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特許7343222搬送試験媒体、搬送試験システム、及び搬送試験方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-04
(45)【発行日】2023-09-12
(54)【発明の名称】搬送試験媒体、搬送試験システム、及び搬送試験方法
(51)【国際特許分類】
   G01M 99/00 20110101AFI20230905BHJP
   B65G 43/08 20060101ALI20230905BHJP
【FI】
G01M99/00 Z
B65G43/08 E
B65G43/08 F
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022017766
(22)【出願日】2022-02-08
(65)【公開番号】P2023115517
(43)【公開日】2023-08-21
【審査請求日】2022-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(72)【発明者】
【氏名】名取 香
【審査官】目黒 大地
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-112855(JP,A)
【文献】特開2017-156236(JP,A)
【文献】国際公開第2016/147714(WO,A1)
【文献】特開2020-027095(JP,A)
【文献】特開2001-325333(JP,A)
【文献】特開2011-178413(JP,A)
【文献】特開平08-062238(JP,A)
【文献】特開平08-062240(JP,A)
【文献】特開2010-002181(JP,A)
【文献】特開2009-265076(JP,A)
【文献】特開2003-206030(JP,A)
【文献】特開2001-199475(JP,A)
【文献】特開2002-243755(JP,A)
【文献】特開2008-265823(JP,A)
【文献】特開2009-036782(JP,A)
【文献】特開平09-020419(JP,A)
【文献】特開2020-142928(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M13/00-13/045、99/00
B65G 1/00-69/34
G01P15/00-15/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送経路に沿って搬送される搬送媒体と、
前記搬送媒体に設けられ、前記搬送媒体の損傷度を計測する損傷度計測部と、を備え、
前記損傷度計測部は、前記搬送媒体の外表面若しくは外表面の近傍に設けられ、
前記搬送媒体は、板状若しくはシート状に形成され、
前記損傷度計測部は、前記搬送媒体の外周縁に沿って環状に連なって延設されている配線パターンを有し、前記配線パターンの断線の有無で前記搬送媒体の損傷度を計測する、搬送試験媒体。
【請求項2】
前記搬送媒体に設けられ、少なくとも前記損傷度計測部の計測結果を記録する記録部を備える、請求項1に記載の搬送試験媒体。
【請求項3】
前記搬送媒体に設けられ、少なくとも前記損傷度計測部の計測結果を外部装置に送信する通信部を備える、請求項1または2に記載の搬送試験媒体。
【請求項4】
前記搬送媒体に設けられ、前記搬送経路における前記搬送媒体の速度を計測する速度計測部を備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の搬送試験媒体。
【請求項5】
前記搬送媒体に設けられ、前記搬送経路における前記搬送媒体の位置を計測する位置計測部を備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の搬送試験媒体。
【請求項6】
前記搬送媒体に設けられ、前記搬送媒体から前記搬送経路内を撮像する撮像部を備える、請求項1~5のいずれか一項に記載の搬送試験媒体。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の搬送試験媒体と、
前記搬送試験媒体を搬送する搬送経路を有する搬送装置と、
前記搬送試験媒体から計測結果を受信する端末装置と、を備える、搬送試験システム。
