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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-04
(45)【発行日】2023-09-12
(54)【発明の名称】防塵マスク
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/11 20060101AFI20230905BHJP
【FI】
A41D13/11 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022514763
(86)(22)【出願日】2019-11-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-14
(86)【国際出願番号】 KR2019015307
(87)【国際公開番号】W WO2021054519
(87)【国際公開日】2021-03-25
【審査請求日】2022-03-03
(31)【優先権主張番号】10-2019-0113814
(32)【優先日】2019-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】522085404
【氏名又は名称】ヒョン、ハン ウル
【氏名又は名称原語表記】HYUN,Han Wool
【住所又は居所原語表記】806ho 901dong 479-12,Dongtangiheung-ro Hwaseong-si Gyeonggi-do 18479,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】ヒョン、ハン ウル
【審査官】飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-286319(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0016192(KR,A)
【文献】特開平09-136370(JP,A)
【文献】特開平06-339542(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2010-0121724(KR,A)
【文献】特表2017-519914(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0335080(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62B 18/02
A41D 13/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つのフィルター紙が備えられたマスク本体と、
前記マスク本体に連結される耳紐と、
前記耳紐に連結され、前記耳紐を前記マスク本体に連結させる耳紐結合部と、を含み、
前記耳紐結合部は、上下方向に所定間隔離間して配置される第1結合部と第2結合部とを含み、
前記耳紐の互いに異なる部分が前記第1結合部と前記第2結合部にそれぞれ連結されて前記耳紐が前記マスク本体に連結され、
前記耳紐は、前記第1結合部と前記第2結合部との間に配置される内側区間と、前記第1結合部及び前記第2結合部の外側に配置される外側区間と、を含み、
前記内側区間と前記外側区間は、前記内側区間の長さが増加すると前記外側区間の長さが減少し、前記内側区間の長さが減少すると前記外側区間の長さが増加するように互いに連結され、
前記第1結合部と前記第2結合部のうちの少なくとも一つは、前記耳紐が前記マスク本体を相対に移動できるように前記耳紐に連結される摺動結合部を含み、
前記摺動結合部は、前記マスク本体との間に前記耳紐が配置されるように前記耳紐を覆って前記マスク本体に結合される第1結合部材を含み、
前記第1結合部材は、前記耳紐を挟んで横方向の両側で前記マスク本体とそれぞれ結合され、
前記第1結合部材とマスク本体との結合部位の間には、前記耳紐がスライド移動可能に挿入される移動通路が形成され
前記耳紐は、基本状態よりも太さが減少しながら長さが増加する伸縮性材質で形成され、
前記第1結合部材は、前記移動通路が前記基本状態の前記耳紐の太さの91~95%の幅に形成されるように前記マスク本体に超音波溶着される、防塵マスク。
【請求項2】
前記摺動結合部の前記第1結合部材と前記マスク本体との融着部位には、格子模様が形成される、請求項1に記載の防塵マスク。
【請求項3】
前記第1結合部材は、前記マスク本体よりも強度が高い材質で形成される、請求項1に記載の防塵マスク。
【請求項4】
前記耳紐の一部分を前記マスク本体に固定させる固定結合部をさらに含み、
前記第1結合部と前記第2結合部のうちのいずれか一方は摺動結合部を含み、
