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特許7343492原付車両用のトップボックス又はスーツケースを自動的に開閉するため,並びに原付車両に対して結合・解放するための装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-04
(45)【発行日】2023-09-12
(54)【発明の名称】原付車両用のトップボックス又はスーツケースを自動的に開閉するため,並びに原付車両に対して結合・解放するための装置
(51)【国際特許分類】
   B62J 9/30 20200101AFI20230905BHJP
   B62J 9/27 20200101ALI20230905BHJP
   E05B 83/00 20140101ALI20230905BHJP
   E05B 83/16 20140101ALI20230905BHJP
   E05B 65/00 20060101ALI20230905BHJP
   E05B 81/36 20140101ALI20230905BHJP
   E05B 49/00 20060101ALI20230905BHJP
   E05B 41/00 20060101ALI20230905BHJP
【FI】
B62J9/30
B62J9/27
E05B83/00 H
E05B83/16 Z
E05B65/00 T
E05B81/36
E05B49/00 K
E05B41/00 H
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020520563
(86)(22)【出願日】2018-11-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-21
(86)【国際出願番号】 IB2018058625
(87)【国際公開番号】W WO2019087143
(87)【国際公開日】2019-05-09
【審査請求日】2021-06-01
(31)【優先権主張番号】102017000125709
(32)【優先日】2017-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】519154416
【氏名又は名称】ジビ エス ピー エイ
【氏名又は名称原語表記】GIVI S.p.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100179947
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 晃太郎
(72)【発明者】
【氏名】ジュセッペ ヴィセンツィ
【審査官】中島 昭浩
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-541458(JP,A)
【文献】特表2011-511737(JP,A)
【文献】特表2015-530306(JP,A)
【文献】特表2010-509123(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 9/30
B62J 9/27
E05B 83/00
E05B 83/16
E05B 65/00
E05B 81/36
E05B 49/00
E05B 41/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原付車両用のトップボックス又はスーツケース(10)を開閉するための,並びに該トップボックス又はスーツケースを,原付車両に固定された支持構造に対して結合・解放するための装置であって,前記トップボックス又はスーツケースが,前記トップボックス又はスーツケース(10)本体を形成する下側シェル(12)と,前記トップボックス又はスーツケース(10)のカバーを形成するよう,前記下側シェル(12)にヒンジ結合された上側シェル(14)とを備え,前記下側シェル(12)の底部(16)に,原付車両に固定された支持要素(18)に対する可逆的な拘束手段が設けられ,前記下側シェル(12)の外面に対してプレート(20)が関連付けられており,該プレート上に,
・トップボックス又はスーツケースを前記支持要素から解放するための,前記可逆的な拘束手段に作動接続された第1ボタン(22)と,
・前記上側シェルを前記下側シェルに対して開放させるための第2のボタン(24)であって,結合手段(36,38)に作動接続され,当該結合手段(36,38)は、前記プレート(20)にヒンジ結合され、かつ、前記上側シェル(14)と一体に構成された結合手段(42)に選択的に係合可能である、第2のボタン(24)と,
・ロック用ブロック(26)と,
