(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-04
(45)【発行日】2023-09-12
(54)【発明の名称】車両用アウターミラー装置及び車両用アウターミラーシステム
(51)【国際特許分類】
B60R 1/26 20220101AFI20230905BHJP
B60S 1/62 20060101ALI20230905BHJP
【FI】
B60R1/26 200
B60S1/62 110A
(21)【出願番号】P 2020520349
(86)(22)【出願日】2019-05-22
(86)【国際出願番号】 JP2019020359
(87)【国際公開番号】W WO2019225671
(87)【国際公開日】2019-11-28
【審査請求日】2022-03-22
(31)【優先権主張番号】P 2018097963
(32)【優先日】2018-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018097964
(32)【優先日】2018-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018097965
(32)【優先日】2018-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】523099264
【氏名又は名称】美里工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長島 康雄
(72)【発明者】
【氏名】都筑 隆宏
(72)【発明者】
【氏名】大関 勝志
【審査官】浅野 麻木
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-085474(JP,A)
【文献】特開2007-137098(JP,A)
【文献】特開2004-299525(JP,A)
【文献】特開2004-306670(JP,A)
【文献】特開2001-018720(JP,A)
【文献】特開平10-016725(JP,A)
【文献】特開平07-186831(JP,A)
【文献】特開2003-095028(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0353024(US,A1)
【文献】中国実用新案第204936966(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 1/00
B60S 1/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の外部に取り付けられ、前記車両の後方に向けた開口部
と、流体を噴射するノズルとを有するハウジングと、
前記ハウジングの前記開口部に配置され、前記ハウジングの外部から入射する光を反射する光反射領域と当該光を前記ハウジングの内部に透過可能な光透過領域とを有するミラー本体と、
前記ハウジングの内部に配置され、前記ミラー本体の位置を調整するミラー駆動部と、
前記ミラー本体のうち前記ハウジングの内部に面する内面に固定され、前記光透過領域を介して前記車両の後方を撮像し、撮像光軸が前記光反射領域の反射光軸に対して前記車両の外側に傾いた状態で配置される撮像部と、
前記撮像部で撮像された撮像画像のうち所定の抽出領域に含まれる抽出画像を抽出して出力し、前記ミラー本体が開いた状態における当該ミラー本体の位置に応じて前記撮像画像における前記抽出領域の位置を調整する制御部と
を備え、
前記制御部は、
前記ミラー駆動部による前記ミラー本体の位置の調整方向及び調整量に応じて、前記抽出領域の位置を調整し、前記抽出領域の位置が調整された場合、前記撮像部の視野のうち前記抽出領域に対応する第1視野部分を算出し、
算出後に前記ミラー駆動部により前記ミラー本体の位置が変動する場合、変動後の前記視野のうち前記撮像部に対する方向及び角度範囲が前記第1視野部分と同一となる第2視野部分を算出し、前記第2視野部分に対応する前記撮像画像上の領域を前記抽出領域と
し、
前記ハウジングでは、前記ノズルが、前記光反射領域の反射光軸の軸線方向から見て前記ミラー本体の側方に配置され、前記ミラー本体に向けて前記流体を噴射し、
前記ミラー本体は、前記ハウジングの外部から入射する光を前記ハウジングの内部に透過可能な光透過領域を有し、前記車両により設定される設定位置と、前記ノズルから噴射される前記流体の噴射方向上に前記光透過領域が配置される洗浄位置との間で移動可能であり、
前記洗浄位置は、前記設定位置の移動範囲の外側に配置される
車両用アウターミラー装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記車両に設けられるシフトレバーがバックギアに切り替えられた場合に、車両搭載状態における下方に向けて前記ミラー本体を回動するように前記ミラー駆動部を制御し、
前記第1視野部分の算出後における前記ミラー本体の位置の変動が、前記シフトレバーがバックギアに切り替えられた場合の前記ミラー本体の回動である場合、前記制御部は、前記ミラー本体の位置の変動後の前記視野のうち前記撮像部に対する方向及び角度範囲が前記第1視野部分の下方の部分を含むように前記撮像画像上の領域を前記抽出領域とする
請求項1に記載の車両用アウターミラー装置。
【請求項3】
前記調整方向及び前記調整量を記憶する記憶部を有し、
前記制御部は、前記記憶部に記憶される前記調整方向及び前記調整量に基づいて、前記抽出領域の位置を調整する
請求項1又は請求項2に記載の車両用アウターミラー装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記ミラー駆動部による前記ミラー本体の位置の調整方向及び調整量に基づいて、前記撮像部の前記視野の移動方向及び移動量を算出し、算出結果に基づいて前記第2視野部分を算出する
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の車両用アウターミラー装置。
【請求項5】
前記抽出画像は、車両の表示部に表示される画像である
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の車両用アウターミラー装置。
【請求項6】
前記車両からの指示に基づいて、前記ノズルに前記流体を噴射させない非洗浄動作と前記ノズルに前記流体を噴射させる洗浄動作とを切り替えて行わせ、前記非洗浄動作を行わせる場合には前記ミラー本体を前記設定位置に配置し、前記洗浄動作を行わせる場合には前記ミラー本体を前記洗浄位置に配置するように前記ミラー駆動部を制御する制御部を備える
請求項
1から請求項5のいずれか一項に記載の車両用アウターミラー装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記撮像部により撮像された画像に基づいて前記光透過領域の汚れを検知し、検知結果に基づいて、前記ノズルに前記洗浄動作を行わせる
請求項
6に記載の車両用アウターミラー装置。
【請求項8】
前記設定位置を記憶する記憶部を備え、
前記制御部は、前記流体の噴射後、前記洗浄位置に配置される前記ミラー本体が、前記記憶部に記憶される前記設定位置のうち前記ミラー本体を前記洗浄位置に移動させる直前の前記設定位置に配置されるように前記ミラー駆動部を制御する
請求項
6又は請求項
7に記載の車両用アウターミラー装置。
【請求項9】
前記撮像部は、前記ミラー本体のうち前記ハウジングの内部に面する内面に固定される
請求項
1に記載の車両用アウターミラー装置。
【請求項10】
前記ミラー駆動部は、前記ミラー本体を少なくとも車両搭載状態における鉛直軸を中心に所定範囲内で回動させることで前記ミラー本体の姿勢を調整可能であり、
前記撮像部は、前記ミラー本体が前記鉛直軸の軸回りに回動可能な範囲の中央の位置に配置された状態において前記車両の前後方向に平行な軸線に対して前記撮像光軸が外側に傾くように配置される
請求項
9に記載の車両用アウターミラー装置。
【請求項11】
前記光透過領域は、矩形状である
請求項
9又は請求項
10に記載の車両用アウターミラー装置。
【請求項12】
請求項
9から請求項
11のいずれか一項に記載の車両用アウターミラー装置が車両の左右に配置された車両用アウターミラーシステムであって、
左右の前記車両用アウターミラー装置のうち、前記車両の運転席側に配置される第1車両用アウターミラー装置よりも、当該第1車両用アウターミラー装置とは左右の反対側に配置される第2車両用アウターミラー装置の方が、前記反射光軸と前記撮像光軸との間の角度が大きい
車両用アウターミラーシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用アウターミラー装置、車両用アウターミラーシステム、及び車両用アウターミラー装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用アウターミラー装置としては、例えばミラー本体と、ミラー本体の姿勢を調整するミラー駆動部と、ミラー本体及びミラー駆動部を保持するハウジングとを備える構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、車両用アウターミラー装置に対して撮像部を取り付け、当該撮像部により車両の後方の画像を撮像し、撮像した画像を車両内の表示部に表示する技術が開発されている。しかしながら、ハウジングの外側に撮像部を取り付ける場合、車両用アウターミラー装置の外観が大きく変わってしまう。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、外観を大きく変更することなく撮像部を配置することが可能な車両用アウターミラー装置、車両用アウターミラーシステム、及び車両用アウターミラー装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る車両用アウターミラー装置は、車両のドアに取り付けられ、前記車両の後方に向けた開口部を有するハウジングと、前記ハウジングの前記開口部に配置され、前記ハウジングの外部から入射する光を反射する光反射領域と当該光を前記ハウジングの内部に透過可能な光透過領域とを有するミラー本体と、前記ハウジングの内部に配置され、前記ミラー本体の姿勢を調整するミラー駆動部と、前記ハウジングの内部に固定され、前記光透過領域を介して前記車両の後方を撮像し、撮像光軸が前記光反射領域の反射光軸に対して前記車両の外側に傾いた状態で配置される撮像部とを備える。
【0007】
