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特許7343451薬剤搬送デバイスを増強するための方法および装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-04
(45)【発行日】2023-09-12
(54)【発明の名称】薬剤搬送デバイスを増強するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/315 20060101AFI20230905BHJP
【FI】
A61M5/315 550J
【請求項の数】 20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020112835
(22)【出願日】2020-06-30
(62)【分割の表示】P 2016556812の分割
【原出願日】2015-02-17
(65)【公開番号】P2020179187
(43)【公開日】2020-11-05
【審査請求日】2020-07-08
【審判番号】
【審判請求日】2022-05-02
(31)【優先権主張番号】61/951,776
(32)【優先日】2014-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516043328
【氏名又は名称】アセンシア・ディアベティス・ケア・ホールディングス・アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】イガー・ワイ・ゴフマン
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・チェン
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ・エー・ジョンソン
【合議体】
【審判長】佐々木 正章
【審判官】村上 聡
【審判官】井上 哲男
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/120778(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/023763(WO,A1)
【文献】特表2013-544163(JP,A)
【文献】特表2007-525276(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/142
A61M 5/20
A61M 5/315
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手動式薬剤搬送デバイスの自動化投薬量セットのための方法であって、前記手動式薬剤搬送デバイスは、自動化投薬量セット装置を前記手動式薬剤搬送デバイスに対して取り付けることができるように構成されており、かつ、前記手動式薬剤搬送デバイスは、投与すべき投薬量に対応した投薬量をセットするための手動式投薬量ノブを含み、
前記方法は、
前記自動化投薬量セット装置のコントローラが、投与するのに適切な薬剤の量を自動的に指定する外部検体観測システムから、投与すべき投薬量を表す第1信号を受領するステップであって、前記自動化投薬量セット装置は前記手動式薬剤搬送デバイスに取り付けられるステップと、
前記自動化投薬量セット装置を使用して前記手動式薬剤搬送デバイスの前記手動式投薬量ノブを駆動することにより、前記投与すべき投薬量に対応した投薬量をセットするステップと
を具備することを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、さらに、
前記投薬量ノブが前記自動化投薬量セット装置によって駆動される際に、前記自動化投薬量セット装置が、前記薬剤搬送デバイスの移動を観測するステップと、
前記自動化投薬量セット装置によってセットされた投薬量が、前記投与すべき投薬量に対応しているかどうかを検証するステップと
を具備することを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、さらに、
薬剤が投与される際に、前記自動化投薬量セット装置が、前記薬剤搬送デバイスの移動を観測するステップと、
実際に投与された投薬量が、前記投与すべき投薬量に対応しているかどうかを検証するステップと
を具備することを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、さらに、
実際に投与された投薬量が、前記投与すべき投薬量に対応している場合には、通知を行うステップと、
実際に投与された投薬量が、前記投与すべき投薬量に対応していない場合には、アラームを通知するステップと
を具備することを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、さらに、
前記自動化投薬量セット装置から前記外部検体観測システムに対して、実際に投与された投薬量を表す第2信号を送信するステップを具備することを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、
前記自動化投薬量セット装置が、前記自動化投薬量セット装置の第1部分を前記薬剤搬送デバイスの前記投薬量ノブに対して取り付けることによって、前記薬剤搬送デバイスに対して取り付けられることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、
前記自動化投薬量セット装置が、前記自動化投薬量セット装置の第2部分を前記薬剤搬送デバイスのハウジングに対して取り付けることによって、前記薬剤搬送デバイスに対して取り付けられることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、
前記薬剤搬送デバイスの手動式投薬量ノブを駆動することは、前記薬剤搬送デバイスのハウジングに対して取り付けられた前記自動化投薬量セット装置の第2部分内のドライバアセンブリを使用して前記自動化投薬量セット装置の第1部分を駆動することにより、前記投薬量ノブに対して取り付けられた前記自動化投薬量セット装置の前記第1部分を回転させることを含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、
前記自動化投薬量セット装置の前記第2部分内の前記ドライバアセンブリを使用して前記第1部分を駆動することは、交互的なリニアアクチュエータを使用して前記第1部分を回転させることを含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
手動式薬剤搬送デバイスの自動化投薬量セットのための方法であって、
自動化投薬量セット装置が、投与するのに適切な薬剤の量を自動的に指定する外部デバイスから投薬量情報を受領するステップであって、前記自動化投薬量セット装置は、前記手動式薬剤搬送デバイスの手動式投薬量ノブの上端に対して結合された第1部分を備え、前記自動化投薬量セット装置の前記第1部分は、第2部分に対して、かつ、前記手動式薬剤搬送デバイスのハウジングの上端に対して結合されており、前記第2部分は、前記自動化投薬量セット装置の前記第1部分に対して結合されるように構成されるステップと、
前記手動式薬剤搬送デバイスの投薬量をセットするために前記投薬量ノブを作動させるために前記第1部分を作動させるステップと
を具備することを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、さらに、
前記第2部分内に電子回路を提供するステップを具備し、
前記電子回路は、コントローラと、ドライバアセンブリと、トランシーバと、を含むことを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、さらに、
前記薬剤搬送デバイスの投薬量をセットするために前記ドライバアセンブリを介して、前記第1部分を回転させるステップを具備することを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、さらに、
