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7343303基板の回収方法と、該回収方法の実施に供する加工後基板回収装置
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  • -基板の回収方法と、該回収方法の実施に供する加工後基板回収装置 図1
  • -基板の回収方法と、該回収方法の実施に供する加工後基板回収装置 図2
  • -基板の回収方法と、該回収方法の実施に供する加工後基板回収装置 図3
  • -基板の回収方法と、該回収方法の実施に供する加工後基板回収装置 図4
  • -基板の回収方法と、該回収方法の実施に供する加工後基板回収装置 図5
  • -基板の回収方法と、該回収方法の実施に供する加工後基板回収装置 図6
  • -基板の回収方法と、該回収方法の実施に供する加工後基板回収装置 図7
  • -基板の回収方法と、該回収方法の実施に供する加工後基板回収装置 図8
  • -基板の回収方法と、該回収方法の実施に供する加工後基板回収装置 図9
  • -基板の回収方法と、該回収方法の実施に供する加工後基板回収装置 図10
  • -基板の回収方法と、該回収方法の実施に供する加工後基板回収装置 図11
  • -基板の回収方法と、該回収方法の実施に供する加工後基板回収装置 図12
  • -基板の回収方法と、該回収方法の実施に供する加工後基板回収装置 図13
  • -基板の回収方法と、該回収方法の実施に供する加工後基板回収装置 図14
  • -基板の回収方法と、該回収方法の実施に供する加工後基板回収装置 図15
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-04
(45)【発行日】2023-09-12
(54)【発明の名称】基板の回収方法と、該回収方法の実施に供する加工後基板回収装置
(51)【国際特許分類】
   B23Q 7/03 20060101AFI20230905BHJP
   B23B 41/00 20060101ALI20230905BHJP
   B23B 47/00 20060101ALI20230905BHJP
   B23Q 7/16 20060101ALI20230905BHJP
   B23Q 7/04 20060101ALI20230905BHJP
   B23Q 7/00 20060101ALI20230905BHJP
   B26D 7/18 20060101ALI20230905BHJP
   B26D 7/32 20060101ALI20230905BHJP
   B26D 7/06 20060101ALN20230905BHJP
【FI】
B23Q7/03 B
B23B41/00 D
B23B47/00 A
B23Q7/16
B23Q7/04 K
B23Q7/00 A
B26D7/18 C
B26D7/32 A
B26D7/06 C
B26D7/06 F
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019098164
(22)【出願日】2019-05-26
(65)【公開番号】P2020192622
(43)【公開日】2020-12-03
【審査請求日】2022-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】512052904
【氏名又は名称】大船企業日本株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100767
【弁理士】
【氏名又は名称】湯浅 正彦
(74)【代理人】
【識別番号】100141210
【弁理士】
【氏名又は名称】藤木 良幸
(72)【発明者】
【氏名】金谷 保彦
(72)【発明者】
【氏名】山内 益夫
(72)【発明者】
【氏名】片桐 勇
【審査官】増山 慎也
(56)【参考文献】
【文献】特公昭48-019988(JP,B1)
【文献】特開2002-167045(JP,A)
【文献】特開昭63-306897(JP,A)
【文献】特開平11-227945(JP,A)
【文献】特開平11-220291(JP,A)
【文献】特開2002-002695(JP,A)
【文献】実開昭60-157712(JP,U)
【文献】特開2000-042856(JP,A)
【文献】特表平06-506431(JP,A)
