突出させる位置に位置する。一対の三角成形型120は、その型閉じ状態において、ユニット短手方向の内側の一部を、型閉じ状態の一対の側方成形型110の側方成形面111により形成される成形空間内に嵌合させる。
【0175】
三角成形型120は、シリンダ機構等を駆動部として往復移動する往復移動部を含む駆動機構部により、ユニット短手方向に往復水平移動可能に設けられている。駆動機構部は、ハウジング45内に設けられている。三角成形型120は、駆動機構部の往復移動部に対して支持軸部125を介して連結されている。
【0176】
支持軸部125は、上下方向を軸方向とする直線棒状の部分であり、ハウジング45内の駆動機構部の往復移動部と一体的に往復移動可能に設けられ、ハウジング45内からハウジング上面45aをなす上面部を貫通して上方に向けて突出している。支持軸部125は、その上端部を、三角成形型120の背面123の略中央部に突設された筒状の連結用突起部126に貫通させて連結させている。
【0177】
このような構成により、三角成形型120は、支持軸部125と一体的にユニット短手方向に往復移動する。ハウジング上面45aには、支持軸部125の往復移動方向を長手方向とする長孔45cが形成されており、支持軸部125の移動経路が確保されている。
【0178】
以上のように成形ユニット部70が有する成形型としての側方成形型110および三角成形型120に関し、これらの成形型をハウジング45内の駆動機構部に連結するための構成は、特に限定されるものではなない。また、側方成形型110および三角成形型120を往復移動させるための構成は、特に限定されるものではなく、側方成形型110および三角成形型120は、型基部100に対して所定の移動方向および移動範囲で往復移動可能に設けられればよい。
【0179】
以上のように、成形ユニット部70は、第1の方向であるユニット長手方向を成形型の移動方向として開閉する第1の成形型組をなす一対の側方成形型110と、平面視で第1の方向に直交する第2の方向であるユニット短手方向を成形型の移動方向として開閉する第2の成形型組をなす一対の三角成形型120とを有する。
【0180】
昇降体130は、平面視で略矩形状をなす本体部分を有し、その本体部分の上面を水平状の支持面131としている。支持面131は、一対の側方成形型110および一対の三角成形型120により成形されたおにぎり6の載置面となり、おにぎり6の平面視外形の全体あるいは略全体が含まれる面積を有する。
【0181】
型基部100においては、昇降体130の昇降経路を確保するように、天面部101の中央部に上開口部としての受入口70bが形成されており、底面部102の中央部に下開口部102cが形成されている。受入口70bおよび下開口部102cは、昇降体130の平面視外形に対応した略矩形状の貫通孔部であり、平面視で互いに重なるように形成されている。
【0182】
昇降体130は、上昇端に位置する状態で、天面部101の受入口70bから上面101aより上側に突出してスライド面形成板71の開口部71aに嵌合し、支持面131をスライド搬送面74と略同じ高さに位置させ、支持面131によりスライド搬送面74と面一状の面を形成する(
図22参照)。一方、昇降体130は、下降端に位置する状態、つまり下開口部102cに嵌合した状態で、支持面131を底面部102の上面102aと略同じ高さに位置させ、支持面131により上面102aと面一状の面を形成する。
【0183】
昇降体130は、ハウジング45内に設けられた昇降機構部を構成するシリンダ機構133によって昇降動作する。シリンダ機構133は、例えばエアシリンダや電動シリンダ等であり、上下方向を伸縮方向とするように設けられている。シリンダ機構133は、固定状態で設けられたシリンダ部133aと、シリンダ部133aに対して移動可能に設けられた移動軸部133bとを有する。移動軸部133bの上端部に、昇降体130が固定されており、移動軸部133bと昇降体130とが一体的にシリンダ部133aに対して昇降動作する。
【0184】
以上のように成形ユニット部70が備える側方成形型110、三角成形型120、および昇降体130の動作は、おにぎり製造装置1が備える制御部により相互に関連付けられて制御される。すなわち、側方成形型110および三角成形型120それぞれの駆動機構部、並びに昇降体130の昇降機構部は、各成形型110,120および昇降体130が所定の順序で一連の動作を行うように制御部により制御される。
【0185】
以上のような構成を備えた成形ユニット部70の動作について説明する。成形ユニット部70は、その待機状態において、一対の側方成形型110および一対の三角成形型120をいずれも型開き状態とするとともに、昇降体130を上昇端に位置させる。一対の側方成形型110および一対の三角成形型120は、いずれも、型開き状態において、昇降体130の移動経路に干渉しない位置に位置する。
【0186】
