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特許7343187IP(Internet Protocol)電話機,及びIP-PBX(Private Branch eXchange)システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-04
(45)【発行日】2023-09-12
(54)【発明の名称】IP(Internet Protocol)電話機,及びIP-PBX(Private Branch eXchange)システム
(51)【国際特許分類】
   H04M 1/00 20060101AFI20230905BHJP
   H04M 3/00 20060101ALI20230905BHJP
   H04Q 3/58 20060101ALI20230905BHJP
【FI】
H04M1/00 R
H04M3/00 E
H04M3/00 B
H04Q3/58 101
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020182673
(22)【出願日】2020-10-30
(65)【公開番号】P2022072955
(43)【公開日】2022-05-17
【審査請求日】2022-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】吉田 由紀子
【審査官】山岸 登
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-093321(JP,A)
【文献】特開2009-089001(JP,A)
【文献】特開2005-006121(JP,A)
【文献】特開2008-005076(JP,A)
【文献】特開平10-271243(JP,A)
【文献】特開2007-266737(JP,A)
【文献】特開2003-078633(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0204597(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M1/00
1/24-3/00
3/16-3/20
3/38-3/58
7/00-7/16
11/00-11/10
99/00
H04Q3/58-3/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インターネットプロトコル上で音声通信を行い,IP-PBXからヘルスチェック信号を受信する通信部と,
ヘルスチェック信号で受信したプログラム情報を記憶するヘルスチェック部と,を備え,
呼処理中に,レジストレーションしているIP-PBXと接続ができない場合,前記通信部は,前記ヘルスチェック部に記憶されたプログラム情報を用いて呼処理を継続するIP電話機。
【請求項2】
前記ヘルスチェック部は,
IP-PBXとヘルスチェックを行う状態監視部と,
ヘルスチェックで受信したプログラム情報を保持するプログラム情報保持部と,
を備える請求項1に記載のIP電話機。
【請求項3】
前記プログラム情報は,呼処理情報,及び呼処理に関するメモリ情報である,請求項1または2に記載のIP電話機。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のIP電話機と,
P-PBXと,
を備え
前記IP-PBXは,前記IP電話機から切り替えに関する情報を受信した場合,呼処理に関する情報を更新する,IP-PBXシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はIP電話機,IP-PBX及びIP-PBXシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
音声通話システムでは,近年,インターネット等を用いたベストエフォート型の音声通信網が主流になってきている。このような音声通信網は,IP電話システムと称され,構内電話網等のローカルネットワークにおいても,IP-PBXシステムとして構築されるようになってきている。
【0003】
一般に,IP-PBXに収容されるIP電話機は,IP電話機同士の通話中にIP-PBXが故障等により電断断,あるいは,IP電話機とIP-PBXとTCP/IP接続が不可になることがある。このような場合でも,通話中のIP電話機同士がTCP/IPで接続されていれば,P2P接続で通話をしているため,通話は維持される。
【0004】
