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  • 特許-ハウジング及び基板用コネクタ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-04
(45)【発行日】2023-09-12
(54)【発明の名称】ハウジング及び基板用コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/52 20060101AFI20230905BHJP
   H01R 13/639 20060101ALI20230905BHJP
【FI】
H01R13/52 D
H01R13/639 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019146555
(22)【出願日】2019-08-08
(65)【公開番号】P2021026995
(43)【公開日】2021-02-22
【審査請求日】2022-07-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】久保 考広
(72)【発明者】
【氏名】松永 貴士
【審査官】鎌田 哲生
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-032765(JP,A)
【文献】特開2007-200633(JP,A)
【文献】特開2017-027746(JP,A)
【文献】特開2011-150895(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/40-13/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手側ハウジングのフード部に嵌合されるハウジングであって、
上方側が開放されたロックアーム収容凹部と、
前記ロックアーム収容凹部に収容され、前記フード部に嵌合された際に前記相手側ハウジングを係止するロックアームと、
を備え、
前記ロックアーム収容凹部は、
上方から入り込んだ水を下方へ排出する排水口と、
前記相手側ハウジングとの嵌合方向側の縁部に立設されて前記相手側ハウジング側へ向かう水を堰き止める止水壁と、
を有
前記止水壁は、前記ロックアーム収容凹部を構成する前記嵌合方向に延びる底部の前記嵌合方向の前端側の前記縁部に設けられ、前記排水口は、前記底部の前記嵌合方向の後端側の端部にて前記底部を貫通するように設けられている、
ことを特徴とするハウジング。
【請求項2】
前記ロックアーム収容凹部の前記底部の上面は、相手側ハウジングへの嵌合状態で、前記嵌合方向が水平方向と一致するように前記ハウジングが配置された状態において前記止水壁から前記排水口へ向かって下方へ傾斜する傾斜面を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載のハウジング。
【請求項3】
前記相手側ハウジングに設けられた相手側端子と接続される端子を収容するキャビティが形成された端子収容部を有し、
前記ロックアームを収容する前記ロックアーム収容凹部が前記端子収容部の側方に設けられている、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のハウジング。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のハウジングと、前記相手側ハウジングと、から構成されている、
ことを特徴とする基板用コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハウジング及び基板用コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、端子収容部を有する嵌込側ハウジングと、この嵌込側ハウジングの端子収容部が嵌合されるフード部を有する待受け側ハウジングとを備え、フード部を構成する下壁部に、フード部内の水を排出させる排水口が形成されたコネクタが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-73730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来のコネクタは、フード部に排水口を設けたとしても、フード部内の水が接続相手の嵌込側ハウジング側へ流れ込み、この嵌込側ハウジングの端子収容部内に収容されている端子に水が付着するおそれがある。
【0005】
