(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-04
(45)【発行日】2023-09-12
(54)【発明の名称】メタセシス触媒の存在下におけるオレフィン誘導体の反応
(51)【国際特許分類】
B01J 31/22 20060101AFI20230905BHJP
C07D 313/00 20060101ALI20230905BHJP
C11B 9/00 20060101ALI20230905BHJP
C07F 15/00 20060101ALI20230905BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20230905BHJP
【FI】
B01J31/22 Z
C07D313/00
C11B9/00 M
C07F15/00 A
C07B61/00 300
(21)【出願番号】P 2020565542
(86)(22)【出願日】2019-02-11
(86)【国際出願番号】 EP2019053336
(87)【国際公開番号】W WO2019158485
(87)【国際公開日】2019-08-22
【審査請求日】2022-02-02
(32)【優先日】2018-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501399500
【氏名又は名称】ユミコア・アクチエンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Umicore AG & Co.KG
【住所又は居所原語表記】Rodenbacher Chaussee 4,D-63457 Hanau,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】リチャード・エル・ペダーソン
(72)【発明者】
【氏名】アダム・エム・ジョーンズ
【審査官】早川 裕之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0079575(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0171071(US,A1)
【文献】米国特許第07039565(US,B1)
【文献】国際公開第2017/100585(WO,A1)
【文献】ChemSusChem,2014年,7,536-542
【文献】Molecular Catalysis,2018年,448,135-143
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F
C07D
B01J
C11B
C07B 61/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(8)
【化9】
[式中、
R
aは、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、tert-ブチル、シクロヘキシル、又はフェニルであり、
R
bは、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、tert-ブチル、シクロヘキシル、又はフェニルであるか、又は、R
aとR
bが一緒に結合して、スルホキシド基を有する5員ヘテロ環又は6員ヘテロ環を形成し、
R
3は、アダマンチル、2,4,6-トリメチルフェニル、2,6-ジ-iso-プロピルフェニル、2-メチル-6-tert-ブチルフェニル、2-iso-プロピル-6-メチルフェニル、2-iso-プロピル-フェニル、2,6-ジ-エチルフェニル、2-エチル-6-メチルフェニル、2,4,6-トリフルオロフェニル、2,6-ジフルオロフェニル、3,5-ジ-tert-ブチルフェニル、2,4-ジメチルフェニル、又は2-メチル-フェニルであり、
R
4は、2,4,6-トリメチルフェニル、2,6-ジ-iso-プロピルフェニル、2-メチル-6-tert-ブチルフェニル、2-iso-プロピル-6-メチルフェニル、2-iso-プロピル-フェニル、2,6-ジ-エチルフェニル、2-エチル-6-メチルフェニル、2,4,6-トリフルオロフェニル、2,6-ジフルオロフェニル、3,5-ジ-tert-ブチルフェニル、2,4-ジメチルフェニル、又は2-メチル-フェニルであり、
R
1は水素であり、R
2は、非置換フェニル、置換フェニル、C
1~C
6アルキル、又は置換1-プロペニルであるか、又は、R
1とR
2が一緒に結合して、場合により置換されていてもよいインデニリデンを形成し、
R
11は、水素又はメチルであり、R
12は、水素又はメチルであり、R
13は水素であり、R
14は水素であり、
R
xは、メチル、水素、又はClであり、R
yは水素であり、R
wは水素であり、R
zは、Cl、t-ブチル、水素、又はフェニルであるか、又はR
xとR
yが一緒に結合して、非置換の二環式若しくは多環式のアリール、又は置換の二環式若しくは多環式のアリールを形成し、又はR
wとR
zが一緒に結合して、非置換の二環式若しくは多環式のアリール、又は置換の二環式若しくは多環式のアリールを形成し、又はR
yとR
wが一緒に結合して、非置換の二環式若しくは多環式のアリール、又は置換の二環式若しくは多環式のアリールを形成する]
の構造によって表される
、オレフィンメタセシス触媒。
【請求項2】
次から選択される、請求項
1に記載のオレフィンメタセシス触媒。
【化10】
【請求項3】
式(A)
【化11】
によって表される大環状ムスクを合成する方法であって、
式(E)
【化12】
[式中、
R
eは、H、メチル、エチル、又はプロピルであり、
pは、1、2、3、又は4であり、
qは、4、5、6、又は7である]
のジエンの閉環メタセシス反応を、
メタセシス生成物を形成するのに十分な条件下、少なくとも1つの
オレフィンメタセシス触媒の存在下で、行うこと、を含み、前記少なくとも1つの
オレフィンメタセシス触媒は、式(4)
【化13】
[式中、
Mは、第8族遷移金属であり、
L
2は、中性の電子供与配位子であり、
nは、0又は1であり、
mは、0、1、又は2であり、
R
aは、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、又は置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり、
R
bは、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、又は置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであるか、又は、R
aとR
bが一緒に結合して、スルホキシド基を有する5員ヘテロ環又は6員ヘテロ環を形成し、
X
1及びX
2は、独立して、アニオン性配位子であり、
R
1及びR
2は、独立して、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、又は置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであるか、又は、R
1とR
2が一緒に結合して、場合により置換されていてもよいインデニリデンを形成し、
X
5及びY
5は、独立して、C、CR
3A、又はNであり、X
5又はY
5のうち1つだけが、C又はCR
3Aであってもよく、
R
3Aは、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、又は置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり、
Qは、構造-[CR
11R
12]
s-[CR
13R
14]
t-又は-[CR
11=CR
13]-を有する2原子結合であり、
R
11、R
12、R
13、及びR
14は、独立して、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、又は置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり、
「s」及び「t」は、独立して、1又は2であり、
R
3は、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、又は置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり、
R
4は、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、又は置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルである]
の構造によって表される、方法。
【請求項4】
前記オレフィンメタセシス触媒が、式(5)
【化14】
[式中、
R
1は、水素であり、
R
2は、非置換フェニル、置換フェニル、C
1~C
6アルキル、又は置換1-プロペニルであるか、又は、R
1とR
2が一緒に結合して、場合により置換されていてもよいインデニリデンを形成し、
R
aは、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、tert-ブチル、又はフェニルであり、
R
bは、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、tert-ブチル、又はフェニルであるか、又は、R
aとR
bが一緒に結合して、スルホキシド基を有するテトラヒドロチオフェンオキシドを形成し、
X
1及びX
2は、独立して、Cl、Br、F、又はIであり、
R
3は、アダマンチル、2,4,6-トリメチルフェニル、2,6-ジ-iso-プロピルフェニル、2-iso-プロピル-6-メチルフェニル、2-iso-プロピル-フェニル、又は2-メチル-フェニルであり、
R
4は、2,4,6-トリメチルフェニル、2,6-ジ-iso-プロピルフェニル、2-iso-プロピル-6-メチルフェニル、2-iso-プロピル-フェニル、又は2-メチル-フェニルである]
の構造によって表される、請求項
3に記載の方法。
【請求項5】
前記オレフィンメタセシス触媒が、次から選択される、請求項
3に記載の方法。
【化15】
【請求項6】
前記オレフィンメタセシス触媒が、式(8)
【化16】
[式中、
R
aは、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、tert-ブチル、シクロヘキシル、又はフェニルであり、
R
bは、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、tert-ブチル、シクロヘキシル、又はフェニルであるか、又は、R
aとR
bが一緒に結合して、スルホキシド基を有する5員ヘテロ環又は6員ヘテロ環を形成し、
R
3は、アダマンチル、2,4,6-トリメチルフェニル、2,6-ジ-iso-プロピルフェニル、2-メチル-6-tert-ブチルフェニル、2-iso-プロピル-6-メチルフェニル、2-iso-プロピル-フェニル、2,6-ジ-エチルフェニル、2-エチル-6-メチルフェニル、2,4,6-トリフルオロフェニル、2,6-ジフルオロフェニル、3,5-ジ-tert-ブチルフェニル、2,4-ジメチルフェニル、又は2-メチル-フェニルであり、
R
4は、2,4,6-トリメチルフェニル、2,6-ジ-iso-プロピルフェニル、2-メチル-6-tert-ブチルフェニル、2-iso-プロピル-6-メチルフェニル、2-iso-プロピル-フェニル、2,6-ジ-エチルフェニル、2-エチル-6-メチルフェニル、2,4,6-トリフルオロフェニル、2,6-ジフルオロフェニル、3,5-ジ-tert-ブチルフェニル、2,4-ジメチルフェニル、又は2-メチル-フェニルであり、
R
1は水素であり、R
2は、非置換フェニル、置換フェニル、C
1~C
6アルキル、又は置換1-プロペニルであるか、又は、R
1とR
2が一緒に結合して、場合により置換されていてもよいインデニリデンを形成し、
R
11は、水素又はメチルであり、R
12は、水素又はメチルであり、R
13は水素であり、R
14は水素であり、
R
xは、メチル、水素、又はClであり、R
yは水素であり、R
wは水素であり、R
zは、Cl、t-ブチル、水素、又はフェニルであるか、又はR
xとR
yが一緒に結合して、非置換の二環式若しくは多環式のアリール、又は置換の二環式若しくは多環式のアリールを形成し、又はR
wとR
zが一緒に結合して、非置換の二環式若しくは多環式のアリール、又は置換の二環式若しくは多環式のアリールを形成し、又はR
yとR
wが一緒に結合して、非置換の二環式若しくは多環式のアリール、又は置換の二環式若しくは多環式のアリールを形成する]
の構造によって表される、請求項
3に記載の方法。
【請求項7】
前記オレフィンメタセシス触媒が、次から選択される、請求項
3に記載の方法。
【化17】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
メタセシス触媒の存在下におけるオレフィン誘導体の反応、及び香りの産業において使用される大環状化合物の合成方法に関する。
(関連出願)
本出願は、2018年2月13日に出願された米国仮特許出願第62/629,857号の利益を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
1950年代に発見されてから、オレフィンメタセシスは、炭素-炭素二重結合を形成する有益な合成方法として台頭してきた。有機合成用途及びポリマー合成用途における近年の進歩のほとんどが、明確に定義されているオレフィンメタセシス触媒の開発によるものである。
【0003】
ルテニウムメタセシス触媒による技法によって、開環メタセシス重合(ROMP)、開環交差メタセシス(ROCM)、交差メタセシス(CM)、閉環メタセシス(RCM)といったいくつかの研究基盤の開発が可能になった。
【0004】
別の実施形態では、本発明は、香りの産業において使用される大環状化合物の合成方法を提供する。
【0005】
ムスクの香気は恐らく最も広く評価されている香りである。天然の大環状ムスク化合物は、ケトン(動物由来)及びラクトン(植物材料)であることが判明している。これらは、15員環系又は17員環系である。香気の種類には、環のサイズが影響する。順に述べると、環原子が14個だと弱いムスクの香気が知覚される。環原子が15~16個の化合物では、強いムスクの香気が示される。
【0006】
大環状ムスク化合物は、特に、それらの多くが天然に生じるものであること、かつ更には代表的な合成化合物であっても天然の均等物に非常に類似していることから、今後は重要性が高まることが予想される。加えて、合成化学の進展により価格が抑えられることで、この種のムスク化合物の使用の増加が促される。
【0007】
合成ムスク化合物は、大きく3種類に、すなわち芳香族ニトロムスク化合物、多環式ムスク化合物、及び大環状ムスク化合物に分類することができる。そのため、近年、大環状ムスク化合物の重要性が高まっている。
【0008】
大環状ムスク化合物の合成は困難であり、多くの場合、多工程の手法である。製造コストが比較的高いことから、その経済的重要性は依然として限定されている。しかし、これらのムスク化合物は、香料産業において常に大量の需要がある。
【0009】
少なくとも1つのケト基を有する中環をベースとして、特に少なくとも1つのケト基を有する大環をベースとして、環式化合物を調製する効果的なプロセスが必要とされている。中環は、概して、8~11個の炭素原子を有するものであり、炭素原子が12個超のものについては大環と呼ばれ、大環に基づく化合物はまた、大環状化合物とも呼ばれる。大環状ケトン、ラクトン及びエポキシド、並びに更なる官能化大環状化合物は、香りの産業において価値のある芳香化学物質である。非常に価値があり有益な大環状ムスク化合物の新たな合成経路を作り出す必要がある。
【0010】
本発明は、従来技術の課題に対処するものであり、第8族金属オレフィンメタセシス触媒の存在下で交差メタセシス反応を用いる、大環状ムスク化合物及びそれらの開鎖中間体の効率的で高収率の合成法を提供する。
【0011】
アルケンの立体化学、すなわちE又はZは、これらの環式構造において、多くの場合、分子の生物活性又はその嗅覚特性に重要であり、化学的混合物中に別の立体異性体の不純物が少量存在することにより、効力が劇的に低下する場合がある。E異性体及びZ異性体の分離は、それらを分離する技術が一般的なものではないことから特に困難である。したがって、立体化学的に純粋な環式化合物を製造する方法は、極めて重要である。
【0012】
RCM反応におけるオレフィン立体化学の制御は困難な場合がある。一般的な非選択的メタセシス触媒を使用する場合、選択性は、オレフィン生成物の熱力学的安定性によって制御され、環サイズ及び二重結合位置に応じて変化する場合がある。
【0013】
更に、RCMを用いたマクロ環化反応には、多くの場合、高い触媒担持量が必要とされる。これらの事例では、存在することが最終生成物において望ましくない場合があり、又は場合により生成物を異性化させることがある、残留金属の除去が困難な場合がある。いくつかの用途では、これには、添加剤を使用する更なる精製、又は複数のクロマトグラフィカラムを使用する更なる精製、続いて炭を使用する処理が必要である。
【0014】
一般的な大環状ムスク化合物としては、アンブレットリド(9-アンブレットリド及び7-アンブレットリド)、ニルバノリド(nirvanolide)、ハバノリド、コスモン(cosmone)、ムセノン、ベルビオン(velvione)、ジヒドロシベトン、エキサルトン、シベトン、及びクローバノンが挙げられる。
【0015】
本発明は、大環状ムスク化合物を形成する方法であって、少なくとも1つの第8族金属オレフィンメタセシス触媒の存在下で第1のオレフィン及び第2のオレフィンを交差メタセシスして、交差メタセシス生成物を形成する工程と、次いで当該交差メタセシス生成物を環化して所望の大環状ムスク化合物を形成する工程と、を含む、方法を提供する。
【0016】
大環状ムスク化合物は、少なくとも1つの第8族金属オレフィンメタセシス触媒の存在下におけるジエンの閉環メタセシスによって形成することができる。より具体的には、本発明は、少なくとも1つの第8族金属Z体選択的オレフィンメタセシス触媒の存在下における交差メタセシス反応を介して、Z配置で大環状ムスクを得る、新規な方法に関する。
【0017】
Z型オレフィン部分を有する容易に利用可能なジエン出発物質を使用して、マクロ環化反応により、既報の系によるものよりもかなり短い反応時間、高収率、かつはるかに低い触媒担持量でもって、大幅に高いZ選択性で、生成物が得られた。12員環~17員環の範囲のサイズの大環状ラクトンが、優れたZ選択性(95%から99%超のZ)で中程度~高い収率(68~79%の収率)にて合成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
大環状ムスク
本発明は、香りの産業において使用される、少なくとも8個の炭素原子及び少なくとも1つのケト基を有する環式化合物を調製するための、少なくとも1つの第8族金属オレフィンメタセシス触媒の存在下における閉環メタセシスを伴うプロセスに関する。
【0019】