しかしながら,通話が確立するまでの間に,例えば,発呼者がダイヤル中にIP電話機とレジストレーションしているIP-PBXのネットワークが切断された場合や,当該IP-PBXの電源が落ちることがある。これらの場合は,IP-PBXは,呼状態を継続することができず,IP電話機は規制音を聴取する。
【0005】
たとえば,IP電話機AからIP電話機Bへ通話をするために,IP電話機Aが,IP電話機Bのダイヤル番号を押下し,IP-PBXで,発信処理中に,ネットワーク断やIP-PBXが故障等により電源断となることがある。この場合,IP-PBXにて行っていた発信処理を続けることができず,IP電話機Aには,規制音が流れる。
【0006】
特許文献1では,発信側IP電話端末Aが,着信側IP電話端末Bとの通話中に,SIPサーバを介して着信側IP電話端末Bとヘルスチェック行うことが記載されている。そして,特許文献1には,SIPサーバが何らかの要因により,通話を継続することができない場合に,発信側IP電話端末Aが,SIP(Session Initiation Protocol)サーバを介さずに,直接,着信側IP電話端末Bにヘルスチェックを送信し,通話を継続すべきかの判断を行うことが記載されている。
【0007】
言い換えると,特許文献1では,通話が確立されていることが前提である。たとえば,発信側IP電話端末Aが,着信側IP電話端末Bに電話をかけようと思いたち,発信側IP電話端末Aがダイヤルする。ダイヤル番号を受けたSIPサーバが何らかの処理をしている最中に,当該SIPサーバの電源断等により,発信側IP電話端末AとSIPサーバとの接続不可になった場合の考慮がなされていない。この場合,おそらく,発信側IP電話端末Aは,発信不可状態にとなり,規制音を聴取し,通話を確立することができないと推測される。
【0008】
また,特許文献2も,通話中が前提となっており,通話が確立されまでの間の考慮がされていない。
【0009】
例えば,ダイヤル番号を受けた交換機が何らかの処理をしている最中に,当該交換機の電源断等により,IP電話端末Aと交換機が接続不可になった場合の考慮がなされていない。この場合も,おそらく,発信側IP電話端末Aは,発信不可となり,規制音を聴取し,通話を確立することができないと推測される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2009-89001号公報
【文献】特開2019-036813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
このように,IP-PBXが通話を確立するための呼処理中に,IP電話機とIP-PBXが接続不可になった場合,IP電話機とIP-PBXは接続できない為,IP電話機は,規制音を聴取し,救済できないという課題があった。
【0012】
本発明は,呼処理を行っている最中に,通信相手とIP電話機の接続ができなくなった場合に,呼処理を継続することができ,救済できるIP電話機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
一実施形態のIP電話機は,インターネットプロトコル上で音声通信を行い,IP-PBXからヘルスチェック信号を受信する通信部と,ヘルスチェック信号で受信したプログラム情報を記憶するヘルスチェック部と,を備え,呼処理中に,レジストレーションしているIP-PBXと接続ができない場合,前記通信部は,前記ヘルスチェック部に記憶されたプログラム情報を用いて呼処理を継続するようにした。
【0014】
一実施形態のIP-PBXは,上述したIP電話機とIP通信を行う通信部と,呼処理を行う呼処理情報受信部と,を備え,前記通信部が切り替えに関する情報を受信した場合,呼処理情報受信部は呼処理に関する情報を更新するようにした。
【0015】
一実施形態のIP-PBXシステムは,上述したIP電話機と上述したIP-PBXとを備える。


【発明の効果】
【0016】
本発明のIP電話機によれば,呼処理を行っている最中に,通信相手とIP電話機の接続ができなくなった場合に,呼処理を継続することができ,救済できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施の形態1にかかるIP電話機の一例を示すブロック図である。
図2】実施の形態2にかかるIP電話機の一例を示すブロック図である。
図3】実施の形態1にかかるIP電話機の動作の一例を示すフローチャートである。
図4】IP-PBXとIP電話機がヘルスチェックで送受信する信号の内容(呼処理情報)の一例を示す図である。
図5】実施の形態1にかかるIP-PBXの一例を示すブロック図である。
