(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-04
(45)【発行日】2023-09-12
(54)【発明の名称】密封パウチ及び真空コンテナを用いる滅菌装置
(51)【国際特許分類】
A61L 2/26 20060101AFI20230905BHJP
A61L 101/22 20060101ALN20230905BHJP
【FI】
A61L2/26
A61L101:22
(21)【出願番号】P 2021127081
(22)【出願日】2021-08-03
(62)【分割の表示】P 2018559251の分割
【原出願日】2016-12-26
【審査請求日】2021-08-03
(31)【優先権主張番号】10-2016-0087286
(32)【優先日】2016-07-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517394201
【氏名又は名称】プラズマップ カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】リム,ユボン
(72)【発明者】
【氏名】ホン,ジェジュン
【審査官】岡田 三恵
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2005/0147527(US,A1)
【文献】特開平11-221443(JP,A)
【文献】特開2005-312799(JP,A)
【文献】特開2003-310720(JP,A)
【文献】特表2016-533836(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/26
A61L 2/20
A61L 2/16
A61L 101/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理物を収納した真空ラッパーを真空コンテナにロードする段階と、
前記真空コンテナがベース圧力を有するように、前記真空ラッパーが大気圧よりも低い圧力を有するように、前記真空コンテナ及び前記真空ラッパーを排気し、滅菌剤を前記真空ラッパーに注入した後、前記真空ラッパー内の圧力が前記真空コンテナの圧力と等しくなる程度まで前記真空ラッパー
から前記滅菌剤を排気し
つつ、前記真空ラッパーを封止した後に、
前記真空コンテナに外部空気を流入させることで前記真空コンテナ内の圧力を前記真空ラッパー内より高くして、前記真空コンテナと前記真空ラッパーとの
間に圧力差
を生じさせ前記真空ラッパーを圧縮する段階と、を含み、
前記真空ラッパーは、不透過性フィルムを使用し真空形成が可能である、滅菌方法。
【請求項2】
前記真空ラッパーは、前記被処理物を収納及び密封する真空ラッパーであり、
前記真空ラッパー内の圧力と前記真空コンテナ内の圧力とをそれぞれ制御して、前記真空ラッパーの容積を制御する段階をさらに含むことを特徴とする請求項
1に記載の滅菌方法。
【請求項3】
前記真空コンテナ内の圧力は、前記真空ラッパー内の圧力より高く維持されて、ヒータによって加熱された前記真空ラッパーから前記被処理物に熱を効果的に伝達する、請求項
1に記載の滅菌方法。
【請求項4】
前記滅菌剤が供給されて気化される気化器において、前記滅菌剤より先に蒸発した水蒸気を排気する、請求項
1に記載の滅菌方法。
【請求項5】
前記真空ラッパーに滅菌剤が供給された状態で、前記真空ラッパーの圧力は前記真空コンテナの圧力より高いことを特徴とする請求項
1に記載の滅菌方法。
【請求項6】
前記真空ラッパーに前記滅菌剤を排気するプロセスにおいて、前記真空ラッパー内の圧力は、前記真空コンテナ内の圧力に等しい、請求項
1に記載の滅菌方法。
【請求項7】
前記容積を制御する段階では、前記真空ラッパー内の圧力を前記真空コンテナ内の圧力よりも高め、前記真空ラッパーが拡大して前記滅菌剤が拡散するのに必要な容積を確保する、請求項
2に記載の滅菌方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、滅菌装置に関し、特に、真空ラッパー内の対象物体を滅菌するように構成された滅菌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
比較的低温で滅菌プロセス(例えば、滅菌剤として過酸化水素(H2O2)又は二酸化塩素(ClO2)ガスを用いる)を行うのに化学滅菌器が用いられる。
