(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-04
(45)【発行日】2023-09-12
(54)【発明の名称】スラリー媒体を処理するための圧送システム
(51)【国際特許分類】
F04B 15/02 20060101AFI20230905BHJP
【FI】
F04B15/02 B
(21)【出願番号】P 2020504191
(86)(22)【出願日】2018-07-11
(86)【国際出願番号】 NL2018050464
(87)【国際公開番号】W WO2019022593
(87)【国際公開日】2019-01-31
【審査請求日】2021-06-08
(32)【優先日】2017-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】508180828
【氏名又は名称】ウィアー・ミネラルズ・ネザーランズ・ベスローテン・ベンノーツハップ
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】ケイヤーズ、ロナルド ゴーデフリダス アンナ
(72)【発明者】
【氏名】ファン レイスウェイク、ルドルファス ヨハネス アデレイダ
【審査官】岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-042454(JP,A)
【文献】特表2005-505721(JP,A)
【文献】特表2015-518945(JP,A)
【文献】特表2008-531933(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スラリー媒体を圧送するための圧送システムであって、
2つの往復容積式スラリーポンプからなるポンプユニットであって、両方のポンプは、スラリー吸入口を介したスラリー媒体の吸入、及び
主出口と流体的に結合したスラリー排出口を介したスラリーの排出を交互に行うように構成されており、前記2つの往復容積式スラリーポンプの前記交互の吸入及び排出によって、前記スラリー排出口を介した個々のポンプの組み合わせた吐出流量が得られる、ポンプユニットと、
前記2つの往復容積式スラリーポンプのそれぞれがその吸引ストロークからその排出ストロークに切り替わるときに、圧送される前記スラリー媒体における流れ脈動を減衰させるための
、前記主出口と流体的に結合したスラリー減衰ポンプユニットと、
ポンプユニットの異なる位相で往復運動する2つの往復容積式
スラリーポンプ及び前記スラリー減衰ポンプユニットを駆動するためのポンプ駆動ユニットと、
前記スラリー吸入口と、前記スラリー排出口と、前記ポンプユニットの前記2つの往復容積式スラリーポンプを前記スラリー排出口に交互に接続するように構成された切り替え出口と、前記スラリー排出口内に設けられている一方向弁とを有するスラリー吸引/排出ユニットと、を含み、
前記ポンプ駆動ユニットは、少なくとも1つの主駆動モータ及び
前記主駆動モータによってそれぞれ駆動される少なくとも2つの油圧駆動モータを備え、前記少なくとも1つの主駆動モータは、ポンプ側モータ駆動軸及び減衰側モータ駆動軸を駆動し、前記少なくとも2つの油圧駆動モータのうちの1つは、前記2つの往復
容積式スラリーポンプを駆動するために前記ポンプ側モータ駆動軸に結合されており、前記少なくとも2つの油圧駆動モータのうちの他の1つは、前記スラリー減衰ポンプユニットを駆動するために前記減衰側モータ駆動軸に結合されており、
前記スラリー減衰ポンプユニットは、前記スラリー排出口と相互接続された入口を有する往復容積式減衰ポンプを含み、
前記往復容積式減衰ポンプは、
油圧減衰ピストン/シリンダ構造と、スラリー減衰ピストン/シリンダ構造と、さらなる油圧減衰ピストン/シリンダ構造と、油圧減衰ラインとを備え、吸引ストロークを実施して、それによって前記2つの往復容積式スラリーポンプのいずれかの排出ストローク中に、前記スラリー排出口からスラリー媒体を引き出し、往復容積式スラリーポンプのいずれかのそれらのそれぞれの排出ストロークから前記吸引ストロークへの切り替え中に排出ストロークを実施して、それによって前記引き出したスラリー媒体を前記スラリー排出口に前記入口を介して排出するように構成されて
