(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-04
(45)【発行日】2023-09-12
(54)【発明の名称】データ作成装置及び部品実装システム
(51)【国際特許分類】
H05K 13/04 20060101AFI20230905BHJP
【FI】
H05K13/04 Z
(21)【出願番号】P 2020083574
(22)【出願日】2020-05-12
【審査請求日】2022-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100176304
【氏名又は名称】福成 勉
(72)【発明者】
【氏名】今田 光
【審査官】森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-353687(JP,A)
【文献】特開2019-186454(JP,A)
【文献】国際公開第2014/115279(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/026350(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00 - 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に部品を搭載するヘッドユニットを有する実装機とデータ通信可能に接続され、前記ヘッドユニットの駆動制御に必要な複数のデータによって構成される基板データを作成するためのデータ作成装置であって、
前記基板データを作成するデータ作成機能を有するデータ作成部と、
前記データ作成部に前記データ作成機能を実行させる複数のデータ作成操作を受け付けると共に、前記複数のデータ作成操作に応じた前記データ作成部による前記データ作成機能の実行を終了させる終了操作を受け付ける操作部と、
前記複数のデータ作成操作の各々に応じた各データ作成操作画面を表示すると共に、前記終了操作に応じた終了操作画面を表示する表示部と、
前記データ作成部に前記データ作成機能を実行させるための標準の操作を示す複数の標準操作を特定する操作特定部と、
前記操作部が前記終了操作を受け付けたタイミングで、前記複数の標準操作のうち、前記操作部が前記データ作成操作として受け付けていない操作が存在する場合、当該操作を注目操作として抽出する抽出部と、を備え、
前記表示部は、前記抽出部によって前記注目操作が抽出された場合、当該注目操作の存在を警告するための警告情報を、前記終了操作画面に表示する、データ作成装置。
【請求項2】
前記操作部が受け付けた前記複数のデータ作成操作の各々の操作履歴をそれぞれ蓄積して記憶する記憶部を、更に備え、
前記操作特定部は、前記記憶部に記憶された前記各操作履歴に基づいて、前記複数の標準操作を特定する、請求項1に記載のデータ作成装置。
【請求項3】
前記操作特定部は、前記記憶部に記憶された前記各操作履歴に基づいて、前記操作部が受け付けた前記複数のデータ作成操作の各々の受付頻度をそれぞれ算出し、前記受付頻度が所定の閾値以上のデータ作成操作に対応して第1の標準操作を特定すると共に、前記受付頻度が前記閾値未満のデータ作成操作に対応して第2の標準操作を特定するように構成され、
前記抽出部は、前記第1の標準操作については前記注目操作としての抽出対象とする一方、前記第2の標準操作については前記注目操作としての抽出対象から除外する、請求項2に記載のデータ作成装置。
【請求項4】
前記操作部は、前記データ作成部に前記データ作成機能を実行させる操作を任意に定義する任意定義操作の受け付けが可能に構成され、
前記操作特定部は、前記操作部が受け付けた前記任意定義操作に応じて定義された操作を、前記複数の標準操作として特定する、請求項1に記載のデータ作成装置。
【請求項5】
前記操作特定部は、前記複数の標準操作を特定した後、当該複数の標準操作が操作順に記述された操作マニュアルを生成するように構成され、
前記表示部は、前記操作マニュアルを前記各データ作成操作画面に表示する、請求項4に記載のデータ作成装置。
【請求項6】
基板に部品を搭載するヘッドユニットを有する実装機と、
前記実装機とデータ通信可能に接続され、前記ヘッドユニットの駆動制御に必要な複数のデータによって構成される基板データを作成するための、請求項1~5のいずれか1項に記載のデータ作成装置と、を備える、部品実装システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品を保持すると共に当該部品を基板に搭載するヘッドユニットの駆動制御の際に参照される基板データを作成するデータ作成装置、及びそれを備えた部品実装システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、プリント配線板等の基板上に電子部品(以下、単に「部品」という)を搭載する実装機が知られている。この種の実装機は、部品を保持すると共に当該部品を基板に搭載するヘッドユニットを備え、ヘッドユニットが所定の基板データ(実装データ)に従って駆動制御されることにより、部品が基板上に搭載される(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
基板データは、ヘッドユニットの駆動制御に必要な複数のデータによって構成され、データ作成装置を用いて作成される。データ作成装置においては、オペレータが操作部を介して各種のデータ作成操作を行うことによって、基板データが作成される。
【0005】