前記第1結合部と前記第2結合部のうちのもう一方は固定結合部を含む、請求項1に記載の防塵マスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスクに係り、より詳細には、空気中の微粉塵等が呼吸器を介して人体内に流入するのを遮断するための防塵マスクに関する。
【背景技術】
【0002】
製紙工場や紡織工場、採石場などの作業場で多くの粉塵が発生しているのは、周知の事実である。特に、化学工場、及び溶接、製錬、めっき等を行う金属加工工場の作業場では、多量の有毒性ガスが発生
する。
【0003】
最近では、微粉塵と黄砂が頻繁に発生しており、別の社会的イシューとして浮上している。また、地下鉄や道路などでも、過去に比べ、各種有害粉塵が大きく増加している傾向である。
【0004】
このようなホコリや黄砂、有害粉塵などを吸入する場合、肺などに致命的な疾患が生じるおそれがあるだけでなく、喘息などの原因になることもある。これにより、各種産業現場などではもちろんのこと、スポーツや登山を行う際にも、このような粉塵や有害物質が呼吸器に流入するのを防止するために防塵マスクを着用する場合が頻繁になっている。
【0005】
防塵マスクは、サイズによって幼児用、子供用、大人用に分類される。これは、着用する者の年齢による基本的な顔サイズを考慮した分類であるが、同じ年齢であっても人々の顔サイズは多様なものであって、防塵マスクの効果を増大させるためには、防塵マスクが顔にどれだけよく密着できるかが重要である。
【0006】
防塵マスクを着用する目的は、外部の汚染空気を濾過してできるだけ新鮮な空気を吸入することである。したがって、フィルター紙の品質を改善して濾過性能を向上させるのはもとより、最終的には着用する者が屈曲した顔輪郭にぴったりと合うように、すなわち、鼻、頬、顎などの屈曲面に隙間なく防塵マスクがよく密着できるようにすることが非常に重要である。
【0007】
防塵マスクと顔との密着力を増大させるためには、耳紐の適切な長さ調節が必要である。耳紐は、着用者の耳に掛けられ、防塵マスクを着用者の顔に固定させる役割を果たすものである。耳紐の長さによって、防塵マスクが顔にどれだけぴったり密着できるかが大きく左右される。
【0008】
しかし、従来の防塵マスクにおいて、耳紐は、伸縮性素材の紐が一定の長さに切断されてマスクの両側に結合された形態のものが殆どである。このような従来の防塵マスクの耳紐は、伸縮性によりある程度の長さ調節は可能である。
【0009】
ところが、従来の防塵マスクの耳紐は、伸縮性を利用してある程度長さが伸びる程度の長さ調節のみが可能であるだけであり、耳紐の長さが短くなる形態の長さ調節は不可能であるという欠点がある。また、耳紐の長さが過度に伸びる場合、着用者の顔を過度に圧迫して着用感を低下させるという問題点を生じさせることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、耳紐の長さが効果的に調節できるように構造が改善された防塵マスクを提供することにある。
【0011】
また、本発明の他の目的は、耳紐の長さ調節が可能でありながらも耳紐がマスクに安定的に固定できるように構造が改善された防塵マスクを提供することにある。
【0012】
また、本発明の別の目的は、耳紐がマスクに安定的に固定できるようにしながらも、耳紐固定部分による皮膚刺激の発生が抑制されるように構造が改善された防塵マスクを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するための本発明の一実施形態に係る防塵マスクは、耳紐がマスク本体に超音波融着する結合部材によってマスク本体にスライド可能に結合されることを特徴とする。
【0014】
これにより、耳紐は、マスク本体上に長さ調節可能に設置されることができるが、所定以上の力が加わってこそ長さ調節が可能であり、そうでなければ、マスク本体上に固定された状態が安定的に維持されることができる。
【0015】
本発明の一態様による防塵マスクは、少なくとも一つのフィルター紙が備えられたマスク本体と、前記マスク本体に連結される耳紐と、前記耳紐に連結され、前記耳紐を前記マスク本体に連結させる耳紐結合部と、を含み、前記耳紐結合部は、上下方向に所定間隔離間して配置される第1結合部と第2結合部とを含み、前記耳紐の互いに異なる部分が前記第1結合部と前記第2結合部にそれぞれ連結されて前記耳紐が前記マスク本体に連結され、前記耳紐は、前記第1結合部と前記第2結合部との間に配置される内側区間と、前記第1結合部及び前記第2結合部の外側に配置される外側区間と、を含み、前記内側区間と前記外側区間は、前記内側区間の長さが増加すると前記外側区間の長さが減少し、前記内側区間の長さが減少すると前記外側区間の長さが増加するように互いに連結され、前記第1結合部と前記第2結合部のうちの少なくとも一つは、前記耳紐が前記マスク本体を相対に移動できるように前記耳紐に連結される摺動結合部を含み、前記摺動結合部は、前記マスク本体との間に前記耳紐が配置されるように前記耳紐を覆って前記マスク本体に結合される第1結合部材を含み、前記第1結合部材は、前記耳紐を挟んで横方向の両側で前記マスク本体とそれぞれ結合され、前記第1結合部材とマスク本体との結合部位の間には、前記耳紐がスライド移動可能に挿入される移動通路が形成される。