成形ユニット部70は、その待機状態において、上昇端に位置する昇降体130の支持面131上に、米飯塊の供給を受ける。つまり、成形ユニット部70に対する米飯塊の供給位置は、上昇端に位置する昇降体130の支持面131上の位置となる。支持面131上に米飯塊の供給を受けた昇降体130は、支持面131上に米飯塊を載置させた状態で下降端まで下降する。これにより、米飯塊は、型基部100の内部空間100a内に沈み込み、内部空間100a内において底面部102の上面102aと略同じ高さに位置する支持面131上に載置支持された状態となる。
【0187】
次に、第1のタイミングで、一対の成形型110が互いに近付く方向に移動し(
図19(a)、矢印M1参照)、型閉じ状態となる。これにより、内部空間100a内の米飯塊は、一対の側方成形型110によってユニット長手方向に挟まれ、両側の側方成形面111の形状にならって略三角形状に成形される(
図21(a)参照)。一対の側方成形型110による米飯塊の成形工程が、成形ユニット部70における第1の成形工程となる。
【0188】
第1の成形工程の後、つまり第1のタイミングの後の第2のタイミングで、一対の三角成形型120が互いに近付く方向に移動し(
図19(b)、矢印N1参照)、型閉じ状態となる。ここで、一対の側方成形型110の型閉じ状態は保持されている。一対の三角成形型120が型閉じ状態となることで、一対の側方成形型110による成形作用を受けた状態の米飯塊は、一対の三角成形型120によってユニット短手方向に挟まれ、両側の三角凹状成形面121の形状にならって三角おにぎり形状に成形される。一対の三角成形型120による米飯塊の成形工程が、成形ユニット部70における第2の成形工程となる。
【0189】
第2の成形工程の後、一対の側方成形型110および一対の三角成形型120が、それぞれ互いに遠ざかる方向に移動し(
図19(a)、矢印M2、
図19(b)、矢印N2参照)、同時的に型開き状態となる。その後、下降端に位置する支持面131上の米飯塊が、昇降体130の上昇端までの上昇動作によって成形ユニット部70から上方に送り出される。
【0190】
これにより、米飯塊は、成形ユニット部70における米飯塊の搬出位置まで持ち上げられるとともに、成形ユニット部70は米飯塊の供給を受ける待機状態に戻る。つまり、成形ユニット部70における米飯塊の供給位置および搬出位置は共通の位置であり、成形ユニット部70は、米飯塊の供給を受けるときと、成形した米飯塊を搬出したときとで同様の動作状態となっている。
【0191】
以上のように、本実施形態に係る成形ユニット部70は、複数の成形型として、第1のタイミングで閉じることで米飯塊に作用する第1の成形型組をなす一対の側方成形型110と、第1のタイミングの後の第2のタイミングで閉じることで、一対の側方成形型110による成形作用を受けた米飯塊に作用する第2の成形型組をなす一対の三角成形型120とを有する。
【0192】
本実施形態において、3つの成形ユニット部70の各部の動作タイミングは共通している。また、成形ユニット部70の昇降体130の昇降動作は、昇降台部56の昇降体65の昇降動作と同期して行われる。
【0193】
続いて、上述したような成形ユニット部70の動作を含む米飯成形部4の全体的な動作について説明する。米飯成形部4における米飯塊の成形・搬送のための一連の動作は、おにぎり製造装置1が備える制御部により、ベルト成形搬送部3からの予備成形米飯塊2の供給のサイクルに合わせて、おにぎり6の成形・搬送が連続的に行われるように制御される。
【0194】
米飯成形部4における1サイクルの動作としては、主に次のような動作が順に行われる。
(1)中継用搬送円盤55の反時計方向の90°の回動動作
(2)昇降台部56の昇降体65および3箇所の成形ユニット部70の昇降体130の同時的な下降端から上昇端への上昇動作
(3)成形用搬送円盤72の時計方向の60°の回動動作
(4)昇降台部56の昇降体65および3箇所の成形ユニット部70の昇降体130の同時的な上昇端から下降端への下降動作
(5)成形ユニット部70による米飯塊の成形動作
(6)搬出用昇降台部81の昇降体85の下降端から上昇端への上昇動作
(7)払出アーム82の払出しのための回動動作
(8)昇降体85の上昇端から下降端への下降動作および払出アーム82の戻り動作
【0195】
上記(1)~(8)の動作については、適宜部分的にあるいは全体的に同時進行で(時間的に重複して)行われる。例えば、(5)の動作中に(6)~(8)の動作が行われたり、(5)の動作中に(1)の動作が開始したりする。
【0196】
上記(1)~(8)の動作に関し、ベルト成形搬送部3から米飯成形部4に供給された1つの予備成形米飯塊2に着目し、米飯成形部4による米飯塊の成形・搬送動作について説明する。
【0197】
まず、ベルト成形搬送部3のベルトコンベア16から中継用搬送円盤55における投入用貫通孔部61X内に落とし込まれた予備成形米飯塊2は(
図13参照)、中継用搬送円盤55の反時計方向の90°の回動動作((1)の動作)により、起立姿勢を保持した状態で、スライド搬送面57上を摺動し、引渡し位置(引渡し用貫通孔部61Y)まで搬送される。次に、昇降体65の上昇動作((2)の動作)により、予備成形米飯塊2は起立姿勢のままセット位置に搬送される(