オペレータが操作部を介して各種のデータ作成操作を行う際に、操作忘れや操作漏れ等によって必要なデータ作成操作が行われなかった場合には、不適切な基板データが作成される現象が生じ得る。このような不適切な基板データに従ってヘッドユニットの駆動制御が行われると、ヘッドユニットによる部品の保持不良や基板上への部品の搭載不良等の動作不良が生じる虞がある。不適切な基板データに起因したヘッドユニットの動作不良を回避するためには、実装機において基板データのデータを変更するデータ変更作業を行う必要がある。この場合、データ変更作業が行われる期間においては、実装機での生産が停止されてしまう。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、不適切な基板データが作成される頻度を可及的に低減することが可能なデータ作成装置、及びそれを備えた部品実装システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の局面に係るデータ作成装置は、基板に部品を搭載するヘッドユニットを有する実装機とデータ通信可能に接続され、前記ヘッドユニットの駆動制御に必要な複数のデータによって構成される基板データを作成するための装置である。このデータ作成装置は、前記基板データを作成するデータ作成機能を有するデータ作成部と、前記データ作成部に前記データ作成機能を実行させる複数のデータ作成操作を受け付けると共に、前記複数のデータ作成操作に応じた前記データ作成部による前記データ作成機能の実行を終了させる終了操作を受け付ける操作部と、前記複数のデータ作成操作の各々に応じた各データ作成操作画面を表示すると共に、前記終了操作に応じた終了操作画面を表示する表示部と、前記データ作成部に前記データ作成機能を実行させるための標準の操作を示す複数の標準操作を特定する操作特定部と、前記操作部が前記終了操作を受け付けたタイミングで、前記複数の標準操作のうち、前記操作部が前記データ作成操作として受け付けていない操作が存在する場合、当該操作を注目操作として抽出する抽出部と、を備える。そして、前記表示部は、前記抽出部によって前記注目操作が抽出された場合、当該注目操作の存在を警告するための警告情報を、前記終了操作画面に表示する。
【0008】
このデータ作成装置によれば、操作部が受け付けたオペレータによる複数のデータ作成操作によってデータ作成部のデータ作成機能が実行されて、基板データが作成される。オペレータが操作部を介してデータ作成操作を行う際には、表示部は、複数のデータ作成操作の各々に応じた各データ作成操作画面を表示する。オペレータは、表示部に表示された各データ作成操作画面を確認しながら、操作部を介してデータ作成操作を行うことができる。また、複数のデータ作成操作に応じたデータ作成部によるデータ作成機能の実行を終了させる際には、オペレータは、表示部に表示された終了操作画面を確認しながら、操作部を介して終了操作を行うことができる。
【0009】
データ作成装置においては、少なくとも表示部による終了操作画面の表示の前に、すなわち、操作部がオペレータによる終了操作を受け付ける前に、操作特定部は、データ作成部にデータ作成機能を実行させるための標準の操作を示す複数の標準操作を特定する。そして、抽出部は、操作部が終了操作を受け付けたタイミングで、複数の標準操作のうち、操作部がデータ作成操作として受け付けていない操作が存在する場合、当該操作を注目操作として抽出する。抽出部によって注目操作が抽出された場合、表示部は、当該注目操作の存在を警告するための警告情報を終了操作画面に表示する。オペレータは、表示部に表示された終了操作画面上の警告情報を確認することにより、基板データの作成の際に必要な標準操作のうち、注目操作に対応する操作がデータ作成操作として未実施であることを把握することができる。これにより、オペレータは、操作忘れや操作漏れ等による未実施のデータ作成操作を、追加で行うことができる。このため、データ作成装置を用いて基板データを作成することにより、必要なデータ作成操作が未実施であることに起因して不適切な基板データが作成される頻度を、可及的に低減することが可能となる。
【0010】
上記のデータ作成装置は、前記操作部が受け付けた前記複数のデータ作成操作の各々の操作履歴をそれぞれ蓄積して記憶する記憶部を、更に備える構成であってもよい。そして、前記操作特定部は、前記記憶部に記憶された前記各操作履歴に基づいて、前記複数の標準操作を特定する。
【0011】
この態様では、操作特定部は、操作部が受け付けた過去のデータ作成操作の操作履歴に基づいて、複数の標準操作を特定することができる。
【0012】
上記のデータ作成装置において、前記操作特定部は、前記記憶部に記憶された前記各操作履歴に基づいて、前記操作部が受け付けた前記複数のデータ作成操作の各々の受付頻度をそれぞれ算出し、前記受付頻度が所定の閾値以上のデータ作成操作に対応して第1の標準操作を特定すると共に、前記受付頻度が前記閾値未満のデータ作成操作に対応して第2の標準操作を特定するように構成されていてもよい。そして、前記抽出部は、前記第1の標準操作については前記注目操作としての抽出対象とする一方、前記第2の標準操作については前記注目操作としての抽出対象から除外する。
【0013】
この態様では、抽出部は、操作部による過去の受付頻度が所定の閾値以上であって、過去の受付頻度が比較的高いデータ作成操作に対応した第1の標準操作については、注目操作としての抽出対象とする。すなわち、操作部が終了操作を受け付けたタイミングにおいて、第1の標準操作が操作部によってデータ作成操作として受け付けられていない場合には、抽出部は、当該操作を注目操作として抽出する。この場合、表示部の終了操作画面上に警告情報が表示される。オペレータは、表示部に表示された終了操作画面上の警告情報を確認することにより、操作部による過去の受付頻度が比較的高い操作がデータ作成操作として未実施であることを把握することができる。
【0014】
一方、抽出部は、操作部による過去の受付頻度が所定の閾値未満であって、過去の受付頻度が比較的低いデータ作成操作に対応した第2の標準操作については、注目操作としての抽出対象から除外する。すなわち、操作部が終了操作を受け付けたタイミングにおいて、第2の標準操作が操作部によってデータ作成操作として受け付けられていない場合であっても、抽出部は、当該操作を注目操作として抽出しない。この場合、表示部の終了操作画面上における、第2の標準操作に対応した警告情報の表示が回避される。これにより、オペレータは、操作部による過去の受付頻度が比較的低い操作についての確認作業を過度に行わずに済む。
【0015】
上記のデータ作成装置において、前記操作部は、前記データ作成部に前記データ作成機能を実行させる操作を任意に定義する任意定義操作の受け付けが可能に構成されていてもよい。そして、前記操作特定部は、前記操作部が受け付けた前記任意定義操作に応じて定義された操作を、前記複数の標準操作として特定する。
