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▶ 有限会社大原ガラスリサイクルの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-04
(45)【発行日】2023-09-12
(54)【発明の名称】ガラスリサイクル方法
(51)【国際特許分類】
   B09B 3/30 20220101AFI20230905BHJP
   C03B 1/00 20060101ALI20230905BHJP
   B09B 101/50 20220101ALN20230905BHJP
【FI】
B09B3/30
C03B1/00
B09B101:50
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020001260
(22)【出願日】2020-01-08
(65)【公開番号】P2021109122
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2022-09-28
(73)【特許権者】
【識別番号】520007949
【氏名又は名称】有限会社大原ガラスリサイクル
(74)【代理人】
【識別番号】100166589
【弁理士】
【氏名又は名称】植村 貴昭
(72)【発明者】
【氏名】大原 照平
【審査官】上坊寺 宏枝
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/011061(WO,A1)
【文献】特表2008-519755(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0173306(US,A1)
【文献】特表2008-519753(JP,A)
【文献】特表2008-519756(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B09B 1/00-5/00
B07C 1/00-99/00
C03B 1/00
C03C 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の非結晶化ガラスのカレットから、緑色の非結晶化ガラスのカレットを分別する第1の工程と、
前記第1の工程とは別の複数種類の非結晶化ガラスのカレットに、前記第1の工程で得られたカレットを混ぜ合わせ、当該混ぜ合わせたカレットから、透明及び茶色以外の非結晶化ガラスのカレットを分別する第2の工程と、
を備えることを特徴とするガラスリサイクル方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数種類の非結晶化ガラスのカレットから特定種類の非結晶化ガラスのカレットを分別するガラスリサイクル方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ガラス製造工場等においては、ガラス材料としてカレット(リサイクル用ガラス片)を利用しているが、カレットには、有色または透明、非結晶化ガラスまたは結晶化ガラス等の様々な種類のガラスが含まれることから、これらカレットの分別を行う必要がある。
【0003】
このようなカレット分別装置の一例としては、薄茶色或いは紫色の結晶化ガラス(耐熱ガラス)と多色の非結晶化ガラス(ソーダガラス)とを含むカレットの中から、薄茶色或いは紫色の結晶化ガラスを分別するカレット分別装置であって、430nm以下の波長を有する光によって、無色透明および薄青色の非結晶化ガラスと、それ以外のガラスとを分別し、630nm~700nmの波長を有する光によって、薄茶色或いは紫色の結晶化ガラスとそれ以外の色のガラスとを分別するカレット分別装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
この特許文献1のカレット分別装置では、薄茶色或いは紫色の結晶化ガラスを分別して排除することにより、通常のびん等を構成する非結晶化ガラスに、結晶化ガラスが混入することを回避している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第3367935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のカレット分別装置では、通常のびん等を構成する非結晶化ガラスに、結晶化ガラスが混入することを回避することができるが、互いに色が異なる非結晶化ガラスの混合比率に調整を行うことができず、再利用される非結晶化ガラスのカレットの価値を向上することが困難であった。