【0003】
滅菌剤として過酸化水素を用いる従来の化学滅菌器では、滅菌剤は、10Torr未満のベース真空圧力を有するように調整される滅菌チャンバに供給される。このような真空状態で、供給される滅菌剤は、60℃以下の低温で気化される。滅菌剤の供給量は、滅菌チャンバの中に拡散される滅菌剤の量により圧力が約30Torrのレベルに保たれるように制御される。真空レベルをこのように制御することにより、メインステップに関する圧力及び温度条件下で過酸化水素を気体状態に維持することと、滅菌プロセス中に、気体滅菌剤が滅菌チャンバ内でラッピングフィルムを通り抜け、対象物体又は物品に到達できるようにすることが可能である。
【0004】
従来の化学滅菌器内に配置された対象物体又は物品の温度をプロセス温度に上げるのに、低い伝熱効率をもつ対流に基づく加熱プロセスが用いられる。例えば、加熱プロセスは、滅菌チャンバの温度をプロセス温度(例えば、摂氏60度)に上げることと、真空引きプロセス及び加熱空気注入プロセスを繰り返すことを含む。ここで、滅菌プロセスのプロセス信頼性を保証するために、最も重要なプロセスパラメータのうちの1つであるプロセス温度が制御されるべきである。したがって、滅菌チャンバ及び対象物品が熱平衡状態に達するようにするために、加熱プロセスに関するプロセス時間を十分に増加させるべきである。
【0005】
滅菌プロセス後の二次感染及び交差感染を防ぐために、従来の滅菌器を用いる滅菌プロセスは、パウチ内に包まれた対象物品に対して行われる。効果的な滅菌プロセスのために、パウチの表面のうちの1つは、一般に、選択透過材料(例えば、TIVEK)で形成され、一方、別の表面は、パウチの中の対象物品を見ることができるように透明フィルム(例えば、PE、PET、又はPE-PETフィルム)で形成される。ここで、選択透過材料は、滅菌プロセス中に滅菌剤を通過させ、且つ微生物を透過させないように選択される。したがって、パウチの滅菌状態を、滅菌プロセス後に維持することができる。しかしながら、滅菌剤が、滅菌プロセス中に、TIVEKフィルムに部分的に吸収される場合があり、これは滅菌剤の損失及び滅菌プロセスの低い効率などのいくつかの技術的問題につながる場合がある。さらに、滅菌剤が、滅菌プロセス後に、ラッピングパウチフィルムに吸収される又はその表面上に残る場合がある。したがって、ユーザがこのような残留滅菌剤に曝されることを防ぐために、浄化プロセスが十分に行われるべきである。
【0006】
滅菌プロセス後に、ユーザの安全のための浄化プロセスが、滅菌チャンバの内面、従来のTIVEKで作製されたラッピングパウチフィルムの内部空間、及びラッピングパウチフィルムの表面から残留滅菌剤を除去するべく滅菌チャンバに対して追加で行われる。例えば、浄化プロセスとして、真空化プロセス、エアレーションプロセス、及びプラズマ放電プロセスのうちの1つが行われる場合がある。しかしながら、このような間接的な浄化プロセスは、対象物品から残留滅菌剤を除去する際の効率が低く、そのため、ユーザの安全を保証するために、浄化プロセスを長時間にわたって行う必要があった。
【0007】
すなわち、迅速且つ安全な滅菌技術の需要が増している。本発明概念のいくつかの実施形態によれば、滅菌剤は、不透過フィルムを備える密封型のパウチへ直接注入される。密封型のパウチを取り囲む真空チャンバは、圧力差を用いてパウチの内容積を拡大するように構成される。したがって、迅速且つ効率的な滅菌プロセスを実現することが可能である。さらに、滅菌剤が密封型のパウチへ直接注入されるので、滅菌剤がパウチの外面上に残ってユーザと接触するのを防ぐことが可能である。これは、追加の浄化プロセスを省略することを可能にし、ユーザの安全を保証する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明概念のいくつかの実施形態は、選択透過フィルム(例えば、TIVEK)を用いる従来の滅菌パッケージングで起こる技術的問題(例えば、滅菌剤の透過性の限界及びその結果としての遅い滅菌の問題)を克服することができる滅菌プロセスを提供する。
【0009】
本発明概念のいくつかの実施形態は、滅菌剤が選択透過フィルム(例えば、TIVEK)に吸収される及びその上に残るときに起こり得るユーザの安全の問題を克服するための技術を提供する。
【0010】
