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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-04
(45)【発行日】2023-09-12
(54)【発明の名称】食品用包装袋
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/50 20060101AFI20230905BHJP
   B65D 30/28 20060101ALI20230905BHJP
   B65D 33/08 20060101ALI20230905BHJP
   B65D 33/02 20060101ALI20230905BHJP
   B65D 77/30 20060101ALI20230905BHJP
【FI】
B65D85/50 100
B65D30/28 Q
B65D33/08
B65D33/02
B65D30/28 L
B65D77/30 C
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019188289
(22)【出願日】2019-10-14
(65)【公開番号】P2021062889
(43)【公開日】2021-04-22
【審査請求日】2022-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000241186
【氏名又は名称】朋和産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114421
【弁理士】
【氏名又は名称】薬丸 誠一
(72)【発明者】
【氏名】神谷 知毅
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-130635(JP,A)
【文献】登録実用新案第3199075(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/50
B65D 30/28
B65D 33/08
B65D 33/02
B65D 77/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端側よりも他端側が幅広となる形状を有する一対のシートが重ね合わせられ、一端側の頂部接合部と両側縁の側部接合部により三方が封止されて他端側が開口部となる袋本体と、頂部接合部から突出するシートの突出片で構成されるヘッダ部と、一方のシートに設けられ、一端部がヘッダ部に配置されてシートの他端側に延びる開封用条体とを備え、
ッダ部は、切込線の形成により形成されるフラップであって、曲げると開いてヘッダ部の表裏を貫通しかつ指を挿入可能な大きさの開口を形成するフラップを備える
食品用包装袋。
【請求項2】
一方のシートは、切込線の形成により形成される遊離片であって、シートの一端側に凸となる形状を有し、先端部が開口内に突出する又は開口に接する遊離片を備え、
開封用条体は、遊離片に接合される
請求項1に記載の食品用包装袋。
【請求項3】
フラップは、シートの一端側に凸となる形状を有し、
遊離片は、フラップの固定端に形成される
請求項2に記載の食品用包装袋。
【請求項4】
一端側よりも他端側が幅広となる形状を有する一対のシートが重ね合わせられ、一端側の頂部接合部と両側縁の側部接合部により三方が封止されて他端側が開口部となる袋本体と、頂部接合部から突出するシートの突出片で構成されるヘッダ部と、一方のシートに切込線の形成により形成される遊離片と、一部が遊離片に接合するように一方のシートに設けられ、一端部がヘッダ部に配置されてシートの他端側に延びる開封用条体とを備え、
ヘッダ部は、ヘッダ部の表裏を貫通しかつ指を挿入可能な大きさの開口を備え、
遊離片は、シートの一端側に凸となる形状を有し、先端部が開口内に突出する又は開口に接するように形成される
食品用包装袋。
【請求項5】
開封用条体の一端部は、遊離片に配置される、又は遊離片から突出する
請求項2ないし請求項4のいずれか1項に記載の食品用包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品用包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
側面形状が三角形状(主として直角三角形状)又はこれに類似する形状で、所定の厚み又は幅を有する立体形状に仕上げられたサンドイッチ等の食品がある。この食品を包装するための食品用包装袋は、図16及び図17(a)に示すものが一般的であり、新しいものでは、特許文献1に記載されたものが公知である。
