(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-04
(45)【発行日】2023-09-12
(54)【発明の名称】包装装置
(51)【国際特許分類】
H01M 10/04 20060101AFI20230905BHJP
H01M 4/04 20060101ALI20230905BHJP
H01M 50/403 20210101ALI20230905BHJP
H01M 50/466 20210101ALI20230905BHJP
【FI】
H01M10/04 Z
H01M4/04 Z
H01M50/403 C
H01M50/403 F
H01M50/466
(21)【出願番号】P 2019173126
(22)【出願日】2019-09-24
【審査請求日】2022-09-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000236746
【氏名又は名称】不二精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】村田 卓也
(72)【発明者】
【氏名】青木 太志
【審査官】冨士 美香
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-068980(JP,A)
【文献】特開2019-109979(JP,A)
【文献】特開2016-225246(JP,A)
【文献】特開2018-198167(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/04
H01M 4/04
H01M 50/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送経路に沿って搬送される複数の電極のそれぞれをセパレータで覆うように包装することによって、前記電極が前記セパレータで包装された個片を形成する包装部と、
前記搬送経路において前記包装部よりも下流に配置され、前記個片を上面側で吸着させながら搬送する第1コンベアと、
前記第1コンベアから前記個片を受け取り、前記個片を下面側で吸着させながら搬送する第2コンベアと、を備え、
前記第1コンベアにおける前記上面側から下面側への転回部分には、前記個片のうち前記セパレータ内に前記電極が配置されていない空袋を当該下面側に排出する排出部が設けられている、包装装置。
【請求項2】
前記第1コンベアで搬送される前記個片が空袋であるか否かを検出する検査装置を更に備え、
前記排出部は、前記個片の吸着及び非吸着を切り替え可能に構成され、前記検査装置によって前記個片が前記空袋であることが検出された場合には、前記個片を吸着した状態で前記下面側に排出する、請求項1に記載の包装装置。
【請求項3】
前記排出部は、前記検査装置によって前記個片が前記空袋でないことが検出された場合には、前記個片を吸着せずに前記個片を前記第2コンベアに受け渡す、請求項2に記載の包装装置。
【請求項4】
前記排出部は、前記検査装置によって前記個片が前記空袋でないことが検出された場合には、前記第2コンベアよりも弱い吸着力で前記個片を吸着した状態で前記個片を前記第2コンベアに受け渡す、請求項2又は3に記載の包装装置。
【請求項5】
前記電極は、前記セパレータに覆われる電極本体と、前記電極本体から突出して前記セパレータから露出するタブとを含み、
前記検査装置は、前記タブの有無を検出することによって、前記個片が前記空袋であるか否かを検出する、請求項2~4のいずれか一項に記載の包装装置。
【請求項6】
前記第1コンベアの下面側には、前記排出部によって当該下面側に搬送された前記個片にエアを吹き付けて落下させるエア噴出部が設けられている、請求項1~5のいずれか一項に記載の包装装置。
【請求項7】
前記第1コンベアで搬送される前記個片の前記電極の品質を検査する検査装置を更に備え、
前記第2コンベアの下面側には、前記個片の吸着及び非吸着を切り替え可能な切替部が設けられ、
前記切替部は、前記検査装置によって前記個片の前記電極の品質が正常であると判断された場合には前記個片を吸着し、前記検査装置によって前記個片の前記電極の品質が異常であると判断された場合には前記個片を吸着せずに落下させる、請求項1~6のいずれか一項に記載の包装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、搬送経路に沿って搬送される電極をセパレータで包装する包装装置が記載されている。この包装装置は、搬送装置で搬送される帯状のセパレータ部材を溶着及び切断する溶着機を備えている。溶着機によって溶着及び切断されたセパレータ部材は、電極を収容する袋状の個片となる。搬送経路において溶着機よりも下流には、個片を搬送経路の下流に搬送するコンベアが配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような包装装置では、起動時などに電極が搬送されない状態でセパレータの包装動作が実施される場合がある。この場合、セパレータ内に電極が配置されない空袋が搬送経路の下流に搬送されることとなる。空袋は、電極が包装された個片に比べて質量が小さく、形状も安定していないため、空袋がコンベアによって搬送されると、空袋がコンベアに詰まる等の不具合が生じるおそれがある。
【0005】
これに対し、上述のような包装装置において、個片を搬送するコンベアを2つのコンベアに分割し、これらコンベアの間に空袋を吹き飛ばすエアブローを設ける構成が考えられる。しかしながら、コンベア間にエアブローを設ける構成では、コンベア間の間隔が大きくなり易く、コンベア間で個片を受け渡す際に位置ずれが発生し易くなる。そのため、搬送経路の下流において個片の位置を補正する工程が必要となり、工程が煩雑化するおそれがある。
【0006】
本開示は、個片の位置ずれの発生を抑制しつつ搬送経路から空袋を排出することができる包装装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一側面に係る包装装置は、搬送経路に沿って搬送される複数の電極のそれぞれをセパレータで覆うように包装することによって、電極がセパレータで包装された個片を形成する包装部と、搬送経路において包装部よりも下流に配置され、個片を上面側で吸着させながら搬送する第1コンベアと、第1コンベアから個片を受け取り、個片を下面側で吸着させながら搬送する第2コンベアと、を備え、第1コンベアにおける上面側から下面側への転回部分には、個片のうちセパレータ内に電極が配置されていない空袋を当該下面側に排出する排出部が設けられている。
【0008】
この包装装置では、包装部から下流に送り出される個片が第1コンベアによって搬送されて第2コンベアに受け渡され、第2コンベアによって搬送経路の下流に搬送される。ここで、第1コンベアの転回部分には、空袋を第1コンベアの下面側に排出する排出部が設けられている。このように第1コンベアの転回部分で空袋を搬送経路から排出する構成とすれば、第1コンベアと第2コンベアとの受渡部分にエアブローのような排出機構を設けて空袋を搬送経路から排出する場合と比べて、第1コンベアと第2コンベアとの間隔の拡大を抑制できる。これにより、第1コンベアと第2コンベアとの間で個片を受け渡す際における個片の位置ずれの発生を抑制できる。したがって、上記の包装装置によれば、個片の位置ずれの発生を抑制しつつ搬送経路から空袋を排出することができる。その結果、搬送経路の下流において個片の位置を補正する工程が必要になる事態を抑制できるので、搬送工程の煩雑化を抑制できる。
