(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-04
(45)【発行日】2023-09-12
(54)【発明の名称】手術用インストルメント
(51)【国際特許分類】
A61B 34/30 20160101AFI20230905BHJP
A61B 17/29 20060101ALI20230905BHJP
【FI】
A61B34/30
A61B17/29
(21)【出願番号】P 2021200802
(22)【出願日】2021-12-10
(62)【分割の表示】P 2019159385の分割
【原出願日】2012-11-08
【審査請求日】2021-12-10
(31)【優先権主張番号】10-2011-0123071
(32)【優先日】2011-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2011-0123074
(32)【優先日】2011-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2011-0123075
(32)【優先日】2011-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514130437
【氏名又は名称】リブスメド インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】リー,チョン ジュ
【審査官】山口 賢一
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-061364(JP,A)
【文献】国際公開第2011/115311(WO,A1)
【文献】特開2011-200593(JP,A)
【文献】特開2009-107087(JP,A)
【文献】特開2020-000900(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/29
A61B 34/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手動で作動可能な手術用インストルメントは、
少なくとも2以上の方向に回転自在に形成されるエンドツールと、
前記エンドツールの動作を制御する操作部と、
前記操作部の動作を、前記エンドツールに伝達する1以上のワイヤ及び1以上のプーリーを含む動力伝達部と、
一端部には、前記エンドツールが結合され、他端部には、前記操作部が結合され、前記操作部と前記エンドツールとを連結する連結部と、を含み、
前記操作部がいずれの動作状態にあっても、前記操作部の少なくとも一部は、前記エンドツール側に延設され、
前記操作部を、前記2以上の方向にそれぞれ回転させれば、前記エンドツールが、前記操作部の操作方向と実質的に同一方向に回転し、
ここで、前記操作部において前記エンドツールに伝達された動きによって前記エンドツールがピッチ動作及びヨー動作を行い、
前記エンドツールは、
互いに独立して動作する第1ジョー及び第2ジョーと、
前記第1ジョーと結合し、第1軸を中心に回転自在に形成されるJ11プーリーと、
前記第1軸と所定角をなす軸を中心に、それぞれ回転自在に形成され、互いに対向するように形成されたJ12プーリー及びJ14プーリーと、
前記第1軸と所定角をなす軸を中心に、それぞれ回転自在に形成され、互いに対向するように形成されたJ13プーリー及びJ15プーリーと、を含むと同時に、
前記第2ジョーと結合し、前記J11プーリーと対向するように形成されるJ21プーリーと、
前記第1軸と所定角をなす軸を中心に、それぞれ回転自在に形成され、互いに対向するように形成されたJ22プーリー及びJ24プーリーと、
前記第1軸と所定角をなす軸を中心に、それぞれ回転自在に形成され、互いに対向するように形成されたJ23プーリー及びJ25プーリーと、を含むエンドツール制御部材と、を含み、
第1ジョー駆動ワイヤは、前記J13プーリー、前記J12プーリー、前記J11プーリー、前記J14プーリー、前記J15プーリーと、少なくとも一部が順に接触するように形成され、前記J11プーリーないしJ15プーリーを回転させ、
第2ジョー駆動ワイヤは、前記J23プーリー、前記J22プーリー、前記J21プーリー、前記J24プーリー、前記J25プーリーと、少なくとも一部が順に接触するように形成され、前記J21プーリーないしJ25プーリーを回転させることを特徴とする手動で作動可能な手術用インストルメント。
【請求項2】
前記連結部の前記一端部での前記エンドツールの形成方向と、前記連結部の前記他端部での前記操作部の形成方向とが、前記連結部の延長軸(X軸)を基準に、同一方向であることを特徴とする請求項1に記載の
手動で作動可能な手術用インストルメント。
【請求項3】
前記操作部は、前記手術用インストルメントを把持するユーザから遠ざかる方向に延設されることを特徴とする請求項1に記載の
手動で作動可能な手術用インストルメント。
【請求項4】
前記操作部は、前記エンドツールの動作を制御するために、1以上の駆動軸、及び前記駆動軸を中心に回転する1以上の駆動バーを具備し、前記駆動バーが、前記駆動軸より、前記エンドツール側に形成されることを特徴とする請求項1に記載の
手動で作動可能な手術用インストルメント。
【請求項5】
前記操作部の端部は、前記エンドツール側に形成されることを特徴とする請求項1に記載の
手動で作動可能な手術用インストルメント。
【請求項6】
前記エンドツールは、それぞれ回転自在に形成される第1ジョー及び第2ジョーを含み、
前記操作部は、前記エンドツールの前記2つのジョーの動作を制御することを特徴とする請求項1に記載の
手動で作動可能な手術用インストルメント。
【請求項7】
前記動力伝達部は、
前記操作部と連結され、前記操作部の回転を、前記第1ジョーに伝達する第1ジョー駆動ワイヤと、
前記操作部と連結され、前記操作部の回転を、前記第2ジョーに伝達する第2ジョー駆動ワイヤと、を含み、
前記第1ジョー駆動ワイヤ及び前記第2ジョー駆動ワイヤの動作は、それぞれ独立して遂行されることを特徴とする請求項6に記載の
手動で作動可能な手術用インストルメント。
【請求項8】
前記エンドツールのヨー運動及びアクチュエーション運動は、前記第1ジョーに連結されたJ11プーリーを回転させる第1ジョー駆動ワイヤと、前記第2ジョーに連結されたJ21プーリーを回転させる第2ジョー駆動ワイヤによって遂行され、
前記エンドツールのピッチ運動は、前記J11プーリーに巻かれた前記第1ジョー駆動ワイヤの両側を引っ張るか、あるいは前記J21プーリーに巻かれた前記第2ジョー駆動ワイヤの両側を引っ張って遂行されることを特徴とする請求項7に記載の
手動で作動可能な手術用インストルメント。
【請求項9】
前記第1ジョー駆動ワイヤ及び前記第2ジョー駆動ワイヤの2本のワイヤによってのみ、前記エンドツールのピッチ運動、_ヨー運動及びアクチュエーション運動が制御されることを特徴とする請求項7に記載の
手動で作動可能な手術用インストルメント。
【請求項10】
前記第1ジョー駆動ワイヤ及び前記第2ジョー駆動ワイヤのうち1本以上のワイヤに対して、前記エンドツールに巻かれているワイヤの両側を同時に引っ張れば、前記エンドツールのピッチ運動が行われることを特徴とする請求項7に記載の
手動で作動可能な手術用インストルメント。
【請求項11】
前記第1ジョー駆動ワイヤ及び前記第2ジョー駆動ワイヤのうち1本以上のワイヤに対して、前記エンドツールに巻かれているワイヤの一側は引っ張り、他側は押し出せば、前記エンドツールのヨー運動またはアクチュエーション運動が行われることを特徴とする請求項7に記載の
手動で作動可能な手術用インストルメント。
【請求項12】
前記エンドツールは、前記第1ジョー及び前記第2ジョーのピッチ回転軸を中心に回転するピッチプーリーをさらに含み、
前記動力伝達部は、前記ピッチプーリーに巻かれ、前記操作部と連結され、前記操作部のピッチ運動を、前記ピッチプーリーに伝達するピッチワイヤをさらに含むことを特徴とする請求項7または9に記載の
手動で作動可能な手術用インストルメント。
【請求項13】
前記動力伝達部は、前記エンドツールと前記操作部とを連結し、前記操作部のピッチ運動を、前記エンドツールに伝達する4節リンクを含むことを特徴とする請求項6に記載の
手動で作動可能な手術用インストルメント。
【請求項14】
前記動力伝達部は、
前記操作部と連結され、前記操作部のピッチ運動を、前記エンドツールに伝達するピッチワイヤと、
前記操作部と連結され、前記操作部のヨー運動を、前記エンドツールに伝達するヨーワイヤと、
前記操作部と連結され、前記操作部のアクチュエーション運動を、前記エンドツールに伝達するアクチュエーションワイヤと、を含み、
前記ピッチワイヤ、前記ヨーワイヤ、及び前記アクチュエーションワイヤの動作は、それぞれ独立して遂行されることを特徴とする請求項6に記載の
手動で作動可能な手術用インストルメント。
【請求項15】
前記エンドツールのアクチュエーション運動は、前記第1ジョー及び前記第2ジョーの回転軸と連結されたアクチュエーションワイヤによって行われ、
前記エンドツールのヨー運動は、前記第1ジョー及び前記第2ジョーと連結されたヨープーリーを回転させるヨーワイヤによって行われ、
前記エンドツールのピッチ運動は、前記第1ジョー及び前記第2ジョーと連結されたピッチプーリーを回転させるピッチワイヤによって行われることを特徴とする請求項6に記載の
手動で作動可能な手術用インストルメント。
【請求項16】
前記動力伝達部は、
前記操作部と連結され、前記操作部のピッチ運動を、前記エンドツールに伝達するピッチワイヤと、
前記操作部と連結され、前記操作部の回転を、前記第1ジョーに伝達する第1ジョー駆動ワイヤと、
前記操作部と連結され、前記操作部の回転を、前記第2ジョーに伝達する第2ジョー駆動ワイヤと、を含み、
前記ピッチワイヤ、前記第1ジョー駆動ワイヤ及び前記第2ジョー駆動ワイヤの動作は、それぞれ独立して遂行されることを特徴とする請求項6に記載の
手動で作動可能な手術用インストルメント。
【請求項17】
前記エンドツールのヨー運動及びアクチュエーション運動は、前記第1ジョーに連結された第1ジョープーリーを回転させる第1ジョー駆動ワイヤと、前記第2ジョーに連結された第2ジョープーリーを回転させる第2ジョー駆動ワイヤと、によって行われ、
前記エンドツールのピッチ運動は、前記第1ジョー及び前記第2ジョーと連結されたピッチプーリーを回転させるピッチワイヤによって行われることを特徴とする請求項6に記載の
手動で作動可能な手術用インストルメント。
【請求項18】
前記操作部は、
前記エンドツールのピッチ運動を制御するピッチ操作部と、
前記エンドツールのヨー運動を制御するヨー操作部と、
前記エンドツールの前記2つのジョーが互いに反対方向に回転するように制御するアクチュエーション操作部と、を含むことを特徴とする請求項6に記載の
手動で作動可能な手術用インストルメント。
【請求項19】
前記ピッチ操作部が、ピッチ駆動軸を中心に回転されれば、前記ピッチ駆動軸を基準に、前記エンドツールが、前記ピッチ操作部と同一方向に回転されることを特徴とする請求項18に記載の
手動で作動可能な手術用インストルメント。
【請求項20】
前記ヨー操作部がヨー駆動軸を中心に回転されれば、前記ヨー駆動軸を基準に、前記エンドツールが、前記ヨー操作部と同一方向に回転されることを特徴とする請求項18に記載の
手動で作動可能な手術用インストルメント。
【請求項21】
前記アクチュエーション操作部が、アクチュエーション駆動軸を中心に回転されれば、前記第1ジョー及び第2ジョーが、互いに反対方向に回転されることを特徴とする請求項18に記載の
手動で作動可能な手術用インストルメント。
【請求項22】
前記ピッチ操作部が、ピッチ駆動軸を中心に回転されれば、前記ヨー操作部及び前記アクチュエーション操作部が、前記ピッチ操作部と共に回転することを特徴とする請求項18に記載の
手動で作動可能な手術用インストルメント。
【請求項23】
前記連結部は、前記エンドツールと、前記操作部のピッチ駆動軸とを連結しながら、1回以上曲折されるように形成されることを特徴とする請求項7に記載の
手動で作動可能な手術用インストルメント。
【請求項24】
前記ヨー操作部と前記アクチュエーション操作部は、独立して回転自在に形成されることを特徴とする請求項18に記載の
手動で作動可能な手術用インストルメント。
【請求項25】
前記アクチュエーション操作部は、前記ヨー操作部上に形成され、前記ヨー操作部の回転時、前記アクチュエーション操作部が、前記ヨー操作部と共に回転することを特徴とする請求項18に記載の
手動で作動可能な手術用インストルメント。
【請求項26】
前記操作部は、
前記エンドツールのピッチ運動を制御するピッチ操作部と、
前記第1ジョー及び第2ジョーの回転運動を制御するジョー操作部と、を含むことを特徴とする請求項6に記載の
手動で作動可能な手術用インストルメント。
【請求項27】
前記ジョー操作部は、
前記第1ジョーの回転運動を制御する第1ジョー駆動バー、及び前記第1ジョー駆動バーの回転中心になる第1ジョー駆動軸を含む第1ジョー操作部と、
前記第2ジョーの回転運動を制御する第2ジョー駆動バー、及び前記第2ジョー駆動バーの回転中心になる第2ジョー駆動軸を含む第2ジョー操作部と、を含む請求項26に記載の
手動で作動可能な手術用インストルメント。
【請求項28】
前記第1ジョー駆動バーが、前記第1ジョー駆動軸を中心に回転されれば、前記第1ジョー駆動軸を基準に、前記第1ジョーが、前記第1ジョー駆動バーと実質的に同一方向に回転され、
前記第2ジョー駆動バーが、前記第2ジョー駆動軸を中心に回転されれば、前記第2ジョー駆動軸を基準に、前記第2ジョーが、前記第2ジョー駆動バーと実質的に同一方向に回転されることを特徴とする請求項27に記載の
手動で作動可能な手術用インストルメント。
【請求項29】
前記ピッチ操作部が、ピッチ駆動軸を中心に回転されれば、前記ピッチ駆動軸を基準に、前記エンドツールが、前記ピッチ操作部と同一方向に回転されることを特徴とする請求項27に記載の
手動で作動可能な手術用インストルメント。
【請求項30】
前記ピッチ操作部が、ピッチ駆動軸を中心に回転されれば、前記第1ジョー操作部及び前記第2ジョー操作部が、前記ピッチ操作部と共に回転することを特徴とする請求項27に記載の
手動で作動可能な手術用インストルメント。
【請求項31】
前記連結部は、前記エンドツールと、前記操作部のピッチ駆動軸とを連結しながら、1回以上曲折されるように形成されることを特徴とする請求項7に記載の
手動で作動可能な手術用インストルメント。
【請求項32】
前記動力伝達部は、
それぞれ所定の回転運動または並進運動を入力される2以上の入力部と、
前記2以上の入力部に入力された回転運動または並進運動から、単一の回転運動または並進運動を出力する出力部と、を含む差動部材を含むことを特徴とする請求項1に記載の
手動で作動可能な手術用インストルメント。
【請求項33】
前記動力伝達部は、1以上の差動部材を具備し、
前記差動部材は、
2以上の入力部、1つの出力部、及び前記入力部と前記出力部を連結する差動制御部材を具備し、
前記2以上の入力部に入力された並進運動または回転運動によって、前記差動制御部材の少なくとも一部の並進運動または回転運動が生じ、
前記差動制御部材の少なくとも一部の並進運動または回転運動によって、前記2以上の入力部に入力された並進運動または回転運動の和または差ほど、前記出力部が、並進運動または回転運動を行うことを特徴とする請求項32に記載の手術用インストルメント。
【請求項34】
前記2以上の入力部は、それぞれ独立して、回転運動または並進運動が可能であることを特徴とする請求項32に記載の手術用インストルメント。
【請求項35】
前記差動部材は、1つの前記入力部のみに、所定の回転運動または並進運動が入力される場合、前記入力された回転運動または並進運動は、前記出力部のみに伝達されることを特徴とする請求項32に記載の
手動で作動可能な手術用インストルメント。
【請求項36】
2以上の前記入力部に、それぞれ所定の回転運動または並進運動が入力される場合、前記それぞれの入力部に入力された回転運動または並進運動の和または差が、前記出力部を介して出力されることを特徴とする請求項32に記載の
手動で作動可能な手術用インストルメント。
【請求項37】
前記出力部を介して出力される回転運動または並進運動は、次の数式を介して算出され、ここで、Cは、出力部を介して出力される回転運動または並進運動量、A及びBは、2以上の入力部を介してそれぞれ入力される回転運動または並進運動量、α及びβは、各入力量の加重値であることを特徴とする請求項36に記載の
手動で作動可能な手術用インストルメント。
<数式>C=αA±βB。
【請求項38】
前記それぞれの入力部に入力される回転運動または並進運動は、相互間に干渉を起こさないことを特徴とする請求項32に記載の
手動で作動可能な手術用インストルメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手術用インストルメントに係り、詳細には、腹腔鏡手術、またはさまざまな多様な手術に使用するために、手動で作動可能な手術用インストルメントに関する。
【背景技術】
【0002】
医学的に手術とは、肌や粘膜、その他組織を、医療機器を使用して、切り取ったり切り裂いたりして操作を加え、病気を直すことをいう。特に、手術部位の肌を切開して開き、その内部にある器官などを治療、成形したり、あるいは除去する開腹手術などは、出血、副作用、患者の苦痛、傷跡のような問題を引き起こす。従って、最近には、皮膚に所定の孔を形成し、医療機器、例えば、腹腔鏡、手術用インストルメント、微細手術用顕微鏡だけを挿入して行う手術、またはロボット(robot)を使用した手術が代案として脚光を浴びている。
【0003】
手術用インストルメントは、皮膚に穿孔された孔を通過するシャフトの一端に具備されたエンドツール(end tool)を、所定の操作部を使用して、医師が直接手で操作したり、あるいはロボットアームを使用して操作することにより、手術部位を手術するための器具である。手術用インストルメントに具備されたエンドツールの所定構造を介した回転動作、グリッピング動作(gripping)、切断動作(cutting)などを遂行する。
【0004】
ところで、既存の手術用インストルメントは、エンドツール部分が屈曲しておらず、手術部位への接近、及びさまざまな手術動作の遂行において、容易ではないという問題点が存在した。それを補うために、エンドツール部分が反り曲がる手術用インストルメントが開発されたが、エンドツールを屈曲させたり、あるいは手術動作を遂行するための操作部の作動が、実際のエンドツールが屈曲されたり、あるいは手術動作を遂行する動作と直観的に一致せず、施術者の立場で直観的な作動が容易ではなく、使用方法の熟練に、長年の時間を必要とするという問題点が存在した。
【0005】
前述の背景技術は、発明者が本発明の導出のために保有していたり、あるいは本発明の導出過程で習得した技術情報であり、必ずしも本発明の出願前に、一般公衆に公開された公知技術というものではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、前述の問題点を解決するためのものであり、実際のエンドツールが屈曲したり、あるいは手術動作を遂行する動作と、それに対応する操作部の作動とを、直観的に一致させるための手術用インストルメントを提供することである。
【0007】
さらに具体的には、そのために、さまざまな自由度を有するエンドツール、エンドツールの動作を直観的に操作させる構造を有する操作部、操作部の操作通りに、エンドツールの動作が可能になるように、操作部の駆動力をエンドツールに伝達する動力伝達部を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、少なくとも2以上の方向に回転自在に形成されるエンドツール(end tool);前記エンドツールの動作を制御する操作部;前記操作部の動作を、前記エンドツールに伝達する1以上のワイヤ及び1以上のプーリーを含む動力伝達部;及び一端部には、前記エンドツールが結合され、他端部には、前記操作部が結合され、前記操作部と前記エンドツールとを連結する連結部;を含み、前記操作部の少なくとも一部は、前記エンドツール側に延設され、前記操作部を、前記2以上の方向にそれぞれ回転させれば、前記エンドツールが、前記操作部の操作方向と実質的に同一方向に回転することを特徴とする手術用インストルメントを提供する。
【0009】
他の側面による本発明は、手術用インストルメントに具備されるエンドツールにおいて、互いに独立して動作する第1ジョー(jaw)及び第2ジョー(jaw);及び前記第1ジョーと結合し、第1軸を中心に回転自在に形成されるJ11プーリー、前記第1軸と所定の角度をなす軸を中心に、それぞれ回転自在に形成され、互いに対向するように形成されたJ12プーリー及びJ14プーリー、並びに前記第1軸と所定の角度をなす軸を中心に、それぞれ回転自在に形成され、互いに対向するように形成されたJ13プーリー及びJ15プーリーを含むと同時に、前記第2ジョーと結合し、前記J11プーリーと対向するように形成されるJ21プーリー、前記第1軸と所定の角度をなす軸を中心に、それぞれ回転自在に形成され、互いに対向するように形成されたJ22プーリー及びJ24プーリー、並びに前記第1軸と所定の角度をなす軸を中心に、それぞれ回転自在に形成され、互いに対向するように形成されたJ23プーリー及びJ25プーリーを含むエンドツール制御部材;を含み、前記第1ジョー駆動ワイヤは、前記J13プーリー、前記J12プーリー、前記J11プーリー、前記J14プーリー、前記J15プーリーと、少なくとも一部が順に接触するように形成され、前記J11プーリーないしJ15プーリーを回転させ、前記第2ジョー駆動ワイヤは、前記J23プーリー、前記J22プーリー、前記J21プーリー、前記J24プーリー、前記J25プーリーと、少なくとも一部が順に接触するように形成され、前記J21プーリーないしJ25プーリーを回転させることを特徴とするエンドツールを提供する。
【0010】
さらに他の側面による本発明は、互いに独立して動作する第1ジョー及び第2ジョーを含むエンドツール;前記エンドツールの前記2つのジョーの動作を制御する操作部;前記操作部と連結され、前記操作部の回転を、前記第1ジョーに伝達する第1ジョー駆動ワイヤと、前記操作部と連結され、前記操作部の回転を、前記第2ジョーに伝達する第2ジョー駆動ワイヤと、を含む動力伝達部;及び一端部には、前記エンドツールが結合され、他端部には、前記操作部が結合され、前記操作部と前記エンドツールとを連結する連結部;を含み、前記操作部の少なくとも一部は、前記エンドツール側に延設され、前記操作部の作動方向と前記エンドツールの動作方向は、直観的に一致することを特徴とする手術用インストルメントを提供する。
【0011】
さらに他の側面による本発明は、互いに独立して動作する第1ジョー及び第2ジョーを含むエンドツール;前記エンドツールの前記2つのジョーの動作を制御する操作部;前記操作部と連結され、前記操作部のピッチ(pitch)運動を、前記エンドツールに伝達するピッチワイヤ、前記操作部と連結され、前記操作部のヨー(yaw)運動を、前記エンドツールに伝達するヨーワイヤ、及び前記操作部と連結され、前記操作部のアクチュエーション(actuation)運動を、前記エンドツールに伝達するアクチュエーションワイヤを含む動力伝達部;及び一端部には、前記エンドツールが結合され、他端部には、前記操作部が結合され、前記操作部と前記エンドツールとを連結する連結部;を含み、前記操作部の少なくとも一部は、前記エンドツール側に延設され、前記操作部の作動方向と前記エンドツールの動作方向は、直観的に一致することを特徴とする手術用インストルメントを提供する。
【0012】
さらに他の側面による本発明は、互いに独立して動作する第1ジョー及び第2ジョーを含むエンドツール;前記エンドツールの前記2つのジョーの動作を制御する操作部;前記操作部と連結され、前記操作部のピッチ運動を、前記エンドツールに伝達するピッチワイヤ、前記操作部と連結され、前記操作部の回転を、前記第1ジョーに伝達する第1ジョー駆動ワイヤ、及び前記操作部と連結され、前記操作部の回転を、前記第2ジョーに伝達する第2ジョー駆動ワイヤを含む動力伝達部;及び一端部には、前記エンドツールが結合され、他端部には、前記操作部が結合され、前記操作部と前記エンドツールとを連結する連結部;を含み、前記操作部の少なくとも一部は、前記エンドツール側に延設され、前記操作部の作動方向と前記エンドツールの動作方向は、直観的に一致することを特徴とする手術用インストルメントを提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、施術者による操作部の操作方向と、エンドツールの作動方向とが直観的に同一方向であるために、施術者の便宜性が向上し、手術の正確性、信頼性及び迅速性などが向上する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1実施形態による手術用インストルメントを示す図面である。
【
図2】
図1の手術用インストルメントの内部詳細図である。
【
図3】
図2の手術用インストルメントの操作部の概念図である。
【
図3A】本発明の第1実施形態による手術用インストルメントの操作部の多様な変形例を示す図面である。
【
図4A】
図2の手術用インストルメントの第1差動プーリーの詳細図である。
【
図4B】
図2の手術用インストルメントの第2差動プーリーの詳細図である。
【
図5】
図2の手術用インストルメントのエンドツールの詳細図である。
【
図5A】
図5のエンドツールの一変形例を示す図面である。
【
図6】
図2の手術用インストルメントのピッチ動作を示す概念図である。
【
図7】
図1に図示された第1実施形態のエンドツールの一変形例による手術用インストルメントを示す図面である。
【
図8】
図7の手術用インストルメントのエンドツールの詳細図である。
【
図9】
図1に図示された第1実施形態の操作部の一変形例による手術用インストルメントを示す図面である。
【
図10】
図1に図示された第1実施形態の操作部制御部材の一変形例による手術用インストルメントを示す図面である。
【
図11】
図1に図示された第1実施形態のエンドツール制御部材の一変形例による手術用インストルメントを示す図面である。
【
図12】
図1に図示された第1実施形態のエンドツール制御部材及び操作部制御部材の一変形例による手術用インストルメントを示す図面である。
【
図13】
図1に図示された第1実施形態のエンドツール制御部材の他の一変形例による手術用インストルメントを示す図面である。
【
図15】
図2に図示された手術用インストルメントの差動プーリーの第1変形例を示す図面である。
【
図16】
図15に図示された差動プーリーの第1変形例の作動を示す図面である。
【
図17】
図15に図示された差動プーリーの第1変形例の作動を示す図面である。
【
図18】
図2に図示された手術用インストルメントの差動プーリーの第2変形例を示す図面である。
【
図19】
図18に図示された差動プーリーの第2変形例の作動を示す図面である。
【
図20】
図18に図示された差動プーリーの第2変形例の作動を示す図面である。
【
図21A】
図18に図示された差動プーリーの第2変形例のさらに他の具現例を示す図面である。
【
図21B】
図18に図示された差動プーリーの第2変形例のさらに他の具現例を示す図面である。
【
図21C】
図18に図示された差動プーリーの第2変形例のさらに他の具現例を示す図面である。
【
図21D】
図18に図示された差動プーリーの第2変形例のさらに他の具現例を示す図面である。
【
図21E】
図18に図示された差動プーリーの第2変形例のさらに他の具現例を示す図面である。
【
図22】
図2に図示された手術用インストルメントの差動プーリーの第3変形例を示す図面である。
【
図23】
図2に図示された手術用インストルメントの差動プーリーの第3変形例を示す図面である。
【
図24】
図2に図示された手術用インストルメントの動力伝達部の一変形例による手術用インストルメントを示す図面である。
【
図28】本発明の第2実施形態による手術用インストルメントを示す図面である。
【
図29】
図28に図示された第2実施形態の差動プーリーの一変形例による手術用インストルメントを示す図面である。
【
図30】本発明の第3実施形態による手術用インストルメントを示す図面である。
【
図31】
図30に図示された第3実施形態の一変形例による手術用インストルメントを示す図面である。
【
図32】本発明の第4実施形態による手術用インストルメントに適用されるエンドツールの分解斜視図である。
【
図33】
図32のエンドツールのXZ平面上での側面図である。
【
図35】
図34のエンドツールがヨー運動を行う様子を示す平面図である。
【
図36】
図34のエンドツールがアクチュエーション運動を行う様子を示す平面図である。
【
図37】本発明の第4実施形態による手術用インストルメントを示す図面である。
【
図38】本発明の第5実施形態による手術用インストルメントを示す図面である。
【
図39】本発明の第6実施形態による手術用インストルメントを示す図面である。
【
図40】本発明の第7実施形態による手術用インストルメントに適用されるエンドツールのXZ平面上での側面図である。
【
図41】
図40のエンドツールのXY平面上での平面図である。
【
図42】
図41のエンドツールがヨー(yaw)運動を行う様子を示す平面図である。
【
図43】
図41のエンドツールがアクチュエーション運動を行う様子を示す平面図である。
【
図44】本発明の第7実施形態による手術用インストルメントを示す図面である。
【
図45】本発明の第8実施形態による手術用インストルメントを示す図面である。
【
図46】
図45に図示された第8実施形態の差動プーリーの一変形例による手術用インストルメントを示す図面である。
【
図47】本発明の第9実施形態による手術用インストルメントを示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、多様な変換を加えることができ、さまざまな実施形態を有するが、特定実施形態を図面に例示し、詳細な説明で詳細に説明する。しかし、それらは、本発明を特定の実施形態について限定するものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変換、均等物あるいは代替物を含むものであると理解するものである。本発明について説明するにあたり、関連公知技術に係わる具体的な説明が、本発明の要旨を不明確にすることがあると判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0016】
第1、第2のような用語は、多様な構成要素について説明するところに使用されるが、前記構成要素は、前記用語によって限定されるものではない。前記用語は、1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的のみに使用される。
【0017】
本発明で使用した用語は、ただ特定の実施形態について説明するために使用されたものであり、本発明を限定する意図ではない。単数の表現は、文脈上明白に異なって意味しない限り、複数の表現を含む。本発明で、「含む」または「有する」というような用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品、またはそれらの組み合わせが存在するということを指定するものであり、一つまたはそれ以上の他の特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品、あるいはそれらの組み合わせの存在または付加の可能性を事前に排除するものではないということを理解しなければならない。
【0018】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明するが、添付図面を参照して説明するにあたり、同一であるか、あるいは対応する構成要素は、同一の図面番号を付し、それに係わる重複説明は省略する。
【0019】
また、本発明の多様な実施形態の説明において、各実施形態が独立して解釈されたり、あるいは実施されなければならないのではなく、各実施形態で説明する技術的思想が、個別的に説明する他の実施形態に組み合わされて解釈されたり、あるいは実施されると理解しなければならない。
【0020】
<手術用インストルメントの第1実施形態>(E3+H1+D3)
図1は、本発明の第1実施形態による手術用インストルメント100を示す図面であり、
図2は、
図1の手術用インストルメント100の内部詳細図である。
【0021】
図1及び
図2を参照すれば、本発明の第1実施形態による手術用インストルメント100は、操作部110、エンドツール(end tool)120、動力伝達部130及び連結部140を含む。ここで、連結部140は、中空のシャフト(shaft)状に形成され、その内部に、1以上の(後述する)ワイヤが収容され、その一端部には、操作部110が結合され、他端部には、エンドツール120が結合され、操作部110とエンドツール120とを連結する役割を行うことができる。
【0022】
詳細には、操作部110は、連結部140の一端部に形成され、医師が直接操作することができるインターフェース、例えば、グリッピング(gripping)形状、スティック形状、レバー形状などで具備され、それを医師が操作すれば、当該インターフェースに連結され、手術患者の体内に挿入されるエンドツール120が、作動を行うことにより、手術を遂行する。ここで、
図1には、操作部110が、グリッピング形状に形成されるように図示されているが、本発明の思想は、それに制限されるものではなく、エンドツール120と連結され、エンドツール120を操作することができる多様な形態の操作部が可能である。
【0023】
エンドツール120は、連結部140の他端部に形成され、手術部位に挿入され、手術に必要な動作を遂行する。かようなエンドツール120の一例として、
図1に図示されたように、グリッピング動作を遂行するための1対のジョー(jaw)121,122が使用されてもよい。ただし、本発明の思想は、それに制限されるものではなく、手術のための多様な装置が、エンドツール120として使用されるのである。例えば、1本アーム焼灼器のような構成も、エンドツールとして使用されるのである。かようなエンドツール120は、操作部110と動力伝達部130とによって連結され、操作部110の駆動力を、動力伝達部130を介して伝達されることにより、グリッピング動作、切断(cutting)動作、縫合(suturing)動作のような手術に必要な動作を遂行する。ここで、本発明の第1実施形態による手術用インストルメント100のエンドツール120は、少なくとも2以上の方向に回転自在に形成され、例えば、エンドツール120は、
図1のY軸を中心に、ピッチ(pitch)運動を行うと同時に、
図1のZ軸を中心に、ヨー(yaw)運動及びアクチュエーション(actuation)運動を行うように形成されてもよい。それについては、追って詳細に説明する。
【0024】
動力伝達部130は、操作部110とエンドツール120とを連結し、操作部110の駆動力をエンドツール120に伝達する役割を行い、多数のワイヤ及びプーリーを含む。
【0025】
以下では、
図1の手術用インストルメント100の操作部110、エンドツール120、動力伝達部130などについて、さらに詳細に説明する。
【0026】
(操作部)
図3は、
図2の手術用インストルメント100の操作部の概念図である。
【0027】
図1、
図2及び
図3を参照すれば、本発明の第1実施形態による手術用インストルメント100の操作部110は、エンドツール120のピッチ運動を制御するピッチ操作部(pitch operator)111と、エンドツール120のヨー運動を制御するヨー操作部(yaw operator)112と、エンドツール120のアクチュエーション(actuation)運動を制御するアクチュエーション操作部(actuation operator)113と、を含む。
【0028】
ここで、本発明で使用されるピッチ、ヨー及びアクチュエーションの動作それぞれについて定義すれば、次の通りである。
【0029】
まず、ピッチ動作は、連結部140の延長方向(
図1のX軸方向)に対して上下方向への運動、すなわち、
図1のY軸を中心に回転する動作を意味する。言い換えれば、連結部140の延長方向(
図1のX軸方向)に延設されているエンドツール120が、Y軸を中心に上下に回転する運動を意味する。次に、ヨー動作は、連結部140の延長方向(
図1のX軸方向)に対して左右方向への運動、すなわち、
図1のZ軸を中心に回転する動作を意味する。言い換えれば、連結部140の延長方向(
図1のX軸方向)に延設されているエンドツール120が、Z軸を中心に左右に回転する運動を意味する。一方、アクチュエーション動作は、ヨー動作と同一の回転軸を中心に回転するが、2つのジョー121,122が互いに反対方向に回転しながら、ジョーがすぼんだり開いたりする動作を意味する。すなわち、エンドツール120に形成された2つのジョー121,122が、Z軸を中心に互いに反対方向に回転する運動を意味する。
【0030】
ここで、本発明の第1実施形態による手術用インストルメント100は、操作部110をいずれか一方向に回転させれば、エンドツール120が、前記操作部110の操作方向と直観的に同一方向に回転することを一特徴とする。言い換えれば、操作部110のピッチ操作部111を、いずれか一方向に回転させれば、エンドツール120も、前記一方向と直観的に同一方向に回転してピッチ運動を行い、操作部110のヨー操作部112を、いずれか一方向に回転させれば、エンドツール120も、前記一方向と直観的に同一方向に回転してヨー動作を遂行するのである。ここで、直観的に同一方向というのは、操作部110を把持しているユーザの人差し指の移動方向と、エンドツール120の端部の移動方向とが、実質的に同一方向をなすことであると敷衍説明することができる。ここで、同一方向ということは、三次元座標上で完璧に一致する方向ということではなく、例えば、ユーザの人差し指が左に移動すれば、エンドツール120の端部も左に移動し、ユーザの人差し指が右側に移動すれば、エンドツール120の端部も右側に移動するほどの同一性であると理解するということは、言うまでもない。
【0031】
そして、そのために、本発明の第1実施形態による手術用インストルメント100は、操作部110とエンドツール120とが、連結部140の延長軸(X軸)に垂直である平面を基準に、同一方向に形成されることを一特徴とする。すなわち、
図1のYZ平面を基準にしたとき、操作部110は、+X軸方向に延設されており、同時にエンドツール120も、+X軸方向に延設されているのである。言い換えれば、連結部140の一端部でのエンドツール120の形成方向と、連結部140の他端部での操作部110の形成方向とが、YZ平面を基準に、同一方向であると言うことができる。または、言い換えれば、操作部110がそれを把持するユーザの体から遠ざかる方向、すなわち、エンドツール120が形成された方向に形成されたと言うこともできる。
【0032】
詳細には、従来の手術用インストルメントの場合、ユーザが操作部を操作する方向と、エンドツールの実際の作動方向とが互いに異なっており、直観的に一致しないので、施術者の立場では、直観的な作動が容易ではなく、エンドツールが所望の方向に動くように熟練するのに長年の時間が必要となり、場合によっては、誤動作が発生し、患者に被害を与えることがあるという問題点が存在した。
【0033】
かような問題点を解決するために、本発明の第1実施形態による手術用インストルメント100は、操作部110の操作方向とエンドツール120の作動方向とが、直観的に同一方向になるようにし、そのために、操作部110とエンドツール120とが、ピッチ駆動軸1111を含むYZ平面を基準にしたとき、同じ側に形成されることを一特徴とする。それについて、さらに詳細に説明すれば、次の通りである。
【0034】
図1、
図2及び
図3を参照すれば、本発明の第1実施形態による手術用インストルメント100の操作部110は、エンドツール120のピッチ運動を制御するピッチ操作部111と、エンドツール120のヨー運動を制御するヨー操作部112と、エンドツール120のアクチュエーション運動を制御するアクチュエーション操作部113と、を含む。
【0035】
ピッチ操作部111は、ピッチ駆動軸(pitch operating axis)1111と、ピッチ駆動バー(pitch operating bar)1112と、を含む。ここで、ピッチ駆動軸1111は、Y軸と平行な方向に形成され、ピッチ駆動バー1112は、ピッチ駆動軸1111と連結され、ピッチ駆動軸1111と共に回転するように形成される。例えば、ユーザが、ピッチ駆動バー1112を手で握っている状態で、ピッチ駆動バー1112を回転させれば、ピッチ駆動バー1112と連結されたピッチ駆動軸1111が共に回転し、かような回転力が、動力伝達部130を介してエンドツール120に伝達され、エンドツール120が、ピッチ駆動軸1111の回転方向と同一方向に回転するのである。すなわち、ピッチ操作部111が、ピッチ駆動軸1111を中心に、時計回りに回転すれば、エンドツール120もまた、ピッチ駆動軸1111と平行な軸を中心に、時計回りに回転し、一方、ピッチ操作部111が、ピッチ駆動軸1111を中心に、反時計回りに回転すれば、エンドツール120もまた、ピッチ駆動軸1111と平行な軸を中心に、反時計回りに回転することになる。
【0036】
なお、ヨー操作部112と、アクチュエーション操作部113は、ピッチ操作部111のピッチ駆動バー1112の一端部上に形成されている。従って、ピッチ操作部111が、ピッチ駆動軸1111を中心に回転すれば、ヨー操作部112及びアクチュエーション操作部113も、ピッチ操作部111と共に回転する。すなわち、
図1及び
図3には、ピッチ操作部111のピッチ駆動バー1112が、連結部140に対して垂直に位置した状態を図示している一方、
図2には、ピッチ操作部111のピッチ駆動バー1112が、ピッチ駆動軸1111を中心に一定程度回転し、ピッチ駆動バー1112が、連結部140に対して傾くように位置した状態を図示している。
【0037】
それにより、ヨー操作部112と、アクチュエーション操作部113との座標系は、固定されたものではなく、ピッチ操作部111の回転によって、相対的に続けて変化する。すなわち、
図1には、ヨー操作部112のヨー駆動軸1121と、アクチュエーション操作部113のアクチュエーション駆動軸1131とがZ軸と平行であり、ヨー操作部112と、アクチュエーション操作部113とがそれぞれZ軸と平行な軸を中心に回転すると図示されている。しかし、
図2のように、ピッチ操作部111が回転すれば、ヨー操作部112のヨー駆動軸1121と、アクチュエーション操作部113のアクチュエーション駆動軸1131とがZ軸と平行ではなくなる。すなわち、ヨー操作部112と、アクチュエーション操作部113との座標系が、ピッチ操作部111の回転によって、変化したのである。ただし、本発明では、説明の便宜のために、別途の説明がない以上、ヨー操作部112と、アクチュエーション操作部113との座標系は、
図1のように、ピッチ駆動バー1112が連結部140に対して垂直に位置した状態を基準にして説明する。
【0038】
ヨー操作部112は、ヨー駆動軸1121と、ヨー駆動バー1122と、を含む。ここで、ヨー駆動軸1121は、連結部140が形成されているXY平面と所定角をなすように形成されてもよい。例えば、ヨー駆動軸1121は、
図1に図示されたように、Z軸と平行な方向に形成され、この状態で、ピッチ操作部111が回転する場合、前述のように、ヨー操作部112の座標系は、相対的に変わる。本発明の思想は、これに制限されるものではなく、人体工学的(ergonomic)設計によって、ヨー操作部112を把持するユーザの手構造に適するように、ヨー駆動軸1121は、多様な方向に形成されるということは、言うまでもない。一方、ヨー駆動バー1122は、ヨー駆動軸1121と連結され、ヨー駆動軸1121と共に回転するように形成される。例えば、ユーザが、ヨー駆動バー1122に人差し指を嵌め込んだ状態で、ヨー駆動バー1122を回転させれば、ヨー駆動バー1122と連結されたヨー駆動軸1121が共に回転し、かような回転力が、動力伝達部130を介して、エンドツール120に伝達され、エンドツール120の2つのジョー121,122が、ヨー駆動軸1121の回転方向と同一方向に、左右に回転するのである。
【0039】
一方、ヨー駆動軸1121の両端部には、それぞれ第1プーリー1121aと、第2プーリー1121bと、が形成されてもよい。そして、第1プーリー1121aには、YC1ワイヤ135YC1が連結され、第2プーリー1121bには、YC2ワイヤ135YC2が連結される。
【0040】
アクチュエーション操作部113は、アクチュエーション駆動軸1131と、アクチュエーション駆動バー1132と、を含む。ここで、アクチュエーション駆動軸1131は、連結部140が形成されているXY平面と、所定角をなすように形成されてもよい。例えば、アクチュエーション駆動軸1131は、