【文献】米国特許第04867297(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 47/00
B23B 41/00
B23Q 7/00、03、16
B26D 7/00、06、18、32
H05K 13/02
H05K 3/00
B65G 47/53
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の加工軸を有する基板加工装置の背面側に基板加工装置と平行に設置され、投入排出機構により、基板加工装置へ投入される、平面視長方形で、且つ収納されている加工後基板に対して、左右いずれか一方に90°回転させて交互に直交するように上下に積層された際に、その重複する位置より外側となる位置に、下方に向けてピンの突出長が加工後基板の厚さより短い位置決め用のピンが設けられた加工前基板、及び基板加工装置から排出される加工後基板を一端側から他端方向へ移送する基板移送機構からの、加工後基板収納装置への加工後基板の回収方法であって、
加工後基板回収機構により基板移送機構の他端から、位置決め用のピンを下方に向けて加工後基板を加工後基板収納装置へ移動可能且つ昇降自在並びに加工後基板を水平方向に回転可能とするとともに、
下記工程を反復して行うことを特徴とする加工後基板の回収方法。

イ)基板移送機構の他端上へ移送された加工後基板を、加工後基板回収機構により加工後基板収納装置側へ移動する。
ロ)該加工後基板回収機構により加工後基板を加工後基板収納装置内にそのまま降し、載置する。
ハ)基板移送機構の他端上へ移送された次の加工後基板を、加工後基板回収機構により加工後基板収納装置側へ移動する。
ニ)該加工後基板を、水平方向に左右いずれか90°回転させる。
ホ)該回転させた加工後基板を加工後基板収納装置内で降ろしながら、既に収納されている加工後基板上に載置して積層する。
ヘ)以降、順次イ)~ホ)の工程を反復する。
【請求項2】
基板移送機構の他端上へ搬送されてきた一加工単位の平面視長方形で、且つ収納されている加工後基板に対して、左右いずれか一方に90°回転させて交互に直交するように上下に積層された際に、その重複する位置より外側となる位置に、下方に向けてピンの突出長が加工後基板の厚さより短い位置決め用のピンが設けられた加工後基板を負圧によって吸着する吸着部を有し、該吸着部は水平方向に回転自在となるとともに、運搬アーム部を介して昇降自在且つ移動可能となり、
イ)基板移送機構の他端上へ搬送された、下方に向けて位置決め用のピンを突設する加工後基板を、運搬アーム部の吸着部で吸着するとともに、持ち上げ、加工後基板収納装置側へ移動する、
ロ)該運搬アーム部により加工後基板を該加工後基板収納装置内にそのまま降ろし、載置する、
ハ)基板移送機構の他端上へ搬送された次の加工後基板を、運搬アーム部の吸着部で吸着するとともに、持ち上げ、加工後基板収納装置側へ移動する、
ニ)該加工後基板を、水平方向に左右いずれか90°回転させる、
ホ)該回転させた加工後基板を加工後基板収納装置内で降ろし、既に収納されている加工後基板上に対して直交させて積層する、
ヘ)以降、順次イ)~ホ)の工程を反復する、
ことを特徴とする請求項1記載の加工後基板の回収方法を具える加工後基板回収装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、基板搬送装置を構成し、基板加工装置から排出される加工後基板を、基板搬送装置を構成する基板移送機構から回収する加工後基板の回収方法、また、加工後基板の回収方法を具える加工後基板回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板に穴明け加工等を行う基板加工装置に対して加工前の基板を投入し、又、加工後の基板を排出するという、加工前後の基板を搬送する基板搬送方法を備える基板搬送装置では、基板加工装置での加工作業も含めて短時間で完了させるため、該基板加工装置へ加工前の基板を投入し、又、加工後の基板を排出するという、加工前後の基板を搬送する時間も短時間とすることが必然的に要求されていた。
【0003】
そのため、基板加工装置が複数のスピンドルを有することから、図6に示すように、その各加工軸に対して、それぞれ加工前の基板を投入し、又、加工後の基板を排出するという、加工前後の基板を搬送する基板搬送装置が複数使用されていた。
【0004】