前記第2部分を用いて前記第1部分の回転を検出するステップを具備し、
前記第2部分の前記電子回路は回転を検出するためのセンサアセンブリを含むことを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項10に記載の方法であって、さらに、
前記第2部分のディスプレイに、前記薬剤搬送デバイスの投薬量のセット値を表示するステップを具備することを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項10に記載の方法であって、さらに、
投与すべき投薬量を表す信号を前記第2部分において受領するステップを具備することを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項10に記載の方法であって、さらに、
実際に投与された投薬量を表す信号を前記第2部分から送信するステップを具備することを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項10に記載の方法であって、さらに、
前記第1部分に、前記薬剤搬送デバイスの投薬量ステムを囲むように機能する透明な円筒形シャフトを設けるステップを具備することを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法であって、さらに、
前記円筒形シャフトに歯溝を設けるステップを具備することを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項17に記載の方法であって、さらに、
前記第2部分に含まれるセンサアセンブリによって、前記透明な円筒形シャフト上の投薬量インジケータマークを検出するステップを具備することを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項17記載の方法であって、さらに、
前記第2部分に含まれるドライバアセンブリの交互的なリニアアクチュエータによって、前記透明な円筒形シャフトを回転させるステップを具備することを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2014年3月12日付けで出願された「METHODS AND APPARATUS FOR ENHANCING A MEDICATION DELIVERY DEVICE」(代理人整理番号 BHC134015(BHDD/043/L))と題する米国特許予備出願第61/951,776号明細書の優先権を主張するものである。この文献の記載内容は、参考のためここに組み込まれる。
【0002】
本発明は、薬剤搬送デバイスに関するものであり、より詳細には、そのような薬剤搬送デバイスを増強するための装置やシステムや方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
多くの様々な薬剤搬送デバイスや生理学的流体検体観測システムが、市販されている。そのようなデバイスの共通の用途は、糖尿病患者に対してのインシュリンの輸液であり、また、糖尿病患者の血中グルコースレベルの観測である。そのようなデバイスの携帯性の増強および使用の容易さにより、糖尿病患者は、自己制御型の医療処置レジームを行うことができている。このことは、患者の自主性およびプライバシーの程度を増大させている。これは、糖尿病患者のグルコースレベルが、日ごとにあるいは時間ごとに変化し得ることのために、特に有利である。
【0004】
そのような自己制御型の医療処置レジームにおいては、多くの場合、例えばインシュリンといったような様々な薬剤を、注射や摂取によって、自己投与する。薬剤のコンプライアンスが高度であることに加えて、そのような自己制御型の医療処置レジームが効果的にかつ安全に動作するためには、患者は、投薬量と投薬時刻とを厳密に観測する必要があり、例えば血中グルコースレベルやインシュリン投薬量等といったような医療的に関連する自己観測情報を記録する必要がある。そのようなデータの観測は、現状や、将来的な処置のための当面の処置(例えば、レジームの変更)を決定するのに有用である。この情報の記録が、とりわけペンと紙とによって行われる場合には、時間を要するとともに不便なものであることのために、このタイプの情報の記録や編集や追跡が患者にとってできる限り最小化されていて時間的に効率の良いものであることが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、患者が制御する投薬に関して、および、限定するものではないけれども薬剤投与(例えば、注射)の時刻および投薬量や分析された濃度(例えば、グルコースレベル等)も含めて医療情報の観測や記録に関して、改良されたデバイスや方法の開発には、なおも興味深いものがある。特に興味深いことは、患者に対して制御のフレキシブルさや増大された便利さやプライバシーや患者にとっての使用の容易さを提供し得るような、また、システム構成部材の携帯性を増強し得るような、患者が制御する薬剤投与や観測システムの開発である。よって、必要とされているものは、薬剤搬送デバイスを増強するためのシステムや装置や方法である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
いくつかの見地においては、本発明の様々な実施形態は、薬剤搬送デバイスによる投薬量を自動的にセットするための装置を提供する。この装置は、薬剤搬送デバイスの投薬量ノブに対して取付可能な第1部分と;薬剤搬送デバイスのハウジングに対して取付可能な第2部分と;を具備している。第2部分は、投薬量情報を受領し得るとともに、薬剤搬送デバイスの投薬量をセットし得るように第1部分を駆動することができる。
【0007】
他の見地においては、本発明の様々な実施形態は、薬剤搬送デバイスによる投薬量を自動的にセットするための方法を提供する。この方法においては、薬剤搬送デバイスに対して自動化投薬量セット装置を取り付け;検体観測システムから、投与すべき投薬量を表す第1信号を受領し;自動化投薬量セット装置を使用して薬剤搬送デバイスの投薬量ノブを駆動することにより、投与すべき投薬量に対応した投薬量をセットする。
【0008】
さらに他の見地においては、本発明の様々な実施形態は、薬剤搬送デバイスによる投薬量を自動的に観測するための装置を提供する。この装置は、薬剤搬送デバイスの投薬量ノブに対して取付可能な第1部分と;薬剤搬送デバイスのハウジングに対して取付可能な第2部分と;を具備している。第2部分は、第1部分の移動を観測するように動作するとともに、薬剤搬送デバイスによって投与された投薬量を表す信号を送信することができる、
【0009】
本発明の上記の実施形態や他の実施形態に基づき、様々な他の見地が提供される。本発明の様々な実施形態における他の特徴点や見地は、以下の詳細な説明と特許請求の範囲と添付図面とにより、明瞭となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】従来技術による使い捨て型の薬剤搬送デバイスの一例を示している。
図2】従来技術による耐久型の薬剤搬送デバイスの一例を示している。
図3A】従来技術による薬剤搬送デバイスにおける投薬量ステムの一例を退避位置において示している。
図3B】従来技術による薬剤搬送デバイスにおける投薬量ステムの一例を完全延伸位置において示している。
図4】本発明のいくつかの実施形態による自動化投薬量セット装置の下側ケーシングの例示としての一実施形態を示している。
図5】本発明のいくつかの実施形態による自動化投薬量セット装置の上側ケーシングの例示としての一実施形態を示している。
図6A】本発明のいくつかの実施形態による自動化投薬量セット装置の例示としての一実施形態を示す断面図である。
図6B】本発明のいくつかの実施形態による自動化投薬量セット装置の例示としての一実施形態を示す側面図である。
図7】本発明のいくつかの実施形態による自動化投薬量セット装置の例示としてのシステムアーキテクチャーを示すブロック図である。
図8図6Aにおいて破線AAによって囲まれた部分を拡大して示す図である。
図9図7におけるB-B線による矢視断面図である。