図12参照)。
【0198】
セット位置に搬送された予備成形米飯塊2は、成形用搬送円盤72の時計方向の60°の回動動作((3)の動作)により、起立姿勢を保持した状態で、スライド搬送面74上を摺動し、第1成形ユニット部70Aの供給位置(支持面131上の位置)まで搬送される。次に、昇降体130の下降動作((4)の動作)により、予備成形米飯塊2は起立姿勢のまま型基部100の内部空間100a内に沈み込む(
図22、矢印O1参照)。
【0199】
内部空間100a内に供給された予備成形米飯塊2は、成形ユニット部70による成形動作((5)の動作)、つまり上述したような一対の側方成形型110および一対の三角成形型120の型閉じ・型開きによる成形作用を受ける。第1成形ユニット部70Aによる成形作用を受けた米飯塊(以下「第1成形米飯塊2A」とする。)は、昇降体130の上昇動作((2)の動作)により、起立姿勢のまま、第1成形ユニット部70Aの搬出位置まで搬送される(
図22、矢印O2参照)。
【0200】
第1成形ユニット部70Aの搬出位置まで搬送された第1成形米飯塊2Aは、成形用搬送円盤72の回動動作((3)の動作)によって第2成形ユニット部70Bの供給位置まで搬送され、昇降体130の下降動作((4)の動作)により第2成形ユニット部70Bの内部空間100a内に供給され、第2成形ユニット部70Bの成形動作((5)の動作)による成形作用を受ける。これにより、第2成形ユニット部70Bによる成形作用を受けた米飯塊(以下「第2成形米飯塊2B」とする。)が得られ、第2成形米飯塊2Bは、昇降体130の上昇動作((2)の動作)により、起立姿勢のまま、第2成形ユニット部70Bの搬出位置まで搬送される。
【0201】
第2成形ユニット部70Bの搬出位置まで搬送された第2成形米飯塊2Bは、第1成形ユニット部70Aから第2成形ユニット部70Bに対する米飯塊の搬送、および第2成形ユニット部70Bにおける米飯塊の成形と同様に、(3)→(4)→(5)の動作により、第3成形ユニット部70Cによる成形作用を受ける。これにより、第3成形ユニット部70Cによる成形作用を受けた米飯塊、つまりおにぎり6が得られ、おにぎり6は、昇降体130の上昇動作((2)の動作)により、起立姿勢のまま、第3成形ユニット部70Cの搬出位置まで搬送される。
【0202】
第3成形ユニット部70Cの搬出位置にあるおにぎり6は、成形用搬送円盤72の回動動作((3)の動作)により、起立姿勢を保持した状態でスライド搬送面74上を摺動し、上昇端に位置する昇降体85の支持面85a上の位置、つまり払出し待機位置に搬送される。払出し待機位置にあるおにぎり6は、待機位置にある払出アーム82の回動端位置までの時計方向の回動動作((7)の動作)によって、ベルトコンベア90上の搬出位置へと払い出される。その後、昇降体85の下降動作および払出アーム82が待機位置に戻る戻り動作((8)の動作)が行われる。ベルトコンベア90上に払い出されたおにぎり6は、ベルトコンベア90によって所定の場所まで搬送される。
【0203】
以上のような構成を備えた本実施形態に係るおにぎり製造装置1によれば、簡単な構成により、おにぎり6の形態安定性を向上することができ、自重による経時的な型くずれを抑制することができるとともに、良好な食感を得ることができる。
【0204】
すなわち、本実施形態に係るおにぎり製造装置1によれば、予備成形米飯塊2に対して特に成形の作用を与えることなく、米飯成形部4に米飯塊を供給することができる。また、米飯成形部4においては、成形ユニット部70に対する米飯塊の供給・搬出のための構成、および成形ユニット部70の成形型の構成により、米飯塊に与える成形作用を、米飯塊に対する全体的な成形作用とすることができる。これらのことから、おにぎり6において米飯の密度が局所的に高くなっておにぎり6が部分的に硬くなることを抑制することができ、おにぎり6の食感を向上させることができる。つまり、米飯の密度の均一性を向上させることができるので、おにぎり6の何処を食べても均一な密度の食感を感じる事ができ、良好な食感を得ることができる。
【0205】
また、本実施形態に係るおにぎり製造装置1によれば、米飯成形部4において、成形ユニット部70に対する米飯塊の供給・搬出のための構成、および成形ユニット部70の成形型の構成により、米飯塊を終止起立状態のままで成形・搬送を行うことができる。これにより、おにぎり6において、例えば三角おにぎりが平置きの姿勢で成形・搬送される構成に生じる自重によるだれ変形(平置き姿勢での底側が平坦な形状となるような変形)等の経時的な型くずれを抑制することができ、おにぎり6の形態安定性を向上することができる。
【0206】
また、本実施形態に係るおにぎり製造装置1において、米飯成形部4は、複数の(3つの)成形ユニット部70を有し、米飯塊に対して複数回(3回)にわたって成形ユニット部70による成形作用を与え、おにぎり6を成形する。このような構成によれば、俵状の予備成形米飯塊2から三角おにぎり形状のおにぎり6までの起立状態を保持した米飯塊の成形を、スムーズかつ確実に行うことができる。