【0003】
食品用包装袋1’は、袋本体10’と、ヘッダ部15’とを備える。袋本体10’は、一端側よりも他端側が幅広となる形状を有する一対のシート2’,3’が重ね合わせられ、一端側の頂部接合部11’と両側縁の側部接合部12’,12’により三方が封止され、他端側が開口部13’となるものである。ヘッダ部15’は、頂部接合部11’から突出する各シート2’,3’の突出片が適宜の箇所で互いに接合され、一体化されるものである。
【0004】
ヘッダ部15’における第2のシート3’には、たとえば逆U字状の切込線32’が形成されるとともに、切込線32’を外形線とする開封用の遊離片33’が形成される。第2のシート3’の内面には、遊離片33’から第2のシート3’の他端側にかけて、カットテープ等の開封用条体5’が接合される。
【0005】
食品用包装袋1’により包装された食品を食する際には、図17(b)に示すように、遊離片33’を摘んで引き下ろす。そうすると、開封用条体5’が引っ張られて第2のシート3’に分断開放部が形成され、この分断開放部から食品を取り出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2017-171326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、この種の商品は、一般的にはコンビニエンスストアやスーパーマーケットで販売されている。これらの店舗では、購入した商品を持ち帰るために、必ずと言ってよいほどレジ袋が使用される。しかし、レジ袋などのプラスチックごみが全世界的な環境問題となっていることは周知の事実である。2019年6月、環境省は、レジ袋の無償配布を禁止する法令を速やかに制定すると発表したところであり、プラスチックごみの削減に向けた動きがある。
【0008】
そこで、本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、包装体になった状態で持ち運びやすい食品用包装袋を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る食品用包装袋は、
一端側よりも他端側が幅広となる形状を有する一対のシートが重ね合わせられ、一端側の頂部接合部と両側縁の側部接合部により三方が封止されて他端側が開口部となる袋本体と、頂部接合部から突出するシートの突出片で構成されるヘッダ部と、一方のシートに設けられ、一端部がヘッダ部に配置されてシートの他端側に延びる開封用条体とを備え、
ッダ部は、切込線の形成により形成されるフラップであって、曲げると開いてヘッダ部の表裏を貫通しかつ指を挿入可能な大きさの開口を形成するフラップを備える
食品用包装袋である。
また、もう1つの本発明に係る食品用包装袋は、
一端側よりも他端側が幅広となる形状を有する一対のシートが重ね合わせられ、一端側の頂部接合部と両側縁の側部接合部により三方が封止されて他端側が開口部となる袋本体と、頂部接合部から突出するシートの突出片で構成されるヘッダ部と、一方のシートに切込線の形成により形成される遊離片と、一部が遊離片に接合するように一方のシートに設けられ、一端部がヘッダ部に配置されてシートの他端側に延びる開封用条体とを備え、
ヘッダ部は、ヘッダ部の表裏を貫通しかつ指を挿入可能な大きさの開口を備え、
遊離片は、シートの一端側に凸となる形状を有し、先端部が開口内に突出する又は開口に接するように形成される
食品用包装袋である。
【0010】
ここで、本発明に係る食品用包装袋の一態様として、
一方のシートは、切込線の形成により形成される遊離片であって、シートの一端側に凸となる形状を有し、先端部が開口内に突出する又は開口に接する遊離片を備え、
開封用条体は、遊離片に接合される
との構成を採用することができる。
【0011】
この場合、
フラップは、シートの一端側に凸となる形状を有し、
遊離片は、フラップの固定端に形成される
との構成を採用することができる。
【0012】
また、本発明に係る食品用包装袋の一態様として、
開封用条体の一端部は、遊離片に配置される、又は遊離片から突出する