また、接続相手のハウジングがプリント回路基板に実装される基板実装タイプのハウジングの場合、フード部から接続相手のハウジングへ浸入した水がプリント回路基板に付着し、回路パターンの短絡を招いたり、実装部品に影響を与えてしまうおそれがある。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、浸入した水を良好に排出することができ、しかも、相手側ハウジングへの水の浸入を抑制することが可能なハウジング及び基板用コネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を達成するために、本発明に係るハウジング及び基板用コネクタは、下記(1)~(4)を特徴としている。
(1) 相手側ハウジングのフード部に嵌合されるハウジングであって、
上方側が開放されたロックアーム収容凹部と、
前記ロックアーム収容凹部に収容され、前記フード部に嵌合された際に前記相手側ハウジングを係止するロックアームと、
を備え、
前記ロックアーム収容凹部は、
上方から入り込んだ水を下方へ排出する排水口と、
前記相手側ハウジングとの嵌合方向側の縁部に立設されて前記相手側ハウジング側へ向かう水を堰き止める止水壁と、
を有
前記止水壁は、前記ロックアーム収容凹部を構成する前記嵌合方向に延びる底部の前記嵌合方向の前端側の前記縁部に設けられ、前記排水口は、前記底部の前記嵌合方向の後端側の端部にて前記底部を貫通するように設けられている、
ことを特徴とするハウジング。
【0008】
(2) 前記ロックアーム収容凹部の前記底部の上面は、相手側ハウジングへの嵌合状態で、前記嵌合方向が水平方向と一致するように前記ハウジングが配置された状態において前記止水壁から前記排水口へ向かって下方へ傾斜する傾斜面を有する、
ことを特徴とする上記(1)に記載のハウジング。
【0009】
(3) 前記相手側ハウジングに設けられた相手側端子と接続される端子を収容するキャビティが形成された端子収容部を有し、
前記ロックアームを収容する前記ロックアーム収容凹部が前記端子収容部の側方に設けられている、
ことを特徴とする上記(1)または(2)に記載のハウジング。
【0010】
(4) 上記(1)乃至(3)のいずれかに記載のハウジングと、前記相手側ハウジングと、から構成されている、
ことを特徴とする基板用コネクタ。
【0011】
上記(1)の構成のハウジングによれば、ロックアームを収容するロックアーム収容凹部は、上方から入り込んだ水を下方へ排出する排水口を有している。これにより、例えば、温度変化等によってハウジングの周面に生じた結露水がロックアーム収容凹部に入り込んだとしても、このロックアーム収容凹部に入り込んだ水は、ロックアーム収容凹部に形成された排水口から下方へ導かれて排出される。
また、ロックアーム収容凹部は、相手側ハウジングとの嵌合方向側の縁部に立設されて相手側ハウジング側へ向かう水を堰き止める止水壁を有している。したがって、ロックアーム収容凹部に入り込んだ水が相手側ハウジング側へ流れ込もうとしても、止水壁によって相手側ハウジング側への浸入を抑えることができる。
これにより、接続された相手側ハウジングへの水の浸入を抑制でき、また、相手側ハウジングが回路基板に実装されている場合には、回路基板に水が付着することによる不具合を抑制することができる。
【0012】
上記(2)の構成のハウジングによれば、ロックアーム収容凹部が排水口へ向かって下方へ傾斜する傾斜面を有しているので、ロックアーム収容凹部に入り込んだ水を傾斜面によって排水口へ導いて排出させることができる。
【0013】
上記(3)の構成のハウジングによれば、ロックアームを収容するロックアーム収容凹部を端子収容部の側方に設けることにより低背化を図ることができる。つまり、ハウジングの低背化を図りつつ相手側ハウジング側への水の浸入を抑制することができる。
【0014】
上記(4)の構成の基板用コネクタによれば、ロックアーム収容凹部に入り込んだ水の回路基板への浸入を抑えることができ、回路基板に水が付着することによる不具合を抑制することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、浸入した水を良好に排出することができ、しかも、相手側ハウジングへの水の浸入を抑制することが可能なハウジング及び基板用コネクタを提供できる。
【0016】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、基板用コネクタを示す図であって、図1(a)はオスハウジングとメスハウジングとが嵌合された状態の斜視図、図1(b)はオスハウジングとメスハウジングとが離脱した状態の斜視図である。
図2図2は、図1におけるA-A断面図である。
図3図3は、メスハウジングの前方側から視た斜視図である。
図4図4は、メスハウジングの前方側から視た分解斜視図である。
図5図5は、カバー及びメス端子を外した状態のメスハウジングの後方側から視た斜視図である。
