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特許7343272予備噴霧絞りを備えるスプレーノズル、このようなノズルを備えるスプレーヘッド及びスプレー装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-04
(45)【発行日】2023-09-12
(54)【発明の名称】予備噴霧絞りを備えるスプレーノズル、このようなノズルを備えるスプレーヘッド及びスプレー装置
(51)【国際特許分類】
   B05B 1/06 20060101AFI20230905BHJP
   B05B 7/08 20060101ALI20230905BHJP
   B05D 1/02 20060101ALI20230905BHJP
【FI】
B05B1/06
B05B7/08
B05D1/02 Z
【請求項の数】 16
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018209281
(22)【出願日】2018-11-06
(65)【公開番号】P2019084529
(43)【公開日】2019-06-06
【審査請求日】2021-10-05
(31)【優先権主張番号】1760419
(32)【優先日】2017-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】509003265
【氏名又は名称】エクセル インダストリーズ
【氏名又は名称原語表記】EXEL INDUSTRIES
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベナニ タリク
(72)【発明者】
【氏名】コニョン ティボー
【審査官】河内 浩志
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-237661(JP,A)
【文献】特表2013-503040(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0097765(US,A1)
【文献】特開2004-275941(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B1/00-3/18
7/00-9/08
B05D1/00-7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料をスプレーするためのスプレーノズル(34)であって、
前記ノズルは、前記ノズル(34)を介して前記材料を循環させる通路(60)を規定し、
前記通路(60)は、前記ノズル(34)の上流端(56)で大口径接続用オリフィス(62)を介して前記ノズル(34)の外部に開放し、前記ノズル(34)の下流端(58)で小口径スプレーオフィリス(64)を介して前記ノズル(34)の外部に開放し、前記材料をスプレー可能とし、
前記通路(60)は、前記接続用オリフィス(62)と前記スプレーオリフィス(64)との間に、少なくとも1つの予備噴霧絞り(66)を有し、前記予備噴霧絞り(66)は、前記材料を噴霧可能であり、前記予備噴霧絞り(66)の下流には、拡大部(68)が設けられ、
前記予備噴霧絞り(66)は、スロット(123)により分割された半球状キャビティ(134)により形成されている、スプレーノズル
【請求項2】
請求項1に記載のスプレーノズル(34)であって、
軸方向(B-B’)へ向けられた筒状本体(70)を備え、
前記筒状本体(70)は、内部に、貫通ダクト(79)を規定し、
前記貫通ダクト(79)は、前記接続用オリフィス(62)を構成する第1開口部(80)を介して前記本体(70)の第1軸端部(76)に開放し、
前記スプレーノズル(34)は、前記貫通ダクト(79)に収容され、前記予備噴霧絞り(66)を規定する予備噴霧インサート(74)を備える、スプレーノズル
【請求項3】
請求項1又は2に記載のスプレーノズル(34)であって、
前記スプレーオリフィス(64)を規定するスプレー部材(72)を備え、
前記スプレー部材(72)は、上流から下流へ、キャビティ(94)と、チャンネル(96)と、を備え、
前記キャビティ(94)は、下流へ向けて小さくなる断面を有し、
前記チャンネル(96)は、略一定の断面を有し、前記キャビティ(94)と前記スプレーオリフィス(64)とを流動的に接続し、
前記予備噴霧絞り(66)は、前記キャビティ(94)に開放する、スプレーノズル
【請求項4】
請求項2を引用する請求項3に記載のスプレーノズル(34)であって、