図10図7におけるC-C線による矢視断面図である。
図11図10の矢視断面図に図示されたドライバアセンブリの例示としての一実施形態を拡大して示す図である。
図12A図10の矢視断面図に図示されたドライバアセンブリの動作例を示している。
図12B図10の矢視断面図に図示されたドライバアセンブリの動作例を示している。
図12C図10の矢視断面図に図示されたドライバアセンブリの動作例を示している。
図13A】本発明のいくつかの実施形態に基づき、図1の薬剤搬送デバイスに対して連結された全組立された自動化投薬量セット装置の例示としての一実施形態を延伸位置において示す図である。
図13B】本発明のいくつかの実施形態に基づき、図1の薬剤搬送デバイスに対して連結された全組立された自動化投薬量セット装置の例示としての一実施形態を退避位置において示す図である。
図14】本発明のいくつかの実施形態による自動化投薬量観測装置の下側ケーシングの例示としての一実施形態を示している。
図15】本発明のいくつかの実施形態による自動化投薬量観測装置の上側ケーシングの例示としての一実施形態を示している。
図16】本発明のいくつかの実施形態による自動化投薬量観測装置の例示としての一実施形態を示す側面図である。
図17図16において破線DDによって囲まれた部分を拡大して示す図である。
図18A】本発明のいくつかの実施形態に基づき、完全に延伸された投薬量ステムを有した薬剤搬送デバイスに対して取り付けられた自動化投薬量観測装置の例示としての一実施形態を退避位置において示す断面図である。
図18B】本発明のいくつかの実施形態に基づき、退避位置とされた投薬量ステムを有した薬剤搬送デバイスに対して取り付けられた自動化投薬量観測装置の例示としての一実施形態を退避位置において示す断面図である。
図19】本発明のいくつかの実施形態による自動化投薬量観測装置のためのシステムアーキテクチャーの一例を示すブロック図である。
図20図18Aにおいて破線EEによって囲まれた部分を拡大して示す図である。
図21図18Aにおいて破線FFによって囲まれた部分を拡大して示す図である。
図22図18Aにおいて破線GGによって囲まれた部分を拡大して示す図である。
図23】本発明のいくつかの実施形態によるセンサアセンブリの一例を示している。
図24】本発明のいくつかの実施形態によるセンサアセンブリの代替例を示している。
図25】本発明のいくつかの実施形態におけるタイミングチャートの例を示している。
図26A】本発明のいくつかの実施形態に基づき、図1の薬剤搬送デバイスに対して連結された全組立された自動化投薬量観測装置の例示としての一実施形態を延伸位置において示す図である。
図26B】本発明のいくつかの実施形態に基づき、図1の薬剤搬送デバイスに対して連結された全組立された自動化投薬量観測装置の例示としての一実施形態を退避位置において示す図である。
図27】本発明のいくつかの実施形態による方法の一例を示すフローチャートである。
図28】本発明のいくつかの実施形態による方法の代替例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の様々な実施形態は、患者による薬剤(例えば、インシュリン)の自己投与のために使用されることを意図した薬剤搬送デバイスに対しての増強を提供する。いくつかの実施形態においては、任意の従来的なペンタイプの薬剤搬送デバイスに対して取り付けられ得るよう構成された自動化投薬量セット装置が、提供される。自動化投薬量セット装置は、コントローラを備え、コントローラは、検体観測システム(例えば、血中グルコースのモニター)から、あるいは、他の体調データ管理デバイス(例えば、スマートホン、タブレット、PC、手首コンピュータ、等)から、信号を受領し得るよう(例えば、無線的に)構成される。コントローラは、投与するのに適切な投薬量を決定する。コントローラは、さらに、薬剤搬送デバイスの投薬量を自動的にセットし得るよう、アクチュエータ装置を制御することができる。よって、自動化投薬量セット装置は、既存のペンタイプの薬剤搬送デバイスに対して追加し得る増強アタッチメントを提供する。
【0012】
他のいくつかの実施形態においては、任意の従来的なペンタイプの薬剤搬送デバイスに対して取り付けられ得るよう構成された自動化投薬量観測装置が、提供される。自動化投薬量観測装置は、コントローラを備え、コントローラは、ペンタイプの薬剤搬送デバイスに対して取り付けられた1つまたは複数のセンサから信号を受領し得るよう構成され、薬剤搬送デバイスを使用してそれまでに投与された薬剤の量を追跡することができる。コントローラは、さらに、既に投与された薬剤の量を表す信号を、投薬時刻および投薬日付と一緒に、送信し得るよう(例えば、無線的に)構成される。その信号は、検体観測システム(例えば、血中グルコースのモニター)へと、あるいは、他の体調データ管理デバイス(例えば、スマートホン、タブレット、PC、手首コンピュータ、等)へと、送信される。よって、自動化投薬量観測装置は、既存のペンタイプの薬剤搬送デバイスに対して追加し得る増強アタッチメントを提供する。さらに他の実施形態においては、本発明の原理を、他のタイプの薬剤搬送デバイスに対して適用することができる。
【0013】
さて、図1および図2には、従来的なペンタイプの薬剤搬送デバイス100,200の例が図示されている。図1は、米国ニュージャージー州Bridgewater所在のSanofi-aventis U.S. LLC社によって製造された Lantus(登録商標)SoloSTAR(登録商標)ペンと同様の、修飾されていない使い捨て型の薬剤搬送デバイス100を示している。図2は、デンマーク国Alle所在のNovo Nordisk A/S社によって製造された NovoPen(登録商標)と同様の、修飾されていない耐久型(例えば、再使用可能なタイプ)の薬剤搬送デバイス200を示している。本発明の各実施形態は、デバイスを修飾することなく、これら2つの薬剤搬送デバイス100,200に対してあるいは他の薬剤搬送デバイスに対して、取り付けることができる。
【0014】
ペンタイプの薬剤搬送デバイス100,200は、未使用の薬剤が格納される薬剤リザーバ102を備えている。未使用の薬剤は、着脱可能なニードル(図示せず)を使用して、患者内へと注射される。患者は、所望の投薬量表示が投薬量ウィンドウ108,208内に見えるまで、ハウジング106,206に対して投薬量ノブ104,204を捩ることにより、投薬量ノブ104,204を調節する。図3Aおよび図3Bに示すように、投薬量ノブ104,204が捩られるにつれて、投薬量ノブ104,204は、ハウジング106,206から離間する向きに移動していき、投薬量マーク304を有した投薬量ステム302を露出させる。投薬量ステム302は、患者が所望の投薬量をセットし終わるまで、露出され続ける。その後、患者は、投薬量ノブ104の頂部に位置した注射ボタン110,210を押し下げることにより、薬剤を注射することができる。患者が、注射ボタン110,210を押し下げた際には、投薬量ステム302が、ハウジング106,206内へと退避していき、これにより、薬剤リザーバ102の頂部に位置したプランジャー112が、ニードル(図示せず)を通して薬剤を押圧する。よって、図3Aにおける薬剤搬送デバイス300の投薬量ステム302は、ハウジング106内へと退避し、投薬量ウィンドウ108以外のところでは、見えなくなる。図3Bにおける薬剤搬送デバイス300の投薬量ステム302は、延伸されており、投薬量マーク304を、投薬量ステム302まわりに螺旋的に延在するものとして、見ることができる。
【0015】
患者が、退避可能な投薬量ステム302を有した従来的な薬剤搬送デバイス100,200を使用する場合には、患者は、投薬量をセットするためには、投薬量ノブ104,204を手動で回転させる必要がある。加えて、薬剤の投与後には、患者は、投薬量情報を、それぞれの検体測定メーター(あるいは、他の投薬量追跡デバイス)に対して、手動で入力しなければならない。エラーを起こす可能性が割と大きく、エラーを起こした際には、患者の健康がおびやかされることとなる。
【0016】