【請求項8】
請求項1~6のいずれか一項に記載の搬送試験媒体を、搬送経路に単数もしくは複数搬送させ、前記搬送経路上の搬送阻害要因から受ける損傷度及び前記搬送試験媒体同士の干渉の少なくともいずれか一方を計測する、搬送試験方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送試験媒体、搬送試験システム、及び搬送試験方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、カプセル型撮影装置が流体とともにプラントの配管内を移動して配管内を撮影することにより、配管の内部を検査する配管内部検査システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-32154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、硬貨、紙幣、乗車券や、集荷した果実、野菜などを搬送する装置では、搬送対象物が損傷しないように搬送経路を設計する必要がある。しかしながら、搬送経路上の軽微な搬送阻害要因は、搬送対象物に撮影装置を取り付けても検出が難しい。このため、搬送対象物が搬送経路から受けるダメージの有無は目視による確認に頼らざるを得ない状況である。
【0005】
本発明の目的は、上記の課題を解決する搬送試験媒体、搬送試験システム、及び搬送試験方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明に示される搬送試験媒体は、搬送経路に沿って搬送される搬送媒体と、前記搬送媒体に設けられ、前記搬送媒体の損傷度を計測する損傷度計測部と、を備える。
【0007】
また、本発明に示される搬送試験システムは、上記搬送試験媒体と、前記搬送試験媒体を搬送する搬送経路を有する搬送装置と、前記搬送試験媒体から計測結果を受信する端末装置と、を備える。
【0008】
また、本発明に示される搬送試験方法は、上記搬送試験媒体を、搬送経路に単数もしくは複数搬送させ、前記搬送経路上の搬送阻害要因から受ける損傷度及び前記搬送試験媒体同士の干渉の少なくともいずれか一方を計測する。
【発明の効果】
【0009】
上記本発明によれば、搬送経路上で搬送対象物が受けるダメージを検査することができる搬送試験媒体、搬送試験システム、及び搬送試験方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の最小構成例にかかる搬送試験媒体の構成図である。
図2】第1実施形態にかかる搬送試験媒体の構成図である。
図3】第1実施形態にかかる搬送装置の搬送阻害要因を説明する説明図である。
図4】第1実施形態の一変形例にかかる搬送試験媒体の構成図である。
図5】第1実施形態の一変形例にかかる搬送装置の搬送阻害要因を説明する説明図である。
図6】第2実施形態にかかる搬送試験媒体の構成図である。
図7】第2実施形態にかかる搬送装置の搬送阻害要因を説明する説明図である。
図8】第2実施形態の一変形例にかかる搬送試験媒体の構成図である。
図9】第2実施形態の一変形例にかかる搬送装置の搬送阻害要因を説明する説明図である。
図10】第2実施形態の一変形例にかかる搬送装置の断面構成図である。
図11】第3実施形態にかかる搬送試験システムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の最小構成例について図1を参照して説明する。
図1は、本発明の最小構成例にかかる搬送試験媒体10の構成図である。
図1に示すように、搬送試験媒体10は、図示しない搬送経路に沿って搬送される搬送媒体10Aと、搬送媒体10Aに設けられ、搬送媒体10Aの損傷度を計測する損傷度計測部1と、を備えている。
【0012】
搬送媒体10Aは、硬貨、紙幣、乗車券や、集荷した果実や野菜などの搬送対象物を模擬した形状を有する。図1に示す搬送媒体10Aは、紙幣や乗車券などを模擬しており、矩形のシート状に形成されている。なお、搬送媒体10Aは、硬貨を模擬する場合、円板状であってもよい。また、搬送媒体10Aは、果実や野菜などを模擬する場合、球状であってもよい。
【0013】