【0207】
本実施形態に係る米飯成形部4のように、3つの成形ユニット部70を順次作用させて米飯塊の成形を行う構成においては、3つの成形ユニット部70の構成として、次のような構成を採用することができる。すなわち、一対の側方成形型110および一対の三角成形型120の少なくともいずれか一方の成形型組について、第1成形ユニット部70A、第2成形ユニット部70B、第3成形ユニット部70Cの順に、型閉じ状態における成形型間の間隔を徐々に狭めた構成である。このような構成によれば、成形ユニット部70の成形型組により型閉じ状態で形成される成形空間の形状が、第1、第2、第3の成形ユニット部70の順に徐々に最終的なおにぎり6の形状に近付くことになる。
【0208】
具体的には、一対の側方成形型110の場合、例えば、
図23(a)、(b)、(c)に示すように、型閉じ状態における成形型間の間隔の大きさを、第1成形ユニット部70Aにおける間隔の寸法D1から、第2成形ユニット部70Bにおける間隔の寸法D2に狭め、さらに、第3成形ユニット部70Cでは、一対の側方成形型110同士を接触ないし略接触させた状態として、成形型間
の寸法をゼロないし略ゼロとする。なお、ここでの成形型間の間隔は、一対の側方成形型110の内側端面116間の間隔である。
【0209】
また、一対の三角成形型120の場合、例えば、
図24(a)、(b)、(c)に示すように、型閉じ状態における成形型間の間隔の大きさを、第1成形ユニット部70Aにおける同間隔の寸法E1から、第2成形ユニット部70Bにおける間隔Eの寸法E2に狭め、さらに、第2成形ユニット部70Bにおける同間隔の寸法E2から、第3成形ユニット部70Cにおける間隔の寸法E3に狭める。なお、ここでの成形型間の間隔は、一対の三角成形型120の内側端面124間の間隔である。
【0210】
このような成形型組の型閉じ状態における成形型間の間隔の調整は、成形型組の待機状態(型開き状態)からの各成形型の閉じる方向への移動量の調整により行われる。成形型の移動量の調整は、例えば、各成形型組の駆動機構部が有する往復移動部の移動量の調整によって行われる。
【0211】
以上のように3つの成形ユニット部70の型閉じ状態での成形型間の間隔を段階的に狭める構成によれば、俵状の予備成形米飯塊2から三角おにぎり形状のおにぎり6までの起立状態を保持した米飯塊の成形を、よりスムーズかつ確実に行うことが可能となり、おにぎり6の形態安定性および米飯密度の均一性を向上させることができる。
【0212】
また、本実施形態に係るおにぎり製造装置1は、搬出搬送部5を備え、米飯成形部4は、払出部42を有し、払出部42により、おにぎり6を起立姿勢のまま搬出搬送部5に払い出す。このような構成によれば、米飯成形部4により成形されたおにぎり6が、搬出搬送部5により所定の場所へと搬送される際において、おにぎり6が平置き姿勢とされることで生じる経時的な変形を回避することができる。これにより、おにぎり製造装置1から搬出されるおにぎり6について、自重によるだれ変形等の経時的な型くずれを抑制することができ、形態安定性を向上することができる。
【0213】
[成形ユニット部の第1変形例]
成形ユニット部の第1変形例について説明する。
図25に示すように、本変形例の成形ユニット部70(70X)は、型基部100に対して移動可能に設けられた複数の成形型として、一対の側方成形型110および一対の三角成形型120に加え、底成形型230を有する。つまり、本変形例の成形ユニット部70Xは、上述した構成例における昇降体130に対応する構成として、他の成形型とともに米飯塊に成形作用を与える底成形型230を有する。
【0214】
底成形型230は、型基部100に形成された底面である底面部102の上面102dに臨んで開口した開口部である下開口部102cを介して米飯塊に作用するように設けられた成形型である。底成形型230は、上述した昇降体130と同様の構成を備え、ハウジング45内に設けられた昇降機構部を構成するシリンダ機構233によって昇降動作するように設けられる。シリンダ機構233は、シリンダ機構133と同様の構成のものであり、シリンダ部233aと移動軸部233bとを有する。移動軸部233bの上端部に、底成形型230が固定されており、移動軸部233bと底成形型230とが一体的にシリンダ部233aに対して昇降動作する。
【0215】
底成形型230は、平面視で略矩形状をなす本体部分を有し、その本体部分の上面を水平状の成形支持面231としている。成形支持面231は、一対の側方成形型110による成形作用を受けた米飯塊に対して下側から作用する成形面であり、また、成形前後の米飯塊の載置面となる。
【0216】
底成形型230は、上昇端に位置する状態で、天面部101の受入口70bから上面101aより上側に突出してスライド面形成板71の開口部71aに嵌合し、成形支持面231をスライド搬送面74と略同じ高さに位置させ、成形支持面231によりスライド搬送面74と面一状の面を形成する(
図25、二点鎖線参照)。一方、底成形型230は、