本発明概念のいくつかの実施形態は、選択透過フィルムではなく不透過フィルムが用いられる滅菌プロセスを提供する。この滅菌プロセスの使用は、真空密封を実現し、これにより、滅菌プロセス後に滅菌状態を長時間にわたって維持することを可能にし得る。この滅菌プロセスでは、滅菌剤がラッピングパウチへ直接注入され、パウチの外部に配置された真空コンテナが用いられる。これらは、パウチの容積を確保し、滅菌プロセスを効果的に行うことを可能にし得る。
【0011】
本発明概念のいくつかの実施形態は、ノズルが形成されるパウチを提供する。このパウチの使用は、滅菌剤をパウチへ直接注入すること及び真空密封を実現することを可能にし得る。
【0012】
本発明概念のいくつかの実施形態は、パウチの内面上にプラズマ放電を引き起こすように構成されたパウチを提供する。プラズマ放電は、滅菌プロセス後にパウチ内に残っている滅菌剤を除去するのに用いられ得る。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明概念のいくつかの実施形態によれば、滅菌方法は、対象物体を収容及び密封する真空ラッパーを真空コンテナにロードすることと、真空コンテナ及び真空ラッパーを排気することと、真空コンテナ内に配置され真空状態に維持される真空ラッパーに滅菌剤を注入することと、真空コンテナを大気圧となるようにベントすることを含んでよい。
【0014】
いくつかの実施形態では、方法は、真空コンテナ内に配置された真空ラッパーから滅菌剤を排気することをさらに含んでよい。
【0015】
いくつかの実施形態では、真空ラッパーは、外部ガスの透過を防ぐ材料で形成されてよい。
【0016】
いくつかの実施形態では、対象物体がその中に配置される真空ラッパーは、熱圧着法により封止されてよい。
【0017】
いくつかの実施形態では、真空ラッパーは、真空ラッパーに滅菌剤を注入する及び真空ラッパーからガスを排気するのに用いられる接続部材を含んでよい。
【0018】
いくつかの実施形態では、真空ラッパーの圧力は、真空ラッパーに滅菌剤が注入されるときに真空コンテナのベース圧力よりも高くてよい。
【0019】
いくつかの実施形態では、真空ラッパーの圧力は、真空ラッパーから滅菌剤が排気されるときに真空コンテナのベース圧力に実質的に等しくてよい。
【0020】
いくつかの実施形態では、真空ラッパーは、真空コンテナ内に配置されたヒータにより50℃~65℃に加熱されてよい。
【0021】
いくつかの実施形態では、真空コンテナと真空ラッパーは同時に排気されてよい。
【0022】
いくつかの実施形態では、真空ラッパーに滅菌剤を注入すること及び真空ラッパーから滅菌剤を排気することは、真空ラッパー内に配置された接続部材を用いて行われてよい。
【0023】
いくつかの実施形態では、滅菌剤は、濃度が50重量パーセント以上の過酸化水素であってよい。
【0024】
本発明概念のいくつかの実施形態によれば、滅菌方法は、対象物体を収容及び密封する真空ラッパーを真空コンテナの中にロードすることと、真空コンテナ及び真空ラッパーを排気することと、真空コンテナ内に配置され真空状態に維持される真空ラッパー内にプラズマを生成することと、真空コンテナを大気圧となるようにベントすることを含んでよい。
【0025】
いくつかの実施形態では、方法は、真空コンテナ内に配置され真空状態に維持される真空ラッパーに滅菌剤を注入することをさらに含んでよい。
【0026】
いくつかの実施形態では、プラズマは、誘電体バリア放電により生成されてよい。
【0027】
いくつかの実施形態では、方法は、真空コンテナ内に配置された真空ラッパーから滅菌剤を排気することをさらに含んでよい。
【0028】
いくつかの実施形態では、真空ラッパーは、外部ガスの透過を防ぐ材料で形成されてよい。
【0029】
いくつかの実施形態では、対象物体がその中に配置される真空ラッパーは、熱圧着法により封止されてよい。
【0030】
いくつかの実施形態では、真空ラッパーは、真空ラッパーに滅菌剤を注入する及び真空ラッパーからガスを排気するのに用いられる接続部材を含んでよい。
【0031】
いくつかの実施形態では、真空ラッパーの圧力は、真空ラッパーに滅菌剤が注入されるときに真空コンテナのベース圧力よりも高くてよい。
【0032】
いくつかの実施形態では、真空ラッパーの圧力は、真空ラッパーから滅菌剤が排気されるときに真空コンテナのベース圧力に実質的に等しくてよい。
【0033】
いくつかの実施形態では、真空ラッパーは、真空コンテナ内に配置されたヒータにより50℃~65℃に加熱されてよい。
【0034】
