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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-04
(45)【発行日】2023-09-12
(54)【発明の名称】異物検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01V 3/10 20060101AFI20230905BHJP
   B65H 7/02 20060101ALI20230905BHJP
   G01V 3/11 20060101ALI20230905BHJP
【FI】
G01V3/10 H
B65H7/02
G01V3/10 G
G01V3/11 C
【請求項の数】 26
(21)【出願番号】P 2019238148
(22)【出願日】2019-12-27
(65)【公開番号】P2021105596
(43)【公開日】2021-07-26
【審査請求日】2022-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】久保 天外
(72)【発明者】
【氏名】橋上 護
【審査官】佐々木 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-170376(JP,A)
【文献】特開2016-033783(JP,A)
【文献】特開平02-304348(JP,A)
【文献】特開2014-025771(JP,A)
【文献】特開2015-059818(JP,A)
【文献】特開2006-298514(JP,A)
【文献】実開平04-068046(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01V 1/00-99/00
B65H 7/00- 7/20
43/00-43/08
G01N 27/72-27/9093
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非磁性体のトレイに載置された対象物に含まれる金属異物に対して磁気を与えるコイルと、
前記コイルによって磁化した金属異物を検出する複数の磁気センサと、
を備え
前記トレイと前記トレイに載置された対象物とが並ぶ方向を載置方向とすると、
前記対象物と前記コイルおよび前記磁気センサとは、前記載置方向に並んで配置されており、
前記複数の磁気センサは、前記載置方向から視て配列されており、
前記複数の磁気センサのうち少なくとも一部の磁気センサは、前記載置方向から視て、前記対象物と重なるように配置され、
前記複数の磁気センサのうち前記対象物の外周部と前記載置方向に対向する複数の磁気センサのピッチは、前記複数の磁気センサのうち前記対象物の内周部と前記載置方向に対向する複数の磁気センサのピッチよりも小さい
異物検出装置。
【請求項2】
前記コイルは、前記載置方向に沿う中心軸線を有する環状に形成されており、
前記載置方向から視て、前記コイルによって囲まれた領域の少なくとも一部は、前記対象物と重なっている
請求項に記載の異物検出装置。
【請求項3】
前記載置方向から視て、前記コイルは、前記対象物を取り囲むように構成されている
請求項2に記載の異物検出装置。
【請求項4】
前記載置方向から視て、前記複数の磁気センサのうち少なくとも一部の磁気センサは、前記コイルよりも内側に配置されている
請求項3に記載の異物検出装置。
【請求項5】
前記載置方向において、前記コイルは、前記複数の磁気センサよりも前記対象物の近くに配置されている
請求項のいずれか一項に記載の異物検出装置。
【請求項6】
前記載置方向において、前記複数の磁気センサはそれぞれ、前記コイルよりも前記対象物の近くに配置されている
請求項のいずれか一項に記載の異物検出装置。
【請求項7】
前記複数の磁気センサは、前記載置方向において、前記トレイに載置された前記対象物の両側に配置されている
請求項のいずれか一項に記載の異物検出装置。
【請求項8】
前記コイルは、前記載置方向において、前記トレイに載置された前記対象物の両側に配置されている
請求項のいずれか一項に記載の異物検出装置。
【請求項9】
前記載置方向と直交する平面方向のうち互いに直交する方向を第1方向および第2方向とすると、
前記複数の磁気センサは、前記第1方向および前記第2方向のそれぞれにおいて等間隔に配置されている
請求項のいずれか一項に記載の異物検出装置。
【請求項10】
前記載置方向から視た前記対象物の形状は矩形状であり、
前記複数の磁気センサのうち前記対象物の四隅と前記載置方向に対向する複数の磁気センサのピッチは、前記複数の磁気センサのうち前記対象物の内周部と前記載置方向に対向する複数の磁気センサのピッチよりも小さい
請求項のいずれか一項に記載の異物検出装置。
【請求項11】
前記載置方向と直交する平面方向のうち互いに直交する方向を第1方向および第2方向とすると、
前記載置方向から視た前記対象物の形状は、前記第1方向が長辺方向となり、前記第2方向が短辺方向となる矩形状であり、
前記複数の磁気センサは、前記第1方向および前記第2方向のそれぞれにおいて互いに離間して配列されている
請求項のいずれか一項に記載の異物検出装置。
【請求項12】
前記複数の磁気センサのうち前記対象物の外周部と前記載置方向に対向する複数の磁気センサの前記第1方向におけるピッチは、前記複数の磁気センサのうち前記対象物の内周部と前記載置方向に対向する複数の磁気センサの前記第1方向におけるピッチよりも小さい
請求項11に記載の異物検出装置。
【請求項13】
前記複数の磁気センサのうち前記対象物の外周部と前記載置方向に対向する複数の磁気センサの前記第2方向におけるピッチは、前記複数の磁気センサのうち前記対象物の内周部と前記載置方向に対向する複数の磁気センサの前記第2方向におけるピッチよりも小さい
請求項11または12に記載の異物検出装置。
【請求項14】
前記複数の磁気センサは、前記対象物の前記第1方向および前記第2方向の中央部から前記対象物の四隅に向かうにつれてピッチが小さくなる
請求項11に記載の異物検出装置。
【請求項15】
前記コイルおよび前記磁気センサが設けられている支持部材を備え、
前記支持部材は、前記トレイとは個別に設けられており、
前記トレイは、前記支持部材に対して移動可能に構成されている
請求項1~14のいずれか一項に記載の異物検出装置。
【請求項16】
前記コイルおよび前記複数の磁気センサの少なくとも一方は、前記トレイに設けられている
請求項1~14のいずれか一項に記載の異物検出装置。
【請求項17】
前記トレイは、前記対象物が積層された状態で収容可能に構成されている
請求項1~16のいずれか一項に記載の異物検出装置。
【請求項18】
前記トレイは、前記対象物を支持する底壁と、前記底壁から立ち上がる側壁と、を有しており、
前記コイルおよび前記複数の磁気センサの少なくとも一方は、前記側壁に設けられている
請求項17に記載の異物検出装置。
【請求項19】
記トレイは、前記載置方向において互いに離間して配置された第1トレイおよび第2トレイを有しており、
前記コイルおよび前記磁気センサは、前記第1トレイと前記第2トレイとの前記載置方向の間に配置されている
請求項1~14のいずれか一項に記載の異物検出装置。
【請求項20】
記トレイは、前記載置方向において互いに離間して配置された第1トレイおよび第2トレイを有しており、
前記コイルは、
前記第1トレイと前記載置方向に対向している第1コイルと、
前記第2トレイと前記載置方向に対向している第2コイルと、
を有しており、
前記磁気センサは、
前記第1トレイに収容された対象物と前記載置方向に対向している第1磁気センサと、
前記第2トレイに収容された対象物と前記載置方向に対向している第2磁気センサと、を有している
請求項1~14のいずれか一項に記載の異物検出装置。
【請求項21】
前記磁気センサは、MIセンサを含む
請求項1~20のいずれか一項に記載の異物検出装置。
【請求項22】
非磁性体のトレイに載置された対象物に含まれる金属異物に対して磁気を与えるコイルと、
前記コイルによって磁化した金属異物を検出する複数の磁気センサと、
を備え、
前記トレイと前記トレイに載置された対象物とが並ぶ方向を載置方向とすると、