上記基板搬送装置(ニ)においては、加工前収納装置(ホ)から基板加工装置(イ)を経て加工後収納装置(ト)へ至る加工前後の基板の移動方向を一致させるとともに、基板の移動距離が最短となるように、基板加工装置(イ)に対してその加工軸毎に各々独立した基板搬送装置(ニ)が直列に且つ相互に並列に配置されていた。
【0005】
そして、各基板搬送装置(ニ)は、基板加工装置(イ)の加工テーブル(ロ)上における各加工部(ハ)に対応してそれぞれ独立するものであって、それぞれ加工前収納装置(ホ)、加工後収納装置(ト)、基板エレベーター(リ)、基板載置スペース(ル)、搬入搬出リフト(ヌ)及び投入排出リフト(ヲ)とからなるものである。
ここで、加工前収納装置(ホ)と加工後収納装置(ト)とは、後述するように上下に積層するように配置されるので、該加工前収納装置(ホ)から加工前基板(ヘ)を搬出搬入リフト(ヌ)により基板載置スペース(ル)へ搬入する際、又は基板加工装置(イ)から基板載置スペース(ル)へ排出されて載置された加工後基板(チ)を加工後収納装置(ト)へ搬入する際には、それぞれ基板エレベーター(リ)によって加工前収納装置(ホ)及び加工後収納装置(ト)を保持しつつ、それらを基板載置スペース(ル)との高さを合わせるように上昇又は下降するものである。
【0006】
ところが、当該従来例においては、基板搬送装置の必要設置面積を少なくするために、奥行きを少しでも短くして加工前収納装置と加工後収納装置を上下に積層して配置していた。そのため、加工前基板も加工後基板もいずれも平置きに積層されてストックされることとなっていた。その場合、長方形の基板の一対向辺近傍にはそれぞれ位置決めピンが設定されていることから、加工前基板にせよ、加工後基板にせよ、それらを直接積層すると不安定になり易く、積層に際しては慎重に行うことが必要となる上、そのピンが他の基板に対して接触しつつ不用意に摺動することで、その接触された基板表面を損傷する虞があった。また、加工前収納装置と加工後収納装置とが積層され、そこへの基板の載置やそこからの基板の回収は人手に依存していることから、作業のし易さの点からも人の背丈に規制されていた。
【0007】
一方、基板搬送設置の設置面積を少なくするために、例えば、特願2019-8889号に示される、以下のような基板搬送装置が提案されている(図7参照)。すなわち、基板搬送装置Aとして、
複数の加工軸を有する基板加工装置Jに対して平行に展開され、一端に加工前基板Cを載置・収納する加工前収納装置B、他端に加工後基板Fを載置・収納する加工後収納装置E、加工前収納装置Bと加工後収納装置E間を連絡する軸移動コンベアH、加工前収納装置Bから軸移動コンベアHへ加工前基板Cを移動可能とする搬入リフトD、軸移動コンベアHから加工後収納装置Eへ加工後基板Fを移動可能とする搬出リフトG、及び基板加工装置Jの加工テーブルK上に複数並設された各加工部L1~L6に対応して設けられ、軸移動コンベアHと基板加工装置Jの各加工部L1~L6との間で加工前後の基板C、Fを投入し、排出する投入排出リフトMからなるものであって、
イ)加工前収納装置Bに載置・収納された加工前基板Cを、軸移動コンベアHの一端へ搬入リフトDにより搬入する、
ロ)該加工前基板Cを軸移動コンベアHにより他端方向へ送出するとともに、基板加工装置Jの加工軸数及び加工軸ピッチに合わせて、順次新たな加工前基板Cを搬入リフトDにより軸移動コンベアHへ搬入し、基板加工装置Jの加工テーブルK上に複数並設された加工部L1~L6に対応する位置まで軸移動コンベアHにより移動させる、
ハ)軸移動コンベアH上の、該基板加工装置Jの各加工部L1~L6に対応する位置に各々配置された前記加工前基板Cを、基板加工装置Jの各対応する加工部L1~L6へ投入排出リフトMにより投入する、
ニ)基板加工装置Jによる基板加工が終了した加工後基板Fを、基板加工装置Jの加工部L1~L6から軸移動コンベアH上の元の位置に投入排出リフトMにより排出する、
ホ)軸移動コンベアH上の元の位置に排出された加工後基板Fの内、軸移動コンベアHの最他端側に排出された加工後基板Fを、搬出リフトGにより軸移動コンベアHから加工後収納装置Eへ搬出して載置・収納する、
ヘ)軸移動コンベアH上に排出されている残りの加工後基板Fを、順次、軸移動コンベアHにより加工後収納装置E側へ送出して、最他端側の位置で、搬出リフトGにより軸移動コンベアHから加工後収納装置Eへ搬出して載置・収納する、
ト)以降、イ)~ヘ)の工程を反復してなるものである。
【0008】
ところで、上記基板搬送装置Aでは、前記の従来例とは異なり、加工前収納装置Bと加工後収納装置Eとは軸移動コンベアHを挟んで逆側に設置され、積層はされていない。
