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特許7343201制御装置、システム、方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-04
(45)【発行日】2023-09-12
(54)【発明の名称】制御装置、システム、方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 52/02 20090101AFI20230905BHJP
   H04W 24/00 20090101ALI20230905BHJP
【FI】
H04W52/02
H04W24/00
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021090613
(22)【出願日】2021-05-28
(65)【公開番号】P2022182859
(43)【公開日】2022-12-08
【審査請求日】2022-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】濱本 大介
【審査官】永井 啓司
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-061262(JP,A)
【文献】特開2019-033429(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/00- 7/26
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下り信号を増幅する送信増幅器であって基地局が有する前記送信増幅器の電源をオンオフ制御する制御情報を複数の前記基地局ごとに生成する制御部と、
複数の前記基地局ごとに生成された前記制御情報を前記基地局に送信する通信部と、
を備え、
前記制御情報は、所定期間と、前記所定期間中の前記送信増幅器の電源をオフにする期間を示すオフ期間と、を含み、
前記制御部は、外部から災害が発生した旨の通知を取得した場合、前記基地局の運用モードを災害モードに変更するモード変更フラグを生成し、
前記通信部は、前記災害モード中に複数の前記基地局のそれぞれが前記所定期間中の前記オフ期間だけ前記送信増幅器の電源をオフにする動作を繰り返し行うようにするため、前記モード変更フラグをさらに含む前記制御情報を複数の前記基地局に送信する、
制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記所定期間において、全ての前記送信増幅器の前記オフ期間が重ならないように前記制御情報を生成する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記所定期間において、少なくとも1つの前記送信増幅器の電源がオフとなるように前記制御情報を生成する、
請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記所定期間と前記オフ期間とに基づいて前記基地局ごとに前記送信増幅器の電源をオンからオフに変更するオフ時刻と、前記送信増幅器の電源をオフからオンに変更するオン時刻と、を生成し、
前記制御情報は、前記オン時刻と前記オフ時刻とをさらに含む、
請求項1から3のいずれか1つに記載の制御装置。
【請求項5】
前記基地局は、TDD(Time Division Duplex)方式で動作し、
前記制御部は、前記所定期間と前記オフ期間とを、前記TDD方式の無線フレームのタイミング又はタイムスロットのタイミングに合うように生成する、
請求項1から4のいずれか1つに記載の制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記基地局が端末と通信する通信エリアのトラフィック量に基づいて前記オフ期間を決定する、
請求項1から5のいずれか1つに記載の制御装置。
【請求項7】
下り信号を増幅する送信増幅器を有する基地局と、
複数の前記基地局の前記送信増幅器の電源をそれぞれに制御する制御装置と、
を備え、
制御装置は、
前記送信増幅器の電源をオンオフ制御する制御情報を複数の前記基地局ごとに生成する制御部と、
複数の前記基地局ごとに生成された前記制御情報を前記基地局に送信する通信部と、
を有し、
前記制御情報は、所定期間と、前記所定期間中の前記送信増幅器の電源をオフにする期間を示すオフ期間と、を含み、
複数の前記基地局のそれぞれは、
前記制御情報に基づいて前記所定期間中の前記オフ期間だけ前記送信増幅器の電源をオフにする電源制御部を、
し、
前記制御部は、外部から災害が発生した旨の通知を取得した場合、前記基地局の運用モードを災害モードに変更するモード変更フラグを生成し、