・前記ロック用ブロック(26)に対して剛性回転可能に拘束され,回転作動することにより,前記第1のボタン(22)及び前記第2のボタン(24)の同時ロックモードから,前記第1のボタン(22)及び前記第2のボタン(24)を同時にロック解除するロック解除モードに,又はその逆に切り替え可能とする第1のアンダーロック本体(82)と,
・第2のボタン(24)をロックするロックモードから,第2のボタン(24)をロック解除するロック解除モードに,又はその逆に切り替えるよう回転作動させ得る第2のアンダーロック本体(83)と,
が配置されている装置において,前記第1のアンダーロック本体(82)は,前記第2アンダーロック本体(83)を回転駆動し,その際に前記第1ボタン(22)及び前記第2ボタン(24)を同時ロックするための前記ロックモードから,前記第1ボタン(22)及び前記第2ボタン(24)を同時ロック解除するための前記ロック解除モードに切り替えるように構成されており,
前記第1のアンダーロック本体(82)は,前記第2のアンダーロック本体(83)における半径方向突部に形成されたシート(920)内に挿入し得るよう半径方向に突出させたフック(91)を備え,前記第1ボタン(22)及び前記第2ボタン(24)の同時ロックモードから,前記第1ボタン(22)及び前記第2ボタン(24)の同時ロック解除モードへの切り替えに際して,前記フック(91)が前記第2のアンダーロック本体(83)における半径方向突部に形成されたシート(920)に挿入され,その結果として前記第1のアンダーロック本体(82)が前記第2のアンダーロック本体(83)を回転駆動する構成とされており,
前記第2のアンダーロック本体(83)を前記第1のアンダーロック本体(82)に対して回転作動させることにより,前記第2のボタン(24)の前記ロックモードから,前記第2のボタン(24)のロック解除モードへの切り替え,又はその逆の切り替えを可能とするための作動手段(8)を備え,
前記シート(920)は、前記第2のアンダーロック本体83の半径方向突部92に形成された切り抜きであり、当該切り抜きは、前記フック(91)と嵌合する形状を有している,開閉及び結合・解放のための装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって,前記第1のアンダーロック本体(82)が半径方向に突出する歯(90)を備え,該歯(90)は前記第1のボタン(22)の歯(50)と係合して前記第1のボタン(22)の作動を防止することを特徴とする,開閉及び結合・解放装置。
【請求項3】
請求項1~2の何れか一項に記載の装置であって,前記作動手段(8)が,前記第2のアンダーロック本体(83)の一部に周方向に設けられた円形ラック(93)を備え,該円形ラックが,モータ(84)で作動するピニオン(85)と係合することを特徴とする,開閉及び結合・解放装置。
【請求項4】
請求項1~3の何れか一項に記載の装置であって,前記作動手段(8)が,遠隔制御可能な電子制御ユニット(86)を更に備えることを特徴とする,開閉及び結合・解放装置。
【請求項5】
請求項4に記載の装置であって,前記電子制御ユニット(86)が,無線通信プロトコルにより開閉コマンドを受信する構成とした通信モジュールを備えることを特徴とする,開閉及び結合・解放装置。
【請求項6】
請求項5に記載の装置であって,前記無線通信プロトコルがブルートゥースプロトコル(「ブルートゥース」は登録商標)である,開閉及び結合・解放装置。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の装置であって,前記通信モジュールは,所定の距離内における移動端末の存在を検出した後,前記作動手段(8)を制御して前記第2のボタン(24)をロック解除することを特徴とする,開閉及び結合・解放装置。
【請求項8】
請求項1~7の何れか一項に記載の開閉及び結合・解放装置であって,該装置の1つの状態を信号で伝達する異なる色彩の少なくとも1対のLEDライト(80,81)を更に備え,該LEDライトは前記装置が関連付けられる前記トップボックス又はスーツケース(10)の外側における可視位置に配置されることを特徴とする,開閉及び結合・解放装置。
【請求項9】
自動二輪車用のトップボックス又はスーツケースを開閉すると共に結合・解放するためのシステムであって:
・請求項1~8の何れか一項に記載の開閉及び結合・解放装置と;
・無線通信プロトコルにより前記装置と通信する構成とした電子ユニットを含む移動端末と;
を備える,システム。
【請求項10】
請求項9に記載のシステムであって,前記移動端末における前記電子ユニットが,前記無線通信プロトコルにより前記装置に開閉コマンド信号を送信するようプログラムされている,システム。
【請求項11】