【0007】
本発明は、再利用される非結晶化ガラスのカレットの価値を向上することができるガラスリサイクル方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明のガラスリサイクル方法は、複数種類の非結晶化ガラスのカレットから、第1の特定種類の非結晶化ガラスのカレットを分別する第1の工程と、前記第1の工程とは別の複数種類の非結晶化ガラスのカレットに、前記第1の工程で得られたカレットを混ぜ合わせ、当該混ぜ合わせたカレットから、前記第1の特定種類を含む第2の特定種類の非結晶化ガラスのカレットを分別する第2の工程とを備えることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明のガラスリサイクル方法は、複数種類の非結晶化ガラスのカレットから、第1の特定種類の非結晶化ガラスのカレットを分別する第1の工程と、複数種類の空きびんの集積物に前記第1の工程で得られたカレットを混ぜ合わせた状態で、当該集積物を破砕することで、破砕物を生成する第2の工程と、前記第2の工程で生成した破砕物から、複数種類の非結晶化ガラスのカレットを分別する第3の工程と、前記第3の工程で分別した複数種類の非結晶化ガラスのカレットから、前記第1の特定種類を含む第2の特定種類の非結晶化ガラスのカレットを分別する第4の工程とを備えることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明のガラスリサイクル方法は、複数種類の空きびんの第1の集積物を破砕することで、破砕物を生成する第1の工程と、前記第1の工程で生成した破砕物から、複数種類の非結晶化ガラスのカレットを分別する第2の工程と、前記第2の工程で分別した複数種類の非結晶化ガラスのカレットから、第1の特定種類の非結晶化ガラスのカレットを分別する第3の工程と、複数種類の空きびんの第2の集積物に前記第3の工程で得られたカレットを混ぜ合わせた状態で、当該第2の集積物を破砕することで、破砕物を生成する第4の工程と、前記第4の工程で生成した破砕物から、複数種類の非結晶化ガラスのカレットを分別する第5の工程と、前記第5の工程で分別した複数種類の非結晶化ガラスのカレットから、前記第1の特定種類を含む第2の特定種類の非結晶化ガラスのカレットを分別する第6の工程とを備えることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明のガラスリサイクル方法は、複数種類の空きびんの第1の集積物を破砕することで、破砕物を生成する第1の工程と、前記第1の工程で生成した破砕物から、複数種類の非結晶化ガラスのカレットを分別する第2の工程と、前記第2の工程で分別した複数種類の非結晶化ガラスのカレットを撮像した画像に基づいて、当該第2の工程で分別した複数種類の非結晶化ガラスのカレットから、第1の特定種類の非結晶化ガラスのカレットを分別する第3の工程と、複数種類の空きびんの第2の集積物に前記第3の工程で得られたカレットを混ぜ合わせた状態で、当該第2の集積物を破砕することで、破砕物を生成する第4の工程と、前記第4の工程で生成した破砕物から、複数種類の非結晶化ガラスのカレットを分別する第5の工程と、前記第5の工程で分別した複数種類の非結晶化ガラスのカレットを撮像した画像に基づいて、当該第5の工程で分別した複数種類の非結晶化ガラスのカレットから、前記第1の特定種類を含む第2の特定種類の非結晶化ガラスのカレットを分別する第6の工程とを備えることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明のガラスリサイクル方法は、請求項3または4に記載のガラスリサイクル方法であって、前記第6の工程で分別する第2の特定種類の非結晶化ガラスは、特定の複数種類の非結晶化ガラスであることを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明のガラスリサイクル方法は、請求項5に記載のガラスリサイクル方法であって、前記第3の工程では、第1の特定種類の非結晶化ガラスのカレットを分離する際に、分離する非結晶化ガラスの種類毎の比率を調整することが可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明におけるガラスリサイクル方法によって再利用される非結晶化ガラスのカレットの価値を向上することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施の形態にかかるガラスリサイクル方法を示す全体の工程の説明図である。
