(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-04
(45)【発行日】2023-09-12
(54)【発明の名称】オーバーラミネートフィルム及びグラフィック積層体
(51)【国際特許分類】
B32B 27/00 20060101AFI20230905BHJP
B32B 27/20 20060101ALI20230905BHJP
【FI】
B32B27/00 E
B32B27/20 Z
(21)【出願番号】P 2019077843
(22)【出願日】2019-04-16
【審査請求日】2022-04-06
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100202418
【氏名又は名称】河原 肇
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 公二
(72)【発明者】
【氏名】杉山 直大
(72)【発明者】
【氏名】近藤 紳介
【審査官】芦原 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-055900(JP,A)
【文献】特開平08-027399(JP,A)
【文献】特開2013-142119(JP,A)
【文献】特表2020-503194(JP,A)
【文献】特開平06-179283(JP,A)
【文献】特開2017-177405(JP,A)
【文献】特開2019-072935(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装飾表面に適用されるオーバーラミネートフィルムであって、
第1面及び前記第1面と反対側の第2面とを有する透明樹脂ベースフィルムと、
前記透明樹脂ベースフィルムの前記第1面に配置された低光沢層と、
前記透明樹脂ベースフィルムの前記第2面に配置された透明接着層と
を含み、
前記低光沢層が、樹脂を含むバインダーと、4μm以上、20μm以下の平均粒径を有する樹脂ビーズと、ナノシリカ粒子とを含み、
前記低光沢層が、前記バインダー100質量部を基準として、前記樹脂ビーズを100質量部以上、240質量部以下含み、
前記低光沢層の表面光沢度が60度で5GU以下である、オーバーラミネートフィルム。
【請求項2】
前記低光沢層を部分的に被覆する印刷パターンをさらに含む、請求項1に記載のオーバーラミネートフィルム。
【請求項3】
前記印刷パターンがインクジェット印刷パターンである、請求項2に記載のオーバーラミネートフィルム。
【請求項4】
前記オーバーラミネートフィルムが伸長可能である、請求項1~3のいずれか一項に記載のオーバーラミネートフィルム。
【請求項5】
前記ナノシリカ粒子の平均粒径が10nm以上、100nm以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載のオーバーラミネートフィルム。
【請求項6】
前記低光沢層が、前記バインダー100質量部を基準として、前記ナノシリカ粒子を5質量部以上、120質量部以下含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のオーバーラミネートフィルム。
【請求項7】
前記バインダーがウレタン樹脂を含む、請求項1~
6のいずれか一項に記載のオーバーラミネートフィルム。
【請求項8】
前記樹脂ビーズがウレタン樹脂ビーズである、請求項1~
7のいずれか一項に記載のオーバーラミネートフィルム。
【請求項9】
前記低光沢層の表面光沢度が、60度で0.7GU以下である、請求項1~
8のいずれか一項に記載のオーバーラミネートフィルム。
【請求項10】
前記バインダーがセルロースエステルをさらに含む、請求項1~
9のいずれか一項に記載のオーバーラミネートフィルム。
【請求項11】
前記ウレタン樹脂が2液型ウレタン樹脂組成物の硬化物を含む、請求項
7に記載のオーバーラミネートフィルム。
【請求項12】
前記透明樹脂ベースフィルムが、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル-酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、セルロース樹脂、及びフッ素樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂を含む、請求項1~
11のいずれか一項に記載のオーバーラミネートフィルム。
【請求項13】
第1面及び前記第1面と反対側の第2面とを有する樹脂ベースフィルムと、前記第1面の上に配置された印刷層と、前記第2面の上に配置された接着層とを含むグラフィックフィルムと、
前記グラフィックフィルムの前記印刷層を被覆する請求項1~
12のいずれか一項に記載のオーバーラミネートフィルムと
を含むグラフィック積層体。
【請求項14】
前記グラフィックフィルムの前記印刷層が印刷領域及び非印刷領域を含む、請求項
13に記載のグラフィック積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、装飾などの用途に用いることができるオーバーラミネートフィルム、及びグラフィック積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
建造物、車両などの内外装の加飾を目的として装飾フィルムが使用されている。例えば、印刷層を備えたポリ塩化ビニルフィルムと透明ポリ塩化ビニルフィルムとが積層され、エンボス加工が施された装飾フィルムが知られている。積層及びエンボス加工の様々な組み合わせにより、木目調、金属、布帛、マーブルなどの様々な材料のテクスチャを表現することができる。
【0003】
例えば、特許文献1(特開2011-255552号公報)には「化粧シートの表面にエンボス加工が施されてなるエンボス化粧シートにおいて、該化粧シート表面側に合成樹脂ビーズを含有した硬化型樹脂からなる表面保護層を設けてなり、前記エンボス加工が平均振幅15~50μmであり、前記合成樹脂ビーズが平均粒径8~20μmの合成樹脂ビーズであることを特徴とするエンボス化粧シート」が記載されている。
【0004】
特許文献2(国際公開第2008/129667号)には、「印刷シートに設けた印刷層の表面に、透明な樹脂成分を主成分とする保護層が設けられてなる化粧シートにおいて、前記保護層が、印刷シートの印刷層上に設けられた第1保護層と、透明又は半透明の球状粒子を含有し前記第1保護層上の所定部分に設けられた第2保護層とからなり、第1保護層の突出した表面の艶が第2保護層表面の艶より低くなっていることを特徴とする化粧シート」が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-255552号公報
【文献】国際公開第2008/129667号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、乾燥仕上げ木材、マット塗装などの表面を再現することができる、より低光沢な外観を持つ、装飾目的に使用可能なフィルムが求められている。表面層として微粒子又はビーズを含む樹脂をコーティングすることで、表面が低光沢である外観を持つ装飾フィルムを形成する方法は知られている。これらの装飾フィルムは、建築外装又は内装、車両内装、家具、物品表装等に使用することが可能である。
【0007】
装飾表面、例えばグラフィックフィルム表面、又はグラフィックフィルムが適用された壁面などにオーバーラミネートフィルムを適用して、装飾表面を保護することが知られている。オーバーラミネートの方式でそのような装飾表面に低光沢の外観を付与することが望まれている。
