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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-04
(45)【発行日】2023-09-12
(54)【発明の名称】情報読取装置及びその方法
(51)【国際特許分類】
   G06T 1/00 20060101AFI20230905BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20230905BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20230905BHJP
【FI】
G06T1/00 400H
G02F1/13 505
G06T7/00 510F
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019230930
(22)【出願日】2019-12-20
(65)【公開番号】P2021099646
(43)【公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】504373093
【氏名又は名称】日立チャネルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】弁理士法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】牧野 周平
【審査官】中田 剛史
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-007008(JP,A)
【文献】特開2009-217811(JP,A)
【文献】特開平11-098325(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 1/00
G02F 1/13
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の液晶の配列によって構成される面であって、大きさが異なる複数の情報記憶媒体のうち最大の情報記憶媒体に対応した読み取り面を有する透明液晶パネルと、
前記読み取り面の領域を遮光領域と透明領域とに分けて管理するとともに、前記複数の液晶の各々を前記遮光領域に属する第1の液晶と前記透明領域に属する第2の液晶とに分けて制御する制御部と、
前記透明液晶パネルのうち前記透明領域に相対向して配置されて前記透明領域上の被写体を撮影するカメラ部と、
前記透明液晶パネルの前記読み取り面に前記複数の情報記憶媒体のうちいずれか一つの情報記憶媒体がセットされた際に、前記読み取り面にセットされた前記情報記憶媒体と情報の送受信を行って前記情報記憶媒体の種類を識別し、当該識別結果を前記制御部に出力する媒体識別部と、
前記透明液晶パネルと同一形状に形成されて前記透明液晶パネルの前記読み取り面に配置されたガラス板又はアクリル板と、
前記透明液晶パネルと同一形状に形成されて前記ガラス板又はアクリル板上に配置され、サイン用ペンの押圧力に応じた軌跡の画像を表示する感圧液晶パネルと、を有し、
前記制御部は、
前記媒体識別部の識別結果を基に前記遮光領域及び前記透明領域の大きさをそれぞれ決定し、当該決定された前記遮光領域に属する前記第1の液晶をオンに設定し、前記決定された前記透明領域に属する前記第2の液晶をオフに設定し、前記感圧液晶パネルに前記軌跡の画像が表示された際に、前記カメラ部に撮影を指令し、その後、前記カメラ部で撮影された前記軌跡の画像を前記透明液晶パネルに表示させることを特徴とする情報読取装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報読取装置であって、
複数の利用者の各々を特定する複数の認証データを記憶する記憶部を更に有し、
前記制御部は、
前記カメラ部の撮影による画像から認証用画像データを生成し、生成した前記認証用画像データと前記記憶部に記憶された前記複数の認証データの各々とを比較し、当該比較結果を基に前記読み取り面にセットされた前記情報記憶媒体の利用者が本人であるか否かを判定することを特徴とする情報読取装置。
【請求項3】
請求項1に記載の情報読取装置であって、
前記制御部は、
前記情報記憶媒体を保持する利用者に対するガイダンス情報を生成し、生成した前記ガイダンス情報を前記透明液晶パネルに転送し、前記生成した前記ガイダンス情報を前記遮光領域に表示させることを特徴とする情報読取装置。
【請求項4】
請求項3に記載の情報読取装置であって、
前記制御部は、
前記生成した前記ガイダンス情報を前記カメラ部の露光時間以外の時間に前記遮光領域に表示させることを特徴とする情報読取装置。
【請求項5】
請求項1に記載の情報読取装置であって、
前記カメラ部は、
前記制御部から前記撮影の指令を受信した場合、受信した前記撮影の指令に応答して仮撮影を実行し、前記仮撮影で得られた画像を前記制御部に転送し、
前記制御部は、
前記カメラ部から前記仮撮影で得られた画像を受信した場合、受信した前記仮撮影で得られた画像の大きさと前記決定した前記透明領域の大きさとを比較し、当該比較結果から両者にずれがあることを条件に、前記決定した前記遮光領域と前記透明領域の大きさをそれぞれ補正し、前記補正された前記遮光領域に属する前記第1の液晶をオンに設定し、前記補正された前記透明領域に属する前記第2の液晶をオフに設定し、前記カメラ部に再度撮影を指令することを特徴とする情報読取装置。
【請求項6】
請求項1に記載の情報読取装置であって、
前記制御部は、
前記カメラ部の撮影による画像を画像データとして生成し、生成した前記画像データを前記透明液晶パネルに転送し、前記読み取り面に前記複数の情報記憶媒体のうち少なくとも一つの情報記憶媒体がセットされていないことを条件に、前記生成した前記画像データによる画像を前記透明液晶パネルの前記透明領域に表示させることを特徴とする情報読取装置。
【請求項7】
複数の液晶の配列によって構成される面であって、大きさが異なる複数の情報記憶媒体のうち最大の情報記憶媒体に対応した読み取り面を有する透明液晶パネルと、
前記読み取り面の領域を遮光領域と透明領域とに分けて管理するとともに、前記複数の液晶の各々を前記遮光領域に属する第1の液晶と前記透明領域に属する第2の液晶とに分けて制御する制御部と、
前記透明液晶パネルのうち前記透明領域に相対向して配置されて前記透明領域上の被写体を撮影するカメラ部と、
前記複数の情報記憶媒体のうちいずれか一つの情報記憶媒体を識別する媒体識別部と、