図2】本発明の実施の形態にかかるガラスリサイクル方法におけるロット生産Aの工程の説明図である。
図3】本発明の実施の形態にかかるカレット分別装置として用いられる画像処理精製機を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<本発明の実施の形態>
以下、本発明の実施の形態にかかるガラスリサイクル方法を、図面に基づいて説明する。 <ガラスリサイクル方法>
【0017】
まず、本実施の形態にかかるガラスリサイクル方法について説明する。図1は、本発明の実施の形態にかかるガラスリサイクル方法を示す全体の工程の説明図である。図2は、本実施の形態にかかるガラスリサイクル方法におけるロット生産Aの工程の説明図である。
【0018】
図1に示すように、本実施の形態にかかるガラスリサイクル方法は、4種類のロット生産A、B、C、D毎に、空きびん11を集めたものから大型ごみを取り、びん破砕及びラベルはがしを行う一次工程と、破砕物から、はがしたラベルや異物を除去する二次工程と、紙粉、微分ガラス除去、カレットの色整合及び最終検査を行う三次工程とを有する。
【0019】
ロット生産Aでは、まず、一次工程P11において、廃品回収で集められた透明及び茶色以外の空きびん(その他)を多く含む第1の集積物を破砕することで、破砕物を生成する。
【0020】
次に、ロット生産Aの二次工程P12において、ロット生産Aの前記一次工程P11で生成した破砕物から非結晶化ガラスのカレットを分別する。
【0021】
次に、ロット生産Aの三次工程P13に基づいて、ロット生産Aの二次工程P12で分別した非結晶化ガラスのカレットを撮像した画像に基づいて、ロット生産Aの二次工程P12で分別した非結晶化ガラスのカレットから緑色の非結晶化ガラスのカレット(緑)を分別する。
【0022】
ロット生産Aの三次工程P13において、分別した緑色の非結晶化ガラスのカレット(緑)は、ロット生産Bの工程に廻される。
【0023】
まだ、ロット生産Aの三次工程P13において、緑色の非結晶化ガラスのカレット(緑)を分別した残りカレット(その他、例えば、無色、茶色、コバルト色のカレット)は、緑色のカレットが少ないカレット(その他)となり、製品Aとして出荷される。
【0024】
ロット生産Bでは、まず、一次工程P21において、廃品回収で集められた透明及び茶色以外の空きびん(その他)を多く含む第2の集積物に、ロット生産Aの三次工程P13で得られた緑色の非結晶化ガラスのカレット(緑)を混ぜ合わせた状態で、当該第2の集積物を破砕することで、破砕物を生成する。
【0025】
次に、ロット生産Bの二次工程P22において、ロット生産Bの一次工程P21で生成した破砕物から非結晶化ガラスのカレットを分別する。
【0026】
次に、ロット生産Bの三次工程P23において、ロット生産Bの第二次工程P22で分別した非結晶化ガラスのカレットを撮像した画像に基づいて、当該二次工程P22で分別した非結晶化ガラスのカレットから透明及び茶以外の色のガラスが混合された非結晶化ガラスのカレット(その他)を分別する。
【0027】
このようにして分別された透明及び茶以外の色のガラスが混合された非結晶化ガラスのカレット(その他)は、原料の製品Bとしてガラス瓶製造会社等に出荷される。
【0028】
ここで、廃品回収で集められた第2の集積物における透明及び茶色以外の空きびん(その他)の非結晶化ガラスの比率は、例えば概算として緑=50%、青=25%、黒=25%になっているとすると、ロット生産Bの一次工程P21において前記第2の集積物にロット生産Aの三次工程P13で得られた緑色のカレット(緑)を混ぜ合わせることで、ロット生産Bの三次工程P23で得られる透明及び茶以外の色のガラスが混合された非結晶化ガラスのカレットの比率は、例えば概算として緑=80%、青=10%、黒=10%となる。これにより、ロット生産Bの三次工程P23で得られるカレットは、緑色の純度が高いカレットとなる。尚、非結晶化ガラスの各比率は、前記概算値に限らず、各種適用可能である。
【0029】
ここで、一般的に、透明及び茶以外の色のガラスが混合された非結晶化ガラスのカレットでは、緑色の純度が高い方が高い価格で取引されることになる。
【0030】