損傷度計測部1は、搬送媒体10Aが受ける損傷度(ダメージ値)を計測する。損傷度とは、搬送媒体10Aに形状として残るダメージ(変形、キズ、へこみ、欠損、折れ、めくれ、破れなど外観に表れる外部損傷によるものや、搬送対象物の価値を低下される内部損傷によるものを含む)と、搬送媒体10Aに形状として残らないが、搬送媒体10Aが受けたダメージ(圧力や衝撃等)を数値化したものである。損傷度計測部1は、搬送媒体10Aの表層面の衝撃、接触や干渉などのダメージを検出するため、好ましくはフィルムタイプ(素子タイプでもよい)の圧力センサや衝撃センサであり、搬送媒体10Aが受ける衝撃や接触のレベル(度合い)を検出する。
【0014】
なお、搬送媒体10Aの破損の有無などを計測する場合、損傷度計測部1は所定の配線パターンで形成されていてもよい。例えば、搬送媒体10Aが破れ、配線パターンが断線した場合、配線パターンに通電しても出力は0ないしLowになる。対して、配線パターンが断線して無い場合、配線パターンに通電すると出力は1ないしHighになる。これにより、搬送媒体10Aの破損の有無(損傷度)を計測することができる。
【0015】
また、搬送媒体10Aが受けた衝撃などを計測する場合、損傷度計測部1は歪ゲージであってもよい。例えば、搬送媒体10Aが搬送経路上の搬送阻害要因と衝突して曲げられた場合、その曲げ(歪)に応じた電気信号を、歪ゲージが出力する。これにより、搬送媒体10Aが受けた衝撃の強さ(損傷度)を計測することができる。なお、搬送試験媒体10の搬送前と搬送後で、歪ゲージが異なる値を示した場合、搬送試験媒体10が外観に表れない内部損傷などを受けていることを検出することができる。
【0016】
このように、上記最小構成にかかる搬送試験媒体10によれば、搬送経路上で搬送対象物が受けるダメージの有無を検査することができる。
【0017】
また、最小構成にかかる搬送試験システムは、上記搬送試験媒体10と、搬送試験媒体10を搬送する搬送経路を有する搬送装置と、搬送試験媒体10から計測結果を受信する端末装置と、を備える。このため、搬送経路上で搬送対象物が受けるダメージの有無を検査することができる。
【0018】
また、最小構成にかかる搬送試験方法は、上記搬送試験媒体を、搬送経路に単数もしくは複数搬送させ、前記搬送経路上の搬送阻害要因から受ける損傷度及び前記搬送試験媒体同士の干渉の少なくともいずれか一方を計測する。このため、搬送経路上で搬送対象物が受けるダメージの有無を検査することができる。
【0019】
図2図3を参照して本発明の第1実施形態を説明する。なお、図2図3において、図1と共通の構成には同一符号を付し、説明を簡略化する。
【0020】
図2は、第1実施形態にかかる搬送試験媒体10の構成図である。図3は、第1実施形態にかかる搬送装置50の搬送阻害要因を説明する説明図である。
図2に示す搬送試験媒体10は、搬送媒体10Aと、損傷度計測部1と、記録部2と、電源部3と、通信部4と、を備えている。
【0021】
図2に示すように、搬送媒体10Aは、矩形のシート状に形成されている。搬送媒体10Aは、搬送対象物の形状や材質に応じて、例えば紙や樹脂などから形成されている。
損傷度計測部1は、搬送媒体10Aの外表面に貼り付けられている。なお、損傷度計測部1は、搬送媒体10Aの外表面の内側に埋設されていても構わない。つまり、損傷度計測部1は、搬送媒体10Aの外表面若しくは外表面の近傍に設けられていればよい。
【0022】
損傷度計測部1は、搬送媒体10Aの外周縁に沿って環状に設けられている。図2に示す例では、損傷度計測部1が、搬送媒体10Aの矩形の外周縁に沿って矩形の環状に設けられている。なお、損傷度計測部1は、搬送媒体10Aの外周縁よりも僅かに内側に配置されているが、搬送媒体10Aの外周縁を覆う若しくは重なるように配置されていても構わない。
【0023】
記録部2は、損傷度計測部1で計測した計測結果(データ)を記録するメモリである。なお、通信部4によって図示しない外部装置に損傷度計測部1のデータを逐次送信する場合、搬送媒体10A自体にデータを保持する記録部2は無くても構わない。
電源部3は、損傷度計測部1、記録部2、及び通信部4と電気的に接続されている。電源部3は、例えば、一次電池、二次電池、電気二重層コンデンサなどである。なお、外部装置から給電を受ける場合には、搬送媒体10A自体に電源部3は無くても構わない。
【0024】
