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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-04
(45)【発行日】2023-09-12
(54)【発明の名称】ノットレス不安定アンカー
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/04 20060101AFI20230905BHJP
【FI】
A61B17/04
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020526385
(86)(22)【出願日】2018-11-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-04
(86)【国際出願番号】 US2018061168
(87)【国際公開番号】W WO2019099599
(87)【国際公開日】2019-05-23
【審査請求日】2020-06-09
(31)【優先権主張番号】62/586,383
(32)【優先日】2017-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500103074
【氏名又は名称】コンメッド コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロンバルド ジュゼッペ
(72)【発明者】
【氏名】ブレスリック グレイディ
(72)【発明者】
【氏名】ミラー ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ボスワース エイドリアン
【審査官】和田 将彦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0128063(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0144338(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0052179(US,A1)
【文献】特表2015-504314(JP,A)
【文献】国際公開第2017/031279(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2001/0041938(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/04
A61B 17/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノットレス不安定アンカー(10)であって、
縫合糸材料(12)と、
第一の側面および第二の側面を有し、前記縫合糸材料が前記第一の側面から前記第二の側面へと通過するアンカー(100)とを含み、
前記縫合糸材料が、自己折り畳みループ(22)と、前記自己折り畳みループから延在し、開口部(16)が形成される第一の端(18)のある側である第一のリム(24)と、前記自己折り畳みループを形成するために前記開口部を通過する第二の端(20)のある側であり、前記自己折り畳みループから延在し、調節可能ループ(30)も含む第二のリム(26)と、を有し、
前記第二のリムにおいてスプライス(28)が作成され、前記第二の端は前記スプライスを通って引き出されることで前記第二のリムに前記調節可能ループを作り出し、
前記縫合糸材料が前記アンカーの第一の側面および第二の側面のいずれからも延在するように、前記調節可能ループが前記アンカーを通して引き出され、
前記第一のリムが分離組織の上で前記調節可能ループを通過することが可能であり、前記自己折り畳みループを通した後で、前記第一のリムが第一のサイズから、前記第一のサイズより小さい第二のサイズまで前記自己折り畳みループの外周を減少させるように引かれることが可能な、ノットレス不安定アンカー。
【請求項2】
前記縫合糸材料が、縫合糸の一つの連続したストランドである、請求項1に記載のノットレス不安定アンカー。
【請求項3】
前記縫合糸材料が二つ以上の通過位置において、前記アンカーを通過する、請求項1に記載のノットレス不安定アンカー。
【請求項4】
前記第一のリムが分離組織の上で前記調節可能ループを通過することが可能であり、前記自己折り畳みループを通した後で、前記第二のリムが、第一のサイズから、前記第一のサイズより小さい第二のサイズまで前記調節可能ループの外周を減少させるように引かれるよう構成される、請求項1に記載のノットレス不安定アンカー。
【請求項5】
前記アンカーが、全縫合糸アンカーである、請求項1に記載のノットレス不安定アンカー。
【請求項6】
前記調節可能ループに取り外し可能に接続された通過リムをさらに含む、請求項1に記載のノットレス不安定アンカー。
【請求項7】
前記自己折り畳みループの外周が減少すると長さが増加する、前記スプライスと前記自己折り畳みループとの間のセグメントをさらに含む、請求項1に記載のノットレス不安定アンカー。
【請求項8】
前記ノットレス不安定アンカーが上に装填されたドライバをさらに含む、請求項1に記載のノットレス不安定アンカー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2017年11月15日に出願された米国仮特許出願第62/586,383号に関し、その優先権を主張する。
【0002】
発明の分野
本開示は一般に、骨修復手技において軟組織に使用する縫合糸アンカー装置に関し、より具体的には、組織を張らせるための摺動構築物と、骨に対する相対位置に組織を固定するためのスプライスとを含むノットレス不安定アンカーに関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術の説明
縫合糸アンカーは通常、外科手技において軟組織を骨に修復するために使用される。それらは通常、予め形成された穴に挿入され、その後、縫合糸が修復されることになる組織に通される。多くの場合、摺動結び目が作られ、それによって、組織と骨を並列させるときに、外科医が摺動結び目を操作して、組織をより良好に張ることが可能になる。そうすることで、組織が縫合糸の原点に自然に戻り、予め形成された穴またはパイロットホールの上に直接置かれる。摺動結び目を固定するため、外科医は一つまたは複数の交互に半結びされた結び目を作り、手技を完了する。結び目を作る作業は、関節鏡を使用して行う場合は特に、外科医には困難が多い。さらに、一部の場合、結び目は、結び目が重なることによる刺激で引き起こされる術後の痛みの原因とも関与している。
【0004】
これまで、外科医が結び目を作る必要なく、縫合糸を所定位置に締付ける種々なタイプの縫合糸アンカーが配備されてきた。一部の設計では、二つのアンカー構成要素の間で縫合糸を捉え、別の設計では、アンカーと骨トンネルとの間の締り嵌めを利用する。これらの固定方法を使用した多くの設計では、縫合糸を張らせて組織と骨を並列させている間、ドライバをアンカーと係合させる必要がある。ドライバがパイロットホールにそのまま係合されているため、ドライバによって組織がパイロットホール(縫合糸開始点)の上に直接に置かれるように組織を張ることが妨げられ、理想ではない位置となり、縫合糸の張りの調整を妨げる。