図6図6は、図3におけるB-B断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
【0019】
図1は、基板用コネクタを示す図であって、図1(a)はオスハウジングとメスハウジングとが嵌合された状態の斜視図、図1(b)はオスハウジングとメスハウジングとが離脱した状態の斜視図である。図2は、図1におけるA-A断面図である。
【0020】
図1(a)、図1(b)及び図2に示すように、本実施形態に係るメスハウジング(ハウジング)20は、オスハウジング(相手側ハウジング)70とともに基板用コネクタ10を構成する。基板用コネクタ10は、回路基板11に搭載されるコネクタである。本実施形態では、回路基板11は、基板用コネクタ10が載置される上面が鉛直方向に対し垂直な水平面となっている。
【0021】
オスハウジング70は、回路基板11に実装される。回路基板11は、平面視矩形状のプリント配線板であり、表面に銅箔などからなる導体パターンが形成されている。この回路基板11には、種々の電子部品(図示略)が実装され、これらの電子部品が導体パターンと電気的に接続されている。オスハウジング70は、回路基板11の縁部に実装される。オスハウジング70が実装される回路基板11の縁部には、導体パターンに繋がる複数のランド12が形成されている。
【0022】
オスハウジング70は、絶縁性を有する合成樹脂材料により成形されている。オスハウジング70は、正面視矩形状に形成されており、その前方側に、凹状のフード部71を有している。
【0023】
オスハウジング70は、複数のオス端子73を有している。オス端子73は、例えば、銅、銅合金、アルミニウムまたはアルミニウム合金等の導電性金属材料から形成されている。オス端子73は、棒状に形成されており、オスハウジング70の後壁部72に、例えば、圧入されることにより固定されている。オス端子73は、先端側がフード部71内に配置されており、後端側がオスハウジング70の後方へ突出されている。オスハウジング70の後方へ突出されたオス端子73は、回路基板11側へ屈曲され、回路基板11のランド12に、ハンダ付けされて電気的に接続されている。
【0024】
次に、回路基板11に実装されたオスハウジング70に接合される本実施形態に係るメスハウジング20について説明する。
図3は、メスハウジングの前方側から視た斜視図である。図4は、メスハウジングの前方側から視た分解斜視図である。
【0025】
図3及び図4に示すように、メスハウジング20には、その後方側からメス端子40及びカバー50が組付けられる。メスハウジング20は、絶縁性を有する合成樹脂材料により成形されており、ハウジング本体部21と、嵌合部22とを有している。嵌合部22は、ハウジング本体部21の前方側に突設しており、オスハウジング70のフード部71に嵌合されるようになっている。
【0026】
メスハウジング20は、二つの端子収容部23と、ロック部24とを有している。ロック部24は、メスハウジング20の幅方向の中央部分に設けられており、端子収容部23は、ロック部24の両側に設けられている。端子収容部23は、それぞれ複数のキャビティ25を有している。これらのキャビティ25は、メスハウジング20の前後方向に沿って形成されている。それぞれのキャビティ25には、メスハウジング20の後方側からメス端子40が挿し込まれて収容される。ロック部24は、オスハウジング70のフード部71に嵌合部22が嵌合された状態でオスハウジング70を係止する。これにより、オスハウジング70とメスハウジング20との接続状態が維持される。
【0027】
端子収容部23のキャビティ25に収容されるメス端子40は、例えば、銅、銅合金、アルミニウムまたはアルミニウム合金等の導電性金属材料により形成されたもので、可撓性を有するフィルム状の回路基板であるFPC(フレキシブルプリント配線板)15に実装されている。
【0028】
メス端子40は、先端側に、筒状に形成された電気接続部41を有し、後端側に、脚部42を有している。メス端子40は、脚部42がFPC15の端部にハンダ付け等によって接続され、このFPC15の内部配線と電気的に接続されている。FPC15に実装されたメス端子40は、メスハウジング20の端子収容部23に形成されたキャビティ25に対応する位置に配置されており、端子収容部23のキャビティ25に対して、その後方側から挿入されて収容される。
【0029】