閉環メタセシス反応は、本発明の触媒を使用して達成され、かつ様々な基質で示された。多くの場合マクロ環化反応に使用される、6モル%の標準的な触媒担持量を使用すると、反応は、40℃で静的真空下(30mTorr)において、ジクロロメタン中にて1時間以内に完了した。12員環~17員環は全て、高いZ-選択性(95~99%がZ)で中程度~高い収率(68~79%の単離収率)にて合成された。例えば、ユズラクトン、(Z)-オキサシクロトリデカ-10-エン-2-オンは、香水産業で非常に需要があり、ルテニウムオレフィンメタセシス触媒を使用することで、以前の報告よりも迅速に選択的に合成することができる。15員環~17員環の、より大きな大環状ラクトンは、より小さな12員環~14員環の収率よりもわずかに高い収率で合成された。
【0020】
まとめると、非常に活性なルテニウム系オレフィンメタセシス触媒を使用することで、Z型オレフィン部分を有し容易に入手可能なジエン基質からZ型の大環状物質が高収率(95~99%がZ)で得られた。
【0021】
別の態様では、大環状ムスク化合物は、少なくとも1つの第8族金属オレフィンメタセシス触媒の存在下における、ビス-オレフィンの閉環オレフィンメタセシス反応を介して合成することができる。
【0022】
別の実施形態では、閉環メタセシス反応生成物は、Z配置にて炭素-炭素二重結合を有し、式(A)
【化1】
[式中、
qは、1、2、3、又は4であり、
pは、4、5、6、又は7である]
の構造によって表される。
【0023】
別の実施形態では、閉環メタセシス反応生成物は、Z配置にて炭素-炭素二重結合を有し、式(B)
【化2】
[式中、
rは、1、2、3、又は4であり、
vは、4、5、6、又は7である]
の構造によって表される。
【0024】
別の実施形態では、閉環メタセシス反応生成物は、Z配置にて炭素-炭素二重結合を有し、式(C)
【化3】
[式中、
q
cは、1、2、3、又は4であり、
p
cは、4、5、6、又は7である]
の構造によって表される。
【0025】
別の実施形態では、閉環メタセシス反応生成物は、炭素-炭素二重結合を有し、式(K)
【化4】
[式中、
xは2、3、4、又は5であり、
yは5、6、7、又は8である]
の構造によって表される。
【0026】
別の態様では、本発明は、大環状ムスク化合物を形成する方法であって、少なくとも1つの第8族金属オレフィンメタセシス触媒の存在下にて第1のオレフィン及び第2のオレフィンを交差メタセシスして、当該第1のオレフィン及び第2のオレフィンの中間体を形成する工程と、当該中間体を環化して大環状ムスク化合物を形成する工程と、を含む、方法を提供する。
【0027】
本発明のこれらの態様及び他の態様は、以下の詳細な説明及び実施例に照らして当業者には明らかであろう。更に、本明細書に記載する本発明の実施形態又は例のなかに、限定するものとして解釈すべきものは存在しないことは理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0028】
特段の指示がない限り、本発明は、特定の試薬、置換基、触媒、反応条件などに限定されない。これらは様々であり得るからである。本明細書で使用する専門用語が、単に特定の実施形態を記述するためのものであり、限定するものとして解釈されるべきではないことも理解すべきである。
【0029】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」といった単数形は、その内容が明らかに他の意味を示す場合を除き、複数の対象物も含む。したがって、例えば、「1つのオレフィン(an olefin)」との言及は、1種類のオレフィンと、2種類以上のオレフィンの組み合わせ又は混合物を含み、「1つの置換基(a substituent)」との言及は、1つの置換基と、2つ以上の置換基などを包含する。
【0030】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、「例えば(for example)」、「例えば(for instance)」、「~など(such as)」、又は「~を含む/といった(including)」との用語は、更に包括的な特定事項を更に明確にするための例を導入することを意図している。特に明記されない限り、これらの例は、本発明の理解を助けるためにのみ与えられ、いかなる形でも限定することを意図していない。
【0031】
本明細書及び以下の特許請求の範囲において、多くの用語について言及がされており、これらの用語は、以下の意味を有すると定義すべきものである。
【0032】
「アルキル」との用語は、本明細書で使用される場合、直鎖、分岐鎖又は環式の飽和炭化水素基であって、典型的には、必須ではないが、1~30個の炭素原子を含むもの、概して1~24個の炭素原子を含むもの、典型的には、1~12個の炭素原子を含むもの、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、iso-ブチル、t-ブチル、オクチル、デシルなど、及びシクロアルキル基、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシルなどを指す。「低級アルキル」との用語は、1~6個の炭素原子を含むアルキル基を意図し、「シクロアルキル」との具体的な用語は、環式アルキル基、典型的には、3~12個、4~12個、3~10個、又は3~8個の炭素原子を含むものを意図している。「置換アルキル」との用語は、1個以上の置換基で置換されたアルキルを指し、「ヘテロ原子含有アルキル」及び「ヘテロアルキル」との用語は、少なくとも1個の炭素原子がヘテロ原子と置き換わったアルキルを指す。特に示されていない限り、「アルキル」及び「低級アルキル」との用語は、直鎖、分岐鎖、環式、非置換、置換及び/又はヘテロ原子含有アルキル及び低級アルキルをそれぞれ含む。
【0033】
「アルキレン」との用語は、本明細書で使用される場合、二価の直鎖、分岐鎖又は環式のアルキル基を指し、「アルキル」は、本明細書で定義されるとおりである。
【0034】
「アルケニル」との用語は、本明細書で使用される場合、2~30個の炭素原子を含み、少なくとも1つの二重結合を含む直鎖、分岐鎖又は環式の炭化水素基を指し、例えば、エテニル、n-プロペニル、iso-プロペニル、n-ブテニル、iso-ブテニル、オクテニル、デセニル、テトラデセニル、ヘキサデセニル、エイコセニル、テトラコセニルなどを指す。概して、本明細書の「アルケニル」基は、2~24個の炭素原子を含み、典型的には、本明細書の「アルケニル」基は、2~12個の炭素原子を含む。「低級アルケニル」との用語は、2~6個の炭素原子を含む「アルケニル」基を意図し、「シクロアルケニル」との具体的な用語は、環式「アルケニル」基、典型的には、5~8個の炭素原子を含むものを意図している。「置換アルケニル」との用語は、1つ以上の置換基で置換された「アルケニル」を指し、「ヘテロ原子含有アルケニル」及び「ヘテロアルケニル」との用語は、少なくとも1個の炭素原子がヘテロ原子と置き換わった「アルケニル」を指す。特に示されていない限り、「アルケニル」及び「低級アルケニル」との用語は、直鎖、分岐鎖、環式、非置換、置換及び/又はヘテロ原子含有「アルケニル」及び低級「アルケニル」をそれぞれ含む。「アルケニル」との用語は、本明細書の「オレフィン」との用語と相互に置き換え可能に使用される。
【0035】
「アルケニレン」との用語は、本明細書で使用される場合、二価の直鎖、分岐鎖又は環式のアルケニル基を指し、「アルケニル」は、本明細書で定義されるとおりである。
【0036】
「アルキニル」との用語は、本明細書で使用される場合、少なくとも1つの三重結合を含み、2~30個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖の炭化水素基を指し、例えば、エチニル、n-プロピニルなどを指す。概して、本明細書の「アルキニル」基は、2~24個の炭素原子を含む。典型的な「アルキニル」基は、2~12個の炭素原子を含む。「低級アルキニル」との用語は、2~6個の炭素原子を含む「アルキニル」基を意図している。「置換アルキニル」との用語は、1つ以上の置換基で置換された「アルキニル」を指し、「ヘテロ原子含有アルキニル」及び「ヘテロアルキニル」との用語は、少なくとも1個の炭0素原子がヘテロ原子と置き換わった「アルキニル」を指す。特に示されていない限り、「アルキニル」及び「低級アルキニル」との用語は、直鎖、分岐鎖、非置換、置換及び/又はヘテロ原子含有「アルキニル」及び低級「アルキニル」をそれぞれ含む。
【0037】
「アルコキシ」との用語は、本明細書で使用される場合、単一の末端エーテル結合を介して結合したアルキル基を意図している。すなわち、「アルコキシ」基は、-O-アルキルとして表すことができ、アルキルは、本明細書で定義したとおりである。「低級アルコキシ」基は、1~6個の炭素原子を含むアルコキシ基を意図している。同様に、「アルケニルオキシ」及び「低級アルケニルオキシ」は、それぞれ、単一の末端エーテル結合を介して結合したアルケニル基及び低級アルケニル基を指し、「アルキニルオキシ」及び「低級アルキニルオキシ」は、それぞれ、単一の末端エーテル結合を介して結合したアルキニル基及び低級アルキニル基を指す。
【0038】
「アリール」との用語は、本明細書で使用される場合、特に明記されない限り、単一の芳香環を含む芳香族置換基、又は直接的に結合しているか若しくは間接的に結合している(異なる芳香環が、メチレン部分又はエチレン部分などの共通の基に結合しているなど)、縮合した複数の芳香環を含む芳香族置換基、を指す。「アリール」基は、5~30個の炭素原子を含み、概して「アリール」基は、5~20個の炭素原子を含み、典型的には、「アリール」基は、5~14個の炭素原子を含む。例示的な「アリール」基は、1つの芳香環又は2つの縮合又は結合した芳香環を含み、例えば、フェニル、ナフチル、ビフェニル、ジフェニルエーテル、ジフェニルアミン、ベンゾフェノンなどを含む。「置換アリール」は、1つ以上の置換基で置換されたアリール部分を指し、例えば、2,4,6-トリメチルフェニル(すなわち、メシチル又はMes)、2-メチル-フェニル、2,6-ジ-iso-プロピルフェニル(すなわち、DIPP又はDiPP)、2-イソプロピル-フェニル(すなわち、IPP、Ipp又はipp)、2-iso-プロピル-6-メチルフェニル(すなわち、MIPP、Mipp又はMiPP)を指す。「ヘテロ原子含有アリール」及び「ヘテロアリール」との用語は、以下に更に詳細に記載するように、少なくとも1個の炭素原子がヘテロ原子と置き換わった「アリール」置換基を指す。
【0039】
「アリールオキシ」との用語は、本明細書で使用される場合、単一の末端エーテル結合を介して結合したアリール基を指し、「アリール」は、本明細書で定義したとおりである。「アリールオキシ」基は、-O-アリールとして表すことができ、アリールは、本明細書で定義したとおりである。好ましい「アリールオキシ」基は、5~24個の炭素原子を含み、特に好ましい「アリールオキシ」基は、5~14個の炭素原子を含む。「アリールオキシ」基の例としては、限定されないが、フェノキシ、o-ハロ-フェノキシ、m-ハロ-フェノキシ、p-ハロ-フェノキシ、o-メトキシ-フェノキシ、m-メトキシ-フェノキシ、p-メトキシ-フェノキシ、2,4-ジメトキシ-フェノキシ、3,4,5-トリメトキシ-フェノキシなどが挙げられる。
【0040】
「アルカリール」との用語は、アルキル置換基を有するアリール基を指し、「アラルキル」との用語は、アリール置換基を有するアルキル基を指し、「アリール」及び「アルキル」は、本明細書で定義したとおりである。「アルカリール」基及び「アラルキル」基は、6~30個の炭素原子を含み;概して「アルカリール」基及び「アラルキル」基は、6~20個の炭素原子を含み、典型的には、「アルカリール」基及び「アラルキル」基は、6~16個の炭素原子を含む。「アルカリール」基としては、例えば、p-メチルフェニル、2,4-ジメチルフェニル、p-シクロヘキシルフェニル、2,7-ジメチルナフチル、7-シクロオクチルナフチル、3-エチル-シクロペンタ-1,4-ジエンなどが挙げられる。「アラルキル」基の例としては、限定されないが、ベンジル、2-フェニル-エチル、3-フェニル-プロピル、4-フェニル-ブチル、5-フェニル-ペンチル、4-フェニルシクロヘキシル、4-ベンジルシクロヘキシル、4-フェニルシクロヘキシルメチル、4-ベンジルシクロヘキシルメチルなどが挙げられる。「アルカリールオキシ」及び「アラルキルオキシ」との用語は、式-ORの置換基を指し、Rは、それぞれ、本明細書に定義される「アルカリール」又は「アラルキル」である。
【0041】
「アシル」との用語は、式-(CO)-アルキル、-(CO)-アリール又は-(CO)-アラルキルを有する置換基を指し、「アシルオキシ」との用語は、式-O(CO)-アルキル、-O(CO)-アリール又は-O(CO)-アラルキルを有する置換基を指し、「アルキル」、「アリール」及び「アラルキル」は、本明細書に定義されるとおりである。
【0042】
「環式」及び「環」との用語は、脂環式基又は芳香族基を指し、置換されていても置換されていなくてもよく、及び/又はヘテロ原子を含んでいても含んでいなくてもよく、単環式、二環式、又は多環式であってもよい。「脂環式」との用語は、芳香族環式部分とは対照的に、脂環式の環式部分を指すための従来の意味で使用され、単環式、二環式、又は多環式であってもよい。
【0043】
「ハロ」、「ハロゲン」及び「ハロゲン化物」との用語は、クロロ、ブロモ、フルオロ又はヨード置換基を指すための通常の意味で使用される。
【0044】
「ヒドロカルビル」との用語は、1~30個の炭素原子を含み、典型的には1~24個の炭素原子を含み、特に1~12個の炭素原子を含む、一価「ヒドロカルビル」部分を指し、直鎖、分岐鎖、環式、飽和及び不飽和の種、例えば、アルキル基、アルケニル基、アリール基などを含む。「低級ヒドロカルビル」との用語は、1~6個の炭素原子、典型的には、1~4個の炭素原子を含む「ヒドロカルビル」基を意図し、「ヒドロカルビレン」との用語は、1~30個の炭素原子、典型的には、1~24個の炭素原子、特に1~12個の炭素原子を含む二価の「ヒドロカルビル」部分を意図しており、直鎖、分岐鎖、環式、飽和及び不飽和の種を含む。「低級ヒドロカルビレン」との用語は、1~6個の炭素原子を含む「ヒドロカルビレン」基を意図している。「置換ヒドロカルビル」は、1つ以上の置換基で置換された「ヒドロカルビル」を指し、「ヘテロ原子含有ヒドロカルビル」及び「ヘテロヒドロカルビル」との用語は、少なくとも1個の炭素原子がヘテロ原子と置き換わったヒドロカルビルを指す。同様に、「置換ヒドロカルビレン」は、1つ以上の置換基で置換された「ヒドロカルビレン」を指し、「ヘテロ原子含有ヒドロカルビレン」及び「ヘテロヒドロカルビレン」との用語は、少なくとも1個の炭素原子がヘテロ原子と置き換わった「ヒドロカルビレン」を指す。特段の指示がない限り、「ヒドロカルビル」及び「ヒドロカルビレン」との用語は、置換及び/又はヘテロ原子含有「ヒドロカルビル」部分及び「ヒドロカルビレン」部分をそれぞれ含むと解釈すべきである。
【0045】
「ヘテロ原子含有ヒドロカルビル基」におけるような「ヘテロ原子含有」との用語は、1個以上の炭素原子が、炭素以外の原子、例えば、窒素、酸素、硫黄、リン又はケイ素、典型的には、窒素、酸素又は硫黄と置き換わった炭化水素分子又はヒドロカルビル分子フラグメントを指す。同様に、「ヘテロアルキル」との用語は、ヘテロ原子含有のアルキル置換基を指し、「ヘテロ環式」との用語は、ヘテロ原子含有の環式置換基を指し、「ヘテロアリール」及び「ヘテロ芳香族」との用語は、それぞれ、ヘテロ原子含有の「アリール」及び「芳香族」置換基などを指す。「ヘテロ環式」の基又は化合物は、芳香族であっても芳香族でなくてもよく、更に「ヘテロ環式物質」は、「アリール」との用語に関して本明細書に記載するように、単環式、二環式、又は多環式であってもよいことに留意されたい。ヘテロアルキル基の例としては、アルコキシアリール、アルキルスルファニル置換アルキル、N-アルキル化アミノアルキルなどが挙げられる。ヘテロアリール置換基の例としては、ピロリル、ピロリジニル、ピリジニル、キノリニル、インドリル、ピリミジニル、イミダゾリル、1,2,4-トリアゾリル、テトラゾリルなどが挙げられる。
【0046】
「置換ヒドロカルビル」、「置換アルキル」、「置換アリール」などの「置換」とは、上述の定義のいくつかにおいて暗に示しているように、ヒドロカルビル、アルキル、アリール又は他の部分において、炭素(又は他の)原子に結合した少なくとも1個の水素原子が、水素ではない1つ以上の置換基と置き換わっていることを意図する。このような置換基の例としては、限定されないが、本明細書で「Fn」と称される官能基、例えば、ハロ、ヒドロキシル、スルフヒドリル、C1~C24アルコキシ、C2~C24アルケニルオキシ、C2~C24アルキニルオキシ、C5~C24アリールオキシ、C6~C24アラルキルオキシ、C6~C24アルカリールオキシ、アシル(C2~C24アルキルカルボニル(-CO-アルキル)及びC6~C24アリールカルボニル(-CO-アリール)を含む)、アシルオキシ(-O-アシル、C2~C24アルキルカルボニルオキシ(-O-CO-アルキル)及びC6~C24アリールカルボニルオキシ(-O-CO-アリール)を含む)、C2~C24アルコキシカルボキシル(-(CO)-O-アルキル)、C6~C24アリールオキシカルボキシル(-(CO)-O-アリール)、ハロカルボニル(-(CO)-X、ここでXはハロである)、C2~C24アルキルカルボナト(-O-(CO)-O-アルキル)、C6~C24アリールカルボナト(-O-(CO)-O-アリール)、カルボキシル(-COOH)、カルボキシレート(-COO-、カルバモイル(-(CO)-NH2)、モノ-(C1~C24アルキル)置換カルバモイル(-(CO)-NH(C1~C24アルキル))、ジ-(C1~C24アルキル)置換カルバモイル(-(CO)-N(C1~C24アルキル)2)、モノ-(C5~C24アリール)置換カルバモイル(-(CO)-NH-アリール)、ジ-(C5~C24アリール)置換カルバモイル(-(CO)-N(C5~C24アリール)2)、チオカルバモイル(-(CS)-NH2)、モノ-(C1~C24アルキル)置換チオカルバモイル(-(CS)-NH(C1~C24アルキル))、ジ-(C1~C24アルキル)置換チオカルバモイル(-(CS)-N(C1~C24アルキル)2)、モノ-(C5~C24アリール)置換チオカルバモイル(-(CS)-NH-アリール)、ジ-(C5~C24アリール)置換チオカルバモイル(-(CS)-N(C5~C24アリール)2)、カルバミド(-NH-(CO)-NH2)、シアノ(-C≡N)、シアナト(-O-C≡N)、チオシアナト(-S-C≡N)、ホルミル(-(CO)-H)、チオホルミル(-(CS)-H)、アミノ(-NH2)、モノ-(C1~C24アルキル)置換アミノ、ジ-(C1~C24アルキル)置換アミノ、モノ-(C5~C24アリール)置換アミノ、ジ-(C5~C24アリール)置換アミノ、(C1~C24アルキル)(C5~C24アリール)置換アミノ、(C2~C24アルキル)-アミド(-NH-(CO)-アルキル)、(C6~C24アリール)-アミド(-NH-(CO)-アリール)、イミノ(-CR=NH、ここで、Rは、水素、C1~C24アルキル、C5~C24アリール、C6~C24アルカリール、C6~C24アラルキルなどである)、(C2~C20アルキル)-イミノ(-CR=N(アルキル)、ここで、Rは、水素、C1~C24アルキル、C5~C24アリール、C6~C24アルカリール、C6~C24アラルキルなどである)、アリールイミノ(-CR=N(アリール)、ここで、Rは、水素、C1~C20アルキル、C5~C24アリール、C6~C24アルカリール、C6~C24アラルキルなどである)、ニトロ(-NO2)、ニトロソ(-NO)、スルホ(-SO2-OH)、スルホネート(-SO2-O-)、(C1~C24アルキル)-スルファニル(-S-アルキル;「アルキルチオ」とも呼ばれる)、(C5~C24アリール)-スルファニル(-S-アリール;「アリールチオ」とも呼ばれる)、(C1~C24アルキル)-スルフィニル(-(SO)-アルキル)、(C5~C24アリール)-スルフィニル(-(SO)-アリール)、(C1~C24アルキル)-スルホニル(-SO2-アルキル)、モノ-(C1~C24アルキル)-アミノスルホニル-SO2-N(H)アルキル)、ジ-(C1~C24アルキル)-アミノスルホニル-SO2-N(アルキル)2、(C5~C24アリール)-スルホニル(-SO2-アリール)、ボリル(-BH2)、ボロノ(-B(OH)2)、ボロナート(-B(OR)2、ここで、Rは、アルキル又は他のヒドロカルビルである)、ホスホノ(-P(O)(OH)2)、ホスホナート(-P(O)(O-)2)、ホスフィナート(-P(O)(O-))、ホスホ(-PO2)及びホスフィノ(-PH2);及びヒドロカルビル部分C1~C24アルキル(好ましくは、C1~C12アルキル、より好ましくはC1~C6アルキル)、C2~C24アルケニル(好ましくは、C2~C12アルケニル、より好ましくは、C2~C6アルケニル)、C2~C24アルキニル(好ましくは、C2~C12アルキニル、より好ましくは、C2~C6アルキニル)、C5~C24アリール(好ましくは、C5~C14アリール)、C6~C24アルカリール(好ましくは、C6~C16アルカリール)及びC6~C24アラルキル(好ましくは、C6~C16アラルキル)が挙げられる。