前記対象物と前記コイルおよび前記磁気センサとは、前記載置方向に並んで配置されており、
前記複数の磁気センサは、前記載置方向から視て配列されており、
前記複数の磁気センサのうち少なくとも一部の磁気センサは、前記載置方向から視て、前記対象物と重なるように配置され、
前記載置方向から視た前記対象物の形状は矩形状であり、
前記複数の磁気センサのうち前記対象物の四隅と前記載置方向に対向する複数の磁気センサのピッチは、前記複数の磁気センサのうち前記対象物の内周部と前記載置方向に対向する複数の磁気センサのピッチよりも小さい
異物検出装置。
【請求項23】
非磁性体のトレイに載置された対象物に含まれる金属異物に対して磁気を与えるコイルと、
前記コイルによって磁化した金属異物を検出する複数の磁気センサと、
を備え、
前記トレイと前記トレイに載置された対象物とが並ぶ方向を載置方向とすると、
前記対象物と前記コイルおよび前記磁気センサとは、前記載置方向に並んで配置されており、
前記複数の磁気センサは、前記載置方向から視て配列されており、
前記複数の磁気センサのうち少なくとも一部の磁気センサは、前記載置方向から視て、前記対象物と重なるように配置され、
前記載置方向と直交する平面方向のうち互いに直交する方向を第1方向および第2方向とすると、
前記載置方向から視た前記対象物の形状は、前記第1方向が長辺方向となり、前記第2方向が短辺方向となる矩形状であり、
前記複数の磁気センサは、前記第1方向および前記第2方向のそれぞれにおいて互いに離間して配列され、
前記複数の磁気センサのうち前記対象物の外周部と前記載置方向に対向する複数の磁気センサの前記第1方向におけるピッチは、前記複数の磁気センサのうち前記対象物の内周部と前記載置方向に対向する複数の磁気センサの前記第1方向におけるピッチよりも小さい
異物検出装置。
【請求項24】
非磁性体のトレイに載置された対象物に含まれる金属異物に対して磁気を与えるコイルと、
前記コイルによって磁化した金属異物を検出する1または複数の磁気センサと、
前記コイルおよび前記磁気センサが設けられている支持部材と、
を備え、
前記支持部材は、前記トレイとは個別に設けられており、
前記トレイは、前記支持部材に対して移動可能に構成されている
異物検出装置。
【請求項25】
非磁性体のトレイに載置された対象物に含まれる金属異物に対して磁気を与えるコイルと、
前記コイルによって磁化した金属異物を検出する1または複数の磁気センサと、
を備え、
前記トレイと前記トレイに載置された対象物とが並ぶ方向を載置方向とすると、
前記トレイは、前記載置方向において互いに離間して配置された第1トレイおよび第2トレイを有しており、
前記コイルおよび前記磁気センサは、前記第1トレイと前記第2トレイとの前記載置方向の間に配置されている
異物検出装置。
【請求項26】
非磁性体のトレイに載置された対象物に含まれる金属異物に対して磁気を与えるコイルと、
前記コイルによって磁化した金属異物を検出する複数の磁気センサと、
を備え、
前記トレイと前記トレイに載置された対象物とが並ぶ方向を載置方向とすると、
前記トレイは、前記載置方向において互いに離間して配置された第1トレイおよび第2トレイを有しており、
前記コイルは、
前記第1トレイと前記載置方向に対向している第1コイルと、
前記第2トレイと前記載置方向に対向している第2コイルと、
を有しており、
前記複数の磁気センサは、
前記第1トレイに収容された対象物と前記載置方向に対向している第1磁気センサと、
前記第2トレイに収容された対象物と前記載置方向に対向している第2磁気センサと、を有している
異物検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、異物検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記異物検出装置の一例として、磁気センサによってクリップ等の金属異物を検出する構成が知られている。たとえば特許文献1の通帳印字装置では、金属異物を含む用紙を搬送することによって生じる不具合を回避するため、通帳に印字を行う印字ヘッドよりも搬送方向の上流側に磁気センサを設けることによって、金属異物を検出した場合に通帳に印字を行う前に通帳を排出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-1241号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、クリップ等の金属異物の磁力は小さいため、磁気センサが金属異物を精度よく検出できないおそれがある。
本開示の目的は、金属異物を精度よく検出できる異物検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する異物検出装置は、非磁性体のトレイに載置された対象物に含まれる金属異物に対して磁気を与えるコイルと、前記コイルによって磁化した金属異物を検出する1または複数の磁気センサと、を備える。
【0006】
この構成によれば、コイルによって金属異物に磁気を与えることによって、対象物に金属異物が含まれる場合にはその金属異物の磁力が大きくなる。したがって、磁化された金属異物を磁気センサによって精度よく検出できる。
【発明の効果】
【0007】
上記異物検出装置によれば、金属異物を精度よく検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態の異物検出装置を備える印刷装置の概略構成図。
図2】異物検出装置の回路構成を示すブロック図。
図3】印刷装置に含まれるトレイおよび異物検出装置の拡大図。
図4】トレイの平面図。
図5】用紙に対する異物検出装置のコイルおよび磁気センサの位置関係を示す平面図。
図6図5の磁気センサの一部を拡大した拡大図。
図7】異物検出装置が金属異物を検出する処理手順の一例を示すフローチャート。
図8】変更例の異物検出装置について、トレイおよび異物検出装置の位置関係を示す概略図。
図9】変更例の異物検出装置について、トレイおよび異物検出装置の位置関係を示す概略図。
図10】変更例の異物検出装置について、トレイおよび異物検出装置の位置関係を示す概略図。
図11】変更例の異物検出装置について、トレイおよび異物検出装置の位置関係を示す概略図。
図12】変更例の異物検出装置について、用紙に対する異物検出装置のコイルおよび磁気センサの位置関係を示す平面図。
図13】変更例の異物検出装置について、用紙に対する異物検出装置のコイルおよび磁気センサの位置関係を示す平面図。
図14】変更例の異物検出装置について、トレイおよび異物検出装置の概略図。
図15】変更例の異物検出装置について、トレイおよび異物検出装置の位置関係を示す概略図。
図16図15のトレイに用紙が載置される載置方向から視たトレイの概略図。
図17図16のトレイに用紙が載置される載置方向と直交する方向から視たトレイの側壁の概略図。
図18図16のトレイに用紙が載置される載置方向と直交する方向から視たトレイの側壁の概略図。
図19】変更例の印刷装置の概略構成図。
図20図19の印刷装置が備える異物検出装置の回路構成を示すブロック図。
図21図19の印刷装置のトレイおよび異物検出装置の拡大図。
図22】変更例の異物検出装置について、トレイおよび異物検出装置の位置関係を示す概略図。
図23】変更例の異物検出装置について、トレイおよび異物検出装置の位置関係を示す概略図。
図24】変更例の異物検出装置について、用紙に対する異物検出装置のコイルおよび磁気センサの位置関係を示す平面図。
図25】変更例の異物検出装置について、用紙に対する異物検出装置のコイルおよび磁気センサの位置関係を示す平面図。
図26】変更例の異物検出装置について、トレイおよび異物検出装置の位置関係を示す概略図。
図27】変更例の印刷装置の概略構成図。
図28】変更例の異物検出装置が金属異物を検出する処理手順の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、異物検出装置について図面を参照して説明する。以下に示す実施形態は、技術的思想を具体化するための構成や方法を例示するものであり、各構成部品の材質、形状、構造、配置、寸法等を下記のものに限定するものではない。以下の実施形態は、種々の変更を加えることができる。