【0005】
修復する組織の周りに形成された調節可能ループを実装することにより、組織の位置の問題を解決する従来の方法がある。この場合、アンカーが骨に取り付けられ、ドライバが取り外される。縫合糸の一つのリムが自在であり、組織を通過して、縫合糸リムを通って戻るロードフィラメントに入り、一方向ループを作り出す。これには、縫合糸が張られた場合に縫合糸の立ち上げ端がフィンガートラップとして作用し、それによってループが緩むことを防止するよう、縫合糸の立ち上げ端が固定されたままでなければならない。この方法はまた、ループが小さくなり、接着によって組織の損傷を引き起こしうる前に、縫合糸の縦の長さ部分を組織または組織周辺を通す必要がある。さらに、固定された端は穴の深くにあり、動いてはならず、張力が制限されることになる。最後に、このタイプの装置は、治癒中に穴から引き出された場合に組織を損傷する可能性のある剛直な材料から成る。
【0006】
そのため、結び目を作る必要なく縫合糸を固定し、アンカー取付け中にパイロットホールの所望の位置に組織を調節し、維持し、および位置付けする能力を促進させる柔らかい材料から構成される単一使用の縫合糸アンカーが必要とされている。
【0007】
関連技術セクションの免責条項の説明:
特定の特許/刊行物/製品がこの関連技術セクションの説明またはこの開示の他の場所で議論されている限り、これらの議論は議論された特許/刊行物/製品は特許法の目的のための先行技術であるという許可として受け取るべきではない。例えば、考察された特許/刊行物/製品の一部または全ては、時間的に十分早期でなくてもよく、時間的に十分初期に発展した主題を反映しなくてもよく、および/または特許法の目的のために先行技術なるように、十分に有効化されなくてもよい。特定の特許/刊行物/製品が、この関連技術セクションの説明および/または出願全体を通して上記で議論されている限り、その説明/開示は参照により全て本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【0008】
本発明の実施形態は、従来のノットまたはノット無し縫合構造には、潜在的な問題および/または欠点があることを認識する。例えば、ノットおよびノット無し構築物は、炎症を引き起こすほど大きく、且つ剛直である場合があり、取付け中にドライバによって一定に係合されなければならず、これによって組織を骨穴の上の理想ではない位置に配置することになる(上述の通り)。そのため、結び目を作る必要なく縫合糸を固定し、アンカー取付け中にパイロットホールの所望の位置に組織を調節し、維持し、および位置付けする能力を促進させる柔らかい材料から構成される単一使用の縫合糸アンカーが必要とされている。本発明のさまざまな実施形態は、本明細書に記載される潜在的な問題および/または欠点のうちの一つまたは複数を解決または減少させ得るという点で有利であり得る。
【0009】
本開示はノットレス不安定アンカーの発明的構成、構造、結果として生じる機能、および、第一の本体を骨穴に対して相対位置に固定する方法に関する。ノットレス不安定アンカーは、第一の側面および第二の側面を有し、縫合糸材料が第一の側面から第二の側面へと通過するアンカーを含む。縫合糸材料は、アンカーの第一の側面から延びる調節可能ループと、アンカーの第二の側面から延びる第一のリムおよび第二のリムとを有する。スプライスは、第一のリムの第一の端とアンカーとの間の第一のリムにおいて形成される。自己折り畳みループは、第一の端とスプライスとの間の第一のリムにおいて形成される。第二のリムは、第一のリムのスプライスを通って延びる。
【0010】
別の態様によると、骨穴への相対位置に第一の本体を固定する方法は、(i)第一の側面と第二の側面とを有し、縫合糸材料が第一の側面から第二の側面に通過するアンカーを含むノットレス不安定アンカーを提供するステップであって、縫合糸材料が、アンカーの第一の側面から延びる調節可能なループと、アンカーの第二の側面から延びる第一のリムおよび第二のリムと、第一のリムの第一の端とアンカーとの間の第一のリムに形成されたスプライスと、第一の端とスプライスとの間の第一のリムに形成された自己折り畳みループとを有する、提供するステップと、(ii)第二のリムを第一のリムのスプライスに通過させるステップと、(iii)解除可能な接続部を介して調節可能なループに通過リムを取り付けるステップと、(v)アンカーを骨穴に埋め込むステップと、(vi)第一の本体の少なくとも一部分の上の第一のリムを第一の本体の反対側に通過させるステップと、(vii)第一の本体の反対側上で調節可能ループを通して第一のリムを引くステップと、を含むがこれに限らない。
【0011】
本明細書で用語が使用され、説明されている縫合材料または縫合糸は、単一フィラメントまたはマルチフィラメント縫合糸、ならびに縫合糸の機能を実行するのに適した他の金属または非金属フィラメントまたはワイヤー状材料を含む。この材料は、生体吸収性材料および非吸収性材料の両方を含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明は、添付図面と併せて以下の詳細な説明を読むことにより、より完全に理解され、評価される。添付の図面は、開示された主題の典型的な実施形態のみを示しており、従って、開示された主題は他の同等に有効な実施形態を認め得るため、その範囲を限定するものと見なされるべきではない。
【0013】
ここで添付図面を簡単に参照する。
【0014】
図1図1は、実施形態による、ノットレス不安定アンカーの配置前の構成を作り出す第一ステップにおける縫合糸撚糸の斜視図の略図である。
図2図2は、実施形態による、ノットレス不安定アンカーの配置前の構成を作り出す第二ステップにおける縫合糸撚糸の斜視図の略図である。
図3図3は、実施形態による、ノットレス不安定アンカーの配置前の構成を作り出す第三ステップにおける縫合糸撚糸の斜視図の略図である。
図4図4は、実施形態による、ノットレス不安定アンカーの配置前の構成を作り出す第四ステップにおける縫合糸撚糸の斜視図の略図である。
図5図5は、一実施形態による、通過リムが取り付けられた縫合糸撚糸の斜視図の略図である。
図6図6は、代替実施形態による、通過リムが取り付けられた縫合糸撚糸の斜視図の略図である。
図7図7は、一実施形態による、ノットレス不安定アンカーが配置前構成に装填されたドライバの斜視図の略図である。
図8図8は、一実施形態による、配置後構成にあるノットレス不安定アンカー側面図の略図である。
図9図9は、代替的実施形態による織物材料の背面図の略図である。
図10図10は、図9の織物材料の上面図の略図である。
図11図11は、代替的実施形態による織物材料の背面図の略図である。
図12図12は、図11の織物材料の上面図の略図である。
図13図13は、一実施形態による、折りたたまれ、ステッチされた織物材料の上面図の略図である。
