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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-04
(45)【発行日】2023-09-12
(54)【発明の名称】清掃装置システム及び清掃方法
(51)【国際特許分類】
   F28G 3/14 20060101AFI20230905BHJP
   F28G 3/12 20060101ALI20230905BHJP
【FI】
F28G3/14
F28G3/12
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019235661
(22)【出願日】2019-12-26
(65)【公開番号】P2021105458
(43)【公開日】2021-07-26
【審査請求日】2022-06-06
(73)【特許権者】
【識別番号】308024395
【氏名又は名称】荏原環境プラント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【弁理士】
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】北井 豪太
(72)【発明者】
【氏名】若林 真悟
(72)【発明者】
【氏名】椎名 洋
(72)【発明者】
【氏名】角田 和彦
(72)【発明者】
【氏名】田中 修身
【審査官】礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-071394(JP,U)
【文献】実開昭64-048188(JP,U)
【文献】特開2002-102812(JP,A)
【文献】中国実用新案第206305094(CN,U)
【文献】米国特許第04244072(US,A)
【文献】実開昭57-099781(JP,U)
【文献】特開平06-240718(JP,A)
【文献】特開2010-151414(JP,A)
【文献】特開2015-231605(JP,A)
【文献】特開平11-169807(JP,A)
【文献】特開2005-046721(JP,A)
【文献】特表2015-505719(JP,A)
【文献】中国実用新案第202928444(CN,U)
【文献】特開2018-071831(JP,A)
【文献】特開2012-207813(JP,A)
【文献】実開平02-092433(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28G 1/00 - 15/10
F22B 37/48 - 37/56
B08B 1/00 - 17/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パイプと、前記パイプの径方向で外側に、前記パイプに対して相対的に回転可能に嵌められた回転体と、前記回転体が回転した場合に前記回転体とともに回転して清掃対象物に接触することで前記清掃対象物を清掃するワイヤーと、を有する清掃装置を少なくとも1つ備え、
前記パイプの内部には流体が通過し、前記パイプの側壁には、前記パイプの内部を通過する流体を前記パイプの径方向で外側に向けて噴射させるノズル孔が設けられており、
前記ワイヤーは、屈曲自在な柔軟性を有する紐状体によって構成されており、
前記回転体は、前記パイプの前記ノズル孔から噴射された流体によって駆動されて回転し、
前記回転体は、前記回転体の回転に供された後の流体を前記回転体の径方向で外側に向けて噴射する噴射口を備え、
前記回転体を前記パイプの延在方向に移動させる移動装置をさらに備え、
前記パイプの延在方向は上下方向であり、
前記移動装置は、前記回転体が回転した場合に浮力を発生させる浮力羽根を備え、前記浮力羽根が発生する浮力を利用して前記回転体を移動させる、清掃装置システム。
【請求項2】
前記回転体は、複数の羽根を有し、前記パイプの前記ノズル孔から噴射された流体の圧力を前記羽根が受けることで、前記パイプに対して相対的に回転し、
前記噴射口は、隣接する前記羽根の間の隙間によって構成されている請求項1に記載の清掃装置システム。
【請求項3】
前記清掃装置を複数備え、
複数の前記清掃装置における各々の前記パイプを互いに連結する継手を備える請求項1又は2に記載の清掃装置システム。
【請求項4】
前記清掃装置を前記清掃対象物の延在方向に走行させる走行装置をさらに備える請求項1~3のいずれか1項に記載の清掃装置システム。
【請求項5】
前記移動装置は、磁力を発生する磁力発生体をさらに備え、前記磁力発生体が発生した磁力をさらに利用して前記回転体を移動させる請求項1~4のいずれか1項に記載の清掃装置システム。
【請求項6】
前記磁力発生体は、前記パイプの内部に配置され、
前記回転体は、前記パイプの延在方向に移動可能に前記パイプに接続された軸受に接続され、前記軸受を介して前記パイプに対して相対的に回転可能に嵌められ、
前記軸受は、前記磁力発生体が発生する磁力に吸引される性質を有し、
前記移動装置は、前記パイプの内部の前記磁力発生体を前記パイプの延在方向に移動させることで、前記回転体を移動させるように構成されている、請求項5に記載の清掃装置システム。
【請求項7】
前記パイプと前記清掃対象物とに係合する係合部材を有し、前記係合部材によって前記パイプが前記清掃対象物に近づく方向に振れることを抑制する振れ抑制装置をさらに備える請求項1~6のいずれか1項に記載の清掃装置システム。
【請求項8】
前記ワイヤーは、ループ形状を呈している請求項1~7のいずれか1項に記載の清掃装置システム。
【請求項9】
廃棄物用の焼却施設の熱交換用の管の清掃に用いられる、請求項1~8のいずれか1項に記載の清掃装置システム。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の清掃装置システムの前記パイプに流体を通過させることで前記回転体を前記パイプに対して相対的に回転させるとともに、回転する前記回転体の前記噴射口から前記回転体の径方向で外側に向けて流体を噴射させながら、回転する前記ワイヤーを前記清掃対象物に接触させることで、前記清掃対象物を清掃する、清掃方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清掃装置システム及び清掃方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、廃棄物の焼却施設等に設置されている熱交換器を清掃する際には、高所足場等を設置して、人力によるケレン清掃が行われている。また、従来、清掃対象物を清掃する清掃装置として、回転ブラシを備える清掃装置が知られている(例えば特許文献1参照)。このような清掃装置は、回転ブラシが清掃対象物(配管等)に接触して清掃対象物をケレン清掃することで、清掃対象物に付着している異物を除去している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-71831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような従来の清掃作業は、多大な時間と労力及び費用が掛かり、効率的な作業とはいえなかった。また、清掃装置においても、回転ブラシが接触する部分しか清掃することができないため、同時に清掃できる範囲が十分に広いとはいえず、効率的ではなかった。
【0005】