【0009】
上記の包装装置は、第1コンベアで搬送される個片が空袋であるか否かを検出する検査装置を更に備え、排出部は、個片の吸着及び非吸着を切り替え可能に構成され、検査装置によって個片が空袋であることが検出された場合には、個片を吸着した状態で下面側に排出してもよい。この場合、排出部が空袋を吸着することで、空袋をより確実に抽出して下面側に排出することができる。
【0010】
上記の包装装置では、排出部は、検査装置によって個片が空袋でないことが検出された場合には、個片を吸着せずに個片を第2コンベアに受け渡してもよい。この場合、空袋を搬送経路から排出する一方、空袋でない個片を第1コンベアから第2コンベアにより確実に受け渡すことが可能となる。
【0011】
上記の包装装置では、排出部は、検査装置によって個片が空袋でないことが検出された場合には、第2コンベアよりも弱い吸着力で個片を吸着した状態で個片を第2コンベアに受け渡してもよい。空袋を搬送経路から排出する一方、空袋でない個片を第1コンベアから第2コンベアへより確実に受け渡すことが可能となる。
【0012】
上記の包装装置は、電極は、セパレータに覆われる電極本体と、電極本体から突出してセパレータから露出するタブとを含み、検査装置は、タブの有無を検出することによって、個片が空袋であるか否かを検出してもよい。このように検査装置によってタブの有無を検出することで、個片が空袋であるか否かを容易に検出できる。
【0013】
上記の包装装置は、第1コンベアの下面側には、排出部によって当該下面側に搬送された個片にエアを吹き付けて落下させるエア噴出部が設けられていてもよい。空袋に対する排出部の吸着を解除しても、例えばセパレータに作用する静電気によって、第1コンベアの下面側に空袋が張り付いてしまうことが考えられる。したがって、第1コンベアの下面側にエア噴出部を設けることで、第1コンベアから空袋を簡便に回収できる。
【0014】
上記の包装装置は、第1コンベアで搬送される個片の電極の品質を検査する検査装置を更に備え、第2コンベアの下面側には、個片の吸着及び非吸着を切り替え可能な切替部が設けられ、切替部は、検査装置によって個片の電極の品質が正常であると判断された場合には個片を吸着し、検査装置によって個片の電極の品質が異常であると判断された場合には個片を吸着せずに落下させてもよい。この場合、電極の品質が異常な個片を搬送経路から簡便に排出することができる。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、個片の位置ずれの発生を抑制しつつ搬送経路から空袋を排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る包装装置を適用して製造される電極を用いた蓄電装置の内部を示す断面図である。
【
図3】
図3は、セパレータ付き正極を模式的に示す図である。
【
図4】
図4は、本実施形態に係る包装装置の概略側面図である。
【
図5】
図5(a)は、搬送過程において前段側のヒータローラで溶着を行ったときの電極の溶着領域の様子を示す平面図である。
図5(b)は、搬送過程において後段側のヒータローラで溶着を行った後の電極の溶着領域の様子を示す平面図である。
【
図6】
図6は、検査装置の取り付け位置を説明するための図である。
【
図7】
図7は、第1コンベアの構成を示す側面図である。
【
図8】
図8は、第2コンベアの構成を示す側面図である。
【
図9】
図9は、包装装置の変形例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、図面において、同一または同等の要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
【0018】
図1は、一実施形態に係る包装装置により製造される電極を備えた蓄電装置1の内部を示す断面図である。
図2は、
図1のII-II線に沿った断面図である。
図1及び
図2において、蓄電装置1は、積層型の電極組立体を有するリチウムイオン二次電池である。
【0019】
蓄電装置1は、例えば略直方体形状のケース2と、このケース2内に収容された電極組立体3とを備えている。ケース2は、例えばアルミニウム等の金属により形成されている。ケース2の内部には、図示はしないが、例えば非水系(有機溶媒系)の電解液が注液されている。ケース2上には、正極端子4及び負極端子5が互いに離間して配置されている。正極端子4は、絶縁リング6を介してケース2に固定され、負極端子5は、絶縁リング7を介してケース2に固定されている。また、電極組立体3とケース2の内側の側面及び底面との間には絶縁フィルムが配置されており、絶縁フィルムによってケース2と電極組立体3との間が絶縁されている。
図1では便宜上、電極組立体3の下端とケース2の底面との間には僅かな隙間が設けられているが、実際には電極組立体3の下端が絶縁フィルムを介してケース2の内側の底面に接触している。
【0020】
電極組立体3は、複数の正極8と複数の負極9とが袋状のセパレータ10を介して交互に積層された構造を有している。正極8は、袋状のセパレータ10に包まれている。袋状のセパレータ10に包まれた状態の正極8は、セパレータ付き正極11として構成されている。従って、電極組立体3は、複数のセパレータ付き正極11と複数の負極9とが交互に積層された構造を有している。なお、電極組立体3の両端に位置する電極は、負極9である。
【0021】
図3は、セパレータ付き正極11を模式的に示す図である。
図1~
図3に示すように、正極8は、例えばアルミニウム箔からなる正極集電体である金属箔14と、金属箔14の両面に形成された正極活物質層15とを有している。金属箔14は、平面視矩形状の箔本体部14a(電極本体)と、箔本体部14aと一体化されたタブ14bとを有している。箔本体部14aは、下端部14x、下端部14xの反対側の上端部14y、及び、下端部14xと上端部14yとを互いに接続する一対の側端部14r,14pを含む。
【0022】
側端部14r,14p及びその延長線は、下端部14x及び上端部14y及びその延長線に交差する。タブ14bは、正極端子4の位置に隣接するように箔本体部14aの上端部14yから突出して、セパレータ10を突き抜けている。すなわち、正極8は、セパレータ10に覆われる薄板状の箔本体部14aと箔本体部14aから突出してセパレータ10から露出したタブ14bとを含む。タブ14bは、導電部材12を介して正極端子4に接続されている。なお、
図2では便宜上、タブ14bを省略している。
【0023】
正極活物質層15は、箔本体部14aの表裏両面に形成されている。正極活物質層15は、正極活物質とバインダとを含んで形成された多孔質の層である。正極活物質としては、例えば、複合酸化物、金属リチウム又は硫黄等が挙げられる。複合酸化物には、例えば、マンガン、ニッケル、コバルト及びアルミニウムの少なくとも1つと、リチウムとが含まれる。