図14図14は、追加材料被覆を有する、図13の織物材料の上面図の略図である。
図15図15は、代替実施形態による、配置されていない状態の織物材料の一実施形態の側面図の略図である。
図16図16は、代替実施形態による、配置された状態における、短縮および拡張された、図15の織物材料の側面概略図である。
図17図17は、代替的実施形態による織物材料の上面図の略図である。
図18図18は、図17の織物材料の側面図の略図である。
図19図19は、代替的実施形態による、中央アイレット付きの織物材料の上面図の略図である。
図20図20は、縫合糸の長さが中央アイレットを通過している、図19の織物材料の上面図の略図である。
図21図21は、代替的実施形態による、縫合糸の二つの長さが装填された織物材料の上面図の略図である。
図22図22は、代替的実施形態による、縫合糸の二つの長さが装填された織物材料の上面図の略図である。
図23図23は、代替的実施形態による、追加の単一フィラメントを有する織物材料の上面図の略図である。
図24図24は、インサータ(ドライバ)に装填された図23の織物材料の側面図の略図である。
図25図25は、代替実施形態による、装填されていない(取付装置またはインサータに装填されていない)、配置前構成の織物材料の斜視図のデジタル写真である。
図26図26は、配置前構成にある取付装置またはインサータに接続された、図25の織物材料の実施形態の側面図の略図である。
図27図27は、骨穴に位置づけられた配置後構成にある、図25の織物材料の一実施形態の側面図の略図である。
図28図28は、骨穴に位置づけられた配置後構成にある、図25の織物材料の一実施形態の側面図のデジタル写真である。
図29図29は、代替実施形態による、装填されていない(取付装置またはインサータに装填されていない)、配置前構成の織物材料の斜視図のデジタル写真である。
図30図30は、配置前構成にある取付装置またはドライバに接続された、図29の織物材料の実施形態の側面図の略図である。
図31図31は、骨穴に位置づけられた配置後構成にある、図29の織物材料の一実施形態の側面図の略図である。
図32図32は、代替的実施形態による織物材料の一部分の側面図の略図である。
図33図33は、アクティベータが追加された後の、配置後構成にある、図29の織物材料の実施形態の側面図のデジタル写真である。
図34図34は、一実施形態による、配置後構成にあるノットレス不安定アンカー側面図の略図である。
図35図35は、一実施形態による、配置後構成にあるノットレス不安定アンカー側面図の略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の態様および特定の特徴、利点、およびその詳細は、添付図面に図示した非限定的な例を参照しながらより完全に説明される。本発明を不必要に不明瞭にしないよう、周知の構造の説明は省略される。しかしながら、本発明の態様を示しつつ、詳細な説明および特定の非限定的な例は、例示のみによって与えられ、限定されるものではないことが理解されるべきである。本発明の主な概念の精神および/または範囲内で、さまざまな置換、修正、追加、および/または配置は、本開示から当業者に明らかであろう。
【0016】
簡単な背景として、縫合糸アンカーが、本明細書で使用される場合、軟質縫合糸アンカーを含むことができる。軟質縫合糸アンカーは、直径が骨穴のサイズよりも大きくなるように変形することにより、事前に形成された骨穴内に保持される縫合材料のフィラメントから形成され、それにより、海綿状骨内および骨皮質下に存在する。こうした一つの縫合糸アンカーが米国特許第9826971号で開示されている。軟質アンカーは通常、完全に縫合材料で作られているため、それらは「全縫合」アンカーと呼ばれることもあり、一般に繊維状構築物のアンカー本体部分(または、米国特許第9173652号に記載されているように、可撓性のウェブなどの繊維状、編組または織布タイプの構造)および、縫合糸またはフィラメント部分を含み、米国特許第9173652号の全体が本明細書に参照として組み込まれる。このような全縫合糸アンカーを挿入/配置するためのいくつかの方法および装置は公知であり、その例は、米国特許第9173652号に開示される。米国特許第8409252号に記述されるように、例えば、「非軟質」、「硬い」または「硬質」縫合糸アンカーは、一般に「硬い」アンカー本体部分(内側部材および外部部材を含んでもよいし、含まなくてもよい)および縫合糸/フィラメント部分を含む。
【0017】
ここで図面を参照すると、同一の参照番号は全体を通して同一の部品を指し、本発明の実施形態は、織物材料(アンカー)100と、縫合糸の撚糸(または「縫合糸撚糸」)12と、通過フィラメント(または「リム」)14を含むノットレス不安定アンカー10を含む(図4図6)。図1および図2は、実施形態による、ノットレス不安定アンカー10の配置前の構成を作り出す第一および第二のステップにおける縫合糸撚糸12の斜視図の略図を示す。縫合糸撚糸12を使えるよう準備するため、図1に示すように、縫合糸撚糸12の第一の端18またはその近くに貫通部(または開口部)16を形成する。一実施形態では、貫通部16の長さは、第一の端18から、縫合糸撚糸12の長さのおよそ三分の一である。縫合糸撚糸12の第二の端20を、縫合糸撚糸12を通る中央長手方向y-y軸に沿って近位に(または反時計回りに)回転する。図2に示すように、第二の端20が貫通部16を通って自己折り畳みループ22を作り出し、縫合糸撚糸12の第一のリム24および第二のリム26がそれから延在する。また、図2に示すように、第二の端20が貫通部16を通して、第一の端18から離れるように引かれる。
【0018】
ここで図3を参照すると、実施形態による、ノットレス不安定アンカーの配置前の構成を作り出す第三のステップにおける縫合糸撚糸12の斜視図の略図が示されている。図3に示すように、縫合糸撚糸12の第二のリム26にスプライス28が作成される。一実施形態では、スプライス28は、長さが約3mm~6mmのアイスプライスである。一実施形態では、スプライス28は、縫合糸撚糸12の第二の端20から近位に2mm~5mmである。図3にも示すように、縫合糸撚糸12の第二の端20は、スプライス28を通過する。第二の端20は、スプライス28を通って引き出され、縫合糸撚糸12の第二のリム26に調節可能ループ30を作り出す。
【0019】
ここで図4を参照すると、実施形態による、ノットレス不安定アンカーの配置前の構成を作り出す第四のステップにおける縫合糸撚糸12の斜視図の略図が示されている。第四のステップでは、図4に示すように、軟質全縫合糸アンカー(例えば、Y-Knotアンカー)として機能する織物材料100を通して、調節可能ループ30を引き出す。図示した実施形態では、織物材料100は、ダイニーマといった、平坦な軟質の織物材料である。図示した実施形態では、織物材料100は六つの通過位置102を有し、調節可能ループ30(縫合糸撚糸12)がそこで織物材料100に入るか、または織物材料100から出る。好ましい実施形態では、織物材料100は、八つの通過位置102を有する(あるいは、任意の数の複数の複数位置であってもよい)。