しかし、加工前基板C自体は加工前収納装置B内に水平に積層しながら載置・収納され、また、加工後基板Fは加工後収納装置E内に水平に積層しながら載置・収納されるものである。
【0009】
しかしながら、加工前後の基板C、Fの表面には、基板加工装置Jの加工部L1~L6内での正確な基板の位置決めに使用するピンNが突設されており、加工前基板Cを載置・収納する加工前収納装置B及び加工後基板Fを載置・収納する加工後収納装置E内では、積層する加工前基板C及び加工後基板FとピンNとが干渉してしまい、積層して載置される加工前後の基板C、Fが不安定になってしまい、また基板C、Fに対して損傷を与えてしまう恐れがある。
そして、一度に大量の加工前後の基板C、Fを加工前収納装置B及び加工後収納装置E内に積層しながら収納することができないので、頻繁に該加工前収納装置B及び加工後収納装置Eに対して加工前基板C又は加工後基板Fを供給し又は回収し、あるいは加工前収納装置B及び加工後収納装置E自体を交換しなければならず、製造作業における作業効率の低下をも招いてしまうものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開昭61-244441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
解決しようとする問題点は、加工前基板を移送し、また、基板加工装置から排出される加工後基板を移送する基板移送機構から自動的に回収された加工後基板を簡易且つ安全に、しかも大量にストック可能とし、基板加工作業における作業効率を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そこで、加工後基板の回収方法として、
複数の加工軸を有する基板加工装置の背面側に基板加工装置と平行に設置され、投入排出機構により、基板加工装置へ投入される、平面視長方形で、且つ収納されている加工後基板に対して、左右いずれか一方に90°回転させて交互に直交するように上下に積層された際に、その重複する位置より外側となる位置に、下方に向けてピンの突出長が加工後基板の厚さより短い位置決め用のピンが設けられた加工前基板、及び基板加工装置から排出される加工後基板を一端側から他端方向へ移送する基板移送機構からの、加工後基板収納装置への加工後基板の回収方法であって、
加工後基板回収機構により基板移送機構の他端から、位置決め用のピンを下方に向けて突設する加工後基板を加工後基板収納装置へ移動可能且つ昇降自在並びに加工後基板を水平方向に回転可能とするとともに、
下記工程を反復して行うものである。

イ)基板移送機構の他端上へ移送された加工後基板を、加工後基板回収機構により加工後基板収納装置側へ移動する。
ロ)該加工後基板回収機構により加工後基板を加工後基板収納装置内にそのまま降し、載置する。
ハ)基板移送機構の他端上へ移送された次の加工後基板を、加工後基板回収機構により加工後基板収納装置側へ移動する。
ニ)該加工後基板を、水平方向に左右いずれか90°回転させる。
ホ)該回転させた加工後基板を加工後基板収納装置内で降ろしながら、既に収納されている加工後基板上に載置して積層する。
ヘ)以降、順次イ)~ホ)の工程を反復する。
ものである。
【0013】
そして、前記加工後基板の回収方法を具える加工後基板回収装置として、
基板移送機構の他端上へ搬送されてきた一加工単位の平面視長方形で、且つ収納されている加工後基板に対して、左右いずれか一方に90°回転させて交互に直交するように上下に積層された際に、その重複する位置より外側となる位置に、下方に向けてピンの突出長が加工後基板の厚さより短い位置決め用のピンが設けられた加工後基板を負圧によって吸着する吸着部を有し、該吸着部は水平方向に回転自在となるとともに、運搬アーム部を介して昇降自在且つ移動可能となり、
イ)基板移送機構の他端上へ搬送された、下方に向けて位置決め用のピンを突設する加工後基板を、運搬アーム部の吸着部で吸着するとともに、持ち上げ、加工後基板収納装置側へ移動する、
ロ)該運搬アーム部により加工後基板を該加工後基板収納装置内にそのまま降ろし、載置する、
ハ)基板移送機構の他端上へ搬送された次の加工後基板を、運搬アーム部の吸着部で吸着するとともに、持ち上げ、加工後基板収納装置側へ移動する、
ニ)該加工後基板を、水平方向に左右いずれか90°回転させる、
ホ)該回転させた加工後基板を加工後基板収納装置内で降ろし、既に収納されている加工後基板上に対して直交させて積層する、