【0024】
負極9は、例えば銅箔からなる負極集電体である金属箔16と、金属箔16の両面に形成された負極活物質層17とを有している。金属箔16は、平面視矩形状の箔本体部16aと、箔本体部16aと一体化されたタブ16bとを有している。タブ16bは、箔本体部16aの長手方向の一端部近傍の縁から突出している。タブ16bは、導電部材13を介して負極端子5に接続されている。なお、
図2では便宜上、タブ16bを省略している。
【0025】
負極活物質層17は、箔本体部16aの表裏両面に形成されている。負極活物質層17は、負極活物質とバインダとを含んで形成された多孔質の層である。負極活物質としては、例えば黒鉛、高配向性グラファイト、メソカーボンマイクロビーズ、ハードカーボン、ソフトカーボン等のカーボン、リチウム、ナトリウム等のアルカリ金属、金属化合物、SiOx(0.5≦x≦1.5)等の金属酸化物又はホウ素添加炭素等が挙げられる。
【0026】
セパレータ10は、一例として、正極8を内部に収容している。すなわち、正極8は、袋状のセパレータ10に包まれている。セパレータ10は、平面視矩形状を呈している。セパレータ10は、一対の長尺シート状のセパレータ部材を互いに溶着して袋状に形成される。具体的には、セパレータ10は、セパレータ部材を互いに溶着して形成される溶着領域W1、溶着領域W2、溶着領域W3、及び溶着領域W4によって外縁が規定される袋状である。なお、
図3においては、溶着領域W1~溶着領域W4にハッチングを付している。
【0027】
溶着領域W1は、箔本体部14aの側端部14rに対向すると共に側端部14rに沿って延びる領域である。溶着領域W3は、箔本体部14aの側端部14pに対向すると共に側端部14pに沿って延びる領域である。溶着領域W2は、箔本体部14aの下端部14xに対向すると共に下端部14xに沿って延びる領域である。溶着領域W4は、箔本体部14aの上端部14yに対向すると共に上端部14yに沿って延びる領域である。溶着領域W1~溶着領域W4は、矩形環状となるように互いに接続されている。互いに離間した複数(ここでは、2つ)の溶着領域W4間には、非溶着領域W5が介在されている。
【0028】
セパレータ10は、非溶着領域W5において開口している。セパレータ10においては、非溶着領域W5を介して、タブ14bが突出している。セパレータ10の材料としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂からなる多孔質フィルム、或いはポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、メチルセルロース等からなる織布又は不織布等が例示される。なお、セパレータ10内で正極8の周囲には、溶着領域W1~溶着領域W4との間に、製造上必要な隙間が設定されている。この隙間以上のずれが生じない範囲において、溶着領域W1~溶着領域W4が間欠的、例えばドット形状をなすように形成されてもよい。
【0029】
以上のように構成された蓄電装置1を製造する場合は、まず、帯状の金属箔に活物質層の前駆体が形成されたシート部材を製作する。次に、シート部材を所定の形状に切断し、正極8を形成した後、正極8のみをセパレータ10で包装することで、セパレータ付き正極11及び負極9を製作する。セパレータ付き正極11及び負極9を製作した後、セパレータ付き正極11と負極9とを交互に積層し、積層体を形成する。この積層体を加圧することでセパレータ付き正極11及び負極9を密着させた後、セパレータ付き正極11及び負極9をテープ等で固定することで電極組立体3を得る。そして、導電部材12を介してセパレータ付き正極11のタブ14bを正極端子4に接続すると共に、導電部材13を介して負極9のタブ16bを負極端子5に接続した後、電極組立体3をケース2内に収容する。
【0030】
次に、
図4~
図8を参照して、本発明の実施形態に係る包装装置20について説明する。
図4は、本実施形態に係る包装装置20の概略側面図である。
図5は、セパレータ部材18bを除いた時の溶着領域の様子を示す図である。
図5(a)は、後述する前段側のヒータローラ25で溶着を行ったときの様子を示している。
図5(b)は、後述する後段側のヒータローラ26で溶着を行った後の様子を示している。
図4に示す包装装置20は、搬送経路に配列された複数の電極(ここでは、正極8)をそれぞれセパレータ10で包装して、セパレータ付き電極(ここでは、セパレータ付き正極11)を製造するセパレータ付き電極の製造装置である。
【0031】
包装装置20は、セパレータ10の母材となる長尺シート状(帯状)のセパレータ部材18a及びセパレータ部材18bを互いに溶着する。ここでは、包装装置20は、セパレータ部材18a,18bの溶着により、正極8が収容される袋状のセパレータ10を形成する。包装装置20では、袋状のセパレータ10にシワ等が発生しない様に、セパレータ部材18a,18bに対し、所定の張力を与えている。包装装置20は、稼動時に、張力が変動する間欠駆動を避け、一定の速度で連続運転される。従って、仮に正極8が所定のタイミングで供給されない場合(欠品となる場合)があっても、欠品が連続しない場合には、包装装置20は停止させない。
【0032】
包装装置20は、前工程の設備から供給された正極8を搬送経路(ここでは、X軸に沿った経路)に沿って搬送しながら正極8にセパレータ10を設ける。前工程の設備は、例えば、電極母材(不図示)の切断により正極8を製造する電極製造装置(不図示)である。正極8は、搬送コンベア40により搬送されて包装装置20に供給される。搬送コンベア40は、例えば、サン付のベルトコンベアである。なお、本実施形態では、搬送コンベア40は、二列に配列された状態の正極8を包装装置20に供給する。ただし、正極8は、一列又は三列以上で供給されてもよい。
【0033】
包装装置20は、包装部19と、吸着コンベア(第1コンベア)33と、検査装置50としてのセンサ51及び撮像装置52と、吸着コンベア(第2コンベア)34と、を備えている。包装部19は、搬送経路に沿って搬送される複数の正極8のそれぞれをセパレータ10で覆うように包装することによって、正極8がセパレータ10で包装されたセパレータ付き正極11を形成する。
【0034】
包装部19は、供給リール21と、供給リール22と、搬送ローラ23と、ガイドローラ24A~24Dと、ヒータローラ25と、ヒータローラ26と、搬送ローラ27と、スリットカッター29と、切断装置31と、受取部32と、を有している。セパレータ部材18aは、供給リール21が回転されることにより原反ロールから繰り出される。供給リール21は、正極8の一方面8a側から、搬送経路に向けてセパレータ部材18aを供給する。セパレータ部材18bは、供給リール22が回転されることにより原反ロールから繰り出される。供給リール22は、正極8の一方面8aとは反対側の他方面8b側から、搬送経路に向けてセパレータ部材18bを供給する。
【0035】