との構成を採用することができる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明に係る食品用包装袋によれば、ヘッダ部の開口に指を掛けて包装体を持つことで、落としにくく、しっかりと持てて、持ち運びが容易となる。したがって、この商品をコンビニエンスストアやスーパーマーケットで購入した後、レジ袋に入れずとも持ち帰ることができる。このため、本発明に係る食品用包装袋によれば、レジ袋の使用量の削減、ひいてはプラスチックごみの削減に貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係る食品用包装袋の分解斜視図である。
図2図2は、同食品用包装袋の正面図である。
図3図3は、同食品用包装袋の背面図である。
図4図4(a)は、同食品用包装袋のヘッダ部の拡大背面図である。図4(b)は、フラップを正面側に折った状態の同ヘッダ部の拡大背面図である。図4(c)は、同ヘッダ部の拡大正面図である。
図5図5(a)は、同食品用包装袋により包装された食品包装体の背面側から見た斜視図である。図5(b)は、フラップを正面側に折った状態の同食品包装体の斜視図である。
図6図6は、同食品用包装袋の製造工程の説明図であって、第1及び第2のシート原反を重ね合わせてから最終的に食品用包装袋が完成するまでの各工程の説明図である。
図7図7は、本発明の第2実施形態に係る食品用包装袋の分解斜視図である。
図8図8は、同食品用包装袋の正面図である。
図9図9は、同食品用包装袋の背面図である。
図10図10(a)は、同食品用包装袋のヘッダ部の拡大背面図である。図10(b)は、同ヘッダ部の拡大正面図である。
図11図11は、同食品用包装袋により包装された食品包装体の背面側から見た斜視図である。
図12図12は、同食品用包装袋の製造工程の説明図であって、第2のシート原反に切込線及び開口を形成する工程及び第2のシート原反に開封用条体を配置、接合する工程の説明図である。
図13図13(a)は、他実施形態に係る食品用包装袋のヘッダ部の拡大背面図である。図13(b)は、フラップを正面側に折った状態の同ヘッダ部の拡大背面図である。図13(c)は、同ヘッダ部の拡大正面図である。
図14図14(a)は、別の実施形態に係る食品用包装袋のヘッダ部の拡大背面図である。図14(b)は、同ヘッダ部の拡大正面図である。
図15図15は、同食品用包装袋の製造工程の説明図であって、第2のシート原反に切込線及び開口を形成する工程及び第2のシート原反に開封用条体を配置、接合する工程の説明図である。
図16図16は、従来の食品用包装袋の背面図である。
図17図17(a)は、同食品用包装袋により包装された食品包装体の背面側から見た斜視図である。図17(b)は、同食品包装体を開封する様子の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<第1実施形態>
以下、本発明に係る食品用包装袋の第1実施形態として、サンドイッチの包装に用いられる食品用包装袋について、図1図6を参酌して説明する。
【0016】
図1図3に示すように、本実施形態に係る食品用包装袋1は、袋本体10と、ヘッダ部15とを備える。袋本体10は、一端側よりも他端側が幅広となる形状を有する一対のシート(第1のシート2、第2のシート3)が重ね合わせられ、一端側の頂部接合部11と両側縁の側部接合部12,12により三方が封止され、他端側が開口部13となるものである。ヘッダ部15は、頂部接合部11から突出する各シート2,3の突出片が適宜の箇所で互いに接合され、一体化されるものである。なお、第1のシートは、表シートともいい、第2のシートは、裏シートともいう。
【0017】
第1のシート2は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のヒートシール性を有するプラスチックシートからなる。本実施形態においては、第1のシート2は、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)のシートである。これにより、第1のシート2は、第1方向(長手方向、図1及び図2では上下方向)及び第1方向と直交する第2方向(幅方向、図1及び図2では左右方向)に引き裂き方向性(直線カット性)を有する。第1のシート2は、胴部20と、先端部21(上記突出片)とを備えて構成される。胴部20は、一端側から他端側に向かって次第に幅広となっていく形状を有する。先端部21は、胴部20の一端から延びる幅狭の形状を有する。
【0018】
