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特許7343549マイクロRNA組成物並びにその作製及び使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-04
(45)【発行日】2023-09-12
(54)【発明の名称】マイクロRNA組成物並びにその作製及び使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/7105 20060101AFI20230905BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20230905BHJP
   A61K 47/42 20170101ALI20230905BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20230905BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20230905BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230905BHJP
【FI】
A61K31/7105 ZNA
A61K48/00
A61K47/42
A61K47/26
A61K47/18
A61P43/00
【請求項の数】 11
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021092044
(22)【出願日】2021-06-01
(62)【分割の表示】P 2018556440の分割
【原出願日】2017-04-28
(65)【公開番号】P2021169449
(43)【公開日】2021-10-28
【審査請求日】2021-06-01
(31)【優先権主張番号】62/329,486
(32)【優先日】2016-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/482,465
(32)【優先日】2017-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516181907
【氏名又は名称】アドヴァンスド リジェン メディカル テクノロジーズ,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】グレコ,スティーブン ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ラメシュワール,プラネラ
【審査官】石井 裕美子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/182781(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/190542(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-31/80
A61K 48/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
UniProt/GeneSeq
SwissProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加齢性障害の治療において用いる、1、又は3個の単離されたマイクロRNAを含み、前記加齢性障害の治療は、CD34+細胞のクローン形成能を高め、かつ、修復された幹細胞を調製するために用いられる、組成物であって、ここで、前記1、又は3個の単離されたマイクロRNAは、
miR-1303(配列番号7)単独、miR-619-5p(配列番号8)単独、又は、miR-4497(配列番号6)、miR-619-5p(配列番号8)及びmiR-7851-3p(配列番号10)との組み合わせであり、ここで、前記miR-4497(配列番号6)、前記miR-1303(配列番号7)、前記miR-619-5p(配列番号8)及び前記miR-7851-3p(配列番号10)には、各々の配列と少なくとも98%又は99%の配列同一性があり、及びCD34+細胞のクローン形成能を高める機能がある機能変異体が含まれる、
組成物。
【請求項2】
前記組成物は、さらにベヒクルを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ベヒクルは、ナノ粒子、ミセル、リポソーム、ニオソーム、微粒子、シクロデキストリン又はその組み合わせを含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
修復された幹細胞を含む組成物を調製する方法であって、以下の:
(i)修復された幹細胞を生成するために、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物に含まれるmiR-1303(配列番号7)単独、miR-619-5p(配列番号8)単独、又は、miR-4497(配列番号6)、miR-619-5p(配列番号8)及びmiR-7851-3p(配列番号10)との組み合わせであり、ここで、前記miR-4497(配列番号6)、前記miR-1303(配列番号7)、前記miR-619-5p(配列番号8)及び前記miR-7851-3p(配列番号10)には、各々の配列と少なくとも98%又は99%の配列同一性があり、及びCD34+細胞のクローン形成能を高める機能がある機能変異体が含まれる、1、2、又は3の単離されたマイクロRNAの発現に対する核酸配列を有する少なくとも1つのベクター構築物を成体幹細胞の試料に導入するステップ;及び、
(ii)前記修復された幹細胞を回収するステップ;
を含む方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つのベクター構築物は、前記3単離されたマイクロRNAの発現に対する核酸配列の各々に作動可能に連結されるプロモーター配列を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記修復された幹細胞は、前記3単離されたマイクロRNAを構成的に発現する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記修復された幹細胞は、前記3単離されたマイクロRNAを誘導的に発現する、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
加齢性障害の治療で用いるための、成体幹細胞を含む医薬製剤であって、前記成体幹細胞は、(i)請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物に含まれるmiR-1303(配列番号7)単独、miR-619-5p(配列番号8)単独、又は、miR-4497(配列番号6)、miR-619-5p(配列番号8)及びmiR-7851-3p(配列番号10)との組み合わせであり、ここで、前記miR-4497(配列番号6)、前記miR-1303(配列番号7)、前記miR-619-5p(配列番号8)及び前記miR-7851-3p(配列番号10)には、各々の配列と少なくとも98%又は99%の配列同一性があり、及びCD34+細胞のクローン形成能を高める機能がある機能変異体が含まれる、1、又は3の単離されたマイクロRNAの発現に対するオリゴヌクレオチドに作動可能に連結されるプロモーター要素を有する少なくとも1つのプラスミド、並びに、(ii)増殖因子、サイトカイン、ホルモン、及びその組み合わせを含む群から選択される少なくとも1つの活性剤を含み、かつ、前記加齢性障害の治療は、CD34+細胞のクローン形成能を高めることである、医薬製剤。
【請求項9】
加齢性障害の治療で用いるための、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物を含む、医薬製剤であって、前記組成物は、miR-1303(配列番号7)単独、miR-619-5p(配列番号8)単独、又は、miR-4497(配列番号6)、miR-619-5p(配列番号8)及びmiR-7851-3p(配列番号10)との組み合わせ、を含み、かつ、前記加齢性障害の治療は、CD34+細胞のクローン形成能を高めることである、医薬製剤。
【請求項10】
さらに、キャリア、賦形剤、安定剤、抗酸化剤、ポリペプチド、タンパク質、親水性ポリマー、アミノ酸、炭水化物、キレート剤、糖アルコール塩形成対イオン、非イオン性界面活性剤、又は、それらの組み合わせを含む、請求項9に記載の医薬製剤。
【請求項11】
請求項8に記載の医薬製剤を含む、加齢性障害の治療で用いるための、キットであって、前記加齢性障害の治療は、CD34+細胞のクローン形成能の増加を含む、キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、細胞機能の1又は複数の態様の改善及び/又は修復のための組成物及び方法論に関する。より具体的には、本開示は、マイクロRNAの予防的及び/又は治療的利用に関する。
【背景技術】
【0002】
老化は、ほとんどの慢性疾患に対して重要な危険因子であり、先進国における罹患率及び医療費の大部分に対する主要な因子である。細胞老化に付随した細胞機能の低下は、哺乳動物細胞の老化に典型的に付随した疾患及び機能障害をもたらす。細胞老化の強力な誘導因子は、直接的なDNA損傷、機能障害性のテロメア、破壊されたクロマチン又は強い分裂促進信号から生じうる(エピ)ゲノムストレスである。加えて、細胞老化は、細胞老化関連分泌因子によって少なくとも部分的に媒介される慢性炎症を引き起こしうる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
細胞老化に付随した1又は複数の機構により悪影響を受けた細胞機能を改善する組成物及び方法がたえず必要である。さらに、対象の細胞の健康を改善する組成物及び方法がたえず必要である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
単離されたマイクロRNAを含む組成物を対象に投与する工程を含む方法であって、単離されたマイクロRNAは、miR-19a-3p(配列番号1);miR-103a-3p(配列番号2);miR-106b-5p(配列番号3);miR-146a-5p(配列番号4);miR-223-5p(配列番号5);miR-4497(配列番号6);miR-1303(配列番号7);miR-619-5p(配列番号8);miR-1273f(配列番号9);miR-7851-3p(配列番号10);その機能的バリアント;及び、その組み合わせ;を含む群から選択された配列を有する、方法が本明細書で開示される。
【0005】
修復幹細胞(a restored stem cell)を調製する方法であって、i)成体幹細胞を含む試料を得る工程;ii)修復幹細胞を生成するために、単離されたマイクロRNAの存在下で試料を培養する工程であり、単離されたマイクロRNAは、miR-19a-3p(配列番号1);miR-103a-3p(配列番号2);miR-106b-5p(配列番号3);miR-146a-5p(配列番号4);miR-223-5p(配列番号5);miR-4497(配列番号6);miR-1303(配列番号7);miR-619-5p(配列番号8);miR-1273f(配列番号9);miR-7851-3p(配列番号10);その機能的バリアント;及び、その組み合わせ;を含む群から選択された配列を有する、工程;及び、iii)修復幹細胞を試料から回収する工程であり、修復幹細胞は、成体幹細胞に比較される場合に、C-abl発がん遺伝子-1非受容体チロシンキナーゼ;V-aktマウス胸腺腫ウイルス発がん遺伝子ホモログ1;アルデヒドデヒドロゲナーゼ1ファミリー、メンバーA3;血管拡張性失調症変異;BMI1ポリコームリングフィンガー発がん遺伝子;カルレティキュリン;サイクリンA2;サイクリンB1;サイクリンD1;サイクリンEl;CD44分子、細胞分裂周期25ホモログC;サイクリン依存性キナーゼ2;サイクリン依存性キナーゼ4;サイクリン依存性キナーゼ6;サイクリン依存性キナーゼ阻害因子1A;サイクリン依存性キナーゼ阻害因子1B;サイクリン依存性キナーゼ阻害因子1C;サイクリン依存性キナーゼ阻害因子2A;サイクリン依存性キナーゼ阻害因子2B;サイクリン依存性キナーゼ阻害因子2C;及び、サイクリン依存性キナーゼ阻害因子2D;を含む群から選択される1又は複数の遺伝子に対して約1.5倍を超える発現における変化によって特徴づけられる、工程;を含む方法もまた本明細書で開示される。
【0006】