図25に示すように、下降端に位置する状態で、成形支持面231を、底面部102の上面102aよりも低い高さに位置させる。
図25に示す例では、底成形型230は、下降端に位置する状態で、成形支持面231を、底面部102の下面102eと略同じ高さに位置させている。
【0217】
本変形例の側方成形型110においては、側方成形面111の下部が鉛直状に形成されている。すなわち、
図25に示すように、側方成形面111は、斜面成形面部111aと、斜面成形面部111aの上側に形成された上曲面部111bと、斜面成形面部111aの下側に形成され鉛直面に沿う鉛直面部111dとを有する。鉛直面部111dは、斜面成形面部111aの下端から下方に向けて鉛直状に形成された面部である。鉛直面部111dは、例えば、型閉じ状態の側方成形型110の下端部(斜面成形面部111aよりも下側の部分)において、底成形型230に対して上下に重なる部分が生じないように形成される。
【0218】
以上のような構成を備えた本変形例の成形ユニット部70Xは、第1の成形型組をなす一対の側方成形型110が閉じた状態で、米飯塊を圧縮する方向に底成形型230を移動させるように構成されている。本変形例の成形ユニット部70Xの動作の一例について、
図26を用いて説明する。
【0219】
成形ユニット部70Xは、その待機状態において、一対の側方成形型110および一対の三角成形型120をいずれも型開き状態とするとともに、底成形型230を上昇端に位置させる。成形ユニット部70Xは、その待機状態において、上昇端に位置する底成形型230の成形支持面231上に、米飯塊の供給を受ける。つまり、成形ユニット部70Xに対する米飯塊の供給位置は、上昇端に位置する底成形型230の成形支持面231上の位置となる。
【0220】
成形支持面231上に米飯塊の供給を受けた底成形型230は、成形支持面231上に米飯塊を載置させた状態で下降端まで下降する。これにより、
図26(a)に示すように、米飯塊は、型基部100の内部空間100a内に沈み込み、内部空間100a内において底面部102の下面102eと略同じ高さに位置する成形支持面231上に載置支持された状態となる。
【0221】
次に、第1のタイミングで、一対の成形型110が型閉じ状態となる(
図26(b)、矢印P1参照)。これにより、
図26(b)に示すように、内部空間100a内の米飯塊は、一対の側方成形型110によってユニット長手方向に挟まれ、両側の側方成形面111の形状にならって略三角形状に成形される。一対の側方成形型110による米飯塊の成形工程が、成形ユニット部70Xにおける第1の成形工程となる。
【0222】
第1の成形工程の後、つまり第1のタイミングの後の第2のタイミングで、底成形型230が上昇する(
図26(c)、矢印P2参照)。ここで、底成形型230は、成形支持面231を底面部102の上面102dと略同じ高さとする位置まで上昇する。また、一対の側方成形型110の型閉じ状態は保持されている。底成形型230が上昇することで、一対の側方成形型110による成形作用を受けた米飯塊は、下側から成形支持面231の接触を受けて圧縮される。つまり、米飯塊は、互いに略連続した一対の側方成形面111および成形支持面231による成形形状にならって略三角形状に成形される。底成形型230を米飯塊に作用させる成形工程が、成形ユニット部70Xにおける第2の成形工程となる。
【0223】
第2の成形工程の後、つまり第2のタイミングの後の第3のタイミングで、一対の三角成形型120が型閉じ状態となる(
図21(b)参照)。ここで、一対の側方成形型110の型閉じ状態および底成形型230の上昇状態は保持されている。一対の三角成形型120が型閉じ状態となることで、一対の側方成形型110および底成形型230による成形作用を受けた状態の米飯塊は、一対の三角成形型120によってユニット短手方向に挟まれ、両側の三角凹状成形面121の形状にならって三角おにぎり形状に成形される。一対の三角成形型120による米飯塊の成形工程が、成形ユニット部70Xにおける第3の成形工程となる。
【0224】
第3の成形工程の後、一対の側方成形型110および一対の三角成形型120が同時的に型開き状態となる。その後、成形支持面231上の米飯塊が、底成形型230の上昇端までの上昇動作によって成形ユニット部70Xから上方に送り出される。これにより、米飯塊は、成形ユニット部70Xにおける米飯塊の搬出位置まで持ち上げられるとともに、成形ユニット部70Xは米飯塊の供給を受ける待機状態に戻る。
【0225】
以上のように、本変形例の構成においては、米飯塊の成形として、一対の側方成形型110の側方成形面111、底成形型230の成形支持面231、および一対の三角成形型120の三角凹状成形面121の5つの成形面による成形、つまり5面押しの成形が行われる。本変形例の構成は、3つの成形ユニット部70のうち少なくとも1つの成形ユニット部70において適用される。本変形例の構成は、例えば、3つの成形ユニット部70のうち、第1成形ユニット部70Aにおいて適用される。ただし、本変形例の構成は、第2成形ユニット部70Bや第3成形ユニット部70Cにおいて適用されてもよい。