第2のシート3も、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のヒートシール性を有するプラスチックシートからなる。本実施形態においては、第2のシート3も、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)のシートである。これにより、第2のシート3も、第1方向及び第2方向に引き裂き方向性(直線カット性)を有する。第2のシート3は、胴部30と、先端部31(上記突出片)とを備えて構成される。胴部30は、一端側から他端側に向かって次第に幅広となっていく形状を有する。先端部31は、胴部30の一端から延びる幅狭の形状を有する。
【0019】
本実施形態においては、胴部20,30は、台形状であり、先端部21,31は、矩形状である。このため、胴部20,30の一端(及びこれに一致する先端部21,31の他端)は、第1方向に対して直交する直線状である。言い換えれば、胴部20,30の一端は、第2方向と平行な直線状である。胴部20,30の両側縁は、第1方向に対して傾斜する直線状である。先端部21,31の両側縁は、第1方向と平行な直線状である。ただし、胴部20,30の両側縁の他端側は、切欠部14により欠如している。これにより、胴部20,30の他端側は、切欠部14の分だけ幅狭とされる。
【0020】
頂部接合部11は、胴部20,30の一端に沿って第1及び第2のシート2,3をヒートシールすることにより形成される。側部接合部12は、胴部20,30の側縁(斜辺)及び先端部21,31の側縁(縦辺)をヒートシールすることにより形成される。本実施形態においては、頂部接合部11は、ヒートシールバーを用いた溶着により形成され、第1方向に所定の幅を有する帯状シールである。側部接合部12は、溶断により形成される線シールである。具体的には、頂部接合部11は、数ミリ以上の幅を有する。側部接合部12の幅は、1mm以下である。
【0021】
このようにして構成された袋本体10の内部が食品の収容部となる。袋本体10における第1のシート2の内面には、内シート4が貼着される。内シート4は、たとえば他端部が二箇所でポイントシール等により接合され(接合部40)、一端側が自由端となっている。これにより、収容部内で食品が動いたとしても、内シート4が食品の表面に密着し、その動きに追従する。このため、第1のシート2は汚れず、外観は損なわれない。
【0022】
図4(a)にも示すように、ヘッダ部15における第2のシート3には、切込線32が形成される。そして、ヘッダ部15における第2のシート3には、切込線32の形成により、遊離片33が形成される。切込線32は、両端点32a,32aが頂部接合部11に接近する形状である。すなわち、切込線32は、第2のシート3の他端に向かう形状である。遊離片33は、切込線32を外形線とし、両端点32a,32a間を固定端とし、第2のシート3の一端側を自由端とし、固定端側にて曲げると開いて開口を形成するものである。本実施形態においては、切込線32は、角度が180°の円弧状に形成される。これにより、遊離片33は、第2のシート3の一端側に凸となる形状を有し、第2のシート3の他端への指向性を有する円弧片となる。
【0023】
第2のシート3の内面には、遊離片33から第2のシート3の他端側にかけて、開封用条体5が設けられる。開封用条体5は、たとえば、第2のシート3の第2方向中央部にて第1方向に沿って設けられる。開封用条体5は、第2のシート3の内面に、ヒートシール、接着等により接合される。一例として、開封用条体5は、この内面(第2のシート3との対向面)にコート剤を塗布した上で、熱接着や自己粘着により、第2のシート3の内面に接合される。開封用条体5は、たとえば、カットテープや糸等である。本実施形態においては、開封用条体5は、幅が5mm以上、又は10mm以上の帯状のカットテープである。カットテープは、二軸延伸ポリエステル又はポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、2軸延伸ポリプロピレン(OPP)等のヒートシール性を有するプラスチックシートを細く切断したものである。
【0024】
ヘッダ部15における第2のシート3には、切込線32よりも大きな切込線34が形成される。そして、ヘッダ部15における第2のシート3には、切込線34の形成により、フラップ35が形成される。切込線34は、両端点34a,34aが頂部接合部11に接近する形状である。すなわち、切込線34は、第2のシート3の他端に向かう形状である。フラップ35は、切込線34を外形線とし、両端点34a,34a間を固定端とし、第2のシート3の一端側を自由端とし、固定端側にて曲げると開いて開口18を形成するものである。本実施形態においては、切込線34は、第2方向に間隔を有して離間・対向する一対の円弧状の部分と、第2方向に沿って円弧状の部分の一端側の端点同士を接続する直線状の部分とで構成される。これにより、フラップ35は、第2のシート3の一端側に凸となる横長のトラック(track)の形状を有する。