修復幹細胞の組成物を調製する方法であって:(i)成体幹細胞を含む細胞試料を得る工程;(ii)修復幹細胞を生成するために、単離されたマイクロRNAの発現に対する核酸配列を有するベクター構築物を成体幹細胞に導入する工程であり、単離されたマイクロRNAは、miR-19a-3p(配列番号1);miR-103a-3p(配列番号2);miR-106b-5p(配列番号3);miR-146a-5p(配列番号4);miR-223-5p(配列番号5);miR-4497(配列番号6);miR-1303(配列番号7);miR-619-5p(配列番号8);miR-1273f(配列番号9);miR-7851-3p(配列番号10);その機能的バリアント;及び、その組み合わせ;を含む群から選択された配列を有する、工程;及び、(iii)修復幹細胞を回収する工程;を含む方法もまた本明細書で開示される。
【0007】
成体幹細胞を含む医薬製剤であって、成体幹細胞は、マイクロRNAの発現に対するオリゴヌクレオチドに作動可能に連結されるプロモーター要素を有するプラスミドを含み、マイクロRNAは、miR-19a-3p(配列番号1);miR-103a-3p(配列番号2);miR-106b-5p(配列番号3);miR-146a-5p(配列番号4);miR-223-5p(配列番号5);miR-4497(配列番号6);miR-1303(配列番号7);miR-619-5p(配列番号8);miR-1273f(配列番号9);miR-7851-3p(配列番号10);その機能的バリアント;及び、その組み合わせ;を含む群から選択された配列を有する、医薬製剤もまた本明細書で開示される。
【0008】
miR-19a-3p(配列番号1);miR-103a-3p(配列番号2);miR-106b-5p(配列番号3);miR-146a-5p(配列番号4);miR-223-5p(配列番号5);miR-4497(配列番号6);miR-1303(配列番号7);miR-619-5p(配列番号8);miR-1273f(配列番号9);miR-7851-3p(配列番号10);その機能的バリアント;及び、その組み合わせ;を含む群から選択された、単離されたマイクロRNAを含む医薬製剤もまた本明細書で開示される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】細胞試料の免疫表現型を決定する一態様を示す図である。
図2】トランズウェル共培養装置を示す図である。
図3】異なる幹細胞集団において発現したマイクロRNAの三次元エキソソームプロファイルの図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
対象において局所的又は全身的に、本明細書で記載されるマイクロRNAの量を増やす方法が本明細書で開示される。例えば、本開示の方法は、本明細書で開示されるの1又は複数のマイクロRNAを含む組成物を対象に投与する工程を含んでよい。他の態様では、本開示は、本明細書で開示されるマイクロRNAの増加した量を発現するように変えられた細胞を対象に導入する工程を含む方法を熟考する。本開示のさらに他の態様では、方法は、本明細書で開示されるのマイクロRNAの量が増加するように改変された微小胞(例えば、エキソソーム等)を対象に投与する工程を含む。一態様では、微小胞の膜の少なくとも一部が、細胞から直接得られる。或いは、微小胞は合成のものである。
【0011】
本開示のさらに他の態様では、方法は、本明細書で開示されるのマイクロRNAの誘導性発現又は構成的発現を提供するプラスミドベクターで形質転換された細胞を対象に投与する工程を含む。そのような方法は、治療的であってよく、対象が経験している1又は複数の有害な医学的状態の治療をもたらしうる。代替の態様では、そのような方法は本来、予防的であってよい。
【0012】
本開示がより容易に理解されるために、特定の用語がまずは以下に定義される。以下の用語及び他の用語に対するさらなる定義が、本明細書を通して明記されている。
【0013】
マイクロRNA:本明細書で用いられる場合、「マイクロRNA(miRNA)」という用語は、標的メッセンジャーRNA転写物(mRNA)の3′非翻訳領域(3′UTRs)における相補的配列に典型的には結合し、通常は遺伝子サイレンシングをもたらす転写後調節因子をいう。典型的には、miRNAは、例えば、21又は22ヌクレオチド長以下等、短いリボ核酸(RNA)分子である。「マイクロRNA」及び「miRNA」という用語は、交換可能に使用される。
【0014】
マイクロRNA模倣物:本明細書で用いられる場合、RNAi経路に入り、遺伝子発現調節能がある合成の非コードRNAをいう。本明細書で用いられる場合、「合成のマイクロRNA」は、内在性マイクロRNA以外のいかなるタイプのRNA配列をいう。マイクロRNA模倣物は、内在性マイクロRNAの機能を模倣し、(例えば、pri-マイクロRNA又はpre-マイクロRNA等の)成熟二本鎖分子又は模倣前駆体として設計しうる。マイクロRNA模倣物は、修飾又は非修飾のRNA、DNA、RNA-DNAハイブリッド又は代替の核酸化学物質で構成しうる。
【0015】
微小胞:本明細書で用いられる用語「微小胞」は、様々な細胞型に由来する細胞膜の断片を含む膜質粒子をいう。典型的には、微小胞の直径は、(例えば、約50nmから1500nm、約75nmから1500nm、約75nmから1250nm、約50nmから1250nm、約30nmから1000nm、約50nmから1000nm、約100nmから1000nm、約50nmから750nm等)約10nmから約5000nm(又は、粒子が回転楕円体ではない場合には最大寸法)である。本発明における使用に適した微小胞は、膜の反転(membrane inversion)、エキソサイトーシス、シェディング、小疱形成及び/又は出芽によって細胞から生じうる。生成の様式(例えば、膜の反転、エキソサイトーシス、シェディング又は出芽等)に応じて、本明細書において熟考される微小胞は、異なる表面/脂質の特徴を示しうる。微小胞に対する代替名には、エキソソーム、エクトソーム、膜粒子、エキソソーム様粒子、及びアポトーシス小胞が含まれるが、これらに限定されない。
【0016】
対象:本明細書で用いられる用語「対象」は、ヒト又はいかなる(例えば、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ウマ又は霊長類等の)非ヒト動物をいう。ヒトは、出生前及び出生後の形態を含む。多くの態様では、対象はヒトである。対象は、疾患の診断又は治療のために医療提供者に現れるヒトをいう患者でありうる。「対象」という用語は、本明細書では「個人」又は「患者」と交換可能に用いられる。対象は、疾患又は障害に罹患しているか又は罹患の可能性があるが、疾患又は障害の症状を示していてもいなくてよい。
【0017】
治療:本明細書で用いられる場合、患者によって示される又は患者がなりやすい恐れがある疾患、障害又は生理学的状態に応答して行われる臨床的介入である。治療の目的は、症状の軽減又は予防、疾患、障害又は状態の進行又は悪化の緩徐化又は停止、及び/又は、疾患、障害又は状態の寛解を含む。「治療」は、治療処置及び予防的又は防止的手段のうちの1つ又はその両方をいう。治療を必要としている者には、疾患又は障害又は望ましくない生理学的状態によって既に罹患している者、並びに、疾患又は障害又は望ましくない生理学的状態が予防されることになる者が含まれる。
【0018】
有効量:本明細書で用いられる場合、有益な又は望ましい生物学的及び/又は臨床的結果をもたらすのに十分な量をいう。
【0019】
発現ベクター:本明細書で用いられる場合、宿主細胞における特定の遺伝子の転写を可能にする一連の特定の核酸要素を有する、組換え又は合成で作製された核酸構築物である。典型的には、遺伝子発現は、構成的プロモーター又は誘導性プロモーター等の特定の調節要素の制御下に置かれる。
【0020】
作動可能に連結される:本明細書で用いられる場合、調節要素と遺伝子又はそのコード領域との接続を記載するために使用される。すなわち、遺伝子発現は典型的には、例えば、限定されないが、構成的又は誘導性プロモーター、組織特異的調節要素、及びエンハンサー等の特定の調節要素の制御下に置かれる。遺伝子又はコード領域は、調節要素と「作動可能に連結される」又は「作動的に連結される」又は「作動可能に結合される」と言われ、遺伝子又はコード領域が、調節要素によって制御又は影響されることを意味する。
【0021】
薬学的に許容される:本明細書で用いられる場合、利用される用量及び濃度で曝露されている細胞又は哺乳動物に無毒であるか、又は、熟練の実践者によって決定される許容レベルの毒性を有するキャリア、賦形剤又は安定剤をいう。生理学的に許容されるキャリアの非限定的な例は、水性pH緩衝溶液である。生理学的に許容されるキャリアは、以下の:アスコルビン酸等の抗酸化剤、低分子量(約10残基未満)のポリペプチド、血清アルブミン等のタンパク質、ゼラチン、免疫グロブリン、ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマー、アミノ酸、グルコース、マンノース又はデキストリン等の糖、EDTA等のキレート剤、マンニトール又はソルビトール等の糖アルコール、ナトリウム等の塩形成対イオン、並びに、Tween.TM.、ポリエチレングリコール(PEG)及びPluronics.TM等の非イオン性界面活性剤のうち1つ又は複数も含みうる。
【0022】
単離された:本明細書で用いられる場合、「単離された」という用語は、(1)(自然においてであろうと実験的設定においてであろうと)最初に生成されたときに結合していた成分の少なくとも一部から分離された、及び/又は、(2)人間の手によって作製、調製及び/又は製造された物質及び/又は実体をいう。単離された物質及び/又は実体は、最初に結合していた他の成分の少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、約98%、約99%、実質的に100%、又は、100%から分離されてよい。一部の態様では、単離された作用物質は、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、実質的に100%を超えるか、又は100%純である。本明細書で用いられる場合、物質は、他の成分を実質的に含まない場合「純」である。本明細書で用いられる場合、「単離された細胞」という用語は、多細胞生物に含まれない細胞をいう。
【0023】
一態様では、本開示において使用するための組成物は、miR-19a-3p(配列番号1);miR-103a-3p(配列番号2);miR-106b-5p(配列番号3);miR-146a-5p(配列番号4);miR-223-5p(配列番号5);miR-4497(配列番号6);miR-1303(配列番号7);miR-619-5p(配列番号8);miR-1273f(配列番号9);miR-7851-3p(配列番号10);その機能的バリアント;及び、その組み合わせ;を含む群から選択された1又は複数のマイクロRNAを含む。本明細書で用いられる場合、マイクロRNA配列の「機能的バリアント」という用語は、天然のマイクロRNA配列とは異なるが、マイクロRNAの1又は複数の機能的特徴(例えば、特定のマイクロRNA標的阻害等)を保持するオリゴヌクレオチド配列をいう。一部の態様では、マイクロRNA配列の機能的バリアントは、マイクロRNAの機能的特徴の全てを保持する。特定の態様では、マイクロRNAの機能的バリアントは、約5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100又はそれ以上の核酸塩基の領域にわたって、マイクロRNA又はその前駆体に少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸塩基配列を有するか、又は、機能的バリアントは、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、マイクロRNA又はその前駆体の補体にハイブリダイズする。従って、特定の態様では、機能的バリアントの核酸塩基配列は、マイクロRNAの1又は複数の標的配列にハイブリダイズする能力を有しうる。
【0024】