おり、
前記さらなる油圧減衰ピストン/シリンダ構造は、シリンダハウジング内に収容される移動可能なピストンを有し、それによって前記シリンダハウジングを第1及び第2のシリンダチャンバに分割し、前記ポンプ駆動ユニットの少なくとも1つの油圧駆動モータによって駆動され、
前記油圧減衰ラインは、油圧減衰ピストン/シリンダ構造の両方の第1のシリンダチャンバを相互接続し、
前記油圧減衰ピストン/シリンダ構造及び前記スラリー減衰ピストン/シリンダ構造の各々は、シリンダハウジング内に収容される移動可能なピストンを有し、それによって前記シリンダハウジングを第1及び第2のシリンダチャンバに分割し、
前記油圧減衰ピストン/シリンダ構造及び前記スラリー減衰ピストン/シリンダ構造の両方のピストンは、相互接続され、
前記油圧減衰ピストン/シリンダ構造は、前記ポンプ駆動ユニットの少なくとも1つの油圧駆動モータによって駆動される、圧送システム。
【請求項2】
前記油圧駆動モータのうちの1つにそれぞれ接続された2つの油圧ライン
が、
一方が前記油圧減衰ピストン/シリンダ構造の第2のシリンダチャンバに接続され、他方が前記さらなる油圧減衰ピストン/シリンダ構造の第2のシリンダチャンバ
に接続されるように設けられる、請求項
1に記載の圧送システム。
【請求項3】
往復容積式スラリーポンプの各々は、油圧ピストン/シリンダ構造及びスラリーピストン/シリンダ構造を含み、油圧ピストン/シリンダ構造及びスラリーピストン/シリンダ構造の両方のピストンが相互接続され、前記油圧ピストン/シリンダ構造は、前記ポンプ駆動ユニット
の少なくとも1つの油圧駆動モータによって駆動される、請求項1
又は2に記載の圧送システム。
【請求項4】
往復
容積式スラリーポンプの各々のピストン/シリンダ構造の各々は、シリンダハウジング内に収容される移動可能なピストンを有し、それによって前記シリンダハウジングを第1及び第2のシリンダチャンバに分割し、
油圧ラインが、前
記2つの往復容積式スラリーポンプの前記油圧ピストン/シリンダ構造の前記第1のシリンダチャンバを相互接続する、請求項
3に記載の圧送システム。
【請求項5】
油圧媒体を
さらなる油圧ラインから排出弁を介して解放し、前記
さらなる油圧ラインに注入弁を介して油圧媒体を追加するための油圧解放/補充手段をさらに備える、請求項
4に記載の圧送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、スラリー媒体を取り扱うための圧送システムに関し、圧送システムは、少なくとも2つの往復容積式スラリーポンプからなるポンプユニットを含み、両方のポンプは、スラリー吸引入口を介して交互にスラリー媒体を取り込むように構成され、スラリー排出口を介してスラリー媒体を排出し、ポンプユニットの少なくとも2つの往復容積式ポンプを駆動するためのポンプ駆動ユニットと、ポンプされるスラリー媒体の排出脈動を減衰するためのスラリー減衰ポンプユニットとを含む。
【背景技術】
【0002】
往復容積式ポンプでは、ピストンやプランジャーなどの変位要素がシリンダーハウジング内で往復運動を行い、スラリー媒体の容積式変位(容積式またはポンプ式)の容積式変位を可能にする。往復ポンプの特定の実施形態では、変位要素の往復運動は、ポンプ駆動ユニット機構の回転運動を変位要素の往復運動に伝達する機構によって生成される。この機構の特定の実施形態は、例えばWO2011/126367の
図1に開示されているように、クランクシャフト、偏心シャフト、カムシャフトまたはカムディスク機構を含み得る。
【0003】
往復ポンプの別の実施形態では、変位要素の往復運動は、油圧駆動モータを駆動するポンプ駆動ユニット機構の回転運動によって生成され、これにより油圧媒体を、油圧配管システムを介して、往復運動する正圧変位ポンプにより変位させる。
【0004】