通信部4は、外部装置と無線通信する機能を有する。通信部4は、例えば、図示しない無線ネットワークを介したデータの送信を行う遠距離通信用のアンテナを備える。また、通信部4は、近距離通信(NFC(Near Field Communication))用のアンテナを備えてもよい。このようなNFCが可能な通信部4は、NFCが可能なスマートフォン、タブレット型のコンピュータ、ノート型のコンピュータ等の端末装置(外部装置)と通信可能である。なお、通信部4は、外部装置とケーブル等を介して接続されるインターフェース部品やコネクタ部品であっても構わない。
【0025】
図3に示す搬送装置50は、搬送対象物(例えば紙幣や乗車券など)を搬送する搬送経路51を備えている。搬送経路51は、搬送対象物(搬送試験媒体10)を搬送するベルト52と、ベルト52を回送させるローラ53を備えている。この搬送経路51には、搬送阻害要因として、搬送経路51に付着した汚れ51aや、搬送経路51が曲がるコーナー部51bなどが存在している。
【0026】
搬送試験媒体10は、搬送装置50に設けられたベルト52などによる駆動機構によって、搬送対象物と同様に搬送経路51に沿って搬送される。搬送試験媒体10は、搬送経路51上の移動により、汚れ51aの付着、搬送経路51のコーナー部51bでの衝突など、軽微な搬送阻害要因により搬送媒体10Aが受ける損傷や、衝撃、接触、干渉などを損傷度計測部1にて計測する。
【0027】
損傷度計測部1は、上記搬送阻害要因により搬送媒体10Aが受けた損傷(変形、キズ、へこみ、欠損、折れ、めくれ、破れなど外部損傷によるものや、搬送対象物の価値を低下される内部損傷など)や、この損傷に至る圧力や衝撃などを計測する。そして、損傷度計測部1で計測された計測結果は、記録部2で保持され、通信部4から図示しない外部装置に送信される。
【0028】
このように、上述した第1実施形態の搬送試験媒体10によれば、搬送経路51に沿って搬送される搬送媒体10Aと、搬送媒体10Aに設けられ、搬送媒体10Aの損傷度を計測する損傷度計測部1と、を備えるため、搬送経路51上の搬送阻害要因から受けるダメージを検出することができる。
【0029】
また、第1実施形態においては、損傷度計測部1は、搬送媒体10Aの外表面若しくは外表面の近傍に設けられているため、搬送媒体10Aが搬送経路51上の搬送阻害要因から受けるダメージを検出し易くなる。
【0030】
また、第1実施形態においては、搬送媒体10Aは、シート状に形成され、損傷度計測部1は、搬送媒体10Aの外周縁に沿って環状に設けられているため、衝撃や損傷を受け易い搬送媒体10Aの外周縁においてダメージを全方向から検出することができる。
【0031】
また、第1実施形態においては、搬送媒体10Aに設けられ、少なくとも損傷度計測部1の計測結果を記録する記録部2を備える。この構成によれば、搬送試験媒体10の搬送後(試験後)などに、損傷度計測部1の計測結果を取り出すことができる。
【0032】
また、第1実施形態においては、搬送媒体10Aに設けられ、少なくとも損傷度計測部1の計測結果を外部装置に送信する通信部4を備える。この構成によれば、搬送試験媒体10の搬送中や搬送後など任意のタイミングで、損傷度計測部1の計測結果を取り出すことができる。
【0033】
なお、上述した第1実施形態は、以下のような変形例を採用してもよい。
【0034】
図4は、第1実施形態の一変形例にかかる搬送試験媒体10の構成図である。図5は、第1実施形態の一変形例にかかる搬送装置50の搬送阻害要因を説明する説明図である。
図4に示す搬送試験媒体10は、搬送媒体10Bと、損傷度計測部1と、記録部2と、電源部3と、通信部4と、を備えている。
【0035】
図4に示すように、搬送媒体10Bは、円形の板状に形成されている。搬送媒体10Bは、搬送対象物の形状や材質に応じて、例えば樹脂や金属などから形成されている。損傷度計測部1は、搬送媒体10Bの外周縁に沿って環状に設けられている。図4に示す例では、損傷度計測部1が、搬送媒体10Bの外周縁に沿って円形の環状に設けられている。
【0036】
図3に示す搬送装置50は、搬送対象物(例えば硬貨やメダルなど)を搬送する搬送経路51を備えている。この搬送経路51には、搬送阻害要因として、搬送経路51に付着した汚れ51aや、搬送経路51が曲がるコーナー部51bや、搬送経路51の壁面に形成された微小な凹凸51cなどが存在している。
【0037】