【0016】
この態様では、操作特定部は、操作部が受け付けたオペレータによる任意定義操作に応じて任意に定義された操作を、複数の標準操作として特定することができる。
【0017】
上記のデータ作成装置において、前記操作特定部は、前記複数の標準操作を特定した後、当該複数の標準操作が操作順に記述された操作マニュアルを生成するように構成されていてもよい。そして、前記表示部は、前記操作マニュアルを前記各データ作成操作画面に表示する。
【0018】
この態様では、オペレータは、表示部のデータ作成操作画面上に表示された操作マニュアルを確認しながら、基板データの作成の際に必要なデータ作成操作を行うことができる。
【0019】
本発明の他の局面に係る部品実装システムは、基板に部品を搭載するヘッドユニットを有する実装機と、前記実装機とデータ通信可能に接続され、前記ヘッドユニットの駆動制御に必要な複数のデータによって構成される基板データを作成するための、上記のデータ作成装置と、を備える。
【0020】
この部品実装システムによれば、不適切な基板データが作成される頻度を可及的に低減することが可能なデータ作成装置を備えている。これにより、不適切な基板データに起因したヘッドユニットの動作不良を回避するために、実装機において基板データのデータを変更するデータ変更作業を行う頻度が、可及的に低減される。このため、実装機でのデータ変更作業に伴う生産停止を可及的に抑制することが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、本発明によれば、不適切な基板データが作成される頻度を可及的に低減することが可能なデータ作成装置、及びそれを備えた部品実装システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施形態に係るデータ作成装置が適用された部品実装システムの構成を概略的に示す図である。
【
図2】部品実装システムに備えられる実装機の構成を示す平面図である。
【
図4】データ作成装置のデータ作成部によるデータ作成機能の実行によって作成された基板データを説明する図である。
【
図5】データ作成装置の処理の流れを説明する図である。
【
図6】データ作成装置の表示部に表示されるデータ作成操作画面の一例を示す図である。
【
図7】表示部に表示される終了操作画面の一例を示す図である。
【
図8】データ作成装置の処理の流れの変形例を説明する図である。
【
図9】表示部に表示されるデータ作成操作画面の変形例を示す図である。
【
図10】表示部に表示される終了操作画面の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態に係るデータ作成装置、及びそれを備えた部品実装システムについて、図面に基づいて説明する。
【0024】
[部品実装システムの全体構成]
図1は、本発明の一実施形態に係るデータ作成装置9が適用された部品実装システム100の構成を概略的に示す図である。部品実装システム100は、実装機1とデータ作成装置9とを備える。部品実装システム100は、データ作成装置9によって基板データPDが作成され、当該基板データPDに従って実装機1において部品が搭載された電子回路基板を生産するシステムである。
【0025】
部品実装システム100においては、実装機1とデータ作成装置9とがデータ通信可能に接続されている。データ作成装置9は、実装機1において電子回路基板が生産される際に参照される基板データPDを作成し、その作成した基板データPDを実装機1に向けて出力する。実装機1は、データ作成装置9によって作成された基板データPDに従って電子回路基板を生産する。この際、実装機1においては、電子回路基板の生産が適切に行われるように、必要に応じて基板データPDのデータを変更するデータ変更作業がオペレータによって行われる。
【0026】
[実装機の構成]
部品実装システム100に備えられる実装機1について、
図1に加えて
図2を参照して説明する。
図2は、実装機1の構成を示す平面図である。なお、
図2では、XYZ直交座標軸を用いて、方向関係が示されている。X軸方向は水平面と平行な方向であり、Y軸方向は水平面上でX軸方向と直交する方向であり、Z軸方向はX、Y両方向に直交する上下方向である。また、X軸方向の一方向側を「+X側」と称し、X軸方向の一方向側とは反対の他方向側を「-X側」と称する。また、Y軸方向の一方向側を「+Y側」と称し、Y軸方向の一方向側とは反対の他方向側を「-Y側」と称する。また、Z軸方向の一方向側(上方側)を「+Z側」と称し、Z軸方向の一方向側とは反対の他方向側(下方側)を「-Z側」と称する。
【0027】
実装機1は、基板Pに部品を搭載(実装)して電子回路基板を生産する装置である。実装機1は、装置本体1aと、移動フレーム2と、コンベア3と、フィーダー5が装着される部品供給ユニット4と、ヘッドユニット6と、第1駆動機構7と、第2駆動機構8と、を備える。
【0028】
装置本体1aは、実装機1を構成する各部が配置される構造体であり、Z軸方向から見た平面視で略矩形状に形成されている。コンベア3は、X軸方向に延び、装置本体1aに配置される。コンベア3は、基板PをX軸方向に搬送する。基板Pは、コンベア3上を搬送されて、所定の作業位置(基板P上に部品が搭載される位置)に位置決めされるようになっている。
【0029】
部品供給ユニット4は、装置本体1aにおけるY軸方向の+Y側及び-Y側の領域部分にそれぞれ、X軸方向に2箇所ずつ合計4箇所に配置される。部品供給ユニット4は、装置本体1aにおいて、フィーダー5が複数並設された状態で装着される領域であって、後述のヘッドユニット6に備えられる吸着ノズル63による吸着対象の部品毎に、各フィーダー5のセット位置が区画されている。
【0030】