【0226】
本変形例の構成によれば、成形ユニット部70に対する米飯塊の供給および搬出を行うための構成を成形型として兼用することができ、成形ユニット部70において簡単な構成により3段階の成形を行うことが可能となる。これにより、俵状の予備成形米飯塊2から三角おにぎり形状のおにぎり6までの起立状態を保持した米飯塊の成形を、よりスムーズかつ確実に行うことが可能となり、おにぎり6の形態安定性および米飯密度の均一性を向上させることができる。
【0227】
なお、上述した例では、底成形型230は、一対の側方成形型110による第1の成形工程の後の工程であって一対の三角成形型120による第3の成形工程の前の工程である第2の成形工程を行うものであるが、これに限定されるものではない。底成形型230は、第3の成形工程を行うための成形型として用いられてもよい。
【0228】
すなわち、一対の側方成形型110および一対の三角成形型120により第1の成形工程および第2の成形工程を行った後、一対の側方成形型110および一対の三角成形型120が閉じた状態で、底成形型230を米飯塊に作用させる構成であってもよい。この場合、三角成形型120において、側方成形型110の側方成形面111における鉛直面部111dと同様に、例えば、型閉じ状態の三角成形型120の下端部において、底成形型230に対して上下に重なる部分が生じないように、三角凹状成形面121において鉛直状の面部が形成される。
【0229】
[成形ユニット部の第2変形例]
成形ユニット部の第2変形例について説明する。
図27に示すように、本変形例の成形ユニット部70(70Y)は、第1変形例の構成において、一対の側方成形型110の側方成形面111における斜面成形面部111aの傾斜を、最終的なおにぎり6のおにぎり形状における斜面部6fの傾斜に対して急にしている。本変形例の構成は、3つの成形ユニット部70のうち第1成形ユニット部70Aにおいて適用される。
【0230】
すなわち、3つの成形ユニット部70のうち、ベルト成形搬送部3から供給された予備成形米飯塊2に最初に作用する第1成形ユニット部70Aの一対の側方成形型110は、米飯塊を成形する成形面として、三角おにぎりの頂部6dをなす左右両側の斜面部6fを含む傾斜側面部6eに対応した側方成形面111を有する。そして、側方成形面111は、三角おにぎりの斜面部6fを形成する斜面成形面部111aの勾配を、三角おにぎりの斜面部6fの勾配よりも大きくしている。
【0231】
具体的には、
図27に示すように、本変形例の成形ユニット部70Yが有する側方成形型110の側方成形面111において、斜面成形面部111aの勾配に対応する傾斜角度γ1は、おにぎり6の斜面部6fの勾配に対応する傾斜角度γ0よりも大きくなっている。言い換えると、斜面成形面部111aの傾斜角度γ1は、おにぎり6の斜面部6fの傾斜角度γ0よりも角度Δγ分大きくなっている。
【0232】
ここで、傾斜角度γ1は、ユニット短手方向視において、斜面成形面部111aに沿う直線Q1の水平方向に対する角度である。また、傾斜角度γ0は、ユニット短手方向視において、おにぎり6の斜面部6fに沿う直線Q2の水平方向に対する角度である。なお、傾斜角度γ0を規定する直線Q2は、本変形例の前に説明した構成例における斜面成形面部111aに沿う直線となる。
【0233】
図27に示す例では、傾斜角度γ0は約60°であり、傾斜角度γ1は約65°であり、角度Δγは約5°である。ただし、これらの角度の大きさは限定されるものではない。最終的な三角おにぎりの成形工程に対する予備的な成形を行う観点から、角度Δγは、例えば3~10°程度の範囲内の角度である。
【0234】
本変形例の成形ユニット部70Yによれば、次のような成形作用が得られる。すなわち、
図28(a)に示すように、第1の成形工程において、一対の成形型110が型閉じ状態となることで(矢印R1参照)、予備成形米飯塊2は、一対の側方成形型110によってユニット長手方向に挟まれ、両側の側方成形面111の形状にならって略三角形状に成形される。
【0235】
第1の成形工程において、側方成形面111の斜面成形面部111aの勾配が比較的急であることにともない、米飯塊は、最終的なおにぎり6に対して左右方向(ユニット長手方向)の幅寸法S1を狭くし、上下に細長い略二等辺三角形状に形成される。ここで、米飯塊は、左右の斜面成形面部111aの圧縮作用により、左右中央に寄せられるとともに下側に向けて押し下げられるような作用を受ける。なお、幅寸法S1は、互いに対向した鉛直面部111d間の寸法である。また、幅寸法S1の大きさに対応して、底成形型230は、その本体部分のユニット長手方向の寸法を、幅寸法S1と略同じとしている。
【0236】
第1の成形工程の後、つまり第1のタイミングの後の第2のタイミングで、底成形型230が上昇する(
