(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-04
(45)【発行日】2023-09-12
(54)【発明の名称】媒体処理装置および媒体処理方法
(51)【国際特許分類】
B65H 7/14 20060101AFI20230905BHJP
【FI】
B65H7/14
(21)【出願番号】P 2022003148
(22)【出願日】2022-01-12
【審査請求日】2022-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(72)【発明者】
【氏名】木村 康則
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-135181(JP,A)
【文献】特開2010-064842(JP,A)
【文献】特開2020-191502(JP,A)
【文献】特開2012-206353(JP,A)
【文献】特開2021-063931(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/00- 3/68
B65H 7/00- 7/20
B65H 11/00-11/02
B65H 43/00-43/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面状の処理対象媒体が載せられる載置台と、
この載置台に載せられた処理対象媒体を取り込んで所定の処理を施す処理装置と、
前記載置台上の前記処理対象媒体の画像を撮影する撮影部と、
この撮影部が取り込んだ画像から前記載置台上の処理対象媒体が前記載置台上で取り込み方向に沿う所定位置にあるか否かと載置台と交差する方向に沿う所定位置にあるか否かとの少なくともいずれかを判定する判定部と、
を有し、
前記判定部は、前記撮影部が取り込んだ画像と前記処理対象媒体についての基準画像との比較により前記判定を行うものであって、
前記処理対象媒体が平面状であるか否かによって、前記処理対象媒体における載置台の上方への折れ癖の有無を判定し、
折れ癖がないと判定した場合に、さらに、取り込んだ画像に前記基準画像と人体の一部とが含まれているか否かを判定する、
媒体処理装置。
【請求項2】
前記処理装置は、取り込まれた処理対象媒体へ印刷を行うプリンタである、
請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項3】
前記判定部の判定結果を利用者に報知する報知部を有する、
請求項1または2のいずれか1項に記載の媒体処理装置。
【請求項4】
処理装置に取り込まれるべき平面状の処理対象媒体が載せられる載置台上の画像を撮影する工程と、
判定部が、撮影された画像と、前記載置台上の処理対象媒体の
基準画像とを比較する工程と、
判定部が、前記画像の比較から、前記載置台上の処理対象媒体が前記載置台上で取り込み方向に沿う所定位置にあるか否かと載置台と交差する方向に沿う所定位置にあるかとの少なくともいずれかを判定する工程と、
判定部が、この判定結果を利用者に報知
する命令を発する工程と、
を有し、
前記判定部は、前記処理対象媒体が平面状であるか否かによって、前記処理対象媒体における載置台の上方への折れ癖の有無を判定し、
折れ癖がないと判定した場合に、さらに、取り込んだ画像に前記基準画像と人体の一部とが含まれているか否かを判定する、
媒体処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体処理装置および媒体処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
銀行等の金融機関にあっては、取引に際し、処理対象の媒体としての通帳に取引結果等のデータを印刷する処理が行われることがあり、この種の処理のため、プリンタ等の処理装置の所定位置に前記通帳等の処理対象媒体をセットする操作が行われる。
この処理対象媒体をセットする操作に際し、例えば、銀行のテラー等の操作者が通帳伝票プリンタ(媒体処理装置)のセット部(載置台)に処理対象媒体をセットした後、そのまま載置台上に押さえ込んだ状態が続いた場合、装置内部へ媒体を取り込む媒体搬送ローラがスリップして媒体を正常に吸入することができない障害、あるいは、処理対象媒体が斜行した状態で取り込まれる障害、さらには、媒体の破損、媒体への搬送ローラースリップ痕による汚れの付着等の障害が発生することがあり得る。
【0003】
この障害への対策として、特許文献1が提案されている。
この特許文献1にあっては、プリンタの媒体挿入部の底面(処理対象媒体が置かれる載置台等の上面)に圧力センサを設けて、オペレータ(操作者)が処理対象媒体を押さえている力を検出し、操作者が処理対象媒体から手を離して前記圧力センサが圧力(媒体を押さえる力)を検出しなくなったタイミングで媒体の取り込みを開始する制御により、取り込みに伴う障害の発生を防止することが行われている。