【0047】
「NHC」配位子との用語は、N-ヘテロ環式カルベン配位子を指す。
【0048】
「CAAC」配位子との用語は、「Bertrand型配位子」としても知られる環式アルキルアミノカルベン配位子を指す。
【0049】
官能基、例えばエーテル、エステル、ヒドロキシル、カルボネートがオレフィンメタセシス触媒を妨害する場合には、当該官能基を保護することができ、かつ当該技術分野で一般的に使用される保護基のいずれかを使用することができる。許容可能な保護基は、例えば、Greene et al.,Protective Groups in Organic Synthesis,4rd Ed.(Published by John Wiley & Sons,Inc.,Hoboken,New Jersey 2007)に見出すことができる。
【0050】
本特許出願に記載のオレフィンの分子構造は、E配置若しくはZ配置、又はE配置及びZ配置の混合物であってもよい。本出願人らは、波状の結合
【化5】
を使用することにより、二重結合異性体の混合物を表している。例えば、本明細書で表されるように、構造
【化6】
は、E配置
【化7】
又はZ配置
【化8】
のいずれかを例示しており、又はE配置及びZ配置の混合物を表すことができる。好適なエーテル保護基は、1~5個の炭素原子を含む分岐鎖又は非分岐鎖アルキル部分、例えば、メチル、エチル、プロピル、i-プロピル、t-Bu、又はt-アミルを含む。
【0051】
好適なエステル保護基は、-C(O)R部分を含み、ここでRは、水素、又は1~7個の炭素原子を含む分岐鎖又は非分岐鎖アルキル部分、例えば、メチル、エチル、プロピル、i-プロピル、t-Bu、又はt-アミルである。
【0052】
好適なシリルエーテル保護基としては、-Si(R)3が挙げられ、ここでRは分岐鎖又は非分岐鎖アルキル部分であり、これらとしてはメチル、エチル及びプロピル、並びにt-ブチルを挙げることができる。
【0053】
好適なカルボネート保護基は、-C(O)ORを含み、ここでRは、分岐鎖又は非分岐鎖アルキル部分、例えば、メチル、エチル、又はプロピルである。
【0054】
「スルホキシド基」とは、-[S(O)]-を意味する。
【0055】
「官能基化ヒドロカルビル」、「官能基化アルキル」、「官能基化オレフィン」、「官能基化環式オレフィン」などにおけるような「官能基化」とは、ヒドロカルビル、アルキル、オレフィン、環式オレフィン又は他の部分において、炭素(又は他の)原子に結合した少なくとも1個の水素原子が、本明細書に記載するものなどの1つ以上の官能基と置き換わっていることを意図する。「官能基」との用語は、本明細書に記載の使用に適した任意の官能性をもった分子種を含むことを意図している。特に、本明細書で使用される場合、官能基は、必然的に、基質表面上の対応する官能基と反応するか、又は結合する能力を有する。
【0056】
これに加えて、官能基は、特定の基に許容される場合には、1つ以上の更なる置換基で、又は1つ以上のヒドロカルビル部分、例えば本明細書で具体的に列挙されるもので、更に置換されていてもよい。同様に、本明細書で述べるヒドロカルビル部分は、1つ以上の官能基又は更なるヒドロカルビル部分、例えば本明細書で具体的に列挙されるもので、更に置換されていてもよい。
【0057】
「場合による」又は「場合により」は、その後に記載される状況が起こってもよく起こらなくてもよいことを意味し、その結果、その記載は、その状況が起こる事例と、その状況が起こらない事例とを含む。例えば、「場合により置換されていてもよい」との句は、非水素置換基が、所与の原子上に存在していても存在していなくてもよいことを意味し、そのため、この記載は、非水素置換基が存在する構造と、非水素置換基が存在しない構造を含む。
【0058】
第8族金属オレフィンメタセシス触媒
本発明の第8族金属オレフィンメタセシス触媒は、式(1)
【化9】
[式中、
Mは、第8族遷移金属であり、概して、Mは、ルテニウム又はオスミウムであり、典型的には、Mは、ルテニウムであり、
L
1及びL
2は、独立して、中性の電子供与配位子であり、
nは、0又は1であり、典型的には、nは0であり、
mは、0、1、又は2であり、典型的には、mは0であり、
R
aは、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、又は置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり、概して、R
aは、非置換C
1~C
10アルキル、置換C
1~C
10アルキル、非置換C
3~C
10シクロアルキル、置換C
3~C
10シクロアルキル、非置換C
5~C
24アリール又は置換C
5~C
24アリールであり、典型的には、R
aは、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、tert-ブチル、シクロヘキシル、又はフェニルであり、
R
bは、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、又は置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり、概して、R
bは、非置換C
1~C
10アルキル、置換C
1~C
10アルキル、非置換C
3~C
10シクロアルキル、置換C
3~C
10シクロアルキル、非置換C
5~C
24アリール又は置換C
5~C
24アリールであり、典型的には、R
bは、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、tert-ブチル、シクロヘキシル、又はフェニルであるか、又は、R
aとR
bが一緒に結合して、スルホキシド基[-S(O)-]を有する5員ヘテロ環又は6員ヘテロ環を形成し、
X
1及びX
2は、独立して、アニオン性配位子であり、概して、X
1及びX
2は、独立して、ハロゲン、トリフルオロアセテート、ペルフルオロフェノール、又はニトレートであり、典型的には、X
1及びX
2は、独立して、Cl、Br、I、又はFであり、
R
1及びR
2は、独立して、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、又は置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり、典型的には、R
1は水素であり、R
2は、非置換フェニル、置換フェニル、C
1~C
6アルキル、又は置換1-プロペニルであるか、又は、R
1とR
2が一緒に結合して、場合により置換されていてもよいインデニリデンを形成する]
の一般構造によって表される。
【0059】
式(1)のいくつかの実施形態では、
【化10】
[式中、M、X
1、及びX
2は、本明細書で定義されるとおりであり、
X
3及びX
4は、独立して、O又はSであり、
R
x、R
y、R
w、及びR
zは、独立して、水素、ハロゲン、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、又は置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであるか、又はR
xとR
yが一緒に結合して、非置換の二環式若しくは多環式のアリール、又は置換の二環式若しくは多環式のアリールを形成し、又はR
wとR
zが一緒に結合して、非置換の二環式若しくは多環式のアリール、又は置換の二環式若しくは多環式のアリールを形成し、又はR
yとR
wが一緒に結合して、非置換の二環式若しくは多環式のアリール、又は置換の二環式若しくは多環式のアリールを形成する]
である。
【0060】
本発明に使用される第8族金属オレフィンメタセシス触媒は、式(2)
【化11】
[式中、
Mは、第8族遷移金属であり、概して、Mは、ルテニウム又はオスミウムであり、典型的には、Mは、ルテニウムであり、
L
1及びL
2は、独立して、中性の電子供与配位子であり、
nは、0又は1であり、典型的には、nは0であり、
mは、0、1、又は2であり、典型的には、mは0であり、
R
aは、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、又は置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり、概して、R
aは、非置換C
1~C
10アルキル、置換C
1~C
10アルキル、非置換C
3~C
10シクロアルキル、置換C
3~C
10シクロアルキル、非置換C
5~C
24アリール、又は置換C
5~C
24アリールであり、典型的には、R
aは、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、tert-ブチル、シクロヘキシル、又はフェニルであり、
R
bは、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、又は置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり、概して、R
bは、非置換C
1~C
10アルキル、置換C
1~C
10アルキル、非置換C
3~C
10シクロアルキル、置換C
3~C
10シクロアルキル、非置換C
5~C
24アリール、又は置換C
5~C
24アリールであり、典型的には、R
bは、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、tert-ブチル、シクロヘキシル、又はフェニルであるか、又は、R
aとR
bが一緒に結合して、スルホキシド基を有する5員ヘテロ環又は6員ヘテロ環を形成し、
R
1及びR
2は、独立して、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、又は置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり、典型的には、R
1は水素であり、R
2は、非置換フェニル、置換フェニル、C
1~C
6アルキル、又は置換1-プロペニルであるか、又は、R
1とR
2が一緒に結合して、場合により置換されていてもよいインデニリデンを形成し、
X
3及びX
4は、独立して、O又はSであり、典型的には、X
3及びX
4は、独立して、Sであり、
R
x、R
y、R
w、及びR
zは、独立して、水素、ハロゲン、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、又は置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり、概して、R
x、R
y、R
w及びR
zは、独立して、水素、ハロゲン、非置換C
1~C
10アルキル、置換C
1~C
10アルキル、非置換C
3~C
10シクロアルキル、置換C
3~C
10シクロアルキル、非置換C
5~C
24アリール、又は置換C
5~C
24アリールであり、典型的には、R
x、R
y、R
w及びR
zは、独立して、C
1~C
6アルキル、水素、非置換フェニル、置換フェニル、又はハロゲンであるか、又はR
xとR
yが一緒に結合して、非置換の二環式若しくは多環式のアリール、又は置換の二環式若しくは多環式のアリールを形成し、又はR
wとR
zが一緒に結合して、非置換の二環式又は多環式のアリール、又は置換の二環式又は多環式のアリールを形成し、又はR
yとR
wが一緒に結合して、非置換の二環式又は多環式のアリール、又は置換の二環式又は多環式のアリールを形成する]
の構造によって表すことができる。
【0061】
本発明に使用される第8族金属オレフィンメタセシス触媒は、式(3)
【化12】
[式中、
Mは、第8族遷移金属であり、概して、Mは、ルテニウム又はオスミウムであり、典型的には、Mは、ルテニウムであり、
L
2は、中性の電子供与配位子であり、
nは、0又は1であり、典型的には、nは0であり、
mは、0、1、又は2であり、典型的には、mは0であり、
R
aは、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、又は置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり、概して、R
aは、非置換C
1~C
10アルキル、置換C
1~C
10アルキル、非置換C
3~C
10シクロアルキル、置換C
3~C
10シクロアルキル、非置換C
5~C
24アリール、又は置換C
5~C
24アリールであり、典型的には、R
aは、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、tert-ブチル、シクロヘキシル、又はフェニルであり、
R
bは、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、又は置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり、概して、R
bは、非置換C
1~C
10アルキル、置換C
1~C
10アルキル、非置換C
3~C
10シクロアルキル、置換C
3~C
10シクロアルキル、非置換C
5~C
24アリール、又は置換C
5~C
24アリールであり、典型的には、R
bは、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、tert-ブチル、シクロヘキシル、又はフェニルであるか、又は、R
aとR
bが一緒に結合して、スルホキシド基を有する5員ヘテロ環又は6員ヘテロ環を形成し、
X
1及びX
2は、独立して、アニオン性配位子であり、概して、X
1及びX
2は、独立して、ハロゲン、トリフルオロアセテート、ペルフルオロフェノール、又はニトレートであり、典型的には、X
1及びX
2は、独立して、Cl、Br、I、又はFであり、
R
1及びR
2は、独立して、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、又は置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり、典型的には、R
1は水素であり、R
2は、非置換フェニル、置換フェニル、C
1~C
6アルキル、又は置換1-プロペニルであるか、又は、R
1とR
2が一緒に結合して、場合により置換されていてもよいインデニリデンを形成し、
X
5及びY
5は、独立して、C、CR
3A、N、O、S、又はPであり、X
5又はY
5のうち1つだけが、C又はCR
3Aであってもよく、典型的には、X
5及びY
5は、独立して、Nであり、
Q
1、Q
2、R
3、R
3A、及びR
4は、独立して、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、又は置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり、概して、Q
1、Q
2、R
3、R
3A、及びR
4は、場合により、非置換ヒドロカルビレン、置換ヒドロカルビレン、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビレン、置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビレン、又は-(CO)-などのリンカーを介して、X
5又はY
5に結合しており、典型的には、Q
1、Q
2、R
3、R
3A、及びR
4は、X
5又はY
5に直接結合しており、
X
5がO又はSの場合、pは0であり、X
5がN、P、又はCR
3Aの場合、pは1であり、X
5がCの場合、pは2であり、Y
5がO又はSの場合、qは0であり、Y
5がN、P、又はCR
3Aの場合、qは1であり、X
5がCの場合、qは2である]
の構造によって表される。
【0062】
本発明に使用される第8族金属オレフィンメタセシス触媒は、式(4)
【化13】
[式中、
Mは、第8族遷移金属であり、概して、Mは、ルテニウム又はオスミウムであり、典型的には、Mは、ルテニウムであり、
nは、0又は1であり、典型的には、nは0であり、
mは、0、1、又は2であり、典型的には、mは0であり、
R
aは、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、又は置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり、概して、R
aは、非置換C
1~C
10アルキル、置換C
1~C
10アルキル、非置換C
3~C
10シクロアルキル、置換C
3~C
10シクロアルキル、非置換C
5~C
24アリール、又は置換C
5~C
24アリールであり、典型的には、R
aは、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、tert-ブチル、シクロヘキシル、又はフェニルであり、
R
bは、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、又は置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり、概して、R
bは、非置換C
1~C
10アルキル、置換C
1~C
10アルキル、非置換C
3~C
10シクロアルキル、置換C
3~C
10シクロアルキル、非置換C
5~C
24アリール、又は置換C
5~C
24アリールであり、典型的には、R
bは、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、tert-ブチル、シクロヘキシル、又はフェニルであるか、
又は、R
aとR
bが一緒に結合して、スルホキシド基を有する5員ヘテロ環又は6員ヘテロ環を形成し、
X
1及びX
2は、独立して、アニオン性配位子であり、概して、X
1及びX
2は、独立して、ハロゲン、トリフルオロアセテート、ペルフルオロフェノール、又はニトレートであり、典型的には、X
1及びX
2は、独立して、Cl、Br、I、又はFであり、
R