【0008】
本開示は、低光沢外観を装飾表面に付与することができるオーバーラミネートフィルム、及びそのようなオーバーラミネートフィルムを含むグラフィック積層体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施態様によれば、装飾表面に適用されるオーバーラミネートフィルムであって、第1面及び前記第1面と反対側の第2面とを有する透明樹脂ベースフィルムと、前記透明樹脂ベースフィルムの前記第1面に配置された低光沢層と、前記透明樹脂ベースフィルムの前記第2面に配置された透明接着層とを含み、前記低光沢層が、樹脂を含むバインダーと、4μm以上、20μm以下の平均粒径を有する樹脂ビーズと、ナノシリカ粒子とを含み、前記低光沢層の表面光沢度が60度で5GU以下である、オーバーラミネートフィルムが提供される。
【0010】
別の実施態様によれば、第1面及び前記第1面と反対側の第2面とを有する樹脂ベースフィルムと、前記第1面の上に配置された印刷層と、前記第2面の上に配置された接着層とを含むグラフィックフィルムと、前記グラフィックフィルムの前記印刷層を被覆する上記オーバーラミネートフィルムとを含むグラフィック積層体が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本開示のオーバーラミネートフィルムは低光沢外観を装飾表面に付与することができることから、建造物、車両などの内外装に好適に使用することができる。本開示のオーバーラミネートフィルムを用いることにより、暗色部分の可視光反射が抑制された、コントラスト比の高い意匠外観を提供することができる。言い換えると、本開示のオーバーラミネートフィルムを用いることにより、暗色部分がより暗く視認されるため、明暗の違いがより際立った、独特でより鮮明な視覚効果を有する意匠外観を提供することができる。
【0012】
なお、上述の記載は、本発明の全ての実施態様及び本発明に関する全ての利点を開示したものとみなしてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】一実施態様のオーバーラミネートフィルムの概略断面図である。
【
図2】別の実施態様のオーバーラミネートフィルムの概略断面図である。
【
図3】一実施態様のグラフィック積層体の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の代表的な実施態様を例示する目的でより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施態様に限定されない。
【0015】
本開示において、「透明」とは、ある材料又は物品の波長範囲400~700nmにおける全光線透過率が約85%以上であることを意味し、「半透明」とは、ある材料又は物品の波長範囲400~700nmにおける全光線透過率が約20%以上、約85%未満であることを意味し、「不透明」とは、ある材料又は物品の波長範囲400~700nmにおける全光線透過率が約20%未満であることを意味する。全光線透過率はJIS K 7361-1:1997(ISO 13468-1:1996)に準拠して決定される。
【0016】
一実施態様において、オーバーラミネートフィルムは、第1面及び第1面と反対側の第2面とを有する透明樹脂ベースフィルムと、透明樹脂ベースフィルムの第1面に配置された低光沢層と、透明樹脂ベースフィルムの第2面に配置された透明接着層とを含む。低光沢層は、樹脂を含むバインダーと、4μm以上、20μm以下の平均粒径を有する樹脂ビーズと、ナノシリカ粒子とを含み、低光沢層の表面光沢度は60度で5GU以下である。低光沢層が上記範囲の平均粒径を有する樹脂ビーズとナノシリカ粒子とを含むことで低光沢外観がオーバーラミネートフィルムに付与される。
【0017】
一実施態様ではオーバーラミネートフィルムは伸長可能である。この実施態様のオーバーラミネートフィルムは、貼り付ける物品の形状に追従させるためにオーバーラミネートフィルムを伸長させることができる。いくつかの実施態様のオーバーラミネートフィルムは、伸長後に低光沢外観を維持することができる。
【0018】
一実施態様のオーバーラミネートフィルムの概略断面図を
図1に示す。
図1のオーバーラミネートフィルム100は、透明樹脂ベースフィルム110、低光沢層120、及び透明接着層130を含み、透明接着層130を保護するライナー150を含んでもよい。低光沢層120は、樹脂を含むバインダー122と、4μm以上、20μm以下の平均粒径を有する樹脂ビーズ124と、ナノシリカ粒子126とを含む。
【0019】
透明樹脂ベースフィルムとして様々な樹脂フィルムを用いることができる。透明樹脂ベースフィルムは伸長可能であってもよい。透明樹脂ベースフィルムとして、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル-酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、セルロース樹脂、及びフッ素樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂フィルムを用いることができる。
【0020】
透明樹脂ベースフィルムは有色であってもよく無色であってもよい。透明樹脂ベースフィルムは、略平滑な表面を有してもよく、エンボスなどの表面加工により形成することのできる構造化表面を有してもよい。透明樹脂ベースフィルムの外観又は形状を上記のとおりとすることで、多様な装飾性をオーバーラミネートフィルムに付与することができる。
【0021】
一実施態様では、透明樹脂ベースフィルムの波長範囲400~700nmにおける全光線透過率は、約85%以上、約90%以上、又は約95%以上である。
【0022】
透明樹脂ベースフィルムの厚みは、例えば約25μm以上、約50μm以上、又は約80μm以上、約5mm以下、約1mm以下、又は約0.5mm以下とすることができる。
【0023】
いくつかの実施態様において、透明樹脂ベースフィルムの引張伸長率は、約10%以上、約20%以上、又は約30%以上、約400%以下、約350%以下、又は約300%以下である。透明樹脂ベースフィルムの引張伸長率は、幅25mm、長さ150mmのサンプルを用意し、引張試験機を用いて、温度20℃、引張速度300mm/分、チャック間隔100mmでサンプルを破断するまで伸長したときの、[破断時のチャック間隔(mm)-伸長前のチャック間隔(mm)(=100mm)]/伸長前のチャック間隔(mm)(=100mm)×100(%)で計算される値である。
【0024】
オーバーラミネートフィルムは、透明樹脂ベースフィルムの第1面に配置された低光沢層を有する。低光沢層のバインダーに含まれる樹脂として、様々な樹脂を使用することができる。一実施態様では、バインダーはウレタン樹脂を含む。ウレタン樹脂として公知の様々なウレタン樹脂を使用することができる。ウレタン樹脂はウレタン樹脂組成物を乾燥又は硬化して得ることができる。ウレタン樹脂組成物は水系であってもよく非水系であってもよい。ウレタン樹脂は2液型ウレタン樹脂組成物の硬化物であることが有利である。2液型ウレタン樹脂組成物は一般に非水系ウレタン樹脂組成物である。2液型ウレタン樹脂組成物を用いることで、低光沢層の形成時に低光沢層の他の成分、例えば樹脂ビーズ、特にウレタン樹脂ビーズ、ナノシリカ粒子などがウレタン樹脂と化学結合を形成して、低光沢層からこれら粒子の脱落、成分のブリードアウトを防止又は抑制することができる。