【0010】
[実施形態]
図1図7を参照して、本実施形態の異物検出装置について説明する。
図1に示すように、異物検出装置50は、対象物である用紙Pの金属異物を検出するものであり、本実施形態では用紙Pを印刷する印刷装置1に設けられている。用紙Pの金属異物としては、ホチキス(登録商標)針(ステープラー)やクリップ等の磁化可能な金属部品が挙げられる。
【0011】
印刷装置1は、1枚または複数枚の用紙Pが載置されるトレイ10と、トレイ10から1枚ずつ搬送される用紙Pを支持する支持台20と、支持台20に支持された用紙Pに印刷を行う印刷部30と、トレイ10から用紙Pを1枚ずつ支持台20上に搬送する搬送部40と、を備えている。複数枚の用紙Pが載置されるとは、用紙Pが積層されているといえる。印刷部30は、たとえば支持台20上を通過する1枚の用紙Pにインクを吐出することによって用紙Pに印刷を行う。図1に示すとおり、搬送部40は、複数のローラ対41を備えている。これらローラ対41によって、トレイ10のいずれかの最上位の用紙Pを支持台20に向けて搬送し、支持台20上を通過した用紙Pを排紙する。なお、本実施形態では、上述のとおり、印刷装置1はインクジェット式プリンタであったが、これに限られない。たとえば熱転写プリンタ、レーザプリンタ等の他の印刷方式のプリンタであってもよい。
【0012】
トレイ10は、たとえば上方が開口した略箱状に形成されており、印刷装置1から水平方向に引き出すことによって開閉可能に構成されている。トレイ10は、たとえば非磁性体からなり、本実施形態では樹脂材料からなる。トレイ10は、複数枚の用紙Pを積層した状態で収容可能なように構成されている。トレイ10は、用紙Pを支持する底壁11と、底壁11の外周部から立ち上がる側壁12とを備えている。側壁12は、用紙Pを取り囲むように設けられており、搬送部40によらない用紙Pの移動を規制している。底壁11には、複数枚の用紙Pが積層されている。また、底壁11には、1枚の用紙Pが載置される場合もあり得る。
【0013】
以降の説明において、トレイ10と、トレイ10に載置された用紙Pとが並ぶ方向を載置方向zとする。この載置方向zは、トレイ10に積層された複数枚の用紙Pの積層方向と同じ方向である。また、載置方向zに直交する方向のうち互いに直交する2方向を第1方向xおよび第2方向yとする。本実施形態では、載置方向zから視た用紙Pの形状は、長辺方向および短辺方向を有する矩形状である。以降の説明では、用紙Pの長辺方向を第1方向xとし、用紙Pの短辺方向を第2方向yとする。
【0014】
図4に示すように、載置方向zから視た底壁11の形状は、矩形状である。側壁12は、底壁11の四辺のそれぞれに設けられている。底壁11は、用紙P(図1参照)が設置される設置領域11Rを有している。本実施形態では、設置領域11Rは、載置方向zから視て、底壁11のうち側壁12によって囲まれた領域である。載置方向zから視た設置領域11Rの形状は、第1方向xが長辺方向となり、第2方向yが短辺方向となる矩形状である。側壁12は、用紙Pと近接するように設けられている。これにより、側壁12は、載置方向zと直交する方向における用紙Pの移動を規制している。
【0015】
図1に示すように、異物検出装置50は、トレイ10とは別に設けられており、トレイ10よりも下方に配置されている。
図2に示すように、異物検出装置50はそれぞれ、通電することによって磁界が生成されるコイル51と、磁気に応じた出力信号を出力する複数の磁気センサ52と、を備えている。コイル51および複数の磁気センサ52は、制御部53と電気的に接続されている。このため、異物検出装置50は、制御部53を備えるともいえる。
【0016】
制御部53は、予め定められる制御プログラムを実行する演算処理装置を含む。演算処理装置は、たとえばCPU(Central Processing Unit)またはMPU(Micro Processing Unit)を含む。制御部53は、1または複数のマイクロコンピュータを含んでいてもよい。制御部53は、複数の場所に離れて配置される複数の演算処理装置を含んでいてもよい。制御部53は、記憶部をさらに含む。記憶部には、各種の制御プログラムおよび各種の制御処理に用いられる情報が記憶される。記憶部は、たとえば不揮発性メモリおよび揮発性メモリを含む。制御部53は、異物検出装置50のコイル51への電力の供給および複数の磁気センサ52からの出力信号の受信を行う。制御部53は、異物検出装置50の複数の磁気センサ52の出力信号に基づいてトレイ10に収容された1枚または複数枚の用紙Pに含まれる金属異物の有無を判定する。
【0017】
図3に示すように、異物検出装置50は、コイル51および複数の磁気センサ52を収容する非磁性体のケース54を備えている。ケース54は、トレイ10とは別に設けられており、トレイ10の底壁11と隣接するように配置されている。このように、トレイ10は、ケース54に対して移動可能に構成されているともいえる。換言すると、トレイ10は、異物検出装置50に対して移動可能に構成されている。
【0018】
図3に示すとおり、ケース54は、密閉型の箱状となるように設けられている。ケース54の内部にコイル51および複数の磁気センサ52が設けられている。図3に示すとおり、用紙Pとコイル51および複数の磁気センサ52とは、載置方向zに並んで配置されている。本実施形態では、コイル51および複数の磁気センサ52は、用紙Pよりも下方に配置されている。また図3に示すとおり、コイル51は、載置方向zにおいて複数の磁気センサ52よりも用紙Pの近くに配置されている。
【0019】
なお、ケース54は、コイル51および複数の磁気センサ52が設けられる支持部材であるともいえる。ここで、コイル51および複数の磁気センサ52を支持可能であれば、密閉型のケース54でなくてもよく、たとえば上方が開口した形状、すなわちトレイ10と同様に底壁および側壁を有する形状であってもよい。
【0020】
複数の磁気センサ52はそれぞれ、たとえば3軸の磁気センサが用いられる。複数の磁気センサ52としてそれぞれ、MI(Magneto Impedance)センサが用いられている。本実施形態では、磁気センサ52として、3方向の磁気を感知するための3つのMIセンサと、3つのMIセンサの制御用ICとをパッケージに集積化した磁気センサが用いられる。この磁気センサは、I2C(Inter-Integrated Circuit)によって制御部53と通信可能に接続されている。
【0021】
複数の磁気センサ52はそれぞれ、平板状の基板55に実装されている。本実施形態では、複数の磁気センサ52は表面実装型のパッケージであり、基板55に表面実装されている。複数の磁気センサ52はそれぞれ、基板55に形成された配線パターン(図示略)を介して制御部53(図2参照)に電気的に接続されている。なお、制御部53は、基板55に実装されていてもよいし、異物検出装置50の外部に設けられた配線基板(図示略)に実装されていてもよい。
【0022】
図3図5に示すように、コイル51は、載置方向zに沿う中心軸線Jzを中心とした環状に形成されている。これにより、コイル51が通電されることによって発生する磁束は、載置方向zに向くようになる。
【0023】
図5に示すように、載置方向zから視て、コイル51は、用紙P(二点鎖線)を取り囲むように形成されている。換言すれば、載置方向zから視て、コイル51によって囲まれた領域51Rは、用紙Pの全体と重なっている。また、図4に示すように、載置方向zから視て、領域51Rは、トレイ10の設置領域11Rと重なっている。本実施形態では、コイル51は、Cu(銅)を絶縁膜によって被覆した導線を、用紙Pを取り囲むように複数回にわたり引き回すことによって形成されている。図5に示すとおり、本実施形態では、載置方向zから視た用紙Pの形状は、長辺および短辺を有する矩形環状である。
【0024】
複数の磁気センサ52は、載置方向zから視て配列されている。本実施形態では、複数の磁気センサ52はそれぞれ、コイル51の内側に配置されている。複数の磁気センサ52はそれぞれ、コイル51によって囲まれた領域51Rに配置されているともいえる。また、載置方向zから視て、複数の磁気センサ52はそれぞれ、用紙Pと重なるように配置されている。換言すると、複数の磁気センサ52はそれぞれ、載置方向zにおいて用紙Pと対向するように配置されている。また、載置方向zから視て、複数の磁気センサ52はそれぞれ、トレイ10の設置領域11R(図4参照)と重なるように配置されている。換言すると、複数の磁気センサ52はそれぞれ、載置方向zにおいて設置領域11Rと対向するように配置されている。