1及びR
2は、独立して、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、又は置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり、典型的には、R
1は水素であり、R
2は、非置換フェニル、置換フェニル、C
1~C
6アルキル、又は置換1-プロペニルであるか、又は、R
1とR
2が一緒に結合して、場合により置換されていてもよいインデニリデンを形成し、
X
5及びY
5は、独立して、C、CR
3A、又はNであり、X
5又はY
5のうち1つだけが、C又はCR
3Aであってもよく、典型的には、X
5及びY
5は、独立して、Nであり、
R
3Aは、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、又は置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり、
Qは、リンカー、典型的には、非置換ヒドロカルビレン、置換ヒドロカルビレン、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビレン、又は置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビレンであり、概して、Qは、構造-[CR
11R
12]
s-[CR
13R
14]
t-、又は-[CR
11=CR
13]-を有する2原子結合であり、典型的には、Qは、-[CR
11R
12]
s-[CR
13R
14]
t-であり、ここで、R
11、R
12、R
13、及びR
14は、独立して、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、又は置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり、典型的には、R
11、R
12、R
13、及びR
14は、独立して、水素、非置換C
1~C
12アルキル、置換C
1~C
12アルキル、非置換C
1~C
12ヘテロアルキル、置換C
1~C
12ヘテロアルキル、非置換C
5~C
14アリール、又は置換C
5~C
14アリールであり、
「s」及び「t」は、独立して、1又は2であり、典型的には、「s」及び「t」は、独立して、1であり、又は、R
11、R
12、R
13、及びR
14のうちのいずれか2つが場合により一緒に結合し、置換又は非置換、飽和又は不飽和の環構造を形成し、
R
3は、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、又は置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり、概して、R
3は、非置換C
3~C
10シクロアルキル、置換C
3~C
10シクロアルキル、非置換C
5~C
24アリールであるか、非置換C
1~C
20アルキル、置換C
1~C
20アルキル、非置換C
1~C
20ヘテロアルキル、置換C
1~C
20ヘテロアルキル、非置換C
5~C
24アリール、置換C
5~C
24アリール、非置換C
5~C
24ヘテロアリール、置換C
5~C
24ヘテロアリール、非置換C
6~C
24アラルキル、置換C
6~C
24アラルキル、非置換C
6~C
24アルカリール、置換C
6~C
24アルカリール及びハロゲン化物から選択される最大3つの置換基で置換されたC
5~C
24アリールであり、典型的には、R
3は、アダマンチル、2,4,6-トリメチルフェニル、2,6-ジ-iso-プロピルフェニル、2-メチル-6-tert-ブチルフェニル、2-iso-プロピル-6-メチルフェニル、2-iso-プロピル-フェニル、2,6-ジ-エチルフェニル、2-エチル-6-メチルフェニル、2,4,6-トリフルオロフェニル、3,5-ジ-tert-ブチルフェニル、2,4-ジメチルフェニル、2,6-ジフルオロフェニル、2-フルオロ-6-メチルフェニル、又は2-メチル-フェニルであり、
R
4は、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、又は置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり、概して、R
4は、非置換C
3~C
10シクロアルキル、置換C
3~C
10シクロアルキル、非置換(C
5~C
24アリール)であるか、又は非置換C
1~C
20アルキル、置換C
1~C
20アルキル、非置換C
1~C
20ヘテロアルキル、置換C
1~C
20ヘテロアルキル、非置換C
5~C
24アリール、置換C
5~C
24アリール、非置換C
5~C
24ヘテロアリール、置換C
5~C
24ヘテロアリール、非置換C
6~C
24アラルキル、置換C
6~C
24アラルキル、非置換C
6~C
24アルカリール、置換C
6~C
24アルカリール及びハロゲン化物から選択される最大3つの置換基で置換された(C
5~C
24)アリールであり、典型的には、R
4は、2,4,6-トリメチルフェニル、2,6-ジ-iso-プロピルフェニル、2-メチル-6-tert-ブチルフェニル、2-iso-プロピル-6-メチルフェニル、2-iso-プロピル-フェニル、2,6-ジ-エチルフェニル、2-エチル-6-メチルフェニル、2,4,6-トリフルオロフェニル、3,5-ジ-tert-ブチルフェニル、2,4-ジメチルフェニル、2,6-ジフルオロフェニル、2-フルオロ-6-メチルフェニル、又は2-メチル-フェニルであり、又はX
5がCR
3Aの場合、R
3AとR
4が、これらに結合する炭素原子と共に、5~10員環のシクロアルキル又はヘテロ環式環を形成してもよい]
の構造によって表される。
【0063】
式(4)のいくつかの実施形態では、
【化14】
[式中、X
1、X
2、X
3、X
4、M、R
X、R
y、R
w、及びR
zは、本明細書に定義されるとおりである]
である。
【0064】
Qが-[CR
11R
12]
s-[CR
13R
14]
t-であり、sが1であり、tが1であり、R
11、R
12、R
13、及びR
14が、独立して、水素であり、Mがルテニウムである場合、式(4)のオレフィンメタセシス触媒は、式(5)
【化15】
[式中、
R
1は、水素であり、
R
2は、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、又は置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり、典型的には、R
2は、非置換フェニル、置換フェニル、C
1~C
6アルキル、又は置換1-プロペニルであるか、又は、R
1とR
2が一緒に結合して、場合により置換されていてもよいインデニリデンを形成し、
R
aは、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、又は置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり、概して、R
aは、非置換C
1~C
10アルキル、置換C
1~C
10アルキル、非置換C
3~C
10シクロアルキル、置換C
3~C
10シクロアルキル、非置換C
5~C
24アリール、又は置換C
5~C
24アリールであり、典型的には、R
aは、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、tert-ブチル、シクロヘキシル、又はフェニルであり、
R
bは、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、又は置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり、概して、R
bは、非置換C
1~C
10アルキル、置換C
1~C
10アルキル、非置換C
3~C
10シクロアルキル、置換C
3~C
10シクロアルキル、非置換C
5~C
24アリール、又は置換C
5~C
24アリールであり、典型的には、R
bは、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、tert-ブチル、シクロヘキシル、又はフェニルであるか、又は、R
aとR
bが一緒に結合して、スルホキシド基を有する5員ヘテロ環又は6員ヘテロ環を形成し、典型的には、R
aとR
bが一緒に結合して、テトラヒドロチオフェンオキシドを形成し、
X
1及びX
2は、独立して、ハロゲン、トリフルオロアセテート、ペルフルオロフェノール、又はニトレートであり、概して、X
1及びX
2は、独立して、Cl、Br、I、又はFであり、典型的には、X
1及びX
2は、独立して、Clであり、
R
3は、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、又は置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり、概して、R
3は、非置換C
3~C
10シクロアルキル、置換C
3~C
10シクロアルキル、非置換C
5~C
24アリールであるか、非置換C
1~C
20アルキル、置換C
1~C
20アルキル、非置換C
1~C
20ヘテロアルキル、置換C
1~C
20ヘテロアルキル、非置換C
5~C
24アリール、置換C
5~C
24アリール、非置換C
5~C
24ヘテロアリール、置換C
5~C
24ヘテロアリール、非置換C
6~C
24アラルキル、置換C
6~C
24アラルキル、非置換C
6~C
24アルカリール、置換C
6~C
24アルカリール及びハロゲン化物から選択される最大3つの置換基で置換されたC
5~C
24アリールであり、典型的には、R
3は、アダマンチル、2,4,6-トリメチルフェニル、2,6-ジ-iso-プロピルフェニル、2-iso-プロピル-6-メチルフェニル、2-iso-プロピル-フェニル、又は2-メチル-フェニルであり、
R
4は、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、又は置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり、概して、R
4は、非置換C
3~C
10シクロアルキル、置換C
3~C
10シクロアルキル、非置換C
5~C
24アリールであるか、又は非置換C
1~C
20アルキル、置換C
1~C
20アルキル、非置換C
1~C
20ヘテロアルキル、置換C
1~C
20ヘテロアルキル、非置換C
5~C
24アリール、置換C
5~C
24アリール、非置換C
5~C
24ヘテロアリール、置換C
5~C
24ヘテロアリール、非置換C
6~C
24アラルキル、置換C
6~C
24アラルキル、非置換C
6~C
24アルカリール、置換C
6~C
24アルカリール及びハロゲン化物から選択される最大3つの置換基で置換されたC
5~C
24アリールであり、典型的には、R
4は、2,4,6-トリメチルフェニル、2-iso-プロピル-フェニル、2,6-ジ-iso-プロピルフェニル、2-iso-プロピル-6-メチルフェニル、又は2-メチル-フェニルである]
の構造によって表される。
【0065】
式(5)の構造によって表されるオレフィンメタセシス触媒の非限定的な例を表(1)に記載し、ここで、X
1はClであり、X
2はClである。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
表中、Mesは、
【化16】
であり、Mippは、
【化17】
であり、DIPPは、
【化18】
であり、アダマンチルは、
【化19】
であり、IPPは、
【化20】
であり、2-Me-C
6H
5は、
【化21】
であり、MeはCH
3であり、n-Buは、[CH
3-(CH
2)
3-]であり、Phは、
【化22】
であり、
【化23】
は、[-(CH
2)
4-]である。
【0066】
Qが構造-[CR
11=CR
13]-を有する2原子結合であり、R
11及びR
13が水素であり、Mがルテニウムである場合、式(4)のオレフィンメタセシス触媒は、式(6)
【化24】
[式中、
R
1は、水素であり、
R
2は、非置換フェニル、置換フェニル、C
1~C
6アルキル、又は置換1-プロペニルであるか、又は、R
1とR
2が一緒に結合して、場合により置換されていてもよいインデニリデンを形成し、
R
aは、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、又は置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり、R
aは、非置換C
1~C
10アルキル、置換C
1~C
10アルキル、非置換C
3~C
10シクロアルキル、置換C
3~C
10シクロアルキル、非置換C
5~C
24アリール、又は置換C
5~C
24アリールであり、
R
bは、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、又は置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり、R
bは、非置換C
1~C
10アルキル、置換C
1~C
10アルキル、非置換C
3~C
10シクロアルキル、置換C
3~C
10シクロアルキル、非置換C
5~C
24アリール、又は置換C
5~C
24アリールであるか、又は、R
aとR
bが一緒に結合して、スルホキシド基を有する5員ヘテロ環又は6員ヘテロ環を形成し、
X
1及びX
2は、独立して、ハロゲン、トリフルオロアセテート、ペルフルオロフェノール、又はニトレートであり、X
1及びX
2は、独立して、Cl、Br、I、又はFであり、典型的には、X
1及びX
2は、独立して、Clであり、
R
3は、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、又は置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり、概して、R
3は、非置換C
3~C
10シクロアルキル、置換C
3~C
10シクロアルキル、非置換C
5~C
24アリールであるか、非置換C
1~C
20アルキル、置換C
1~C
20アルキル、非置換C
1~C
20ヘテロアルキル、置換C
1~C
20ヘテロアルキル、非置換C
5~C
24アリール、置換C
5~C
24アリール、非置換C
5~C
24ヘテロアリール、置換C
5~C
24ヘテロアリール、非置換C
6~C
24アラルキル、置換C
6~C
24アラルキル、非置換C
6~C
24アルカリール、置換C
6~C
24アルカリール及びハロゲン化物から選択される最大3つの置換基で置換されたC
5~C
24アリールであり、典型的には、R
3は、アダマンチル、2,4,6-トリメチルフェニル、2,6-ジ-iso-プロピルフェニル、2-iso-プロピル-6-メチルフェニル、2-iso-プロピル-フェニル、又は2-メチル-フェニルであり、
R
4は、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、又は置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり、概して、R
4は、非置換C
3~C
10シクロアルキル、置換C
3~C
10シクロアルキル、非置換C
5~C
24アリールであるか、又は非置換C
1~C
20アルキル、置換C
1~C
20アルキル、非置換C
1~C
20ヘテロアルキル、置換C
1~C
20ヘテロアルキル、非置換C
5~C
24アリール、置換C
5~C
24アリール、非置換C
5~C
24ヘテロアリール、置換C
5~C
24ヘテロアリール、非置換C
6~C
24アラルキル、置換C
6~C
24アラルキル、非置換C
6~C
24アルカリール、置換C
6~C
24アルカリール及びハロゲン化物から選択される最大3つの置換基で置換されたC
5~C
24アリールであり、典型的には、R
4は、2,4,6-トリメチルフェニル、2-iso-プロピル-フェニル、2,6-ジ-iso-プロピルフェニル、2-iso-プロピル-6-メチルフェニル、又は2-メチル-フェニルである]
の構造によって表される。
【0067】
式(6)の構造によって表されるオレフィンメタセシス触媒の非限定的な例を表(2)に記載し、ここで、X
1はClであり、X
2はClである。
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【表2-4】
【表2-5】
【0068】
YがNであり、X
5がCR
3Aであり、Mがルテニウムである場合、式(4)のオレフィンメタセシス触媒は、式(7)
【化25】
[式中、
R
1は、水素であり、
R
2は、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、又は置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり、概して、R
2は、非置換フェニル、置換フェニル、C
1~C
6アルキル、又は置換1-プロペニルであるか、又は、R
1とR
2が一緒に結合して、場合により置換されていてもよいインデニリデンを形成し、
R
aは、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、又は置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり、概して、R
aは、非置換C
1~C
10アルキル、置換C
1~C
10アルキル、非置換C
3~C
10シクロアルキル、置換C
3~C
10シクロアルキル、非置換C
5~C
24アリール、又は置換C
5~C
24アリールであり、典型的には、R
aは、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、tert-ブチル、シクロヘキシル、又はフェニルであり、
R
bは、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、又は置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり、概して、R
bは、非置換C
1~C
10アルキル、置換C
1~C
10アルキル、非置換C
3~C
10シクロアルキル、置換C
3~C
10シクロアルキル、非置換C
5~C
24アリール、又は置換C
5~C
24アリールであり、典型的には、R
bは、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、tert-ブチル、シクロヘキシル、又はフェニルであるか、又は、R
aとR
bが一緒に結合して、スルホキシド基を有する5員ヘテロ環又は6員ヘテロ環を形成し、
X
1及びX
2は、独立して、ハロゲン、トリフルオロアセテート、ペルフルオロフェノール、又はニトレートであり、概して、X
1及びX
2は、独立して、Cl、Br、I、又はFであり、典型的には、X
1及びX
2は、独立して、Clであり、
R
3は、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、又は置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり、概して、R
3は、非置換C
3~C
10シクロアルキル、置換C
3~C
10シクロアルキル、非置換C
5~C
24アリールであるか、非置換C
1~C
20アルキル、置換C
1~C
20アルキル、非置換C