本発明は、上記のことを鑑みてなされたものであり、その目的は、手間をかけずに簡易な方法で清掃対象物の広範囲を同時に清掃することができる清掃装置システム及び清掃方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る清掃装置システムは、パイプと、前記パイプの径方向で外側に、前記パイプに対して相対的に回転可能に嵌められた回転体と、前記回転体が回転した場合に前記回転体とともに回転して清掃対象物に接触することで前記清掃対象物を清掃するワイヤーと、を有する清掃装置を少なくとも1つ備え、前記パイプの内部には流体が通過し、前記パイプの側壁には、前記パイプの内部を通過する流体を前記パイプの径方向で外側に向けて噴射させるノズル孔が設けられており、前記ワイヤーは、屈曲自在な柔軟性を有する紐状体によって構成されており、前記回転体は、前記パイプの前記ノズル孔から噴射された流体によって駆動されて回転し、前記回転体は、前記回転体の回転に供された後の流体を前記回転体の径方向で外側に向けて噴射する噴射口を備える。
【0007】
この態様によれば、回転する回転体の噴射口から回転体の径方向で外側に向けて流体を噴射させながら、ワイヤーによって清掃対象物を清掃することができる。これにより、噴射口から噴射された流体によるパージ清掃とワイヤーによるケレン清掃とを同時に行うことができる。したがって、手間をかけずに簡易な方法で清掃対象物の広範囲を同時に清掃することができる。また、ワイヤーが紐状体によって構成されているので、ワイヤーが清掃対象物に接触した場合、ワイヤーは清掃対象物の形状に沿うように変形することが容易にできる。この点においても、手間をかけずに簡易な方法で清掃対象物の広範囲を同時に清掃することができる。また、ワイヤーは、清掃対象物の形状に密着して、清掃対象物を包み込むように自在に形状をあわせられ、また、しなり効果が高いので、清掃対象物に付着している異物をこそげ落とす機能が高い。このため、清掃対象物に付着している異物を
除去する効果が高いので、強固に付着した異物も清掃することができる。
【0008】
上記態様において、前記回転体は、複数の羽根を有し、前記パイプの前記ノズル孔から噴射された流体の圧力を前記羽根が受けることで、前記パイプに対して相対的に回転し、前記噴射口は、隣接する前記羽根の間の隙間によって構成されていてもよい。
【0009】
この態様によれば、ノズル孔から噴射された流体によって回転体を効果的に回転させることができる。
【0010】
上記態様は、前記清掃装置を複数備え、複数の前記清掃装置における各々の前記パイプを互いに連結する継手を備えていてもよい。
【0011】
この態様によれば、複数の清掃装置を継手によって容易に連結することができる。また、清掃装置システムが清掃装置を1個のみ備える場合に比較して、清掃対象物の広範囲を同時に清掃することができる。
【0012】
上記態様は、前記清掃装置を前記清掃対象物の延在方向に走行させる走行装置をさらに備えていてもよい。
【0013】
この態様によれば、清掃装置を走行させながら、清掃することができる。これにより、走行装置を備えていない場合に比較して、清掃対象物の広範囲を清掃することができる。
【0014】
上記態様は、前記回転体を前記パイプの延在方向に移動させる移動装置をさらに備えていてもよい。
【0015】
この態様によれば、清掃装置を移動させながら、清掃することができる。これにより、移動装置を備えていない場合に比較して、清掃対象物の広範囲を清掃することができる。
【0016】
上記態様において、前記移動装置は、磁力を発生する磁力発生体を備え、上記態様は、前記磁力発生体が発生した磁力を利用して前記回転体を移動させてもよい。
【0017】
この態様によれば、簡素な構成によって回転体を移動させることができる。
【0018】
上記態様において、前記パイプの延在方向は上下方向であり、前記移動装置は、前記回転体が回転した場合に浮力を発生させる浮力羽根を備え、前記浮力羽根が発生する浮力を利用して前記回転体を移動させてもよい。
【0019】
この態様によれば、回転体を容易に移動させることができる。
【0020】
上記態様は、前記パイプと前記清掃対象物とに係合する係合部材を有し、前記係合部材によって前記パイプが前記清掃対象物に近づく方向に振れることを抑制する振れ抑制装置をさらに備えていてもよい。
【0021】
この態様によれば、パイプが清掃対象物に近づく方向に振れることを効果的に抑制することができる。
【0022】
上記態様において、前記ワイヤーは、ループ形状を呈していてもよい。
【0023】
この態様によれば、ワイヤーによる清掃対象物の清掃範囲を容易に広くすることができるので、清掃効率を向上させることができる。
【0024】
上記態様において、清掃装置システムは、廃棄物用の焼却施設の熱交換用の管の清掃に用いられていてもよい。
【0025】
また、上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る清掃方法は、上記態様に係る清掃装置システムの前記パイプに流体を通過させることで前記回転体を前記パイプに対して相対的に回転させるとともに、回転する前記回転体の前記噴射口から前記回転体の径方向で外側に向けて流体を噴射させながら、回転する前記ワイヤーを清掃対象物に接触させることで、前記清掃対象物を清掃する。
【0026】
この態様によれば、手間をかけずに簡易な方法で清掃対象物の広範囲を同時に清掃することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】実施形態1に係る清掃装置システムが用いられる焼却施設の一部の構成を説明するための図である。
図2】実施形態1に係る清掃装置システムによって清掃が行われている様子を示す図である。
図3】実施形態1に係る清掃装置の正面図である。
図4図4(A)は、図3のA1-A1線断面図である。図4(B)は、図4(A)のB1部分の拡大図である。
図5図3のB2部分の断面図である。
図6】実施形態1に係る走行装置の正面図である。
図7】実施形態2に係る焼却施設の第2室の一部を示す斜視図である。
図8】実施形態2に係る清掃装置システムが焼却施設に適用された状態を示す斜視図である。
図9】実施形態2に係る清掃装置システムの斜視図である。
図10】実施形態2に係る清掃装置の正面図である。
図11図10のA2-A2線断面図である。
図12図12(A)は、図10のA3-A3線断面図である。図12(B)は、図12(A)のB3部分の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(実施形態1)
以下、本発明の実施形態1に係る清掃装置システム20及び清掃方法について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の各実施形態では、同一又は対応する構成については同一の符号を付して説明を適宜省略する場合がある。また、本願の図面には、参考用として、X-Y-Zの直交座標が図示されている。この直交座標のうち、Z方向は上方に相当し、-Z方向は下方(重力が作用する方向)に相当する。
【0029】
図1は、本実施形態に係る清掃装置システム20が用いられる焼却施設10の一部の構成を説明するための図である。本実施形態に係る焼却は、清掃対象物の一例として、管を用いている。具体的には、本実施形態に係る清掃対象物は、廃棄物用の焼却施設10の配管(具体的には、熱交換用の配管)である。図1に示す焼却施設10は、廃棄物等を燃焼した後の燃焼ガス(GA)を冷却するための熱交換室として、第1室11a、第2室11b及び第3室11cを備えている。なお、図1において、第1室11a、第2室11b及び第3室11cの内部構造の図示は省略されている。第1室11a、第2室11b及び第3室11cには、それぞれ、冷媒が通過する配管が複数本、配置されている。廃棄物等を燃焼する焼却炉で発生した燃焼ガスは、第1室11a、第2室11b及び第3室11cを通過しながら、配管を通過する冷媒との間で熱交換を行うことで冷却される。
【0030】
図2は、清掃装置システム20によって清掃が行われている様子を示す図である。本実施形態に係る清掃装置システム20は、一例として、焼却施設10の第3室11cに適用されており、具体的には、第3室11cの複数の配管(配管12-1a~配管12-4c)の清掃に用いられている。なお、図2において、複数の配管は断面図示されている。これらの配管は、それぞれ水平方向(図2ではY軸に平行な方向)に延在している。