前記予備噴霧インサート(74)は、ベース部(112)と、指部(114)とを備え、前記指部(114)は、前記ベース部(112)から軸方向へ突出し、前記ベース部(112)と反対側に開放端部(116)を有し、前記開放端部(116)は、前記予備噴霧絞り(66)を規定し、前記指部(114)は、前記スプレー部材(72)の前記キャビティ(94)に略一体的に収容されている、スプレーノズル
【請求項5】
請求項4に記載のスプレーノズル(34)であって、前記ベース部(112)は、前記貫通ダクト(79)の断面に補完的な断面を有する、スプレーノズル
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載のスプレーノズル(34)であって、
前記スプレー部材(72)は、前記キャビティ(94)が開放する上流面(90)を有し、前記上流面(90)は、前記キャビティ(94)の周りに環状肩部(97)を規定し、前記ベース部(112)は、前記環状肩部(97)に対して押し付けられている、スプレーノズル
【請求項7】
請求項3~6のいずれか1項に記載のスプレーノズル(34)であって、
前記予備噴霧絞り(66)は、前記チャンネル(96)から前記キャビティ(94)の軸方向の長さの半分未満の距離で開放する、スプレーノズル
【請求項8】
請求項2を引用する請求項3~7のいずれか1項に記載のスプレーノズル(34)であって、
前記スプレー部材(72)は、前記貫通ダクト(79)に少なくとも部分的に収容されたスプレーインサートにより構成されている、スプレーノズル
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載のスプレーノズル(34)であって、
前記予備噴霧絞り(66)の直径に対する前記スプレーオリフィス(64)の直径の比率は、0.5~0.8である、スプレーノズル
【請求項10】
材料スプレー装置(14)のスプレーヘッド(22)であって、
中心オリフィス(32)を有する環状リング(30)と、
前記中心オリフィス(32)に収容され、前記リング(30)と略同軸上に設けられた請求項1~9のいずれか1項に記載のスプレーノズル(34)と、を備える、スプレーヘッド
【請求項11】
請求項10に記載のスプレーヘッド(22)であって、
前記リング(30)は、前記スプレー装置(14)の本体(21)に接続する上流端部(54)と、前記上流端(54)と反対側を向いた下流面(40)とを有し、圧縮ガスを受ける少なくとも1つの直線状エアチャンネル(44、46)を規定し、前記エアチャネルは、前記下流面(40)に開放し、前記エアチャンネル(44、46)は、収束方向へ向いている、スプレーヘッド
【請求項12】
請求項10又は請求項11に記載の前記スプレーヘッド(22)を備えるスプレーガン(14)。
【請求項13】
スプレー材料の供給源(12)と、請求項10に記載の前記スプレーヘッド(22)とを備えるスプレー設備(10)であって、
前記スプレー材料の供給源(12)は、20バールより大きい圧力で前記スプレー材料を提供可能であり、前記スプレーノズル(34)の前記接続用オリフィス(62)に流動的に接続されている、スプレー設備
【請求項14】
スプレー材料の供給源(12)と、圧縮ガスの供給源(13)と、請求項11に記載の前記スプレーヘッド(22)と、を備えるスプレー設備(10)であって、
前記スプレー材料の供給源(12)は、20~300バールの圧力で前記スプレー材料を供給可能であり、前記スプレーノズル(34)の前記接続用オリフィス(62)に流動的に接続されており、前記圧縮ガスの供給源(13)は、前記リング(30)の各エアチャンネル(44、46)に流動的に接続されている、スプレー設備
【請求項15】
コーティング剤をスプレーするためのスプレー方法であって、
-接続用オリフィス(62)を介して請求項1~9のいずれか1項に記載の前記スプレーノズル(34)に前記コーティング剤を供給するステップであって、前記コーティング剤は、20バールより大きい圧力で供給されるステップと、
-前記予備噴霧絞り(66)を介して、前記コーティング剤の通過中、前記コーティング剤を第1噴霧するステップと、
-前記スプレーオリフィス(64)を介して、前記コーティング剤の通過中、前記コーティング剤を第2噴霧するステップと、を備える、スプレー方法
【請求項16】
請求項15に記載のスプレー方法であって、