そのような往復容積式ポンプは、例えば、単段遠心ポンプと比較して、比較的高い圧力に対してスラリー媒体をポンピングするために使用される。往復容積式ポンプのさらなる特徴には、遠心ポンプと比較した場合、より一定で正確な流量出力が比較的低い流量容量が含まれる。典型的なアプリケーションの流量要件が単一のポンプで満たすことができない場合、複数の容積式ポンプを並列に配置して、それらの吸込口及び/又は吐出口を接続し、単一の吸込ライン及び/又は吐出ラインに組み合わせることができる。つまり、個々のポンプの合計流量は、アプリケーションの総流量要件を満たすことができる。個々の押しのけポンプと相互接続する吸引および排出ラインの組み合わせは、いわゆるポンピングシステムを形成する。
【0005】
個々の容積型ポンプの個々のポンプサイクルにより、1つの置換型ポンプが吐出ストロークから吸込ストロークに切り替わるときの吐出流の小さな低下により、吐出口でのスラリーの吐出流は脈動を示す。一方、他の排気ポンプは、吸引ストロークから排出ストロークに、またはその逆に切り替わる。いわゆるスラリー減衰ポンプユニットの実装により、吐出口でほとんど脈動がない流れが得られる。
【0006】
このようなスラリー減衰ポンプユニットは、排出口に接続され、個々の容積式ポンプの切り替え時の排出流に次の量のスラリー媒体を追加することにより、排出されるスラリー媒体の排出脈動を減衰させる。
【0007】
窒素の膨張に基づくスラリー減衰ポンプユニット、及び/又は個々の容積式ポンプの別個の油圧駆動およびスラリー減衰ユニットのポンプサイクルを実装する現在知られている圧送システムの動作は非効率的である。これにより、吐出口の流れに依然として大きな脈動が発生し、ポンプ駆動ユニットのモータ負荷が連続的に変化するため、電力のピーク負荷と停電が発生する。これらの現象は、コンポーネント、特にポンプ駆動ユニットの寿命を大幅に短縮するため、駆動ユニットコンポーネントの設計はこの変動に基づく必要がある。特に、適切な動作と寿命を確保するには、いくつかのコンポーネントの設計とサイズを高くする必要がある。
【発明の概要】
【0008】
第1の態様では、スラリー媒体を圧送するための圧送システムの実施形態が開示され、圧送システムは:
少なくとも2つの往復容積式スラリーポンプからなるポンプユニットであって、両方のポンプは、スラリー吸引入口を介したスラリー媒体の吸入と、スラリー排出口を介したスラリー媒体の排出とを交互に行うように構成され、
ポンプユニットの少なくとも2つの往復容積式ポンプを駆動するためのポンプ駆動ユニットと、
圧送されるスラリー媒体の排出脈動を減衰するためのスラリー減衰ポンプユニットを含み、
ポンプ駆動ユニットは、少なくとも2つの往復容積式ポンプとスラリー減衰ポンプユニットを交互に駆動するように構成される。
【0009】
これにより、より一定のモータ負荷を備えたシンプルな構造が得られ、電力のピーク負荷と停電を制限し、停止を制限して、コンポーネントの平均寿命を延ばせる。
【0010】
前述の利点は、圧送システムの別の側面により、さらに保証され:ポンプ駆動ユニットは、少なくとも1つの主駆動モータと少なくとも2つの油圧駆動モータを備え、各少なくとも2つの油圧駆動モータは、少なくとも1つの主駆動モータの出力駆動軸と、少なくとも2つの油圧駆動モータのそれぞれが、ポンプユニットおよび減衰ポンプユニットをそれぞれ駆動するように配置されている。この例では、構造がさらに簡素化され、ポンプ駆動ユニットの一定のモータ負荷、一定のスラリー流量、一定のエネルギー使用が保証されるため、電力のピーク負荷と停電および停止が制限される。
【0011】
本発明のさらなる態様では、減衰ポンプユニットは、スラリー排出口と相互接続された入口を介してスラリー媒体の取込みを交互にするための往復容積式減衰ポンプを含む。特に、往復容積式減衰ポンプは、油圧減衰ピストン/シリンダ及びスラリー減衰ピストン/シリンダを含み、油圧及びスラリー減衰ピストン/シリンダの両方のピストンは相互接続され、油圧減衰ピストン/シリンダは、ポンプ駆動ユニットの少なくとも1つの油圧駆動モータにより駆動される。
【0012】
より詳細には、往復容積式減衰ポンプは、ポンプ駆動ユニットの少なくとも1つの油圧駆動モータによって駆動されるさらなる油圧減衰ピストン/シリンダ、及び反対側の油圧減衰ピストン/シリンダの両方のシリンダを、それらのピストン側とは反対側(実際にはロッド側)で相互接続する油圧減衰ラインを含む。
【0013】