【0020】
ここで図5を参照すると、一実施形態による、通過リム14が取り付けられた縫合糸撚糸12の斜視図の略図が示されている。図5に示すように、縫合糸撚糸12が織物材料100の側面104、106のいずれからも延在するように、調節可能ループ30が織物材料100を通して引き出されている。図示した実施形態では、織物材料100は平坦な縫合糸テープであってもよい。図5はまた、取り外し可能な接続部32を介して調節可能ループ30に取り外し可能に接続されたリム14を示す。取り外し可能な接続部32は、例えばスリップノットといった、簡単にほどくことができる任意の周知のタイプの接続部であってもよい。ここで図6を簡潔に参照すると、代替的実施形態による、取り外し可能な通過リム14が取り付けられた縫合糸撚糸12の斜視図の略図が示されている。図示された実施形態では、織物材料100は、Y-Knotアンカーであってもよい(図15および図16に関してさらに説明される)。
【0021】
ここで図7を参照すると、実施形態による、配備前の構成のノットレス不安定アンカー10が装填されたドライバ40の斜視図の略図が示されている。ドライバ40は、ステンレス鋼などの好適な任意の材料から構成されてもよい。ドライバ40は、近位端36におけるハンドル34と、分岐状の遠位端38を含みうる。 ノットレス不安定アンカー10を使用するため、ドライバ40に配置前構成にあるノットレス不安定アンカー10が装填される。ノットレス不安定アンカー10を配置する前に、外科手術領域を準備する。通常、修復することになる損傷部がある骨の遠位の皮膚に切開部が作られる。次に、その切開部を通して骨周りの領域(例えば、関節空間)にカニューレを挿入する。その後、カニューレを通してドリルガイドを挿入し、骨に対する所定位置に配置される。ドリルガイドを通してドリルビットを挿入して、骨穴を作る。次に、ドリルビットを取り除き、ノットレス不安定アンカー10が装填されたドライバ40を骨穴に挿入する。その後、図34に示すように、ドライバ40がノットレス不安定アンカー10の織物材料100を骨穴内に押し出す。
【0022】
図34をさらに参照すると、分離組織1010を骨に対する所望の位置に配置するため、示すように、通過リム14および第一のリム24を分離組織1010の周り、または両側に位置付ける。次に、図8に示すように、第一のリム24は、分離組織1010の上で調節可能ループ30を通過する(図34および図35)。次のステップでは、図8にも示すように、第一のリム24が自己折り畳みループ22を通して引かれる。織物材料100に対する組織1010(図34)の位置を調整するため、第二のリム26が引かれる。第二のリム26を織物材料100から離れる方向に引くことにより、調節可能ループ30の外周が小さくなり、組織1010と織物材料100(および骨)が共に、より近くなる。組織1010が織物材料100(および骨)に対して所望の位置にある場合、第一のリム24が自己折り畳みループ22を折り畳むように引かれ、組織1010を織物材料100(および骨)への相対位置に固定する(本開示のレビューと併せて、当業者によって理解されるように)。
【0023】
第一のリム24を引っ張り、自己折り畳みループ22を折り畳むことにより、また、スプライス28と開口部16との間の、第一のリム24のセグメント1000(図8)を細長くする。セグメント1000は、自己折り畳みループ22の(外周が)より小さくなるため、細長くなる。図34に示すように、自己折り畳みループ22が小さくなり、セグメント1000が細長くなるにつれて、自己折り畳みループ22が組織1010の周りで、骨穴の織物材料100の反対側に向かって回転する。図34および図35の両方に示すように、自己折り畳みループ22は調節可能ループ30に隣接した位置に移動するが、セグメント1000は組織1010の上およびその周囲に延びる。配置後の構成では、図34および図35に示すように、第一のリム24および第二のリム26は、ノットレス不安定アンカー10、織物材料100、および組織1010の両側から延びる。最後に、縫合糸撚糸12の第一の端18および第二の端20が切り取られる。
【0024】
ここで図9図30を参照すると、多数の実施形態による織物材料(また軟質アンカー)100の様々な図の略図が示されており、これらは、 本明細書に記載のノットレス不安定アンカー10と併用されうる。概して、以下に記述および図示された代替的な全縫合糸アンカー設計は、記載し、本明細書で図示した織物材料100および他の全縫合糸アンカーと同じ方法で本明細書に記載されたドライバ40と共に作動するように、およびそれによって配置されるように構成される。織物材料100の代替的実施形態は、繊維状構築物のアンカー本体部分(または可撓性のウェブなどの繊維状、編組または織布タイプの構造)と、第一端と第二端とを有する縫合糸またはフィラメント部分とを含みうる。縫合糸は数多くの方法で(本開示のレビューと併せて当業者によって理解されるべきであるように、織られる、支柱を通過する、上部と底部を貫通する、等)アンカー本体を通過することができる。アンカー本体は、折り畳まれていない、配置前状態にあるときはアンカー本体が圧縮されていない、縫合糸の長手方向軸に沿って延在する第一状態と、平らなアンカー本体が配置された状態で縫合糸の長手方向軸に垂直な方向に圧縮されて、拡張される第二状態とを含みうる。
【0025】
図9図12を簡単に参照すると、実施形態による、織物材料100の正面図および背面図の略図が示されている。図9図12では、織物材料100は全縫合糸アンカーブレイドである。図9は、全縫合糸アンカー100の背面図を示し、図10は正面図を示す。図示されるように、織物材料(すなわち、アンカーブレイド/繊維状構築物)100の中に、およびそれから外に通過する縫合糸12の長さは、アンカーブレイド100のうちの一つの(例えば、「表」)面110のみを通過する(図10)。同様に、図11および図12は、縫合糸102が、アンカーブレイド100(図12)のうちの一つの(例えば、「表」)面110のみを通過している、背面図(図12)および正面図(図11)を示す。全縫合糸アンカー100が一つの(例えば、「表」)面110のみを通過する縫合糸12を有する場合、アンカーブレイド100が、ドライバ40上に装填されたときに対向する(例えば、「裏」)面108(図9および図11)での摩耗から縫合糸12を保護する(例えば、本開示の考察と併用して、当業者によって理解されるべきである)。図9図12では、縫合糸12は、数多くの通過位置でアンカーブレイド100を通過する。実施形態では、通過位置の数は、八つの通過位置であり、一部の代替的な全縫合糸アンカー100の通過位置の数は、六つの通過位である。通過位置の数は、縫合糸12および/またはアンカーブレイド100の組成およびサイズに応じて変化しうる。通過位置の数は、アンカーブレイド長さ、アンカーブレイド幅、アンカーブレイドピック密度、縫合糸径、等の入力パラメータを均衡させることによって最適化し、製造可能性、荷重下のアンカークリープ、および引っ張り強度、等の出力パラメータを得ることができる。