フィーダー5は、装置本体1aの部品供給ユニット4に着脱自在に装着されている。フィーダー5は、電子部品(以下、単に部品と称す)を供給可能に構成されていれば、その部品供給方式は特に限定されるものではない。フィーダー5としては、例えば、テープを担体(キャリア)として部品を供給する方式のテープフィーダー、部品が載置されたトレイを含むパレットを移動させることにより部品を供給する方式のトレイフィーダー、筒状のスティックに収納された部品を当該スティックから押し出しながら供給する方式のスティックフィーダーなどを採用することができる。本実施形態では、フィーダー5は、テープフィーダーである。
【0031】
移動フレーム2は、X軸方向に延び、装置本体1aに、所定の移動方向(Y軸方向)に移動可能に支持される。この移動フレーム2にヘッドユニット6が搭載されている。
【0032】
ヘッドユニット6は、X軸方向に移動可能となるように、移動フレーム2に搭載される。すなわち、ヘッドユニット6は、移動フレーム2の移動に伴ってY軸方向に移動可能であり、且つ、移動フレーム2に沿ってX軸方向に移動可能である。ヘッドユニット6は、部品供給ユニット4に装着されたフィーダー5の部品供給位置と、コンベア3により搬送された基板Pの所定の作業位置とにわたって移動可能とされている。ヘッドユニット6は、部品供給位置においてフィーダー5から部品を取り出して保持すると共に、その保持した部品を作業位置において基板P上に搭載(実装)する。
【0033】
ヘッドユニット6は、ヘッド本体61と、回転体62と、吸着ノズル63とを含む。ヘッド本体61は、ヘッドユニット6の本体部分を構成する。回転体62は、円柱状に形成され、鉛直軸(Z軸方向に延びる軸)を回転中心として回転可能に、ヘッド本体61に設けられる。回転体62の外周縁端部には、複数の吸着ノズル63が、周方向に所定の間隔をおいて配設されている。吸着ノズル63は、フィーダー5により部品供給位置に供給された部品を吸着して保持可能な保持具である。吸着ノズル63は、電動切替弁を介して負圧発生装置、正圧発生装置及び大気の何れかに連通可能とされている。つまり、吸着ノズル63に負圧が供給されることで当該吸着ノズル63による部品の吸着保持(部品の取り出し)が可能となり、その後、正圧が供給されることで当該部品の吸着保持が解除される。
【0034】
吸着ノズル63は、Z軸方向に昇降可能であると共に、Z軸方向に延びるノズル軸回りの回転が可能に、回転体62に設けられる。吸着ノズル63は、フィーダー5により部品供給位置に供給された部品の吸着保持が可能な吸着保持位置と、吸着保持位置に対して上方側の退避位置との間で、Z軸方向に沿って昇降可能である。つまり、部品供給位置に供給された部品を吸着保持するときには、吸着ノズル63は、退避位置から吸着保持位置へ向かって下降し、当該吸着保持位置において部品を吸着保持する。一方、部品の吸着保持後の吸着ノズル63は、吸着保持位置から退避位置へ向かって上昇する。更に、吸着ノズル63は、吸着保持した部品を基板P上に搭載するために当該基板P上に設定された部品搭載位置と、前記退避位置との間で、Z軸方向に沿って昇降可能である。つまり、吸着保持した部品を基板P上に搭載するときには、吸着ノズル63は、退避位置から部品搭載位置へ向かって下降し、当該部品搭載位置において部品を基板P上に搭載する。一方、部品搭載後の吸着ノズル3は、部品搭載位置から退避位置へ向かって上昇する。
【0035】
第1駆動機構7は、装置本体1aの+X側及び-X側の端部に配設される。第1駆動機構7は、移動フレーム2をY軸方向に移動させる機構である。第1駆動機構7は、例えば、駆動モーターと、Y軸方向に延び、駆動モーターに連結されるボールねじ軸と、移動フレーム2に配設されてボールねじ軸と螺合するボールナットと、を含んで構成される。このような構成の第1駆動機構7は、駆動モーターによるボールねじ軸の回転駆動に伴ってボールナットがボールねじ軸に沿って進退することにより、移動フレーム2をY軸方向に移動させる。
【0036】
第2駆動機構8は、移動フレーム2に配設される。第2駆動機構8は、ヘッドユニット6を移動フレーム2に沿ったX軸方向に移動させる機構である。第2駆動機構8は、第1駆動機構7と同様に、例えば、駆動モーターと、X軸方向に延び、駆動モーターに連結されるボールねじ軸と、ヘッドユニット6に配設されてボールねじ軸と螺合するボールナットと、を含んで構成される。このような構成の第2駆動機構8は、駆動モーターによるボールねじ軸の回転駆動に伴ってボールナットがボールねじ軸に沿って進退することにより、ヘッドユニット6をX軸方向に移動させる。
【0037】
なお、第1駆動機構7及び第2駆動機構8は、当例では、駆動モーターによりボールねじ軸を介して移動フレーム2及びヘッドユニット6を移動させる構成である。しかし、例えばリニアモーターを駆動源として移動フレーム2やヘッドユニット6をダイレクトに駆動する構成であってもよい。
【0038】
図2に示すように、実装機1は、ヘッドユニット6のヘッド本体61の下面に固定された側方撮像カメラC1及び基板認識カメラC3と、装置本体1aに配設された下方撮像カメラC2と、を更に備える。
【0039】
側方撮像カメラC1は、ヘッド本体61の下面において回転体62よりも外側(-X側)に固定され、例えばCMOS(Complementary metal-oxide-semiconductor)やCCD(Charged-coupled device)等の撮像素子を備えた撮像カメラである。側方撮像カメラC1は、吸着ノズル63に吸着保持された部品を、X軸方向に沿った側方から撮像して側方画像を取得する。下方撮像カメラC2は、装置本体1a上の各部品供給ユニット4とコンベア3との間の位置にそれぞれ配設され、例えばCMOSやCCD等の撮像素子を備えた撮像カメラである。下方撮像カメラC2は、フィーダー5の部品供給位置から、コンベア3により搬送された基板Pの作業位置へ向かってヘッドユニット6が移動している間において、吸着ノズル63に吸着保持された部品を、Z軸方向に沿った下方から撮像して下方画像を取得する。実装機1においては、側方撮像カメラC1により取得された側方画像、及び下方撮像カメラC2により取得された下方画像に基づいて、吸着ノズル63に吸着保持された部品の姿勢が判定される。
【0040】
