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  • 特許-サングラス用の光学フィルタ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-04
(45)【発行日】2023-09-12
(54)【発明の名称】サングラス用の光学フィルタ
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/22 20060101AFI20230905BHJP
   G02C 7/10 20060101ALI20230905BHJP
【FI】
G02B5/22
G02C7/10
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020512030
(86)(22)【出願日】2019-06-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-28
(86)【国際出願番号】 AT2019060206
(87)【国際公開番号】W WO2020000006
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2022-03-17
(31)【優先権主張番号】A50521/2018
(32)【優先日】2018-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】501198361
【氏名又は名称】ジルエツテ・インテルナツイオナール・シユミート・アクチエンゲゼルシヤフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(72)【発明者】
【氏名】シュピンデルバルカー・ルーペルト
(72)【発明者】
【氏名】ビゲル・カリン・トニ
(72)【発明者】
【氏名】ナムール・マリー-クリスティアーヌ
(72)【発明者】
【氏名】リー・クゥアン・ケヴィン・アン・クオック
【審査官】横川 美穂
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2006/0033851(US,A1)
【文献】特開平10-133016(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0299895(US,A1)
【文献】特開2016-079069(JP,A)
【文献】国際公開第2018/019833(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0323813(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0271725(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第106646917(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/20-5/28
G02C 1/00-13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
400nm~650nmの光波長に対して20%未満の透過率を有する、サングラス用の光学フィルタにおいて、
透過スペクトル(1,2,3)が、440nm~470nmの光波長範囲(4)と570nm~590nmの光波長範囲(8)とにおいて、それぞれ局所的透過最大値(5,6,7)または(9,10,11)を有し、600nm~620nmの光波長範囲(12)において、局所的透過最大値(13,14)または透過鞍点(15)を有し、
透過率は、440nm~470nmにおける局所的透過最大値(5,6,7)と570nm~590nmにおける局所的透過最大値(9,10,11)との接続線よりも下に前記接続線を基準に8%未満の変動幅で実質的に凸状の全体プロファイル(16)を有する
ことを特徴とする、サングラス用の光学フィルタ。
【請求項2】
440nm~470nmにおける局所的透過最大値(5,6,7)と570nm~590nmにおける局所的透過最大値(9,10,11)との接続線よりも下に、透過率の実質的に凸状の全体プロファイル(16)が、正確に1つの透過最小値(17,18,19)を形成することを特徴とする、請求項1記載の光学フィルタ。
【請求項3】
440nm~470nmにおける局所的透過最大値(5,6,7)が、5%~15%の透過率を有し、470nm~570nmにおける局所的透過最小値(17,18,19)が、10%未満の透過率を有し、570nm~590nmにおける局所的透過最大値(9,10,11)が、10%~15%の透過率を有し、600nm~620nmでは、局所的透過最大値(13,14)が、10%~20%の透過率を有する、または透過鞍点(15)が、5%~10%の透過率を有することを特徴とする、請求項1または2項記載の光学フィルタ。
【請求項4】
400ppm~700ppmのUVフィルタ色素、33ppm~98ppmの青の色素、75ppm~96ppmの黄の色素、124ppm~174ppmの赤の色素および37ppm~115ppmの緑の色素が分散されているプラスチックマトリックスを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の光学フィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、400nm~650nmの光波長に対して20%未満の透過率を有する、サングラス用の光学フィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術において、特に人間の目にとって有害なUV光および視界を損なう光反射を低減すために、650nmまでの光波長に対して20%未満の透過率を有する、サングラス用の光学フィルタが知られている。この光波長範囲におけるそのような低い透過率では、有害なUV光がフィルタリングされるだけではなく、他のスペクトル色も減衰されるので、これによって、眼鏡着用者の色知覚、特に彩度および色温度の認識が制限されるという問題が生じる。その結果、フィルタを通して見た色調が色あせて認識されるだけではなく、眼鏡を比較的長時間着用すると、目の色順応による、強く必要とされるホワイトバランスに基づいて、眼鏡着用者においては疲労現象も引き起こされる。したがって、このようなフィルタを有するサングラスは、比較的長時間にわたって中断することなく着用するには適していない。