【0025】
2液型ウレタン樹脂組成物は、一般に主剤としてポリオール及び硬化剤として多官能イソシアネートを含み、必要に応じて触媒及び/又は溶剤を含む。
【0026】
ポリオールとして、ポリカプロラクトンジオール、ポリカプロラクトントリオールなどのポリエステルポリオール;シクロヘキサンジメタノールカーボネート、1,6-ヘキサンジオールカーボネートなどのポリカーボネートポリオール、及びそれらの組み合わせを使用することができる。これらのポリオールは透明性、耐候性、強度、耐薬品性などを低光沢層に付与することができる。特に、ポリカーボネートポリオールは高い透明性及び耐薬品性を有する低光沢層を形成することができる。過度の架橋構造を形成せずに低光沢層に伸長性を付与する観点からは、ポリオールはジオールであることが望ましく、ポリエステルジオール及びポリカーボネートジオール、特にポリカーボネートジオールを有利に使用することができる。
【0027】
ポリオールのOH値は、一般に約10mg/KOH以上、約20mg/KOH以上、又は約30mg/KOH以上、約150mg/KOH以下、約130mg/KOH以下、又は約120mg/KOH以下であってもよい。
【0028】
多官能イソシアネートとして、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネートなど、及びこれらのポリイソシアネートの多量体(ダイマー、トリマーなど)、ビウレット変性体、アロファネート変性体、ポリオール変性体、オキサジアジントリオン変性体、カルボジイミド変性体などが挙げられる。過度の架橋構造を形成せずに低光沢層に伸長性を付与する観点から、多官能イソシアネートはジイソシアネートであることが望ましい。そのようなジイソシアネートとして、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)などの脂肪族ジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート、trans,trans-、trans,cis-、及びcis,cis-ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート及びこれらの混合物(水添MDI)などの脂環式ジイソシアネート;2,4-トリレンジイソシアネート及び2,6-トリレンジイソシアネート、並びにこれらトリレンジイソシアネートの異性体混合物(TDI)、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート及び2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、並びにこれらジフェニルメタンジイソシアネートの異性体混合物(MDI)などの芳香族ジイソシアネート;1,3-若しくは1,4-キシリレンジイソシアネート又はその混合物(XDI)、1,3-若しくは1,4-テトラメチルキシリレンジイソシアネート又はその混合物(TMXDI)などの芳香脂肪族ジイソシアネートが挙げられる。
【0029】
ポリオールとポリイソシアネートとの当量比は、一般に、ポリオール1当量に対して、ポリイソシアネートが約0.6当量以上、約0.7当量以上、約2当量以下、又は約1.2当量以下であってもよい。
【0030】
触媒としてウレタン樹脂形成に一般に使用されるもの、例えばジ-n-ブチルスズジラウレート、ナフテン酸亜鉛、オクテン酸亜鉛、トリエチレンジアミンなどを用いることができる。触媒の使用量は、一般に2液型ウレタン樹脂組成物100質量部を基準として、約0.005質量部以上、又は約0.01質量部以上、約0.5質量部以下又は約0.2質量部以下であってもよい。
【0031】
バインダーはセルロースエステルをさらに含んでもよい。セルロースエステルをバインダーに含有させることで、乾燥過程でのバインダーの粘度を上げ、表面流動性を下げることができるため、樹脂ビーズを含むバインダー前駆体を均一に塗布することが可能になる。セルロースエステルとして、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどが挙げられる。
【0032】
セルロースエステルの数平均分子量は、溶剤への溶解性を考慮して、一般に約12000以上、約16000以上又は約20000以上、約110000以下、約100000以下又は約90000以下としてよい。セルロースエステルの数平均分子量は標準ポリスチレンを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により決定される。
【0033】
セルロースエステルのガラス転移温度(Tg)は、使用温度での形状維持性を考慮して、一般に約85℃以上、約96℃以上又は約101℃以上、約190℃以下、約180℃以下又は約160℃以下としてよい。セルロースエステルのガラス転移温度は示差走査熱量測定(DSC)を用いて決定される。
【0034】
いくつかの実施態様では、セルロースエステルは、バインダー100質量部を基準として、約5質量部以上、約10質量部以上又は約15質量部以上、約35質量部以下、約30質量部以下又は約25質量部以下の量でバインダーに含まれてもよい。セルロースエステルの配合量を上記範囲とすることで、樹脂ビーズを低光沢層により均一に分散させて均一な低光沢外観をオーバーラミネートフィルムに付与することができる。
【0035】
低光沢層は樹脂ビーズを含む。樹脂ビーズとして、様々な樹脂ビーズを使用することができる。樹脂ビーズは、オーバーラミネートフィルム表面にビーズの存在による微細な凹凸を形成し、オーバーラミネートフィルム表面に低光沢構造を形成することができる。
【0036】
一実施態様では、樹脂ビーズはウレタン樹脂ビーズである。ウレタン樹脂ビーズは樹脂を含むバインダー、特にウレタン樹脂を含むバインダーとの親和性が良いため、バインダーとの密着性が高い。その結果、オーバーラミネートフィルムを伸長又は変形した場合にバインダーからのウレタン樹脂ビーズの脱離を抑制することができる。ウレタン樹脂ビーズとして、懸濁重合、シード重合、乳化重合などにより得られる架橋ポリウレタン微粒子を用いることができる。ウレタン樹脂ビーズは柔軟性、強靭性、耐擦傷性などに優れており、これらの特性を低光沢層に付与することができる。
【0037】
樹脂ビーズの平均粒径は約4μm以上、約20μm以下であることが好ましい。いくつかの実施態様では、樹脂ビーズの平均粒径は、約6μm以上、又は約10μm以上であってもよく、約10μm以下、又は約15μm以下であってもよい。樹脂ビーズの平均粒径が約4μm未満の場合は、光の散乱によるオーバーラミネートフィルム表面の白化を生じやすくなる。樹脂ビーズの平均粒径が約20μmを超えると、光沢が生じやすくなり、低光沢性が得られにくくなる。上記範囲の平均粒径を有する樹脂ビーズは、低光沢層に入射した光を適度に散乱することで、低光沢層に明度の低い、すなわち白みの少ない低光沢性を付与することができる。樹脂ビーズの平均粒径は、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定される累積体積50%粒子径である。
【0038】
いくつかの実施態様では、樹脂ビーズは、低光沢層において、バインダー100質量部を基準として約70質量部以上、約80質量部以上、又は約100質量部以上、約240質量部以下、約230質量部以下、又は約200質量部以下の量で含まれてもよい。樹脂ビーズの配合量が約70質量部未満であると、低光沢性が得られにくく、約240質量部を超えると、白化しやすくなる。樹脂ビーズの配合量を上記範囲とすることで、幅広い視角、例えば20度~85度にわたって低光沢を示す低光沢層を得ることができる。