【0025】
図5に示すとおり、本実施形態では、複数の磁気センサ52は第1方向xおよび第2方向yにおいて等間隔に配置されている。複数の磁気センサ52は、第2方向yにおいて互いに揃った状態で第1方向xにおいて互いに離間して配列された8個の磁気センサ52の列が第2方向yにおいて互いに離間して5つ配列された配置構成である。
【0026】
図6に示すように、載置方向zから視て、各磁気センサ52の検出領域R(二点鎖線)が重なるように配置されている。より詳細には、載置方向zから視て、第1方向xおよび第2方向yと交差する斜め方向において隣り合う磁気センサ52の検出領域Rが重なるように配置されている。第1方向xおよび第2方向yにおいて隣り合う磁気センサ52の検出領域Rが重なる領域の面積は、上記斜め方向において隣り合う磁気センサ52の検出領域Rが重なる領域の面積よりも大きい。
【0027】
このような構成の異物検出装置50は、次の手順によって用紙Pに含まれる金属異物を検出する。
図7に示すように、制御部53は、ステップS1において異物検出装置50のコイル51への通電を開始する。これにより、コイル51の周囲に磁界が形成され、トレイ10に収容された1枚または複数枚の用紙Pに金属異物が混入している場合、その金属異物に磁気が付与される。その結果、用紙Pに含まれる金属異物が磁化される。そして制御部53は、ステップS2においてコイル51への通電開始から所定時間経過したか否かを判定する。ここで、所定時間は、用紙Pに含まれる金属異物が磁化されるのに十分な時間であり、試験等によって予め設定される。
【0028】
制御部53は、コイル51への通電開始から所定時間経過していないと判定した場合(ステップS2:NO)、再びステップS2の判定に移行する。制御部53は、コイル51への通電開始から所定時間経過したと判定した場合(ステップS2:YES)、ステップS3においてコイル51への通電を終了する。このように、用紙Pに含まれる金属異物が磁化されるのに十分な時間にわたって用紙Pに磁気が付与される。
【0029】
制御部53は、コイル51への通電が終わった後に、ステップS4において異物検出装置50の各磁気センサ52の出力値を取得する。ここで、制御部53は、コイル51への通電後、すなわちコイル51の周囲に磁界が発生していない状態における異物検出装置50の各磁気センサ52の出力値を取得する。
【0030】
制御部53は、ステップS5において各磁気センサ52のうち磁気センサ52の出力値が閾値以上の磁気センサ52が存在するか否かを判定する。ここで、閾値は、たとえばトレイ10に最大限収容された用紙Pのうち最上位の用紙Pに金属異物が存在する場合の磁気センサ52の出力値の最小値であり、試験等によって予め設定される。
【0031】
制御部53は、ステップS5において磁気センサ52の出力値が閾値以上の磁気センサ52が存在する場合(ステップS5:YES)、ステップS6においてトレイ10に収容された1枚または複数枚の用紙Pのうち少なくとも1枚の用紙Pに金属異物が存在すると判定し、処理を一旦終了する。
【0032】
制御部53は、ステップS5において磁気センサ52の出力値が閾値以上の磁気センサ52が存在しない場合(ステップS5:NO)、ステップS7においてトレイ10に収容された1枚または複数枚の用紙Pの全てに対して金属異物が存在しないと判定し、処理を一旦終了する。
【0033】
このような異物検出装置50による用紙Pの金属異物を検出する処理は、たとえばトレイ10に用紙Pが補充される可能性が高い場合に実行される。一例では、トレイ10が開閉された場合、上記処理が実行される。
【0034】
なお、制御部53による金属異物の有無の判定方法は、上述の判定方法に限られず、任意に変更可能である。一例では、制御部53は、コイル51への通電前の各磁気センサ52の出力値を取得する。そして制御部53は、コイル51への通電が終わった後に各磁気センサ52の出力値を取得する。そして制御部53は、コイル51への通電前の磁気センサ52の出力値とコイル51への通電が終わった後の磁気センサ52の出力値との差を演算し、その差が予め設定された閾値以上の場合、トレイ10に収容された1枚または複数枚の用紙Pのうち少なくとも1枚の用紙Pに金属異物が存在すると判定し、その差が上記閾値未満の場合、トレイ10に収容された1枚または複数枚の用紙Pの全てに対して金属異物が存在しないと判定する。
【0035】
本実施形態の作用について説明する。
磁力は、磁力の発生源からの距離が大きくなるにつれて小さくなる。このため、用紙Pに含まれる金属異物と磁気センサ52との距離が大きくなると、磁気センサ52が金属異物を検出する精度が低下してしまう。たとえば載置方向zにおいて最上位の用紙Pに金属異物が含まれる場合、金属異物の磁力が小さいと磁気センサ52が金属異物を検出したとしてもその出力値が小さい。このため、磁気センサ52の検出誤差等によって磁気センサ52が金属異物を検出したとしても閾値未満の出力値となり、金属異物を検出できないおそれがある。
【0036】
この点に鑑みて、本実施形態では、異物検出装置50は、コイル51への通電によって生成される磁界によって、用紙Pにホチキス針やクリップ等の金属異物が存在する場合、その金属異物に磁気を与える。これにより、金属異物の磁力が大きくなる。そしてコイル51の通電後、複数の磁気センサ52が磁力の大きい金属異物に応じた出力信号を制御部53に出力する。すなわち、金属異物を検出した磁気センサ52の出力値が大きくなる。このため、磁気センサ52の検出誤差等によって金属異物を検出できないおそれを低減できる。
【0037】
本実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)異物検出装置50は、トレイ10に積層された状態で収容されている用紙Pに含まれる金属異物に磁気を与えるコイル51と、コイル51によって磁化された金属異物を検出する複数の磁気センサ52と、を備える。この構成によれば、金属異物が磁化されているため、金属異物を検出した磁気センサの出力信号が大きくなり、用紙Pに含まれる金属異物を高精度に検出することができる。
【0038】
(2)載置方向zから視て、複数の磁気センサ52はそれぞれ用紙Pと重なるように配置されている。この構成によれば、載置方向zから視て用紙Pとは重ならない磁気センサ52と比較して、用紙Pに含まれる金属異物を検出しやすくなる。
【0039】
(3)載置方向zから視て、コイル51は用紙Pと重なるように配置されている。コイル51は、載置方向zに沿った中心軸線Jzを中心とした環状に形成されている。この構成によれば、コイル51が通電されることによって生成される磁束は載置方向zに向かうため、載置方向zにおいてコイル51と重なる用紙Pに含まれる金属異物に磁気を与えやすくなる。
【0040】
(4)載置方向zから視て、コイル51は、用紙Pを取り囲んでいる。この構成によれば、コイル51に通電することによって生成された磁気が、載置方向zと直交する平面方向において用紙Pの全体にわたり付与される。したがって、用紙Pに含まれる金属異物に磁気を与えやすくなる。
【0041】
用紙Pに含まれる金属異物は、ホチキス針やクリップであり、主に用紙Pの外周部に取り付けられる。このため、金属異物は、用紙Pの第1方向xおよび第2方向yの中央部よりも用紙Pの外周部に存在しやすくなる。
【0042】
そこで、本実施形態では、載置方向zから視て、コイル51は、用紙Pの外周縁となる各辺と隣接するように配置されている。この構成によれば、コイル51に通電することによって生成された磁界において、用紙Pの外周部の磁束密度が用紙Pの第1方向xおよび第2方向yの中央部の磁束密度よりも大きくなる。これにより、用紙Pにおいて金属異物が存在しやすい用紙Pの外周部における金属異物の検出精度が向上する。
【0043】