以下、ロット生産C、Dについて説明する。 ロット生産Cでは、まず、一次工程P31において、廃品回収で集められた透明の空きびん(透明)を多く含む第3の集積物を破砕することで、破砕物を生成する。
【0031】
次に、ロット生産Cの二次工程P32において、ロット生産Cの一次工程P31で生成した破砕物から非結晶化ガラスのカレットを分別する。
【0032】
次に、ロット生産Cの三次工程P33に基づいて、ロット生産Cの二次工程P32で分別した非結晶化ガラスのカレットを撮像した画像に基づいて、当該二次工程P32で分別した非結晶化ガラスのカレットから透明の非結晶化ガラスのカレット(透明)を分別する。
【0033】
このようにして分別された透明の非結晶化ガラスのカレット(透明)は、原料の製品Cとしてガラス瓶製造会社等に出荷される。
【0034】
ロット生産Dでは、一次工程P41において、廃品回収で集められた茶色の空きびん(茶)を多く含む第4の集積物を破砕することで、破砕物を生成する。
【0035】
次に、ロット生産Dの二次工程P42において、ロット生産Dの一次工程P41で生成した破砕物から非結晶化ガラスのカレットを分別する。
【0036】
次に、ロット生産Dの三次工程P43に基づいて、ロット生産Dの二次工程P42で分別した非結晶化ガラスのカレットを撮像した画像に基づいて、当該二次工程P42で分別した非結晶化ガラスのカレットから茶色の非結晶化ガラスのカレット(茶色)を分別する。
【0037】
このようにして分別された茶色の非結晶化ガラスのカレット(茶色)は、原料の製品Dとしてガラス瓶製造会社等に出荷される。
【0038】
尚、図1では、ロット生産をA→B→C→Dの順に行うようにしたが、ロット生産Bの前にロット生産Aを行うのであれば、ロット生産の順番や回数は各種変更可能である。また、ロット生産を行う日程も各種変更可能であり、例えば、一日目にロット生産A→Bを行い、二日目にロット生産C→Dを行う組み合わせ、一日目にロット生産A→Cを行い、二日目にロット生産B→Dを行う組み合わせ、一日目にロット生産A→A→Cを行い、二日目にロット生産D→Bを行う組み合わせ、一日目にロット生産A、二日目にロット生産B、三日目にロット生産C、四日目にロット生産Dを行う組み合わせ等、各種適用可能である。この記載は、本実施形態に汎用性がある旨を示している。
【0039】
また、図1では、ロット生産Aの三次工程P13において、抜かれたカレット(緑)を、ロット生産Bの一次次工程P21の第2の集積物に混ぜることで、製品Bに混ぜるように構成しました。しかしながら、抜かれたカレット(緑)を製品Bに混ぜる工程としては、ロット生産Bの二次工程P22に向かう破砕物、ロット生産Bの三次工程P23を行う前のカレット、三次工程P23を行った後の製品B等、各種適用可能である。この記載は、本実施形態に汎用性がある旨を示している。
【0040】
また、ロット生産Aの三次工程P13において、抜かれたカレット(緑)を混ぜる先としては、ロット生産B以外で得られた別の製品B、ロット生産Cの製品C、ロット生産Dの製品D等、他の製品を用いることも可能である。この記載は、本実施形態に汎用性がある旨を示している。
【0041】
また、ロット生産Aの三次工程P13において、抜かれたカレット(緑)を混ぜる先としては、ロット生産C、Dの一次、二次、三次工程を用いることも可能である。
【0042】
また、図1では、ロット生産Aの三次工程P13において、二次工程P12で分別した非結晶化ガラスのカレットから緑色の非結晶化ガラスのカレット(緑)を抜いてロット生産Bの工程に廻すようにしましたが、用途に応じて、緑色の非結晶化ガラスのカレット(緑)のカレット以外の色(例えば、無色、茶色、コバルト色等、どのような色でも対応可能)のカレットの内、一種類または複数種類を抜いて、ロット生産B、C、Dの工程に廻したり、製品B、C、Dに混ぜたりすることも可能である。
【0043】
<ロットAの生産工程の説明> 以下、図2を用いて、ガラスリサイクル方法のロット生産Aの工程について詳細に説明する。
【0044】
図2に示すように、本実施の形態にかかるガラスリサイクル方法のロット生産Aの工程では、空きびん11を集めたものから大型ごみを取り、びん破砕及びラベルはがしを行う一次工程P11と、破砕物から、はがしたラベルや異物を除去する二次工程P12と、紙粉、微分ガラス除去、カレットの色整合及び最終検査を行う三次工程P13とを有する。
【0045】