搬送ローラ23は、搬送コンベア40の下流側に配置されている。搬送ローラ23は、搬送コンベア40で搬送された正極8を、搬送経路に沿って下流に搬送する。搬送ローラ23は、一対のニップローラ23a,23bを有している。ニップローラ23a,23bは、搬送経路(搬送面)に交差する方向(ここでは、Z軸方向)に沿って、正極8を挟んで互いに対向して配置されている。ニップローラ23a,23bは、それぞれ、円柱状であり、搬送経路に交差する方向(ここでは、Y軸方向)を回転軸として回転する。
図4に示す例では、ニップローラ23aが駆動源(不図示)によって回転する。
【0036】
ガイドローラ24Aは、供給リール21によって供給されたセパレータ部材18aを搬送経路に沿うようにガイドする。ガイドローラ24Aは、正極8の一方面8a側に配置されている。ガイドローラ24Aは、円柱状であり、搬送経路に交差する方向(ここでは、Y軸方向)を回転軸として回転する。ガイドローラ24Aにガイドされたセパレータ部材18aは、正極8の一方面8a側において、搬送経路に沿って搬送される。ここでは、正極8は、セパレータ部材18a上に載置されて一体的に搬送される。したがって、セパレータ部材18aの上面は、正極8の搬送面を形成する。
【0037】
ガイドローラ24Bは、供給リール22によって供給されたセパレータ部材18bが搬送経路に向かうようにガイドする。ガイドローラ24Bは、正極8の他方面8b側に配置されている。ガイドローラ24Bは、円柱状であり、搬送経路に交差する方向(ここでは、Y軸方向)を回転軸として回転する。
【0038】
ガイドローラ24Cは、搬送経路においてガイドローラ24Bよりも下流側に配置されている。ガイドローラ24Cは、ガイドローラ24Bを経由したセパレータ部材18bを搬送経路に沿うようにガイドする。ガイドローラ24Cは、正極8の他方面8b側に配置されている。ガイドローラ24Cは、円柱状であり、搬送経路に交差する方向(ここでは、Y軸方向)を回転軸として回転する。ガイドローラ24Cにガイドされたセパレータ部材18bは、正極8の他方面8b側において、搬送経路に沿って搬送される。
【0039】
セパレータ部材18bは、ガイドローラ24Cよりも下流側において、上述したように正極8の搬送面を提供するセパレータ部材18aに対して、上下方向に対向すると共に略平行な状態で搬送される。換言すれば、ガイドローラ24Cよりも下流側において、正極8は、セパレータ部材18aとセパレータ部材18bとに挟まれた状態とされる。
【0040】
ヒータローラ25は、搬送経路(搬送面)に交差する方向(ここでは、Z軸方向)に沿って、セパレータ部材18a,18bを挟んでガイドローラ24Cに対向して配置されている。ヒータローラ25は、正極8の一方面8a側(下側)であってセパレータ部材18aの下側に配置されている。ヒータローラ25は、円柱状であり、搬送経路に交差する方向(ここでは、Y軸方向)を回転軸として回転する。
【0041】
ヒータローラ25は、搬送経路に沿って搬送されているセパレータ部材18a,18bを、その幅方向に沿って互いに溶着する。そのために、ヒータローラ25は、一例として、その回転軸に沿った方向に延びる一対の凸部25sを有している。凸部25sは、凸条であってもよく、また、多数の突起の集合体であってもよい。一対の凸部25sは、ここでは、ヒータローラ25の径方向に沿って互いに180°反対側に形成されている。
【0042】
また、ヒータローラ25は、その内部にヒータを有し、その全体が加熱されている。ヒータローラ25は、ヒータにより熱せられた凸部25sの頂面がセパレータ部材18aに接触することにより、セパレータ部材18a,18bを加熱してセパレータ部材18a,18bを互いに溶着する。これにより、ヒータローラ25は、正極8同士の間に溶着領域W6を形成する(
図5参照)。溶着領域W6は、切断されることによって、上述した溶着領域W1及び溶着領域W3となる。
【0043】
ヒータローラ26及びガイドローラ(押当てローラ)24Dは、搬送経路においてヒータローラ25及びガイドローラ24Cよりも下流側に配置されている。ヒータローラ26及びガイドローラ24Dは、搬送経路(搬送面)に交差する方向(ここでは、Z軸方向)に沿って、セパレータ部材18a,18bを挟んで互いに対向して配置されている。ヒータローラ26は、正極8の一方面8a側(下側)に配置されている。ヒータローラ26は、セパレータ部材18aの下側に配置されている。
【0044】
ガイドローラ24Dは、正極8の他方面8b側(上側)に配置されている。ガイドローラ24Dは、セパレータ部材18bの上側に配置されている。ヒータローラ26及びガイドローラ24Dのそれぞれは、円柱状をなしており、搬送経路に交差する方向(ここでは、Y軸方向)を回転軸として回転する。なお、一例として、ヒータローラ26を下側に、ガイドローラ24Dを上側に配置しているが、この配置は上下逆でもよい。
【0045】
ヒータローラ26は、搬送経路に沿って搬送されているセパレータ部材18a,18bを、その長手方向に沿って互いに溶着する。一例として、ヒータローラ26は、搬送経路に沿って搬送されているセパレータ部材18a,18bを、その長手方向に延びる縁部に沿って互いに溶着する。ヒータローラ26は、その周方向に沿って延びる三つの凸部26sを有している。また、ヒータローラ26は、その内部にヒータを有している。凸部26sは、Y軸方向における両端部に形成され、中央位置に一つ形成される。
【0046】
三つの凸部26sのうちの中央位置のものは、ヒータローラ26の周方向の全体に亘って延び、円環状となっている。すなわち、凸部26sの始端と終端とは一致している。三つの凸部26sのうちの両端部のものは、ヒータローラ26の周方向の全体に亘っていない。すなわち、これらの凸部26sの始端と終端とは一致しておらず、それらの間には欠落部分が設けられている。ヒータにより熱せられた凸部26sのそれぞれの頂面がセパレータ部材18aに接触することにより、セパレータ部材18a,18bを加熱してセパレータ部材18a,18bを互いに溶着する。これにより、ヒータローラ26は、溶着領域W4及び溶着領域W7を形成する(
図5参照)。凸部26sの欠落部分においてはセパレータ部材18a,18bが互いに溶着されず、非溶着領域W5が形成される。非溶着領域W5からは、正極8のタブ14bが突出する。中央位置の溶着領域W7は、切断されることによって溶着領域W2となる。
【0047】
搬送ローラ27は、搬送経路においてヒータローラ26よりも下流側に配置されている。搬送ローラ27は、搬送経路に沿うようにガイドされたセパレータ部材18a,18bを搬送経路に沿って搬送する。搬送ローラ27は、一対のニップローラ27a,27bを有している。ニップローラ27a,27bは、搬送経路(搬送面)に交差する方向(ここでは、Z軸方向)に沿って、セパレータ部材18a,18bを挟んで互いに対向して配置されている。ニップローラ27a,27bは、それぞれ、円柱状であり、搬送経路に交差する方向(ここでは、Y軸方向)を回転軸として回転する。ニップローラ27aが駆動源(不図示)によって回転することにより、ニップローラ27a,27bは、セパレータ部材18a,18bを挟み込みながら搬送方向に搬送する。
【0048】