(5)載置方向zから視て、複数の磁気センサ52はコイル51の内側に配置されている。この構成によれば、コイル51に通電することによってコイル51の内側に配置された用紙Pのうち載置方向zと直交する平面方向の全体にわたり磁気が付与されるため、コイル51の内側に配置された用紙Pに含まれる金属異物が磁化されやすくなる。複数の磁気センサ52は、コイル51の内側に配置されることによって金属異物と載置方向zにおいて対向しやすくなるため、金属異物を精度よく検出することができる。
【0044】
(6)複数の磁気センサ52は、第1方向xおよび第2方向yにおいて等間隔に配置されている。複数の磁気センサ52は、用紙Pの全体にわたり配置されている。この構成によれば、複数の磁気センサ52の検出領域Rが用紙Pの全体にわたりカバーされるため、用紙Pに含まれる金属異物の検出漏れを抑制できる。
【0045】
(7)異物検出装置50は、トレイ10とは個別に設けられている。トレイ10は、異物検出装置50に対して移動可能に構成されている。この構成によれば、異物検出装置50は、トレイ10の移動にともない移動しないため、フレキシブルフラットケーブル等の異物検出装置50が移動することに対する異物検出装置50と印刷装置1のうちトレイ10以外の部品との電気的接続の構成を省略することができる。したがって、異物検出装置50と、印刷装置1を構成する部品のうちトレイ10以外の部品との電気的接続の構成を簡素化できる。
【0046】
(8)複数の磁気センサ52はそれぞれ、MIセンサが用いられている。MIセンサは、ホール素子およびMR(Magneto Resistance)センサ等の他の磁気センサよりも磁気の感度が高い。このため、複数の磁気センサとしてホール素子またはMRセンサを用いる構成と比較して、用紙Pに含まれる金属異物を精度よく検出することができる。
【0047】
(9)トレイ10は、複数枚の用紙Pが積層された状態で収容可能に構成されている。この構成によれば、複数枚の用紙Pに対して同時に、用紙Pに含まれる金属異物を検出することができる。換言すれば、トレイ10に収容された全ての用紙Pに対して同時に、用紙Pに含まれる金属異物を検出することができる。
【0048】
[変更例]
上記実施形態は本開示に関する異物検出装置が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本開示に関する異物検出装置は、上記実施形態に例示された形態とは異なる形態を取り得る。その一例は、上記実施形態の構成の一部を置換、変更、もしくは、省略した形態、または上記実施形態に新たな構成を付加した形態である。また、以下の各変更例は、技術的に矛盾しない限り、互いに組み合わせることができる。以下の各変更例において、上記実施形態と共通する部分については、上記実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0049】
・上記実施形態において、載置方向zにおけるコイル51と複数の磁気センサ52との配置関係は任意に変更可能である。一例では、図8に示すように、複数の磁気センサ52は、載置方向zにおいてコイル51よりも用紙Pに近くなるように配置されてもよい。この構成によれば、用紙Pに含まれる金属異物の磁気が弱くても複数の磁気センサ52によって金属異物を検出できる。また、図示していないが、コイル51と複数の磁気センサ52とが載置方向zにおいて同じ位置となるように配置されてもよい。この場合、複数の磁気センサ52はそれぞれ、コイル51の内側に配置されている。またコイル51は、基板55に取り付けられている。
【0050】
・上記実施形態において、コイル51の構成は任意に変更可能である。一例では、コイル51は、基板55に形成された渦状の配線パターンとして形成されてもよい。この場合、複数の磁気センサ52は、基板55のうち配線パターンよりも内側の部分に配置されている。
【0051】
・上記実施形態では、載置方向zにおいてコイル51および複数の磁気センサ52がトレイ10よりも下方に配置される構成であったが、これに限られない。
第1例では、図9に示すように、載置方向zにおいてコイル51および複数の磁気センサ52がトレイ10よりも上方に配置されてもよい。図示された例においては、コイル51は、載置方向zにおいて複数の磁気センサ52よりも用紙Pに近くなるように配置されている。なお、載置方向zにおけるコイル51および複数の磁気センサ52の配置関係は任意に変更可能である。複数の磁気センサ52は、載置方向zにおいてコイル51よりも用紙Pの近くに配置されてもよい。
【0052】
第2例では、図10に示すように、載置方向zにおいてコイル51がトレイ10よりも下方に配置されており、複数の磁気センサ52がトレイ10よりも上方に配置されてもよい。この場合、異物検出装置50は、コイル51を収容する第1ケース54Aと、複数の磁気センサ52を収容する第2ケース54Bと、を備えている。図示された例では、第2ケース54Bは、基板55を収容している。これらケース54A,54Bはともに非磁性体からなる。なお、コイル51がトレイ10よりも上方に配置され、複数の磁気センサ52がトレイ10よりも下方に配置されてもよい。
【0053】
第3例では、図11に示すように、載置方向zにおいてトレイ10の両側に異物検出装置50が配置されてもよい。換言すれば、異物検出装置50は、載置方向zにおいて、積層された用紙Pの両側に配置されている。この構成によれば、載置方向zにおける最上位の用紙Pに含まれる金属異物および最下位の用紙Pに含まれる金属異物のそれぞれを精度よく検出できる。図示された例においては、トレイ10よりも上方に配置された異物検出装置50は、図9の異物検出装置50と同様の構成である。
【0054】
なお、トレイ10の両側に配置された異物検出装置50について、載置方向zにおけるコイル51および複数の磁気センサ52の配置関係は任意に変更可能である。たとえばトレイ10よりも上方に配置された異物検出装置50の複数の磁気センサ52は、載置方向zにおいてコイル51よりも用紙Pの近くに配置されてもよい。またたとえばトレイ10よりも下方に配置された異物検出装置50の複数の磁気センサ52は、載置方向zにおいてコイル51よりも用紙Pの近くに配置されてもよい。
【0055】
・上記実施形態において、載置方向zから視た複数の磁気センサ52の配置態様は任意に変更可能である。たとえば図12に示す第1例および図13に示す第2例のように複数の磁気センサ52を不等間隔で配置してもよい。
【0056】
図12に示すように、複数の磁気センサ52の配置態様の第1例では、載置方向zにおいて用紙Pの外周部に対向する複数の磁気センサ52のピッチは、載置方向zにおいて用紙Pの内周部に対向する複数の磁気センサ52のピッチよりも小さい。図示された例では、複数の磁気センサ52のうち第2方向yの両端において第1方向xに配列された複数の磁気センサ52の第1方向xのピッチは、複数の磁気センサ52のうち第2方向yの中央において第1方向xに配列された複数の磁気センサ52の第1方向xのピッチよりも小さい。複数の磁気センサ52のうち第1方向xの両端において第2方向yに配列された複数の磁気センサ52の第2方向yのピッチは、複数の磁気センサ52のうち第1方向xの中央において第2方向yに配列された複数の磁気センサ52の第2方向yのピッチよりも小さい。
【0057】
この構成によれば、ホチキス針やクリップ等の金属異物が存在する可能性の高い用紙Pの外周部における金属異物の検出精度を高めることができる。したがって、用紙Pの金属異物を精度よく検出できる。
【0058】
なお、第1例において、複数の磁気センサ52のうち第1方向xに配列された複数の磁気センサ52の第1方向xのピッチは、第2方向yの両側に向かうにつれて小さくなるようにしてもよい。複数の磁気センサ52のうち第2方向yに配列された複数の磁気センサ52の第2方向yのピッチは、第1方向xの両側に向かうにつれて小さくなるようにしてもよい。
【0059】
図13に示すように、複数の磁気センサ52の配置態様の第2例では、載置方向zにおいて用紙Pの四隅に対向する複数の磁気センサ52のピッチは、載置方向zにおいて用紙Pの第1方向xおよび第2方向yの中央部に対向する複数の磁気センサ52のピッチよりも小さい。図示された例では、第2方向yの両端の近くで第1方向xに配列された複数の磁気センサ52のうち第1方向xの両端に近い複数の磁気センサ52の第1方向xのピッチは、第1方向xの中央に近い複数の磁気センサ52の第1方向xのピッチよりも小さい。第1方向xの両端の近くで第2方向yに配列された複数の磁気センサ52のうち第2方向yの両端に近い複数の磁気センサ52の第2方向yのピッチは、第2方向yの中央に近い複数の磁気センサ52の第2方向yのピッチよりも小さい。