【0026】
ここで図13および図14を参照すると、織物材料100の代替的実施形態の上面図の略図が示されている。図13~14では、織物材料100は、追加的材料112を有するアンカーブレイド100である。当業者であれば、単一フィラメントポリマーといった、強度を上げるための追加材料を用いたY-Knotアンカーの潜在的な実施形態を認識および理解すべきである。追加材料112を全縫合糸アンカー100に適用することができる。図13に示すように、アンカーブレイド100は半分に折り畳まれる。単一フィラメント112は、図14に示すように、アンカーブレイド100のそれぞれの(つまり二つの)側縁104、106を共にステッチして、縫合糸12の長さを内側にして閉鎖された領域114を作成するために使用される。強度の改善に加えて、これは、挿入中にアンカーブレイド100がそれ自体の上で転がり、縫合糸12が骨に曝されることによって摩耗を引き起こすのを防ぐことになる。さらに、アンカーブレイド100の軸内を走る、より高密度の材料と組み合わせて、記載したようにアンカーブレイド100をねじれさせることにより、ねじ山付き全縫合糸アンカー100をもたらしうる。
【0027】
ここで図15および図16を参照すると、配置前および配置後構成にある織物材料100の代替的実施形態の実施形態の側面図の略図が示されている。図示した実施形態では、織物材料100は、Y-Knot(登録商標)アンカーなどの軟質縫合糸アンカーである。一つのこうした縫合糸アンカーは、米国特許第9826971号に開示され、本出願の譲受人に譲渡され、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0028】
Y-Knot(登録商標)アンカー(または軟質アンカーまたは「全縫合」アンカー)100の実施形態は、図15および図16に詳細に図示されている。図15および図16に示されるように、Y-Knotアンカー100は、少なくとも二つのセクション、つまり、固定される縫合糸である少なくとも一つの縫合糸12と、配置の一部として幅、厚さ、および/または直径が増加し、長さが収縮することができるアンカー100の一部分を形成するアンカー本体100(例えば、繊維状構築物であり、本開示のレビューと併せて当業者によって理解されるべきである)とを含む。図15を見ると、配置前構成にあるアンカー本体100を示し、図16を見ると、配置後構成で「短縮され」、「拡張された」アンカー本体100を示し、これは、プリーツによる増加への追加である。この軟質アンカーの実施形態は、以下の原因と結果の関係を捕らえるポアソン比も利用している。つまり、材料を第一の方向に圧縮すると、材料は第一の方向に垂直な方向に膨張し、(つまり、x方向に圧縮された場合、材料はy方向および/またはz方向に膨張する)、材料を第一の方向に引き伸ばす/伸ばすことにより、材料は第一の方向に垂直な方向に収縮する。配置時に幅、厚さ、および/または直径が増加するのはアンカー本体100であるが、縫合糸12はアンカー本体100に関して、(一部の実施形態では)自由にスライドし、他の実施形態ではスライドできない(少なくとも特定の位置または点で)にもかかわらず、縫合糸12もアンカー100の配置に役割を果たすことを理解されたい。縫合糸12は、アンカー100の配置後に縫合糸12がアンカー本体100から除去される場合、アンカー本体100は自由にあふれ(すなわち、解放する)、アンカー本体100がサイズにおいてつぶれおよび収縮し、容易な(および潜在的に望ましくない)除去が可能になるように、アンカー本体100の位置決め、整列および支持を助ける。
【0029】
つまり、アンカー本体100は二つの主要な機能を有する。第一に、それは、中で摺動する縫合糸12の基部となる。第二に、配置中に圧縮および/またはひだをひだ付けされると、アンカー本体100は、一方向に、よりコンパクトになり、それによって外側に広がり、全体の幅、厚さまたは直径が増大し、保持能力が生じる。アンカー本体100の形状を変化させて、その全体幅、厚さまたは直径を増加させるこの作用は、穴116内に、または、骨または軟組織118に対してアンカー100を固定するのに有利に使用されうる、有用な特徴である。修復を確保するために、摺動する結び目を通すことが望ましい場合、本発明の実施形態を、軟組織の骨118への再付着、または軟組織の軟組織への再付着に対し理想的にするのは、アンカー本体100に対して、摺動可能なままである(一部の実施形態では、および少なくとも使用中の特定の位置または点で、他の実施形態では摺動不可能)縫合糸12と結合する、拡張するアンカー本体100のこの組み合わせである。
【0030】
図17および図18を簡単に参照すると、代替的実施形態による織物材料100の上面図および側面図の略図が示されている。図17および図18では、織物材料100は全縫合糸アンカーブレイドである。図17および図18に示すように、縫合糸12の長さは、アンカーブレイド100のおよそ中心120を通過する。図示された実施形態では、縫合糸12の長さは、一つの(例えば、「表」)面110を通ってアンカーブレイド100に入り、アンカーブレイド100の対向する(例えば、「裏」)面108を通って出る。縫合糸12の長さがアンカーブレイド100の両側に位置付けられた状態で、アンカーブレイド100が骨に対して位置付けられうる一方で、縫合糸12の長さがドライバ40に沿うように、アンカーブレイド100はドライバ40上に装填されうる。
【0031】
ここで図19および図20を参照すると、追加的な代替的実施形態による、織物材料100の上面略図が示されている。図19および図20では、織物材料100は全縫合逆アンカーブレイド100である。逆アンカーブレイド100を作成するため、糸通しループ付きの糸通し器をまずアンカーブレイド100に通す。次に、アンカーブレイド100の端において糸通しループを通して引き出す。最後に、図19に示すように、糸通しループがアンカーブレイド100を通して引き戻され、中央アイレット105を創出する。縫合糸12の長さは、本明細書に示される実施形態のいずれかに関連して説明した通り、アンカーブレイド100を通って縫合糸12の長さを通過させることによって、および、図20に示すように、中央アイレット105を通過させることによって、逆アンカーブレイド100上に装填されうる。
【0032】
別の代替的実施形態では、図21および図22に示すように、織物材料100は、縫合糸12A、12Bの複数の長さで装填される織物材料100である。図示した実施形態では、アンカーブレイド100は、縫合糸12A、12Bの二つの長さで装填される。縫合糸12A、12Bの長さは、その対向する縁122A、122B(図22)に沿って、二つのオフセンター位置124A、124B(図21)を通って、または、その任意の考えられる組み合わせで、アンカーブレイド100を通って延在しうる(アンカーブレイド100のおよそ中心120を通った縫合糸12A、12Bの長さの延長部を含む)。さらに、縫合糸12A、12Bの長さは、同一面(図9図12)上、または、対向する面(図17図18)上で、アンカーブレイド100に入る/出ることができる。