一次工程P11では、廃品回収により複数種類の空きびん11を集めたものから、手選別12により大型ごみ(ビニール袋、包装紙等)を取り除き、この後、複数種類の空きびん11を集めたものに対して、ラベルはがし機13により振動を加えることで、破砕及びラベルはがしを行い、破砕物を生成する。
【0046】
二次工程P12では、まず、電磁石による磁選機21を用いて、一次工程P11で生成された破砕物から鉄を除去し、次に、金属網によるふるい機22により、破砕物から6mm以上の物体を分離する。
【0047】
ふるい機22より分離された6mm以上の物体は、6mmカレット工程に移行させる。 ふるい機22より分離された6mmより小さい破砕物は、集塵機23により樹脂キャップが除去され、渦電流を用いた非鉄金属除去機24によってアルミ等の非鉄金属が除去され、赤外線透過式精製機25により耐熱ガラス(結晶化ガラス)が除去され、画像処理精製機26により陶磁器が除去される。この後、金属探知機27により破砕物に金属が残っていないかの検査を行い、この検査が合格すれば、三次工程P13に移行する。
【0048】
三次工程P13では、二次工程P12で異物が除去された破砕物に対して、集塵機31により微分ガラス及び紙粉を除去し、画像処理精製機32により、緑色以外の色(透明、緑、黒、茶等)の非結晶化ガラスのカレット、異物、及び透明の非結晶化ガラスのカレットの分離を行う。
【0049】
これにより、緑色の非結晶化ガラスのカレットC3が得られる。 ロット生産B、C、Dの一次工程P21、P31、P41、二次工程P22、P32、P42、三次工程P23、P33、P43についても、ロット生産Aの一次工程P11、二次工程P12三次工程P13と同じ設備を用いており、画像処理精製機32の設定を変えることで、それぞれ異なる色の非結晶化ガラスのカレットの分離を行うようにしている。
【0050】
<カレット分別装置の構成> 次に、本実施の形態にかかるカレット分別装置について説明する。図2は、実施の形態にかかるカレット分別装置として用いられる画像処理精製機32を示す説明図である。
【0051】
図3において、画像処理精製機32は、図2に示した三次工程P13に用いられるものであり、有色(黒色、青色、茶色、緑色等)の非結晶化ガラス、異物、及び透明(白色)の非結晶化ガラスを含むカレットCの中から、所定の色の非結晶化ガラスのカレットを分別するものである。
【0052】
なお、一般的には、有色の非結晶化ガラスや透明の非結晶化ガラスは、リサイクル用途で使用され、有色の結晶化ガラスや透明の結晶化ガラスは、廃棄されることになる。
【0053】
<画像処理精製機の説明>
画像処理精製機32は、図3に示すように、振動フィーダ等から成るカレット供給部41と、カレット通過経路42の上側に配置されるLED等から成る可視光源43と、可視光によるカラー撮像を行うカラー撮像装置44と、エアーを噴出して所定の色(ロット生産Aの工程の場合、緑色)以外の結晶化ガラスのカレットC1を吹き飛ばすエアーノズル45と、エアーを噴出して異物C2を吹き飛ばすエアーノズル46と、エアーノズル45、46へのエアーの供給を行うエアー供給部47と、所定の色(ロット生産Aの工程の場合、緑色)以外の非結晶化ガラスのカレットC1を回収する第1カレット回収経路48と、異物C2を回収する異物回収経路49と、リサイクル用途の所定の色(ロット生産Aの工程の場合、緑色)の非結晶化ガラスのカレットC3を回収する第2カレット回収経路50と、可視光源43、カラー撮像装置44、及びエアーノズル45、46等の各部を制御する制御部51とを備えている。
【0054】
次に、画像処理精製機32の動作について、以下に説明する。
カレット供給部41からカレット通過経路42に流れるカレットは、可視光源43により可視光が照射され、カラー撮像装置44により撮像される。制御部51は、カラー撮像装置44により撮像によりカレットCを、所定の色以外の非結晶化ガラスのカレットC1と、異物C2と、所定の色の非結晶化ガラスのカレットC3とに判別する。
【0055】
制御部51は、所定の色以外の非結晶化ガラスのカレットC1と判別した場合、この判別を行ったカレットC1がノズル45の正面を通過する際に、ノズル45にエアーを噴出させて、この判別を行ったカレットC1を第1カレット回収経路48に向けて吹き飛ばす。これにより、非結晶化ガラスのカレットC1は、第1カレット回収経路48に回収される。
【0056】