基板認識カメラC3は、ヘッド本体61の下面において回転体62よりも外側に固定され、例えばCMOSやCCD等の撮像素子を備えた撮像カメラである。基板認識カメラC3は、コンベア3上で位置決めされた基板Pの上面に付設されている各種マークを認識するために、当該マークを上方から撮像する。基板認識カメラC3による基板P上のマークの認識によって、基板Pの原点座標に対する位置ずれ量が検知される。
【0041】
また、
図1に示すように、実装機1は、実装機側制御部MCと、実装機側通信部MC1と、実装機側入力部MC2と、実装機側表示部MC3と、を更に備える。
【0042】
実装機側制御部MCは、CPU(Central Processing Unit)、制御プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)、CPUの作業領域として使用されるRAM(Random Access Memory)等から構成されている。実装機側制御部MCは、CPUがROMに記憶された制御プログラムを実行することにより、ヘッドユニット6等の実装機1を構成する各部の動作を制御する。実装機側制御部MCには、実装機側通信部MC1、実装機側入力部MC2及び実装機側表示部MC3が接続されている。
【0043】
実装機側通信部MC1は、データ作成装置9とデータ通信を行うためのインターフェースである。実装機側通信部MC1は、データ作成装置9からの基板データPDを受信する。
【0044】
実装機側入力部MC2は、キーボードやマウス等によって構成され、オペレータによる各種指令やデータの入力に関する操作を受け付ける部分である。実装機側表示部MC3は、例えば液晶ディスプレイ等によって構成され、オペレータに報知すべき各種情報や実装機側通信部MC1により受信された基板データPDを表示する。オペレータは、実装機側表示部MC3に表示された基板データPDを確認しつつ、必要に応じて、実装機側入力部MC2を用いて基板データPDのデータを変更するデータ変更作業を行うことができる。
【0045】
実装機側制御部MCは、実装機側通信部MC1により受信された基板データPDであって、必要に応じて実装機側入力部MC2を用いてデータが変更された基板データPDに従って、ヘッドユニット6の駆動制御を行う。
【0046】
[データ作成装置の構成]
図3は、データ作成装置9のブロック図である。
図4は、データ作成装置9のデータ作成部913によるデータ作成機能の実行によって作成された基板データPDを説明する図である。
図5は、データ作成装置9の処理の流れを説明する図である。
図6は、データ作成装置9の表示部95に表示されるデータ作成操作画面OSAの一例を示す図である。
図7は、表示部95に表示される終了操作画面OSFの一例を示す図である。
【0047】
データ作成装置9は、実装機1とデータ通信可能に接続され、例えばマイクロコンピュータによって構成される。データ作成装置9は、実装機側制御部MCによるヘッドユニット6の駆動制御に必要な複数のデータによって構成される基板データPDを作成するための装置である。
【0048】
基板データPDは、ヘッドユニット6の駆動制御に必要な複数のパラメータの各々の各データによって構成されるデータ群である。
図4に示すように、基板データPDにおいては、部品情報EJ、フィーダー情報FJ、搭載位置情報CJ及びノズル情報NJの各々に登録されたパラメータのデータが、基板情報PJと関連付けられている。基板情報PJは、実装機1において部品が搭載される基板Pの種類(基板種)PJ1を示す情報である。基板情報PJで示される基板種毎に、基板データPDを構成する各パラメータのデータが異なる。すなわち、データ作成装置9は、実装機1で用いられる基板Pの種類毎に、基板データPDを作成する。
【0049】
部品情報EJは、基板Pに搭載される部品の情報を示す。部品情報EJには、例えば、第1パラメータPR1と、第2パラメータPR2と、第3パラメータPR3と、第4パラメータPR4とが登録されている。第1パラメータPR1は、部品の種類(部品種)を示すパラメータである。第2パラメータPR2は、部品のX軸方向の外形寸法Xを示すパラメータである。第3パラメータPR3は、部品のY軸方向の外形寸法Yを示すパラメータである。第4パラメータPR4は、部品の厚み(部品厚み)を示すパラメータである。
【0050】
フィーダー情報FJは、部品を供給するフィーダー5の情報を示す。フィーダー情報FJには、例えば、第5パラメータPR5と、第6パラメータPR6とが登録されている。第5パラメータPR5は、フィーダー5の種類(フィーダー種)を示すパラメータである。第6パラメータPR6は、フィーダー5の部品供給ユニット4におけるセット位置(フィーダーセット位置)を示すパラメータである。
【0051】
搭載位置情報CJは、基板P上に設定された部品の搭載位置(部品搭載位置)に関する座標の情報を示す。搭載位置情報CJには、例えば、第7パラメータPR7と、第8パラメータPR8とが登録されている。第7パラメータPR7は、基板P上における部品のX軸方向の搭載位置に関する座標Xを示すパラメータである。第8パラメータPR8は、基板P上における部品のY軸方向の搭載位置に関する座標Yを示すパラメータである。
【0052】
ノズル情報NJは、ヘッドユニット6の吸着ノズル63の情報を示す。ノズル情報NJには、例えば、第9パラメータPR9が登録されている。第9パラメータPR9は、吸着ノズル63の種類(ノズル種)を示すパラメータである。
【0053】
図3に示すように、データ作成装置9は、制御部91と、記憶部92と、通信部93と、操作部94と、表示部95とを備える。データ作成装置9においては、記憶部92、通信部93、操作部94及び表示部95が制御部91に接続されている。
【0054】
記憶部92は、基板データPDの作成時に必要な各種の情報を記憶する。通信部93は、実装機1とデータ通信を行うためのインターフェースであり、基板データPDを実装機1に向けて送信する。操作部94は、キーボードやマウス等によって構成され、基板データPDの作成に関する、オペレータによる各種の操作を受け付ける部分である。表示部95は、例えば液晶ディスプレイ等によって構成され、オペレータに報知すべき各種情報を表示すると共に、操作部94によって受け付けられる操作に応じた操作画面を表示する。
【0055】