本発明の各実施形態は、投薬量のセットを自動化することにより、このような潜在的なエラーを回避する。図4は、本発明のいくつかの実施形態による自動化投薬量セット装置の下側ケーシング400を示しており、図5は、上側ケーシング500を示している。下側ケーシング400および上側ケーシング500は、従来的な薬剤搬送デバイス100,200に対して取り付けられ、これにより、検体測定システムあるいは他のデバイスは、適正な投薬量を、自動化投薬量セット装置に対して送信することができる。そして、自動化投薬量セット装置は、その投薬量を、患者が投薬量を決定する必要なくまた適切な回転数だけ患者がノブを回転させる必要なく、セットする。
【0017】
下側ケーシング400は、圧縮取付部材402を有している。これにより、下側ケーシング400を、薬剤搬送デバイス100,200のハウジング106,206に対して、確実に固定することができる。圧縮取付部材は、約15mm~約25mmというハウジング外径を有したデバイスを含めて、広範な薬剤搬送デバイスに対して確実に連結し得るよう構成されている。いくつかの実施形態においては、他の直径を、より大きなあるいはより小さな圧縮取付部材および/またはアダプタに対して適用することができる。他の実施形態においては、下側ケーシング400を薬剤搬送デバイス100,200に対して連結するに際して、様々な構成を使用することができる。
【0018】
下側ケーシング400は、さらに、ディスプレイ404を有している。これにより、自動化投薬量セット装置によってセットされた投薬量を表示することができる。詳細に後述するように、下側ケーシング400は、コントローラおよび関連するエレクトロニクス(例えば、メモリ、配線、トランシーバ、センサ、等)を収容している。これにより、ディスプレイ404が投薬量を表示するように、ディスプレイ404を駆動することができる。
【0019】
上側ケーシング500は、歯溝を有した円筒形シャフト502を備えている。歯溝は、投薬量ステム上に位置しており、下側ケーシング400に対して回転可能に連結され得るよう構成されている。上側ケーシング500は、さらに、ノブカバー504を備えている。このノブカバー504は、ガスケットを使用して、薬剤搬送デバイス100,200の投薬量ノブ104,204に対して確実に連結され得るよう構成されている。いくつかの実施形態においては、ノブカバー504は、開口を有することができる。この開口により、注射ボタン110,210に対してアクセス可能とされる。他の実施形態においては、ノブカバー504は、延長ボタン506を有することができる。この延長ボタン506は、押下されたときには、注射ボタン110,210に対して接触して、注射ボタン110,210を駆動することができる。
【0020】
図6Aは、下側ケーシング400が上側ケーシング500に対して回転可能に連結されて組み立てられた自動化投薬量セット装置600を示す断面図であり、図6Bは、そのような自動化投薬量セット装置600を示す側面図である。図6Aにおいて明瞭に示すように、下側ケーシング400は、電源602(例えば、1つまたは複数のバッテリ)と、電子回路604(例えば、下側ケーシング400の内径に適合し得るよう、フレキシブルな回路基板上に設けられた電子回路)と、を収容することができる。電子回路604は、コントローラ606(例えば、メモリ608を有したマイクロコントローラ)と、ドライバアセンブリ610(例えば、ピエゾステッパモータ)と、センサアセンブリ612(例えば、1つまたは複数の容量的/光学的/磁気的な位置センサ)と、トランシーバ614(例えば、ラジオ周波数(RF)の受信器/送信器モジュール)と、を有することができる。電子回路604内には、例えばクロック発生器616(例えば、発振器)や時刻および日付クロックモジュールやディスプレイドライバ回路618(例えば、ディスプレイ404を駆動するためのもの)といったような他のデバイスを、追加的に設けることができる。
【0021】
上側ケーシング500は、円筒形シャフト502を備えている。この円筒形シャフト502は、ドライバアセンブリ610によって下側ケーシング400内において回転駆動され得るよう構成されているとともに、下側ケーシング400内に配置されたセンサ612によって観測され得るように配置されている。上側ケーシング500は、アルミニウムから、および/または、硬質プラスチックから、形成することができる。他の材料も使用可能である。
【0022】
さらに、図6Aの断面図に示すように、上側ケーシング500のノブカバー504の中には、ガスケット620が設けられている。このガスケット620は、薬剤搬送デバイス100,200の投薬量ノブ104に対して上側ケーシング500を固定するためのものである。よって、円筒形シャフト502は、ガスケット620を介して投薬量ノブ104に対して連結されたノブカバー504に対して取り付けられているものであって、投薬量ノブ104に対して連結されている。いくつかの実施形態においては、ガスケット620は、ゴムや同様の材料から形成することができる。ガスケット620は、他の材料から形成することもでき、様々な代替可能な手法を使用することにより、ノブカバー504を投薬量ノブ104に対して固定することができる。
【0023】
動作時には、電子回路604が、投薬量ステム302が延伸および/または退避される際の円筒形シャフト502の回転移動を追跡することができる。円筒形シャフト502の表面上の歯が、センサ612を超えて移動した際には、コントローラ606は、薬剤搬送デバイス100,200の投薬量設定あるいは投薬量を追跡することができる。トランシーバ614を使用することにより、いくつかの実施形態においては、コントローラ606は、検体測定システムあるいは他の体調データ管理デバイス(例えば、スマートホン、タブレット、PC、手首コンピュータ、等)から、次に投与することを意図した投薬量を表す情報を受領することができる(例えば、無線信号により)。図12A図12Cに関して詳細に後述するように、コントローラ606は、ドライバアセンブリ610を使用することにより、受領した情報に基づく意図された投薬量へと、薬剤搬送デバイス100,200を自動的にセットすることができる。
【0024】
コントローラ606は、さらに、患者に対して(例えば、現在状態LEDsによってあるいは可聴音によって)、投与すべきものとしてセットされた投薬量が適正であるかどうかを確認するための確認表示を提供することができる。あるいは、コントローラ606は、投与すべきものとしてセットされた投薬量が、意図した投薬量と相違している場合(例えば、エラー状態)には、アラームを表示することができる。同様に、コントローラ606は、患者に対して(例えば、現在状態LEDsによってあるいは可聴音によって)、実際に投与された投薬量が適正であるかどうかを確認するための確認表示を提供することができる。あるいは、コントローラ606は、実際に投与された投薬量が、意図した投薬量と相違している場合には、アラームを表示することができる。加えて、トランシーバ614を使用することにより、いくつかの実施形態においては、コントローラ606は、検体測定システムに対してあるいは他の体調データ管理デバイス(例えば、スマートホン、タブレット、PC、手首コンピュータ、等)に対して、自動化投薬量セット装置600に対して連結された薬剤搬送デバイスを使用して投与された投薬量を表す信号を、無線的に送信することができる。いくつかの実施形態においては、投与の時刻および日付も、また、送信することができる。
【0025】