前記コーティング剤は、20~300バールの圧力で供給される、スプレー方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、材料をスプレーするためのスプレーノズルに関する。このスプレーノズルは、ノズルを介して材料を循環させる通路を規定するタイプのものである。この通路は、ノズルの上流端部で大口径接続用オリフィスを介してノズルの外部に開放し、ノズルの下流端部で材料のスプレーに適した小口径スプレーオリフィスを介してノズルの外部に開放する。
【0002】
本発明は、また、材料スプレー装置のスプレーヘッドに関する。スプレーヘッドは、中心オリフィスを有する環状リングと、上記タイプのスプレーノズルとを備えるタイプものである。スプレーノズルは、環状リングと略同軸上に設けられた中心オリフィスに収容されている。
【0003】
本発明は、更に、スプレー設備に関する。スプレー設備は、スプレー材料の供給源と、
上記タイプのスプレーヘッドとを備えるタイプのものである。スプレー材料の供給源は、スプレーノズルの接続用オリフィスに流動的に接続されている。
【0004】
本発明は、更に、コーティング剤のスプレー方法に関する。この方法は、以下のステップを備えるタイプのものである。
-接続用オリフィスを介して上記タイプのスプレーノズルにコーティング剤を提供するステップ、
-予備噴霧絞りを介して、コーティング剤の通過中、コーティング剤を第1噴霧するステップ、
-スプレーオリフィスを介して、コーティング剤の通過中、コーティング剤を第2噴霧するステップ。
【背景技術】
【0005】
上記タイプのスプレー設備が知られている。これらのスプレー設備は、少量の材料で大きな表面をコーティングするために、コーティング剤を微小液滴で確実に噴出させることを目的としている。この目的のために、コーティング剤は、圧力下で供給源から供給され、圧力下でスプレーノズルに送られる。
【0006】
このスプレーを行うには、いくつかの解決策がある。
【0007】
第1の解決策は、空気圧スプレーである。この解決策によると、コーティング剤は、非常に低い大気圧、通常0.5~1.5バールの圧力、に対して過圧状態で供給源から供給される。圧縮空気は、ノズルの出口に向けて吹き付けられ、ノズルにより噴出された液膜を噴霧化する。この解決策は、非常に高い仕上げ品質を提供することができるという点で有益である。また、この解決策は、比較的安価である。しかしながら、この解決策は、コーティング剤の移動速度が低いという点で不利益であり、大量のコーティング剤が、被コーティング表面に到達することなく周囲に分散してしまう。
【0008】
別の解決策は、エアレススプレーである。この解決策によると、コーティング剤は、非常に高い圧力、通常160~300バールの圧力で供給源から供給される。スプレーオリフィスの狭さにより、材料を噴出させる。空気は介在していない。この解決策は、優れた移動速度を達成できるという点で有益である。しかしながら、この解決策は、非常に高い圧力でコーティング剤を供給することのできるポンプを必要とし、これらのポンプに供給する大量の圧縮空気を消費するという点で不利益である。これは、高価な技術である。
【0009】
最後の解決策は、混合スプレーである。この技術によると、コーティング剤は、通常50~150バールの圧力で高圧力供給源から供給される。エアレススプレーの場合のように、スプレーオリフィスの狭さにより、材料を噴出させる。しかしながら、コーティング剤を供給源から供給する際の圧力が比較的低いため、このスプレーは最適ではない。そこで、コーティング剤の噴霧を改善するために、空気圧スプレー技術の場合と同様に、圧縮空気がノズルの出口に吹き付けられる。この解決策は、エアレススプレーと略同じ仕上げ品質と、良好な移動速度とを達成することができ、コーティング剤が低圧力で供給されることから、この解決策はより経済的である。しかしながら、空気圧スプレーによる解決策に比べ比較的高価であるという点で不利益である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、これらの技術で通常得られる移動速度及び仕上げ品質を維持しながら、エアレススプレー又は混合スプレーを用いて作業するときに、コーティング剤を提供する圧力を低下させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的のために、本発明は、上記タイプのスプレーノズルを提供する。接続用オリフィスとスプレーオリフィスとの間の通路は、少なくとも1つの予備噴霧絞りを備える。予備噴霧絞りは、材料を噴霧することができる。予備噴霧絞りの下流には、拡大部が設けられている。
【0012】
本発明の特定の実施例によると、スプレーノズルは、個別に、又は、技術的に実施可能な組み合わせで、1つ以上の以下の特徴を有する。