図6】実施の形態1にかかる,IP-PBXの動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(実施の形態1)
以下,図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は,実施の形態1にかかるIP電話機の一例を示すブロック図である。図1において,IP電話機1は,通信部2と,ヘルスチェック部3とを備える。
【0019】
通信部2は,インターネットプロトコル上で音声通信を行い,IP-PBXからヘルスチェック信号を受信する。呼処理中に,レジストレーションしているIP-PBXと接続ができない場合,通信部2は,ヘルスチェック部3に記憶された呼処理情報,呼処理に関するメモリ情報を用いて呼処理を継続する。
【0020】
ヘルスチェック部3は,ヘルスチェック信号で受信したプログラム情報を記憶する。例えば,このプログラム情報は,呼処理情報,呼処理に関するメモリ情報である。
【0021】
このように実施の形態1のIP電話機によれば,呼処理を行っている最中に,通信相手とIP電話機の接続ができなくなった場合に,呼処理を継続することができ,救済できる。
【0022】
(実施の形態2)
図2は,実施の形態2にかかるIP電話機の一例を示すブロック図である。図2において,IP電話機10は,ヘルスチェック部11と,接続PBX一覧部12と,レジストレーション部13と,接続PBX部14と,通信部15とを備える。
【0023】
ヘルスチェック部11は,状態監視部112と,プログラム情報保持部113を備える。
状態監視部112は,当該IP-PBXとヘルスチェックを行う。
プログラム情報保持部113は,ヘルスチェックで受信したプログラム情報を保持する。
【0024】
接続PBX一覧部12は,IP電話機が接続可能なIP-PBXの一覧である。通常は,人間が手動で,1st接続先PBX情報121と,2nd接続先PBX情報122を接続PBX一覧部12に登録する。
【0025】
レジストレーション部13は,IP電話機がIP-PBXにレジストレーションを行う。
接続PBX部14は,IP電話機がレジストレーション中のIP-PBXのIPアドレス情報を保持する。
通信部15は,IP-PBXと通信を行う通信回路である。
【0026】
次にIP電話機10の動作について説明する。図3は,実施の形態1にかかるIP電話機の動作の一例を示すフローチャートである。
【0027】
まずステップS151において,IP電話機が起動すると,接続PBX一覧部12から,1st接続先PBX情報121が読み出される。そして,接続PBX部14にその情報が書き込まれる。そしてステップS152に進む。
【0028】
次に,ステップS152において,レジストレーション部13により,接続PBX部14に登録されている1st接続先PBXにレジストレーションがおこなわれる。そしてIP電話機10が,立ち上がる。そして,ステップS153に進む。
【0029】
ステップS153において,状態監視部112により,ヘルスチェックが行われる。具体的には,ヘルスチェックとして,接続PBX部14に保存されている1st接続先IP-PBXと状態監視が行われる。そして,ステップS154に進む。
【0030】
ステップS154において,状態監視部112のヘルスチェックでは,一般的なヘルスチェックに必要な情報の他,IP-PBXにおいて,何の処理が行われたかのプログラム情報,また,その処理に必要なメモリ情報をIP-PBXから受信する。そしてこれらの情報は,プログラム情報保持部113に保存される。そして,ステップS155に進む。
【0031】
ステップS155において,1st接続先PBXとヘルスチェックを行うため,状態監視部112は,1st接続先PBXに信号を送信する。そして,状態監視部112は,1st接続先PBXから,応答が来たか否か判断する。1st接続先PBXから,応答が来ない場合,状態監視部112は,1st接続先PBXと,接続不可と判断し,ステップS156に進む。1st接続先PBXから,応答が来る場合,ステップS156に進む。
【0032】
ステップS156において,接続PBX部14の情報を2nd接続先PBX情報122に更新する。そして,レジストレーション部13は,接続PBX部14を読み出し,2nd接続先PBX情報122にレジストレーションする。レジストレーション時には,IP電話機は,プログラム情報保持部113を2nd接続先PBX情報に引き渡す。
【0033】
ステップS157において,呼処理が継続される。
【0034】
以上の動作により,IP電話機が通信相手と接続ができなくなった場合に,呼処理を継続することができる。