【0016】
また、前記耳紐は、基本状態よりも太さが減少しながら長さが増加しうる伸縮性材質で形成され、前記第1結合部材は、前記移動通路が前記基本状態の前記耳紐の太さよりも狭い幅に形成されるように前記マスク本体に結合されることが好ましい。
また、前記摺動結合部は、前記第1結合部材が前記マスク本体に超音波融着して形成されることが好ましい。
また、前記摺動結合部の前記第1結合部材と前記マスク本体との融着部位には、格子模様が形成されることが好ましい。
また、前記第1結合部材は、前記マスク本体よりも強度が高い材質で形成されることが好ましい。
【0017】
また、前記耳紐の一部分を前記マスク本体に固定させる固定結合部をさらに含み、前記第1結合部と前記第2結合部のうちのいずれか一方は摺動結合部を含み、前記第1結合部と前記第2結合部のうちのもう一方は固定結合部を含むことが好ましい。
【0018】
また、前記耳紐は、所定長さを有する紐状に形成され、前記耳紐の長手方向の一側端部と長手方向の他側端部とが互いに隣接して配置された状態で、前記一つの固定結合部によって前記マスク本体に固定されることが好ましい。
【0019】
また、前記固定結合部は、前記耳紐の長手方向の一側端部と長手方向の他側端部を覆って前記耳紐及び前記マスク本体に結合される第2結合部材を含み、前記固定結合部は、前記第2結合部材が前記耳紐及び前記マスク本体に超音波融着して形成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明の防塵マスクによれば、必要に応じて耳紐の状態を調節して、着用者の好みに合うマスク密着感を容易かつ便利に選択することができるようにしながらも、着用者の顔に密着した状態を安定的に維持することができるようにする効果を提供することができる。
【0021】
また、本発明は、耳紐を引っ張った状態で第1結合部材をマスク本体に超音波融着させる単純な工程のみで耳紐の設置が行われるようにすることにより、容易かつ便利に密着感が調節されるようにし、このような密着状態が安定的に維持されるようにしながらも、少ない製造コストで容易に製造できるという利点を提供することができる。
【0022】
また、本発明は、化学成分の接着剤を用いる代わりに、超音波融着方法で耳紐の設置が行われるようにすることにより、防塵マスクによる皮膚刺激の発生を効果的に減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施形態による防塵マスクを示す正面斜視図である。
図2図1に示した防塵マスクが広げられた状態を示す背面斜視図である。
図3図1に示した防塵マスクの一部領域を拡大して示す拡大図である。
図4図3の「IV-IV」線に沿った断面図である。
図5図3の「V-V」線に沿った断面図である。
図6】本発明の一実施形態による防塵マスクを縦方向に折り畳んだ状態を示す図である。
図7図6に示した防塵マスクの上部フィルター紙が広げられた状態を示す図である。
図8図7に示した密着形状部の他の例を示す図である。
図9】本発明の一実施形態に係る防塵マスクの着用状態を示す図である。
図10】本発明の一実施形態による防塵マスクの耳紐長さ調節状態を示す図である。
図11】本発明の他の実施形態に係る防塵マスクを示す斜視図である。
図12図11に示した防塵マスクの一部領域を拡大して示す拡大図である。
図13図12の「XIII-XIII」線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
まず、マスク本体100上に耳紐200を載置するが、摺動結合部300が形成されるべき位置に載置する。本実施形態では、第1結合部Aと第2結合部Bの両方に摺動結合部300が形成されるものと例示される。この場合、第1結合部Aと第2結合部Bが形成される位置に耳紐200が配置できる。このとき、耳紐200は、各結合部A、B上に載せられる部分が一直線となるように配置されることが好ましい。
【0025】
耳紐200がマスク本体100に載置されるが、マスク本体100上に載置される部分が上下方向に一直線となった状態で耳紐200を上下方向に引っ張ることにより、耳紐200の長さを伸ばす。このとき、耳紐200を引く右側の地点は、第1結合部Aと第2結合部Bの外側、すなわち第1結合部Aよりも下側の地点と第2結合部Bよりも上側の地点にならなければならない。
【0026】