-スプレーノズルは、軸方向へ向けられた筒状本体を備え、内部に貫通ダクトを規定し、貫通ダクトは、接続用オリフィスを構成する第1開口部を介して筒状本体の第1軸端部に開放する。スプレーノズルは、更に、貫通ダクトに収容され、予備噴霧絞りを規定する予備噴霧インサートを備える。
-予備噴霧絞りは、スロットにより分割された半球状キャビティ形状を有する。
-スプレーノズルは、スプレーオリフィスを規定するスプレー部材を備える。スプレー部材は、上流から下流へ、キャビティと、チャンネルとを備える。キャビティは、下流に向けて小さくなる断面を有し、チャンネルは、略一定の断面を有する。チャンネルは、キャビティとスプレーオリフィスとを流動的に接続する。予備噴霧絞りは、キャビティに開放する。
-予備噴霧インサートは、ベース部と、指部とを備え、指部は、ベース部から軸方向に突出し、ベース部と反対側に自由端部を有する。自由端部は、予備噴霧絞りを規定し、指部は、スプレー部材のキャビティに略一体的に収容されている。
-ベース部は、ダクトの断面に補完的な断面を有する。
-スプレー部材は、キャビティが開放する上流面を有し、上流面は、キャビティの周りに環状肩部を規定し、ベース部は、環状肩部に接触している。
-予備噴霧絞りは、チャンネルからキャビティの軸方向の長さの半分未満の距離で開放する。
-スプレー部材は、ダクトに少なくとも部分的に収容されたスプレーインサートにより構成されている。
-予備噴霧絞りの直径に対するスプレーオリフィスの直径の比率は、0.5~0.8である。
【0013】
本発明は、また、上記タイプのスプレーヘッドに関する。スプレーヘッドにおいて、スプレーノズルは、上記のように規定されたノズルにより構成されている。
【0014】
本発明の特定の実施例によると、スプレーヘッドは以下の特徴を有する。
-リングは、スプレー装置の本体に接続された上流端部と、上流端部と反対側の下流面とを有し、少なくとも1つの直線状エアチャンネルを規定し、エアチャンネルは、圧縮ガスを受け、下流面に開放し、エアチャンネルは、収束方向へ向けられている。
【0015】
本発明は、更に、上記のように規定されたスプレーヘッドを備えるスプレーガンに関する。
【0016】
本発明は、更に、上記タイプのスプレー設備に関する。スプレーヘッドは、上記のように規定されたヘッドにより構成されている。
【0017】
本発明の特定の実施例によると、個別に、又は、技術的に実施可能な組み合わせで、1つ以上の以下の特徴を有する。
-スプレー材料の供給源は、20バール、好ましくは100バールより大きい圧力でスプレー材料を供給することができる。
-スプレー材料の供給源は、20~300バール、好ましくは20~150バールの圧力でスプレー材料を供給可能である。
【0018】
本発明は、上記タイプの塗布処理に関する。スプレーノズルは、上記したように規定されたノズルにより構成されている。
【0019】
本発明の特定の実施例によると、塗布処理は、個別に、又は、技術的に実施可能な組み合わせで、以下の特徴のうち1つ以上を有する。
-コーティング剤は、20バール、好ましくは100バールより大きい圧力でノズルに供給される。
-コーティング剤は、20~300バール、好ましくは20~150バールの圧力でノズルに供給される。
【0020】
本発明の他の特徴及び利益は、以下の実施例の記載及び添付の図面により明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明によるスプレー設備の斜視図である。
図2図2は、図1のスプレー設備の塗布器の分解斜視図、即ち、45°正面図である。
図3図3は、図2の塗布器のスプレーヘッドの斜視図、即ち、45°正面図である。
図4図4は、図3における面IV-IVによるスプレーヘッドの縦断面図である。
図5図5は、図3のスプレーヘッドのスプレーノズルの縦断面図である。
図6図6は、図5のスプレーノズルの予備噴霧インサートの斜視図である。
図7図7は、図6の予備噴霧インサートの変形例の斜視図である。
図8図8は、図7の予備噴霧インサートの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1に示されたスプレー設備10は、既知の方法で、コーティング剤の供給源12と、圧縮ガスの供給源13と、塗布器14と、第1流体接続部15と、第2流体接続部16と、を備える。塗布器14は、被コーティング面にコーティング剤を塗布する。第1流体接続部15は、塗布器14にコーティング剤供給源12を流動的に接続する。第2流体接続部16は、塗布器14に圧縮ガス供給源13を流動的に接続する。コーティング剤は、流体、例えば、塗料、染料、接着剤、又は、パテにより構成されることが好ましい。流体は、通常20mPa.s~500mPa.sの粘度を有する。