制御部51は、異物C2と判別した場合、この判別を行った異物C2がノズル46の正面を通過する際に、ノズル46にエアーを噴出させて、この判別を行った異物C2を異物回収経路49に向けて吹き飛ばす。これにより、異物C2は、物回収経路49に回収される。
【0057】
制御部51は、所定の色の非結晶化ガラスのカレットC3と判別した場合、ノズル45、46の開放制御を行わない。これにより、所定の色の非結晶化ガラスのカレットC3は、カレット通過経路42を通過して、第2カレット回収経路50に回収される。
【0058】
画像処理精製機32は、制御部51の制御により、ロット生産Aの工程において、第2カレット回収経路50に回収される非結晶化ガラスのカレットC3の色として、緑色が設定され、ロット生産Bの工程において、回収される非結晶化ガラスのカレットC3の色として、透明及び茶以外の色が設定され、ロット生産Cの工程において、回収される非結晶化ガラスのカレットC3の色として、透明が設定され、ロット生産Dの工程において、回収される非結晶化ガラスのカレットC3の色として、茶色が設定される。
【0059】
以下、このような本発明の実施の形態の構成及び作用を纏めて説明すると、本発明の実施の形態にかかるガラスリサイクル方法は、複数種類の非結晶化ガラスのカレットCから、第1の特定種類の非結晶化ガラスのカレット(緑色の非結晶化ガラスのカレットC3)を分別する第1の工程(ロット生産Aの三次工程P13)と、複数種類の空きびんの集積物に前記第1の工程で得られたカレットを混ぜ合わせた状態で、当該集積物を破砕することで、破砕物を生成する第2の工程(ロット生産Bの一次工程P21)と、前記第2の工程で生成した破砕物から、複数種類の非結晶化ガラスのカレットを分別する第3の工程(ロット生産Bの二次工程P22)と、前記第3の工程で分別した複数種類の非結晶化ガラスのカレットから、前記第1の特定種類を含む第2の特定種類の非結晶化ガラスのカレットを分別する第4の工程(ロット生産Bの三次工程P23)とを備える。
【0060】
また、本発明の実施の形態にかかるガラスリサイクル方法は、複数種類の空きびんの第1の集積物を破砕することで、破砕物を生成する第1の工程(ロット生産Aの一次工程P11)と、前記第1の工程で生成した破砕物から、複数種類の非結晶化ガラスのカレットCを分別する第2の工程(ロット生産Aの二次工程P12)と、前記第2の工程で分別した複数種類の非結晶化ガラスのカレットCから、第1の特定種類の非結晶化ガラスのカレット(緑色の非結晶化ガラスのカレットC3)を分別する第3の工程(ロット生産Aの三次工程P13)と、複数種類の空きびんの第2の集積物に前記第3の工程で得られたカレットを混ぜ合わせた状態で、当該第2の集積物を破砕することで、破砕物を生成する第4の工程(ロット生産Bの一次工程P21)と、前記第4の工程で生成した破砕物から、複数種類の非結晶化ガラスのカレットを分別する第5の工程(ロット生産Bの二次工程P22)と、前記第5の工程で分別した複数種類の非結晶化ガラスのカレットから、前記第1の特定種類を含む第2の特定種類の非結晶化ガラスのカレット(透明及び茶色以外の色の非結晶化ガラスのカレット)を分別する第6の工程(ロット生産Bの三次工程P23)とを備える。
【0061】
また、本発明の実施の形態にかかるガラスリサイクル方法は、複数種類の空きびんの第1の集積物を破砕することで、破砕物を生成する第1の工程(ロット生産Aの一次工程P11)と、前記第1の工程で生成した破砕物から、複数種類の非結晶化ガラスのカレットCを分別する第2の工程(ロット生産Aの二次工程P12)と、前記第2の工程で分別した複数種類の非結晶化ガラスのカレットCを撮像した画像に基づいて、当該第2の工程で分別した複数種類の非結晶化ガラスのカレットCから、第1の特定種類の非結晶化ガラスのカレット(緑色の非結晶化ガラスのカレットC3)を分別する第3の工程(ロット生産Aの三次工程P13)と、複数種類の空きびんの第2の集積物に前記第3の工程で得られたカレットを混ぜ合わせた状態で、当該第2の集積物を破砕することで、破砕物を生成する第4の工程(ロット生産Bの一次工程P21)と、前記第4の工程で生成した破砕物から、複数種類の非結晶化ガラスのカレットを分別する第5の工程(ロット生産Bの一次工程P21)と、前記第5の工程で分別した複数種類の非結晶化ガラスのカレットを撮像した画像に基づいて、当該第5の工程で分別した複数種類の非結晶化ガラスのカレットから、前記第1の特定種類を含む第2の特定種類の非結晶化ガラスのカレットを分別する第6の工程(ロット生産Bの三次工程P23)とを備える。
【0062】