カバー50は、上板部51と、側板部52と、後板部53とを有し、前方及び下方が開放された箱型に形成されている。このカバー50は、FPC15に接続されたメス端子40をメスハウジング20のキャビティ25に挿入して収容した状態で、メスハウジング20のハウジング本体部21に対して後方側から組付けられる。これにより、メスハウジング20は、ハウジング本体部21の上面、側面及び後面がカバー50によって覆われる。また、カバー50には、上板部51における幅方向の中央部分に、切欠き部55が形成されている。これにより、メスハウジング20は、カバー50が装着された状態において、ロック部24の上方が開放される。
【0030】
図5は、カバー及びメス端子を外した状態のメスハウジングの後方側から視た斜視図である。図6は、図3におけるB-B断面図である。
図5及び図6に示すように、メスハウジング20における端子収容部23の間に設けられたロック部24は、ロックアーム収容凹部31と、ロックアーム32とを有している。ロックアーム収容凹部31は、端子収容部23の側方に設けられており、上方が開放されている。ロックアーム32は、ロックアーム収容凹部31内に設けられている。
【0031】
ロックアーム32の前端は、メスハウジング20の前端に連設され、後端側は、メスハウジング20の後方側に延在している。これにより、ロックアーム32は、その前端がメスハウジング20に支持された片持ち梁状に形成されて弾性変形可能となっている。このロックアーム32には、後端寄りにおける上面に、ロック爪33が形成されている。また、ロックアーム32は、その後端部に、上方及び側方へ張り出す押圧操作部34を有している。
【0032】
ロック部24のロックアーム収容凹部31を構成する底部35には、表裏に貫通する排水口36が形成されている。排水口36は、基板用コネクタ10が回路基板11に実装され水平に配置された姿勢において鉛直方向に底部35を貫通しており、ロックアーム32の押圧操作部34の後方側から入り込んだ水W1をその自重によってメスハウジング20の底面側の開口から排出する。この排水口36は、メスハウジング20の後端側において、ロックアーム収容凹部31の幅方向にわたって形成されている。
【0033】
さらに、ロック部24には、メスハウジング20の前端側に、止水壁37が形成されている。この止水壁37は、ロックアーム収容凹部31の底部35から立設され、ロックアーム収容凹部31の幅方向にわたって形成されている。
【0034】
また、ロックアーム収容凹部31の底部35は、基板用コネクタ10が回路基板11に実装され水平に配置された姿勢において、メスハウジング20の止水壁37が形成された前端側から排水口36が形成された後端側へ向かって下方へ傾斜する傾斜面38となっている。これにより、ロックアーム収容凹部31に入り込んだ水は、自重により傾斜面38を伝って排水口36に流れ込み、メスハウジング20から排出されるようになっている。
【0035】
次に、オスハウジング70に対するメスハウジング20の嵌合操作及び離脱操作について説明する。
【0036】
(嵌合操作)
回路基板11に実装されて水平に配置されたオスハウジング70のフード部71に、メスハウジング20を近接させ、メスハウジング20の嵌合部22を水平に嵌め込む。すると、嵌合部22の端子収容部23のキャビティ25に収容されたメス端子40の電気接続部41にオスハウジング70に設けられたオス端子73が挿入され、メス端子40とオス端子73とが電気的に接続される。
【0037】
そして、オスハウジング70のフード部71にメスハウジング20の嵌合部22を嵌合させると、メスハウジング20のロック部24に設けられたロックアーム32のロック爪33がフード部71の内面の係合溝(図示略)に係合し、これにより、オスハウジング70とメスハウジング20とが互いに接続された状態にロックされる。
【0038】
この状態で、メスハウジング20は、そのロック部24におけるロックアーム32の押圧操作部34の上方が露出した状態となり、押圧操作部34に対する押圧操作が可能となる。
【0039】
(離脱操作)
このロック状態において、メスハウジング20の上部で露出したロックアーム32の押圧操作部34を押してロックアーム32を弾性変形させると、ロックアーム32のロック爪33がオスハウジング70の係合溝から抜け出され、オスハウジング70とメスハウジング20とのロック状態が解除される。
【0040】
この状態において、オスハウジング70に対してメスハウジング20を引き離す方向へ移動させる。すると、メスハウジング20の嵌合部22がオスハウジング70のフード部71から引き抜かれ、メス端子40とオス端子73との電気的な接続状態が解除される。
【0041】
ところで、上記の基板用コネクタ10において、温度変化等によってメスハウジング20の周面に結露が生じることがある。一方、メスハウジング20は、オスハウジング70に接続した状態で、ロックアーム32の押圧操作部34の押圧操作を可能とするために、押圧操作部34の上方側が開放されている。このため、結露によって生じた水が、メスハウジング20の上部の露出箇所からロックアーム収容凹部31内に入り込むことがある。