【0039】
低光沢層は、ナノシリカ粒子をさらに含む。ナノシリカ粒子がバインダー中に存在することで、低光沢層の光沢性をより低下させることができる。また、ナノシリカ粒子は、樹脂ビーズのみではフィルムを延伸した場合に生じやすい低光沢性の変化を抑制し、フィルムの白化を効果的に防止することができる。
【0040】
ナノシリカ粒子として、例えば水ガラス(ケイ酸ナトリウム溶液)を出発原料として得られるシリカゾルを使用することができる。ナノシリカ粒子は、シラン、アルコール、アミン、カルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸、チタネートなどの表面処理剤を用いてその表面が改質されていてもよい。
【0041】
いくつかの実施態様では、ナノシリカ粒子の平均粒径は約10nm以上、約20nm以上、又は約30nm以上、約100nm以下、約75nm以下、又は約45nm以下である。このように、微小なサイズのナノシリカ粒子を使用することで、ナノシリカ粒子を低光沢層中に高度に分散させることができる。オーバーラミネートフィルムを伸長した場合にも、微小なナノシリカ粒子は延伸部に分散して残留するので、低光沢性の消失が抑えられ、オーバーラミネートフィルムの白化を効果的に防止することができる。樹脂ビーズに隣接して存在するナノシリカ粒子が、樹脂ビーズ、特にウレタン樹脂ビーズとバインダー間のある種の物理的架橋点として働く可能性もある。このような物理的架橋点として作用しうるナノシリカ粒子の存在により、オーバーラミネートフィルムを伸長した際の樹脂ビーズの脱落が抑制され、オーバーラミネートフィルムの白化を効果的に防止することができる。ナノシリカ粒子の平均粒径は、BET法よる比表面積からの換算値である。
【0042】
いくつかの実施態様では、ナノシリカ粒子は、低光沢層において、バインダー100質量部を基準として約5質量部以上、約10質量部以上、又は約20質量部以上、約120質量部以下、約110質量部以下、又は約100質量部以下の量で含まれてよい。ナノシリカ粒子の配合量を上記範囲とすることで、オーバーラミネートフィルムの伸長時にも低光沢の外観を維持し、例えば150%伸長時に、明度の上昇すなわち白化を防止又は抑制することもできる。ナノシリカ粒子の配合量を上記範囲とすることで低光沢層に優れた耐擦傷性を付与することもできる。
【0043】
低光沢層は、イソシアネート又は水酸基と反応可能な官能基を有するシリコーン変性ポリマーをさらに含んでもよい。低光沢の表面に指脂が付着するとその痕跡は容易に観察される。イソシアネート又は水酸基と反応可能な官能基を有するシリコーン変性ポリマーを低光沢層に含ませることで、低光沢層の耐指紋性を高めることができる。シリコーン変性ポリマーは、低光沢層の摩擦係数を低下させて滑りによる耐擦傷性を低光沢層に付与することもできる。シリコーン変性ポリマーのイソシアネート又は水酸基が、バインダーに含まれるウレタン樹脂又はウレタン樹脂ビーズの水酸基又はイソシアネート基と反応してシリコーン変性ポリマーがウレタン樹脂又はウレタン樹脂ビーズに結合していてもよい。この実施態様ではシリコーン変性ポリマーの低光沢層からのブリードアウトを防止又は抑制することができる。
【0044】
イソシアネート又は水酸基と反応可能な官能基を有するシリコーン変性ポリマーとして、ポリエーテル変性シリコーン、ポリエステル変性シリコーン、アラルキル変性シリコーン、アクリル変性シリコーン、シリコーン変性ポリアクリレート、ウレタン変性シリコーンなどのシリコーン変性ポリマーを使用することができる。シリコーン変性ポリマーのイソシアネート又は水酸基と反応可能な官能基として、水酸基、活性水素を有するアミノ基、イソシアネート基、エポキシ基、酸無水物基などが挙げられる。耐指紋性に特に優れることから、シリコーン変性ポリマーは、シリコーン変性ポリアクリレートであることが有利である。シリコーン変性ポリマーは、イソシアネート又は水酸基との反応性が高い水酸基又はイソシアネート基、特に水酸基を有することが望ましい。
【0045】
いくつかの実施態様では、イソシアネート又は水酸基と反応可能な官能基を有するシリコーン変性ポリマー、例えばシリコーン変性ポリアクリレートは、低光沢層において、バインダー100質量部を基準として約0.1質量部以上、約0.5質量部以上、又は約1.0質量部以上、約15質量部以下、約12質量部以下、又は約10質量部以下の量で含まれてよい。シリコーン変性ポリマーの配合量を上記範囲とすることで、低光沢層の耐指紋性及び/又は耐擦傷性をより高めることができる。
【0046】
低光沢層は、その他の任意成分として、樹脂ビーズ及びナノシリカ粒子以外のフィラー、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、分散剤、可塑剤、フロー向上剤、レベリング剤などの添加剤を含んでもよい。これらの添加剤の個々の及び合計の配合量は、低光沢層に必要な特性を損なわない範囲で決定することができる。
【0047】
一実施態様では、低光沢層は、低光沢外観を損なわない範囲で、平均粒径約30μm超、約1000μm未満のフレーク状フィラーを含む。フレーク状フィラーとして、例えば、膨張性黒鉛、アルミニウム箔粉末顔料、ガラスフレーク粉末顔料、樹脂フィルム箔粉末顔料などが挙げられる。フレーク状フィラーの平均粒径はレーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定される累積体積50%粒子径である。フレーク状フィラーの厚みは0.5μm~30μmであってよい。フレーク状フィラーのアスペクト比は1.0~2000であってよい。
【0048】
低光沢層は、樹脂組成物を含むバインダー前駆体と、4μm以上、20μm以下の平均粒径を有する樹脂ビーズと、ナノシリカ粒子とを含む、表面コーティング組成物を用いて形成することができる。一実施態様では、樹脂組成物はウレタン樹脂組成物である。一実施態様では、樹脂ビーズはウレタン樹脂ビーズである。
【0049】
バインダー前駆体は、樹脂組成物に加えて、バインダーに関して上述したセルロースエステルを含んでもよい。セルロースエステルは、表面コーティング組成物に速乾性、指触乾燥性、フロー性、又はレベリング性などを付与することができる。セルロースエステルを、表面コーティング組成物の粘度調整を目的として使用することもできる。
【0050】
表面コーティング組成物は、上述したイソシアネート又は水酸基と反応可能な官能基を有するシリコーン変性ポリマーをさらに含んでもよい。シリコーン変性ポリマーのイソシアネート又は水酸基は、ウレタン樹脂組成物又はウレタン樹脂ビーズの水酸基又はイソシアネート基と反応することで、シリコーン変性ポリマーをウレタン樹脂又はウレタン樹脂ビーズに結合させることができる。これにより、シリコーン変性ポリマーの低光沢層からのブリードアウトを防止又は抑制することができる。シリコーン変性ポリマーを用いる場合、反応性の観点からウレタン樹脂組成物は2液型ウレタン樹脂組成物であることが有利である。
【0051】
表面コーティング組成物の配合は低光沢層について説明したとおりである。セルロースエステル、樹脂ビーズ、ナノシリカ粒子、及びイソシアネート又は水酸基と反応可能な官能基を有するシリコーン変性ポリマーの配合量は、基準としてバインダー100質量部をバインダー前駆体100質量部に読み替えて適用される。
【0052】