【0023】
以下の説明では、方位用語、「上流」及び「下流」は、設備10におけるコーティング剤の流れ方向を示す。コーティング剤は上流から下流へ流れる。
【0024】
コーティング剤供給源12は、20~300バール、特に20~150バール、好ましくは20~80バールの出口圧でコーティング剤を供給するように設計されている。この目的のために、供給源12は、通常、コーティング剤貯蔵器(図示しない)と、ポンプ(図示しない)とを備える。ポンプは、貯蔵器にコーティング剤を吸い上げ、出口圧で流体接続部16にコーティング剤を排出する。
【0025】
圧縮ガス供給源13は、好ましくは0.2バール~6バール、より好ましくは0.2バール~2バールの圧力でガス、通常、圧縮空気を供給するように設計されている。この目的のために、供給源13は、例えば、空気圧縮機により構成されている。
【0026】
第1流体接続部15は、塗布器14の第1入口18に供給源12の出口17を流動的に接続する。第1流体接続部15は、通常、柔軟な管により構成されている。
【0027】
第2流体接続部16は、塗布器14の第2入口20に供給器13の出口19を流動的に接続する。第2流体接続部16は、通常、柔軟な管により構成されている。
【0028】
図2に示すように、塗布器14は、本体21と、本体21に取り付けられるスプレーヘッド22とを備える。
【0029】
本体21は、塗布器14の第1入口18を有し、内部にダクト(図示しない)を規定するチューブ23を備える。ダクトは、本体21のコーティング剤出口24に入口18を流動的に接続する。オリフィス24は、チューブ23の端部を規定する。
【0030】
本体21は、第2入口20を備え、内部にキャビティ(図示しない)を規定する。キャビティは、本体21の外側の圧縮ガス出口オリフィス26に入口20を流動的に接続する。図示の例では、オリフィス26は、オリフィス24の周りに同軸上に設けられている。
【0031】
図示の例では、塗布器14は、スプレーガンにより構成されている。本体21は、銃床のような形状を有し、引き金28を有する。引き金28は、バルブ(図示しない)を作動させ、本体21に対して移動するように設計されている。引き金28は、バルブが入口オリフィス18と出口オリフィス24との間の流体接続を閉じる停止位置と、バルブが流体接続を開放する作動位置との間で本体21に対して移動する。
【0032】
スプレーガン14は、通常、手動スプレーガンである。スプレーガン14を自動スプレーガンとすることもできる。
【0033】
図3に示すように、スプレーヘッド22は、中心オリフィス32を有する環状リング30と、中心オリフィス32に収容されたスプレーノズル34とを備える。
【0034】
環状リング30は、軸A-A’を中止とする。環状リング30は、中心オリフィスを規定する環状本体と、軸A-A'周りに回転するように本体に取り付けられたスカート部38とを備える。
【0035】
図4に示すように、本体36は、本体21と反対側に設けられた下流面40と、本体21に対向する上流面42とを有する。本体36は、更に、複数のエアチャンネル44、46(図3)を規定する。エアチャンネル44、46は、直線状であり、上流面42及び下流面40に開放する。各エアチャンネル44、46は、収束方向、即ち、軸A-A’を切断する方向へ向けられている。
【0036】
スプレーヘッド22は、本体21に取り付けられている。これにより、エアチャンネル44、46は、出口オリフィス26に流動的に接続されている。従って、エアチャンネル44、46は、圧縮ガスの供給源13に流動的に接続されている。
【0037】
エアチャンネル44、46は、特に、ノズル34で収束する第1エアチャンネル44と、ノズル34の下流で収束する第2エアチャンネル46とを備える。
【0038】
スカート部38は、本体36に対して上流に突出する。スカート部38は、内部ネジ山50を有する。ネジ山50は、本体21に螺合するために、本体21に形成された補完的な外部ネジ山52と相互に作用するように設計されている。スカート部38は、リング30と本体21との接続のための上流端部54を規定する。下流面40は、この上流端部54と反対側を向いている。
【0039】
図5に示すように、スプレーノズル34は、本体21に対向する上流端部56と、本体21と反対側の下流端部58とを有する。ノズル34は、更に、ノズル34を介してコーティング剤を循環させる通路60を規定する。通路60は、上流端部56で大口径接続用オリフィス62を介してノズル34から外部に開放し、下流端部58で小口径スプレーオリフィス64を介してノズル34から外部に開放し、コーティング剤のスプレーを可能にする。この目的のために、スプレーオリフィス64は、通常、略0.3mm~1.15mmの直径を有する。
