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特許7343454機械学習装置、積層造形システム、溶接条件の機械学習方法、溶接条件の決定方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-04
(45)【発行日】2023-09-12
(54)【発明の名称】機械学習装置、積層造形システム、溶接条件の機械学習方法、溶接条件の決定方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   B23K 31/00 20060101AFI20230905BHJP
   B23K 9/04 20060101ALI20230905BHJP
   B23K 9/032 20060101ALI20230905BHJP
   B23K 9/095 20060101ALI20230905BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20230905BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20230905BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20230905BHJP
【FI】
B23K31/00 Z
B23K9/04 Z
B23K9/032 Z
B23K9/04 G
B23K9/095 501A
B33Y50/02
B33Y30/00
B33Y10/00
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020123775
(22)【出願日】2020-07-20
(65)【公開番号】P2022020339
(43)【公開日】2022-02-01
【審査請求日】2022-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】黄 碩
【審査官】柏原 郁昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-006378(JP,A)
【文献】特開2020-001059(JP,A)
【文献】国際公開第2020/079816(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 31/00
B23K 9/04
B23K 9/032
B23K 9/095
B33Y 50/02
B33Y 30/00
B33Y 10/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶加材を溶着して溶接ビードを積層することで積層造形物を造形する際の溶接条件の機械学習を行う機械学習装置であって、
溶接ビードの溶接条件と当該溶接ビードが構成するブロックパターンとを入力データとし、前記溶接ビードの形状データを出力データとする学習済みモデルを生成するための学習処理を行う学習処理手段
を有することを特徴とする機械学習装置。
【請求項2】
前記ブロックパターンは、1層×2列の2パスから構成されるパターン、2層×1列の2パスから構成されるパターン、3層×1列の3パスから構成されるパターン、2層×2列の4パスから構成されるパターンを含むことを特徴とする請求項1に記載の機械学習装置。
【請求項3】
前記形状データは、溶接ビードの高さ、幅、および体積の少なくともいずれかを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の機械学習装置。
【請求項4】
前記溶接条件は、前記溶加材の送給速度、前記積層造形物が造形されるベース上での狙い位置、造形時の入熱量、トーチの移動速度、または、パス間時間の少なくともいずれかを含むことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の機械学習装置。
【請求項5】
前記学習処理手段は、ニューラルネットワークを用いた教師あり学習の手法を用いて前記学習処理を行うことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の機械学習装置。
【請求項6】
溶加材を溶着して溶接ビードを積層することで積層造形物を造形する積層造形システムであって、
前記積層造形物の設計データに基づいて、当該積層造形物を構成する複数の溶接ビードに対応する複数のパスデータを作成する作成手段と、
前記作成手段にて作成された複数のパスデータそれぞれに対応する溶接ビードを形成する際の溶接条件を決定する決定手段と、
溶接ビードを形成する際の配置に基づき、当該溶接ビードが構成するブロックパターンを特定する特定手段と、
溶接ビードの溶接条件と、当該溶接ビードが構成するブロックパターンとを入力データとし、前記溶接ビードの形状データを出力データとして学習処理が行われることで生成された学習済みモデルに、前記決定手段にて決定されたパスデータに対応する溶接条件と前記特定手段にて特定されたブロックパターンを入力することで、当該パスデータに対応する形状データを導出する導出手段と、
前記導出手段にて導出された形状データと、前記作成手段にて作成したパスデータにて示される形状データとの差分が所定の閾値を超えないように、前記溶接条件を調整する調整手段と
を有することを特徴とする積層造形システム。
【請求項7】
前記調整手段は、前記作成手段によるパスデータを生成する際の条件を変更することを繰り返すことで、前記溶接条件を調整することを特徴とする請求項6に記載の積層造形システム。
【請求項8】
前記作成手段は、
前記積層造形物の設計データを所定の積層方向に直交する方向にて1または複数の層に分割することで1または複数のスライスデータを生成する第1の分割手段と、
前記第1の分割手段にて生成された1または複数のスライスデータそれぞれを複数のパスデータに分割する第2の分割手段と
を有することを特徴とする請求項6または7に記載の積層造形システム。
【請求項9】
前記特定手段は、パスデータに対応する溶接ビードが構成する1または複数のブロックパターンを特定することを特徴とする請求項6~8のいずれか一項に記載の積層造形システム。
【請求項10】
前記導出手段は、ブロックパターンに対して予め規定された優先度に基づいて、前記特定手段にて特定された1または複数のブロックパターンに対して順に、前記パスデータに対応する形状データを導出することを特徴とする請求項9に記載の積層造形システム。
【請求項11】
前記決定手段は、溶接ビードの形状と溶接条件とが予め対応付けられたデータベースを用いて、前記作成手段にて作成されたパスデータに対応する溶接ビードを形成する際の溶接条件を決定することを特徴とする請求項6~10のいずれか一項に記載の積層造形システム。
【請求項12】
溶接ビードが形成された際に当該溶接ビードの形状データを取得する取得手段と、
前記溶接ビードが形成された際にすでに形成されている他の溶接ビードとの位置関係に基づき、当該溶接ビードが構成するブロックパターンを設定する設定手段と、
前記溶接ビードのパスデータと、前記取得手段にて取得した形状データと、前記設定手段にて特定したブロックパターンとに基づいて、前記学習処理を行う際に用いられる学習用データを生成する生成手段と
を更に有することを特徴とする請求項6~11のいずれか一項に記載の積層造形システム。
【請求項13】
溶加材を溶着して溶接ビードを積層することで積層造形物を造形する際の溶接条件の機械学習方法であって、
溶接ビードの溶接条件と当該溶接ビードが構成するブロックパターンとを入力データとし、前記溶接ビードの形状データを出力データとする学習済みモデルを生成するための学習処理を行う学習処理工程