1~C
20ヘテロアルキル、置換C
1~C
20ヘテロアルキル、非置換C
5~C
24アリール、置換C
5~C
24アリール、非置換C
5~C
24ヘテロアリール、置換C
5~C
24ヘテロアリール、非置換C
6~C
24アラルキル、置換C
6~C
24アラルキル、非置換C
6~C
24アルカリール、置換C
6~C
24アルカリール及びハロゲン化物から選択される最大3つの置換基で置換されたC
5~C
24アリールであり、典型的には、R
3は、アダマンチル、2,4,6-トリメチルフェニル、2,6-ジ-iso-プロピルフェニル、2-メチル-6-tert-ブチルフェニル、2-iso-プロピル-6-メチルフェニル、2-iso-プロピル-フェニル、2,6-ジ-エチルフェニル、2-エチル-6-メチルフェニル、又は2-メチル-フェニルであり、
R
11、R
12、R
13、及びR
14は、独立して、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、又は置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり、概して、R
11、R
12、R
13、及びR
14は、独立して、水素、非置換C
1~C
12アルキル、置換C
1~C
12アルキル、非置換C
4~C
12シクロアルキル、置換C
4~C
12シクロアルキル、非置換C
5~C
24アリール、置換C
5~C
24アリール、非置換C
5~C
24ヘテロアリール、置換C
5~C
24ヘテロアリール、非置換C
6~C
24アラルキル、置換C
6~C
24アラルキル、非置換C
6~C
24ヘテロアラルキル、又は置換C
6~C
24ヘテロアラルキルであり、典型的には、R
11及びR
12は、独立して、メチルであり、R
13及びR
14は、独立して、水素であり、
R
3Aは、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、又は置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり、概して、R
3Aは、非置換C
1~C
12アルキル、置換C
1~C
12アルキル、非置換C
4~C
12シクロアルキル、置換C
4~C
12シクロアルキル、非置換C
5~C
24アリール、置換C
5~C
24アリール、非置換C
5~C
24ヘテロアリール、置換C
5~C
24ヘテロアリール、非置換C
6~C
24アラルキル、置換C
6~C
24アラルキル、非置換C
6~C
24ヘテロアラルキル、又は置換C
6~C
24ヘテロアラルキルであり、典型的には、R
3Aは、メチル、エチル、n-プロピル、又はフェニルであるか、又はR
3AとR
4とが、これらに結合する炭素原子と共に、5~10員環のシクロアルキル又はヘテロ環式環を形成してもよく、
R
4は、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、又は置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり、概して、R
4は、非置換C
1~C
12アルキル、置換C
1~C
12アルキル、非置換C
4~C
12シクロアルキル、置換C
4~C
12シクロアルキル、非置換C
5~C
24アリール、置換C
5~C
24アリール、非置換C
5~C
24ヘテロアリール、置換C
5~C
24ヘテロアリール、非置換C
6~C
24アラルキル、置換C
6~C
24アラルキル、非置換C
6~C
24ヘテロアラルキル、又は置換C
6~C
24ヘテロアラルキルであり、典型的には、R
4は、メチル、エチル、n-プロピル、又はフェニルである]
の構造によって表される。
【0069】
式(7)の構造によって表されるオレフィンメタセシス触媒の非限定的な例を表(3)に記載し、ここで、X
1はClであり、X
2はClであり、R
11はメチルであり、R
12はメチルであり、R
13は水素であり、R
14は水素である。
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【表3-4】
【表3-5】
表中、EMPは、
【化26】
である。
【0070】
L
1が式
【化27】
[式中、mは0であり、Mはルテニウムである]のCAAC配位子である場合、式(1)のオレフィンメタセシス触媒は、式(7A)
【化28】
[式中、X
1、X
2、R
1、R
2、及びR
bは、本明細書で定義されるとおりであり、
Xは、-CR
1aR
2aであり、
aは、1又は2であり、
R
1aは、H、場合により置換されていてもよいC
1~24アルキル、場合により置換されていてもよいC
3~10シクロアルキル、ハロゲン、場合により置換されていてもよいC
5~C
24アリール、場合により置換されていてもよいC
6~C
24アラルキル、場合により置換されていてもよいC
1~C
20ヘテロアルキル、-C(O)R
21、-OR
22、CN、-NR
23R
24、NO
2、-CF
3、-S(O)
xR
25、-P(O)(OH)
2、-OP(O)(OH)
2、-SR
27であるか、又はR
2aと共に、場合により置換されていてもよいスピロ単環式若しくはスピロ多環式C
3~10シクロアルキル若しくはスピロヘテロ環式環を形成し、それらが結合している炭素原子と共に、又はR
3と共に、又はR
4と共に場合により置換されていてもよい多環式環を形成し、
R
2aは、H、場合により置換されていてもよいC
1~24アルキル、場合により置換されていてもよいC
3~10シクロアルキル、ハロゲン、場合により置換されていてもよいC
5~C
24アリール、場合により置換されていてもよいC
6~C
24アラルキル、場合により置換されていてもよいC
1~C
20ヘテロアルキル、-C(O)R
21、-OR
22、CN、NR
23R
24、NO
2、-CF
3、-S(O)
xR
25、-P(O)(OH)
2、-OP(O)(OH)
2、-SR
27であるか、又はR
1aと共に、スピロ単環式若しくはスピロ多環式C
3~10シクロアルキル若しくはスピロヘテロ環式環を形成し、それらが結合している炭素原子と共に、又はR
3と共に、又はR
4と共に場合により置換されていてもよい多環式環を形成し、
Yは、-CR
1bR
2bであり、
bは、0、1、又は2であり、
R
1bは、H、場合により置換されていてもよいC
1~24アルキル、場合により置換されていてもよいC
3~10シクロアルキル、ハロゲン、場合により置換されていてもよいC
5~C
24アリール、場合により置換されていてもよいC
6~C
24アラルキル、場合により置換されていてもよいC
1~C
20ヘテロアルキル、-C(O)R
21、-OR
22、CN、-NR
23R
24、NO
2、-CF
3、-S(O)
xR
25、-P(O)(OH)
2、-OP(O)(OH)
2、-SR
27であるか、又はR
2bと共に、5員、6員、若しくは10員のシクロアルキルを形成し、又はそれらが結合している炭素原子と共に、ヘテロ環式環を形成し、
R
2bは、H、場合により置換されていてもよいC
1~24アルキル、場合により置換されていてもよいC
3~10シクロアルキル、ハロゲン、場合により置換されていてもよいC
5~C
24アリール、場合により置換されていてもよいC
6~C
24アラルキル、場合により置換されていてもよいC
1~C
20ヘテロアルキル、-C(O)R
21、-OR
22、CN、-NR
23R
24、NO
2、-CF
3、-S(O)
xR
25、-P(O)(OH)
2、-OP(O)(OH)
2、-SR
27であるか、又はR
1bと共に、5員、6員、若しくは10員のシクロアルキルを形成し、又はそれらが結合している炭素原子と共に、ヘテロ環式環を形成し、
R
3aは、H、場合により置換されていてもよいC
1~24アルキル、ハロゲン、-C(O)R
21、-OR
22、CN、-NR
23R
24、NO
2、-CF
3、-S(O)
xR
25、-P(O)(OH)
2、-OP(O)(OH)
2、-SR
27、場合により置換されていてもよいヘテロ環、場合により置換されていてもよいC
3~10シクロアルキル、場合により置換されていてもよいC
5~C
24アリール、場合により置換されていてもよいC
3~8シクロアルケニルであるか、又はR
1aと共に若しくはR
2aと共に、場合により置換されていてもよい多環式環を形成してもよく、又はR
3aと共に、場合により置換されていてもよいスピロ単環式若しくはスピロ多環式C
3~10シクロアルキルを形成してもよく、
R
3bは、H、場合により置換されていてもよいC
1~24アルキル、ハロゲン、-C(O)R
21、-OR
22、CN、-NR
23R
24、NO
2、-CF
3、-S(O)
xR
25、-P(O)(OH)
2、-OP(O)(OH)
2、-SR
27、場合により置換されていてもよいヘテロ環、場合により置換されていてもよいC
3~10シクロアルキル、場合により置換されていてもよいC
5~C
24アリール、場合により置換されていてもよいC
3~8シクロアルケニルであるか、又はR
1aと共に若しくはR
2aと共に、場合により置換されていてもよい多環式環を形成してもよく、又はR
3と共に、場合により置換されていてもよいスピロ単環式若しくはスピロ多環式C
3~10シクロアルキルを形成してもよく、
R
4aは、H、場合により置換されていてもよいC
1~24アルキル、ハロゲン、-C(O)R
21、-OR
22、CN、-NR
23R
24、NO
2、-CF
3、-S(O)
xR
25、-P(O)(OH)
2、-OP(O)(OH)
2、-SR
27、場合により置換されていてもよいヘテロ環、場合により置換されていてもよいC
3~10シクロアルキル、場合により置換されていてもよいC
5~C
24アリール、場合により置換されていてもよいC
3~8シクロアルケニルであるか、又はR
1aと共に若しくはR
2aと共に、場合により置換されていてもよい多環式環を形成してもよく、又はR
4aと共に、場合により置換されていてもよいスピロ単環式若しくはスピロ多環式C
3~10シクロアルキルを形成してもよく、
R
4bは、H、場合により置換されていてもよいC
1~24アルキル、ハロゲン、-C(O)R
21、-OR
22、CN、-NR
23R
24、NO
2、-CF
3、-S(O)
xR
25、-P(O)(OH)
2、-OP(O)(OH)
2、-SR
27、場合により置換されていてもよいヘテロ環、場合により置換されていてもよいC
3~10シクロアルキル、場合により置換されていてもよいC
5~C
24アリール、場合により置換されていてもよいC
3~8シクロアルケニルであるか、又はR
1aと共に若しくはR
2aと共に、場合により置換されていてもよい多環式環を形成してもよく、又はR
4と共に、場合により置換されていてもよいスピロ単環式若しくはスピロ多環式C
3~10シクロアルキルを形成してもよく、
R
5は、H、場合により置換されていてもよいC
1~24アルキル、ハロゲン、-C(O)R
21、-OR
22、CN、-NR
23R
24、NO
2、-CF
3、-S(O)
xR
25、-P(O)(OH)
2、-OP(O)(OH)
2、-SR
27、場合により置換されていてもよいヘテロ環、場合により置換されていてもよいC
3~10シクロアルキル、場合により置換されていてもよいC
5~C
24アリール、場合により置換されていてもよいC
3~8シクロアルケニルであるか、又はR
6と共に、場合により置換されていてもよい多環式環を形成してもよく、
R
6は、H、場合により置換されていてもよいC
1~24アルキル、ハロゲン、-C(O)R
21、-OR
22、CN、-NR
23R
24、NO
2、-CF
3、-S(O)
xR
25、-P(O)(OH)
2、-OP(O)(OH)
2、-SR
27、場合により置換されていてもよいヘテロ環、場合により置換されていてもよいC
3~10シクロアルキル、場合により置換されていてもよいC
5~C
24アリール、場合により置換されていてもよいC
3~8シクロアルケニルであるか、又はR
5と共に若しくはR
7と共に、場合により置換されていてもよい多環式環を形成してもよく、
R
7は、H、場合により置換されていてもよいC
1~24アルキル、ハロゲン、-C(O)R
21、-OR
22、CN、-NR
23R
24、NO
2、-CF
3、-S(O)
xR
25、-P(O)(OH)
2、-OP(O)(OH)
2、-SR
27、場合により置換されていてもよいヘテロ環、場合により置換されていてもよいC
3~10シクロアルキル、場合により置換されていてもよいC
5~C
24アリール、場合により置換されていてもよいC
3~8シクロアルケニルであるか、又はR
6と共に若しくはR
8と共に、場合により置換されていてもよい多環式環を形成してもよく、
R
8は、H、場合により置換されていてもよいC
1~24アルキル、ハロゲン、-C(O)R
21、-OR
22、CN、-NR
23R
24、NO
2、-CF
3、-S(O)
xR
25、-P(O)(OH)
2、-OP(O)(OH)
2、-SR
27、場合により置換されていてもよいヘテロ環、場合により置換されていてもよいC
3~10シクロアルキル、場合により置換されていてもよいC
5~C
24アリール、場合により置換されていてもよいC
3~8シクロアルケニルであるか、又はR
7と共に若しくはR
9と共に、場合により置換されていてもよい多環式環を形成してもよく、
R
9は、H、場合により置換されていてもよいC
1~24アルキル、ハロゲン、-C(O)R
21、-OR
22、CN、-NR
23R
24、NO
2、-CF
3、-S(O)
xR
25、-P(O)(OH)
2、-OP(O)(OH)
2、-SR
27、場合により置換されていてもよいヘテロ環、場合により置換されていてもよいC
3~10シクロアルキル、場合により置換されていてもよいC
5~C
24アリール、場合により置換されていてもよいC
3~8シクロアルケニルであるか、又はR
8と共に、置換多環式環を形成してもよく、
R
21は、OH、OR
26、NR
23R
24、場合により置換されていてもよいC
1~24アルキル、場合により置換されていてもよいC
3~10シクロアルキル、場合により置換されていてもよいヘテロ環、場合により置換されていてもよいC
5~C
24アリール、又は場合により置換されていてもよいC
3~8シクロアルケニルであり、
R
22は、H、場合により置換されていてもよいC
1~24アルキル、場合により置換されていてもよいC
3~10シクロアルキル、場合により置換されていてもよいヘテロ環、場合により置換されていてもよいC
5~C
24アリール、又は場合により置換されていてもよいC
3~8シクロアルケニルであり、
R
23は、H、場合により置換されていてもよいC
1~24アルキル、場合により置換されていてもよいC
3~10シクロアルキル、場合により置換されていてもよいヘテロ環、場合により置換されていてもよいC
5~C
24アリール、又は場合により置換されていてもよいC
3~8シクロアルケニルであり、
R
24は、H、場合により置換されていてもよいC
1~24アルキル、場合により置換されていてもよいC
3~10シクロアルキル、場合により置換されていてもよいヘテロ環、場合により置換されていてもよいC
5~C
24アリール、又は場合により置換されていてもよいC
3~8シクロアルケニルであり、
R
25は、H、場合により置換されていてもよいC
1~24アルキル、OR
22、-NR
23R
24、場合により置換されていてもよいヘテロ環、場合により置換されていてもよいC
3~10シクロアルキル、場合により置換されていてもよいC
5~C
24アリール、又は場合により置換されていてもよいC
3~8シクロアルケニルであり、
R
26は、場合により置換されていてもよいC
1~24アルキル、場合により置換されていてもよいC
3~10シクロアルキル、場合により置換されていてもよいヘテロ環、場合により置換されていてもよいC
5~C
24アリール、又は場合により置換されていてもよいC
3~8シクロアルケニルであり、
R
27は、H、場合により置換されていてもよいC
1~24アルキル、場合により置換されていてもよいC
3~10シクロアルキル、場合により置換されていてもよいヘテロ環、場合により置換されていてもよいC
5~C
24アリール、又は場合により置換されていてもよいC
3~8シクロアルケニルであり、
xは、1又は2であり、但し、
a.aが2の場合、「X-X」結合は飽和であっても不飽和であってもよく、
b.bが2の場合、「Y-Y」結合は飽和であっても不飽和であってもよく、
c.aが2であり、「X-X」結合が不飽和である場合、R
2aは存在せず、
d.bが1の場合、R
3a及びR
4aは両方とも存在せず、
e.bが2の場合、R
3a及びR
4aは両方とも存在せず、
f.bが2であり、「Y-Y」結合が不飽和である場合、R
2bは存在しない]
の構造によって表される。
【0071】
a、b、X、及びYの値に応じて、CAAC配位子の部分(A)
【化29】
は、表(4)から選択される構造によって表される。
【表4】
式中、R
1、R
2、R
a、R
b、R
3a、R
3b、R
4a、R
4b、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
1a、R
1b、X
1、X
2、X、及びYは、本明細書で定義されるとおりである。
【0072】
式(7A)の構造の命名は、表(4)から選択される部分(A)の構造によって決定される。例えば、部分(A2)がCAAC配位子中に存在することから、以下の構造には式(7A2)
【化30】
が割り当てられる。
【表5】
式中、R
1、R
2、R
a、R
b、R
3a、R
3b、R
4a、R
4b、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
1a、R
1b、X
1、X
2、X、及びYは、本明細書で定義されるとおりである。
【0073】
L
1が、
【化31】
によって表されるN-ヘテロ環式カルベン配位子であり、
【化32】
であり、X
3及びX
4が独立してSであり、Mがルテニウムである場合、式(2)のオレフィンメタセシス触媒は、式(8)
【化33】
[式中、
R
aは、非置換C
1~C
10アルキル、置換C
1~C
10アルキル、非置換C
3~C
10シクロアルキル、置換C
3~C
10シクロアルキル、非置換C
5~C
24アリール、又は置換C
5~C
24アリールであり、典型的には、R
aは、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、tert-ブチル、シクロヘキシル、又はフェニルであり、
R
bは、非置換C
1~C
10アルキル、置換C
1~C
10アルキル、非置換C
3~C
10シクロアルキル、置換C
3~C
10シクロアルキル、非置換C
5~C
24アリール、又は置換C
5~C
24アリールであり、典型的には、R
bは、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、tert-ブチル、シクロヘキシル、又はフェニルであるか、又は、R
aとR
bが一緒に結合して、スルホキシド基を有する5員ヘテロ環又は6員ヘテロ環を形成し、
R
3は、非置換C
3~C
10シクロアルキル、置換C
3~C
10シクロアルキル、非置換C
5~C
24アリールであるか、非置換C
1~C
20アルキル、置換C
1~C
20アルキル、非置換C
1~C
20ヘテロアルキル、置換C
1~C
20ヘテロアルキル、非置換C
5~C
24アリール、置換C