前記通信部は、前記災害モード中に複数の前記基地局のそれぞれが前記所定期間中の前記オフ期間だけ前記送信増幅器の電源をオフにする動作を繰り返し行うようにするため、前記モード変更フラグをさらに含む前記制御情報を複数の前記基地局に送信する、
システム。
【請求項8】
下り信号を増幅する送信増幅器であって基地局が有する前記送信増幅器の電源をオンオフ制御する制御情報を複数の前記基地局ごとに生成することと、
複数の前記基地局ごとに生成された前記制御情報を前記基地局に送信することと、
前記制御情報は、所定期間と、前記所定期間中の前記送信増幅器の電源をオフにする期間を示すオフ期間と、を含むことと、
外部から災害が発生した旨の通知を取得した場合、前記基地局の運用モードを災害モードに変更するモード変更フラグを生成することと、
前記災害モード中に複数の前記基地局のそれぞれが前記所定期間中の前記オフ期間だけ前記送信増幅器の電源をオフにする動作を繰り返し行うようにするため、前記モード変更フラグをさらに含む前記制御情報を複数の前記基地局に送信することと、
を備える方法。
【請求項9】
下り信号を増幅する送信増幅器であって基地局が有する前記送信増幅器の電源をオンオフ制御する制御情報を複数の前記基地局ごとに生成することと、
複数の前記基地局ごとに生成された前記制御情報を前記基地局に送信することと、
前記制御情報は、所定期間と、前記所定期間中の前記送信増幅器の電源をオフにする期間を示すオフ期間と、を含むことと、
外部から災害が発生した旨の通知を取得した場合、前記基地局の運用モードを災害モードに変更するモード変更フラグを生成することと、
前記災害モード中に複数の前記基地局のそれぞれが前記所定期間中の前記オフ期間だけ前記送信増幅器の電源をオフにする動作を繰り返し行うようにするため、前記モード変更フラグをさらに含む前記制御情報を複数の前記基地局に送信することと、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御装置、システム、方法、及びプログラムに関するものであり、特に、端末と基地局とが通信する通信エリアを縮小することなく、基地局の消費電力を削減することが可能な制御装置、システム、方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
災害時等においては、電力供給設備が被災して供給できる電力が少なくなる。そのため、通信設備、例えば、基地局が使用できる電力量も制限されるので、基地局の消費電力を削減する必要がある。しかしながら、稼働する基地局の数を削減する、又は、有効なアンテナ数を削減することにより電力を削減する方法では、端末と基地局とが通信できる通信エリアが縮小してしまうという課題があった。
【0003】
特許文献1の0014段落には「無線基地局装置は、通信中のユーザ装置がない場合は、無線基地局装置からユーザ装置に送信する信号を間欠送信する。この場合、ユーザ装置に送信する信号は例えばW-CDMA方式の場合は、パイロットチャネル、シンクチャネルなどの下りの共通チャネルである。ここで、通信中とは無線基地局装置とユーザ装置が通話やデータ通信を行っている状態をいう。また、間欠送信とは、通常の送信と比べて出力電力が減少するように信号を間引いて送信する方法である。例えば、無線基地局装置の信号送信間隔を空ける(広げる)、無線基地局装置が使用する周波数帯域を制限する(絞り込む)等の方法により行うことができる。」と記載されている。
【0004】
特許文献2の0013段落には「無線基地局装置は、発着信の受付が行われた受付移動機数又は自装置の位置登録エリアに登録されている登録移動機数等の移動機収容数を基に、キャリア送信出力の停止・開始制御を行い、該移動機収容数が減少したとき、一部のキャリアの送信出力を停止することにより、無駄な電波の送信を抑止すると共に、無線基地局装置の電力消費量を削減することが可能となる。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2014-158279号公報
【文献】特開2008-109423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のとおり、災害時等において消費電力を削減する方法として、稼働する基地局の数を削減する方法、有効なアンテナ数を削減する方法、又は、キャリア送信出力を停止する方法がある。しかしながら、これらの方法では、端末と基地局とが通信できる通信エリアが縮小してしまうという課題があった。また、関連する技術として間欠送信する方法があるが、この方法では、基地局の消費電力を大きく削減することはできない。
【0007】
本開示の目的は、上述した課題を解決する制御装置、システム、方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る制御装置は、