これにより、耳紐200の第1結合部Aと第2結合部Bを通る部分の太さは、基本状態よりも薄くなる。このような状態で、第1結合部Aと第2結合部Bが形成される部分にそれぞれ第1結合部材310を覆い、第1結合部材310をマスク本体100と結合させる。
【0027】
本実施形態では、マスク本体100と第1結合部材310がそれぞれポリプロピレン(PP)材質で形成されるものと例示される。このような材質で形成されたマスク本体100と第1結合部材310との結合は、超音波融着によって行われることができる。
【0028】
他の例として、第1結合部材310は、マスク本体100よりも強度が高い材質で形成できる。例えば、マスク本体100がポリプロピレン材質で形成され、第1結合部材310がポリエチレン(PE)材質で形成されることができる。この場合、摺動結合部300が形成された部分の強度がさらに向上することができる。すなわち、摺動結合部300の強度は、マスク本体100に第1結合部材310という一重の部材がさらに重なることにより、マスク本体100の残りの部分に比べてさらに高まることができるうえ、マスク本体100よりも強度がさらに高い材質で形成された第1結合部材310により一層向上することができる。
【0029】
このとき、第1結合部材310とマスク本体100との融着は、第1結合部材310が摺動結合部300で耳紐200と密着した状態を維持することができるようにする形で行われることができる。すなわち、第1結合部材310は、耳紐200と融着しない範囲内で耳紐200と最大限隣接する位置までマスク本体100と融着することにより、耳紐200に密着した状態を維持してマスク本体100と結合されることができる。
【0030】
また、第1結合部材310は、摺動結合部300の第1結合部材310とマスク本体100との融着作業は格子状に行われることができる。その結果、摺動結合部300の第1結合部材310とマスク本体100との融着部位は、格子模様に形成されることができる。
【0031】
このように摺動結合部300の第1結合部材310とマスク本体100との融着部位が格子模様に形成されることにより、摺動結合部300の強度は一層向上することができる。特に、摺動結合部300には、マスク本体100の厚み方向に突出した構造物、すなわちリブ構造物が格子模様をなして形成できるので、摺動結合部300領域の曲げ強度がさらに効果的に向上することができる。
摺動結合部300は、マスク本体100と耳紐200との結合が行われる部分であって、防塵マスク10が着用されたときに最も多くの力が加わる部分である。
【0032】
かかる点を考慮して、本実施形態では、マスク本体100よりも強度が高い材質で形成された第1結合部材310が摺動結合部300に付け加えられるようにする一方、当該部位に格子模様のリブ構造物が形成れるようにすることにより、当該部位の強度を効果的に向上させることができる。これにより、防塵マスク10の着用時に、当該部分が曲げられて変形または破損することが効果的に抑制されることができる。
一方、マスク本体100と第1結合部材310との融着が行われる前に、耳紐200の長さを伸ばすことにより、耳紐200の太さは基本状態よりも薄くなる。
【0033】
このように耳紐200の太さが薄くなった状態でマスク本体100と第1結合部材310との融着が行われると、耳紐200が挿入された移動通路315が基本状態の耳紐200の太さよりも狭い幅に形成されることができる。
【0034】
このように移動通路315が狭い幅に形成されると、引かれていた耳紐200が放されて再び基本状態に復帰したとき、移動通路315の内部での耳紐200は、摺動結合部300によって圧迫を受ける状態になる。すなわち、耳紐200と摺動結合部300との間には強い摩擦力が作用する。
【0035】
これにより、耳紐200は、摺動結合部300にスライド移動可能に結合されるが、一定レベル以上の力が加われば摺動結合部300を相対に移動することができ、そうでなければ、摺動結合部300に固定された状態を維持する。
【0036】
マスク本体100と第1結合部材310との融着が行われるときの耳紐200の太さは、基本状態における耳紐200の太さの91~98%であってもよい。好ましくは、耳紐200の太さは、基本状態における耳紐200の太さの95%である。
【0037】
耳紐200の太さが基本状態における耳紐200の太さの91%未満である場合、すなわち耳紐200が引っ張られすぎた場合、耳紐200のスライド移動が正しく行われないおそれがある。また、基本状態に復帰しようとする耳紐200の弾性力により、マスク本体100と第1結合部材310との融着部位にあまり大きな力が加わり、摺動結合部300の破損が発生するおそれも高くなる。
【0038】
また、耳紐200の太さが基本状態での耳紐200の太さの98%超過である場合、すなわち耳紐200があまり引っ張られなかった場合、摺動結合部300での耳紐200の固定が正しく行われないおそれがある。すなわち、防塵マスク10が着用されたときに耳紐200が摺動結合部300に正しく固定されずに動くことにより、防塵マスク10の安定的な着用が困難になるという問題が発生するおそれがある。