図7は、自動化投薬量セット装置600のいくつかの実施形態に関するシステムアーキテクチャー700の一例を示すブロック図である。システムアーキテクチャー700は、コントローラ606(例えば、メモリ608付きのマイクロコントローラ)を備えることができる。コントローラ606は、メモリ608内に格納されたプログラム命令を実行することにより、本発明による様々な方法を実行することができる。コントローラ606に対して接続されたものとして、システムアーキテクチャー700は、さらに、電源602(例えば、1つまたは複数のバッテリ)と、アクチュエータ702を有したドライバアセンブリ610(例えば、ピエゾステッパモータ)と、センサアセンブリ612(例えば、ノブ/シャフトの位置を追跡するための、および/または、図5に示す円筒形シャフト502上の他のエンコードマークを読み取るための、1つまたは複数の容量的/光学的/磁気的なセンサ)と、体調データ管理デバイス704(例えば、検体測定システム、あるいは、スマートホンやタブレットやPCや手首コンピュータ等の中で動作している体調データ管理ソフトウェア)に対して無線通信を行うためのトランシーバ614(例えば、ラジオ周波数(RF)の受信器/送信器モジュール)と、を備えることができる。コントローラ606に対しては、例えば、クロック発生器616(例えば、発振器)や、時刻および日付クロックモジュール706や、ディスプレイ404を駆動するためのディスプレイドライバ回路618といったような他のデバイスを、接続することができる。コントローラ606に加えて、電源を、ドライバアセンブリ610と、センサアセンブリ612と、トランシーバ614と、クロック発生器616と、時刻および日付クロックモジュール706と、ディスプレイドライバ回路618と、ディスプレイ404と、に対して接続することができる。
【0026】
図8は、下側ケーシング400を薬剤搬送デバイス100のハウジング106に対して固定するための圧縮取付部材402を詳細に示す図であって、図6Aにおける破線AAによって囲まれた部分を拡大して示している。フレキシブルであり中空でありネジ山付きのコーン802が、下側ケーシング400の基部のところにおいて、ギャップ(図8には図示されていないけれども、図4において符号406によって図示されている)を有しつつ、設けられている。ネジ山付きコーン802は、薬剤搬送デバイス100のハウジング106の周囲に配置されている。把持を目的とした複数のリッジ808を有した圧縮ナット806が、ネジ山付きコーン802上に螺着されている。ネジ山付きコーン802が、下側ケーシング400に沿って上がっていくにつれて、ネジ山810は、その直径を増大させる。これにより、圧縮力に応答して、ナット806が締まっていく。ネジ山付きコーン802は、ハウジング106の周囲に対して圧縮される。これにより、薬剤搬送デバイス100のハウジング106に対して下側ケーシング400が固定される。いくつかの実施形態においては、ネジ山付きコーン802を有した下側ケーシング400は、例えばアルミニウムやポリエチレンといったような半フレキシブルな材料から形成され、他方、圧縮ナット806は、ナイロン(登録商標)や他の硬質プラスチックから形成される。これらの構成部材に関しては、他の様々な実用的な材料を使用することができる。
【0027】
図9は、図7におけるB-B線のところにおける上側ケーシング500の矢視断面図を示している。円筒形シャフト502の歯溝が、円筒形シャフト502の外表面に対して、ギヤ形状の横断面を付与していることに、注意されたい。図10は、図7におけるC-C線のところにおいて下側ケーシング400内に挿入された上側ケーシング500の矢視断面図を示している。この図10は、円筒形シャフト502に対しての、ドライバアセンブリ610の位置を示している。図10に示すように、ドライバアセンブリ610内のアクチュエータ1002,1004は、円筒形シャフト502の歯溝に対して係合し得るようにして配置されており、円筒形シャフト502を回転させることができる。ドライバアセンブリ610の動作については、図12A図12Cを参照して詳細に後述する。図10においては、さらに、電源602と電子回路604とが図示されている。
【0028】
図11は、図10の断面図に図示されたドライバアセンブリ610の例示としての一実施形態を拡大して図示している。ドライバアセンブリ610のアクチュエータ1002,1004は、円筒形シャフト502の外表面の歯を、交互的に押圧する。よって、このような交互的な直線的な力は、回転力へと変換され、これにより、円筒形シャフト502を駆動して、長手方向軸線1102まわりに回転移動させる。円筒形シャフト502が、投薬量ノブ104(図6A)に対して固定されたノブカバー504(図6A)に対して連結されていることに、注意されたい。よって、ドライバアセンブリ610は、上側ケーシング500および下側ケーシング400が薬剤搬送デバイス100,200に対して取り付けられているときには、投薬量ノブ104を回転駆動することができる。いくつかの実施形態においては、上側ケーシング500の円筒形シャフト502は、アルミニウムや硬質プラスチックといったような材料から形成され、ドライバアセンブリ610のアクチュエータ1002,1004は、例えばチタン酸バリウムやチタン酸鉛やジルコン酸チタン酸鉛やニオブ酸カリウムやニオブ酸リチウムやタンタル酸リチウムやタングステン酸ナトリウムといったような、圧電材料から形成される。これらの構成部材については、他の様々な実用的な材料を使用することができる。
【0029】
図12A図12Cは、ドライバアセンブリ610の動作シーケンスの一例を示している。上述したように、ドライバアセンブリ610は、順次的に駆動されるように制御される2つのアクチュエータ1002,1004を備えている。いくつかの実施形態においては、図12A図12Cに示されたシーケンスを繰り返すことによって、円筒形シャフト502を(最終的には、投薬量ノブ104,204を)、所望位置へと、正確に回転させることができる。本発明の各実施形態は、コントローラ606を備えている。コントローラ606は、(検体観測システムあるいは他のデバイスから)所望の投薬量を表す信号を受領し、所望の投薬量へと薬剤搬送デバイスをセットするためには、いくらの数のシーケンスの繰り返しが必要であるかを決定する。
【0030】
図12Aにおいては、コントローラ606からの電気信号が、第1アクチュエータ1002に対して印加される。ドライバアセンブリ610の第1アクチュエータ1002は、ピエゾ材料を有するものであって、延出されて、円筒形シャフト502の歯を押圧することができる。円筒形シャフト502は、第1アクチュエータ1002からの直線的な力に応答した単一「ステップ」分だけ、矢印1102の向き(例えば、反時計回り)に回転する。第2ステップにおいては、図12Bに示すように、コントローラ606は、第1アクチュエータ1002に対しての電気信号を解除する。これにより、第1アクチュエータ1002が、円筒形シャフト502から離間する向きに退避する。第1アクチュエータ1002が、円筒形シャフト502の歯に対して当接しない十分な距離の分だけ退避することに、注意されたい。
【0031】
この例示としてのシーケンスの第3ステップにおいては、コントローラ606は、第2アクチュエータ1004に対して、電気信号を印加する。よって、第2アクチュエータ1004が、延出されて、円筒形シャフト502の他の歯を押圧する。円筒形シャフト502は、第2アクチュエータ1004からの直線的な力に応答した単一「ステップ」分だけ、矢印1102の向き(例えば、反時計回り)に回転する。第4ステップにおいては、図示していないものの、図12Bの場合と同じく、コントローラ606は、第2アクチュエータ1004に対しての電気信号を解除する。これにより、第2アクチュエータ1004が、円筒形シャフト502から離間する向きに退避する。第2アクチュエータ1004が、円筒形シャフト502の歯に対して当接しない十分な距離の分だけ退避することに、注意されたい。
【0032】
このプロセスは、投薬量ノブ104,204が所望の位置となるまでに必要な回数の分だけ、繰り返すことができる。円筒形シャフト502の移動を検出するためのセンサ612を使用することにより、コントローラ606は、投薬量ノブ104,204が所望の回転量だけ回転し終わった時点を決定することができる。いくつかの実施形態においては、コントローラ606は、さらに、ディスプレイ404を使用して、コントローラによる投薬量のセットが完了したことを表示することができる。
【0033】