表面コーティング組成物は、作業性、塗工性などを改善するために、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトンなどのケトン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル、テトラヒドロフラン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(1-メトキシ-2-プロピルアセテート)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエーテルなどの溶剤をさらに含んでもよい。表面コーティング組成物中の溶剤の配合量は、一般にバインダー前駆体100質量部を基準として、約20質量部以上、又は約30質量部以上、約60質量部以下又は約50質量部以下である。
【0053】
表面コーティング組成物の粘度は、一般に約20mPa・s以上、約50mPa・s以上、又は約100mPa・s以上、約1000mPa・s以下、約800mPa・s以下、又は約600mPa・s以下である。表面コーティング組成物の粘度はB型粘度計を用い、適当なスピンドルを選択して回転数60rpmで測定される。
【0054】
低光沢層は、表面コーティング組成物を、ナイフコート、バーコート、ブレードコート、ドクターコート、ロールコート、キャストコートなどによって基材上にコーティングし、必要に応じて約80℃~150℃に加熱して乾燥及び/又は硬化することによって形成することができる。
【0055】
低光沢層の厚みは、例えば約3μm以上、約5μm以上、又は約10μm以上、約50μm以下、約30μm以下、又は約20μm以下とすることができる。本開示における低光沢層の厚みとは、最も厚い部分の厚み、すなわち最大厚みを意味する。
【0056】
いくつかの実施態様では、低光沢層は透明又は半透明である。これらの実施態様において、低光沢層の波長範囲400~700nmにおける全光線透過率は、約80%以上、約85%以上、又は約90%以上であってもよい。
【0057】
オーバーラミネートフィルムは、透明樹脂ベースフィルムの第2面に配置された透明接着層を有する。透明接着層として、一般に使用されるアクリル系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ゴム系などの、溶剤型、エマルジョン型、感圧型、感熱型、熱硬化型又は紫外線硬化型の接着剤を使用することができる。透明接着層の厚さは、一般に、約5μm以上、約10μm以上、又は約20μm以上、約100μm以下、約80μm以下、又は約50μm以下とすることができる。
【0058】
一実施態様では、透明接着層の波長範囲400~700nmにおける全光線透過率は、約85%以上、約90%以上、又は約95%以上である。
【0059】
透明接着層の表面にライナーが付与されていてもよい。ライナーとして、例えば、紙;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、酢酸セルロースなどのプラスチック材料;このようなプラスチック材料で被覆された紙などを挙げることができる。これらのライナーは、シリコーンなどにより剥離処理した表面を有してもよい。ライナーの厚さは、一般に、約5μm以上、約15μm以上又は約25μm以上、約500μm以下、約300μm以下又は約250μm以下である。
【0060】
一実施態様では、低光沢層の表面光沢度は、測定角を60度としたときに約5GU以下である。いくつかの実施態様では、低光沢層の表面光沢度は、60度で約0.7GU以下、約0.5GU以下、又は約0.3GU以下である。
【0061】
一実施態様では、低光沢層の表面光沢度は、20度で約0.2GU以下、60度で約0.7GU以下、85度で約5.0GU以下である。いくつかの実施態様では、低光沢層の表面光沢度は、20度で約0.2GU以下、60度で約0.5GU以下、85度で約4.5GU以下であるか、20度で約0.1GU以下、60度で約0.3GU以下、85度で約4.0GU以下である。低光沢層の表面光沢度が上記範囲の組み合わせであることにより、オーバーラミネートフィルムに様々な角度で入射する光の反射を抑制し、幅広い視角からオーバーラミネートフィルムで覆われた装飾表面を認識することができる。
【0062】
一実施態様では、オーバーラミネートフィルムの波長範囲400~700nmにおける全光線透過率は、約75%以上、約80%以上、又は約85%以上である。
【0063】
別の実施態様では、オーバーラミネートフィルムは、低光沢層を部分的に被覆する印刷パターンをさらに含む。低光沢の外観を示す表面は光拡散又は不規則な光反射の性質を有することから、そのような低光沢表面において凹凸のあるテクスチャを表現することは難しい。低光沢表面に例えばエンボス加工を施したとしても、表面全体の光沢度が低いことからエンボス加工により形成されたテクスチャの明暗を識別することが難しく、その結果テクスチャの視認性は低くなる。このことは低光沢表面の光沢度が低いほどより顕著である。低光沢層を部分的に被覆する印刷パターンを用いることで、低光沢層の被覆されていない領域と印刷パターンとが協働して生じる光沢度の変化が、観察者にはテクスチャ(凹凸)として認識される。このようにして、オーバーラミネートフィルムに低光沢表面であっても視認可能なテクスチャを形成することができる。
【0064】
この実施態様のオーバーラミネートフィルムの概略断面図を
図2に示す。
図2のオーバーラミネートフィルム100は、低光沢層120を部分的に被覆する印刷パターン140を含む。
【0065】
印刷パターンは、低光沢層の上に光沢領域を設けて、低光沢層の光沢度との差による視認可能なテクスチャをフィルムに付与するために使用される。印刷パターンは、インクジェット印刷、グラビア印刷、静電印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷などの印刷技術を用いることにより低光沢層の上に形成することができる。
【0066】
印刷インクとして、溶剤系インク、水系インク又はUV硬化型インクを用いることができる。印刷インクは透明、半透明、又は不透明であってよく、無色又は有色であってよい。
【0067】
印刷パターンの厚みは様々であってよく、一般に溶剤系インクを用いた場合は、約1μm以上、又は約2μm以上、約10μm以下、又は約5μm以下とすることができる。UV硬化型インクを用いた場合は、約1μm以上、又は約5μm以上、約50μm以下、又は約30μm以下とすることができる。本開示における印刷パターンの厚みとは、最も厚い部分の厚み、すなわち最大厚みを意味する。
【0068】
印刷パターンは連続であってもよく、不連続であってもよい。印刷パターンは、フィルムの全面に対応するように配置されていてもよく、一部又は複数の部分に対応するように配置されていてもよい。印刷パターンとしては、例えば、木目、石目、ロゴ、絵柄、文字、記号などが挙げられる。
【0069】
一実施態様では印刷パターンはインクジェット印刷パターンである。インクジェット印刷は、短納期のオンデマンド製造を可能にする。
【0070】
一実施態様では印刷インクはUV硬化型インクであり、有利にはインクジェット印刷により印刷される。UV硬化型インクは、高低差が大きく滑らかな表面を有する印刷パターンを形成することができ、低光沢層の印刷パターンで被覆されていない領域と、印刷パターンの領域との表面光沢度の差を大きくして、テクスチャをより鮮明に視認可能なものとすることができる。
【0071】