これにより、処理されるスラリー媒体の出口流における脈動のより効果的な減衰は、完全な圧送システムのための1つの主動力駆動ユニットを使用して得られる。
【0014】
さらに別の例では、各往復容積式スラリーポンプは、油圧ピストン/シリンダおよびスラリーピストン/シリンダを含み、油圧及びスラリーピストン/シリンダの両方のピストンが相互接続され、油圧ピストン/シリンダがポンプ駆動ユニットの少なくとも1つの油圧駆動モータにより駆動される。
【0015】
より具体的には、油圧ラインが、そのピストン側とは反対側(実際にはロッド側)の少なくとも2つの往復容積式スラリーポンプの油圧ピストンのシリンダを相互接続する。
【0016】
これにより、個々の容積式ポンプの個々のポンプサイクルの適切なタイミングが保証され、吐出口にほとんど脈動のない流れが生じる。
【0017】
さらなる例では、油圧媒体を油圧ラインから解放する/追加するための油圧解放/補充手段が存在する。これにより、油圧媒体の漏れに起因するそれぞれのシリンダ内のピストンの終了位置を修正することができ、したがって、個々の容積式ポンプの個々のポンプサイクルの適切なタイミングを維持することができる。
【0018】
添付図面は、様々な実施形態の理解を容易にする。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本開示による圧送システムの実施形態の図である。
【
図2】本開示による圧送システムの実施形態の特徴的なポンプである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、スラリー媒体を取り扱うための圧送システムの非限定的な実施形態を開示している。油圧圧送システムは、参照番号100で示され、ポンプユニット101、スラリー吸引/排出ユニット103、ポンプ駆動ユニット104およびスラリー減衰ポンプユニット105からなる。ポンプユニット101の構成は、ポンプハウジング(図示せず)に組み込まれ、スラリー吸引/排出ユニット103に接続された少なくとも2つの(第1および第2)往復容積式ポンプ101aおよび101bを備える。
【0021】
第1および第2往復容積式ポンプ101a(101b)のそれぞれは、ポンプ構造又はスラリー吸引/排出ピストンシリンダ110(210)からなり、ピストンとして形作られた変位要素114(214)は、シリンダーハウジング111(21)に収容された可動式とされる。変位要素またはピストン114(214)は、ピストンロッド115(215)を介して接続され、ピストンロッド115(215)は、油圧ピストンシリンダ120(220)として構成されたポンプ駆動機構を使用して往復運動で変位する。
【0022】
第1/第2往復容積式ポンプ101a(101b)の各油圧ピストン-シリンダ120(220)は、変位要素またはピストン124(224)が移動可能に収容されるシリンダーハウジング121(221)からなる。各油圧ピストンシリンダ120(220)のピストン124(224)は、前述のピストンロッド115(215)と、スラリー吸引/排出ピストンシリンダ110(210)のピストン114(214)に接続されている。第1/第2往復容積式ポンプ101a(101b)。
【0023】
そのような往復容積式ポンプ101a(101b)は、遠心ポンプなどの他のタイプのポンプと比較すると、比較的高い圧力に対してスラリー媒体を圧送または処理することができる。特に、容積式ポンプ(
図1の参照番号101aおよび101bで示されている)は、比較的低い流量容量ではあるが、高圧レベルで動作し、置換されるスラリー媒体の正確な流量出力を生成できる。排出されるスラリー媒体の流量を増やすために、複数の往復容積式ポンプ(
図1には、このようなポンプ101a、101bが2つ示される)が、
図1に示すように並列に使用され、組み合わされたポンプ特性は、スラリー媒体の必要かつ必要な増加した排出流を得るために使用される。
【0024】