一部の態様では、本明細書において開示されるマイクロRNAの機能的バリアントは、配列番号1と少なくとも約65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性;或いは、配列番号2と少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性;或いは、配列番号3と少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性;或いは、配列番号4と少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性;或いは、配列番号5と少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性;或いは、配列番号6と少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性;或いは、配列番号7と少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性;或いは、配列番号8と少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性;或いは、配列番号9と少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性;又或いは、配列番号10と少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性;を含む。
【0025】
一部の態様では、本明細書において開示されるマイクロRNAの機能的バリアントは、配列番号1と65%から約99%の配列同一性;或いは、配列番号2と65%から約99%の配列同一性;或いは、配列番号3と65%から約99%の配列同一性;或いは、配列番号4と65%から約99%の配列同一性;或いは、配列番号5と65%から約99%の配列同一性;或いは、配列番号6と65%から約99%の配列同一性;或いは、配列番号7と65%から約99%の配列同一性;或いは、配列番号8と65%から約99%の配列同一性;或いは、配列番号9と65%から約99%の配列同一性;又或いは、配列番号10と65%から約99%の配列同一性;を含む。
【0026】
一態様では、本明細書において開示されるマイクロRNAのいずれも、利用されるときは、実質的に純な単離された分子である。本明細書において、実質的に純なとは、試料内の全材料の少なくとも10重量%、20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、60重量%、70重量%、75重量%、80重量%、85重量%、又は、90重量%、95重量%若しくは99重量%を超える場合のマイクロRNAをいう。従って、例えば、化学的に合成されるか、組換え技術によって作製されか、又は、既知の精製技術によって単離されたマイクロRNA分子は、一般に、その天然に関連する成分を実質的に含まない。従って、実質的に純なマイクロRNA分子は、例えば、天然源からの抽出によって;マイクロRNA分子をコードする組換え核酸分子の発現によって;又は、化学合成によって得ることができる。
【0027】
一態様では、本開示の第1の方法は、(i)対象から幹細胞を得る工程;及び、(ii)得られた幹細胞を、本明細書で開示されるのマイクロRNAと結合させて修復細胞を形成する工程;を含む。本開示の方法は、対象に修復細胞を導入する工程をさらに含んでよい。
【0028】
本開示の一態様では、幹細胞は、対象から得られる。一部の態様では、対象は、有害な医学的状態の発生に関連する1又は複数の危険因子を有するとして同定される。さらに他の態様では、対象は医学的状態と診断されておらず、及び/又は、医学的状態の発生に関連する1又は複数の危険因子を有するとして同定されていない。本明細書において開示される方法論は、さらなる治療が以前に利用されたか又は現在利用されている、医学的状態を有する対象の治療に利用しうると熟考される。一態様では、対象は、対象が本明細書で開示される組成物及び方法論を使用して治療されることになる、医学的状態に関連しない医学的状態に対する1又は複数の治療を受けてきたか又は現在受けていることがさらに熟考される。一態様では、対象は、1又は複数の加齢性の医学的状態を有する。
【0029】
本態様のうち一態様では、対象には、有効量の動員剤(mobilizer)が投与される。本明細書において、(交換可能に使用される)「動員剤」又は「造血幹細胞又は前駆細胞の動員剤」は、合成であろうとなかろうといかなる物質、小さい有機分子、天然由来の小さい有機分子、増殖因子若しくはコロニー刺激因子又はその活性断片若しくは模倣物等のポリペプチド、核酸、糖、抗体、又は、骨髄から末梢血内への幹細胞の移動を増強するように作用するいかなる他の作用物質もいう。そのような「動員剤」は、末梢血中の幹細胞(例えば、造血幹細胞又は造血前駆細胞/前駆体細胞等)の数を増加させることができ、従って、本明細書において開示される方法において使用するためのより利用できる幹細胞の供給源を可能にしている。収集されるように利用可能であり且つ本開示の他の態様と適合する対象における幹細胞の数を増加させるのに適したいかなる動員剤も利用しうる。一態様では、動員剤は、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)等のサイトカインである。本開示における使用に適した動員剤の市販の例は、Amgenから市販されている好中球減少症を治療するために使用される処方薬であるNEUPOGEN(登録商標)(フィルグラスチム)である。本開示における使用に適した動員剤の別の例は、AmgenからSTEMGEN(登録商標)として市販されている組換えメチオニルヒト幹細胞因子である。本開示における使用に適した動員剤のさらに別の例は、CXCR4ケモカイン受容体の阻害剤であり、その同族リガンドであるストロマ細胞由来因子-1α(SCF-1α)の結合を阻止するPLERIXAFORであり、GenzymeのMOZOBIL(登録商標)として市販されている。
【0030】
有効量の動員剤は、最良の医療行為と一致し、例えば限定されることなく、対象の一般的な健康及び体重を含む種々の要因を考慮に入れて、当業者によって決定されてよい。
【0031】
動員剤の投与に続き、さらに、適した時間が経過した後で;細胞試料を対象から収集しうる。対象への動員剤の投与と細胞試料の収集との間の時間は、1人又は複数のユーザ及び/又はプロセスの目標に合うように変動させることができる。一態様では、動員剤の投与と細胞試料の収集との間の時間は、約24時間から約10日間、或いは約48時間から約7日間、又或いは約3日間から約5日間に及びうる。
【0032】
当業者には既知のように、幹細胞は、脳、骨髄、末梢血、血管、骨格筋、皮膚、歯、心臓、腸、肝臓、卵巣上皮及び精巣を含む様々な器官及び組織において同定されてきた。幹細胞の供給源であることが知られる組織のいずれかから得られた幹細胞を含む細胞試料を使用して本方法の様々な態様を行うことは、本開示の範囲内である。従って、本開示は、一態様では、その幹細胞の供給源に適切の方法論を使用していかなる組織から幹細胞を単離することを熟考する。結果的に、一部の態様では、本開示の方法論は、本明細書で開示されるの動員剤を投与されていない対象から幹細胞を得ることを含む。
【0033】
一態様では、細胞試料は、例えばアフェレーシス等の体外療法を使用して等、いかなる適した方法論を使用して対象から収集される。アフェレーシスは、対象の血液の特定部分のみを採取するために使用される方法であり、血液の遠心分離又は迅速な回転に基づき機能する。経路が、対象の血液に対して確立され、アフェレーシス装置への接続を可能にする。この器具は、小さなポンプを使用して、血液及び体液を、システムを通じて移動させる。1つのポンプが、カテーテルの一方のアーム又は側面から血液を引き出し、血液が赤血球、白血球及び血漿層に分離される遠心分離機まで導く。幹細胞を含む白血球層の一部、及び、少量の血漿及び赤血球が、採取バッグまで方向転換される。残りの血液は、カテーテルのもう一方のアーム又は第2の側面において対象まで戻される。そのような態様では、細胞試料は、対象のそれぞれの腕の静脈に位置する静脈注射用の針を使用して収集される。血液は、第1の静脈から取り出され、関心のある細胞試料を分離する体外回路を通過させてよく、さらに、残りの物質は、第2の静脈まで戻されてよい。
【0034】
一態様では、細胞試料は、直接骨髄から収集される。例えば、細胞試料は、対象の腸骨稜から収集されてよい。そのような態様では、細胞試料を得るための骨髄吸引は、皮膚滅菌及び局所麻酔薬の投与等の標準的な予防処置の実行に続いて対象の後腸骨稜を位置づける医療提供者を含みうる。適所にスタイレットを有する適した針が、上前腸骨棘に向かって皮膚及び皮下組織を通ってゆっくり前進させられてよい。後腸骨稜に到達すると、その領域には、十分な深さに到達するまで、針が貫通されてよい。針が適所にあると、スタイレットは取り外され、注射器が取り付けられ、さらに、吸引が行われてよい。
【0035】
一態様では、複数の幹細胞採取(例えば骨髄吸引等)が、一部のユーザを得るために、及び/又は、細胞試料中の所望の数の細胞を処理するために実行される。例えば、採取される細胞の数は、対象の体重の1X10~1.0X10細胞/kg、或いは対象の体重の約2X10~1.0X10細胞/kg、又或いは、対象の体重の約5X10~1.0X10細胞/kgに及びうる。本明細書で開示されるように収集された細胞試料は、本明細書で開示される方法論においてさらなる処理なしで利用しうる。或いは、本明細書で開示されるように収集された細胞試料は、本明細書において開示される組成物及び方法論と適合するいかなる方法論を使用してさらに処理されてよい。或いは、本明細書で開示されるように収集された細胞試料は、本明細書において開示される方法論及び療法において利用される前に、ある期間保管されてよい。細胞試料の保管は、例えば、保管期間中試料を安定化させるための生体適合性溶液中の細胞試料の低温貯蔵による保存を含みうる。「生体適合性溶液」は、本明細書で開示される細胞修復方法論における使用のため、又は、いかなる他の後の使用のために細胞試料が懸濁させられる溶液をいう。そのような生体適合性溶液は、生理食塩水を含んでもよく、防腐剤及び抗菌剤等の他の成分をさらに含んでよい。
【0036】
一態様では、細胞試料は、起源は胚性ではない又は胚若しくは胎児組織由来ではない幹細胞又は幹細胞材料をいう成体幹細胞及び/又は成体幹細胞材料を含む。一態様では、細胞試料は、起源が胚性である及び/又は胚若しくは胎児組織由来の幹細胞及び/又は幹細胞材料を含む。
【0037】
一態様では、本明細書で開示されるように収集された細胞試料は、本明細書において開示される方法論において利用される前に約24時間以上保管される。或いは、本明細書で開示されるように収集された細胞試料は、本明細書において開示される方法論において利用される前に、約1時間から約20年間に及ぶ期間保管される。或いは、本明細書で開示されるように収集された細胞試料の保管は、約10日間から約15年間、或いは約30日から約10年間、又或いは約30日間から約5年間に及ぶ期間であってよい。
【0038】
当業者によって理解されるように、収集された細胞試料は、異種細胞集団を含む。本明細書で開示される方法論の一態様は、細胞試料に存在する細胞の数及びタイプを同定及び定量化する工程を含む。細胞試料に存在する細胞の数及びタイプを特徴づけるのに適したいかなる方法論も利用しうる。一態様では、細胞試料は、免疫表現型を決定することによって特徴づけられる。本明細書において、免疫表現型の決定は、試料内の様々な集団の存在及び割合を同定する目的で、細胞の異種集団を分析することをいう。これらの細胞によって発現される特異的抗原(マーカーと呼ばれる)を検出することによって細胞を同定するために、抗体が使用される。一態様では、細胞試料は、フローサイトメトリー等の技術を使用して免疫表現型を決定することによって特徴づけられる。代替の態様では、細胞試料に存在する様々な細胞型の特徴づけは、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)又は免疫細胞化学等のいかなる適した方法論を使用して実行しうる。
【0039】
一態様では、細胞試料内に存在する細胞又は細胞型の集団は、1又は複数の細胞表面マーカーの有無に基づき同定される。細胞試料内の異なる細胞集団(例えば、細胞型)の同定のためのフローサイトメトリープロトコルの一態様200が、図1において示されている。図1を参照すると、細胞試料210が、フローサイトメトリーを受ける。一態様では、試料210は、第1段階で、CD45の有無に基づき、造血細胞220及び非造血細胞230に選別しうる。白血球共通抗原(LCA)、T200、B220、Ly5及びプロテインチロシンホスファターゼ受容体型C(PTPRC)としても知られるCD45は、白血球特異的受容体様プロテインチロシンホスファターゼファミリーの膜貫通糖タンパク質であり、全ての有核造血細胞上で発現され、細胞表面積の10%までカバーしうる。CD45は、T細胞及びB細胞抗原受容体シグナル伝達の調節因子として機能し、細胞増殖及び細胞分化の調節因子である。
【0040】