ヘ)以降、順次イ)~ホ)の工程を反復する、
ものである。
【0014】
そのため、上記加工後基板の回収方法及び該加工後基板の回収方法を具える加工後基板回収装置においては、回収された複数の一加工単位の加工後基板は相互に直交して積層されるので、該加工後基板において下方に向けてピンが突設していても、上層の基板のピンが下に積層されている基板に接触することがなく、安定して積層されるとともに、基板に損傷を与えることもなく、更に、加工後基板収納装置に多量の加工後基板を積層させてストックすることができることから、基板加工作業における作業効率を向上させることができるものとなる。
なお、加工前後の基板において突設される位置決め用のピンの長さは、複数の加工後基板を積層すると下方に向いているので、交互に同方向となるようにして下に積層されている他の加工後基板を傷付けることがないように、加工後基板の厚さより短いものとする。
【発明の効果】
【0015】
本願発明の加工後基板の回収方法によれば、基板に対して位置決め用のピンによる損傷を与えることなく、加工後基板の回収時には加工後基板収納装置内に加工後基板を大量に積層してストックすることができ、基板加工作業での作業効率を著しく向上させて、基板加工作業におけるコストを十分に低減させることができる優れた効果を有するものである。
また、本願発明の装置はそれらの方法の実施に供するものであり、同様の優れた効果を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本願発明の実施例を含む、基板加工装置に対する基板搬送装置の構成を示す模式図である。
図2図2(イ)は、本願発明の実施例を含む基板搬送装置を構成する加工前基板供給装置と位置調整機構との取り合いを示す要部拡大側面模式図、同図(ロ)は、位置調整機構の拡大上面図である。
図3図3(イ)、(ロ)は、本願発明の実施例を含む基板搬送装置を構成する加工前基板供給装置及び位置調整機構の作動状況を示す側面模式図である。
図4図4(ハ)、(ニ)は、本願発明の実施例を含む基板搬送装置を構成する加工前基板供給装置及び位置調整機構の図3に続く作動状況を示す側面模式図である。
図5図5(ホ)は、本願発明の実施例を含む基板搬送装置を構成する加工前基板供給装置及び位置調整機構の図4に続く作動状況を示す側面模式図である。
図6図6(イ)は、本願発明の実施例である、基板搬送装置を構成する加工後基板回収装置の拡大上面図、同図(ロ)は、その要部拡大側面模式図である。
図7図7(イ)、(ロ)は、本願発明の実施例である、基板搬送装置を構成する加工後基板回収装置の作動状況を示す上面模式図及び要部拡大側面模式図である。
図8図8(ハ)、(ニ)は、本願発明の実施例である、基板搬送装置を構成する加工後基板回収装置の図7に続く作動状況を示す上面模式図及び要部拡大側面模式図である。
図9図9(ホ)、(ヘ)は、本願発明の実施例である、基板搬送装置を構成する加工後基板回収装置の図8に続く作動状況を示す上面模式図及び要部拡大側面模式図である。
図10図10(ト)、(チ)は、本願発明の実施例である、基板搬送装置を構成する加工後基板回収装置の図9に続く作動状況を示す上面模式図及び要部拡大側面模式図である。
図11図11(リ)、(ヌ)は、本願発明の実施例である、基板搬送装置を構成する加工後基板回収装置の図10に続く作動状況を示す上面模式図及び要部拡大側面模式図である。
図12図12(ル)、(ヲ)は、本願発明の実施例である、基板搬送装置を構成する加工後基板回収装置の図11に続く作動状況を示す上面模式図及び要部拡大側面模式図である。
図13図13(ワ)、(カ)は、本願発明の実施例である、基板搬送装置を構成する加工後基板回収装置の図12に続く作動状況を示す上面模式図及び要部拡大側面模式図である。
図14】従来の基板搬送装置の構成を示す模式図である。
図15】別の従来の基板搬送装置の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
基板に突設する位置決め用ピンによる他の基板への損傷を防止し、基板加工装置に投入する加工前基板を駆動ギアコンベアに供給し、該基板加工装置より駆動ギアコンベアへ排出される加工後基板を回収するにあたり、供給時には一度に大量の加工前基板を容易にストックし、また回収時には一度に大量の加工後基板を積層してストックするものとし、基板加工作業での作業効率を向上させるようとする。
【実施例
【0018】