【0003】
さらに、視力ひいては反応特性を改善するために特定の光波長範囲を増幅するとともに、特定の光波長範囲を減衰させてコントラストを高める、スポーツ眼鏡、特にスキーゴーグル用の光学フィルタも存在する。ただし、その欠点によれば、透過率プロファイルの大きな変動幅および大きな局所的変化率に基づいて色の歪みが生じ、したがって、そのようなスポーツ眼鏡の着用時には目の高度の色順応が必要であり、これが疲労現象を引き起こす。これとは別に、この種のスポーツ眼鏡用フィルタは、650nmまでの光波長範囲において30%超どころか、ときには60%超の透過率を有し、したがって、これよりもはるかに低い透過率を有するべきであるサングラスに使用するには適していない。
【発明の概要】
【0004】
したがって、本発明の根底を成す課題は、冒頭で述べた態様の光学フィルタを、良好なUVフィルタリング効果にもかかわらず、全体として改善された色知覚が達成されるとともに、比較的長時間でも疲労しないサングラスの着用が可能となるように構成することである。
【0005】
本発明によれば、課された課題は、冒頭で述べた態様の光学フィルタから出発して、透過スペクトルが、440nm~470nmの光波長範囲と570nm~590nmの光波長範囲とにおいて、それぞれ局所的透過最大値を有し、600nm~620nmの光波長範囲において、局所的透過最大値または透過鞍点を有し、440nm~470nmにおける局所的透過最大値と570nm~590nmにおける局所的透過最大値との接続線より低い位置で、透過率は、8%未満の変動幅で実質的に凸状の全体プロファイルを有する、ことによって解決される。
【0006】
440nm~470nmと570nm~590nmとにおけるそれぞれ1つの局所的透過最大値、および600nm~620nmにおける局所的透過最大値または透過鞍点が設定されていることによって、光学フィルタの透過スペクトルにおける、これに伴うより高い無害の青、黄およびオレンジ/赤の割合に基づいて、特に昼光条件の下で、20%未満の比較的低い透過率でも、より新鮮な色知覚が得られることが判明した。570nm~590nmにおける透過率の上昇による透過スペクトルの黄の割合の増加は、これまで避けられてきた。というのも、これが、原則として、透過スペクトルの赤の割合と緑の割合との間のコントラストの損失をもたらし、これによって、赤緑弱視の人にとって不利となるだけではなく、これによって、全体的に彩度が低下するからである。この欠点を回避するために、本発明に係る光学フィルタの透過率は、470nm~570nmにおいて実質的に凸状の全体プロファイルを有し、この場合、この光波長範囲における透過率プロファイルは、透過スペクトルの青の範囲に位置する局所的最大値と黄の範囲に位置する局所的透過最大値との接続線分よりも低い位置にある。これは、予想を超えて、黄の割合が比較的高くなっているにもかかわらず、赤の割合と緑の割合との間のコントラストが増加するという結果をもたらす。470nm~570nmの透過率の凸状の全体プロファイルが、実質的に連続した正の曲率と8%未満の変動幅とを有することによって、直接に連続して生じる、変動する透過率の変化が回避され、したがって、より均一で歪みのない透過特性が得られる。したがって、色知覚を損なう色の歪みが大幅に低減され、より良好な色順応に対する前提条件が形成される。これらの特徴の結果として、目の色順応が容易になり、これによって、本発明に係るフィルタを有するサングラスの着用をより長時間にわたっても疲労なく行うことができる。演色性または色知覚をその上さらに改善するために、透過率は、青の範囲の440nm~470nmにおける局所的透過最大値まで略一定に上昇する凸状の全体プロファイルを有することができる。とりわけ灰、緑または茶の色調を有する、本発明に係る光学フィルタにおいてさらに改善されたコントラスト特性のために、625nm~655nmにおける別の局所的透過最小値が設定されてよい。
【0007】
赤の割合と緑の割合との間のさらに高いコントラストを得るとともに、色の歪みをさらに低減するために、440nm~470nmにおける局所的透過最大値と570nm~590nmにおける局所的透過最大値との接続線よりも低い位置で、透過率の実質的に凸状の全体プロファイルが、正確に1つの透過最小値を形成することが提案される。
【0008】
この関連において、特に有利な条件は、440nm~470nmにおける局所的透過最大値が、5%~15%の透過率を有し、470nm~570nmにおける局所的透過最小値が、10%未満の透過率を有し、570nm~590nmにおける局所的透過最大値が、10%~15%の透過率を有し、600nm~620nmでは、局所的透過最大値が、10%~20%の透過率を有する、または透過鞍点が、5%~10%の透過率を有すると得られる。さらに、場合によっては設定される、625nm~655nmにおける局所的透過最小値が、10%未満の透過率を有してよい。
【0009】