ポンプ駆動ユニット104、並びに第1/第2の油圧ピストンシリンダ120及び220からなるポンプ駆動機構は、変位要素114(214)が往復運動するように駆動されるが、異なる位相で駆動される。つまり、1つの容積型ポンプが吐出ストロークを実行し、もう1つの容積型ポンプが吸入ストロークを実行する。2つの容積型ポンプの交互の吸引ストロークと吐出ストロークにより、個々のポンプの組み合わせた吐出流量が得られる。その合計は、圧送システムが実装される産業用途の総流量要件を満たすことができる。
【0025】
第1/第2のスラリー排出ピストンシリンダ110(210)の変位要素又はピストン114(214)は、第1のシリンダチャンバ112(212)及び第2のシリンダチャンバ113(213)内のシリンダーハウジング111(211)を分割する。第1のシリンダチャンバ112(212)は、往復吸引(または吸込)と、スラリー吸出口ユニット103のスラリー入口から、スラリー出口131を通って主スラリー出口配管133に接続する切換出口130を介して、スラリー媒体を排出する役割を果たす。主スラリー出口配管133内の静圧により、主スラリー出口配管133に既に排出されているスラリー媒体がスラリー吸引排出部103に逆流したり、再流入したりしないように、スラリー出口131内に一方向弁132が設けられている。
【0026】
同様に、第1/第2の油圧ピストンシリンダ120(220)の変位要素またはピストン124(224)は、それぞれのシリンダーハウジング121(221)を第1のシリンダチャンバ122(222)および第2のシリンダチャンバ123(223)に分割する。
図1に明確に示されているように、両方の第1/第2の油圧ピストンシリンダ120(220)の両方の第1のシリンダチャンバ122(222)は、それらのピストン側124(224)の反対側で、油圧ライン116を介して相互接続されている。両方の第1/第2の油圧ピストンシリンダ120(220)の各第2のシリンダチャンバ123(223)は、第1/第2の油圧供給ライン107a(107b)によってポンプ駆動ユニット104に結合される。
【0027】
第1/第2往復容積式スラリーポンプ101a(101b)の第1のシリンダチャンバ122(222)と第2のシリンダチャンバ123(223)の両方は、多段圧送システムの油圧配管を通って圧送されるオイルなどの油圧媒体で満たされる。
【0028】
第1往復容積式スラリーポンプ101aの吐出ストローク中に、ポンプ駆動ユニット104は、第1の油圧供給ライン107aを介して第1の油圧ピストンシリンダ120の第2のシリンダチャンバ123に圧力下で油圧媒体を圧送し、これによりピストン124をシリンダーハウジング121内で変位させる。ピストンロッド115によるピストン124と114の両方の相互接続により、スラリーピストンシリンダ110のピストン114は、シリンダーハウジング111内で変位し、スラリーピストンシリンダ110の第1のシリンダチャンバ112に蓄積されたスラリー媒体を、スイッチング出口130、スラリー出口101、及び開いている一方向弁132を介して主スラリー出口配管132に向けて排出する。
【0029】
第1の油圧ピストンシリンダ120の第1のシリンダチャンバ122内に存在する油圧媒体は、油圧相互接続ライン116を介して、第2往復容積式スラリーポンプ101bの油圧ピストンシリンダ220の第1のチャンバ222に向かって変位し、ピストン224及び同様にスラリーピストンシリンダー210のピストン214を反対方向に押し、それにより、スラリー吸引/排出ユニット103のスラリー入口(図示せず)を介してスラリー媒体を、第2往復容積式スラリーポンプ101bのスラリーピストンシリンダ210の第1のシリンダチャンバ212に取り込むための吸引ストロークを行う。第2の油圧ピストンシリンダ220の第2のシリンダチャンバ223に蓄積された油圧媒体は、第2の油圧供給ライン107bを介してポンプ駆動ユニット104の油圧媒体配管に向かって戻される。
【0030】
第1往復容積式スラリーポンプ101aの吐出ストロークが満たされると、第1のスラリーピストンシリンダ110のピストン114が、第1のシリンダチャンバ112に含まれるスラリーを主スラリー出口配管に向かって空にしたことを意味し、