図28(b)、矢印R2参照)。ここで、底成形型230は、成形支持面231を底面部102の上面102dと略同じ高さとする位置まで上昇する。また、一対の側方成形型110の型閉じ状態は保持されている。底成形型230が上昇することで、一対の側方成形型110による成形作用を受けた米飯塊は、下側から成形支持面231の接触を受けて圧縮される。つまり、米飯塊は、互いに略連続した一対の側方成形面111および成形支持面231による成形形状にならって略三角形状に成形される。底成形型230を米飯塊に作用させる成形工程が、成形ユニット部70Yにおける第2の成形工程となる。
【0237】
第2の成形工程の後、つまり第2のタイミングの後の第3のタイミングで、上述したように、一対の三角成形型120が型閉じ状態となる第3の成形工程が行われ、各成形型の型開きが行われた後、底成形型230の上昇動作によって、成形された米飯塊が上方に送り出される。その後、第2成形ユニット部70Bおよび第3成形ユニット部70Cによる成形が行われる。
【0238】
本変形例の構成によれば、一対の側方成形型110による第1の成形工程において、左右の斜面成形面部111aにより、米飯塊をユニット長手方向に挟み込むとともに下側に押し下げるような作用を与えることができる。これにより、米飯塊の下部の密度を比較的高くすることができ、米飯塊の重心の位置を下げることができる。結果として、おにぎり6の形態安定性を向上させることができるとともに、おにぎり6において比較的硬い部分が生じることを抑制することができる。
【0239】
俵状ないし略四角形状の予備成形米飯塊2に対して第1の成形工程を行う場合、側方成形面111の傾斜によって予備成形米飯塊2の上部の方が下部に比べてユニット長手方向に圧縮される割合が高くなることから、おにぎり6の頂部6dとなる上部についての米飯密度が比較的高くなる傾向にある。おにぎり6において米飯密度が比較的高い部分は比較的硬い部分となる。おにぎり6の頂部6dは、一般的に一口目に食される部分であるため、頂部6dが比較的硬くなることは、おにぎり6の食感を低下させる原因となりやすい。
【0240】
そこで、本変形例の構成のように、第1成形ユニット部70Aにおいて側方成形面111の斜面成形面部111aの勾配を急にすることで、斜面成形面部111aが鉛直状に近付くことから、予備成形米飯塊2に対する第1の成形工程において、ユニット長手方向に圧縮される割合の上下方向についての不均一さを軽減することができる。これにより、米飯密度のばらつきを軽減することができ、おにぎり6について良好な食感を得ることが可能となる。
【0241】
また、本変形例の構成によれば、おにぎり6における重心の位置を比較的下側に位置させることが可能となる。これにより、おにぎり6の起立姿勢を効果的に保持することができる。
【0242】
[成形ユニット部の第3変形例]
成形ユニット部の第3変形例について説明する。
図29および
図30に示すように、本変形例の成形ユニット部70(70Z)は、側方成形型110の上部に、成形空間を外部に臨んで開口させる開口部350を形成する凹部351を有する。なお、
図29(a)および
図30(a)は、一対の側方成形型110の型開き状態を示しており、
図20(b)および
図30(b)は、一対の側方成形型110の型閉じ状態を示している。
【0243】
本変形例において、第1の成形型組をなす一対の側方成形型110のそれぞれは、おにぎり6の頂部6dを形成するための成形面である上曲面部111bをなす部分である頂部形成部352を有する。頂部形成部352は、側方成形型110の上端部におけるユニット長手方向内向きの突出部分である。頂部形成部352は、両方の横側面113の上端のユニット長手方向内側の部分と、上面112のユニット長手方向内側の縁部と、内側端面116と、上曲面部111bとを含む面により形成されている。
【0244】
そして、頂部形成部352には、凹部351が形成されている。凹部351は、一対の側方成形型110の型閉じ状態において一対の側方成形型110の成形空間110aを外部に連通させる開口部350をなす。成形空間110aは、互いに対向する側方成形面111間の空間である。
【0245】
凹部351は、頂部形成部352のユニット短手方向の中間部において、平面視でユニット長手方向の内側を開放側とした半円状をなす略半円筒面である湾曲面351aにより切欠き状に形成されている。このように凹部351が形成された頂部形成部352は、ユニット短手方向の両側に、ユニット長手方向内向きに突出するとともに内側端面116を端面とする2つの突起部分を形成している。
【0246】
本変形例の成形ユニット部70Zによれば、次のような成形作用が得られる。すなわち、第1の成形工程において、
図30(a)に示すように型開き状態の一対の側方成形型110が、
図30(b)に示すように型閉じ状態となることで(矢印T1参照)、予備成形米飯塊2は、一対の側方成形型110によってユニット長手方向に挟まれ、両側の側方成形面111の形状にならって略三角形状に成形される。
【0247】
一対の側方成形型110が型閉じ状態となることで、内側端面116同士が接触ないし略接触し、両方の凹部351により開口部350が形成される(