請求項9又は10に記載のシステムであって,前記電子ユニットがスマートフォンである,システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,原付車両用のトップボックス又はスーツケースを自動開閉可能とし,並びにそのようなトップボックス又はスーツケースを,原付車両に固定されている支持構造,一般的には特殊プレートに対して結合・解放可能とする装置に関する。以下,説明の簡潔化のために装置を,典型的には車両に一体に設けた特定のラゲッジキャリア構造上に既知の態様で配置されるトップボックスに関連させて使用する実施例について記載する。しなしながら,本発明は,車両に一体に設けた固定支持体に結合される任意形式の,例えば軟質型や横置き型のスーツケースにも適用可能である。
【0002】
本発明に係る装置は,トップボックスの開閉を許容する手段と,トップボックスの支持要素に対する結合・解放を許容するための手段の両者を同時に操作可能とするのみならず,トップボックスの支持要素に対する結合/解放手段を操作することなく,トップボックスの開閉手段のみを選択的に操作可能とするものである。
【0003】
本発明に係る装置の更なる特徴は,ロック操作のために一般的に使用されるキーを使用せずに装置を遠隔操作できることである。
【背景技術】
【0004】
荷物,ヘルメット又はその他のアクセサリを収納可能としたトップボックス,スーツケース又はバッグの使用は原付車両の技術分野において既知であり,これらは車両に設けた専用の支持要素,例えば後部荷台又はサイドスーツケース用支持フレームに対して着脱可能に固定される。
【0005】
トップボックスは通常は車両の座席後方に設けられた荷台に関連付けられているが,他の既知態様において,バッグ及び手荷物は,車両の後部側面に設けられた支持フレームに関連付けられる。何れの場合にも,一般的には例えば支持プレートからなる特別な支持要素が使用される。この支持プレートは,原付車両における荷台等の構造体に対して安定的に固定され,トップボックス,バッグ又はスーツケースには,一般的に支持プレートに対して係止するためのフック手段が設けられている。
【0006】
通常,このようなフック手段は,トップボックス又はスーツケースを支持プレートに着脱可能に結合するものであり,プラスチック又は金属材料又は他の適宜材料で構成することのできるトップボックス又はスーツケースの下面に設けられる。
【0007】
フック手段は,通常,スライド式のラッチ要素を含み,支持プレートに設けられた特別な突起と係合させてトップボックス又はスーツケースをプレート自体に対して堅固に拘束できるものである。
【0008】
安全ロックを装備することのできるボタン解放機構により,ラッチを後退させてトップボックス又はスーツケースを支持プレートから解放可能とすることができる。
【0009】
原付車両用のスーツケース又はトップボックスとして,トップボックス自体の開閉と,原付車両と一体の支持要素に対するトップボックスの結合・解放の両者を達成できる装置を備えたスーツケース又はトップボックスは,例えば,本出願人の所有に係る特許文献1(欧州特許第2242677号明細書)に記載されている。
【0010】
また,本出願人は,原付車両用スーツケースを開閉可能とし,更には該スーツケースを原付車両における固定部分に対して結合・解放可能としたロック装置に関する特許文献2(欧州特許第2630026号明細書)の所有者でもある。このロック装置は,開閉及び結合・解放を同時に操作可能とするものであり,非常に簡単で経済的であり,かつ,特に機能的な構成を有している。特許文献2に記載されている代替的な実施形態において,操作は,例えば電波又は赤外線により作動可能とした電磁アクチュエータによっても達成される。
【0011】
しかしながら,そのような既知形式の装置は,依然として改良の余地がある。
【0012】
より具体的に,既知の装置は,トップボックス又はスーツケースの結合・解放を行うことなく,トップボックス又はスーツケースの開閉のみを選択的に操作し得るものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】欧州特許第2242677号明細書
【文献】欧州特許第2630026号明細書
【発明の概要】
【0014】
それ故,本発明の課題は,原付車両用のトップボックス又はスーツケースを開閉及び結合・解放するための装置を提供し,該装置を選択的な駆動に従って作動可能とし,トップボックス又はスーツケースの開閉操作のみを,トップボックス又はスーツケースの支持要素に対する結合・解放の同時操作を伴わずに実行可能とすることである。
【0015】