高い生産速度および高い再現性をもって本発明に係る光学フィルタの高品質の製造を可能にするとともに、光学フィルタの透過特性を特に有利に調節するために、光学フィルタは、400ppm~700ppmのUVフィルタ色素、33ppm~98ppmの青の色素、75ppm~96ppmの黄の色素、124ppm~174ppmの赤の色素および37ppm~115ppmの緑の色素が分散されているプラスチックマトリックスから製造され得る。この場合、無機色素および/または有機色素を使用してよい。光学フィルタは、射出成型法で、光学用途に適した熱可塑性プラスチック、たとえばポリカーボネートから製造することができる。したがって、色素がプラスチック顆粒に添加されて、溶融物が均質化される。特に有利な製造条件は、たとえば、まずはプレミックスが作製され、その際、各プレミックスが、UVフィルタ色素と特定の色の色素とを含むと得ることができる。そのようにして得られた、様々な色のプレミックスは、続いて、順にプラスチック顆粒と混合される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】それぞれ異なる色調を有する、本発明に係る光学フィルタに対する透過スペクトルに基づいて、本発明の対象となる実施形態を例示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
それぞれ異なる色調を有する、本発明に係る光学フィルタは、透過スペクトル1,2,3を有する。この場合、透過スペクトル1は、たとえば、茶の色調を有する、本発明に係る光学フィルタの、380nm~800nmの光波長範囲における透過率Tの百分率の推移を表している。これに則して、透過スペクトル2は、灰の色調を有する、本発明に係る光学フィルタに割り当てることができ、透過スペクトル3は、緑の色調を有する、本発明に係る光学フィルタに割り当てることができる。
【0012】
透過スペクトル1,2,3は、440nm~470nmの光波長範囲4で、それぞれ局所的透過最大値5,6,7を有するとともに、570nm~590nmの光波長範囲8で、それぞれ局所的透過最大値9,10,11を有する。さらに600nm~620nmの光波長範囲12では、透過スペクトル1,2は、局所的透過最大値13,14を有する一方、透過スペクトル3は、そこの光波長範囲12において、透過鞍点15を含む。
【0013】
図面において良好に看取されるように、透過スペクトル1,2,3の透過率は、光波長範囲4に位置する透過最大値5,6,7と光波長範囲8に位置する透過最大値9,10,11との間で、8%未満の変動幅で実質的に凸状の全体プロファイル16を有する。この場合、透過スペクトル1,2,3の凸状の全体プロファイル16は、そこの470nm~570nmの光波長範囲において、それぞれ正確に1つの透過最小値17,18,19を形成する。
【0014】
一実施形態によれば、透過スペクトル1,2,3は、625nm~655nmの光波長範囲20において、透過最小値21、22,23を含んでよい。
【0015】
透過スペクトル1の透過最大値5は、約7%~約9%であり得、透過最小値17は、約4%~約6%であり得、透過最大値9は、約12%~約14%であり得、透過最大値13は、約15%~約17%であり得、透過最小値21は、約7%~約9%であり得る。
【0016】
透過スペクトル2の透過最大値6は、約11%~約13%であり得、透過最小値18は、約7%~約9%であり得、透過最大値10は、約12%~約14%であり得、透過最大値14は、約10%~約12%であり得、透過最小値22は、約3%~約5%であり得る。
【0017】
透過スペクトル3の透過最大値7は、約12%~約14%であり得、透過最小値19は、約8.5%~約9.5%であり得、透過最大値11は、約11%~約13%であり得、透過鞍点15は、約8%~約9%であり得、透過最小値23は、約4%~約6%であり得る。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の観点として以下を含む。
1.
400nm~650nmの光波長に対して20%未満の透過率を有する、サングラス用の光学フィルタにおいて、
透過スペクトル(1,2,3)が、440nm~470nmの光波長範囲(4)と570nm~590nmの光波長範囲(8)とにおいて、それぞれ局所的透過最大値(5,6,7)または(9,10,11)を有し、600nm~620nmの光波長範囲(12)において、局所的透過最大値(13,14)または透過鞍点(15)を有し、透過率は、440nm~470nmにおける局所的透過最大値(5,6,7)と570nm~590nmにおける局所的透過最大値(9,10,11)との接続線よりも下に、8%未満の変動幅で実質的に凸状の全体プロファイル(16)を有する
ことを特徴とする、サングラス用の光学フィルタ。
2.
440nm~470nmにおける局所的透過最大値(5,6,7)と570nm~590nmにおける局所的透過最大値(9,10,11)との接続線よりも下に、透過率の実質的に凸状の全体プロファイル(16)が、正確に1つの透過最小値(17,18,19)を形成することを特徴とする、上記1の光学フィルタ。
3.
440nm~470nmにおける局所的透過最大値(5,6,7)が、5%~15%の透過率を有し、470nm~570nmにおける局所的透過最小値(17,18,19)が、10%未満の透過率を有し、570nm~590nmにおける局所的透過最大値(9,10,11)が、10%~15%の透過率を有し、600nm~620nmでは、局所的透過最大値(13,14)が、10%~20%の透過率を有する、または透過鞍点(15)が、5%~10%の透過率を有することを特徴とする、上記1または2の光学フィルタ。
4.
400ppm~700ppmのUVフィルタ色素、33ppm~98ppmの青の色素、75ppm~96ppmの黄の色素、124ppm~174ppmの赤の色素および37ppm~115ppmの緑の色素が分散されているプラスチックマトリックスを特徴とする、上記1から3までのいずれか1つの光学フィルタ。
図1