下り信号を増幅する送信増幅器であって基地局が有する前記送信増幅器の電源をオンオフ制御する制御情報を複数の前記基地局ごとに生成する制御部と、
複数の前記基地局ごとに生成された前記制御情報を前記基地局に送信する通信部と、
を備え、
前記制御情報は、所定期間と、前記所定期間中の前記送信増幅器の電源をオフにする期間を示すオフ期間と、を含む。
【0009】
本開示に係るシステムは、
下り信号を増幅する送信増幅器を有する基地局と、
複数の前記基地局の前記送信増幅器の電源をそれぞれに制御する制御装置と、
を備え、
制御装置は、
前記送信増幅器の電源をオンオフ制御する制御情報を複数の前記基地局ごとに生成する制御部と、
複数の前記基地局ごとに生成された前記制御情報を前記基地局に送信する通信部と、
を有し、
前記制御情報は、所定期間と、前記所定期間中の前記送信増幅器の電源をオフにする期間を示すオフ期間と、を含み、
複数の前記基地局のそれぞれは、
前記制御情報に基づいて前記所定期間中の前記オフ期間だけ前記送信増幅器の電源をオフにする電源制御部を、
有する。
【0010】
本開示に係る方法は、
下り信号を増幅する送信増幅器であって基地局が有する前記送信増幅器の電源をオンオフ制御する制御情報を複数の前記基地局ごとに生成することと、
複数の前記基地局ごとに生成された前記制御情報を前記基地局に送信することと、
前記制御情報は、所定期間と、前記所定期間中の前記送信増幅器の電源をオフにする期間を示すオフ期間と、を含むことと、
を備える。
【0011】
本開示に係るプログラムは、
下り信号を増幅する送信増幅器であって基地局が有する前記送信増幅器の電源をオンオフ制御する制御情報を複数の前記基地局ごとに生成することと、
複数の前記基地局ごとに生成された前記制御情報を前記基地局に送信することと、
前記制御情報は、所定期間と、前記所定期間中の前記送信増幅器の電源をオフにする期間を示すオフ期間と、を含むことと、
をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、端末と基地局とが通信する通信エリアを縮小することなく、基地局の消費電力を削減することが可能な制御装置、システム、方法、プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施の形態に係る制御装置を例示するブロック図である。
図2】実施の形態に係る基地局を例示するブロック図である。
図3】実施の形態に係るシステムを例示するブロック図である。
図4】実施の形態に係る送信増幅器の送信出力を例示するタイミングチャートである。
図5】実施の形態の比較例に係るシステムを例示するブロック図である。
図6】実施の形態の比較例に係る送信増幅器の送信出力を例示するタイミングチャートである。
図7】実施の形態の比較例に係る通信エリアの状態を例示する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。各図面において、同一又は対応する要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明を省略する。
【0015】
[実施の形態]
<構成>
図1は、実施の形態に係る制御装置を例示するブロック図である。
図2は、実施の形態に係る基地局を例示するブロック図である。
図3は、実施の形態に係るシステムを例示するブロック図である。
【0016】
図1から図3に示すように、実施の形態1に係るシステム10は、基地局12と制御装置11とを備える。複数の基地局12には電源13から必要な電力が供給される。制御装置11は、基地局12への電力の供給を制御する。この例では、複数の基地局12は、第1基地局12aと第2基地局12bと第3基地局12cとを有する。
【0017】
基地局12は、送信部121と受信部122と信号処理部123と電源制御部124とスイッチ125とを備える。なお、基地局を基地局無線装置と称することもある。
【0018】
送信部121は、下り信号を増幅する送信増幅器121pを有する。下り(DL:Down Link)信号は、基地局12から端末(図示しない)への信号である。上り(UL:Up Link)信号は、端末から基地局12への信号である。
【0019】
下り信号は、信号処理部123で符号化され変調された後、送信増幅器121pで増幅され、スイッチ125を介してアンテナから送信され、端末で受信される。上り信号は、端末から送信され、基地局12のアンテナとスイッチ125を介して受信部122で受信された後、信号処理部123で復調され復号化される。
【0020】