【0040】
ノズル34の外径は、部分的に15mm未満であることが好ましい。
【0041】
接続用オリフィス62は、本体21の出口オリフィス24に流動的に接続されている。この目的のために、チューブ23は、接続用オリフィス62を介して通路60に繋がっている。
【0042】
従って、接続用オリフィス62は、コーティング剤供給源12に流動的に接続されている。
【0043】
本発明によると、通路60は、接続用オリフィス62と、スプレーオリフィス64との間に、少なくとも1つの予備噴霧絞り66を有する。予備噴霧絞り66は、製品を噴霧するように設計されている。各絞り66の下流には、拡大部68が設けられている。
【0044】
予備噴霧絞り66は、ノズル34の出口でのコーティング剤の噴出の均一性を損なうことなく、ノズル34の吹き出し口で微細なスプレー液を得ることができ、コーティング剤ノズル34の供給圧を下げることができる。
【0045】
図示の例では、ノズル34は、特に、筒状本体70と、スプレー部材72と、予備噴霧インサート74とを備える。
【0046】
本体70は、軸方向B-B’へ向けられている。即ち、軸方向B-B’は、本体70の軸線を形成する。本体70は、特に、軸B-B’周りに回転する円柱面を有する。
【0047】
ノズル34は、特に、リング30と同軸上に設けられている。従って、軸B-B’は、軸A-A’と一致する。
【0048】
本体70は、ノズル34の上流端部56を規定する第1軸端部76と、第1軸端部76と反対側の第2軸端部78とを有する。第1軸端部76は、特に、平面であり、軸方向B-B’に対して横方向に配置されている。第2軸端部78は、特に、軸B-B’を中心とする円錐台形状を有する。
【0049】
本体70は、内部に、貫通ダクト79を規定する。貫通ダクト79は、第1開口部80を介して第1軸端部76に開放し、第2開口部82を介して第2軸端部78に開放する。図示の例では、第1開口部80は接続部62を構成する。
【0050】
第2開口部82は、例えば、第1開口部80よりも狭い。
【0051】
貫通ダクト79は、大径の第1部分84と、小径の第2部分86とを有する。第1部分84は、第1開口部80を介して本体70の外部に開放し、第2部分86は、第2開口部82を介して本体70の外部に開放する。
【0052】
第1部分84は、第1開口部80と略同じ直径を有する。第2部分86は、第2開口部82と略同じ直径を有する。
【0053】
第1及び第2部分84、86は、互いに結合している。本体70は、第1及び第2部分84、86の間の接点において、第1開口部80を向いた放射状肩部88を規定する。この肩部88は、特に、略平面であり、軸B-B’に対して横方向に配置されている。
【0054】
スプレー部材72は、ダクト79に収容された上流面90と、上流面90と反対側に設けられ、本体70の外側に配置された下流面92とを有する。
【0055】
上流面90は、略平面であり、軸B-B'に対して略横方向に配置されている。上流面90の直径は、ダクト79の第1部分84の直径と略同じである。
【0056】
下流面92は、軸B-B’を中心としたドーム形状を有している。下流面92は、軸B-B’と直交するスロット93により分割されている。下流面92は、本体70の第2軸端部78の周囲と同一平面である。
【0057】
スロット93は、通常5°~150°、好ましくは20°~110°の角度を形成するリップ部を有する。
【0058】
スプレー部材72は、スプレーオリフィス64を規定する。
【0059】
スプレー部材72は、上流から下流へ、更に、キャビティ94と、チャンネル96とを備える。キャビティ94は、下流に向けて小さくなる断面を有する。チャンネル96は、略一定の断面を有し、キャビティ94とスプレーオリフィス64とを流動的に接続する。
【0060】
キャビティ94は、上流面90に開放しており、上流面90は、上流を向いたキャビティ94の周りに環状肩部97を規定する。
【0061】
予備噴霧絞り66は、キャビティ94に開放し、キャビティ94は、絞り66の下流に拡大部68を規定する。
【0062】
図示の例では、キャビティ94はベル形状を有する。
【0063】
スプレーオリフィス64は、チャンネル96を終端させる絞りにより形成され、スロット93により分割されている。絞りは、特に、ドーム形状を有する。スプレーオリフィス64の直径は、スロット93と、絞りとの交差により形成された楕円の長軸として規定される。