この課題の範囲内において,本発明の目的は,原付車両用のトップボックス又はスーツケースを開閉及び結合・解放するための装置を提供し,該装置を,トップボックス又はスーツケースの開閉操作と,原付車両における固定部に対するトップボックス又はスーツケースの結合・解放操作の両者を実行可能とし,従来技術において既知の形式の装置に影響を及ぼしていた欠点を解決可能とし,
ユーザーがキーを使用せずにスーツケースを開放可能とすることである。
【0016】
本発明の他の目的は,原付車両用のトップボックス又はスーツケースを開閉可能とし,更にはそのようなトップボックス又はスーツケースを原付車両に対して結合・解放するために,電波,赤外線又はブルートゥース(登録商標)による遠隔制御で操作可能とした統合型装置を提供することである。
【0017】
本発明に係るこれらの目的は,原付車両用のトップボックス又はスーツケースを開閉するための,並びにそのようなトップボックス又はスーツケースを原付車両に対して結合・解放するための,請求項1に記載した装置により達成される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
原付車両用のトップボックス又はスーツケースを開閉するための,並びにそのようなトップボックス又はスーツケースを原付車両に対して結合・解放するための本発明に係る装置の特徴及び利点を更に明確にするため,以下,添付図面を参照しつつ非限定的な実施形態について詳述する。
図1】支持要素に適用され,本発明に係る開閉及び結合・解放装置が設けられたトップボックス又はスーツケースの一部の全体斜視図である。
図2図1の一部の詳細図である。
図3】本発明に係る装置の開閉及び結合・解放構造における構成要素の分解図である。
図4】本発明に係る装置が第1の操作モードにある場合の図1の一部の内面図である。
図5図4の横断面における側断面図である。
図6】本発明に係る装置が第2の操作モードにある場合の図1の一部の内面図である。
図7図6の図の垂直面における側断面図である。
図8】本発明に係る装置が第3の操作モードにある場合の図1の一部の内面図である。
図9図8の図の垂直面における側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
添付図面は,原付車両用トップボックス10を開閉するための,更にはトップボックス10を例えば原付車両に接続された支持要素18,例えばプレートに対して結合・解放するための装置の分解図及び全体図である。
【0020】
以下,例示として本発明を原付車両用のトップボックス10について説明する。トップボックス10は,その本体を形成する下側シェル12と,トップボックス10のカバーを形成する上側シェル14とを備え,上側シェル14は下側シェル12にヒンジ結合されている。
【0021】
しかしながら,本発明に係る装置は,特に原付車両用としたスーツケース又はバッグ(形式のいかんを問わない)に関連して適用することも可能である。
【0022】
従来技術におけると同様,トップボックス10における下側シェル12の底部16には,原付車両に固定された支持プレート18に対する可逆的な拘束手段が設けられている。下側シェル12の外面にプレート20が関連付けられ,同プレート上には:
・トップボックスを支持プレート18から解放するために,前記可逆的拘束手段に作動接続される第1のボタン22と;
・下側シェル12に対して上側シェル14を開放するために,プレート20にヒンジ結合された結合手段36,38に作動接続され,上側シェル14と一体の対応する結合手段42を選択的に係合可能としたの第2のボタン24と;
が設けられている。
【0023】
プレート20に関連して,ロックブロック26も配置されている。
【0024】
本発明に係る装置は,更に:
・ロックブロック26に対して堅固に回転可能に拘束され,回転可能に作動して第1のボタン22及び第2のボタン24の同時ロックモードから第1のボタン22及び第2のボタン24の同時ロック解除モードまで,又はその逆に切り替えることができる第1アンダーロック本体82と;
・第2のボタン24のロックモードから第2のボタン24のロック解除モードまで,又はその逆に切り替えるように回転可能に作動することのできる第2のアンダーロック本体83と;
を備えている。
【0025】
ここに例示される本発明の好適な実施形態において,第1のアンダーロック本体82は,第1のボタン22及び第2のボタン24の同時ロックモードから第1のボタン22及び第2のボタン24の同時ロック解除モードまでの移行時に,第2のアンダーロック本体83を回転させてドラッグする構成とされている。
【0026】
第1のアンダーロック本体82は,ロックブロック26に直結されているので,キー28を90°回転させると,アンダーロック本体82も等しく回転する。第1のアンダーロック本体82の下側には,第2のアンダーロック本体83が配置されている。第2のアンダーロック本体83は,ヒンジプレート20上に直接的に機械加工されたキーシート89における円筒部分に結合されている。