【0004】
また特許文献2にあっては、通帳挿入部に置かれた通帳の画像から操作者が通帳に手を触れているか否かを判定し、手を触れていないことを条件として取り込みを開始する制御により、取り込みに伴う障害の発生を防止することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平10-162203号公報
【文献】特開2019-135181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された装置にあっては、下記のような解決すべき課題がある。
課題1
オペレータが通帳伝票プリンタの装置に媒体をセットすべく処理の位置に媒体を押さえ込んだ状態が続いた場合、装置内へ媒体を取り込むための媒体搬送ローラが媒体の表面でスリップすると、媒体を正常に吸入することができず、媒体が斜行した状態で吸入し、張力によって媒体を破損し、搬送ローラのスリップに伴う痕の付着により媒体を汚す等の不具合が発生する。
しかしながら、特許文献1に記載の装置にあっては、オペレータが媒体を摘まんだ状態でプリンタに挿入セットした場合は、挿入部底面に圧力が掛からないため媒体押さえ(摘まんだままの状態)を検出することができないため媒体搬送不良を防止することができない。
【0007】
課題2
オペレータが通帳伝票プリンタの媒体セット部に媒体を挿入し過ぎた場合は、プリンタ内部の奥に設けられた搬送ローラと媒体との干渉に起因する媒体搬送不良が発生することがある。例えば、媒体を挿入し過ぎた状態を光センサなどで検出できた場合は、搬送不良を防ぐため媒体を一度強制排出し、媒体の再セットをオペレータに要求することが必要となる。
しかしながら、オペレータには、この媒体排出の原因が分からないため、適切な対応をすることができないままに再度挿入操作を行い、媒体の強制排出が繰り返されることがあり、装置の保守会社への無用な苦情や修理処理に到ることがある。
【0008】
課題3
通帳のような冊子状の媒体にあっては、印刷等の処理をすべく頁を開いた状態で装置に挿入することが必要となるが、一般に新しい通帳は、長期の保管等によって非常に強い折り癖が付いた状態となっている。この強い折り癖のついた通帳を開いてプリンタに挿入すると、折り癖によって曲がった状態で搬送されるため、搬送不良が発生し易い。そのため新しい通帳の場合は、オペレータがいわゆる背折り(通帳を開き、表表紙と裏表紙が近づくように通常時と逆向きに反らせる)操作を行って折り癖を無くし、できるたけ平面に近い状態とすることが必要となる。すなわち、オペレータの熟練度合に依存する前処理が必要であるため、折り癖の解消度合が不足し、あるいは、前記背折りを行わないオペレータの使用により取り込み不良が発生することがあり得る。
【0009】
また、特許文献2に記載された構成にあっては、オペレータの手という多様な態様の画像を処理すべく多くの画像データを処理することが必要であるとともに、取り込まれた画像に操作者の手の映像が含まれていない状態(通帳のみの画像)の場合には、依然として前記課題1~3を解決することができない。
【0010】
この発明は、処理対象媒体の取り込み不良を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の第1態様にかかる媒体処理装置は、平面状の処理対象媒体が載せられる載置台と、この載置台に載せられた処理対象媒体を取り込んで所定の処理を施す処理装置と、前記載置台上の前記処理対象媒体の画像を撮影する撮影部と、この撮影部が取り込んだ画像から前記載置台上の処理対象媒体が前記載置台上で取り込み方向に沿う所定位置にあるか否かと載置台と交差する方向に沿う所定位置にあるか否かとの少なくともいずれかを判定する判定部とを有する。
【0012】
本発明の第2態様にかかる媒体処理方法は、処理装置に取り込まれるべき平面状の処理対象媒体が載せられる載置台上の画像を撮影する工程と、撮影された画像と、前記載置台上の処理対象媒体の画像とを比較する工程と、前記画像の比較から、前記載置台上の処理対象媒体が前記載置台上で取り込み方向に沿う所定位置にあるか否かと載置台と交差する方向に沿う所定位置にあるかとの少なくともいずれかを判定する工程と、この判定結果を利用者に報知する工程とを有する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、処理装置に取り込まれる処理対象媒体の取り込み不良を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明にかかる媒体処理装置の最小構成例を示す斜視図である。
【
図2】本発明にかかる媒体処理方法の最小構成例を示すフローチャートである。
【
図3】本発明の一実施形態の全体の構成を示す斜視図である。
【