【0060】
この構成によれば、ホチキス針やクリップ等の金属異物が存在する可能性の高い用紙Pの四隅における金属異物の検出精度を高めることができる。したがって、用紙Pの金属異物を精度よく検出できる。
【0061】
なお、第1例において、複数の磁気センサ52のうち第1方向xに配列された複数の磁気センサ52の第1方向xのピッチおよび第2方向yに配列された複数の磁気センサ52の第2方向yのピッチのそれぞれは、用紙Pの中央から四隅に向かうにつれて小さくなるようにしてもよい。
【0062】
・上記実施形態において、異物検出装置50は、トレイ10に設けられてもよい。一例では、図14に示すように、異物検出装置50は、トレイ10の底壁11に設けられている。より詳細には、底壁11は、載置方向zにおいて異なる位置に設けられた第1段差部11aおよび第2段差部11bを有する。第1段差部11aは、第2段差部11bよりも用紙Pの近くに設けられている。第1段差部11aには、コイル51が配置されている。第2段差部11bには、複数の磁気センサ52が実装された基板55が配置されている。
【0063】
なお、載置方向zにおけるコイル51と複数の磁気センサ52(基板55)の配置関係は任意に変更可能である。第1段差部11aに複数の磁気センサ52が実装された基板55が配置され、第2段差部11bにコイル51が配置されてもよい。
【0064】
・上記実施形態において、異物検出装置50は、トレイ10の側壁12に設けられてもよい。一例では、図16に示すように、トレイ10の4つの側壁12のそれぞれにコイル51および複数の磁気センサ52が設けられている。また、図15に示す例では、トレイ10よりも下方にも異物検出装置50が設けられている。この異物検出装置50は、たとえば上記実施形態の異物検出装置50と同様の構成である。
【0065】
図17は、第2方向yに沿って延びる側壁12に設けられたコイル51、複数の磁気センサ52および基板55の配置関係を示している。図17に示すように、コイル51は、第1方向xに貫通する貫通孔が形成されるように構成されている。換言すると、図17に示すコイル51は、第1方向xに沿う中心軸線Jxを中心とした環状に形成されている。図17に示すように、第1方向xから視たコイル51の形状は、第2方向yが長辺方向となり、載置方向zが短辺方向となる矩形環状である。コイル51の内面間の距離D1は、用紙P(図16参照)の第2方向yの長さ以上となる。複数の磁気センサ52は、載置方向zおよび第2方向yにおいて互いに離間して配列されている。図示された例においては、複数の磁気センサ52は、載置方向zおよび第2方向yにおいて等間隔に配置されている。
【0066】
図18は、第1方向xに沿って延びる側壁12に設けられたコイル51、複数の磁気センサ52および基板55の配置関係を示している。図18に示すように、コイル51は、第2方向yに貫通する貫通孔が形成されるように構成されている。換言すると、図18に示すコイル51は、第2方向yに沿う中心軸線Jyを中心とした環状に形成されている。図18に示すように、第2方向yから視たコイル51の形状は、第1方向xが長辺方向となり、載置方向zが短辺方向となる矩形環状である。コイル51の内面間の距離D2は、用紙P(図16参照)の第1方向xの長さ以上となる。複数の磁気センサ52は、載置方向zおよび第1方向xにおいて互いに離間して配列されている。図示された例においては、複数の磁気センサ52は、載置方向zおよび第1方向xにおいて等間隔に配置されている。図18に示すように、複数の磁気センサ52はそれぞれ、コイル51によって囲まれた領域51Rに配置されている。
【0067】
このような構成によれば、側壁12に設けられた異物検出装置50によって載置方向zから視て用紙Pの外周部分における金属異物の検出精度が向上する。加えて、側壁12に設けられた異物検出装置50の複数の磁気センサ52は、載置方向zにおいて互いに離間して配置されているため、積層された用紙Pの全体にわたり用紙Pに含まれる金属異物の検出精度が向上する。
【0068】
なお、側壁12に設けられた複数の磁気センサ52について、載置方向zにおいて複数の磁気センサ52の配置態様は任意に変更可能である。一例では、載置方向zにおいてコイル51から遠い複数の磁気センサ52のピッチは、載置方向zにおいてコイル51に近い複数の磁気センサ52のピッチよりも小さくてもよい。また、載置方向zにおける複数の磁気センサ52のピッチは、載置方向zにおいてコイル51から離れるにつれて小さくしてもよい。
【0069】
また、図15に示すように、トレイ10よりも下方に異物検出装置50が配置される場合、側壁12に設けられたコイル51を省略してもよい。
また、トレイ10よりも下方に配置された異物検出装置50の複数の磁気センサ52は、用紙Pの外周部分に載置方向zに対向する磁気センサ52を省略してもよい。一例では、図5に示す複数の磁気センサ52のうち最外周の複数の磁気センサ52を省略してもよい。
【0070】
また、トレイ10よりも下方に配置された異物検出装置50を省略してもよい。この場合、トレイ10の各側壁12に設けられたコイル51を省略し、トレイ10の底壁11よりも下方にコイル51を配置してもよい。
【0071】
・上記実施形態において、トレイ10は、複数のトレイを有してもよい。この場合、たとえば複数のトレイに対応して異物検出装置50が設けられている。一例では、図19に示すように、印刷装置1は、第1トレイ10Aと、第2トレイ10Bと、第1トレイ10Aに対応する異物検出装置50Aと、第2トレイ10Bに対応する異物検出装置50Bと、を備えている。これらトレイ10A,10Bは、上下方向において互いに離間して配置されている。図示された例においては、第1トレイ10Aは、第2トレイ10Bよりも上方に位置している。各トレイ10A,10Bは、上記実施形態のトレイ10と同様の構成である。異物検出装置50Aは、第1トレイ10Aよりも下方に配置されており、第1トレイ10Aが収容している用紙Pに含まれる金属異物を検出する。異物検出装置50Bは、第2トレイ10Bよりも下方に配置されており、第2トレイ10Bが収容している用紙Pに含まれる金属異物を検出する。
【0072】
図20に示すように、異物検出装置50Aは、第1コイル51Aおよび複数の第1磁気センサ52Aを備えている。第1コイル51Aおよび複数の第1磁気センサ52Aはそれぞれ、制御部53に電気的に接続されている。異物検出装置50Bは、第2コイル51Bおよび複数の第2磁気センサ52Bを備えている。第2コイル51Bおよび複数の第2磁気センサ52Bはそれぞれ、制御部53に電気的に接続されている。このように、制御部53は、異物検出装置50Aの第1コイル51Aへの通電および異物検出装置50Aの複数の第1磁気センサ52Aの出力信号の受信と、異物検出装置50Bの第2コイル51Bへの通電および異物検出装置50Bの複数の第2磁気センサ52Bの出力信号の受信とを行う。より詳細には、制御部53は、異物検出装置50Aの第1コイル51Aに通電することによって第1トレイ10Aに収容された用紙Pに対して磁界を生成する。この場合、用紙Pに金属異物が存在する場合、その金属異物に磁気が与えられる。そして制御部53は、異物検出装置50Aの複数の第1磁気センサ52Aの出力信号に基づいて第1トレイ10Aに収容された用紙Pに含まれる金属異物を検出する。また、制御部53は、異物検出装置50Bの第2コイル51Bに通電することによって第2トレイ10Bに収容された用紙Pに対して磁界を生成する。この場合、用紙Pに金属異物が存在する場合、その金属異物に磁気が与えられる。そして制御部53は、異物検出装置50Bの複数の第2磁気センサ52Bの出力信号に基づいて第2トレイ10Bに収容された用紙Pに含まれる金属異物を検出する。制御部53による各トレイ10A,10Bの用紙Pに含まれる金属異物の検出処理は、図7に示す処理手順で行われる。
【0073】