前記透明液晶パネルと同一形状に形成されて前記透明液晶パネルの前記読み取り面に配置されたガラス板又はアクリル板と、
前記透明液晶パネルと同一形状に形成されて前記ガラス板又はアクリル板上に配置され、サイン用ペンの押圧力に応じた軌跡の画像を表示する感圧液晶パネルと、を有する情報読取装置における情報読取方法であって、
前記媒体識別部が、前記透明液晶パネルの前記読み取り面に前記一つの情報記憶媒体がセットされた際に、前記読み取り面にセットされた前記情報記憶媒体と情報の送受信を行って前記情報記憶媒体の種類を識別する識別ステップと、
前記制御部が、前記識別ステップでの識別結果を基に前記遮光領域及び前記透明領域の大きさをそれぞれ決定し、当該決定された前記遮光領域に属する前記第1の液晶をオンに設定し、前記決定された前記透明領域に属する前記第2の液晶をオフに設定し、前記感圧液晶パネルに前記軌跡の画像が表示された際に、前記カメラ部に撮影を指令し、その後、前記カメラ部で撮影された前記軌跡の画像を前記透明液晶パネルに表示させる制御ステップと、を有することを特徴とする情報読取方法。
【請求項8】
請求項7に記載の情報読取方法であって、
複数の利用者の各々を特定する複数の認証データを記憶する記憶部を更に有し、
前記制御ステップでは、
前記制御部が、前記カメラ部の撮影による画像から認証用画像データを生成し、生成した前記認証用画像データと前記記憶部に記憶された前記複数の認証データの各々とを比較し、当該比較結果を基に前記読み取り面にセットされた前記情報記憶媒体の利用者が本人であるか否かを判定することを特徴とする情報読取方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報記録媒体の情報を読取る情報読取装置及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
情報記録媒体に記録された情報を読取る情報読取装置として、情報記録媒体の両面に記録された情報を光学的に読取る装置が知られている(特許文献1参照)。特許文献1には、「情報読取装置1は、情報記録媒体2が載置される載置部材3と、情報記録媒体2の下面の情報を読み取るための照明および光学系と、情報記録媒体2の上面の情報を読み取るための照明および光学系と、媒体挿入口10aが前面に形成される筐体10と、一部の波長域の光を透過しかつその他の波長域の光を遮断するとともに媒体挿入口10aを覆うための半遮光部11aを有する半遮光部材11とを備えている。」ことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-80221号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、外光対策として、一部の波長域の光を透過しかつその他の波長域の光を遮断するとともに媒体挿入口10aを覆うための半遮光部11aを有する半遮光部材11が具備されているが、大きさ(サイズ)の異なる媒体を識別し、大きさの異なる媒体でも外光を遮光して、媒体の画像を高精度に読み取ることには配慮されていない。
【0005】
本発明の目的は、大きさの異なる情報記憶媒体でも外光を遮光して、情報記憶媒体の画像を高精度に読み取ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は、複数の液晶の配列によって構成される面であって、大きさが異なる複数の情報記憶媒体のうち最大の情報記憶媒体に対応した読み取り面を有する透明液晶パネルと、前記読み取り面の領域を遮光領域と透明領域とに分けて管理するとともに、前記複数の液晶の各々を前記遮光領域に属する第1の液晶と前記透明領域に属する第2の液晶とに分けて制御する制御部と、前記透明液晶パネルのうち前記透明領域に相対向して配置されて前記透明領域上の被写体を撮影するカメラ部と、前記透明液晶パネルの前記読み取り面に前記複数の情報記憶媒体のうちいずれか一つの情報記憶媒体がセットされた際に、前記読み取り面にセットされた前記情報記憶媒体と情報の送受信を行って前記情報記憶媒体の種類を識別し、当該識別結果を前記制御部に出力する媒体識別部と、を有し、前記制御部は、前記媒体識別部の識別結果を基に前記遮光領域及び前記透明領域の大きさをそれぞれ決定し、当該決定された前記遮光領域に属する前記第1の液晶をオンに設定し、前記決定された前記透明領域に属する前記第2の液晶をオフに設定し、前記カメラ部に撮影を指令することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、大きさの異なる情報記憶媒体でも外光を遮光して、情報記憶媒体の画像を高精度に読み取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施例1に係る情報読取装置のブロック構成図である。
図2】本発明の実施例1に係る情報読取装置の図であって、(a)は、情報読取装置の上面図で、(b)は、情報読取装置の側面図である。
図3】本発明の実施例1に係る情報読取装置の動作を説明するためのフローチャートである。
図4】本発明の実施例1に係る液晶表示パネルの表示例を説明するための説明図である。
図5】本発明の実施例1に係る情報読取装置におけるカメラ撮影の露光時間と透明液晶パネルの表示タイミングとの関係をタイムチャートである。
図6】本発明の実施例1に係る液晶表示パネルの他の表示例を説明するための説明図である。
図7】本発明の実施例2に係る情報読取装置の図であって、(a)は、情報読取装置の上面図で、(b)は、情報読取装置の側面図である。
図8】本発明の実施例3に係る情報読取装置の図であって、(a)は、情報読取装置の上面図、(b)は、情報読取装置の側面図、(c)は、ペン先端の拡大図、(d)は、ペンの側面図である。
図9】本発明の実施例4に係る情報読取装置の図であって、(a)は、情報読取装置の上面図、(b)は、情報読取装置の側面図である。
図10】本発明の実施例4に係る情報読取装置とエンドユーザとの関係を説明するための側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0010】
図1は、本発明の実施例1に係る情報読取装置のブロック構成図である。図1において、情報読取装置100は、制御部101、透明液晶パネル102、カメラ部103、照明LED(Light Emitting Diode)104、NFC(Near Field Communication)リーダ105、NFCリーダアンテナ106を備えて構成され、例えば、本人認証ユニットとして機能する。
【0011】