図29(b)参照)。つまり、凹部351同士が合わさることで、開口部350として、一対の側方成形型110の上側の中央部に、平面視で略円形状を有するとともに上下方向に貫通して成形空間110aを上方に開口させる貫通孔部が形成される。
【0248】
このように、一対の側方成形型110が型閉じ状態になることで開口部350が形成される構成によれば、
図30(b)に示すように、一対の側方成形型110の側方成形面111によって予備成形米飯塊2がユニット長手方向に圧縮作用を受けることで、予備成形米飯塊2内の具材7が上方に絞り出される態様で米飯塊の頂部からはみ出る(矢印T2参照)。つまり、一対の側方成形型110による成形後の米飯塊の頂部には、米飯塊の内部の具材7の一部がはみ出たものである露出具材7aが存在する。
【0249】
第1の成形工程の後は、上述のとおり、一対の三角成形型120による第2の成形工程が行われ、各成形型の型開きが行われた後、昇降体130の上昇動作によって、成形された米飯塊が上方に送り出される。
【0250】
本変形例の構成によれば、
図31(a)に示すように、おにぎり6として、具材7の一部を頂部6d上に吐出させた露出具材7aを有するおにぎり6Aが得られる。露出具材7aは、おにぎり6の米飯塊に内包された具材7の部分につながっている。
【0251】
また、本変形例の構成によれば、例えば
図31(b)に示すように、おにぎり6として、海老の天ぷらを具材7とした「天むす」と称されるおにぎり6Bを得ることができる。おにぎり6Bにおいて、具材7である海老の天ぷらの大部分は米飯塊内に埋没し、具材7の尻尾部分7bが、おにぎり6の頂部6dから突出している。
【0252】
なお、
図31(b)に示すようなおにぎり6Bの製造において、ベルト成形搬送部3に供給されるシート状米飯8上に乗せられる具材7である海老の天ぷらは、尻尾部分7b側をベルトコンベア15による搬送方向の後側とする向きで乗せられる。これにより、ベルト成形搬送部3における成形によって得られた俵状米飯8C(予備成形米飯塊2)は、米飯成形部4に供給された際、つまりベルトコンベア16から投入用貫通孔部61Xによる収容凹部62に投入された際、尻尾部分7b側を上側とした起立状態となり、その起立姿勢が保持されながら米飯成形部4における米飯塊の成形が行われる。
【0253】
本変形例の構成によれば、成形ユニット部70による米飯塊の成形の過程で、おにぎり6の米飯塊内の具材7の一部を自動的に露出させることができる。これにより、例えばおにぎり6の具材のボリューム感等を含めた見栄えの向上や米飯塊内の具材7の判別等のために、成形後のおにぎり6の頂部6dに具材を別途乗せる手間をかけることなく、おにぎり6の頂部6dに具材を露出させることが可能となる。
【0254】
従来、三角おにぎりの外部に具材を現す場合、成形後のおにぎりの頂部近傍に窪みを形成し、その窪みに、米飯塊内の具材と同じ具材を乗せるといった方法が採用されている。しかしながら、このような方法によれば、成形後のおにぎりに対して具材を乗せるいわゆる後乗せのための作業が別途必要になるため手間がかかる。
【0255】
そこで、本変形例の構成によれば、成形ユニット部70による米飯塊の成形とともに自動的に具材7を外部に露出させることが可能となるので、上述したような後乗せのための作業を不要とすることができる。また、本変形例の構成によれば、成形ユニット部70による成形動作によっておにぎり6の内部の具材7が頂部6dから外部に露出するため、一般的に一口目に食される頂部6dに具材7を確実に導くことができる。これにより、おにぎり6が食される際に、一口目から具材7に当たるようにすることができる。
【0256】
図30に示す例では、本変形例の構成を第1成形ユニット部70Aに適用した場合について説明したが、本変形例の構成は、第2成形ユニット部70Bまたは第3成形ユニット部70Cにおいて適用されてもよい。また、本変形例の構成は、上述した他の変形例と組み合わせることもでき、これにより、各変形例による効果も得ることができる。
【0257】
以上のように実施形態を用いて説明した本発明に係るおにぎり製造装置は、上述した実施形態に限定されず、本発明の趣旨に沿う範囲で、種々の態様を採用することができる。
【0258】
上述した実施形態では、おにぎり6としていわゆる三角おにぎりの場合を例に説明したが、本発明は、三角おにぎりに限定されず、例えば四角形状や丸形状のおにぎりの製造装置としても適用することができる。また、上述した実施形態では、おにぎり6は、具材7を有するものであるが、本発明は具材の有無にかかわらず適用することができる。
【符号の説明】
【0259】
1 おにぎり製造装置
2 予備成形米飯塊
3 ベルト成形搬送部
4 米飯成形部
5 搬出搬送部
6 おにぎり
6d 頂部
6f 斜面部
16 ベルトコンベア
42 払出部
55 中継用搬送円盤
72 成形用搬送円盤
70 成形ユニット部
70A 第1成形ユニット部
70B 第2成形ユニット部
70C 第3成形ユニット部
100 型基部
110 側方成形型
111 側方成形面
111a 斜面成形面部
120 三角成形型
130 昇降体
230 底成形型
350 開口部
351 凹部