図1において示すのは、本願発明における実施例である加工後基板回収装置6を含む基板搬送装置1であり、加工前基板供給装置4とともに加工後基板7の回収方法を実現した加工後基板回収装置6と、基板加工装置2の加工部2a~2fへ加工前基板5を投入し、また基板加工装置2の加工部2a~2fから加工後基板7を排出する投入排出リフト3と、その加工前基板5と加工後基板7とを搬送する駆動ギアコンベア8と、駆動ギアコンア8の一端8aにおいて、駆動ギアコンベア8に直交して駆動する位置合わせベルトコンベア10aを昇降機10bにより昇降可能とし、上昇時には加工前基板5の位置調整を、また降下時には駆動ギアコンベア8上に加工前基板5を載置する位置調整機構10、及び加工後基板収納装置9とから構成される、基板加工装置2に対する基板搬送装置1である。なお、上記加工前後の基板5、7においては、基板加工装置2の加工部2a~2f内で正確な位置決めを行うために利用するピンNが突設されているものであり、この一枚の加工前後の基板5、7において突設されている2本の位置決め用のピンNは、前記駆動ギアコンベア8における後述の駆動ギア集合体8cに干渉しないように位置するものである(図1参照)。
【0019】
そして、駆動ギアコンベア8の一端8aに対して、位置調整機構10を介して加工前基板5を供給する加工前基板供給装置4、及び駆動ギアコンベア8の他端8b上から加工後基板7を回収する加工後基板回収装置6が、それぞれ駆動ギアコンベア8の搬送方向に対して加工前基板5の供給方向及び加工後基板7の回収方向を直交してなるように、同側において配置されるものである(図1参照)。このため、基板加工装置2に対して基板搬送装置1はコンパクトに配置されているので、その設置空間を最小限にすることができるとともに、該加工前基板供給装置4及び加工後基板回収装置6は、基板加工装置2に対するメンテナンスを容易にするように、駆動ギアコンベア8に対して分離可能としても良いものである。
尚、基板は基板加工装置2のスピンドルによる一回の加工において、複数枚が積層されて加工されうることから、その複数枚の積層されたものを一加工単位としているが、ここでは単に加工前基板5あるいは加工後基板7と表示する。
【0020】
上記基板搬送装置1を構成する加工前基板供給装置4は、水平部4bと半円部4cとからなる縦断面が略角丸長方形状となるように形成され、同形状を保持したまま回転可能となる供給チェーン4aと、該供給チェーン4aにおいて加工前基板5を水平部4bで位置決め用のピンNを移動方向に向けて略直立に保持するように全周にわたって並設される保持プレート4dとからなるものである[図2(イ)参照]。
【0021】
また、位置調整機構10は、駆動ギアコンベア8の一端8aに配置されるものであって、該駆動ギアコンベア8における加工前基板5の搬送方向に対して直交する方向へ加工前基板5を移動させる複数の位置合わせベルトコンベア10aと、該位置合わせベルトコンベア10aを昇降可能とするように下方より支持する昇降機10bとからなるものである。
そして、該複数の位置合わせベルトコンベア10aは、後述する駆動ギアコンベア8の一端8aにおいて、後述するように複数列となって駆動ギアコンベア8を構成する駆動ギア集合体8c、8cの各列間にそれぞれ配置されており、該昇降機10bの作動により、前記駆動ギア集合体8cに対して上方又は下方に位置するように変位可能となっている[図2(ロ)参照]。
【0022】
さらに、上記基板搬送装置1を構成する本願発明の加工後基板回収装置6は、駆動ギアコンベア8の他端8b上へ移送されてきた加工後基板7を負圧によって吸着する吸着部6aを有し、該吸着部6aは水平方向に回転自在となるとともに、加工後基板収納装置9上にまで延びた運搬アーム部6bを介して昇降自在、且つ移動可能となるものである[図6(イ)、(ロ)参照]。
【0023】
また、上記駆動ギアコンベア8は、複数の駆動ギアを軸着して形成してなる駆動ギア集合体8cを、一定間隔を持って複数平行に架設して構成されているものであり、上記基板加工装置2の加工テーブル2’上に6個並設される加工部2a~2fに対して平行に展開され、その一端8a上から他端8b上へ加工前基板5及び加工後基板7を搬送するものである。
【0024】
なお、基板加工装置2には、6個のスピンドル(図示せず、以下同じ。)が設けられ、それに対応して縦軸(Y軸)方向(以下、「Y軸方向」という。)に移動可能となる加工テーブル2’において加工部2a~2fが6個並設されており、前記加工部2a~2f各々の上部においてスピンドルが6個搭載され、横軸(X軸)方向に移動可能となる横行機構により並設されているものであって、縦軸方向及び横軸方向の組み合わせ動作により加工部2a~2fの上に投入された加工前基板5の任意の位置に穴明け加工ができるようになっている。