図13Aは、薬剤搬送デバイス100,200(図1および図2)に対して取り付けられた全組立された自動化投薬量セット装置1300の例示としての一実施形態を示している。自動化投薬量セット装置1300は、延伸状態で図示されている。図13Bは、薬剤搬送デバイス100,200(図1および図2)に対して取り付けられた全組立された自動化投薬量セット装置1300の例示としての一実施形態を示している。自動化投薬量セット装置1300は、退避状態で図示されている。
【0034】
図14図16においては、本発明の代替可能な実施形態が図示されている。いくつかの実施形態においては、本発明は、任意の従来的なペンタイプの薬剤搬送デバイス100,200に対して取り付けられ得るよう構成された自動化投薬量観測装置を提供する。自動化投薬量セット装置1300と同様に、自動化投薬量観測装置は、下側ケーシング1400と上側ケーシング1500とを備えている。下側ケーシング1400と上側ケーシング1500との双方は、薬剤搬送デバイス100,200に対して取り付けられ得るよう構成されている。図14は、本発明による自動化投薬量観測装置における下側ケーシングの例示としての一実施形態を示している。下側ケーシング1400は、自動化投薬量セット装置1300の下側ケーシング400における圧縮取付部材402と同様の、圧縮取付部材1402を備えている。圧縮取付部材1402により、薬剤搬送デバイス100,200のハウジング106,206に対して、下側ケーシング1400を確実に取り付けることができる。下側ケーシング1400は、さらに、後述するようにエレクトロニクスを収容して支持し得るよう構成されたボディ部分1404を備えている。
【0035】
図15は、本発明のいくつかの実施形態による自動化投薬量観測装置における上側ケーシングの例示としての一実施形態を示している。上側ケーシング1500は、透明な(あるいは、半透明な)円筒形シャフト1502を備えている。この円筒形シャフト1502は、投薬量表示マーク1504(例えば、螺旋構成のバーコードストリップ)を有している。上側ケーシング1500は、さらに、ノブカバー1506と延長ボタン1508とを備えている。延長ボタン1508は、押下されたときには、薬剤搬送デバイス100,200の注射ボタン110,210に対して接触して、注射ボタン110,210を駆動することができる。ノブカバー1506は、薬剤搬送デバイス100,200の投薬量ノブ104,204に対して上側ケーシング1500を固定するための固定部材を備えている。
【0036】
図17は、本発明のいくつかの実施形態による組み立てられた自動化投薬量観測装置1600の一例を示す側面図である。図示のように、上側ケーシング1500の円筒形シャフト1502は、下側ケーシング1400のボディ部分1404内へと挿入されていて、下側ケーシング1400のボディ部分1404に対して回転可能に連結されている。
【0037】
図17は、図16において破線DDによって囲まれているような、投薬量表示マーク1504の一部を、拡大して示している。いくつかの実施形態においては、投薬量表示マーク1504は、2つ以上の組をなす複数のインジケータ1702,1704を有することができる。例えば、図示の実施形態においては、インジケータ1702の上側の組内におけるインジケータマークは、互いに一様に離間されており、位置の同期化のために使用することができる。これらインジケータマークは、薬剤搬送デバイスの投薬量ステム302(図3B)上における投薬量マーク304に対応して離間されている。螺旋構成の投薬量インジケータマーク1504の下側の組をなす第2組のインジケータ1704は、薬剤のタイプ(例えば、インシュリンのタイプ)のための識別コードを提供するために使用することができる。円筒形シャフト1502は、着脱可能であって、薬剤容器のサイズごとに独自のものとすることができ、与えられた各タイプの薬剤(例えば、インシュリンタイプ1,2,3等)ごとに独自の組をなす複数のインジケータを有することができる。
【0038】
図18Aおよび図18Bは、薬剤搬送デバイス100,200に対して取り付けられた自動化投薬量観測装置1600の例示としての一実施形態を示す断面図である。図18Aにおいては、薬剤搬送デバイス100,200の投薬量ステム302は、延伸状態とされており、図18Bにおいては、投薬量ステム302は、完全退避状態とされている。
【0039】
図18Aにおいて明瞭に示すように、下側ケーシング1400は、電源1802(例えば、1つまたは複数のバッテリ)と、電子回路1804(例えば、下側ケーシング1400の内径に適合し得るよう、フレキシブルな回路基板上に設けられた電子回路)と、を収容することができる。電子回路1804は、コントローラ1806(例えば、メモリ1808を有したマイクロコントローラ)と、センサアセンブリ1810(例えば、1つまたは複数の容量的/光学的/磁気的なセンサ)と、トランシーバ1812(例えば、ラジオ周波数(RF)の受信器/送信器モジュール)と、を有することができる。電子回路1804内には、例えばクロック発生器616(例えば、発振器)や1つまたは複数の現状表示LEDsや時刻および日付クロックモジュールや可聴出力スピーカといったような追加的なデバイスを、追加的に設けることができる。
【0040】
動作時には、電子回路1804が、投薬量ステム302が延伸および/または退避される際に、投薬量表示マーク1504を読み取ることができる。投薬量表示マーク1504が、センサアセンブリ1810を超えて移動した際には、コントローラ1806は、薬剤搬送デバイスの投薬量設定を追跡することができる。トランシーバ1812を使用することにより、いくつかの実施形態においては、コントローラ1806は、次に投与することを意図した投薬量を表す情報を(例えば、無線信号により、検体測定システムから、あるいは、他の体調データ管理デバイス(例えば、スマートホン、タブレット、PC、手首コンピュータ、等)から)受領することができる。コントローラ1806は、患者に対して(例えば、現在状態LEDsによってあるいは可聴音によって)、投与すべきものとしてセットされた投薬量が適正であるかどうかを確認するための確認表示を提供することができる。あるいは、コントローラ1806は、投与すべきものとしてセットされた投薬量が、意図した投薬量と相違している場合には、アラームを表示することができる。同様に、コントローラ1806は、患者に対して(例えば、現在状態LEDsによってあるいは可聴音によって)、実際に投与された投薬量が適正であるかどうかを確認するための確認表示を提供することができる。あるいは、コントローラ1806は、実際に投与された投薬量が、意図した投薬量と相違している場合には、アラームを表示することができる。加えて、トランシーバ1812を使用することにより、いくつかの実施形態においては、コントローラ1806は、検体測定システムに対してあるいは他の体調データ管理デバイス(例えば、スマートホン、タブレット、PC、手首コンピュータ、等)に対して、自動化投薬量観測装置1600に対して連結された薬剤搬送デバイスを使用して投与された投薬量を表す信号を、無線的に送信することができる。いくつかの実施形態においては、投与の時刻および日付も、また、送信することができる。
【0041】
さらに、図18Aの断面図に示すように、上側ケーシング1500のノブカバー1506の中には、ガスケット1814が設けられている。このガスケット1814は、薬剤搬送デバイス100,200の投薬量ノブ104に対して上側ケーシング1500を固定するためのものである。いくつかの実施形態においては、ガスケット1814は、ゴムや同様の材料から形成することができる。ガスケット1814は、他の材料から形成することもでき、様々な代替可能な手法を使用することにより、ノブカバー1506を投薬量ノブ104に対して固定することができる。
【0042】