【0027】
第1のアンダーロック本体82をキー溝に取り付けると,第2のアンダーロック本体83の位置がキー軸線に沿ってロックされ,従って第2のアンダーロック本体83は,シート89周りでの回転のみが可能である。
【0028】
好適には,第1のアンダーロック本体82は,第1の本体から半径方向に突出する歯90を備える。歯90は,第1のボタン22上に形成された対応する歯50と係合する構成とされている。第1のアンダーロック本体82の歯90が第1のボタン22の歯50と係合すると,第1のボタン22の作動が防止される。より正確には,支持ボックス18からのトップボックス10のロック解除を可能とする並進が防止される。
【0029】
同様に,第1のアンダーロック本体82は,半径方向に突出するフック91を備える。フック91は,第2のアンダーロック本体83における半径方向の突部92に形成されたシート920内に挿入可能とされている。従って,第1のボタン22及び第2のボタン24の同時ロックモードから,第1のボタン22及び第2のボタン24の同時ロック解除モードへの移行に際して,第1のアンダーロック本体82は,第1のアンダーロック本体82と第2のアンダーロック本体83との間に生成される相対的拘束により,第2のアンダーロック本体83を,シート920内に挿入されたフック91によりドラグ回転させる。
【0030】
第2アンダーロック本体83における半径方向突部92が結合手段レバー36の下端56と係合する場合,トップボックス10を開放することは不可能である。これは,第2ボタン24の直線運動により下側シェルに対する上側シェルの開放が防止され,従ってフック歯38の回転,ひいては上側ボックスの開放が防止されるからである。
【0031】
本発明に係る装置の作動態様は,以下のとおりである。
【0032】
トップボックスを開放し,及び/又はプレートから解放するため,図5に示す位置に対してキー28を90°回転させて図7に示すキー回転モードとすることができる。
【0033】
キーを回転させると第1のアンダーロック本体82が回転し,従って上側フック91が第2のアンダーロック本体83の半径方向突部92に形成されたシート920に挿入され,その結果として第1のロック本体82により第2のアンダーロック本体83が図6及び7に示す位置まで駆動される。
【0034】
この操作モードでは,半径方向突部92と結合手段におけるレバー36の下端56との間に干渉がなく,従って第2のボタン24を移動(押込み移動)させてトップボックスを開放させることが可能である。
【0035】
同時に,この操作モードでは,第1のアンダーロック本体82に下側における半径方向の歯90と第1の解除ボタン22における歯50との間に干渉がないため,第1のボタン22を移動(押込み移動)させてトップボックスを支持要素又はプレート18から解放すること可能である。
【0036】
好適には,本発明に係る装置は,第2のアンダーロック本体83を回転で作動させるための作動手段8を更に備えることにより,第2のボタン24のロックモードから第2のボタン24のロック解除モードへの移行又はその逆の移行を可能としている。これにより,第1の結合・解放ボタン22を同時に制御することなく,トップボックス10の開閉のみを可能とすることができる。従って,本発明に係る装置は,キー28の操作により両方のボタン,すなわち開閉用の第1のボタン22及び結合・解放用の第2のボタン24を同時に操作可能とするのみならず,トップボックスの開閉用の第1のボタン22のみの選択的な操作も可能とするものである。
【0037】
より好適には,第2のアンダーロック本体83の作動手段8は,第2のアンダーロック本体83の一部に亘って周方向に形成された円形ラック93を備える。円形ラック93は,電気モータ84,好適には電子制御ユニット86に接続された電気モータにより作動されるピニオン85と噛合うものである。
【0038】
好適には,電気モータ84及び電子制御ユニット86は,モータ近傍に収められている特別なバッテリにより,又は特別な接続システムを介して原付車両のバッテリ自体により電力供給が可能とされている。
【0039】
第2のアンダーロック本体83を制御するモータ84を操作するためには,リモートコントロール,又はスマートフォン用のアプリケーション(専用アプリ)を使用するのが有利である。これを使用して電子制御ユニット86に開放コマンドを送信すれば,電気モータ84の回転を制御することにより,図8及び9に示されるトップボックスの開放モードにある第2のアンダーロック本体83を,電気モータ84に結合されたピニオン85を介して回転させることができる。