UV硬化型インクとして、ラジカル重合型、カチオン重合型のいずれも使用することができる。UV硬化型インクとして、重合性モノマー及び/又は重合性オリゴマー、光重合開始剤、並びにその他の任意成分(光安定剤、重合禁止剤、UV吸収剤、消泡剤、防汚剤など)を含む無溶剤インクを有利に使用することができる。UV硬化型インクとして水系インク又は溶剤系インクを使用することもできる。
【0072】
一実施態様ではUV硬化型インクはラジカル重合型のアクリル系インクである。アクリル系インクを用いて形成された印刷パターンは、透明性、強度、耐候性などに優れており、例えばオーバーラミネートフィルムを内装材として用いる場合に有利である。
【0073】
UV硬化型インクの粘度は、25℃において約5mPa・s以上、又は約15mPa・s以上、約60mPa・s以下、又は約50mPa・s以下とすることができ、インク射出時、例えば45℃において約1mPa・s以上、又は約5mPa・s以上、約20mPa・s以下、又は約15mPa・s以下とすることができる。UV硬化型インクの粘度を上記範囲とすることにより、インク液滴射出時のインク流動性を確保しつつインク液滴着弾時にインク液滴の形状を維持して、高低差の大きい印刷パターンを形成することができる。
【0074】
低光沢層の上に、UV硬化型インクをインクジェット印刷し、紫外線を照射して硬化することにより、印刷パターンを形成することができる。UV硬化型インクは、低光沢層の少なくとも一部を被覆するように印刷される。UV硬化型インクを繰り返し印刷して、印刷パターンの厚みを大きくしてもよい。
【0075】
オーバーラミネートフィルムの厚みは、一般に約20μm以上、約50μm以上、又は約80μm以上、約500μm以下、約250μm以下、又は約150μm以下とすることができる。オーバーラミネートフィルムの厚みとは、フィルム面内の最大厚みを意味し、ライナーの厚みは含まれない。
【0076】
一実施態様のグラフィック積層体は、第1面及び第1面と反対側の第2面とを有する樹脂ベースフィルムと、第1面の上に配置された印刷層と、第2面の上に配置された接着層とを含むグラフィックフィルムと、グラフィックフィルムの印刷層を被覆する本開示のオーバーラミネートフィルムとを含む。本開示のオーバーラミネートフィルムでグラフィックフィルムの印刷層を覆うことにより、グラフィックフィルムの印刷層によって表現される装飾表面に低光沢外観を付与することができる。予想外のことに、そしていかなる理論に拘束される訳ではないが、本開示のオーバーラミネートフィルムを用いることにより、暗色部分の可視光反射が抑制された、コントラスト比の高い意匠外観を提供することができる。言い換えると、本開示のオーバーラミネートフィルムを用いることにより、暗色部分がより暗く視認されるため、明暗の違いがより際立った、独特でより鮮明な視覚効果を有する意匠外観を提供することができる。
【0077】
一実施態様のグラフィック積層体の概略断面図を
図3に示す。
図3のグラフィック積層体300は、樹脂ベースフィルム210と、印刷層220と、接着層230とを含むグラフィックフィルム200と、グラフィックフィルム200の印刷層220を被覆するオーバーラミネートフィルム100とを含む。オーバーラミネートフィルム100は透明接着層130を介してグラフィックフィルムの印刷層220の上に積層されている。
【0078】
グラフィックフィルムの樹脂ベースフィルムとして様々な樹脂フィルムを用いることができる。樹脂ベースフィルムは伸長可能であってもよい。樹脂ベースフィルムとして、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル-酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、セルロース樹脂、及びフッ素樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂フィルムを用いることができる。
【0079】
樹脂ベースフィルムは有色であってもよく無色であってもよい。樹脂ベースフィルムは、不透明、半透明又は透明であってよい。樹脂ベースフィルムは、略平滑な表面を有してもよく、エンボスなどの表面加工により形成することのできる構造化表面を有してもよい。樹脂ベースフィルムの外観又は形状を上記のとおりとすることで、多様な装飾性をグラフィック積層体に付与することができる。
【0080】
一実施態様では、樹脂ベースフィルムは透明ポリ塩化ビニル樹脂層と、有色ポリ塩化ビニル樹脂層とを含む。この実施態様のグラフィック積層体では、透明ポリ塩化ビニル樹脂層により有色ポリ塩化ビニル樹脂層が支持又は保護されて、グラフィック積層体に耐久性を付与することができる。この実施態様のグラフィック積層体は、例えば建造物又は車両の内装材又は外装材に貼り付ける用途に好適に使用することができる。
【0081】
樹脂ベースフィルムの厚みは、例えば約25μm以上、約50μm以上、又は約80μm以上、約5mm以下、約1mm以下、又は約0.5mm以下とすることができる。
【0082】
いくつかの実施態様において、樹脂ベースフィルムの引張伸長率は、約10%以上、約20%以上、又は約30%以上、約400%以下、約350%以下、又は約300%以下である。樹脂ベースフィルムの引張伸長率は、幅25mm、長さ150mmのサンプルを用意し、引張試験機を用いて、温度20℃、引張速度300mm/分、チャック間隔100mmでサンプルを破断するまで伸長したときの、[破断時のチャック間隔(mm)-伸長前のチャック間隔(mm)(=100mm)]/伸長前のチャック間隔(mm)(=100mm)×100(%)で計算される値である。
【0083】
樹脂ベースフィルムの第1面の上に配置される印刷層は、グラフィックフィルムに意匠性を付与する。印刷層は、インクジェット印刷、グラビア印刷、静電印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷などの印刷技術を用いることにより樹脂ベースフィルムの第1面の上に形成することができる。
【0084】
印刷インクとして、溶剤系インク、水系インク又はUV硬化型インクを用いることができる。印刷インクは透明、半透明、又は不透明であってよく、無色又は有色であってよい。
【0085】
印刷層の厚みは様々であってよく、一般に溶剤系インクを用いた場合は、約1μm以上、又は約2μm以上、約10μm以下、又は約5μm以下とすることができる。UV硬化型インクを用いた場合は、約1μm以上、又は約5μm以上、約50μm以下、又は約30μm以下とすることができる。本開示における印刷層の厚みとは、最も厚い部分の厚み、すなわち最大厚みを意味する。
【0086】
印刷層は連続であってもよく、不連続であってもよい。印刷層は、樹脂ベースフィルムの全面に対応するように配置されていてもよく、一部又は複数の部分に対応するように配置されていてもよい。印刷層は樹脂ベースフィルムの全面を被覆してもよい。一実施態様では、印刷層は印刷領域及び非印刷領域を含む。印刷層の意匠としては、例えば、木目、石目、ロゴ、絵柄、文字、記号などが挙げられる。
【0087】
一実施態様では印刷層はインクジェット印刷層である。インクジェット印刷は、短納期のオンデマンド製造を可能にする。
【0088】
樹脂ベースフィルムの第2面の上に配置される接着層として、一般に使用されるアクリル系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ゴム系などの、溶剤型、エマルジョン型、感圧型、感熱型、熱硬化型又は紫外線硬化型の接着剤を使用することができる。接着層の厚さは、一般に、約5μm以上、約10μm以上、又は約20μm以上、約100μm以下、約80μm以下、又は約50μm以下とすることができる。