図19は、自動化投薬量観測装置1600のいくつかの実施形態に関するシステムアーキテクチャー1900の一例を示すブロック図である。システムアーキテクチャー1900は、コントローラ1806(例えば、メモリ1808付きのマイクロコントローラ)を備えることができる。コントローラ1806は、メモリ1808内に格納されたプログラム命令を実行することにより、本発明による様々な方法を実行することができる。コントローラ1806に対して接続されたものとして(例えば、制御信号および/またはデータ信号を送信および/または受信するために)、システムアーキテクチャー1900は、さらに、センサアセンブリ1810(例えば、ノブ/シャフトの位置を追跡するための、および/または、図18Aに示す円筒形シャフト1502上の他のエンコードマークを読み取るための、1つまたは複数の容量的/光学的/磁気的なセンサを含む)と、体調データ管理デバイス1902(例えば、検体測定システム、あるいは、スマートホンやタブレットやPCや手首コンピュータ等の中で動作している体調データ管理ソフトウェア)に対して無線通信を行うためのトランシーバ1812(例えば、ラジオ周波数(RF)の受信器/送信器モジュール)と、を備えることができる。制御信号および/またはデータ信号を送信および/または受信するために、コントローラ1806に対しては、例えば、クロック発生器1904(例えば、発振器)や、時刻および日付クロックモジュール1906や、可聴スピーカおよび/または現状表示LEDs1910を駆動するための出力ドライバ1908といったような他のデバイスを、接続することができる。コントローラ1806に加えて、電源1802(例えば、1つまたは複数のバッテリ)を、センサアセンブリ1810と、トランシーバ1812と、クロック発生器1904と、時刻および日付クロックモジュール1906と、出力ドライバ1908と、に対して接続することができる。
【0043】
図20は、下側ケーシング1400を薬剤搬送デバイス100のハウジング106に対して固定するための圧縮取付部材1402を詳細に示す図であって、図18Aにおける破線EEによって囲まれた部分を拡大して示している。フレキシブルであり中空でありネジ山付きのコーン2002が、下側ケーシング1400の基部のところにおいて、ギャップ(図18A,20には図示されていないけれども、図14において符号1406によって図示されている)を有しつつ、設けられている。ネジ山付きコーン2002は、薬剤搬送デバイス100のハウジング106の周囲に配置されている。把持を目的とした複数のリッジ2008を有した圧縮ナット2006が、ネジ山付きコーン2002上に螺着されている。ネジ山付きコーン2002が、下側ケーシング1400に沿って上がっていくにつれて、ネジ山2010は、その直径を増大させる。これにより、圧縮力に応答して、ナット2006が締まっていく。ネジ山付きコーン2002は、ハウジング106の周囲に対して圧縮される。これにより、薬剤搬送デバイス100のハウジング106に対して下側ケーシング1400が固定される。いくつかの実施形態においては、ネジ山付きコーン2002を有した下側ケーシング1400は、例えばアルミニウムや硬質プラスチックといったような半フレキシブルな材料から形成され、他方、圧縮ナット2006は、ナイロン(登録商標)や他の硬質プラスチックから形成される。これらの構成部材に関しては、他の様々な実用的な材料を使用することができる。
【0044】
図21は、図18Aにおいて破線FFによって囲まれたノブカバー1506の一部を拡大して示す図である。とりわけ、この拡大図は、円筒形シャフト1502が、ノブカバー1506に対して取り付けられていることを示している。よって、ノブカバー1506が、ガスケット1814を介して投薬量ノブ104に対して連結されていることにより、円筒形シャフト1502は、投薬量ノブ104に対して連結されている。
【0045】
図22は、図18Aにおいて破線GGによって囲まれた電子回路1804の一部を拡大して示す図である。とりわけ、この拡大図は、電子回路1804の一部をなすセンサアセンブリ1810を示している。いくつかの実施形態においては、センサアセンブリ1810は、電子回路1804の回路基板上に取り付けられた1つまたは複数の送信器/受信器ペア2202/2204,2206/2208を有することができる。これら送信器/受信器ペア2202/2204,2206/2208は、円筒形シャフト1502の外表面に対して対向し得るようにして、配置されている。特に、送信器/受信器ペア2202/2204,2206/2208は、下側ケーシング1400内のセンサウィンドウ2210を通して、円筒形シャフト1502上の投薬量表示マーク1504(例えば、螺旋構成のバーコードストリップ)に対して対向し得るようにして、配置されている。
【0046】
図23は、本発明のいくつかの実施形態による光学的センサアセンブリ2300の一例を示している。この実施形態においては、2つの送信器/受信器ペア2202/2204,2206/2208が、電子回路1804の回路基板上に取り付けられている。2つの送信器/受信器ペア2202/2204,2206/2208は、下側ケーシング1400のボディ部分1404内のセンサウィンドウ2210を通して、円筒形シャフト1502上の投薬量表示マーク1504(例えば、螺旋構成のバーコードストリップ)に対して対向し得るようにして、配置されている。上側の送信器/受信器ペア2202/2204は、同期化のためにおよび投薬量ノブ位置の追跡のために使用し得る上側の組をなすインジケータ1702に対して位置合わせし得るようにして、配置されている。これらのインジケータマークは、薬剤搬送デバイスの投薬量ステム302(図3B)上における投薬量マーク304に対応して離間されている。下側の送信器/受信器ペア2206/2208は、螺旋構成のインジケータマーク1504の下側部分のところにおいて第2組をなすインジケータ1704に対して位置合わせし得るようにして、配置されている。これらのインジケータ1704は、薬剤のタイプ(例えば、インシュリンのタイプ)のための識別コードを決定するために読み取ることができる。
【0047】
動作時には、光学的センサアセンブリ2300が、投薬量表示マーク1504(例えば、螺旋構成のバーコードストリップ)を読み取る。投薬量表示マーク1504は、背景に対して高コントラストでプリントされたマークとして、形成されている。LEDは、発光部材として使用することができ、投薬量表示マーク1504上を光照射することができる。光検出器は、投薬量表示マーク1504からの反射光を検出することができる。光学的センサアセンブリ2300は、センサウィンドウ2210のところをインジケータマーク1702が通過するたびごとに、反射光レベルの変化を検出する。各々のインジケータマーク1702は、1ティックを示しており、投薬量としてセットされるべき薬剤量に対応する。よって、ノブカバー1506の回転によって投薬量ノブ104が回転駆動されたときには、センサアセンブリ2300は、同期化/位置インジケータマーク1702を読み取る。インジケータマーク1702の数は、投薬量ノブの回転角度に比例しており、選択された投薬量に比例している。同時に、薬剤タイプのコードを、投薬量インジケータマーク1504の下側部分から読み取ることができる。各インジケータマーク1704の長さは、図25のタイミングチャートに関して後述するように、デジタル数値として解釈することができる。
【0048】
図24は、本発明のいくつかの実施形態による磁気的なあるいは容量的なセンサアセンブリ2400という代替例を示している。この実施形態においては、2つの磁気的なあるいは容量的なセンサ2402,2404が、電子回路1804の回路基板上に取り付けられている。2つの磁気的なあるいは容量的なセンサ2402,2404は、下側ケーシング1400のボディ部分1404を通して、円筒形シャフト1502上の投薬量表示マーク1504(例えば、螺旋構成のバーコードストリップ)に対して対向し得るようにして、配置されている。ボディ部分1404のために使用されている材料が、電磁界に対して透明であることのために、開口すなわちウィンドウが不要であることに、注意されたい。上側の磁気的なあるいは容量的なセンサ2402は、同期化のためにおよび投薬量ノブ位置の追跡のために使用し得る上側の組をなす金属製インジケータ2406に対して位置合わせし得るようにして、配置されている。この実施形態においては、金属製インジケータ2406,2408が暗いマークに代えて使用されており、これにより、磁気的なあるいは容量的なセンサ2402,2404が、インジケータ2406,2408を検出し得ることに、注意されたい。これらのインジケータマークは、薬剤搬送デバイスの投薬量ステム302(図3B)上における投薬量マーク304に対応して離間されている。下側の磁気的なあるいは容量的なセンサ2404は、螺旋構成のインジケータマーク1504の下側部分のところにおいて第2組をなす金属製インジケータ2408に対して位置合わせし得るようにして、配置されている。これらのインジケータ2408は、薬剤のタイプ(例えば、インシュリンのタイプ)のための識別コードを決定するために読み取ることができる。