【0033】
さらに別の代替的実施形態では、図23および図24に示すように、織物材料100は、平坦なブレイド、管ブレイド、中心の縫合糸、複数密度の分割された縫合糸、または密度に高低のある縫合糸から成る全縫合糸アンカーである。図23および図24のアンカー100は、例えば、追加的な編まれたモノフィラメント112を含む。追加的な編まれたモノフィラメント112は、図23に示す通り、アンカーの周りおよびそれを通して織られる。追加的な編まれたモノフィラメント112は、追加のモノフィラメントブレイド112を介して骨表面内に凹凸を作ることによるさらなる固定形態、複数の縫合糸密度間のさらなるアンカー「ロック」(UHMWPEブレイドロック/フリッピングと混合したモノフィラメントの相互嵌合)、および/または、UHMWPEブレイドの基本密度を介して配置されたアンカー100の外面上の剛直な機械的な「とげ(barbs)」の作出を提供する。縫合の長さ(図示せず)は、上述の通り、アンカー100を入る/出ることができる。
【0034】
アンカー実施形態によれば、織物材料100は、第一端から第二端まで延在する開かれた細長い支柱/内腔を有し、縫合糸12は、開いた支柱を少なくとも部分的に通過し、それに位置づけられる。一実施形態では、縫合糸12を織物材料100の第一端と織物材料100の第二端から、開いた支柱から取り除くことができるように、縫合糸12は開いた支柱を通って自在に摺動する。織物材料100の実施形態はまた、開いた細長い支柱/内腔を有することに加えて、管状でありうる。縫合糸12は、平坦なテープ/織物材料100(例えば、丸みのあるセクション縫合糸ブレイド)上に直接その場で織られるか、または、丸みのあるセクション縫合糸ブレイドが後で挿入されうる開いた支柱を有して織られてもよい。
【0035】
特に、図25に示すように、実施形態による、装填されていない(挿入装置またはインサータに装填されていない)、配置前構成にある織物材料400の斜視図の略図である。図示した実施形態では、織物材料400は、軟質縫合糸アンカーである。全縫合糸アンカー400は、第一端4Aと第二端4Bとを有する平坦な繊維構造物4と、第一端6Aおよび第二端6Bを有する開いた細長い支柱/内腔6とを有するが、これらに限らない(開いた細長い支柱/内腔6の第一端6Aおよび第二端6Bはそれぞれ、平坦な繊維状構築物の第一端4Aおよび第二端4B端の間、またはそれらの後ろを延在しうる)。開いた細長い支柱/内腔6は、平坦な繊維状構築物4の中心軸に平行な軸に沿って、またはそれに沿って織られるか、または、中心軸に平行でない経路に沿って織られてもよい。図25に示すように、開いた細長い支柱/内腔は、中心軸に沿って織られる。
【0036】
図25をさらに参照すると、フィラメント2は、第一端2Aと第二端2Bを有し、開いた支柱6を通過し、少なくとも部分的に位置付けられて示されている。一実施形態では、フィラメント2は、フィラメント2が繊維状構築物2の第一端2Aおよび/または繊維状構築物2の第二端2Bから、開いた支柱6から取り除かれるように、開いた支柱6を通して自在に摺動する。代替的実施形態によれば、フィラメントはロックされ、開いた支柱6を通して摺動可能ではない。
【0037】
ここで図26および図27を参照すると、配置前および配置後構成にある全縫合糸アンカー400の実施形態の側面図の略図が示されている。上述の通り、全縫合糸アンカー400は、第一端2Aおよび第二端2Bを有する少なくとも一つの縫合糸2と、第一端4Aと第二端4Bを有するアンカー本体/繊維構築物4との、少なくとも二つのセクションを含み、開いた細長い支柱/内腔6が第一端6Aおよび第二の端6Bまで延在し、それは、幅、厚さ、および/または直径を増加することができ、配置の一部として長さを縮めることができるアンカー400の一部分を形成する。
【0038】
図26に示すように、配置前構成にある取付装置(または本明細書に記載したドライバ40)が提供される。全縫合糸アンカー400は、取付装置800の遠位配置端804に接続されて示されており、(これは本明細書に記載の実施形態のドライバ40であってもよい)、ハンドル802も含む。遠位配置端804および全縫合糸アンカー100は、骨皮質902の下で海綿状骨904の骨穴900内に位置付けられて示されている。全縫合糸アンカー400を配置するために(本開示の考察と併せて、当業者によって理解されるべきである、骨へ並置にもたらされる必要があるその他の組織に接続することができる)、第一端2Aおよび/または第二端2Bは、骨穴400から離れる方向に引っ張られて張力を受ける。第一端2Aおよび第二端2Bは、骨穴900内の所定位置に挿入装置800と共に、または挿入装置800なしで、骨穴900から離れる方向に引っ張られ、引かれうる(挿入装置800が骨穴900の中の所定位置にある場合、穴900からの引張力対する反作用力として作用して、全縫合糸アンカー400の配置を支援する)。
【0039】
図27に示すように、アンカー本体/繊維構築物4は、配置後の構成で「短縮」および「膨張」し、骨穴900でロックされて示されており、繊維状構築物4(繊維状構築物4の一部であってもよい)によって形成されるプリーツによる増加への追加となり得る。図28も参照すること。全縫合糸アンカー400、特に、繊維状構築物4は、以下の原因と結果の関係を捕らえるポアソン比も利用している(その他アンカーについて上述したように)。つまり、材料を第一の方向に圧縮すると、材料は第一の方向に垂直な方向に膨張し、(つまり、x方向に圧縮された場合、材料はy方向および/またはz方向に膨張する)、材料を第一の方向に引き伸ばす/伸ばすことにより、材料は第一の方向に垂直な方向に収縮する。配置時に幅、厚さ、および/または直径が増加するのはアンカー本体/繊維状構築物4であるが、縫合糸2はアンカー本体4に関して、(一部の実施形態では)自由にスライドし、他の実施形態ではスライドできない(少なくとも特定の位置または点で)にもかかわらず、縫合糸2もアンカー400の配置に役割を果たすことを理解されたい。縫合糸2は、アンカー本体4を位置付け、整列し、支持する一助となる(本開示の考察と併せて当業者によって理解されるべきである)。
【0040】
つまり、アンカー本体/繊維状構築物4は二つの主要な機能を有する。第一に、それは、中(支柱/内腔6内)で摺動する縫合糸2の基部となる。第二に、配置中に圧縮および/またはひだをひだ付けされると、アンカー本体4は、一方向に、よりコンパクトになり、それによって外側に広がり、全体の幅、厚さまたは直径が増大し、保持能力が生じる。アンカー本体4の形状を変化させて、その全体幅、厚さ、または直径を増加させるこの作用は、穴900内に、または、骨または軟組織に対してアンカー400を固定するのに有利に使用されうる、有用な特徴である。修復を確保するために、摺動する結び目を通すことが望ましい場合、本発明の実施形態を、軟組織の骨への再付着、または軟組織の軟組織への再付着に対し理想的にするのは、アンカー本体4に対して、摺動可能なままである(一部の実施形態では、および少なくとも使用中の特定の位置または点で、他の実施形態では摺動不可能)縫合糸2と結合する、拡張するアンカー本体4のこの組み合わせである。