図4】一実施形態の処理装置の内部の構成の概要を示す断面図である。
【
図5】一実施形態における処理対象媒体の取り込み始めの状態と、さらに取り込んだ状態とを示す斜視図である。
【
図6】一実施形態における処理対象媒体の取り込み状態例を示す斜視図である。
【
図7】一実施形態の媒体処理装置の制御ステップを示すフローチャートである。
【
図8】一実施形態における処理対象媒体の挿入操作を示す斜視図である。
【
図9】一実施形態の処理装置で処理される処理対象媒体の一態様を示す斜視図である。
【
図10】一実施形態の処理装置で処理される処理対象媒体の他の態様を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の最小構成例について
図1を参照して説明する。
この媒体処理装置1は、平面状の処理対象媒体2が載せられる載置台3と、この載置台3に載せられた処理対象媒体2を取り込んで所定の処理を施す処理装置4と、前記載置台3上の前記処理対象媒体2の画像を撮影する撮影部5と、この撮影部5が取り込んだ画像から前記載置台3上の処理対象媒体2が前記載置台3上で取り込み方向に沿う所定位置にあるか否かと載置台3と交差する方向に沿う所定位置にあるか否かとの少なくともいずれかを判定する判定部6とを有する。
【0016】
上記の構成によれば、前記撮影部5が取得した載置台3上の処理対象媒体2の画像データから、例えば、処理対象媒体2を載置台3の正規の位置(処理装置への正常に取り込みが可能な位置)に所定の平面状に伸展させた状態(折りクセのない状態)で置いた際に得られる画像データを基準の画像として、取り込み方向への位置、載置台3の上面に沿って置かれた上下方向への位置が所定の範囲内にあるか否かを判定することができる。
【0017】
本発明の第2態様にかかる媒体処理方法の最小構成例について
図2を参照して説明する。
この方法は、処理装置4に取り込まれるべき平面状の処理対象媒体2が載せられる載置台3上の画像を撮影する工程SP1と、撮影された画像と、前記載置台3上の処理対象媒体2の画像とを比較する工程SP2と、前記画像の比較から、前記載置台3上の処理対象媒2体が前記載置台3上で取り込み方向に沿う所定位置にあるか否かと載置台3と交差する方向に沿う所定位置にあるかとの少なくともいずれかを判定する工程SP3と、この判定結果を利用者に報知する工程SP4とを有する。
【0018】
上記の構成によれば、前記載置台3上に置かれた処理対象媒体2の画像を撮影部5が取得し、この画像データから、例えば、処理対象媒体2を載置台3の正規の位置(処理装置への正常に取り込みが可能な位置)に所定の平面状に伸展させた状態(折りクセのない状態)で置いた際に得られる画像データを基準の画像として、取り込み方向への位置、載置台3の上面に沿って置かれた上下方向への位置が所定の範囲内にあるか否かを判定、この判定結果を利用者に報知することにより、処理対象媒体2を正常な位置に置いて取り込みを行うことができる。
【0019】
図3~
図11を参照して本発明の一実施形態を説明する。なお
図3~
図11において、
図1を共通の構成には同一符号を付し、説明を簡略化する。
媒体処理装置10は、例えば通帳や伝票類である処理対象媒体20が載せられる載置台30を備える処理装置40と、前記載置台30上の処理対象媒体20が置かれる領域の画像を撮影する撮影部50と、これら処理装置40、撮影部50を制御するとともに、前記撮影部50が撮影した画像を解析する制御部としてのコンピュータ60と、このコンピュータ60との通信により得られた所定の情報を表示する表示部70とを主要な構成とする。撮影部50は、処理装置40へ向けられた専用のカメラを使用しても、例えば、処理装置40が設置される金融機関等の防犯カメラであって、処理装置40の載置台30が画角に収まるものにより撮影された画像を使用しても良い。
【0020】
前記処理装置40は、
図4に示すように、それぞれ上下一対の配置された搬送ローラ41、42、43を有する。一実施形態にあっては、これら搬送ローラ41、42,43は、前記載置台30の上面に沿う平面Hに沿って配置されている。また上下に対をなして配置された搬送ローラ41、42、43は、例えば、搬送(移動)と停止との切り替え、紙詰まりの除去等の必要に応じて、対をなす少なくとも一方を上下に移動させることにより、接触もしくは離間可能とされている。また、処理対象媒体20に引っ張り力(もしくは推進力)を与えるべく、少なくも、最も上流の搬送ローラ41と最も下流の搬送ローラ43とは、上下のいずれかが図示しない駆動モータに連結されている。
【0021】
最も上流に配置された搬送ローラ41とこれに続く搬送ローラ42との間には、前記搬送ローラ41によって処理対象媒体20が取り込まれたことを検出する媒体検知センサ44が配置されている。図示例の媒体検知センサ44は、前記平面Hと交差する(平面H上の処理対象媒体20と交差する)方向への光線の透過の有無により処理対象媒体20の取り込み、通過を検知する透過式光学センサが用いられるが、他のセンサ、例えば、処理対象媒体20で反射した光線を検知する反射式光学センサ、処理対象媒体20との接触により機械的に動作するマイクロスイッチ等を使用しても良い。