図133では、切り替え出口130は、第2往復容積式スラリーポンプ101bの第2のスラリーピストンシリンダー210の第1のシリンダチャンバ212に向けて切り替えられ、第1のシリンダチャンバ212は、スラリー吸引/排出ユニット103のスラリー入口を介したその吸引ストローク中、取り込まれたスラリー媒体で満たされる。
【0031】
ポンプ駆動ユニット104による第2往復容積式スラリーポンプ101bの第2の油圧ピストンシリンダ220の第2のシリンダチャンバ223に向けた第2の油圧供給ライン107bを介した加圧下の油圧媒体のポンピングにより、第1のシリンダチャンバ212内のスラリーが、切り替え出口130を介して主スラリー出口配管133に向かって排出される。同様に、第2の油圧ピストンシリンダ220の第1のシリンダチャンバ222は、相互接続された油圧ライン116を介して、そこに含まれる油圧媒体を空にして、第1の往復容積式スラリーポンプの第1の油圧ピストンシリンダ120の第1のシリンダチャンバ122に向ける。これにより、後者のポンプ101aがその吸引ストロークを実行する。
【0032】
参照番号105は、往復容積式減衰ポンプ150(250)からなるスラリー減衰ポンプユニットを示し、往復容積式スラリーポンプ101aおよび101bとほぼ同様の構造を示す。減衰ポンプユニット105は、油圧減衰ピストンシリンダ150およびスラリー減衰ピストンシリンダ250を含み、両方のピストンシリンダ150(250)のピストン154(254)は、ピストンロッド155を介して相互接続される。両方のピストン154、254はそれぞれ、それらのそれぞれのシリンダーハウジング151(251)を第1のシリンダチャンバ152(252)および第2のシリンダチャンバ153(253)に分割する。スラリー減衰ピストン-シリンダ250の第1のシリンダチャンバ252は、減衰スラリー配管134を介して主スラリー出口配管133と接続する。
【0033】
減衰ポンプユニット105は、さらに、ピストン354によって第1のシリンダチャンバ252および第2のシリンダチャンバ353に分割されたシリンダーハウジング351からなるさらなる油圧減衰ピストンシリンダ350を含み、ピストン354はシリンダーハウジング351内部に移動可能に収容される。さらなる油圧減衰ピストン-シリンダ350の第1のシリンダチャンバ352は、油圧相互接続ライン156によって、油圧減衰ピストン-シリンダ150の第1のシリンダチャンバ152と接続される。油圧減衰ピストン-シリンダ150の第2のシリンダチャンバ153(353)及びさらなる油圧減衰ピストン-シリンダ350の両方は、適切な油圧供給ライン108a(108b)を使用して、ポンプ駆動ユニット104に接続される。
【0034】
減衰ポンプユニット105は、個々の往復容積式スラリーポンプ101aおよび101bの個々のポンプサイクルによって生成される、スラリー出口流の脈動により、主スラリー出口133で発生するあらゆる流れ脈動を減衰させる働きをする。このような脈動は、1つの置換ポンプ101aがその吸引ストロークからその排出ストロークに、およびその逆に切り替わるときの出口流のディップの結果として発生する。
【0035】
このために、スラリー減衰ポンプユニット105のピストン254は、吸入ストロークを実行するシリンダーハウジング151内で変位され、そこで、主スラリー出口配管133およびダンピングスラリー配管134に既に含まれているスラリー媒体は、第1のシリンダチャンバ252に取り込まれる。
【0036】
本発明によれば、ポンプ駆動ユニット104は、往復容積式スラリーポンプ101aおよび101bならびに減衰ポンプユニット105の両方を駆動するように配置される。
【0037】
ポンプ駆動ユニット104は、この例では、2つの主駆動モータ141(241)を備えるマルチポンプ駆動ユニットとして構成され、それぞれがポンプ側モータ駆動軸142a(242a)および減衰側モータ駆動軸142b(242b)を駆動する。各モータードライブ出力軸142a(142b)は1つ以上の油圧ポンプ143-144(243-244)を駆動し、ポンプ側モータ駆動軸142a(242a)に連結された油圧ポンプ143(243)は、第1および第2往復容積式スラリーポンプ101a(101b)の油圧ピストンシリンダ120(220)の第2の油圧シリンダチャンバ123(223)に向けて、又はそこから第1及び第2の油圧供給ライン107a(107b)を通して油圧媒体を圧力下で圧送する。