【0089】
接着層は有色であってもよく無色であってもよい。接着層は、不透明、半透明又は透明であってよい。一実施態様では、接着層は酸化チタンなどの顔料を含む白色接着層である。白色接着層は印刷層及び必要に応じて樹脂ベースフィルムにより示される意匠の鮮明性を高めることができる。
【0090】
接着層の表面にライナーが付与されていてもよい。ライナーとして、例えば、紙;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、酢酸セルロースなどのプラスチック材料;このようなプラスチック材料で被覆された紙などを挙げることができる。これらのライナーは、シリコーンなどにより剥離処理した表面を有してもよい。ライナーの厚さは、一般に、約5μm以上、約15μm以上又は約25μm以上、約500μm以下、約300μm以下又は約250μm以下である。
【0091】
本開示のオーバーラミネートフィルム及びグラフィック積層体の用途は特に限定されない。例えば、本開示のオーバーラミネートフィルム及びグラフィック積層体は、ビル、マンション、住宅等の建造物の壁、階段、天井、柱、仕切り等の内装材、又は外壁等の外装材として使用できる。また、鉄道車両、船舶、飛行機、二輪、四輪を含む自動車等の各種交通車両の内装材又は外装材として使用できる。さらに、道路標識、看板、家具、電化製品等あらゆる物品の表装材として使用することも可能である。
【実施例】
【0092】
以下の実施例において、本開示の具体的な実施態様を例示するが、本発明はこれに限定されるものではない。部及びパーセントは全て、特に明記しない限り質量による。数値は本質的に測定原理及び測定装置に起因する誤差を含む。数値は通常の丸め処理が行われた有効数字で示される。
【0093】
本実施例で使用した材料、試薬等を表1に示す。
【0094】
【0095】
オーバーラミネートフィルムの作製
例1
表2に示す組成の混合液を自公転型遠心撹拌機THINKY AR-250(株式会社シンキー、日本国東京都千代田区)を用いて3.5分間撹拌して低光沢層コーティング組成物を得た。低光沢層コーティング組成物を、透明樹脂基材1上にナイフコーターを用いギャップを40μmとして塗布し、温度65℃のオーブンに1.5分間置いて溶剤をコーティング層から除去し、その後温度120℃のオーブンに5分間置いて熱硬化させて、乾燥厚み約12μmの低光沢層を形成した。得られたフィルムの低光沢層とは反対側に透明接着層を積層して、オーバーラミネートフィルム1を作製した。透明接着層は、100質量部のADH1及び0.2質量部のCL1を混合し、それをシリコーン被覆ポリエチレンラミネート紙の上に塗布し、65℃で2分間、90℃で3分間乾燥して、乾燥厚み約30μmで形成した。
【0096】
比較例1
ナノシリカ粒子を使用せず、配合量を表2に記載のとおり変更した以外は例1と同様にして低光沢層コーティング組成物を調製し、オーバーラミネートフィルムC1を作製した。
【0097】
【0098】
オーバーラミネートフィルムの特性
例1のオーバーラミネートフィルム1、比較例1のオーバーラミネートフィルムC1、比較例2のオーバーラミネートフィルム(IJ4117N)、及び比較例3のオーバーラミネートフィルム(IJ4137)について、表面光沢度、表面測色(明度L*)、並びに150%伸長後の表面光沢度及び明度L*について以下の条件で測定した。結果を、表3-1及び表3-2に示す。
【0099】
表面光沢度
オーバーラミネートフィルムをSC501上にラミネートし、携帯型光沢計BYKガードナー・マイクロ-トリ-グロス(ビックケミー・ジャパン株式会社、日本国東京都新宿区)を用いて、表面光沢度を測定角20度/60度/85度にて測定した。表面光沢度が60度で5GU以下である場合、実用的な低光沢条件を充たすと評価できる。また、測定角20度で0.2GU以下、60度で0.7GU以下、85度で5.0GU以下の3つを満たす場合、極めて良好な低光沢表面外観を示すと評価できる。
【0100】
150%伸長後の表面光沢度
オーバーラミネートフィルムをSC501上にラミネートし、得られた積層体を150mm×15mmにカットしてサンプルを作製した。サンプルをテンシロン万能試験機RTC-1210A(株式会社エー・アンド・デイ、日本国東京都豊島区)を用いて温度20℃、相対湿度60%の環境下で100mm/分の速度で150%伸長した。伸長後のサンプルの表面光沢度を測定角20度/60度/85度にて測定した。表面光沢度が60度で5GU以下である場合、実用的な低光沢条件を充たすと評価できる。また、測定角20度で0.2GU以下、60度で0.7GU以下、85度で5.0GU以下の3つを満たす場合、極めて良好な低光沢表面外観を示すと評価できる。
【0101】
表面測色(明度L*)
オーバーラミネートフィルムをSC501上にラミネートし、分光測色計CM-3700d(コニカミノルタジャパン株式会社、日本国東京都港区)を用いて光源D65/10°、正反射処理SCI、UV反射0%にて明度L*値の測定を行った。
【0102】
150%伸長後の明度L*
オーバーラミネートフィルムをSC501上にラミネートし、得られた積層体を150mm×15mmにカットしてサンプルを作製した。サンプルをテンシロン万能試験機RTC-1210A(株式会社エー・アンド・デイ、日本国東京都豊島区)を用いて温度20℃、相対湿度60%の環境下で100mm/分の速度で150%伸長した。伸長後のサンプルの表面測色を行った。オーバーラミネートフィルムの伸長前の明度をL*
1、150%伸長後の明度をL*
2、明度差をΔL*=L*
2-L*
1としたときの明度差ΔL*を計算した。明度差ΔL*が低いほど伸長による明度の上昇すなわち白化が少ないと評価できる。
【0103】
【0104】
【0105】
グラフィック積層体の作製
表5に記載のオーバーラミネートフィルムを用いて例1GA及び例1GB、並びに比較例1GA及び1GB~2GBのグラフィック積層体を作製した。
【0106】
インクジェット印刷A
グラフィックフィルムの印刷層を2種類のインクジェットプリンタを用いて形成した。一つはUVインクジェットプリンタUJF-3042FX(株式会社ミマキエンジニアリング、日本国長野県東御市)であり、もう一つは溶剤インクジェットプリンタXR-640(ローランド ディー.ジー.株式会社、日本国静岡県浜松市)である。印刷条件を以下の表4-1及び表4-2に記載する。
【0107】
【0108】
【0109】
【0110】
例1GA、例1GB、比較例1GA、比較例1GB、及び比較例2GBのグラフィック積層体について、可視光反射率、コントラスト比等を以下の条件で測定した。
【0111】
可視光反射率
グラフィック積層体の各印刷部(CMYK)及び非印刷部(白色)について、紫外可視近赤外(UV-Vis-NIR) 分光光度計SolidSpec-3700(株式会社島津製作所、日本国京都府京都市)を用い、JIS A 5759:2008に準拠して可視光反射率を測定した。
【0112】
コントラスト比、コントラスト改善指数及び可視光反射保持率
可視光反射率から、コントラスト比、コントラスト改善指数及び可視光反射保持率を下式に従って決定した。コントラスト改善指数が1を超えて高いほど、明暗の違いが際立った鮮明な視覚効果を有する意匠外観が提供されることを意味する。コントラスト改善指数が1未満である場合、コントラスト比がオーバーラミネートフィルムで被覆したことにより低下したことを意味する。可視光反射保持率が100%を超える場合、可視光反射率がオーバーラミネートフィルムで被覆したことにより増加したことを意味する。