を有することを特徴とする機械学習方法。
【請求項14】
溶加材を溶着して溶接ビードを積層することで積層造形物を造形する積層造形システムにおける溶接条件の決定方法であって、
前記積層造形物の設計データに基づいて、当該積層造形物を構成する複数の溶接ビードに対応する複数のパスデータを作成する作成工程と、
前記作成工程にて作成された複数のパスデータそれぞれに対応する溶接ビードを形成する際の溶接条件を決定する決定工程と、
溶接ビードを形成する際の配置に基づき、当該溶接ビードが構成するブロックパターンを特定する特定工程と、
溶接ビードの溶接条件と、当該溶接ビードが構成するブロックパターンとを入力データとし、前記溶接ビードの形状データを出力データとして学習処理が行われることで生成された学習済みモデルに、前記決定工程にて決定されたパスデータに対応する溶接条件と前記特定工程にて特定されたブロックパターンを入力することで、当該パスデータに対応する形状データを導出する導出工程と、
前記導出工程にて導出された形状データと、前記作成工程にて作成したパスデータにて示される形状データとの差分が所定の閾値を超えないように、前記溶接条件を調整する調整工程と
を有することを特徴とする溶接条件の決定方法。
【請求項15】
コンピュータに、
積層造形物を構成する溶接ビードの溶接条件と当該溶接ビードが構成するブロックパターンとを入力データとし、前記溶接ビードの形状データを出力データとする学習済みモデルを生成するための学習処理を行う学習処理工程
を実行させるためのプログラム。
【請求項16】
コンピュータに、
溶加材を溶着して溶接ビードを積層することで造形される積層造形物の設計データに基づいて、当該積層造形物を構成する複数の溶接ビードに対応する複数のパスデータを作成する作成工程と、
前記作成工程にて作成された複数のパスデータそれぞれに対応する溶接ビードを形成する際の溶接条件を決定する決定工程と、
溶接ビードを形成する際の配置に基づき、当該溶接ビードが構成するブロックパターンを特定する特定工程と、
溶接ビードの溶接条件と、当該溶接ビードが構成するブロックパターンとを入力データとし、前記溶接ビードの形状データを出力データとして学習処理が行われることで生成された学習済みモデルに、前記決定工程にて決定されたパスデータに対応する溶接条件と前記特定工程にて特定されたブロックパターンを入力することで、当該パスデータに対応する形状データを導出する導出工程と、
前記導出工程にて導出された形状データと、前記作成工程にて作成したパスデータにて示される形状データとの差分が所定の閾値を超えないように、前記溶接条件を調整する調整工程と
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、機械学習装置、積層造形システム、溶接条件の機械学習方法、溶接条件の決定方法、およびプログラムに関する。より詳しくは、溶接ビードを積層することで積層造形物を造形する際の造形条件の決定技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、溶接ビードを積層することで積層造形物を造形することが行われている。積層造形を行う際には、その造形精度を向上させるために様々な溶接条件を考慮して制御する必要がある。このような溶接条件は多くの組み合わせが生じるため、適切な溶接条件の抽出は、人手で行う場合には非常に複雑かつ煩雑なものとなっていた。
【0003】
上記のような状況に関し、例えば、特許文献1では、溶接装置において、熟練した作業者の教示なしで最適な溶接条件を自動的に決定するための学習装置が開示されている。この場合に、学習に用いる情報としては、ビードの外観、ビードの高さや幅、溶け込み量などが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-30014号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、積層造形の際の溶接条件の調整において、ビード形状(幅や高さなど)の変化傾向を把握するには、非常に多くの条件組み合わせが考えられるため、適切な組み合わせを特定することは困難である。また、ビードを形成する際に、そのビードとすでに形成された周辺のビードとの関係により、同じ溶接条件であっても形成されるビードの形状が変動し得る。例えば、溶接条件とビードの配置パターンの組み合わせを規定したデータベースを作成することが考えられるが、ビードの配置パターンは多数あり、溶接条件と対応付けてデータベースを作成するには複雑かつ煩雑となる。上述した特許文献1では、このような配置パターンに応じたビード形状の変化傾向については考慮されておらず、この点からも改善の余地があった。
【0006】
上記課題を鑑み、本願発明は、積層造形物の造形時におけるより適切な溶接条件を決定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本願発明は以下の構成を有する。
(1) 溶加材を溶着して溶接ビードを積層することで積層造形物を造形する際の溶接条件の機械学習を行う機械学習装置であって、
溶接ビードの溶接条件と当該溶接ビードが構成するブロックパターンとを入力データとし、前記溶接ビードの形状データを出力データとする学習済みモデルを生成するための学習処理を行う学習処理手段
を有することを特徴とする機械学習装置。
【0008】
また、本願発明の別の一形態として、以下の構成を有する。
(2) 溶加材を溶着して溶接ビードを積層することで積層造形物を造形する積層造形システムであって、
前記積層造形物の設計データに基づいて、当該積層造形物を構成する複数の溶接ビードに対応する複数のパスデータを作成する作成手段と、
前記作成手段にて作成された複数のパスデータそれぞれに対応する溶接ビードを形成する際の溶接条件を決定する決定手段と、
溶接ビードを形成する際の配置に基づき、当該溶接ビードが構成するブロックパターンを特定する特定手段と、
溶接ビードの溶接条件と、当該溶接ビードが構成するブロックパターンとを入力データとし、前記溶接ビードの形状データを出力データとして学習処理が行われることで生成された学習済みモデルに、前記決定手段にて決定されたパスデータに対応する溶接条件と前記特定手段にて特定されたブロックパターンを入力することで、当該パスデータに対応する形状データを導出する導出手段と、
前記導出手段にて導出された形状データと、前記作成手段にて作成したパスデータにて示される形状データとの差分が所定の閾値を超えないように、前記溶接条件を調整する調整手段と
を有することを特徴とする積層造形システム。
【0009】
また、本願発明の別の一形態として、以下の構成を有する。
(3) 溶加材を溶着して溶接ビードを積層することで積層造形物を造形する際の溶接条件の機械学習方法であって、
溶接ビードの溶接条件と当該溶接ビードが構成するブロックパターンとを入力データとし、前記溶接ビードの形状データを出力データとする学習済みモデルを生成するための学習処理を行う学習処理工程
を有することを特徴とする機械学習方法。
【0010】
また、本願発明の別の一形態として、以下の構成を有する。
(4) 溶加材を溶着して溶接ビードを積層することで積層造形物を造形する積層造形システムにおける溶接条件の決定方法であって、
前記積層造形物の設計データに基づいて、当該積層造形物を構成する複数の溶接ビードに対応する複数のパスデータを作成する作成工程と、
前記作成工程にて作成された複数のパスデータそれぞれに対応する溶接ビードを形成する際の溶接条件を決定する決定工程と、
溶接ビードを形成する際の配置に基づき、当該溶接ビードが構成するブロックパターンを特定する特定工程と、