制御部101は、CPU(Central Processing Unit)、入力装置、出力装置、通信装置および記憶装置を備えたコンピュータ装置として構成される。CPUは、装置全体の動作を統括的に制御する中央処理装置として構成される。入力装置は、キーボードまたはマウスから構成され、出力装置は、ディスプレイまたはプリンタから構成される。また通信装置は、無線LAN又は有線LANに接続するためのNIC(Network Interface Card)を備えて構成される。さらに記憶装置は、RAM(Random Access Memory)およびROM(Read Only Memory)などの記憶媒体から構成される。
【0012】
透明液晶パネル102は、複数の液晶を備えて構成される。カメラ部103は、透明液晶パネル102上の被写体(媒体)を撮影し、撮影した画像の画像データを制御部101に転送する。NFCリーダ105は、NFCリーダアンテナ106を介して、透明液晶パネル102上の媒体と情報の送受信を行って媒体を識別する。
【0013】
図2は、本発明の実施例1に係る情報読取装置の図であって、(a)は、情報読取装置の上面図で、(b)は、情報読取装置の側面図である。図2において、情報読取装置100は、装置本体としての筐体100aを備えている。筐体100aの上方には、長方形形状のガラス板(又はアクリル板)110が配置されており、透明なガラス板110の周囲は筐体100aに固定されている。ガラス板110の下方には、ガラス板110と同一形状の透明液晶パネル102がガラス板110に接触した状態で配置されており、透明液晶パネル102の周囲は、筐体100aに固定されている。この際、ガラス板110と透明液晶パネル102の表面(上面)は、複数の液晶の配列によって構成される面であって、大きさ(サイズ)の異なる複数の情報記憶媒体(以下、媒体と称する)のうち、例えば、最大のA6サイズの媒体の大きさに対応した読み取り面203として構成される。ガラス板110上に、媒体204として、例えば、A6サイズより小さいカード媒体が載置された場合、読み取り面203には、媒体204との隙間を示す空きエリア205が形成される。空きエリア205は、外光206が、ガラス板110と透明液晶パネル102を介して筐体100a内に入射する外光入射エリアとなる。
【0014】
透明液晶パネル102の下方には、透明液晶パネル102と同一形状の透明液晶パネル102aが、透明液晶パネル102と一定の間隔を保って配置されている。透明液晶パネル102aの下方には、透明液晶パネル102と透明液晶パネル102aを照明するための照明LED104が、複数個搭載された照明LED基板104aが配置されている。透明液晶パネル102と透明液晶パネル102aとの間の領域には、環状のNFCリーダアンテナ106が配置されている。NFCリーダアンテナ106は、媒体204と情報の送受信を行う。透明液晶パネル102、102aには、それぞれ制御部101からの制御信号に従ってオンオフする液晶(液晶表示素子)が複数個配列されている。透明液晶パネル102、102aの中のいずれかの液晶がオンオフすることで、透明液晶パネル102、102aの動作に伴う情報が、ガラス板110を介して表示される。
【0015】
筐体100a内の底部側中央部には、カメラ部103が配置され、カメラ部103の両側には、制御部101が搭載された制御部基板101aと、NFCリーダ106が搭載されたNFCリーダ基板105aとが分かれて配置されている。カメラ部103は、透明液晶パネル102a、102、ガラス板110を介して、ガラス板110上の媒体204を被写体として、媒体204を撮影し、撮影して得られた画像データを制御部101に転送する。NFCリーダ基板105a上のNFCリーダ105は、NFCリーダアンテナ106の受信による情報を基に、媒体204をカード媒体として識別し、識別結果を制御部101に転送する。なお、筐体100aは、透明液晶パネル102とガラス板110を天板として支持し、カメラ部103等を収納する密閉構造の構造体として構成される。
【0016】
ここで、ガラス板110上に、例えば、A6サイズより小さい(読み取り面203より小さい)媒体204が載置された場合、読み取り面203のうち、媒体204との隙間を示す空きエリア205から、ガラス板110と透明液晶パネル102を介して筐体100a内に外光206が入射する。この状態で、カメラ部103でガラス板110上の媒体204を撮影すると、撮影して得られた画像の中に、外光206の乱反射による画像が映り込んだり、或いは、媒体204の表面やガラス板110の表面での白飛びによる画像が映り込んだりし、カメラ部103の撮影による画質が劣化する。
【0017】
そこで、本実施例では、制御部101は、透明液晶パネル102の読み取り面203の領域を遮光領域と透明領域とに分けて管理するとともに、複数の液晶の各々を遮光領域に属する第1の液晶と透明領域に属する第2の液晶とに分けて制御することとしている。この際、カメラ部103は、透明液晶パネル102のうち透明領域に相対向して配置されて透明領域上の被写体を撮影する。NFCリーダ105とNFCリーダアンテナ106は、媒体識別部として機能し、透明液晶パネル102の読み取り面203に複数の憶媒体のうちいずれかの一つの媒体がセットされた際に、読み取り面203にセットされた媒体と情報の送受信を行って媒体の種類を識別し、この識別結果を制御部101に出力する。さらに、制御部101は、媒体識別部の識別結果を基に遮光領域及び透明領域の大きさをそれぞれ決定し、透明液晶パネル102に属する液晶のうち遮光領域に属する液晶(第1の液晶)をオンに設定し、透明領域に属する液晶(第2の液晶)をオフに設定し、この状態でカメラ部103に撮影を指令する。
【0018】
具体的には、ガラス板110上に、媒体として、例えば、A6サイズより小さい媒体204が載置された場合、NFCリーダ105及びNFCリーダアンテナ106により、媒体204の種類(大きさ)を識別する。制御部101は、NFCリーダ105の識別結果を基に遮光領域及び透明領域の大きさをそれぞれ決定する。この場合、制御部101は、媒体204の大きさを透明領域の大きさとして決定する。この後、制御部101は、透明液晶パネル102に属する液晶のうち遮光領域に属する液晶をオンにセットし、透明領域に属する液晶をオフにセットした状態で、カメラ部103に撮影を指令する。カメラ部103は、透明液晶パネル102の透明領域を介して、ガラス板110上の媒体204を撮影する。これにより、カメラ部103が、ガラス板110上の媒体204を撮影する際には、透明液晶パネル102に属する液晶のうち遮光領域に属する液晶がオンにセットされ、透明液晶パネル102に属する液晶のうち透明領域に属する液晶がオフにセットされるので、遮光領域から筐体100a内に外光206が入射するのを抑制することができ、カメラ部103の撮影による画質の向上を図ることができる。