図1に図示されたように、Z軸と平行な方向に形成され、その状態で、ピッチ操作部111が回転する場合、前述のように、アクチュエーション操作部113の座標系は、相対的に変わる。本発明の思想は、それに制限されるものではなく、人体工学的設計によって、アクチュエーション操作部113を把持するユーザの手構造に適するように、アクチュエーション駆動軸1131は、多様な方向に形成されるということは、言うまでもない。一方、アクチュエーション駆動バー1132は、アクチュエーション駆動軸1131と連結され、アクチュエーション駆動軸1131と共に回転するように形成される。例えば、ユーザが、アクチュエーション駆動バー1132に親指を嵌め込んだ状態で、アクチュエーション駆動バー1132を回転させれば、アクチュエーション駆動バー1132と連結されたアクチュエーション駆動軸1131が共に回転し、かような回転力が、動力伝達部130を介して、エンドツール120に伝達され、エンドツール120の2つのジョー121,122がアクチュエーション動作を遂行する。ここで、アクチュエーション動作とは、前述のように、2つのジョー121,122が互いに反対方向に回転しながら、ジョー121,122を開いたり閉じたりする動作を意味する。すなわち、アクチュエーション操作部113を一方向に回転させれば、第1ジョー121は、反時計回りに回転し、第2ジョー122は、時計回りに回転しながら、エンドツール120が閉じ、一方、アクチュエーション操作部113を反対方向に回転させれば、第1ジョーは、時計回りに回転し、第2ジョーは、反時計回りに回転しながら、エンドツール120が開かれるのである。
【0041】
一方、アクチュエーション駆動軸1131の両端部には、それぞれ第1プーリー1131aと第2プーリー1131bとが形成されてもよい。そして、第1プーリー1131aには、AC1ワイヤ135AC1が連結され、第2プーリー1131bには、AC2ワイヤ135AC2が連結される。
【0042】
続けて、
図3を参照すれば、本発明の第1実施形態による手術用インストルメント100で、ピッチ操作部111とエンドツール120とが、同一軸上であるか、あるいは平行軸(X軸)上に形成される。すなわち、連結部140の一端部には、ピッチ操作部111のピッチ駆動軸1111が形成され、連結部140の他端部には、エンドツール120が形成されるのである。ここで、図面には、連結部140が直線に形成されるように図示されているが、本発明の思想は、それに制限されるものではなく、連結部140が、必要によって、所定の曲率を有するように湾曲したり、あるいは1回以上折り曲げられて形成されもし、かような場合にも、ピッチ操作部111とエンドツール120は、実質的に同一軸上、あるいは平行軸上に形成されると言える。また、
図3には、ピッチ操作部111とエンドツール120とが、同一の軸(X軸)上に形成されるように図示されているが、本発明の思想は、それに制限されるものではなく、ピッチ操作部111とエンドツール120とが、互いに異なる軸上に形成されもする。それについては、後述する。
【0043】
一方、本発明の第1実施形態による手術用インストルメント100の操作部110は、ピッチ操作部111のピッチ駆動軸1111と連動する操作部制御部材115をさらに具備する。かような操作部制御部材115は、中継プーリー115aを含み、操作部制御部材115の構成は、後述するエンドツール120の構成と実質的に同一であるので、操作部制御部材115、並びにエンドツール制御部材123、及び操作部110の他の構成要素との関係は後述する。
【0044】
図3Aは、本発明の第1実施形態による手術用インストルメント100の操作部110の多様な変形例を示す。
【0045】
図3AのH1は、
図3で説明したように、(1)操作部110のヨー操作部112と、アクチュエーション操作部113とが互いに独立して形成され、ヨー操作部112及びアクチュエーション操作部113のうちいずれか一方の回転が、他方の回転に影響を及ぼさず、(2)ピッチ操作部111が、ヨー操作部112及びアクチュエーション操作部113がなす平面の下側に位置し、(3)ヨー操作部112と、アクチュエーション操作部113とが、エンドツール120の延長線上より上に形成される。かようなH1は、本発明の第1実施形態、第4実施形態、第7実施形態に見られる。
【0046】
一方、
図3AのH2は、(1)操作部110のアクチュエーション操作部113が、ヨー操作部112上に形成され、ヨー操作部112が回転すれば、アクチュエーション操作部113も回転するように形成され、(2)ピッチ操作部111が、ヨー操作部112及びアクチュエーション操作部113がなす平面の下側に位置し、(3)ヨー操作部112と、アクチュエーション操作部113とがエンドツール120の延長線上より上に形成される。かようなH2は、本発明の第2実施形態、第5実施形態、第8実施形態に見られる。
【0047】
一方、
図3AのH3は、(1)操作部110に、互いに独立して回転する第1ジョー操作部112と第2ジョー操作部113とが形成され、(2)ピッチ操作部111が、ヨー操作部112及びアクチュエーション操作部113がなす平面の下側に位置し、(3)ヨー操作部112と、アクチュエーション操作部113とが、エンドツール120の延長線上より上に形成される。かようなH3は、本発明の第3実施形態、第6実施形態、第9実施形態に見られる。
【0048】
一方、
図3AのH4は、(1)操作部110のヨー操作部112と、アクチュエーション操作部113とが互いに独立して形成され、ヨー操作部112及びアクチュエーション操作部113のうちいずれか一方の回転が、他方の回転に影響を及ぼさず、(2)ピッチ操作部111が、ヨー操作部112及びアクチュエーション操作部113がなす平面と、同一平面または隣接平面に位置するような方式で、ピッチ操作部111が、H1などに比べ、ヨー操作部112及びアクチュエーション操作部113に近く形成され、(3)ヨー操作部112と、アクチュエーション操作部113とが、エンドツール120の延長線上より上に形成される。かようなH4は、本発明の
図9に詳細に見られる。
【0049】
一方、
図3AのH5は、(1)操作部110のアクチュエーション操作部113が、ヨー操作部112上に形成され、ヨー操作部112が回転すれば、アクチュエーション操作部113も、回転するように形成され、(2)ピッチ操作部111が、ヨー操作部112及びアクチュエーション操作部113がなす平面と、同一平面または隣接平面に位置するような方式で、ピッチ操作部111が、H2などに比べ、ヨー操作部112及びアクチュエーション操作部113に近く形成され、(3)ヨー操作部112と、アクチュエーション操作部113とがエンドツール120の延長線上より上に形成される。
【0050】
一方、
図3AのH6は、(1)操作部110に、互いに独立して回転する第1ジョー操作部112と第2ジョー操作部113とが形成され、(2)ピッチ操作部111が、ヨー操作部112及びアクチュエーション操作部113がなす平面と、同一平面または隣接平面に位置するような方式で、ピッチ操作部111が、H3などに比べ、ヨー操作部112及びアクチュエーション操作部113に近く形成され、(3)ヨー操作部112と、アクチュエーション操作部113とがエンドツール120の延長線上より上に形成される。
【0051】
一方、
図3AのH7は、(1)操作部110のヨー操作部112と、アクチュエーション操作部113とが互いに独立して形成され、ヨー操作部112及びアクチュエーション操作部113のうちいずれか一方の回転が、他方の回転に影響を及ぼさず、(2)ピッチ操作部111が、ヨー操作部112及びアクチュエーション操作部113がなす平面の下側に位置し、(3)ヨー操作部112と、アクチュエーション操作部113とがエンドツール120の延長線上に形成される。
【0052】
一方、
図3AのH8は、(1)操作部110のアクチュエーション操作部113が、ヨー操作部112上に形成され、ヨー操作部112が回転すれば、アクチュエーション操作部113も、回転するように形成され、(2)ピッチ操作部111が、ヨー操作部112及びアクチュエーション操作部113がなす平面の下側に位置し、(3)ヨー操作部112と、アクチュエーション操作部113とがエンドツール120の延長線上に形成される。
【0053】
一方、
図3AのH9は、(1)操作部110に、互いに独立して回転する第1ジョー操作部112と第2ジョー操作部113とが形成され、(2)ピッチ操作部111が、ヨー操作部112及びアクチュエーション操作部113がなす平面の下側に位置し、(3)ヨー操作部112と、アクチュエーション操作部113とがエンドツール120の延長線上に形成される。
【0054】
一方、
図3AのH10は、(1)操作部110のヨー操作部112と、アクチュエーション操作部113とが互いに独立して形成され、ヨー操作部112及びアクチュエーション操作部113のうちいずれか一方の回転が、他方の回転に影響を及ぼさず、(2)ピッチ操作部111が、ヨー操作部112及びアクチュエーション操作部113がなす平面と、同一平面または隣接平面に位置するような方式で、ピッチ操作部111が、H7などに比べ、ヨー操作部112及びアクチュエーション操作部113に近く形成され、(3)ヨー操作部112と、アクチュエーション操作部113とが、エンドツール120の延長線上に形成される。
【0055】
一方、
図3AのH11は、(1)操作部110のアクチュエーション操作部113が、ヨー操作部112上に形成され、ヨー操作部112が回転すれば、アクチュエーション操作部113も、回転するように形成され、(2)ピッチ操作部111が、ヨー操作部112及びアクチュエーション操作部113がなす平面と、同一平面または隣接平面に位置するような方式で、ピッチ操作部111が、H8などに比べ、ヨー操作部112及びアクチュエーション操作部113に近く形成され、(3)ヨー操作部112と、アクチュエーション操作部113とが、エンドツール120の延長線上に形成される。
【0056】
一方、
図3AのH12は、(1)操作部110に、互いに独立して回転する第1ジョー操作部112と第2ジョー操作部113とが形成され、(2)ピッチ操作部111が、ヨー操作部112及びアクチュエーション操作部113がなす平面と、同一平面または隣接平面に位置するような方式で、ピッチ操作部111が、H9などに比べ、ヨー操作部112及びアクチュエーション操作部113に近く形成され、(3)ヨー操作部112と、アクチュエーション操作部113とが、エンドツール120の延長線上に形成される。
【0057】
それら以外にも、前述の各変形例を含んだ多様な操作部の変形例が、本発明の手術用インストルメントに適用可能である。
【0058】
(動力伝達部)
図4Aは、
図2の手術用インストルメント100の第1差動プーリーの詳細図であり、
図4Bは、
図2の手術用インストルメント100の第2差動プーリーの詳細図である。
【0059】
図1、
図2、
図4A及び
図4Bを参照すれば、本発明の第1実施形態による手術用インストルメント100の動力伝達部130は、差動プーリー131,132、複数個のプーリー、及び複数本のワイヤ135YC1,135YC2,135J11,135J12,135J13,135J21,135J22,135J23を含む。
【0060】
まず、動力伝達部130の差動プーリー131について説明する。
【0061】
前述のように、ヨー操作部112と、アクチュエーション操作部113は、ピッチ操作部111のピッチ駆動バー1112の一端部上に形成されている。従って、ピッチ操作部111が、ピッチ駆動軸1111を中心に回転すれば、ヨー操作部112及びアクチュエーション操作部113も、ピッチ操作部111と共に回転する。また、ヨー操作部112も、第1ジョー121及び第2ジョー122と連結され、第1ジョー121及び第2ジョー122を駆動し、アクチュエーション操作部113も、第1ジョー121及び第2ジョー122と連結され、第1ジョー121及び第2ジョー122を駆動する。ところで、ヨー操作部112を回転させれば、第1ジョー121及び第2ジョー122が互いに同方向に回転しなければならない一方、アクチュエーション操作部113を回転させれば、第1ジョー121及び第2ジョー122が互いに反対方向に回転しなければならず、従って、かような作動を具現するための別途の構造物が必要になる。
【0062】
従って、1つのジョーに対して、ヨー操作部112及びアクチュエーション操作部113の2つの回転入力がいずれも作用するようにしなければならず、そのために、2以上の入力を受け、ジョー1つの回転を出力させるための構造物が必要である。このとき、2つの入力回転は、互いに互いを動かしてはならない。
【0063】
そのために、本発明の第1実施形態による手術用インストルメント100は、2以上の入力部及び1つの出力部を具備し、2以上の入力部から回転力を入力され、それらの和(または差)を介して、所望の1つの回転力を抽出し、出力部を介して出力する差動部材を具備することを一特徴とする。かような差動部材は、プーリー及びワイヤを利用する差動プーリーと、ギアを利用する差動ギアとを含み、
図1、
図2、
図4A及び
図4Bには、差動部材の一例として、差動プーリーが図示されている。一方、後述する
図15~
図27には、かような差動部材の多様な実施形態が図示されている。
【0064】
詳細には、第1差動プーリー131は、第1入力部1311、第2入力部1312及び出力部1313を含む。
【0065】
第1入力部1311は、第1プーリー1311a及び第2プーリー1311bを含む。第1プーリー1311a及び第2プーリー1311bは、同一の回転軸を中心に共に回転する。ここで、第1入力部1311の第1プーリー1311aは、ヨー操作部112の第1プーリー1121aと、YC1ワイヤ135YC1によって連結され、ヨー操作部112の回転を第1入力部1311に伝達させる。また、第1入力部1311の第2プーリー1311bは、出力部1313と、差動制御ワイヤ135J11によって連結され、第1入力部1311の回転を出力部1313に伝達させる。
【0066】
第2入力部1312は、第1プーリー1312a及び第2プーリー1312bを含む。第1プーリー1312a及び第2プーリー1312bは、同一の回転軸を中心に共に回転する。ここで、第2入力部1312の第1プーリー1312aは、アクチュエーション操作部113の第1プーリー1131aと、AC1ワイヤ135AC1によって連結され、アクチュエーション操作部113の回転を第2入力部1312に伝達させる。また、第2入力部1312の第2プーリー1312bは、出力部1313と、差動制御ワイヤ135J11によって連結され、第2入力部1312の回転を出力部1313に伝達させる。
【0067】
出力部1313は、出力プーリー1313a、延長部1313b、第1差動制御プーリー1313c及び第2差動制御プーリー1313dを含む。ここで、出力部1313の出力プーリー1313aは、後述する操作部制御部材115と、J12ワイヤ135J12によって連結され、出力部1313の回転を、操作部制御部材115を介して、エンドツール120の第1ジョー121に伝達させる。一方、延長部1313bは、出力プーリー1313aの回転軸から一方向に延設され、出力プーリー1313aと共に回転自在に形成される。第1差動制御プーリー1313c及び第2差動制御プーリー1313dは、延長部1313bの一端部に、互いに対向するように形成され、出力プーリー1313aの回転軸に、所定角を有するように形成された軸1313eの両端部を中心に回転自在に形成される。
【0068】
ここで、第1入力部1311、第2入力部1312及び出力部1313は、それぞれ独立した軸を中心に、独立して回転する。
【0069】
差動制御ワイヤ135J11は、第1入力部1311の第2プーリー1311b、出力部1313の第1差動制御プーリー1313c、第2入力部1312の第2プーリー1312b、及び出力部1313の第2差動制御プーリー1313dに沿って巻かれてており、第1入力部1311及び第2入力部1312の回転を、出力部1313に伝達する役割を行う。
【0070】
ここで、第1差動プーリー131は、第1入力部1311、第2入力部1312及び出力部1313を具備し、第1入力部1311及び第2入力部1312から回転量を入力され、それら回転量の和を、出力部1313を介して出力する。すなわち、第1入力部1311だけ回転する場合、それを出力部1313を介して出力し、第2入力部1312だけ回転する場合、それを出力部1313を介して出力し、第1入力部1311と第2入力部1312とが同一方向に回転する場合、それらの和を、出力部1313を介して出力し、第1入力部1311と第2入力部1312とが反対方向に回転する場合、それらの差を、出力部1313を介して出力するのである。それについては、次の数式で説明することができる。
【0071】
C=A+B
ここで、Cは、出力部の回転、Aは、第1入力部の回転、Bは、第2入力部の回転である。
【0072】
かような第1差動プーリーの作動については、追って詳細に説明する。
【0073】
一方、第2差動プーリー132は、第1差動プーリー131と同一の構造によって形成され、第1入力部1321、第2入力部1322及び出力部1323を含む。
【0074】
ここで、第1入力部1321の第1プーリー1321aは、ヨー操作部112の第2プーリー1121bと、YC2ワイヤ135YC2によって連結され、ヨー操作部112の回転を第1入力部1321に伝達させる。また、第1入力部1321の第2プーリー1321bは、出力部1323と、差動制御ワイヤ135J21によって連結され、第1入力部1321の回転を出力部1323に伝達させる。
【0075】
一方、第2入力部1322の第1プーリー1322aは、アクチュエーション操作部113の第2プーリー1131bと、AC2ワイヤ135AC2によって連結され、アクチュエーション操作部113の回転を第2入力部1322に伝達させる。また、第2入力部1322の第2プーリー1322bは、出力部1323と、差動制御ワイヤ135J21によって連結され、第2入力部1322の回転を出力部1323に伝達させる。
【0076】
出力部1323は、出力プーリー1323a、延長部1323b、第1差動制御プーリー1323c及び第2差動制御プーリー1323dを含む。ここで、出力部1323の出力プーリー1323aは、後述する操作部制御部材115と、J22ワイヤ135J22によって連結され、出力部1323の回転を、操作部制御部材115を介して、エンドツール120の第2ジョー122に伝達させる。
【0077】
ここで、第2差動プーリー132は、第1入力部1321、第2入力部1322及び出力部1323を具備し、第1入力部1321及び第2入力部1322から回転量を入力され、それら回転量の和を、出力部1323を介して出力する。すなわち、第1入力部1321だけ回転する場合、それを出力部1323を介して出力し、第2入力部1322だけ回転する場合、それを出力部1323を介して出力し、第1入力部1321と第2入力部1322とが同一方向に回転する場合、それらの和を、出力部1323を介して出力し、第1入力部1321と第2入力部1322とが反対方向に回転する場合、それらの差を、出力部1323を介して出力するのである。
【0078】
かような第1差動プーリー131及び第2差動プーリー132の作動について説明する。
【0079】
まず、ヨー操作部112だけ回転し、アクチュエーション操作部113が回転しない場合について説明する。
【0080】
ヨー操作部112が
図2の矢印Y方向に回転すれば、ヨー操作部112の第1プーリー1121a、第1プーリー1121aに巻かれたYC1ワイヤ135YC1、YC1ワイヤ135YC1が巻かれた第1差動プーリー131の第1入力部1311の第1プーリー1311a、及び第1プーリー1311aと連結された第2プーリー1311bが共に回転する。一方、アクチュエーション操作部113と連結された第1差動プーリー131の第2入力部1312は、回転しない。このように、第1差動プーリー131の第1入力部1311は、
図4Aの矢印R1方向に回転し、第2入力部1312が回転しなければ、差動制御ワイヤ135J11で、第1入力部1311に巻かれた部分は、回転するのに対し、第2入力部1312に巻かれた部分は、回転しなくなる。従って、差動制御ワイヤ135J11で、第1入力部1311に巻かれた部分が回転した分だけ、第2入力部1312に巻かれたワイヤが緩み、その分だけ差動制御ワイヤ135J11が移動し、それと同時に、第2差動制御プーリー1313dは、時計回りに回転し、第1差動制御プーリー1313cは、反時計回りに回転する。それと同時に、出力プーリー1313a、延長部1313b、第1差動制御プーリー1313c、第2差動制御プーリー1313dを含む出力部1313は、出力プーリー1313aの回転軸を中心に、
図4Aの矢印R1方向に回転する。そして、かような出力部1313の回転は、操作部制御部材115を介して、エンドツール120の第1ジョー121に伝達され、第1ジョー121が、
図2の矢印YJ方向に回転する。
【0081】
一方、ヨー操作部112が、
図2の矢印Y方向に回転すれば、ヨー操作部112の第2プーリー1121b、第2プーリー1121bに巻かれたYC2ワイヤ135YC2、YC2ワイヤ135YC2が巻かれた第2差動プーリー132の第1入力部1321の第1プーリー1321a、及び第1プーリー1321aと連結された第2プーリー1321bが共に回転する。一方、アクチュエーション操作部113と連結された第2差動プーリー132の第2入力部1322は、回転しない。このように、第2差動プーリー132の第1入力部1321は、
図4Bの矢印R3方向に回転し、第2入力部1322が回転しなければ、差動制御ワイヤ135J21で、第1入力部1321に巻かれた部分は、回転するのに対し、第2入力部1322に巻かれた部分は、回転しなくなる。従って、差動制御ワイヤ135J21で、第1入力部1321に巻かれた部分が回転した分だけ、第2入力部1322に巻かれたワイヤが緩み、その分だけ差動制御ワイヤ135J21が移動し、それと同時に、第2差動制御プーリー1323dは、時計回りに回転し、第1差動制御プーリー1323cは、反時計回りに回転する。それと同時に、出力プーリー1323a、延長部1323b、第1差動制御プーリー1323c、第2差動制御プーリー1323dを含む出力部1323は、出力プーリー1323aの回転軸を中心に、
図4Bの矢印R3方向に回転する。そして、かような出力部1323の回転は、操作部制御部材115を介して、エンドツール120の第2ジョー122に伝達され、第2ジョー122が、
図2の矢印YJ方向に回転する。
【0082】
次に、アクチュエーション操作部113だけ回転し、ヨー操作部112が回転しない場合について説明する。
【0083】
アクチュエーション操作部113が、
図2の矢印A方向に回転すれば、アクチュエーション操作部113の第1プーリー1131a、第1プーリー1131aに巻かれたAC1ワイヤ135AC1、AC1ワイヤ135AC1が巻かれた第1差動プーリー131の第2入力部1312の第1プーリー1312a、及び第1プーリー1312aと連結された第2プーリー1312bが共に回転する。ここで、AC1ワイヤ135AC1が、中間で1回ねじれているために、アクチュエーション操作部113の回転力の方向が反対になって第1差動プーリー131に伝達する。一方、ヨー操作部112と連結された第1差動プーリー131の第1入力部1311は、回転しない。このように、第1差動プーリー131の第2入力部1312は、
図4Aの矢印R2の反対方向に回転し、第1入力部1311が回転しなければ、差動制御ワイヤ135J11で、第2入力部1312に巻かれた部分は、回転するのに対し、第1入力部1311に巻かれた部分は、回転しなくなる。従って、差動制御ワイヤ135J11で、第2入力部1312に巻かれた部分が回転した分だけ、第1入力部1311に巻かれたワイヤが緩み、その分だけ差動制御ワイヤ135J11が移動し、それと同時に、第2差動制御プーリー1313dは、反時計回りに回転し、第1差動制御プーリー1313cは、時計回りに回転する。それと同時に、出力プーリー1313a、延長部1313b、第1差動制御プーリー1313c、第2差動制御プーリー1313dを含む出力部1313は、出力プーリー1313aの回転軸を中心に、
図4Aの矢印R2の反対方向に回転する。そして、かような出力部1313の回転は、操作部制御部材115を介して、エンドツール120の第1ジョー121に伝達され、第1ジョー121が、
図2の矢印YJ方向に回転する。
【0084】
一方、アクチュエーション操作部113が、
図2の矢印A方向に回転すれば、アクチュエーション操作部113の第2プーリー1131b、第2プーリー1131bに巻かれたAC2ワイヤ135AC2、AC2ワイヤ135AC2が巻かれた第2差動プーリー132の第2入力部1322の第1プーリー1322a、及び第1プーリー1322aと連結された第2プーリー1322bが共に回転する。一方、ヨー操作部112と連結された第2差動プーリー132の第1入力部1321は、回転しない。このように、第2差動プーリー132の第2入力部1322は、
図4Bの矢印R4方向に回転し、第1入力部1321が回転しなければ、差動制御ワイヤ135J21で、第2入力部1322に巻かれた部分は、回転するのに対し、第1入力部1321に巻かれた部分は、回転しなくなる。従って、差動制御ワイヤ135J21で、第2入力部1322に巻かれた部分が回転した分だけ、第1入力部1321に巻かれたワイヤが緩み、その分だけ差動制御ワイヤ135J21が移動し、それと同時に、第2差動制御プーリー1323dは、時計回りに回転し、第1差動制御プーリー1323cは、反時計回りに回転する。それと同時に、出力プーリー1323a、延長部1323b、第1差動制御プーリー1323c、第2差動制御プーリー1323dを含む出力部1323は、出力プーリー1323aの回転軸を中心に、
図4Bの矢印R4方向に回転する。そして、かような出力部1323の回転は、操作部制御部材115を介して、エンドツール120の第2ジョー122に伝達され、第2ジョー122が、
図2の矢印YJの反対方向に回転する。
【0085】
すなわち、第1ジョー121が、
図2の矢印YJ方向に回転すると同時に、第2ジョー122が、
図2の矢印YJの反対方向に回転しながら、エンドツール120のアクチュエーション動作が遂行されるのである。
【0086】
一方、2つの入力部と1つの出力部とで構成された差動プーリーにおいて、1つの入力部の回転が出力部の回転を発生させず、他の入力部の回転を発生させる場合を防止するために、本発明では、2つの差動プーリーに、2つの操作部がそれぞれ連結された状況で、1つの操作部が、2つの差動プーリーそれぞれの2つの入力部のうち一つと連結されるにあたり、操作部と入力部とを連結するワイヤのうち1本がねじれているようにすることにより、いずれか1つの操作部の入力によって他の操作部が回転する状況を回避することができる。
【0087】
それについて、さらに詳細に説明するために、例えば、第1差動プーリー131の第1入力部1311と、第2差動プーリー132の第1入力部1321とに連結されたヨー操作部112の回転入力によって、第1差動プーリー131の第2入力部1312、及び第2差動プーリー132の第2入力部1322も、ヨー操作部112の回転入力と同方向に回転する場合を仮定する。そのとき、第1差動プーリー131の第2入力部1312と、アクチュエーション操作部113は、AC1ワイヤ135AC1が1回ねじれて連結されており、第2差動プーリー132の第2入力部1322と、アクチュエーション操作部113は、AC2ワイヤ135AC2がそのまま連結されている。従って、前述の第1差動プーリー131の第2入力部1312、及び第2差動プーリー132の第2入力部1322の回転は、AC1ワイヤ135AC1と、AC2ワイヤ135AC2とによって、アクチュエーション操作部113を互いに反対方向に回転させる方向に作用するので、それは、結局互いに相殺され、アクチュエーション操作部113を回転させず、残りは各出力部1313,1323を回転させる方向に、各出力部1313,1323に伝達される。
【0088】
それは、アクチュエーション操作部113の回転入力の場合にも、同様に適用され、アクチュエーション操作部113の回転入力は、ヨー操作部112を回転させず、各出力部1313,1323を回転させる方向に、各出力部1313,1323に伝達される。
【0089】
要約すれば、かような構成は、特に、1つの操作部の回転入力は、他の操作部の回転を起こさず、各出力部の回転としてだけ伝達されると説明することができる。
【0090】
かような駆動原理によって、ヨー操作部112と、アクチュエーション操作部113とが同時にそれぞれ回転しても、第1差動プーリー131及び第2差動プーリー132によって、ヨー操作部112及びアクチュエーション操作部113の回転入力の和(または、差)が、各差動プーリーの出力部1313,1323の回転として伝達され、かような出力部1313,1323の回転は、操作部制御部材115を介して、エンドツール120の2つのジョー121,122に伝達され、2つのジョー121,122を、ヨー操作部112及びアクチュエーション操作部113の操作に合うように回転させる。
【0091】
(エンドツール)
図5は、
図2の手術用インストルメント100のエンドツールの概念図である。
【0092】
図1、
図2及び
図5を参照すれば、本発明の第1実施形態による手術用インストルメント100のエンドツール120は、エンドツール制御部材123を含み、エンドツール制御部材123は、第1ジョー121の回転運動と係わるJ11プーリー123J11、J12プーリー123J12、J13プーリー123J13、J14プーリー123J14及びJ15プーリー123J15、並びに第2ジョー122の回転運動と係わるJ21プーリー123J21、J22プーリー123J22、J23プーリー123J23、J24プーリー123J24、J25プーリー123J25を含む。ここで、J12プーリー123J12、J14プーリー123J14、J22プーリー123J22、J24プーリー123J24は、いずれもエンドツールピッチ駆動軸1231を中心に回転するように形成されてもよい。ここで、図面には、対向しているプーリーが、互いに平行に形成され、いずれも同一サイズに形成されるように図示されているが、本発明の思想は、それに制限されるものではなく、それぞれのプーリーがエンドツールの構成に適する位置及び大きさに、多様に形成されもする。
【0093】
ここで、本発明の第1実施形態による手術用インストルメント100のエンドツール120は、エンドツール120側に、エンドツール制御部材123、並びに第1ジョー駆動ワイヤ135J13及び第2ジョー駆動ワイヤ135J23のただ2本のワイヤのみを具備することにより、簡便にエンドツール120のピッチ動作、ヨー動作及びアクチュエーション動作を遂行することを一特徴とする。以下では、それについて、さらに詳細に説明する。
【0094】
J11プーリー123J11及びJ21プーリー123J21は、互いに対向するように形成され、Z軸方向を中心に、互いに独立して回転自在に形成される。ここで、
図5には図示されていないが、J11プーリー123J11には、第1ジョー121が結合されてJ11プーリー123J11と共に回転し、J21プーリー123J21には、第2ジョー122が結合されてJ21プーリー123J21と共に回転する。J11プーリー123J11及びJ21プーリー123J21の回転によって、エンドツール120のヨー動作及びアクチュエーション動作が遂行される。すなわち、J11プーリー123J11及びJ21プーリー123J21が同方向に回転すれば、ヨー動作が遂行され、J11プーリー123J11及びJ21プーリー123J21が互いに反対方向に回転すれば、アクチュエーション動作が遂行されるのである。
【0095】
以下では、J11プーリー123J11の回転と係わる構成要素について説明する。
【0096】
J11プーリー123J11の一側には、互いに所定間隔をおいて対向するように、J12プーリー123J12及びJ14プーリー123J14が配置される。ここで、J12プーリー123J12及びJ14プーリー123J14は、Y軸方向を中心に、互いに独立して回転自在に形成される。また、J12プーリー123J12及びJ14プーリー123J14それぞれの一側には、互いに所定間隔をおいて対向するように、J13プーリー123J13及びJ15プーリー123J15が配置される。ここで、J13プーリー123J13及びJ15プーリー123J15は、Y軸方向を中心に、互いに独立して回転自在に形成される。ここで、図面には、J12プーリー123J12、J13プーリー123J13、J14プーリー123J14及びJ15プーリー123J15がいずれもY軸方向を中心に、回転自在に形成されるように図示されているが、本発明の思想は、それに制限されるものではなく、各プーリーの回転軸は、その構成に適するように、多様な方向に形成されるのである。
【0097】
第1ジョー駆動ワイヤ135J13は、J13プーリー123J13、J12プーリー123J12、J11プーリー123J11、J14プーリー123J14、J15プーリー123J15と、少なくとも一部が接触するように形成され、第1ジョー駆動ワイヤ135J13が、前記プーリーを回転させながら、前記プーリーに沿って移動するように形成される。
【0098】
従って、第1ジョー駆動ワイヤ135J13が、
図5の矢印J1R側に引っ張られれば、第1ジョー駆動ワイヤ135J13が、J15プーリー123J15、J14プーリー123J14、J11プーリー123J11、J12プーリー123J12、J13プーリー123J13を順に回転させ、このとき、J11プーリー123J11が、
図5の矢印R方向に回転しながら、第1ジョー121を共に回転させる。
【0099】
一方、第1ジョー駆動ワイヤ135J13が、
図5の矢印J1L側に引っ張られれば、第1ジョー駆動ワイヤ135J13が、J13プーリー123J13、J12プーリー123J12、J11プーリー123J11、J14プーリー123J14、J15プーリー123J15を順に回転させ、このとき、J11プーリー123J11が、
図5の矢印L方向に回転しながら、第1ジョー121を共に回転させる。
【0100】
以下では、J21プーリー123J21の回転と係わる構成要素について説明する。
【0101】
J21プーリー123J21の一側には、互いに所定間隔をおいて対向するように、J22プーリー123J22及びJ24プーリー123J24が配置される。ここで、J22プーリー123J22及びJ24プーリー123J24は、Y軸方向を中心に、互いに独立して回転自在に形成される。また、J22プーリー123J22及びJ24プーリー123J24それぞれの一側には、互いに所定間隔をおいて対向するように、J23プーリー123J23及びJ25プーリー123J25が配置される。ここで、J23プーリー123J23及びJ15プーリー123J25は、Y軸方向を中心に、互いに独立して回転自在に形成される。ここで、図面には、J22プーリー123J22、J23プーリー123J23、J24プーリー123J24及びJ25プーリー123J25がいずれもY軸方向を中心に、回転自在に形成されるように図示されているが、本発明の思想は、それに制限されるものではなく、各プーリーの回転軸は、その構成に適するように多様な方向に形成されるのである。
【0102】
第2ジョー駆動ワイヤ135J23は、J23プーリー123J23、J22プーリー123J22、J21プーリー123J21、J24プーリー123J24、J25プーリー123J25と、少なくとも一部が接触するように形成され、第2ジョー駆動ワイヤ135J23が、前記プーリーを回転させながら、前記プーリーに沿って移動するように形成される。
【0103】
従って、第2ジョー駆動ワイヤ135J23が、
図5の矢印J2R側に引っ張られれば、第2ジョー駆動ワイヤ135J23が、J25プーリー123J25、J24プーリー123J24、J21プーリー123J21、J22プーリー123J22、J23プーリー123J23を順に回転させ、このとき、J21プーリー123J21が、
図5の矢印R方向に回転しながら、第2ジョー122を共に回転させる。
【0104】
一方、第2ジョー駆動ワイヤ135J23が、
図5の矢印J2L側に引っ張られれば、第2ジョー駆動ワイヤ135J23が、J23プーリー123J23、J22プーリー123J22、J21プーリー123J21、J24プーリー123J24、J25プーリー123J25を順に回転させ、このとき、J21プーリー123J21が、
図5の矢印L方向に回転しながら、第2ジョー122を共に回転させる。
【0105】
なお、第1ジョー駆動ワイヤ135J13の一端部は、
図5の矢印J1R側に引っ張られ、同時に、第1ジョー駆動ワイヤ135J13の他端部は、
図5の矢印J1L側に引っ張られれば、エンドツール制御部材123は、全体的にエンドツールピッチ駆動軸1231を中心に、反時計回りに回転し、その結果として、エンドツール120が下方へ回転しながらピッチ運動を行う。
【0106】
一方、第2ジョー駆動ワイヤ135J23の一端部は、
図5の矢印J2R側に引っ張られ、同時に、第2ジョー駆動ワイヤ135J23の他端部は、
図5の矢印J2L側に引っ張られれば、エンドツール制御部材123は、全体的にエンドツールピッチ駆動軸1231を中心に、時計回りに回転し、その結果として、エンドツール120が上方へ回転しながらピッチ運動を行う。
【0107】
すなわち、エンドツール120側に、エンドツール制御部材123、並びに第1ジョー駆動ワイヤ135J13及び第2ジョー駆動ワイヤ135J23のただ2本のワイヤのみを具備することにより、簡便にエンドツール120のピッチ動作、ヨー動作及びアクチュエーション動作を遂行することができるのである。それに係わる詳細な説明は後述する。
【0108】
ここで、本発明の一実施形態によるエンドツール120のエンドツール制御部材123は、ピッチ駆動軸1231が、ジョー121,122と近い側に配置されることにより(すなわち、ピッチ駆動軸1231が、J13プーリー123J13及びJ15プーリー123J15の側ではない、J12プーリー123J12及びJ14プーリー123J14の側に配置される)、ジョー121,122のピッチ回転半径が小さくなるという効果を得ることができる。それにより、ジョー121,122のピッチ駆動のために必要な空間が小さくなるという効果を得ることができる。
【0109】
なお、
図5Aは、
図5のエンドツール120の一変形例を示している。
【0110】
図5Aを参照すれば、エンドツール120’は、エンドツール制御部材123’を含み、エンドツール制御部材123’は、第1ジョーの回転運動と係わるJ11プーリー123J11、J12プーリー123J12、J14プーリー123J14、並びに第2ジョーの回転運動と係わるJ21プーリー123J21、J22プーリー123J22、J24プーリー123J24を含む。ここで、J12プーリー123J12、J14プーリー123J14、J22プーリー123J22、J24プーリー123J24は、いずれもエンドツールピッチ駆動軸1231を中心に回転するように形成される。ここで、図面には、対向しているプーリーが互いに平行に形成され、いずれも同一サイズに形成されるように図示されているが、本発明の思想は、それに制限されるものではなく、それぞれのプーリーが、エンドツールの構成に適する位置及び大きさに、多様に形成されもする。
【0111】
ここで、本変形例では第1ジョーが結合されたJ11プーリー123J11の一側に、互いに対向する2対のプーリーが配置されるのではなく、互いに対向する1対のプーリー(すなわち、J12プーリー123J12、J14プーリー123J14)だけ配置されるが、第1ジョー駆動ワイヤ135J13が、前述の1対のプーリーに単に接触だけしているのではなく、前述の1対のプーリーに1回以上巻かれることを一特徴とする。
【0112】
詳細には、J11プーリー123J11及びJ21プーリー123J21は、互いに対向するように形成され、Z軸方向を中心に、互いに独立して回転自在に形成される。
【0113】
そして、J11プーリー123J11の一側には、互いに所定間隔をおいて対向するように、J12プーリー123J12及びJ14プーリー123J14が配置される。ここで、J12プーリー123J12及びJ14プーリー123J14は、Y軸方向を中心に、互いに独立して回転自在に形成される。そして、第1ジョー駆動ワイヤ135J13は、J12プーリー123J12、J11プーリー123J11、J14プーリー123J14と、少なくとも一部が接触するように形成され、第1ジョー駆動ワイヤ135J13が、前記プーリーを回転させながら、前記プーリーに沿って移動するように形成される。ここで、第1ジョー駆動ワイヤ135J13は、J12プーリー123J12に1回以上巻かれた後、J11プーリー123J11を経て、J14プーリー123J14に1回以上巻かれていく。
【0114】
同様に、J21プーリー123J21の一側には、互いに所定間隔をおいて対向するように、J22プーリー123J22及びJ24プーリー123J24が配置される。ここで、J22プーリー123J22及びJ24プーリー123J24は、Y軸方向を中心に、互いに独立して回転自在に形成される。そして、第2ジョー駆動ワイヤ135J23は、J22プーリー123J22、J21プーリー123J21、J24プーリー123J24と、少なくとも一部が接触するように形成され、第2ジョー駆動ワイヤ135J23が、前記プーリーを回転させながら、前記プーリーに沿って移動するように形成される。ここで、第2ジョー駆動ワイヤ135J23は、J22プーリー123J22に1回以上巻かれた後、J21プーリー123J21を経て、J24プーリー123J24に1回以上巻かれていく。
【0115】
かような構成によって、プーリーの個数が減少することにより、手術用インストルメントをさらに小型化することができる。
【0116】
(ピッチ動作制御及びワイヤミラーリング(wire mirroring))
図6は、
図2の手術用インストルメント100のピッチ動作を示す概念図である。
【0117】
前述のように、本発明の第1実施形態による手術用インストルメント100の操作部110は、ピッチ操作部111のピッチ駆動軸1111と連動する操作部制御部材115をさらに具備する。かような操作部制御部材115は、前述のエンドツール制御部材123の構成と実質的に同一であり、エンドツール制御部材123と操作部制御部材115は、
図1のYZ平面を中心に互いに対称になるように配置される。言い換えれば、エンドツール制御部材123と操作部制御部材115は、
図1のYZ平面を中心に、ミラーリング(mirroring)されていると表現することもできる。
【0118】
詳細には、操作部制御部材115は、第1ジョー121の回転運動と係わるJ11プーリー115J11、J12プーリー115J12、J13プーリー115J13、J14プーリー115J14及びJ15プーリー115J15、並びに第2ジョー122の回転運動と係わるJ21プーリー115J21、J22プーリー115J22、J23プーリー115J23、J24プーリー115J24、J25プーリー115J25を含む。
【0119】
第1ジョー駆動ワイヤ135J13は、J13プーリー115J13、J12プーリー115J12、J11プーリー115J11、J14プーリー115J14、J15プーリー115J15と、少なくとも一部が接触するように形成され、第1ジョー駆動ワイヤ135J13が、前記プーリーを回転させながら、前記プーリーに沿って移動するように形成される。
【0120】
第2ジョー駆動ワイヤ135J23は、J23プーリー115J23、J22プーリー115J22、J21プーリー115J21、J24プーリー115J24、J25プーリー115J25と、少なくとも一部が接触するように形成され、第2ジョー駆動ワイヤ135J23が、前記プーリーを回転させながら、前記プーリーに沿って移動するように形成される。
【0121】
ここで、J12プーリー115J12、J14プーリー115J14、J22プーリー115J22、J24プーリー115J24の回転軸が、まさにピッチ操作部111のピッチ駆動軸1111になる。そして、J11プーリー115J11及びJ21プーリー115J21の回転軸から延設されたバー(bar)が、まさしくピッチ操作部111のピッチ駆動バー1112になる。
【0122】
かような本発明の第1実施形態で、ピッチ動作は、具体的に次のように実行される。
【0123】
ユーザが、操作部110のピッチ制御部111のピッチ駆動バー1112を手で握っている状態で、ピッチ駆動軸1111を中心に、ピッチ駆動バー1112を、
図6の矢印OP(operator pitch)方向に回転させれば、第1ジョー駆動ワイヤ135J13は、全体的に操作部110側に引っ張られ、
図6の矢印PJ1方向に移動する。同時に、第2ジョー駆動ワイヤ135J23は、全体的に操作部110において緩み、エンドツール120側に移動し、
図6の矢印PJ2方向に移動する。それにより、第1ジョー駆動ワイヤ135J13が操作部110側に引っ張られた分だけ、J12プーリー123J12及びJ14プーリー123J14が、その回転軸1231(
図5A)を中心に、反時計回りに回転し、同時に、第2ジョー駆動ワイヤ135J23がエンドツール120側に引っ張られた分だけ、J22プーリー123J22及びJ24プーリー123J24が、その回転軸1231(
図5)を中心に、反時計回りに回転し、その結果として、エンドツール120が下方へ回転しながらピッチ運動を行う。
【0124】
このように、エンドツール制御部材123と、操作部制御部材115とが、
図1のYZ平面を中心に、互いに対称になるように配置されるミラーリング構造をなすことにより、簡便にピッチ運動が具現されるという効果を得ることができる。すなわち、ヨー動作及びアクチュエーション動作と係わりなく、ピッチ動作の遂行が可能になるという効果を得ることができる。ここで、ヨー動作は、エンドツール制御部材123のJ11プーリー123J11及びJ21プーリー123J21、並びに操作部制御部材115のJ11プーリー115J11及びJ21プーリー115J21が回転し、2つのジョー121,122が回転する動作を意味する。
【0125】
(第1実施形態の全体動作)
以下では、前記説明を参照し、本発明の第1実施形態による手術用インストルメント100のピッチ動作、ヨー動作及びアクチュエーション動作の全体的な構成をまとめてみる。
【0126】