【0113】
・コントラスト比=(黒色(K)以外の印刷部及び非印刷部における可視光反射率)/(黒色印刷部の可視光反射率)
【0114】
・コントラスト改善指数=(オーバーラミネートフィルムで被覆された、各印刷部及び非印刷部のコントラスト比)/(オーバーラミネートフィルムで被覆されていない、各印刷部及び非印刷部のコントラスト比)
【0115】
・可視光反射保持率=(オーバーラミネートフィルムで被覆された、各印刷部及び非印刷部の可視光反射率)/(オーバーラミネートフィルムで被覆されていない、各印刷部及び非印刷部の可視光反射率)
【0116】
表面光沢度
携帯型光沢計BYKガードナー・マイクロ-トリ-グロス(ビックケミー・ジャパン株式会社、日本国東京都新宿区)を用いて、表面光沢度を測定角20度/60度/85度にて測定した。表面光沢度が60度で5GU以下である場合、実用的な低光沢条件を充たすと評価できる。また、測定角20度で0.2GU以下、60度で0.7GU以下、85度で5.0GU以下の3つを満たす場合、極めて良好な低光沢表面外観を示すと評価できる。
【0117】
例1GA及び例1GB、並びに比較例1GA及び1GB~2GBのグラフィック積層体の評価結果を表6A(印刷層:UV硬化型インクジェット印刷)及び表6B(印刷層:溶剤インクジェット印刷)に示す。参考例1GA(印刷層:UV硬化型インクジェット印刷)及び参考例1GB(印刷層:溶剤インクジェット印刷)はオーバーラミネートフィルムで被覆されていない、印刷層を有するグラフィックフィルムの評価結果である。
【0118】
【0119】
【0120】
溶剤インクジェット印刷層自体は非常に平滑な表面を形成するため、比較例1GB~2GBで使用したオーバーラミネートフィルムで被覆された部分と被覆されていない部分の可視光反射率の違いは小さい。一方、例1のオーバーラミネートフィルム1を用いた場合、黒色印刷部の可視光反射保持率が大きく低下するため、コントラスト改善指数が大きい、すなわちコントラスト比が高められた意匠外観を提供することができる。
【0121】
インクジェット印刷B
参考例2G
グラフィックフィルムSC501の上に、表7の記載の条件で直接印刷して参考例2Gのグラフィックフィルムを作製した。
【0122】
【0123】
例2G及び比較例3G
表8に記載のオーバーラミネートフィルムの低光沢層又は艶消し表面の上に表7の記載の条件で印刷し、その後グラフィックフィルムSC501の上に積層して例2G及び比較例3Gのグラフィック積層体を作製した。
【0124】
【0125】
例2G及び比較例3Gのグラフィック積層体のCMYKバー、透明インクバー及び非印刷部の評価結果を表9に示す。表9の参考例2Gは、オーバーラミネートフィルムで被覆されていない、直接印刷されたグラフィックフィルムSC501の評価結果である。
【0126】
【0127】
比較例3Gのオーバーラミネートフィルム(IJ4137)を用いた場合、可視光反射保持率をインクのレイダウンによって効果的に低下させることは難しい。一方、例2Gのオーバーラミネートフィルムを用いた場合、可視光反射保持率をインクのレイダウンによって調節することができる。具体的には、例2Gの可視光反射保持率は、透明100%のときに101%であり、レイダウンを小さくすることにより徐々に低下し、非印刷部では65%である。このことは、インクのレイダウンを調整してオーバーラミネートフィルム上に印刷パターンを形成することにより、低光沢表面に様々な視覚効果をもたらす視認可能なテクスチャが形成可能であることを意味する。
【0128】
本発明の様々な改良及び変更が本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく可能であることは当業者にとって自明である。本発明の実施態様の一部を以下の態様1~15に記載する。
[態様1]
装飾表面に適用されるオーバーラミネートフィルムであって、
第1面及び前記第1面と反対側の第2面とを有する透明樹脂ベースフィルムと、
前記透明樹脂ベースフィルムの前記第1面に配置された低光沢層と、
前記透明樹脂ベースフィルムの前記第2面に配置された透明接着層と
を含み、
前記低光沢層が、樹脂を含むバインダーと、4μm以上、20μm以下の平均粒径を有する樹脂ビーズと、ナノシリカ粒子とを含み、
前記低光沢層の表面光沢度が60度で5GU以下である、オーバーラミネートフィルム。
[態様2]
前記低光沢層を部分的に被覆する印刷パターンをさらに含む、態様1に記載のオーバーラミネートフィルム。
[態様3]
前記印刷パターンがインクジェット印刷パターンである、態様2に記載のオーバーラミネートフィルム。
[態様4]
前記オーバーラミネートフィルムが伸長可能である、態様1~3のいずれか一態様に記載のオーバーラミネートフィルム。
[態様5]
前記ナノシリカ粒子の平均粒径が10nm以上、100nm以下である、態様1~4のいずれか一態様に記載のオーバーラミネートフィルム。
[態様6]
前記低光沢層が、前記バインダー100質量部を基準として、前記ナノシリカ粒子を5質量部以上、120質量部以下含む、態様1~5のいずれか一態様に記載のオーバーラミネートフィルム。
[態様7]
前記低光沢層が、前記バインダー100質量部を基準として、前記樹脂ビーズを70質量部以上、240質量部以下含む、態様1~6のいずれか一態様に記載のオーバーラミネートフィルム。
[態様8]
前記バインダーがウレタン樹脂を含む、態様1~7のいずれか一態様に記載のオーバーラミネートフィルム。
[態様9]
前記樹脂ビーズがウレタン樹脂ビーズである、態様1~8のいずれか一態様に記載のオーバーラミネートフィルム。
[態様10]
前記低光沢層の表面光沢度が、60度で0.7GU以下である、態様1~9のいずれか一態様に記載のオーバーラミネートフィルム。
[態様11]
前記バインダーがセルロースエステルをさらに含む、態様1~10のいずれか一態様に記載のオーバーラミネートフィルム。
[態様12]
前記ウレタン樹脂が2液型ウレタン樹脂組成物の硬化物を含む、態様8に記載のオーバーラミネートフィルム。
[態様13]
前記透明樹脂ベースフィルムが、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル-酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、セルロース樹脂、及びフッ素樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂を含む、態様1~12のいずれか一態様に記載のオーバーラミネートフィルム。
[態様14]
第1面及び前記第1面と反対側の第2面とを有する樹脂ベースフィルムと、前記第1面の上に配置された印刷層と、前記第2面の上に配置された接着層とを含むグラフィックフィルムと、
前記グラフィックフィルムの前記印刷層を被覆する態様1~13のいずれか一態様に記載のオーバーラミネートフィルムと
を含むグラフィック積層体。
[態様15]
前記グラフィックフィルムの前記印刷層が印刷領域及び非印刷領域を含む、態様14に記載のグラフィック積層体。
【符号の説明】
【0129】
100 オーバーラミネートフィルム
110 透明樹脂ベースフィルム
120 低光沢層
122 バインダー
124 樹脂ビーズ
126 ナノシリカ粒子
130 透明接着層
140 印刷パターン
150、250 ライナー
200 グラフィックフィルム
210 樹脂ベースフィルム
220 印刷層
230 接着層
300 グラフィック積層体