【0019】
また、本実施例では、A6サイズまでの媒体204を、読み取り面203に、裏向きにセットした場合、筐体100a内のカメラ部103でダイレクトに媒体204を撮影できる構造を採用している。なお、光路長を想定の装置サイズに確保するために、ミラーによる折り返しの構造を設ける場合は、ミラーを付加した形態を採用することができる。また、本実施例では、ガラ板110の裏面に透明液晶パネル102が配置されているので、カメラ部103の撮影時に、透明液晶パネル102の特定の液晶を表示させることで、ガラ板110での外光206の入射を抑制することができる。
【0020】
また、透明液晶パネル102、102aに用いる液晶(液晶表示素子)としては、インテリア時計のような透明液晶クロックに使用される、白文字や黒文字を表示するSTN、TFT液晶などの部材、または液晶ブラインドや調光フィルムといった名称で窓ガラスに活用される液晶部材を採用することができる。その実装は、ガラス板(アクリル板)110の表面側にしてもよく、透明液晶パネル自体の支持体である、十分な強度のガラスをそのまま採用する形態でも良い。ガラス板(アクリル板)110の表または裏に、透明液晶パネル102を配置するパターン以外に、本実施例では、筐体100a内部の奥で遮光するために、透明液晶パネル102aを実装しているので、カメラ部103の画角に合わせたパターンで透明液晶パネル102aを表示させることができ、カメラ部103への外光206の入射をより抑制することができる。
【0021】
図3は、本発明の実施例1に係る情報読取装置の動作を説明するためのフローチャートである。NFCリーダ105はタイプA、タイプB等のNFC規格の媒体を検出して特定するために、NFCリーダアンテナ106を介して、読み取り面203上の媒体とNFCリードポーリング(NFC通信ポーリング)を実行し(S1)、NFC通信ポーリングで媒体を検知した場合、検知結果を制御部101に転送する。
【0022】
このNFC通信ポーリングは、情報読取装置100が、例えば、ATMである場合、ATMの上位装置に配置されたセンサが、エンドユーザを検知したタイミング、或いはエンドユーザが上位装置を操作したことで本人認証の必要性が生じたタイミングで上位装置からのトリガにより開始される。
【0023】
次に、制御部101は、NFC通信ポーリングでの検知結果を基に、読み取り面203上の媒体がカードサイズ媒体か否かを判定する(S2)。ステップS2で肯定の判定結果を得た場合、すなわち、媒体がカードサイズの媒体である場合、カードサイズ部を透明で周囲を液晶オン状態とする処理を実行する(S3)。具体的には、制御部101は、媒体が、カードサイズの媒体であることを特定したため、読み取り面203のうち媒体のセット位置(媒体がセットされるべき位置)に対応した領域であって、カードサイズの大きさの領域を透明領域に、その他の領域(空きエリア205)を、外光206を遮光するための遮光領域に設定し、透明液晶パネル102、102aのうち遮光領域に対応した位置の液晶をオンに設定し、遮光領域に対応した位置の液晶をオフに設定する。
【0024】
一方、ステップS2で否定の判定結果を得た場合、すなわち、媒体がカードサイズの媒体でない場合、制御部101は、NFC通信ポーリングでの検知結果を基に、読み取り面203上の媒体が日本国パスポートサイズか否かを判定する(S4)。ステップS4で肯定の判定結果を得た場合、すなわち、媒体が日本国パスポートサイズの媒体である場合、パスポートサイズを透明で周囲を液晶オン状態とする処理を実行する(S5)。具体的には、制御部101は、読み取り面203のうち媒体のセット位置に対応した領域であって、パスポートサイズの大きさの領域を透明領域に、その他の領域を、外光206を遮光するための遮光領域に設定し、透明液晶パネル102、102aのうち遮光領域に対応した位置の液晶をオンに設定し、遮光領域に対応した位置の液晶をオフに設定する。
【0025】
また、ステップS4で否定の判定結果を得た場合、すなわち、媒体がその他のサイズの媒体である場合、制御部101は、NFC通信ポーリングでの検知結果を基に、その他の種類として、登録したサイズに対応して、透明(登録したサイズの領域を透明)で周囲を液晶オン状態とする処理を実行する(S6)。具体的には、制御部101は、読み取り面203のうち媒体のセット位置に対応した領域であって、登録したサイズの大きさの領域を透明領域に、その他の領域を、外光206を遮光するための遮光領域に設定し、透明液晶パネル102、102aのうち遮光領域に対応した位置の液晶をオンに設定し、遮光領域に対応した位置の液晶をオフに設定する。
【0026】
次に、制御部101は、ステップS3~ステップS6の後の処理として、透明液晶パネル102に、媒体を保持する利用者(エンドユーザ)に対するガイダンス情報を表示する処理を実行する(S7、S8)。この際、制御部101は、ステップS7では、透明液晶パネル102に「裏向きにおいてください」のガイダンス情報を表示させ、ステップS8では、透明液晶パネル102に「カードを裏向きに枠に合わせておいてください」のガイダンス情報を表示させる。
【0027】
次に、制御部101は、カメラ部103に対する仮撮影の処理を実行し、カメラ部103による仮撮影の結果から媒体セット位置を特定する(S9)。この際、制御部101は、カメラ部103が仮撮影を行うときの露光時間中、透明液晶パネル102の全ての液晶をオフにする。
【0028】
次に、制御部101は、特定した媒体セット位置における媒体の左右上下端面に合わせて透明液晶パネル102、102aの液晶をオンさせる(S10)。すなわち、特定した媒体セット位置における媒体の大きさに対応した領域を透明領域に、その他の領域を、外光206を遮光するための遮光領域に設定し、透明液晶パネル102、102aのうち遮光領域に対応した位置の液晶をオンにし、遮光領域に対応した位置の液晶をオフにする。
【0029】
次に、制御部101は、カメラ部103に対する本撮影の処理を実行し(S11)、その後、このルーチンでの処理を終了する。この際、透明液晶パネル102、102aのうち遮光領域に対応した位置の液晶がオンになり、遮光領域に対応した位置の液晶がオフになり、外光206が遮光された状態で、カメラ部103が、特定した媒体セット位置における媒体を撮影する。
【0030】