一態様では、非造血幹細胞230として同定されるCD45-細胞は、CD105の有無に基づきさらに特徴づけられてよい。エンドグリン、HHT1、ORW及びSH-1としても知られるCD105は、細胞表面上に位置するI型膜糖タンパク質であり、TGFβ受容体複合体の成分である。CD105は、造血及び血管新生において役割を果たしうる。一態様では、CD45-でもありCD105+でもある細胞集団240は、間葉系幹細胞も内皮前駆細胞も有するとして特徴づけられる。
【0041】
一態様では、CD45-でもCD105+でもあると同定された細胞集団240を、間葉系幹細胞及び内皮前駆細胞にさらに選別しうる。一態様では、間葉系幹細胞は、CD45-、CD105+、CD29+及びCD44+である250として同定される。血小板GPIIa、インテグリンβ1及びGPとしても知られるCD29は、非常に後期の抗原受容体に関連しているインテグリンユニットであり、細胞接着において機能する。ECMRII、H-CAM、Pgp-1、HUTCH-1、Hermes抗原、食細胞糖タンパク質I(phagocytic glycoprotein I)、細胞外マトリックス受容体III、GP90リンパ球ホーミング/接着受容体及びヒアルロン酸受容体としても知られるCD44は、細胞接着及び細胞遊走において機能する。一態様では、内皮前駆細胞は、CD45-、CD105+及びCD31+である260として同定される。PECAM-1、endoCAM、血小板内皮細胞接着分子及びPECA-1としても知られるCD31は、ヒトにおいて17番染色体上に存在するPECAM1遺伝子によってコードされるタンパク質である。CD31は、細胞の接着、活性化及び遊走において機能すると考えられている。
【0042】
本開示の方法は、CD45+細胞220において存在する異なる造血細胞タイプを同定する工程をさらに含みうる。一態様では、細胞の集団は、CD45+、CD34+及びCD38-であることに基づき、原始造血幹細胞270であるとして同定される。一態様では、細胞の集団は、CD45+、CD34+及びCD38+であることに基づき、造血前駆細胞280であるとして同定される。gp105-120及び造血前駆細胞抗原(HPCA-1)としても知られるCD34は、早期造血及び血管組織で発現する一回膜貫通シアロムチンタンパク質のファミリーのメンバーである。CD34は、細胞接着において機能すると考えられる。ADP-リボシルシクラーゼ、T10及び環状ADP-リボースヒドロラーゼ1としても知られるCD38は、4番染色体に位置するCD38遺伝子によってコードされる多機能エクトヌクレオチダーゼである。一態様では、細胞集団の少なくとも一部はCD45+及びCD34-の290であり、分化した造血細胞として同定される。そのような態様では、分化した造血細胞290は、Tリンパ球300又はナチュラルキラー細胞310としてさらに定義されうる。Tリンパ球は、CD45+、CD34-及びCD3+であるとして特徴づけることができる。T3としても知られるCD3は、タンパク質複合体であり、T細胞と他の細胞型との細胞接着において役割を果たす。ナチュラルキラー細胞は、CD45+、CD34-及びCD56+であるとして特徴づけることができる。Leu-19、NKH-1及び神経細胞接着分子(NCAM)としても知られるCD56は、細胞-細胞接着、神経突起伸長、シナプス可塑性、並びに、学習及び記憶において機能しうる血友病性結合糖タンパク質である。
【0043】
一態様では、細胞試料は、本明細書において開示される方法論を使用して特徴づけられてよい。そのような特徴づけは、限定することなく非造血細胞、間葉系幹細胞、内皮前駆細胞、造血細胞、原始造血幹細胞、造血前駆細胞、分化した造血細胞、Tリンパ球、ナチュラルキラー細胞又はその組み合わせを含む細胞試料内の細胞集団を同定しうる。本明細書において記載される表面マーカーは、細胞試料内に存在する細胞集団の同定のための1つの方法論を表すということが熟考される。当業者によって理解されるように、本明細書で開示されるもの以外の多数のマーカー及びマーカーの組み合わせを利用して、細胞試料内に存在する細胞集団を同定する及び特徴づけることができる。さらに、細胞試料内に存在する様々な細胞集団の同定は、本明細書において記載されている程度まで実行することができ、さらなる表面マーカーの有無の決定を含んでもよく、本明細書で開示されるよりも少ないマーカーを利用することができ、又は、細胞試料内のより少ない細胞の集団が同定されるようにより少ない程度で実行しうる。一態様では、方法は、細胞試料内に存在する異なる細胞集団の同定を排除する工程を含む。
【0044】
一態様では、細胞試料は、細胞試料内に存在する老化細胞及び非老化細胞の数に基づきさらに特徴づけられてよい。本明細書において、非老化細胞とは、複製老化を示すことなく何度も分裂する能力を保持する細胞をいう。本明細書において、老化細胞とは、継続した生存能及び代謝活性にもかかわらず、増殖能力の長期的損失を有する細胞をいう。
【0045】
老化細胞は、例えば増殖の損失、形態変化、テロメア長の減少、S-β-GAL活性の増加、細胞老化関連ヘテロクロマチン形成(SAHF)の産生、細胞老化関連分泌因子(SASF)の産生の増加、活性酸素種(ROS)の産生の増加、DNA損傷の増加、シャペロン媒介オートファジーの低下又はその組み合わせを含む種々の測定基準を使用して同定しうる。記載された様々な測定基準における変化は、非老化細胞であると確立された比較可能な細胞型と比較して評価されるということが熟考される。或いは、細胞試料の特徴を、対応する非老化細胞における分析される測定基準に対して確立された文献値と比較しうる。
【0046】
非老化細胞は、そのテロメアの長さ及び細胞内に存在するテロメラーゼ活性のレベルによって特徴づけることができる。非限定的な例として、細胞試料内に存在する非老化細胞は、約4キロベース、或いは4.5キロベース、又或いは5キロベース以上のテロメア長によって特徴づけられてよい。非老化細胞を示すテロメア長は、細胞型に応じて変動しうるということが当業者によって理解されるであろう。結果的に、特定の細胞型に対して、非老化細胞のテロメア長の特徴は、日常的な実験法によって決定しうる。
【0047】
一態様では、本明細書で開示されるの細胞試料は、90%を超える非老化細胞、或いは91%を超える非老化細胞、或いは92%を超える非老化細胞、或いは93%を超える非老化細胞、或いは94%を超える非老化細胞、或いは95%を超える非老化細胞、或いは96%を超える非老化細胞、或いは97%を超える非老化細胞、或いは98%を超える非老化細胞、又或いは99%を超える非老化細胞を含む。非老化細胞の割合は、試料内に存在する細胞の総数に基づく。一態様では、細胞試料は、試料内に存在する細胞の総数に基づき、約90%の非老化細胞から約99%の非老化細胞を含む。
【0048】
一部の態様では、細胞試料内に存在する非老化細胞は、いかなる適した方法論を使用して同定しうる。そのような態様では、非老化細胞は、本開示と適合するいかなる適したプロセスを使用して老化細胞から分離され、非老化細胞を含む、本質的に非老化細胞から成る、又は非老化細胞から成る細胞試料をもたらすことができる。そのような方法論は、特定の細胞表面マーカーの有無を有する非老化細胞の集団をさらに定義するように拡張されてよく、さらに、(例えば、非老化間葉系幹細胞、非老化ナチュラルキラー細胞等の)特定のタイプの非老化細胞を含む、本質的に上記のタイプの非老化細胞から成る、又は、上記のタイプの非老化細胞から成る細胞試料が生じてよいということが熟考される。
【0049】
一態様では、細胞試料は、細胞老化に関連する1又は複数の遺伝子及び/又はタンパク質の発現の程度に対して分析しうる。そのような分析は、本明細書で開示されるの修復バイオマーカータンパク質パネル(RBPP)及び/又は修復バイオマーカー遺伝子発現パネル(RBGEP)を使用して実行されてよい。
【0050】
一態様では、RBPPは、細胞の加齢及び老化に関連づけられる因子に対する複数の抗体プローブを含む。例えば、RBPPは、5を超える抗体プローブ、或いは10を超える抗体プローブ、又或いは20を超える抗体プローブを含んでよい。一態様では、RBPPは、10から15の抗体プローブを含む。本開示における使用に適したRBPPの例は、表1において列挙されるタンパク質に対する1又は複数の抗体プローブを含むRBPP-X1と呼ばれるタンパク質アレイパネルである。
【0051】
【表1】
一態様では、RBGEPは、5を超える遺伝子プローブ、或いは10を超える遺伝子プローブ、又或いは20を超える遺伝子プローブを含みうる。一態様では、RBGEPは、10から15の遺伝子プローブを含む。一部の態様では、RBGEPは、IFBP3、CSC25C、ABL1、CDKN2B、ALDH1A3、SIRT1、ING1、CITED2、CDKN1C又はその組み合わせ等、細胞周期又はp53経路の調節に関連づけられる因子に対する遺伝子プローブを含む。RBGEPは、CDKN1A、IRF3、EGR1、IFNG、CDKN1B、NFKB1、SERPING2、IGFBP7、IRF7又はその組み合わせ等、炎症過程の調節に関連する因子に対する遺伝子プローブをさらに含んでよい。RBGEPは、PCNA、TERT、TP53BP1又はその組み合わせ等、DNA損傷関連過程の調節に関連する因子に対する遺伝子プローブをさらに含んでよい。RBGEPは、PRKCD、SOD1、NOX4又はその組み合わせ等、酸化ストレスに関連する因子に対する遺伝子プローブをさらに含んでよい。RBGEPは、CDKN2A、CDK6、TWIST、ATM、CCND1、ETS2、RBL2、BMI1、ETS1又はその組み合わせ等、細胞老化に関連する因子に対する遺伝子プローブをさらに含んでよい。RBGEPは、HRAS、MAP2K3又はその組み合わせ等、MAPK経路に関連する因子に対する遺伝子プローブをさらに含んでよい。RBGEPは、VIM、PIK3CA、THBS1又はその組み合わせ等、細胞骨格機能に関連する因子に対する遺伝子プローブをさらに含んでよい。RBGEPは、TBX3、TBX2又はその組み合わせ等、p16エフェクター経路に関連する因子に対する遺伝子プローブをさらに含んでよい。RBGEPは、IGFBP5等、インスリンシグナル伝達に関連する因子に対する遺伝子プローブをさらに含んでよい。RBGEPは、CDL3A1、CD44、TGFB1A、CDL1A1、TGFB1又はその組み合わせ等、細胞接着に関連する因子に対する遺伝子プローブをさらに含んでよい。RBGEPは、E2F1、MYC又はその組み合わせ等、p53エフェクター経路に関連する因子に対する遺伝子プローブをさらに含んでよい。RBGEP-X1と呼ばれる本開示における使用に適したRBGEPの一例は、表2に列挙される1又は複数のタンパク質に対するcDNAを含む遺伝子パネルである:
【0052】
【表2】
一態様では、細胞試料の少なくとも一部は、RBPP-X1アレイを利用したタンパク質アレイ分析、RBGEP-X1アレイを使用した遺伝子発現分析、又はその両方を受ける。代替の態様では、細胞試料の少なくとも一部は、いかなる適したタンパク質及び/又は遺伝子のアレイを利用したタンパク質アレイ分析、遺伝子発現分析、又はその両方を受ける。
【0053】
一態様では、細胞試料は、少なくとも1つの分析技術を受けて、細胞試料の質を特徴づける。本明細書において、細胞試料の「質」とは、試料の細胞の健康状態を特徴づけるために使用される因子を指し、試料内に存在する細胞の数及びタイプ;試料内の老化細胞と非老化細胞との比;一群の遺伝子及び/又はタンパク質のバイオマーカーの発現の程度;試料内の細胞の平均テロメア長;試料内の細胞の自然免疫機能の状態;又はその組み合わせ等のパラメータを含む。テロメア長は、例えば、末端制限断片(terminal restriction fragment:TRF)解析等のいかなる適した方法論を使用して決定しうる。自然免疫機能は、51Cr細胞傷害性放出ナチュラルキラー細胞アッセイ等のいかなる適した方法論を使用して評価しうる。細胞試料の質は、細胞試料内の細胞の1又は複数の細胞機能を改善及び/又は修復する試料内の細胞の能力の評価であってよい。細胞試料の質は、本明細書で開示される組成物及び方法論を受けた場合の1又は複数の細胞機能の改善及び/又は修復を示す試料内の細胞の能力の評価であってよい。
【0054】
細胞試料の質には、1から10に及ぶ数値が割り当てられてよく、修復可能又は改善可能な細胞機能を有する試料は10の値を有し、さらに、細胞機能を有意に改善及び/又は修復することができない試料は1の値を有する。例えば、以下の因子:比較的長いテロメア長;老化促進遺伝子及び/又はタンパク質の中程度の発現レベル;及び、約90%を超える非老化細胞の存在;のそれぞれは、細胞試料の質の特徴づけにおいて、積極的に比較してよい。これらの特徴を示すレシーバー細胞試料には、10の試料の質の値が与えられてよい。
【0055】