スリットカッター29は、搬送経路において搬送ローラ27よりも下流側に配置されている。スリットカッター29は、セパレータ部材の幅方向の中央に対応するように配置されている。スリットカッター29は、Y軸方向に隣り合う正極8間において、セパレータ部材18a,18bを長手方向に沿って切断する。スリットカッター29は、溶着領域W7を切断することによって、溶着領域W2を形成する。
【0049】
切断装置31は、搬送経路においてスリットカッター29よりも下流側に配置されている。切断装置31は、搬送方向に隣り合う正極8間において、セパレータ部材18a,18bを切断する。切断装置31は、電極同士の間である溶着領域W6を切断することによって、溶着領域W1,W3を形成する。切断装置31は、ローラ31a及びロータリカッタ31bを有している。ローラ31a及びロータリカッタ31bは、搬送経路(搬送面)に交差する方向(ここでは、Z軸方向)に沿って、セパレータ部材18a,18bを挟んで互いに対向して配置されている。ローラ31a及びロータリカッタ31bは、それぞれ、円柱状であり、搬送経路に交差する方向(ここでは、Y軸方向)を回転軸として回転する。
【0050】
ロータリカッタ31bは、セパレータ部材18a,18bを切断するための刃部31cを有する。溶着領域W6を切断するための刃部31cは、Y軸方向に沿って延び、ロータリカッタ31bの周方向に所定のピッチ(ここでは180°ピッチ)で設けられる。ローラ31aは刃部を有しておらず、周面でセパレータ部材18a,18bを刃部31cの反対側から支持する。ロータリカッタ31bは、セパレータ部材18a,18bを切断しながら、駆動源(不図示)によって回転する。これにより、正極8を含む、切断されたセパレータ部材18a,18b、すなわちセパレータ付き正極11は、搬送経路の下流に送り出される。以下、切断装置31によって下流に送り出されるセパレータ付き正極11を個片Kという場合がある。また、切断装置31によって下流に送り出される個片Kのうち、セパレータ10内に正極8が配置されない(すなわち、正極8を含まないセパレータ10のみによって形成される)個片Kを、空袋K1という場合がある。
【0051】
受取部32は、搬送経路において切断装置31よりも下流側に配置されている。受取部32は、切断装置31で切断される前のセパレータ部材18a,18bを受け取り、張力を加えた状態での切断装置31による切断を、可能とする。また、受取部32は、個片Kを下流側に送り出す。受取部32は、ニップローラ32a,32bを有している。ニップローラ32a,32bは、搬送経路(搬送面)に交差する方向(ここでは、Z軸方向)に沿って、セパレータ10を挟んで互いに対向して配置されている。ニップローラ32a,32bは、それぞれ、円柱状であり、搬送経路に交差する方向(ここでは、Y軸方向)を回転軸として回転する。ニップローラ32a,32bは、セパレータ部材18a,18bを挟み込みながら、駆動源(不図示)によって回転することにより、セパレータ部材18a,18b(及びセパレータ10)を引き込むように搬送方向に駆動(搬送)する。
【0052】
なお、ここでは、上述したニップローラ23b,ガイドローラ24A~24D、ニップローラ27b、ニップローラ32bは、セパレータ部材18a,18bが搬送されるのに伴って回転する従動ローラである。ただし、ニップローラ23b、ガイドローラ24A~24D、ニップローラ27b、ニップローラ32bは、独立した駆動源を有する駆動ローラであってもよい。
【0053】
吸着コンベア33は、搬送経路において受取部32よりも下流に配置されている。吸着コンベア33は、受取部32から送り出された個片Kを上面33d側で吸着させながら搬送経路の下流に搬送する。吸着コンベア33は、ベルト33cの循環経路を定めるギヤ(歯付きローラ)33a,33bと、ギヤ33a,33b間に架け渡されるベルト33cと、を含む。吸着コンベア33は、搬送経路をベルト33cの循環経路の一部としている。
【0054】
ベルト33cの裏面(内側)には、歯が形成されている。この歯がギヤ33a,33bに噛み合うことで、ベルト33cは、ギヤ33a,33bに対してずれることなく循環駆動する。なお、ギヤ33a,33bは、各々2個一対のギヤよりなり、ベルト33cの幅方向両端でベルト33cとギヤ33a,33bとが噛み合っている。ベルト33cには不図示の吸気孔が複数形成されている。吸着コンベア33では、ベルト33cの回転移動に伴って吸気孔が上面33d側に位置したときに、負圧ダクトの作用にて、吸気孔から外気が吸気される。吸気孔から外気を吸気した状態でギヤ33a,33bが動作することによって、吸着コンベア33は、個片Kを上面33d側で吸着しながら搬送経路の下流に搬送することができる。
【0055】
センサ51は、吸着コンベア33で搬送される個片Kが空袋K1であるか否かを検出する。センサ51は、例えば光沢センサであり、個片Kに照射した光の反射光を受光し、受光した反射光に基づいて個片Kの光沢度を計測する。金属箔が露出している正極8のタブ14bは、吸着コンベア33の上面33d、及び、セパレータ部材18a,18bとは異なる光沢度を有する。そこで、センサ51は、この光沢度を計測することによって、個片Kにおけるセパレータ10から露出したタブ14bの有無を検出する。
【0056】
図6は、センサ51の取り付け位置を説明するための図である。
図6は、吸着コンベア33を上方から見た平面図であり、吸着コンベア33で搬送される個片Kとセンサ51の配置との関係を示す。なお、
図6においては、
図3と同様に溶着領域W1~溶着領域W4にハッチングを付している。
図6に示すように、センサ51は、搬送経路におけるタブ14bの通過経路Lの上方であって、吸着コンベア33の上面33dに対面する位置に配置されている。
図6に示す例では、Y軸方向に並ぶ一対のセパレータ付き正極11のそれぞれに対応するように、一対のセンサ51が配置されている。センサ51は、上面33dにおける通過経路Lを含む範囲の光沢度を計測する。
【0057】
センサ51は、例えば、制御部60に電気的に接続されており、制御部60に対して計測値を出力する。制御部60は、CPU、RAM、ROM、及び入出力インターフェース等を含んで構成されている。制御部60は、センサ51から入力された計測値に基づいて、タブ14bの有無を判定し、これにより、吸着コンベア33で搬送される個片Kが空袋K1であるか否かを判定する。例えば、制御部60は、センサ51から入力される計測値と所定の閾値とを比較することによって、タブ14bが有るか無いかを判定する。制御部60は、タブ14bが有ると判定した場合は、個片Kが空袋K1でないと判定する。一方、制御部60は、タブ14bが無いと判定した場合は、個片Kが空袋K1であると判定する。
【0058】
撮像装置52は、例えば、センサ51よりも下流側の位置において、吸着コンベア33の上面33dに対面するように配置されている、例えばCCDカメラである。撮像装置52は、吸着コンベア33で搬送される個片Kの品質を検査する。撮像装置52は、個片Kに含まれる正極8の品質が正常であるか否かを検査する。撮像装置52は、例えば、吸着コンベア33の上面33dに載置された個片Kを上方から撮像する。撮像装置52は、制御部60に電気的に接続されており、撮像した画像を制御部60に出力する。