【0049】
動作時には、磁気的なセンサアセンブリおよび容量的なセンサアセンブリは、同様に機能する。マークどうしの間の領域に対しての光反射コントラストを有した光学的に検出されるマークとは異なり、金属化されたパッドは、円筒形シャフト1502上において投薬量表示マーク1504として、プリントされるあるいは固定される。金属化されたパッドの存在は、容量的なセンサによって検出されるキャパシタンスを変化させる。各々の金属化されたパッドを超えて円筒形シャフト1502が回転したときには、投薬量としてセットされるべき薬剤量に対応したティックが、カウントされる。
【0050】
いくつかの実施形態においては、磁気的なセンサアセンブリを使用することにより、円筒形シャフト1502上のインジケータマーク1504を読み取ることができる。磁気的なセンサアセンブリとして、N極とS極とが交互に配置された多極リングマグネットを使用することができる。円筒形シャフト1502が、薬剤搬送デバイスまわりに回転したときには、ホール効果センサが、極性の変化を検出する。各極性変化は、1ティックを示しており、投薬量としてセットされるべき薬剤量に対応する。
【0051】
図25は、本発明のいくつかの実施形態において、円筒形シャフト1502上の投薬量インジケータマーク1504(例えば、螺旋構成のバーコードストリップ)を解釈するためのタイミングチャートの一例を示している。この例は、使用される任意のタイプのセンサ(例えば、光学的なセンサ、磁気的なセンサ、容量的なセンサ、等)に対して、適用することができる。同期化およびノブ位置に関するタイミング図2502は、円筒形シャフト1502上の投薬量インジケータマーク1504の上側インジケータ1702,2406を検出することにより、生成される。このタイミング図2502は、同期化クロック信号を提供する。この同期化クロック信号により、下側のインジケータ1704,2408からの信号が試験される。言い換えれば、同期化およびノブ位置に関するタイミング図2502の各々の立ち下がりエッジのたびごとに、下側のインジケータ1704,2408から信号の値が、読み取られる。図25においては、同期化およびノブ位置に関するタイミング図2502の各々の立ち下がりエッジから3つのタイミング図2504,2506,2508へと上向きに引かれた鉛直方向の破線は、他のタイミング図2504,2506,2508にプロットされた信号値が、同期化およびノブ位置に関するタイミング図2502の各々の立ち下がりエッジに対応したタイミングで評価されることを、意味している。
【0052】
よって、第1の(すなわち、最も上の)例のタイミング図2504の数値は、インシュリンタイプNo.1に対する8ビット2値コードであって、“10001000”とされており、10進法では“136”である。第2の(すなわち、中央の)例のタイミング図2506の数値は、インシュリンタイプNo.2に対する8ビット2値コードであって、“11011000”とされており、10進法では“216”である。第3の(すなわち、最も下の)例のタイミング図2508の数値は、インシュリンタイプNo.3に対する8ビット2値コードであって、“11111000”とされており、10進法では“248”である。
【0053】
図26Aは、図1の薬剤搬送デバイス100に対して取り付けられた全組立された自動化投薬量観測装置の例示としての一実施形態を、延伸位置で示している。図26Bは、図1の薬剤搬送デバイス100に対して取り付けられた全組立された自動化投薬量観測装置の例示としての一実施形態を、退避位置で示している。図26Aにおける自動化投薬量観測装置1600は、係合されており、80ユニットという投薬量を注射するための待ち受け状態とされている(ニードルが取り付けられていることが仮定されている)。図26Bにおける自動化投薬量観測装置1600は、係合解除されている。
【0054】
さて、図27には、本発明のいくつかの実施形態による方法の一例2700を示すフローチャートが示されている。まず最初に、自動化投薬量セット装置1300が、薬剤搬送デバイス100に対して、取り付けられる(ステップ2702)。検体観測システムあるいは他の体調データ管理デバイスからの信号が、自動化投薬量セット装置1300に対して送信される(ステップ2704)。この信号は、投与すべき適切な投薬量を表す情報を有している。自動化投薬量セット装置1300は、受信した投薬量に対応したセット量へと、薬剤搬送デバイス100の投薬量ノブを回転駆動する(ステップ2706)。いくつかの実施形態においては、自動化投薬量セット装置1300は、セットされた投薬量を観測することができる。これにより、適正な投薬量が実際にセットされたかどうかを検証することができる。そのような実施形態においては、自動化投薬量セット装置1300は、適正な投薬量がセットされたことを通知することができる。あるいは、意図した投薬量とは異なる投薬量がセットされたときには、アラームを通知することができる。いくつかの実施形態においては、そのような通知やアラームは、可聴信号によっておよび/またはディスプレイ表示によって、行うことができる。
【0055】
いくつかの実施形態においては、自動化投薬量セット装置1300は、薬剤の投与時には、薬剤搬送デバイス100の移動を観測することによって、薬剤の投与を観測することができる(ステップ2708)。そのような実施形態においては、自動化投薬量セット装置1300は、検体観測システムあるいは他の体調データ管理デバイスに対して、投与された薬剤の投薬量(およびタイプ)を表す信号を送信することができる(ステップ2710)。
【0056】
さて、図28には、本発明のいくつかの実施形態による方法の一例2800を示すフローチャートが示されている。まず最初に、自動化投薬量観測装置1600が、薬剤搬送デバイス100に対して、取り付けられる(ステップ2802)。薬剤の投与時には、薬剤搬送デバイス100の移動が、自動化投薬量観測装置1600によって観測される(ステップ2804)。自動化投薬量観測装置1600は、検体観測システムあるいは他の体調データ管理デバイスに対して、投与された薬剤の投薬量(およびタイプ)を表す信号を、投与の時刻および日付と一緒に、送信する(ステップ2806)。
【0057】
上記の説明は、本発明の例示としてのいくつかの実施形態を開示しているに過ぎない。上述したような装置やシステムや方法の修正は、本発明の範囲内であって、当業者には自明であろう。したがって、本発明は、例示としてのいくつかの実施形態に関連して開示されているけれども、他の実施形態が、特許請求の範囲によって規定された本発明の範囲内であることは、理解されるであろう。
【符号の説明】
【0058】
100 薬剤搬送デバイス
104 投薬量ノブ
106 ハウジング
200 薬剤搬送デバイス
204 投薬量ノブ
206 ハウジング
302 投薬量ステム
400 下側ケーシング(第1部分)
500 上側ケーシング(第2部分)
502 円筒形シャフト
600 自動化投薬量セット装置
1002 アクチュエータ
1004 アクチュエータ
1300 自動化投薬量セット装置
1400 下側ケーシング(第1部分)
1500 上側ケーシング(第2部分)
1600 自動化投薬量観測装置
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図13A
図13B
図14
図15
図16
図17
図18A
図18B
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26A
図26B
図27
図28