溶接ビードの溶接条件と、当該溶接ビードが構成するブロックパターンとを入力データとし、前記溶接ビードの形状データを出力データとして学習処理が行われることで生成された学習済みモデルに、前記決定工程にて決定されたパスデータに対応する溶接条件と前記特定工程にて特定されたブロックパターンを入力することで、当該パスデータに対応する形状データを導出する導出工程と、
前記導出工程にて導出された形状データと、前記作成工程にて作成したパスデータにて示される形状データとの差分が所定の閾値を超えないように、前記溶接条件を調整する調整工程と
を有することを特徴とする溶接条件の決定方法。
【0011】
また、本願発明の別の一形態として、以下の構成を有する。
(5) コンピュータに、
積層造形物を構成する溶接ビードの溶接条件と当該溶接ビードが構成するブロックパターンとを入力データとし、前記溶接ビードの形状データを出力データとする学習済みモデルを生成するための学習処理を行う学習処理工程
を実行させるためのプログラム。
【0012】
また、本願発明の別の一形態として、以下の構成を有する。
(6) コンピュータに、
溶加材を溶着して溶接ビードを積層することで造形される積層造形物の設計データに基づいて、当該積層造形物を構成する複数の溶接ビードに対応する複数のパスデータを作成する作成工程と、
前記作成工程にて作成された複数のパスデータそれぞれに対応する溶接ビードを形成する際の溶接条件を決定する決定工程と、
溶接ビードを形成する際の配置に基づき、当該溶接ビードが構成するブロックパターンを特定する特定工程と、
溶接ビードの溶接条件と、当該溶接ビードが構成するブロックパターンとを入力データとし、前記溶接ビードの形状データを出力データとして学習処理が行われることで生成された学習済みモデルに、前記決定工程にて決定されたパスデータに対応する溶接条件と前記特定工程にて特定されたブロックパターンを入力することで、当該パスデータに対応する形状データを導出する導出工程と、
前記導出工程にて導出された形状データと、前記作成工程にて作成したパスデータにて示される形状データとの差分が所定の閾値を超えないように、前記溶接条件を調整する調整工程と
を実行させるためのプログラム。
【発明の効果】
【0013】
本願発明により、積層造形物の造形時におけるより適切な溶接条件を決定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本願発明の一実施形態に係る積層造形システムの構成例を示す概略構成図。
図2】ビードの形状データを説明するための概念図。
図3】本願発明の一実施形態に係るブロックパターンの例を示す概念図。
図4】本願発明の一実施形態に係る学習の概念を説明するための概略図。
図5】本願発明の一実施形態に係る積層造形物の設計データからビード要素を求める際の概念を説明するための概略図。
図6】本願発明の一実施形態に係るブロックパターンの対応付けを説明するための概略図。
図7】本願発明の一実施形態に係る積層条件の決定処理のフローチャート。
図8】本願発明の一実施形態に係る学習用データの生成処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本願発明を実施するための形態について図面などを参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本願発明を説明するための一実施形態であり、本願発明を限定して解釈されることを意図するものではなく、また、各実施形態で説明されている全ての構成が本願発明の課題を解決するために必須の構成であるとは限らない。また、各図面において、同じ構成要素については、同じ参照番号を付すことにより対応関係を示す。
【0016】
<第1の実施形態>
以下、本願発明の第1の実施形態について説明を行う。
【0017】
[システム構成]
以下、本願発明の一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本願発明を適用可能な積層造形システムの概略構成図である。
【0018】
本実施形態に係る積層造形システム1は、積層造形装置100、および、積層造形装置100を統括制御する情報処理装置200を含んで構成される。
【0019】
積層造形装置100は、溶接ロボット104、トーチ102に溶加材(溶接ワイヤ)Mを供給する溶加材供給部105、溶接ロボット104を制御するロボットコントローラ106、および電源107を含んで構成される。
【0020】
溶接ロボット104は、多関節ロボットであり、先端軸に設けたトーチ102には、溶加材Mが連続供給可能に支持される。トーチ102は、溶加材Mを先端から突出した状態に保持する。トーチ102の位置や姿勢は、溶接ロボット104を構成するロボットアームの自由度の範囲で3次元的に任意に設定可能となっている。
【0021】
トーチ102は、シールドノズル(不図示)を有し、シールドノズルからシールドガスが供給される。シールドガスは、大気を遮断し、溶接中の溶融金属の酸化、窒化などを防いで溶接不良を抑制する。本実施形態で用いられるアーク溶接法としては、被覆アーク溶接や炭酸ガスアーク溶接等の消耗電極式、TIG溶接やプラズマアーク溶接等の非消耗電極式のいずれであってもよく、造形する積層造形物Wに応じて適宜選定される。
【0022】
トーチ102近傍には、トーチ102の動きに追従して移動可能な形状センサ101が備えられる。形状センサ101は、ベース103上に形成された積層造形物Wの形状を検知する。本実施形態では、形状センサ101により、積層造形物Wを構成する溶接ビード108(単に、「ビード」とも称する)の高さや位置、幅などを検出可能であるものとする。形状センサ101にて検出された情報は、情報処理装置200へ送信される。なお、形状センサ101の構成は、特に限定するものではなく、接触により形状を検出する構成(接触式センサ)であってもよいし、レーザなどにより検出するような構成(非接触式センサ)であってもよい。
【0023】
溶接ロボット104において、アーク溶接法が消耗電極式の場合、シールドノズルの内部にはコンタクトチップが配置され、溶融電流が給電される溶加材Mがコンタクトチップに保持される。トーチ102は、溶加材Mを保持しつつ、シールドガス雰囲気で溶加材Mの先端からアークを発生する。溶加材Mは、ロボットアーム等に取り付けた繰り出し機構(不図示)により、溶加材供給部105からトーチ102に送給される。そして、トーチ102を移動しつつ、連続送給される溶加材Mを溶融及び凝固させると、溶加材Mの溶融凝固体である線状の溶接ビード108がベース103上に形成される。溶接ビード108が積層されることで、積層造形物Wが造形されることとなる。
【0024】
なお、溶加材Mを溶融させる熱源としては、上記したアークに限らない。例えば、アークとレーザとを併用した加熱方式、プラズマを用いる加熱方式、電子ビームやレーザを用いる加熱方式等、他の方式による熱源を採用してもよい。電子ビームやレーザにより加熱する場合、加熱量を更に細かく制御でき、溶接ビード108の状態をより適正に維持して、積層造形物Wの更なる品質向上に寄与できる。
【0025】
ロボットコントローラ106は、情報処理装置200からの指示に基づき、所定の駆動プログラムにより溶接ロボット104を駆動させ、ベース103上に積層造形物Wを造形させる。つまり、溶接ロボット104は、ロボットコントローラ106からの指令により、溶加材Mをアークで溶融させながらトーチ102を移動させる。電源107は、ロボットコントローラ106に溶接に要する電力を供給する溶接電源である。電源107は、複数の制御モードで動作可能であり、制御モードに応じて、ロボットコントローラ106への電源供給の際の電力(電流や電圧など)を切り替えることが可能である。溶加材供給部105は、情報処理装置200からの指示に基づき、溶接ロボット104のトーチ102への溶加材Mの供給および送給速度を制御する。