【0038】
同様に、減衰側モータ駆動出力軸142b(242b)に連結された油圧モータ144(244)は、圧力下で油圧供給ライン108(108b)を介して第2のシリンダチャンバ153(353)へ、およびそこから油圧媒体を圧送する役割を果たす。液圧ピストンシリンダ150と、減衰ポンプユニット105のさらなる油圧ピストンシリンダ350の。油圧相互接続ライン116に関連して概説されたのと同様の方法で、減衰ポンプユニット105においても、2つの油圧ピストンシリンダ150(350)の両方の第1のシリンダチャンバ152(352)は、それらのピストン側154(354)は、油圧相互接続ライン156を介して互いに反対に相互接続される。
【0039】
これにより、減衰ポンプユニット105のピストン254の吸引と吐出の周期中に、第1油圧ピストンシリンダ150の第1のシリンダチャンバ152に含まれる油圧媒体を、別の油圧ピストンシリンダの第1のシリンダチャンバ352に向けて移動できる。ピストンシリンダ350およびその逆。減衰ポンプユニット105の吸引ストロークは、油圧供給ライン108bを介して油圧媒体を別の油圧ピストンシリンダ350の第2のシリンダチャンバ353に移送し、シリンダーハウジング351内のピストン354を変位させることによって行われる。
【0040】
第1のシリンダチャンバ352に含まれる油圧媒体は、油圧相互接続ライン156を介して油圧ピストンシリンダ150の第1のシリンダチャンバ152に向かって変位し、それによりシリンダチャンバ151内のピストン154を左方向に変位させる(
図1)。同様に、ピストンロッド150を使用してピストン154と接続されているピストン254は、同じ方向(左に向かって)に変位し、減衰ポンプユニット105のスラリーピストンシリンダー250の第1のシリンダチャンバ252は、主スラリー出口配管133および減衰スラリー配管134から引き出されるスラリー媒体で満たされる。
【0041】
両方の往復容積式スラリーポンプ101a(101b)のそれぞれの排出ストロークから吸引ストロークへの切り替え中に、主スラリー出口配管133内の出口スラリー流における小さな液滴の発生は、減衰ポンプユニット105によって補償される。排出ストロークを実行することにより、それによりスラリーピストンシリンダー250の第1のシリンダチャンバ252を空にし、減衰スラリー配管134を介して第1のシリンダチャンバ252に含まれるスラリー媒体を主スラリー出口配管133に向けて余分に排出する。その結果、主スラリー出口配管133において、脈動のほとんどないスラリー流が得られる。
【0042】
さらに、減衰ポンプユニット105の変位要素又はピストン254のフォーアップとして、第1/第2ピストンシリンダ110(210)の変位要素またはピストン114(214)が作動を開始するときに、シリンダチャンバ112(212)でスラリーを圧縮する必要があるため、流量損失が発生しないことを保証するために、第1/第2ピストンシリンダ110(210)の変位要素又はピストン114の実際の排出ストロークを開始する前に、事前圧縮ストロークを実行する。これは、減衰ポンプユニット105の変位要素またはピストン254がその排出ストロークを実行した後、第1/第2ピストンシリンダ110(210)の変位要素またはピストン114(214)がその排出ストロークを実行することを意味する。フォローアップとして、シリンダチャンバ113(213)内の圧力は、主スラリー出口配管133内と同じ圧力に予圧される。この事前圧縮は、主スラリー出口配管133内でほぼ脈動のない流れを実現する。
【0043】
図2は、
図1に示したマルチ圧送システムのポンプ特性を示しており、シリンダ1とシリンダ2で
図2に示されている両方の第1往復容積式スラリーポンプ101a(101b)の両方の循環動作を示す。
図2のポンプ特性に見られるように、第1往復容積式スラリーポンプ101a(シリンダー1)が吐出ストロークから吸入ストロークに切り替わる各切り替えタイミングと、第2往復容積式スラリーポンプ101b(シリンダ)