5~C
24アリール、非置換C
5~C
24ヘテロアリール、置換C
5~C
24ヘテロアリール、非置換C
6~C
24アラルキル、置換C
6~C
24アラルキル、非置換C
6~C
24アルカリール、置換C
6~C
24アルカリール及びハロゲン化物から選択される最大3つの置換基で置換されたC
5~C
24アリールであり、典型的には、R
3は、アダマンチル、2,4,6-トリメチルフェニル、2,6-ジ-iso-プロピルフェニル、2-メチル-6-tert-ブチルフェニル、2-iso-プロピル-6-メチルフェニル、2-iso-プロピル-フェニル、2,6-ジ-エチルフェニル、2-エチル-6-メチルフェニル、2,4,6-トリフルオロフェニル、2,6-ジフルオロフェニル、3,5-ジ-tert-ブチルフェニル、2,4-ジメチルフェニル、又は2-メチル-フェニルであり、
R
4は、非置換C
3~C
10シクロアルキル、置換C
3~C
10シクロアルキル、非置換C
5~C
24アリールであるか、非置換C
1~C
20アルキル、置換C
1~C
20アルキル、非置換C
1~C
20ヘテロアルキル、置換C
1~C
20ヘテロアルキル、非置換C
5~C
24アリール、置換C
5~C
24アリール、非置換C
5~C
24ヘテロアリール、置換C
5~C
24ヘテロアリール、非置換C
6~C
24アラルキル、置換C
6~C
24アラルキル、非置換C
6~C
24アルカリール、置換C
6~C
24アルカリール及びハロゲン化物から選択される最大3つの置換基で置換されたC
5~C
24アリールであり、R
4は、2,4,6-トリメチルフェニル、2,6-ジ-iso-プロピルフェニル、2-メチル-6-tert-ブチルフェニル、2-iso-プロピル-6-メチルフェニル、2-iso-プロピル-フェニル、2,6-ジ-エチルフェニル、2-エチル-6-メチルフェニル、2,4,6-トリフルオロフェニル、2,6-ジフルオロフェニル、3,5-ジ-tert-ブチルフェニル、2,4-ジメチルフェニル、又は2-メチル-フェニルであり、
R
1は水素であり、R
2は、非置換フェニル、置換フェニル、C
1~C
6アルキル、又は置換1-プロペニルであるか、又は、R
1とR
2が一緒に結合して、場合により置換されていてもよいインデニリデンを形成し、
R
11、R
12、R
13、及びR
14は、独立して、C
1~C
6アルキル、又は水素であり、概して、R
11は、水素又はメチルであり、R
12は、水素又はメチルであり、R
13は水素であり、R
14は水素であり、典型的には、R
11、R
12、R
13、及びR
14は、独立して、水素であり、
R
x、R
y、R
w、及びR
zは、独立して、C
1~C
6アルキル、水素、ハロゲン、非置換フェニル、又は置換フェニルであり、概して、R
xは、メチル、水素、又はClであり、R
yは水素であり、R
wは水素であり、R
zは、Cl、t-ブチル、水素、又はフェニルであるか、又はR
xとR
yが一緒に結合して、非置換の二環式若しくは多環式のアリール、又は置換の二環式若しくは多環式のアリールを形成し、又はR
wとR
zが一緒に結合して、非置換の二環式若しくは多環式のアリール、又は置換の二環式若しくは多環式のアリールを形成し、又はR
yとR
wが一緒に結合して、非置換の二環式若しくは多環式のアリール、又は置換の二環式若しくは多環式のアリールを形成する]
の構造によって表される。
【0074】
式(8)の構造によって表されるオレフィンメタセシス触媒の非限定的な例を表(6)に記載し、ここで、R
aはメチルであり、R
bはメチルであり、R
11は水素であり、R
12は水素であり、R
13は水素であり、R
14は水素であり、R
yは水素であり、R
wは水素である。
【表6-1】
【表6-2】
【表6-3】
【表6-4】
【0075】
本発明に使用される触媒の非限定的な例は、以下の構造によって表される。
【化34】
【化35】
【0076】
L
1がCAAC配位子であり、
【化36】
であり、X
3及びX
4が独立してSであり、Mがルテニウムである場合、式(2)のオレフィンメタセシス触媒は、式(8A)
【化37】
の構造によって表される。
式中、R
1、R
2、R
a、R
b、R
3a、R
3b、R
4a、R
4b、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
x、R
y、R
z、R
w、X、Y、a、及びbは、本明細書で定義されるとおりである。
【0077】
式(8A)の構造の命名は、表(4)から選択される部分(A)の構造によって決定される。例えば、部分(A10)がCAAC配位子中に存在することから、以下の構造には式(8A10)
【化38】
が割り当てられる。
【表7-1】
【表7-2】
式中、R
1、R
1a、R
1b、R
2、R
a、R
b、R
3a、R
3b、R
4a、R
4b、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
x、R
y、R
z、R
w、X、Y、a、及びbは、本明細書で定義されるとおりである。
【0078】
本発明の他の実施形態では、本発明の第8族金属オレフィンメタセシス触媒は、式(9)
【化39】
[式中、Mは、第8族遷移金属であり、概して、Mは、ルテニウム又はオスミウムであり、典型的には、Mは、ルテニウムであり、
L
1及びL
2は、独立して、中性の電子供与配位子であり、
nは、0又は1であり、典型的には、nは0であり、
mは、0、1、又は2であり、概して、mは、0又は1であり、典型的には、mは0であり、
R
aaは、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、又は置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり、概して、R
aaは、非置換C
1~C
10アルキル、置換C
1~C
10アルキル、非置換C
3~C
10シクロアルキル、置換C
3~C
10シクロアルキル、非置換C
5~C
24アリール、又は置換C
5~C
24アリールであり、典型的には、R
aaは、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、tert-ブチル、シクロヘキシル、ベンジル、又はフェニルであり、
R
bbは、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、又は置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり、概して、R
bbは、非置換C
1~C
10アルキル、置換C
1~C
10アルキル、非置換C
3~C
10シクロアルキル、置換C
3~C
10シクロアルキル、非置換C
5~C
24アリール、又は置換C
5~C
24アリールであり、典型的には、R
bbは、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、tert-ブチル、シクロヘキシル、ベンジル、又はフェニルであるか、
R
aaとR
bbが結合して、それらが結合している窒素原子と共に、5員、6員、又は7員のヘテロ環を形成してもよく、
R
ccは、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、又は置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり、概して、R
ccは、非置換C
1~C
10アルキル、置換C
1~C
10アルキル、非置換C
3~C
10シクロアルキル、置換C
3~C
10シクロアルキル、非置換C
5~C
24アリール、又は置換C
5~C
24アリールであり、典型的には、R
ccは、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、tert-ブチル、シクロヘキシル、ベンジル、又はフェニルであり、
R
ddは、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、又は置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり、概して、R
dは、非置換C
1~C
10アルキル、置換C
1~C
10アルキル、非置換C
3~C
10シクロアルキル、置換C
3~C
10シクロアルキル、非置換C
5~C
24アリール、又は置換C
5~C
24アリールであり、典型的には、R
ddは、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、tert-ブチル、シクロヘキシル、ベンジル、又はフェニルであり、
R
ccとR
ddが結合して、それらが結合している窒素原子と共に、5員、6員、又は7員のヘテロ環を形成してもよく、
R
bbとR
ccが結合して、それらが結合している窒素原子と共に、5員、6員、又は7員のヘテロ環を形成してもよく、
X
1及びX
2は、独立して、アニオン性配位子であり、概して、X
1及びX
2は、独立して、ハロゲン、トリフルオロアセテート、ペルフルオロフェノール、又はニトレートであり、典型的には、X
1及びX
2は、独立して、塩素、臭素、ヨウ素、又はフッ素であり、
R
1及びR
2は、独立して、水素、非置換ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、非置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、又は置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルであり、典型的には、R
1は水素であり、R
2は、非置換フェニル、置換フェニル、C
1~C
6アルキル、又は置換1-プロペニルであるか、又は、R
1とR
2が一緒に結合して、場合により置換されていてもよいインデニリデンを形成する]
の一般構造によって表される。
【0079】
式(9)のいくつかの実施形態では、
【化40】
によって表され、式中
、M、X
1、X
2、X
3、X
4、R
x、R
y、R
w、及びR
zは、本明細書で定義されるとおりである。
【0080】
式(9)のいくつかの実施形態では、L
1は、
【化41】
によって表される
【化42】
であり、又は、L
1は、
【化43】
によって表されるCAAC配位子であり、式中、Q
1、Q
2、p、q、R
3a、R
3b、R
4a、R
4b、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、X
5、Y
5、a、及びbは、本明細書に定義されるとおりである。
【0081】
MがRuであり、nが0であり、mが0であり、L
1が構造
【化44】
のNHC配位子である場合、本発明は、次の構造によって表される触媒を提供し、
【化45】
また
【化46】
によって表される場合、本発明は、次の構造によって表される触媒を提供する。
【化47】
式中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
aa、R
bb、R
cc、R
dd、X
1、X
2、X
3、X
4、R
11、R
12、R
13、R
14、R
x、R
w、R
y、及びR
zは、本明細書で定義されるとおりである。
【0082】
MがRuであり、nが0であり、mが0であり、L
1がCAAC配位子である場合、本発明は、式(10A)
【化48】
[式中、R
1、R
2、X
1、X
2、R
3a、R
3b、R
4a、R
4b、R
aa、R
bb、R
cc、R
dd、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、X、Y、a、及びbは、本明細書で定義されるとおりである]
の構造によって表される触媒を提供する。
【0083】
式(10A)の構造の命名は、表(4)から選択される部分(A)の構造によって決定される。例えば、部分(A10)がCAAC配位子中に存在することから、以下の構造には式(10A10)
【化49】
が割り当てられる。
【表8-1】
【表8-2】
式中、R
1、R
1a、R
1b、R
2、R
a、R
b、R
3a、R
3b、R
4a、R
4b、R
aa、R
bb、R
cc、R
dd、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
x、R
y、R
z、R
w、X、Y、a、及びbは、本明細書で定義されるとおりである。
【0084】
MがRuであり、nが0であり、mが0であり、
【化50】
によって表され、X
3及びX
4がSであり、L
1がCAAC配位子である場合、本発明は、式(12A)
【化51】
[式中、R
1、R
2、R
3a、R
3b、R
4a、R
4b、R
aa、R
bb、R
cc、R
dd、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
x、R
y、R
w、R
z、X、Y、a、及びbは、本明細書で定義されるとおりである]
の構造によって表される触媒を提供する。
【0085】
式(12A)の構造の命名は、表(4)から選択される部分(A)の構造によって決定される。例えば、部分(A5)がCAAC配位子中に存在することから、以下の構造には式(12A5)
【化52】
が割り当てられる。
【表9-1】
【表9-2】
式中、R
1、R
2、R
1a、R
1b、R
3a、R
3b、R
4a、R
4b、R
aa、R
bb、R
cc、R
dd、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
x、R
y、R
w、R
z、X、Y、a、及びbは、本明細書で定義されるとおりである。
【0086】
本発明に使用される触媒の非限定的な例は、以下の構造によって表される。
【化53】
【0087】
大環状の実施形態の説明
一実施形態では、閉環メタセシスによる大環状生成物は、生成物内部にオレフィンを含み、生成物内部のオレフィンはZ配置である。
【0088】
いくつかの実施形態では、本発明は、炭素-炭素二重結合(例えば生成物内部のオレフィン)を、95:5超、96:4超、97:3超、98:2超、又はいくつかの場合では99:1超のZ:E比にて有する化合物(すなわち、生成物、オレフィン生成物、例えば閉環メタセシス生成物)を生成させる方法を提供する。いくつかの場合では、メタセシス反応において生成される炭素-炭素二重結合の約100%が、Z配置を有することができる。Z選択性又はシス選択性はまた、形成された生成物(例えば、閉環メタセシス生成物)の百分率として表すこともできる。いくつかの場合では、生成物(例えば、(閉環メタセシス生成物)は、50%超がZ、60%超がZ、70%超がZ、80%超がZ、90%超がZ、95%超がZ、96%超がZ、97%超がZ、約98%超がZ、99%超がZ、又はいくつかの場合では99.5%超がZであってもよい。
【0089】
一実施形態では、閉環メタセシス反応生成物は、Z配置にて炭素-炭素二重結合を有し、式(A)
【化54】
[式中、
qは、1、2、3、又は4であり、
pは、4、5、6、又は7である]
の構造によって表される。
【0090】
別の実施形態では、少なくとも1つの閉環メタセシス生成物は、式(A)の構造によって表され、式中、qは2であり、pは、4又は6である。
【0091】
別の実施形態では、少なくとも1つの閉環メタセシス生成物は、式(A)の構造によって表され、式中、qは、1、2、3、又は4であり、pは、6又は7である。
【0092】
別の実施形態では、少なくとも1つの閉環メタセシス生成物は、式(A)の構造によって表され、式中、qは、1又は2であり、pは6である。
【0093】
別の実施形態では、少なくとも1つの閉環メタセシス生成物は、式(A)の構造によって表され、式中、qは、1、2、3、又は4であり、pは7である。
【0094】
別の実施形態では、少なくとも1つの閉環メタセシス生成物は、式(A)の構造によって表され、式中、qは1であり、pは6である。
【0095】
別の実施形態では、閉環メタセシス反応生成物は、Z配置にて炭素-炭素二重結合を有し、式(B)
【化55】
[式中、
rは、1、2、3、又は4であり、
vは、4、5、6、又は7である]
の構造によって表される。
【0096】
別の実施形態では、少なくとも1つの閉環メタセシス生成物は、式(B)の構造によって表され、式中、rは2であり、vは、4又は6である。
【0097】
別の実施形態では、少なくとも1つの閉環メタセシス生成物は、式(B)の構造によって表され、式中、rは、1、2、3、又は4であり、vは、6又は7である。
【0098】
別の実施形態では、少なくとも1つの閉環メタセシス生成物は、式(B)の構造によって表され、式中、rは、1又は2であり、vは6である。
【0099】
別の実施形態では、少なくとも1つの閉環メタセシス生成物は、式(B)の構造によって表され、式中、rは、1、2、3、又は4であり、vは7である。
【0100】
別の実施形態では、少なくとも1つの閉環メタセシス生成物は、式(B)の構造によって表され、式中、rは1であり、vは6である。
【0101】
一実施形態では、Z型オレフィン部分を有するジエン出発物質は、式(E)
【化56】
[式中、
R
eは、H、メチル、エチル、又はプロピルであり、
qは、1、2、3、又は4であり、
pは、4、5、6、又は7である]
によって表すことができる。
【0102】
一実施形態では、Z型オレフィン部分を有するジエン出発物質は、式(E)によって表すことができ、式中、Reはメチルであり、qは2であり、vは、4又は6である。
【0103】
一実施形態では、Z型オレフィン部分を有するジエン出発物質は、式(E)によって表すことができ、式中、Reはエチルであり、qは、1、2、3、又は4であり、pは、6又は7である。
【0104】
一実施形態では、Z型オレフィン部分を有するジエン出発物質は、式(E)によって表すことができ、式中、Reはエチルであり、qは、1又は2であり、pは6である。
【0105】
一実施形態では、Z型オレフィン部分を有するジエン出発物質は、式(E)によって表すことができ、式中、Reはエチルであり、qは、1、2、3、は4であり、pは7である。
【0106】
一実施形態では、Z型オレフィン部分を有するジエン出発物質は、式(E)によって表すことができ、式中、Reはエチルであり、qは1であり、pは6である。
【0107】
別の実施形態では、本発明は、Z型の立体配置80%超での式(A)の少なくとも1つのZ型大環状生成物の、形成を促進するのに有効な条件下で、式(E)のZ型オレフィン部分を有するジエン出発物質を、式(5)の少なくとも1つのオレフィンメタセシス触媒と接触させること、を含む、閉環メタセシス反応を行う方法に関する。
【0108】
別の実施形態では、本発明は、Z型の立体配置80%超での式(A)の少なくとも1つのZ型大環状生成物の形成を促進するのに有効な条件下で、式(E)のZ型オレフィン部分を有するジエン出発物質を、式(6)の少なくとも1つのオレフィンメタセシス触媒と接触させること、を含む、閉環メタセシス反応を行う方法に関する。
【0109】
別の実施形態では、本発明は、Z型の立体配置80%超での式(A)の少なくとも1つのZ型大環状生成物の形成を促進するのに有効な条件下で、式(E)のZ型オレフィン部分を有するジエン出発物質を、式(7)の少なくとも1つのオレフィンメタセシス触媒と接触させること、を含む、閉環メタセシス反応を行う方法に関する。
【0110】