本実施形態のエンドツール120の構成上、エンドツール120のピッチ動作、ヨー動作及びアクチュエーション動作を遂行するためには、操作部110での操作入力を、ピッチ動作、ヨー動作及びアクチュエーション動作に分離することができる動力伝達部130が必要である。前述のように、エンドツール制御部材123と、操作部制御部材115とが互いに対称になるように配置される構造を介して、ピッチ操作部111の回転操作は、ヨー操作部112及びアクチュエーション操作部113の操作と係わりなく、エンドツール120のピッチ動作を可能にする。しかし、ヨー操作部112及びアクチュエーション操作部113の操作が、エンドツール120のヨー動作及びアクチュエーション動作に連結されるためには、ヨー操作部112及びアクチュエーション操作部113の操作が、エンドツール120の2つのジョーの動作に変換されなければならない。ヨー操作部112の回転は、2つのジョーを同方向に回転させ、アクチュエーション操作部113の回転は、2つのジョーを互いに異なる方向に回転させる。すなわち、第1ジョーは、ヨー操作部112及びアクチュエーション操作部113の操作入力の和の分だけ回転し、第2ジョーは、ヨー操作部112及びアクチュエーション操作部113の操作入力の差の分だけ回転する。それを、次のような数式で表現することができる。
【0127】
J1=Y+A
ここで、第1ジョーは、ヨー動作及びアクチュエーション動作いずれも同方向に回転する。
【0128】
J2=Y-A
ここで、第2ジョーは、ヨー動作とは同方向であるが、アクチュエーション動作入力には反対方向に回転する。
【0129】
ここで、Yは、ヨー駆動プーリーの回転、Aは、アクチュエーション駆動プーリーの回転である。
【0130】
そのために、動力伝達部には、YとAとを入力され、その和であるJ1成分のみを出力する差動プーリーと、YとAとを入力され、その差であるJ2成分のみを出力する差動プーリーが必要であり、各差動プーリーの出力部の回転が、エンドツールの各ジョーに伝達されなければならない。
【0131】
それについて、さらに詳細に説明すれば、次の通りである。
【0132】
まず、ピッチ動作は、次の通りである。
【0133】
前述のように、ユーザが、操作部110のピッチ制御部111のピッチ駆動バー1112を手で握っている状態で、ピッチ駆動軸1111を中心に、ピッチ駆動バー1112を
図6の矢印OP方向に回転させれば、操作部制御部材115も、ピッチ駆動軸1111を中心に全体的に回転する。それにより、操作部制御部材115に巻かれている第1ジョー駆動ワイヤ135J13は、全体的に操作部110側に引っ張られ、
図6の矢印PJ1方向に移動する。同時に、操作部制御部材115に巻かれている第2ジョー駆動ワイヤ135J23は、全体的に操作部制御部材115から緩み、
図6の矢印PJ2方向に移動する。それにより、第1ジョー駆動ワイヤ135J13及び第2ジョー駆動ワイヤ135J23と連結されているエンドツール制御部材123が、エンドツールピッチ駆動軸1231を中心に、
図6のEP方向に回転しながらピッチ運動を行う。
【0134】
次に、ヨー動作について説明する。
【0135】
ヨー操作部112が、
図2の矢印Y方向に回転すれば、ヨー操作部112の第1プーリー1121a、第1プーリー1121aに巻かれたYC1ワイヤ135YC1、及びYC1ワイヤ135YC1が巻かれた第1差動プーリー131の第1入力部1311が共に回転する。このように、第1差動プーリー131の第1入力部1311が回転すれば、第1入力部1311と出力部1313とを連結する差動制御ワイヤ135J11の回転力が、出力部1313を、
図4Aの矢印R1方向に回転させる。そして、かような出力部1313の回転は、出力部1313に巻かれたJ12ワイヤ135J12を介して、操作部制御部材115に伝達され、操作部制御部材115のJ11プーリー115J11(
図6)を回転させる。そして、操作部制御部材115のJ11プーリー115J11が回転すれば、それと連結された第1ジョー駆動ワイヤ135J13を移動させ、従って、第1ジョー駆動ワイヤ135J13と連結されたエンドツール120の第1ジョー121が、
図2の矢印YJ方向に回転することになる。
【0136】
一方、ヨー操作部112が、
図2の矢印Y方向に回転すれば、ヨー操作部112の第2プーリー1121b、第2プーリー1121bに巻かれたYC2ワイヤ135YC2、及びYC2ワイヤ135YC2が巻かれた第2差動プーリー132の第1入力部1321が共に回転する。このように、第2差動プーリー132の第1入力部1321が回転すれば、第1入力部1321と出力部1323とを連結する差動制御ワイヤ135J21の回転力が、出力部1323を、
図4Bの矢印R3方向に回転させる。そして、かような出力部1323の回転は、出力部1323に巻かれたJ22ワイヤ135J22を介して、操作部制御部材115に伝達され、操作部制御部材115のJ21プーリー115J21(
図6)を回転させる。そして、操作部制御部材115のJ21プーリー115J21が回転すれば、それと連結された第2ジョー駆動ワイヤ135J23を移動させ、従って、第2ジョー駆動ワイヤ135J23と連結されたエンドツール120の第2ジョー122が、
図2の矢印YJ方向に回転することになる。
【0137】
このように、ヨー操作部112をいずれか一方向に回転させれば、2つのジョー121,122が同一方向に回転しながら、ヨー動作が遂行される。ここで、本発明の一実施形態による手術用インストルメント100は、1以上の差動プーリーを具備し、ヨー操作部112の動作が、アクチュエーション操作部113の動作を伴わないという効果を有する。
【0138】
次に、アクチュエーション動作について説明する。
【0139】
アクチュエーション操作部113が、
図2の矢印A方向に回転すれば、アクチュエーション操作部113の第1プーリー1131a、第1プーリー1131aに巻かれたAC1ワイヤ135AC1、及びAC1ワイヤ135AC1が巻かれた第1差動プーリー131の第2入力部1312が共に回転する。ここで、AC1ワイヤ135AC1が、中間で1回ねじれているために、アクチュエーション操作部113の回転力の方向が反対になって第1差動プーリー131に伝達される。このように、第1差動プーリー131の第2入力部1312が回転すれば、第2入力部1312と出力部1313とを連結する差動制御ワイヤ135J11の回転力が、出力部1313を、
図4Aの矢印R2の反対方向に回転させる。そして、かような出力部1313の回転は、出力部1313に巻かれたJ12ワイヤ135J12を介して、操作部制御部材115に伝達され、操作部制御部材115のJ11プーリー115J11(
図6)を回転させる。そして、操作部制御部材115のJ11プーリー115J11が回転すれば、それと連結された第1ジョー駆動ワイヤ135J13を回転させ、従って、第1ジョー駆動ワイヤ135J13と連結されたエンドツール120の第1ジョー121が、
図2の矢印YJ方向に回転することになる。
【0140】
一方、アクチュエーション操作部113が、
図2の矢印A方向に回転すれば、アクチュエーション操作部113の第2プーリー1131b、第2プーリー1131bに巻かれたAC2ワイヤ135AC2、及びAC2ワイヤ135AC2が巻かれた第2差動プーリー132の第2入力部1322が共に回転する。このように、第2差動プーリー132の第2入力部1322が回転すれば、第2入力部1322と出力部1323とを連結する差動制御ワイヤ135J21の回転力が、出力部1323を、
図4Bの矢印R4方向に回転させる。そして、かような出力部1323の回転は、出力部1323に巻かれたJ22ワイヤ135J22を介して、操作部制御部材115に伝達され、操作部制御部材115のJ21プーリー115J21(
図6)を回転させる。そして、操作部制御部材115のJ21プーリー115J21が回転すれば、それと連結された第2ジョー駆動ワイヤ135J23を回転させ、従って、第2ジョー駆動ワイヤ135J23と連結されたエンドツール120の第2ジョー122が、
図2の矢印YJの反対方向に回転することになる。
【0141】
このように、アクチュエーション操作部113をいずれか一方向に回転させれば、2つのジョー121,122が互いに反対方向に回転しながら、アクチュエーション動作が遂行される。ここで、本発明の一実施形態による手術用インストルメント100は、1以上の差動プーリーを具備し、アクチュエーション操作部113の動作が、ヨー操作部112の動作を伴わないという効果を有する。
【0142】
かような本発明によって、ピッチ操作部、ヨー操作部、アクチュエーション操作部のそれぞれ独立した入力によって、エンドツールの出力動作を遂行する手術用インストルメントを、モータや電子制御、またはソフトウェアなどを使用せずに、純粋に機械的な構成だけで具現するという効果を得ることができる。すなわち、互いに影響を及ぼすピッチ動作、ヨー動作、アクチュエーション動作を、単純な機械装置だけで相互分離することにより、手術用インストルメントの構成が著しく簡単になるという効果を得ることができる。
【0143】
また、最小限のワイヤ及びプーリー構造だけで、操作部110の回転力をエンドツール120に伝達させるという効果を得ることができる。特に、本発明では、操作部110の操作方向と、エンドツール120の作動方向とが直観的に同一方向であるために、施術者の便宜性が向上し、手術の正確性が向上するという効果を得ることができる。さらに、エンドツール120側に、第1ジョー駆動ワイヤ135J13及び第2ジョー駆動ワイヤ135J23のただ2本のワイヤのみを具備することにより、簡便にエンドツール120のピッチ動作、ヨー動作及びアクチュエーション動作を遂行することができる。さらに、エンドツール制御部材123と、操作部制御部材115とが、
図1のYZ平面を中心に、互いに対称になるように配置されるミラーリング構造をなすことにより、簡便にピッチ運動が具現されるという効果を得ることができる。すなわち、ヨー動作及びアクチュエーション動作と係わりなく、ピッチ動作の遂行が可能になるという効果を得ることができる。
【0144】
<第1実施形態のエンドツール及び操作部制御部材の一変形例>
図7は、
図1に図示された第1実施形態のエンドツール及び操作部制御部材の一変形例による手術用インストルメント100bを示す図面であり、
図8は、
図7の手術用インストルメント100bのエンドツールの詳細図である。ここで、本発明の第1実施形態のエンドツールの一変形例による手術用インストルメント100bは、前述の本発明の第1実施形態による手術用インストルメント100と類似しており、エンドツールの構成が特徴的に異なるところ、以下では、かようなエンドツールの構成を中心に説明する。
【0145】
図7及び
図8を参照すれば、本発明の第1実施形態のエンドツールの一変形例による手術用インストルメント100bは、操作部110、エンドツール120、動力伝達部130及び連結部(図示せず)を含む。
【0146】
エンドツール120は、エンドツール制御部材123を含み、エンドツール制御部材123は、第1ジョー121の回転運動と係わるJ11プーリー123J11、J12プーリー123J12、J13プーリー123J13、J14プーリー123J14及びJ15プーリー123J15、並びに第2ジョー122の回転運動と係わるJ21プーリー123J21、J22プーリー123J22、J23プーリー123J23、J24プーリー123J24及びJ25プーリー123J25を含む。ここで、第1ジョー121、J11プーリー123J11、J12プーリー123J12、J14プーリー123J14、第2ジョー122、J21プーリー123J21、J22プーリー123J22、J24プーリー123J24は、いずれもエンドツールピッチ駆動軸1231を中心に回転するように形成されてもよい。
【0147】
一方、本発明の手術用インストルメント100bのエンドツール120は、ピッチプーリー123Pをさらに具備し、操作部110は、ピッチプーリー115Pをさらに具備し、動力伝達部130は、ピッチワイヤ135Pをさらに具備するという点で、前述の第1実施形態の手術用インストルメント100と区別される。詳細には、エンドツール120のピッチプーリー123Pは、エンドツールピッチ駆動軸1231と一体に形成され、エンドツールピッチ駆動軸1231と共に回転するように形成される。一方、操作部110のピッチプーリー115Pは、ピッチ駆動軸1111と一体に形成され、ピッチ駆動軸1111と共に回転するように形成される。また、ピッチワイヤ135Pは、エンドツール120のピッチプーリー123Pと、操作部110のピッチプーリー115Pとを連結する役割を行うことができる。
【0148】
従って、ユーザが、操作部110のピッチ制御部111のピッチ駆動バー1112を手で握っている状態で、ピッチ駆動軸1111を中心に、ピッチ駆動バー1112を回転させれば、ピッチ駆動バー1112と結合されたピッチ駆動軸1111、及びそれと結合されたピッチプーリー115Pが回転し、ピッチプーリー115Pの回転は、ピッチワイヤ135Pを介して、エンドツール120のピッチプーリー123Pに伝達され、ピッチプーリー123Pも共に回転し、その結果として、エンドツール120が回転しながらピッチ運動を行う。
【0149】
すなわち、前述の第1実施形態の手術用インストルメント100では、第1ジョー駆動ワイヤ135J13及び第2ジョー駆動ワイヤ135J23によってのみ、手術用インストルメント100のピッチ動作が遂行されることにより、第1ジョー駆動ワイヤ135J13及び第2ジョー駆動ワイヤ135J23が、長期間の使用などによって、引っ張られる場合、ピッチ動作が正しく遂行されない可能性が存在した。さらに、ピッチ操作部111の駆動力が、エンドツール120に正しく伝達されない可能性が存在した。かような問題点を解決するために、本発明の第1実施形態のエンドツールの一変形例による手術用インストルメント100bは、エンドツール120のピッチプーリー123P、操作部110のピッチプーリー115P、及び動力伝達部130のピッチワイヤ135Pをさらに具備し、ピッチ操作部111のピッチ動作の駆動力を、さらに完璧にエンドツール120に伝達させることにより、動作信頼性を向上させることができる。
【0150】
一方、本発明の手術用インストルメント100bのエンドツール120は、ワイヤガイド123WGをさらに具備することもできる。詳細には、ワイヤガイド123WGは、エンドツール制御部材123において、Z軸方向に突設されてもよい。かようなワイヤガイド123WGは、第1ジョー駆動ワイヤ135J13と接触可能に形成され、第1ジョー駆動ワイヤ135J13の回転経路をガイドすることにより、第1ジョー駆動ワイヤ135J13が、J12プーリー115J12及びJ14プーリー115J14などからの脱去防止の役割を行うことができる。
【0151】
このように、第1実施形態は、ピッチ動作の信頼性を高めるために、エンドツールと操作部とにプーリーを追加して具備し、ワイヤを追加する方法でもって変形が可能であり、エンドツールでも、ワイヤガイドを追加する変形が可能である。
【0152】
また、かような本発明の第1実施形態のエンドツールの一変形例は、後述する他の変形例及び実施形態にも多様に適用可能である。
【0153】
一方、
図7には、ピッチ動作が、ワイヤ及びプーリーによって遂行されるように図示されているが、本発明の思想は、それに制限されるものではない。すなわち、対称的な構造でもって、エンドツール制御部材123と操作部制御部材115とを連結することができる多様な構造が本発明に適用可能であり、例えば、エンドツール制御部材123と操作部制御部材115とを連結するために、4節リンクが適用されもする。すなわち、4節リンクの長辺が、ジョー駆動ワイヤ135J13,135J23の役割を行い、4節リンクの短辺の中心部分に、エンドツール制御部材123及び操作部制御部材115がそれぞれ連結されることにより、エンドツール制御部材123と、操作部制御部材115とが、
図1のYZ平面を中心に、互いに対称になるように配置されるミラーリング構造をなすこともできる。
【0154】
<第1実施形態の操作部の一変形例>
図9は、
図1に図示された第1実施形態の操作部の一変形例による手術用インストルメント100aを示す図面である。ここで、本発明の第1実施形態の操作部の一変形例による手術用インストルメント100aは、前述の本発明の第1実施形態による手術用インストルメント100と類似しており、操作部の位置が特徴的に異なるところ、以下では、かような操作部の構成を中心に説明する。
【0155】
図9を参照すれば、本発明の第1実施形態の操作部の一変形例による手術用インストルメント100aは、操作部110、エンドツール120、動力伝達部130及び連結部(図示せず)を含む。
【0156】
ここで、手術用インストルメント100aは、ピッチ操作部111とエンドツール120とが同一の軸(X軸)上に形成されず、互いに異なる軸上に形成されることを特徴とする。すなわち、第1ジョー駆動ワイヤ135J13と、第2ジョー駆動ワイヤ135J23との中間に、追加的な方向転換プーリーPをさらに具備し、第1ジョー駆動ワイヤ135J13と、第2ジョー駆動ワイヤ135J23とを、中間で1回曲折させることにより、ピッチ操作部111とエンドツール120とが同一の軸(X軸)上に形成されず、ピッチ操作部111が、ヨー操作部112及びアクチュエーション操作部113にさらに近く形成される。
【0157】
かような本発明の手術用インストルメント100aによって、ピッチ操作部111が、ヨー操作部112及びアクチュエーション操作部113とさらに近接して形成されるという効果を得ることができる。このように、ピッチ操作部111、ヨー操作部112及びアクチュエーション操作部113の相対的な位置は、ユーザ便宜性を向上させる範囲内で多様に構成される。
【0158】
また、連結部を直線ではなく構成し、エンドツール、並びにピッチ操作部、ヨー操作部、アクチュエーション操作部の相対的な位置も多様に構成可能である。
【0159】
また、かような本発明の第1実施形態の操作部の一変形例は、他の変形例及び実施形態にも多様に適用可能である。
【0160】
<第1実施形態の操作部制御部材の一変形例>
図10は、
図1に図示された第1実施形態の操作部制御部材の一変形例による手術用インストルメント100cを示す図面である。ここで、本発明の第1実施形態の操作部制御部材の一変形例による手術用インストルメント100cは、前述の本発明の第1実施形態による手術用インストルメント100と類似しており、操作部制御部材の構成が特徴的に異なるところ、以下では、かような操作部制御部材の構成を中心に説明する。
【0161】
図10を参照すれば、本発明の第1実施形態の操作部制御部材の一変形例による手術用インストルメント100cは、操作部110、エンドツール120、動力伝達部130及び連結部(図示せず)を含む。そして、操作部110は、操作部制御部材115cを含み、このとき、操作部制御部材115cは、
図2に図示された本発明の第1実施形態の手術用インストルメントとは異なり、中継プーリー115a(
図2)を具備しない。このように、操作部制御部材115cから中継プーリーを削除することにより、操作部制御部材115cの構成が簡単になるという効果を得ることができる。
【0162】
このように、操作部から中継プーリーを削除する形態にも変形が可能である。
【0163】
また、かような本発明の第1実施形態の操作部制御部材の一変形例は、他の変形例及び実施形態にも多様に適用可能である。
【0164】
<第1実施形態のエンドツール制御部材及び操作部制御部材の一変形例>
図11は、
図1に図示された第1実施形態のエンドツール制御部材及び操作部制御部材の一変形例による手術用インストルメント100dを示す図面である。ここで、本発明の第1実施形態のエンドツール制御部材及び操作部制御部材の一変形例による手術用インストルメント100dは、前述の本発明の第1実施形態による手術用インストルメント100と類似しており、エンドツール制御部材及び操作部制御部材の構成が特徴的に異なるところ、以下では、かようなエンドツール制御部材及び操作部制御部材の構成を中心に説明する。
【0165】
図11を参照すれば、本発明の第1実施形態のエンドツール制御部材及び操作部制御部材の一変形例による手術用インストルメント100dは、操作部110、エンドツール120、動力伝達部130及び連結部(図示せず)を含む。このとき、操作部110は、操作部制御部材115dを含み、エンドツール120は、エンドツール制御部材123dを含む。
【0166】
それについて、さらに詳細に説明すれば、次の通りである。
【0167】
図2及び
図5に図示された本発明の第1実施形態による手術用インストルメント100では、エンドツールピッチ駆動軸1231が、第1ジョー121及び第2ジョー122にさらに近い側に形成された。すなわち、エンドツールピッチ駆動軸1231が、J12プーリー123J12、J14プーリー123J14、J22プーリー123J22、J24プーリー123J24の回転軸になるように形成され、第1ジョー121及び第2ジョー122が、エンドツールピッチ駆動軸1231を中心に回転するように形成された。
【0168】
一方、
図11に図示された本発明の第1実施形態のエンドツール制御部材の一変形例による手術用インストルメント100dは、エンドツールピッチ駆動軸1231dが、第1ジョー121及び第2ジョー122からさらに遠い側に形成されることを特徴とする。すなわち、エンドツールピッチ駆動軸1231dが、J13プーリー123J13、J15プーリー123J15、J23プーリー123J23、J25プーリー123J25の回転軸になるように形成され、第1ジョー121及び第2ジョー122と、第1ジョー121の回転運動と係わるJ11プーリー123J11、J12プーリー123J12、J13プーリー123J13、J14プーリー123J14及びJ15プーリー123J15と、第2ジョー122の回転運動と係わるJ21プーリー123J21、J22プーリー123J22、J23プーリー123J23、J24プーリー123J24、J25プーリー123J25とが、エンドツールピッチ駆動軸1231dを中心に回転するように形成される。このように、エンドツールピッチ駆動軸1231dの位置を移動させることにより、エンドツール120の全体的な回転半径と、回転する構成要素とが変更されるように構成することもできる。同様に、操作部制御部材115dの駆動軸も、中継プーリー115a(
図2)からさらに遠い側に形成されてもよい。
【0169】
また、かような本発明の第1実施形態のエンドツール制御部材及び操作部制御部材の一変形例は、他の変形例及び実施形態にも多様に適用可能である。
【0170】
<第1実施形態のエンドツール制御部材及び操作部制御部材の一変形例>
図12は、
図1に図示された第1実施形態のエンドツール制御部材及び操作部制御部材の一変形例による手術用インストルメント100eを示す図面である。ここで、本発明の第1実施形態のエンドツール制御部材及び操作部制御部材の一変形例による手術用インストルメント100eは、前述の本発明の第1実施形態による手術用インストルメント100と類似しており、エンドツール制御部材及び操作部制御部材の構成が特徴的に異なるところ、以下では、かようなエンドツール制御部材及び操作部制御部材の構成を中心に説明する。
【0171】
図12を参照すれば、本発明の第1実施形態のエンドツール制御部材及び操作部制御部材の一変形例による手術用インストルメント100eは、操作部110、エンドツール120、動力伝達部130及び連結部(図示せず)を含む。このとき、操作部110は、操作部制御部材115eを含み、エンドツール120は、エンドツール制御部材123eを含む。
【0172】
ここで、
図12に図示された本発明の第1実施形態のエンドツール制御部材の一変形例による手術用インストルメント100eは、中継プーリーがない
図10の場合と、軸が後にある
図11の場合とが同時に適用された例であり、
図11に図示された手術用インストルメント100dで、中継プーリー115a(
図2)を具備しない構造である。このように、操作部制御部材115eから、中継プーリーを削除することにより、操作部制御部材115eの構成が簡単になるという効果を得ることができる。
【0173】
また、かような本発明の第1実施形態のエンドツール制御部材及び操作部制御部材の一変形例は、他の変形例及び実施形態にも多様に適用可能である。
【0174】
<第1実施形態のエンドツール制御部材及び操作部制御部材の他の変形例>
図13は、
図1に図示された第1実施形態のエンドツール制御部材及び操作部制御部材の他の一変形例による手術用インストルメント100fを示す図面であり、
図14は、
図13のエンドツール制御部材の底面斜視図である。ここで、本発明の第1実施形態のエンドツール制御部材及び操作部制御部材の他の変形例による手術用インストルメント100fは、前述の本発明の第1実施形態による手術用インストルメント100と類似しており、エンドツール制御部材及び操作部制御部材の構成が特徴的に異なるところ、以下では、かようなエンドツール制御部材及び操作部制御部材の構成を中心に説明する。すなわち、本変形例では、
図5及び
図8に図示されたエンドツール制御部材とは異なる形態のエンドツール制御部材が使用される。
【0175】
図13及び
図14を参照すれば、本発明の第1実施形態のエンドツール制御部材及び操作部制御部材の他の変形例による手術用インストルメント100fは、操作部110、エンドツール120、動力伝達部130及び連結部(図示せず)を含む。このとき、エンドツール120は、エンドツール制御部材123fを含む。そして、エンドツール制御部材123fは、第1ジョー121の回転運動と係わるJ11プーリー123J11、J12プーリー123J12、J13プーリー123J13、J14プーリー123J14及びJ15プーリー123J15、並びに第2ジョー122の回転運動と係わるJ21プーリー(図示せず)、J22プーリー(図示せず)、J23プーリー123J23、J24プーリー123J24、J25プーリー123J25を含む。ここで、J13プーリー123J13、J15プーリー123J15、J23プーリー123J23、J25プーリー123J25は、いずれもエンドツールピッチ駆動軸1231fを中心に回転するように形成される。
【0176】
ここで、本変形例の手術用インストルメント100fと、
図5または
図8に図示された手術用インストルメント100(
図5)との差は、配列されたプーリーにワイヤが巻かれる方式である。すなわち、第1ジョー駆動ワイヤ135J13は、J13プーリー123J13、J12プーリー123J12、J11プーリー123J11、J14プーリー123J14、J15プーリー123J15と、少なくとも一部が接触するように形成され、第1ジョー駆動ワイヤ135J13が、前記プーリーを回転させながら、前記プーリーに沿って移動するように形成される。このとき、
図5に図示された手術用インストルメント100(
図5)では、J13プーリー123J13の上部に入ってくる第1ジョー駆動ワイヤ135J13が、J15プーリー123J15の上部を介して、抜けていくものと見られる。一方、本変形例の手術用インストルメント100fでは、J13プーリー123J13の上部に入ってくる第1ジョー駆動ワイヤ135J13が、J15プーリー123J15の下部を介して、抜けていくということが分かる。
【0177】
同様に、第2ジョー駆動ワイヤ135J23は、J23プーリー123J23、J22プーリー123J22、J21プーリー123J21、J24プーリー123J24、J25プーリー123J25と、少なくとも一部が接触するように形成され、第2ジョー駆動ワイヤ135J23が、前記プーリーを回転させながら、前記プーリーに沿って移動するように形成される。このとき、本変形例の手術用インストルメント100fでは、J23プーリー123J23の上部に入ってくる第2ジョー駆動ワイヤ135J23が、J25プーリー123J25の下部を介して抜けていくことが分かる。
【0178】
そして、そのために、プーリーの配置にも変形がある。すなわち、
図13及び
図14に図示されたように、J13プーリー123J13の上部に入ってくる第1ジョー駆動ワイヤ135J13が、J15プーリー123J15の下部を介して抜けていくために、J12プーリー123J12及びJ22プーリー123J22の回転軸X1と、J14プーリー123J14及びJ24プーリー123J24の回転軸X2とが、同一線上にない。すなわち、J12プーリー123J12及びJ22プーリー123J22の回転軸X1は、エンドツールピッチ駆動軸1231fの上側に形成される一方、J14プーリー123J14及びJ24プーリー123J24の回転軸X2は、エンドツールピッチ駆動軸1231fの下側に形成される。
【0179】
さらに、かようなワイヤ巻きつき方式の差によって、ピッチ駆動方式自体に差が生じる。すなわち、
図5に図示された手術用インストルメント100では、第1ジョー駆動ワイヤ135J13及び第2ジョー駆動ワイヤ135J23の2本のワイヤで、ピッチ動作、ヨー動作及びアクチュエーション動作がいずれも遂行可能であったが、本変形例の手術用インストルメント100fでは、ヨー動作及びアクチュエーション動作を遂行するための第1ジョー駆動ワイヤ135J13及び第2ジョー駆動ワイヤ135J23以外に、ピッチ動作のためのワイヤが追加して具備されなければならないという差異が存在する。
【0180】
また、かような本発明の第1実施形態のエンドツール制御部材及び操作部制御部材の一変形例は、他の変形例及び実施形態にも多様に適用可能である。
【0181】
<差動プーリーに係わる第1変形例>(D1)
図15は、
図2に図示された手術用インストルメントの差動プーリーの第1変形例を示す図面であり、
図16及び
図17は、
図15に図示された差動プーリーの第1変形例の作動を示す図面である。
【0182】
前述のように、本発明での差動プーリーとは、2以上の入力部及び1つの出力部を具備し、2以上の入力部から回転力を入力され、それらの和(または、差)を通じて、所望の1つの回転力を抽出し、出力部を介して出力する装置を意味する。
【0183】
図15を参照すれば、手術用インストルメントの差動プーリーの第1変形例は、第1入力部1361、第2入力部1362、出力部1363及び差動制御部材1364を含む。
【0184】
第1入力部1361は、第1プーリー1361P1、第2プーリー1361P2及び第1入力ワイヤ1361Wを含む。第1プーリー1361P1と第2プーリー1361P2は、第1入力ワイヤ1361Wによって連結され、共に回転するように形成される。
【0185】
第2入力部1362は、第1プーリー1362P1、第2プーリー1362P2及び第2入力ワイヤ1362Wを含む。第1プーリー1362P1と、第2プーリー1362P2は、第2入力ワイヤ1362Wによって連結され、共に回転するように形成される。
【0186】
出力部1363は、出力プーリー1363P及び出力部ワイヤ1363Wを含む。出力プーリー1363Pと、差動制御部材1364は、出力部ワイヤ1363Wを介して連結され、差動制御部材1364が並進運動を行えば、それと、出力部ワイヤ1363Wを介して連結された出力プーリー1363Pが回転する。
【0187】
差動制御部材1364は、第1プーリー1364P1、第2プーリー1364P2及び差動制御ワイヤ1364Wを含む。さらに、差動制御部材1364は、第1差動ジョイント1364J1及び第2差動ジョイント1364J2を含む。第1プーリー1364P1と、第2プーリー1364P2は、差動制御ワイヤ1364Wによって連結され、共に回転するように形成される。一方、差動制御部材1364は、全体的に、
図15の矢印T方向に並進運動を行うことができる。例えば、差動制御部材1364は、ガイドレール(図示せず)上に設けられ、差動制御部材1364が、ガイドレール(図示せず)に沿って、
図15の矢印T方向に並進運動を行うことができる。
【0188】
一方、第1差動ジョイント1364J1は、第1入力ワイヤ1361Wと、差動制御ワイヤ1364Wとにそれぞれ結合し、第1入力ワイヤ1361Wの回転を差動制御ワイヤ1364Wに伝達する役割を行うことができる。そして、第2差動ジョイント1364J2は、第2入力ワイヤ1362Wと、差動制御ワイヤ1364Wとにそれぞれ結合し、第2入力ワイヤ1362Wの回転を差動制御ワイヤ1364Wに伝達する役割を行うことができる。
【0189】
以下では、前述の差動プーリーの第1変形例の作動について説明する。
【0190】
まず、第1入力部が回転する場合について述べる。
【0191】
図15及び
図16を参照すれば、
図15のような状態で、第1入力部1361の第1プーリー1361P1が、
図16の矢印A1方向に回転すれば、それと連結された第1入力ワイヤ1361Wが、
図16の矢印A2方向に、第1プーリー1361P1に沿って移動する。そして、前述のように、第1入力ワイヤ1361Wと、差動制御ワイヤ1364Wは、それぞれ第1差動ジョイント1364J1に結合されているので、第1入力ワイヤ1361Wが、
図16の矢印A2方向に移動しながら、それと連結された第1差動ジョイント1364J1も、共に矢印A2方向に移動する。このとき、第2入力部1362が、回転入力がなくて固定されていたならば、第2差動ジョイント1364J2の位置も固定されており、従って、第1差動ジョイント1364J1が動いた分だけ、差動制御部材1364が、全体的に矢印A3方向に並進運動を行い、その分だけ第1プーリー1364P1、第2プーリー1364P2、差動制御ワイヤ1364Wも共に移動し、このとき、同時に、第1プーリー1364P1と、第2プーリー1364P2とが反時計回りに回転する。そして、このように、差動制御部材1364が矢印A3方向に移動すれば、それと連結された出力部ワイヤ1363Wが、矢印A4方向に移動し、従って、出力部ワイヤ1363Wと連結された出力プーリー1363Pが、矢印C方向に回転することになる。
【0192】
かような本発明の構成により、第1入力部1361の回転が、第2入力部1362には影響を与えずに、出力部1363にだけ伝達され、出力プーリー1363Pを回転させることができる。
【0193】
次に、第2入力部が回転する場合について述べる。
【0194】
図15及び
図17を参照すれば、
図15のような状態で、第2入力部1362の第1プーリー1362P1が、
図17の矢印B1方向に回転すれば、それと連結された第2入力ワイヤ1362Wが、
図17の矢印B2方向に、第1プーリー1362P1に沿って移動する。そして、前述のように、第2入力ワイヤ1362Wと、差動制御ワイヤ1364Wは、それぞれ第2差動ジョイント1364J2に結合されているので、第2入力ワイヤ1362Wが、
図17の矢印B2方向に移動しながら、それと連結された第2差動ジョイント1364J2も、共に矢印B2方向に移動する。このとき、第1入力部1361が、回転入力がなくて固定されていたならば、第1差動ジョイント1364J1の位置も固定されており、従って、第2差動ジョイント1364J2が動いた分だけ、差動制御部材1364が、全体的に矢印B3方向に並進運動を行い、その分だけ第1プーリー1364P1、第2プーリー1364P2、差動制御ワイヤ1364Wも、共に移動し、このとき、同時に、第1プーリー1364P1と、第2プーリー1364P2とが時計回りに回転する。そして、このように、差動制御部材1364が、矢印B3方向に移動すれば、それと連結された出力部ワイヤ1363Wが、矢印B4方向に移動し、従って、出力部ワイヤ1363Wと連結された出力プーリー1363Pが、矢印C方向に回転することになる。
【0195】
かような本発明の構成により、第2入力部1362の回転が、第1入力部1361には影響を与えずに、出力部1363にだけ伝達され、出力プーリー1363Pを回転させることができる。
【0196】
次に、第1入力部及び第2入力部が、同時に回転する場合について述べる。
【0197】
第1入力部1361の第1プーリー1361P1が、時計回りに回転すれば、出力部1363の出力プーリー1363Pは、反時計回りに回転し、また第2入力部1362の第1プーリー1362P1が、反時計回りに回転すれば、出力部1363の出力プーリー1363Pは、反時計回りに回転する。従って、第1入力部1361の第1プーリー1361P1と、第2入力部1362の第2プーリー1362P1とが互いに反対方向に回転すれば、2つの回転力の合力分だけ、出力部1363の出力プーリー1363Pが回転する。一方、第1入力部1361の第1プーリー1361P1と、第2入力部1362の第2プーリー1362P1とが互いに同一方向に回転すれば、2つの回転力の差の分だけ出力部1363の出力プーリー1363Pが回転することになる。
【0198】
かような本発明によって、2以上の入力部のうちいずれか1つの入力部だけが回転する場合、他の入力部を回転させずに、出力部のみを回転させることができる。また、2以上の入力部が同時に回転する場合、2つの入力部の回転力の和(または、差)の分だけの単一な回転力が、出力部を介して出力されもする。
【0199】
それは、
図4A及び
図4Bに図示された差動プーリーを代替して適用される差動プーリーの一変形例について説明したものであり、具体的にかような差動プーリーの一変形例が手術用インストルメントに適用された例については省略する。
【0200】
<差動プーリーに係わる第2変形例>(D2)
図18は、
図2に図示された手術用インストルメントの差動プーリーの第2変形例を示す図面であり、
図19及び
図20は、
図18に図示された差動プーリーの第2変形例の作動を示す図面である。
【0201】
前述のように、本発明での差動プーリーとは、2以上の入力部及び1つの出力部を具備し、2以上の入力部それぞれが、他の入力部の回転に影響を及ぼさずに、2以上の入力部から入力された回転力を、所望の1つの回転力に出力する装置を意味する。
【0202】
図18を参照すれば、手術用インストルメントの差動プーリーの第2変形例は、第1入力部1371、第2入力部1372、出力部1373、第1差動制御部材1374、第2差動制御部材1375及び差動制御ワイヤ1376を含む。
【0203】
第1入力部1371は、第1入力プーリー1371P及び第1入力ワイヤ1371Wを含む。第1入力プーリー1371Pは、第1入力ワイヤ1371Wと連結され、第1入力ワイヤ1371Wと共に回転するように形成される。
【0204】
第2入力部1372は、第2入力プーリー1372P及び第2入力ワイヤ1372Wを含む。第2入力プーリー1372Pは、第2入力ワイヤ1372Wと連結され、第2入力ワイヤ1372Wと共に回転するように形成される。
【0205】
出力部1373は、出力プーリー1373Pを含む。出力プーリー1373Pは、差動制御ワイヤ1376と連結され、差動制御ワイヤ1376と共に回転するように形成される。
【0206】
第1差動制御部材1374は、第1プーリー1374P1、第2プーリー1374P2及び第1差動制御バー1374aを含む。第1差動制御バー1374aの両端部には、それぞれ第1プーリー1374P1及び第2プーリー1374P2が形成され、それらは、それぞれ回転が可能である。そして、第1差動制御部材1374の両端には、それぞれ第1入力ワイヤ1371Wの両端部が結合される。一方、第1差動制御部材1374は、全体的に
図18の矢印T1方向に並進運動を行うことができる。例えば、第1差動制御部材1374は、ガイドレール(図示せず)上に設けられ、第1差動制御部材1374がガイドレール(図示せず)に沿って、
図18の矢印T1方向に並進運動を行うことができる。従って、第1入力プーリー1371Pが回転すれば、それと連結された第1入力ワイヤ1371Wが回転し、第1入力ワイヤ1371Wが回転すれば、その両端部に結合された第1差動制御部材1374が、
図18の矢印T1方向に並進運動を行う。
【0207】
第2差動制御部材1375は、第1プーリー1375P1、第2プーリー1375P2及び第2差動制御バー1375aを含む。第2差動制御バー1375aの両端部には、それぞれ第1プーリー1375P1及び第2プーリー1375P2が形成され、それらは、それぞれ回転が可能である。そして、第2差動制御部材1375の両端には、それぞれ第2入力ワイヤ1372Wの両端部が結合される。一方、第2差動制御部材1375は、全体的に
図18の矢印T2方向に並進運動を行うことができる。例えば、第2差動制御部材1375は、ガイドレール(図示せず)上に設けられ、第2差動制御部材1375がガイドレール(図示せず)に沿って、
図18の矢印T2方向に並進運動を行うことができる。従って、第2入力プーリー1372Pが回転すれば、それと連結された第2入力ワイヤ1372Wが回転し、第2入力ワイヤ1372Wが回転すれば、その両端部に結合された第2差動制御部材1375が、
図18の矢印T2方向に並進運動を行う。
【0208】
一方、第1差動制御部材1374の第1プーリー1374P1、第2差動制御部材1375の第1プーリー1375P1、第1差動制御部材1374の第2プーリー1374P2、及び第2差動制御部材1375の第2プーリー1375P2に沿って、差動制御ワイヤ1376が連結される。差動制御ワイヤ1376は、前記4つのプーリーに沿って巻かれており、第1差動制御部材1374及び第2差動制御部材1375の並進運動によって移動するように形成される。ここで、差動制御ワイヤ1376には、固定点F1が形成され、差動制御ワイヤの移動の基準点にもなる。
【0209】
以下では、前述の差動プーリーの第2変形例の作動について説明する。
【0210】
まず、第1入力部が回転する場合について述べる。
【0211】
図18及び
図19を参照すれば、
図18のような状態で、第1入力部1371の第1入力プーリー1371Pが、
図19の矢印A1方向に回転すれば、それと連結された第1入力ワイヤ1371Wが、
図19の矢印A2方向に第1入力プーリー1371Pに沿って移動する。そして、前述のように、第1入力ワイヤ1371Wは、第1差動制御部材1374と連結されているので、第1入力ワイヤ1371Wが、
図19の矢印A2方向に移動すれば、第1差動制御部材1374が全体的に矢印A3方向に並進運動を行う。そして、このように、第1差動制御部材1374が矢印A3方向に並進運動を行えば、例えば、
図18の差動制御ワイヤ1376のP1点が、
図19の差動制御ワイヤ1376のP1’点に移動し、従って、差動制御ワイヤ1376が全体的に、
図19の矢印A4方向に移動する。従って、差動制御ワイヤ1376と連結された出力プーリー1373Pが、矢印C方向に回転することになる。このとき、第1差動制御部材1374の第1プーリー1374P1、第2プーリー1374P2、及び第2差動制御部材1375の第2プーリー1375P2は、それぞれ時計回りに回転する。
【0212】
かような本発明の構成により、第1入力部1371の回転が、第2入力部1372には影響を与えずに、出力部1373にだけ伝達され、出力プーリー1373Pを回転させることができる。
【0213】
次に、第2入力部が回転する場合について述べる。
【0214】
図18及び
図20を参照すれば、
図18のような状態で、第2入力部1372の第2入力プーリー1372Pが、
図20の矢印B1方向に回転すれば、それと連結された第2入力ワイヤ1372Wが、
図20の矢印B2方向に、第2入力プーリー1372Pに沿って移動する。そして、前述のように、第2入力ワイヤ1372Wは、第2差動制御部材1375と連結されているので、第2入力ワイヤ1372Wが、
図20の矢印B2方向に移動すれば、第2差動制御部材1375が、全体的に矢印B3方向に並進運動を行う。そして、このように、第2差動制御部材1375が、矢印B3方向に並進運動を行えば、例えば、
図18の差動制御ワイヤ1376のP2点が、
図20の差動制御ワイヤ1376のP2’点に移動し、従って、差動制御ワイヤ1376が、全体的に
図20の矢印B4方向に移動する。従って、差動制御ワイヤ1376と連結された出力プーリー1373Pが、矢印C方向に回転することになる。このとき、第2差動制御部材1375の第1プーリー1375P1、第2プーリー1375P2及び第1差動制御部材1374の第1プーリー1374P1は、それぞれ時計回りに回転する。
【0215】
かような本発明の構成により、第2入力部1372の回転が、第1入力部1371には影響を与えずに、出力部1373にだけ伝達され、出力プーリー1373Pを回転させることができる。
【0216】
次に、第1入力部及び第2入力部が同時に回転する場合について述べる。
【0217】
第1入力部1371の第1入力プーリー1371Pが、反時計回りに回転すれば、出力部1373の出力プーリー1373Pは、反時計回りに回転し、また第2入力部1372の第2入力プーリー1372Pが、時計回りに回転すれば、出力部1373の出力プーリー1373Pは、反時計回りに回転する。従って、第1入力部1371の第1入力プーリー1371Pと、第2入力部1372の第2入力プーリー1372Pとが互いに反対方向に回転すれば、2つの回転力の合力分だけ、出力部1373の出力プーリー1373Pが回転する。一方、第1入力部1371の第1入力プーリー1371Pと、第2入力部1372の第2入力プーリー1372Pとが互いに同一方向に回転すれば、2つの回転力の差の分だけ、出力部1373の出力プーリー1373Pが回転することになる。
【0218】
かような本発明によって、2以上の入力部のうちいずれか1つの入力部だけが回転する場合、他の入力部を回転させずに、出力部のみを回転させることができる。また、2以上の入力部が同時に回転する場合、2つの入力部の回転力の和(または、差)の分だけの単一な回転力が、出力部を介して出力されもする。
【0219】
次に、手術用インストルメントの差動プーリーの第2変形例の他の具現例について説明する。
図21Aないし
図21Eは、それぞれ差動プーリーの第2変形例の他の具現例を示す図面である。
図21Aないし