また、本発明の実施の形態にかかるガラスリサイクル方法では、前記第6の工程で分別する第2の特定種類の非結晶化ガラスは、特定の複数種類の非結晶化ガラスである。
【0063】
このような本発明の実施の形態のガラスリサイクル方法によれば、第6の工程(ロット生産Bの三次工程P23)により得られる前記第1の特定種類を含む第2の特定種類の非結晶化ガラスのカレット(透明及び茶色以外の色の非結晶化ガラスのカレット)における第1の特定種類の非結晶化ガラスのカレットの比率について、第4の工程(ロット生産Bの一次工程P21)において前記第2の集積物に第3の工程(ロット生産Aの三次工程P13)で得られた前記第1の特定種類のカレットを混ぜ合わせることで、調整を行うことができ、再利用される非結晶化ガラスのカレットの価値を向上することができる。
【0064】
図1乃至図3に示した本発明の実施の形態のガラスリサイクル方法では、第3の工程(ロット生産Aの三次工程P13)において、第1の特定種類の非結晶化ガラスのカレットとして、緑色の非結晶化ガラスのカレットのみを分離するように構成したが、変形例として、第3の工程(ロット生産Aの三次工程P13)において、第1の特定種類の非結晶化ガラスのカレットを分離する際に、分離する非結晶化ガラスの種類毎の比率を各種調整するようにしてもよい。このような例として、第3の工程(ロット生産Aの三次工程P13)において、分離する非結晶化ガラスの種類毎の比率を、緑=70%、青=15%、黒=15%に調整する等が考えられる。このような調整を行うことで、不要となる非結晶化ガラスを減らすことが可能になる。
【0065】
尚、図1乃至図3を用いた本発明の実施の形態において、ロット生産A、Bの後に、ロット生産C、Dを行うように説明したが、ロット生産C、Dは行わなくてもよい。
【0066】
以下、本発明の実施の形態の変形例について、図1及び図3を代用して説明する。
本発明の実施の形態の変形例のガラスリサイクル方法は、複数種類の非結晶化ガラスのカレットC(図3参照)から、第1の特定種類の非結晶化ガラスのカレット(図3の緑色の非結晶化ガラスのカレットC3)を分別する第1の工程(図1に示したロット生産Aの三次工程P13)と、前記第1の工程とは別の複数種類の非結晶化ガラスのカレットに、前記第1の工程で得られたカレットを混ぜ合わせ、当該混ぜ合わせたカレットから、前記第1の特定種類を含む第2の特定種類の非結晶化ガラスのカレットを分別する第2の工程とを備える。
【0067】
このような、変形例においても、図1乃至図3に示した実施の形態と同様の効果(第2の特定種類の非結晶化ガラスのカレットにおける第1の特定種類の非結晶化ガラスのカレットの比率について、調整を行うことができ、再利用される非結晶化ガラスのカレットの価値を向上することができる。)が得られる。
【0068】
尚、本発明の、システム、手段、方法、などは、本発明の要旨を変更しない範囲で、様々に変更可能である。
【0069】
例えば、可視光源43には、LED以外にも、白熱電球、蛍光灯等、自由に選択することができる。
【0070】
例えば、2つ以上のシステムを1つにすることも可能であるし、逆に、1つのシステムを2つ以上の別のシステムから構成して接続することも可能である。
また、上記実施の形態は、あくまでも、現在のところの最良の形態の1つにすぎない。
【符号の説明】
【0071】
11 :空きびん12 :手選別13 :ラベルはがし機21 :磁選機22 :ふるい機23 :集塵機24 :非鉄金属除去機25 :赤外線透過式精製機26 :画像処理精製機27 :金属探知機31 :集塵機32 :画像処理精製機41 :カレット供給部42 :カレット通過経路43 :可視光源44 :カラー撮像装置45 :エアーノズル46 :エアーノズル47 :エアー供給部48 :第1カレット回収経路49 :異物回収経路50 :カレット回収経路51 :制御部
C :複数種類の非結晶化ガラスのカレット
C1 :有色の非結晶化ガラスのカレット
C2 :異物
C3 :透明の非結晶化ガラスのカレット
P11 :ロット生産Aの一次工程
P12 :ロット生産Aの二次工程
P13 :ロット生産Aの三次工程
P21 :ロット生産Bの一次工程
P22 :ロット生産Bの二次工程
P23 :ロット生産Bの三次工程
P31 :ロット生産Cの一次工程
P32 :ロット生産Cの二次工程
P33 :ロット生産Cの三次工程
P41 :ロット生産Dの一次工程
P42 :ロット生産Dの二次工程
P43 :ロット生産Dの三次工程
図1
図2
図3