【0041】
一実施形態では、軟質の移植可能な材料のハイブリッドな組み合わせを利用する軟質の全縫合糸アンカーの、発明の構成、構造、および結果をして生じる機能が提供される。一実施形態のハイブリッドな軟質全縫合糸アンカーは、従来の軟質全縫合糸アンカーと比較して、優れた引き抜き強度特性を含む。本発明の実施形態は、一部、ハイブリッド型拡張構成要素部分のために、硬骨で使用するように、より良い軟質の全縫合糸アンカーを提供する。これらの実施形態はまた、非常に薄いまたは弱い皮質層がある軟質の海綿状骨に使用するのに好適である。ハイブリッド型全縫合糸アンカーは、アクティベータが適用されると、第一配置前状態から第二配置状態にサイズを増加させるよう構成された拡張部材/部分と、第一フィラメントと第二フィラメントとを有するフィラメントとを含みうるが、これらに限らず、第二の配置状態にある拡張可能部材に接触して位置づけられる。アンカーはまた、第一端と第二端とを有する平坦な繊維状構築物を含むことができ、フィラメントは繊維状構築物を通過する。平坦な繊維状構築物は、平坦な繊維状構築物が、折り畳まれていない、配置前状態にあるとき、圧縮されておらず、フィラメントの長手方向軸に沿って延在する第一状態と、平らな繊維状構築物が配置された状態でフィラメントの長手方向軸に垂直な方向に圧縮されて、拡張される第二状態とを含む。拡張可能部材、および繊維状構築物の構造、構成、および機能性(実施形態の一部として)は、配置後状態で骨穴にアンカーを設定し、保持するのに役立つ。拡張可能部分/部材は、任意のフィラメント部分(本明細書で説明した通り)のみと使用されるハイブリッド型の全縫合糸アンカーの一部とすることができる。拡張可能部分/部材はまた、任意のフィラメント部分および任意の繊維状構築物部分(本明細書で説明した通り)と使用されるハイブリッド型の全縫合糸アンカーの一部とすることができる。
【0042】
例えば、図29を参照すると、実施形態による、配置前構成におけるハイブリッド型軟質全縫合糸アンカー500の斜視図が示されている。ハイブリッド型全縫合糸アンカー500は、第一端4Aと第二端4Bとを有する平坦な繊維状構築物4を含みうるが、これに限定されない。フィラメント2は、第一端2Aと第二端2Bとを有し、織られ、糸を通され、またはその他の方法で繊維状構築物4を通過位置25、27および25、28で通過して示されている。本発明の本実施例の一部である(本開示の考察と併せて、当業者によって理解されるべきである)、フィラメントおよび繊維状構築物の構造的態様のさらなる説明については、米国特許第9826971号を参照のこと。
【0043】
一実施形態では、フィラメント2が繊維状構築物4の第一端4Aおよび/または繊維状構築物4の第二端4Bから、繊維状構築物4から取り除かれうるように、フィラメント2は、繊維状構築物4(およびそれに取り付けられたときに、拡張可能部分3)を通って自在に摺動する。代替的実施形態によれば、フィラメントはロックされ、繊維状構築物4および/または拡張可能部分3(拡張可能部分3に取り付けられたとき)を通って摺動可能ではない。
【0044】
ここで図30および図31を参照すると、配置前および配置後構成にある全縫合糸アンカー500の実施形態の側面図の略図が示されている。上述の通り、全縫合糸アンカー500は、第一端2Aおよび第二端2Bを有する少なくとも一つの縫合糸2と、第一端4Aと第二端4Bを有するアンカー本体/繊維状構築物4との、少なくとも二つのセクションを含み、幅、厚さ、および/または直径を増やすことができ、配置の一部として長さを縮めることができるアンカー500の一部分を形成するよう構成されている。全縫合糸アンカー500はまた、アクティベータに反応して、配置後構成におけるサイズを増加させ得るアンカー500の一部分を形成するよう構成された拡張可能部分3を含む(本開示の考察と併せて、当業者によって理解されるべきである)。
【0045】
図30に示すように、配置前構成にある取付装置(または本明細書に記載したインサータ)が提供される。全縫合糸アンカー500は、取付装置800の遠位配置端804に接続されて示されており、(これは本明細書に上述したように、インサータであってもよい)、ハンドル802も含む。遠位配置端804および全縫合糸アンカー500は、骨皮質902の下で海綿状骨904の骨穴900内に位置付けられて示されている。全縫合糸アンカー500を配置するために(本開示の考察と併せて、当業者によって理解されるべきである、骨へ並置にもたらされる必要があるその他の組織に接続することができる)、第一端2Aおよび/または第二端2Bは、骨穴400から離れる方向に引っ張られて張力を受ける。第一端2Aおよび第二端2Bは、骨穴900内の所定位置に挿入装置800と共に、または挿入装置800なしで、骨穴900から離れる方向に引っ張られ、引かれうる(挿入装置800が骨穴900の中の所定位置にある場合、穴900からの引張力対する反作用力として作用して、全縫合糸アンカー500の配置を支援する)。さらに、アクティベータをアンカーに追加して、拡張可能部分を、第一配置前サイズより大きい第二サイズに拡張させることができる。一実施形態では、アクティベータは水である。
【0046】
図31に示すように、アンカー本体/繊維構築物4は、配置後の構成で「短縮」および「膨張」し、骨穴900でロックされて示されており、繊維状構築物4(繊維状構築物4の一部であってもよい)によって形成されるプリーツによる増加への追加となり得る。全縫合糸アンカー500、特に、繊維状構築物4は、以下の原因と結果の関係を捕らえるポアソン比も利用している(同様に、上述したように)。つまり、材料を第一の方向に圧縮すると、材料は第一の方向に垂直な方向に膨張し、(つまり、x方向に圧縮された場合、材料はy方向および/またはz方向に膨張する)、材料を第一の方向に引き伸ばす/伸ばすことにより、材料は第一の方向に垂直な方向に収縮する。配置時に幅、厚さ、および/または直径が増加するのはアンカー本体/繊維状構築物4であるが、縫合糸2はアンカー本体4に関して、(一部の実施形態では)自由にスライドし、他の実施形態ではスライドできない(少なくとも特定の位置または点で)にもかかわらず、縫合糸2もアンカー500の配置に役割を果たすことを理解されたい。縫合糸2は、アンカー本体4を位置付け、整列し、支持する一助となる(本開示の考察と併せて当業者によって理解されるべきである)。
【0047】
つまり、アンカー本体/繊維状構築物4は二つの主要な機能を有する。第一に、それは、中(支柱/内腔6内)で摺動する縫合糸2の基部となる。第二に、配置中に圧縮および/またはひだをひだ付けされると、アンカー本体4は、一方向に、よりコンパクトになり、それによって外側に広がり、全体の幅、厚さまたは直径が増大し、保持能力が生じる。アンカー本体4の形状を変化させて、その全体幅、厚さまたは直径を増加させるこの作用は、穴900内に、または、骨または軟組織に対してアンカー500を固定するのに有利に使用されうる、有用な特徴である。修復を確保するために、摺動する結び目を通すことが望ましい場合、本発明の実施形態を、軟組織の骨への再付着、または軟組織の軟組織への再付着に対し理想的にするのは、アンカー本体804に対して、摺動可能なままである(一部の実施形態では、および少なくとも使用中の特定の位置または点で、他の実施形態では摺動不可能)縫合糸2と結合する、拡張するアンカー本体4のこの組み合わせである。