また、上記の車両用アウターミラー装置において、前記撮像部は、前記ミラー本体のうち前記ハウジングの内部に面する内面に固定されてもよい。
【0008】
また、上記の車両用アウターミラー装置において、前記ミラー駆動部は、前記ミラー本体を少なくとも車両搭載状態における鉛直軸を中心に所定範囲内で回動させることで前記ミラー本体の姿勢を調整可能であり、前記撮像部は、前記ミラー本体が前記鉛直軸の軸回りに回動可能な範囲の中央の位置に配置された状態において前記車両の前後方向に平行な軸線に対して前記撮像光軸が外側に傾くように配置されてもよい。
【0009】
また、上記の車両用アウターミラー装置において、前記光透過領域は、矩形状であってもよい。
【0010】
本発明に係る車両用アウターミラーシステムは、上記の車両用アウターミラー装置が車両の左右に配置された車両用アウターミラーシステムであって、左右の前記車両用アウターミラー装置のうち、前記車両の運転席側に配置される第1車両用アウターミラー装置よりも、当該第1車両用アウターミラー装置とは左右の反対側に配置される第2車両用アウターミラー装置の方が、前記反射光軸と前記撮像光軸との間の角度が大きい。
【0011】
本発明に係る車両用アウターミラー装置は、車両のドアに取り付けられ、前記車両の後方に向けた開口部を有するハウジングと、前記ハウジングの前記開口部に配置され、前記ハウジングの外部から入射する光を反射する光反射領域と当該光を前記ハウジングの内部に透過可能な光透過領域とを有するミラー本体と、前記ハウジングの内部に配置され、前記ミラー本体の位置を調整するミラー駆動部と、前記ミラー本体のうち前記ハウジングの内部に面する内面に固定され、前記光透過領域を介して前記車両の後方を撮像する撮像部と、前記撮像部で撮像された撮像画像のうち所定の抽出領域に含まれる抽出画像を抽出して出力し、前記ミラー本体の位置に応じて前記撮像画像における前記抽出領域の位置を調整する制御部とを備える。
【0012】
また、上記の車両用アウターミラー装置において、前記制御部は、前記ミラー駆動部による前記ミラー本体の位置の調整方向及び調整量に応じて、前記抽出領域の位置を調整してもよい。
【0013】
また、上記の車両用アウターミラー装置において、前記調整方向及び前記調整量を記憶する記憶部を有し、前記制御部は、前記記憶部に記憶される前記調整方向及び前記調整量に基づいて、前記抽出領域の位置を調整してもよい。
【0014】
また、上記の車両用アウターミラー装置において、前記制御部は、前記抽出領域の位置が調整された場合、前記撮像部の視野のうち前記抽出領域に対応する第1視野部分を算出し、算出後に前記ミラー駆動部により前記ミラー本体の位置が変動する場合、変動後の前記視野のうち前記撮像部に対する方向及び角度範囲が前記第1視野部分と同一となる第2視野部分を算出し、前記第2視野部分に対応する前記撮像画像上の領域を前記抽出領域としてもよい。
【0015】
また、上記の車両用アウターミラー装置において、前記制御部は、前記ミラー駆動部による前記ミラー本体の位置の調整方向及び調整量に基づいて、前記撮像部の前記視野の移動方向及び移動量を算出し、算出結果に基づいて前記第2視野部分を算出してもよい。
【0016】
また、上記の車両用アウターミラー装置において、前記抽出画像は、車両の表示部に表示される画像であってもよい。
【0017】
本実施形態に係る車両用アウターミラー装置の制御方法は、車両のドアに取り付けられ、前記車両の後方に向けた開口部を有するハウジングと、前記ハウジングの前記開口部に配置され、前記ハウジングの外部から入射する光を反射する光反射領域と当該光を前記ハウジングの内部に透過可能な光透過領域とを有するミラー本体と、前記ハウジングの内部に配置され、前記ミラー本体の位置を調整するミラー駆動部と、前記ミラー本体のうち前記ハウジングの内部に面する内面に固定され、前記光透過領域を介して前記車両の後方を撮像する撮像部とを備える車両用アウターミラー装置の制御方法であって、前記撮像部で撮像された撮像画像のうち所定の抽出領域に含まれる抽出画像を抽出して出力することと、前記ミラー本体の位置に応じて前記撮像画像における前記抽出領域の位置を調整することとを含む。
【0018】
本発明に係る車両用アウターミラー装置は、車両のドアに取り付けられ、前記車両の後方に向けた開口部を有するハウジングと、前記ハウジングの前記開口部に配置され、前記ハウジングの外部から入射する光を反射する光反射領域を有するミラー本体と、前記ハウジングに設けられ、前記ミラー本体に向けて流体を噴射するノズルとを備える。
【0019】
また、上記の車両用アウターミラー装置において、前記ノズルは、前記光反射領域の反射光軸の軸線方向から見て前記ミラー本体の側方に配置され、前記ミラー本体は、前記ハウジングの外部から入射する光を前記ハウジングの内部に透過可能な光透過領域を有し、前記車両により設定される設定位置と、前記ノズルから噴射される前記流体の噴射方向上に前記光透過領域が配置される洗浄位置との間で移動可能であり、前記ハウジングの内部に固定され、前記光透過領域を介して前記車両の後方を撮像する撮像部を備えてもよい。
【0020】
また、上記の車両用アウターミラー装置は、前記ハウジングの内部に配置され、前記設定位置と前記洗浄位置との間で前記ミラー本体の位置を調整するミラー駆動部と、前記車体からの指示に基づいて、前記ノズルに前記流体を噴射させない非洗浄動作と前記ノズルに前記流体を噴射させる洗浄動作とを切り替えて行わせ、前記非洗浄動作を行わせる場合には前記ミラー本体を前記設定位置に配置し、前記洗浄動作を行わせる場合には前記ミラー本体を前記洗浄位置に配置するように前記ミラー駆動部を制御する制御部とを備えてもよい。
【0021】
また、上記の車両用アウターミラー装置において、前記設定位置を記憶する記憶部を備え、前記制御部は、前記流体の噴射後、前記洗浄位置に配置される前記ミラー本体が、前記記憶部に記憶される前記設定位置のうち前記ミラー本体を前記洗浄位置に移動させる直前の前記設定位置に配置されるように前記ミラー駆動部を制御してもよい。
【0022】
本発明に係る車両用アウターミラー装置の制御方法は、車両のドアに取り付けられ、前記車両の後方に向けた開口部を有するハウジングと、前記ハウジングの前記開口部に配置され、前記ハウジングの外部から入射する光を反射する光反射領域と、前記ハウジングの外部から入射する光を前記ハウジングの内部に透過可能な光透過領域とを有し、前記車両により設定される設定位置と、前記ノズルから噴射される前記流体の噴射方向上に前記光透過領域が配置される洗浄位置との間で移動可能なミラー本体と、前記ハウジングの内部に固定され、前記光透過領域を介して前記車両の後方を撮像する撮像部と、前記ハウジングの内部に配置され、前記設定位置と前記洗浄位置との間で前記ミラー本体の位置を調整するミラー駆動部と、前記ハウジングに固定され、前記ミラー本体に向けて一方向に前記流体を噴射するノズルとを備える車両用アウターミラー装置の制御方法であって、前記車体からの指示に基づいて、前記ノズルに前記流体を噴射させない非洗浄動作と前記ノズルに前記流体を噴射させる洗浄動作とを切り替えて行わせ、前記非洗浄動作を行わせる場合には、前記ミラー本体を前記設定位置に配置し、前記洗浄動作を行わせる場合には、前記ミラー本体を前記洗浄位置に配置する。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、外観を大きく変更することなく撮像部を配置することが可能な車両用アウターミラー装置、車両用アウターミラーシステム、及び車両用アウターミラー装置の制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る車両用アウターミラーシステムの一例を示す平面図である。
【
図2】
図2は、アウターミラー装置の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、左側のアウターミラー装置の内部の構成を示す図である。
【
図4】
図4は、右側のアウターミラー装置の内部の構成を示す図である。
【
図5】
図5は、比較例に係るアウターミラー装置において、撮像部の撮像光軸が光反射領域の反射光軸と平行な状態で配置される場合を示す図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係るアウターミラー装置において、撮像部の撮像光軸が光反射領域の反射光軸に対して外側に傾いた状態で配置される場合を示す図である。
【
図7】
図7は、車両内の表示部に表示される画像と、当該画像に対応する撮像部の撮像範囲との一例を示す図である。
【
図8】
図8は、第2実施形態に係るアウターミラー装置を備える車両の一例を示す平面図である。
【
図9】
図9は、アウターミラー装置の一例を示す図である。
【
図12】
図12は、撮像画像及び抽出領域の一例を示す図である。
【
図13】
図13は、撮像部の視野と抽出領域に対応する視野部分との関係を示す図である。
【
図14】
図14は、撮像部の視野と抽出領域に対応する視野部分との関係を示す図である。
【
図15】
図15は、撮像部の視野と抽出領域に対応する視野部分との関係を示す図である。
【
図16】
図16は、車両内の表示部に表示される画像と、当該画像に対応する撮像部の撮像範囲との一例を示す図である。
【
図17】
図17は、車両内の表示部に表示される画像と、当該画像に対応する撮像部の撮像範囲との一例を示す図である。
【
図18】
図18は、車両内の表示部に表示される画像と、当該画像に対応する撮像部の撮像範囲との一例を示す図である。
【
図19】
図19は、アウターミラー装置の制御方法の一例を示すフローチャートである。
【
図20】
図20は、撮像画像及び抽出領域の他の例を示す図である。
【
図21】
図21は、第3実施形態に係るアウターミラー装置を備える車両の一例を示す平面図である。
【
図22】
図22は、アウターミラー装置の一例を示す図である。
【
図26】
図26は、アウターミラー装置の制御方法の一例を示すフローチャートである。
【
図27】
図27は、洗浄動作の各工程におけるアウターミラー装置の状態を示す図である。
【
図28】
図28は、洗浄動作の各工程におけるアウターミラー装置の状態を示す図である。
【
図29】
図29は、洗浄動作の各工程におけるアウターミラー装置の状態を示す図である。
【
図30】
図30は、洗浄動作の各工程におけるアウターミラー装置の状態を示す図である。
【
図31】
図31は、洗浄動作の各工程におけるアウターミラー装置の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る車両用アウターミラー装置、車両用アウターミラーシステム、及び車両用アウターミラー装置の制御方法の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0026】