制御部91は、CPU、制御プログラムを記憶するROM、CPUの作業領域として使用されるRAM等から構成されている。制御部91は、CPUがROMに記憶された制御プログラムを実行することにより、各種演算処理を行うと共に、表示部95の表示動作等を制御する。制御部91は、主な機能構成として、操作特定部911、抽出部912、データ作成部913及び表示制御部914を含んでいる。
【0056】
データ作成部913は、基板データPDを作成するデータ作成機能を有する機能構成である。データ作成装置9においては、操作部94が受け付けたオペレータによる操作によってデータ作成部913のデータ作成機能が実行されて、基板データPDが作成される。具体的には、
図5に示すように、操作部94は、データ作成部913にデータ作成機能を実行させるための複数のデータ作成操作Aを受け付けると共に、複数のデータ作成操作Aに応じたデータ作成部913によるデータ作成機能の実行を終了させる終了操作Fを受け付ける。
図5では、操作部94が、データ作成操作Aとして操作A1、操作A2及び操作A3を受け付けた例が示されている。なお、データ作成操作Aとしては、基板データPDを構成する複数のパラメータ(第1~第9パラメータPR1~PR9)に対応する各データを入力する入力操作などが挙げられる。操作部94によって受け付けられたデータ作成操作Aに関する情報を示す操作情報J1は、記憶部92に入力されると共に、抽出部912に入力される。
【0057】
記憶部92は、操作情報J1に基づいて、操作部94が受け付けた複数のデータ作成操作Aの各々の操作履歴を示す操作履歴情報J2を蓄積して記憶する。操作履歴情報J2は、データ作成操作Aの種別と、その種別毎の受付頻度(%)とを含む情報である。受付頻度(%)は、後記の操作特定部911によって算出されるものであり、データ作成操作Aの操作部94によって受け付けられた頻度を示す。
【0058】
オペレータが操作部94を介してデータ作成操作Aを行う際には、表示制御部914は、複数のデータ作成操作Aの各々に応じた各データ作成操作画面OSAを表示するように、表示部95を制御する(
図6参照)。
図6に示すデータ作成操作画面OSAは、オペレータによるデータ作成操作Aとしての、基板データPDを構成する複数のパラメータ(第1~第9パラメータPR1~PR9)に対応する各データを入力する入力操作を案内するための操作画面である。この場合、データ作成操作画面OSAは、複数のパラメータ(第1~第9パラメータPR1~PR9)の表示領域PRAと、データの表示領域DAとを含む。なお、データ作成操作画面OSAは、基板情報PJの表示領域を含んでいてもよい。オペレータは、表示部95に表示された各データ作成操作画面OSAを確認しながら、操作部94を介してデータ作成操作Aを行うことができる。
【0059】
また、オペレータが操作部94を介して終了操作Fを行う際には、表示制御部914は、終了操作Fに応じた終了操作画面OSFを表示するように、表示部95を制御する(
図7参照)。オペレータは、表示部95に表示された終了操作画面OSFを確認しながら、操作部94を介して終了操作Fを行うことができる。
【0060】
データ作成装置9においては、少なくとも表示部95による終了操作画面OSFの表示の前に、すなわち、操作部94がオペレータによる終了操作Fを受け付ける前に、操作特定部911は、データ作成部913にデータ作成機能を実行させるための標準の操作を示す複数の標準操作SAを特定する(
図5参照)。具体的に、操作特定部911は、記憶部92に記憶された情報であって、操作部94が受け付けた過去のデータ作成操作Aの操作履歴を示す操作履歴情報J2に基づいて、複数の標準操作SAを特定することができる。
図5では、操作特定部911が、複数の標準操作SAとして操作A1、操作A2、操作A3、操作A4及び操作AZを特定した例が示されている。操作特定部911によって特定された複数の標準操作SAに関する情報を示す標準操作情報J3は、抽出部912に入力される。
【0061】
抽出部912は、操作部94から入力された操作情報J1と、操作特定部911から入力された標準操作情報J3とに基づいて、注目操作AAを抽出する(
図5参照)。具体的に、抽出部912は、操作部94が終了操作Fを受け付けたタイミングで、標準操作情報J3に含まれる複数の標準操作SAのうち、操作情報J1に基づき操作部94がデータ作成操作Aとして受け付けていない操作が存在する場合、当該操作を注目操作AAとして抽出する。抽出部912によって抽出された注目操作AAに関する情報を示す注目操作情報J4は、表示制御部914に入力される。
【0062】
抽出部912によって注目操作AAが抽出された場合、表示制御部914は、当該注目操作AAの存在を警告するための警告情報EVAが終了操作画面OSFに表示されるように、表示部95を制御する(
図7参照)。オペレータは、表示部95に表示された終了操作画面OSF上の警告情報EVAを確認することにより、基板データPDの作成の際に必要な標準操作SAのうち、注目操作AAに対応する操作がデータ作成操作Aとして未実施であることを把握することができる。
【0063】
警告情報EVAは、注目操作AAの存在を警告すると共に、データ作成操作Aに応じたデータ作成部913によるデータ作成機能の実行を終了するか否かの確認をオペレータに促す情報である。警告情報EVAは、例えば、「操作A4が実施されていません。データ作成を終了しますか?」などの文字列によって表される情報である。警告情報EVAには、データ作成操作Aの終了を容認するための終了容認領域EVA1と、データ作成操作Aの終了を否認するための終了否認領域EVA2とが付加されている。オペレータによる操作部94を介した終了容認領域EVA1の操作が行われると、表示制御部914は、表示部95に終了操作画面OSFの表示を終了させる。一方、オペレータによる操作部94を介した終了否認領域EVA2の操作が行われると、表示制御部914は、表示部95に操作画面を、終了操作画面OSFからデータ作成操作画面OSAに切り替えさせる。これにより、オペレータは、警告情報EVAによって注目操作AAに対応する操作がデータ作成操作Aとして未実施であることを把握した上で、表示部95に再度表示されたデータ作成操作画面OSAを確認しながら、操作忘れや操作漏れ等による未実施のデータ作成操作Aを、追加で行うことができる。このため、データ作成装置9を用いて基板データPDを作成することにより、必要なデータ作成操作Aが未実施であることに起因して不適切な基板データPDが作成される頻度を、可及的に低減することが可能となる。