【0039】
かかる点を考慮して、本実施形態では、マスク本体100と第1結合部材310との融着が行われるときの耳紐200の太さが基本状態での耳紐200の太さの91~98%、好ましくは95%となるようにした状態で摺動結合部300の形成が行われるようにする。
【0040】
これにより、耳紐200の外側区間220の長さ調節が必要に応じて容易かつ便利に行われるようにしながらも、防塵マスク10が顔に安定的に固定されることができる。

[密着形状部形成構造]
【0041】
図6は本発明の一実施形態による防塵マスクを縦方向に折り畳んだ状態を示す図であり、図7図6に示した防塵マスクの上部フィルター紙が広げられた状態を示す図である。また、図8図7に示した密着形状部の他の例を示す図であり、図9は本発明の一実施形態による防塵マスクの着用状態を示す図である。
【0042】
図6及び図7を参照すると、本実施形態の防塵マスク10には、密着形状部150が形成できる。一例として、密着形状部150は、上部フィルター紙120を縦方向に半折りした状態で、切取り部160を切り取った後、超音波を介して密着縫合線170を形成する形で形成できる。
このとき、切取り部160を丸く切り取ると、図7に示すように、上部フィルター紙120の上部に丸く凹んだ形状の密着形状部150が形成できる。
他の例として、密着形状部150は、図8に示すように、上部フィルター紙120の横方向の中央を切開する形で形成されてもよい。
【0043】
上述したように形成される密着形状部150は、防塵マスク10が顔に密着するのに寄与することができる。すなわち、図9に示すように、使用者が防塵マスク10を顔に着用すると、密着形状部150が鼻の背に位置し、鼻の突出した輪郭に沿って防塵マスク10が顔に密着することができる。
【0044】
その結果、従来の防塵マスクに使用されていた密着ワイヤーの使用が根本的に排除できるので、防塵マスク10の製造にかかるコストを低減することができるうえ、密着ワイヤーを焼却する過程で排出される有毒性物質の排出が根本的に遮断されることができる。

[防塵マスクの作用・効果]
図10は本発明の一実施形態による防塵マスクの耳紐長さ調節状態を示す図である。
以下、図3図10を参照して、本実施形態に係る防塵マスクの作用、効果について説明する。
【0045】
図3を参照すると、耳紐200が摺動結合部300にスライド移動可能に結合され、これにより、耳紐200は、外側区間220の長さが自由に調節できるようにマスク本体100に設置されることができる。
例えば、図10の(a)に示すように、耳紐200の外側区間220を(1)矢印方向に引っ張ると、耳紐200の内側区間210は、(2)矢印の方向に動く。
その結果、図10の(b)に示すように、耳紐200の内側区間210の長さが短くなりながら、耳紐200の外側区間220の長さが増加することができる。
【0046】
このように、耳紐200の外側区間220の長さが増加するというのは、耳紐200のうち、着用者の耳に掛かることが可能な区間の長さが増加することである。
【0047】
つまり、着用者は、耳紐200のうち、耳に掛かる区間である外側区間220の長さを必要に応じて自由に調節することができ、これにより、着用者は、着用者の好みに合うマスク密着感を容易かつ便利に選択することができる。
【0048】
また、耳紐200の長さ調節は、一定レベル以上の力が加われば可能であり、そうでなければ、耳紐200は、その位置が固定された状態を維持することができる。
【0049】
すなわち、本実施形態の防塵マスク10は、必要に応じて耳紐200の状態を調節し、着用者の好みに合うマスク密着感を容易かつ便利に選択することができるようにしながらも、着用者の顔に密着した状態を安定的に維持することができるようにする効果を提供することができる。
【0050】
また、図3図5を参照すると、上述したような形態での耳紐200の設置は、耳紐200を引っ張った状態で第1結合部材310をマスク本体100に超音波融着させる単純な工程のみで行われることができる。
【0051】
すなわち、本実施形態の防塵マスク10は、容易かつ便利に密着感が調節されるようにし、このような密着状態が安定的に維持されるようにしながらも、少ない製造コストで容易に製造できるという利点を提供することができる。
【0052】
また、本実施形態によれば、マスク本体100と耳紐200との結合が行われる部分において、マスク本体100よりも強度が高い材質で形成された第1結合部材310が摺動結合部300に付け加えられるようにする一方、当該部位に格子模様のリブ構造が形成される構造が提供される。
これにより、防塵マスク10の着用の際にマスク本体100と耳紐200との結合部位が曲げられて変形または破損しないように安定的に支持できる。