以下の説明において、前後、上下、左右の各方向は、車両用アウターミラー装置及び車両用アウターミラーシステムが車両に搭載された車両搭載状態における方向であって、運転席から車両の進行方向を見た場合における方向を示す。なお、本実施形態では、上下方向は鉛直方向に平行であり、左右方向は水平方向であるとする。
【0027】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係るドアミラーシステムSYSを備える車両Mの一例を示す平面図である。ドアミラーシステムSYSは、車両Mの左右のドアDL、DRに取り付けられたドアミラー装置100を備える。左右のドアミラー装置100は、左右方向について略対称となっている。以下、左右のドアミラー装置100を区別する場合、車両Mの左側のドアに取り付けられたドアミラー装置をドアミラー装置101と表記し、車両Mの右側のドアに取り付けられたドアミラー装置をドアミラー装置102と表記する。また、本実施形態では、車両Mとして、ハンドルHが右側の座席(運転席)Sに配置される車両を例に挙げて説明する。
【0028】
図2は、ドアミラー装置100の一例を示す図である。
図2では、左側のドアミラー装置101について例示している。
図3は、
図2におけるA-A断面に沿った構成を示す図であり、左側のドアミラー装置101の内部の構成を示している。
図4は、
図3に対応する図であり、右側のドアミラー装置102の内部の構成を示している。
図2から
図4に示すように、ドアミラー装置100は、ハウジング10と、ミラー本体20と、ミラー駆動部30と、撮像部40と、制御部50とを備えている。なお、制御部50は、ドアミラー装置100の動作を統括的に制御する。制御部50は、例えば後述のハウジング10、ノズル15、ミラー駆動部30及び撮像部40等の動作を制御する。
【0029】
ハウジング10は、車両Mの左右のドアDL、DRに取り付けられる。ハウジング10は、基部11と、筐体12と、内壁部13とを有する。基部11は、左右のドアDL、DRに固定される。筐体12は、基部11に接続される。筐体12は、不図示の回転駆動源により、鉛直方向に垂直な軸(鉛直軸)に対して回動可能に設けられる。筐体12は、ドアミラー装置100を開いた状態の開位置(
図1、
図2等に示す位置)と、ドアミラー装置100を閉じた状態の閉位置との間で回動可能である。筐体12は、縁部12aを有する。縁部12aは、環状であり、ハウジング10の開口部10aを形成する。開口部10aは、ドアミラー装置100が開位置に配置された状態で、車両Mの後方に向けられる。内壁部13は、筐体12の内部のうち車両Mの外側の壁部に沿って設けられる。
【0030】
ミラー本体20は、例えばガラスや樹脂等を用いて板状に形成される。ミラー本体20は、ハウジング10の開口部10aに配置される。ミラー本体20は、ミラー駆動部30を介してハウジング10に支持される。ミラー本体20は、光反射領域21及び光透過領域22を有する。光反射領域21は、例えばミラー本体20のうちハウジング10の外部に面する外面20a側にアルミニウム、銀等の金属を蒸着することにより形成される。光反射領域21は、ハウジング10の外側から入射する光を反射する。光反射領域21は、後述の光透過領域22が設けられる領域以外の略全体に亘って設けられる。
【0031】
光透過領域22は、ミラー本体20の外面20aの一部に設けられ、外光を透過可能である。光透過領域22は、例えばミラー本体20の外面20aに半透過反射膜等のような外光の一部を反射し、一部を透過する膜を形成した構成であってもよい。また、光透過領域22は、ミラー本体20の外面20aに光反射膜が形成されずにガラス又は樹脂層が露出した状態で外光のほぼ全部を透過する構成であってもよい。光透過領域22は、光反射領域21の反射光軸AX1の軸線方向から見た場合において、例えば矩形状であり、後述する撮像部40の視野Fよりも広い範囲に形成される。光透過領域22が矩形状であることで、外観上の違和感が低減される。
【0032】
なお、ハウジング10の筐体12において、縁部12aの内面側に、ノズル15が設けられる。ノズル15は、光透過領域22に対して洗浄液、空気等の流体を噴出する。ノズル15により、光透過領域22を洗浄することが可能となっている。
【0033】
ミラー駆動部30は、ミラー本体20の姿勢を調整する。ミラー駆動部30は、ハウジング10の内部に配置される。ミラー駆動部30は、駆動源及び伝達機構を有し、駆動源の駆動力を伝達機構によってミラー本体20に伝達することで、ミラー本体20の姿勢を変更し、光反射領域21の反射光軸AX1の向きを変えることができる。ミラー駆動部30は、例えば、鉛直軸AXVの軸回り方向と、水平軸AXHの軸回り方向とに、それぞれミラー本体20を所定の可動範囲で回動させることが可能である。これにより、鉛直軸AXVの軸回り方向についての調整と水平軸AXHの軸回り方向についての調整とを組み合わせることで、光反射領域21の反射光軸AX1を所望の方向に向けることができる。なお、鉛直軸AXVは、鉛直方向に平行な仮想直線である。また、水平軸AXHは、鉛直軸AXVと光反射領域21の反射光軸AX1とにそれぞれ直交する仮想直線である。
【0034】
撮像部40は、光透過領域22を介して車両Mの後方を撮像する。撮像部40によって撮像された画像は、車両M内の不図示の表示部に表示されるようになっている。撮像部40としては、例えばCMOSカメラ等が用いられる。本実施形態において、撮像部40は、ハウジング10の内部であって、例えばミラー本体20のうちハウジング10の内部に面する内面20bに固定される。ミラー駆動部30によりミラー本体20の姿勢が変更される場合、撮像部40はミラー本体20の姿勢の変更に伴って一体で移動する。なお、撮像部40とミラー本体20との間は、遮光部14により封止される。遮光部14は、光透過領域22を囲うように設けられ、撮像部40をミラー本体20の内面20bに固定し、かつ、縁部12aとミラー本体20との間から後述の撮像部40に向かう光を遮光する。
【0035】
撮像部40は、撮像光軸AX2が光反射領域21の反射光軸AX1に対して車両Mの外側に傾いた状態で配置される。車両Mにおいては、左右のドアミラー装置100は運転席Sに対して車両の外側に配置される。このため、車両Mの運転者が運転席Sでドアミラー装置100により後方を確認するためには、ミラー本体20の反射光軸AX1を前後軸AXLに対して内側に向けた状態とする必要がある。
【0036】
これに対して、撮像部40は、撮像光軸AX2が光反射領域21の反射光軸AX1に対して車両Mの外側に傾いた状態で配置される。そのため、反射光軸AX1が車両Mの内側に傾いた状態となる場合に、撮像部40の撮像光軸AX2を前後軸AXLに沿った方向に向けることができる。
【0037】
図5は、比較例に係るドアミラー装置200において、撮像部140の撮像光軸AX4が光反射領域121の反射光軸AX3と平行な状態で配置される場合を示す図である。
図5に示すドアミラー装置200では、ミラー本体120の反射光軸AX3が前後軸AXLに対して内側に向くことにより、撮像光軸AX4についても前後軸AXLに対して内側に向いた状態となる。この状態において、撮像部140で車両の後方を撮像する場合、撮像部140の視野部分F2のうち中心に対して左右方向の外側にずれた範囲R2で撮像された画像のみを用いることになるため、撮像部140の使用可能な画素が限定されてしまい、鮮明な画像が得られにくくなる。
【0038】
図6は、本実施形態に係るドアミラー装置100において、撮像部40の撮像光軸AX2が光反射領域21の反射光軸AX1に対して外側に傾いた状態で配置される場合を示す図である。
図6に示す場合、反射光軸AX1が車両Mの内側に傾いた状態であっても、撮像部40の撮像光軸AX2が前後軸AXLに沿った方向に向けられる。そのため、撮像部40で車両Mの後方を撮像する場合、撮像部40の視野Fのうち左右方向の中心を含む範囲R1で撮像された画像を用いることができる。これにより、左右方向についてより多くの画素を使用することができるため、鮮明な画像を得ることができる。
【0039】
また、本実施形態では、運転席S側に配置される右側のドアミラー装置102よりも、左右方向で運転席Sとは反対側に配置される左側のドアミラー装置101の方が、反射光軸AX1と撮像光軸AX2との間の角度が大きい。左側のドアミラー装置101では、反射光軸AX1と撮像光軸AX2との間の角度α1(
図3参照)を、例えば20°以上30°以下に設定することができる。また、右側のドアミラー装置102では、反射光軸AX1と撮像光軸AX2との間の角度β1(
図4参照)を、例えば10°以上20°以下に設定することができる。
【0040】
運転席S側のドアミラー装置102は、運転席Sとは反対側のドアミラー装置101よりも運転者に近い。したがって、ミラー本体20の姿勢を調整した場合、一般的には、運転席S側のドアミラー装置102のミラー本体20の反射光軸AX1よりも、運転席Sとは反対側のドアミラー装置101のミラー本体20の反射光軸AX1の方が、車両Mの内側に向けられた状態で使用される。
【0041】
本実施形態では、撮像部40がミラー本体20の内面20bに固定され、ミラー本体20と一体で撮像光軸AX2が変動する。例えば、ミラー本体20の反射光軸AX1が車両Mの内側に向けられるほど、撮像光軸AX2も車両Mの内側に向けられる。また、ミラー本体20の反射光軸AX1が車両Mの外側に向けられるほど、撮像光軸AX2も車両Mの外側に向けられる。
【0042】
したがって、本実施形態のように、運転席S側に配置される右側のドアミラー装置102よりも、左右方向で運転席Sとは反対側に配置される左側のドアミラー装置101の方が、反射光軸AX1と撮像光軸AX2との間の角度を大きくすることで、左右の撮像部40同士の間で、撮像光軸AX2と前後軸AXLとの間の角度α2、β2に差が生じることを抑制できる。これにより、左右の撮像部40の間で、視野Fに差が生じることを抑制できる。
【0043】
図7は、車両M内の表示部に表示される画像IMと、当該画像IMに対応する撮像部40の撮像範囲との一例を示す図である。
図7では、左側のドアミラー装置101を例に挙げているが、右側のドアミラー装置102についても同様の説明が可能である。