図2の2)は、その吸引ストロークからその排出ストロークに切り替わり、その結果、主スラリー出口配管133内の出力流れが低下する。スラリー出力フローのこの低下は、
図2に6から8の間のタイミングで示される。その切り替えタイミングの瞬間に、減衰ポンプユニット105(
図2でシリンダー3と表記)がその排出ストロークを実行し、第1のシリンダチャンバ252に含まれる少量のスラリー媒体を、ダンピングスラリー配管134を介して排出口管133に向けてメインスラリーを排出する。減衰ポンプユニット105による主スラリー出口配管133へのスラリー媒体の追加の排出は、2つの第1往復容積式スラリーポンプ101a(101b)の周期的切り替えタイミングによって引き起こされる脈動を大幅に減衰させる。
【0044】
多段ポンプユニット101の第1往復容積式スラリーポンプ101a(101b)と減衰ポンプユニット105の両方を駆動するポンプ駆動ユニット104は、減衰ポンプユニット105の追加の駆動ユニットを取り除いて構成できるので、構造を簡素化できる。さらに、ポンプ駆動ユニット104、特に第1および第2ステージのモータードライブ141(241)は、より一定のモータ負荷で駆動することができ、これにより、電力ピーク負荷および停電が制限できる。モータドライブ141(241)は、より一定のモータ負荷で駆動することができるので、停止が大幅に低減され、ポンプ駆動ユニット104の構成要素の期待寿命が延長される。
【0045】
油圧ピストン上でのわずかなオイル漏れにより、ピストン114~124及び214~224の位置の最初のキャリブレーション後、しばらくすると、これらの位置が正しくなくなる可能性がある。特に、第1容積式ポンプ101aの吐出ストロークの間(第2容積式ポンプ101bの吸入ストロークに等しい)、第1の容積型の油圧ピストンシリンダの第2のシリンダチャンバ123に導入された油圧媒体(オイル)ポンプ101aは、そのロッド側でピストン124を越えて第1のシリンダチャンバ121内に漏れることがある。
【0046】
その結果、第2容積式ポンプ101bの油圧ピストンシリンダのピストン224は、ピストン124が到達する前にその最終位置に到達することになる。これを防ぐには、油圧媒体をロッド側から(実際には、第1容積型ポンプ101aの油圧ピストンシリンダの第1のシリンダチャンバ122から)解放する必要がある。このため、
図3に示すように、油圧解放/補充手段500が実装される。
【0047】
油圧解放/補充手段500は、
図2に示されているように閉じられている出口弁505を備える。作動すると、ばね付勢弁体505aは、ばね505bの付勢力に抗して変位し、それにより、油圧ライン506a~506bを油圧排出ライン501と相互接続し、第1容積式ポンプ101aの油圧ピストンシリンダの第1のシリンダチャンバ122に集められた余剰の油圧媒体(オイル)をオイルパン(図示せず)に向けて解放されるのを可能にする。
【0048】
別の状況では、第1容積式ポンプ101aの吐出ストローク(第2容積式ポンプ101bの吸入ストロークに等しい)中に、油圧媒体(油)が第2容積式ポンプ101bのピストンシリンダの第1のシリンダチャンバ222から、第2のシリンダチャンバ223に向けて漏れることが起こり得る。このような状況では、ピストン124は、ピストン224が到達する前にその最終位置に到達する。これを防ぐには、第2容積式ポンプ101bの油圧ピストンシリンダの第1のシリンダチャンバ222に油圧媒体(オイル)を追加して、ピストン224がシリンダーハウジング221の最終位置に到達できるようにする必要がある。
【0049】
このため、ばね504bの付勢力に抗して弁本体504aを変位させることにより、充填弁504が作動され、ある量の油圧媒体(油)が油圧ライン502を介して、オイルパン(図示せず)からオイルパンから取り出されることを可能にし、相互接続された油圧ライン506cおよび油圧ライン506aを介して、第2容積式ポンプ101bの油圧ピストンシリンダの第1のシリンダチャンバ222に導入される。
【0050】
第2容積式ポンプ101bがその排出ストロークを実行しているとき、同様の動作状況が適用される。