図21に示すように、異物検出装置50Aの第1コイル51Aおよび複数の第1磁気センサ52Aの配置態様および異物検出装置50Bの第2コイル51Bおよび複数の第2磁気センサ52Bの配置態様はそれぞれ、上記実施形態の異物検出装置50のコイル51および複数の磁気センサ52の配置態様と同じである。なお、異物検出装置50A,50Bのコイル51および複数の磁気センサ52の配置構成は、上記各変更例のように変更してもよい。
【0074】
また、図20の制御部53として、第1コイル51Aおよび複数の第1磁気センサ52Aに電気的に接続される第1制御部と、第2コイル51Bおよび複数の第2磁気センサ52Bに電気的に接続される第2制御部と、に個別に設けられてもよい。
【0075】
・上記実施形態において、載置方向zに隣り合うトレイ10A,10Bに対して共通の異物検出装置50が設けられる構成であってもよい。換言すると、異物検出装置50は、トレイ10Aに収容された用紙Pに含まれる金属異物およびトレイ10Bに収容された用紙Pに含まれる金属異物のそれぞれを検出するように構成されている。一例では、図22に示すように、異物検出装置50は、載置方向zにおいてトレイ10Aとトレイ10Bとの間に配置されている。この構成によれば、トレイ10A,10Bに対して個別に異物検出装置50を備える構成と比較して、異物検出装置50の数が少なくなるため、コストを低減できる。
【0076】
図8に示す変更例のように、複数の磁気センサ52がコイル51よりも用紙Pの近くに配置される場合、換言すると、コイル51が複数の磁気センサ52よりも用紙Pに対して遠くに配置される場合、載置方向zにおいてコイル51のうち複数の磁気センサ52とは反対側に磁性カバーを設けてもよい。磁性カバーは、コイル51のうち複数の磁気センサ52とは反対側への磁束漏洩を抑制するように磁性体からなる。一例では、図23に示すように、磁性カバー60は、コイル51を下方から覆う第1カバー部61と、コイル51を側方から覆う第2カバー部62と、を備える。図示された例においては、磁性カバー60は、第1カバー部61と第2カバー部62とが一体に形成された単一部品である。第2カバー部62は、たとえばコイル51の全周にわたり覆っている。
【0077】
この構成によれば、コイル51が生成する磁気が用紙Pに向かいやすくなるため、用紙Pに金属異物が存在する場合、その金属異物に磁気を与えやすくなる。したがって、複数の磁気センサ52によって用紙Pに含まれる金属異物を精度よく検出できる。なお、磁性カバー60から第2カバー部62を省略してもよい。
【0078】
・上記実施形態では、複数の磁気センサ52は、第1方向xおよび第2方向yにおいて互いに離間して配置されていたが、これに限られない。たとえば複数の磁気センサ52は、第1方向xおよび第2方向yにおいて隙間が形成されないように隣接して配置されてもよい。これにより、用紙Pの全面にわたり金属異物の検出精度が向上する。なお、このような変更例の磁気センサ52の配置態様では、磁気センサ52は表面実装型のパッケージであることが好ましい。
【0079】
・上記実施形態において、載置方向zにおいてコイル51によって囲まれた領域51Rの一部が用紙Pと重なっており、領域51Rのその他の部分が用紙Pと重なっていないように、用紙Pに対してコイル51が配置されてもよい。要するに、載置方向zにおいてコイル51によって囲まれた領域51Rの少なくとも一部が用紙Pと重なっていればよい。また、載置方向zにおいてコイル51によって囲まれた領域51Rの一部がトレイ10の設置領域11Rと重なっており、領域51Rのその他の部分が設置領域11Rと重なっていないように、トレイ10に対してコイル51が配置されてもよい。要するに、載置方向zにおいてコイル51によって囲まれた領域51Rの少なくとも一部が設置領域11Rと重なっていればよい。
【0080】
・上記実施形態において、コイル51の数は任意に変更可能である。すなわち異物検出装置50,50A,50Bは、複数のコイル51を備えていてもよい。一例では、図24に示すように、2つのコイル51がx方向に並べて配置されている。別例では、図25に示すように、複数の磁気センサ52のそれぞれにコイル51が設けられている。さらに別例では、図26に示すように、コイル51は、載置方向zにおいて、トレイ10の両側に配置されている。換言すると、コイル51は、載置方向zにおいて積層された用紙Pの両側に配置されている。
【0081】
・上記実施形態において、載置方向zから視た複数の磁気センサ52と用紙Pとの位置関係は任意に変更可能である。一例では、載置方向zから視て、複数の磁気センサ52の一部が用紙Pと重ならない位置に配置されてもよい。換言すると、載置方向zから視て、複数の磁気センサ52の一部がトレイ10の設置領域11Rと重ならない位置に配置されてもよい。
【0082】
・上記実施形態において、載置方向zから視た複数の磁気センサ52とコイル51との位置関係は任意に変更可能である。一例では、載置方向zから視て、複数の磁気センサ52の一部がコイル51によって囲まれた領域51Rよりも外側に配置されてもよい。
【0083】
・上記実施形態において、磁気センサ52の数は任意に変更可能である。たとえば磁気センサ52は1個であってもよい。
・上記実施形態において、載置方向zから視た用紙Pの形状は任意に変更可能である。一例では、載置方向zから視た用紙Pの形状は、正方形、円形、楕円形等であってもよい。このように、載置方向zから視た対象物の形状は任意である。
【0084】
・上記実施形態では、トレイ10に収容される用紙Pに含まれる金属異物を検出するように異物検出装置50が設けられたが、これに限られず、たとえば図27に示すように、画像読取装置70に異物検出装置50が設けられてもよい。より詳細には、画像読取装置70は、用紙Pを載置するトレイ71と、トレイ71に載置された用紙Pを搬送する搬送部40Sと、搬送された用紙Pの情報を読み取る読取部72と、を備えている。
【0085】
トレイ71は、1枚または複数枚の用紙Pが載置可能に構成されている。複数枚の用紙Pが載置されているとは、用紙Pが積層されているといえる。
搬送部40Sは、複数の搬送ローラ41Sを有している。搬送部40Sは、トレイ71に載置されている1枚または複数枚の用紙Pを1枚ずつ搬送するものである。
【0086】
読取部72は、たとえば光学式反射型イメージセンサを有している。このイメージセンサは、搬送された用紙Pに光を照射する発光ダイオードと、用紙Pからの反射光を受光する受光ダイオードと、を有している。
【0087】
異物検出装置50は、トレイ71に設けられている。図示された例では、ケース54は、トレイ71側が開口しており、トレイ71に取り付けられている。ケース54には、コイル51と、複数の磁気センサ52とが収容されている。コイル51および複数の磁気センサ52の配置態様は、上記実施形態のコイル51および複数の磁気センサ52の配置態様と同様である。
【0088】
異物検出装置50の制御部53(図2参照)は、トレイ71に用紙Pが載置されたときに用紙Pに含まれる金属異物を検出する処理を実行する。この処理は、所定時間毎に繰り返し実行される。一例として、図28に示すように、制御部53は、ステップS11においてトレイ71に用紙Pが載置されたか否かを判定する。用紙Pがトレイ71に載置されたか否かは、用紙検出センサ(図示略)によって検出される。用紙検出センサは、たとえば光学式反射型センサを用いることができる。用紙検出センサは、用紙Pを検出した場合、トレイ71に用紙Pが載置された旨の情報を含む信号を制御部53に出力する。制御部53は、用紙検出センサからの信号を受信した場合、トレイ71に用紙Pが載置されたと判定する。
【0089】
制御部53は、トレイ71に用紙Pが載置されていないと判定した場合(ステップS11:NO)、処理を一旦終了する。制御部53は、トレイ71に用紙Pが載置されたと判定した場合(ステップS11:YES)、ステップS12においてコイル51への通電を開始する。そして制御部53は、ステップS13においてコイル51への通電開始から所定時間経過したか否かを判定する。制御部53は、コイル51への通電開始から所定時間が経過していないと判定した場合(ステップS13:NO)、再びステップS13の判定に移行する。制御部53は、コイル51への通電開始から所定時間が経過したと判定した場合(ステップS13:YES)、ステップS14においてコイル51への通電を終了する。これらステップS12~S14の処理手順は、上記実施形態のステップS1~S3の処理手順と同じである。