【0022】
前記搬送ローラ42とこれに続く搬送ローラ43との間には、前記処理対象媒体20へ文字等を印刷する印字ヘッド45が配置されている。この印字ヘッド45は、前記コンピュータ60により制御されて、前記処理対象媒体20の表面に印字を施す。なお処理装置40の機能に応じて、前記印字ヘッド45に加えて、あるいはこれに代えて、処理対象媒体20の表面から光学情報を読み取るスキャナー、磁気情報を読み取る磁気センサを設けても良い。
【0023】
なお前記処理対象媒体20としての通帳は、
図9に示すように、表表紙20aと裏表紙20bとが重なるように二つ折りにした状態で保管され、使用の際(プリンタ等の処理装置により所定の処理を施す際)、例えば、
図10に示すように、保管状態とは反対向きに、表表紙20a、裏表紙20bの裏側の印字面20cを表向きして逆に折り畳んで保管状態での折れ癖を修正した後、できるだけ平面に近い状態に戻した上で載置台30上にセットされる。
【0024】
次に
図3、
図7を参照して一実施形態の動作およびこの動作に伴ってコンピュータ60がプログラムに従って実行する制御の流れを説明する。
SP10
コンピュータ電源の投入、業務の開始等の条件で制御を開始する。
SP11
上位制御部であるコンピュータ60から処理装置40が処理命令を受け取る。
SP12
コンピュータ60は、撮影部50により撮影された画像から、載置台30周辺の画像を解析し、載置台30上に処理対象媒体2が載せられて処理装置40に挿入されるか(搬送ローラ41の間に挿入されて取り込みお可能か)を監視する。具体的には、
図5(a)に示すように、載置台30に載せられた処理対象媒体2の画像から、載置台30上に突出していて、搬送方向に沿う方向への長さがLaに達したかを判断する。なお長さLaは、処理対象媒体2の先端が上下の搬送ローラ41の接点に相当する位置に達した状態で処理装置40の外部から視覚的に認識することができる長さである。また、画像解析に代えて、あるいは併用して、媒体検知センサ44により処理対象媒体20の先端が検出されたこと(先端によって媒体検知センサ44の光が遮断されたこと)を条件として、処理対象媒体2が取り込まれたと判断しても良い。
【0025】
SP13
処理対象媒体2が挿入されたと判断することを条件として次のステップSP14へ進む。判挿入されたと判断されない場合は、前記ステップSP12に戻って印字対象媒体2の挿入の監視を継続する。
SP14
撮影部50により撮影された画像を解析し、載置台30上の処理対象媒体2の上に操作者の手の画像が含まれているか否か等を判断する。
SP15
画像解析の結果から、処理対象媒体2が操作者の手で押さえられているか否か判断し、押さえられていないことを条件に次のステップSP16に進む。処理対象媒体2が手で押さえられていると判断した場合には、ステップ30へ進み、表示装置70に「手を離して下さい」等のガイダンスを表示する。なお画像表示のみならず、音声による警告や、表示装置70とは別に設けられた警告用のLED等を発光させても良い。
【0026】
SP16
撮影部50が撮影した画像の解析から、媒体挿入状況を監視する。具体的には、
図5(a)に示すように、正常に載置台30上の取り込み可能な位置に載せられた場合の突出長さLaが観察されるかを判断する。
SP17
突出長さが正常な長さLaであるか否かを判断し、正常な長さLaであることを条件としてステップSP18へ進む。正常な長さLaではなく、
図5(b)に示すように、処理対象媒体2が過剰に挿入されて、載置台30上へ突出する長さLbが短い場合には、ステップSP31へ進み、表示装置70に「媒体セット位置を手前に修正して下さい」等のガイダンスを表示する。なお画像表示のみならず、音声による警告や、表示装置70とは別に設けられた警告用のLED等を発光させても良い。載置台30上で撮影される処理対象媒体20の画像から前記長さLa、Lbを算出する処理は、例えば撮影部30が載置台30の直上位置にある場合、載置台30に対して斜め方向にある場合等、撮影部30と載置台30との位置関係、撮影部30を構成するカメラの光学系の収差等の既知の諸元に基づいて幾何学的に算出することができる。
SP18
撮影部50が撮影した画像の解析から、媒体の折れ状況を監視する。具体的には、
図6に示すように、処理対象媒体2が折れているか否かを判断する。例えば処理対処媒体2が預金通帳の場合、二つ折りの冊子状に構成されているため、特に使用開始から間もない折れ癖が強い場合には、
図5(a)に示すように載置台30上で一旦延ばされて平面状とされている場合であっても、折れ癖に起因して