図7に示すように、表示部に表示される画像IMには、車両Mの一部MAと、車両Mの後方の状況RAとが含まれる。画像IMでは、車両Mの一部MAよりも、後方の状況RAの方が、左右方向の広い領域を占めている。この場合、撮像部40の撮像範囲は、前後軸AXLに対して車両Mの外側に広がった範囲となる。このように、撮像部40では、前後軸AXLに対して車両Mの外側を車両Mの内側よりも広い範囲で撮像することが求められる。そこで、本実施形態では、撮像部40は、ミラー本体20が鉛直軸AXVの軸回りに回動可能な範囲の中央の位置に配置される初期状態において、前後軸AXLに対して撮像光軸AX2が外側に傾くように配置される。この構成により、撮像部40では、前後軸AXLに対して車両Mの外側を、車両Mの内側よりも広い範囲で撮像しやすくなる。
【0044】
以上のように、本実施形態に係るドアミラー装置100は、車両MのドアDL、DRに取り付けられ、車両Mの後方に向けた開口部10aを有するハウジング10と、ハウジング10の開口部10aに配置され、ハウジング10の外部から入射する光を反射する光反射領域21と当該光をハウジング10の内部に透過可能な光透過領域22とを有するミラー本体20と、ハウジング10の内部に配置され、ミラー本体20の姿勢を調整するミラー駆動部30と、ハウジング10の内部に固定され、光透過領域22を介して車両Mの後方を撮像し、撮像光軸AX2が光反射領域21の反射光軸AX1に対して車両Mの外側に傾いた状態で配置される撮像部40とを備える。
【0045】
この構成によれば、撮像部40の撮像光軸AX2が光反射領域21の反射光軸AX1に対して車両Mの外側に傾いた状態で配置されるため、反射光軸AX1が車両Mの内側に傾くようにミラー本体20の姿勢が調整される場合であっても、撮像光軸AX2と前後軸AXLとの間の角度α2、β2が大きくなることを抑制できる。これにより、撮像部40で撮像された画像の広い範囲で用いることができるため、左右方向についてより多くの画素を使用することができる。これにより、鮮明な画像を得ることができる。
【0046】
また、本実施形態に係るドアミラー装置100において、撮像部40は、ミラー本体20のうちハウジング10の内部に面する内面20bに固定される。これにより、撮像部40とミラー本体20とを一体で移動させることができるため、撮像部40の位置と光透過領域22との位置関係を固定させることができる。
【0047】
また、本実施形態に係るドアミラー装置100において、ミラー駆動部30は、ミラー本体20を少なくとも車両搭載状態における鉛直軸AXVを中心に所定範囲内で回動させることでミラー本体20の姿勢を調整可能であり、撮像部40は、ミラー本体20が鉛直軸AXVの軸回りに回動可能な範囲の中央の位置に配置された状態において、撮像光軸AX2が車両搭載状態における外側に向くように配置される。この構成により、撮像部40では、前後軸AXLに対して車両Mの外側を、車両Mの内側よりも広い範囲で撮像しやすくなる。
【0048】
また、本実施形態に係るドアミラー装置100において、光透過領域22は、矩形状である。このように、光透過領域22が矩形状であることにより、外観上の違和感が低減される。
【0049】
本実施形態に係るドアミラーシステムSYSは、上記のドアミラー装置100が車両の左右に配置され、左右のドアミラー装置100のうち、車両Mの運転席S側に配置されるドアミラー装置101よりも、当該ドアミラー装置101とは左右の反対側に配置されるドアミラー装置102の方が、反射光軸AX1と撮像光軸AX2との間の角度が大きい。
【0050】
この構成によれば、左側のドアミラー装置101に設けられる撮像部40と、右側のドアミラー装置102に設けられる撮像部40との間で、撮像光軸AX2と前後軸AXLとの間の角度α2、β2に差が生じることを抑制できる。これにより、左右の撮像部40の間で、視野Fに差が生じることを抑制できる。
【0051】
なお、第1実施形態では、撮像部40をミラー本体20の内面20bに固定する場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。撮像部40は、ハウジング10の内部であれば、筐体12の内面や内壁部13等、他の位置に固定されてもよい。
【0052】
[第2実施形態]
図8は、第2実施形態に係るドアミラー装置100Aを備える車両Mの一例を示す平面図である。ドアミラー装置100Aは、車両Mの左右のドアDL、DRに取り付けられる。左右のドアミラー装置100Aは、左右方向について略対称となっている。また、本実施形態では、車両Mとして、ハンドルHが右側の座席(運転席)Sに配置される車両を例に挙げて説明する。
【0053】
図9は、ドアミラー装置100Aの一例を示す図である。
図9では、左側のドアミラー装置101について例示している。
図10は、
図9におけるA-A断面に沿った構成を示す図であり、左側のドアミラー装置100Aの内部の構成を示している。
図9及び
図10に示すように、ドアミラー装置100Aは、ハウジング10と、ミラー本体20と、ミラー駆動部30と、撮像部40と、制御部50とを備えている。なお、右側のドアミラー装置100Aについては、左側のドアミラー装置100Aに対して左右が対称で同様の構成となっており、同様の説明が可能である。
【0054】
ハウジング10は、車両Mの左右のドアDL、DRに取り付けられる。ハウジング10は、基部11と、筐体12と、内壁部13とを有する。基部11は、左右のドアDL、DRに固定される。筐体12は、基部11に接続される。筐体12は、不図示の回転駆動源により、鉛直方向に垂直な軸(鉛直軸)に対して回動可能に設けられる。筐体12は、ドアミラー装置100Aを開いた状態の開位置(
図8、
図9等に示す位置)と、ドアミラー装置100Aを閉じた状態の閉位置との間で回動可能である。筐体12は、縁部12aを有する。縁部12aは、環状であり、ハウジング10の開口部10aを形成する。開口部10aは、ドアミラー装置100Aが開位置に配置された状態で、車両Mの後方に向けられる。内壁部13は、筐体12の内部のうち車両Mの外側の壁部に沿って設けられる。
【0055】
ミラー本体20は、例えばガラスや樹脂等を用いて板状に形成される。ミラー本体20は、ハウジング10の開口部10aに配置される。ミラー本体20は、ミラー駆動部30を介してハウジング10に支持される。ミラー本体20は、光反射領域21及び光透過領域22を有する。光反射領域21は、例えばミラー本体20のうちハウジング10の外部に面する外面20a側にアルミニウム、銀等の金属を蒸着することにより形成される。光反射領域21は、ハウジング10の外側から入射する光を反射する。光反射領域21は、後述の光透過領域22が設けられる領域以外の略全体に亘って設けられる。
【0056】
光透過領域22は、ミラー本体20の外面20aの一部に設けられ、外光を透過可能である。光透過領域22は、例えばミラー本体20の外面20aに半透過反射膜等のような外光の一部を反射し、一部を透過する膜を形成した構成であってもよい。また、光透過領域22は、ミラー本体20の外面20aに光反射膜が形成されずにガラス又は樹脂層が露出した状態で外光のほぼ全部を透過する構成であってもよい。光透過領域22は、光反射領域21の反射光軸AX1の軸線方向から見た場合において、例えば矩形状であり、後述する撮像部40の視野Fよりも広い範囲に形成される。光透過領域22が矩形状であることで、外観上の違和感が低減される。
【0057】
なお、ハウジング10の筐体12において、縁部12aの内面側に、ノズル15が設けられる。ノズル15は、光透過領域22に対して洗浄液、空気等の流体を噴出する。ノズル15により、光透過領域22を洗浄することが可能となっている。
【0058】
ミラー駆動部30は、ミラー本体20の位置を調整する。ミラー駆動部30は、ハウジング10の内部に配置される。ミラー駆動部30は、駆動源及び伝達機構を有し、駆動源の駆動力を伝達機構によってミラー本体20に伝達することで、ミラー本体20の位置を変更し、光反射領域21の反射光軸AX1の向きを変えることができる。ミラー駆動部30は、例えば、鉛直軸AXVの軸回り方向と、水平軸AXHの軸回り方向とに、それぞれミラー本体20を所定の可動範囲で回動させることが可能である。これにより、鉛直軸AXVの軸回り方向についての調整と水平軸AXHの軸回り方向についての調整とを組み合わせることで、光反射領域21の反射光軸AX1を所望の方向に向けることができる。なお、鉛直軸AXVは、鉛直方向に平行な仮想直線である。また、水平軸AXHは、鉛直軸AXVと光反射領域21の反射光軸AX1とにそれぞれ直交する仮想直線である。
【0059】
撮像部40は、光透過領域22を介して車両Mの後方を撮像する。撮像部40によって撮像された画像は、車両M内の不図示の表示部に表示されるようになっている。撮像部40としては、例えばCMOSカメラ等が用いられる。本実施形態において、撮像部40は、ハウジング10の内部であって、例えばミラー本体20のうちハウジング10の内部に面する内面20bに固定される。ミラー駆動部30によりミラー本体20の位置が変更される場合、撮像部40はミラー本体20の位置の変更に伴って一体で移動する。なお、撮像部40とミラー本体20との間は、遮光部14により封止される。遮光部14は、光透過領域22を囲うように設けられ、撮像部40をミラー本体20の内面20bに固定し、かつ、縁部12aとミラー本体20との間から後述の撮像部40に向かう光を遮光する。
【0060】
制御部50は、ドアミラー装置100Aの動作を統括的に制御する。制御部50は、例えば上記のハウジング10、ノズル15、ミラー駆動部30及び撮像部40等の動作を制御する。
図11は、制御部50の一例を示すブロック図である。
図11に示すように、制御部50は、処理部51及び記憶部52を有する。処理部51は、ミラー制御部53と、撮像制御部54と、画像処理部55とを有する。なお、処理部51は、ノズル15を駆動する不図示のノズル駆動部を有してもよい。
【0061】
ミラー制御部53は、ミラー駆動部30に対して制御信号を出力することにより、ミラー駆動部30の動作を制御する。ミラー制御部53は、例えば車両Mから運転者等によりミラー本体20の位置を変更する操作が入力された場合、操作に対応する制御信号を出力する。
【0062】
撮像制御部54は、撮像部40に対して制御信号を出力することにより、撮像部40の動作を制御する。撮像制御部54は、例えば運転者等の操作により車両Mの電気系統を作動させる操作が入力された場合に制御信号を出力する。この場合、撮像制御部54は、車両Mの電気系統が作動する場合であれば、例えば車両Mのエンジンが起動しない状態であっても、撮像部40に制御信号を出力してもよい。
【0063】
図12は、撮像画像及び抽出領域の一例を示す図である。