【0035】
次に,IP-PBXとIP電話機がヘルスチェックで送受信する信号の内容について説明する。図4は,IP-PBXとIP電話機がヘルスチェックで送受信する信号の内容(呼処理情報)の一例を示す図である。図4に示すように,プログラム情報21は,呼処理名情報211(関数名,アドレス,関数の引数),メモリ情報212(メモリ名,アドレス,値),切り替えフラグ23から構成される。
【0036】
呼処理名情報211(関数名,アドレス,関数の引数)は,IP-PBXにおいて,ヘルスチェック信号を送信する直前に実行されていた,呼処理の関数名とその関数のアドレス,関数の引数が保存されている。
【0037】
また,メモリ情報212(メモリ名,アドレス,値)は,呼処理を行う上で,必要なメモリ情報が保存されている。
【0038】
切り替えフラグ23は,通常は0である。そして,プログラム情報21が更新されると,切り替えフラグ23は1に設定される。具体的には,呼処理名情報211(関数名,アドレス,関数の引数),あるいは,メモリ情報212(メモリ名,アドレス,値)が書き換わると,切り替えフラグ23は1に設定される。
【0039】
次に,IP電話機10と通信を行うIP-PBXについて説明する。図5は,実施の形態1にかかるIP-PBXの一例を示すブロック図である。図5において,IP-PBX30は,呼処理情報受信部31と,通信部32とを備える。
【0040】
呼処理情報受信部31は,通信部を介してIP-PBXとIP電話機がヘルスチェックで送受信する信号の内容(呼処理情報)を受信する。通信部32はIP電話機及びSIPネットワークと通信を行う通信回路である。
【0041】
プログラム情報読み出し部311は,プログラム情報21を読み出す。言い換えると,プログラム情報読み出し部311は,呼処理名情報211(関数名,アドレス,関数の引数)とメモリ情報212(メモリ名,アドレス,値)の内容を読み取る。
【0042】
切り替えフラグ判定部312は,切り替えフラグ23の内容を判定する。
【0043】
処理継続依頼部313は,メモリ更新部3131と処理コール部3132を備える。メモリ更新部3131は,プログラム情報読み出し部311において,読みだしたメモリ情報212(メモリ名,アドレス,値)から,当該IP-PBXのメモリにも反映させる。
【0044】
処理コール部3132は,プログラム情報読み出し部311において,読みだした呼処理名情報211(関数名,アドレス,関数の引数)から,当該IP-PBXのプログラムをコールし,実行する。
【0045】
次に,IP-PBX30の動作について説明する。図6は,実施の形態1にかかる,IP-PBXの動作の一例を示すフローチャートである。
【0046】
ステップS401において,IP電話機から,レジストレーション信号を受信すると,呼処理情報受信部31が,IP-PBXとIP電話機がヘルスチェックで送受信する信号の内容(呼処理情報)を受信する。そして,ステップS402にすすむ。
【0047】
ステップS402において,プログラム情報読み出し部311が,のプログラム情報21を読み取る。具体的には,プログラム情報読み出し部311は,呼処理名情報211(メモリ名,アドレス,値)とメモリ情報212(メモリ名,アドレス,値)の内容を読み取る。そして,ステップS403にすすむ。
【0048】
ステップS403において,プログラム情報読み出し部311が,プログラム情報21を読み取る。そして,切り替えフラグ判定部312は,切り替えフラグ23の内容を読み取る。
【0049】
ステップS403において,切り替えフラグ23が1または0のいずれであるか判断される。切り替えフラグ23が1の場合,ステップS404にすすむ。切り替えフラグ23が0の場合,処理を終了する。
【0050】
ステップS404において,メモリ更新部3131は,メモリ情報(メモリ名,アドレス,値)22から,当該IP-PBXのメモリ情報を更新する。そして,ステップS405にすすむ。
【0051】
ステップS405において,プログラム情報読み出し部311が,読みだした呼処理名情報211(関数名,アドレス)から,当該IP-PBXのプログラムを実行する。
【0052】
以上により,1st接続先PBXの呼処理中に,IP電話機と1st接続先PBXバックアップ用の切断された場合でも,2nd接続先PBXにレジストレーションし,レジストレーション時にプログラム情報,メモリ情報を2nd接続先PBXに引き渡すことができる。そして,2nd接続先PBXに,呼処理を継続することができ,救済することができる。
【0053】