【0059】
制御部60は、撮像装置52から入力される画像に基づいて個片Kの品質が正常であるか否かを判断する。例えば、制御部60は、撮像装置53から入力される画像に基づいて、個片Kの表面への異物の付着の有無、セパレータ10と正極8との位置や姿勢のずれ、セパレータ表面の傷又は穴、溶着幅等に不良があるか否かを判断する。制御部60は、個片Kの正極8に不良が無いと判断した場合は、個片Kの正極8の品質が正常であると判断する。一方、個片Kの正極8に不良が有ると判断した場合は、個片Kの正極8の品質が異常であると判断する。
【0060】
吸着コンベア34は、搬送経路において吸着コンベア34の下流に配置されている。吸着コンベア34は、吸着コンベア33から送り出された個片Kを下面34d側で吸着させながら搬送経路の下流に搬送する。吸着コンベア34は、ベルト34cの循環経路を定めるギヤ(歯付きローラ)34a,34bと、ギヤ34a,34b間に架け渡されるベルト34cと、を含む。吸着コンベア34は、搬送経路をベルト34cの循環経路の一部としている。
【0061】
ベルト34cの裏面(内側)には、歯が形成されている。この歯がギヤ34a,34bに噛み合うことで、ベルト34cは、ギヤ34a,34bに対してずれることなく循環駆動する。ベルト34cには不図示の吸気孔が複数形成されている。吸着コンベア34では、ベルト34cの回転移動に伴って吸気孔が下面34d側に位置したときに、負圧ダクトの作用にて、吸気孔から外気が吸気される。吸気孔から外気を吸気した状態でギヤ34a,34bが動作することによって、吸着コンベア34は、個片Kを下面34d側で吸着しながら搬送経路の下流に搬送することができる。
【0062】
ここで、
図7及び
図8を参照して吸着コンベア33,34の構成についてより詳細に説明する。
図7は、吸着コンベア33の構成を示す側面図である。
図7に示すように、吸着コンベア33は、上面33dを含む上側部分P1と、下面33eを含む下側部分P2と、吸着コンベア33の下流端部において上面33d側から下面33e側へ転回する転回部分P3とを有している。上側部分P1には、個片Kを吸着する吸着部41が設けられている。吸着部41では、上面33dの裏側に設けられる吸引装置が上面33dの複数の吸気孔から空気を吸引することで、負圧によって上面33dに個片Kへの吸着力が発生する。吸着部41では、個片Kが上面33dに吸着した状態で搬送経路の下流側に搬送される。
【0063】
下側部分P2には、個片Kを吸着しない非吸着部42が設けられている。非吸着部42では、例えば、下面33eの裏側に吸引装置が設けられていないことにより、個片Kへの吸着力が発生しない。なお、非吸着部42を構成するための方法は特に限定されない。例えば、下面33eの裏側に吸引装置が設けられる場合であっても、当該吸引装置を作動させないことにより、或いは下面33e側に吸気孔が形成されないようにすることにより、下面33e側における個片Kへの吸着力が発生しないようにしてもよい。或いは、下面33eの裏側に吸引装置が設けられ、かつ下面33e側に吸気孔が形成された場合であっても、当該吸気孔を塞ぐことにより、当該吸引装置による吸引を遮断して個片Kへの吸着力が発生しないようにしてもよい。
【0064】
転回部分P3は、上側部分P1及び下側部分P2の下流端から更に下流側に向かって突出する部分である。具体的には、転回部分P3は、吸着コンベア33の下流側のギヤ33bの回転中心よりも下流側の部分であり、
図7の側面視において下流側に向かって凸となる半円形状をなしている。転回部分P3の外周面は、吸着コンベア33の下流側において上面33dと下面33eとを接続する接続面33fとなっている。
【0065】
転回部分P3には、個片Kの吸着及び非吸着を切り替え可能な切替部43(排出部)が設けられている。切替部43は、
図7中のハッチングが付された部分に該当する。
図7に示す例では、切替部43は、左右一対のギヤよりなるギヤ33bの間に配置される小ダクトと、小ダクトと負圧源とを接続する負圧管路と、負圧管路を開閉する切替弁とよりなる。また、回転方向においては、転回部分P3の全体に切替部43が設けられている。切替部43は、吸着コンベア33で搬送される個片Kが空袋K1であるか否かに応じて、個片Kの吸着及び非吸着を切り替える。個片Kが空袋K1であるか否かは、上述したセンサ51によって検出される。
【0066】
切替部43は、吸着コンベア33で搬送される個片Kのうち、センサ51によって空袋K1であることが検出された個片K(空袋K1)を吸着する。切替部43による空袋K1の吸着は、転回部分P3の接続面33fの裏側に設けられる吸引装置が、接続面33fに形成される複数の吸気孔から空気を吸引することによって行われる。これにより、負圧によって接続面33fで吸着力が発生し、空袋K1は接続面33fに吸着した状態で上面33d側から下面33e側に搬送されて搬送経路から排出される。
【0067】
ここで、空袋K1には正極8が含まれていないので、空袋K1の形状は変形しやすい。したがって、転回部分P3で搬送される空袋K1は、転回部分P3の形状に追従しながら切替部43に吸着し、転回部分P3の途中で落下することなく下面33e側に搬送される。空袋K1への切替部43の吸着力を、空袋K1への吸着コンベア34の吸着力よりも強く(大きく)すれば、空袋K1が吸着コンベア34に引き寄せられることなく、より確実に空袋K1を搬送経路から排出できる。なお、空袋K1への切替部43の吸着力は、空袋K1への吸着コンベア34の吸着力と同一であってもよい。この場合であっても、空袋K1が上面33dに吸着されて密着する一方、空袋K1と下面34dとの間の距離が空いているため、空袋K1は、吸着コンベア34よりも切替部43へより強く引き寄せられて搬送経路から排出される。
【0068】
転回部分P3によって空袋K1が搬送される下側部分P2には、エア噴出部44が配置されている。エア噴出部44は、転回部分P3から下側部分P2に搬送された空袋K1に対してエアを吹きつけることにより、空袋K1を吸着コンベア33の下面33eから落下させる。エア噴出部44は、制御部60と通信可能に接続されている。エア噴出部44は、制御部60からの制御信号を受けて、空袋K1に対するエアの吹きつけ動作を実行又は停止する。制御部60は、センサ51によって個片Kが空袋K1であることが検出された場合に、空袋K1へのエアの吹きつけ動作を実行するようにエア噴出部44を制御する。エア噴出部44によって空気が吹き付けられた空袋K1は、吸着コンベア33の下面33eから落下し、吸着コンベア33の下方に設けられる廃棄用の容器71内に回収される。なお、エア噴出部44は下側部分P2に配置されなくてもよい。この場合であっても、下側部分P2では空袋K1は下面33eに吸着されないので、空袋K1は下面33eから落下して容器71内に回収される。
【0069】