【0064】
操作特定部911は、記憶部92に記憶された操作履歴情報J2に基づいて、終了操作Fの前に操作部94が受け付けた複数のデータ作成操作Aの各々の受付頻度(%)をそれぞれ算出するように構成されていてもよい。そして、操作特定部911は、受付頻度(%)が所定の閾値以上のデータ作成操作Aに対応して第1の標準操作SA1を特定すると共に、受付頻度(%)が前記閾値未満のデータ作成操作Aに対応して第2の標準操作SA2を特定する。第2の標準操作SA2としては、例えば、基板Pに対する搭載頻度が極めて少ない特殊な部品に関する部品情報EJのデータを入力する入力操作などを挙げることができる。
図5では、操作特定部911が、第1の標準操作SA1として操作A1、操作A2、操作A3及び操作A4を特定すると共に、第2の標準操作SA2として操作AZを特定した例が示されている。操作特定部911によって特定された複数の標準操作SAに関する情報を示す標準操作情報J3は、抽出部912に入力される。この場合、抽出部912は、第1の標準操作SA1については注目操作AAとしての抽出対象とする一方、第2の標準操作SA2については注目操作AAとしての抽出対象から除外する。
【0065】
この態様では、抽出部912は、操作部94による過去の受付頻度(%)が所定の閾値以上であって、過去の受付頻度(%)が比較的高いデータ作成操作Aに対応した第1の標準操作SA1については、注目操作AAとしての抽出対象とする。すなわち、操作部94が終了操作Fを受け付けたタイミングにおいて、第1の標準操作SA1が操作部94によってデータ作成操作Aとして受け付けられていない場合には、抽出部912は、当該操作を注目操作AAとして抽出する。
図5に示す例では、抽出部912は、第1の標準操作SA1のうちの操作A4を注目操作AAとして抽出する。この場合、表示制御部914は、注目操作AAとして抽出された操作A4に対応した警告情報EVAが終了操作画面OSF上に表示されるように、表示部95を制御する。オペレータは、表示部95に表示された終了操作画面OSF上の警告情報EVAを確認することにより、操作部94による過去の受付頻度(%)が比較的高い操作がデータ作成操作Aとして未実施であることを把握することができる。
【0066】
一方、抽出部912は、操作部94による過去の受付頻度(%)が所定の閾値未満であって、過去の受付頻度(%)が比較的低いデータ作成操作Aに対応した第2の標準操作SA2については、注目操作AAとしての抽出対象から除外する。すなわち、操作部94が終了操作Fを受け付けたタイミングにおいて、第2の標準操作SA2が操作部94によってデータ作成操作Aとして受け付けられていない場合であっても、抽出部912は、当該操作を注目操作AAとして抽出しない。
図5に示す例では、抽出部912は、第2の標準操作SA2である操作AZを注目操作AAとして抽出しない。この場合、表示制御部914は、第2の標準操作SA2である操作AZに対応した警告情報EVAの終了操作画面OSFへの表示が回避されるように、表示部95を制御する。これにより、オペレータは、操作部94による過去の受付頻度(%)が比較的低い操作についての確認作業を過度に行わずに済む。
【0067】
操作部94によって受け付けられた複数のデータ作成操作Aに応じてデータ作成部913がデータ作成機能を実行することにより、基板データPDが作成される。データ作成部913により作成された基板データPDは、通信部93から実装機1に向けて送信される。実装機1においては、実装機側通信部MC1によって基板データPDが受信されると、実装機側制御部MCは、当該基板データPDに従ってヘッドユニット6の駆動制御を行う。既述の通り、データ作成装置9は、不適切な基板データPDが作成される頻度を可及的に低減することが可能である。これにより、不適切な基板データPDに起因したヘッドユニット6の動作不良を回避するために、実装機1において基板データPDのデータを変更するデータ変更作業を行う頻度が、可及的に低減される。このため、実装機1でのデータ変更作業に伴う生産停止を可及的に抑制することが可能となる。
【0068】
図8は、データ作成装置9の処理の流れの変形例を説明する図である。
図9は、表示部95に表示されるデータ作成操作画面OSAの変形例を示す図である。
図10は、表示部95に表示される終了操作画面OSFの変形例を示す図である。
【0069】
操作部94は、データ作成部913にデータ作成機能を実行させる操作を任意に定義する任意定義操作の受け付けが可能に構成されていてもよい。
図8では、操作部94による任意定義操作の受け付けによって、操作A1、操作A2、操作A3及び操作AXが、データ作成部913にデータ作成機能を実行させる操作として任意に定義された例が示されている。操作部94によって受け付けられた任意定義操作に関する情報を示す任意定義情報JXは、記憶部92に入力される。
【0070】
記憶部92は、操作部94から任意定義情報JXが入力された場合、当該任意定義情報JXをそのまま記憶する。
【0071】
また、操作部94は、任意定義操作とは区別された操作として、データ作成部913にデータ作成機能を実行させるための複数のデータ作成操作Aを受け付けると共に、複数のデータ作成操作Aに応じたデータ作成部913によるデータ作成機能の実行を終了させる終了操作Fを受け付ける。
図8では、操作部94が、データ作成操作Aとして操作A1、操作A2及び操作A3を受け付けた例が示されている。操作部94によって受け付けられたデータ作成操作Aに関する情報を示す操作情報J1Aは、抽出部912に入力される。
【0072】
オペレータが操作部94を介してデータ作成操作Aを行う際には、表示制御部914は、複数のデータ作成操作Aの各々に応じた各データ作成操作画面OSAを表示するように、表示部95を制御する(
図9参照)。