【0090】
制御部53は、コイル51への通電終了後、ステップS15において複数の磁気センサ52の出力値を取得し、ステップS16において出力値が閾値以上の磁気センサ52が存在するか否かを判定する。制御部53は、出力値が閾値以上の磁気センサ52が存在すると判定する場合(ステップS16:YES)、ステップS17においてトレイ71に載置された1枚または複数枚の用紙Pのうち少なくとも1枚の用紙Pに金属異物が有ると判定し、処理を一旦終了する。制御部53は、出力値が閾値以上の磁気センサ52が存在しないと判定する場合(ステップS16:NO)、ステップS18においてトレイ71に載置された1枚または複数枚の用紙Pの全てに対して金属異物が無いと判定し、処理を一旦終了する。
【0091】
・上記実施形態では、異物検出装置50は印刷装置1に適用されたがこれに限られない。すなわち異物検出装置50は、用紙P以外の対象物に含まれる金属異物を検出してもよい。用紙P以外の対象物としては、シート状の樹脂板や海苔が挙げられる。要するに、異物検出装置50は、積層された状態でトレイ10に収容される対象物に対して金属異物を検出するものであればよい。
<付記>
[付記1]
非磁性体のトレイに載置された対象物に含まれる金属異物に対して磁気を与えるコイルと、
前記コイルによって磁化した金属異物を検出する1または複数の磁気センサと、を備える
異物検出装置。
[付記2]
前記トレイと前記トレイに載置された対象物とが並ぶ方向を載置方向とすると、
前記対象物と前記コイルおよび前記磁気センサとは、前記載置方向に並んで配置されており、
前記複数の磁気センサは、前記載置方向から視て配列されており、
前記複数の磁気センサのうち少なくとも一部の磁気センサは、前記載置方向から視て、前記対象物と重なるように配置されている
付記1に記載の異物検出装置。
[付記3]
前記コイルは、前記載置方向に沿う中心軸線を有する環状に形成されており、
前記載置方向から視て、前記コイルによって囲まれた領域の少なくとも一部は、前記対象物と重なっている
付記2に記載の異物検出装置。
[付記4]
前記載置方向から視て、前記コイルは、前記対象物を取り囲むように構成されている
付記2または3に記載の異物検出装置。
[付記5]
前記載置方向から視て、前記複数の磁気センサのうち少なくとも一部の磁気センサは、前記コイルよりも内側に配置されている
付記3または4に記載の異物検出装置。
[付記6]
前記載置方向において、前記コイルは、前記複数の磁気センサよりも前記対象物の近くに配置されている
付記2~5のいずれか1つに記載の異物検出装置。
[付記7]
前記載置方向において、前記複数の磁気センサはそれぞれ、前記コイルよりも前記対象物の近くに配置されている
付記2~5のいずれか1つに記載の異物検出装置。
[付記8]
前記複数の磁気センサは、前記載置方向において、前記トレイに載置された前記対象物の両側に配置されている
付記2~7のいずれか1つに記載の異物検出装置。
[付記9]
前記コイルは、前記載置方向において、前記トレイに載置された前記対象物の両側に配置されている
付記2~8のいずれか1つに記載の異物検出装置。
[付記10]
前記載置方向と直交する平面方向のうち互いに直交する方向を第1方向および第2方向とすると、
前記複数の磁気センサは、前記第1方向および前記第2方向のそれぞれにおいて等間隔に配置されている
付記2~9のいずれか1つに記載の異物検出装置。
[付記11]
前記複数の磁気センサのうち前記対象物の外周部と前記載置方向に対向する複数の磁気センサのピッチは、前記複数の磁気センサのうち前記対象物の内周部と前記載置方向に対向する複数の磁気センサのピッチよりも小さい
付記2~9のいずれか1つに記載の異物検出装置。
[付記12]
前記載置方向から視た前記対象物の形状は矩形状であり、
前記複数の磁気センサのうち前記対象物の四隅と前記載置方向に対向する複数の磁気センサのピッチは、前記複数の磁気センサのうち前記対象物の内周部と前記載置方向に対向する複数の磁気センサのピッチよりも小さい
付記2~9のいずれか1つに記載の異物検出装置。
[付記13]
前記載置方向と直交する平面方向のうち互いに直交する方向を第1方向および第2方向とすると、
前記載置方向から視た前記対象物の形状は、前記第1方向が長辺方向となり、前記第2方向が短辺方向となる矩形状であり、
前記複数の磁気センサは、前記第1方向および前記第2方向のそれぞれにおいて互いに離間して配列されている
付記2~9のいずれか1つに記載の異物検出装置。
[付記14]
前記複数の磁気センサのうち前記対象物の外周部と前記載置方向に対向する複数の磁気センサの前記第1方向におけるピッチは、前記複数の磁気センサのうち前記対象物の内周部と前記載置方向に対向する複数の磁気センサの前記第1方向におけるピッチよりも小さい
付記13に記載の異物検出装置。
[付記15]
前記複数の磁気センサのうち前記対象物の外周部と前記載置方向に対向する複数の磁気センサの前記第2方向におけるピッチは、前記複数の磁気センサのうち前記対象物の内周部と前記載置方向に対向する複数の磁気センサの前記第2方向におけるピッチよりも小さい
付記13または14に記載の異物検出装置。
[付記16]
前記複数の磁気センサは、前記対象物の前記第1方向および前記第2方向の中央部から前記対象物の四隅に向かうにつれてピッチが小さくなる
付記13に記載の異物検出装置。
[付記17]
前記コイルおよび前記磁気センサが設けられている支持部材を備え、
前記支持部材は、前記トレイとは個別に設けられており、
前記トレイは、前記支持部材に対して移動可能に構成されている
付記1~16のいずれか1つに記載の異物検出装置。
[付記18]
前記コイルおよび前記複数の磁気センサの少なくとも一方は、前記トレイに設けられている
付記1~16のいずれか1つに記載の異物検出装置。
[付記19]
前記トレイは、前記対象物が積層された状態で収容可能に構成されている
付記1~18のいずれか1つに記載の異物検出装置。
[付記20]
前記トレイは、前記対象物を支持する底壁と、前記底壁から立ち上がる側壁と、を有しており、
前記コイルおよび前記複数の磁気センサの少なくとも一方は、前記側壁に設けられている
付記19に記載の異物検出装置。
[付記21]
前記トレイと前記トレイに載置された対象物とが並ぶ方向を載置方向とすると、
前記トレイは、前記載置方向において互いに離間して配置された第1トレイおよび第2トレイを有しており、
前記コイルおよび前記磁気センサは、前記第1トレイと前記第2トレイとの前記載置方向の間に配置されている
付記1~16のいずれか1つに記載の異物検出装置。
[付記22]
前記トレイと前記トレイに載置された対象物とが並ぶ方向を載置方向とすると、
前記トレイは、前記載置方向において互いに離間して配置された第1トレイおよび第2トレイを有しており、
前記コイルは、
前記第1トレイと前記載置方向に対向している第1コイルと、
前記第2トレイと前記載置方向に対向している第2コイルと、を有しており、
前記磁気センサは、
前記第1トレイに収容された対象物と前記載置方向に対向している第1磁気センサと、
前記第2トレイに収容された対象物と前記載置方向に対向している第2磁気センサと、を有している
付記1~16のいずれか1つに記載の異物検出装置。
[付記23]
前記磁気センサは、MIセンサを含む
付記1~22のいずれか1つに記載の異物検出装置。
【符号の説明】
【0092】
10…トレイ
10A…第1トレイ
10B…第2トレイ
11…底壁
12…側壁
50,50A,50B…異物検出装置
51…コイル
51A…第1コイル
51B…第2コイル
52…磁気センサ
52A…第1磁気センサ
52B…第2磁気センサ
54…ケース(支持部材)
71…トレイ
P…用紙(対象物)
Jz…中心軸線
x…第1方向
y…第2方向
z…載置方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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