【0031】
配管12-1a,12-2a,12-3a,12-4a(これらの配管を、第1配管列と称する)は、配管12-1b,12-2b,12-3b,12-4b(これらの配管を、第2配管列と称する)よりも、-X方向側に配置されている。配管12-1c,12-2c,12-3c,12-4c(これらの配管を、第3配管列と称する)は、第2配管列よりもX方向側に配置されている。この第3室11cにおける配管列の配置密度は高いため(換言すると、隣接する配管列と配管列との間の距離が狭いため)、清掃作業員が清掃作業を行う際に足場を組むための十分なスペースを確保することは容易でない。しかしながら、このような場所であっても、後述するように、本実施形態に係る清掃装置システム20によれば、清掃作業を容易に行うことができる。
【0032】
清掃装置システム20は、清掃装置を少なくとも1つ備えている。すなわち、清掃装置システム20は、清掃装置を1つのみ備えていてもよく、あるいは、複数備えていてもよい。本実施形態に係る清掃装置システム20は、一例として、清掃装置を複数備えている。具体的には、清掃装置システム20は、一例として、6つの清掃装置(清掃装置30-1a,30-2a,30-3a,30-1b,30-2b,30-3b)を備えている。各々の清掃装置の構成は、同様であるため、清掃装置30-1aを例に挙げて、清掃装置の構成について説明する。
【0033】
図3は、清掃装置30-1aの正面図である。図4(A)は、図3のA1-A1線断面図である。図4(B)は、図4(A)のB1部分の拡大図である。図5は、図3のB2部分の断面図である。具体的には、図5は、図3のB2部分をパイプ31-1aの軸線を含む面で切断した断面を模式的に図示している。
【0034】
図3に示すように、清掃装置30-1aは、パイプ31-1aと、回転体32と、連結部材38a,38bと、回転ガイド33a,33bと、ワイヤー34とを備えている。
【0035】
パイプ31-1aは、Z軸に平行な方向に延在している。すなわち、本実施形態に係るパイプ31-1aの軸線方向は上下方向(地面に対して鉛直な方向)である。パイプ31-1aには、流体供給装置150(図2に図示されている)から圧送された流体(FL)が供給される。この流体としては、気体あるいは液体を用いることができる。気体としては、例えば、エアーや不活性ガス等を用いることができる。液体としては、例えば、水や、水に洗浄剤が含有された洗浄液等を用いることができる。本実施形態では、流体の一例として、エアーを用いている。また、流体としてエアーを用いる場合、流体供給装置150として、例えばエアーコンプレッサや、エアーボンベ等を用いることができる。流体として液体を用いる場合、流体供給装置150として、流体ポンプ等を用いることができる。
【0036】
なお、この流体供給装置150として、例えば、焼却施設10に予め備えられている流体供給装置を用いると、別途、流体供給装置を準備する費用を削減することができる。
【0037】
図4(A)及び図4(B)に示すように、パイプ31-1aの側壁31aには、パイプ31-1aの内部を通過する流体をパイプ31-1aの径方向で外側に向けて噴射させるノズル孔35が少なくとも1個、設けられている。本実施形態に係るパイプ31-1aに
は、一例として、複数のノズル孔35が、パイプ31-1aの周方向に設けられている。
【0038】
図3図4(A)及び図4(B)に示すように、回転体32は、パイプ31-1aの径方向で外側に配置されている。回転体32の軸線はパイプ31-1aの軸線と一致している。回転体32は、パイプ31-1aに対して相対的に回転可能に、パイプ31-1aに嵌められている。回転体32は、パイプ31-1aのノズル孔35から噴射された流体によって駆動されて回転する。また、回転体32は、回転体32の回転に供された後の流体を回転体32の径方向で外側に向けて噴射する噴射口36(図4(B)に図示されている)を備えている。具体的には、本実施形態に係る回転体32は以下の構成になっている。
【0039】
まず、本実施形態に係る回転体32は、複数の羽根37を備えている。複数の羽根37は、パイプ31-1aの周囲を囲むように配置されている。連結部材38a,38bは、環状の部材によって構成されている。複数の羽根37のZ方向側端部は、連結部材38aによって連結されており、複数の羽根37の-Z方向側端部は、連結部材38bによって連結されている。なお、連結部材38a,38bは、回転体32の回転時に、回転体32(羽根37)と一体となって回転する。
【0040】
連結部材38a,38bは、回転ガイド33a,33bによって、パイプ31-1aに対して回転可能に、パイプ31-1aに接続されている。具体的には、回転ガイド33a,33bは、パイプ31-1aに嵌合することで、パイプ31-1aに対して固定されている。これにより、回転体32の回転時に、回転ガイド33a,33bは回転しないようになっている。そして、図5に示すように、回転ガイド33aは、パイプ31-1aに嵌合した場合に、パイプ31-1aとの間に環状の溝33a-1が形成されるように構成されている。この溝33a-1に連結部材38aが嵌ることで、連結部材38aは、パイプ31-1aに対して軸方向(Z軸方向)に変位することなく、パイプ31-1aに対して回転する。
【0041】
回転ガイド33bも回転ガイド33aと同様の構成になっている。すなわち、回転ガイド33bも、パイプ31-1aに嵌合した場合に、パイプ31-1aとの間に環状の溝が形成されるように構成されている。連結部材38bは、回転ガイド33bとパイプ31-1aとの間の溝に嵌ることで、パイプ31-1aに対して軸方向に変位することなく、パイプ31-1aに対して回転する。
【0042】
図4(B)に示すように、回転体32は、パイプ31-1aのノズル孔35から噴射された流体の圧力を羽根37が受けることで、パイプ31-1aに対して相対的に回転する(すなわち、ノズル孔35から噴射された流体によって駆動されて回転する)。参考用として、図4(B)において、回転体32の回転方向が「RT」で図示されている。
【0043】
また、隣接する羽根37と羽根37との間には、ノズル孔35から噴射された後の流体が通過可能な隙間37aが設けられている。この隙間37aが、前述した噴射口36としての機能を有している。これにより、ノズル孔35から噴射された後の流体は、この隙間37a(噴射口36)から、回転体32の径方向で外側に向けて噴射される。なお、この噴射口36から噴射された流体によって、清掃対象物はパージ清掃される。回転体32は、以上のような構成になっている。
【0044】
図3及び図4(A)に示すように、本実施形態に係るワイヤー34は回転体32に接続されている。具体的には、本実施形態に係るワイヤー34は、回転体32の羽根37の外周面に接続されている。これにより、ワイヤー34は、回転体32が回転した場合に、回転体32とともに回転する。
【0045】
また、本実施形態に係るワイヤー34は、その一端が羽根37に接続され、その他端は、「羽根37におけるワイヤー34の一端が接続されている箇所とは別の箇所」に接続されている。これにより、ワイヤー34は、全体的にループ形状を呈している。なお、ワイヤー34の接続箇所は、回転体32が回転した場合にワイヤー34が回転体32とともに回転可能な箇所であればよく、回転体32に限定されるものではない。ワイヤー34は、回転体32と一体となって回転する部材(例えば、本実施形態では、連結部材38a,38b等)に接続されていてもよい。
【0046】
また、本実施形態に係る清掃装置30-1aが備えるワイヤー34の本数は、一例として、複数である。具体的には、清掃装置30-1aは、ワイヤー34を2本備えている。本実施形態において、この2本のワイヤー34は、一方のワイヤー34の回転体32を挟んだ反対側に、他方のワイヤー34が位置するように、羽根37に接続されている。但し、ワイヤー34の本数は、2本に限定されるものではなく、1本でもよく、3本以上でもよい。