【0025】
遊離片33は、フラップ35の固定端に形成される。すなわち、遊離片33は、切込線34の両端点34a,34a間に形成される。本実施形態においては、遊離片33及びフラップ35は、ヘッダ部15の第2方向中央部に形成され、遊離片33は、切込線34の両端点34a,34a間の中央部に形成される。
【0026】
遊離片33は、切込線34の両端点34a,34aを結ぶ線に跨って形成される。すなわち、切込線32の両端点32a,32aは、切込線34の両端点34a,34a間よりも頂部接合部11側に位置し、これにより、切込線34の両端点34a,34aを結ぶ線は、切込線32の両端点32a,32aよりも内側の部位と交差するとともに、遊離片33の先端部は、切込線34の両端点34a,34a間から第2のシート3の一端側に突出し、フラップ35の領域に入り込む格好となる。
【0027】
遊離片33は、指で摘める大きさであるのに対し、フラップ35は、上述のとおり、横長のトラック(track)の形状を有して、遊離片33よりも大きく、その開口18に1本ないし3本の指(の少なくとも指先)を挿入可能な大きさである。
【0028】
ヘッダ部15における第1のシート2にも、切込線34に対応して、切込線22が形成される。そして、ヘッダ部15における第1のシート2にも、切込線22の形成により、フラップ23が形成される。切込線22と切込線34、フラップ23とフラップ35は、それぞれ、同一形状、同一大きさ、同一位置に形成され、ヘッダ部15の表裏において一致する。これにより、ヘッダ部15には、切込線16が形成され、切込線16の形成により、フラップ17が形成される。
【0029】
図4(b)及び(c)に示すように、フラップ17を固定端側にて正面側に折る又は曲げると、開口18が形成される。そして、フラップ17を固定端側にて正面側に折る又は曲げると、開口18の頂部接合部11側の縁から遊離片33が現出し、遊離片33の先端部が開口18内に突出する。
【0030】
食品の包装に際しては、開口部13を開き、食品を袋本体10内に挿入した後、開口部13の余分なシート片(食品の底面からはみ出るシート片)を適宜折り畳み、開口部13を閉塞し、ラベル又はテープを貼着し、開口部13を封止する。これにより、図5(a)に示す食品包装体が完成する。
【0031】
この商品をコンビニエンスストアやスーパーマーケットで購入した消費者は、図5(b)に示すように、フラップ17を正面側に折り又は曲げ、開口18に指を通して食品包装体を持ち帰ることができる。また、同様にして、持ち運ぶことができる。
【0032】
食品を食する際も、フラップ17を正面側に折り又は曲げ、開口18を形成する。上述のとおり、開口18内に遊離片33の先端部が突出しているので、この遊離片33を摘んで引き下ろす。そうすると、開封用条体5が引っ張られ、第2のシート3に分断開放部が形成され、この分断開放部から食品を取り出すことができる。
【0033】
ここで、本実施形態に係る食品用包装袋1は、図6に示すように、内シート4が接合された第1のシート原反2Xと、切込線32が形成されるとともに、開封用条体5が接合された第2のシート原反3Xとを、内面同士が対向するように重ね合わせ、この状態で間欠的に搬送しつつ、i)頂部接合部11を形成する工程(第1工程)、ii)切込線16を形成する工程(第2工程)、iii)側部接合部12を形成しつつ、食品用包装袋1を個別に分離する工程(第3工程)、iv)切欠部14を形成する工程(第4工程)、を経て製造される。第2工程を除き、第1工程、第3工程及び第4工程は、たとえば特開2005-219319号公報に記載されたとおり、従来から用いられている工程である。
【0034】
なお、台形状を有するこの種の食品用包装袋1は、その形状から、シート原反2X,3Xの搬送方向に対し、横向きでかつ向きが交互に反対となるように製造される。すなわち、シート原反2X,3Xの搬送方向(MD)と直交する幅方向(TD)の一方側に開口部13が形成されるとともに、幅方向の他方側にヘッダ部15が形成される食品用包装袋1と、幅方向の他方側に開口部13が形成されるとともに、幅方向の一方側にヘッダ部15が形成される食品用包装袋1とが、交互に製造される。そこで、以下の説明及び図面においては、前者の食品用包装袋1に係る構成には、便宜上、「一方の」との語を付すとともに、符号の後に「A」を付し、また、後者の食品用包装袋1に係る構成には、「他方の」との語を付すとともに、符号の後に「B」を付す。