図12では、左側のドアミラー装置100Aに搭載される撮像部40の撮像画像を例に挙げて示しているが、右側のドアミラー装置100Aに搭載される撮像部40の撮像画像についても同様の説明が可能である。
図12に示すように、撮像画像Pは、撮像部40の視野F内の撮像対象物を撮像した画像を左右方向に反転した画像である。例えば、撮像画像Pは、車両Mの一部及び車両Mの後方の状況Rを含む。
【0064】
画像処理部55は、撮像部40によって撮像された撮像画像Pのうち、一部の領域である抽出領域Eに含まれる抽出画像IMを抽出して出力する。出力された抽出画像IMは、車両Mの表示部DPに表示される。つまり、表示部DPに表示される画像は、撮像部40によって撮像される撮像画像Pの一部である。画像処理部55は、例えば初期状態(初回に車両Mの電源系統を起動させる場合)においては撮像画像Pの中央等の所定位置に抽出領域Eを設定する。また、画像処理部55は、2回目以降の起動時には、前回以前の起動時において最後に設定された位置に抽出領域Eを設定する。抽出領域Eの位置は、例えば電源系統の起動時の状態から運転者等が車両M内の操作部を操作することで、変更できるようになっている。操作部により抽出領域Eの位置が操作される場合、画像処理部55は、操作内容に応じた位置に抽出領域Eを設定する。なお、撮像制御部54は、抽出領域Eの設定が更新される場合、撮像部40の視野Fのうち抽出領域Eに対応する視野部分(後述のF1~F3)を算出する。撮像制御部54及び画像処理部55の動作の詳細については、後述する。
【0065】
記憶部52は、ミラー情報記憶部56と、撮像情報記憶部57とを有する。ミラー情報記憶部56は、ミラー本体20の位置に関する情報等を記憶する。ミラー情報記憶部56は、例えば、鉛直軸AXV及び水平軸AXHのそれぞれの軸回り方向について、反射光軸AX1と所定の基準方向との間の傾斜角度を記憶する。所定の基準方向については、例えば、ミラー本体20が初期位置となる場合の反射光軸AX1の方向とすることができる。この場合、初期位置は、ミラー本体20が、鉛直軸AXV及び水平軸AXHのそれぞれの軸回り方向の可動範囲の中間位置に配置される場合の位置である。
【0066】
また、ミラー情報記憶部56は、ミラー駆動部30によりミラー本体20の位置が変動される場合、鉛直軸AXVの軸回り方向についての回動方向及び回動量と、水平軸AXHの軸回り方向についての回動方向及び回動量とを記憶する。この情報により、例えばミラー情報記憶部56は、鉛直軸AXV及び水平軸AXHの軸回り方向について、基準方向に対してミラー本体20がどの方向にどれだけの角度で傾斜しているかを算出することができる。なお、ミラー情報記憶部56は、算出された当該傾斜方向及び傾斜角度を記憶してもよい。
【0067】
撮像情報記憶部57は、撮像部40での撮像に関する情報を記憶する。撮像情報記憶部57は、例えば撮像部40で撮像された撮像画像のデータを記憶する。また、撮像情報記憶部57は、撮像画像に設定される抽出領域の位置を記憶する。この場合、撮像情報記憶部57は、例えば撮像画像については平面座標を設定した状態で記憶し、抽出領域については平面座標における座標値により記憶することができる。また、撮像情報記憶部57は、撮像部40の視野F内の位置と、撮像画像内の位置とをデータテーブル等により対応させて記憶する。この場合、撮像部40の視野F内の位置については、例えば撮像光軸AX2を基準として、鉛直軸及び水平軸の軸回り方向の角度によって規定することができる。また、撮像情報記憶部57は、例えばミラー本体20の回動方向及び回動量と、撮像光軸AX2、視野F及び視野部分F1の移動方向及び移動量との関係をデータテーブル等により対応させて記憶する。
【0068】
図13から
図15は、撮像部40の視野Fと抽出領域Eに対応する視野部分との関係を示す図である。
図16から
図18は、車両M内の表示部に表示される抽出画像IMと、当該抽出画像IMに対応する撮像部40の撮像範囲との一例を示す図である。以下の説明では、ミラー駆動部30によりミラー本体20を鉛直軸AXVの軸回りに回動させることで、ミラー本体20の位置を変化させる場合について説明する。
【0069】
図13及び
図16は、ミラー本体20の位置を変化させる前の状態について示している。
図13及び
図16に示すように、撮像部40の視野Fは、抽出領域E1に対応する視野部分F1を含む。撮像制御部54は、運転者等により撮像画像PAにおける抽出領域E1が設定される際、撮像部40の視野Fのうち抽出領域E1に対応する視野部分(第1視野部分)F1を算出する。この場合、撮像制御部54は、例えば撮像情報記憶部57に記憶されるデータテーブルを用いることにより、抽出領域E1に対応する視野部分F1を容易に算出可能となる。撮像制御部54は、算出結果を記憶部52の撮像情報記憶部57に記憶させる。この場合、視野部分F1は、撮像部40に対する方向及び角度範囲が、例えば方向D及び角度範囲αとなっている。
【0070】
図14及び
図17は、
図13及び
図16に示す状態から、ミラー駆動部30によりミラー本体20が鉛直軸AXVの軸回り方向の一方(上方から見た場合の時計回り方向)に回動した場合について示している。
図14及び
図17に示すように、ミラー本体20の位置が変更されることにより、ミラー本体20に固定される撮像部40がミラー本体20と一体で時計回り方向に移動する。撮像部40が移動することにより、撮像光軸AX2、視野F及び視野部分F1が移動する。このため、撮像部40による撮像画像PB及び抽出領域E2は、変動前の撮像画像PA及び抽出領域E1に対して変化する(
図12参照)。このままの状態では、
図17に示すように、位置変動前の抽出画像IM1に対して、一方向(例えば、水平方向の右側)にずれた状態の抽出画像IM2が、車両Mの表示部DPに表示される。具体的には、抽出画像IM2では、車両の一部MB及び後方の状況RBが、車両の一部MA及び後方の状況RAに対して水平方向の右側にずれた状態となっている。
【0071】
そこで、ミラー駆動部30によりミラー本体20の位置が変動する場合、撮像制御部54は、ミラー駆動部30によるミラー本体20の位置の調整方向及び調整量に関する情報をミラー情報記憶部56から取得する。撮像制御部54は、取得した調整方向及び調整量に基づいて、撮像光軸AX2、視野F及び視野部分F1の移動方向及び移動量を算出する。例えば、ミラー本体20の位置の調整方向及び調整量と、撮像光軸AX2、視野F及び視野部分F1の移動方向及び移動量との関係をデータテーブルとして記憶部52に記憶させておいてもよい。これにより、撮像制御部54は、ミラー本体20の位置の調整方向及び調整量に基づいて、撮像光軸AX2、視野F及び視野部分F1の移動方向及び移動量を容易に算出可能となる。
【0072】
撮像制御部54は、この算出結果に基づいて、位置変動後の視野Fのうち、撮像部40に対する方向及び角度範囲が、ミラー本体20の位置変動前の視野部分F1と同一(
図13に示す方向D及び角度範囲α)となる視野部分(第2視野部分)F2を求める。例えば、撮像制御部54は、位置変動後の視野Fの視野部分F1の位置に対して、算出された移動方向及び移動量の分を戻した位置の視野部分を視野部分F2とすることができる。
【0073】
画像処理部55は、撮像画像PBのうち求めた視野部分F2に対応する領域を抽出領域E2aとする。ここで、抽出領域E2aは、視野部分F2に対応する領域である。また、視野部分F2は、撮像部40に対する方向及び角度範囲が位置変動前の視野部分F1と同一である。このため、抽出領域E2aは、視野部分F1に対応する抽出領域E1に一致する。抽出領域E2aに含まれる画像は、抽出画像IM1と同一の画像となる。したがって、車両Mの表示部DPには、位置変動前の抽出画像IMと同一の画像が表示される。
【0074】
また、
図15及び
図18は、
図13に示す状態から、ミラー駆動部30によりミラー本体20が鉛直軸AXVの軸回り方向の他方(上方から見た場合の反時計回り方向)に回動した場合について示している。
図15及び
図18に示す場合も同様に、ミラー本体20の位置が変更されることにより、ミラー本体20に固定される撮像部40がミラー本体20と一体で移動し、撮像光軸AX2、視野F及び視野部分F1が移動する。このため、撮像部40による撮像画像PC及び抽出領域E3は、変動前の撮像画像PA及び抽出領域E1に対して変化する(
図12参照)。このままの状態では、
図18に示すように、位置変動前の抽出画像IM1に対して他方向(例えば、水平方向の左側)にずれた状態の抽出画像IM3が、車両Mの表示部DPに表示される。具体的には、抽出画像IM3では、車両の一部MC及び後方の状況RCが、車両の一部MA及び後方の状況RAに対して水平方向の左側にずれた状態となっている。
【0075】
そこで、ミラー駆動部30によりミラー本体20の位置が変動する場合、撮像制御部54は、ミラー駆動部30によるミラー本体20の位置の調整方向及び調整量に関する情報をミラー情報記憶部56から取得し、取得した調整方向及び調整量に基づいて、撮像光軸AX2、視野F及び視野部分F1の移動方向及び移動量を算出する。
【0076】
撮像制御部54は、この算出結果に基づいて、位置変動後の視野Fのうち、撮像部40に対する方向及び角度範囲が、ミラー本体20の位置変動前の視野部分F1と同一(方向D及び角度範囲α)となる視野部分(第2視野部分)F3を求める。例えば、撮像制御部54は、位置変動後の視野Fの視野部分F1の位置に対して、算出された移動方向及び移動量の分を戻した位置の視野部分を視野部分F3とすることができる。
【0077】
画像処理部55は、撮像画像PCのうち求めた視野部分F3に対応する領域を抽出領域E3aとする。ここで、抽出領域E3aは、視野部分F3に対応する領域である。また、視野部分F3は、撮像部40に対する方向及び角度範囲が位置変動前の視野部分F1と同一である。このため、抽出領域E3aは、視野部分F1に対応する抽出領域E1に一致する。抽出領域E3aに含まれる画像は、抽出画像IM1と同一の画像となる。そのため、車両Mの表示部DPには、位置変動前の抽出画像IMと同一の画像が表示される。
【0078】
次に、上記のように構成されたドアミラー装置100Aの制御方法を説明する。
図19は、ドアミラー装置100Aの制御方法の一例を示すフローチャートである。
図19に示すように、運転者により車両Mの電源系統がオンにされた場合(ステップS110)、制御部50のミラー制御部53は、ドアミラー装置100Aを開位置に配置する(ステップS120)。
【0079】
ドアミラー装置100Aが開位置に配置された場合、撮像制御部54は、撮像部40による撮像を開始させる(ステップS130)。撮像部40は、視野F内の対象物を撮像し、撮像画像Pが取得される。撮像部40は、取得した撮像画像Pを記憶部52の撮像情報記憶部57に記憶させる。