図21Eには、第1入力部及び第2入力部は、省略されており、第1差動制御部材1374a~1374e、第2差動制御部材1375a~1375e、出力部1373a~1373e、及びそれらを連結する差動制御ワイヤ1376a~1376eが図示されている。それらそれぞれの具現例は、その外形は、少しずつ異なるが、第1入力部(図示せず)が回転すれば、第1差動制御部材1374a~1374eが上下に並進運動を行いながら、差動制御ワイヤ1376a~1376eを回転させ、出力部1373a~1373eを回転させ、第2入力部(図示せず)が回転すれば、第2差動制御部材1375a~1375eが上下に並進運動を行いながら、差動制御ワイヤ1376a~1376eを回転させ、出力部1373a~1373eを回転させるという点で、
図18ないし
図20で説明した差動プーリーの第2変形例と実質的に同一であるといえる。
【0220】
それは、
図4A及び
図4Bに図示された差動プーリーを代替して適用される差動プーリーの一変形例について説明したものであり、具体的にかような差動プーリーの一変形例が手術用インストルメントに適用された例については省略する。
【0221】
<差動プーリーに係わる第3変形例>(D4)
図22及び
図23は、
図2に図示された手術用インストルメントの差動プーリーの第3変形例を示す図面である。
【0222】
前述のように、本発明での差動プーリーとは、2以上の入力部及び1つの出力部を具備し、2以上の入力部それぞれが、他の入力部の回転に影響を及ぼさずに、2以上の入力部から入力された回転力を、所望の1つの回転力に出力する装置を意味する。
【0223】
図22及び
図23を参照すれば、手術用インストルメントの差動プーリーの第3変形例は、第1入力部1381、第2入力部1382、出力部1383及び連結部1384を含む。
【0224】
第1入力部1381は、第1回転軸1381aと、第1入力プーリー1381bとを含み、第1入力プーリー1381bは、第1回転軸1381aと結合され、第1回転軸1381aを中心に、共に回転自在に形成される。
【0225】
第2入力部1382は、第2回転軸1382aと、互いに対向するように形成された2つの第2入力プーリー1382bとを含み、2つの第2入力プーリー1382bは、第2回転軸1382aと結合されないように具備され、第2回転軸1382aを中心に回転自在に形成される。このとき、第1入力部1381は、第2入力プーリー1382bから延設される。すなわち、第1入力プーリー1381bは、連結部材(図示せず)によって、第2入力プーリー1382bに連結されており、第2入力プーリー1382bが回転すれば、それに連結された第1入力プーリー1381bを含んだ第1入力部1381が回転する。
【0226】
出力部1383は、第3回転軸1383aと、出力プーリー1383bとを含み、出力プーリー1383bは、第3回転軸1383aと結合され、第3回転軸1383aを中心に回転自在に形成される。
【0227】
連結部1384は、第4回転軸1384aと、互いに対向するように形成された2つの連結プーリー1384bとを含み、2つの連結プーリー1384bは、第4回転軸1384aと結合されないように具備され、第4回転軸1384aを中心にそれぞれ回転自在に形成される。
【0228】
一方、差動制御ワイヤ1385は、出力部1383、連結プーリー1384bの2つのうち一つ、第2入力プーリー1382bの2つのうち一つ、第1入力プーリー1381b、第2入力プーリー1382bの2つのうち他の一つ、連結プーリー1384b2つのうち他の一つ、及び出力部と順に接するように形成され、出力部1383、連結部1384、第2入力部1382及び第1入力部1381に沿って回転するように形成される。
【0229】
ここで、図面には、図示されていないが、第1入力部1381と第2入力部1382とを連結する結合部材(図示せず)がさらに具備されてもよい。このとき、結合部材(図示せず)は、第1入力部1381の第1回転軸1381aと、第2入力部1382の第2回転軸1382aにそれぞれ嵌め込まれるように形成される。ここで、結合部材(図示せず)と第2回転軸1382aは、固定結合され、第2回転軸1382aが回転すれば、結合部材(図示せず)及びそれと連結された第1入力部1381も、共に回転する一方、結合部材(図示せず)と第1回転軸1381aは、固定結合されず、第1回転軸1381aが回転しても、結合部材(図示せず)は、停止している。
【0230】
以下では、前述の差動プーリーの第3変形例の作動について説明する。
【0231】
まず、第1入力部1381が回転する場合について述べる。第1入力部1381の第1入力プーリー1381bが、第1回転軸1381aを中心に回転すれば、摩擦力または固定点の具備などによって、差動制御ワイヤ1385が第1入力プーリー1381bと共に回転し、それに繋がって、第2入力プーリー1382bの二つと、連結プーリー1384bの二つとに巻かれた差動制御ワイヤ1385も移動し、その結果として、差動制御ワイヤ1385の反対側に連結された出力部1383の出力プーリー1383bも、第3回転軸1383aを中心に回転する。このとき、移動する差動制御ワイヤ1385が巻かれた2つの第2入力プーリー1382a及び2つの連結プーリー1384aも、共に回転する。
【0232】
同様に、第2入力部1382が回転する場合について述べる。
図22のような状態で、第2入力部1382の第2入力プーリー1382bが、第2回転軸1382aを中心に、反時計回りに回転すれば、
図23に図示されたように、第2回転軸1382aを中心に、第1入力部1381が、全体的に反時計回りに回転する。このとき、第1入力部1381に回転入力がなく、第1入力プーリー1381bに巻かれた差動制御ワイヤ1385の回転が、第1回転軸1381aに相対的になければ、第1回転軸1381aに巻かれた差動制御ワイヤ1385部分も、全体的に第2回転軸1382aを中心に回転する。それは、第2入力プーリー1382bの二つにそれぞれ巻かれた差動制御ワイヤ1385が引っ張られて伸び、それは、結果として、それに該当する第2入力プーリー1382bの二つを回転させる。かような第2入力プーリー1382bの二つでの差動制御ワイヤ1385の移動は、結果として、連結プーリー1384bの二つを経て、出力プーリー1383bも回転させる。
【0233】
かような本発明によって、2以上の入力部のうちいずれか1つの入力部の回転は、他の入力部の回転を誘発せずに、独立して出力部の回転を起こすことができる。また、2以上の入力部が同時に回転する場合、2つの入力部の回転量の和(または、差)の分だけの単一な回転力が、出力部を介して出力されもする。
【0234】
本差動プーリーに係わる第3変形例は、前記の差動プーリー、並びに第1変形例及び第2変形例と差異があるが、それは、1つの入力部が、異なる1つの入力部の回転軸上に具備されることであり、他の1つの回転入力によって、1つの入力部の位置が回転するというものである。すなわち、前記の差動プーリー、並びに第1変形例及び第2変形例では、各入力部が互いに独立して位置するが、本差動プーリーに係わる第3変形例は、1つの入力部が、異なる1つの入力部の座標系上に位置するという違いがある。それは、第2実施形態(
図28など)などのように、1つの操作入力部が、異なる1つの操作入力部上に具備され、他の1つの操作入力部が回転または移動すれば、1つの操作入力部も連動して、回転または移動しなければならないという構造に使用が可能である。
【0235】
一方、図面には、出力部1383、連結部1384、第2入力部1382、第1入力部1381の順に配列されているように図示されているが、本発明の思想は、それに制限されるものではなく、連結部と第2入力部との位置を互いに変える構成も可能である。その場合にも、第1入力プーリーは、連結部材(図示せず)によって、第2入力プーリーに連結され、第2入力プーリーが回転すれば、それに連結された連結部の連結プーリー及び第1入力部の第1入力プーリーが共に回転する。
【0236】
それは、
図4A及び
図4Bに図示された差動プーリーを代替して適用される差動プーリーの一変形例について説明したものであり、具体的にかような差動プーリーの一変形例が手術用インストルメントに適用された例については省略する。
【0237】
<差動ギア>
図24は、
図2に図示された手術用インストルメントの動力伝達部の一変形例による手術用インストルメント100gを示す図面であり、
図25は、
図24の差動ギアを詳細に示す図面である。ここで、本発明の第1実施形態の動力伝達部の一変形例による手術用インストルメント100gは、前述の本発明の第1実施形態による手術用インストルメント100と類似しており、動力伝達部の構成が特徴的に異なるところ、以下では、かような動力伝達部の構成を中心に説明する。
【0238】
本変形例では
図2及び
図4Aなどの差動プーリーの代わりに、差動ギアを適用することを一特徴とする。すなわち、
図24及び
図25に図示された手術用インストルメントの差動ギアは、
図4Aに図示された手術用インストルメントの差動プーリーにおいて、プーリー及びワイヤをギアで代替した構造であると見ることもできる。
【0239】
図24及び
図25を参照すれば、本発明の第1実施形態の動力伝達部の一変形例による手術用インストルメント100gは、操作部110、エンドツール120、動力伝達部130及び連結部(図示せず)を含む。そして、動力伝達部130は、第1差動ギア151と、第2差動ギア152とを含む。
【0240】
詳細には、第1差動ギア151は、第1入力部1511、第2入力部1512及び出力部1513を含む。
【0241】
第1入力部1511は、第1プーリー1511a及び第1ギア1511bを含む。第1プーリー1511a及び第1ギア1511bは、同一の回転軸を中心に共に回転する。ここで、第1入力部1511の第1プーリー1511aは、ヨー操作部112の第1プーリー1121aと、YC1ワイヤ135YC1によって連結され、ヨー操作部112の回転が、第1入力部1511に伝達させる。また、第1入力部1511の第1ギア1511bは、出力部1513と連結され、第1入力部1511の回転が、出力部1513に伝達させる。
【0242】
第2入力部1512は、第2プーリー1512a及び第2ギア1512bを含む。第2プーリー1512a及び第2ギア1512bは、同一の回転軸を中心に共に回転する。ここで、第2入力部1512の第2プーリー1512aは、アクチュエーション操作部113の第1プーリー1131aと、AC1ワイヤ135AC1によって連結され、アクチュエーション操作部113の回転が、第2入力部1512に伝達させる。また、第2入力部1512の第2ギア1512bは、出力部1513と連結され、第2入力部1512の回転が出力部1513に伝達させる。
【0243】
出力部1513は、出力プーリー1513a、延長部1513b及び差動制御ギア1513cを含む。ここで、出力部1513の出力プーリー1513aは、操作部制御部材115と、J12ワイヤ135J12によって連結され、出力部1513の回転を、操作部制御部材115を介して、エンドツール120の第1ジョー121に伝達させる。一方、延長部1513bは、出力プーリー1513aの回転軸から一方向に延設され、出力プーリー1513aの回転軸を中心に、出力プーリー1513aと共に回転自在に形成される。差動制御ギア1513cは、延長部1513bに貫通挿入され、延長部1513bを中心に回転自在に形成される。
【0244】
ここで、第1入力部1511と第2入力部1512と出力部1513は、それぞれ独立した軸を中心に、独立して回転する。
【0245】
ここで、第1差動ギア151は、第1入力部1511、第2入力部1512及び出力部1513を具備し、第1入力部1511及び第2入力部1512から回転力を入力され、それらの和(または、差)を通じて、1つの回転力を抽出し、出力部1513を介して出力する。すなわち、第1入力部1511だけ回転する場合、それを、出力部1513を介して出力し、第2入力部1512だけ回転する場合、それを、出力部1513を介して出力し、第1入力部1511と、第2入力部1512とが同一方向に回転する場合、それらの和を、出力部1513を介して出力し、第1入力部1511と、第2入力部1512とが反対方向に回転する場合、それらの差を、出力部1513を介して出力する。それについては、次の数式で説明することができる。
【0246】
C=A+B
ここで、Cは、出力部の回転、Aは、第1入力部の回転、Bは、第2入力部の回転である。
【0247】
かような第1差動ギア151及び第2差動ギア152によって、ヨー操作部112と、アクチュエーション操作部113とがそれぞれ自由に回転しても、各差動ギアの出力部は、それぞれヨー操作部112及びアクチュエーション操作部113の回転に対して独立して回転し、その結果として、各差動ギアの出力部は、それぞれヨー操作部112及びアクチュエーション操作部113の回転の和(または、差)の分だけ動き、所望の1つの回転力を抽出することになる。
【0248】
<差動ギアに係わる第1変形例>
図26は、
図24の差動ギアの第1変形例を示す図面である。
【0249】
前述のように、本発明での差動ギアとは、2以上の入力部及び1つの出力部を具備し、2以上の入力部から回転力を入力され、それらの和(または、差)を通じて、所望の1つの回転力を抽出し、出力部を介して出力する装置を意味する。
【0250】
図26を参照すれば、手術用インストルメントの差動ギアの第1変形例は、第1入力部1561、第2入力部1562、出力部1563及び差動制御部材1564を含む。このとき、
図26に図示された手術用インストルメントの差動ギアの第1変形例は、
図15に図示された手術用インストルメントの差動プーリーの第1変形例でのプーリー及びワイヤを、ギアで代替した構造であると見ることもできる。
【0251】
第1入力部1561は、第1プーリー1561P、第1ギア1561G及び第1入力ワイヤ1561Wを含む。第1プーリー1561Pと第1ギア1561Gは、第1入力ワイヤ1561Wによって連結され、第1プーリー1561Pが回転すれば、第1ギア1561Gが上下に移動するように形成される。
【0252】
第2入力部1562は、第2プーリー1562P、第2ギア1562G及び第2入力ワイヤ1562Wを含む。第2プーリー1562Pと第2ギア1562Gは、第2入力ワイヤ1562Wによって連結され、第2プーリー1562Pが回転すれば、第2ギア1562Gが上下に移動するように形成される。
【0253】
出力部1563は、出力プーリー1563P及び出力部ワイヤ1563Wを含む。出力プーリー1563Pと差動制御部材1564は、出力部ワイヤ1563Wを介して連結され、差動制御部材1564が並進運動を行えば、差動制御部材1564と、出力部ワイヤ1563Wを介して連結された出力プーリー1563Pが回転する。
【0254】
差動制御部材1564は、差動制御ギア1564G及び差動制御ベース1564Bを含む。ここで、差動制御ギア1564Gは、第1ギア1561G及び第2ギア1562Gとそれぞれ噛み合うように形成され、第1ギア1561G及び第2ギア1562Gが上下に移動すれば、差動制御ギア1564Gが回転しながら、上下に並進運動を行うように形成される。すなわち、第1ギア1561G及び第2ギア1562Gは、一種のラック(rack)の役割を行い、差動制御ギア1564Gは、一種のピニオン(pinion)の役割を行うのである。従って、ここで、差動制御部材1564は、全体的に
図26の矢印T方向に並進運動を行う。例えば、差動制御部材1564の差動制御ベース1564Bが、ガイドレール(図示せず)上に設けられ、差動制御部材1564が、ガイドレール(図示せず)に沿って
図26の矢印T方向に並進運動を行う。
【0255】
かような本発明によって、2以上の入力部のうちいずれか1つの入力部だけが回転する場合、他の入力部を回転させず、出力部のみを回転させることができる。また、2以上の入力部が同時に回転する場合、2つの入力部の回転力の和(または、差)の分だけの単一な回転力が、出力部を介して出力されもする。
【0256】
<差動ギアに係わる第2変形例>
図27は、
図24の差動ギアの第2変形例を示す図面である。
【0257】
前述のように、本発明での差動ギアとは、2以上の入力部及び1つの出力部を具備し、2以上の入力部から回転力を入力され、それらの和(または、差)を通じて、所望の1つの回転力を抽出し、出力部を介して出力する装置を意味する。
【0258】
図27を参照すれば、手術用インストルメントの差動ギアの第2変形例は、第1入力部1571、第2入力部1572、出力部1574及び差動制御部材1573を含む。
【0259】
詳細には、第1入力部1571及び第2入力部1572は、中心回転軸1575を中心に回転自在に形成されたギア形態で具備され、特に、第2入力部1572は、ピッチ円筒の内側に、鋸歯が出ているギア形態で具備され、差動制御部材1573は、第1入力部1571と第2入力部1572とのギアに噛み合って中間位置に具備される。差動制御部材1573は、差動制御部材ギア軸1573aを中心に回転し、差動制御部材ギア軸1573aは、出力部1574に連結されている。出力部1574は、中心回転軸1575を中心に回転自在である。
【0260】
まず、第1入力部1571だけ回転する場合、ギア歯によって噛み合った差動制御部材1573は、差動制御部材ギア軸1573aを中心に回転すると同時に、差動制御部材ギア軸1573aが連結された出力部1574の中心回転軸1575に対する回転を起こす。一方、第2入力部1572だけ回転する場合にも、ギア歯によって噛み合った差動制御部材1573は、差動制御部材ギア軸1573aを中心に回転すると同時に、差動制御部材ギア軸1573aが連結された出力部1574の中心回転軸1575に対する回転を起こす。なお、第1入力部1571と第2入力部1572とが同一方向に回転する場合、差動制御部材1573及び出力部1574は、中心回転軸1575を中心に同方向に回転し、このとき、差動制御部材1573は、差動制御部材ギア軸1573aを中心に回転しない。
【0261】
一方、第1入力部1571と第2入力部1572とが互いに反対方向に回転する場合には、差動制御部材1573及び出力部1574は、中心回転軸1575に対して回転しない。このとき、差動制御部材1573は、差動制御部材ギア軸1573aを中心に回転する。
【0262】
従って、かような本発明によって、2以上の入力部の回転入力の和(または、差)の分だけの単一な回転力が、出力部を介して出力されもする。
【0263】
<手術用インストルメントの第2実施形態>(E3+H2+D3)
以下では、本発明の第2実施形態による手術用インストルメント200について説明する。ここで、本発明の第2実施形態による手術用インストルメント200は、前述の本発明の第1実施形態による手術用インストルメント100に比べ、操作部の構成が特徴的に異なる。すなわち、本発明の第1実施形態による手術用インストルメント100は、ヨー操作部と、アクチュエーション操作部とが互いに独立して形成され、ヨー駆動軸の回転と、アクチュエーション駆動軸の回転とが互いに独立して行われるのに比べ、本発明の第2実施形態による手術用インストルメント200は、アクチュエーション操作部がヨー操作部上に形成され、ヨー操作部が回転すれば、アクチュエーション操作部も共に回転するように形成される。このように、第1実施形態に比べて異なる操作部の構成については、以下で詳細に説明する。
【0264】
図28は、本発明の第2実施形態による手術用インストルメント200を示す図面である。
図28を参照すれば、本発明の第2実施形態による手術用インストルメント200は、操作部210、エンドツール220、動力伝達部230及び連結部(図示せず)を含む。
【0265】
エンドツール220は、第1ジョー221、第2ジョー222、エンドツール制御部材223を含み、動力伝達部230は、第1ジョー駆動ワイヤ235J1及び第2ジョー駆動ワイヤ235J2を含むことにより、簡便にエンドツール220のピッチ動作、ヨー動作及びアクチュエーション動作を遂行する。ここで、エンドツール220は、第1実施形態で説明したエンドツールと同一であるので、ここでは、その詳細な説明は省略する。
【0266】
一方、動力伝達部230は、複数個のプーリー、及び複数本のワイヤ235AY1,235AY2,235J1,235J2を含む。ここで、動力伝達部230は、第1実施形態で説明した動力伝達部と同一であるか、あるいは類似しているので、ここでは、その詳細な説明は省略する。
【0267】
以下では、本発明の第2実施形態による手術用インストルメント200の操作部210について、さらに詳細に説明する。
【0268】
図28を参照すれば、本発明の第2実施形態による手術用インストルメント200の操作部210は、エンドツール220のピッチ運動を制御するピッチ操作部211と、エンドツール220のヨー運動を制御するヨー操作部212と、エンドツール220のアクチュエーション運動を制御するアクチュエーション操作部213と、を含む。
【0269】
ピッチ操作部211は、ピッチ駆動軸2111と、ピッチ駆動バー2112とを含む。ここで、ピッチ駆動軸2111は、Y軸と平行な方向に形成され、ピッチ駆動バー2112は、ピッチ駆動軸2111と連結され、ピッチ駆動軸2111と共に回転するように形成される。例えば、ユーザが、ピッチ駆動バー2112を手で握っている状態で、ピッチ駆動バー2112を回転させれば、ピッチ駆動バー2112と連結されたピッチ駆動軸2111、及びそれと結合されたピッチ駆動プーリー2113が共に回転し、かような回転力が、動力伝達部230を介して、エンドツール220に伝達され、エンドツール220が、ピッチ駆動軸2111の回転方向と同一方向に回転する。すなわち、ピッチ操作部211が、ピッチ駆動軸2111を中心に、時計回りに回転すれば、エンドツール230も、エンドツールピッチ駆動軸2231を中心に、時計回りに回転し、一方、ピッチ操作部211が、ピッチ駆動軸2111を中心に、反時計回りに回転すれば、エンドツール230も、エンドツールピッチ駆動軸2231を中心に、反時計回りに回転する。一方、ピッチ駆動プーリー2113は、ピッチ駆動軸2111と一体に形成され、ピッチ駆動軸2111と共に回転する。
【0270】
ヨー操作部212は、ヨー駆動軸2121と、ヨー駆動バー2122と、を含む。ここで、図面には、ピッチ駆動バー2112が延長され、ヨー駆動軸2121が形成されるように図示されているが、本発明の思想は、それに制限されるものではなく、ピッチ駆動バー2112と、ヨー駆動軸2121とが別途の部材で形成され、互いに異なる軸上に配置されることも可能である。このとき、ヨー駆動軸2121は、人体工学的設計によって、操作部210を把持するユーザの手構造に適するように、多様な方向に形成される。
【0271】
一方、前述のように、ピッチ操作部211が回転する場合、ヨー操作部212の座標系は、相対的に変わり、このとき、ヨー駆動バー2122は、ヨー駆動軸2121を中心に回転自在に形成される。例えば、ユーザが、ヨー駆動バー2122に、人差し指を嵌め込んだ状態で、ヨー駆動バー2122を回転させれば、ヨー駆動バー2122が、ヨー駆動軸2121を中心に回転し、かような回転力が、第1ヨー・アクチュエーション駆動ワイヤ235AY1、及び第2ヨー・アクチュエーション駆動ワイヤ235AY2を介して、エンドツール220に伝達され、エンドツール220の2つのジョー221,222が、ヨー操作部212の回転方向と同一方向に左右に回転する。
【0272】
アクチュエーション操作部213は、アクチュエーション駆動軸2131、アクチュエーション駆動バー2132、第1アクチュエーション駆動プーリー2133a及び第2アクチュエーション駆動プーリー2133bを含む。ここで、アクチュエーション駆動バー2132、第1アクチュエーション駆動プーリー2133a及び第2アクチュエーション駆動プーリー2133bは、アクチュエーション駆動軸2131を中心に回転自在に形成される。例えば、ユーザが、アクチュエーション駆動バー2132に、親指を嵌め込んだ状態で、アクチュエーション駆動バー2132を回転させれば、アクチュエーション駆動バー2132と連結された第1アクチュエーション駆動プーリー2133a及び第2アクチュエーション駆動プーリー2133bが、アクチュエーション駆動軸2131を中心に回転し、かような回転力が、動力伝達部230を介して、エンドツール220に伝達され、エンドツール220の2つのジョー221,222が、アクチュエーション動作を遂行する。ここで、図面には、アクチュエーション操作部の駆動軸が、ヨー操作部の駆動軸と平行であるように図示されているが、本発明の思想は、それに制限されるものではなく、人体工学的設計によって多様な形状に形成可能である。
【0273】
一方、アクチュエーション操作部213は、ヨー操作部212から延設されたヨー・アクチュエーション連結部2124上に形成されている。従って、ヨー操作部212が回転すれば、ヨー操作部212と共に、アクチュエーション操作部213も回転する。一方、第1ヨー・アクチュエーション駆動プーリー214P1、及び第2ヨー・アクチュエーション駆動プーリー214P2は、ヨー駆動軸2121を中心に回転自在に形成される。そして、第1アクチュエーション駆動プーリー2133aと、第1ヨー・アクチュエーション駆動プーリー214P1は、第1ヨー・アクチュエーション連結ワイヤ214W1によって連結されており、第1ヨー・アクチュエーション駆動プーリー214P1には、また第1ヨー・アクチュエーション駆動ワイヤ235AY1が連結されている。同様に、第2アクチュエーション駆動プーリー2133bと、第2ヨー・アクチュエーション駆動プーリー214P2は、第2ヨー・アクチュエーション連結ワイヤ214W2によって連結されており、第2ヨー・アクチュエーション駆動プーリー214P2には、また第2ヨー・アクチュエーション駆動ワイヤ235AY2が連結されている。
【0274】
その結果として、第1ヨー・アクチュエーション駆動プーリー214P1と、第2ヨー・アクチュエーション駆動プーリー214P2は、ヨー操作部212が回転するときも回転し、アクチュエーション操作部213が回転するときも、回転するように形成される。
【0275】
しかし、2本のヨー・アクチュエーション連結ワイヤ214W1,214W2のうち第1ヨー・アクチュエーション連結ワイヤ214W1は、1回ねじれて、第1ヨー・アクチュエーション駆動プーリー214P1に連結され、アクチュエーション操作部213の操作入力が反対に伝達される一方、第2ヨー・アクチュエーション連結ワイヤ214W2は、第2ヨー・アクチュエーション駆動プーリー214P2にそのまま連結され、アクチュエーション操作部213の操作入力がそのまま伝達される。
【0276】
一方、本発明の第2実施形態による手術用インストルメント200の操作部210は、ピッチ操作部211のピッチ駆動軸2111と連動する操作部制御部材215をさらに具備する。かような操作部制御部材215は、
図5で説明したエンドツールと同一であるので、ここでは、その詳細な説明は省略する。
【0277】
(第2実施形態の全体動作)
以下では、前記説明を参照し、本発明の第2実施形態による手術用インストルメント200のピッチ動作、ヨー動作及びアクチュエーション動作の全体的な構成をまとめてみる。
【0278】
本実施形態のエンドツール220の構成上、エンドツール220のピッチ動作、ヨー動作及びアクチュエーション動作を遂行するためには、操作部210での操作入力を、ピッチ動作、ヨー動作及びアクチュエーション動作に分離することができる動力伝達部230が必要である。前述のように、エンドツール制御部材223と、操作部制御部材215とが互いに対称になるように配置される構造を介して、ピッチ操作部211の回転操作は、ヨー操作部212及びアクチュエーション操作部213の操作と係わりなく、エンドツール220のピッチ動作を可能にする。しかし、ヨー操作部212及びアクチュエーション操作部213の操作が、エンドツール220のヨー動作及びアクチュエーション動作に連結されるためには、エンドツール220の2つのジョーの動作に変換されなければならない。ヨー操作部212の回転は、2つのジョーを同方向に回転させ、アクチュエーション操作部213の回転は、2つのジョーを互いに異なる方向に回転させる。すなわち、第1ジョー221は、ヨー操作部212と、アクチュエーション操作部213との操作入力の和の分だけ回転し、第2ジョー222は、ヨー操作部212と、アクチュエーション操作部213との操作入力の差の分だけ回転する。それを、次のような数式で表現することができる。
【0279】
J1=Y+A
ここで、第1ジョーは、ヨー動作にもアクチュエーション動作にもいずれも同方向に回転する。
【0280】
J2=Y-A
ここで、第2ジョーは、ヨー動作とは同方向であるが、アクチュエーション動作入力には、反対方向に回転する。
【0281】
しかし、アクチュエーション操作部213は、ヨー操作部212上に位置するので、アクチュエーション操作部213の操作入力は、ヨー操作部212の操作入力と合された状態で、動力伝達部230に伝達される。それは、次のような数式で表現することができる。
【0282】
YA=Y+A
これは、すぐ前述のJ1成分のような成分であり、そのまま第1ジョー221に連結される。
【0283】
しかし、第2ジョーの成分であるJ2を抽出するためには、前述のように、ヨー操作部212の操作入力と、アクチュエーション操作部213の操作入力との差を求めなければならず、そのために、アクチュエーション操作部213の操作入力が反対に伝達されるように、前述のように、第1ヨー・アクチュエーション連結ワイヤ214W1を1回ねじり、第1ヨー・アクチュエーション駆動プーリー214P1に連結した。これは、次のような数式で表現することができる。
【0284】
YA2=Y-A
これは、すぐ前述のJ2成分のような成分であり、そのまま第2ジョー222に連結される。ここで、Yは、ヨー駆動プーリーの回転であり、Aは、アクチュエーション駆動プーリーの回転である。
【0285】
かような構成を介して、アクチュエーション操作部213が、ヨー操作部212上に位置する構成を有する操作部210で、ヨー操作部212と、アクチュエーション操作部213との操作入力が、2つのジョーの動作成分に変換が可能であり、それについて、さらに詳細に説明すれば、次の通りである。
【0286】
まず、ピッチ動作は、次の通りである。
【0287】
前述のように、ユーザが、操作部210のピッチ制御部211のピッチ駆動バー2112を手で握っている状態で、ピッチ駆動軸2111を中心に、ピッチ駆動バー2112を、
図28の矢印OP方向に回転させれば、操作部制御部材215も、ピッチ駆動軸2111を中心に全体的に回転する。それにより、操作部制御部材215に巻かれている第1ジョー駆動ワイヤ235J1は、全体的に操作部210側に引っ張られる。同時に、操作部制御部材215に巻かれている第2ジョー駆動ワイヤ235J2は、全体的に、操作部制御部材215から緩まる。それにより、第1ジョー駆動ワイヤ235J1及び第2ジョー駆動ワイヤ235J2と連結されているエンドツール制御部材223が、エンドツールピッチ駆動軸2231を中心に回転しながら、ピッチ運動を行う。
【0288】
次に、ヨー動作について説明する。
【0289】
ユーザが、ヨー駆動バー2122に人差し指を嵌め込んだ状態で、ヨー駆動バー2122を、
図28の矢印Y方向に回転させれば、ヨー操作部212、及びそれと連結されたアクチュエーション操作部213が、全体的にヨー駆動軸2121を中心に回転し、かような回転力が、第1ヨー・アクチュエーション連結ワイヤ214W1、第1ヨー・アクチュエーション駆動プーリー214P1及び第1ヨー・アクチュエーション駆動ワイヤ235AY1を介して、操作部制御部材215に伝達され、操作部制御部材215のJ11プーリー215J11を、
図28の矢印YA方向に回転させる。そして、操作部制御部材215のJ11プーリー215J11が回転すれば、それと連結された第1ジョー駆動ワイヤ235J1を回転させ、従って、第1ジョー駆動ワイヤ235J1と連結されたエンドツール220の第1ジョー221が、
図28の矢印YJ方向に回転する。
【0290】
それと同時に、ヨー駆動バー2122が、
図28の矢印Y方向に回転すれば、ヨー操作部212、及びそれと連結されたアクチュエーション操作部213が、全体的にヨー駆動軸2121を中心に回転し、かような回転力が、第2ヨー・アクチュエーション連結ワイヤ214W2、第2ヨー・アクチュエーション駆動プーリー214P2及び第2ヨー・アクチュエーション駆動ワイヤ235AY2を介して、操作部制御部材215に伝達され、操作部制御部材215のJ21プーリー215J21を、
図28の矢印YA方向に回転させる。そして、操作部制御部材215のJ21プーリー215J21が回転すれば、それと連結された第2ジョー駆動ワイヤ235J2を回転させ、従って、第2ジョー駆動ワイヤ235J2と連結されたエンドツール220の第2ジョー222が
図28の矢印YJ方向に回転する。
【0291】
このように、ヨー操作部212をいずれか一方向に回転させれば、2つのジョー221,222が同一方向に回転しながら、ヨー動作が遂行される。
【0292】
次に、アクチュエーション動作について説明する。
【0293】
ユーザが、アクチュエーション駆動バー2132に親指を嵌め込んだ状態で、アクチュエーション駆動バー2132を、
図28の矢印A方向に回転させれば、アクチュエーション操作部213が、アクチュエーション駆動軸2131を中心に回転し、かような回転力が、第1ヨー・アクチュエーション連結ワイヤ214W1、第1ヨー・アクチュエーション駆動プーリー214P1及び第1ヨー・アクチュエーション駆動ワイヤ235AY1を介して、操作部制御部材215に伝達され、操作部制御部材215のJ11プーリー215J11を、
図28の矢印YA方向に回転させる。そして、操作部制御部材215のJ11プーリー215J11が回転すれば、それと連結された第1ジョー駆動ワイヤ235J1を回転させ、従って、第1ジョー駆動ワイヤ235J1と連結されたエンドツール220の第1ジョー221が、
図28の矢印YJ方向に回転する。
【0294】
それと同時に、アクチュエーション駆動バー2132が、
図28の矢印A方向に回転すれば、アクチュエーション操作部213が、アクチュエーション駆動軸2131を中心に回転し、かような回転力が、第2ヨー・アクチュエーション連結ワイヤ214W2、第2ヨー・アクチュエーション駆動プーリー214P2及び第2ヨー・アクチュエーション駆動ワイヤ235AY2を介して、操作部制御部材215に伝達され、操作部制御部材215のJ21プーリー215J21を、
図28の矢印YAの反対方向に回転させる。そして、操作部制御部材215のJ21プーリー215J21が回転すれば、それと連結された第2ジョー駆動ワイヤ235J2を回転させ、従って、第2ジョー駆動ワイヤ235J2と連結されたエンドツール220の第2ジョー222が、
図28の矢印YJの反対方向に回転する。
【0295】
このように、アクチュエーション操作部213を、いずれか一方向に回転させれば、2つのジョー221,222が、互いに反対方向に回転しながら、アクチュエーション動作が遂行される。
【0296】
前述の本発明の第2実施形態による手術用インストルメント200には、
図3Aなどで記述した多様な操作部の構成、
図4A及び
図15~
図27で記述した多様な動力伝達部の構成、及び
図7~
図14で記述した多様な変形例が互いに組み合わさり、多様に適用可能である。
【0297】
<手術用インストルメントの第2実施形態の動力伝達部の一変形例>(E3+H2+D4)
図29は、
図28に図示された第2実施形態の動力伝達部の一変形例による手術用インストルメント200aを示す図面である。ここで、本発明の第2実施形態の動力伝達部の一変形例による手術用インストルメント200aは、前述の本発明の第2実施形態による手術用インストルメント200(
図28)と類似しており、動力伝達部の構成が特徴的に異なるところ、以下では、かような動力伝達部の構成を中心に説明する。
【0298】
図29を参照すれば、本発明の第2実施形態の動力伝達部の一変形例による手術用インストルメント200aは、操作部210、エンドツール220、動力伝達部230及び連結部(図示せず)を含む。
【0299】
エンドツール220は、第1ジョー221、第2ジョー222、エンドツール制御部材223を含み、動力伝達部230は、第1ジョー駆動ワイヤ235J1及び第2ジョー駆動ワイヤ235J2を含むことにより、簡便にエンドツール220のピッチ動作、ヨー動作及びアクチュエーション動作を遂行する。ここで、エンドツール220は、
図28に図示された第2実施形態で説明したエンドツールと同一であるので、ここでは、その詳細な説明は省略する。
【0300】
一方、動力伝達部230は、複数個のプーリー、及び複数本のワイヤ235AY1,235AY2,235J1,235J2を含む。ここで、本変形例による手術用インストルメント200aの動力伝達部230は、
図22及び
図23に図示された差動プーリーの第3変形例を適用したことを一特徴とする。
【0301】
詳細に説明すれば、本変形例のエンドツール220のヨー動作、アクチュエーション動作は、2個のジョーの回転によって遂行され、従って、操作部210の動作が、エンドツール220の各ジョーの回転成分に変換されればよい。従って、各ジョーの回転成分は、次の数式のように、ヨー操作入力とアクチュエーション操作入力の和及び差で構成することができる。
【0302】
J1=Y+A
J2=Y-A
本変形例の操作部の構成上、アクチュエーション操作部213は、ヨー操作部212から延設されるので、ヨー操作部212の回転によって、アクチュエーション操作部213が共に動くようになる。このとき、アクチュエーションの回転入力は、アクチュエーション軸に対するアクチュエーション・プーリーの相対的な回転であるので、ヨー操作部の回転に影響を受けない。かような構成は、1つの入力部が、異なる1つの入力部上に延設される差動プーリーの第3変形例(
図22及び
図23参照)を使用して構成することができる。従って、
図29の図面符号2132を第1入力部に、
図29の図面符号2122を第2入力部にする差動プーリーを構成し、2つの差動プーリーは、それぞれエンドツール220の1つのジョーに連結され、前記数式のように、1つの差動プーリーは、2つの入力、すなわち、ヨー入力とアクチュエーション入力との和、そして他の差動プーリーは、2つの入力、すなわち、ヨー入力とアクチュエーション入力との差成分を各ジョーに伝達するように構成することができる。
【0303】
すなわち、前述のように、本変形例による手術用インストルメント200aの動力伝達部230は、第1差動プーリー238と第2差動プーリー239とを含み、各差動プーリー238,239は、第1入力部1381(
図22)、第2入力部1382(
図22)、出力部1383(
図22)及び連結部1384(
図22)を含み、2以上の入力部のうちいずれか1つの入力部だけが回転する場合、他の入力部を回転させず、出力部のみを回転させると同時に、2以上の入力部が同時に回転する場合、2つの入力部の回転力の和(または、差)の分だけの単一な回転力が、出力部を介して出力される。
【0304】
前述の本発明の第2実施形態による手術用インストルメント200には、
図3Aなどで記述した多様な操作部の構成、
図4A及び
図15~
図27で記述した多様な動力伝達部の構成、及び
図7~
図14で記述した多様な変形例などが互いに組み合わさり、多様に適用可能である。
【0305】
<手術用インストルメントの第3実施形態>(E3+H3+D3)
以下では、本発明の第3実施形態による手術用インストルメント300について説明する。ここで、本発明の第3実施形態による手術用インストルメント300は、前述の本発明の第1実施形態による手術用インストルメント100に比べ、操作部の構成が特徴的に異なる。すなわち、本発明の第1実施形態による手術用インストルメント100は、ヨー操作部と、アクチュエーション操作部とが互いに独立して形成され、ヨー駆動軸の回転と、アクチュエーション駆動軸の回転とが互いに独立して行われるのに比べ、本発明の第3実施形態による手術用インストルメント300は、ヨー操作部及びアクチュエーション操作部の代わりに、それぞれのジョーを独立して駆動する第1ジョー操作部及び第2ジョー操作部を含む。このように、第1実施形態に比べて異なる操作部の構成については、以下で詳細に説明する。
【0306】
図30は、本発明の第3実施形態による手術用インストルメント300を示す図面である。
図30を参照すれば、本発明の第3実施形態による手術用インストルメント300は、操作部310、エンドツール320、動力伝達部330及び連結部(図示せず)を含む。
【0307】
エンドツール320は、第1ジョー321、第2ジョー322、エンドツール制御部材323を含み、動力伝達部330は、第1ジョー駆動ワイヤ335J1及び第2ジョー駆動ワイヤ335J2を含むことにより、簡便にエンドツール320のピッチ動作、ヨー動作及びアクチュエーション動作を遂行する。ここで、エンドツール320は、
図5で説明したエンドツールと同一であるので、ここでは、その詳細な説明は省略する。
【0308】
一方、動力伝達部330は、複数個のプーリー、及び複数本のワイヤ335J11,335J12,335J21,335J22を含む。ここで、動力伝達部330は、第1実施形態で説明した動力伝達部と同一であるか、あるいは類似しているので、ここでは、その詳細な説明は省略する。
【0309】
以下では、本発明の第3実施形態による手術用インストルメント300の操作部310について、さらに詳細に説明する。
【0310】
図30を参照すれば、本発明の第3実施形態による手術用インストルメント300の操作部310は、エンドツール320のピッチ運動を制御するピッチ操作部311と、エンドツール320の第1ジョーの運動を制御する第1ジョー操作部312と、エンドツール320の第2ジョーの運動を制御する第2ジョー操作部313と、を含む。
【0311】
ピッチ操作部311は、ピッチ駆動軸3111と、ピッチ駆動バー3112とを含む。ここで、ピッチ駆動軸3111は、Y軸と平行な方向に形成され、ピッチ駆動バー3112は、ピッチ駆動軸3111と連結され、ピッチ駆動軸3111と共に回転するように形成される。例えば、ユーザが、ピッチ駆動バー3112を手で握っている状態で、ピッチ駆動バー3112を回転させれば、ピッチ駆動バー3112と連結されたピッチ駆動軸3111、及びそれと結合されたピッチ駆動プーリー3113が共に回転し、かような回転力が、動力伝達部330を介して、エンドツール320に伝達され、エンドツール320が、ピッチ駆動軸3111の回転方向と同一方向に回転する。すなわち、ピッチ操作部311が、ピッチ駆動軸3111を中心に、時計回りに回転すれば、エンドツール330もまた、ピッチ駆動軸3111を中心に、時計回りに回転し、一方、ピッチ操作部311が、ピッチ駆動軸3111を中心に、反時計回りに回転すれば、エンドツール330もまた、ピッチ駆動軸3111を中心に、反時計回りに回転する。一方、ピッチ駆動プーリー3113は、ピッチ駆動軸3111と一体に形成され、ピッチ駆動軸3111と共に回転する。
【0312】
第1ジョー操作部312は、第1ジョー駆動軸(jaw operating axis)、第1ジョー駆動バー3122、及び第1ジョー駆動プーリー3123を含む。ここで、図面には、ピッチ駆動バー3112が延長され、第1ジョー駆動軸が形成され、ピッチ駆動バー3112に、第1ジョー駆動プーリー3123が嵌め込まれるように図示されているが、本発明の思想は、それに制限されるものではなく、ピッチ駆動バー3112と、第1ジョー駆動軸とが別途の部材で形成され、互いに異なる軸上に配置されることも可能である。このとき、第1ジョー駆動軸は、人体工学的設計によって、操作部310を把持するユーザの手構造に適するように、多様な方向に形成される。そして、第1ジョー駆動プーリー3123には、第1ジョー駆動ワイヤ335J11が連結される。一方、第1ジョー駆動バー3122及び第1ジョー駆動プーリー3123は、第1ジョー駆動軸を中心に回転自在に形成される。例えば、ユーザが、第1ジョー駆動バー3122に人差し指を嵌め込んだ状態で、第1ジョー駆動バー3122を回転させれば、第1ジョー駆動バー3122と連結された第1ジョー駆動プーリー3123が、第1ジョー駆動軸を中心に回転し、かような回転力が、動力伝達部330を介して、エンドツール320に伝達され、エンドツール320の第1ジョー321が、第1ジョー駆動プーリー3123の回転方向と同一方向に左右に回転する。
【0313】
第2ジョー操作部313は、第2ジョー駆動軸と、第ジョー駆動バー3132及び第2ジョー駆動プーリー3133を含む。ここで、図面には、ピッチ駆動バー3112が延長され、第2ジョー駆動軸が形成され、ピッチ駆動バー3112に、第2ジョー駆動プーリー3133が嵌め込まれるように図示されているが、本発明の思想は、それに制限されるものではなく、ピッチ駆動バー3112と、第2ジョー駆動軸とが別途の部材で形成され、互いに異なる軸上に配置されることも可能である。このとき、第2ジョー駆動軸は、人体工学的設計によって、操作部310を把持するユーザの手構造に適するように、多様な方向に形成される。そして、第2ジョー駆動プーリー3133には、第2ジョー駆動ワイヤ335J21が連結される。一方、第2ジョー駆動バー3132及び第2ジョー駆動プーリー3133は、第2ジョー駆動軸を中心に回転自在に形成される。例えば、ユーザが、第2ジョー駆動バー3132に親指を嵌め込んだ状態で、第2ジョー駆動バー3132を回転させれば、第2ジョー駆動バー3132と連結された第2ジョー駆動プーリー3133が、第2ジョー駆動軸を中心に回転し、かような回転力が、動力伝達部330を介して、エンドツール320に伝達され、エンドツール320の第2ジョー322が、第2ジョー駆動プーリー3133の回転方向と同一方向に左右に回転する。
【0314】
一方、本発明の第3実施形態による手術用インストルメント300の操作部310は、ピッチ操作部311のピッチ駆動軸3111と連動する操作部制御部材315をさらに具備する。かような操作部制御部材315は、