別の実施形態では、本発明は、Z型の立体配置80%超での式(A)の少なくとも1つのZ型大環状生成物の形成を促進するのに有効な条件下で、式(E)のZ型オレフィン部分を有するジエン出発物質を、式(8)の少なくとも1つのZ選択的オレフィンメタセシス触媒と接触させること、を含む、閉環メタセシス反応を行う方法に関する。
【0111】
別の実施形態では、本発明は、Z型の立体配置80%超での式(A)の少なくとも1つのZ型大環状生成物の形成を促進するのに有効な条件下で、式(E)のZ型オレフィン部分を有するジエン出発物質を、式(8A)の少なくとも1つのZ選択的オレフィンメタセシス触媒と接触させること、を含む、閉環メタセシス反応を行う方法に関する。
【0112】
別の実施形態では、本発明は、Z型の立体配置80%超での式(A)の少なくとも1つのZ型大環状生成物の形成を促進するのに有効な条件下で、式(E)のZ型オレフィン部分を有するジエン出発物質を、式(9)の少なくとも1つのZ選択的オレフィンメタセシス触媒と接触させること、を含む、閉環メタセシス反応を行う方法に関する。
【0113】
別の実施形態では、本発明は、Z型の立体配置80%超での式(A)の少なくとも1つのZ型大環状生成物の形成を促進するのに有効な条件下で、式(E)のZ型オレフィン部分を有するジエン出発物質を、式(10)の少なくとも1つのZ選択的オレフィンメタセシス触媒と接触させること、を含む、閉環メタセシス反応を行う方法に関する。
【0114】
別の実施形態では、本発明は、Z型の立体配置80%超での式(A)の少なくとも1つのZ型大環状生成物の形成を促進するのに有効な条件下で、式(E)のZ型オレフィン部分を有するジエン出発物質を、式(10A)の少なくとも1つのZ選択的オレフィンメタセシス触媒と接触させること、を含む、閉環メタセシス反応を行う方法に関する。
【0115】
別の実施形態では、本発明は、Z型の立体配置80%超での式(A)の少なくとも1つのZ型大環状生成物の形成を促進するのに有効な条件下で、式(E)のZ型オレフィン部分を有するジエン出発物質を、式(11)の少なくとも1つのZ選択的オレフィンメタセシス触媒と接触させること、を含む、閉環メタセシス反応を行う方法に関する。
【0116】
別の実施形態では、本発明は、Z型の立体配置80%超での式(A)の少なくとも1つのZ型大環状生成物の形成を促進するのに有効な条件下で、式(E)のZ型オレフィン部分を有するジエン出発物質を、式(12)の少なくとも1つのZ選択的オレフィンメタセシス触媒と接触させること、を含む、閉環メタセシス反応を行う方法に関する。
【0117】
別の実施形態では、本発明は、Z型の立体配置80%超での式(A)の少なくとも1つのZ型大環状生成物の形成を促進するのに有効な条件下で、式(E)のZ型オレフィン部分を有するジエン出発物質を、式(12A)の少なくとも1つのZ選択的オレフィンメタセシス触媒と接触させること、を含む、閉環メタセシス反応を行う方法に関する。
【0118】
一実施形態では、本発明は、式(A)によって表される大環状ムスクを合成する方法であって、メタセシス生成物を形成するのに十分な条件下、少なくとも1つのメタセシス触媒の存在下での、式(E)のジエンの閉環メタセシス反応を含み、少なくとも1つのメタセシス触媒が、式(5)の構造によって表され、式中、Re、q、p、R1、R2、Ra、Rb、X1、X2、R3、及びR4は、本明細書に定義されるとおりである、方法を提供する。
【0119】
一実施形態では、本発明は、式(A)によって表される大環状ムスクを合成する方法であって、メタセシス生成物を形成するのに十分な条件下、少なくとも1つのメタセシス触媒の存在下での、式(E)のジエンの閉環メタセシス反応を、含み、少なくとも1つのメタセシス触媒が、式(8)[式中、Re、q、p、R1、R2、Ra、Rb、R11、R12、R13、R14、R3、R4、Rx、Ry、Rz、及びRwは、本明細書に定義されるとおりである]の構造によって表される、方法を提供する。
【0120】
一実施形態では、式(E)[式中、Reはメチルであり、qは2であり、pは、4又は6である]によって表されるZ型のオレフィン部分を、式(8)[式中、R1は水素であり、R2は、フェニル、エチルであるか、又はR1と共に、フェニルインデニリデンを形成してもよく、Raはメチルであり、Rbはメチルであり、R11は水素であり、R12は水素であり、R13は水素であり、R14は水素であり、R3は、2,4,6-トリメチルフェニル、2,6-ジ-iso-プロピルフェニル、2-メチル-6-tert-ブチルフェニル、2-iso-プロピル-6-メチルフェニル、2-iso-プロピル-フェニル、2,6-ジ-エチルフェニル、2-エチル-6-メチルフェニル、2,4,6-トリフルオロフェニル、2,6-ジフルオロフェニル、3,5-ジ-tert-ブチルフェニル、2,4-ジメチルフェニル、又は2-メチル-フェニルであり、R4は、2,4,6-トリメチルフェニル、2,6-ジ-iso-プロピルフェニル、2-メチル-6-tert-ブチルフェニル、2-iso-プロピル-6-メチルフェニル、2-iso-プロピル-フェニル、2,6-ジ-エチルフェニル、2-エチル-6-メチルフェニル、2,4,6-トリフルオロフェニル、2,6-ジフルオロフェニル、3,5-ジ-tert-ブチルフェニル、2,4-ジメチルフェニル、又は2-メチル-フェニルであり、RxはClであり、Ryは水素であり、RzはClであり、Rwは水素である]によって表される触媒の存在下にて反応させて、Z型の立体配置80%超で式(A)の大環状ムスクを得る。
【0121】
一実施形態では、本発明は、式(A)の大環状ムスクを合成する方法であって、式(E)のジエン[式中、Reは、H、メチル、エチル、又はプロピルであり、qは、1、2、3、又は4であり、pは、4、5、6、又は7である]の閉環メタセシス反応を、メタセシス生成物を形成するのに十分な条件下、少なくとも1つのメタセシス触媒の存在下で行うこと、を含み、少なくとも1つのメタセシス触媒が、式(5)の構造によって表され、触媒は、C591、C731、C625、C763、C663、C641、C647m、C747、C647、C676、C773、C673、C651、及びC831mから選択される、方法を提供する。
【0122】
一実施形態では、本発明は、式(A)の大環状ムスクを合成する方法であって、式(E)のジエン[式中、Reは、H、メチル、エチル、又はプロピルであり、qは、1、2、3、又は4であり、pは、4、5、6、又は7である]での閉環メタセシス反応を、メタセシス生成物を形成するのに十分な条件下、少なくとも1つのメタセシス触媒の存在下で行うこと、を含み、少なくとも1つのメタセシス触媒が、式(8)の構造によって表され、触媒は、C885ss、C785ss、C738ss、C869ss、及びC725ssから選択される、方法を提供する。
【0123】
一実施形態では、本発明は、式(B)の大環状ムスクを合成する方法であって、式(E)のジエン[式中、Reは、H、メチル、エチル、又はプロピルであり、rは、1、2、3、又は4であり、vは、4、5、6、又は7である]の閉環メタセシス反応を、メタセシス生成物を形成するのに十分な条件下、少なくとも1つのメタセシス触媒の存在下で行うこと、を含み、少なくとも1つのメタセシス触媒が、式(12)の構造によって表され、触媒は、C801TU、C701TU、C885TU、C881TU、C799TU、C951TU、及びC799TUから選択される、方法を提供する。
【0124】
一実施形態では、本発明は、両方とも香料に使用されるエチレンブラシレート(x=9)及びエチレンウンデカンジオエート(x=7)などのジラクトンを合成する方法であって、出発物質が、本発明の少なくとも1つの金属オレフィンメタセシス触媒の存在下にて交差メタセシス反応から得ることができる、方法を提供する。オレフィンを、既知の手順を用いて更に還元し環化する。
【化57】
【0125】
一実施形態では、Z型オレフィン部分を有するジエン出発物質は、式(F)
【化58】
[式中、
R
fは、H、メチル、エチル、又はプロピルであり、
rは、1、2、3、又は4であり、
vは、4、5、6、又は7である]
によって表すことができる。
【0126】
一実施形態では、Z型オレフィン部分を有するジエン出発物質は、式(F)によって表すことができ、式中、Rfはメチルであり、rは2であり、vは、4又は6である。
【0127】
一実施形態では、Z型オレフィン部分を有するジエン出発物質は、式(F)によって表すことができ、式中、Rfはエチルであり、rは、1、2、3、又は4であり、vは、6又は7である。
【0128】
一実施形態では、Z型オレフィン部分を有するジエン出発物質は、式(F)によって表すことができ、式中、Rfはエチルであり、rは、1又は2であり、vは6である。
【0129】
一実施形態では、Z型オレフィン部分を有するジエン出発物質は、式(F)によって表すことができ、式中、Rfはエチルであり、rは、1、2、3、又は4であり、vは7である。
【0130】
一実施形態では、Z型オレフィン部分を有するジエン出発物質は、式(F)によって表すことができ、式中、Rfはエチルであり、rは1であり、vは6である。
【0131】
一実施形態では、本発明は、式(B)の大環状ムスクを合成する方法であって、式(F)のジエン[式中、Rfは、H、メチル、エチル、又はプロピルであり、rは、1、2、3、又は4であり、vは、4、5、6、又は7である]の閉環メタセシス反応を、メタセシス生成物を形成するのに十分な条件下、少なくとも1つのメタセシス触媒の存在下で行うこと、を含み、少なくとも1つのメタセシス触媒が、式(5)の構造によって表され、触媒は、C591、C731、C625、C763、C663、C641、C647m、C747、C647、C676、C773、C673、C651、及びC831mから選択される、方法を提供する。
【0132】
一実施形態では、本発明は、式(B)の大環状ムスクを合成する方法であって、式(F)のジエン[式中、Rfは、H、メチル、エチル、又はプロピルであり、rは、1、2、3、又は4であり、vは、4、5、6、又は7である]の閉環メタセシス反応を、メタセシス生成物を形成するのに十分な条件下、少なくとも1つのメタセシス触媒の存在下で行うこと、を含み、少なくとも1つのメタセシス触媒が、式(8)の構造によって表され、触媒は、C885ss、C785ss、C738ss、C869ss、及びC725ssから選択される、方法を提供する。
【0133】
一実施形態では、本発明は、式(K)
【化59】
によって表される大環状ムスクを合成する方法であって、
方法が、
a)式(J)
【化60】
の構造によって表されるメタセシス生成物を形成するのに十分な条件下、式(4)、式(5)、式(6)、又は式(7)のうちの少なくとも1つのオレフィンメタセシス触媒の存在下で、
式(G)
【化61】
によって表されるオレフィンを、
式(H)
【化62】
によって表される少なくとも1つのメタセシス反応のパートナーと
接触させること、を含み、
式中、R
1mは、H又はメチルであり、OR
2mは、保護されたヒドロキシル基であり、アルキルエーテル基、エステル基、シリルエーテル基、又はカルボネート基から選択されてもよく、R
3mは、分岐鎖又は直鎖のC
1~C
5アルキルであり、xは、2、3、4、又は5であり、yは、5、6、7、又は8である、方法を提供する。
【0134】
一実施形態では、本発明は、式(K)
【化63】
によって表される大環状ムスクを合成する方法であって、
方法が、
a)式(J)
【化64】
の構造によって表されるメタセシス生成物を形成するのに十分な条件下、式(8)、式(8A)、式(9)、式(10)、式(10A)、式(11)、式(12)、式(12A)、又は式(13)のうちの少なくとも1つのオレフィンメタセシス触媒の存在下で、
式(G)
【化65】
によって表されるオレフィンを、
式(H)
【化66】
によって表される少なくとも1つのメタセシス反応のパートナーと
接触させること、を含み、
式中、R
1mは、H又はメチルであり、OR
2mは、保護されたヒドロキシル基であり、アルキルエーテル基、エステル基、シリルエーテル基、又はカルボネート基から選択されてもよく、R
3mは、分岐鎖又は直鎖のC
1~C
5アルキルであり、xは、2、3、4、又は5であり、yは、5、6、7、又は8である、方法を提供する。
【0135】
本発明の一実施形態では、第1及び第2のオレフィンの一方又は両方が、末端二重結合を有するオレフィンであってもよい。
【0136】
本発明の一実施形態では、第1又は第2のオレフィンのうちの一方は、式(G)によって表すことができ、式中、R1mは、H又はメチルであり、OR2mは、保護されたヒドロキシル基であり、アルキルエーテル基、エステル基、シリルエーテル基、又はカルボネート基から選択されてもよく、xは、2、3、4、又は5である。
【0137】
本発明の一実施形態では、第1又は第2のオレフィンのうちの一方は、式(H)によって表すことができ、式中、R3mは、分岐鎖又は直鎖のC1~C5アルキルであり、yは、5、6、7、又は8である。
【0138】
本発明の一実施形態では、少なくとも1つのルテニウムオレフィンメタセシス触媒の存在下にて、式(G)の第1のオレフィンと式(H)の第2のオレフィンとの間の交差メタセシス反応中に形成される中間体は、式(J)によって表すことができ、式中、R
1mは、H又はメチルであり、OR
2mは、保護されたヒドロキシル基であり、アルキルエーテル基、エステル基、シリルエーテル基、及びカルボネート基から選択されてもよく、R
3mは、分岐鎖又は直鎖のC
1~C
5アルキルであり、xは、2、3、4、又は5であり、R
3mは、分岐鎖又は直鎖のC
1~C
5アルキルであり、yは、5、6、7、又は8である。
【化67】
【表10】
【0139】
式(J)の中間体は、式(1)、式(2)、式(3)、式(4)、式(5)、式(6)、式(7)、式(8)、式(8A)、式(9)、式(10)、式(10A)、式(11)、式(12)、式(12A)、又は式(13)によって表されるルテニウムメタセシス触媒のいずれかの存在下にて、形成することができる。ルテニウム触媒は、本明細書で定義された、表された、又は例示された構造のいずれかから選択されてもよい。
【0140】
大環状生成物
一般的な大環状ムスク化合物としては、アンブレットリド(9-アンブレットリド及び7-アンブレットリド)、ニルバノリド、ハバノリド、コスモン、ムセノン、ベルビオン、シベトン、及びクローバノンが挙げられる。
【0141】
例えば、7-アンブレットリドを形成するために使用することができる第1及び第2のオレフィン化合物は、10-(tert-ブトキシ)デカ-1-エン及びメチルオクタ-7-エノエート、又はデカ-9-エン-1-イルアセテート及びメチルオクタ-7-エノエートから選択されてもよい。ハバノリドを形成するために使用することができる第1及び第2のオレフィン化合物は、トリメチル(ペンタ-4-エン-1-イルオキシ)シラン及びエチルドデカ-11-エノエートから選択されてもよい。ニルバノリドを形成するために使用することができる第1及び第2のオレフィン化合物は、4-メチル-6-(tert-ブトキシ)へキサ-1-エン及びメチル9-デセノアート、又は4-メチル-6-(tert-ブトキシ)へキサ-1-エン及びエチル-9-デセノエート、又は3-メチルヘキサ-5-エン-1-イルプロピオネート及びメチル9-デセノエートから選択されてもよい。
【0142】
したがって、本発明の方法は、ヘテロダイマーを最初にメタセシスによって形成し、次いでマクロ環化工程によって閉環させるものであり、大環状ムスク化合物を形成するためにRCMよりもかなり単純で安価なプロセスが示され、経済的な方法で工業規模に拡張可能である。
【0143】
上記のように、本発明の方法を介して得られるさまざまな大環状誘導体を、香り及び風味の産業に使用することができる。大環状誘導体としては、例えば、表(11)に列挙される化合物が挙げられる。
【表11-1】
【表11-2】
【実施例】
【0144】
実験項
一般情報-材料及び方法
本開示の主題に従って提示される例示的な実施形態は、特許請求の範囲及び以下の実施形態を包含するが、これらに限定されない。
【0145】
別段の指定がない限り、全ての操作を、N2を充填したVacuum Atmospheres Glovebox内で、空気の存在しない条件下で行った。一般的な溶媒を、溶媒精製カラムを通過させることによって精製した。市販の基質を、受領したまま使用した。全ての溶媒及び基質をArでスパージした後、グローブボックスに入れ、使用前に中性アルミナ(Brockmann I)で濾過した。以下の実施例で使用されるオレフィンメタセシス触媒を、国際出願第PCT/US2017/046283号及び同第PCT/US2018/027098号に記載の手順に従って合成した。
【0146】
カイネティックNMR実験を、AutoXプローブを使用してVarian600MHzスペクトル計で行った。スペクトルを、MestReNovaソフトウェアバージョン8.1.2を使用して解析した。1H及び13C NMR同定データを、Bruker400で、Prodigy広帯域クライオプローブを使用して取得し、残留する元の溶媒を参照した。
【0147】
金属錯体による全ての反応を、オーブン乾燥したガラス器具内にて、アルゴン雰囲気下又は窒素雰囲気下で、標準的なシュレンク技術を用いて行った。化学物質及び溶媒を、Sigma-Aldrich、Strem、Alfa Aesar、Nexeo、Brenntag、AG Layne、及びTCIから入手した。市販の試薬を、特に明記されない限り、受領したまま使用した。シリカゲルを、Fisherから購入した(0.040-0.063μm、EMD Millipore)。
【0148】
実施例では、以下の省略語を使用する。
mL ミリリットル
L リットル
℃ 摂氏温度
CD2Cl2 重水素化ジクロロメタン
CDCl3 重水素化クロロホルム
C6D6 重水素化ベンゼン
Ar アルゴン
HCl 塩酸
KHMDS カリウムビス(トリメチルシリル)アミド
r.t. 室温
THF テトラヒドロフラン
NaHCO3 重炭酸ナトリウム
Et2O ジエチルエーテル
HCl 塩酸
MgSO4 硫酸マグネシウム
DCM ジクロロメタン
【0149】
実施例1.
C738ssの合成
【化68】
磁気撹拌棒を備えた20mLシンチレーションバイアルに、C747(0.200g、0.268mmol)、ジクロロメタン(5mL)、及び3-ヘキセン(0.066mL、0.536mmol)を添加した。反応物を30分間撹拌し、次いで(3,6-ジクロロベンゼン-1,2-ジチオラト)(エチレンジアミン)亜鉛(II)(0.099g、0.295mmol)を添加し、THF(5mL)を添加し、反応物を更に30分間撹拌した後、全ての揮発性物質を減圧下で除去した。得られた残留物をジクロロメタン(5mL)で抽出し、シリンジフィルタを通過させ、次いでジエチルエーテル(30mL)とゆっくりと合わせ、褐色微結晶質固体を得た。固体を濾過によって単離し、ジエチルエーテル(1×10mL)で洗浄し、続いてヘキサン(1×10mL)で洗浄し、次いで、減圧下で乾燥させ、C738ss(0.132g、収率66.9%)を得た。
1HNMR(400MHz、CD
2Cl
2)δ14.77(dd、J=7.1、3.6Hz、1H)、7.06(d、J=8.2Hz、1H)、7.05(brs、1H)、7.03(brs、1H)、6.96(d、J=8.2Hz、1H)、6.92(brs、1H)、6.83(brs、1H)、4.05~3.90(m、6H)、2.85(s、3H)、2.76(s、3H)、2.58(s、3H)、2.53(s、3H)、2.28(brs、6H)、2.24(s、3H)、2.08(s、3H)、0.35(t、J=7.5Hz、3H)。
【0150】
実施例2.