【0080】
撮像画像Pが取得された後、画像処理部55は、抽出領域Eを設定する(ステップS140)。画像処理部55は、例えば初期状態においては撮像画像Pの中央等の所定位置に抽出領域Eを設定し、2回目以降の起動時には、前回以前の起動時において最後に設定された位置に抽出領域Eを設定する。また、画像処理部55は、運転者が車両M内の操作部を操作して抽出領域Eの位置を変更する場合、操作による変更後の位置で抽出領域Eを設定する。画像処理部55は、抽出領域Eを設定した後、当該抽出領域Eに含まれる抽出画像IMを出力する(ステップS150)。
【0081】
その後、制御部50は、ミラー本体20の位置が変化したか否かを検出する(ステップS160)。ステップS160において、制御部50は、ミラー制御部53からミラー駆動部30に対する制御信号を検出することで、ミラー本体20の位置が変化したことを検出する。制御部50は、ミラー本体20の位置の変化を検出した場合(ステップS160のYes)、ミラー本体20の位置に応じて抽出領域Eを調整する(ステップS170)。ステップS170において、撮像制御部54は、ミラー本体20の位置の調整方向及び調整量に関する情報をミラー情報記憶部56から取得し、取得結果に基づいて撮像光軸AX2、視野F及び視野部分F1の移動方向及び移動量を算出する。また、撮像制御部54は、算出結果に基づいて、例えば位置変動後の視野Fの視野部分F1の位置に対して、算出された移動方向及び移動量の分を戻した位置の視野部分を視野部分F2、F3とする。
【0082】
画像処理部55は、撮像画像Pのうち求めた視野部分F2、F3に対応する領域を抽出領域E2a、E3aとする。抽出領域E2a、E3aに含まれる画像は、抽出画像IM1と同一の画像となる。したがって、ミラー本体20の位置が変動する場合であっても、車両Mの表示部DPには、位置変動前の抽出画像IMと同一の画像が表示される。
【0083】
制御部50は、ステップS160においてミラー本体20の位置の変化を検出しない場合(ステップS160のNo)、又は、ステップS170の調整を行った場合、車両Mの電源系統がオフにされていなければ(ステップS180のNo)、ステップS160以降の処理を繰り返し行う。また、制御部50は、車両Mの電源系統がオフにされる場合(ステップS180のYes)、処理を終了する。
【0084】
以上のように、本実施形態に係るドアミラー装置100Aは、車両MのドアDL、DRに取り付けられ、車両Mの後方に向けた開口部10aを有するハウジング10と、ハウジング10の開口部10aに配置され、ハウジング10の外部から入射する光を反射する光反射領域21と当該光をハウジング10の内部に透過可能な光透過領域22とを有するミラー本体20と、ハウジング10の内部に配置され、ミラー本体20の位置を調整するミラー駆動部30と、ミラー本体20のうちハウジング10の内部に面する内面20bに固定され、光透過領域22を介して車両Mの後方を撮像する撮像部40と、撮像部40で撮像された撮像画像Pのうち所定の抽出領域Eに含まれる抽出画像IMを抽出して出力し、ミラー本体20の位置に応じて撮像画像Pにおける抽出領域Eの位置を調整する制御部50とを備える。
【0085】
また、本実施形態に係るドアミラー装置100Aの制御方法は、車両MのドアDL、DRに取り付けられ、車両Mの後方に向けた開口部10aを有するハウジング10と、ハウジング10の開口部10aに配置され、ハウジング10の外部から入射する光を反射する光反射領域21と当該光をハウジング10の内部に透過可能な光透過領域22とを有するミラー本体20と、ハウジング10の内部に配置され、ミラー本体20の位置を調整するミラー駆動部30と、ミラー本体20のうちハウジング10の内部に面する内面20bに固定され、光透過領域22を介して車両Mの後方を撮像する撮像部40とを備えるドアミラー装置100Aの制御方法であって、撮像部40で撮像された撮像画像Pのうち所定の抽出領域Eに含まれる抽出画像IMを抽出して出力することと、ミラー本体20の位置に応じて撮像画像Pにおける抽出領域Eの位置を調整することとを含む。
【0086】
この構成によれば、制御部50が、ミラー本体20の位置に応じて撮像画像Pにおける抽出領域Eの位置を調整するため、ミラー本体20の位置を調整することで、撮像部40の撮像方向が自動的に調整される。これにより、ミラー本体20の位置及び撮像部40の撮像方向を調整する際の手間を低減することが可能となり、運転者の視認したい範囲の画像を表示部DPに表示可能となる。
【0087】
本実施形態に係るドアミラー装置100Aにおいて、制御部50は、ミラー駆動部30によるミラー本体20の位置の調整方向及び調整量に応じて、抽出領域Eの位置を調整する。この構成によれば、ミラー駆動部30で調整した調整方向及び調整量を用いて抽出領域Eの位置を調整することにより、ミラー本体20の位置変動と抽出領域Eの位置とを連動させることができる。
【0088】
本実施形態に係るドアミラー装置100Aにおいて、調整方向及び調整量を記憶する記憶部52を有し、制御部50は、記憶部52に記憶される調整方向及び調整量に基づいて、抽出領域Eの位置を調整する。この構成によれば、記憶部52に記憶される調整方向及び調整量を用いることができるため、ミラー本体20の位置変動に関する情報を容易に取得することができる。
【0089】
本実施形態に係るドアミラー装置100Aにおいて、制御部50は、ミラー駆動部30によりミラー本体20の位置が変動する場合、変動前の撮像部40の視野Fのうち抽出領域Eに対応する視野部分F1についての撮像部40に対する方向及び角度範囲を算出し、変動後の撮像部40の視野Fのうち撮像部40に対する方向及び角度範囲が算出結果と同一となる視野部分F2に対応する撮像画像P上の領域を抽出領域Eとする。この構成によれば、ミラー本体20の変動の前後において抽出領域Eに含まれる画像を同一の画像とすることができる。
【0090】
本実施形態に係るドアミラー装置100Aにおいて、制御部50は、ミラー駆動部30によるミラー本体20の位置の調整方向及び調整量に基づいて、撮像部40の視野Fの移動方向及び移動量を算出し、算出結果に基づいて視野部分F2を算出する。この構成によれば、ミラー本体20の位置の調整内容を用いることで、視野部分F2の算出を容易に行うことができる。
【0091】
本実施形態に係るドアミラー装置100Aにおいて、抽出画像IMは、車両Mの表示部DPに表示される画像である。これにより、表示部DPに表示される画像を調整する際の手間を低減することが可能となる。
【0092】
なお、第2実施形態では、ミラー本体20が鉛直軸AXVの軸回り方向に回転することで撮像部40の向きが変化する場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、ミラー本体20が水平軸AXHの軸回り方向に回転することで撮像部40の向きが変化する場合についても、同様の説明が可能である。したがって、上記実施形態に係るドアミラー装置100Aは、ミラー本体20が鉛直軸AXV及び水平軸AXHの少なくとも一方の軸回り方向に回動する場合、制御部50において撮像画像Pにおける抽出領域Eの位置を調整可能となる。このため、ミラー本体20の位置を調整することで、撮像部40の撮像方向が自動的に調整される。これにより、ミラー本体20の位置及び撮像部40の撮像方向を調整する際の手間を低減することが可能となる。
【0093】
また、第2実施形態に係るドアミラー装置100Aでは、車両Mに設けられるシフトレバーがバックギアに切り替えられた場合、制御部50は、車両搭載状態における下方に向けてミラー本体20を回動するようにミラー駆動部30を制御することができる。この制御により、ミラー本体20は、ミラー駆動部30の駆動によって所定角度だけ下方に回動する。これにより、車両をバックさせる場合に有効な視野を確保できる。
【0094】
このとき、画像処理部55は、
図20に示すように、撮像画像Pのうち、車両をバックさせる場合に有効な視野部分に対応する抽出領域E4を抽出してもよい。この場合、画像処理部55は、ミラー本体20の移動に伴い、抽出領域E4に含まれる抽出画像IM4を車両Mの表示部DPに表示させることができる。抽出領域E4の位置及び範囲については、撮像制御部54により、ミラー本体20と一体で移動する撮像部40の移動量及び移動方向に基づいて算出することができる。
【0095】
なお、車両をバックさせる場合に有効な視野部分に対応する抽出領域として、画像処理部55が、例えばシフトレバーを切り替える直前の抽出領域Eと同様の寸法であり、当該抽出領域Eを下方にシフトさせた位置の抽出領域E4を設定する場合を例に挙げているが、これに限定されない。画像処理部55は、車両をバックさせる場合に有効な視野部分に対応する抽出領域として、例えば抽出領域E1を下方に拡大した抽出領域E5を抽出してもよい。この場合、表示部DPには、抽出領域E1と当該抽出領域E1の下方とを含む画像が表示部DPに表示されるため、運転者が車両をバックさせる際に広い視野を確保できる。
【0096】
なお、シフトレバーとミラー本体20とが連動しない構成においては、例えばシフトレバーがバックギアに切り替えられた場合に、ミラー本体20を回動させずに、画像処理部55が抽出領域E4又は抽出領域E5を抽出し、表示部DPに抽出画像IM4又は抽出画像IM5を表示させるようにしてもよい。
【0097】
[第3実施形態]
図21は、第3実施形態に係るドアミラー装置100を備える車両Mの一例を示す平面図である。ドアミラー装置100は、車両Mの左右のドアDL、DRに取り付けられる。左右のドアミラー装置100は、左右方向について略対称となっている。また、本実施形態では、車両Mとして、ハンドルHが右側の座席(運転席)Sに配置される車両を例に挙げて説明する。
【0098】
図22は、ドアミラー装置100の一例を示す図である。
図22では、左側のドアミラー装置100について例示している。
図23は、
図22におけるA-A断面に沿った構成を示す図であり、左側のドアミラー装置100の内部の構成を示している。
図22及び
図23に示すように、ドアミラー装置100は、ハウジング10と、ミラー本体20と、ミラー駆動部30と、撮像部40と、制御部50とを備えている。なお、右側のドアミラー装置100については、左側のドアミラー装置100に対して左右が対称で同様の構成となっており、同様の説明が可能である。
【0099】