図5で説明したエンドツールと同一であるので、ここでは、その詳細な説明は省略する。
【0315】
(第3実施形態の全体動作)
以下では、前記説明を参照し、本発明の第3実施形態による手術用インストルメント300のピッチ動作、ヨー動作及びアクチュエーション動作の全体的な構成をまとめてみる。
【0316】
本実施形態のエンドツール320の構成上、エンドツール320のピッチ動作、ヨー動作及びアクチュエーション動作を遂行するためには、操作部310での操作入力を、ピッチ動作、ヨー動作及びアクチュエーション動作に分離することができる動力伝達部330が必要である。前述のように、エンドツール制御部材323と、操作部制御部材315とが互いに対称になるように配置される構造を介して、ピッチ操作部311の回転操作は、第1ジョー操作部312及び第2ジョー操作部313の操作と係わりなく、エンドツール320のピッチ動作を可能にする。
【0317】
本実施形態の操作部310は、第1ジョー操作部312と、第2ジョー操作部313とから構成されており、エンドツール320の2つのジョーの動作に変換されるために、追加の他の構成が必要なく、第1ジョー操作部312の操作入力が、第1ジョー321にそのまま伝達されればよく、第2ジョー操作部313の操作入力は、第2ジョー322にそのまま伝達されればよい。
【0318】
かような構成を介してピッチ動作、2つのジョーが同方向に動くヨー動作、及び2つのジョーが反対方向に動くアクチュエーション動作が具現され、それについて、さらに詳細に説明すれば、次の通りである。
【0319】
まず、ピッチ動作は、次の通りである。
【0320】
前述のように、ユーザが、操作部310のピッチ制御部311のピッチ駆動バー3112を手で握っている状態で、ピッチ駆動軸3111を中心に、ピッチ駆動バー3112を、
図30の矢印OP方向に回転させれば、操作部制御部材315も、ピッチ駆動軸3111を中心に全体的に回転する。それにより、操作部制御部材315に巻かれている第1ジョー駆動ワイヤ335J12は、全体的に操作部310側に引っ張られる。同時に、操作部制御部材315に巻かれている第2ジョー駆動ワイヤ335J22は、全体的に操作部制御部材315から緩まる。それにより、第1ジョー駆動ワイヤ335J12及び第2ジョー駆動ワイヤ335J22と連結されているエンドツール制御部材323が、エンドツールピッチ駆動軸3231を中心に回転しながら、ピッチ運動を行う。
【0321】
次に、ヨー動作について説明する。
【0322】
ヨー動作のために、ユーザが、第1ジョー駆動バー3122に人差し指を嵌め込み、第2ジョー駆動バー3132に親指を嵌め込んだ状態で、第1ジョー駆動バー3122を、
図30の矢印J1方向に回転させると同時に、第2ジョー駆動バー3132を、
図30の矢印J2方向に回転させる(すなわち、第1ジョー駆動バー3122と、第2ジョー駆動バー3132とを同一方向に回転させる)。
【0323】
それにより、第1ジョー駆動バー3122と連結された第1ジョー駆動プーリー3123が、第1ジョー駆動軸を中心に回転し、かような回転力が第1ジョー駆動ワイヤ335J11を介して、操作部制御部材315に伝達され、操作部制御部材315のJ11プーリー315J11を、
図30の矢印YA方向に回転させる。そして、操作部制御部材315のJ11プーリー315J11が回転すれば、それと連結された第1ジョー駆動ワイヤ335J1を回転させ、従って、第1ジョー駆動ワイヤ335J12と連結されたエンドツール320の第1ジョー321が、
図30の矢印YJ方向に回転する。
【0324】
それと同時に、第2ジョー駆動バー3132と連結された第2ジョー駆動プーリー3133が、第2ジョー駆動軸を中心に回転し、かような回転力が、第2ジョー駆動ワイヤ335J21を介して、操作部制御部材315に伝達され、操作部制御部材315のJ21プーリー315J21を、
図30の矢印YA方向に回転させる。そして、操作部制御部材315のJ21プーリー315J21が回転すれば、それと連結された第2ジョー駆動ワイヤ335J2を回転させ、従って、第2ジョー駆動ワイヤ335J22と連結されたエンドツール320の第2ジョー322が、
図30の矢印YJ方向に回転する。
【0325】
このように、第1ジョー操作部312と、第2ジョー操作部313とを互いに同一方向に回転させれば、2つのジョー321,322が同一方向に回転しながら、ヨー動作が遂行される。
【0326】
次に、アクチュエーション動作について説明する。
【0327】
アクチュエーション動作のために、ユーザが、第1ジョー駆動バー3122に人差し指を嵌め込み、第2ジョー駆動バー3132に親指を嵌め込んだ状態で、第1ジョー駆動バー3122を、
図30の矢印J1方向に回転させると同時に、第2ジョー駆動バー3132を、
図30の矢印J2の反対方向に回転させる(すなわち、第1ジョー駆動バー3122と、第2ジョー駆動バー3132とを反対方向に回転させる)。
【0328】
それにより、第1ジョー駆動バー3122と連結された第1ジョー駆動プーリー3123が、第1ジョー駆動軸を中心に回転し、かような回転力が、第1ジョー駆動ワイヤ335J11を介して、操作部制御部材315に伝達され、操作部制御部材315のJ11プーリー315J11を、
図30の矢印YA方向に回転させる。そして、操作部制御部材315のJ11プーリー315J11が回転すれば、それと連結された第1ジョー駆動ワイヤ335J1を回転させ、従って、第1ジョー駆動ワイヤ335J12と連結されたエンドツール320の第1ジョー321が、
図30の矢印YJ方向に回転する。
【0329】
それと同時に、第2ジョー駆動バー3132と連結された第2ジョー駆動プーリー3133が、第2ジョー駆動軸を中心に回転し、かような回転力が、第2ジョー駆動ワイヤ335J21を介して、操作部制御部材315に伝達され、操作部制御部材315のJ21プーリー315J21を、
図30の矢印YAの反対方向に回転させる。そして、操作部制御部材315のJ21プーリー315J21が回転すれば、それと連結された第2ジョー駆動ワイヤ335J2を回転させ、従って、第2ジョー駆動ワイヤ335J22と連結されたエンドツール320の第2ジョー322が、
図30の矢印YJの反対方向に回転する。
【0330】
このように、第1ジョー操作部312と、第2ジョー操作部313とを互いに反対方向に回転させれば、2つのジョー321,322が反対方向に回転しながら、アクチュエータ動作が遂行される。
【0331】
前述の本発明の第3実施形態による手術用インストルメント300には、
図3Aなどで記述した多様な操作部の構成、
図4A及び
図15~
図27で記述した多様な動力伝達部の構成、及び
図7~
図14で記述した多様な変形例が互いに組み合わさり、多様に適用可能である。
【0332】
<手術用インストルメントの第3実施形態の一変形例>(1本アームが焼灼器である)
図31は、
図30に図示された第3実施形態の一変形例による手術用インストルメント300aを示す図面である。ここで、本発明の第3実施形態の一変形例による手術用インストルメント300aは、前述の本発明の第3実施形態による手術用インストルメント300(
図30)と類似しており、ジョーが一つだけついている構成が特徴的に異なるところ、以下では、かような1つのジョーの構成を中心に説明する。
【0333】
図31を参照すれば、本発明の第3実施形態の一変形例による手術用インストルメント300aは、操作部310a、エンドツール320a、動力伝達部330a及び連結部(図示せず)を含む。
【0334】
エンドツール320aは、ジョー321a及びエンドツール制御部材323aを含み、動力伝達部330aは、ジョー駆動ワイヤ335J1のみを具備することにより、簡便にエンドツール320aのピッチ動作及びヨー動作を遂行する。ここで、エンドツール320aは、
図5で説明したエンドツールと実質的に同一であるので、ここでは、その詳細な説明は省略する。
【0335】
一方、動力伝達部330aは、1以上のプーリー、及びワイヤ335J1を含む。ここで、動力伝達部330aは、第1実施形態で説明した動力伝達部と同一であるか、あるいは類似しているので、ここでは、その詳細な説明は省略する。
【0336】
操作部310aは、エンドツール320aのピッチ運動を制御するピッチ操作部311aと、エンドツール320aのジョーの運動を制御するジョー操作部312aと、を含む。
【0337】
ピッチ操作部311aは、ピッチ駆動軸3111aと、ピッチ駆動バー3112aとを含む。
【0338】
ジョー操作部312aは、ジョー駆動軸、ジョー駆動バー3122a及びジョー駆動プーリー3123aを含む。ここで、図面には、ピッチ駆動バー3112aが延長されてジョー駆動軸が形成され、ピッチ駆動バー3112aに、ジョー駆動プーリー3123aが嵌め込まれるように図示されているが、本発明の思想は、それに制限されるものではなく、ピッチ駆動バー3112aとジョー駆動軸とが別途の部材で形成され、互いに異なる軸上に配置されることも可能である。このとき、ジョー駆動軸は、人体工学的設計によって、操作部310aを把持するユーザの手構造に適するように、多様な方向に形成される。そして、ジョー駆動プーリー3123aには、ジョー駆動ワイヤ335Jが連結される。一方、ジョー駆動バー3122a及びジョー駆動プーリー3123aは、ジョー駆動軸を中心に、回転自在に形成される。例えば、ユーザが、ジョー駆動バー3122aに人差し指を嵌め込んだ状態で、ジョー駆動バー3122aを回転させれば、ジョー駆動バー3122aと連結されたジョー駆動プーリー3123aが、ジョー駆動軸を中心に回転し、かような回転力が、動力伝達部330aを介して、エンドツール320aに伝達され、エンドツール320aのジョー321aが、ジョー駆動プーリー3123aの回転方向と同一方向に左右に回転する。
【0339】
<手術用インストルメントの第4実施形態~第6実施形態のエンドツール>(E1)
以下では、本発明の第4実施形態、第5実施形態及び第6実施形態による手術用インストルメント400,500,600について説明する。ここで、本発明の第4実施形態、第5実施形態及び第6実施形態による手術用インストルメント400,500,600は、前述の本発明の第1実施形態、第2実施形態及び第3実施形態による手術用インストルメント100,200,300と類似しており、エンドツールの構成が特徴的に異なるところ、まず、第4実施形態、第5実施形態及び第6実施形態に共通して適用されるエンドツールの構成について説明する。
【0340】
図32ないし
図36は、本発明の第4実施形態による手術用インストルメント400に適用されるエンドツールを概略的に示す概念図であり、
図32は、エンドツールの分解斜視図であり、
図33は、エンドツールのXZ平面上での側面図であり、
図34は、エンドツールのXY平面上での平面図であり、
図35は、
図34のエンドツールがヨー運動を行う様子を示す平面図であり、
図36は、
図34のエンドツールがアクチュエーション運動を行う様子を示す平面図である。
【0341】
図32ないし
図36を参照すれば、本発明の第4実施形態による手術用インストルメント400に適用されるエンドツール420は、第1ジョー421、第2ジョー422、1以上のピッチプーリー423、及び1以上のヨープーリー424を含む。一方、本発明の第4実施形態による手術用インストルメント400に適用される動力伝達部430は、1以上のピッチワイヤ435P、1以上のヨーワイヤ435Y及びアクチュエーションワイヤ435Aを含む。
【0342】
本実施形態で、ピッチ動作は、ピッチプーリーに巻かれたピッチワイヤの回転を介して遂行され、ピッチプーリーの中間を横切ってヨーワイヤが、エンドツール側に延長具備され、ヨーワイヤは、ヨー動作を遂行するために、ヨープーリーに巻かれる。かようなヨーワイヤの回転を介して、ヨー動作が遂行され、このとき、ヨーワイヤは、ピッチプーリーの中間を横切って具備されるので、ピッチ動作によって、ピッチプーリーが回転しても、ヨーワイヤは、最小限の影響を受ける。同様に、アクチュエーションワイヤは、ピッチプーリー及びヨープーリーを横切ってエンドツール側に延長具備されており、2つのジョーにそれぞれ形成された溝421a,422aに連結される。そして、アクチュエーションワイヤの引張り及び押出しによって、2つのジョーが開閉されるアクチュエーション動作が遂行される。このとき、アクチュエーションワイヤは、ピッチプーリー及びヨープーリーを横切って具備されるので、ピッチ動作及びヨー動作によって、ピッチプーリー及びヨープーリーが回転しても、アクチュエーションワイヤは、最小限の影響を受ける構造である。
【0343】
詳細には、連結部440の一端部には、ピッチプーリー結合部440aが突設され、ピッチプーリー423は、ピッチ回転軸420PXを中心に、ピッチプーリー結合部440aに対して回転自在に、ピッチプーリー結合部440aと結合する。また、ピッチプーリー423は、ピッチプーリーベース423aと一体に形成され、ピッチプーリーベース423aの一側には、ヨープーリー結合部423bが形成される。従って、ピッチプーリー423は、ピッチ回転軸420PXを中心に回転自在であり、それと結合されたピッチプーリーベース423a及びヨープーリー結合部423bが、ピッチプーリー423と共に回転する。ここで、連結部440の一端部には、ピッチワイヤ貫通ホール440HPが形成され、前記ピッチワイヤ貫通ホール440HPを貫通して、ピッチワイヤ435Pが、エンドツール420側に形成される。
【0344】
一方、ヨープーリー424は、ヨー回転軸420YXを中心に、ヨープーリー結合部423bに対して回転自在に、ヨープーリー結合部423bと結合する。また、ヨープーリー424は、ヨープーリーベース424aと一体に形成される。ここで、ヨープーリーベース424aには、ガイドホール424bが形成される。従って、ヨープーリー424は、ヨー回転軸420YXを中心に回転自在であり、それと結合されたヨープーリーベース424aも、ヨープーリー424と共に回転する。ここで、連結部440の一端部には、ヨーワイヤ貫通ホール440HYが形成され、前記ヨーワイヤ貫通ホール440HYを貫通して、ヨーワイヤ435Yが、エンドツール420側に形成される。
【0345】
一方、連結部440の一端部には、アクチュエーションワイヤ貫通ホール440HAが形成され、前記アクチュエーションワイヤ貫通ホール440HAを貫通して、アクチュエーションワイヤ435Aが、エンドツール420側に形成される。アクチュエーションワイヤ貫通ホール440HAを貫通したアクチュエーションワイヤ435Aは、ヨープーリー結合部423bに形成されたアクチュエーションワイヤガイド部423Gに沿って連結され、アクチュエーション軸420AXに連結される。
【0346】
一方、第1ジョー421及び第2ジョー422には、それぞれガイドホール421a,422aが形成され、第1ジョー421のガイドホール421a及び第2ジョー422のガイドホール422a、並びにヨープーリーベース424aのガイドホール424bを貫通して、アクチュエーション軸420AXが挿入される。かようなアクチュエーション軸420AXには、アクチュエーションワイヤ435Aが結合され、アクチュエーションワイヤ435Aが並進運動を行えば、それと連結されたアクチュエーション軸420AXが、ガイドホール424bに沿って並進運動を行いながら、第1ジョー421及び第2ジョー422のアクチュエーション動作が遂行される。
【0347】
ここで、本発明の第4実施形態による手術用インストルメント400のエンドツール420は、ピッチ動作のためのプーリー/ワイヤと、ヨー動作のためのプーリー/ワイヤと、アクチュエーション動作のためのプーリー/ワイヤとがそれぞれ別途に形成され、いずれか1つの動作が、他の動作に影響を及ぼさないように形成されることを一特徴とする。以下では、それについて、さらに詳細に説明する。
【0348】
まず、本実施形態のピッチ動作について説明する。
【0349】
エンドツール420のピッチ動作のための動力伝達部430のピッチワイヤ435Pは、操作部(図示せず)のピッチ操作部(図示せず)、及びエンドツール420のピッチプーリー423を連結する。従って、ピッチ操作部(図示せず)が、ピッチ駆動軸(図示せず)を中心に、
図33において、反時計回りに回転すれば、それと連結されたピッチワイヤ435Pが、
図33の矢印P2方向に移動し、従って、ピッチワイヤ435Pと連結されるピッチプーリー423、及びそれと連結されたヨープーリー424、並びに第1ジョー421及び第2ジョー422が、ピッチ回転軸420PXを中心に、
図33の矢印P方向に回転し、ピッチ動作が遂行される。一方、ピッチ操作部(図示せず)が、ピッチ駆動軸(図示せず)を中心に、
図33において、時計回りに回転すれば、それと連結されたピッチワイヤ435Pが、
図33の矢印P1方向に移動し、従って、ピッチワイヤ435Pと連結されるピッチプーリー423、及びそれと連結されたヨープーリー424、並びに第1ジョー421及び第2ジョー422が、ピッチ回転軸420PXを中心に、
図33の矢印Pの反対方向に回転し、ピッチ動作が遂行される。
【0350】
次に、本実施形態のヨー動作について説明する。
【0351】
エンドツール420のヨー動作のための動力伝達部430のヨーワイヤ435Yは、操作部(図示せず)のヨー操作部(図示せず)、及びエンドツール420のヨープーリー424を連結する。従って、ヨー操作部(図示せず)が、ヨー駆動軸(図示せず)を中心に、時計回りに回転すれば、それと連結されたヨーワイヤ435Yが、
図34のような状態で、
図35の矢印Y1方向に移動し、従って、ヨーワイヤ435Yと連結されるヨープーリー424、並びにそれと連結された第1ジョー421及び第2ジョー422が、ヨー回転軸420YXを中心に、
図35の矢印Y方向に回転し、ヨー動作が遂行される。
【0352】
次に、本実施形態のアクチュエーション動作について説明する。
【0353】
エンドツール420のアクチュエーション動作のための動力伝達部430のアクチュエーションワイヤ435Aは、操作部(図示せず)のアクチュエーション操作部(図示せず)、及びエンドツール420のアクチュエーション軸420AXを連結する。従って、アクチュエーション操作部(図示せず)が、アクチュエーション駆動軸(図示せず)を中心に回転すれば、それと連結されたアクチュエーションワイヤ435Aが、
図34のような状態で、
図35の矢印Y1方向に直線運動を行う。従って、アクチュエーションワイヤ435Aと連結されたアクチュエーション軸420AXが、ガイドホール424bに沿って並進運動を行いながら、第1ジョー421及び第2ジョー422のアクチュエーション動作が遂行される。
【0354】
<手術用インストルメントの第4実施形態>(E1+H1+D)
以下では、本発明の第4実施形態による手術用インストルメント400について説明する。ここで、本発明の第4実施形態による手術用インストルメント400は、エンドツールは、前述の
図32ないし
図36の構成を有し、操作部410は、
図2に図示された本発明の第1実施形態による手術用インストルメント100のように、ヨー操作部と、アクチュエーション操作部とが互いに独立して形成され、ヨー駆動軸の回転と、アクチュエーション駆動軸の回転とが互いに独立して行われることを特徴とする。
【0355】
図37は、本発明の第4実施形態による手術用インストルメント400を示す図面である。
図37を参照すれば、本発明の第4実施形態による手術用インストルメント400は、操作部410、エンドツール420、動力伝達部430及び連結部(図示せず)を含む。
【0356】
エンドツール420は、第1ジョー421、第2ジョー422、1以上のピッチプーリー423、及び1以上のヨープーリー424を含み、動力伝達部430は、1以上のピッチワイヤ435P、1以上のヨーワイヤ435Y、及びアクチュエーションワイヤ435Aをさらに含む。かようなエンドツール420は、ピッチ動作のためのプーリー/ワイヤと、ヨー動作のためのプーリー/ワイヤと、アクチュエーション動作のためのプーリー/ワイヤとがそれぞれ別途に形成され、いずれか1つの動作が、他の動作に影響を及ぼさないように形成されることを一特徴とする。ここで、エンドツール420は、
図32ないし
図36で説明したエンドツールと同一であるので、ここでは、その詳細な説明は省略する。
【0357】
一方、動力伝達部430は、第1差動部材431と、第2差動部材432とを含む。ここで、第1差動部材431と第2差動部材432は、2以上の入力部、及び1つの出力部を具備し、2以上の入力部から回転力を入力され、それらの和(または、差)を通じて、所望の1つの回転力を抽出し、出力部を介して出力する役割を行う。かような差動部材としては、
図4A及び
図4Bに図示された本発明の第1実施形態による手術用インストルメント100の差動プーリー、
図15以下に図示された差動プーリーの第1変形例、
図18以下に図示された差動プーリーの第2変形例、及び
図22以下に図示された差動プーリーの第3変形例など、多様な形態の差動プーリー及び差動ギアが使用されてもよい。すなわち、
図37には、本発明の第4実施形態による手術用インストルメント400の差動部材431,432として、
図21Eの差動プーリーが図示されているが、本発明の思想は、それに制限されるものではなく、多様な形態の差動プーリー及び差動ギアが本実施形態にも適用可能である。
【0358】
以下では、本発明の第4実施形態による手術用インストルメント400の操作部410について、さらに詳細に説明する。
【0359】
図37を参照すれば、本発明の第4実施形態による手術用インストルメント400の操作部410は、エンドツール420のピッチ運動を制御するピッチ操作部411と、エンドツール420のヨー運動を制御するヨー操作部412と、エンドツール420のアクチュエーション運動を制御するアクチュエーション操作部413と、を含む。
【0360】
ピッチ操作部411は、ピッチ駆動軸4111と、ピッチ駆動バー4112と、ピッチ駆動プーリー4113と、を含む。ここで、ピッチ駆動軸4111は、Y軸と平行な方向に形成され、ピッチ駆動バー4112は、ピッチ駆動軸4111と連結され、ピッチ駆動軸4111と共に回転するように形成される。例えば、ユーザが、ピッチ駆動バー4112を手で握っている状態で、ピッチ駆動バー4112を回転させれば、ピッチ駆動バー4112と連結されたピッチ駆動軸4111、及びそれと連結されたピッチ駆動プーリー4113が共に回転し、かような回転力が、動力伝達部430を介して、エンドツール420に伝達され、エンドツール420が、ピッチ駆動軸4111の回転方向と同一方向に回転する。すなわち、ピッチ操作部411が、ピッチ駆動軸4111を中心に、時計回りに回転すれば、エンドツール420もまた、ピッチプーリー駆動軸(図示せず)を中心に、時計回りに回転し、一方、ピッチ操作部411が、ピッチ駆動軸4111を中心に、反時計回りに回転すれば、エンドツール420もまた、ピッチプーリー駆動軸(図示せず)を中心に、反時計回りに回転する。一方、ピッチ駆動プーリー4113は、ピッチ駆動軸4111と一体に形成され、ピッチ駆動軸4111と共に回転する。
【0361】
ヨー操作部412は、ヨー駆動軸4121と、ヨー駆動バー4122と、ヨー駆動プーリー4123と、を含む。そして、ヨー駆動プーリー4123には、ヨー駆動ワイヤ435Y2が連結される。ここで、図面には、ピッチ駆動バー4112が延長され、ヨー駆動軸4121が形成されるように図示されているが、本発明の思想は、それに制限されるものではなく、ピッチ駆動バー4112と、ヨー駆動軸4121とが別途の部材で形成され、互いに異なる軸上に配置されることも可能である。このとき、ヨー駆動軸4121は、人体工学的設計によって、操作部410を把持するユーザの手構造に適するように、多様な方向に形成される。
【0362】
一方、前述のように、ピッチ操作部が回転する場合、ヨー操作部の座標系は、相対的に変わる。そして、ヨー駆動バー4122及びヨー駆動プーリー4123は、ヨー駆動軸4121を中心に回転自在に形成される。例えば、ユーザが、ヨー駆動バー4122に人差し指を嵌め込んだ状態で、ヨー駆動バー4122を回転させれば、ヨー駆動バー4122と連結されたヨー駆動プーリー4123が、ヨー駆動軸4121を中心に回転し、かような回転力が、動力伝達部430を介して、エンドツール420に伝達され、エンドツール420の2つのジョー421,422が、ヨー駆動プーリー4123の回転方向と同一方向に左右に回転する。
【0363】
アクチュエーション操作部413は、アクチュエーション駆動軸4131と、アクチュエーション駆動バー4132と、アクチュエーション駆動プーリー4133と、を含む。そして、アクチュエーション駆動プーリー4133には、アクチュエーション駆動ワイヤ435A2が連結される。ここで、アクチュエーション駆動軸4131は、ピッチ駆動バー4112から延設され、Z軸と平行な方向、または人体工学的設計によって操作部410を把持するユーザの手構造に適するように、多様な方向に形成され(前述のように、ピッチ操作部が回転する場合、アクチュエーション操作部の座標系は、相対的に変わる)、アクチュエーション駆動バー4132及びアクチュエーション駆動プーリー4133は、アクチュエーション駆動軸4131を中心に回転自在に形成される。例えば、ユーザが、アクチュエーション駆動バー4132に親指を嵌め込んだ状態で、アクチュエーション駆動バー4132を回転させれば、アクチュエーション駆動バー4132と連結されたアクチュエーション駆動プーリー4133が、アクチュエーション駆動軸4131を中心に回転し、かような回転力が、動力伝達部430を介して、エンドツール420に伝達され、エンドツール420の2つのジョー421,422がアクチュエーション動作を遂行する。
【0364】
一方、ピッチ駆動軸4111には、第1 YP(yaw-pitch)プーリー414a及び第1 AP(actuation-pitch)プーリー415aが嵌め込まれ、第1 YPプーリー414a及び第1 APプーリー415aが、ピッチ駆動軸4111を中心に回転自在に形成される。
【0365】
ここで、第1 YPプーリー414a、及びそれと連結された第2 YPプーリー414bは、ヨー駆動バー4122が回転すれば、ヨー駆動プーリー4123と共に回転すると同時に、ピッチ駆動バー4112、並びにそれに連結されたヨー操作部412及びアクチュエーション操作部413が、全体的に共にピッチ駆動軸4111を中心に回転すれば、ピッチ駆動プーリー4113と共に回転する。すなわち、第1 YPプーリー414a及び第2 YPプーリー414bは、ヨー駆動バー4122の回転と、ピッチ駆動バー4112の回転とを共に反映するプーリーであるといえる。
【0366】
詳細には、ヨー駆動バー4122が回転すれば、ヨー駆動バー4122と連結されたヨー駆動プーリー4123が共に回転し、従って、それと連結されたヨー駆動ワイヤ435Y2が移動しながら、第1 YPプーリー414a、及びそれと連結された第2 YPプーリー414bを回転させる。一方、ピッチ駆動軸4111及びピッチ駆動バー4112が、
図37の矢印P方向に回転すれば、ヨー駆動軸4121及びヨー駆動プーリー4123も、全体的にピッチ駆動軸4111を中心に回転する。それにより、操作部410の全体的な回転によって、ヨー駆動ワイヤ435Y2が、ピッチ駆動軸4111を中心に、
図37の矢印P方向に回転し、従って、それと連結された第1 YPプーリー414aも回転する。その結果として、第1 YPプーリー414a及び第2 YPプーリー414bは、ヨー駆動プーリー4123が回転するときも回転し、ピッチ駆動プーリー4113が回転するときも回転する。それは、操作部410の第1 YPプーリー414a及び第2 YPプーリー414bから、ヨー操作入力とピッチ操作入力とが合わされた状態で出力されるということを意味する。
【0367】
一方、第1 APプーリー415a、及びそれと連結された第2 APプーリー415bは、アクチュエーション駆動バー4132が回転すれば、アクチュエーション駆動プーリー4133と共に回転すると同時に、ピッチ駆動バー4112、並びにそれと連結されたヨー操作部412及びアクチュエーション操作部413が、全体的に共にピッチ駆動軸4111を中心に回転すれば、ピッチ駆動プーリー4113と共に回転する。すなわち、第1 APプーリー415a及び第2 APプーリー415bは、アクチュエーション駆動バー4132の回転と、ピッチ駆動バー4112の回転とを共に反映するプーリーであるといえる。
【0368】
詳細には、アクチュエーション駆動バー4132が回転すれば、アクチュエーション駆動バー4132と連結されたアクチュエーション駆動プーリー4133が共に回転し、従って、それと連結されたアクチュエーション駆動ワイヤ435A2が移動しながら、第1 APプーリー415a、及びそれと連結された第2 APプーリー415bを回転させる。一方、ピッチ駆動軸4111及びピッチ駆動バー4112が、
図37の矢印P方向に回転すれば、アクチュエーション駆動軸4131及びアクチュエーション駆動プーリー4133も、全体的にピッチ駆動軸4111を中心に回転する。それにより、操作部410の全体的な回転によって、アクチュエーション駆動ワイヤ435A2が、ピッチ駆動軸4111を中心に、
図37の矢印P方向に回転し、従って、それと連結された第1 APプーリー415aも回転する。その結果として、第1 APプーリー415a及び第2 APプーリー415bは、アクチュエーション駆動プーリー4133が回転するときも回転し、ピッチ駆動プーリー4113が回転するときも回転する。それは、操作部410の第1 APプーリー415a及び第2 APプーリー415bから、アクチュエーション操作入力とピッチ操作入力とが合わされた状態で出力されることを意味する。
【0369】
ただし、図面には、第1 YPプーリー414aと第2 YPプーリー414bとが連結され、第2 YPプーリー414bと、第1差動部材431の第1入力部4311とが連結されるように図示されているが、それは、説明の便宜のためのものであり、第2 YPプーリー414bが省略された状態で、第1 YPプーリー414aと、第1差動部材431の第1入力部4311とが直に連結される構成も可能である。
【0370】
同様に、図面には、第1 APプーリー415aと第2 APプーリー415bとが連結され、第2 APプーリー415bと、第2差動部材432の第1入力部4321とが連結されるように図示されているが、それは、説明の便宜のためのものであり、第2 APプーリー415bが省略された状態で、第1 APプーリー415aと、第2差動部材432の第1入力部4321とが直に連結される構成も可能である。
【0371】
同様に、図面には、ピッチ駆動プーリー4113と、第2ピッチ駆動プーリー4113bとが連結され、第2ピッチ駆動プーリー4113bと、第1差動部材431の第2入力部4312及び第2差動部材432の第2入力部4322とが連結されるように図示されているが、それは、説明の便宜のためのものであり、第2ピッチ駆動プーリー4113bが省略された状態で、ピッチ駆動プーリー4113と、第1差動部材431の第2入力部4312、及び第2差動部材432の第2入力部4322とが直に連結される構成も可能である。
【0372】
(第4実施形態の全体動作)
以下では、前記説明を参照し、本発明の第4実施形態による手術用インストルメント400のピッチ動作、ヨー動作及びアクチュエーション動作の全体的な構成をまとめてみる。
【0373】
まず、本発明の第4実施形態による手術用インストルメント400の第1差動部材431は、第1入力部4311、第2入力部4312、出力部4313、第1差動制御部材4314、第2差動制御部材4315及び差動制御ワイヤ4316を含み、第2差動部材432は、第1入力部4321、第2入力部4322、出力部4323、第1差動制御部材4324、第2差動制御部材4325及び差動制御ワイヤ4326を含む。
【0374】
詳細には、本実施形態のエンドツール420の構成上、エンドツールのピッチ動作、ヨー動作及びアクチュエーション動作を遂行するためには、操作部410での操作入力を、ピッチ動作、ヨー動作及びアクチュエーション動作に分離することができる動力伝達部が必要である。ピッチ動作の場合、ピッチ駆動バーの回転操作が、直にエンドツールのピッチ動作に連結される。しかし、ヨー操作部及びアクチュエーション操作部は、ピッチ操作部上に位置するので、前述のように、ヨー操作部及びアクチュエーション操作部の操作入力は、ピッチ操作入力と合わされた状態で、動力伝達部に伝達される。それを、次のような数式で表現することができる。
【0375】
YP=Y+P
AP=A+P
ここで、YPは、YPプーリーの回転、APは、APプーリーの回転、Yは、ヨー駆動プーリーの回転、Pは、ピッチ駆動プーリーの回転である。
【0376】
従って、かような操作部410の出力を、エンドツール420に、Y及びAの成分だけでもって伝達するために、動力伝達部430では、次の数式のような成分抽出が必要である。
【0377】
Y=YP-P
A=AP-P
そのために、動力伝達部430には、YP及びPを入力され、その差であるY成分のみを出力する差動プーリーと、AP及びPを入力され、その差であるA成分のみを出力する差動プーリーとが必要である。
【0378】
ここで、第1差動部材431の第1入力部4311は、第1 YPプーリー414a、またはそれと連結された第2 YPプーリー414bと連結され、ヨー駆動プーリー4123が回転するときも回転し、ピッチ駆動プーリー4113が回転するときも回転する。そして、第1差動部材431の第2入力部4312は、ピッチ駆動プーリー4113と連結され、ピッチ駆動プーリー4113が回転するとき回転する。そして、第1差動部材431の出力部4313は、ヨーワイヤ435Yと連結され、エンドツール420のヨー動作を制御する。
【0379】
一方、第2差動部材432の第1入力部4321は、第1 APプーリー415a、またはそれと連結された第2 APプーリー415bと連結され、アクチュエーション駆動プーリー4133が回転するときも回転し、ピッチ駆動プーリー4113が回転するときも回転する。そして、第2差動部材432の第2入力部4322は、ピッチ駆動プーリー4113と連結され、ピッチ駆動プーリー4113が回転するとき回転する。そして、第2差動部材432の出力部4323は、アクチュエーションワイヤ435Aと連結され、エンドツール420のアクチュエーション動作を制御する。
【0380】
一方、ピッチ駆動プーリー4113は、ピッチワイヤ435Pと連結され、エンドツール420のピッチ動作を制御する。
【0381】
まず、ピッチ動作は、次の通りである。
【0382】
前述のように、ユーザが、操作部410のピッチ制御部411のピッチ駆動バー4112を手で握っている状態で、ピッチ駆動軸4111を中心に、ピッチ駆動バー4112を、
図37の矢印P方向に回転させれば、ピッチ駆動プーリー4113が、ピッチ駆動軸4111と共に回転する。それにより、ピッチ駆動プーリー4113及びピッチワイヤ435Pを介して連結されているピッチプーリー423、それと連結されたヨープーリー424、第1ジョー421及び第2ジョー422が、ピッチ回転軸420PX(
図32)を中心に回転してピッチ動作が遂行される。
【0383】
このとき、ピッチ操作は、エンドツール420のヨー動作及びアクチュエーション動作を決定する動力伝達部430の2つの差動プーリー431,432の出力部に影響を及ぼさない。それについて、さらに詳細に説明すれば、ピッチ動作によって、ピッチ駆動軸4111を中心に、第1 YPプーリー414a及び第1 APプーリー415aがそれぞれ回転すれば、第2 YPプーリー414bと連結された第1差動部材431の第1入力部4311、及びピッチ駆動プーリー4113と連結された第1差動部材431の第2入力部4312は、それぞれ回転することになるが、第1差動部材431内で、その回転が互いに相殺されるので、第1差動部材431の出力部4313は、回転しなくなる。同様に、第2 APプーリー415bと連結された第2差動部材432の第1入力部4321、及びピッチ駆動プーリー4113と連結された第2差動部材432の第2入力部4322は、それぞれ回転することになるが、第2差動部材432内で、その回転が互いに相殺されるので、第2差動部材432の出力部4323は、回転しなくなる。従って、ピッチ動作が、ヨー動作及びアクチュエーション動作とは独立して遂行されもする。
【0384】
次に、本実施形態のヨー動作について説明する。
【0385】
ユーザが、ヨー駆動バー4122に人差し指を嵌め込んだ状態で、ヨー駆動バー4122を、
図37の矢印Y方向に回転させれば、ヨー駆動バー4122と連結されたヨー駆動プーリー4123が、ヨー駆動軸4121を中心に回転し、かような回転力が、ヨー駆動ワイヤ435Y2を介して、第1 YPプーリー414a、及びそれと連結された第2 YPプーリー414bに伝達され、第2 YPプーリー414bが回転する。そして、第2 YPプーリー414bが回転すれば、それと連結された第1差動部材431の第1入力部4311、及びそれと連結された第1差動部材431の出力部4313が回転する。その結果として、第1差動部材431の出力部4313が回転すれば、出力部4313と連結されたヨーワイヤ435Y、ヨーワイヤ435Yと連結されるヨープーリー424、及びヨープーリー424と連結されたジョー421,422が、ヨー回転軸420YX(
図32)を中心に回転し、ヨー動作が遂行される。
【0386】
次に、本実施形態のアクチュエーション動作について説明する。
【0387】
ユーザが、アクチュエーション駆動バー4132に親指を嵌め込んだ状態で、アクチュエーション駆動バー4132を、
図37の矢印A方向に回転させれば、アクチュエーション駆動バー4132と連結されたアクチュエーション駆動プーリー4133が、アクチュエーション駆動軸4131を中心に回転し、かような回転力が、アクチュエーション駆動ワイヤ435A2を介して、第1 APプーリー415a、及びそれと連結された第2 APプーリー415bに伝達され、第2 APプーリー415bが回転する。そして、第2 APプーリー415bが回転すれば、それと連結された第2差動部材432の第1入力部4321、及びそれと連結された第2差動部材432の出力部4323が回転する。その結果として、第2差動部材432の出力部4323が回転すれば、出力部4323と連結されたアクチュエーションワイヤ435Aが、
図37の矢印A方向に直線運動を行う。従って、アクチュエーションワイヤ435Aと連結されたアクチュエーション軸420AX(
図32)が並進運動を行いながら、第1ジョー421及び第2ジョー422のアクチュエーション動作が遂行される。
【0388】
次に、ヨー駆動プーリー4123と、ピッチ駆動プーリー4113とが共に回転する場合について説明する。
【0389】
前述のように、第1 YPプーリー414a、及びそれと連結された第2 YPプーリー414bは、ヨー駆動プーリー4123が回転すれば、ヨー駆動プーリー4123と共に回転し、ピッチ駆動軸4111が回転すれば、ピッチ駆動プーリー4113と共に回転する。一方、エンドツール420のヨー動作を遂行するためのヨーワイヤ435Yは、ピッチ操作部411の作動には影響を受けず、ただヨー操作部412の作動にだけ影響を受けなければならない。従って、第1差動部材431の第1入力部4311は、第2 YPプーリー414bと連結し、第1差動部材431の第2入力部4312は、ピッチ駆動プーリー4113と連結し、前述のように、ピッチ駆動プーリー4113の回転と、ヨー駆動プーリー4123の回転とから、純粋なヨー動作制御成分のみを抽出する。
【0390】
かような本発明によって、ヨー操作部412が、ピッチ駆動軸4111と共に回転しても、エンドツールのヨー動作は、ピッチ駆動軸4111に影響を受けず、純粋にヨー操作部412の動作にのみ従属させることが可能になる。
【0391】
次に、アクチュエーション駆動プーリー4133と、ピッチ駆動プーリー4113とが共に回転する場合について説明する。
【0392】
前述のように、第1 APプーリー415a、及びそれと連結された第2 APプーリー415bは、アクチュエーション駆動プーリー4133が回転すれば、アクチュエーション駆動プーリー4133と共に回転し、ピッチ駆動軸4111が回転すれば、ピッチ駆動プーリー4113と共に回転する。一方、エンドツール420のアクチュエーション動作を遂行するためのアクチュエーションワイヤ435Aは、ピッチ操作部411の作動には影響を受けず、ただアクチュエーション操作部413の作動にだけ影響を受けなければならない。従って、第2差動部材432の第1入力部4321は、第2 APプーリー415bと連結し、第2差動部材432の第2入力部4322は、ピッチ駆動プーリー4113と連結し、前述のように、ピッチ駆動プーリー4113の回転と、アクチュエーション駆動プーリー4133の回転とから、純粋なアクチュエーション動作制御成分のみを抽出する。
【0393】
かような本発明によって、アクチュエーション操作部413が、ピッチ駆動プーリー4113と共に回転しても、エンドツールのアクチュエーション動作は、ピッチ駆動プーリー4113に影響を受けず、純粋にアクチュエーション操作部413の動作にのみ従属させることが可能になる。
【0394】
従って、前述のように、操作部のピッチ操作、ヨー操作及びアクチュエーション操作は、エンドツールのピッチ、ヨー及びアクチュエーションの各動作成分に独立して分離され、それは、操作部のピッチ操作、ヨー操作及びアクチュエーション操作が同時に生じたり、あるいはそうではないとしても、エンドツールのピッチ、ヨー及びアクチュエーションの各動作成分に独立して分離される。
【0395】
前述の本発明の第4実施形態による手術用インストルメント400には、
図3Aなどで記述した多様な操作部の構成、
図4A及び
図15~
図27で記述した多様な動力伝達部の構成、及び
図7~
図14で記述した多様な変形例が互いに組み合わさり、多様に適用可能である。
【0396】
<手術用インストルメントの第5実施形態>(E1+H2+D)
以下では、本発明の第5実施形態による手術用インストルメント500について説明する。ここで、本発明の第5実施形態による手術用インストルメント500は、エンドツールは、前述の
図32ないし
図36の構成を有し、操作部510は、
図28に図示された本発明の第2実施形態による手術用インストルメント200のように、アクチュエーション操作部がヨー操作部上に形成され、ヨー操作部が回転すれば、アクチュエーション操作部も、共に回転するように形成されることを特徴とする。
【0397】
図38は、本発明の第5実施形態による手術用インストルメント500を示す図面である。
図38を参照すれば、本発明の第5実施形態による手術用インストルメント500は、操作部510、エンドツール520、動力伝達部530及び連結部(図示せず)を含む。
【0398】
エンドツール520は、第1ジョー521、第2ジョー522、1以上のピッチプーリー523、及び1以上のヨープーリー524を含み、動力伝達部530は、1以上のピッチワイヤ535P、1以上のヨーワイヤ535Y、及びアクチュエーションワイヤ535Aをさらに含む。かようなエンドツール520は、ピッチ動作のためのプーリー/ワイヤと、ヨー動作のためのプーリー/ワイヤと、アクチュエーション動作のためのプーリー/ワイヤとがそれぞれ別途に形成され、いずれか1つの動作が、他の動作に影響を及ぼさないように形成されることを一特徴とする。ここで、エンドツール520は、
図32ないし
図36で説明したエンドツールと同一であるので、ここでは、その詳細な説明は省略する。
【0399】
一方、動力伝達部530は、第1差動部材531と、第2差動部材532とを含む。ここで、第1差動部材531と第2差動部材532は、2以上の入力部、及び1つの出力部を具備し、2以上の入力部から回転力を入力され、それらの和(または、差)を通じて、所望の1つの回転力を抽出し、出力部を介して出力する役割を行う。かような差動部材としては、
図4A及び
図4Bに図示された本発明の第1実施形態による手術用インストルメント100の差動プーリー、
図15以下に図示された差動プーリーの第1変形例、
図18以下に図示された差動プーリーの第2変形例、及び
図22以下に図示された差動プーリーの第3変形例など、多様な形態の差動プーリー及び差動ギアが使用されてもよい。すなわち、
図38には、本発明の第5実施形態による手術用インストルメント500の差動部材531,532として、
図21Eの差動プーリーが図示されているが、本発明の思想は、それに制限されるものではなく、多様な形態の差動プーリー及び差動ギアが本実施形態にも適用可能である。
【0400】
以下では、本発明の第5実施形態による手術用インストルメント500の操作部510について、さらに詳細に説明する。
【0401】
図38を参照すれば、本発明の第5実施形態による手術用インストルメント500の操作部510は、エンドツール520のピッチ運動を制御するピッチ操作部511と、エンドツール520のヨー運動を制御するヨー操作部512と、エンドツール520のアクチュエーション運動を制御するアクチュエーション操作部513と、を含む。
【0402】
ピッチ操作部511は、ピッチ駆動軸5111と、ピッチ駆動バー5112と、ピッチ駆動プーリー5113と、を含む。ここで、ピッチ駆動軸5111は、Y軸と平行な方向に形成され、ピッチ駆動バー5112は、ピッチ駆動軸5111と連結され、ピッチ駆動軸5111と共に回転するように形成される。例えば、ユーザが、ピッチ駆動バー5112を手で握っている状態で、ピッチ駆動バー5112を回転させれば、ピッチ駆動バー5112と連結されたピッチ駆動軸5111、及びそれと結合されたピッチ駆動プーリー5113が共に回転し、かような回転力が動力伝達部530を介して、エンドツール520に伝達され、エンドツール520が、ピッチ駆動軸5111の回転方向と同一方向に回転する。すなわち、ピッチ操作部511が、ピッチ駆動軸5111を中心に、時計回りに回転すれば、エンドツール520もまた、ピッチプーリー駆動軸(図示せず)を中心に、時計回りに回転し、一方、ピッチ操作部511が、ピッチ駆動軸5111を中心に、反時計回りに回転すれば、エンドツール520もまた、ピッチプーリー駆動軸(図示せず)を中心に、反時計回りに回転する。一方、ピッチ駆動プーリー5113は、ピッチ駆動軸5111と一体に形成され、ピッチ駆動軸5111と共に回転する。