【0026】
情報処理装置200は、例えば、PC(Personal Computer)などの情報処理装置などであってよい。図1に示す各機能は、不図示の制御部が、不図示の記憶部に記憶された本実施形態に係る機能のプログラムを読み出して実行することで実現されてよい。記憶部としては、揮発性の記憶領域であるRAM(Random Access Memory)や、不揮発性の記憶領域であるROM(Read Only Memory)やHDD(Hard Disk Drive)などが含まれてよい。また、制御部としては、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphical Processing Unit)、またはGPGPU(General-Purpose computing on Graphics Processing Units)などが用いられてよい。
【0027】
情報処理装置200は、造形制御部201、電源制御部202、送給制御部203、DB管理部204、形状データ取得部205、学習用データ管理部206、学習処理部207、および溶接条件導出部208を含んで構成される。造形制御部201は、造形しようとする積層造形物Wの設計データ(例えば、CAD/CAMデータなど)に基づき、造形の際のロボットコントローラ106に対する制御信号を生成する。ここでの制御信号は、溶接ロボット104によるトーチ102の移動軌跡や溶接ビード108の形成時の溶接条件、溶加材供給部105による溶加材Mの送給速度などを含む。トーチ102の移動軌跡は、ベース103上に溶接ビード108を形成している最中のトーチ102の軌跡に限定するものではなく、例えば、溶接ビード108を形成する開始位置へのトーチ102の軌跡などをも含むものとする。
【0028】
電源制御部202は、電源107によるロボットコントローラ106への電源供給(制御モード)を制御する。制御モードに応じて、同じ形状のビードを形成する際の電流や電圧の値、電流の波形(パルス)なども異なり得る。また、電源制御部202は、電源107から、ロボットコントローラ106に対して提供している電流や電圧の情報を適時取得する。
【0029】
送給制御部203は、溶加材供給部105による溶加材Mの送給速度や送給タイミングを制御する。ここでの溶加材Mの送給制御は、繰り出し(正送給)のみならず、戻し(逆送給)も含むものとする。DB管理部204は、本実施形態に係るDB(データベース)を管理する。本実施形態に係るDBの詳細は後述する。形状データ取得部205は、形状センサ101にて検出された、ベース103上に形成された溶接ビード108の形状データを取得する。
【0030】
学習用データ管理部206は、学習処理部207にて行われる学習処理にて用いられる学習用データの生成および管理を行う。学習処理部207は、学習用データ管理部206にて管理されている学習用データを用いて、学習処理を行う。本実施形態に係る学習用データおよび学習処理の詳細は後述する。また、学習処理部207は、学習処理の結果として得られる学習済みモデルを管理する。
【0031】
溶接条件導出部208は、学習処理部207にて生成された学習済みモデルを用いて、造形制御部201にて用いられる溶接条件を導出し、造形制御部201に通知する。溶接条件導出部208による処理については、後述する。
【0032】
本実施形態では、図1に示すように、円柱状のベース103上にてトーチ102を移動させて溶接ビード108を形成して積層造形物Wを造形する構成を例に挙げて説明する。図1において、本実施形態においてベース103は、円柱の平面上に積層造形物Wが造形されるような構成を示しているが、これに限定するものではない。例えば、ベース103が円柱状にて構成され、その側面外周に溶接ビード108が形成されるような構成であってもよい。また、本実施形態に係る設計データにおける座標系と、積層造形物Wが造形されるベース103上での座標系は対応付けられており、任意の位置を原点として、3次元における位置が規定されるように座標系の3軸(X軸、Y軸、Z軸)が設定されているものとする。
【0033】
上記構成の積層造形システム1は、設定された造形データから規定されるトーチ102の移動軌跡に従って、トーチ102を溶接ロボット104の駆動により移動させながら、溶加材Mを溶融させ、溶融した溶加材Mをベース103上に供給する。これにより、ベース103の上面に複数の線状の溶接ビード108が並べられて積層された積層造形物Wが造形される。
【0034】
[造形時の制御パラメータ]
積層造形物Wを造形する際には、電源107の動作状態や、装置固有の特性、積層造形物Wの構成などに起因して、様々な制御パラメータを決定、調整する必要がある。積層造形を行う際に考慮される制御パラメータとしての項目、および、形成されるビードの形状を示すデータ項目の例を以下に示す。
【0035】
(制御パラメータ)
・溶接条件(ワイヤ送り速度、溶接速度、トーチの移動速度など)
・溶接電源の種類や、電流や電圧に対する制御プロファイル
・始端/終端処理条件(ビードの始端や終端の形成における電流や電圧の印加条件)
・使用ワイヤ(ワイヤ種、ワイヤ径など)、ワイヤ成分(粘度、表面張力などの物性値)
・パス間温度、パス間時間
・上下左右または斜め方向にて隣接するビード(以下、「隣接ビード」と称する)の温度
・トーチの角度
・溶加材の溶着量
・狙い位置(隣接ビードとの距離など)
・ウィービング条件(ウィービングにおける周波数や振幅)
【0036】
(形状データ)
・ビードの高さ、幅、根元部の角度、体積
・下層形状
・積層部材の表面形状、表面凹凸の大きさ
・積層部品の全体形状(全体高さ、幅、体積など)
・ビードの始端/終端の形状
・内部欠陥の有無、大きさ
・溶け込み部や熱影響部(HAZ:Heat-Affected Zone)の領域形状(深さ、幅)
【0037】
なお、上記に示した各項目は一例であり、これらの一部が用いられてもよいし、他の項目が用いられてもよい。
【0038】
図2は、溶接ビードの形状データを説明するための概念図である。図2は、ベース103上に溶接ビード108が形成された状態において、形成時のトーチ102の進行方向から見た断面を示している。図2に示すように、溶接ビード108の形状データとしては、高さh、幅w、根元部の角度α、表面凹凸などの情報を用いることが可能である。
【0039】
[データベース]
本実施形態においては、溶接条件とその溶接条件にて形成される溶接ビードの形状情報との関係性を示すデータベースを用いる。このデータベースは、DB管理部204にて管理されており、予め規定されているものとする。
【0040】
データベースにおいては、溶接条件としての予め規定された制御パラメータと、その制御パラメータを用いて溶接を行った際に形成されるビードの形状の情報とが対応付けて保持されているものとする。溶接条件の項目としては、上述したような制御パラメータが含まれる。また、ビード形状の情報の項目としても、上述したような形状データの項目が含まれる。本実施形態に係るデータベースでは、溶接ビード108がベース103上に形成された場合の溶接条件と形状データとが対応付けられていてもよい。または、所定の形状にて形成された溶接ビード108上に積層して形成された場合の溶接条件と形状データとが対応付けられていてもよい。もしくは、その両方の情報が含まれていてもよい。
【0041】
[ブロックパターン]
上述したように、本実施形態においては、複数のビードを積層させることで積層造形物Wを造形する。このとき、あるビードに着目した場合、周囲に位置するビードとの位置関係や、ベース103上の位置などに応じて、複数のパターンを規定することができる。このパターンを、本実施形態ではブロックパターンと称して説明する。
【0042】