【0064】
スプレー部材72は、特に、本体70に取り付けられ、ダクト79に部分的に収容されたスプレーインサートにより構成されている。
【0065】
このインサート72は、ベース部100と、指部102とを備える。指部102は、ベース部100から軸B-B’に沿って突出する。指部102は、ベース部100と反対側に自由端部104を有する。自由端部104は、スプレーオリフィス64を規定する。
【0066】
ベース部100は、ダクト79の第1部分84に一体的に収容されている。ベース部100は、第1部分84の断面に実質的に補完的な断面を有し、上流面90を規定する。ベース部100は、また、放射状肩部106を規定する。放射状肩部106は、上流面90と反対側に設けられており、本体70の肩部88に接触している。
【0067】
ベース部100は、4mm未満の軸方向の厚さを有することが好ましい。ベース部100は、特に、指部102に直交する略平面により形成されている。
【0068】
指部102は、第1円柱部分108と、ドーム形状の第2部分110とを備える。
【0069】
第1部分108は、ベース部100に取り付けられている。第1部分108は、ダクト79の第2部分86に一体的に収容されている。第1部分108は、第2部分86の断面と略同じ断面を有する。
【0070】
第2部分110は、ダクト79の外側に配置されている。第2部分110は、自由端部104と、下流面92とを規定する。
【0071】
予備噴霧インサート74は、本体70に取り付けられ、ダクト79に収容され、予備噴霧絞り66を規定する。
【0072】
予備噴霧インサート74は、ベース部112と、指部114とを備える。指部114は、ベース部112から軸B-B’に沿って突出する。指部114は、ベース部112と反対側に自由端部116を有する。自由端部116は、予備噴霧絞り66を規定する。
【0073】
ベース部112は、ダクト79の第1部分84に一体的に収容されている。ベース部112は、第1部分84の断面に実質的に補完的な断面を有する。ベース部112は、環状肩部97に対して押し付けられている。
【0074】
ベース部112は、予備噴霧インサート74の下流面117を規定する。下流面117は、下流を向き、環状肩部97の反対側に設けられている。
【0075】
なお、図6図7に示されたように、ベース部112は、少なくとも1つ、特に2つの平面119を有する。2つの平面119は、本体70に対するインサート74の回転を防止する。
【0076】
指部114は、キャビティ94に略完全に収容されている。
【0077】
指部114は、ベース部112への接続のための第1部分118と、自由端部116により構成された第1部分120とを備える。図5、6に示されたインサート74の第1変形例では、指部114は、さらに、第1及び第2部分118、120の間の中間部分122を備える。
【0078】
第1部分118は円柱形状を有する。第1変形例では、第1部分118は、ベース部112から中間部分122へ延びる。図7、8に示された第2変形例では、第1部分118は、ベース部112から自由端部116へ延びる。
【0079】
自由端部116は、ドーム形状を有し、スロット123により分割されている。スロット123は、軸B-B’と直交する。予備噴霧絞り66が開放するように、自由端部116は、キャビティ94に収容され、配置されている。予備噴霧絞り66は、チャンネル96からキャビティ94の軸方向の長さの半分未満の距離で開放する。
【0080】
スロット123は、通常5°~150°、好ましくは20°~110°の角度を形成するリップ部を有する。
【0081】
中間部分122は、円錐台形状を有し、第1部分118から第2部分120へ延びる。また、スロット123は中間部分122へ延びる。
【0082】
予備噴霧インサート74は、上流から下流へ、内部に、キャビティ124と、チャンネル126とを規定する。キャビティ124は、下流に向けて小さくなる断面を有する。チャンネル126は、略一定の断面を有し、予備噴霧絞り66にキャビティ124を流動的に接続する。
【0083】
キャビティ124は、下流面117に開放する。図示の例では、キャビティ124は、下流面117に開放する円柱下流部分130と、円錐台上流部分132とを有する。
【0084】
図示の例では、予備噴霧絞り66は、半球状キャビティ134により形成されている。半球状キャビティ134は、チャンネル126に開放するベース部136と、ベース部136と反対側の上面138とを有する。上面138はスロット123により分割されている。予備噴霧絞り66は、スプレー部材72のキャビティ94の直径よりも小さい直径を有する。この直径は、スロット123と半球状キャビティ134との交差により形成された楕円の長軸として規定される。