また、上記加工部2a~2f各々の床面には、投入された加工前基板5に突設される2本の位置決め用のピンNを各々把持することによって、該加工部2a~2f内において加工前基板5を正確な位置に固定する位置決め機構(図示せず、以下同じ。)が、加工部2a~2fの床面と面一となるように内設されているものである。
【0025】
以上のように、基板搬送装置1が、駆動ギアコンベア8と投入排出リフト3、並びに加工前基板供給装置4と位置調整機構10、更には本願発明の加工後基板回収装置6及び加工後基板収納装置9とから構成されるので、次に示す工程に沿って、該加工前基板供給装置4内に収納される加工前基板5は、位置調整機構10を介して駆動ギアコンベア8に載置され、更に該駆動ギアコンベア8により搬送されて、所定位置において投入排出リフト3により基板加工装置2に投入される。また、基板加工装置2による加工後には、投入排出リフト3により駆動ギアコンベア8に排出された上、駆動ギアコンベア8により搬送されて、加工後基板7として加工後基板回収装置6により加工後基板収納装置9内に回収されるものである。
【0026】
そこで、加工前基板供給装置4内における加工前基板5の駆動ギアコンベア8への移動状況を図3(イ)~図5(ホ)において説明する。
先ず、加工前基板供給装置4内の、供給チェーン4aの水平部4bにおいて、供給チェーン4aに並設される保持プレート4dによって移動方向に向かってピンNが突設するように略直立に保持される加工前基板5は、供給チェーン4aを駆動ギアコンベア8方向へ回転させることで半円部4cへ移動する[図3(イ)参照]。このとき、加工前基板5は保持プレート4dにより間隔が一定に維持されているので、ピンNによって加工前基板4が損傷を与えられる恐れはない。
そして、供給チェーン4aの半円部4cに至った加工前基板5は、駆動ギアコンベア8の一端8a上において、該半円部4cに従って徐々に傾倒しつつ寝かされて行く。この時、該駆動ギアコンベア8の一端8aにおいては、複数架設される駆動ギア集合体8c間に敷設された複数の位置合わせベルトコンベア10aが、昇降機10bの作動により該駆動ギアコンベア8より上方に位置するように設定されており、前記加工前基板供給装置4において徐々に傾倒しつつ寝かされて行く加工前基板5は、該位置合わせベルトコンベア10a上に載置されるものとなる。このとき、加工前基板5より突設される2本の位置決め用のピンNは、駆動ギア集合体8cに干渉することはなく、複数の位置合わせベルトコンベア10aのうち、いずれかの位置合わせベルトコンベア10a間に位置するものとなるので、該位置調整機構の位置合わせベルトコンベアと干渉することはなく、加工前基板5は位置合わせベルトコンベア10a上において水平に載置されるものである[同図(ロ)参照]。
さらに、該駆動ギアコンベア8より上方に位置している位置合わせベルトコンベア10aが作動して、駆動ギアコンベア8の搬送方向と直交する方向へ加工前基板5は移動させ、Y軸方向における加工前基板5の駆動ギアコンベア8に対する正確な位置調整を行うのである[図4(ハ)参照]。
その上で、該位置調整機構10の昇降機10bの作動により、位置合わせベルトコンベア10aは、駆動ギアコンベア8の駆動ギア集合体8cの間を通ってその下方に位置するように降下し、加工前基板5は駆動ギアコンベア8の一端8a上に載置されることとなる。このとき、加工前基板5から下方に向けて突設する2本の位置決め用のピンNは、駆動ギアコンベアの駆動ギア集合体8cに干渉しないように位置するので、該ピンNと駆動ギア集合体8cとは接触することはなく、駆動ギアコンベア8の一端8a上における加工前基板5の位置は位置調整機構10により定められた正確な位置のまま維持されるものとなる[同図(ニ)参照]。
その後は、駆動ギアコンベア8の作動に合わせて、加工前基板供給装置4から加工前基板5を順次位置調整機構10を介して軸移動コンベア8の一端8a上に載置する供給作業を繰り返すものである[図5(ホ)参照]。
そして、必要に応じて適宜加工前基板5を加工前基板供給装置4に補充する。
【0027】
このように駆動ギアコンベア8に対して加工前基板5は、位置調整機構10を介してY軸方向について正確な位置に供給され続け、加工前基板5は順次駆動ギアコンベア8により他端8b方向へ搬送されるものとなる。