この本撮影の際には、カメラ部103の露光時間に合わせて、透明液晶パネル102のサンプル媒体表示用の液晶をオフにして、媒体全体が写るように制御をする。媒体の動き自体は、カメラ部103の解像度を落としてVGA(Video Graphics Array)動画で媒体の動きを検出して、媒体の動きの静止した位置が透明液晶パネル102の遮光領域(空きエリア)に近いことを画像より、検知できる。VGA画面サイズで30FPS(Frames Per Second)で撮影する場合は、30FPSのフレームの間の切り替え時間を使って、液晶表示をオンさせることで、人間の目の残像効果により表示は継続しているように見せる制御を行う。
【0031】
図4は、本発明の実施例1に係る液晶表示パネルの表示例を説明するための説明図である。図4(a)に示すように、読み取り面203に媒体が置かれていない場合、透明液晶パネル102には何も表示されない。
【0032】
次に、読み取り面203に媒体204が置かれた場合、図4(b)に示すように、NFCリーダ105によるNFC通信ポーリングの結果から、NFCリーダ105が、エンドユーザの媒体204の種類(大きさ)を判別する。この際、制御部101は、NFCリーダ105の識別結果を取り込み、読み取り面203に置かれた媒体204が、例えば、カードサイズの媒体であることを認識する。
【0033】
次に、制御部101は、透明液晶パネル102に対して、ガイダンス情報と媒体サンプルの情報を表示させるための指令を出力し、図4(c)に示すように、読み取り面203の上方の領域に、媒体であるカードをセットする方法を指示するためのガイダンス情報として、例えば、「枠に合わせてカードを裏向きに置いてください」のガイダンス情報353を表示させ、読み取り面203の中央部の領域に、媒体サンプル352、例えば、免許証の画像を表示させる。
【0034】
次に、制御部101は、エンドユーザが、媒体を枠に合わせる操作を行う間、透明液晶パネル102に対して、ガイダンス情報を表示させるための指令を出力し、図4(d)に示すように、読み取り面203の上方の領域に、例えば、「しばらくおまちください」のガイダンス情報353を表示させ、撮影を準備するための処理に移行する。
【0035】
次に、制御部101は、仮撮影を実行するための指令をカメラ部103と透明液晶パネル102に出力し、図4(e)に示すように、読み取り面203の上方の領域に、例えば、「撮影中です」のガイダンス情報を表示させる。この際、制御部101は、仮撮影を実施して、媒体204のセット位置を認識した後、エンドユーザが、媒体204をサンプル媒体352の位置にセットできない場合、読み取り面203の上方の領域に、例えば、「枠に合わせてカードを裏向きに置いてください」のガイダンス情報を再度表示させ、その後、2度目の仮撮影を実行する。なお、仮撮影の画像の状態によっては、媒体204の外形に合わせて、サンプル媒体352の画像を表示し直すこともできる。
【0036】
また、制御部101は、ガイダンス情報を表示する場合、媒体204の上下左右端面の位置とサンプル媒体352の液晶表示枠とを合わせるためのガイダンス情報を表示する処理を実行する。この際、制御部101は、カメラ部103のX、Y画素位置と、透明液晶パネル201の表示位置との位置関係を設定するに際しては、情報読取装置100の生産時に、カメラ部103と、1透明液晶パネル201を取り付けた時に位置補正されたときの関係を示す計算式を用いて補正する。また、制御部101は、ガイダンス情報を表示するに際しては、カメラ撮影の露光時間の瞬間、ガイダンス情報をマスクして、ガイダンス情報の文字から外光206が入射するのを抑制している。また、制御部101は、媒体204の上下左右端面の位置とサンプル媒体352の液晶表示枠とを合わせる際には、少しの隙間も無くすように、媒体204よりも内に液晶表示が入り込む制御を実施している。これも、制御部101では、カメラ部103のX、Y画素位置と、透明液晶パネル201の表示位置との位置関係を補正できることと、カード種別を判別し、媒体(カード)204の印刷情報の存在しない領域(縁取りマージン)を認識しているためである。これにより、媒体(カード)204の端面より少し内に入り込んで、液晶を表示することで、媒体(カード)204と液晶表示枠との隙間をなくすことができる。
【0037】
次に、制御部101は、本撮影が終了した場合、本撮影終了時のガイダンス情報を実行させるための指令を透明液晶パネル102に出力し、図4(f)に示すように、読み取り面203の上方の領域に、本撮影が終了したときのガイダンス情報として、例えば、「撮影終了したので、取り除いてください」のガイダンス情報353を表示させる。
【0038】
図5は、本発明の実施例1に係る情報読取装置におけるカメラ撮影の露光時間と透明液晶パネルの表示タイミングとの関係をタイムチャートである。図5において、制御部101は、図5(a)に示すように、時間t0~時間t1まで、表示指令を透明液晶パネル102に出力し、空きエリア205にガイダンス情報を表示させ、時間t1~時間t4まで、非表示指令を透明液晶パネル102に出力し、空きエリア205を非表示状態にする。時間t2~時間t3は、カメラ部103の露光時間であり、時間t1~時間t4まで、空きエリア205におけるガイダンス情報(白抜きのガイダンス情報)は、非表示状態となる。時間t4以降は、表示指令を透明液晶パネル102に出力し、空きエリア205にガイダンス情報を表示させる。
【0039】
また、制御部101は、図5(b)に示すように、時間t0~時間t1まで、表示指令を透明液晶パネル102に出力し、読み取り面203の中心部に媒体サンプル352の情報を表示させ、時間t1~時間t4まで、非表示指令を透明液晶パネル102に出力し、読み取り面203の中心部の領域(透明領域)を非表示状態にする。この際、読み取り面203の中心部の領域は、非表示で、透明になる。時間t4以降は、表示指令を透明液晶パネル102に出力し、読み取り面203の中心部に媒体サンプル352の情報を表示させる。
【0040】
さらに、制御部101は、図5(c)に示すように、時間t0~時間t2まで、オフ指令をカメラ部103に出力し、カメラ部103の露光時間をオフにし、時間t2~時間t3まで、オン指令をカメラ部103に出力し、カメラ部103の露光時間をオンにする。時間t3以降は、オフ指令をカメラ部103に出力し、カメラ部103の露光時間をオフにする。
【0041】