【0403】
ヨー操作部512は、ヨー駆動軸5121と、ヨー駆動バー5122と、ヨー駆動プーリー5123と、を含む。ここで、図面には、ピッチ駆動バー5112が延長され、ヨー駆動軸5121が形成されるように図示されているが、本発明の思想は、それに制限されるものではなく、ピッチ駆動バー5112と、ヨー駆動軸5121とが別途の部材で形成され、互いに異なる軸上に配置されることも可能である。このとき、ヨー駆動軸5121は、人体工学的設計によって、操作部510を把持するユーザの手構造に適するように、多様な方向に形成される。そして、ヨー駆動プーリー5123には、ヨー駆動ワイヤ535Y2が連結される。
【0404】
ここで、前述のように、ピッチ操作部511が回転する場合、ヨー操作部512の座標系は、相対的に変わる。そして、ヨー駆動バー5122及びヨー駆動プーリー5123は、ヨー駆動軸5121を中心に回転自在に形成される。例えば、ユーザが、ヨー駆動バー5122に人差し指を嵌め込んだ状態で、ヨー駆動バー5122を回転させれば、ヨー駆動バー5122と連結されたヨー駆動プーリー5123が、ヨー駆動軸5121を中心に回転し、かような回転力が、ヨー駆動ワイヤ535Y2を介して、エンドツール520に伝達され、エンドツール520の2つのジョー521,522が、ヨー駆動プーリー5123の回転方向と同一方向に左右に回転する。
【0405】
アクチュエーション操作部513は、アクチュエーション駆動軸5131と、アクチュエーション駆動バー5132と、アクチュエーション駆動プーリー5133と、を含む。ここで、アクチュエーション駆動バー5132及びアクチュエーション駆動プーリー5133は、アクチュエーション駆動軸5131を中心に回転自在に形成される。例えば、ユーザが、アクチュエーション駆動バー5132に親指を嵌め込んだ状態で、アクチュエーション駆動バー5132を回転させれば、アクチュエーション駆動バー5132と連結されたアクチュエーション駆動プーリー5133が、アクチュエーション駆動軸5131を中心に回転し、かような回転力が、動力伝達部530を介して、エンドツール520に伝達され、エンドツール520の2つのジョー521,522が、アクチュエーション動作を遂行する。このとき、アクチュエーション操作部513は、人体工学的設計によって、操作部510を把持するユーザの手構造に適するように、多様な方向に形成される。
【0406】
一方、アクチュエーション操作部513は、ヨー操作部512から延設されたヨー・アクチュエーション連結部5124上に形成されている。従って、ヨー操作部512のヨー駆動バー5122が回転すれば、ヨー駆動バー5122及びヨー駆動プーリー5123と共に、アクチュエーション操作部513も、ヨー駆動軸5121を中心に共に回転する。一方、ヨー・アクチュエーション駆動プーリー514Pは、ヨー駆動軸5121を中心に回転自在に形成されてもよい。そして、アクチュエーション駆動プーリー5133とヨー・アクチュエーション駆動プーリー514Pは、ヨー・アクチュエーション連結ワイヤ514Wによって連結されている。そして、ヨー・アクチュエーション駆動プーリー514Pには、またヨー・アクチュエーション駆動ワイヤ535AYが連結されている。
【0407】
従って、ヨー駆動バー5122が回転すれば、そこから延設されたヨー・アクチュエーション連結部5124及びアクチュエーション操作部513が、ヨー駆動軸5121を中心に回転し、アクチュエーション駆動プーリー5133に連結されたヨー・アクチュエーション連結ワイヤ514Wも、ヨー駆動軸5121を中心に回転し、その結果として、ヨー・アクチュエーション駆動プーリー514Pは、ヨー駆動軸5121を中心に回転する。
【0408】
その結果として、ヨー・アクチュエーション駆動プーリー514Pは、ヨー駆動プーリー5123が回転するときも回転し、アクチュエーション駆動プーリー5133が回転するときも回転するように形成される。
【0409】
一方、ピッチ駆動軸5111には、第1 YPプーリー514a及び第1 AYP(actuation-yaw-pitch)プーリー515aが嵌め込まれ、第1 YPプーリー514a及び第1 AYPプーリー515aが、ピッチ駆動軸5111を中心に回転自在に形成される。
【0410】
ここで、第1 YPプーリー514a、及びそれと連結された第2 YPプーリー514bは、ヨー駆動バー5122が回転すれば、ヨー駆動プーリー5123と共に回転すると同時に、ピッチ駆動バー5112、及びそれに連結されたヨー操作部512及びアクチュエーション操作部513が、全体的に共にピッチ駆動軸5111を中心に回転すれば、ピッチ駆動プーリー5113と共に回転する。すなわち、第1 YPプーリー514a及び第2 YPプーリー514bは、ヨー駆動バー5122の回転と、ピッチ駆動バー5112の回転と、を共に反映するプーリーであるといえる。
【0411】
詳細には、ヨー駆動バー5122が回転すれば、ヨー駆動バー5122と連結されたヨー駆動プーリー5123が共に回転し、従って、それと連結されたヨー駆動ワイヤ535Y2が移動しながら、第1 YPプーリー514a、及びそれと連結された第2 YPプーリー514bを回転させる。一方、ピッチ駆動軸5111及びピッチ駆動バー5112が、
図38の矢印P方向に回転すれば、ヨー駆動軸5121及びヨー駆動プーリー5123も、全体的にピッチ駆動軸5111を中心に回転する。それにより、操作部510の全体的な回転によって、ヨー駆動ワイヤ535Y2がピッチ駆動軸5111を中心に、
図38の矢印P方向に回転し、従って、それと連結された第1 YPプーリー514aも回転する。その結果として、第1 YPプーリー514a及び第2 YPプーリー514bは、ヨー駆動プーリー5123が回転するときも回転し、ピッチ駆動プーリー5113が回転するときも回転する。それは、操作部510の第1 YPプーリー514a及び第2 YPプーリー514bで、ヨー操作入力とピッチ操作入力とが合わされた状態で出力されることを意味する。
【0412】
一方、第1 AYPプーリー515a、及びそれと連結された第2 AYPプーリー515bは、アクチュエーション駆動バー5132が回転すれば、アクチュエーション駆動プーリー5133と共に回転し、ヨー駆動バー5122が回転すれば、ヨー駆動プーリー5123と共に回転すると同時に、ピッチ駆動バー5112が回転すれば、ピッチ駆動プーリー5113と共に回転する。すなわち、第1 AYPプーリー515a及び第2 AYPプーリー515bは、アクチュエーション駆動バー5132の回転と、ヨー駆動バー5122の回転と、ピッチ駆動バー5112の回転と、を共に反映するプーリーであるといえる。
【0413】
詳細には、アクチュエーション駆動バー5132が回転すれば、アクチュエーション駆動バー5132と連結されたアクチュエーション駆動プーリー5133が共に回転し、従って、それと連結されたヨー・アクチュエーション連結ワイヤ514Wが移動しながら、ヨー・アクチュエーション駆動プーリー514Pを回転させる。そして、ヨー・アクチュエーション駆動プーリー514Pが回転すれば、それと連結されたヨー・アクチュエーション駆動ワイヤ535AYが移動しながら、第1 AYPプーリー515a、及びそれと連結された第2 AYPプーリー515bを回転させる。一方、ヨー駆動バー5122が回転すれば、ヨー駆動バー5122と連結されたアクチュエーション操作部513が全体的に共に回転し、従って、アクチュエーション操作部513のアクチュエーション駆動プーリー5133と連結されたヨー・アクチュエーション連結ワイヤ514Wが、ヨー駆動軸5121を中心に回転しながら、ヨー・アクチュエーション駆動プーリー514Pを回転させる。そして、ヨー・アクチュエーション駆動プーリー514Pが回転すれば、それと連結されたヨー・アクチュエーション駆動ワイヤ535AYが移動しながら、第1 AYPプーリー515a、及びそれと連結された第2 AYPプーリー515bを回転させる。一方、ピッチ駆動軸5111及びピッチ駆動バー5112が、
図38の矢印P方向に回転すれば、アクチュエーション駆動軸5131及びアクチュエーション駆動プーリー5133も、全体的に、ピッチ駆動軸5111を中心に回転する。それにより、操作部510の全体的な回転によって、ヨー・アクチュエーション駆動ワイヤ535AYが、ピッチ駆動軸5111を中心に、
図38の矢印P方向に回転し、従って、それと連結された第1 AYPプーリー515aも回転する。その結果として、第1 AYPプーリー515a及び第2 AYPプーリー515bは、アクチュエーション駆動バー5132が回転するときも回転し、ヨー駆動バー5122が回転するときも回転し、ピッチ駆動バー5112が回転するときも回転する。それは、操作部510の第1 AYPプーリー515a及び第2 AYPプーリー515bから、アクチュエーション操作入力と、ヨー操作入力と、ピッチ操作入力とが合わされた状態で出力されることを意味する。
【0414】
ただし、図面には、第1 YPプーリー514aと、第2 YPプーリー514bとが連結され、第2 YPプーリー514bと、第1差動部材531の第1入力部5311とが連結されるように図示されているが、それは、説明の便宜のためのものであり、第2 YPプーリー514bが省略された状態で、第1 YPプーリー514aと、第1差動部材531の第1入力部5311とが直に連結される構成も可能である。
【0415】
同様に、図面には、第1 AYPプーリー515aと、第2 AYPプーリー515bとが連結され、第2 AYPプーリー515bと、第2差動部材532の第1入力部5321とが連結されるように図示されているが、それは、説明の便宜のためのものであり、第2 AYPプーリー515bが省略された状態で、第1 AYPプーリー515aと、第2差動部材532の第1入力部5321とが直に連結される構成も可能である。
【0416】
同様に、図面には、ピッチ駆動プーリー5113と、第2ピッチ駆動プーリー5113bとが連結され、第2ピッチ駆動プーリー5113bと、第1差動部材531の第2入力部5312とが連結されるように図示されているが、それは、説明の便宜のためのものであり、第2ピッチ駆動プーリー5113bが省略された状態で、ピッチ駆動プーリー5113と、第1差動部材531の第2入力部5312とが直に連結される構成も可能である。
【0417】
(第5実施形態の全体動作)
以下では、前記説明を参照し、本発明の第5実施形態による手術用インストルメント500のピッチ動作、ヨー動作及びアクチュエーション動作の全体的な構成をまとめてみる。
【0418】
まず、本発明の第5実施形態による手術用インストルメント500の第1差動部材531は、第1入力部5311、第2入力部5312、出力部5313、第1差動制御部材5314、第2差動制御部材5315及び差動制御ワイヤ5316を含み、第2差動部材532は、第1入力部5321、第2入力部5322、出力部5323、第1差動制御部材5324、第2差動制御部材5325及び差動制御ワイヤ5326を含む。
【0419】
本実施形態のエンドツール520の構成上、エンドツール520のピッチ動作、ヨー動作及びアクチュエーション動作を遂行するためには、操作部510での操作入力を、ピッチ動作、ヨー動作及びアクチュエーション動作に分離することができる動力伝達部が必要である。ピッチ動作の場合、ピッチ駆動バーの回転操作が、直にエンドツールのピッチ動作に連結される。しかし、ヨー操作部及びアクチュエーション操作部は、ピッチ操作部上に位置し、アクチュエーション操作部は、ヨー操作部上に位置するので、前述のように、ヨー操作部の操作入力は、ピッチ操作入力と合わされた状態で、動力伝達部に伝達され、アクチュエーション操作入力は、ヨー操作入力及びピッチ操作入力と合わされた状態で、動力伝達部に伝達される。それを、次のような数式で表現することができる。
【0420】
YP=Y+P
AYP=A+Y+P(AY=A+Y)
ここで、YPは、YPプーリーの回転、AYPは、AYPプーリーの回転、Aは、アクチュエーション駆動プーリーの回転、Yは、ヨー駆動プーリーの回転、Pは、ピッチ駆動プーリーの回転である。
【0421】
従って、かような操作部510の出力を、エンドツール520に、Y及びAの成分だけでもって伝達するために、動力伝達部530では、次の数式のような成分抽出が必要である。
【0422】
Y=YP-P
A=AYP-YP
そのために、動力伝達部530には、YP及びPを入力され、その差であるY成分のみを出力する差動プーリーと、AYP及びYPを入力され、その差であるA成分のみを出力する差動プーリーが必要である。
【0423】
ここで、第1差動部材531の第1入力部5311は、第1 YPプーリー514a、またはそれと連結された第2 YPプーリー514bと連結され、ヨー駆動プーリー5123が回転するときも回転し、ピッチ駆動プーリー5113が回転するときも回転する。そして、第1差動部材531の第2入力部5312は、ピッチ駆動プーリー5113と連結され、ピッチ駆動プーリー5113が回転するとき回転する。そして、第1差動部材531の出力部5313は、ヨーワイヤ535Yと連結され、エンドツール520のヨー動作を制御する。
【0424】
一方、第2差動部材532の第1入力部5321は、第1 AYPプーリー515a、またはそれと連結された第2 AYPプーリー515bと連結され、アクチュエーション駆動プーリー5133が回転するときも回転し、ヨー駆動プーリー5123が回転するときも回転し、ピッチ駆動プーリー5113が回転するときも回転する。そして、第2差動部材532の第2入力部5322は、第2 YPプーリー514bと連結され、第2 YPプーリー514bが回転するとき回転する。そして、第2差動部材532の出力部5323は、アクチュエーションワイヤ535Aと連結され、エンドツール520のアクチュエーション動作を制御する。
【0425】
一方、ピッチ駆動プーリー5113は、ピッチワイヤ535Pと連結され、エンドツール520のピッチ動作を制御する。
【0426】
まず、ピッチ動作は、次の通りである。
【0427】
前述のように、ユーザが、操作部510のピッチ制御部511のピッチ駆動バー5112を手で握っている状態で、ピッチ駆動軸5111を中心に、ピッチ駆動バー5112を、
図38の矢印P方向に回転させれば、ピッチ駆動プーリー5113が、ピッチ駆動軸5111と共に回転する。それにより、ピッチ駆動プーリー5113及びピッチワイヤ535Pを介して連結されているピッチプーリー523、それと連結されたヨープーリー524、第1ジョー521及び第2ジョー522が、ピッチ回転軸420PX(
図32)を中心に回転し、ピッチ動作が遂行される。
【0428】
このとき、ピッチ操作は、エンドツール520のヨー動作及びアクチュエーション動作を決定する動力伝達部530の2つの差動プーリー531,532に影響を及ぼさない。それについて、さらに詳細に説明すれば、ピッチ動作によって、ピッチ駆動軸5111を中心に、第1 YPプーリー514a及び第1 AYPプーリー515aがそれぞれ回転すれば、第2 YPプーリー514bと連結された第1差動部材531の第1入力部5311、及びピッチ駆動プーリー5113と連結された第1差動部材531の第2入力部5312がそれぞれ回転することになるが、第1差動部材531内で、その回転が互いに相殺されるので、第1差動部材531の出力部5313は、回転しなくなる。同様に、第2 AYPプーリー515bと連結された第2差動部材532の第1入力部5321、及び第2 YPプーリー514bと連結された第2差動部材532の第2入力部5322は、それぞれ回転することになるが、第2差動部材532内で、その回転が互いに相殺されるので、第2差動部材532の出力部5323は、回転しなくなる。従って、ピッチ動作が、ヨー動作及びアクチュエーション動作とは独立して遂行されもする。
【0429】
次に、本実施形態のヨー動作について説明する。
【0430】
ユーザが、ヨー駆動バー5122に人差し指を嵌め込んだ状態で、ヨー駆動バー5122を、
図38の矢印Y方向に回転させれば、ヨー駆動バー5122と連結されたヨー駆動プーリー5123が、ヨー駆動軸5121を中心に回転し、かような回転力が、ヨー駆動ワイヤ535Y2を介して、第1 YPプーリー514a、及びそれと連結された第2 YPプーリー514bに伝達され、第2 YPプーリー514bが回転する。そして、第2 YPプーリー514bが回転すれば、それと連結された第1差動部材531の第1入力部5311、及びそれと連結された第1差動部材531の出力部5313が回転する。その結果として、第1差動部材531の出力部5313が回転すれば、出力部5313と連結されたヨーワイヤ535Y、ヨーワイヤ535Yと連結されるヨープーリー524、及びヨープーリー524と連結されたジョー521,522がヨー回転軸420YX(
図32)を中心に回転し、ヨー動作が遂行される。
【0431】
次に、本実施形態のアクチュエーション動作について説明する。
【0432】
ユーザが、アクチュエーション駆動バー5132に親指を嵌め込んだ状態で、アクチュエーション駆動バー5132を、
図38の矢印A方向に回転させれば、アクチュエーション駆動バー5132と連結されたアクチュエーション駆動プーリー5133が、アクチュエーション駆動軸5131を中心に回転し、かような回転力が、ヨー・アクチュエーション連結ワイヤ514Wを介して、ヨー・アクチュエーション駆動プーリー514Pに伝達される。そして、ヨー・アクチュエーション駆動プーリー514Pが回転すれば、それと連結されたヨー・アクチュエーション駆動ワイヤ535AYを介して、回転力が、第1 AYPプーリー515a、及びそれと連結された第2 AYPプーリー515bに伝達され、第2 AYPプーリー515bが回転する。そして、第2 AYPプーリー515bが回転すれば、それと連結された第2差動部材532の第1入力部5321、及びそれと連結された第2差動部材532の出力部5323が回転する。その結果として、第2差動部材532の出力部5323が回転すれば、出力部5323と連結されたアクチュエーションワイヤ535Aが、
図38の矢印A方向に直線運動を行う。従って、アクチュエーションワイヤ535Aと連結されたアクチュエーション軸420AX(
図32)が並進運動を行いながら、第1ジョー521及び第2ジョー522のアクチュエーション動作が遂行される。
【0433】
次に、ヨー駆動プーリー5123と、ピッチ駆動プーリー5113とが共に回転する場合について説明する。
【0434】
前述のように、第1 YPプーリー514a、及びそれと連結された第2 YPプーリー514bは、ヨー駆動プーリー5123が回転すれば、ヨー駆動プーリー5123と共に回転し、ピッチ駆動軸5111が回転すれば、ピッチ駆動プーリー5113と共に回転する。一方、エンドツール520のヨー動作を遂行するためのヨーワイヤ535Yは、ピッチ操作部511の作動には影響を受けず、ただヨー操作部512の作動にだけ影響を受けなければならない。従って、第1差動部材531の第1入力部5311は、第2 YPプーリー514bと連結され、第1差動部材531の第2入力部5312は、ピッチ駆動プーリー5113と連結され、前述のように、ピッチ駆動プーリー5113の回転と、ヨー駆動プーリー5123の回転とから、純粋なヨー動作制御成分のみを抽出する。
【0435】
かような本発明によって、ヨー操作部512が、ピッチ駆動軸5111と共に回転しても、エンドツールのヨー動作は、ピッチ駆動軸5111に影響を受けず、純粋にヨー操作部512の動作にのみ従属させることが可能になる。
【0436】
次に、アクチュエーション駆動プーリー5133と、ヨー駆動プーリー5123と、ピッチ駆動プーリー5113と、が共に回転する場合について説明する。
【0437】
前述のように、第1 AYPプーリー515a、及びそれと連結された第2 AYPプーリー515bは、アクチュエーション駆動プーリー5133が回転すれば、アクチュエーション駆動プーリー5133と共に回転し、ヨー駆動プーリー5123が回転すれば、ヨー駆動プーリー5123と共に回転し、ピッチ駆動軸5111が回転すれば、ピッチ駆動プーリー5113と共に回転する。一方、エンドツール520のアクチュエーション動作を遂行するためのアクチュエーションワイヤ535Aは、ピッチ操作部511の作動と、ヨー操作部512の作動とには影響を受けず、ただアクチュエーション操作部513の作動にだけ影響を受けなければならない。従って、第2差動部材532の第1入力部5321は、第2 AYPプーリー515bと連結され、第2差動部材532の第2入力部5322は、第2 YPプーリー514bと連結され、前述のように、ピッチ駆動プーリー5113の回転と、ヨー駆動プーリー5123の回転と、アクチュエーション駆動プーリー5133の回転とから、純粋なアクチュエーション動作制御成分のみを抽出する。
【0438】
かような本発明によって、アクチュエーション操作部513が、ヨー駆動プーリー5123またはピッチ駆動プーリー5113と共に回転しても、エンドツールのアクチュエーション動作は、ヨー駆動プーリー5123またはピッチ駆動プーリー5113に影響を受けず、純粋にアクチュエーション操作部513の動作にのみ従属させることが可能になる。
【0439】
従って、前述のように、操作部のピッチ操作、ヨー操作及びアクチュエーション操作は、エンドツールのピッチ、ヨー及びアクチュエーションの各動作成分に独立して分離され、それは、操作部のピッチ操作、ヨー操作及びアクチュエーション操作が同時に生じたり、あるいはそうではないとしても、エンドツールのピッチ、ヨー及びアクチュエーションの各動作成分に独立して分離される。
【0440】
前述の本発明の第5実施形態による手術用インストルメント500には、
図3Aなどで記述した多様な操作部の構成、
図4A及び
図15~
図27で記述した多様な動力伝達部の構成、及び
図7~
図14で記述した多様な変形例が互いに組み合わさり、多様に適用可能である。
【0441】
<手術用インストルメントの第6実施形態>(E1+H3+D)
以下では、本発明の第6実施形態による手術用インストルメント600について説明する。ここで、本発明の第6実施形態による手術用インストルメント600は、エンドツールは、前述の
図32ないし
図36の構成を有し、操作部610は、
図30に図示された本発明の第3実施形態による手術用インストルメント300のように、ヨー操作部及びアクチュエーション操作部の代わりに、それぞれのジョーを独立して駆動する第1ジョー操作部及び第2ジョー操作部を含むように形成されることを特徴とする。
【0442】
図39は、本発明の第6実施形態による手術用インストルメント600を示す図面である。
図39を参照すれば、本発明の第6実施形態による手術用インストルメント600は、操作部610、エンドツール620、動力伝達部630及び連結部(図示せず)を含む。
【0443】
エンドツール620は、第1ジョー621、第2ジョー622、1以上のピッチプーリー623、1以上のヨープーリー624を含み、動力伝達部630は、1以上のピッチワイヤ635P、1以上のヨーワイヤ635Y、アクチュエーションワイヤ635Aをさらに含む。かようなエンドツール620は、ピッチ動作のためのプーリー/ワイヤと、ヨー動作のためのプーリー/ワイヤと、アクチュエーション動作のためのプーリー/ワイヤと、がそれぞれ別途に形成され、いずれか1つの動作が、他の動作に影響を及ぼさないように形成されることを一特徴とする。ここで、エンドツール620は、
図32ないし
図36で説明したエンドツールと同一であるので、ここでは、その詳細な説明は省略する。
【0444】
一方、動力伝達部630は、第1差動部材631と、第2差動部材632とを含む。ここで、第1差動部材631と第2差動部材632は、2以上の入力部及び1つの出力部を具備し、2以上の入力部から回転力を入力され、それらの和(または、差)を通じて、所望の1つの回転力を抽出し、出力部を介して出力する役割を行う。かような差動部材としては、
図4A及び
図4Bに図示された本発明の第1実施形態による手術用インストルメント100の差動プーリー、
図15以下に図示された差動プーリーの第1変形例、
図18以下に図示された差動プーリーの第2変形例、及び
図22以下に図示された差動プーリーの第3変形例など、多様な形態の差動プーリー及び差動ギアが使用されてもよい。すなわち、
図39には、本発明の第6実施形態による手術用インストルメント600の差動プーリー631,632として、
図21Eの差動プーリーが図示されているが、本発明の思想は、それに制限されるものではなく、多様な形態の差動プーリー及び差動ギアが本実施形態にも適用可能である。
【0445】
以下では、本発明の第6実施形態による手術用インストルメント600の操作部610について、さらに詳細に説明する。
【0446】
図39を参照すれば、本発明の第6実施形態による手術用インストルメント600の操作部610は、エンドツール620のピッチ運動を制御するピッチ操作部611と、エンドツール620の第1ジョーの運動を制御する第1ジョー操作部612と、エンドツール620の第2ジョーの運動を制御する第2ジョー操作部613と、を含む。
【0447】
ピッチ操作部611は、ピッチ駆動軸6111と、ピッチ駆動バー6112と、ピッチ駆動プーリー6113と、を含む。ここで、ピッチ駆動軸6111は、Y軸と平行な方向に形成され、ピッチ駆動バー6112は、ピッチ駆動軸6111と連結され、ピッチ駆動軸6111と共に回転するように形成される。例えば、ユーザが、ピッチ駆動バー6112を手で握っている状態で、ピッチ駆動バー6112を回転させれば、ピッチ駆動バー6112と連結されたピッチ駆動軸6111、及びそれと連結されたピッチ駆動プーリー6113が共に回転し、かような回転力が、動力伝達部630を介して、エンドツール620に伝達され、エンドツール620が、ピッチ駆動軸6111の回転方向と同一方向に回転する。すなわち、ピッチ操作部611が、ピッチ駆動軸6111を中心に、時計回りに回転すれば、エンドツール620もまた、ピッチプーリー駆動軸(図示せず)を中心に、時計回りに回転し、一方、ピッチ操作部611が、ピッチ駆動軸6111を中心に、反時計回りに回転すれば、エンドツール620もまた、ピッチプーリー駆動軸(図示せず)を中心に、反時計回りに回転する。一方、ピッチ駆動プーリー6113は、ピッチ駆動軸6111と一体に形成され、ピッチ駆動軸6111と共に回転する。
【0448】
第1ジョー操作部612は、第1ジョー駆動軸と、第1ジョー駆動バー6122と、第1ジョー駆動プーリー6123と、を含む。ここで、図面には、ピッチ駆動バー6112が延長され、第1ジョー駆動軸が形成され、ピッチ駆動バー6112に、第1ジョー駆動プーリー6123が嵌め込まれるように図示されているが、本発明の思想は、それに制限されるものではなく、ピッチ駆動バー6112と、第1ジョー駆動軸とが別途の部材で形成され、互いに異なる軸上に配置されることも可能である。このとき、第1ジョー駆動軸は、人体工学的設計によって、操作部610を把持するユーザの手構造に適するように、多様な方向に形成される。
【0449】
そして、第1ジョー駆動プーリー6123には、第1ジョー駆動ワイヤ635J1と、第1ジョー補助駆動ワイヤ635J1’とが連結される。このとき、第1ジョー駆動ワイヤ635J1及び第1ジョー補助駆動ワイヤ635J1’のうちいずれか一方は、中間で1回ねじれて形成され、第1ジョー駆動ワイヤ635J1及び第1ジョー補助駆動ワイヤ635J1’の回転力伝達方向が互いに反対になるように形成される。一方、第1ジョー駆動バー6122及び第1ジョー駆動プーリー6123は、第1ジョー駆動軸を中心に回転自在に形成される。例えば、ユーザが、第1ジョー駆動バー6122に親指を嵌め込んだ状態で、第1ジョー駆動バー6122を回転させれば、第1ジョー駆動バー6122と連結された第1ジョー駆動プーリー6123が、第1ジョー駆動軸を中心に回転し、かような回転力が、動力伝達部630を介して、エンドツール620に伝達され、エンドツール620の第1ジョー621が、第1ジョー駆動プーリー6123の回転方向と同一方向に左右に回転する。
【0450】
第2ジョー操作部613は、第2ジョー駆動軸と、第ジョー駆動バー6132と、第2ジョー駆動プーリー6133と、を含む。ここで、図面には、ピッチ駆動バー6112が延長され、第2ジョー駆動軸が形成され、ピッチ駆動バー6112に、第2ジョー駆動プーリー6133が嵌め込まれるように図示されているが、本発明の思想は、それに制限されるものではなく、ピッチ駆動バー6112と、第2ジョー駆動軸とが別途の部材で形成され、互いに異なる軸上に配置されることも可能である。そのとき、第2ジョー駆動軸は、人体工学的設計によって、操作部610を把持するユーザの手構造に適するように、多様な方向に形成される。
【0451】
そして、第2ジョー駆動プーリー6133には、第2ジョー駆動ワイヤ635J2が連結される。一方、第2ジョー駆動バー6132及び第2ジョー駆動プーリー6133は、第2ジョー駆動軸を中心に回転自在に形成される。例えば、ユーザが、第2ジョー駆動バー6132に人差し指を嵌め込んだ状態で、第2ジョー駆動バー6132を回転させれば、第2ジョー駆動バー6132と連結された第2ジョー駆動プーリー6133が、第2ジョー駆動軸を中心に回転し、かような回転力が、動力伝達部630を介して、エンドツール620に伝達され、エンドツール620の第2ジョー622が、第2ジョー駆動プーリー6133の回転方向と同一方向に左右に回転する。
【0452】
一方、ピッチ駆動軸6111には、第1 J2P(second jaw-pitch)プーリー614a、第1 J1P(first jaw-pitch)プーリー615a及び第1 J1P補助(additional)プーリー616aが嵌め込まれ、第1 J2Pプーリー614a、第1 J1Pプーリー615a及び第1 J1P補助プーリー616aが、ピッチ駆動軸6111を中心に回転自在に形成される。
【0453】
ここで、第1 J2Pプーリー614a、及びそれと連結された第2 J2Pプーリー614bは、第2ジョー駆動プーリー6133が回転すれば、第2ジョー駆動プーリー6133と共に回転すると同時に、ピッチ駆動バー6112、並びにそれに連結された第1操作部612及び第2操作部613が、全体的に共にピッチ駆動軸6111を中心に回転すれば、ピッチ駆動プーリー6113と共に回転する。すなわち、第1 J2Pプーリー614a及び第2 J2Pプーリー614bは、第2ジョー駆動バー6132の回転と、ピッチ駆動バー6112の回転とを共に反映するプーリーであるといえる。
【0454】
詳細には、第2ジョー駆動バー6132が回転すれば、第2ジョー駆動バー6132と連結された第2ジョー駆動プーリー6133が共に回転し、従って、それと連結された第2ジョー駆動ワイヤ635J2が移動しながら、第1 J2Pプーリー614a、及びそれと連結された第2 J2Pプーリー614bを回転させる。一方、ピッチ駆動軸6111及びピッチ駆動バー6112が、
図39の矢印P方向に回転すれば、第2ジョー駆動軸及び第2ジョー駆動プーリー6133も、全体的にピッチ駆動軸6111を中心に回転する。それにより、操作部610の全体的な回転によって、第2ジョー駆動ワイヤ635J2が、ピッチ駆動軸6111を中心に、
図39の矢印P方向に回転し、従って、それと連結された第1 J2Pプーリー614aも回転する。その結果として、第1 J2Pプーリー614a及び第2 J2Pプーリー614bは、第2ジョー駆動バー6132が回転するときも回転し、ピッチ駆動バー6112が回転するときも回転する。それは、操作部610の第1 J2Pプーリー614a及び第2 J2Pプーリー614bから、第2ジョー操作入力と、ピッチ操作入力とが合わされた状態で出力されることを意味する。
【0455】
一方、第1 J1Pプーリー615a、及びそれと連結された第2 J1Pプーリー615bは、第1ジョー駆動バー6122が回転すれば、第1ジョー駆動プーリー6123と共に回転すると同時に、ピッチ駆動バー6112、並びにそれと連結された第1操作部612及び第2操作部613が、全体的に共にピッチ駆動軸6111を中心に回転すれば、ピッチ駆動プーリー6113と共に回転する。すなわち、第1 J1Pプーリー615a及び第2 J1Pプーリー615bは、第1ジョー駆動バー6122の回転と、ピッチ駆動バー6112の回転とを共に反映するプーリーであるといえる。
【0456】
同様に、第1 J1P補助プーリー616a及びそれと連結された第2 J1P補助プーリー616bも、第1ジョー駆動バー6122が回転すれば、第1ジョー駆動プーリー6123と共に回転すると同時に、ピッチ駆動バー6112、並びにそれと連結された第1操作部612及び第2操作部613が、全体的に共にピッチ駆動軸6111を中心に回転すれば、ピッチ駆動バー6112と共に回転することを特徴とする。すなわち、第1 J1P補助プーリー616a及び第2 J1P補助プーリー616bも、第1ジョー駆動バー6122の回転と、ピッチ駆動バー6112の回転とを共に反映するプーリーであるといえる。
【0457】
ここで、第1 J1Pプーリー615aと、第1 J1P補助プーリー616aとの回転方向は、互いに反対方向になる。なぜならば、第1ジョー駆動プーリー6123と、第1 J1Pプーリー615aとを連結する第1ジョー駆動ワイヤ635J1に比べ、第1ジョー駆動プーリー6123と、第1 J1P補助プーリー616aとを連結する第1ジョー補助駆動ワイヤ635J1’が1回ねじれているためである。すなわち、第1ジョー駆動ワイヤ635J1及び第1ジョー補助駆動ワイヤ635J1’の回転力伝達方向が互いに反対になるように形成されるので、第1 J1Pプーリー615aと、第1 J1P補助プーリー616aとの回転方向が互いに反対になる。
【0458】
ただし、図面には、第1 J2Pプーリー614aと、第2 J2Pプーリー614bとが連結され、第2 J2Pプーリー614bと、第1差動部材631の第1入力部6311と、第2差動部材632の第2入力部6322と、がそれぞれ連結されるように図示されているが、それは、説明の便宜のためのものであり、第2 J2Pプーリー614bが省略された状態で、第1 J2Pプーリー614aと、第1差動部材631の第1入力部6311及び第2差動部材632の第2入力部6322と、が直に連結される構成も可能である。
【0459】
同様に、図面には、第1 J1Pプーリー615aと、第2 J1Pプーリー615bとが連結され、第2 J1Pプーリー615bと、第2差動部材632の第1入力部6321とが連結されるように図示されているが、それは、説明の便宜のためのものであり、第2 J1Pプーリー615bが省略された状態で、第1 J1Pプーリー615aと、第2差動部材632の第1入力部6321とが直に連結される構成も可能である。
【0460】
同様に、図面には、第1 J1P補助プーリー616aと、第2 J1P補助プーリー616bとが連結され、第2 J1P補助プーリー616bと、第1差動部材631の第2入力部6312とが連結されるように図示されているが、それは、説明の便宜のためのものであり、第2 J1P補助プーリー616bが省略された状態で、第1 J1P補助プーリー616aと、第1差動部材631の第2入力部6312とが直に連結される構成も可能である。
【0461】
(第6実施形態の全体動作)
以下では、前記説明を参照し、本発明の第6実施形態による手術用インストルメント600のピッチ動作、ヨー動作及びアクチュエーション動作の全体的な構成をまとめてみる。
【0462】
まず、本発明の第6実施形態による手術用インストルメント600の第1差動部材631は、第1入力部6311、第2入力部6312、出力部6313、第1差動制御部材6314、第2差動制御部材6315及び差動制御ワイヤ6316を含み、第2差動部材632は、第1入力部6321、第2入力部6322、出力部6323、第1差動制御部材6324、第2差動制御部材6325及び差動制御ワイヤ6326を含む。
【0463】
詳細には、本実施形態のエンドツール620の構成上、エンドツール620のピッチ動作、ヨー動作及びアクチュエーション動作を遂行するためには、操作部610での操作入力を、ピッチ動作、ヨー動作及びアクチュエーション動作に分離することができる動力伝達部が必要である。操作部の構成は、大きく見て、ピッチ操作部611、第1ジョー操作部612及び第2ジョー操作部613から構成され、それらの操作入力をピッチ成分、ヨー成分及びアクチュエーション成分に分離しなければならない。ピッチ成分の場合、ピッチ駆動バーの回転操作が、直にエンドツールのピッチ動作に連結される。しかし、エンドツール620のヨー動作及びアクチュエーション動作は、第1ジョーと第2ジョーとの操作入力を再構成して構成しなければならず、それは、次のような数式で表現することができる。
【0464】
Y=J1+J2
ここで、ヨー動作は、2つのジョーが同方向に回転する。
【0465】
A=J1-J2
ここで、アクチュエーション動作は、2つのジョーが互いに反対方向に回転する。
【0466】
そのために、2つのジョー動作入力は、第1 J1Pプーリー615aと、第1 J2Pプーリー614aとに連結されており、追加して第1ジョーの動作入力が反対に伝達されるように、第1 J1P補助プーリー616aも具備され、それを次のような数式で表現することができる。
【0467】
J1P=J1+P
J1P2=-J1+P
J2P=J2+P
ここで、J1Pは、J1Pプーリーの回転、J1P2は、J1P補助プーリーの回転、J2Pは、J2Pプーリーの回転、J1は、第1ジョー駆動プーリーの回転、J2は、第2ジョー駆動プーリーの回転、Pは、ピッチ駆動プーリーの回転である。
【0468】
従って、かような操作部610の出力を、エンドツール620に、Y及びAの成分だけでもって伝達するために、動力伝達部630では、次の数式のような成分抽出が必要である。
【0469】
Y=J1+J2=J2P-J1P2
A=J1-J2=J1P-J2P
そのために、動力伝達部630には、J2P及びJ1P2を入力され、その差であるY成分のみを出力する差動プーリーと、J1P及びJ2Pを入力され、その差であるA成分のみを出力する差動プーリーが必要である。
【0470】
ここで、第1差動部材631の第1入力部6311は、第1 J2Pプーリー614a(または、それと連結された第2 J2Pプーリー614b)と連結され、第2ジョー駆動プーリー6133が回転するときも回転し、ピッチ駆動プーリー6113が回転するときも回転する。そして、第1差動部材631の第2入力部6312は、第1 J1P補助プーリー616a(または、それと連結された第2 J1P補助プーリー616b)と連結され、第1ジョー駆動プーリー6123が回転するときも回転し、ピッチ駆動プーリー6113が回転するときも回転する。そして、第1差動部材631の出力部6313は、ヨーワイヤ635Yと連結され、エンドツール620のヨー動作を制御する。
【0471】
一方、第2差動部材632の第1入力部6321は、第1 J1Pプーリー615a、またはそれと連結された第2 J1Pプーリー615bと連結され、第1ジョー駆動プーリー6123が回転するときも回転し、ピッチ駆動プーリー6113が回転するときも回転する。そして、第2差動部材632の第2入力部6322は、第1 J2Pプーリー614a、またはそれと連結された第2 J2Pプーリー614bと連結され、第2ジョー駆動プーリー6133が回転するときも回転し、ピッチ駆動プーリー6113が回転するときも回転する。そして、第2差動部材632の出力部6323は、アクチュエーションワイヤ635Aと連結され、エンドツール620のアクチュエーション動作を制御する。
【0472】
一方、ピッチ駆動プーリー6113は、ピッチワイヤ635Pと連結され、エンドツール620のピッチ動作を制御する。
【0473】
まず、ピッチ動作は、次の通りである。
【0474】
前述のように、ユーザが、操作部610のピッチ制御部611のピッチ駆動バー6112を手で握っている状態で、ピッチ駆動軸6111を中心に、ピッチ駆動バー6112を、
図39の矢印P方向に回転させれば、ピッチ駆動プーリー6113が、ピッチ駆動軸6111と共に回転する。それにより、ピッチ駆動プーリー6113とピッチワイヤ635Pを介して連結されているピッチプーリー623、それと連結されたヨープーリー624、並びに第1ジョー621及び第2ジョー622が、ピッチ回転軸420PX(
図32)を中心に回転してピッチ動作が遂行される。
【0475】
そのとき、ピッチ操作は、エンドツール620のヨー動作及びアクチュエーション動作を決定する動力伝達部630の2つの差動プーリー631,632に影響を及ぼさない。それについて、さらに詳細に説明すれば、ピッチ動作によって、ピッチ駆動軸6111を中心に、第1 J2Pプーリー614a、第1 J1Pプーリー615a及び第1 J1P補助プーリー616aがそれぞれ回転すれば、第2 J2Pプーリー614bと連結された第1差動部材631の第1入力部6311、及び第2 J1P補助プーリー616bが連結された第1差動部材631の第2入力部6312は、それぞれ回転することになるが、第1差動部材631内で、その回転が互いに相殺されるので、第1差動部材631の出力部6313は、回転しなくなる。同様に、第2 J1Pプーリー615bと連結された第2差動部材632の第1入力部6321、及び第2 J2Pプーリー614bが連結された第2差動部材632の第2入力部6322は、それぞれ回転することになるが、第2差動部材632内で、その回転が互いに相殺されるので、第2差動部材632の出力部6323は、回転しなくなる。従って、ピッチ動作が、ヨー動作及びアクチュエーション動作とは独立して遂行されもする。
【0476】
次に、本実施形態のヨー動作及びアクチュエーション動作について説明する。
【0477】
ヨー動作のために、ユーザが、第1ジョー駆動バー6122に親指を嵌め込み、第2ジョー駆動バー6132に人差し指を嵌め込んだ状態で、第1ジョー駆動バー6122を、
図39の矢印J1方向に回転させると同時に、第2ジョー駆動バー6132を、
図39の矢印J2方向に回転させる(すなわち、第1ジョー駆動バー6122と、第2ジョー駆動バー6132とを同一方向に回転させる)。または、アクチュエーション動作のために、ユーザが、第1ジョー駆動バー6122を、
図39の矢印J1の反対方向に回転させると同時に、第2ジョー駆動バー6132を、
図39の矢印J2方向に回転させる(すなわち、第1ジョー駆動バー6122と、第2ジョー駆動バー6132とを反対方向に回転させる)。
【0478】
それにより、まず、第1ジョー駆動バー6122と連結された第1ジョー駆動プーリー6123が、第1ジョー駆動軸(すなわち、ピッチ駆動バー)を中心に回転し、かような回転力が、第1ジョー駆動ワイヤ635J1を介して、第1 J1Pプーリー615a、及びそれと連結された第2 J1Pプーリー615bに伝達され、第2 J1Pプーリー615bが回転する。そして、第2 J1Pプーリー615bが回転すれば、それと連結された第2差動部材632の第1入力部6321、及びそれと連結された第2差動部材632の出力部6323が回転する。併せて、第1ジョー駆動プーリー6123の回転力は、第1ジョー補助駆動ワイヤ635J1’を介して、第1 J1P補助プーリー616a、及びそれと連結された第2 J1P補助プーリー616bに伝達され、第2 J1P補助プーリー616bが回転する。そして、第2 J1P補助プーリー616bが回転すれば、それと連結された第1差動部材631の第2入力部6312、及びそれと連結された第1差動部材631の出力部6313が回転する。
【0479】
それと同時に、第2ジョー駆動バー6132と連結された第2ジョー駆動プーリー6133が第2ジョー駆動軸(すなわち、ピッチ駆動バー)を中心に回転し、かような回転力が、第2ジョー駆動ワイヤ635J2を介して、第1 J2Pプーリー614a、及びそれと連結された第2 J2Pプーリー614bに伝達され、第2 J2Pプーリー614bが回転する。そして、第2 J2Pプーリー614bが回転すれば、それと連結された第1差動部材631の第1入力部6311、及びそれと連結された第1差動部材631の出力部6313が回転する。併せて、第2 J2Pプーリー614bが回転すれば、それと連結された第2差動部材632の第2入力部6322、及びそれと連結された第2差動部材632の出力部6323が回転する。
【0480】
一方、前述のように、第1 J2Pプーリー614a、及びそれと連結された第2 J2Pプーリー614bは、第2ジョー駆動プーリー6133が回転すれば、第2ジョー駆動プーリー6133と共に回転し、ピッチ駆動プーリー6113が回転すれば、ピッチ駆動プーリー6113と共に回転する。一方、第1 J1Pプーリー615a、及びそれと連結された第2 J1Pプーリー615bは、第1ジョー駆動プーリー6123が回転すれば、第1ジョー駆動プーリー6123と共に回転し、ピッチ駆動プーリー6113が回転すれば、ピッチ駆動プーリー6113と共に回転する。同様に、第1 J1P補助プーリー616a、及びそれと連結された第2 J1P補助プーリー616bも、第1ジョー駆動プーリー6123が回転すれば、第1ジョー駆動プーリー6123と共に回転し、ピッチ駆動プーリー6113が回転すれば、ピッチ駆動プーリー6113と共に回転する。
【0481】
その結果として、第1差動部材631の2つの入力部に、それぞれ第2 J2Pプーリー614bと、第2 J1P補助プーリー616bとを連結すれば、ピッチ駆動プーリー6113の回転と、第1ジョー駆動プーリー6123の回転と、第2ジョー駆動プーリー6133の回転とから、純粋なヨー動作制御成分のみを抽出することができる。