【0035】
このように、本実施形態に係る食品用包装材1によれば、ヘッダ部15の開口18に指を掛けて持つことで、片手であっても、落としにくく、しっかりと持てて、持ち運びが容易となる。そうすると、コンビニエンスストアやスーパーマーケットでこの商品だけを購入した場合や、この商品を含み少量しか商品を購入しなかった場合は、レジ袋に入れず、手に持って持ち帰ることができる。このため、本実施形態に係る食品用包装材1によれば、レジ袋の使用量の削減、ひいてはプラスチックごみの削減に貢献することができる。
【0036】
また、食品を食する際には、遊離片33を摘んで引き下ろすという開封操作を行うが、本実施形態に係る食品用包装材1によれば、ヘッダ部15の開口18に指を掛けて持つことで、しっかりと持つことができるため、開封操作を円滑かつ確実に行うことができる。また、本実施形態に係る食品用包装袋1によれば、開封時、袋本体10を持たなくてよいため、中身の食品が潰れにくいという効果もある。
【0037】
しかも、開封操作の摘み片となる遊離片33は、ヘッダ部15の開口18内に突出することで、摘まみやすい。加えて、遊離片33は、開口18の縁に跨った配置となっていることで、コシ(剛性)があり、起立性が高く、さらに摘まみやすい。このため、本実施形態に係る食品用包装材1によれば、開封操作を円滑かつ確実に行うことができる。
【0038】
<第2実施形態>
次に、本発明に係る食品用包装袋の第2実施形態について、図7図12を参酌して説明する。本実施形態に係る食品用包装袋1が第1実施形態に係る食品用包装袋1と異なる点は、切込線16及びフラップ17を形成する代わりに、打ち抜きにより、開口18を直接形成する点である。
【0039】
図7図10に示すように、ヘッダ部15における第2のシート3には、切込線32及び切込線32を頂部接合部11側の縁に含むように開口36が形成される。開口36は、第1実施形態に係る食品用包装袋1の開口18と同様の形状である。
【0040】
遊離片33は、開口36の頂部接合部11側の縁に跨って形成される。すなわち、切込線32の両端点32a,32aは、開口36の頂部接合部11側の縁よりも頂部接合部11側に位置し、これにより、開口36の頂部接合部11側の縁は、切込線32の両端点32a,32aよりも内側の部位に交差するとともに、遊離片33の先端部は、開口36の頂部接合部11側の縁から第2のシート3の一端側に突出し、開口36内に入り込む格好となる。
【0041】
ヘッダ部15における第1のシート2にも、開口36に対応して、開口24が形成される。開口24と開口36は、同一形状、同一大きさ、同一位置に形成され、ヘッダ部15の表裏において一致する。これにより、ヘッダ部15には、開口18が形成される。
【0042】
ただし、厳密に言えば、開口24と開口36は大きさが異なる。本実施形態においては、開口36の方が、開口24よりも僅かに大きい。これは、製造装置における開口24,36の形成位置の精度誤差や、シート2,3の重ね合わせの精度誤差などにより、開口24と開口36とが位置ずれしても、適切な開口18となるようにするための工夫である。
【0043】
図10及び図11に示すように、開口18の頂部接合部11側の縁から遊離片33が現出し、遊離片33の先端部が開口18内に突出する。商品をコンビニエンスストアやスーパーマーケットで購入した消費者は開口18に指を通して食品包装体を持ち帰ることができる。また、同様にして、持ち運ぶことができる。
【0044】
食品を食する際は、開口18内に遊離片33の先端部が突出しているので、この遊離片33を摘んで引き下ろす。そうすると、開封用条体5が引っ張られ、第2のシート3に分断開放部が形成され、この分断開放部から食品を取り出すことができる。
【0045】
ここで、第2のシート3は、図12に示すように、i)第2のシート原反3Xに切込線32及び開口18を同時に又は別々に形成する工程(第1工程)、ii)第2のシート原反3Xの内面に、開封用条体5の一端部が遊離片33上に重なるように、開封用条体5を配置し、接合する工程(第2工程)、を経て製造される。あるいは、第1工程と第2工程が逆の順序であってもよい。同様に、第1のシート2も、図示しないが、第1のシート原反2Xに開口18を形成する工程を経て製造される。これら第1のシート原反2X及び第2のシート原反3Xは、後に、食品用包装袋1を製造する工程において、内面同士が対向するように重ね合わせられる。
【0046】