図6は、本発明の実施例1に係る液晶表示パネルの他の表示例を説明するための説明図である。図6において、媒体のセット位置を、読み取り面203の中心部の領域から、読み取り面203の左下の領域に変更する場合、制御部101は、読み取り面203の左下の領域に、位置合わせガイド401を表示させるための指令を透明液晶パネル102に出力し、読み取り面203の左下の領域に、位置合わせガイド401を表示させる。この際、制御部101は、位置合わせガイド401に媒体204を合わせるためのガイダンス情報として、例えば、「枠に合わせて置いてください」のガイダンス情報353を読み取り面203の上方の領域に表示させる。
【0042】
媒体204の位置を読み取り面203の左下の領域に変更する場合、位置合わせガイド401に媒体204を合わせるためのガイダンス情報353を表示することで、エンドユーザに位置合わせガイド401に沿って媒体204をセットさせることが可能になる。これにより、媒体204の位置を読み取り面203の左下の領域に変更する場合でも、外光206を遮光した状態で、媒体204を撮影することができる。
【0043】
本実施例において、制御部101は、カメラ部103の撮影による画像を画像データとして生成し、生成した画像データを認証データとして保存すると共に、画像データを透明液晶パネル102に転送し、読み取り面203に媒体204がセットされていないことを条件に、生成した画像データによる画像を透明液晶パネル102の透明領域に表示させることもできる。また、複数の利用者の各々を特定する複数の認証データを記憶部としての記憶装置に記憶した場合、制御部101は、カメラ部103の撮影による画像から認証用画像データを生成し、生成した認証用画像データと記憶部に記憶された各認証データとを比較し、この比較結果を基に、読み取り面303にセットされた媒体204の利用者が、本人であるか否かを判定し、判定結果(本人か否かを示す情報)を出力すること、例えば、透明液晶パネル102に表示することもできる。さらに、制御部101は、カメラ部103の撮影による画像を画像データとして生成し、生成した画像データを透明液晶パネル102に転送し、読み取り面203に媒体204がセットされていないことを条件に、生成した画像データによる画像を透明液晶パネル102の透明領域に表示させることもできる。
【0044】
本実施例によれば、大きさの異なる媒体でも外光を遮光して、媒体の画像を高精度に読み取ることができる。
【実施例2】
【0045】
図7は、本発明の実施例2に係る情報読取装置の図であって、(a)は、情報読取装置の上面図で、(b)は、情報読取装置の側面図である。図7において、本人認証ユニットとして機能する情報読取装置100は、装置本体としての筐体100aを備えている。筐体100aの上方には、長方形形状のカバー115と、長方形形状のセットガイド116が配置されている。カバー115は、筐体100aの上方の領域の略半分の領域を覆う大きさに形成され、その一端側が筐体100aの上部に固定されている。セットガイド116は、筐体100aの上方の領域の略半分の領域を覆う大きさに形成され、ガラス板110aとカバー115との間の領域に水平方向に沿って移動可能に配置されている。カバー115とセットガイド116は、外光206を遮光する外光入射防止板として機能する。この際、セットガイド116の上面にガイダンス情報を表示するために、セットガイド116の上部には、長方形形状の透明液晶パネル102bが収納されている。
【0046】
筐体100a内の下方には、カバー115から露出した位置に配置されたセットガイド116の略中心部に対向してカメラ部103が配置される。カメラ部103に一定の間隔を保って駆動部120が配置される。駆動部120は、例えば、モータやモータの回転運動を直線運動に変換する変換機構などを有し、FFCケーブル121を介してセットガイド116に接続されている。FFCケーブル121の途中には、ローラ122、123が回転自在に配置されている。セットガイド116は、モータが正回転した際に、カバー115から露出した位置に配置され、モータが逆回転した際には、カバー115の下方の位置に退避される。なお、筐体100aに配置される部材、例えば、制御部基板101a、NFCリーダ基板105a、NFCリーダアンテナ106、照明LED基板104a等の図示は省略されている。
【0047】
本実施例において、セットガイド116が、カバー115から露出した位置に配置された状態にあるとき、制御部101は、媒体204を認識した後、透明液晶パネル102bに対して、例えば、「セットしてください」のガイダンス情報を表示させる。この際、制御部101は、媒体204が、例えば、パスポートサイズの媒体であると認識した場合、駆動部120を駆動させて、セットガイド116をカバー115の下方の位置まで退避させる。この後、制御部101は、カメラ部103に対して、媒体204を撮影するための指令を出力する。
【0048】
本実施例によれば、コピー機のように、エンドユーザが蓋を開け閉めすることなく、パスポートサイズの媒体204を撮影することができる。
【実施例3】
【0049】
図8は、本発明の実施例3に係る情報読取装置の図であって、(a)は、情報読取装置の上面図、(b)は、情報読取装置の側面図、(c)は、ペン先端の拡大図、(d)は、ペンの側面図である。
【0050】
本実施例は、情報読取装置100を、サインタブレット端末として利用するために、カメラ部103で手書きサインの動きを検出して、その軌跡を透明液晶パネル102にリアルタイムで表示させるものであって、感圧液晶パネル130、ペン収納ホルダー部131、及び手書きサイン用のペン140を追加した他は、実施例1と同様である。
【0051】
感圧液晶パネル130は、ガラス板110と同一形状に形成され、ガラス板110上に配置される。ペン収納ホルダー部131は、略箱型形成に形成され、筐体100aの上部側の側面に固定される。手書きサイン用のペン140は、ペン収納ホルダー部131内にその一部が収納可能に配置される。
【0052】
ペン140は、略円筒形に形成された本体140aと、略円錐状に形成された先端部140bを有し、本体140a内には、圧電センサ141、NFCコントローラ142、NFCアンテナコイル143が収納され、先端部140bの先端には、数ミリ程度の大きさのカメラ撮影追跡部144が配置される。
【0053】
カメラ撮影追跡部144の素材は、紫外蛍光反応素材や、赤外反応部材など特定の光源波長に反応する素材である。この素材としては、カメラ部103で動画撮影するため、照明LED基板104a上で発光するLEDの光源波長で測定した場合に、カメラ撮影追跡部144と、本体140aのボディ色のコントラスト比を十分にとる必要があり、検出上は濃度換算でPCS0.6以上のものが望ましい。
【0054】