図3は、本実施形態に係るブロックパターンの基礎的な分類の例を示す図であり、ビードの形成方向側から見た断面形状を示した概略図である。ここでは説明を簡単にするため、ビードの断面を台形等にて簡略化して示す。ブロックパターンは、構成するビードの数(パス数)に応じて規定され、本実施形態では、1パス~5パスにて構成される10種類のブロックパターンを例に挙げて説明する。
【0043】
1パスから構成されるブロックパターンは1種類(ブロックパターンa)であり、隣接ビードが無い構成である。2パスから構成されるブロックパターンは3種類(ブロックパターンb~d)である。より具体的には、ブロックパターンbは、ビードの幅方向に2つのビードが並んだ構成(1層×2列)である。ブロックパターンcは、高さ方向に2つのビードが重なり、ビードの幅方向の中心位置が一致している構成(2層×1列)である。ブロックパターンcは、高さ方向に2つのビードが重なり、ビードの幅方向の中心位置が異なっている構成(2層×1列)である。
【0044】
3パスから構成されるブロックパターンは、3種類(ブロックパターンe~g)である。より具体的には、ブロックパターンeは、ビードの幅方向に2つのビードが並び、その一方にて高さ方向に2つのビードが重なった構成(2層×1列+1層×1列)である。ブロックパターンfは、高さ方向に3つのビードが重なり、ビードの幅方向の中心位置が一致している構成(3層×1列)である。ブロックパターンgは、高さ方向に3つのビードが重なり、ビードの幅方向の中心位置が異なっている構成(3層×1列)である。
【0045】
4パスから構成されるブロックパターンは、2種類(ブロックパターンh~i)である。より具体的には、ブロックパターンhは、ビードの幅方向に2つのビードが並び、その両方にて高さ方向に2つのビードが重なった構成(2層×2列)である。ブロックパターンiは、高さ方向に3つのビードが重なり、その最上位層に位置するビードに対して、幅方向に1つのビードが隣接している構成(3層×1列+最上位層への隣接ビードが1列)である。5パスから構成されるブロックパターンは、1種類(ブロックパターンj)である。より具体的には、高さ方向に3つのビードが重なり、その最上位層に位置するビードに対して、幅方向に2つのビードが並んで隣接している構成(3層×1列+最上位層への隣接ビードが2列)である。なお、積層されたビードのうち、最下層のビードは、ベース103上に形成されている状態に限られない。
【0046】
本実施形態において、溶接ビードは、上記のブロックパターンの少なくとも1つに対応付けられることとなる。なお、図3に示すブロックパターンの分類は一例であり、これに限定するものではない。例えば、造形しようとする積層造形物Wの形状やサイズ、溶加材Mの材質などに応じて、上記以外のブロックパターンが用いられてもよい。
【0047】
[学習処理]
本実施形態においては、学習手法として機械学習のうちのニューラルネットワークによるディープラーニング(深層学習)の手法を用い、教師あり学習を例に挙げて説明する。なお、ディープラーニングのより具体的な手法(アルゴリズム)は特に限定するものではなく、例えば、畳み込みニューラルネットワーク(CNN:Convolutional Neural Network)など公知の方法が用いられてよい。
【0048】
図4は、本実施形態に係る学習処理の概念を説明するための概略図である。まず、学習処理に用いられる学習用データを準備する。学習用データは、元データから学習に合わせた形式に変換することで準備する。元データとして、溶接条件、その溶接条件に基づいて形成されたビードの形状、および当該ビードのブロックパターンを用意する。ここではビード形状として、その要素の一つであるビードの高さを例に挙げて説明する。本実施形態では、学習処理に用いる学習用データとして、元データにおける溶接条件とブロックパターンを入力データとし、ビードの形状を教師データとして用いる。このような学習用データを複数用意する。ブロックパターンは、図3を用いて説明した構成とする。
【0049】
本実施形態では、上記の学習用データを用いて学習処理を行う。学習モデルに対して、学習用データとして用意された入力データ(ここでは、溶接条件およびブロックパターン)を入力すると、その入力データに対する出力データとして、ビードの形状データが出力される。この出力データは、ビード形状(高さ)に相当する。次に、この出力データと、学習用データとして用意された教師データ(ここでは、ビード形状(高さ))とを用いて、損失関数により誤差を導出する。そして、その誤差が小さくなるように、学習モデルにおける各パラメータが調整される。パラメータの調整には、例えば、誤差逆伝搬法などを用いてよい。このようにして、複数の学習用データを用いて繰り返し学習が行われることで、学習済みモデルが生成される。学習済みモデルは、学習処理の実行に伴ってその都度更新されるため、用いるタイミングに応じて、学習済みモデルを構成するパラメータは変更され、入力データに対する出力結果も異なる。
【0050】
なお、学習処理は、必ずしも情報処理装置200が実行する必要はない。例えば、情報処理装置200は、学習用のデータの提供を、情報処理装置200の外部に設けられた学習用のサーバ(不図示)に対して行い、当該サーバ側で学習処理を行うような構成であってもよい。そして、必要に応じて、当該サーバが情報処理装置200に学習済みモデルを提供するような構成であってもよい。このような学習用のサーバは、例えばインターネットなどのネットワーク(不図示)上に位置してよく、サーバと情報処理装置200は、通信可能に接続されているものとする。つまり、情報処理装置200が機械学習装置として動作してもよいし、外部装置が機械学習装置として動作してもよい。いずれの場合においても、情報処理装置200は、学習処理にて得られた学習済みモデルを取得し、積層造形物Wの造形時に利用可能であるものとする。
【0051】
図5は、本実施形態に係る処理において、設計データからビード要素を抽出する際の概念を説明するための図である。設計データは、積層造形物Wの設計形状を示すデータである。積層造形物Wは、設計データに基づき所定の積層方向に溶接ビードが積層して形成されることで造形される。図5の例では、矢印にて示した方向にビードが積層されるものとして説明する。なお、積層方向は、積層造形物Wの形状などに応じて、任意に設定可能であるものとする。
【0052】
まず、設計データにて積層方向が規定され、その積層方向に直交する方向にて1または複数の層に分割(スライス)される。これにより、1または複数のスライスデータが決定される。ここでのスライスデータの数(層数)は、設計データにて示される積層造形物Wのサイズ、形状、層の厚さなどに応じて変化する。スライスデータそれぞれは、更に、ビード形成時の1パスに相当するビード要素に分割される。
【0053】
図6は、着目したビード600に対応付けられるブロックパターンを説明するための図である。ここでは、ビード600が形成された時点において、ビード600に対応付けられるブロックパターンを例に挙げて説明する。下層から順に各ビードが形成され、ビード600の周辺にはすでに他のビードが形成されている。この場合において、ビード600は、図3に示したブロックパターンのうち、4パスのブロックパターンh(破線601)、3パスのブロックパターン(破線602)、および2パスのブロックパターンc(破線603)に対応付けることが可能である。
【0054】
[処理フロー]
(溶接条件の決定処理)
図7は、本実施形態に係る溶接条件の決定処理のフローチャートである。本処理は、情報処理装置200により実行、制御され、例えば、情報処理装置200が備えるCPUやGPUなどの処理部が図1に示した各部位を実現するためのプログラムを記憶部(不図示)から読み出して実行することにより実現されてよい。また、本処理フローが開始される前に、上述した学習処理が行われ、学習済みモデルが生成されているものとする。また、本処理は、積層造形物Wの造形が開始されることに伴って実行される。