本明細書で開示される質の測定基準(例えば、テロメア長、非老化細胞の割合等)を利用して、本開示の一態様は、細胞試料の質を評価すること、及び、開示される方法論における使用に適した試料を同定することを含む。例えば、3未満の質の値を有する細胞試料は、本開示の方法論における使用には不適当であるとみなすことができる。質の値は、細胞試料の質を評価するために使用されるいかなる数の測定基準に基づき割り当てられうるということが理解されたい。結果的に、質の値の割り当てを行うために使用されるパラメータに基づき、特定の質の値に関連する特徴が異なりうる。
【0056】
一部の態様では、本明細書において記載される定性的及び定量的な特徴づけのうちの1つ又は複数を受けた細胞試料は、所定のタイプ及び数の細胞を有する所望の試料を一部のユーザ及び/又はプロセスに提供するためにさらに処理される。
【0057】
一態様では、本開示の方法は、対象から得られた幹細胞を、本明細書で開示されるのマイクロRNAと結合させることをさらに含む。例えば、得られた幹細胞は、約1nMから約1000nM、或いは約10nMから約500nM、又或いは約30nMから約300nMに及ぶ量のマイクロRNAを使用して、本明細書で開示されるのマイクロRNAの存在下で培養しうる。例えば、得られた幹細胞は、本明細書で開示されるのマイクロRNAの存在下で、約24時間から約6週間、或いは約1週間から約5週間、又或いは約2週間から約4週間に及ぶ期間、適切な培地において培養しうる。本明細書において、増殖培地としても知られる培地は、細胞の増殖を支持するために適切な栄養素を有する液体又はゲルをいう。適した培地は、本開示の利点を用いて当業者によって選ばれてよい。得られた幹細胞の培養は、10%ウシ胎仔血清(Sigma)を有するRPMI-1640(Sigma)又はSTEMSPAN ACF(Stem Cell Technologies)等、標準的な組織培養条件下で実行しうる。
【0058】
代替の態様では、本開示の方法は、本明細書で開示されるの1又は複数のマイクロRNAの誘導性発現又は構成的発現の能力を持つベクターを幹細胞に導入する工程を含む。例えば、発現可能な形態のマイクロRNAは、プラスミド、コスミド、ファージミド、ウイルス、及びウイルス源又は細菌源由来の他の溶媒等のベクター上に位置してよい。一態様では、本明細書で開示されるのマイクロRNAのうち1つ又は複数が、プロモーター要素、エンハンサー要素及び選択要素等の1又は複数のin vivo発現要素をさらに含むベクター上に位置する。一態様では、本明細書で開示されるのマイクロRNAの発現に対する遺伝子配列は、プロモーター要素等のベクターの1又は複数の要素に作動可能に連結される。幹細胞へのマイクロRNAの導入は、形質移入及び形質導入等、細胞へのベクターの導入(例えば、遺伝子導入等)のためのいかなる適した方法論を介して実行しうる。(例えば、培養又はベクター導入を介して)本明細書で開示されるのマイクロRNAと一度結合した得られた幹細胞は、修復されて、修復細胞(RC)と呼ばれる。
【0059】
一態様では、本開示は、それを必要とする対象に投与するための組成物として本明細書において開示されるマイクロRNA及び/又はRCの利用を熟考する。一態様では、マイクロRNA及び/又はRCは、対象に局所的又は全身的に投与される医薬製剤の成分であってよい。一態様では、本明細書で開示されるのマイクロRNAは、ナノ粒子、ミセル、リポソーム、ニオソーム、微粒子及びシクロデキストリン等の溶媒と組み合わせて使用される。一態様では、そのような溶媒は、対象の特定の細胞、組織又は器官にキャリア又は溶媒を向けるための1又は複数の要素をさらに含む。
【0060】
一態様では、RCは、それを必要とする対象に局所的又は全身的に投与される。本明細書において開示される治療プロセスは、一般的に、細胞の修復と呼ばれ、本明細書における方法論及び組成物を使用して対象から取り除かれて修復された細胞は、対象に戻される。一態様では、本開示は、本明細書において開示される方法論及び組成物を使用した第1の対象から取り除かれた成体幹細胞の処置、及び、第2の対象への処置された細胞(すなわちRC)の投与を熟考する。この代替の態様は、養子細胞修復療法と呼ばれる。本開示の細胞修復療法及び/又は養子細胞修復療法の他の態様では、RCは、幹細胞を提供した対象と暦年齢が異なる対象に導入されることも熟考される。本明細書において、RC及び無細胞組成物は、まとめて修復物質(RAG)と呼ばれる。
【0061】
一部の態様では、RAGの適切な投与経路は、医学的状態のタイプ、根底にある原因、状態の重症度等の様々な要因に基づき選択される。適した投与経路には、経口、静脈内、直腸内、エアロゾル、非経口、点眼、肺、経粘膜、経皮、膣、視神経、経鼻及び局所投与が含まれるが、それらに限定されない。加えて、単なる例として、非経口送達には、筋肉内、皮下、静脈内、髄内の注射、並びに、髄腔内、直接的な脳室内、腹腔内、リンパ内及び鼻腔内の注射が含まれる。
【0062】
一部の態様では、RAGは、例えば、薬学的に許容されるキャリア又は賦形剤と活性物質(例えば、RC等)を組み合わせることによって、経口投与用に製剤化される。様々な態様では、無細胞組成物等のRAGは、単なる一例として、錠剤、粉末、丸薬、糖衣錠、カプセル、液体、ゲル、シロップ、エリキシル剤、スラリー及び懸濁剤等を含む経口剤形で製剤化される。
【0063】
他の態様では、RAGは局所的に投与される。局所投与は、傷害又は外科手術から生じる瘢痕の治療又は予防に特に有用でありうる。RAGは、溶液、懸濁液、ローション、ゲル、ペースト、薬用スティック、バーム、クリーム又は軟膏等、種々の局所的に投与可能な組成物に製剤化されてよい。そのような医薬組成物は、任意的に、可溶化剤、安定剤、張度増強剤(tonicity enhancing agents)、緩衝剤及び防腐剤を含有している。
【0064】
一部の態様では、RAGは、経皮投与のために製剤化される。経皮製剤は、経皮送達装置及び経皮送達パッチを利用してよく、ポリマー又は接着剤において溶解及び/又は分散された親油性エマルション又は緩衝水溶液でありうる。様々な態様では、そのようなパッチは、医薬品の連続的、脈動的又はオンデマンドの送達のために構築される。さらなる態様では、RAGの経皮送達は、イオントフォレシス用パッチ等によって成し遂げられる。特定の態様では、経皮パッチは、RAGの制御された送達を提供する。特定の態様では、吸収の速度は、速度制御膜を使用することによって、又は、ポリマーマトリックス又はゲル内に化合物をトラップすることによって減速される。代替の態様では、吸収促進剤が、吸収を増加させるために使用される。吸収促進剤又はキャリアには、皮膚を通過するのに寄与する吸収可能な薬学的に許容される溶媒が含まれる。例えば、一態様では、経皮装置は、バッキング部材を含む絆創膏、任意的にキャリアを伴うRAGを含有するリザーバ、任意的に、長期間にわたって制御された所定の速度で宿主の皮膚に化合物を送達する速度制御バリア、及び、皮膚に装置を固定する手段の形態である。
【0065】
他の態様では、RAGは、吸入による投与のために製剤化される。吸入による投与に適した様々な形態には、エアロゾル、ミスト又は粉末が含まれるが、これらに限定されない。RAGは、適した噴射剤(例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素又は他の適したガス等)を使用して、加圧パック又は噴霧器からのエアロゾルスプレー提示の形態で好都合に送達される。特定の態様では、加圧エアロゾルの投与単位は、計量された量を送達するために弁を提供することによって決定される。特定の態様では、単なる一例として、RAGと、乳糖又はデンプン等の適した粉末基剤との粉末混合物を含有する、吸入器又は注入器において使用するためのゼラチン等のカプセル及びカートリッジが製剤化される。
【0066】
先に取り組んだように、特定の状態の治療又は特定の細胞、組織、器官等への送達に有用な他の投与経路が熟考される。RAGを投与する手段は、注入を含みうるが、これに限定されない。全身的に、例えば、ポンプ、静脈ライン、又はボーラス注射によるものも含みうる。ボーラス注射は、皮下、筋肉内、又は腹腔内の経路を含みうる。
【0067】
本明細書で用いられる場合「全身投与」又は「全身的に投与される」という語句は、例えば皮下投与等、対象の系に入り、従って、代謝及び他の類似のプロセスを受けるように、本開示の1又は複数の化合物、組成物、薬物又は他の物質を投与することを意味する。
【0068】
他の態様では、RAGは、限定されることなく、注射、注入、移植又は皮膚上等によって局所的に投与される。例えば、RAGは、対象の創傷部位の近位に投与されてよく、創傷に関連する症状を寛解するか、又は、創傷治癒の速度を上げるように機能する。RAGの投与は、本明細書において開示される組成物と適合するいかなる様式で、1人又は複数のユーザ及び/又はプロセスの目的に合うように遂行しうる。
【0069】
他の態様では、RAGは、対象の一般的な健康状態を改善するために対象への投与のために製剤化されてよい。そのような改善は、対象の1又は複数の生理学的又は心理学的パラメータの定量的評価によって同定しうる。代替の態様では、そのような改善は、対象の1又は複数の生理学的又は心理学的パラメータの定性的評価によって同定されてよい。
【0070】
代替の態様では、RAGが投与された対象に、医学的状態の治療に有益であると考慮される追加の活性物質を投与しうる。そのような追加の活性物質は、RAGの投与と同時に投与しうる。追加の活性物質の例として:(a)抗菌剤、(b)ステロイド(例えば、ヒドロコルチゾン、トリアムシノロン等);(c)鎮痛剤(例えば、アスピリン、NSAID及び局所麻酔剤等);(d)抗炎症剤;(e)増殖因子;(f)サイトカイン;(g)ホルモン;又は(h)その組み合わせ;が挙げられるが、これらに限定されない。そのような追加の活性物質はまた、治療有効量で存在してよい。
【0071】
RAGと共に投与するための追加の活性物質の例として、麻酔薬、催眠薬、鎮静剤及び睡眠導入剤、抗精神病薬、抗うつ薬、抗アレルギー薬、抗狭心症薬、抗関節炎薬、抗喘息薬、抗糖尿病薬、止痢薬、抗けいれん薬、抗痛風薬、抗ヒスタミン剤、鎮痒薬、催吐薬、制吐薬、鎮痙薬、食欲抑制薬、向神経活性物質、神経伝達物質作動薬、拮抗薬、受容体拮抗薬及び再取り込み修飾薬、βアドレナリン遮断薬、カルシウムチャネル遮断薬、ジスルフラム(disulfuram)及びジスルフラム様薬物、筋弛緩薬、鎮痛薬、解熱薬、刺激薬、抗コリンエステラーゼ薬、副交感神経刺激薬、ホルモン、抗凝固薬、抗血栓薬、血栓溶解薬、免疫グロブリン、免疫抑制剤、ホルモンアゴニスト/アンタゴニスト、ビタミン、抗菌剤、抗悪性腫瘍薬、制酸剤、消化剤、下剤、瀉下剤、消毒薬、利尿剤、消毒剤、殺菌剤、外部寄生虫剤、駆虫薬、重金属、重金属アンタゴニスト、キレート剤、気体及び蒸気、アルカロイド、塩、イオン、オータコイド、ジギタリス、強心配糖体、抗不整脈薬、降圧薬、血管拡張薬、血管収縮薬、抗ムスカリン薬、神経節刺激薬、神経節遮断薬、神経筋遮断薬、アドレナリン作動性神経阻害剤、抗酸化剤、ビタミン、化粧品、抗炎症薬、創傷ケア製品、抗血栓薬、抗腫瘍薬、抗血管新生薬、麻酔剤、抗原剤、創傷治癒剤、植物抽出物、増殖因子、皮膚軟化剤、湿潤剤、拒絶/抗拒絶剤、殺精子剤、調整剤、抗菌薬、抗真菌薬、抗ウイルス薬、抗生物質、精神安定薬、コレステロール低下薬、鎮咳薬、ヒスタミン遮断薬、モノアミンオキシダーゼ阻害薬、又はその組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0072】