以上の構成は,メインの交換機IP-PBX(A),バックアップとなる交換機IP-PBX(B)のように,IP-PBXが二重化構成されているシステムに用いられる。
【0054】
IP電話機が,IP-PBX(A)にレジストレーションしており,IP電話機が何らかの操作を行う。この操作を受けてIP-PBX(A)の呼処理中に,IP-PBX(A)とIP電話機が接続不可になった場合,IP電話機は,IP-PBX(A)のレジストレーションを外れ,バックアップとなるIP-PBX(B)に再レジストレーションする。
【0055】
IP電話機が,IP-PBX(B)への再レジストレーションする際に,プログラム情報と,プログラムを動作するに必要なメモリ情報を,バックアップ用のIP-PBX(B)に継承する。そして,継承したバックアップ用のIP-PBX(B)では,プログラム情報から,当該プログラムをコールするとともに,プログラムを動かす上で,必要なメモリを更新する。この更新により,バックアップ用のIP-PBX(B)にて,呼処理を中断することなく,呼処理を継続する。
【0056】
レジストレーションする際のプログラム情報と,プログラムを動作するに必要なメモリ情報は,IP電話機とIP-PBX(A)のヘルスチェックにて,IP-PBX(A)より,情報を収集し,IP電話機にて保持する。
【0057】
このことにより,バックアップノードにて呼処理を行うことができるため,呼処理が異常終了することない。そして,バックアップ交換機にて,継続処理を行うことができ,通話が確立される。
【0058】
次にIP電話機がIP-PBXを介して他のIP電話機に通話を試みる動作について説明する。
【0059】
例えば,IP電話機(A)がIP電話機(B)に,電話をかけようとして,ダイヤルし,そのダイヤル番号を受けたIP-PBX(A)が,発信処理中に,IP電話機(A)とIP-PBX(A)の接続不可になった場合は,以下のようになる。
【0060】
IP電話機が起動すると,ユーザが,何らかの方法で,接続PBX一覧部12には,1st接続先PBX(121)として,IP-PBX(A),2nd接続先PBX(122)として,IP-PBX(B)が登録される。
【0061】
接続PBX一覧部12が登録されると,接続PBX一覧部12から,1st接続先PBX情報121として,IP-PBX(A)の情報が読み出される。そして,接続PBX部14にIP-PBX(A)が書き込まれる。
【0062】
接続PBX部14が書き込まれる,レジストレーション部13により,接続先PBX14に登録されているIP-PBX(A)にレジストレーションがおこなわれる。そして,IP電話機として,立ち上がる。
【0063】
IP電話機として,立ち上がると,状態監視部112により,接続PBX部14に保存されているIP-PBX(A)と状態監視,いわゆる,ヘルスチェックが行われる。ヘルスチェックにより,IP-PBX(A)からプログラム情報,メモリ情報を受信する。そして,これらの情報がプログラム情報保持部113に保持される。
【0064】
例えば,IP電話機(A)が受話器を上げると,IP-PBX(A)では,ダイヤルトーンを聴取するための処理,例えば,dialtone()が動く。このdialtone()の処理中に,ヘルスチェックが行われると,以下のような情報をヘルスチェックで送信される。
【0065】
プログラム情報21
・呼処理名情報211(関数名 daialtone(),アドレス0xEA1000,引数 dial=2000)
・メモリ情報212(メモリ名mwlens,アドレス0xEB2034,値0x3a534,
メモリ名mwfpc,アドレス0xEF1009,値0x1f)
【0066】
そして,切り替えフラグ23に1が設定され,IP-PBX(A)で呼処理中のプログラム情報21がIP電話機(A)に送信される。
【0067】
受信したIP電話機(A)は,プログラム情報保持部113にて,プログラム情報21を保持する。
【0068】
このように,IP電話機(A)は,IP-PBX(A)で処理中の情報と,必要なメモリ情報をヘルスチェックで受信する。そして,IP電話機(A)は,これらの情報をプログラム情報保持部113に保持する。
【0069】
ここで,何らかの原因により,IP-PBX(A)から,ヘルスチェック信号の応答が来ない場合,以下の動作が行われる。
【0070】
ヘルスチェック信号の応答が来ない場合,状態監視部112は,接続PBX部14を,接続PBX一覧部12の1st接続先PBX情報121から2nd接続先PBX情報122に切り替える。そして,レジストレーション部13が,接続PBX部14である2nd接続先PBX情報を読み出し,2nd接続先PBXにレジストレーションする。
【0071】