【0047】
ワイヤー34は、回転体32とともに回転した場合に、清掃対象物に接触して、清掃対象物を清掃する。具体的には、本実施形態に係るワイヤー34は、屈曲自在な柔軟性を有する紐状体(紐状の部材)によって構成されている。このワイヤー34は自立性を有していないので、回転体32の回転が停止した状態では、重力の作用を受けて、回転体32に接続されていない部分(非接続部と称する)が-Z方向に垂れている。一方、ワイヤー34は、回転体32が回転した場合には、遠心力を受けて、その非接続部が回転体32の径方向で外側の方向に位置するようになる(本実施形態では、非接続部は略水平方向に位置するようになる)。そして、ワイヤー34は、ワイヤー34の非接続部の少なくとも一部が清掃対象物に接触することで、清掃対象物の表面に付着している異物(煤塵等)を剥ぎ取ることで、この異物を除去する。このようにして、ワイヤー34は清掃対象物をケレン清掃する。
【0048】
ワイヤー34の「回転体32の径方向の長さ」は、回転体32の回転時にワイヤー34が清掃対象物に接触することができる長さであればよく、その具体的な値は特に限定されるものではない。ワイヤー34の長さは、清掃対象物と回転体32との距離等を考慮して適宜設定すればよい。
【0049】
また、ワイヤー34の具体的な材質は特に限定されるものではなく、例えば、ワイヤー34の材質として、金属を用いてもよく、非金属を用いてもよい。金属としては、例えば、鉄、銅、又はアルミニウム等を主成分に含むものを用いてもよい。非金属としては、例えば、ポリアミド等を主成分に含むものを用いてもよい。
【0050】
なお、ワイヤー34の材質として、清掃対象物(本実施形態では配管)よりも硬度の低いものを用いると、ワイヤー34による清掃対象物へのダメージを小さく抑えることができる。
【0051】
また、ワイヤー34の表面性状は、特に限定されるものではなく、凹凸を有さない「平滑な表面性状」であってもよく、凹凸を有する「非平滑な表面性状」であってもよい。なお、ワイヤー34の表面性状が非平滑な場合の方が平滑な場合に比較して、ワイヤー34による清掃を効果的に行うことができる。
【0052】
また、ワイヤー34の形状は、本実施形態のようなループ形状に限定されるものではない。例えば、ワイヤー34は、その両端のうち、一端のみが羽根37に接続され、他端は羽根37に接続されていなくてもよい。この場合においても、ワイヤー34は、回転体32の回転時に、ワイヤー34における回転体32に接続していない箇所が清掃対象物に接
触することで、清掃対象物を清掃することができる。
【0053】
なお、本実施形態のように、ワイヤー34がループ形状を呈する方が、ワイヤー34がループ形状でない場合に比較して、ワイヤー34による清掃対象物の清掃範囲を容易に広くすることができる。これにより、清掃効率を向上させることができる。
【0054】
再び図2を参照して、前述したように、本実施形態に係る清掃装置システム20は、複数の清掃装置(清掃装置30-1a,30-2a,30-3a,30-1b,30-2b,30-3b)を備えている。また、清掃装置システム20は、連結ヘッダ管50を備えるとともに、複数の継手(継手60a,60b,60c,60d,60e,60f)を備えている。
【0055】
連結ヘッダ管50は、水平方向に延在する管によって構成されている。連結ヘッダ管50には、ホース151が接続されている。ホース151の上流側端部は、前述した流体供給装置150に接続されている。流体供給装置150から圧送された流体は、このホース151を介して、連結ヘッダ管50に供給される。連結ヘッダ管50には、排出口51a及び排出口51bが設けられている。排出口51aは排出口51bよりも-X方向側に位置している。
【0056】
連結ヘッダ管50の排出口51aと清掃装置30-1aのパイプ31-1aのZ方向側端部とは、継手60aによって連結されている。清掃装置30-1aのパイプ31-1aの-Z方向側端部と清掃装置30-2aのパイプ31-2aのZ方向側端部とは、継手60bによって連結されている。清掃装置30-2aのパイプ31-2aの-Z方向側端部と清掃装置30-3aのパイプ31-3aのZ方向側端部とは、継手60cによって連結されている。パイプ31-3aの-Z方向側端部は、閉塞している。
【0057】
連結ヘッダ管50の排出口51bと清掃装置30-1bのパイプ31-1bのZ方向側端部とは、継手60dによって連結されている。清掃装置30-1bのパイプ31-1bの-Z方向側端部と清掃装置30-2bのパイプ31-2bのZ方向側端部とは、継手60eによって連結されている。清掃装置30-2bのパイプ31-2bの-Z方向側端部と清掃装置30-3bのパイプ31-3bのZ方向側端部とは、継手60fによって連結されている。パイプ31-3bの-Z方向側端部は、閉塞している。
【0058】
複数の継手の具体的な種類は、特に限定されるものではなく、2つのパイプを接続する公知の継手を用いることができる。なお、この複数の継手として、着脱自在継手(例えば、ワンタッチ継手等)を用いると、清掃装置の着脱を容易に行うことができる。そこで、本実施形態においては、複数の継手の一例として、着脱自在継手を用いている。
【0059】
また、清掃装置システム20は、清掃装置(清掃装置30-1a~清掃装置30-3b)を、清掃対象物の延在方向(具体的には、本実施形態では、配管の延在方向)に走行させる走行装置70を備えている。本実施形態において、清掃対象物の延在方向は、水平方向であり、具体的にはY軸に平行な方向である。この走行装置70の構成は次のとおりである。
【0060】
図6は、走行装置70の正面図である。本実施形態に係る走行装置70は、脚部71a,71bと、車輪72a,72bと、連結部73と、係止板(係止板74-1a,74-2a,74-1b,74-2b)と、を備えている。
【0061】
脚部71aは脚部71bよりも-X方向側に配置されている。車輪72aは、脚部71aの-Z方向側端部に配置されている。車輪72bは、脚部71bの-Z方向側端部に配
置されている。連結部73は、脚部71aのZ方向側端部と脚部71bのZ方向側端部とを連結している。
【0062】
車輪72aは、配管12-1aの上を、配管12-1aの延在方向に走行する。車輪72bは、配管12-1cの上を、配管12-1cの延在方向に走行する。
【0063】
係止板74-1a,74-2aは、脚部71aにおける「脚部71bに対向する面」に設けられている。係止板74-1aは係止板74-2aよりもZ方向側に位置している。係止板74-1b,74-2bは、脚部71bにおける「脚部71aに対向する面」に設けられている。係止板74-1bは係止板74-2bよりもZ方向側に位置している。係止板74-1a及び係止板74-1bの地上高は同じ値に設定されている。係止板74-2a及び係止板74-2bの地上高も同じ値に設定されている。
【0064】
清掃装置システム20の連結ヘッダ管50は、係止板74-1a及び係止板74-1bの上、又は、係止板74-2a及び係止板74-2bの上に置かれる。本実施形態に係る連結ヘッダ管50は、一例として、係止板74-1a及び係止板74-1bの上に置かれている。
【0065】
このように、係止板74-1a及び係止板74-1bの上に連結ヘッダ管50が置かれた状態で、走行装置70を清掃対象物(配管)の延在方向に走行させることで、清掃装置を清掃対象物の延在方向に移動させることが容易にできる。
【0066】
なお、本実施形態において、係止板の段数は2段であるが、係止板の段数はこれに限定されるものではない。係止板の段数は1段であってもよく、3段以上であってもよい。但し、本実施形態のように、係止板の段数が複数であることによって、清掃装置の高さを容易に変更することができる。
【0067】