この素材は、紫外蛍光反応素材や、赤外反応部材など特定の光源波長に反応する素材であるが、外光206の差し込み条件が少ない環境においては、可視光波長の照明でカメラ撮影追跡部144を動画撮影も可能場合でも、可視光波長でカメラ撮影追跡部144と、本体140aのボディ色のコントラスト比は、濃度換算でPCS0.6以上のものが望ましい。
【0055】
また、カメラ撮影追跡部144は、カメラ部103の分解能に対して十分なサイズで構成されている。例えば、分解能が600DPI(Dots Per Inch)のカメラ部103の場合は、計算上の分解能が約0.04mmであるが、透明液晶パネル102とガラス板110の屈折率の不均一さから画像乱れが発生するので、その素材のヘイズ率を加味し、またエンドユーザが操作する場合の傾き角度を加味すると、分解能0.04mmの25倍~50倍のである、1~2mmが、カメラ撮影追跡部144の大きさとしては適当である。ペン先となるカメラ撮影追跡部144として大きなものを用いると、撮影でペン先が映り易くなり、細かいゴミとペン先との区別もし易くなる。また、大きなペン先を用いた場合、位置決め精度が低下するものの、1フレーム毎に撮影されているカメラ撮影追跡部144の画像の重心を求め、その重心をペン140の先端であると近似しながら、複数フレームに渡ってペン先を追尾することで、ペン先の軌跡をデータ化することができる。
【0056】
ペン先の軌跡をデータ化するに際しては、カメラ部103で撮影している読み取り面203の位置を座標に変換している。この際、カメラ部103の撮影位置と、透明液晶パネル102の表示位置は、情報読取装置110の生産組み立て時に位置決め補正される。これにより、複数フレームに渡って追尾されたフレーム毎の座標データは、リアルタイムに、透明液晶パネル102に対応した座標データに変換され、変換された座標データの画像が表示される。
【0057】
人間のペンを走らせるスピードの想定を高い方で設計している方が、書き込みが滑らかになるため、カメラ部103のフレームレートは、120FPS以上が望ましいが、撮影サイズと分解能とカメラ部103の性能で最適化する必要がある。
【0058】
なお、ペン140のペン先(カメラ撮影追跡部144)が、ガラス板(アクリル板)110に接触している時に、カメラ部103で1フレーム毎に撮影されているペン先の位置を有効とする必要がある。この際、本実施例では、、筐体100a内にNFCリーダ基板105aと、NFCリーダアンテナ106が配置されているため、ペン140の本体140aの内部には、NFC規格の要件を満たすように、NFCアンテナコイル143と、NFCコントローラ(NFC用ICチップ)142及びNFCアンテナコイル143で発生する電力で、ペン先に作用する圧力を検知できる圧電センサ141が実装されている。NFCリーダ基板105aに実装されたNFCリーダ105は、ペン140とのNFC通信が確立されると、NFC通信の通信セッションで連続して、圧電センサ141の検知による押圧値を取り込むことができる。なお、ペン140のペン先は、その押圧の力を圧電センサ141に伝達するように、圧電センサ141に連結されている。NFCリーダ105、圧電センサ141の検出による押圧値が、例えば、「255」の場合、その値とともに、ペン先の軌跡を示すサインデータを取得する。エンドユーザ自身に見せるリアルタイム表示については、透明液晶パネル102の対応している諧調と精細度により表現することができる。
【0059】
上記のように複数フレームに渡ってペン140のペン先を追尾して、ペン先の軌跡であるサインをデータ化する場合において、感圧液晶パネル130は不要である。
【0060】
感圧液晶パネル130は、カメラ部103が1フレームで撮影するときに、ペン先の軌跡を取り込みするのに必要であり、例えばiMPROV electronics社製の商品名:Boogie Boardの半透過型と同等の部品を実装した形態を採用することができる。
【0061】
この場合、エンドユーザがペン140を操作したときのサインは、メモパッドである感圧液晶パネル130の表面に残る。このため、感圧液晶パネル130がペン140で操作されたときの状態を1フレームの静止画としてカメラ部103で撮影することで、サインはカメラ部103の撮影画像として残る。この際、カメラ部103の撮影による画像(サインの画像)を制御部101に転送し、制御部101において、サインの画像データをエンドユーザの認証データとして保存することができる。
【0062】
また、感圧液晶パネル130に残ったサインは、制御部101が、感圧液晶パネル130に電圧を印可することで消去される。この後、制御部101は、媒体を撮影する制御に移行する。
【0063】
なお、ペン140には、特別な仕掛けは不要だが、ペン先の素材としては、感圧液晶パネル130の表面を傷つけることなく、すべりのよい素材を使用したり、ペン先に付属品を使用したりすることが望ましい。
【0064】
また、本実施例では、エンドユーザがペン140を操作する場合、押圧の掛け方で、感圧液晶パネル130に、細い或いは太いはねなどの軌跡130aがそのまま残るので、エンドユーザに対して筆跡のスピードに制限を掛けることはない。
【0065】
本実施例によれば、媒体撮影用のカメラ部103を使用して、ペン140のペン先を動画撮影して、その軌跡103aを、外光入射を抑えるための透明液晶パネル102に表示することができる。
【実施例4】
【0066】
図9は、本発明の実施例4に係る情報読取装置の図であって、(a)は、情報読取装置の上面図、(b)は、情報読取装置の側面図である。図10は、本発明の実施例4に係る情報読取装置とエンドユーザとの関係を説明するための側面図である。
【0067】
本実施例は、媒体がセットされていない場合、エンドユーザの顔写真を撮影し、撮影した顔写真の画像を透明液晶パネルに表示するようにしたものであり、筐体100aに配置されるカメラ部103等の位置が実施例1とは異なっている。
【0068】
筐体100aの上部側の領域には、透明液晶パネル102cとカバー116が配置されている。透明液晶パネル102cは、略長方形形状に形成され、筐体100aの上部側の領域の略半分の領域に亘って配置されている。カバー116は、略長方形形状に形成され、筐体100aの上部側の領域の略半分の領域に亘って配置されている。カバー116上には、透明液晶パネル102cに隣接する領域に、略長方形形状のガイド117が配置されている。透明液晶パネル102cの下面には、透明液晶パネル102cと同一形状の液晶調光フィルム118が配置されている。透明液晶パネル102cの下方の領域には、ミラー150が傾斜した状態で配置されている。ミラー150の近傍には、照明LED基板104aが配置されている。ミラー150の下方には、NFCリーダ基板105aが配置されている。