【0055】
S701にて、情報処理装置200は、積層造形物Wの設計データを取得する。ここでの設計データは、積層造形物Wの形状等を指定したデータであり、ユーザの指示に基づいて作成される。設計データは、例えば、通信可能に接続された外部装置(不図示)から入力されてもよいし、情報処理装置200上にて所定のアプリケーション(不図示)を介して作成されてもよい。
【0056】
S702にて、情報処理装置200は、S701にて取得した設計データに基づいて1または複数のスライスデータを生成する。図5に示したように、所定の積層方向に対して直交する方向にて設定データを分割することにより、1または複数のスライスデータが生成される。ここで分割する際の層数や層の厚さなどの分割条件については特に限定するものではないが、積層造形システム1の機能等に応じて、複数の設定が選択可能であるとする。スライスデータを生成する際の層の厚さなどの分割条件は、生成されたスライスデータと併せて記憶部(不図示)にて記憶される。
【0057】
S703にて、情報処理装置200は、S702にて生成した1または複数のスライスデータそれぞれから複数のパスデータを生成する。図5に示したように、1のスライスデータを分割することにより、ビードの1パスに対応するパスデータが複数生成される。ここで分割する際のパス数や1パス当たりの幅などの分割条件については特に限定するものではないが、積層造形システム1の機能等に応じて、複数の設定が選択可能であるとする。パスデータを生成する際のパス数や幅などの分割条件は、生成されたパスデータと併せて記憶部(不図示)にて記憶される。ここでのパスデータは、ビードの形状を示す形状データの他、トーチ102の移動軌跡などの情報を含んでもよい。ここで作成された形状データは設計値に相当する。
【0058】
S704にて、情報処理装置200は、S703にて生成された複数のパスデータの中から、未処理のパスデータに着目する(以下、「着目パスデータ」と称する)。ここでの着目順は、例えば、パスデータに対応するビードの形成順であってよい。
【0059】
S705にて、情報処理装置200は、上述したDBを参照して、着目パスデータが示す形状のビードを形成するための溶接条件を特定する。上述したように、DBにおいて溶接条件とビードの形状データとが対応付けられており、形状データを指定することで、溶接条件を特定することが可能である。
【0060】
S706にて、情報処理装置200は、着目パスデータの配置に応じた1または複数のブロックパターンを特定する。パスデータに対応するビードを実際に形成した際の形成順に応じて、すでに形成されている隣接ビードは異なる。そのため各ビードの形成順に基づき、着目パスデータに対応する1または複数のブロックパターンが特定される。
【0061】
S707にて、情報処理装置200は、S706にて特定したブロックパターンの中から以降の処理が未実行のブロックパターンを選択する。ここでの選択方法は、特に限定するものではないが、例えば、各ブロックパターンに対して優先度を設定しておき、その優先度に基づいて選択するような構成であってもよい。より具体的には、ブロックパターンを構成するパス数が多い順に、ブロックパターンを選択するような構成であってもよい。
【0062】
S708にて、情報処理装置200は、すでに生成されている学習済みモデルに、S705にて特定した溶接条件と、S707にて選択したブロックパターンとを入力することで、着目パスデータに対応する形状データを出力データとして導出する。上述したように、ここで出力される形状データは、着目パスデータに対応するビードの高さに対応し、S705にて特定した溶接条件にてビードを形成した際の予測値となる。
【0063】
S709にて、情報処理装置200は、着目パスデータが示すビードの形状(設計値)と、S708にて導出したビードの形状(予測値)とを比較し、その差分(|設計値-予測値|;なお、|X|はXの絶対値を示す)が所定の閾値以上か否かを判定する。ここでの閾値は予め規定され、記憶部(不図示)にて保持、管理されているものとする。差分が閾値以上である場合(S709にてYES)、情報処理装置200の処理はS710へ進む。一方、差分が閾値よりも小さい場合(S709にてNO)、情報処理装置200の処理はS711へ進む。形状データとして、高さや幅など複数の項目を含む場合は、それぞれの差分を導出する。また、形状データにおいて、複数の項目が判定に用いられる場合には、各項目と閾値の比較の結果、すべての項目が閾値以上である場合にYESと判定してよい。この場合、閾値は各項目に対して設定されているものとする。
【0064】
S710にて、情報処理装置200は、S706にて特定したブロックパターン全てに対してS707~S709の処理を行ったか否かを判定する。未処理のブロックパターンがある場合(S710にてYES)、情報処理装置200の処理はS707へ戻り、以降の処理を繰り返す。一方、未処理のブロックパターンが無い場合(S710にてNO)、情報処理装置200の処理はS702へ戻り、以降の処理を繰り返す。この場合、スライスデータへの分割処理(S702)およびパスデータへの分割処理(S703)において用いられる分割条件は、以前行った際の分割条件とは異なるように設定される。つまり、ビードの形状の設計値が変化するように再度分割処理が行われることとなる。上述したように、本実施形態に係る情報処理装置200は、複数の分割条件を設定可能であるため、その中から未使用の分割条件が選択されることとなる。分割条件の変更の方法は特に限定するものではない。例えば、スライスデータへの分割処理の際の分割条件を優先的に変更し、その結果に応じて、パスデータへの分割処理の分割条件を変更するような構成であってもよいし、その逆であってもよい。
【0065】
S711にて、情報処理装置200は、現在特定している溶接条件を着目パスデータの溶接条件として決定する。
【0066】
S712にて、情報処理装置200は、すべてのパスデータに対する処理が完了したか否かを判定する。すべてのパスデータに対する処理が完了した場合(S712にてYES)、本処理フローは終了する。一方、未処理のパスデータがある場合(S712にてNO)、情報処理装置200の処理はS704へ戻り、以降の処理を繰り返す。
【0067】
上記のフローチャートでは、S710の判定処理においてNOの場合、S702の分割処理に戻るような構成であった。しかし、この構成に限定するものではなく、S703の分割処理に戻るような構成であってもよい。
【0068】
また、上記のフローチャートでは、積層造形物Wの設計データをまとめてパスデータに分割した上で、溶接条件を決定する構成であったが、これに限定するものではない。例えば、積層造形物Wの設計データを複数の部分に分割し、その複数の部分ごとに図7に示すような処理を行ってもよい。
【0069】
また、上記のフローチャートでは、ビードに対応するパスデータを分割し直すことで溶接条件を調整する例を示したが、これに限定するものではない。例えば、パスデータの形成順を変化させることで、着目パスデータに対応するブロックパターンを変化させて調整を行ってもよい。
【0070】
(学習用データ生成処理)
図8は、本実施形態に係る学習処理に用いられる学習用データの生成処理のフローチャートである。本処理は、情報処理装置200により実行、制御され、例えば、情報処理装置200が備えるCPUなどの処理部が図1に示した各部位を実現するためのプログラムを記憶部(不図示)から読み出して実行することにより実現されてよい。本実施形態では、積層造形物Wを造形する際に形成されるビードの形状データを、造形動作と並行して形状センサ101にて取得するものとして説明する。本処理フローは、積層造形物Wの造形の開始指示を受け付けたことにより開始される。なお、学習用データを生成するか否かは、積層造形システム1の利用者の指示に基づいてよく、利用者が選択可能に構成されてよい。