ハウジング10は、車両Mの左右のドアDL、DRに取り付けられる。ハウジング10は、基部11と、筐体12と、内壁部13とを有する。基部11は、左右のドアDL、DRに固定される。筐体12は、基部11に接続される。筐体12は、不図示の回転駆動源により、鉛直方向に垂直な軸(鉛直軸)に対して回動可能に設けられる。筐体12は、ドアミラー装置100を開いた状態の開位置(
図21、
図22等に示す位置)と、ドアミラー装置100を閉じた状態の閉位置との間で回動可能である。筐体12は、縁部12aを有する。縁部12aは、環状であり、ハウジング10の開口部10aを形成する。開口部10aは、ドアミラー装置100が開位置に配置された状態で、車両Mの後方に向けられる。内壁部13は、筐体12の内部のうち車両Mの外側の壁部に沿って設けられる。
【0100】
ミラー本体20は、例えばガラスや樹脂等を用いて板状に形成される。ミラー本体20は、ハウジング10の開口部10aに配置される。ミラー本体20は、ミラー駆動部30を介してハウジング10に支持される。ミラー本体20は、光反射領域21及び光透過領域22を有する。光反射領域21は、例えばミラー本体20のうちハウジング10の外部に面する外面20a側にアルミニウム、銀等の金属を蒸着することにより形成される。光反射領域21は、ハウジング10の外側から入射する光を反射する。光反射領域21は、後述の光透過領域22が設けられる領域以外の略全体に亘って設けられる。
【0101】
光透過領域22は、ミラー本体20の外面20aの一部に設けられ、外光を透過可能である。光透過領域22は、例えばミラー本体20の外面20aに半透過反射膜等のような外光の一部を反射し、一部を透過する膜を形成した構成であってもよい。また、光透過領域22は、ミラー本体20の外面20aに光反射膜が形成されずにガラス又は樹脂層が露出した状態で外光のほぼ全部を透過する構成であってもよい。光透過領域22は、光反射領域21の反射光軸AX1の軸線方向から見た場合において、例えば矩形状であり、後述する撮像部40の視野Fよりも広い範囲に形成される。光透過領域22が矩形状であることで、外観上の違和感が低減される。
【0102】
ミラー駆動部30は、ミラー本体20の位置を調整する。ミラー駆動部30は、ハウジング10の内部に配置される。ミラー駆動部30は、駆動源及び伝達機構を有し、駆動源の駆動力を伝達機構によってミラー本体20に伝達することで、ミラー本体20の位置を変更し、光反射領域21の反射光軸AX1の向きを変えることができる。
【0103】
ミラー駆動部30は、ミラー本体20の位置を設定位置P1と洗浄位置P2との間で調整可能である。設定位置P1は、例えば運転者等が車両Mに配置される操作部を操作することにより設定可能な位置である。洗浄位置P2は、光透過領域22の洗浄を行うための位置である。
【0104】
ミラー駆動部30は、例えば、鉛直軸AXVの軸回り方向と、水平軸AXHの軸回り方向とに、それぞれミラー本体20を所定の可動範囲で回動させることが可能である。これにより、鉛直軸AXVの軸回り方向についての調整と水平軸AXHの軸回り方向についての調整とを組み合わせることで、光反射領域21の反射光軸AX1を所望の方向に向けることができる。なお、鉛直軸AXVは、鉛直方向に平行な仮想直線である。また、水平軸AXHは、鉛直軸AXVと光反射領域21の反射光軸AX1とにそれぞれ直交する仮想直線である。
【0105】
撮像部40は、光透過領域22を介して車両Mの後方を撮像する。撮像部40によって撮像された画像は、車両M内の不図示の表示部に表示されるようになっている。撮像部40としては、例えばCMOSカメラ等が用いられる。本実施形態において、撮像部40は、ハウジング10の内部であって、例えばミラー本体20のうちハウジング10の内部に面する内面20bに固定される。ミラー駆動部30によりミラー本体20の位置が変更される場合、撮像部40はミラー本体20の位置の変更に伴って一体で移動する。なお、撮像部40とミラー本体20との間は、遮光部14により封止される。遮光部14は、光透過領域22を囲うように設けられ、撮像部40をミラー本体20の内面20bに固定し、かつ、縁部12aとミラー本体20との間から後述の撮像部40に向かう光を遮光する。
【0106】
図24は、
図23におけるドアミラー装置100の一部を拡大して示す図である。
図24は、筐体12のうち光透過領域22が配置される側の縁部12a及びその近傍の構成を示している。
図22から
図24に示すように、ノズル15は、ハウジング10の筐体12のうち縁部12aの内面側に設けられる。この配置により、外観上、ノズル15が見えにくくなるため、見栄えの低下を抑制できる。ドアミラー装置100を反射光軸AX1の軸線方向から見た状態で、ノズル15は、ミラー本体20の側方に配置される(
図22参照)。本実施形態において、ノズル15は、ミラー本体20に対して車両Mの外側の位置に配置される。
【0107】
ノズル15は、ミラー本体20に対して車両Mの外側の位置から、縁部12aと内壁部13の後方端部との間に形成される間隔13aを介して、ミラー本体20側に向けて流体Qを噴射する。具体的には、ノズル15は、車両Mの内側方向に対して前方に傾いた方向に流体Qを噴射する。本実施形態において、ノズル15は、流体Qとして、例えば液体状の洗浄液Q1と、気体状の洗浄ガスQ2とを切り替えて噴射可能である。
【0108】
なお、ノズル15は、洗浄液Q1と洗浄ガスQ2とを同時に噴射する構成であってもよい。また、洗浄液Q1を噴射するノズルと、洗浄ガスQ2を噴射するノズルとが別個に設けられてもよい。また、ノズル15は、液体状の流体及び気体状の流体のいずれか一方を噴射する構成であってもよい。
【0109】
ノズル15から流体Qとして洗浄液Q1を噴射する場合、洗浄液Q1の供給源としては、例えば車両Mにおいて不図示のワイパー等を洗浄する洗浄液のタンクが挙げられる。この場合、タンク内の洗浄液を供給する経路として、例えばワイパー等を洗浄する際の洗浄液の経路とは別個に、タンク内の洗浄液をノズル15に単独で供給する経路を設けてもよい。また、ノズル15から流体Qとして洗浄ガスQ2を噴射する場合、洗浄ガスQ2の供給源は、例えば車両M側に配置することができる。
【0110】
本実施形態では、ミラー本体20が設定位置P1に配置された状態において、光透過領域22は、ノズル15から噴射される流体Qの噴射方向上から外れた位置に配置される。また、ミラー本体20が洗浄位置P2に配置された状態で、ノズル15からの流体Qの噴射方向上に光透過領域22が配置される。つまり、洗浄位置P2は、ノズル15から噴射される流体Qの噴射方向上に光透過領域22が配置されるようなミラー本体20の位置である。このような配置により、ノズル15は、光透過領域22に対して流体Qを噴出可能である。
【0111】
本実施形態では、ミラー本体20が洗浄位置P2に配置された状態において、ノズル15から流体Qを噴射することにより、光透過領域22を洗浄することが可能となっている。なお、洗浄位置P2は、ミラー本体20の設定位置P1として設定可能な位置に配置されてもよいし、設定位置P1として設定可能な範囲を超える位置に配置されてもよい。
【0112】
制御部50は、ドアミラー装置100の動作を統括的に制御する。制御部50は、例えば上記のハウジング10、ノズル15、ミラー駆動部30及び撮像部40等の動作を制御する。
図25は、制御部50の一例を示すブロック図である。
図25に示すように、制御部50は、処理部51及び記憶部52を有する。処理部51は、ミラー制御部53と、撮像制御部54と、ノズル制御部59とを有する。
【0113】
ミラー制御部53は、ミラー駆動部30に対して制御信号を出力することにより、ミラー駆動部30の動作を制御する。ミラー制御部53は、例えば車両Mにおいて運転者等によりミラー本体20の位置を変更する操作が行われた場合、操作に対応する制御信号を出力する。
【0114】
撮像制御部54は、撮像部40に対して制御信号を出力することにより、撮像部40の動作を制御する。撮像制御部54は、例えば運転者等の操作により車両Mの電気系統を作動させる操作が入力された場合に制御信号を出力する。この場合、撮像制御部54は、車両Mの電気系統が作動する場合であれば、例えば車両Mのエンジンが起動しない状態であっても、撮像部40に制御信号を出力してもよい。
【0115】
ノズル制御部59は、ノズル15に対して制御信号を出力することにより、ノズル15の動作を制御する。ノズル制御部59は、例えば車両Mにおいて運転者等により、車両Mに設けられる不図示の洗浄用ボタンを押す等、洗浄動作を行うための操作が行われた場合に、操作に対応する制御信号を出力する。なお、洗浄動作を行うタイミングについて、ノズル制御部59は、例えば車両Mの走行中においては、洗浄動作を行うための操作が行われた場合であっても、洗浄動作を行わないようにすることができる。車両Mの走行中としては、例えば車両Mに設けられるパーキングブレーキがオフの場合、シフトレバーがドライブに切り替えられている場合等が挙げられる。また、ノズル制御部59は、車両Mに設けられるリアウォッシャーの動作と連動して洗浄動作を行わせてもよい。例えば、ノズル制御部59は、リアウォッシャーが基準となる時点から所定回数だけ使用された場合に洗浄動作を行わせることができる。これにより、リアウォッシャーが所定回数使用される毎に洗浄動作が1回行われることになる。また、撮像部40により撮像された画像に基づいて光透過領域22の汚れを検知し、検知結果に基づいて、ノズル制御部59が洗浄動作を行わせてもよい。これにより、例えば光透過領域22が一定以上の汚れた場合に、自動的に洗浄動作が行われることになる。ノズル制御部59は、ノズル15から流体Qを噴出する際、噴出対象(洗浄液Q1、洗浄ガスQ2)の選択、噴出開始のタイミング、噴出時間、単位時間当たりの噴出量等を制御する。
【0116】
記憶部52は、ミラー情報記憶部56と、撮像情報記憶部57と、洗浄情報記憶部58とを有する。ミラー情報記憶部56は、ミラー本体20の位置に関する情報等を記憶する。例えば、ミラー情報記憶部56は、運転者等が車両Mに配置される操作部を操作することにより設定する設定位置P1を記憶する。また、ミラー情報記憶部56は、ノズル15による洗浄動作を行う場合のミラー本体20の洗浄位置P2を記憶する。
【0117】
ミラー情報記憶部56は、例えば、鉛直軸AXV及び水平軸AXHのそれぞれの軸回り方向について、反射光軸AX1と所定の基準方向との間の傾斜角度を記憶する。所定の基準方向については、例えば、ミラー本体20が初期位置となる場合の反射光軸AX1の方向とすることができる。この場合、初期位置は、ミラー本体20が、鉛直軸AXV及び水平軸AXHのそれぞれの軸回り方向の可動範囲の中間位置に配置される場合の位置である。
【0118】