【0040】
この操作モードにおいては,第2のアンダーロック本体83における半径方向突部92と,レバー36の下端56との間に干渉がない。従って,第1のアンダーロック本体82における歯90と第1のボタン22における歯50の間の干渉が保存されている間,すなわちトップボックスが解放不可能である間に第2のボタン24を押し込んでトップボックスを解放することができる。
【0041】
安全上の理由から,トップボックスは,キーを使用してのみ原付車両から解放可能とすることができる。トップボックス閉鎖位置までの装置の復帰は,電子制御ユニット86への閉鎖コマンドの送信により行わせることができる。この場合には電気モータ84を,従ってピニオン85及び第2のアンダーロック本体83を,図4に示す閉鎖モードに戻るまで逆転させる。
【0042】
電子的な観点から,本発明に係る装置における好適な構成機能の1つであるブルートゥース接続の存在により,例えば,リモートコントロール又はスマートフォンが電子制御ユニット86の受信範囲に入った場合に,自動開放の待機状態を生成することが可能である。
【0043】
この目的のため,好適には,電子制御ユニット86は,所定の通信距離内における移動端末の存在を検出した後,作動手段8を制御して第2のボタン24をロック解除できる構成とした通信モジュールを備える。
【0044】
装置及び携帯端末間の接続を確立するためのブルートゥース通信プロトコルを使用すれば,例えばリモコン又はより好適にはスマートフォンにより構成される端末が制御ユニットの受信範囲から離れた場合に,制御ユニットは,トップボックスの自動閉鎖を操作するようにプログラムされている。受信システムの感度を調整すれば,通信距離及び実装方法を管理することができる。
【0045】
従って,本発明の目的は,自動二輪車用のトップボックス又はスーツケースを開閉するための,更にはトップボックス又はスーツケースを結合・解放するためのシステムを提供することであり,該システムは:
・前述した開閉及び結合・解放装置と;
・無線通信プロトコルによって前記デバイスと通信するように構成された電子ユニットを含む移動端末と;
を備える。
【0046】
好適には,携帯端末の電子ユニットは,無線通信プロトコルによりトップボックス又はスーツケースの開閉コマンド信号を装置に送信するようにプログラムされる。
【0047】
上述したように,好適には,電子ユニットはスマートフォンである。
【0048】
好適には,スマートフォンは,専用のソフトウェアアプリケーション(アプリ)によりプログラム可能である。
【0049】
更に,好適には,本発明に係る装置は,装置自体の状態を示す視覚的信号手段を備えることができる。例えば,デバイスは,複数のLEDライトを備え,LEDライト80,81の表示を通じて閉鎖状態を示す構成とすることができる。
【0050】
好適には,視覚的信号手段80,81は,トップボックスの閉鎖状態を示す赤色LED80と,トップボックスの開放状態を示す緑色LED81とを備えることができる。
【0051】
好適には,赤色LED80の点滅状態により,装置の機能不全を示すことができる。
【0052】
何らかの理由により,第2のアンダーロック本体83を回転させるための電気モータ84を備える作動手段8が,トップボックスの開放状態(図8及び9に示す開放モード)においてブロックされるか,又は正常に機能しない場合も想定される。この場合には,第2アンダーロック本体83を回転させ,キー28を挿入して90°回転させることにより,トップボックスを手動で閉鎖することができる。その際には第1アンダーロックボディ82を,第1のアンダーロック本体82の上側フック91が,第2のアンダーロック本体83の半径方向突部92に形成されたシート920に嵌合するまで回転させることになる。この時点でキー28を閉鎖位置に戻すと,第1のアンダーロック本体82が閉鎖位置に復帰し,例えば図4及び5に示すトップボックスの閉鎖及びロックモードに戻る。
【0053】
上記の説明から,原付車両用のトップボックス/スーツケースを開閉し,並びにそのようなトップボックス/スーツケースを原付車両に接続された支持構造体に対して結合・解放するための本発明に係る装置の特性は明らかである。
【0054】
また,本発明に係る原付車両用のトップボックス/スーツケースの開閉及び結合・解放装置は,修正及び変更が可能であり,それらの全ては,明細書本文と一体的な部分を構成する添付の特許請求の範囲により規定される技術的範囲内であることが理解される。
【0055】
更に,例示として記載した詳細構造は,本発明の技術的範囲内に属する技術的に均等な構成要素に置き換えることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9