一方、切替部43は、吸着コンベア33で搬送される個片Kのうち、センサ51によって空袋K1でないことが検出された個片Kを吸着しない。この場合、接続面33fの裏側に設けられる吸引装置の作動を停止するか、或いは、接続面33f側に形成される吸気孔を塞げばよい。こうすると、接続面33fでの吸着力が発生しないので、空袋K1でない個片Kを接続面33fで吸着せずに吸着コンベア34に搬送することができる。以上のように、転回部分P3に切替部43が設けられることによって、空袋K1を搬送経路から排出する一方、空袋K1でない個片Kを搬送経路の下流に送り出すことができる。
【0070】
なお、切替部43が、センサ51によって空袋K1でないことが検出された個片Kを吸着した場合であっても、当該個片Kを搬送経路の下流に送り出すことができる。例えば、空袋K1でない個片Kに対する切替部43の吸着力を、当該個片Kに対する吸着コンベア34の吸着力よりも弱く(小さく)すれば、当該個片Kは、切替部43に引き寄せられずに吸着コンベア34に受け渡すことができる。また、このように切替部43が当該個片Kを吸着しても、空袋K1でない個片Kは正極8の剛性によって空袋K1よりも変形しにくく、当該個片Kは転回部分P3の形状に追従しないので、下面33e側に搬送されにくい。したがって、空袋K1でない個片Kを切替部43が吸着する場合であっても、当該個片Kを下面33e側に排出することなく搬送経路の下流に送り出すことができる。
【0071】
切替部43による個片Kの吸着及び非吸着の切り替えは、例えば、制御部60によって行われる。切替部43は、例えば、制御部60と通信可能に接続されている。センサ51によって個片Kが空袋K1であることが検出された場合、制御部60は、空袋K1を吸着するように切替部43を制御する。一方、センサ51によって個片Kが空袋K1でないことが検出された場合、制御部60は、個片Kを吸着しないように切替部43を制御する。或いは、制御部60は、空袋K1でないことが検出された個片Kを、吸着コンベア34よりも弱い吸着力で吸着するように切替部43を制御してもよい。
【0072】
図8は、吸着コンベア34の構成を示す側面図である。吸着コンベア34には、センサ51によって空袋K1でないことが検出された個片Kが、吸着コンベア33から受け渡される。吸着コンベア34は、この個片Kを下面34d側で吸着しながら搬送経路の下流側に搬送する。吸着コンベア34は、下面34dを含む下側部分P4を有している。下側部分P4には、個片Kを吸着する一対の吸着部45と、搬送方向において一対の吸着部45に挟まれるように配置される切替部46とが設けられている。吸着部45は、吸着部41と同様の構成を有している。すなわち、吸着部45は、下面34dの裏側に設けられる吸引装置が吸気孔を介して個片Kを吸引することによって、個片Kを下面34d側で吸着する。上流側の吸着部45は、吸着コンベア33の切替部43から個片Kを受け取り、個片Kを下面34d側で吸着しながら切替部46に搬送する。切替部46が空袋K1でない個片Kを吸着する場合、上述したように、個片Kへの吸着部45の吸着力を、個片Kへの切替部46の吸着力よりも強くしてもよい。
【0073】
切替部46は、吸着コンベア33の切替部43と同様の構成を有しており、個片Kの吸着及び非吸着の切り替え可能に構成されている。切替部46による個片Kの吸着及び非吸着の切り替えは、切替部43と同様、制御部60によって制御される。切替部46は、吸着コンベア34で搬送される個片K(すなわち、空袋K1でない個片K)に含まれる正極8の品質が正常であるか否かに応じて、個片Kの吸着及び非吸着を切り替える。個片Kの正極8の品質が正常であるか否かは、上述した撮像装置52によって検査される。切替部46は、吸着コンベア33で搬送される個片Kのうち、撮像装置52によって正極8の品質が異常であると判断された個片K2を吸着しない。したがって、切替部46に搬送された個片K2は、切替部46に吸着せずに吸着コンベア34の下面34dから落下し、吸着コンベア34の下方に設けられる廃棄用の容器72内に回収される。
【0074】
一方、切替部46は、吸着コンベア33で搬送される個片Kのうち、撮像装置52によって正極8の品質が正常であると判断された個片K3を吸着する。したがって、切替部46に搬送された個片K3は、切替部46に吸着しながら、下流側の吸着部45に搬送する。下流側の吸着部45に搬送された個片K3は、当該吸着部45に吸着しながら、搬送経路の更に下流に送り出される。以上のように、吸着コンベア34の下側部分P4に切替部46が設けられることによって、正極8の品質が異常な個片K2を搬送経路から排出する一方、正極8の品質が正常な個片K3を搬送経路の下流に送り出すことができる。
【0075】
以上、説明した包装装置20では、吸着コンベア33の転回部分P3には、空袋K1を吸着コンベア33の下面33e側に排出する切替部43が設けられている。このように吸着コンベア33の転回部分P3で空袋K1を搬送経路から排出する構成とすれば、吸着コンベア33と吸着コンベア34との受渡部分にエアブローのような排出機構を設けて空袋K1を搬送経路から排出する場合と比べて、吸着コンベア33と吸着コンベア34との間隔の拡大を抑制できる。これにより、吸着コンベア33と吸着コンベア34との間で個片Kを受け渡す際における個片Kの位置ずれの発生を抑制できる。したがって、包装装置20によれば、個片Kの位置ずれの発生を抑制しつつ搬送経路から空袋K1を排出することができる。その結果、搬送経路の下流において個片Kの位置を補正する工程が必要になる事態を抑制できるので、搬送工程の煩雑化を抑制できる。
【0076】
本実施形態に係る包装装置20では、切替部43は、センサ51によって個片Kが空袋K1であることが検出された場合に、空袋K1を吸着した状態で下面33e側に排出する。切替部43が空袋K1を吸着することで、空袋K1をより確実に抽出して下面33e側に排出することができる。
【0077】
本実施形態に係る包装装置20では、切替部43は、センサ51によって個片Kが空袋K1でないことが検出された場合に、個片Kを吸着せずに個片Kを吸着コンベア34に受け渡す。これにより、空袋K1を搬送経路から排出する一方、空袋K1でない個片Kを吸着コンベア33から吸着コンベア34により確実に受け渡すことが可能となる。
【0078】
本実施形態に係る包装装置20では、切替部43は、センサ51によって個片Kが空袋K1でないことが検出された場合に、吸着コンベア34よりも弱い吸着力で個片Kを吸着した状態で個片Kを吸着コンベア34に受け渡してもよい。この場合、空袋K1を搬送経路から排出する一方、空袋K1でない個片Kを吸着コンベア33から吸着コンベア34へより確実に受け渡すことが可能となる。
【0079】
本実施形態に係る包装装置20では、センサ51は、タブ14bの有無を検出することによって、個片Kが空袋K1であるか否かを検出する。このようにセンサ51によってタブ14bの有無を検出することで、個片Kが空袋K1であるか否かを容易に検出できる。
【0080】
本実施形態に係る包装装置20では、吸着コンベア33の下側部分P2に、下面33e側に搬送された空袋K1にエアを吹き付けて落下させるエア噴出部44が設けられている。空袋K1に対する切替部43の吸着を解除しても、例えばセパレータに作用する静電気によって、吸着コンベア33の下面33e側に空袋K1が張り付いてしまうことが考えられる。したがって、吸着コンベア33の下側部分P2にエア噴出部44を設けることで、吸着コンベア33から空袋K1を簡便に回収できる。