基地局12において、消費電力の大部分は、送信部121内の送信増幅器121pで消費される。そこで、実施の形態では、制御装置11が、送信増幅器121pがオンとなるオン期間を制限することにより、基地局12の消費電力を削減する。具体的には、基地局12の電源制御部124が、制御装置11から取得した制御情報に基づいて所定期間中のオフ期間だけ送信増幅器121pの電源をオフにする。送信増幅器121pの電源のオフ期間を設けることにより、基地局12の消費電力を削減する。制御装置11は、例えば、10ミリ秒の期間中の(10/3)ミリ秒だけ送信増幅器121pの電源がオフとなるように送信増幅器121pを制御する。電源制御部124は、所定期間中のオフ期間だけ送信増幅器121pの電源をオフにする動作を繰り返す。
【0021】
制御装置11は、制御部111と通信部112とを備える。制御装置11は、複数の基地局12の送信増幅器121pの電源をそれぞれに制御する。なお、制御装置を基地局制御装置と称することもある。
【0022】
具体的には、制御部111は、下り信号を増幅する送信増幅器121pの電源をオンオフ制御する制御情報を複数の基地局12ごとに生成する。制御情報は、所定期間と、所定期間中の送信増幅器121pの電源をオフにする期間を示すオフ期間と、を含む。
【0023】
なお、制御部111は、オフ期間を送信増幅器121pごとにずらすように制御情報を生成する。また、制御部111は、所定期間において、全ての送信増幅器121pのオフ期間が重ならないように制御情報を生成する。これにより、少なくとも1つの送信増幅器121pの電源はオンとなるので、少なくとも1つの通信エリアでは通信が可能となる。
【0024】
また、制御部111は、所定期間において、少なくとも1つの送信増幅器121pの電源がオフとなるように制御情報を生成する。これにより、少なくとも1つの送信増幅器121pの電源はオフとなるので、複数の基地局12の全体として消費電力を削減し、消費電力のピーク値を低減することができる。
【0025】
また、制御部111は、所定期間とオフ期間とに基づいて基地局12ごとに送信増幅器121pの電源をオンからオフに変更するオフ時刻と、送信増幅器121pの電源をオフからオンに変更するオン時刻と、を生成してもよい。制御情報は、オン時刻とオフ時刻とをさらに含んでもよい。これにより、制御部111は、制御情報に含まれるオン時刻とオフ時刻とに基づいて、複数の基地局12のそれぞれの送信増幅器121pをオンオフ制御することができる。
【0026】
また、制御部111は、外部から災害が発生した旨の通知を取得した場合、基地局12の運用モードを災害モードに変更するモード変更フラグを生成してもよい。この場合、通信部112は、災害モード中に複数の基地局12のそれぞれが所定期間中のオフ期間だけ送信増幅器の電源をオフにする動作を繰り返し行うようにするため、モード変更フラグをさらに含む制御情報を複数の基地局12に送信する。
【0027】
基地局12の運用モードは、例えば、通常モードと災害モードがある。通常モードは、通常(平常時)の運用モードである。送信増幅器121pは通常モードの場合、全期間に渡って電源がオンである。よって、送信増幅器121pは、全期間に渡って下り信号を送信できる状態にある。災害モードは、災害が発生した場合の運用モードである。送信増幅器121pは災害モードの場合、オフ期間では電源がオフなのでオフ期間中は下り信号を送信できない状態である。
【0028】
また、制御部111は、外部から災害が収束した旨の通知を取得した場合、基地局12の運用モードを通常モードに変更するモード復帰フラグを生成してもよい。この場合、通信部112は、複数の基地局12のそれぞれが災害モード中の動作を終了し通常モードの動作を行うようにするため、モード復帰フラグをさらに含む制御情報を複数の基地局12に送信する。通常モードの動作は、所定期間中の全ての期間において送信増幅器121pの電源をオンにする動作である。
【0029】
なお、モード変更フラグとモード復帰フラグの代わりに、モードを切替える旨を示すモード切替通知を用いてもよい。
【0030】
また、制御部111は、基地局12が端末と通信する通信エリアのトラフィック量に基づいてオフ期間の長さを決定してもよい。例えば、第1基地局12aがカバーする第1通信エリアの第1トラフィック量が第2通信エリアの第2トラフィック量よりも高い場合、第1通信エリアをカバーする第1基地局12aの送信増幅器121paのオフ期間を、第2通信エリアをカバーする第2基地局12bの送信増幅器121pbのオフ期間よりも短くする。これにより、送信増幅器121paのオン期間は、送信増幅器121pbのオン期間よりも長くなり、より多くの下り信号を送信することができる。
【0031】
また、例えば、第1基地局12aがカバーする第1通信エリアの第1トラフィック量が第2通信エリアの第2トラフィック量以下場合、第1通信エリアをカバーする第1基地局12aの送信増幅器121paのオフ期間を、第2通信エリアをカバーする第2基地局12bの送信増幅器121pbのオフ期間以上に長くする。これにより、送信増幅器121paのオン期間は、送信増幅器121pbのオン期間以下に短くなるが、下り信号のトラフィック量が少ないので十分に送信することができる。