搬送試験媒体10は、搬送装置50に設けられた図示しない駆動機構によって、搬送対象物と同様に搬送経路51に沿って搬送される。搬送試験媒体10は、搬送経路51上の移動により、汚れ51aの付着、搬送経路51のコーナー部51bでの衝突や、微小な凹凸51cとの衝突など、軽微な搬送阻害要因により搬送媒体10Bが受ける損傷や、衝撃、接触、干渉などを損傷度計測部1にて計測する。
【0038】
損傷度計測部1は、上記搬送阻害要因により搬送媒体10Aが受けた損傷(変形、キズ、へこみ、欠損、折れ、めくれ、破れなど外部損傷によるものや、搬送対象物の価値を低下される内部損傷など)や、この損傷に至る圧力や衝撃などを計測する。そして、損傷度計測部1で計測された計測結果は、記録部2で保持され、通信部4から図示しない外部装置に送信される。
【0039】
このように、上述した第1実施形態の一変形例によれば、第1実施形態と同様に搬送経路51上の搬送阻害要因から受けるダメージを検出することができる。
【0040】
次に、図6図7を参照して本発明の第2実施形態を説明する。なお、図6図7において、図1図5と共通の構成には同一符号を付し、説明を簡略化する。
【0041】
図6は、第2実施形態にかかる搬送試験媒体20の構成図である。図7は、第2実施形態にかかる搬送装置50の搬送阻害要因を説明する説明図である。
図6に示す搬送試験媒体20は、搬送媒体20A、上述した損傷度計測部1、記録部2、電源部3、及び通信部4に加えて、速度計測部5と、位置計測部6と、撮像部7と、を備えている。なお、搬送媒体20Aは、矩形のシート状に形成されている。
【0042】
速度計測部5は、搬送媒体20Aに設けられ、搬送経路51における搬送媒体20Aの速度を計測する。速度計測部5としては、加速度センサを例示できる。速度計測部5は、搬送媒体20Aの加速度情報に基づいて、搬送媒体20Aの速度を算出する。なお、速度計測部5は、ドップラ効果や空間フィルタを利用した速度センサであってもよい。なお、搬送経路51側に速度センサが設けられ、搬送媒体20Aがそのターゲットやマーカーを保持していても構わない。
【0043】
位置計測部6は、搬送媒体20Aに設けられ、搬送経路51における搬送媒体20Aの位置を計測する。位置計測部6は、速度計測部5の加速度センサを流用して、加速度情報から搬送媒体20Aの移動量を算出し、搬送経路51上の現在位置を計測してもよい。なお、位置計測部6は、光や磁気を利用した位置検出センサであってもよい。なお、搬送経路51側に位置検出センサが設けられ、搬送媒体20Aがそのターゲットやマーカーを保持していても構わない。
【0044】
撮像部7は、搬送媒体20Aに設けられ、搬送媒体20Aから搬送経路51内を撮像する。撮像部7としては、CCDカメラやCMOSカメラなどを例示できる。なお、搬送経路51側にカメラが設けられ、搬送媒体20Aがそのターゲットやマーカーを保持していても構わない。
【0045】
図7に示す搬送検査方法では、上述した搬送試験媒体20を、搬送経路51に複数搬送させ、搬送経路51上における搬送試験媒体10同士の干渉を計測する。搬送試験媒体20に、速度、位置(向きを含む)などを計測する機能が追加されることで、搬送試験媒体20が搬送される上での挙動の把握が可能となる。さらに、搬送試験媒体20を複数枚使用し、搬送させることで搬送試験媒体20同士の接触、衝突、重なり、集積状況などの検出も可能となる。
【0046】
このように、第2実施形態では、損傷度計測部1に加え、搬送される速度を計測する速度計測部5、搬送位置(場所)や向きを計測する位置計測部6、さらに小型カメラなどによる撮像部7を備えることにより、様々な角度から搬送状況を検出することが可能となる。
【0047】
なお、上述した第2実施形態は、以下のような変形例を採用してもよい。
【0048】
図8は、第2実施形態の一変形例にかかる搬送試験媒体10の構成図である。図9は、第2実施形態の一変形例にかかる搬送装置50の搬送阻害要因を説明する説明図である。
図8に示す搬送試験媒体20は、搬送媒体20Bと、上述した損傷度計測部1、記録部2、電源部3、及び通信部4に加えて、速度計測部5と、位置計測部6と、撮像部7と、を備えている。なお、搬送媒体20Bは、円形の板状に形成されている。
【0049】