【0081】
本実施形態に係る包装装置20では、吸着コンベア34の下側部分P4に、個片Kの吸着及び非吸着を切り替え可能な切替部46が設けられ、切替部46は、撮像装置52によって正極8の品質が正常であると判断された場合には個片K3を吸着し、撮像装置52によって正極8の品質が異常であると判断された場合には個片K2を吸着せずに落下させる。これにより、正極8の品質が異常な個片K2を搬送経路から簡便に排出することができる。
【0082】
以上、図面を参照しながら包装装置の一実施形態について詳細に説明したが、本発明に係る包装装置は上記実施形態に限定されるものではない。
【0083】
図9は、包装装置の変形例を示す側面図である。
図9に示す包装装置20Aでは、上記実施形態とは異なり、吸着コンベア34の下側部分P4に切替部46が設けられておらず、吸着部45のみが設けられている。包装装置20Aでは、吸着コンベア33の切替部43が、上記実施形態における吸着コンベア34の切替部46の機能を兼ねている。したがって、包装装置20Aでは、切替部43は、吸着コンベア33で搬送される個片Kのうち、空袋K1を搬送経路から排出すると共に、正極8の品質が異常な個片K2を搬送経路から排出する。そして、切替部は、正極8の品質が正常な個片K3を搬送経路の下流に送り出す。
【0084】
切替部43は、上記実施形態と同様、センサ51によって検出された空袋K1を吸着することによって、空袋K1を搬送経路から排出する。切替部43によって下面33e側に搬送された空袋K1は、下側部分P2に設けられたエア噴出部44によって吸着コンベア33の下方の容器71に回収される。更に、切替部43は、撮像装置52によって正極8の品質が異常であると判断された個片K2を吸着することによって、個片K2を搬送経路から排出する。この場合、切替部43は、個片K2を吸着しながら転回部分P3で上面33d側から下面33e側に向かって搬送する。このとき、空袋K1でない個片K2は、個片K2に含まれる正極8の剛性によって転回部分P3の形状に追従しない。したがって、転回部分P3で搬送される個片K2は、下面33eに搬送される前に、転回部分P3の途中で落下する。切替部43から落下した個片K2は、吸着コンベア33の下方であって容器71よりも下流に設けられる容器72に回収される。
【0085】
つまり、切替部43は、吸着コンベア33で搬送される個片Kのうちの空袋K1及び個片K2を共に吸着することによって、空袋K1及び個片K2を搬送経路から排出する。また、切替部43が空袋K1及び個片K2を共に吸着しても、空袋K1及び個片K2の剛性の違いから、空袋K1及び個片K2が排出される位置(落下する位置)を互いに異ならせることができる。これにより、空袋K1及び個片K2を別々の容器71及び72でそれぞれ回収することができる。
【0086】
ここで、切替部43による空袋K1及び個片K2の吸着力を、吸着コンベア34Aの吸着部45による空袋K1及び個片K2の吸着力よりも強くすれば、空袋K1及び個片K2が吸着部45に引き寄せられることなく、より確実に空袋K1及び個片K2を搬送経路から排出できる。なお、切替部43による個片Kの吸着力は、吸着部45による空袋K1及び個片K2の吸着力と同一であってもよい。この場合であっても、空袋K1及び個片K2が上面33dに吸着されて密着する一方、空袋K1及び個片K2と下面34dとの間の距離が空いているため、空袋K1及び個片K2は、吸着部45よりも切替部43へより強く引き寄せられて搬送経路から排出される。
【0087】
また、切替部43は、撮像装置52によって正極8の品質が正常であると判断された個片K3を吸着しないことによって、個片K3を搬送経路から排出せずに吸着コンベア34Aの吸着部45に受け渡す。切替部43が個片K3を吸着しなければ、切替部43から吸着部45に引き寄せられやすくなるので、切替部43から吸着コンベア34Aへの個片K3の受け渡しをより確実に行うことができる。吸着部45に受け渡された個片K3は、下面34d側で吸着されながら搬送経路の下流に送り出される。なお、切替部43が個片K3を吸着した場合であっても、個片K3に対する切替部43の吸着力を個片K3に対する吸着部45の吸着力よりも弱くすることで、個片K3を搬送経路の下流に送り出すことができる。
【0088】
本変形例に係る包装装置20Aによれば、上記実施形態と同様の効果を奏する。また、包装装置20Aでは、吸着コンベア33の切替部43が、上記実施形態における吸着コンベア34の切替部46の機能を兼ねている。これにより、個片K2を搬送経路から排出するために吸着コンベア34Aに切替部46を設ける必要が無くなるので、吸着コンベア34Aの構成が簡易となる。よって、包装装置20Aの構成の簡易化が図られる。
【0089】
本開示は、上述した実施形態及び変形例に限られず、他に様々な変形が可能である。例えば、吸着コンベア33の切替部43は、必ずしも転回部分P3の全体に設けられている必要はない。切替部43は、空袋K1を下面33e側に排出できれば、転回部分P3の一部に設けられていてもよいし、転回部分P3の以外の部分にも設けられていてもよい。例えば、切替部43は、転回部分P3から上側部分P1にわたって設けられてもよいし、転回部分P3から下側部分P2にわたって設けられてもよい。例えば、切替部43が転回部分P3から下側部分P2にわたって設けられる場合、空袋K1を落下させる位置において、切替部43による空袋K1の吸着を解除することによって、吸着コンベア33の下面33eから空袋K1を落下させて容器71で回収することができる。
【0090】
また、吸着コンベア34に設けられる切替部46は、一対の吸着部45の間に挟まれる位置に設けられていなくてもよい。例えば、切替部46は、上流側の吸着部45に対応する位置に設けられていてもよいし、下流側の吸着部45に対応する位置に設けられていてもよい。また、前述の実施形態では、切替部46の非吸着は、単に吸着力が作用しない状態であったが、前述の構成に代え、非吸着時に排気を行い、個片Kを積極的に分離させる構成としてもよい。
【0091】
また、センサ51は、個片Kが空袋K1であるか否かの検出を、タブ14bの有無を検出する方法以外の方法で行ってもよい。例えば、センサ51に代え、撮像装置(CCDカメラ)によって個片Kを撮像し、撮像した画像を処理することによって、個片Kが空袋K1であるか否かを検出してもよい。また、検査装置50は、一台の撮像装置のみよりなり、一台の撮像装置にて、タブ14bの有無の検査と、個片Kの品質の検査と、を行ってもよい。また、検査装置50では、センサ51と撮像装置52との搬送方向における上流側又は下流側の順序は、逆であってもよい。
【符号の説明】
【0092】
8…正極(電極)、10…セパレータ、14b,16b…タブ、19…包装部、20,20A…包装装置、33…吸着コンベア(第1コンベア)、34,34A…吸着コンベア(第2コンベア)、43…切替部(排出部)、44…エア噴出部、46…切替部、50…検査装置、51…センサ、52…撮像装置、K,K2,K3…個片、K1…空袋、P3…転回部分。