【0048】
さらに図31を参照すると、拡張可能部分3は、アクティベータに曝された後、第一のより小さい配置前サイズよいも大きい、拡張された第二サイズで示されている。拡張可能部分は、アクティベータに曝されると容量が大きく膨張し、骨穴900でくさび留めされ、アンカー500を所定位置にロックする。実施形態によれば、フィラメント2を張って、軟組織(図示せず)を再取り付けするために、フィラメント2は、繊維状構築物4と拡張可能部分3を通って前後に自在に摺動しうる(拡張可能部分3に接続されているときは必要とされうる)。繊維構築物4が存在しない特定の状況では、摺動自在フィラメント2は、拡張可能部分3を通して切断される可能性があり、それにより、全縫合糸アンカー500の配置の最適度が低くなる。そのため、繊維状構築物4を有する、または有さない全縫合糸アンカー500の一部の実施形態では、縫合糸2-1の短い第二長さは、フィラメント2の周りで包まれるか、またはループし(図32を参照)、拡張可能部分3と接触するときに、フィラメント2によって拡張可能部分3を通って縫う/切断するのを防止する。
【0049】
図33を参照すると、実施形態による、アクティベータの追加後の配置後構成にある、図29の全縫合糸アンカーの実施形態のデジタル写真の側面図が示されている。示すように、拡張可能部分3は、第二配置構成状態までサイズが増大し(骨穴は拡張可能部分3の膨張程度を図示して示されていない)、フィラメント2は、拡張可能部分3を通して、および/または、そうでなければ接触して位置付けられる。
【0050】
上述のフィラメント2および繊維状構築物4および図30図32に示す実施形態に関しても同様に、拡張可能部分3は、本明細書に記載した任意の全縫合糸アンカーの一部であってもよく、あるいは、米国特許出願第16/033616号に示され、記載される全縫合糸アンカーを含んでもよい。上述し、図30図32に示される拡張可能部分3の同一の構造および機能は、(繊維状構築物を有する、または有さない)全縫合糸アンカーのこれらの実施形態に適用できる。
【0051】
定義および本明細書で使用されるすべての定義は、辞書の定義、参照により組み込まれる文書、および/または定義された用語の通常の意味を制御するために理解されるべきである。
【0052】
本明細書において様々な発明的実施形態が記述され、例示されてきたが、当業者は、本明細書に記載の機能を実施および/または結果および/または利点の一つ以上を得るためのさまざまな他の手段ならびに/あるいは構造を容易に想起するであろうし、そのような変形および/または変更の各々は、本明細書に記載の発明的実施形態の範囲内であると見なされる。より一般的に、当業者は、本明細書に記載されるすべてのパラメータ、寸法、材料、および構成が、例示的であり、実際のパラメータ、寸法、材料、および/または構成が、教示が使用される一つ以上の特定の用途に依存することを容易に理解するであろう。当業者は、本明細書に記載される特定の実施形態に対する多数の同等物を単に通常の実験を用いて認識することができ、または確認することができる。したがって、前述の実施形態は、単に例示的なものとして提示されており、添付した請求項およびその等価物の範囲内で、具体的に記載され、請求される以外のその他の方法で、実施形態を実行できることが理解されよう。本開示の実施形態は、本明細書に記載される個々の特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法を対象とする。さらに、こうした特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法が相互に矛盾しない場合、二つ以上のこうした特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法の任意の組み合わせが、本開示の範囲内に含まれる。
【0053】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態のみを説明する目的のためであり、本発明を限定することを意図していない。本明細書で使用されるように、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、複数形も含むことが意図される。用語「含む(comprise)」(および「含む(comprises)」や「含む(comprising)」などのcompriseの任意の形式)、「有する(have)」(および「有する(has)」や「有する(having)」などのhaveの任意の形式)、「含む(include)」(および「含む(includes)」や「含む(including)」などのincludeの任意の形式)、および「包含する(contain)」(および「包含する(contains)」や「包含する(containing)」などのcontainの任意の形式)は、オープンエンドのリンク動詞であることがさらに理解されるだろう。結果として、一つまたは複数のステップまたは要素を「含む(comprise)」、「有する(have)」、「含む(include)」または「包含する(contain)」方法または装置。同様に、一つまたは複数の特徴を「含む(comprise)」、「有する(have)」、「含む(include)」または「包含する(contain)」方法のステップ、または装置の要素は、それら一つまたは複数の特徴を有するが、それらの一つまたは複数の特徴のみを保持することに限定されない。さらに、特定の方法で構成される装置または構造は、少なくともそのように構成されるが、リストされていない方法で構成することもできる。
【0054】
以下の特許請求の範囲の全ての手段またはステッププラス機能要素の対応する構造、材料、行為および同等物は、もしあれば、具体的に請求される他の特許請求の要素と組み合わせて、機能を実行するための構造、材料または行為を含むことを意図している。本発明の説明は、例示および説明の目的で提示されてきたが、本発明に開示された形態で網羅的または限定されるものではない。多くの修正および変形は、本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく、当業者には明らかであろう。実施形態は、本発明の一つまたは複数の態様の原理および実際の応用を最もよく説明し、当業者が、考えられる特定の用途に適したさまざまな修正を有するさまざまな実施形態について本発明の一つまたは複数の態様を理解できるように選択および説明された。
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