図9に示すデータ作成操作画面OSAは、オペレータによるデータ作成操作Aとしての、基板データPDを構成する複数のパラメータ(第1~第9パラメータPR1~PR9)に対応する各データを入力する入力操作を案内するための操作画面である。この場合、データ作成操作画面OSAは、複数のパラメータ(第1~第9パラメータPR1~PR9)の表示領域PRAと、データの表示領域DAとを含む。なお、データ作成操作画面OSAは、基板情報PJの表示領域を含んでいてもよい。オペレータは、表示部95に表示された各データ作成操作画面OSAを確認しながら、操作部94を介してデータ作成操作Aを行うことができる。
【0073】
また、オペレータが操作部94を介して終了操作Fを行う際には、表示制御部914は、終了操作Fに応じた終了操作画面OSFを表示するように、表示部95を制御する(
図10参照)。オペレータは、表示部95に表示された終了操作画面OSFを確認しながら、操作部94を介して終了操作Fを行うことができる。
【0074】
データ作成装置9においては、少なくとも表示部95による終了操作画面OSFの表示の前に、すなわち、操作部94がオペレータによる終了操作Fを受け付ける前に、操作特定部911は、データ作成部913にデータ作成機能を実行させるための標準の操作を示す複数の標準操作SAを特定する(
図8参照)。記憶部92に任意定義情報JXが記憶されている場合には、操作特定部911は、当該任意定義情報JXに基づいて、操作部94が受け付けたオペレータによる任意定義操作に応じて任意に定義された操作を、複数の標準操作SAとして特定することができる。
図8では、操作特定部911が、複数の標準操作SAとして操作A1、操作A2、操作A3及び操作AXを特定した例が示されている。操作特定部911によって特定された複数の標準操作SAに関する情報を示す標準操作情報J3Aは、抽出部912に入力される。
【0075】
抽出部912は、操作部94から入力された操作情報J1Aと、操作特定部911から入力された標準操作情報J3Aとに基づいて、注目操作AAを抽出する(
図8参照)。具体的に、抽出部912は、操作部94が終了操作Fを受け付けたタイミングで、標準操作情報J3Aに含まれる複数の標準操作SAのうち、操作情報J1Aに基づき操作部94がデータ作成操作Aとして受け付けていない操作が存在する場合、当該操作を注目操作AAとして抽出する。
図8では、抽出部912が、複数の標準操作SAのうちの操作AXを注目操作AAとして抽出した例が示されている。抽出部912によって抽出された注目操作AAに関する情報を示す注目操作情報J4Aは、表示制御部914に入力される。
【0076】
抽出部912によって注目操作AAが抽出された場合、表示制御部914は、当該注目操作AAの存在を警告するための警告情報EVAが終了操作画面OSFに表示されるように、表示部95を制御する(
図10参照)。オペレータは、表示部95に表示された終了操作画面OSF上の警告情報EVAを確認することにより、基板データPDの作成の際に必要な標準操作SAのうち、注目操作AAに対応する操作がデータ作成操作Aとして未実施であることを把握することができる。警告情報EVAは、例えば、「操作AXが実施されていません。データ作成を終了しますか?」などの文字列によって表される情報である。
【0077】
また、既述の通り、警告情報EVAには、データ作成操作Aの終了を容認するための終了容認領域EVA1と、データ作成操作Aの終了を否認するための終了否認領域EVA2とが付加されている。オペレータによる操作部94を介した終了容認領域EVA1の操作が行われると、表示制御部914は、表示部95に終了操作画面OSFの表示を終了させる。一方、オペレータによる操作部94を介した終了否認領域EVA2の操作が行われると、表示制御部914は、表示部95に操作画面を、終了操作画面OSFからデータ作成操作画面OSAに切り替えさせる。これにより、オペレータは、警告情報EVAによって注目操作AAに対応する操作がデータ作成操作Aとして未実施であることを把握した上で、表示部95に再度表示されたデータ作成操作画面OSAを確認しながら、操作忘れや操作漏れ等による未実施のデータ作成操作Aを、追加で行うことができる。このため、データ作成装置9を用いて基板データPDを作成することにより、必要なデータ作成操作Aが未実施であることに起因して不適切な基板データPDが作成される頻度を、可及的に低減することが可能となる。
【0078】
操作特定部911は、
図8に示すように、複数の標準操作SAを特定した後、当該複数の標準操作SAが操作順に記述された操作マニュアルOMを生成するように構成されていてもよい。操作特定部911によって操作マニュアルOMが生成された場合、当該操作マニュアルOMは、表示制御部914に入力される。
【0079】
操作特定部911によって操作マニュアルOMが生成された場合、表示制御部914は、当該操作マニュアルOMが各データ作成操作画面OSAに表示されるように、表示部95を制御する(
図9参照)。表示部95のデータ作成操作画面OSAに表示された操作マニュアルOMは、複数の標準操作SAの各々の操作内容を例えば文字列で表した情報と、複数の標準操作SAの各々に対応したデータ作成操作画面OSAのキャプチャーとを含む。なお、操作特定部911によって生成された操作マニュアルOMは、データ作成操作画面OSAに表示された状態で、操作部94を介したオペレータによる編集操作によって編集可能であってもよい。
【0080】
オペレータは、表示部95のデータ作成操作画面OSA上に表示された操作マニュアルOMを確認しながら、基板データPDの作成の際に必要なデータ作成操作Aを行うことができる。
【符号の説明】
【0081】
1 実装機
6 ヘッドユニット
9 データ作成装置
91 制御部
911 操作特定部
912 抽出部
913 データ作成部
914 表示制御部
92 記憶部
93 通信部
94 操作部
95 表示部
100 部品実装システム
A データ作成操作
AA 注目操作
EVA 警告情報
F 終了操作
OM 操作マニュアル
OSA データ作成操作画面
OSF 終了操作画面
PD 基板データ
SA 標準操作
SA1 第1の標準操作
SA2 第2の標準操作