【0032】
通信部112は、複数の基地局12ごとに生成された制御情報を基地局12に送信する。基地局12の電源制御部124は、通信部112から取得した制御情報に基づいて所定期間中のオフ期間だけ送信増幅器121pの電源をオフにする。
【0033】
制御情報は、基地局12の送信増幅器121pをオンオフ制御するための制御パラメータを含んでもよい。制御パラメータは、例えば、上述の所定期間、オフ期間などを含む。制御装置11は、制御パラメータを設定することにより、基地局12の送信増幅器121pをオンオフ制御してもよい。
【0034】
基地局12の電源制御部124は、災害モードの期間中、制御情報に基づいて、所定期間中のオフ期間だけ送信増幅器121pの電源をオフにする動作を繰り返す。
【0035】
実施の形態においては、所定期間中のオフ期間以外はオン期間となり、オン期間中は送信増幅器121pの電源は必ずオンになる。すなわち、送信増幅器121pの電源が長期間オフのままにはならない。これにより、基地局12は、送信増幅器121pの電源のオン期間に下り信号を端末に送信することができるので、通信エリアは狭くならない。
【0036】
その結果、実施の形態によれば、端末と基地局とが通信する通信エリアを縮小することなく、基地局の消費電力を削減することが可能な制御装置、システム、方法、プログラムを提供することができる。
【0037】
<動作>
図4は、実施の形態に係る送信増幅器の送信出力を例示するタイミングチャートである。
図4の横軸は時間を示し、縦軸は電力を示す。
【0038】
ここでは、基地局12の数が3台の場合を例に挙げて説明する。3台の基地局は、第1基地局12aと第2基地局12bと第3基地局12cとする。送信増幅器121pの送信電力のオンオフと、送信増幅器121pの電源のオンオフは、連動しており、それらの間に時間差は無いものとする。
【0039】
図4に示すように、複数の基地局12のそれぞれのオフ期間は、所定期間の3分の1である。所定期間は、例えば、10ミリ秒である。オフ期間は、例えば、(10/3)ミリ秒である。制御装置11は、下り信号の送信増幅器121pからの送信を1台ずつ順番にオフし、常に1台以上の送信増幅器121pが送信オフとなるように電源を制御する。すなわち、制御装置11は、常に3分の2の送信増幅器121pが下り信号を送信できるように電源を制御する。
【0040】
具体的には、第1基地局12aのオフ期間は、所定期間の開始時刻から所定期間の3分の1の時刻までである。第2基地局12bのオフ期間は、所定期間の3分の1の時刻から所定期間の3分の2の時刻までである。第3基地局12cのオフ期間は、所定期間の3分の2の時刻から所定期間の終了時刻までである。第1基地局12aと第2基地局12bと第3基地局12cは、所定期間の動作を繰り返す。
【0041】
このように、実施の形態によれば、送信増幅器121pを長時間に渡って停止させない(電源オフにしない)ので、通信エリアが狭まることが無い。また、3台のうちの1台の送信増幅器121pの電源はオフなので、基地局12の消費電力を削減することができる。また、基地局12やアンテナを継続的に長時間に渡って減らすことがない。
【0042】
なお、基地局12がTDD(Time Division Duplex)方式で動作する場合を考える。この場合、図4に示す所定期間とオフ期間とを、TDD方式の無線フレームのタイミング又はタイムスロットのタイミングに合うようにしてもよい。すなわち、制御装置11が、TDD方式で運用する複数の基地局12(送信増幅器121p)の下り送信をTDD方式のタイミングで電源をオンオフ制御する。これにより、TDD方式における下り信号の送信を間欠送信にすることができ、送信増幅器121pの消費電力を削減することができる。
【0043】
また、複数の基地局12の送信増幅器121pの電源をそれぞれに制御する制御情報を含む制御プログラムを制御装置11に適用し、制御情報に基づいて所定期間中のオフ期間だけ送信増幅器121pの電源をオフにする動作を実行する実行プログラムを複数の基地局12のそれぞれに適用してもよい。これらのプログラムを適用することにより、実施の形態を実現することができる。これにより、新たなハードウェア(HW:Hard Ware)を追加または変更する必要が無いので、実施の形態を容易に適用することができる。
【0044】
また、基地局12の設置場所等の環境条件や起こりうる被害によって、実施の形態と、既存技術(災害用電力源の準備や基地局自体の省電力化等)と、を併用することでさらに大きな効果を得ることができる。
【0045】
[比較例]
図5は、実施の形態の比較例に係るシステムを例示するブロック図である。
図6は、実施の形態の比較例に係る送信増幅器の送信出力を例示するタイミングチャートである。