RAGとの使用に適した特定の化合物としては、スルファジアジン銀、ナイスタチン、ナイスタチン/トリアムシノロン、バシトラシン、ニトロフラゾン、ニトロフラントイン、ポリミキシン(例えば、コリスチン、サーファクチン、ポリミキシンE及びポリミキシンB等)、ドキシサイクリン、抗菌ペプチド(例えば、天然及び合成起源)、NEOSPORIN(登録商標)(すなわち、バシトラシン、ポリミキシンB及びネオマイシン等)、POLYSPORIN(登録商標)(すなわち、バシトラシン及びポリミキシンB)を含むが、これらに限定されない。さらなる抗菌剤には、局所抗菌剤(すなわち、防腐剤)が含まれ、その例には、銀塩、ヨウ素、塩化ベンザルコニウム、アルコール、過酸化水素、クロルヘキシジン、アセトアミノフェン;アルフェンタニル塩酸塩;アミノ安息香酸カリウム;アミノ安息香酸ナトリウム;アミドキシム;アニレリジン;アニレリジン塩酸塩;アニロパム塩酸塩;アニロラク;アンチピリン;アスピリン;ベノキサプロフェン;ベンジダミン塩酸塩;ビシファジン塩酸塩;ブリフェンタニル塩酸塩;マレイン酸ブロマドリン;ブロムフェナックナトリウム;ブプレノルフィン塩酸塩;ブタセチン;ブチキシラート;ブトルファノール;ブトルファノール酒石酸塩;カルバマゼピン;カルバスピリンカルシウム;カルビフェン塩酸塩;クエン酸カルフェンタニル;コハク酸シプレファドール;シラマドール;シラマドール塩酸塩;クロニキセリル;クロニキシン;コデイン;コデインリン酸塩;硫酸コデイン;コノルホン塩酸塩;シクラゾシン;デキソキサドロール塩酸塩;デキスペメドラク;デゾシン;ジフルニサル;ジヒドロコデイン重酒石酸;ジメファダン;ジピロン;ドクスピコミン塩酸塩;ドリニデン;エナドリン塩酸塩;エピリゾール;エルゴタミン酒石酸塩;エトキサゼン塩酸塩;エトフェナメート;オイゲノール;フェノプロフェン;フェノプロフェンカルシウム;フェンタニルクエン酸塩;フロクタフェニン;フルフェニサール;フルニキシン;フルニキシンメグルミン;フルピルチンマレイン酸塩;フルプロクアゾン;フルラドリン塩酸塩;フルルビプロフェン;ヒドロモルフォン塩酸塩;イブフェナック;インドプロフェン;ケタゾシン;ケトルファノール;ケトロラクトロメタミン;レチミド塩酸塩;酢酸レボメタジル;酢酸レボメタジル塩酸塩;レボナントラドール塩酸塩;レボルファノール酒石酸塩;ロフェミゾール塩酸塩;シュウ酸ロフェンタニル;ロルシナドール;ロモキシカム;サリチル酸マグネシウム;メフェナム酸;メナビタン塩酸塩;メペリジン塩酸塩;メプタジノール塩酸塩;メサドン塩酸塩;酢酸メタジル;メトフォリン;メトトリメプラジン;酢酸メトケファミド;ミンバン塩酸塩;ミルフェンタニル塩酸塩;モリナゾン;モルヒネ硫酸塩;モキサゾシン;ナビタン塩酸塩;ナルブフィン塩酸塩;ナルメキソン塩酸塩;ナモキシラート;ナントラドール塩酸塩;ナプロキセン;ナプロキセンナトリウム;ナプロキソール;ネオパム塩酸塩;ネキセリジン塩酸塩;ノルアシメサドール塩酸塩;オクフェンタニル塩酸塩;オクタザミド;オルバニル;フマル酸オキセトロン;オキシコドン;オキシコドン塩酸塩;テレフタル酸オキシコドン;オキシモルホン塩酸塩;ペメドラック;ペンタモルフォン;ペンタゾシン;ペンタゾシン塩酸塩;乳酸ペンタゾシン;フェナゾピリジン塩酸塩;フェニラミドール塩酸塩;ピセナドール塩酸塩;ピナドリン;ピルフェニドン;ピロキシカムオラミン;マレイン酸プラバドリン;プロジリジン塩酸塩;プロファドール塩酸塩;フマル酸プロピラルン;プロポキシフェン塩酸塩;プロポキシフェンナプシレート;プロキサゾール;クエン酸プロキシゾール;プロキソルファン酒石酸塩;ピロリフェン塩酸塩;レミフェンタニル塩酸塩;サルコレクス;マレイン酸サレタミド;サリチルアミド;サリチル酸メグルミン;サルサレート;サリチル酸ナトリウム;メシル酸スピラドリン;スフェンタニル;クエン酸スフェンタニル;タルメタシン;タルニフルマート;タロサレート;コハク酸タザドレン;テブフェロン;テトリダミン;チフラクナトリウム;チリジン塩酸塩;チオピナク;メシル酸トナゾシン;トラマドール塩酸塩;トレフェンタニル塩酸塩;トロラミン;ベラドリン塩酸塩;ベリロパム塩酸塩;ボラゾシン;メシル酸キソルファノール;キシラジン塩酸塩;メシル酸ゼナゾシン;ゾメピラクナトリウム;ズカプサイシン;アルフゾシン塩酸塩;アリパミド;アルチアジド;アミキンシン塩酸塩;アムロジピンベシル酸塩;マレイン酸アムロジピン;アナリチド酢酸塩;マレイン酸アチプロシン;ベルホスジル;ベミトラジン;メシル酸ベンダカロール;ベンドロフルメチアジド;ベンツチアジド;ベタキソロール塩酸塩;硫酸ベタニジン;ベバントロール塩酸塩;ビクロジル塩酸塩;ビソプロロール;ビソプロロールフマル酸塩;ブシンドロール塩酸塩;ブピコミド;ブチアジド:カンドキサトリル;カンドキサトリラート;カプトプリル;カルベジロール;セラナプリル;クロロチアジドナトリウム;シクレタニン;シラザプリル;クロニジン;クロニジン塩酸塩;クロパミド;シクロペンチアジド;シクロチアジド;ダロジピン;硫酸デブリソキン;デラプリル塩酸塩;ジアパミド;ジアゾキシド;ジレバロール塩酸塩;リンゴ酸ジルチアゼム;ジテキレン;メシル酸ドキサゾシン;エカドトリル;エナラプリルマレイン酸塩;エナラプリラート;エナルキレン;メシル酸エンドラジン;エピチアジド;エプロサルタン;メシル酸エプロサルタン;メシル酸フェノルドパム;マレイン酸フラボジロール;フロルジピン;フロセキナン;ホシノプリルナトリウム;ホシノプリラート;グアナベンツ;酢酸グアナベンズ;硫酸グアナクリン;硫酸グアナドレル;グアンシジン;グアネチジン一硫酸塩;グアネチジン硫酸塩;グアンファシン塩酸塩;グアニソキン硫酸塩;硫酸グアノクロル;グアノクチン塩酸塩;グアノキサベンズ;硫酸グアノキサン;硫酸グアノキシフェン;ヒドララジン塩酸塩;ヒドララジンポリスチレクス;ヒドロフルメチアジド;インダクリノン;インダパミド;インドラプリフ塩酸塩;インドラミン;インドラミン塩酸塩;インドレナート塩酸塩;ラシジピン;レニキンシン;レブクロマカリム;リシノプリル;ロフェキシジン塩酸塩;ロサルタンカリウム;ロスラジン塩酸塩;メブタメート;メカミルアミン塩酸塩;メドロキサロール;メドロキサロール塩酸塩;メタルチアジド;メチクロチアジド;メチルドパ;メチルドパ塩酸塩;メチプラノロール;メトラゾン;メトプロロールフマル酸塩;コハク酸メトプロロール;メチロシン;ミノキシジル;マレイン酸モナテピル;ムゾリミン;ネビボロール;ニトレンジピン;オホルニン;パルギリン塩酸塩;パゾキシド;ペランセリン塩酸塩;ペリンドプリルエルブミン;フェノキシベンザミン塩酸塩;ピナシジル;ピボプリル;ポリチアジド;プラゾシン塩酸塩;プリミドロール;プリジジロール塩酸塩;キナプリル塩酸塩;キナプリラート;キナゾシン塩酸塩;キネロラン塩酸塩;キンピロール塩酸塩;臭化キヌクリウム;ラミプリル;インドジャボク;レセルピン;サプリサルタンカリウム;酢酸サララシン;ニトロプルシドナトリウム;スルフィナロール塩酸塩;タソサルタン;テルジピン塩酸塩;テモカプリル塩酸塩;テラゾシン塩酸塩;テルラキレン;チアメニジン;チアメニジン塩酸塩;チクリナフェン;チナビノール;チオダゾシン;チペントシン塩酸塩;トリクロルメチアジド;トリマゾシン塩酸塩;カンシル酸トリメタファン;トリモキサミン塩酸塩;トリパミド;キシパミド;ザンキレン塩酸塩;ゾフェノプリラトアルギニン;アルクロフェナク;アルクロメタゾンプロピオン酸エステル;アルゲストンアセトニド;アルファアミラーゼ;アムシナファル;アムシナフィド;アンフェナクナトリウム;アミプリロース塩酸塩;アナキンラ;アニロラク;アニトラザフェン;アパゾン;バルサラジド二ナトリウム;ベンダザック;ベノキサプロフェン;ベンジダミン塩酸塩;ブロメライン;ブロペラモール;ブデソニド;カルプロフェン;シクロプロフェン;シンタゾン;クリプロフェン;クロベタゾールプロピオン酸エステル;クロベタゾン酪酸エステル;クロピラク;クロチカゾンプロピオン酸エステル;酢酸コルメタゾン;コルトドキソン;デフラザコート;デソニド;デスオキシメタゾン;デキサメタゾンプロピオン酸エステル;ジクロフェナクカリウム;ジクロフェナクナトリウム;ジフロラゾン酢酸エステル;ジフルミドンナトリウム;ジフルニサル;ジフルプレドナート;ジフタロン;ジメチルスルホキシド;ドロシノニド;エンドリソン;エンリモマブ;エノリカムナトリウム;エピリゾール;エトドラク;エトフェナメート;フェルビナク;フェナモール;フェンブフェン;フェンクロフェナク;フェンクロラク;フェンドサル;フェンピパロン;フェンチアザック;フラザロン;フルアザコート;フルフェナム酸;フルミゾール;酢酸フルニソリド;フルニキシン;フルニキシンメグルミン;フルオルコルチンブチル;酢酸フルオロメトロン;フルクアゾン;フルルビプロフェン;フルレトフェン;フルチカゾンプロピオン酸エステル;フラプロフェン;フロブフェン;ハルシノニド;ハロベタソールプロピオン酸塩;酢酸ハロプレドン;イブフェナック;イブプロフェン;イブプロフェンアルミニウム;イブプロフェンピコノール;イロニダップ;インドメタシン;インドメタシンナトリウム;インドプロフェン;インドキソール;イントラゾール;酢酸イソフルプレドン;イソキセパク;イソキシカム;ケトプロフェン;ロフェミゾール塩酸塩;ロルノキシカム;エタボン酸ロテプレドノール;メクロフェナミン酸ナトリウム;メクロフェナム酸;メクロリゾンジブチレート;メフェナム酸;メサラミン;メセクラゾン;スレプタン酸メチルプレドニゾロン;モルニフルメート;ナブメトン;ナプロキセン;ナプロキセンナトリウム;ナプロキソール;ニマゾン;オルサラジンナトリウム;オルゴテイン;オルパノキシン;オキサプロジン;オキシフェンブタゾン;パラニリン塩酸塩;ペントサン多硫酸ナトリウム;フェンブタゾンナトリウムグリセラート;ピルフェニドン;ピロキシカム;ケイ皮酸ピロキシカム;ピロキシカムオラミン;ピルプロフェン;プレドナザート;プリフェロン;プロドール酸;プロカゾン;プロキサゾール;クエン酸プロキサゾール;リメキソロン;ロマザリット;サルコレクス;サルナセジン;サルサレート;塩化サングイナリウム;セクラゾン;セルメタシン;スドキシカム;スリンダク;スプロフェン;タルメタシン;タルニフルマート;タロサレート;テブフェロン;テニダップ;テニダップナトリウム;テノキシカム;テシカム;テシミド;テトリダミン;チオピナク;チキソコルトールピバレート;トルメチン;トルメチンナトリウム;トリクロニド;トリフルミデート;ジドメタシン;ゾメピラクナトリウム;又はその組み合わせ;があげられる。
【0073】
本明細書において提供されている組成物は、主に、ヒトへの倫理的な投与に適した物質に向けられているけれども、そのような組成物は、一般的に、あらゆる種類の動物への投与に適していることが当業者によって理解されるであろう。組成物を様々な動物への投与に適したものにするために、本明細書で開示される(すなわち、RAG)のヒトへの投与に適した組成物の改変を、本開示の利点を用いて当業者の獣医学的薬理学者によって成し遂げることができる。そのような薬理学者は、日常的に、もしあれば実験を用いてそのような改変を設計及び実行しうる。本開示の医薬組成物の投与が熟考される対象としては、ヒト及び他の霊長類;ウシ、ブタ、ウマ及びヒツジ等の商業的に関連する哺乳動物を含む哺乳動物;猫及び犬等のコンパニオンアニマル;並びに、ニワトリ、アヒル、ガチョウ及びシチメンチョウ等の商業的に関連する鳥類を含む鳥類;があげられるが、これらに限定されない。
【0074】
一態様では、RAGは、クリーム、ローション、血清、粉末、軟膏又は液滴等の形態へ局所投与のために製剤化される。局所投与用のRAGの製剤化は、薬学的に許容されるキャリア、保湿剤、油、脂肪、ワックス、界面活性剤、増粘剤、抗酸化剤、粘度安定剤、キレート剤、緩衝剤、防腐剤、香料、染料、低級アルカノール、湿潤剤、皮膚軟化薬、分散剤、放射線遮断化合物又はUV遮断剤等の日焼け止め、抗菌薬、抗真菌薬、消毒薬、ビタミン、抗生物質、抗ニキビ剤、並びに、局所用組成物の活性に有意な悪影響を及ぼさない他の適した物質、又は、その組み合わせも含有しうる。修復細胞を含む組成物に使用されうる非限定的で例証的な薬学的に許容されるキャリアとしては、水、水と低級アルカノール又は植物油等の水混和性溶媒の混合物、及び、水溶性の眼科学的に許容される無毒のポリマー(例えば、メチルセルロース等のセルロース誘導体等)、グリセリン、プロピレングリコール、メチルパラベン、アルギン酸塩、ステアリン酸グリセリル、ステアリン酸PEG-100、セチルアルコール、プロピルパラベン、ブチルパラベン、ソルビトール、ポリエトキシル化アンヒドロソルビトールモノステアレート(TWEEN(登録商標))、白色ワセリン(VASELINE(登録商標))、トリエタノールアミン、エミューオイル、アロエベラ抽出物、ラノリン、カカオバター、及びLIPODERM(登録商標)ベース等、又は、その組み合わせがあげられうる。一態様では、局所投与のために製造化されたRAGは、顔、手及び首を含む皮膚の1又は複数の領域に適用されてよい。
【0075】
一態様では、本明細書において開示される方法論は、予防的、対症的、根治的又はその組み合わせである療法をもたらす。本明細書で開示されるの方法論及び組成物は、神経障害;自己免疫疾患;感染症;癌及び放射線過剰曝露(慢性又は急性)に関連する障害;を含む加齢性の医学的状態等、細胞の機能及び生存率の低下に関連する多種多様な医学的状態の治療に利用されてよい。
【0076】
本明細書において開示される方法論及び組成物は、有害な細胞事象に関連する遺伝子の発現の同時の低下を伴って、改善された細胞の健康に関連する遺伝子の発現の増加を有する修復細胞をもたらしうるということが熟考される。一部の態様では、本明細書において開示される方法論及び組成物は、有益な細胞事象に関連する遺伝子の発現の増加をもたらす。
【0077】