図9に示す搬送検査方法では、上述した搬送試験媒体20を、搬送経路51に複数搬送させ、搬送経路51上における搬送試験媒体10同士の干渉を計測する。搬送試験媒体20に、速度、位置(向きを含む)などを計測する機能が追加されることで、搬送試験媒体20が搬送される上での挙動の把握が可能となる。さらに、搬送試験媒体20を複数枚使用し、搬送させることで搬送試験媒体20同士の接触、衝突、重なり、集積状況などの検出も可能となる。
【0050】
なお、搬送試験媒体20に、速度、位置(向きを含む)などを計測する機能が追加されることで、搬送試験媒体20同士の干渉だけでなく、搬送試験媒体20単体での搬送状況の検出も可能となる。図10は、第2実施形態の一変形例にかかる搬送装置50の断面構成図である。図10に示すように、搬送試験媒体20が搬送ベルト54により、搬送経路51上を移動する場合、搬送ベルト54から受ける力Fや、搬送ベルト54により移動する速度Sなどを計測することができる。
【0051】
次に、図11を参照して本発明の第3実施形態を説明する。なお、図11において、図1図10と共通の構成には同一符号を付し、説明を簡略化する。
【0052】
図11は、第3実施形態にかかる搬送試験システム100の構成図である。
搬送試験システム100は、上述した第2実施形態の搬送試験媒体20(第1実施形態の搬送試験媒体10であってもよい)と、搬送試験媒体20を搬送する搬送装置50と、搬送試験媒体20から計測結果を受信する端末装置40と、を備える。
【0053】
端末装置40は、搬送試験媒体20及び搬送装置50と相互に通信可能な外部装置であり、搬送試験媒体20の損傷度や速度、位置、向き、画像データなどを受信し、システム全体を検査及び管理する。なお、端末装置40は、デスクトップパソコンだけでなく、スマートフォン、タブレット型のコンピュータ、ノート型のコンピュータなどの端末装置であっても構わない。
【0054】
図11では、搬送装置50としては、例えば、現金を入金、出金、収納する現金入出金装置30を例示している。現金入出金装置30は、硬貨や紙幣を入出金口から収納部まで搬送する機構を装置内に内蔵している。硬貨や紙幣はベルトなどで搬送されるが、汚れや異物の混入や付着、搬送経路の損傷など搬送を阻害する要因が生じる場合がある。上記搬送試験システム100によれば、搬送阻害要因から硬貨や紙幣が受けるダメージを未然に検査することができる。
【0055】
また、搬送装置50としては、例えば、農作物用を搬送する選別用装置を例示できる。選別用装置は、商品となる果物や野菜などが搬送経路を収穫されたままの状態で移動する。したがって、搬送を阻害する要因や果物同士の接触や干渉が生じた場合、外観上のキズやへこみ、強い衝撃などは商品価値の低下に繋がることになる。上記搬送試験システム100によれば、搬送阻害要因から果物や野菜が受けるダメージを未然に検査することができる。
【0056】
また、搬送装置50としては、例えば、鉄道駅や空港へ設置されている自動改札装置を例示できる。自動改札装置は、乗車券を搬送し、読み取った後、乗客の手元へ乗車券を戻す。この場合においても搬送される乗車券は、搬送が阻害される要因で破れ、欠損や折れなどが発生する場合がある。上記搬送試験システム100によれば、搬送阻害要因から乗車券が受けるダメージを未然に検査することができる。
【0057】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0058】
なお、本発明の適用分野としては、金融・流通業(現金搬送を有する装置などにおける搬送試験媒体)、遊戯業(メダル搬送を有する装置などにおける搬送試験媒体)、農業(果物など選別搬送を有する装置などにおける搬送試験媒体)、製造業(加工商品など製造搬送を有する装置などにおける搬送試験媒体)などが挙げられる。
【符号の説明】
【0059】
1 損傷度計測部
2 記録部
3 電源部
4 通信部
5 速度計測部
6 位置計測部
7 撮像部
10 搬送試験媒体
10A 搬送媒体
10B 搬送媒体
20 搬送試験媒体
20A 搬送媒体
20B 搬送媒体
30 現金入出金装置
40 端末装置
50 搬送装置
51 搬送経路
51b コーナー部
51c 凹凸
52 ベルト
53 ローラ
54 搬送ベルト
100 搬送試験システム
F 力
S 速度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11