続いて、本実施形態に係る清掃装置システム20の使用態様の一例について説明する。前述した図2を参照して、流体供給装置150から流体がホース151を介して清掃装置システム20に供給された場合、流体は連結ヘッダ管50を通過した後に、排出口51a,51bをそれぞれ通過して、各々の清掃装置に流入する。各々の清掃装置に流体が流入した場合、図3図4で前述したように、清掃装置の回転体32が回転する。この回転体32の回転中において、噴射口36(隣接する羽根37の間の隙間37a)から流体が回転体32の径方向で外側に噴射されるとともに、ワイヤー34も回転する。これにより、噴射口36から噴射された流体によるパージ清掃とワイヤー34によるケレン清掃とが同時に行われる。また、清掃時において、走行装置70を用いて清掃装置を清掃対象物の延在方向に走行させながら、パージ清掃とケレン清掃を行ってもよい。
【0068】
なお、本実施形態に係る清掃方法は、上述した清掃装置システム20によって実現されている。すなわち、本実施形態に係る清掃方法は、清掃装置システム20の清掃装置のパイプに流体を通過させることで回転体32をパイプに対して相対的に回転させるとともに、回転する回転体32から回転体32の径方向で外側に向けて流体を噴射させながら、回転するワイヤー34を清掃対象物に接触させることで、清掃対象物を清掃する清掃方法である。
【0069】
続いて、本実施形態の作用効果について説明する。まず、本実施形態によれば、回転する回転体32の噴射口36から回転体32の径方向で外側に向けて流体を噴射させながら、ワイヤー34によって清掃対象物を清掃することができる。これにより、噴射口36から噴射された流体によるパージ清掃とワイヤー34によるケレン清掃とを同時に行うことができる。したがって、例えば、一度にケレン清掃のみしか行えない場合やパージ清掃の
みしか行えない場合に比較して、手間をかけずに簡易な方法で清掃対象物の広範囲を同時に清掃することができる。また、ワイヤー34が紐状体によって構成されているので、ワイヤー34が清掃対象物に接触した場合、ワイヤー34は清掃対象物の形状に沿うように変形することが容易にできる。この点においても、手間をかけずに簡易な方法で清掃対象物の広範囲を同時に清掃することができる。また、ワイヤー34は、清掃対象物の形状に密着して、清掃対象物を包み込むように自在に形状をあわせられ、また、しなり効果が高いので、清掃対象物に付着している異物をこそげ落とす機能が高い。このため、ワイヤー34は、清掃対象物に付着している異物を除去する効果が高いので、強固に付着した異物も清掃することができる。
【0070】
また、本実施形態によれば、清掃対象物として、配管(具体的には複数の配管)を用いているので、複数の配管に対して、パージ清掃及びケレン清掃を同時に行うことができる。これにより、配管の清掃作業の効率化を図ることができる。この結果、清掃作業員の作業負担の軽減を図ることができる。これにより、清掃作業員の健康状態を良好に維持することができる。
【0071】
また、本実施形態によれば、清掃対象物としての配管が、焼却施設10の配管(すなわち、熱交換用の管)であるので、焼却施設10の清掃作業の効率化を図ることができる。これにより、清掃作業員が、清掃作業中に煤塵等に暴露する機会を減少させることができる点においても、清掃作業員の健康状態を良好に維持することができる。なお、本実施形態は、具体的には、焼却施設10の焼却炉や空気予熱器等に用いられる熱交換用の管に、好ましく適用される。
【0072】
また、本実施形態によれば、回転体32を回転させる駆動源として流体を用いており、この回転体32の回転に供された後の流体を「パージ清掃の流体」に有効的に利用している。これにより、清掃装置30の構成の簡素化を図ることができる。
【0073】
また、本実施形態によれば、流体によって回転体32が回転する機構になっているので、流体によって、清掃装置をセルフクリーニングすることができる。これにより、清掃装置のメンテナンス費用の削減を図ることもできる。また、流体によって、例えば、溝33a-1や噴射口36のパージ清掃や、パイプの内部のパージ清掃を行うことができるので、清掃装置の回転機能の保持やパージ機能(外部へ向けた流体のパージ機能)の保持を図ることもできる。
【0074】
また、本実施形態によれば、回転体32が複数の羽根37を備えているので、パイプのノズル孔35から噴射された流体からの圧力を羽根37が効果的に受けることができる。これにより、ノズル孔35から噴射された流体によって、回転体32を効果的に回転させることができる。
【0075】
また、本実施形態によれば、複数の清掃装置における各々のパイプを互いに連結する継手60a,60b,60c,60d,60e,60fを備えているので、複数の清掃装置を容易に連結することができる。また、清掃装置システム20が複数の清掃装置を備えているので、清掃装置システム20が清掃装置を1個のみ備える場合に比較して、清掃対象物の広範囲を清掃することができる。具体的には、本実施形態によれば、複数の清掃装置の周囲に存在する複数の配管(複数列や複数段の配管)をパージ清掃及びケレン清掃することができる。したがって、高い清掃効率を得ることができる。
【0076】
また、本実施形態によれば、走行装置70を備えているので、清掃装置を走行させながら清掃対象物を清掃することができる。これにより、走行装置70を備えていない場合に比較して、清掃対象物の広範囲を清掃することができる。
【0077】
また、本実施形態によれば、清掃作業用の足場を設けることなく、清掃することができる。これにより、例えば、配管列の配置密度が高くて、足場を組むための十分なスペースを確保することが困難な清掃対象物に対しても、清掃装置システム20を適用して、清掃対象物の広範囲を同時に清掃することができる。
【0078】
なお、上述した清掃装置システム20による清掃作業は、基本的には、焼却施設10の停止中(具体的には、焼却施設10の焼却炉の運転停止中)に行われる。上述したように、本実施形態に係る清掃装置システム20によれば、清掃対象物の広範囲を同時に清掃することができるので(すなわち、清掃効率が高いので)、従来技術に比較して、清掃頻度(単位年当たりの清掃回数)を多くすることが容易にできる。これにより、焼却施設10の性能を良好に保つことが容易にできる。
【0079】
(実施形態2)
続いて、本発明の実施形態2に係る清掃装置システム20A及び清掃方法について説明する。本実施形態に係る清掃装置システム20Aは、一例として、前述した図1に示す焼却施設10の第2室11bにおける水管壁の清掃に用いられている。
【0080】
図7は、焼却施設10の第2室11bの一部を示す斜視図である。第2室11bには、複数の水管壁(水管壁13a,13b,13c,13d,13e)が設けられている。各々の水管壁は、複数の配管の集合体によって構成されている。すなわち、一つの水管壁において、複数の配管は列状に配置されている。そして、この複数の配管の表面に接する仮想面が、壁面状(Z軸に平行な方向に延在する壁面状)になっている。
【0081】
なお、図7において、水管壁13aの壁面はY-Z面に平行になっている。水管壁13bの壁面はX-Z面に平行になっている。水管壁13cの壁面は水管壁13aの壁面に対向している。水管壁13d及び水管壁13eは、水管壁13a,13b,13cによって囲まれた空間内に配置されている。水管壁13d,13eは、その-Z方向側端部が連結管14に連通している。これらの水管壁の内部には、冷媒が通過する。また、水管壁13bには、点検口15aが設けられている。第2室11bに隣接する第3室11cの壁面にも、点検口15bが設けられている。
【0082】
第1室11aで発生した燃焼ガス(GA)は、第2室11bの内部を上方側から下方側にかけて通過した後に、第3室11cに流入する。この際、燃焼ガスと水管壁の冷媒との間で熱交換が行われる。ところで、このような水管壁には、燃焼ガスに含まれる煤塵(DU)が付着することがある。本実施形態に係る清掃装置30Aは、一例として、この水管壁を清掃対象物とし、水管壁に付着している煤塵を清掃除去するために用いられる。