図7は、実施の形態の比較例に係る通信エリアの状態を例示する模式図である。
【0046】
図5に示すように、実施の形態の比較例に係るシステム50は、実施の形態に係るシステム10と比べて、制御装置51が制御部と通信部とを有さず、基地局52が電源制御部を有さない点が異なる。
【0047】
これにより、制御装置51は、複数の基地局52のそれぞれの送信増幅器521pに対してオフ期間を設定することができない。システム50は、オフ期間を設定できないので、例えば、図6に示すように、第1基地局52aの送信増幅器521paの電源をオフして消費電力を削減する。この場合、送信増幅器521paの電源はオフなので、送信増幅器521paは下り信号を送信しない。また、送信増幅器521pbの電源はオンなので、送信増幅器521pbは下り信号を送信することができる。また、送信増幅器521pcの電源はオンなので、送信増幅器521pcは下り信号を送信することができる。
【0048】
送信増幅器521paは、常に下り信号を送信できないので、図7に示すように、対応する通信エリアに存在する端末は第1基地局52aと通信することができず通信エリアが縮小してしまう。このように、比較例においては、複数の基地局52の全体として消費電力を3分の2に削減するが、通信エリアが縮小してしまう。
【0049】
その結果、比較例では、端末と基地局とが通信する通信エリアを縮小することなく、基地局の消費電力を削減することが可能な制御装置、システム、方法、プログラムを提供することが難しい。
【0050】
尚、上記の実施の形態では、本発明をハードウェアの構成として説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、各構成要素の処理を、CPU(Central Processing Unit)にコンピュータプログラムを実行させることにより実現することも可能である。
【0051】
上記の実施の形態において、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実態のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(具体的にはフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(具体的には光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(具体的には、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM))、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory)を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0052】
さらに、動作は特定の順序で描かれているが、これは、望ましい結果を達成するために、そのような動作が示された特定の順序または連続した順序で実行されること、または示されたすべての動作が実行されることを要求するものとして理解されるべきではない。特定の状況では、マルチタスクと並列処理が有利な場合がある。同様に、いくつかの特定の実施の形態の詳細が上記の議論に含まれているが、これらは本開示の範囲に対する制限としてではなく、特定の実施の形態に特有の特徴の説明として解釈されるべきである。別個の実施の形態の文脈で説明される特定の特徴は、単一の実施の形態に組み合わせて実装されてもよい。逆に、単一の実施の形態の文脈で説明される様々な特徴は、複数の実施の形態で別々にまたは任意の適切な組み合わせで実装されてもよい。
【0053】
以上、実施の形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記によって限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0054】
尚、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【0055】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
下り信号を増幅する送信増幅器であって基地局が有する前記送信増幅器の電源をオンオフ制御する制御情報を複数の前記基地局ごとに生成する制御部と、
複数の前記基地局ごとに生成された前記制御情報を前記基地局に送信する通信部と、
を備え、
前記制御情報は、所定期間と、前記所定期間中の前記送信増幅器の電源をオフにする期間を示すオフ期間と、を含む、
制御装置。
(付記2)
前記制御部は、前記所定期間において、全ての前記送信増幅器の前記オフ期間が重ならないように前記制御情報を生成する、
付記1に記載の制御装置。
(付記3)