図6に示すように後の半分(二つ折りにした冊子の半分である裏表紙20b)が載置台30から立ち上がった状態となることがある。前記画像解析にあっては、本来、載置台30と同じ高さに検出されるべき処理対象媒体2の画像が載置台30の面と交差する方向(具体的には上方)に離れた位置に検出されること等により処理対象媒体2の折れを判定することができる。
【0027】
SP19
折れ癖がないと判断したことを条件として次のステップSP20へ進む。折れ癖がある(載置台30上で所定のしきい値となる高さより上で処理対象媒体2の画像が判断されることをいう)と判断した場合には、ステップ32へ進み、表示装置70に「折れ癖を修正して下さい」等のガイダンスを表示する。なお画像表示のみならず、音声による警告や、表示装置70とは別に設けられた警告用のLED等を発光させても良い。
SP20
前記ステップSP15、SP17、SP19の判断がいずれも正常(印刷可能な状態)であったことから、搬送ローラ41、42によって処理対象媒体2を印字ヘッド45の下方位置へ送り、コンピュータ60の制御によって所定のデータを処理対象媒体2への印刷を開始する。
SP21
印刷と並行して、載置台30上の処理対象媒体2の画像の監視を継続し、載置台30上に操作者の手が存在している(処理対象媒体2が押さえ付けられている)か否かを判定する。
【0028】
SP22
処理対象媒体2が手で押さえられていないと判断したことを条件として印刷を継続し、印刷の開始に伴って回転していた搬送ローラ43により、印刷が終了した処理対象媒体2を処理装置40の右方向へ送り出す。処理対象媒体2が手で押さえられていると判断した場合には、ステップ33へ進み、表示装置70に「手を離して下さい」等のガイダンスを表示する。なお画像表示のみならず、音声による警告や、表示装置70とは別に設けられた警告用のLED等を発光させても良い。すなわち、搬送ローラ41、42、43によって正しい向き(処理対象媒体2の前縁に対して直角な向きに)に搬送されるべき処理対象媒体2が手で押さえられることによって搬送ローラ41、42、43とスリップし、あるいは、搬送方向が正規の向きに対して斜めになったりする現象の原因となる無用な押し付け状態を解消すべく、ガイダンスを表示する。
【0029】
SP23
手が存在しないと判断した場合には、印刷を継続し、印字ヘッド45によって印字が施された処理対象媒体20を搬送ローラ43によって装置外へ送り出す。なお
図4の例にあっては、図中右方へそのまま処理対象媒体20を送り出すが、装置の操作性を考慮して、装置内で処理対象媒体20を反転させながら装置の左方へ搬送方向を変え、図中左方の操作者へ向けて搬送しても良い。
SP24
装置外へ処理対象媒体20を排出することにより、処理が終了する。
【0030】
上記構成により一実施形態によれば、下記の効果を得ることができる。
監視カメラ等から得られた映像を分析し、プリンタの制御にフィードバックすることにより、
・オペレータが処理対象媒体20を載置台30上に押さえ込んだ場合の他、処理対象媒体20をオペレータが摘まんだままの取り込み困難な状態で処理装置40に挿入した場合
・処理対象媒体20を処理装置40に過剰な長さにわたって挿入し過ぎた場合
・処理対象媒体20としての通帳の折り癖が解消されていない場合
・媒体排出時に処理対象媒体20がオペレータの手に衝突しそうな場合
を検出し、媒体搬送を停止すると同時に、オペレータに注意喚起することが可能となる。
【0031】
なお、載置台30付近のみならず、処理装置40の媒体排出口付近の画像をさらに画像解析に利用すれば、装置から排出されようとする処理対象媒体に手が添えられている状況であっても、オペレータへ注意喚起することによって、排出不良に起因する印字不良を防止することができる。
また、従来オペレータは、媒体搬送不良の原因を知ることが難しいため、搬送不良に関してプリンタ保守窓口へのクレーム申し入れや、プリンタ故障として無用な修理処置となっていたが、本発明により解消することが可能となる。
【0032】
処理装置はプリンタに限定されるものではなく、処理対象媒体へ処理の処理を施す複写機、スキャナー等の装置であっても良い。
載置台の配置、処理装置内における処理対象媒体の搬送経路(搬送ローラの配置)は、処理装置の使用条件、機能に応じて適宜変更しても良いのはもちろんである。
【0033】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、プリンタ、複写機、スキャナ-等の媒体処理装置および媒体処理方法に関する。
【符号の説明】
【0035】
1、10 媒体処理装置
2、20 処理対象媒体
20a 表表紙
20b 裏表紙
20c 印字面
3、30 載置台
4、40 処理装置
41、42、43 搬送ローラ
44 媒体検知センサ
45 印字ヘッド(処理部)
5、50 撮影部
6 判定部
60 コンピュータ
70 表示装置