【0083】
図8は、本実施形態に係る清掃装置システム20Aが焼却施設10に適用された状態を示す斜視図である。本実施形態に係る清掃装置システム20Aは、一例として、足場160の上に設置されて使用される。この足場160は、具体的には、清掃装置システム20Aを設置し易くするための台である(この足場160は、いわゆる高所足場ではない)。清掃装置30Aには、流体供給装置150から流体がホース151を介して供給される。この流体としては、前述した実施形態1と同様のものを用いることができる。本実施形態に係る流体供給装置150は、一例として、第3室11cの外部に配置されている。このため、本実施形態に係るホース151は、点検口15bを通って第3室11cに入った後に第2室11bに入り、パイプ31-1cの-Z方向側の端部に接続されている。
【0084】
図9は、本実施形態に係る清掃装置システム20Aの斜視図である。清掃装置システム20Aは、清掃装置30Aと、固定台90と、振れ抑制装置100とを備えている。清掃
装置30Aの詳細は後述する。
【0085】
固定台90は、清掃装置30Aのパイプを足場160に固定する部材である。具体的には、本実施形態に係る固定台90は、清掃装置30Aのパイプの-Z方向側端部を足場160に固定している。
【0086】
ここで、本実施形態に係る清掃装置30Aのパイプは、複数に分割されている。具体的には、清掃装置30Aのパイプは、一例として、パイプ31-1c,31-2c,31-3c,31-4cに分割されている。パイプ31-2cはパイプ31-1cよりもZ方向側に配置され、パイプ31-3cはパイプ31-2cよりもZ方向側に配置され、パイプ31-4cはパイプ31-3cよりもZ方向側に配置されている。ホース151を介してパイプ31-1cに流入した流体は、パイプ31-1c、パイプ31-2c、パイプ31-3c、パイプ31-4cを順に通過する。パイプ31-2c,31-3cには、前述した実施形態1と同様に、ノズル孔35が設けられている。このノズル孔35は、パイプ31の延在方向に複数設けられている。パイプ31を通過する流体は、このノズル孔35から、パイプ31の外側に向けて噴射される。
【0087】
本実施形態において、パイプ31-4cのZ方向側端部は、パイプ31-4cの内部の流体がこの端部から外部に多量に漏洩することを抑制できる程度に閉塞されている一方で、後述する移動装置80の移動用ワイヤー82が挿通できる程度の孔が設けられている。図8を再び参照して、点検口15aの近傍の箇所には、保護管152が設けられている。移動用ワイヤー82の一部は、この保護管152の内部を通過している。この保護管152によって、移動用ワイヤー82が点検口15aに直接接触することが抑制されている。
【0088】
図9に示すように、振れ抑制装置100は、清掃装置30Aのパイプが振れることを抑制する装置である。具体的には、本実施形態に係る振れ抑制装置100は、一例として、パイプに嵌められた嵌合部材101を備えるとともに、パイプと清掃対象物(水管壁)とに係合する係合部材(係合部材102a,102b,102c,102d)を備えている。係合部材がパイプと清掃対象物とに係合することで、パイプが清掃対象物に近づく方向に振れることが抑制される。
【0089】
具体的には、係合部材102a,102b,102c,102dの一端は、嵌合部材101に接続されている。また、本実施形態に係る係合部材102a,102b,102c,102dの他端には、それぞれ、車輪103が設けられている。係合部材102aは、パイプ31側の端部を起点として-Y方向に延在している。係合部材102bは、パイプ31側の端部を起点として-X方向に延在している。係合部材102cは、パイプ31側の端部を起点としてY方向に延在している。係合部材102dは、パイプ31側の端部を起点としてX方向に延在している。このように、本実施形態に係る振れ抑制装置100の係合部材は、4方向に延在している。
【0090】
図8に示す例の場合、振れ抑制装置100は、係合部材102bが水管壁13aとパイプとに係合している。具体的には、係合部材102bは、車輪103及び嵌合部材101を介して、水管壁13aとパイプとに間接的に係合している。同様に、振れ抑制装置100は、係合部材102cが水管壁13bとパイプとに間接的に係合している。これにより、パイプが水管壁13aや水管壁13bに近づく方向に振れることが効果的に抑制されている。
【0091】
なお、振れ抑制装置100は、車輪103を備えていない構成とすることもできる。但し、振れ抑制装置100が車輪103を備えていることによって、係合部材が直接的に清掃対象物に接触することを効果的に抑制することができる。これにより、清掃作業員はパ
イプの移動作業を容易に行うことができる。
【0092】
また、係合部材は、係合部材の長手方向に所定長さ伸縮することが可能なスプリング構造を有していてもよい。この一例を挙げると、例えば、係合部材は、その一部がスプリングによって構成されていてもよい。この構成によれば、係合部材がその長手方向に所定長さ伸縮することができるので、パイプと清掃対象物との距離が一様でない場合であっても、車輪103を水管壁に容易に当接させることができる。これにより、振れ抑制装置100による振れ抑制効果をより効果的に発揮させることができる。
【0093】
図10は、本実施形態に係る清掃装置30Aの正面図である。図11は、図10のA2-A2線断面図である。図12(A)は、図10のA3-A3線断面図である。なお、図12(A)において、後述する軸受39及び磁力発生体81の図示は省略されている。図12(B)は、図12(A)のB3部分の拡大図である。
【0094】
図10に示すように、本実施形態に係る清掃装置30Aは、パイプ(パイプ31-1c,31-2c,31-3c,31-4c)と、回転体32と、連結部材38cと、ワイヤー34と、軸受39とを備えている。
【0095】
回転体32は、パイプの径方向で外側に配置されている。回転体32は、パイプに対して相対的に回転可能に、パイプに嵌められている。具体的には、本実施形態に係る回転体32は、複数の羽根37を備えている。この羽根37の構成は、前述した実施形態1と同様であるので、説明を省略する。連結部材38cは、複数の羽根37の-Z方向側端部を連結している。これにより、羽根37と連結部材38cとは一体となって回転する。図11に示すように、本実施形態において、複数の羽根37のZ方向側端部は、軸受39のアウター軸受部39bに連結されている。これにより、羽根37とアウター軸受部39bとは一体となって回転する。
【0096】
図10に示すように、本実施形態に係るワイヤー34は、浮力羽根40の外周面に接続されている点において、前述した実施形態1と異なっている。この点を除いて、ワイヤー34の構成は実施形態1と同様であるので、ワイヤー34の詳細な説明は省略する。なお、これは後述するが、浮力羽根40は回転体32と一体となって回転する。したがって、本実施形態に係るワイヤー34も、実施形態1と同様に、回転体32が回転した場合に回転体32とともに回転して清掃対象物に接触することで、清掃対象物を清掃することができる。
【0097】
なお、ワイヤー34の接続箇所は、回転体32が回転した場合にワイヤー34が回転体32とともに回転可能な箇所であればよく、回転体32に接続されていてもよく、回転体32と一体となって回転する部材に接続されていてもよい。なお、本実施形態において、ワイヤー34は浮力羽根40(回転体32と一体となって回転する部材)に接続されているが、これに限定されるものではない。他の一例を挙げると、ワイヤー34は、実施形態1と同様に、回転体32の例えば羽根37に接続されていてもよい。
【0098】