【0053】
また、本実施形態の防塵マスク10では、化学成分の接着剤を用いる代わりに、超音波融着方法で耳紐200の設置が行われるので、防塵マスク10による皮膚刺激を効果的に減少させることができる。

[防塵マスクの他の実施形態]
【0054】
図11は本発明の他の実施形態による防塵マスクを示す斜視図であり、図12図11に示した防塵マスクの一部領域を拡大して示す拡大図であり、図13図12の「XIII-XIII」線に沿った断面図である。
【0055】
図11図13を参照すると、本発明の他の実施形態による防塵マスク20は、固定結合部400をさらに含むことができる。固定結合部400は、耳紐250の一部分をマスク本体100に固定させるために設けられることができる。
【0056】
前記第1結合部A及び第2結合部Bのうちのいずれか一方は摺動結合部300を含み、第1結合部A及び第2結合部Bのうちのもう一方は固定結合部400を含むことができる。
本実施形態では、第1結合部Aが固定結合部400を含んでなり、第2結合部Bが摺動結合部300を含んでなるものと例示される。
【0057】
一方、耳紐250は、所定の長さを有する紐状に形成されることができる。すなわち、以前の実施形態における耳紐がリング状に形成されるのとは異なり、本実施形態の耳紐250は、長手方向の両端部が繋がっていない紐状に設けられる。
【0058】
固定結合部400では、耳紐250の長さ方向の両端部がマスク本体100上に固定される形態で耳紐250の固定が行われることができる。すなわち、以前の実施形態では、耳紐の長手方向の両端部が互いに結合されて耳紐がリング状に形成された状態で耳紐とマスク本体100との結合が行われるのとは異なり、本実施形態では、耳紐250の長手方向の両端部が分離された状態で、耳紐250とマスク本体100との結合が行われてもよい。
【0059】
これによれば、耳紐250の長手方向の一側端部と長手方向の他側端部とが隣接して配置された状態で、一つの固定結合部400によってマスク本体100に固定されることができる。
【0060】
固定結合部400は、第2結合部材410を含んでなることができる。第2結合部材410は、耳紐250の長手方向の一側端部と他側端部を覆って耳紐250及びマスク本体100に結合されることができる。固定結合部400は、第2結合部材410が耳紐250及びマスク本体100に超音波融着して形成されることができる。第2結合部材410は、第1結合部材と同一または類似の材質で形成されることができる。
【0061】
本実施形態によれば、耳紐250は、摺動結合部300を介してマスク本体100にスライド移動可能に結合され、固定結合部400を介してマスク本体100に固定されるように結合されることができる。耳紐250の内側区間260は摺動結合部300と固定結合部400との間に配置され、外側区間270は摺動結合部300と固定結合部400との間から外れたその外側に配置されることができる。
【0062】
耳紐250の外側区間270の長さ調節は、摺動結合部300を介して行われることができ、耳紐250の固定は、固定結合部400によって行われることができる。
【0063】
すなわち、各耳紐250が1つの摺動結合部300にのみ連結されても耳紐250の長さ調節が十分に行われることができるということを考慮して、第1結合部Aのみに摺動結合部300が形成され、第2結合部Bでは、摺動結合部300の代わりに耳紐250の固定のための固定結合部400が形成される。
【0064】
耳紐250の長手方向の両端部が固定結合部400によって結合されると、耳紐250の長手方向の両端部同士が結合される場合よりも結合面が増加でき、これにより耳紐250の結合強度がさらに向上することができる。
化学成分の接着剤を用いる代わりに、超音波融着方法で耳紐200の設置が行われるので、防塵マスク20による皮膚刺激を効果的に減少させることができる。
【0065】
本発明は、図面に示された実施例を参照して説明されたが、これは例示的なものに過ぎず、当該技術の属する分野における通常の知識を有する者であれば、これから様々な変形及び均等な他の実施例が可能であることを意味する。よって、本発明の真正な技術的保護範囲は、下記特許請求の範囲によって定められるべきである。
【符号の説明】
【0066】
10、20 防塵マスク
100 マスク本体
110 中央フィルター紙
120 上部フィルター紙
130 下部フィルター紙
140 融着部
150 密着形状部
160 切取り部
170 密着縫合線
200、250 耳紐
210、260 内側区間
220、270 外側区間
300 摺動結合部
310 第1結合部材
315 移動通路
400 固定結合部
410 第2結合部材
A 第1結合部
B 第2結合部
図1
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