【0085】
予備噴霧絞り66のこのような特別な形状は、ノズル34からのコーティング剤の噴出の均一性を損なうことなく、微細なスプレー液を得ることができ、コーティング剤ノズル34の供給圧を更に下げることができる。
【0086】
予備噴霧絞り66の直径は、0.3mm~1.15mmであることが好ましく、スプレーオリフィス64の直径以上である。特に、予備噴霧絞り66の直径は、予備霧化絞り66の直径に対するスプレーオリフィス64の直径の比率が0.5~1.0となるように設定されている。
【0087】
この直径の比率は、ノズル34の出口でのコーティング剤の噴出の均一性を損なうことなく、スプレーの平滑性を強化し、コーティング剤ノズル34の供給圧を大幅に下げることができる。
【0088】
これにより、上流から下流へ、キャビティ124、チャンネル126、予備噴霧絞り66、キャビティ94の下流部分、チャンネル96、及び、スプレーオリフィス64により、通路60が形成される。
【0089】
設備10によるスプレーコーティング剤の方法を説明する。
【0090】
まず、コーティング剤及び圧縮ガス供給源12、13が作動する。そして、コーティング剤及び圧縮ガスが本体21の入口18、20に供給される。
【0091】
利用者は、引き金28を操作する。これにより、入口18、20は、それぞれ、出口24、26と流動的に連通する。そして、接続用オリフィス62を介して、スプレーノズル34にコーティング剤が供給される。コーティング剤は、20~300バール、特に20~150バール、好ましくは20~80バールの圧力で供給される。同時に、ガスがエアチャンネル44、46に圧送される。
【0092】
圧力下になると、コーティング剤は、予備噴霧絞り66を通過し、第1噴霧される。その後、チャンネル96に入る前に、キャビティ94の下流部分に液滴形状で分散する。そして、コーティング剤は、スプレーオリフィス64を通過すると、第2噴霧される。そして、コーティング剤は、ノズル34の出口でスペース内に液滴形状で分散する。この分散は圧縮ガスにより増大する。圧縮ガスは、チャンネル44、46により吹き付けられ、これらの液滴に当たり、それらを分裂させる。
【0093】
この方法により、比較的低いコーティング剤供給圧にもかかわらず、従来の供給圧による混合スプレーで通常観察されることのある分散性と同様のコーティング剤の優れた分散性が得られる。
【0094】
上記した発明により、混合スプレーにおいて通常得られるものと同様の仕上げ品質及び移動速度がコーティング剤の低下供給圧により得られる。
【0095】
なお、予備噴霧インサート74の小型化により、スプレーインサート72及びノズル34の本体70のリング30を使用可能とする。これらは、混合スプレーで通常使用されているものと同じである。従って、既存のスプレー設備を容易且つ安価に改造することができる。
【0096】
また、予備噴霧インサート74の小型化により、デッドボリュームを最小限にすることができ、引き金28を解放したとき、特に、染料又はトップコート塗料のような非常に流動的なコーティング剤を使用したとき、不要な流れを回避することができる。
【0097】
本発明の1つの変形例(図示しない)によると、設備10は、塗布器14に流動的に接続された圧縮ガスの供給源を有しない。コーティング剤のスプレーは、空気無しで行われる。この場合、コーティング剤の供給源12は、20バール、好ましくは100バールより大きい圧力でコーティング剤を供給することができ、コーティング剤は、塗布処理中、このような圧力で供給される。
【0098】
混合スプレーのように、本発明は、コーティング剤の低減供給圧により、通常得られるものと同様のエアレススプレーにおける仕上げ品質及び移動速度を得ることができる。
【0099】
なお、予備噴霧インサート74の小型化により、スプレーインサート72及びノズル34の本体70のリング30を使用可能とする。これらは、エアレススプレーで通常使用されているものと同じである。これにより、既存のスプレー設備を容易且つ安価で改造することができる。
【0100】
最終的に、予備噴霧インサート74の小型化により、デッドボリュームを最小限にすることができ、引き金28を解放したとき、特に、染料又はトップコート塗料のような非常に流動的なコーティング剤を使用したとき、不要の流れを回避することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8