【0071】
S801にて、情報処理装置200は、積層造形物Wを造形するための複数のパスデータから、すでに規定された形成順に従って未処理のパスデータを選択し、当該パスデータに対応付けられた溶接条件を取得する。
【0072】
S802にて、情報処理装置200は、S801にて取得した溶接条件に基づいて溶接ロボット104にビードの形成を行わせる。
【0073】
S803にて、情報処理装置200は、S802にて形成されたビードの形状を、形状センサ101を用いて測定し、その測定結果を形状データとして取得する。ここでの計測結果は、ビードの高さ、幅、体積、根元部の角度、表面凹凸などの情報のうち少なくともいずれかが含まれるような構成であってよい。
【0074】
S804にて、情報処理装置200は、S803にて形成したビードと、すでに形成されている周囲のビードとの位置関係から、S803にて形成したビードに対応する1または複数のブロックパターンを特定する。ここでのブロックパターンの特定は、図6に示した方法により特定されるものとする。また、ブロックパターンの種類は、例えば、図3に示すように予め規定されているものとする。
【0075】
S805にて、情報処理装置200は、S801にて選択したパスデータ、S803にて取得した形状データ、および、S804にて特定したブロックパターンを対応付けて、記憶部(不図示)に記憶する。
【0076】
S806にて、情報処理装置200は、すべてのパスデータに対応するビードの形成が完了したか否かを判定する。未処理のパスデータがある場合には(S806にてNO)、情報処理装置200の処理はS801へ戻り、未処理のパスデータに対する処理を繰り返す。すべてのパスデータに対する処理が完了した場合、すなわち、積層造形物Wの造形が完了した場合(S806にてYES)、情報処理装置200の処理はS807へ進む。
【0077】
S807にて、情報処理装置200は、記憶した各種データを用いて、学習用データを生成する。図4を用いて説明したように、本実施形態に係る学習用データは、教師あり学習を想定して、入力データ(溶接条件、ブロックパターン)と教師データ(形状データ)との対から構成されており、この構成に合わせて学習用データが生成される。また、記憶されたデータにおいて、溶接条件や形状データに含まれる項目のうち、学習に必要となる項目のみを抽出してもよい。以降の学習処理において、ここで生成された学習用データが用いられることとなる。そして、本処理フローを終了する。
【0078】
なお、図8においては、ビードの形成と学習用データの生成が一連の流れにて行われる例を示した。しかし、この構成に限定するものではなく、所定のデータが蓄積されたタイミングにて学習用データを生成してもよい。または、情報処理装置200は、記憶したデータを外部装置(不図示)へ提供し、その外部装置にて学習用データを生成するような構成であってもよい。
【0079】
以上、本実施形態により、積層造形物の造形時におけるより適切な溶接条件を決定することが可能となる。
【0080】
<その他の実施形態>
また、本願発明において、上述した1以上の実施形態の機能を実現するためのプログラムやアプリケーションを、ネットワーク又は記憶媒体等を用いてシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。
【0081】
また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array))によって実現してもよい。
【0082】
以上の通り、本明細書には次の事項が開示されている。
(1) 溶加材を溶着して溶接ビードを積層することで積層造形物を造形する際の溶接条件の機械学習を行う機械学習装置であって、
溶接ビードの溶接条件と当該溶接ビードが構成するブロックパターンとを入力データとし、前記溶接ビードの形状データを出力データとする学習済みモデルを生成するための学習処理を行う学習処理手段
を有することを特徴とする機械学習装置。
この構成によれば、積層造形物の造形時におけるより適切な溶接条件を決定することが可能となる。特に、溶接条件を決定する際に、パスデータに対応するビードが構成するブロックパターンを考慮したより適切な溶接条件を決定するための学習済みモデルを生成することが可能となる。
【0083】
(2) 前記ブロックパターンは、1層×2列の2パスから構成されるパターン、2層×1列の2パスから構成されるパターン、3層×1列の3パスから構成されるパターン、2層×2列の4パスから構成されるパターンを含むことを特徴とする(1)に記載の機械学習装置。
この構成によれば、予め規定された比較的簡易なブロックパターンに基づいて、学習済みモデルを生成することで、学習処理における処理負荷を低減して効率的な学習が可能となる。
【0084】
(3) 前記形状データは、溶接ビードの高さ、幅、および体積の少なくともいずれかを含むことを特徴とする(1)または(2)に記載の機械学習装置。
この構成によれば、溶接ビードの任意の形状に着目した学習済みモデルを生成することが可能となる。
【0085】
(4) 前記溶接条件は、前記溶加材の送給速度、前記積層造形物が造形されるベース上での狙い位置、造形時の入熱量、トーチの移動速度、または、パス間時間の少なくともいずれかを含むことを特徴とする(1)~(3)のいずれかに記載の機械学習装置。
この構成によれば、様々な溶接条件の項目のうち、任意の項目に着目して学習済みモデルを生成することが可能となる。
【0086】
(5) 前記学習処理手段は、ニューラルネットワークを用いた教師あり学習の手法を用いて前記学習処理を行うことを特徴とする(1)~(4)のいずれかに記載の機械学習装置。
この構成によれば、ニューラルネットワークを用いた教師あり学習に対応した機械学習が可能となる。
【0087】
(6) 溶加材を溶着して溶接ビードを積層することで積層造形物を造形する積層造形システムであって、
前記積層造形物の設計データに基づいて、当該積層造形物を構成する複数の溶接ビードに対応する複数のパスデータを作成する作成手段と、
前記作成手段にて作成された複数のパスデータそれぞれに対応する溶接ビードを形成する際の溶接条件を決定する決定手段と、
溶接ビードを形成する際の配置に基づき、当該溶接ビードが構成するブロックパターンを特定する特定手段と、
溶接ビードの溶接条件と、当該溶接ビードが構成するブロックパターンとを入力データとし、前記溶接ビードの形状データを出力データとして学習処理が行われることで生成された学習済みモデルに、前記決定手段にて決定されたパスデータに対応する溶接条件と前記特定手段にて特定されたブロックパターンを入力することで、当該パスデータに対応する形状データを導出する導出手段と、
前記導出手段にて導出された形状データと、前記作成手段にて作成したパスデータにて示される形状データとの差分が所定の閾値を超えないように、前記溶接条件を調整する調整手段と
を有することを特徴とする積層造形システム。
この構成によれば、積層造形物の造形時におけるより適切な溶接条件を決定することが可能となる。特に、溶接条件を決定する際に、パスデータに対応するビードが構成するブロックパターンを考慮したより適切な溶接条件を決定することが可能となる。
【0088】
(7) 前記調整手段は、前記作成手段によるパスデータを生成する際の条件を変更することを繰り返すことで、前記溶接条件を調整することを特徴とする(6)に記載の積層造形システム。