【0482】
同一の方法で、第2差動部材632の2つの入力部に、それぞれ第2 J1Pプーリー615bと、第2 J2Pプーリー614bとを連結すれば、ピッチ駆動プーリー6113の回転と、第1ジョー駆動プーリー6123の回転と、第2ジョー駆動プーリー6133の回転とから、純粋なアクチュエーション動作制御成分のみを抽出することができる。
【0483】
その結果として、ヨー動作を遂行するために、第1ジョー駆動バー6122を、
図39の矢印J1方向に回転させると同時に、第2ジョー駆動バー6132を、
図39の矢印J2方向に回転させれば、第1 J2Pプーリー614a、及びそれと連結された第2 J2Pプーリー614bは、
図39において、反時計回りに回転し、第1 J1Pプーリー615a、及びそれと連結された第2 J1Pプーリー615bは、
図39において、反時計回りに回転し、第1 J1P補助プーリー616a、及び第2 J1P補助プーリー616bは、
図39において、時計回りに回転する。そして、第2 J2Pプーリー614bと連結された第1差動部材631の第1入力部6311は、反時計回りに回転し、第2 J1P補助プーリー616bと連結された第1差動部材631の第2入力部6312は、時計回りに回転する。従って、第1差動部材631の出力部6313が、反時計回りに回転しながら、出力部6313に連結されたヨーワイヤ635Y、ヨーワイヤ635Yと連結されたヨープーリー624、及びヨープーリー624と連結されたジョー621,622が、ヨー回転軸420YX(
図32)を中心に回転し、ヨー動作が遂行される。
【0484】
同じ方法で、アクチュエーション動作を遂行するために、第1ジョー駆動バー6122を、
図39の矢印J1の反対方向に回転させると同時に、第2ジョー駆動バー6132を、
図39の矢印J2方向に回転させれば、第1 J2Pプーリー614a、及びそれと連結された第2 J2Pプーリー614bは、
図39において、反時計回りに回転し、第1 J1Pプーリー615a、及びそれと連結された第2 J1Pプーリー615bは、
図39において、時計回りに回転し、第1 J1P補助プーリー616a及び第2 J1P補助プーリー616bは、
図39において、反時計回りに回転する。そして、第2 J1Pプーリー615bと連結された第2差動部材632の第1入力部6321は、時計回りに回転し、第2 J2Pプーリー614bと連結された第2差動部材632の第2入力部6322は、反時計回りに回転する。従って、第2差動部材632の出力部6323が、時計回りに回転しながら、出力部6313に連結されたアクチュエーションワイヤ635Aが、
図39の矢印A方向に直線運動を行い、アクチュエーションワイヤ635Aと連結されたアクチュエーション軸420AX(
図32)が、並進運動を行いながら、第1ジョー621及び第2ジョー622のアクチュエーション動作が遂行される。
【0485】
かような本発明によって、第1ジョー駆動プーリー6123、及び第2ジョー駆動プーリー6133それぞれの回転から、エンドツールのヨー動作及びアクチュエーション動作が抽出されることが可能になる。
【0486】
従って、前述のように、操作部のピッチ、第1ジョー及び第2ジョーの操作は、エンドツールのピッチ、ヨー及びアクチュエーションの各動作成分に独立して分離され、それは、操作部のピッチ、第1ジョー及び第2ジョーの操作が同時に生じたり、あるいはそうではないとしても、エンドツールのピッチ、ヨー及びアクチュエーションの各動作成分に独立して分離される。
【0487】
前述の本発明の第6実施形態による手術用インストルメント600には、
図3Aなどで記述した多様な操作部の構成、
図4A及び
図15~
図27で記述した多様な動力伝達部の構成、及び
図7~
図14で記述した多様な変形例が互いに組み合わさり、多様に適用可能である。
【0488】
<手術用インストルメントの第7実施形態~第9実施形態のエンドツール>(E2)
以下では、本発明の第7実施形態、第8実施形態及び第9実施形態による手術用インストルメント700,800,900について説明する。ここで、本発明の第7実施形態、第8実施形態及び第9実施形態による手術用インストルメント700,800,900は、前述の本発明の第1実施形態、第2実施形態及び第3実施形態による手術用インストルメント100,200,300と類似しており、エンドツールの構成が特徴的に異なるところ、まず、第7実施形態、第8実施形態及び第9実施形態に共通して適用されるエンドツールの構成について説明する。
【0489】
図40ないし
図43は、本発明の第7実施形態による手術用インストルメント700に適用されるエンドツールを概略的に示す概念図であり、
図40は、エンドツールのXZ平面上での側面図であり、
図41は、エンドツールのXY平面上での平面図であり、
図42は、
図41のエンドツールが、ヨー運動を行う様子を示す平面図であり、
図43は、
図41のエンドツールが、アクチュエーション運動を行う様子を示す平面図である。ここで、
図41ないし
図43は、概念図であり、第1ジョー及び第2ジョーが互いに異なる軸を中心に回転するように図示されているが、本発明の思想は、それに制限されるものではなく、第1ジョー及び第2ジョーが、同一の軸を中心に回転することも可能である。
【0490】
図40ないし
図43を参照すれば、本発明の第7実施形態による手術用インストルメント700に適用されるエンドツール720は、第1ジョー721、第2ジョー722、ピッチプーリー723、第1ジョープーリー724及び第2ジョープーリー725を含む。本発明の第7実施形態による手術用インストルメント700に適用される動力伝達部730は、ピッチワイヤ735P、第1ジョーワイヤ735J1、第2ジョーワイヤ735J2を含む。
【0491】
本実施形態で、ピッチ動作は、ピッチプーリーに巻かれたピッチワイヤの回転を介して遂行され、ピッチプーリーの中間を横切って、2本のジョーワイヤが、エンドツール側に延長具備され、2本のジョーワイヤは、各ジョーのヨー動作及びアクチュエーション動作のための回転動作を遂行するために、各ジョープーリーに巻かれる。かようなジョーワイヤは、ピッチプーリーの中間を横切って具備されるので、ピッチ動作によってピッチプーリーが回転しても、ジョーワイヤは、最小限の影響を受ける。
【0492】
詳細には、連結部(図示せず)の一端部には、ピッチプーリー723が、ピッチ回転軸720PXを中心に、連結部(図示せず)に対して回転自在に形成される。また、ピッチプーリー723の一側には、第1ジョープーリー724及び第2ジョープーリー725が、ジョー回転軸720JXを中心に、回転自在に形成される。従って、ピッチプーリー723は、ピッチ回転軸720PXを中心に、回転自在であり、それと結合された第1ジョープーリー724及び第2ジョープーリー725は、ピッチプーリー723と共に回転する。
【0493】
一方、第1ジョー721は、第1ジョープーリー724と結合し、第1ジョープーリー724と共に回転自在に形成され、第2ジョー722は、第2ジョープーリー725と結合し、第2ジョープーリー725と共に回転自在に形成される。
【0494】
ここで、本発明の第7実施形態による手術用インストルメント700のエンドツール720は、ピッチ動作のためのプーリー/ワイヤと、第1ジョーの動作のためのプーリー/ワイヤと、第2ジョーの動作のためのプーリー/ワイヤとがそれぞれ別途に形成され、いずれか1つの動作が、他の動作に影響を及ぼさないように形成されることを一特徴とする。以下では、それについて、さらに詳細に説明する。
【0495】
まず、本実施形態のピッチ動作について説明する。
【0496】
エンドツール720のピッチ動作のための動力伝達部730のピッチワイヤ735Pは、操作部(図示せず)のピッチ操作部(図示せず)、及びエンドツール720のピッチプーリー723を連結する。従って、ピッチ操作部(図示せず)が、ピッチ駆動軸(図示せず)を中心に、
図40において、反時計回りに回転すれば、それと連結されたピッチワイヤ735Pが、
図40の矢印P2方向に移動し、従って、ピッチワイヤ735Pと連結されるピッチプーリー723、並びにそれと連結された第1ジョープーリー724、第2ジョープーリー725、第1ジョー721及び第2ジョー722がピッチ回転軸720PXを中心に、
図40の矢印P方向に回転し、ピッチ動作が遂行される。一方、ピッチ操作部(図示せず)が、ピッチ駆動軸(図示せず)を中心に、
図40において、時計回りに回転すれば、それと連結されたピッチワイヤ735Pが、
図40の矢印1方向に移動し、従って、ピッチワイヤ735Pと連結されるピッチプーリー723、並びにそれと連結された第1ジョープーリー724、第2ジョープーリー725、第1ジョー721及び第2ジョー722が、ピッチ回転軸720PXを中心に、
図40の矢印Pの反対方向に回転し、ピッチ動作が遂行される。
【0497】
次に、本実施形態のヨー動作及びアクチュエーション動作について説明する。
【0498】
まず、エンドツール720の第1ジョー721の動作のための動力伝達部730の第1ジョーワイヤ735J1は、操作部(図示せず)のヨー操作部(図示せず)、またはアクチュエーション操作部(図示せず)、または第1ジョー操作部(図示せず)と、エンドツール720の第1ジョープーリー724と、を連結する。従って、操作部(図示せず)のヨー操作部(図示せず)、またはアクチュエーション操作部(図示せず)、または第1ジョー操作部(図示せず)が回転すれば、それと連結された第1ジョーワイヤ735J1、それと連結された第1ジョープーリー724及び第1ジョー721が、ジョー回転軸720JXを中心に回転する。
【0499】
一方、エンドツール720の第2ジョー722の動作のための動力伝達部730の第2ジョーワイヤ735J2は、操作部(図示せず)のヨー操作部(図示せず)、またはアクチュエーション操作部(図示せず)、または第2ジョー操作部(図示せず)と、エンドツール720の第2ジョープーリー725と、を連結する。従って、操作部(図示せず)のヨー操作部(図示せず)、またはアクチュエーション操作部(図示せず)、または第2ジョー操作部(図示せず)が回転すれば、それと連結された第2ジョーワイヤ735J2、それと連結された第2ジョープーリー725及び第2ジョー722が、ジョー回転軸720JXを中心に回転する。
【0500】
そのとき、
図42に図示されたように、第1ジョープーリー724及び第2ジョープーリー725が、ジョー回転軸720JXを中心に同方向に回転すれば、ヨー動作が遂行され、
図43に図示されたように、第1ジョープーリー724及び第2ジョープーリー725が、ジョー回転軸720JXを中心に、反対方向に回転するようになれば、アクチュエーション動作が遂行される。
【0501】
<手術用インストルメントの第7実施形態>(E2+H1+D)
以下では、本発明の第7実施形態による手術用インストルメント700について説明する。ここで、本発明の第7実施形態による手術用インストルメント700は、エンドツールは、前述の
図40ないし
図43の構成を有し、操作部710は、
図2に図示された本発明の第1実施形態による手術用インストルメント100のように、ヨー操作部と、アクチュエーション操作部とが互いに独立して形成され、ヨー駆動軸の回転と、アクチュエーション駆動軸の回転とが互いに独立して行われることを特徴とする。
【0502】
図44は、本発明の第7実施形態による手術用インストルメント700を示す図面である。
図44を参照すれば、本発明の第7実施形態による手術用インストルメント700は、操作部710、エンドツール720、動力伝達部730及び連結部(図示せず)を含む。
【0503】
エンドツール720は、第1ジョー721、第2ジョー722、ピッチプーリー723、第1ジョープーリー724及び第2ジョープーリー725を含み、動力伝達部730は、ピッチワイヤ735P、第1ジョーワイヤ735J1、第2ジョーワイヤ735J2を含む。かようなエンドツール720は、ピッチ動作のためのプーリー/ワイヤと、第1ジョーの動作のためのプーリー/ワイヤと、第2ジョーの動作のためのプーリー/ワイヤとがそれぞれ別途に形成され、いずれか1つの動作が、他の動作に影響を及ぼさないように形成されることを一特徴とする。ここで、エンドツール720は、
図40ないし
図43で説明したエンドツールと同一であるので、ここでは、その詳細な説明は省略する。
【0504】
一方、動力伝達部730は、第1差動部材731と、第2差動部材732とを含む。ここで、第1差動部材731と第2差動部材732は、2以上の入力部及び1つの出力部を具備し、2以上の入力部から回転力を入力され、それらの和(または、差)を通じて、所望の1つの回転力を抽出し、出力部を介して出力する役割を行う。かような差動部材としては、
図4A及び
図4Bに図示された本発明の第1実施形態による手術用インストルメント100の差動プーリー、
図15以下に図示された差動プーリーの第1変形例、
図18以下に図示された差動プーリーの第2変形例、及び
図22以下に図示された差動プーリーの第3変形例など、多様な形態の差動プーリー及び差動ギアが使用されてもよい。すなわち、
図44には、本発明の第7実施形態による手術用インストルメント700の差動プーリー731,732として、
図21Eの差動プーリーが図示されているが、本発明の思想は、それに制限されるものではなく、多様な形態の差動プーリー及び差動ギアが本実施形態にも適用可能である。
【0505】
以下では、本発明の第7実施形態による手術用インストルメント700の操作部710について、さらに詳細に説明する。
【0506】
図44を参照すれば、本発明の第7実施形態による手術用インストルメント700の操作部710は、エンドツール720のピッチ運動を制御するピッチ操作部711と、エンドツール720のヨー運動を制御するヨー操作部712と、エンドツール720のアクチュエーション運動を制御するアクチュエーション操作部713と、を含む。
【0507】
ピッチ操作部711は、ピッチ駆動軸7111と、ピッチ駆動バー7112と、ピッチ駆動プーリー7113と、を含む。ここで、ピッチ駆動軸7111は、Y軸と平行な方向に形成され、ピッチ駆動バー7112は、ピッチ駆動軸7111と連結され、ピッチ駆動軸7111と共に回転するように形成される。例えば、ユーザが、ピッチ駆動バー7112を手で握っている状態で、ピッチ駆動バー7112を回転させれば、ピッチ駆動バー7112と連結されたピッチ駆動軸7111、及びそれと結合されたピッチ駆動プーリー7113が共に回転し、かような回転力が動力伝達部730を介して、エンドツール720に伝達され、エンドツール720が、ピッチ駆動軸7111の回転方向と同一方向に回転する。すなわち、ピッチ操作部711が、ピッチ駆動軸7111を中心に、時計回りに回転すれば、エンドツール720もまた、ピッチプーリー駆動軸(図示せず)を中心に、時計回りに回転し、一方、ピッチ操作部711が、ピッチ駆動軸7111を中心に、反時計回りに回転すれば、エンドツール720もまた、ピッチプーリー駆動軸(図示せず)を中心に、反時計回りに回転する。一方、ピッチ駆動プーリー7113は、ピッチ駆動軸7111と一体に形成され、ピッチ駆動軸7111と共に回転する。
【0508】
ヨー操作部712は、ヨー駆動軸と、ヨー駆動バー7122と、ヨー駆動プーリー7123と、を含む。ここで、図面には、ピッチ駆動バー7112が延長され、ヨー駆動軸が形成され、ピッチ駆動バー7112に、ヨー駆動プーリー7123が嵌め込まれるように図示されているが、本発明の思想は、それに制限されるものではなく、ピッチ駆動バー7112と、ヨー駆動軸とが別途の部材で形成され、互いに異なる軸上に配置されることも可能である。そのとき、ヨー駆動軸は、人体工学的設計によって、操作部710を把持するユーザの手構造に適するように、多様な方向に形成される。
【0509】
そして、ヨー駆動プーリー7123には、ヨー駆動ワイヤ735Yが連結される。一方、ヨー駆動バー7122及びヨー駆動プーリー7123は、ヨー駆動軸を中心に回転自在に形成される。例えば、ユーザがヨー駆動バー7122に人差し指を嵌め込んだ状態で、ヨー駆動バー7122を回転させれば、ヨー駆動バー7122と連結されたヨー駆動プーリー7123が、ヨー駆動軸を中心に回転し、かような回転力が、動力伝達部730を介して、エンドツール720に伝達され、エンドツール720の2つのジョー721,722が、ヨー駆動プーリー7123の回転方向と同一方向に左右に回転する。
【0510】
アクチュエーション操作部713は、アクチュエーション駆動軸と、アクチュエーション駆動バー7132と、アクチュエーション駆動プーリー7133と、を含む。ここで、アクチュエーション駆動軸は、ピッチ駆動バー7112が延長されて形成され、人体工学的設計によって、操作部710を把持するユーザの手構造に適するように、多様な方向に形成されてもよい。そして、アクチュエーション駆動プーリー7133には、アクチュエーション駆動ワイヤ735Aと、アクチュエーション補助駆動ワイヤ735A’と、が連結される。そのとき、アクチュエーション駆動ワイヤ735Aと、アクチュエーション補助駆動ワイヤ735A’とのうちいずれか一方は、中間で1回ねじれて形成され、アクチュエーション駆動ワイヤ735Aと、アクチュエーション補助駆動ワイヤ735J1A’との回転力伝達方向が互いに反対になるように形成される。一方、アクチュエーション駆動軸は、ピッチ駆動バー7112から延設され、Z軸と平行な方向または人体工学的設計によって、操作部710を把持するユーザの手構造に適するように、多様な方向に形成され、アクチュエーション駆動バー7132及びアクチュエーション駆動プーリー7133は、アクチュエーション駆動軸を中心に回転自在に形成される。例えば、ユーザが、アクチュエーション駆動バー7132に親指を嵌め込んだ状態で、アクチュエーション駆動バー7132を回転させれば、アクチュエーション駆動バー7132と連結されたアクチュエーション駆動プーリー7133が、アクチュエーション駆動軸を中心に回転し、かような回転力が、動力伝達部730を介して、エンドツール720に伝達され、エンドツール720の2つのジョー721,722が、アクチュエーション動作を遂行する。
【0511】
一方、ピッチ駆動軸7111には、第1 YPプーリー714a、第1 APプーリー715a、及び第1 AP補助プーリー716aが嵌め込まれ、第1 YPプーリー714a、第1 APプーリー715a及び第1 AP補助プーリー716aが、ピッチ駆動軸7111を中心に回転自在に形成される。
【0512】
ここで、第1 YPプーリー714a、及びそれと連結された第2 YPプーリー714bは、ヨー駆動プーリー7123が回転すれば、ヨー駆動プーリー7123と共に回転すると同時に、ピッチ駆動バー7112、並びにそれに連結されたヨー操作部712及びアクチュエーション操作部713が、全体的に共にピッチ駆動軸7111を中心に回転すれば、ピッチ駆動プーリー7113と共に回転する。すなわち、第1 YPプーリー714a及び第2 YPプーリー714bは、ヨー駆動バー7122の回転と、ピッチ駆動バー7112の回転とを共に反映するプーリーであるといえる。
【0513】
詳細には、ヨー駆動バー7122が回転すれば、ヨー駆動バー7122と連結されたヨー駆動プーリー7123が共に回転し、従って、それと連結されたヨー駆動ワイヤ735Yが移動しながら、第1 YPプーリー714a、及びそれと連結された第2 YPプーリー714bを回転させる。一方、ピッチ駆動軸7111及びピッチ駆動バー7112が、
図44の矢印P方向に回転すれば、ヨー駆動軸及びヨー駆動プーリー7123も、全体的にピッチ駆動軸7111を中心に回転する。それにより、操作部710の全体的な回転によって、ヨー駆動ワイヤ735Yが、ピッチ駆動軸7111を中心に、
図44の矢印P方向に回転し、従って、それと連結された第1 YPプーリー714aも回転する。その結果として、第1 YPプーリー714a及び第2 YPプーリー714bは、ヨー駆動プーリー7123が回転するときも回転し、ピッチ駆動プーリー7113が回転するときも回転する。それは、操作部710の第1 YPプーリー714a及び第2 YPプーリー714bから、ヨー操作入力と、ピッチ操作入力とが合わされた状態で出力されることを意味する。
【0514】
一方、第1 APプーリー715a、及びそれと連結された第2 APプーリー715bは、アクチュエーション駆動バー7132が回転すれば、アクチュエーション駆動プーリー7133と共に回転すると同時に、ピッチ駆動バー7112、並びにそれと連結されたヨー操作部712及びアクチュエーション操作部713が、全体的に共にピッチ駆動軸7111を中心に回転すれば、ピッチ駆動プーリー7113と共に回転する。すなわち、第1 APプーリー715a及び第2 APプーリー715bは、アクチュエーション駆動プーリー7133の回転と、ピッチ駆動プーリー7113の回転とを共に反映するプーリーであるといえる。
【0515】
同様に、第1 AP補助プーリー716a、及びそれと連結された第2 AP補助プーリー716bも、アクチュエーション駆動バー7132が回転すれば、アクチュエーション駆動プーリー7133と共に回転すると同時に、ピッチ駆動バー7112、並びにそれと連結されたヨー操作部712及びアクチュエーション操作部713が、全体的に共にピッチ駆動軸7111を中心に回転すれば、ピッチ駆動プーリー7113と共に回転することを特徴とする。すなわち、第1 AP補助プーリー716a及び第2 AP補助プーリー716bも、アクチュエーション駆動バー7132の回転と、ピッチ駆動バー7112の回転とを共に反映するプーリーであるといえる。
【0516】
ここで、第1 APプーリー715aと第1 AP補助プーリー716aとの回転方向は、互いに反対方向になる。なぜならば、アクチュエーション駆動プーリー7133と、第1 APプーリー715aとを連結するアクチュエーション駆動ワイヤ735Aに比べ、アクチュエーション駆動プーリー7133と、第1 AP補助プーリー716aを連結するアクチュエーション補助駆動ワイヤ735A’が1回ねじれているためである。すなわち、アクチュエーション駆動ワイヤ735Aと、アクチュエーション補助駆動ワイヤ735A’との回転力伝達方向が互いに反対になるように形成されるので、第1 APプーリー715aと、第1 AP補助プーリー716aとの回転方向が互いに反対になる。
【0517】
ただし、図面には、第1 YPプーリー714aと、第2 YPプーリー714bとが連結され、第2 YPプーリー714b、並びに第1差動部材731の第1入力部7311、及び第2差動部材732の第1入力部7321が連結されるように図示されているが、それは、説明の便宜のためのものであり、第2 YPプーリー714bが省略された状態で、第1 YPプーリー714a、並びに第1差動部材731の第1入力部7311、及び第2差動部材732の第1入力部7321が直に連結される構成も可能である。
【0518】
同様に、図面には、第1 APプーリー715aと、第2 APプーリー715bとが連結され、第2 APプーリー715bと、第2差動部材732の第1入力部7321とが連結されるように図示されているが、それは、説明の便宜のためのものであり、第2 APプーリー715bが省略された状態で、第1 APプーリー715aと、第2差動部材732の第1入力部7321とが直に連結される構成も可能である。
【0519】
また、図面には、第1 AP補助プーリー716aと、第2 AP補助プーリー716bが連結され、第2 AP補助プーリー716bと、第1差動部材731の第1入力部7311とが連結されるように図示されているが、それは、説明の便宜のためのものであり、第2 AP補助プーリー716bが省略された状態で、第1 AP補助プーリー716aと、第1差動部材731の第1入力部7311とが直に連結される構成も可能である。
【0520】
(第7実施形態の全体動作)
以下では、前記説明を参照し、本発明の第7実施形態による手術用インストルメント700のピッチ動作、ヨー動作及びアクチュエーション動作の全体的な構成をまとめてみる。
【0521】
まず、本発明の第7実施形態による手術用インストルメント700の第1差動部材731は、第1入力部7311、第2入力部7312、出力部7313、第1差動制御部材7314、第2差動制御部材7315及び差動制御ワイヤ7316を含み、第2差動部材732は、第1入力部7321、第2入力部7322、出力部7323、第1差動制御部材7324、第2差動制御部材7325及び差動制御ワイヤ7326を含む。
【0522】
詳細には、本実施形態のエンドツール720の構成上、エンドツール720のピッチ動作、ヨー動作及びアクチュエーション動作を遂行するためには、操作部710での操作入力を、ピッチ、第1ジョー及び第2ジョーの動作に分離することができる動力伝達部730が必要である。ピッチの場合、ピッチ駆動バーの回転操作が直にエンドツールのピッチ動作に連結される。しかし、エンドツールで必要な成分は、第1ジョーの動作成分と、第2ジョーの動作成分とであるが、操作部の入力は、ヨー成分とアクチュエーション成分とであるので、第1ジョー及び第2ジョーの動作成分は、次の数式のように、ヨー成分とアクチュエーション成分とから構成されなければならない。それを次のような数式で表現することができる。
【0523】
J1=Y+A
ここで、第1ジョーは、ヨー動作にもアクチュエーション動作にも、いずれも同方向に回転する。
【0524】
J2=Y-A
ここで、第2ジョーは、ヨー動作とは同方向であるが、アクチュエーション動作入力には反対方向に回転する。
【0525】
そのために、操作部710のヨー操作部712及びアクチュエーション操作部713は、第1 YPプーリー714aと、第1 APプーリー715aとに連結されており、追加してアクチュエーション動作入力が、反対に伝達されるように、第1 AP補助プーリー716aも具備され、それは、次のような数式で表現することができる。
【0526】
YP=Y+P
AP=A+P
AP’=-A+P
従って、かような操作部710の出力を、エンドツール720に、第1ジョー及び第2ジョーの成分としてのみ伝達するために、動力伝達部730では、次の数式のような成分抽出が必要である。
【0527】
J1=Y+A=YP-AP’
J2=Y-A=YP-AP
そのために、動力伝達部730は、YP及びAP’を入力され、その差であるJ1成分のみを出力する差動プーリーと、YP及びAPを入力され、その差であるJ2成分のみを出力する差動プーリーが必要である。
【0528】
ここで、Yは、ヨー駆動プーリーの回転、Aは、アクチュエーション駆動プーリーの回転、YPは、YPプーリーの回転、APは、APプーリーの回転、AP’は、AP補助プーリーの回転、Pは、ピッチ駆動プーリーの回転、J1は、第1ジョー駆動プーリーの回転、J2は、第2ジョー駆動プーリーの回転である。
【0529】
それについて、さらに詳細に説明すれば、次の通りである。
【0530】
まず、第1差動部材731の第1入力部7311は、第1 YPプーリー714a、またはそれと連結された第2 YPプーリー714bと連結され、ヨー駆動プーリー7123が回転するときも回転し、ピッチ駆動プーリー7113が回転するときも回転する。そして、第1差動部材731の第2入力部7312は、第1 AP補助プーリー716a、またはそれと連結された第2 AP補助プーリー716bと連結され、アクチュエーション駆動プーリー7133が回転するときも回転し、ピッチ駆動プーリー7113が回転するときも回転する。そして、第1差動部材731の出力部7313は、第1ジョーワイヤ735J1と連結され、エンドツール720の第1ジョー721の動作を制御する。
【0531】
一方、第2差動部材732の第1入力部7321は、第1 YPプーリー714a、またはそれと連結された第2 YPプーリー714bと連結され、ヨー駆動プーリー7123が回転するときも回転し、ピッチ駆動プーリー7113が回転するときも回転する。そして、第2差動部材732の第2入力部7322は、第1 APプーリー715a、またはそれと連結された第2 APプーリー715bと連結され、アクチュエーション駆動プーリー7133が回転するときも回転し、ピッチ駆動プーリー7113が回転するときも回転する。そして、第2差動部材732の出力部7323は、第2ジョーワイヤ735J2と連結され、エンドツール720の第2ジョー722の動作を制御する。
【0532】
一方、ピッチ駆動プーリー7113は、ピッチワイヤ735Pと連結され、エンドツール720のピッチ動作を制御する。
【0533】
まず、ピッチ動作は、次の通りである。
【0534】
前述のように、ユーザが、操作部710のピッチ制御部711のピッチ駆動バー7112を手で握っている状態で、ピッチ駆動軸7111を中心に、ピッチ駆動バー7112を、
図44の矢印P方向に回転させれば、ピッチ駆動プーリー7113が、ピッチ駆動軸7111と共に回転する。それにより、ピッチ駆動プーリー7113と、ピッチワイヤ735Pを介して連結されているピッチプーリー723、並びにそれと連結された第1ジョープーリー724、第2ジョープーリー725、第1ジョー721及び第2ジョー722が、ピッチ回転軸720PX(
図40)を中心に回転し、ピッチ動作が遂行される。
【0535】
そのとき、ピッチ操作は、エンドツール720の第1ジョー及び第2ジョーの動作を決定する動力伝達部730の2つの差動プーリー731,732の出力部に影響を及ぼさない。それについて、さらに詳細に説明すれば、ピッチ動作によって、ピッチ駆動軸7111を中心に、第1 YPプーリー714a、第1 APプーリー715a及び第1 AP補助プーリー716aがそれぞれ回転すれば、第2 YPプーリー714bと連結された第1差動部材731の第1入力部7311、及び第2 AP補助プーリー716bが連結された第1差動部材731の第2入力部7312は、それぞれ回転することになるが、第1差動部材731内で、その回転が互いに相殺されるので、第1差動部材731の出力部7313は、回転しなくなる。同様に、第2 YPプーリー714bと連結された第2差動部材732の第1入力部7321、及び第2 APプーリー715bが連結された第2差動部材732の第2入力部7322は、それぞれ回転することになるが、第2差動部材732内で、その回転が互いに相殺されるので、第2差動部材732の出力部7323は、回転しなくなる。従って、ピッチ動作が、ヨー動作及びアクチュエーション動作とは独立して遂行されもする。
【0536】
次に、本実施形態のヨー動作及びアクチュエーション動作について説明する。
【0537】
ヨー動作のために、ユーザが、ヨー駆動バー7122に人差し指を嵌め込んだ状態で、ヨー駆動バー7122を、
図44の矢印Y方向に回転させる。
【0538】
それにより、ヨー駆動バー7122と連結されたヨー駆動プーリー7123が、ヨー駆動軸(すなわち、ピッチ駆動バー)を中心に回転し、かような回転力が、ヨー駆動ワイヤ735Yを介して、第1 YPプーリー714a及び、それと連結された第2 YPプーリー714bに伝達され、第2 YPプーリー714bが回転する。そして、第2 YPプーリー714bが回転すれば、それと連結された第1差動部材731の第1入力部7311、及びそれと連結された第1差動部材731の出力部7313が回転する。併せて、第2 YPプーリー714bが回転すれば、それと連結された第2差動部材732の第1入力部7321、及びそれと連結された第2差動部材732の出力部7323が回転する。
【0539】
一方、アクチュエーション動作のために、ユーザが、アクチュエーション駆動バー7132に親指を嵌め込んだ状態で、アクチュエーション駆動バー7132を、
図44の矢印A方向に回転させる。
【0540】
それにより、まず、アクチュエーション駆動バー7132と連結されたアクチュエーション駆動プーリー7133が、アクチュエーション駆動軸(すなわち、ピッチ駆動バー)を中心に回転し、かような回転力がアクチュエーション駆動ワイヤ735Aを介して、第1 APプーリー715a、及びそれと連結された第2 APプーリー715bに伝達され、第2 APプーリー715bが回転する。そして、第2 APプーリー715bが回転すれば、それと連結された第2差動部材732の第2入力部7322、及びそれと連結された第2差動部材732の出力部7323が回転する。併せて、アクチュエーション駆動プーリー7133の回転力は、アクチュエーション補助駆動ワイヤ735A’を介して、第1 AP補助プーリー716a、及びそれと連結された第2 AP補助プーリー716bに伝達され、第2 AP補助プーリー716bが回転する。そして、第2 AP補助プーリー716bが回転すれば、それと連結された第1差動部材731の第2入力部7312、及びそれと連結された第1差動部材731の出力部7313が回転する。
【0541】
一方、前述のように、第1 YPプーリー714a、及びそれと連結された第2 YPプーリー714bは、ヨー駆動プーリー7123が回転すれば、ヨー駆動プーリー7123と共に回転し、ピッチ駆動プーリー7113が回転すれば、ピッチ駆動プーリー7113と共に回転する。一方、第1 APプーリー715a、及びそれと連結された第2 APプーリー715bは、アクチュエーション駆動プーリー7133が回転すれば、アクチュエーション駆動プーリー7133と共に回転し、ピッチ駆動プーリー7113が回転すれば、ピッチ駆動プーリー7113と共に回転する。同様に、第1 AP補助プーリー716a、及びそれと連結された第2 AP補助プーリー716bも、アクチュエーション駆動プーリー7133が回転すれば、アクチュエーション駆動プーリー7133と共に回転し、ピッチ駆動プーリー7113が回転すれば、ピッチ駆動プーリー7113と共に回転する。
【0542】
ここで、前述の数式を参照すれば、その結果として、第1差動部材731の2つの入力部に、それぞれ第2 YPプーリー714bと第2 AP補助プーリー716bとを連結すれば、ピッチ駆動プーリー7113の回転と、ヨー駆動プーリー7123の回転と、アクチュエーション駆動プーリー7133の回転とから、純粋な第1ジョー721の動作制御成分のみを抽出することができる。
【0543】
同一の方法で、第2差動部材732の2つの入力部に、それぞれ第2 YPプーリー714bと、第2 APプーリー715bとを連結すれば、ピッチ駆動プーリー7113の回転と、ヨー駆動プーリー7123の回転と、アクチュエーション駆動プーリー7133の回転とから、純粋な第2ジョー722の動作制御成分のみを抽出することができる。
【0544】
その結果として、ヨー動作を遂行するために、ヨー駆動バー7122を、
図44の矢印Y方向に回転させれば、第1 YPプーリー714a、及びそれと連結された第2 YPプーリー714bは、
図44において、反時計回りに回転する。それにより、第2 YPプーリー714bと連結された第1差動部材731の第1入力部7311は、反時計回りに回転し、従って、第1差動部材731の出力部7313が、反時計回りに回転しながら、出力部7313に連結された第1ジョーワイヤ735J1、第1ジョーワイヤ735J1と連結された第1ジョープーリー724、及び第1ジョープーリー724と連結された第1ジョー721が、ジョー回転軸720JX(
図40)を中心に、反時計回りに回転する。同様に、第2 YPプーリー714bと連結された第2差動部材732の第1入力部7321は、反時計回りに回転し、従って、第2差動部材732の出力部7323が、反時計回りに回転しながら、出力部7323に連結された第2ジョーワイヤ735J2、第2ジョーワイヤ735J2と連結された第2ジョープーリー725、及び第2ジョープーリー725と連結された第2ジョー722が、ジョー回転軸720JX(
図40)を中心に、反時計回りに回転する。このように、第1ジョー721及び第2ジョー722が、同一方向に回転しながら動作が遂行される。
【0545】
同じ方法で、アクチュエーション動作を遂行するために、アクチュエーション駆動バー7132を、
図44の矢印A方向に回転させれば、第1 APプーリー715a、及びそれと連結された第2 APプーリー715bは、
図44において、時計回りに回転し、第1 AP補助プーリー716a及び第2 AP補助プーリー716bは、
図44において、反時計回りに回転する。それにより、第2 APプーリー715bと連結された第2差動部材732の第2入力部7322は、時計回りに回転し、従って、第2差動部材732の出力部7323が、反時計回りに回転しながら、出力部7323に連結された第2ジョーワイヤ735J2、第2ジョーワイヤ735J2と連結された第2ジョープーリー725、及び第2ジョープーリー725と連結された第2ジョー722が、ジョー回転軸720JX(
図40)を中心に、反時計回りに回転する。同様に、第2 AP補助プーリー716bと連結された第1差動部材731の第2入力部7312は、反時計回りに回転し、従って、第1差動部材731の出力部7313が、時計回りに回転しながら、出力部7313に連結された第1ジョーワイヤ735J1、第1ジョーワイヤ735J1と連結された第1ジョープーリー724、及び第1ジョープーリー724と連結された第1ジョー721が、ジョー回転軸720JX(
図40)を中心に、時計回りに回転する。このように、第1ジョー721及び第2ジョー722が互いに反対方向に回転しながら、アクチュエーション動作が遂行される。
【0546】
かような本発明によって、ピッチ駆動プーリー7113、ヨー駆動プーリー7123、及びアクチュエーション駆動プーリー7133それぞれの回転から、エンドツールのピッチ動作、第1ジョーの回転動作、及び第2ジョーの回転動作が抽出されることが可能になるのであり、それは、操作部のピッチ操作、ヨー操作及びアクチュエーション操作が同時に生じたり、あるいはそうではないとしても、エンドツールのピッチ、第1ジョー及び第2ジョーの各動作成分に独立して分離される。
【0547】
前述の本発明の第7実施形態による手術用インストルメント700には、
図3Aなどで記述した多様な操作部の構成、
図4A及び
図15~
図27で記述した多様な動力伝達部の構成、及び
図7~
図14で記述した多様な変形例が互いに組み合わさり、多様に適用可能である。
【0548】
<手術用インストルメントの第8実施形態>(E2+H2+D)
以下では、本発明の第8実施形態による手術用インストルメント800について説明する。ここで、本発明の第8実施形態による手術用インストルメント800は、エンドツールは、前述の
図40ないし
図43の構成を有し、操作部810は、
図28に図示された本発明の第2実施形態による手術用インストルメント200のように、アクチュエーション操作部が、ヨー操作部上に形成され、ヨー操作部が回転すれば、アクチュエーション操作部も、共に回転するように形成されることを特徴とする。
【0549】
図45は、本発明の第8実施形態による手術用インストルメント800を示す図面である。
図45を参照すれば、本発明の第8実施形態による手術用インストルメント800は、操作部810、エンドツール820、動力伝達部830及び連結部(図示せず)を含む。
【0550】
エンドツール820は、第1ジョー821、第2ジョー822、ピッチプーリー823、第1ジョープーリー824及び第2ジョープーリー825を含み、動力伝達部830は、ピッチワイヤ835P、第1ジョーワイヤ835J1、第2ジョーワイヤ835J2を含む。かようなエンドツール820は、ピッチ動作のためのプーリー/ワイヤと、第1ジョーの動作のためのプーリー/ワイヤと、第2ジョーの動作のためのプーリー/ワイヤとがそれぞれ別途に形成され、いずれか1つの動作が、他の動作に影響を及ぼさないように形成されることを一特徴とする。ここで、エンドツール820は、
図40ないし
図43で説明したエンドツールと同一であるので、ここでは、その詳細な説明は省略する。
【0551】
一方、動力伝達部830は、第1差動部材831と、第2差動部材832とを含む。ここで、第1差動部材831と、第2差動部材832は、2以上の入力部及び1つの出力部を具備し、2以上の入力部から回転力を入力され、それらの和(または、差)を通じて、所望の1つの回転力を抽出し、出力部を介して出力する役割を行う。かような差動部材としては、
図4A及び
図4Bに図示された本発明の第1実施形態による手術用インストルメント100の差動プーリー、
図15以下に図示された差動プーリーの第1変形例、
図18以下に図示された差動プーリーの第2変形例、及び
図22以下に図示された差動プーリーの第3変形例など、多様な形態の差動プーリー及び差動ギアが使用されてもよい。すなわち、
図45には、本発明の第8実施形態による手術用インストルメント800の差動プーリー831,832として、
図21Eの差動プーリーが図示されているが、本発明の思想は、それに制限されるものではなく、多様な形態の差動プーリー及び差動ギアが、本実施形態にも適用可能である。
【0552】
以下では、本発明の第8実施形態による手術用インストルメント800の操作部810について、さらに詳細に説明する。
【0553】
図45を参照すれば、本発明の第8実施形態による手術用インストルメント800の操作部810は、エンドツール820のピッチ運動を制御するピッチ操作部811と、エンドツール820のヨー運動を制御するヨー操作部812と、エンドツール820のアクチュエーション運動を制御するアクチュエーション操作部813と、を含む。
【0554】
ピッチ操作部811は、ピッチ駆動軸8111と、ピッチ駆動バー8112と、ピッチ駆動プーリー8113と、を含む。ここで、ピッチ駆動軸8111は、Y軸と平行な方向に形成され、ピッチ駆動バー8112は、ピッチ駆動軸8111と連結され、ピッチ駆動軸8111と共に回転するように形成される。例えば、ユーザが、ピッチ駆動バー8112を手で握っている状態で、ピッチ駆動バー8112を回転させれば、ピッチ駆動バー8112と連結されたピッチ駆動軸8111、及びそれと結合されたピッチ駆動プーリー8113が共に回転し、かような回転力が、動力伝達部830を介して、エンドツール820に伝達され、エンドツール820が、ピッチ駆動軸8111の回転方向と同一方向に回転する。すなわち、ピッチ操作部811が、ピッチ駆動軸8111を中心に、時計回りに回転すれば、エンドツール820もまた、ピッチプーリー駆動軸(図示せず)を中心に、時計回りに回転し、一方、ピッチ操作部811が、ピッチ駆動軸8111を中心に、反時計回りに回転すれば、エンドツール820もまた、ピッチプーリー駆動軸(図示せず)を中心に、反時計回りに回転する。一方、ピッチ駆動プーリー8113は、ピッチ駆動軸8111と一体に形成され、ピッチ駆動軸8111と共に回転する。
【0555】
ヨー操作部812は、ヨー駆動軸8121と、ヨー駆動バー8122と、を含む。ここで、図面には、ピッチ駆動バー8112が延長され、ヨー駆動軸8121が形成されるように図示されているが、本発明の思想は、それに制限されるものではなく、ピッチ駆動バー8112と、ヨー駆動軸8121とが別途の部材で形成され、互いに異なる軸上に配置されることも可能である。そのとき、ヨー駆動軸8121は、人体工学的設計によって、操作部810を把持するユーザの手構造に適するように、多様な方向に形成される。
【0556】
一方、前述のように、ピッチ操作部811が回転する場合、ヨー操作部812の座標系は、相対的に変わる。そして、ヨー駆動バー8122は、ヨー駆動軸8121を中心に回転自在に形成される。例えば、ユーザが、ヨー駆動バー8122に人差し指を嵌め込んだ状態で、ヨー駆動バー8122を回転させれば、ヨー駆動バー8122が、ヨー駆動軸8121を中心に回転し、かような回転力が、第1ヨー・アクチュエーション駆動ワイヤ835AY1、及び第2ヨー・アクチュエーション駆動ワイヤ835AY2を介して、エンドツール820に伝達され、エンドツール820の2つのジョー821,822が、ヨー操作部812の回転方向と同一方向に左右に回転する。
【0557】
アクチュエーション操作部813は、アクチュエーション駆動軸8131と、アクチュエーション駆動バー8132と、第1アクチュエーション駆動プーリー8133aと、第2アクチュエーション駆動プーリー8133bと、を含む。ここで、アクチュエーション駆動バー8132、第1アクチュエーション駆動プーリー8133a及び第2アクチュエーション駆動プーリー8133bは、アクチュエーション駆動軸8131を中心に回転自在に形成される。例えば、ユーザが、アクチュエーション駆動バー8132に親指を嵌め込んだ状態で、アクチュエーション駆動バー8132を回転させれば、アクチュエーション駆動バー8132と連結された第1アクチュエーション駆動プーリー8133a、及び第2アクチュエーション駆動プーリー8133bが、アクチュエーション駆動軸8131を中心に回転し、かような回転力が、動力伝達部830を介して、エンドツール820に伝達され、エンドツール820の2つのジョー821,822が、アクチュエーション動作を遂行する。そのとき、アクチュエーション操作部813は、人体工学的設計によって、操作部810を把持するユーザの手構造に適するように、多様な方向に形成される。
【0558】
一方、アクチュエーション操作部813は、ヨー操作部812から延設されたヨー・アクチュエーション連結部8124上に形成されている。従って、ヨー操作部812のヨー駆動バー8122が回転すれば、ヨー駆動バー8122と共に、アクチュエーション操作部813も共に回転する。一方、第1ヨー・アクチュエーション駆動プーリー814P1、及び第2ヨー・アクチュエーション駆動プーリー814P2は、ヨー駆動軸8121を中心に回転自在に形成される。そして、第1アクチュエーション駆動プーリー8133aと、第1ヨー・アクチュエーション駆動プーリー814P1は、第1ヨー・アクチュエーション連結ワイヤ814W1によって連結されており、第1ヨー・アクチュエーション駆動プーリー814P1には、また第1ヨー・アクチュエーション駆動ワイヤ835AY1が連結されている。同様に、第2アクチュエーション駆動プーリー8133bと、第2ヨー・アクチュエーション駆動プーリー814P2は、第2ヨー・アクチュエーション連結ワイヤ814W2によって連結されており、第2ヨー・アクチュエーション駆動プーリー814P2には、また第2ヨー・アクチュエーション駆動ワイヤ835AY2が連結されている。