図11に示すように、軸受39は、ころがり軸受によって構成されている。具体的には、本実施形態に係る軸受39は、前述したアウター軸受部39bを備えるとともに、インナー軸受部39a及び転動体39cを備えている。インナー軸受部39aは、パイプに対してパイプの延在方向に移動可能に、パイプに嵌められている。前述したアウター軸受部39bは、転動体39cを介して、インナー軸受部39aの径方向で外側に配置されている。アウター軸受部39bは、インナー軸受部39aに対して相対的に回転することができる。
【0099】
図12(B)に示すように、本実施形態においても、実施形態1と同様に、回転体32は、パイプのノズル孔35から噴射された流体(FL)によって駆動されて、パイプに対して相対的に回転する。そして、ノズル孔35から噴射された後の流体は、羽根37と羽根37との間の隙間37a(すなわち、噴射口36)から、回転体32の径方向で外側に向けて噴射される。また、回転体32が回転した場合、ワイヤー34は、回転体32とともに回転して、清掃対象物に接触する。これにより、ワイヤー34は、清掃対象物を清掃する。
【0100】
また、図11に示すように、本実施形態に係る清掃装置システム20Aは、回転体32をパイプの延在方向に移動させる移動装置80を備えている。本実施形態に係る移動装置80は、磁力発生体81と、移動用ワイヤー82とを備えている。また、本実施形態に係る移動装置80は、浮力羽根40も、その構成要素の一部に含んでいる。
【0101】
磁力発生体81は、磁力を発生する物質によって構成されている。磁力発生体81の具体的な種類は特に限定されるものではないが、本実施形態では、磁力発生体81の一例として、磁石を用いている。この磁石としては、永久磁石や電磁石等を用いることができる。また、本実施形態に係る磁力発生体81は、一例として、パイプ31の内部に配置されている。
【0102】
移動用ワイヤー82は磁力発生体81に接続されている。磁力発生体81は移動用ワイヤー82によって吊り下げられている。移動用ワイヤー82における磁力発生体81の側とは反対側の端部は、第2室11bとは別の室に配置されている。この構成により、清掃作業員は、第2室11bとは別の室にいて、移動用ワイヤー82を巻き上げたり巻き下げたりすることで、パイプ内の磁力発生体81を遠隔操作することができる。なお、例えば、手動式又は電動式のリール等を利用して、この移動用ワイヤー82の巻き上げ及び巻き下げを行うことができる。
【0103】
また、軸受39のインナー軸受部39aは、磁力に吸引される性質を有している。具体的には、本実施形態に係るインナー軸受部39aは、強磁性体によって構成されている。これにより、インナー軸受部39aは、磁力発生体81の磁力に吸引されることで、パイプの延在方向に移動することができる。このようにインナー軸受部39aが移動することで、回転体32もパイプの延在方向に移動することができる。以上のように、本実施形態に係る移動装置80は、磁力発生体81が発生した磁力を利用して、回転体32をパイプの延在方向に移動させている。
【0104】
なお、軸受39のアウター軸受部39bや転動体39cは、強磁性体によって構成されていてもよく、あるいは、非強磁性体(磁力に吸引されない性質を有する材質)によって構成されていてもよい。但し、アウター軸受部39bや転動体39cが非強磁性体によって構成されていると、磁力発生体81からの磁力によってアウター軸受部39bや転動体39cの回転が影響を受けることを抑制することができる。
【0105】
図11に示すように、浮力羽根40は、アウター軸受部39bの外周面に接続されている。これにより、浮力羽根40は、羽根37(回転体32)と一体となって回転する。浮力羽根40は、回転した場合に浮力を発生するように構成されている。これにより、回転体32は、この浮力羽根40が発生する浮力を利用して、Z方向(上方)に移動することができる。また、回転体32の回転が遅くなり、この結果、浮力羽根40の発生する浮力が小さくなった場合、回転体32は-Z方向(下方)に移動することもできる。このように、本実施形態に係る移動装置80は、浮力羽根40が発生する浮力も利用して回転体32を移動させている。
【0106】
なお、移動装置80は、磁力発生体81及び浮力羽根40のうち、いずれか一方のみを備えていてもよい。但し、移動装置80が磁力発生体81及び浮力羽根40の両方を備えている場合の方が、いずれか一方を備えている場合に比較して、回転体32を容易に移動させることができる。
【0107】
続いて、本実施形態に係る清掃装置システム20Aの使用態様の一例について説明する。前述した図8を参照して、流体供給装置150から流体がホース151を介して清掃装置システム20Aに供給されることで、流体が清掃装置30Aに流入した場合、清掃装置30Aの回転体32が回転する。この回転体32の回転中において、噴射口36(隣接する羽根37の間の隙間37a)から流体が回転体32の径方向で外側に噴射されるとともに、ワイヤー34も回転する。これにより、水管壁に対して、噴射口36から噴射された流体によるパージ清掃とワイヤー34によるケレン清掃とが同時に行われる。
【0108】
また、清掃時において、移動装置80の移動用ワイヤー82を用いて、回転体32をパイプの延在方向に移動させながら、パージ清掃とケレン清掃を行うことができる。この場合、清掃時において、回転体32をパイプの延在方向の所定箇所で一旦停止させながら(例えば30秒程度停止させながら)、回転体32をパイプの下端側から上端側まで移動させてもよい。また、本実施形態の場合、浮力羽根40を備えており、回転体32の回転時に浮力羽根40による浮力が発生するので、回転体32を容易に移動させることができる。
【0109】
なお、上述した実施形態において、清掃装置システム20Aは、清掃装置30Aを1つ備えているが、この構成に限定されるものではない。清掃装置システム20Aは、清掃装置30Aを複数備えていてもよい。
【0110】
また、本実施形態に係る清掃方法は、上述した清掃装置システム20Aによって実現されている。すなわち、本実施形態に係る清掃方法は、清掃装置システム20Aのパイプに流体を通過させることで回転体32をパイプに対して相対的に回転させるとともに、回転する回転体32から回転体32の径方向で外側に向けて流体を噴射させながら、回転するワイヤー34を清掃対象物に接触させることで、清掃対象物を清掃する清掃方法である。
【0111】
続いて、本実施形態の作用効果について説明する。本実施形態においても、実施形態1と同様に、回転する回転体32の噴射口36から回転体32の径方向で外側に向けて流体を噴射させながら、ワイヤー34によって清掃対象物を清掃することができる。これにより、実施形態1と同様に、手間をかけずに簡易な方法で清掃対象物の広範囲を同時に清掃することができる。
【0112】
また、本実施形態によれば、清掃対象物として、水管壁(具体的には複数の水管壁)を用いているので、複数の水管壁に対して、パージ清掃及びケレン清掃を同時に行うことができる。これにより、水管壁の清掃作業の効率化を図ることができる。この結果、清掃作業員の作業負担の軽減を図ることができる。これにより、清掃作業員の健康状態を良好に維持することもできる。
【0113】
また、本実施形態によれば、水管壁として、焼却施設10の水管壁(すなわち、熱交換用の管)を用いているので、焼却施設10の清掃作業の効率化を図ることができる。これにより、清掃作業員が、清掃作業中に煤塵等に暴露する機会を減少させることができる点においても、清掃作業員の健康状態を良好に維持することができる。なお、本実施形態は、具体的には、焼却施設10の焼却炉や空気予熱器等に用いられる熱交換用の管に、好ましく適用される。
【0114】
また、本実施形態においても、回転体32を回転させる駆動源として流体を用いており、この回転体32の回転に供された後の流体を「パージ清掃の流体」に有効的に利用しているので、清掃装置30Aの構成の簡素化を図ることができる。
【0115】