また、ミラー情報記憶部56は、ミラー駆動部30によりミラー本体20の位置が変動される場合、鉛直軸AXVの軸回り方向についての回動方向及び回動量と、水平軸AXHの軸回り方向についての回動方向及び回動量とを記憶する。この情報により、例えばミラー情報記憶部56は、鉛直軸AXV及び水平軸AXHの軸回り方向について、基準方向に対してミラー本体20がどの方向にどれだけの角度で傾斜しているかを算出することができる。なお、ミラー情報記憶部56は、算出された当該傾斜方向及び傾斜角度を記憶してもよい。
【0119】
撮像情報記憶部57は、撮像部40での撮像に関する情報を記憶する。撮像情報記憶部57は、例えば撮像部40で撮像された撮像画像のデータを記憶する。
【0120】
洗浄情報記憶部58は、ノズル15での洗浄動作に関する情報を記憶する。洗浄情報記憶部58は、ノズル15での洗浄動作を行うためのプログラムや、ノズル15から噴出する噴出対象(洗浄液Q1、洗浄ガスQ2)、噴出開始のタイミング、噴出時間、単位時間当たりの噴出量等に関するデータを記憶する。
【0121】
次に、上記のように構成されたドアミラー装置100の制御方法について、
図26から
図31を用いて説明する。以下では、一例として、車両Mの停車中において、ノズル15により洗浄動作を行う場合について説明する。
図26は、ドアミラー装置100の制御方法の一例を示すフローチャートである。
図27から
図31は、洗浄動作の各工程におけるドアミラー装置100の状態を示す図である。
【0122】
車両Mにおいて運転者等により洗浄動作を行うための操作が行われた場合、ミラー制御部53は、
図27に示すように、ミラー本体20の設定位置P1を記憶部52のミラー情報記憶部56に記憶させる(ステップS210)。その後、ミラー制御部53は、
図28に示すように、ミラー本体20を洗浄位置P2に移動させる(ステップS220)。
【0123】
ミラー本体20が洗浄位置P2に移動した後、ノズル制御部59は、ノズル15から流体を噴射させる(ステップS230)。ステップS230において、ノズル制御部59は、まず、
図29に示すように、流体Qとして洗浄液Q1をノズル15から噴射させる。ノズル15から噴射された洗浄液Q1は、噴射方向上に配置されるミラー本体20の光透過領域22に到達する。例えば光透過領域22の外面に異物等が付着する場合には、洗浄液Q1により当該異物等が除去される。洗浄液Q1を所定期間噴射した後、ノズル制御部59は、
図30に示すように、流体Qとして洗浄ガスQ2をノズル15から噴射させる。ノズル15から噴射された洗浄ガスQ2は、噴射方向上に配置される光透過領域22に到達する。例えば光透過領域22の外面に洗浄液Q1の残り等が付着する場合には、洗浄ガスQ2により当該洗浄液Q1の残り等が除去される。
【0124】
ノズル15から流体Qを噴射した後、ミラー制御部53は、
図31に示すように、ミラー本体20を洗浄位置P2から設定位置P1に戻す(ステップS240)。ステップS240において、ミラー制御部53は、ミラー情報記憶部56に記憶させた設定位置P1の位置情報を用いて、ミラー駆動部30によりミラー本体20の位置を調整させる。
【0125】
以上のように、本実施形態に係るドアミラー装置100は、車両MのドアDL、DRに取り付けられ、車両Mの後方に向けた開口部10aを有するハウジング10と、ハウジング10の開口部10aに配置され、ハウジング10の外部から入射する光を反射する光反射領域21を有するミラー本体20と、ハウジング10に設けられ、ミラー本体20に向けて流体Qを噴射するノズル15とを備える。
【0126】
この構成によれば、ミラー本体20の外面20aに異物等が付着する場合、ノズル15から噴射される流体Qにより、異物等を除去することが可能となる。これにより、例えば運転者等が手作業で異物等を除去する等の負担が低減され、ミラー本体20の外面20aに付着する異物等を効率的に除去することが可能となる。
【0127】
また、上記のドアミラー装置100において、ノズル15は、一方向に流体を噴射するように固定され、ミラー本体20は、ハウジング10の外部から入射する光をハウジング10の内部に透過可能な光透過領域22を有し、車両Mにより設定される設定位置P1と、ノズル15から噴射される流体Qの噴射方向上に光透過領域22が配置される洗浄位置P2との間で移動可能であり、ハウジング10の内部に固定され、光透過領域22を介して車両Mの後方を撮像する撮像部40を備える。この構成によれば、ミラー本体20のうち光透過領域22の外面に異物等が付着する場合、ノズル15から噴射される流体Qにより当該異物等を容易に除去することができる。これにより、撮像部40により異物等が撮像されることを抑制できるため、車両Mの表示部においてクリアな画像を表示することができる。
【0128】
また、上記のドアミラー装置100は、ハウジング10の内部に配置され、設定位置P1と洗浄位置P2との間でミラー本体20の位置を調整するミラー駆動部30と、車両Mからの指示に基づいて、ノズル15に流体Qを噴射させない非洗浄動作とノズル15に流体Qを噴射させる洗浄動作とを切り替えて行わせ、非洗浄動作を行わせる場合にはミラー本体20を設定位置P1に配置し、洗浄動作を行わせる場合にはミラー本体20を洗浄位置P2に配置するようにミラー駆動部30を制御する制御部50とを備える。この構成によれば、ミラー本体20の位置が非洗浄動作においてはP1に、洗浄動作においては洗浄位置P2に、それぞれ自動的に移動可能となるため、非洗浄動作と洗浄動作との切り替えを効率的に行うことができる。
【0129】
また、上記のドアミラー装置100において、設定位置P1を記憶する記憶部52を備え、制御部50は、流体Qの噴射後、洗浄位置P2に配置されるミラー本体20が、記憶部52に記憶される設定位置P1のうちミラー本体20を洗浄位置P2に移動させる直前の設定位置P1に配置されるようにミラー駆動部30を制御する。この構成によれば、洗浄動作の後、ミラー本体20を洗浄動作の直前の位置に容易に戻すことができる。
【0130】
本発明に係るドアミラー装置100の制御方法は、車両MのドアDL、DRに取り付けられ、車両Mの後方に向けた開口部10aを有するハウジング10と、ハウジング10の開口部10aに配置され、ハウジング10の外部から入射する光を反射する光反射領域21と、ハウジング10の外部から入射する光をハウジング10の内部に透過可能な光透過領域22とを有し、車両Mにより設定される設定位置P1と、ノズル15から噴射される流体Qの噴射方向上に光透過領域22が配置される洗浄位置P2との間で移動可能なミラー本体20と、ハウジング10の内部に固定され、光透過領域22を介して車両Mの後方を撮像する撮像部40と、ハウジング10の内部に配置され、設定位置P1と洗浄位置P2との間でミラー本体20の位置を調整するミラー駆動部30と、ハウジング10に固定され、ミラー本体20に向けて一方向に流体Qを噴射するノズル15とを備えるドアミラー装置100の制御方法であって、車両Mからの指示に基づいて、ノズル15に流体Qを噴射させない非洗浄動作とノズル15に流体Qを噴射させる洗浄動作とを切り替えて行わせ、非洗浄動作を行わせる場合には、ミラー本体20を設定位置P1に配置し、洗浄動作を行わせる場合には、ミラー本体20を洗浄位置P2に配置する。
【0131】
この構成によれば、ミラー本体20の外面20aに異物等が付着する場合、ノズル15から噴射される流体Qにより、異物等を除去することが可能となる。これにより、例えば運転者等が手作業で異物等を除去する等の負担が低減され、ミラー本体20の外面20aに付着する異物等を効率的に除去することが可能となる。また、ミラー本体20のうち光透過領域22の外面に異物等が付着する場合、ノズル15から噴射される流体Qにより当該異物等を容易に除去することができる。これにより、撮像部40により異物等が撮像されることを抑制できるため、車両Mの表示部においてクリアな画像を表示することができる。また、ミラー本体20の位置が非洗浄動作においては設定位置P1に、洗浄動作においては洗浄位置P2に、それぞれ自動的に移動可能となるため、非洗浄動作と洗浄動作との切り替えを効率的に行うことができる。
【0132】
なお、第3実施形態では、ドアミラー装置100がミラー本体20に光透過領域22を有し、光透過領域22を介して撮像部40で後方を撮像する構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、撮像部が設けられないアウターミラー装置において、ミラー本体の外面にノズルにより流体を噴射する構成であってもよい。
【0133】
また、第3実施形態では、撮像部40をミラー本体20の内面20bに固定する場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。撮像部40は、ハウジング10の内部であれば、筐体12の内面や内壁部13等、他の位置に固定されてもよい。
【0134】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。例えば、上記実施形態では、車両用アウターミラー装置として、ドアミラー装置100、100A、100Bを例に挙げて説明したが、これに限定されない。車両用アウターミラー装置は、例えばフェンダーミラーであってもよい。
【0135】
また、上記各実施形態に記載した構成については、異なる実施形態に記載の構成を適宜組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0136】
α…角度範囲、α1,β1,β2…角度、AX1,AX3…反射光軸、AX2,AX4…撮像光軸、AXH…水平軸、AXL…前後軸、AXV…鉛直軸、D…方向、DL,DR…ドア、DP…表示部、E,E1,E2,E3,E4,E5,E2a,E3a…抽出領域、F…視野、F1,F2,F3…視野部分、H…ハンドル、IM,IM1,IM2,IM3,IM4,IM5…抽出画像、M…車両、P,PA,PB,PC…撮像画像、P1…設定位置、P2…洗浄位置、Q…流体、Q1…洗浄液、Q2…洗浄ガス、R,RA,RB,RC…状況、R1,R2…範囲、S…座席,運転席、SYS…ドアミラーシステム、10…ハウジング、10a…開口部、11…基部、12…筐体、12a…縁部、13…内壁部、13a…間隔、14…遮光部、15…ノズル、20,120…ミラー本体、20a…外面、20b…内面、21,121…光反射領域、22…光透過領域、30…ミラー駆動部、40,140…撮像部、50…制御部、51…処理部、52…記憶部、53…ミラー制御部、54…撮像制御部、55…画像処理部、56…ミラー情報記憶部、57…撮像情報記憶部、58…洗浄情報記憶部、59…ノズル制御部、100,100A,101,102,200…ドアミラー装置