【0559】
従って、ヨー駆動バー8122が回転すれば、そこから延設されたヨー・アクチュエーション連結部8124、及びアクチュエーション操作部813が、ヨー駆動軸8121を中心に回転し、第1アクチュエーション駆動プーリー8133aに連結された第1ヨー・アクチュエーション連結ワイヤ814W1、及び第2アクチュエーション駆動プーリー8133bに連結された第2ヨー・アクチュエーション連結ワイヤ814W2も、ヨー駆動軸8121を中心に回転し、その結果として、第1ヨー・アクチュエーション駆動プーリー814P1、及び第2ヨー・アクチュエーション駆動プーリー814P2は、ヨー駆動軸8121を中心に回転する。
【0560】
その結果として、第1ヨー・アクチュエーション駆動プーリー814P1と、第2ヨー・アクチュエーション駆動プーリー814P2は、ヨー操作部812が回転するときも回転し、アクチュエーション操作部813が回転するときも回転するように形成される。
【0561】
一方、ピッチ駆動軸8111には、第1 AY1Pプーリー815a及び第1 AY2Pプーリー816aが嵌め込まれ、第1 AY1Pプーリー815a及び第1 AY2Pプーリー816aが、ピッチ駆動軸8111を中心に回転自在に形成され、第1ヨー・アクチュエーション駆動ワイヤ835AY1、及び第2ヨー・アクチュエーション駆動ワイヤ835AY2によって、それぞれ第1ヨー・アクチュエーション駆動プーリー814P1、及び第2ヨー・アクチュエーション駆動プーリー814P2に連結される。
【0562】
ここで、第1 AY1Pプーリー815a、及びそれと連結された第2 AY1Pプーリー815bは、アクチュエーション操作部813が回転すれば、アクチュエーション操作部813と共に回転し、ヨー操作部812が回転すれば、ヨー操作部812と共に回転すると同時に、ピッチ操作部811が回転すれば、ピッチ操作部811と共に回転する。すなわち、第1 AY1Pプーリー815a及び第2 AY1Pプーリー815bは、アクチュエーション操作部813の回転と、ヨー操作部812の回転と、ピッチ操作部811の回転とを、共に反映するプーリーであるといえる。
【0563】
詳細には、アクチュエーション駆動バー8132が回転すれば、アクチュエーション駆動バー8132と連結された第1アクチュエーション駆動プーリー8133aが共に回転し、従って、それと連結された第1ヨー・アクチュエーション連結ワイヤ814W1が移動しながら、第1ヨー・アクチュエーション駆動プーリー814P1を回転させる。そして、第1ヨー・アクチュエーション駆動プーリー814P1が回転すれば、それと連結された第1ヨー・アクチュエーション駆動ワイヤ835AY1が回転しながら、第1 AY1Pプーリー815a、及びそれと連結された第2 AY1Pプーリー815bを回転させる。一方、ヨー駆動バー8122が回転すれば、ヨー駆動バー8122と連結されたアクチュエーション操作部813が全体的に共に回転し、従って、アクチュエーション操作部813の第1アクチュエーション駆動プーリー8133a、及びそれに連結された第1ヨー・アクチュエーション連結ワイヤ814W1が、ヨー駆動軸8121を中心に回転しながら、第1ヨー・アクチュエーション駆動プーリー814P1を回転させる。そして、第1ヨー・アクチュエーション駆動プーリー814P1が回転すれば、それと連結された第1ヨー・アクチュエーション駆動ワイヤ835AY1が回転しながら、第1 AY1Pプーリー815a、及びそれと連結された第2 AY1Pプーリー815bを回転させる。一方、ピッチ駆動軸8111及びピッチ駆動バー8112が、
図45の矢印P方向に回転すれば、アクチュエーション操作部813も、全体的にピッチ駆動軸8111を中心に回転する。それにより、操作部810の全体的な回転によって、第1ヨー・アクチュエーション駆動ワイヤ835AY1が回転し、従って、それと連結された第1 AY1Pプーリー815aも回転する。その結果として、第1 AY1Pプーリー815a及び第2 AY1Pプーリー815bは、アクチュエーション操作部813が回転するときも回転し、ヨー操作部812が回転するときも回転し、ピッチ操作部811が回転するときも回転する。
【0564】
同様に、第1 AY2Pプーリー816a、及びそれと連結された第2 AY2Pプーリー816bは、アクチュエーション操作部813が回転すれば、アクチュエーション操作部813と共に回転し、ヨー操作部812が回転すれば、ヨー操作部812と共に回転すると同時に、ピッチ操作部811が回転すれば、ピッチ操作部811と共に回転する。すなわち、第1 AY2Pプーリー816a、及び第2 AY2Pプーリー816bは、アクチュエーション操作部813の回転と、ヨー操作部812の回転と、ピッチ操作部811の回転とを、共に反映するプーリーであるといえる。
【0565】
ただし、図面には、第1 AY1Pプーリー815aと、第2 AY1Pプーリー815bとが連結され、第2 AY1Pプーリー815bと、第1差動部材831の第1入力部8311とが連結されるように図示されているが、それは、説明の便宜のためのものであり、第2 AY1Pプーリー815bが省略された状態で、第1 AY1Pプーリー815aと、第1差動部材831の第1入力部8311とが直に連結される構成も可能である。
【0566】
同様に、図面には、第1 AY2Pプーリー816aと、第2 AY2Pプーリー816bとが連結され、第2 AY2Pプーリー816bと、第2差動部材832の第1入力部8321とが連結されるように図示されているが、それは、説明の便宜のためのものであり、第2 AY2Pプーリー816bが省略された状態で、第1 AY2Pプーリー816aと、第2差動部材832の第1入力部8321とが直に連結される構成も可能である。
【0567】
同様に、図面には、ピッチ駆動プーリー8113と、第2ピッチ駆動プーリー8113bとが連結され、第2ピッチ駆動プーリー8113b、並びに第1差動部材831の第2入力部8312、及び第2差動部材832の第2入力部8322が連結されるように図示されているが、それは、説明の便宜のためのものであり、第2ピッチ駆動プーリー8113bが省略された状態で、ピッチ駆動プーリー8113、並びに第1差動部材831の第2入力部8312、及び第2差動部材832の第2入力部8322が直に連結される構成も可能である。
【0568】
(第8実施形態の全体動作)
以下では、前記説明を参照し、本発明の第8実施形態による手術用インストルメント800のピッチ動作、ヨー動作及びアクチュエーション動作の全体的な構成をまとめてみる。
【0569】
まず、本発明の第8実施形態による手術用インストルメント800の第1差動部材831は、第1入力部8311、第2入力部8312、出力部8313、第1差動制御部材8314、第2差動制御部材8315及び差動制御ワイヤ8316を含み、第2差動部材832は、第1入力部8321、第2入力部8322、出力部8323、第1差動制御部材8324、第2差動制御部材8325及び差動制御ワイヤ8326を含む。
【0570】
本実施形態のエンドツール820の構成上、エンドツール820のピッチ動作、ヨー動作及びアクチュエーション動作を遂行するためには、操作部810での操作入力を、ピッチ、第1ジョー及び第2ジョーの動作に分離することができる動力伝達部830が必要である。ピッチの場合、ピッチ駆動バーの回転操作が直にエンドツール820のピッチ動作に連結される。しかし、エンドツール820で必要な成分は、第1ジョーの動作成分と、第2ジョーの動作成分とであるが、操作部810の入力は、ヨー成分とアクチュエーション成分とであるので、第1ジョー及び第2ジョーの動作成分は、次の数式のように、ヨー成分とアクチュエーション成分とから構成しなければならない。
【0571】
J1=Y+A
ここで、第1ジョーは、ヨー動作にもアクチュエーション動作にも、いずれも同方向に回転する。
【0572】
J2=Y-A(第2ジョーは、ヨー動作とは同方向であるが、アクチュエーション動作入力には、反対方向に回転する。
【0573】
特に、本実施形態の場合操作部のアクチュエーション操作部813は、ヨー操作部812上に位置するので、操作部810の出力は、ヨー操作入力と、アクチュエーション操作入力と、ピッチ操作入力とが全て合わされた形態に出力される。前述のように、操作部810の出力は、次のような数式のよいうに表現することができる。
【0574】
AY1P=AY1+P=A+Y+P
AY2P=AY2+P=-A+Y+P
従って、かような操作部810の出力を、エンドツール820に、第1ジョー及び第2ジョーの成分としてのみ伝達するために、動力伝達部830では、次の数式のような成分抽出が必要である。
【0575】
J1=Y+A=AY1P-P
J2=Y-A=AY2P-P
そのために、動力伝達部830には、AY1P及びPを入力され、その差であるJ1成分のみを出力する差動プーリーと、AY2P及びPを入力され、その差であるJ2成分のみを出力する差動プーリーと、が必要である。
【0576】
ここで、Yは、ヨー駆動プーリーの回転、Aは、アクチュエーション駆動プーリーの回転、AY1は、AY1プーリーの回転、AY2は、AY2プーリーの回転、AY1Pは、AY1Pプーリーの回転、AY2Pは、AY2Pプーリーの回転、Pは、ピッチ駆動プーリーの回転、J1は、第1ジョー駆動プーリーの回転、J2は、第2ジョー駆動プーリーの回転である。
【0577】
それについて、さらに詳細に説明すれば、次の通りである。
【0578】
まず、ピッチ動作は、次の通りである。
【0579】
前述のように、ユーザが、操作部810のピッチ制御部811のピッチ駆動バー8112を手で握っている状態で、ピッチ駆動軸8111を中心に、ピッチ駆動バー8112を、
図45の矢印P方向に回転させれば、ピッチ駆動プーリー8113が、ピッチ駆動軸8111と共に回転する。それにより、ピッチ駆動プーリー8113と、ピッチワイヤ835Pを介して連結されているピッチプーリー823、並びにそれと連結された第1ジョープーリー824、第2ジョープーリー825、第1ジョー821及び第2ジョー822が、ピッチ回転軸820PXを中心に回転してピッチ動作が遂行される。
【0580】
そのとき、ピッチ操作は、エンドツール820の第1ジョー及び第2ジョーの動作を決定する動力伝達部830の2つの差動プーリー831,832の出力部に影響を及ぼさない。それについて、さらに詳細に説明すれば、ピッチ動作によって、ピッチ駆動軸8111を中心に、第1 AY1Pプーリー815a及び第1 AY2Pプーリー816aがそれぞれ回転すれば、第2 AY1Pプーリー815bと連結された第1差動部材831の第1入力部8311、及びピッチ駆動プーリー8113と連結された第1差動部材831の第2入力部8312は、それぞれ回転することになるが、第1差動部材831内で、その回転が互いに相殺されるので、第1差動部材831の出力部8313は、回転しなくなる。同様に、第2 AY2Pプーリー816bと連結された第2差動部材832の第1入力部8321、及びピッチ駆動プーリー8113が連結された第2差動部材832の第2入力部8322は、それぞれ回転することになるが、第2差動部材832内で、その回転が互いに相殺されるので、第2差動部材832の出力部8323は、回転しなくなる。従って、ピッチ動作が、ヨー動作及びアクチュエーション動作とは独立して遂行されもする。
【0581】
次に、本実施形態のヨー動作及びアクチュエーション動作について説明する。
【0582】
まず、手術用インストルメント800の第1差動部材831は、第1入力部8311、第2入力部8312、出力部8313、第1差動制御部材8314、第2差動制御部材8315及び差動制御ワイヤ8316を含み、第2差動部材832は、第1入力部8321、第2入力部8322、出力部8323、第1差動制御部材8324、第2差動制御部材8325及び差動制御ワイヤ8326を含む。
【0583】
ここで、第1差動部材831の第1入力部8311は、第2 AY1Pプーリー815bと連結され、アクチュエーション操作部813が回転するときも回転し、ヨー操作部812が回転するときも回転し、ピッチ操作部811が回転するときも回転する。そして、第1差動部材831の第2入力部8312は、第2ピッチ駆動プーリー8113bと連結され、ピッチ操作部811が回転するとき回転する。そして、第1差動部材831の出力部8313は、第1ジョーワイヤ835J1と連結され、エンドツール820の第1ジョー821の動作を制御する。
【0584】
一方、第2差動部材832の第1入力部8321は、第2 AY2Pプーリー816bと連結され、アクチュエーション操作部813が回転するときも回転し、ヨー操作部812が回転するときも回転し、ピッチ操作部811が回転するときも回転する。そして、第2差動部材832の第2入力部8322は、第2ピッチ駆動プーリー8113bと連結され、ピッチ操作部811が回転するとき回転する。そして、第2差動部材832の出力部8323は、第2ジョーワイヤ835J2と連結され、エンドツール820の第2ジョー822の動作を制御する。
【0585】
一方、前述のように、第1 AY1Pプーリー815a、及びそれと連結された第2 AY1Pプーリー815b、並びに第1 AY2Pプーリー816a、及びそれと連結された第2 AY2Pプーリー816bは、アクチュエーション操作部813が回転すれば、アクチュエーション操作部813と共に回転し、ヨー操作部812が回転すれば、ヨー操作部812と共に回転し、ピッチ操作部811が回転すれば、ピッチ操作部811と共に回転する。
【0586】
ここで、前述の数式を参照すれば、その結果として、第1差動部材831の2つの入力部に、それぞれ第2 AY1Pプーリー815bと、ピッチ駆動プーリー8113とを連結すれば、ピッチ操作部811の回転と、ヨー操作部812の回転と、アクチュエーション操作部813の回転とから、純粋な第1ジョー821の動作制御成分のみを抽出することができる。
【0587】
同一の方法で、第2差動部材832の2つの入力部に、それぞれ第2 AY2Pプーリー816bと、ピッチ駆動プーリー8113とを連結すれば、ピッチ操作部811の回転と、ヨー操作部812の回転と、アクチュエーション操作部813の回転とから、純粋な第2ジョー822の動作制御成分のみを抽出することができる。
【0588】
その結果として、ヨー動作のために、ユーザが、ヨー駆動バー8122に人差し指を嵌め込んだ状態で、ヨー駆動バー8122を、
図45の矢印Y方向に回転させれば、ヨー操作部812と連結されたアクチュエーション操作部813が、全体的にヨー駆動軸8121を中心に回転し、かような回転力が、第1ヨー・アクチュエーション連結ワイヤ814W1、第1ヨー・アクチュエーション駆動プーリー814P1及び第1ヨー・アクチュエーション駆動ワイヤ835AY1を介して、第1 AY1Pプーリー815a、及びそれと連結された第2 AY1Pプーリー815bに伝達され、第2 AY1Pプーリー815bが反時計回りに回転する。それにより、第2 AY1Pプーリー815bと連結された第1差動部材831の第1入力部8311が反時計回りに回転し、従って、それと連結された第1差動部材831の出力部8313が、反時計回りに回転する。それにより、出力部8313と連結された第1ジョーワイヤ835J1、それと連結された第1ジョープーリー824、及びそれと連結された第1ジョー821が、ジョー回転軸820JXを中心に、反時計回りに回転する。
【0589】
同時に、ヨー駆動バー8122を、
図45の矢印Y方向に回転させれば、ヨー操作部812と連結されたアクチュエーション操作部813が、全体的にヨー駆動軸8121を中心に回転し、かような回転力が、第2ヨー・アクチュエーション連結ワイヤ814W2、第2ヨー・アクチュエーション駆動プーリー814P2及び第2ヨー・アクチュエーション駆動ワイヤ835AY2を介して、第1 AY2Pプーリー816a、及びそれと連結された第2 AY2Pプーリー816bに伝達され、第2 AY2Pプーリー816bが反時計回りに回転する。それにより、第2 AY2Pプーリー816bと連結された第2差動部材832の第1入力部8321が、反時計回りに回転し、従って、それと連結された第2差動部材832の出力部8323が、反時計回りに回転する。それにより、出力部8323と連結された第2ジョーワイヤ835J2、それと連結された第2ジョープーリー825、及びそれと連結された第2ジョー822が、ジョー回転軸820JXを中心に、反時計回りに回転する。
【0590】
その結果として、ヨー操作部812が、
図45の矢印Y方向に回転すれば、第1ジョー821及び第2ジョー822が、ジョー回転軸820JXを中心に、互いに同一方向に回転し、ヨー動作が遂行される。
【0591】
次に、本実施形態のアクチュエーション動作について説明する。
【0592】
アクチュエーション動作のために、ユーザが、アクチュエーション駆動バー8132に親指を嵌め込んだ状態で、アクチュエーション駆動バー8132を、
図45の矢印A方向に回転させれば、アクチュエーション操作部813が、アクチュエーション駆動軸8131を中心に回転し、かような回転力が、第1ヨー・アクチュエーション連結ワイヤ814W1、第1ヨー・アクチュエーション駆動プーリー814P1及び第1ヨー・アクチュエーション駆動ワイヤ835AY1を介して、第1 AY1Pプーリー815a、及びそれと連結された第2 AY1Pプーリー815bに伝達され、第2 AY1Pプーリー815bが時計回りに回転する。それにより、第2 AY1Pプーリー815bと連結された第1差動部材831の第1入力部8311は、時計回りに回転し、従って、それと連結された第1差動部材831の出力部8313が、時計回りに回転する。それにより、出力部8313と連結された第1ジョーワイヤ835J1、それと連結された第1ジョープーリー824及びそれと連結された第1ジョー821が、ジョー回転軸820JXを中心に、時計回りに回転する。
【0593】
同時に、アクチュエーション駆動バー8132を、
図45の矢印A方向に回転させれば、アクチュエーション操作部813が、アクチュエーション駆動軸8131を中心に回転し、かような回転力が、第2ヨー・アクチュエーション連結ワイヤ814W2、第2ヨー・アクチュエーション駆動プーリー814P2及び第2ヨー・アクチュエーション駆動ワイヤ835AY2を介して、第1 AY2Pプーリー816a、及びそれと連結された第2 AY2Pプーリー816bに伝達され、第2 AY2Pプーリー816bが、反時計回りに回転する。それにより、第2 AY2Pプーリー816bと連結された第2差動部材832の第1入力部8321は、反時計回りに回転し、従って、それと連結された第2差動部材832の出力部8323が、反時計回りに回転する。それにより、出力部8323と連結された第2ジョーワイヤ835J2、それと連結された第2ジョープーリー825及びそれと連結された第2ジョー822が、ジョー回転軸820JXを中心に、反時計回りに回転する。
【0594】
その結果として、ヨー操作部812が、
図45の矢印A方向に回転すれば、第1ジョー821及び第2ジョー822が、ジョー回転軸820JXを中心に互いに反対方向に回転し、アクチュエーション動作が遂行される。
【0595】
かような本発明によって、ピッチ操作部811、ヨー操作部812及びアクチュエーション操作部813それぞれの回転から、エンドツールのピッチ動作、第1ジョーの回転動作及び第2ジョーの回転動作が抽出されることが可能になるのであり、それは、操作部のピッチ操作、ヨー操作及びアクチュエーション操作が同時に生じたり、あるいはそうではないとしても、エンドツールのピッチ、第1ジョー及び第2ジョーの各動作成分に独立して分離される。
【0596】
前述の本発明の第8実施形態による手術用インストルメント800には、
図3Aなどで記述した多様な操作部の構成、
図4A及び
図15~
図27で記述した多様な動力伝達部の構成、及び
図7~
図14で記述した多様な変形例が互いに組み合わさり、多様に適用可能である。
【0597】
<手術用インストルメントの第8実施形態の操作部の一変形例>(E2+H2+D4)
図46は、
図45に図示された第8実施形態の操作部の一変形例による手術用インストルメント800aを示す図面である。ここで、本発明の第8実施形態の操作部の一変形例による手術用インストルメント800aは、前述の本発明の第8実施形態による手術用インストルメント800(
図45)と類似しており、操作部の構成が特徴的に異なるところ、以下では、かような操作部の構成を中心に説明する。
【0598】
図46を参照すれば、本発明の第8実施形態の操作部の一変形例による手術用インストルメント800aの操作部は、
図22及び
図23に図示された差動プーリーの第3変形例を適用したことを一特徴とする。
【0599】
詳細には、第8実施形態の場合、操作部810において、アクチュエーション操作部813は、ヨー操作部812上に位置する。すなわち、アクチュエーション動作入力は、ヨー動作入力と合わされて操作部810から出力されるが、第8実施形態の場合、エンドツール820を構成する第1ジョー及び第2ジョーは、ヨー動作及びアクチュエーション動作入力の和と差とを必要とするので、操作部の構成において、ヨー動作とアクチュエーション動作との和を出力することができる差動プーリーを使用することもできる。
【0600】
しかし、第8実施形態の操作部810の構成上、アクチュエーション操作部813が、ヨー操作部812上に位置するので、1つの入力が他の入力に独立して位置せず、その他の入力部上に延設されている差動プーリーの第3変形例(
図22及び
図23)を適用することができる。
【0601】
図46は、操作部810に、ヨー入力とアクチュエーション入力とをそれぞれの入力部にする差動プーリーの第3変形例(
図22及び
図23)を適用し、操作部810の出力を、AYP=A+Y+P、AYP2=-A+Y+Pになるように変形構成することができる。
【0602】
かような第8実施形態の一変形例は、操作部810aの構成を除き、残りの部分は、同一であり、
図46の操作部810aの構成だけ変形し、第8実施形態の他の部分にそのまま適用可能である。
【0603】
すなわち、前述のように、本変形例による手術用インストルメント800aの動力伝達部830は、第1差動プーリー838と、第2差動プーリー839とを含み、第1差動プーリー838は、第1入力部8381、第2入力部8382、出力部及び連結部8384を含む。ここで、第1差動プーリー838の出力部は、第1 AY2Pプーリー816aと実質的に同一の部材でもある。一方、第2差動プーリー839は、第1入力部8391、第2入力部8392、出力部及び連結部8394を含む。ここで、第1差動プーリー839の出力部は、第1 AY1Pプーリー815aと実質的に同一の部材でもある。
【0604】
かような第1差動プーリー838及び第2差動プーリー839によって、2以上の入力部のうち、いずれか1つの入力部だけが回転する場合、他の入力部を回転させず、出力部のみを回転させると同時に、2以上の入力部が同時に回転する場合、2つの入力部の回転力の和(または、差)の分だけの単一な回転力が、出力部を介して出力される。
【0605】
<手術用インストルメントの第9実施形態>(E2+H3+D)
以下では、本発明の第9実施形態による手術用インストルメント900について説明する。ここで、本発明の第9実施形態による手術用インストルメント900は、エンドツールは、前述の
図40ないし
図43の構成を有し、操作部910は、
図30に図示された本発明の第3実施形態による手術用インストルメント300のように、ヨー操作部及びアクチュエーション操作部の代わりに、それぞれのジョーを独立して駆動する第1ジョー操作部及び第2ジョー操作部を含むように形成されることを特徴とする。
【0606】
図47は、本発明の第9実施形態による手術用インストルメント900を示す図面である。
図47を参照すれば、本発明の第9実施形態による手術用インストルメント900は、操作部910、エンドツール920、動力伝達部930及び連結部(図示せず)を含む。
【0607】
エンドツール920は、第1ジョー921、第2ジョー922、ピッチプーリー923、第1ジョープーリー924及び第2ジョープーリー925を含み、動力伝達部930は、ピッチワイヤ935P、第1ジョーワイヤ935J1、第2ジョーワイヤ935J2を含む。かようなエンドツール920は、ピッチ動作のためのプーリー/ワイヤと、第1ジョーの動作のためのプーリー/ワイヤと、第2ジョーの動作のためのプーリー/ワイヤとがそれぞれ別途に形成され、いずれか1つの動作が、他の動作に影響を及ぼさないように形成されることを一特徴とする。ここで、エンドツール920は、
図40ないし
図43で説明したエンドツールと同一であるので、ここでは、その詳細な説明は省略する。
【0608】
一方、動力伝達部930は、第1差動部材931と、第2差動部材932とを含む。ここで、第1差動部材931と第2差動部材932は、2以上の入力部及び1つの出力部を具備し、2以上の入力部から回転力を入力され、それらの和(または、差)を通じて、所望の1つの回転力を抽出し、出力部を介して出力する役割を行う。かような差動部材としては、
図4A及び
図4Bに図示された本発明の第1実施形態による手術用インストルメント100の差動プーリー、
図15以下に図示された差動プーリーの第1変形例、
図18以下に図示された差動プーリーの第2変形例、及び
図22以下に図示された差動プーリーの第3変形例など、多様な形態の差動プーリー及び差動ギアが使用されてもよい。すなわち、
図47には、本発明の第9実施形態による手術用インストルメント900の差動プーリー931,932として、
図21Eの差動プーリーが図示されているが、本発明の思想は、それに制限されるものではなく、多様な形態の差動プーリー及び差動ギアが本実施形態にも適用可能である。
【0609】
以下では、本発明の第9実施形態による手術用インストルメント900の操作部910について、さらに詳細に説明する。
【0610】
図47を参照すれば、本発明の第9実施形態による手術用インストルメント900の操作部910は、エンドツール920のピッチ運動を制御するピッチ操作部911と、エンドツール920の第1ジョーの運動を制御する第1ジョー操作部912と、エンドツール920の第2ジョーの運動を制御する第2ジョー操作部913と、を含む。
【0611】
ピッチ操作部911は、ピッチ駆動軸9111と、ピッチ駆動バー9112と、ピッチ駆動プーリー9113と、を含む。ここで、ピッチ駆動軸9111は、Y軸と平行な方向に形成され、ピッチ駆動バー9112は、ピッチ駆動軸9111と連結され、ピッチ駆動軸9111と共に回転するように形成される。一方、ピッチ駆動プーリー9113は、ピッチ駆動軸9111と一体に形成され、ピッチ駆動軸9111と共に回転する。
【0612】
第1ジョー操作部912は、第1ジョー駆動軸9121と、第1ジョー駆動バー9122と、第1ジョー駆動プーリー9123と、を含む。そして、第1ジョー駆動プーリー9123には、第1ジョー駆動ワイヤ935J11が連結される。そのとき、第1ジョー駆動軸9121は、人体工学的設計によって、操作部910を把持するユーザの手構造に適するように、多様な方向に形成される。一方、第1ジョー駆動バー9122及び第1ジョー駆動プーリー9123は、第1ジョー駆動軸9121を中心に回転自在に形成される。例えば、ユーザが、第1ジョー駆動バー9122に親指を嵌め込んだ状態で、第1ジョー駆動バー9122を回転させれば、第1ジョー駆動バー9122と連結された第1ジョー駆動プーリー9123が、第1ジョー駆動軸9121を中心に回転し、かような回転力が、動力伝達部930を介して、エンドツール920に伝達され、エンドツール920の第1ジョー921が、第1ジョー駆動プーリー9123の回転方向と同一方向に左右に回転する。
【0613】
第2ジョー操作部913は、第2ジョー駆動軸9131と、第ジョー駆動バー9132と、第2ジョー駆動プーリー9133と、を含む。ここで、図面には、ピッチ駆動バー9112が延長され、第2ジョー駆動軸9131が形成されるように図示されているが、本発明の思想は、それに制限されるものではなく、ピッチ駆動バー9112と、第2ジョー駆動軸9131とが別途の部材で形成され、互いに異なる軸上に配置されることも可能である。そのとき、第2ジョー駆動軸9131は、人体工学的設計によって、操作部910を把持するユーザの手構造に適するように、多様な方向に形成される。そして、第2ジョー駆動プーリー9133には、第2ジョー駆動ワイヤ935J21が連結される。一方、第2ジョー駆動バー9132及び第2ジョー駆動プーリー9133は、第2ジョー駆動軸9131を中心に回転自在に形成される。例えば、ユーザが、第2ジョー駆動バー9132に人差し指を嵌め込んだ状態で、第2ジョー駆動バー9132を回転させれば、第2ジョー駆動バー9132と連結された第2ジョー駆動プーリー9133が、第2ジョー駆動軸9131を中心に回転し、かような回転力が、動力伝達部930を介して、エンドツール920に伝達され、エンドツール920の第2ジョー922が、第2ジョー駆動プーリー9133の回転方向と同一方向に左右に回転する。
【0614】
一方、ピッチ駆動軸9111には、第1 J2Pプーリー914a及び第1 J1Pプーリー915aが嵌め込まれ、第1 J2Pプーリー914a及び第1 J1Pプーリー915aが、ピッチ駆動軸9111を中心に回転自在に形成される。
【0615】
ここで、第1 J2Pプーリー914a、及びそれと連結された第2 J2Pプーリー914bは、第2ジョー駆動プーリー9133が回転すれば、第2ジョー駆動プーリー9133と共に回転すると同時に、ピッチ駆動プーリー9113が回転すれば、ピッチ駆動プーリー9113と共に回転する。すなわち、第1 J2Pプーリー914a及び第2 J2Pプーリー914bは、第2ジョー駆動プーリー9133の回転と、ピッチ駆動プーリー9113の回転とを共に反映するプーリーであるといえる。
【0616】
詳細には、第2ジョー駆動バー9132が回転すれば、第2ジョー駆動バー9132と連結された第2ジョー駆動プーリー9133が共に回転し、従って、それと連結された第2ジョー駆動ワイヤ935J21が移動しながら、第1 J2Pプーリー914a、及びそれと連結された第2 J2Pプーリー914bを回転させる。一方、ピッチ駆動軸9111及びピッチ駆動バー9112が、
図47の矢印P方向に回転すれば、第2ジョー駆動軸9131及び第2ジョー駆動プーリー9133も、全体的にピッチ駆動軸9111を中心に回転する。それにより、操作部910の全体的な回転によって、第2ジョー駆動ワイヤ935J21が、ピッチ駆動軸9111を中心に、
図47の矢印P方向に回転し、従って、それと連結された第1 J2Pプーリー914aも回転する。その結果として、第1 J2Pプーリー914a及び第2 J2Pプーリー914bは、第2ジョー駆動プーリー9133が回転するときも回転し、ピッチ駆動プーリー9113が回転するときも回転する。
【0617】
同様に、第1 J1Pプーリー915a、及びそれと連結された第2 J1Pプーリー915bは、第1ジョー駆動プーリー9123が回転すれば、第1ジョー駆動プーリー9123と共に回転すると同時に、ピッチ駆動プーリー9113が回転すれば、ピッチ駆動プーリー9113と共に回転する。すなわち、第1 J1Pプーリー915a及び第2 J1Pプーリー915bは、第1ジョー駆動プーリー9123の回転と、ピッチ駆動プーリー9113の回転とを共に反映するプーリーであるといえる。
【0618】
ただし、図面には、第1 J2Pプーリー914aと、第2 J2Pプーリー914bとが連結され、第2 J2Pプーリー914bと、第2差動部材932の第1入力部9321とが連結されるように図示されているが、それは、説明の便宜のためのものであり、第2 J2Pプーリー914bが省略された状態で、第1 J2Pプーリー914aと、第2差動部材932の第1入力部9321とが直に連結される構成も可能である。
【0619】
同様に、図面には、第1 J1Pプーリー915aと、第2 J1Pプーリー915bとが連結され、第2 J1Pプーリー915bと、第1差動部材931の第1入力部9311とが連結されるように図示されているが、それは、説明の便宜のためのものであり、第2 J1Pプーリー915bが省略された状態で、第1 J1Pプーリー915aと、第1差動部材931の第1入力部9311とが直に連結される構成も可能である。
【0620】
同様に、図面には、ピッチ駆動プーリー9113と、第2ピッチ駆動プーリー913bとが連結され、第2ピッチ駆動プーリー913b、並びに第1差動部材931の第2入力部9312、及び第2差動部材932の第2入力部9322が連結されるように図示されているが、それは、説明の便宜のためのものであり、第2ピッチ駆動プーリー913bが省略された状態で、ピッチ駆動プーリー9113、並びに第1差動部材931の第2入力部9312、及び第2差動部材932の第2入力部9322が直に連結される構成も可能である。
【0621】
(第9実施形態の全体動作)
以下では、前記説明を参照し、本発明の第9実施形態による手術用インストルメント900のピッチ動作、ヨー動作及びアクチュエーション動作の全体的な構成をまとめてみる。
【0622】
まず、本発明の第9実施形態による手術用インストルメント900の第1差動部材931は、第1入力部9311、第2入力部9312、出力部9313、第1差動制御部材9314、第2差動制御部材9315及び差動制御ワイヤ9316を含み、第2差動部材932は、第1入力部9321、第2入力部9322、出力部9323、第1差動制御部材9324、第2差動制御部材9325及び差動制御ワイヤ9326を含む。
【0623】
詳細には、本実施形態のエンドツール920の構成上、エンドツール920のピッチ動作、ヨー動作及びアクチュエーション動作を遂行するためには、操作部910での操作入力を、ピッチ、第1ジョー及び第2ジョーの動作に分離することができる動力伝達部930が必要である。ピッチの場合、ピッチ駆動バーの回転操作が、直にエンドツールのピッチ動作に連結される。一方、操作部の構成は、第1ジョー操作部と、第2ジョー操作部とから構成されるが、操作部の出力は、次の数式のように表現可能である。
【0624】
J1P=J1+P
J2P=J2+P
従って、かような操作部の出力を、エンドツール920に、第1ジョー及び第2ジョーの成分としてのみ伝達するために、動力伝達部では、次のような成分抽出が必要である。
【0625】
J1=J1P-P
J2=J2P-P
そのために、動力伝達部には、J1P及びPを入力され、その差であるJ1成分のみを出力する差動プーリーと、J2P及びPを入力され、その差であるJ2成分のみを出力する差動プーリーと、が必要である。
【0626】
ここで、J1Pは、J1Pプーリーの回転、J2Pは、J2Pプーリーの回転、J1は、第1ジョー駆動プーリーの回転、J2は、第2ジョー駆動プーリーの回転、Pは、ピッチ駆動プーリーの回転である。
【0627】
ここで、第1差動部材931の第1入力部9311は、第2 J1Pプーリー915bと連結され、第1ジョー駆動プーリー9123が回転するときも回転し、ピッチ駆動プーリー9113が回転するときも回転する。そして、第1差動部材931の第2入力部9312は、ピッチ駆動プーリー9113と連結され、ピッチ駆動プーリー9113が回転するとき回転する。そして、第1差動部材931の出力部9313は、第1ジョーワイヤ935J1と連結され、エンドツール920の第1ジョー921の動作を制御する。
【0628】
ここで、第2差動部材932の第1入力部9321は、第2 J2Pプーリー914bと連結され、第2ジョー駆動プーリー9133が回転するときも回転し、ピッチ駆動プーリー9113が回転するときも回転する。そして、第2差動部材932の第2入力部9322は、ピッチ駆動プーリー9113と連結され、ピッチ駆動プーリー9113が回転するとき回転する。そして、第2差動部材932の出力部9323は、第2ジョーワイヤ935J2と連結され、エンドツール920の第2ジョー922の動作を制御する。
【0629】
一方、ピッチ駆動プーリー9113は、ピッチワイヤ935Pと連結され、エンドツール920のピッチ動作を制御する。
【0630】
まず、ピッチ動作は、次の通りである。
【0631】
前述のように、ユーザが、操作部910のピッチ制御部911のピッチ駆動バー9112を手で握っている状態で、ピッチ駆動軸9111を中心に、ピッチ駆動バー9112を、
図47の矢印P方向に回転させれば、ピッチ駆動プーリー9113が、ピッチ駆動軸9111と共に回転する。それにより、ピッチ駆動プーリー9113と、ピッチワイヤ935Pを介して連結されているピッチプーリー923、及びそれと連結された第1ジョープーリー924、並びに第2ジョープーリー925、第1ジョー921及び第2ジョー922が、ピッチ回転軸920PXを中心に回転し、ピッチ動作が遂行される。
【0632】
そのとき、ピッチ駆動軸9111を中心に、第1 J2Pプーリー914a及び第1 J1Pプーリー915aがそれぞれ回転する。それにより、第2 J1Pプーリー915bと連結された第1差動部材931の第1入力部9311、及びピッチ駆動プーリー9113が連結された第1差動部材931の第2入力部9312は、それぞれ回転することになるが、第1差動部材931内で、その回転が互いに相殺されるので、第1差動部材931の出力部9313は、回転しなくなる。同様に、第2 J2Pプーリー914bと連結された第2差動部材932の第1入力部9321、及びピッチ駆動プーリー9113が連結された第2差動部材932の第2入力部9322は、それぞれ回転することになるが、第2差動部材932内で、その回転が互いに相殺されるので、第2差動部材932の出力部9323は、回転しなくなる。従って、ピッチ動作が、ヨー動作及びアクチュエーション動作とは独立して遂行されもする。
【0633】
次に、本実施形態のヨー動作及びアクチュエーション動作について説明する。
【0634】
ヨー動作のために、ユーザが、第1ジョー駆動バー9122に親指を嵌め込み、第2ジョー駆動バー9132に人差し指を嵌め込んだ状態で、第1ジョー駆動バー9122を、
図47の矢印J1方向に回転させると同時に、第2ジョー駆動バー9132を、
図39の矢印J2方向に回転させる(すなわち、第1ジョー駆動バー9122と、第2ジョー駆動バー9132とを同一方向に回転させる)。または、アクチュエーション動作のために、ユーザが、第1ジョー駆動バー9122を、
図47の矢印J1の反対方向に回転させると同時に、第2ジョー駆動バー9132を、
図47の矢印J2方向に回転させる(すなわち、第1ジョー駆動バー9122と、第2ジョー駆動バー9132とを反対方向に回転させる)。
【0635】
それにより、まず、第1ジョー駆動バー9122と連結された第1ジョー駆動プーリー9123が、第1ジョー駆動軸9121を中心に回転し、かような回転力が、第1ジョー駆動ワイヤ935J11を介して、第1 J1Pプーリー915a、及びそれと連結された第2 J1Pプーリー915bに伝達され、第2 J1Pプーリー915bが回転する。そして、第2 J1Pプーリー915bが回転すれば、それと連結された第1差動部材931の第1入力部9311、及びそれと連結された第1差動部材931の出力部9313が回転する。
【0636】
それと同時に、第2ジョー駆動バー9132と連結された第2ジョー駆動プーリー9133が、第2ジョー駆動軸9131を中心に回転し、かような回転力が、第2ジョー駆動ワイヤ935J21を介して、第1 J2Pプーリー914a、及びそれと連結された第2 J2Pプーリー914bに伝達され、第2 J2Pプーリー914bが回転する。そして、第2 J2Pプーリー914bが回転すれば、それと連結された第2差動部材932の第1入力部9321、及びそれと連結された第2差動部材932の出力部9323が回転する。
【0637】
一方、前述のように、第1 J2Pプーリー914a、及びそれと連結された第2 J2Pプーリー914bは、第2ジョー駆動プーリー9133が回転すれば、第2ジョー駆動プーリー9133と共に回転し、ピッチ駆動プーリー9113が回転すれば、ピッチ駆動プーリー9113と共に回転する。一方、第1 J1Pプーリー915a、及びそれと連結された第2 J1Pプーリー915bは、第1ジョー駆動プーリー9123が回転すれば、第1ジョー駆動プーリー9123と共に回転し、ピッチ駆動プーリー9113が回転すれば、ピッチ駆動プーリー9113と共に回転する。
【0638】
その結果として、第1差動部材931の2つの入力部に、それぞれ第2 J1Pプーリー915bと、ピッチ駆動プーリー9113とを連結すれば、ピッチ駆動プーリー9113の回転と、第1ジョー駆動プーリー9123の回転とから、純粋な第1ジョー921の動作制御成分のみを抽出することができる。
【0639】
同一の方法で、第2差動部材932の2つの入力部に、それぞれ第2 J2Pプーリー914bと、ピッチ駆動プーリー9113とを連結すれば、ピッチ駆動プーリー9113の回転と、第2ジョー駆動プーリー9133の回転とから、純粋な第2ジョー922の動作制御成分のみを抽出することができる。
【0640】
その結果として、ヨー動作を遂行するために、第1ジョー駆動バー9122を、
図47の矢印J1方向に回転させると同時に、第2ジョー駆動バー9132を、
図47の矢印J2方向に回転させれば、第1 J2Pプーリー914a、及びそれと連結された第2 J2Pプーリー914bは、
図47において、反時計回りに回転し、第1 J1Pプーリー915a、及びそれと連結された第2 J1Pプーリー915bは、
図47において、反時計回りに回転する。それにより、第2 J1Pプーリー915bと連結された第1差動部材931の第1入力部9311は、反時計回りに回転し、従って、第1差動部材931の出力部9313が、反時計回りに回転しながら、出力部9313に連結された第1ジョーワイヤ935J1、第1ジョーワイヤ935J1と連結された第1ジョープーリー924、及び第1ジョープーリー924と連結された第1ジョー921が、ジョー回転軸920JXを中心に、反時計回りに回転する。同様に、第2 J2Pプーリー914bと連結された第2差動部材932の第1入力部9321は、反時計回りに回転し、従って、第2差動部材932の出力部9323が、反時計回りに回転しながら、出力部9323に連結された第2ジョーワイヤ935J2、第2ジョーワイヤ935J2と連結された第2ジョープーリー925、及び第2ジョープーリー925と連結された第2ジョー922が、ジョー回転軸920JXを中心に、反時計回りに回転する。このように、第1ジョー921及び第2ジョー922が、同一方向に回転しながら動作が遂行される。
【0641】
同じ方法で、アクチュエーション動作を遂行するために、第1ジョー駆動バー9122を、
図47の矢印J1の反対方向に回転させると同時に、第2ジョー駆動バー9132を、
図47の矢印J2方向に回転させれば、第1 J2Pプーリー914a、及びそれと連結された第2 J2Pプーリー914bは、
図47において、反時計回りに回転し、第1 J1Pプーリー915a、及びそれと連結された第2 J1Pプーリー915bは、
図47において、時計回りに回転する。それにより、第2 J1Pプーリー915bと連結された第1差動部材931の第1入力部9311は、時計回りに回転し、従って、第1差動部材931の出力部9313が、時計回りに回転しながら、出力部9313に連結された第1ジョーワイヤ935J1、第1ジョーワイヤ935J1と連結された第1ジョープーリー924、及び第1ジョープーリー924と連結された第1ジョー921が、ジョー回転軸920JXを中心に、時計回りに回転する。同様に、第2 J2Pプーリー914bと連結された第2差動部材932の第1入力部9321は、反時計回りに回転し、従って、第2差動部材9322の出力部9323が、反時計回りに回転しながら、出力部9323に連結された第2ジョーワイヤ935J2、第2ジョーワイヤ935J2と連結された第2ジョープーリー925、及び第2ジョープーリー925と連結された第2ジョー922が、ジョー回転軸920JXを中心に、反時計回りに回転する。このように、第1ジョー921及び第2ジョー922が互いに反対方向に回転しながらアクチュエーション動作が遂行される。
【0642】
かような本発明によって、第1ジョー駆動プーリー9123及び第2ジョー駆動プーリー9133それぞれの回転から、エンドツールのヨー動作及びアクチュエーション動作が抽出されることが可能になる。
【0643】
かような本発明によって、ピッチ駆動プーリー9113、第1ジョー駆動プーリー9123及び第2ジョー駆動プーリー9133それぞれの回転から、エンドツールのピッチ動作、第1ジョーの回転動作及び第2ジョーの回転動作が抽出されることが可能になるのであり、それは、操作部のピッチ操作、ヨー操作及びアクチュエーション操作が同時に生じたり、あるいはそうではないとしても、エンドツールのピッチ、第1ジョー及び第2ジョーの各動作成分に独立して分離される。
【0644】
前述の本発明の第9実施形態による手術用インストルメント900には、
図3Aなどで記述した多様な操作部の構成、
図4A及び
図15~
図27で記述した多様な動力伝達部の構成、及び
図7~
図14で記述した多様な変形例が互いに組み合わさり、多様に適用可能である。
【0645】
本明細書では、本発明について、限定された実施形態を中心に説明したが、本発明の範囲内で、多様な実施形態が可能である。また説明していないにしても、均等な手段もまた、本発明にそのまま結合されるものといえる。従って、本発明の真正な保護範囲は、特許請求の範囲によって決められるものである。
【産業上の利用可能性】
【0646】
本発明は、手術用インストルメントに係わり、詳細には、腹腔鏡手術またはさまざまな多様な手術に使用するために、手動で作動可能な手術用インストルメントに利用される。