例えば、本明細書において開示される方法論は、RCに対する発現パターンの変化を、それらが得られた成体幹細胞と比較した場合にもたらし、その変化は、C-abl発がん遺伝子-1非受容体チロシンキナーゼ;V-aktマウス胸腺腫ウイルス発がん遺伝子ホモログ1;アルデヒドデヒドロゲナーゼ1ファミリー、メンバーA3;血管拡張性失調症変異;BMI1ポリコームリングフィンガー発がん遺伝子;カルレティキュリン;サイクリンA2;サイクリンB1;サイクリンD1;サイクリンEl;CD44分子、細胞分裂周期25ホモログC;サイクリン依存性キナーゼ2;サイクリン依存性キナーゼ4;サイクリン依存性キナーゼ6;サイクリン依存性キナーゼ阻害因子1A;サイクリン依存性キナーゼ阻害因子1B;サイクリン依存性キナーゼ阻害因子1C;サイクリン依存性キナーゼ阻害因子2A;サイクリン依存性キナーゼ阻害因子2B;サイクリン依存性キナーゼ阻害因子2C;及び、サイクリン依存性キナーゼ阻害因子2D;を含む群から選択される1又は複数の遺伝子に対して約1.5倍を超える。
【0078】
他の態様では、RCは、約5%以上、又或いは約10%以上のクローン原性アッセイによって測定されるコロニー形成能力の増加によって特徴づけることができる。
【0079】
他の態様では、RCは、約5%以上、又或いは約10%以上のナチュラルキラー細胞の数によって測定される細胞傷害性の増加によって特徴づけることができる。
【0080】
他の態様では、RCは、約5%以上、又或いは約10%以上の活性化マーカーCD25の発現の増加によって測定される、抗CD3及び抗CD25のモノクローナル抗体での刺激に続くT細胞活性化マーカーの増加によって特徴づけることができる。
【0081】
他の態様では、対象への本明細書で開示されるのRAGの投与は、RAGの導入に先立つ対象の末梢血の骨髄:リンパの比に比較した場合に、約0.5:1から約0.05:1、或いは約0.25:1から約0.02:1、又或いは、約0.75:1から約0.1:1分だけ減少した末梢血の骨髄:リンパの比をもたらしうる。リンパ球系細胞には、T細胞、B細胞、及びナチュラルキラー(NK)細胞が含まれ、巨核球及び赤血球(MegE)、並びに、顆粒球及びマクロファージ(GM)は、骨髄細胞系列に属する。末梢血の骨髄:リンパの比は、CD33+対CD3+CD19の細胞に対する血液の表現型決定等、いかなる適した方法論を用いて決定しうる。
【0082】
他の態様では、対象への本明細書で開示されるのRAGの投与は、RAGの導入に先立つ対象の末梢血のCD4+:CD8+のT細胞の比に比較した場合に、約1:1から約3:1、或いは約0.5:1から約1:1、又或いは約0.75:1から約2:1分だけ増加した末梢血のCD4+:CD8+のT細胞の比をもたらしうる。末梢血のCD4+/CD8+のT細胞の比は、ヘルパーT細胞と細胞傷害性T細胞との比を測定する。減少するCD4+/CD8+の比は、老化に関連し、免疫老化の指標である。
【0083】
他の態様では、対象への本明細書で開示されるのRAGの投与は、RAGの導入に先立つ対象の末梢血T細胞レベルに比較した場合に、約5%以上、又或いは約10%以上のCD3+細胞の量によって測定される末梢血T細胞レベルの上昇をもたらしうる。
【0084】
特定の態様では、治療有効量のRAGが対象に送達される。治療有効量は、種々の因子(例えば、対象の体重等)を使用して決定されることになり、例えば、医学的状態の重症度又は段階に基づきさらに修正されてよい。本明細書において開示される組成物及び方法論を使用して観察される細胞機能における改善は、細胞及び/又は組織及び/又は器官及び/又は器官系及び/又は生物全体の機能に良い生理学的効果を断定することになるということが熟考される。一態様では、細胞機能における改善は、対象が経験している有害な医学的状態を寛解させる治療効果をもたらす。
【0085】
一態様では、本明細書で開示されるのRAGを投与された対象は、その後、ある期間にわたってモニターされうる。対象のモニタリングは、対象の一般的な健康状態及び/又は医学的状態の定性的及び定量的評価を含んでよい。一部の態様では、対象には、いかなる回数RAGが投与されうる。例えば、第1のRAGを投与された対象は、ある期間にわたって対象の一般的な健康状態及び/又は医学的状態における定量的及び/又は定性的改善を示しうる。その後、対象は、その一般的な健康状態及び/又は医学的状態のいくらかの低下を経験してよく、さらに、別の治療有効量の第2のRAGを投与されてよい。第1のRAGの組成は、第2のRAGの組成と同じであってよいということが熟考される。或いは、第1のRAGの組成は、第2のRAGの組成とは異なっていてよい。
【0086】
一部の態様では、対象の評価は、本明細書において開示される分析(例えば、ナチュラルキラーアッセイ、テロメア長、遺伝子及びタンパク質のバイオマーカーアレイ等)に基づく決定を含む。そのような態様では、対象は、細胞試料及び本明細書において開示されるように評価される試料の質を提供しうる。一部の態様では、修復後のある時点における細胞試料の質の値を、修復前の細胞試料の質の値と比較することができ、この情報を利用して、追加の治療が必要かどうかを評価しうる。例えば、細胞試料の修復前の質の値が5である対象は、修復プロセスに続いて約1年までの期間、9という細胞試料の修復後の質の値を有しうる。1.5年後の対象の修復後の細胞試料の質の値は7まで低下した可能性があり、3年後の値は5でありうる。そのような場合、対象には別のRAGが投与されてよい。
【0087】
実施例
以下の実施例は、本開示を例示するために提供される。これらの実施例は、本開示の範囲を限定するとして意図されず、そのように解釈されるべきではない。
【実施例1】
【0088】
一連のトランズウェル実験を、トランズウェルアセンブリの上部チャンバにドナー対象の成体幹細胞(すなわちドナー細胞)を配置し、下部チャンバにレシーバー対象の成体幹細胞(すなわちレシーバー細胞)を配置することによって実行した。図2を参照すると、トランズウェル培養400は、ドナー細胞がトランズウェルの基底及び/又は頂端表面上の分子を取り込む及び上記の表面上に分子を分泌することを可能にする透過性表面を有するインサート410を含んでいた。トランズウェルインサート410は、0.4μmの孔径を有する透過性膜を含んでいた。レシーバー細胞試料430を、適切な量の培地を有するトランズウェル培養の下部コンパートメント内に置きながら、ドナー細胞試料420の少なくとも一部をトランズウェルインサート410に加えた。
【0089】
ドナー対象の細胞は若年性細胞と呼ばれ、レシピエント細胞は成熟細胞と呼ばれるように、ドナー対象は25歳という平均暦年齢を有し、レシーバー対象は61歳という平均暦年齢を有した。本明細書において記載される若年性細胞の存在下でのトランズウェルにおける培養に続くレシピエント細胞は、異時性(heterochronic)細胞と呼ばれる。トランズウェル培養には、エキソソームバイオジェネシスGW4869(3.5μM)の薬理学的阻害剤又はエキソソームパッケージングBCI-137(10μM)の阻害剤を添加した。BCI-137は、ウリジンを模倣し、且つ、Argonaute-2のmiRNA結合ドメインと可逆的に相互作用する細胞膜透過性で無毒のジオキソテトラヒドロキノキサリン化合物であり、GW4869は、酸性スフィンゴミエリナーゼ活性に影響を及ぼさない中性スフィンゴミエリナーゼの細胞膜透過性の非競合的阻害剤である。最初の播種(0日目)及び再び3日目に、阻害剤をトランズウェル培養に添加した。
【0090】
エキソソームを採取及び定量化して、エキソソーム産生に対する阻害剤の効果を決定し、エキソソームから抽出したRNAを分析して、エキソソーム枯渇及びRNA枯渇のレベルを決定した。結果が、表3に示されている。
【0091】
【表3】
SNORD68及びSNORD95は、小さな核小体RNAである。結果はまた、BCI-137もGW4869も、異時性培養から収集したエキソソームにおいてmiRNAを効果的に枯渇させたことを実証した。細胞機能に対する阻害剤の効果のさらなる分析を、全細胞生存率、CD34+細胞生存率、及びCD34+細胞増殖の程度を決定することによって評価した。結果は、阻害剤GW4869の添加がCD34+細胞に対して有毒であると思われ、BCI-137は、若年性細胞又は成熟細胞の健康に対する効果を誘発しなかったということを実証している。結果は、BCI-137による阻害が、CD34+成熟細胞における分化の能力を増加させたが、CD34+異時性細胞における分化を減少させたことを実証している。結果は、成熟エキソソーム及びそれに付随するRNAが、成熟細胞の機能に対して有害な効果を有するということを示唆している。さらに、エキソソーム及びそれに付随するRNAは、BCI-137による阻害が修復効果を遮断したため、養子細胞修復療法の機構に関係づけられる。
【実施例2】
【0092】
若年性細胞又は異時性細胞から収集したエキソソームを、成熟細胞(1000万)に添加し、その後、7日間培養した。表4は、3及び7日の培養後のCD34+細胞に対する全血液細胞、幹細胞機能、細胞増殖及び細胞生存率に対する結果を報告している。
【0093】
【表4】
結果は、7日間の培養後に、若年性エキソソーム又は異時性エキソソームを補充した老齢の同年齢の培養(isochronic cultures)に対してクローン原性の能力を増加させたことを実証している。1000万の成熟細胞あたり100万の若年性エキソソームの用量は、1000万の成熟細胞あたり1000万の若年性エキソソームの用量と比較した場合に結果を改善したように思われる。さらに、7日間の培養後、CD34+細胞の増加した頻度を、エキソソームを補充した全ての試料において観察した。結果は、若年性エキソソームを補充した全ての培養において増加した全細胞生存率を観察したということも実証した。データは、養子細胞修復療法がトランズウェル培養の非存在下で可能であるということを示唆している。
【実施例3】
【0094】
細胞修復に影響を及ぼす原因でありうるマイクロRNAの同一性を調査した。幹細胞を、5人の対象から得た。対象R1、R2及びR3は、60歳を超えるレシーバー対象であった。対象D1及びD2は、組成物を得た時に30歳未満のドナー対象であった。組成物は、NEUPOGENを用いた動員後に対象から得て、標準的なプロトコルを、組成物を得るために利用した。得られた組成物の質を、フローサイトメトリー及び標準的なプロトコルを利用したクローン原性アッセイによって分析した。本明細書で開示されるのトランズウェル実験を行い、ドナー組成物をトランズウェルアセンブリの上部チャンバに配置し、レシーバー組成物を下部チャンバに配置し、組成物を3日又は7日後に分析した。全RNAを、精製したエキソソームから抽出し、Qiagenから入手可能なMIFINDER qPCR ARRAYを使用して84のmiRNAを探索するためにcDNAに変換した。候補マイクロRNAを、幹細胞の新鮮な培養物を使用して確認し、若年性細胞、成熟細胞及び異時性細胞において細胞内でさらに検証した。
【0095】
エキソソーム産生の量及びエキソソームRNA含量を決定し、その結果が表5において示されている。
【0096】
【表5】
研究された異なる集団間の比較として、84の一般的に発現されるマイクロRNAのエキソソームプロファイリングが、図2において示されている。このプロットは、老齢細胞対若年細胞におけるエキソソームマイクロRNAの詰め込みにおいて強烈な差を実証している。
【0097】
結果は、その作用が養子細胞修復療法のプロセスに影響を及ぼしうる第1のセットのエキソソームのマイクロRNA候補も同定した。具体的には、miR-146a、miR-103a、miR-106a及びmiR-19aを、アレイの相対的定量化後に統計的有意性に向かう傾向を示すエキソソーム候補として検証した。miR-19aは、異時性細胞集団対成熟幹細胞集団において統計的有意性を実証し、p<0.05であった。表6は、同定されたmiRのそれぞれに対する全マイクロRNA産生の量及び細胞内マイクロRNA産生の量における相対的変化を提供している。
【0098】
【表6】
養子細胞修復療法を促進することに関与する候補マイクロRNAは、miR-146a、miR-103a、miR-106a及びmiR-19aであった。候補マイクロRNAの組み合わせを、CD34+細胞ヒトヌクレオフェクターキット(Lonza)及びヒトCD34+細胞プロトコルを使用して、成熟血液細胞に総濃度60nMでヌクレオフェクトし、CD34+幹細胞の生存率及びクローン形成能に対する効果を、siRNA溶媒対照群と比較して評価した。さらに、miR-103a、miR-106b及びmiR-19aのマイクロRNAの組み合わせを、P3一次細胞4D-ヌクレオフェクターXキット(Lonza)及びヒトT細胞高性能プロトコルを使用して、成熟血液細胞に総濃度90nMでヌクレオフェクトし、T細胞活性化及び細胞媒介性細胞傷害に対する効果を、siRNA溶媒対照群と比較して評価した。これらの研究からのデータが、表7において示されている。
【0099】
【表7】
【実施例4】
【0100】