【0069】
カバー116の下方の領域には、プロジェクション灯光器151とカメラ部103が上下に分かれて配置されている。この際、プロジェクション灯光器151は、その光がミラー150の表面全体を照射する向きに配置される。カメラ部103は、その光軸が、ミラー150の中心を介して、透明液晶パネル102cの中心部に直角に交差する向きに配置される。なお、カメラ部103と透明液晶パネル102cとを結ぶ被写体距離は、L1に設定されている。また、エンドユーザ300と透明液晶パネル102cとを結ぶ被写体距離は、L2に設定されている。カメラ部103の近傍には、制御部基板101aが鉛直方向に沿って配置されている。液晶調光フィルム118の下方には、NFCリーダアンテナ106が配置されている。
【0070】
制御部基板101aに搭載された制御部101は、透明液晶パネル102c上に媒体がセットされていない場合、プロジェクション灯光器151に灯光指令を与えて、プロジェクション灯光器151からの光をミラー150と透明液晶パネル102cを介して、エンドユーザ300の顔に照射すると共に、カメラ部103に撮影指令を与えて、カメラ部103に、エンドユーザ300の顔写真を撮影させる。その後、カメラ部103で撮影された顔写真のデータを基に、透明液晶パネル102c上にエンドユーザ300の顔写真を表示させる。
【0071】
また、エンドユーザ300が媒体を透明液晶パネル102c上にセットする場合、エンドユーザ300は、媒体をガイド117に沿って透明液晶パネル102c上にセットすることができる。媒体が透明液晶パネル102c上にセットされた場合、制御部101は、照明LED104からの光を透明液晶パネル102cに照射させた状態で、カメラ部103に媒体を撮影させることができる。
【0072】
なお、透明液晶パネル102c上の媒体からエンドユーザ300の顔までの被写体距離L2は、カメラ部103から媒体までの被写体距離L1とは異なるため、カメラ部103のレンズとしては、アクチュエータで動作するピント調整タイプのレンズや、Corning社製 C-S-25H0-026レンズであって、レンズ内部に封止させたオイルに電圧を印可しオイルの厚みを変化させて、ピント調整するオイルタイプのレンズを用いることができる。
【0073】
ここで、カメラ部103のレンズのピントを調整するに際しては、2種のピント設定値を用いたアプリケーションで制御することができる。この際、情報記憶装置100の生産時に、被写体距離L1、L2のそれぞれで、ピント調整して2種のピント設定値を得るために、情報記憶装置100の生産時に、被写体距離L1、L2それぞれの距離にテストパターンを設置して、ピント調整することで、2種の設定値として記憶させることができる。その後、システム連動時に上記アプリケーションの指示で媒体撮影の時と、顔撮影の時で、ピント設定値を切り替える制御をする。ここでいうピント設定値とは、アクチュエータやオイルに印可してピントが最適となった電圧値のことであるが、実際には、電圧値がDA(Digital Analog)変換されて、アクチュエータが制御されるため、電圧値はデジタル値として記憶される。上記アプリケーションを用いた制御がないと、カメラ部103のオートフォーカスのみでは、透明液晶パネル102cへの映り込み画像に、フォーカスの合わせこみ動作することがあり、またオートフォーカスが収束するまでに時間がかかることがある。
【0074】
よって、情報記憶装置100の生産時には、ガラス板(アクリル板)110、透明液晶パネル102cがない状態で、ピント設定値をピントの合った電圧として記憶させるが、ガラス板(アクリル板)100、透明液晶パネル102c自体の屈折率によるピントシフトは、全体の被写体距離(L1+L2)からみた影響度は微小であるため、無視して差し支えない。また、ピント調整のためのレンズ変化は、エンドユーザとの取引毎に発生するため、設定製品寿命と想定取引量によって、オイルの厚み変化により、レンズ焦点距離を変えてピント調整するタイプのレンズが、メカニカルな摩耗がなく長寿命がないため最適である。
【0075】
透明液晶パネル102cとしては、例えば凸版印刷の液晶の調光フィルム(製品名LC MAGIC)を実装させ、外光の入射を抑える形態とすることができる。この際、透明液晶パネル102cのエリアを、カードサイズのエリアと、A6サイズ又はパスポートサイズのエリアを分けて使用するために、透明液晶パネル102cとは電気的に絶縁されている液晶調光フィルム118には、微細な切れ込みが入れられている。液晶調光フィルム118は、制御部101からのオンまたはオフの電圧に応答して、不透明(白濁)又は透明の状態に変化する。また、液晶調光フィルム118は、オン又はオフの電圧が印加される領域に応じて、不透明(白濁)又は透明となるサイズが変化する。
【0076】
液晶調光フィルム118の領域が不透明(白濁)又は透明となるサイズは、媒体のサイズを決定するときと同様に、NFCリーダ105が、媒体に搭載されたICからの情報を読み取ることで、制御部101によって決定される。なお、液晶調光フィルム自体は、不透明(白濁)になるため、ガイダンス表示や、エンドユーザ300を撮影した顔の表示は、プロジェクション投光器151からの光を利用して実施することができる。
【0077】
本実施例によれば、媒体がセットされていない場合、エンドユーザの顔写真を撮影し、撮影した顔写真の画像を透明液晶パネルに表示することができる。
【0078】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0079】
また、上記の各構成、機能等は、それらの一部又は全部を、例えば、集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、IC(Integrated Circuit)カード、SD(Secure Digital)メモリカード、DVD(Digital Versatile Disc)等の記録媒体に記録して置くことができる。
【符号の説明】
【0080】
100 情報読取装置、101 制御部、102、102a 透明液晶パネル、103 カメラ部、104 照明LED、105 NFCリーダ、106 NFCリーダアンテナ、130感圧液晶パネル、140 ペン、150 ミラー、151 プロジェクション灯光器、203 読み取り面、204 媒体、205 空きエリア
図1
図2
図3
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図6
図7
図8
図9
図10