【0042】
メスハウジング20では、このロックアーム収容凹部31に入り込んだ水は、底部35に形成された排水口36から下方へ導かれて排出される。例えば、ロックアーム32の押圧操作部34の後方側から入り込んだ水W1は、そのまま下方へ流れて排水口36から排出される(図2参照)。
【0043】
このとき、ロックアーム収容凹部31に入り込んだ水がメスハウジング20におけるオスハウジング70との接続側である前端側へ流れ込もうとしても、ロックアーム収容凹部31におけるメスハウジング20の前端側に形成された止水壁37によって堰き止められ、オスハウジング70側への浸入が抑えられる。
【0044】
しかも、ロック部24のロックアーム収容凹部31の底部35が、排水口36へ向かって下方へ傾斜する傾斜面38を有しているので、ロックアーム収容凹部31に入り込んだ水は、傾斜面38によって排水口36へ導かれることとなる。例えば、ロックアーム32の押圧操作部34の前方側から入り込んだ水W2は、ロックアーム収容凹部31の底部35上に滴下し、この底部35の上面の傾斜面38を流れて排水口36へ導かれて排水口36から排出される(図2参照)。
【0045】
以上、説明したように、本実施形態に係るメスハウジング20及び基板用コネクタ10によれば、ロックアーム収容凹部31に入り込んだ水を、ロックアーム収容凹部31に形成された排水口36から排出させることができる。また、ロックアーム収容凹部31に入り込んだ水がオスハウジング70側へ流れ込もうとしても、止水壁37によってオスハウジング70側への浸入を抑えることができる。これにより、接続されたオスハウジング70への水の浸入を抑制でき、また、オスハウジング70が回路基板11に実装されている場合には、回路基板11に水が付着することによる不具合を抑制することができる。
【0046】
しかも、ロックアーム収容凹部31が排水口36へ向かって下方へ傾斜する傾斜面38を有しているので、ロックアーム収容凹部31に入り込んだ水を傾斜面38によって排水口36へ導いて排出させることができる。
【0047】
また、ロックアーム32を収容するロックアーム収容凹部31を端子収容部23の側方に設けているので、メスハウジング20の低背化を図りつつオスハウジング70側への水の浸入を抑制することができる。
【0048】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0049】
ここで、上述した本発明の実施形態に係るハウジング及び基板用コネクタの特徴をそれぞれ以下[1]~[4]に簡潔に纏めて列記する。
[1] 相手側ハウジング(オスハウジング70)のフード部(71)に嵌合されるハウジング(メスハウジング20)であって、
上方側が開放されたロックアーム収容凹部(31)と、
前記ロックアーム収容凹部(31)に収容され、前記フード部(71)に嵌合された際に前記相手側ハウジング(オスハウジング70)を係止するロックアーム(32)と、
を備え、
前記ロックアーム収容凹部(31)は、
上方から入り込んだ水を下方へ排出する排水口(36)と、
前記相手側ハウジング(オスハウジング70)との嵌合方向側の縁部に立設されて前記相手側ハウジング(オスハウジング70)側へ向かう水を堰き止める止水壁(37)と、
を有する、
ことを特徴とするハウジング。
【0050】
[2] 前記ロックアーム収容凹部(31)は、前記相手側ハウジング(オスハウジング70)への嵌合状態で、前記排水口(36)へ向かって下方へ傾斜する傾斜面(38)を有する、
ことを特徴とする上記[1]に記載のハウジング。
【0051】
[3] 前記相手側ハウジング(オスハウジング70)に設けられた相手側端子(オス端子73)と接続される端子(メス端子40)を収容するキャビティ(25)が形成された端子収容部(23)を有し、
前記ロックアーム(32)を収容する前記ロックアーム収容凹部(31)が前記端子収容部(23)の側方に設けられている、
ことを特徴とする上記[1]または[2]に記載のハウジング。
【0052】
[4] 上記[1]乃至[3]のいずれかに記載のハウジング(メスハウジング20)と、前記相手側ハウジング(オスハウジング70)と、から構成されている、
ことを特徴とする基板用コネクタ。
【符号の説明】
【0053】
10 基板用コネクタ
11 回路基板
20 メスハウジング(ハウジング)
23 端子収容部
25 キャビティ
31 ロックアーム収容凹部
32 ロックアーム
36 排水口
37 止水壁
38 傾斜面
40 メス端子(端子)
70 オスハウジング(相手側ハウジング)
71 フード部
73 相手側端子
図1
図2
図3
図4
図5
図6