(Z)-4-ヘキセン-7-オクテノエートの合成
【化69】
撹拌棒を入れた100mL丸底フラスコに、50mLのジクロロメタン、7-オクテン酸(1.54mL、10.0mmol)、及びピリジン(80.7μL、1.00mmol)を添加した。オキサリルクロリド(1.00mL、11.8mmol)を滴下し、反応物を終夜撹拌した。次いで、溶媒を真空引きにより除去した。20mLのジクロロメタン及びピリジン(0.81mL、10.0mmol)を添加し、後からシス-4-ヘキセノール(1.09mL、9.3mmol)を0℃で滴下した。反応物を室温にした後、更に4時間撹拌した。反応混合物を、1M塩酸水溶液(200mL)及び飽和NaHCO
3水溶液(200mL)で抽出した。有機層を無水MgSO
4で乾燥させ、濾過し、溶媒を真空引きにより除去した。生成物をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィ(5:95のEt
2O:ペンタン)によって精製し、無色油状物(1.58g、収率76%)を得た。
1H NMR及び
13C NMRのデータは、文献にて見られるデータと一致した。
【0151】
実施例3.
(Z)-3-ヘキセニル9-デセノエートの合成
【化70】
撹拌棒を入れた100mL丸底フラスコに、50mLのジクロロメタン、9-デセン酸(1.85mL、10.0mmol)、及びピリジン(80.7μL、1.00mmol)を添加した。オキサリルクロリド(1.00mL、11.8mmol)を滴下し、反応物を終夜撹拌した。次いで、溶媒を真空引きにより除去した。20mLのジクロロメタン及びピリジン(0.81mL、10.0mmol)を添加し、後からシス-3-ヘキセノール(1.10mL、9.3mmol)を0℃で滴下した。反応物を室温にした後、更に4時間撹拌した。反応混合物を、1M塩酸水溶液(200mL)及び飽和NaHCO
3水溶液(200mL)で抽出した。有機層を無水MgSO
4で乾燥させ、濾過し、溶媒を真空引きにより除去した。生成物をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィ(5:95のEt
2O:ペンタン)によって精製し、無色油状物(2.02g、収率86%)を得た。
1H NMR及び
13C NMRのデータは、文献にて見られるデータと一致した。
【0152】
実施例4.
(Z)-3-ヘキセニル10-ウンデセノエートの合成
【化71】
撹拌棒を入れた100mL丸底フラスコに、20mLのジクロロメタン、ウンデセノイルクロリド(2.37mL、11.0mmol)、及びピリジン(0.89mL、11.0mmol)を添加した。次いで、シス-3-ヘキセノール(1.18mL、10.0mmol)を0℃で滴下した。反応混合物を室温にし、4時間撹拌した。反応混合物を、1M塩酸水溶液(200mL)及び飽和NaHCO
3水溶液(200mL)で抽出した。有機層を無水MgSO
4で乾燥させ、濾過し、溶媒を真空引きにより除去した。生成物をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィ(5:95のEt
2O:ペンタン)によって精製し、無色油状物(2.53g、収率95%)を得た。
1H NMR及び
13C NMRのデータは、文献にて見られるデータと一致した。
【0153】
実施例5.
(Z)-4-ヘキセニル9-デセノエートの合成
【化72】
撹拌棒を入れた100mL丸底フラスコに、50mLのジクロロメタン、9-デセン酸(1.85mL、10.0mmol)、及びピリジン(80.7μL、1.00mmol)を添加した。オキサリルクロリド(1.00mL、11.8mmol)を滴下し、反応物を終夜撹拌した。次いで、溶媒を真空引きにより除去した。20mLのジクロロメタン及びピリジン(0.81mL、10.0mmol)を添加し、後からシス-4-ヘキセノール(1.09mL、9.3mmol)を0℃で滴下した。反応物を室温にした後、更に4時間撹拌した。反応混合物を、1M塩酸水溶液(200mL)及び飽和NaHCO
3水溶液(200mL)で抽出した。有機層を無水MgSO
4で乾燥させ、濾過し、溶媒を真空引きにより除去した。生成物をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィ(5:95のEt
2O:ペンタン)によって精製し、無色油状物(2.05g、収率87%)を得た。
1H NMR及び
13C NMRのデータは、文献にて見られるデータと一致した。
【0154】
実施例6.
(Z)-4-ヘキセニル10-ウンデセノエートの合成
【化73】
撹拌棒を入れた100mL丸底フラスコに、20mLのジクロロメタン、ウンデセノイルクロリド(2.37mL、11.0mmol)、及びピリジン(0.89mL、11.0mmol)を添加した。次いで、シス-4-ヘキセノール(1.17mL、10.0mmol)を0℃で滴下した。反応混合物を室温にし、4時間撹拌した。反応混合物を、1M塩酸水溶液(200mL)及び飽和NaHCO
3水溶液(200mL)で抽出した。有機層を無水MgSO
4で乾燥させ、濾過し、溶媒を真空引きにより除去した。生成物をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィ(5:95のEt
2O:ペンタン)によって精製し、無色油状物(2.45g、収率92%)を得た。
1H NMR及び
13C NMRのデータは、文献にて見られたデータと一致した。
【0155】
実施例7.
(Z)-5-オクテニル10-ウンデセノエートの合成
【化74】
撹拌棒を入れた100mL丸底フラスコに、20mLのジクロロメタン、ウンデセノイルクロリド(2.37mL、11.0mmol)、及びピリジン(0.89mL、11.0mmol)を添加した。次いで、シス-5-オクテノール(1.51mL、10.0mmol)を0℃で滴下した。反応混合物を室温にし、4時間撹拌した。反応混合物を、1M塩酸水溶液(200mL)及び飽和NaHCO
3水溶液(200mL)で抽出した。有機層を無水MgSO
4で乾燥させ、濾過し、溶媒を真空引きにより除去した。生成物をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィ(5:95のEt
2O:ペンタン)によって精製し、無色油状物(2.82g、収率96%)を得た。
1H NMR及び
13C NMRのデータは、文献にて見られるデータと一致した。
【0156】
実施例8.
(Z)-6-ノネニル10-ウンデセノエートの合成
【化75】
撹拌棒を入れた100mL丸底フラスコに、20mLのジクロロメタン、ウンデセノイルクロリド(2.37mL、11.0mmol)、及びピリジン(0.89mL、11.0mmol)を添加した。次いで、シス-6-ノネノール(1.67mL、10.0mmol)を0℃で滴下した。反応混合物を室温にし、4時間撹拌した。反応混合物を、1M塩酸水溶液(200mL)及び飽和NaHCO
3水溶液(200mL)で抽出した。有機層を無水MgSO
4で乾燥させ、濾過し、溶媒を真空引きにより除去した。生成物をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィ(5:95のEt
2O:ペンタン)によって精製し、無色油状物(2.74g、収率89%)を得た。
1H NMR及び
13C NMRのデータは、文献にて見られるデータと一致した。
【0157】
実施例9.
(Z)-オキサシクロドデカ-8-エン-2-オンの合成
【化76】
撹拌棒を備えた150mLのシュレンク管に、30.3mLのDCM中の(Z)-4-ヘキセニル-7-オクテノエート(21.0mg、0.0938mmol)、及び1mLのDCM中のC785ss(4.4mg、0.00563mmol)の溶液を添加する。管を密封し、グローブボックスから取り出す。1回の凍結、ポンプ、解凍サイクルの後、反応フラスコを40℃で1時間加熱し、次いで、1mLのブチルビニルエーテルでクエンチする。溶媒を真空引きにより除去し、生成物をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィ(1:49のEt
2O:ペンタン)によって精製し、無色油状物(12.0mg、収率70%)を得る。
1H NMR及び
13C NMRのデータは、文献にて見られるデータと一致した。
【0158】
実施例10.
(Z)-オキサシクロトリデカ-10-エン-2-オンの合成
【化77】
撹拌棒を備えた150mLのシュレンク管に、30.3mLのDCM中の(Z)-3-ヘキセニル9-デセノエート(23.7mg、0.0938mmol)、及び1mLのDCM中のC869ss(4.9mg、0.00563mmol)の溶液を添加する。管を密封し、グローブボックスから取り出す。1回の凍結、ポンプ、解凍サイクルの後、反応フラスコを40℃で1時間加熱し、次いで、1mLのブチルビニルエーテルでクエンチする。溶媒を真空引きにより除去し、生成物をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィ(1:49のEt
2O:ペンタン)によって精製し、無色油状物(12.5mg、収率68%)を得る。
1H NMR及び
13C NMRのデータは、文献にて見られるデータと一致した。
【0159】
実施例11.
(Z)-オキサシクロテトラデカ-11-エン-2-オンの合成
【化78】
撹拌棒を備えた150mLのシュレンク管に、30.3mLのDCM中の(Z)-3-ヘキセニル10-ウンデセノエート(25.0mg、0.0938mmol)、及び1mLのDCM中のC725ss(4.1mg、0.00563mmol)の溶液を添加する。管を密封し、グローブボックスから取り出す。1回の凍結、ポンプ、解凍サイクルの後、反応フラスコを40℃で1時間加熱し、次いで、1mLのブチルビニルエーテルでクエンチする。溶媒を真空引きにより除去し、生成物をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィ(1:49のEt
2O:ペンタン)によって精製し、無色油状物(13.2mg、収率67%)を得る。
1H NMR及び
13C NMRのデータは、文献にて見られるデータと一致した。
【0160】
実施例12.
(Z)-オキサシクロテトラデカ-10-エン-2-オンの合成
【化79】
撹拌棒を備えた150mLのシュレンク管に、30.3mLのDCM中の(Z)-4-ヘキセニル9-デセノエート(23.7mg、0.0938mmol)の溶液、及び1mLのDCM中のC738ss(4.2mg、0.00563mmol)の溶液を添加する。管を密封し、グローブボックスから取り出す。1回の凍結、ポンプ、解凍サイクルの後、反応フラスコを40℃で1時間加熱し、次いで、1mLのブチルビニルエーテルでクエンチする。溶媒を真空引きにより除去し、生成物をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィ(1:49のEt
2O:ペンタン)によって精製し、無色油状物(14.2mg、収率72%)を得る。
1H NMR及び
13C NMRのデータは、文献にて見られるデータと一致した。
【0161】
実施例13.
(Z)-オキサシクロペンタデカ-11-エン-2-オンの合成
【化80】
撹拌棒を備えた150mLのシュレンク管に、30.3mLのDCM中の(Z)-4-ヘキセニル10-ウンデセノエート(25.0mg、0.0938mmol)の溶液、及び1mLのDCM中のC785ss(4.4mg、0.00563mmol)の溶液を添加する。管を密封し、グローブボックスから取り出す。1回の凍結、ポンプ、解凍サイクルの後、反応フラスコを40℃で1時間加熱し、次いで、1mLのブチルビニルエーテルでクエンチする。溶媒を真空引きにより除去し、生成物をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィ(1:49のEt
2O:ペンタン)によって精製し、無色油状物(15.6mg、収率70%)を得る。
1H NMR及び
13C NMRのデータは、文献にて見られるデータと一致した。
【0162】
実施例14.
(Z)-オキサシクロヘキサデカ-11-エン-2-オンの合成
【化81】
撹拌棒を備えた150mLのシュレンク管に、30.3mLのDCM中の(Z)-5-オクテニル10-ウンデセノエート(27.6mg、0.0938mmol)の溶液、及び1mLのDCM中のC869ss(4.9mg、0.00563mmol)の溶液を添加する。管を密封し、グローブボックスから取り出す。1回の凍結、ポンプ、解凍サイクルの後、反応フラスコを40℃で1時間加熱し、次いで、1mLのブチルビニルエーテルでクエンチする。溶媒を真空引きにより除去し、生成物をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィ(1:49のEt
2O:ペンタン)によって精製し、無色油状物(17.7mg、収率79%)を得る。
1H NMR及び
13C NMRのデータは、文献にて見られるデータと一致した。
【0163】
実施例15.
(Z)-オキサシクロヘプタデカ-11-エン-2-オンの合成
【化82】
撹拌棒を備えた150mLのシュレンク管に、30.3mLのDCM中の(Z)-6-ノネニル10-ウンデセノエート(28.9mg、0.0938mmol)の溶液、及び1mLのDCM中のC725ss(4.1mg、0.00563mmol)の溶液を添加する。管を密封し、グローブボックスから取り出す。1回の凍結、ポンプ、解凍サイクルの後、反応フラスコを40℃で1時間加熱し、次いで、1mLのブチルビニルエーテルでクエンチする。溶媒を真空引きにより除去し、生成物をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィ(1:49のEt
2O:ペンタン)によって精製し、無色油状物(17.8mg、収率75%)を得る。
1H NMR及び
13C NMRのデータは、文献にて見られるデータと一致した。
【0164】
選択性を求めるために、GC及び13C NMR分析により比較するべく、C647mを比較用の参照として使用して、ラクトンのZ/E混合物を合成した。本明細書で合成した大環状ラクトンは、95/5~99/1のZ/E比で得られる。
【0165】
実施例16.
(E/Z)-オキサシクロテトラデカ-10-エン-2-オンの合成
【化83】
撹拌棒を備えた150mLのシュレンク管に、30.3mLのDCM中の(Z)-4-ヘキセニル9-デセノエート(23.7mg、0.0938mmol)の溶液、及び1mLのDCM中のC647m(4.6mg、0.00563mmol)の溶液を添加する。管を密封し、グローブボックスから取り出す。1回の凍結、ポンプ、解凍サイクルの後、反応フラスコを40℃で4時間加熱し、次いで、1mLのブチルビニルエーテルでクエンチする。溶媒を真空引きにより除去し、生成物をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィ(1:49のEt
2O:ペンタン)によって精製し、無色油状物(13.0mg、収率67%)を得る。
1H NMR及び
13C NMRのデータは、文献にて見られるデータと一致した。
【0166】
実施例17.
(E/Z)-オキサシクロペンタデカ-11-エン-2-オンの合成
【化84】
撹拌棒を備えた150mLのシュレンク管に、30.3mLのDCM中の(Z)-4-ヘキセニル10-ウンデセノエート(25.0mg、0.0938mmol)の溶液、及び1mLのDCM中のC647m(3.6mg、0.00563mmol)の溶液を添加する。管を密封し、グローブボックスから取り出す。1回の凍結、ポンプ、解凍サイクルの後、反応フラスコを40℃で4時間加熱し、次いで、1mLのブチルビニルエーテルでクエンチする。溶媒を真空引きにより除去し、生成物をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィ(1:49のEt
2O:ペンタン)によって精製し、無色油状物(11.7mg、収率52%)を得る。
1H NMR及び
13C NMRのデータは、文献にて見られるデータと一致した。
【0167】
実施例18.
(E/Z)-オキサシクロヘキサデカ-11-エン-2-オンの合成
【化85】
撹拌棒を備えた150mLのシュレンク管に、30.3mLのDCM中の(Z)-5-オクテニル10-ウンデセノエート(27.6mg、0.0938mmol)の溶液、及び1mLのDCM中のC647m(3.6mg、0.00563mmol)の溶液を添加する。管を密封し、グローブボックスから取り出す。1回の凍結、ポンプ、解凍サイクルの後、反応フラスコを40℃で4時間加熱し、次いで、1mLのブチルビニルエーテルでクエンチする。溶媒を真空引きにより除去し、生成物をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィ(1:49のEt
2O:ペンタン)によって精製し、無色油状物(16.8mg、収率75%)を得る。
1H NMR及び
13C NMRのデータは、文献にて見られるデータと一致した。
【0168】
実施例19.
(E/Z)-オキサシクロヘプタデカ-11-エン-2-オンの合成
【化86】
撹拌棒を備えた150mLのシュレンク管に、30.3mLのDCM中の(Z)-6-ノネニル10-ウンデセノエート(28.9mg、0.0938mmol)の溶液、及び1mLのDCM中のC647m(3.6mg、0.00563mmol)の溶液を添加する。管を密封し、グローブボックスから取り出す。1回の凍結、ポンプ、解凍サイクルの後、反応フラスコを40℃で4時間加熱し、次いで、1mLのブチルビニルエーテルでクエンチする。溶媒を真空引きにより除去し、生成物をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィ(1:49のEt
2O:ペンタン)によって精製し、無色油状物(16.4mg、収率69%)を得る。
1H NMR及び
13C NMRのデータは、文献にて見られるデータと一致した。