同定された養子細胞修復療法を促進することに関与するさらなる候補マイクロRNAは、miR-1303、miR-7851-3p、miR-223、miR-4497、miR-619-5p及びmiR-1273fであった。これらのさらなる候補マイクロRNAの組み合わせを、CD34+細胞ヒトヌクレオフェクターキット(Lonza)及びヒトCD34+細胞プロトコルを使用して、成熟血液細胞に総濃度60nMでヌクレオフェクトし、CD34+クローン形成能に対する効果を、siRNA溶媒対照群と比較して評価した。これらの研究からのデータが、表8において示されている。
【0101】
【表8】
【0102】
第1の態様は、単離されたマイクロRNAを含む組成物を対象に投与する工程を含む方法であり、単離されたマイクロRNAは、miR-19a-3p(配列番号1);miR-103a-3p(配列番号2);miR-106b-5p(配列番号3);miR-146a-5p(配列番号4);miR-223-5p(配列番号5);miR-4497(配列番号6);miR-1303(配列番号7);miR-619-5p(配列番号8);miR-1273f(配列番号9);miR-7851-3p(配列番号10);その機能的バリアント;及び、その組み合わせ;を含む群から選択された配列を有する。
【0103】
第2の態様は、単離されたマイクロRNAが、配列番号1と少なくとも約65%の配列同一性を有するオリゴヌクレオチド;配列番号2と少なくとも65%の配列同一性を有するオリゴヌクレオチド;配列番号3と少なくとも65%の配列同一性を有するオリゴヌクレオチド;配列番号4と少なくとも65%の配列同一性を有するオリゴヌクレオチド;配列番号5と少なくとも65%の配列同一性を有するオリゴヌクレオチド;配列番号6と少なくとも65%の配列同一性を有するオリゴヌクレオチド;配列番号7と少なくとも65%の配列同一性を有するオリゴヌクレオチド;配列番号8と少なくとも65%の配列同一性を有するオリゴヌクレオチド;配列番号9と少なくとも65%の配列同一性を有するオリゴヌクレオチド;配列番号10と少なくとも65%の配列同一性を有するオリゴヌクレオチド;及び、その組み合わせ;を含む群から選択される、第1の態様の方法である。
【0104】
第3の態様は、単離されたマイクロRNAが、配列番号1と少なくとも約65%の配列同一性を有するオリゴヌクレオチド;配列番号2と少なくとも65%の配列同一性を有するオリゴヌクレオチド;配列番号3と少なくとも65%の配列同一性を有するオリゴヌクレオチド;配列番号4と少なくとも65%の配列同一性を有するオリゴヌクレオチド;配列番号5と少なくとも65%の配列同一性を有するオリゴヌクレオチド;配列番号6と少なくとも65%の配列同一性を有するオリゴヌクレオチド;配列番号7と少なくとも65%の配列同一性を有するオリゴヌクレオチド;配列番号8と少なくとも65%の配列同一性を有するオリゴヌクレオチド;配列番号9と少なくとも65%の配列同一性を有するオリゴヌクレオチド;配列番号10と少なくとも65%の配列同一性を有するオリゴヌクレオチド;及び、その組み合わせ;を含む模倣物である、第1又は第2の態様の方法である。
【0105】
第4の態様は、組成物が、miR-19a-3p(配列番号1);miR-103a-3p(配列番号2);miR-106b-5p(配列番号3);miR-146a-5p(配列番号4);その機能的バリアント;又は、その組み合わせ;を含む、第1の態様の方法である。
【0106】
第5の態様は、組成物が、miR-19a-3p(配列番号1);その模倣物、その機能的バリアント、又は、その組み合わせを含む、第1の態様の方法である。
【0107】
第6の態様は、組成物が、溶媒をさらに含む、第1から第5の態様のうちいずれかの態様の方法である。
【0108】
第7の態様は、溶媒が、ナノ粒子、ミセル、リポソーム、ニオソーム、微粒子、シクロデキストリン又はその組み合わせを含む、第6の態様の方法である。
【0109】
第8の態様は、修復幹細胞を調製する方法であり、i)成体幹細胞を含む試料を得る工程;ii)修復幹細胞を生成するために、単離されたマイクロRNAの存在下で試料を培養する工程であり、単離されたマイクロRNAは、miR-19a-3p(配列番号1);miR-103a-3p(配列番号2);miR-106b-5p(配列番号3);miR-146a-5p(配列番号4);miR-223-5p(配列番号5);miR-4497(配列番号6);miR-1303(配列番号7);miR-619-5p(配列番号8);miR-1273f(配列番号9);miR-7851-3p(配列番号10);その機能的バリアント;及び、その組み合わせ;を含む群から選択された配列を有する、工程;及び、iii)修復幹細胞を試料から回収する工程であり、修復幹細胞は、成体幹細胞に比較される場合に、C-abl発がん遺伝子-1非受容体チロシンキナーゼ;V-aktマウス胸腺腫ウイルス発がん遺伝子ホモログ1;アルデヒドデヒドロゲナーゼ1ファミリー、メンバーA3;血管拡張性失調症変異;BMI1ポリコームリングフィンガー発がん遺伝子;カルレティキュリン;サイクリンA2;サイクリンB1;サイクリンD1;サイクリンEl;CD44分子、細胞分裂周期25ホモログC;サイクリン依存性キナーゼ2;サイクリン依存性キナーゼ4;サイクリン依存性キナーゼ6;サイクリン依存性キナーゼ阻害因子1A;サイクリン依存性キナーゼ阻害因子1B;サイクリン依存性キナーゼ阻害因子1C;サイクリン依存性キナーゼ阻害因子2A;サイクリン依存性キナーゼ阻害因子2B;サイクリン依存性キナーゼ阻害因子2C;及び、サイクリン依存性キナーゼ阻害因子2D;を含む群から選択される1又は複数の遺伝子に対して約1.5倍を超える発現における変化によって特徴づけられる、工程;を含む。
【0110】
第9の態様は、キャリア、賦形剤、安定剤、抗酸化剤、ポリペプチド、タンパク質、親水性ポリマー、アミノ酸、炭水化物、キレート剤、糖アルコール塩形成対イオン、非イオン性界面活性剤、又は、その組み合わせと修復細胞を接触させて、医薬製剤を形成する工程をさらに含む、第8の態様の方法である。
【0111】
第10の態様は、医薬製剤を、それを必要とする対象に投与する工程をさらに含む、第8又は第9の態様の方法である。
【0112】
第11の態様は、医薬製剤の投与に先立つ対象の末梢血の骨髄:リンパの比に比較した場合に、対象が、約0.5:1から約0.05:1分だけ減少した末梢血の骨髄:リンパの比を有する、第10の態様の方法である。
【0113】
第12の態様は、医薬製剤の投与に先立つ対象の末梢血のCD4+:CD8+のT細胞の比に比較した場合に、対象が、約1:1から約3:1分だけ増加した末梢血のCD4+:CD8+のT細胞の比を有する、第10又は第11の態様の方法である。
【0114】
第13の態様は、修復幹細胞の組成物を調製する方法であり:(i)成体幹細胞を含む細胞試料を得る工程;(ii)修復幹細胞を生成するために、単離されたマイクロRNAの発現に対する核酸配列を有するベクター構築物を成体幹細胞に導入する工程であり、単離されたマイクロRNAは、miR-19a-3p(配列番号1);miR-103a-3p(配列番号2);miR-106b-5p(配列番号3);miR-146a-5p(配列番号4);miR-223-5p(配列番号5);miR-4497(配列番号6);miR-1303(配列番号7);miR-619-5p(配列番号8);miR-1273f(配列番号9);miR-7851-3p(配列番号10);その機能的バリアント;及び、その組み合わせ;を含む群から選択された配列を有する、工程;及び、(iii)修復幹細胞を回収する工程;を含む。
【0115】
第14の態様は、ベクターが、マイクロRNAに作動可能に連結されるプロモーター配列を含む、第13の態様の方法である。
【0116】
第15の態様は、修復幹細胞が、単離されたマイクロRNAを構成的に発現する、第13又は14の態様の方法である。
【0117】
第16の態様は、修復幹細胞が、単離されたマイクロRNAを誘導的に発現する、第13又は14の態様の方法である。
【0118】
第17の態様は、修復幹細胞を、それを必要とする対象に投与する工程をさらに含む、第13から16の態様のうちいずれかの態様の方法である。
【0119】
第18の態様は、成体幹細胞を含む医薬製剤であり、成体幹細胞は、マイクロRNAの発現に対するオリゴヌクレオチドに作動可能に連結されるプロモーター要素を有するプラスミドを含み、マイクロRNAは、miR-19a-3p(配列番号1);miR-103a-3p(配列番号2);miR-106b-5p(配列番号3);miR-146a-5p(配列番号4);miR-223-5p(配列番号5);miR-4497(配列番号6);miR-1303(配列番号7);miR-619-5p(配列番号8);miR-1273f(配列番号9);miR-7851-3p(配列番号10);その機能的バリアント;及び、その組み合わせ;を含む群から選択された配列を有する。
【0120】
第19の態様は、miR-19a-3p(配列番号1);miR-103a-3p(配列番号2);miR-106b-5p(配列番号3);miR-146a-5p(配列番号4);miR-223-5p(配列番号5);miR-4497(配列番号6);miR-1303(配列番号7);miR-619-5p(配列番号8);miR-1273f(配列番号9);miR-7851-3p(配列番号10);その機能的バリアント;及び、その組み合わせ;を含む群から選択された、単離されたマイクロRNAを含む医薬製剤である。
【0121】
第20の態様は、単離されたマイクロRNAが、miR-4497(配列番号6);miR-619-5p(配列番号8);miR-7851-3p(配列番号10);その機能的バリアント;又は、その組み合わせ;を含む、第19の態様の製剤である。
【0122】
第21の態様は、医薬製剤を形成するために、キャリア、賦形剤、安定剤、抗酸化剤、ポリペプチド、タンパク質、親水性ポリマー、アミノ酸、炭水化物、キレート剤、糖アルコール塩形成対イオン、非イオン性界面活性剤、又は、その組み合わせをさらに含む、第18から20の態様のうちいずれかの態様の製剤である。
【0123】
第22の態様は、第18から21の態様のうちいずれかの態様の製剤を含むキットである。
【0124】
本出願からのあらゆる米国国内段階出願のために、本開示において言及される全ての刊行物及び特許は、それらの刊行物に記載されている構築物及び方法論を記載及び開示する目的で、その全体が参照により本明細書に援用され、本開示の方法に関連して使用されてよい。先に及び本明細書全体にわたって考察されるいかなる刊行物及び特許も、本出願の出願日に先立つ開示のためにのみ提供される。本明細書におけるいかなるものも、本発明者等が先行発明によりそのような開示よりも先行する資格がないことを認めるものとして解釈されることはない。
【0125】
別段の指示がない限り、例えば炭素原子の数、モル比及び温度の範囲等、いかなるタイプの範囲が開示又は請求されている場合、そのような範囲が合理的に包含しうるそれぞれのありうる数を個々に開示又は請求することを意図しており、いかなる部分的な範囲もその中に包含される。さらに、そのような範囲が合理的に包含しうるそれぞれありうる数を個々に出願人が反映させることを意図するある値の範囲が開示又は請求されている場合、出願人は、ある範囲の開示が、取り換え可能で、そこに包含されるいかなる及び全ての部分的な範囲及び部分的な範囲の組み合わせを開示することを反映することも意図している。従って、出願人は、例えば出願人が出願時に気付いていない参照を構成するため等、何らかの理由で出願人が開示の正確な量目よりも少なく請求するのを選ぶ場合には、いかなるそのようなグループのいかなる個々のメンバー(そのグループ内のいかなる部分的な範囲又は部分的な範囲の組み合わせを含む)を消す又は除外する条件に対する権利を確保する。
【0126】
米国特許商標庁の前のいかなる出願では、本出願の要約は37 C.F.R.§1.72の要件、及び、37 C.F.R.§1.72(b)に述べられている「米国特許商標庁及び公衆が、一般的に、技術的開示の本質と要点を急ぎの検査から迅速に決定するのを可能にする」という目的を満たすために提供されている。従って、本出願の要約は、請求項の範囲を解釈するために、又は、本明細書に開示される事項の範囲を限定するために使用されることを意図していない。さらに、本明細書において利用しうるいかなる見出しも、請求項の範囲を解釈するために、又は、本明細書において開示される事項の範囲を限定するために使用されることを意図しない。例を記載するため、さもなければ、建設的又は予言的として示されているいかなる過去時制の使用も、その建設的又は予言的な例が実際に実行されたことを反映することを意図していない。
図1
図2
図3
【配列表】
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