レジストレーション信号を受けると,呼処理情報受信部31は,ヘルスチェック信号の内容(呼処理情報)を受信する。
【0072】
プログラム情報読み出し部311が,プログラム情報21を読み,以下の呼処理名情報211とメモリ情報212の内容を読み取る。
プログラム情報21
・呼処理名情報211(関数名 daialtone(),アドレス0xEA1000,引数 dial=2000)
・メモリ情報212(メモリ名mwlens,アドレス0xEB2034,値0x3a534,
メモリ名mwfpc,アドレス0xEF1009,値0x1f)
【0073】
プログラム情報読み出し部311は,プログラム情報21を読み取ると,切り替えフラグ判定部312は,切り替えフラグ23の内容(1)を読取る。
【0074】
切り替えフラグ23が1の場合,メモリ更新部3131は,メモリ情報(メモリ名,アドレス,値)22から,当該IP-PBXのメモリ情報を更新する。
【0075】
メモリの更新が終了すると,処理コール部3132は,プログラム情報読み出し部311において,読みだした呼処理名情報211から,当該IP-PBXのプログラムであるdaialtone()を実行し,処理実行に必要なメモリmwlens,アドレス0xEB2034,値0x3a534,メモリ名mwfpc,アドレス0xEF1009,値0x1fを設定し,処理を継続する。
【0076】
以上のように,1st接続先PBXで呼処理中に,IP電話機(A)と1st接続先PBXが接続不可になっても,2nd接続先PBXにレジストレーションし,1st接続先PBXで実行されていた呼処理を継続することができる。
【0077】
上述の動作では,IP電話機(A)がIP電話機(B)と通話するために,IP電話機(B)の内線番号をダイヤルしている最中にIP-PBXの電源が落ちたケースにて救済することができる。
【0078】
IP-PBXの電源が落ちたケース以外でも,ダイヤルした後,IP-PBX(A)にて,呼処理を行っている最中に,IP電話機とIP-PBXが接続不可になったケースでも救済することができる。また,対向先からIP-PBX(A)に着信し,リンギング鳴動中にIP-PBX(A)と接続不可になったケースでも救済することができる。また,保留音操作中,転送操作中等,IP-PBXにて,電話のプログラムが動作しているケースでも,同様に救済することができる。
【0079】
このように実施の形態1のIP電話機,IP-PBX及びIP-PBXによれば,呼処理中に,IP-PBXがダウン,ネットワークが落ち,IP-PBXとIP電話機が接続不可になった場合でも,発呼者は,規制音を聴取することがなく,通常通り,使用することができる。
【0080】
また,呼処理は,ダイヤル操作,保留操作,転送操作などがあり,これらの呼処理をIP-PBXにて,実行している最中に,IP電話機とIP-PBXとが接続不可になった場合でも救済することができる。
【0081】
様々な処理を行う機能ブロックとして図面に記載される各要素は、ハードウェア的には、CPU、メモリ、その他の回路で構成することができ、ソフトウェア的には、メモリにロードされたプログラムなどによって実現される。したがって、これらの機能ブロックがハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは当業者には理解されるところであり、いずれかに限定されるものではない。
【0082】
また、上述したプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0083】
また,様々な処理を行う機能ブロックとして図面に記載される各要素は、電子回路,FPGA(Field-Programmable Gate Array)またはASIC(Application Specific Integrated Circuit)で構成してもよい。
【0084】
なお,本発明は上記実施の形態に限られたものではなく,趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば,接続先のIP-PBXは3つ以上であってもよい。
【符号の説明】
【0085】
1 電話機
2,15 通信部
3,11 ヘルスチェック部
10 電話機
12 接続PBX一覧部
13 レジストレーション部
14 接続PBX部
31 呼処理情報受信部
32 通信部
112 状態監視部
113 プログラム情報保持部
121 1st接続先PBX情報
122 2nd接続先PBX情報
311 プログラム情報読み出し部
312 フラグ判定部
313 処理継続依頼部
3131 メモリ更新部
3132 処理コール部
図1
図2
図3
図4
図5
図6