前記制御部は、前記所定期間において、少なくとも1つの前記送信増幅器の電源がオフとなるように前記制御情報を生成する、
付記1又は2に記載の制御装置。
(付記4)
前記制御部は、前記所定期間と前記オフ期間とに基づいて前記基地局ごとに前記送信増幅器の電源をオンからオフに変更するオフ時刻と、前記送信増幅器の電源をオフからオンに変更するオン時刻と、を生成し、
前記制御情報は、前記オン時刻と前記オフ時刻とをさらに含む、
付記1から3のいずれか1つに記載の制御装置。
(付記5)
前記基地局は、TDD(Time Division Duplex)方式で動作し、
前記制御部は、前記所定期間と前記オフ期間とを、前記TDD方式の無線フレームのタイミング又はタイムスロットのタイミングに合うように生成する、
付記1から4のいずれか1つに記載の制御装置。
(付記6)
前記制御部は、外部から災害が発生した旨の通知を取得した場合、前記基地局の運用モードを災害モードに変更するモード変更フラグを生成し、
前記通信部は、前記災害モード中に複数の前記基地局のそれぞれが前記所定期間中の前記オフ期間だけ前記送信増幅器の電源をオフにする動作を繰り返し行うようにするため、前記モード変更フラグをさらに含む前記制御情報を複数の前記基地局に送信する、
付記1から5のいずれか1つに記載の制御装置。
(付記7)
前記制御部は、外部から災害が収束した旨の通知を取得した場合、前記基地局の運用モードを通常モードに変更するモード復帰フラグを生成し、
前記通信部は、複数の前記基地局のそれぞれが前記災害モード中の動作を終了し前記通常モードの動作を行うようにするため、前記モード復帰フラグをさらに含む前記制御情報を複数の前記基地局に送信し、
前記運用モードの動作は、前記所定期間中の全ての期間において前記送信増幅器の電源をオンにする、
付記6に記載の制御装置。
(付記8)
前記制御部は、前記基地局が端末と通信する通信エリアのトラフィック量に基づいて前記オフ期間を決定する、
付記1から7のいずれか1つに記載の制御装置。
(付記9)
複数の前記基地局の数は3であり、
複数の前記基地局のそれぞれの前記オフ期間は、前記所定期間の3分の1である、
付記1から8のいずれか1つに記載の制御装置。
(付記10)
複数の前記基地局は、第1基地局と第2基地局と第3基地局であり、
前記第1基地局の前記オフ期間は、前記所定期間の開始時刻から前記所定期間の3分の1の時刻までであり、
前記第2基地局の前記オフ期間は、前記所定期間の3分の1の時刻から前記所定期間の3分の2の時刻までであり、
前記第3基地局の前記オフ期間は、前記所定期間の3分の2の時刻から前記所定期間の終了時刻までである、
付記9に記載の制御装置。
(付記11)
下り信号を増幅する送信増幅器を有する基地局と、
複数の前記基地局の前記送信増幅器の電源をそれぞれに制御する制御装置と、
を備え、
制御装置は、
前記送信増幅器の電源をオンオフ制御する制御情報を複数の前記基地局ごとに生成する制御部と、
複数の前記基地局ごとに生成された前記制御情報を前記基地局に送信する通信部と、
を有し、
前記制御情報は、所定期間と、前記所定期間中の前記送信増幅器の電源をオフにする期間を示すオフ期間と、を含み、
複数の前記基地局のそれぞれは、
前記制御情報に基づいて前記所定期間中の前記オフ期間だけ前記送信増幅器の電源をオフにする電源制御部を、
有する、
システム。
(付記12)
下り信号を増幅する送信増幅器であって基地局が有する前記送信増幅器の電源をオンオフ制御する制御情報を複数の前記基地局ごとに生成することと、
複数の前記基地局ごとに生成された前記制御情報を前記基地局に送信することと、
前記制御情報は、所定期間と、前記所定期間中の前記送信増幅器の電源をオフにする期間を示すオフ期間と、を含むことと、
を備える方法。
(付記13)
下り信号を増幅する送信増幅器であって基地局が有する前記送信増幅器の電源をオンオフ制御する制御情報を複数の前記基地局ごとに生成することと、
複数の前記基地局ごとに生成された前記制御情報を前記基地局に送信することと、
前記制御情報は、所定期間と、前記所定期間中の前記送信増幅器の電源をオフにする期間を示すオフ期間と、を含むことと、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【符号の説明】
【0056】
10、50:システム
11、51:制御装置
111:制御部
112:通信部
12、52:基地局
12a、52a:第1基地局
12b、52b:第2基地局
12c、52c:第3基地局
121:送信部
121p、121pa、121pb、121pc:送信増幅器
521p、521pa、521pb、521pc:送信増幅器
122:受信部
123:信号処理部
124:電源制御部
125:スイッチ
13:電源
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7