また、本実施形態においても、流体によって回転体32が回転する機構になっているので、流体によって、清掃装置をセルフクリーニングすることができる。これにより、清掃装置のメンテナンス費用の削減を図ることができる。また、本実施形態においても、流体によって、例えば、溝33a-1や噴射口36のパージ清掃や、パイプの内部のパージ清掃を行うことができるので、清掃装置の回転機能の保持やパージ機能(外部へ向けた流体のパージ機能)の保持を図ることもできる。
【0116】
また、本実施形態によれば、移動装置80を備えているので、回転体32をパイプの延在方向に移動させながら、清掃対象物を清掃することができる。これにより、移動装置80を備えていない場合に比較して、清掃対象物の広範囲を清掃することができる。また、この構成によれば、清掃対象物の高さが高い場合であっても、清掃対象物の下方から上方まで、回転体32を移動させて清掃することができる。また、清掃時におい高所足場が不要であるので、清掃期間の短縮を図ることができるとともに、清掃作業員の労力軽減を図ることもでき、経済的である。また、清掃期間の短縮を図ることができるため、焼却施設10を長期間停止させる必要がなくなる。これにより、経済性を損なうことなく、年当たりの清掃回数を増加させることもできる(例えば、年当たりに数回以上、清掃することもできる)。具体的には、簡易清掃や定期清掃の回数を増加させることができる。また、清掃回数を増加させることができるので、高い冷却効率や熱交換効率を維持することもできる。
【0117】
また、本実施形態によれば、移動装置80が磁力発生体81の発生した磁力を利用して回転体32を移動させているので、簡素な構成によって回転体32を移動させることができる。
【0118】
また、本実施形態によれば、移動装置80が浮力羽根40の発生する浮力も利用して回転体32を移動させているので、回転体32を容易に移動させることができる。
【0119】
また、本実施形態によれば、振れ抑制装置100を備えているので、パイプが清掃対象物に近づく方向に振れることを効果的に抑制することができる。これにより、清掃作業を容易に行うことができる。
【0120】
なお、前述した実施形態1及び実施形態2において、仮に、ケレン清掃のみを行う場合には、清掃装置は、流体の噴射を行わない構成とすることもできる。すなわち、この場合、清掃装置は、回転体32を回転させた後の流体が回転体32の径方向で外側に噴射しないように構成されていればよい。この場合、清掃装置は、回転体32の回転時において、流体によるパージ清掃は行わずにワイヤー34によるケレン清掃のみを行う。しかしながら、上述したように、清掃装置がケレン清掃のみならずパージ清掃も行う場合の方が清掃対象物の広範囲を同時に清掃することができる点で好ましい。
【0121】
なお、本実施形態において、清掃装置システム20Aは、足場160を備えていない構成とすることもできる。この場合においても、上述したのと同様の作用効果を奏することができる。
【0122】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0123】
例えば、実施形態1,2において、清掃対象物として、焼却施設10の所定部位を用いているが、上述した実施形態1,2の清掃対象物は、焼却施設10に限定されるものではなく、焼却施設10以外の機械装置の所定部位や、構造物の所定部位等を用いることができる。また、清掃対象物として、焼却施設10の所定部位を用いる場合において、この所定部位は、実施形態1や実施形態2で例示したものに限定されるものではない。清掃対象物として、例えば、焼却施設10の耐火物壁面等を用いることもできる。
【0124】
また、実施形態1,2において、回転体32として、複数の羽根37を有するものを用いているが、この構成に限定されるものではない。他の一例を挙げると、回転体32として、複数の羽根37の代わりに、円筒状の部材(円筒部材)を用いることもできる。
【0125】
この円筒部材の外周面には、噴射口36としてのスリット又は孔が設けられている。この噴射口36の開口方向を調整することで(例えば、噴射口36の開口方向を円筒部材の外周面の接線方向側に若干向けることで)、円筒部材は、流体が噴射口36から噴射される際の運動量の変化を利用して、パイプに対して相対的に回転することができる。また、この円筒部材の回転に供された後の流体は、その後、噴射口36から径方向外側に向けて噴射される。回転体として、このようなものを用いた場合においても、パージ清掃及びケレン清掃を同時に行うことができる。
【0126】
なお、以上説明した実施形態は、以下の態様を含んでいる。
(態様1)
パイプと、前記パイプの径方向で外側に、前記パイプに対して相対的に回転可能に嵌められた回転体と、前記回転体が回転した場合に前記回転体とともに回転して清掃対象物に接触することで前記清掃対象物を清掃するワイヤーと、を有する清掃装置を少なくとも1つ備え、
前記パイプの内部には流体が通過し、前記パイプの側壁には、前記パイプの内部を通過する流体を前記パイプの径方向で外側に向けて噴射させるノズル孔が設けられており、
前記ワイヤーは、屈曲自在な柔軟性を有する紐状体によって構成されており、
前記回転体は、前記パイプの前記ノズル孔から噴射された流体によって駆動されて回転し、
前記回転体は、前記回転体の回転に供された後の流体を前記回転体の径方向で外側に向けて噴射する噴射口を備える、清掃装置システム。
(態様2)
前記回転体は、複数の羽根を有し、前記パイプの前記ノズル孔から噴射された流体の圧力を前記羽根が受けることで、前記パイプに対して相対的に回転し、
前記噴射口は、隣接する前記羽根の間の隙間によって構成されている態様1に記載の清掃装置システム。
(態様3)
前記清掃装置を複数備え、
複数の前記清掃装置における各々の前記パイプを互いに連結する継手を備える態様1又は2に記載の清掃装置システム。
(態様4)
前記清掃装置を前記清掃対象物の延在方向に走行させる走行装置をさらに備える態様1~3のいずれか1つに記載の清掃装置システム。
(態様5)
前記回転体を前記パイプの延在方向に移動させる移動装置をさらに備える態様1又は2に記載の清掃装置システム。
(態様6)
前記移動装置は、磁力を発生する磁力発生体を備え、前記磁力発生体が発生した磁力を
利用して前記回転体を移動させる態様5に記載の清掃装置システム。
(態様7)
前記パイプの延在方向は上下方向であり、
前記移動装置は、前記回転体が回転した場合に浮力を発生させる浮力羽根を備え、前記浮力羽根が発生する浮力を利用して前記回転体を移動させる態様5又は6に記載の清掃装置システム。
(態様8)
前記パイプと前記清掃対象物とに係合する係合部材を有し、前記係合部材によって前記パイプが前記清掃対象物に近づく方向に振れることを抑制する振れ抑制装置をさらに備える態様5~7のいずれか1つに記載の清掃装置システム。
(態様9)
前記ワイヤーは、ループ形状を呈している態様1~8のいずれか1つに記載の清掃装置システム。
(態様10)
廃棄物用の焼却施設の熱交換用の管の清掃に用いられる、態様1~9のいずれか1つに記載の清掃装置システム。
(態様11)
態様1~10のいずれか1つに記載の清掃装置システムの前記パイプに流体を通過させることで前記回転体を前記パイプに対して相対的に回転させるとともに、回転する前記回転体の前記噴射口から前記回転体の径方向で外側に向けて流体を噴射させながら、回転する前記ワイヤーを清掃対象物に接触させることで、前記清掃対象物を清掃する、清掃方法。
【符号の説明】
【0127】
10 焼却施設
20,20A 清掃装置システム
30-1a~30-3b,30A 清掃装置
31-1a~31-3b、31-1c~31-4c パイプ
31a 側壁
32 回転体
34 ワイヤー
35 ノズル孔
36 噴射口
37 羽根
37a 隙間
40 浮力羽根
60a~60f 継手
70 走行装置
81 磁力発生体
100 振れ抑制装置
102a~102d 係合部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12