そして、駆動ギアコンベア8上に載置された6枚の加工前基板5が、各々基板加工装置2の加工テーブル2’に並設される加工部2a~2fに対応する位置に至ると、駆動ギアコンベア8から投入排出リフト3により基板加工装置2の加工テーブル2’の加工部2a~2fへ加工前基板5が投入されるものとなる。
そこで、基板加工装置2の加工テーブル2’上に並設される加工部2a~2fに投入された加工前基板5は、表面において下方に向けて突設された位置決め用のピンNと、加工部2a~2fの床面に内設される位置決め機構との係合を利用して位置決めを行った上で、加工され、その終了後には、基板加工装置2の加工テーブル2’の加工部2a~2fから駆動ギアコンベア8へ投入排出リフト3により加工後基板5として排出され、駆動ギアコンベア8の元の位置へ載置されるものとなる。
【0028】
一方、図7(イ)~図13(カ)において示すように、基板加工装置2の加工部2a~2fから駆動ギアコンベア8上に投入排出リフト3によって排出され、載置された加工後基板7は、該駆動ギアコンベア8により他端8b方向へと搬送され、駆動ギアコンベア8の他端8b上に至るものとなる。その際、加工後基板回収装置6の吸着部6aが運搬アーム部6bに沿って移動し、前記駆動ギアコンベア8の他端8bに至った加工後基板7上に来るものとなる[図7(イ)参照]。
そして、駆動ギアコンベア8の他端8b上に至った加工後基板7は、加工後基板回収装置6の運搬アーム部6bの吸着部6aが下降して吸着されるとともに、持ち上げられ[図7(ロ)及び図8(ハ)参照]、加工後基板収納装置9側へ移動される[図8(ニ)参照]。
さらに、吸着部6aによって持ち上げられた加工後基板7は、運搬アーム部6bにより加工後基板収納装置9上で降下して加工後基板収納装置9内に、2本の位置決め用のピンNを下方に向けて加工後基板7を載置するものである[図9(ホ)参照]。
加工後基板7を吸着して運搬して来た吸着部6aは、該加工後基板7を加工後基板収納装置9内に載置し終われば、該吸着を解除して上昇し、運搬アーム部6bに沿って移動して、駆動ギアコンベア8の他端8b上に至るものとなる[図9(ヘ)及び図10(ト)参照]。
一方、次の加工後基板7‘が駆動ギアコンベア8の他端8b上に至ると、該次の加工後基板7‘は、その他端8b側へ移動してきた加工後基板回収装置6の運搬アーム部6bの吸着部6aが下降して吸着されるとともに、持ち上げられ、加工後基板収納装置9へと移動される[図10(チ)乃至図11(ヌ)参照]。
その際、既に加工後基板収納装置9内に載置され、収納されている加工後基板7に対して、左右いずれか一方に90°回転させて(図12(ル)においては左に90°回転)、交互に直交するように積層して収納する[図13(ワ)参照]。
なお、一旦回転した加工後基板回収装置6の吸着部6aは、その吸着していた加工後基板7‘を加工後基板収納装置9内に収納後、その吸着を解除して上昇することから、その段階で右に90°回転させることで、元の状態に復帰するものとなる[図13(カ)参照]。
更にその後は、順次加工後基板7を交互に直交するようにして加工後基板回収装置9内に積層し、回収を行うものである。
その結果、加工後基板7、7‘、7“…において下方に向けて突設される2本の位置決め用のピンNと他の加工後基板7’、7”、…とが干渉して傷付けることはなく、安定して加工後基板7、7‘、7“…を積層することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0029】
加工前基板供給時にはピンと基板との干渉による損傷を与えることなく、一度に大量の加工前基板をストックとしてセットでき、また加工後基板回収時には大量に、しかも安定させながら積層させて回収できるものであるので、基板加工作業における作業効率を著しく向上させるので、あらゆる加工装置に適用することができるものである。
【符号の説明】
【0030】
1 基板搬送装置
2 基板加工装置
2’ 加工テーブル
2a~2f 加工部
3 投入排出リフト
4 加工前基板供給装置
4a 供給チェーン
4b 水平部
4c 半円部
4d 保持プレート
5 加工前基板
6 加工後基板回収装置
6a 吸着部
6b 運搬アーム部
7、7‘、7“ 加工後基板
8 駆動ギアコンベア
8a 一端
8b 他端
8c 駆動ギア集合体
9 加工後基板収納装置
10 位置調整機構
10a 位置合わせベルトコンベア
10b 昇降機
N ピン
図1
図2
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