この構成によれば、設計データに基づくパスデータを生成する際の条件を調整することで、溶接ビードを形成するための多くの溶接条件に含まれる個々の項目の値を調整する必要がなく、処理負荷を抑えて溶接条件の決定が容易になる。
【0089】
(8) 前記作成手段は、
前記積層造形物の設計データを所定の積層方向に直交する方向にて1または複数の層に分割することで1または複数のスライスデータを生成する第1の分割手段と、
前記第1の分割手段にて生成された1または複数のスライスデータそれぞれを複数のパスデータに分割する第2の分割手段と
を有することを特徴とする(6)または(7)に記載の積層造形システム。
この構成によれば、積層造形物の設計データに応じた任意のパスデータを生成することが可能となる。
【0090】
(9) 前記特定手段は、パスデータに対応する溶接ビードが構成する1または複数のブロックパターンを特定することを特徴とする(6)~(8)のいずれかに記載の積層造形システム。
この構成によれば、1のパスデータに対して1または複数のブロックパターンを特定して、溶接条件の判定処理を行うことが可能となる。
【0091】
(10) 前記導出手段は、ブロックパターンに対して予め規定された優先度に基づいて、前記特定手段にて特定された1または複数のブロックパターンに対して順に、前記パスデータに対応する形状データを導出することを特徴とする(9)に記載の積層造形システム。
この構成によれば、ブロックパターンに対して予め規定された任意の優先度に応じて、1のパスデータに対して特定された1または複数のブロックパターンを順番に溶接条件の判定処理を行うことが可能となる。
【0092】
(11) 前記決定手段は、溶接ビードの形状と溶接条件とが予め対応付けられたデータベースを用いて、前記作成手段にて作成されたパスデータに対応する溶接ビードを形成する際の溶接条件を決定することを特徴とする(6)~(10)のいずれかに記載の積層造形システム。
この構成によれば、予めビードの形状データと溶接条件とが対応付けられたデータベースを用いて溶接条件を決定することで、溶接条件を決定する際に条件の項目を個々に調整する必要がなく、処理負荷を軽減することが可能となる。
【0093】
(12) 溶接ビードが形成された際に当該溶接ビードの形状データを取得する取得手段と、
前記溶接ビードが形成された際にすでに形成されている他の溶接ビードとの位置関係に基づき、当該溶接ビードが構成するブロックパターンを特定する特定手段と、
前記溶接ビードのパスデータと、前記取得手段にて取得した形状データと、前記特定手段にて特定したブロックパターンとに基づいて、前記学習処理を行う際に用いられる学習用データを生成する生成手段と
を更に有することを特徴とする(6)~(11)のいずれかに記載の積層造形システム。
この構成によれば、積層造形物の造形と併せて、以降の学習処理に用いる学習用データを生成できる。これを用いて学習処理を繰り返すことで、より適切な溶接条件を決定することが可能となる。
【0094】
(13) 溶加材を溶着して溶接ビードを積層することで積層造形物を造形する際の溶接条件の機械学習方法であって、
溶接ビードの溶接条件と当該溶接ビードが構成するブロックパターンとを入力データとし、前記溶接ビードの形状データを出力データとする学習済みモデルを生成するための学習処理を行う学習処理工程
を有することを特徴とする機械学習方法。
この構成によれば、積層造形物の造形時におけるより適切な溶接条件を決定することが可能となる。特に、溶接条件を決定する際に、パスデータに対応するビードが構成するブロックパターンを考慮したより適切な溶接条件を決定するための学習済みモデルを生成することが可能となる。
【0095】
(14) 溶加材を溶着して溶接ビードを積層することで積層造形物を造形する積層造形システムにおける溶接条件の決定方法であって、
前記積層造形物の設計データに基づいて、当該積層造形物を構成する複数の溶接ビードに対応する複数のパスデータを作成する作成工程と、
前記作成工程にて作成された複数のパスデータそれぞれに対応する溶接ビードを形成する際の溶接条件を決定する決定工程と、
溶接ビードを形成する際の配置に基づき、当該溶接ビードが構成するブロックパターンを特定する特定工程と、
溶接ビードの溶接条件と、当該溶接ビードが構成するブロックパターンとを入力データとし、前記溶接ビードの形状データを出力データとして学習処理が行われることで生成された学習済みモデルに、前記決定工程にて決定されたパスデータに対応する溶接条件と前記特定工程にて特定されたブロックパターンを入力することで、当該パスデータに対応する形状データを導出する導出工程と、
前記導出工程にて導出された形状データと、前記作成工程にて作成したパスデータにて示される形状データとの差分が所定の閾値を超えないように、前記溶接条件を調整する調整工程と
を有することを特徴とする溶接条件の決定方法。
この構成によれば、積層造形物の造形時におけるより適切な溶接条件を決定することが可能となる。特に、溶接条件を決定する際に、パスデータに対応するビードが構成するブロックパターンを考慮したより適切な溶接条件を決定することが可能となる。
【0096】
(15) コンピュータに、
積層造形物を構成する溶接ビードの溶接条件と当該溶接ビードが構成するブロックパターンとを入力データとし、前記溶接ビードの形状データを出力データとする学習済みモデルを生成するための学習処理を行う学習処理工程
を実行させるためのプログラム。
この構成によれば、積層造形物の造形時におけるより適切な溶接条件を決定することが可能となる。特に、溶接条件を決定する際に、パスデータに対応するビードが構成するブロックパターンを考慮したより適切な溶接条件を決定するための学習済みモデルを生成することが可能となる。
【0097】
(16) コンピュータに、
溶加材を溶着して溶接ビードを積層することで造形される積層造形物の設計データに基づいて、当該積層造形物を構成する複数の溶接ビードに対応する複数のパスデータを作成する作成工程と、
前記作成工程にて作成された複数のパスデータそれぞれに対応する溶接ビードを形成する際の溶接条件を決定する決定工程と、
溶接ビードを形成する際の配置に基づき、当該溶接ビードが構成するブロックパターンを特定する特定工程と、
溶接ビードの溶接条件と、当該溶接ビードが構成するブロックパターンとを入力データとし、前記溶接ビードの形状データを出力データとして学習処理が行われることで生成された学習済みモデルに、前記決定工程にて決定されたパスデータに対応する溶接条件と前記特定工程にて特定されたブロックパターンを入力することで、当該パスデータに対応する形状データを導出する導出工程と、
前記導出工程にて導出された形状データと、前記作成工程にて作成したパスデータにて示される形状データとの差分が所定の閾値を超えないように、前記溶接条件を調整する調整工程と
を実行させるためのプログラム。
この構成によれば、積層造形物の造形時におけるより適切な溶接条件を決定することが可能となる。特に、溶接条件を決定する際に、パスデータに対応するビードが構成するブロックパターンを考慮したより適切な溶接条件を決定することが可能となる。
【符号の説明】
【0098】
1…積層造形システム
100…積層造形装置
101…形状センサ
102…トーチ
103…ベース
104…溶接ロボット
106…ロボットコントローラ
107…電源
108…溶接ビード
200…情報処理装置
201…造形制御部
202…電源制御部
203…送給制御部
204…DB(データベース)管理部
205…形状データ取得部
206…学習用データ管理部
207…学習処理部
208…溶接条件導出部
W…積層造形物
M…溶加材
図1
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図8