このように、本実施形態に係る食品用包装材1によっても、第1実施形態に係る食品用包装材1と同様の作用効果を奏する。
【0047】
なお、本発明に係る食品用包装材は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0048】
たとえば、上記第1実施形態においては、開封用条体5の一端部は、遊離片33に配置され、接合される。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。図13に示すように、開封用条体5の一端部5aは、遊離片33から突出するものであってもよい。この場合、食品を食する際、突出している開封用条体5の一端部5aを摘んで引き下ろし、開封操作をする。
【0049】
同様に、上記第2実施形態においても、図14に示すように、開封用条体5の一端部5aは、遊離片から突出するものであってもよい。なお、本例では、第2のシート3に、開口36が形成されるとともに、開口36の頂部接合部11側の縁部に所定間隔を有して一対の切込線37,37が形成され、この切込線37,37間が遊離片となる。このため、本例では、遊離片の先端部は、開口18内に突出せず、開口18に接する形態となる。ただし、上記第2実施形態と同様、遊離片33が開口18内に突出した上で、開封用条体5の一端部5aが遊離片33から突出する構成であってもよい。
【0050】
なお、本例に係る第2のシート3は、図15に示すように、i)第2のシート原反3Xに切込線37及び開口18を同時に又は別々に形成する工程(第1工程)、ii)第2のシート原反3Xの内面に、開封用条体5の一端部5aよりも内側の部分が遊離片上に重なるように、開封用条体5を配置し、接合する工程(第2工程)、を経て製造される。
【0051】
また、上記実施形態においては、ヘッダ部15は、頂部接合部11から突出する各シート2,3の突出片で構成される。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。たとえば、第2のシートのみが突出片を備え、ヘッダ部が第2のシートのみで構成されるものであってもよい。
【0052】
また、「台形状」、「長方形状」、「矩形状」、「円弧」、「直線」、「中央部」、「端部」、「側部」、「一致」、「平行」といった形状、部位又は状態を表す用語は、本発明において、そのもののほか、それに近い、又は、類する、という意味の「略」の概念も含むものである。
【0053】
また、包装対象の食品は、サンドイッチに限定されない。食品は、食品用包装袋に収容できる形であればよい。たとえば、食品は、パン、ケーキ、おにぎり等の米飯加工食品等であってもよい。このように、食品の種類は限定されない。
【0054】
また、シートは、単一のプラスチックシートからなるものに限定されない。たとえば、シートは、紙又は紙質シート等、その他の材質のシートであってもよい。また、シートは、たとえば、二枚のシートを端部同士を接合して一枚のシートにしたものや、三枚のシートを順次端部同士を接合して一枚のシートにしたもののように、複数枚のシートを用いて一枚のシートに形成したものであってもよい。また、この場合、各シートの材質は、異なるものであってもよい。たとえば、一部のシートには、プラスチックシートではなく、紙又は紙質シートを用いるようにしてもよい。
【0055】
また、上記実施形態においては、シート2,3は、ポリプロピレンのシートである。ここで、ポリプロピレンのシートとは、純度100%のポリプロピレンのシートはもちろんのこと、ポリプロピレンを主成分として、他の成分(たとえばポリエチレンといった他の樹脂成分)を含有するシートも含む概念である。
【符号の説明】
【0056】
1…食品用包装袋、10…袋本体、11,11A,11B…頂部接合部、12,12A,12B…側部接合部、13…開口部、14,14A…切欠部、15…ヘッダ部、16…切込線、16a…端点、17…フラップ、18…開口、2…第1のシート(表シート)、2X…第1のシート原反、20…胴部、21…先端部、22…切込線、23…フラップ、24…開口、3…第2のシート(裏シート)、3X…第2のシート原反、30…胴部、31…先端部、32,32A,32B…切込線、32a…端点、33…遊離片、34…切込線、34a…端点、35…フラップ、36…開口、37,37A,37B…切込線、4…内シート、40…接合部、5,5A,5B…開封用条体、5a…一端部(摘み片)
図1
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