いくつかの実施形態では、真空コンテナと真空ラッパーは同時に排気されてよい。
【0035】
いくつかの実施形態では、真空ラッパーに滅菌剤を注入すること及び真空ラッパーから滅菌剤を排気することは、真空ラッパー内に配置された接続部材を用いて行われてよい。
【0036】
いくつかの実施形態では、滅菌剤は、濃度が50重量パーセント以上の過酸化水素であってよい。
【0037】
本発明概念のいくつかの実施形態によれば、滅菌装置は、真空コンテナと、対象物体を収容及び密封するべく真空コンテナの中にロードされる真空ラッパーと、真空コンテナ及び真空ラッパーを排気する真空ポンプと、真空ラッパーに滅菌剤を注入する滅菌剤提供部と、真空コンテナに空気を注入する空気注入部とを含んでよい。真空ラッパーに滅菌剤が注入された後で、真空コンテナは、ベース圧力の真空状態に維持されてよく、真空ラッパーの圧力は、ベース圧力よりも高くてよい。
【0038】
いくつかの実施形態では、真空ラッパーは、順次にスタックされる、接地層、誘電体層、及びホールアレイパターンをもつ導電層を含んでよい。接地層は、真空ラッパーの外側フィルムとして用いられてよく、導電層は、真空ラッパーの内側フィルムとして用いられてよい。
【0039】
いくつかの実施形態では、滅菌装置は、真空コンテナの外部に設けられ、接地層及び導電層にAC電力を供給するのに用いられる、交流(AC)電源をさらに含んでよい。
【0040】
いくつかの実施形態では、滅菌剤提供部は、外部から供給される滅菌剤を加熱及び気化するように構成された気化器、気化器の出力端と真空ラッパーの接続部材との間の第1の弁、及び気化器の出力端と真空ポンプの入力端との間の第2の弁を含んでよい。
【0041】
いくつかの実施形態では、空気注入部は、外部空気をフィルタするのに用いられるエアフィルタ、真空コンテナの入力/出力端と真空ポンプの入力端との間の第3の弁、及びエアフィルタと真空コンテナの入力/出力端との間の第4の弁を含んでよい。
【0042】
いくつかの実施形態では、真空コンテナは、真空ラッパーをロードするのに用いられるドア、真空コンテナ内に配置され真空ラッパーをロード及び加熱するのに用いられる下側ヒータ、及び真空コンテナを加熱するのに用いられる上側ヒータのうちの少なくとも1つを含んでよい。
【0043】
いくつかの実施形態では、真空ラッパーは、真空ラッパーに外部からの滅菌剤を供給する及び真空ラッパーの内部空間からガスを排気するのに用いられる接続部材を含んでよい。接続部材は、真空ラッパーに熱圧着されてよく、貫通穴を有してよく、接続部材に隣接する真空ラッパーの一部は、滅菌剤の排気プロセス後に熱圧着されてよい。
【0044】
いくつかの実施形態では、真空ラッパーは、熱圧着プロセスを通じて内部空間を提供するのに用いられる、下側フィルム及び上側フィルムを含んでよい。導電層は、ホールアレイパターンをもつ放電領域と、放電領域から延びるパッド領域を含んでよい。上側フィルムは、パッド領域に面するように形成される開口部を含んでよく、接着剤フィルムが、開口部と位置合わせされるように配置されてよく、接着剤フィルムの一部は、開口部に隣接する上側フィルムと接触し、封止された空間を提供してよく、接着剤フィルムの別の部分は、パッド領域と接触し、封止された空間を提供してよい。
【0045】
いくつかの実施形態では、滅菌装置は、真空コンテナ内に設けられ、接着剤フィルムを通り、パッド領域と電気接触する、パワー電極接続部と、パワー電極接続部の周りに設けられ、接着剤フィルムをプレスするのに用いられる、圧着部をさらに含んでよい。
【0046】
本発明概念のいくつかの実施形態によれば、接続部材を備える真空ラッパーが提供されてよい。接続部材は、熱圧着法により真空ラッパー内に設けられてよい。接続部材は、真空コンテナ内で接続部材に結合される結合部材を通じて真空ラッパーとの間で滅菌剤を供給及び排気するための経路として用いられてよい。接続部材は、真空コンテナ内で結合部材に結合されてよく、接続部材に隣接する真空ラッパーの一部は、滅菌剤の排気プロセス後に真空コンテナ内で熱圧着される、熱圧着部分を含んでよい。
【0047】
本発明概念のいくつかの実施形態によれば、上側フィルム及び下側フィルムを備える真空ラッパーが提供されてよい。下側フィルムは、順次にスタックされる、接地層、誘電体層、及びホールアレイパターンをもつ導電層を含んでよい。接地層は、真空ラッパーの外側フィルムとして用いられてよく、導電層は、真空ラッパーの内側フィルムとして用いられてよい。真空ラッパーは、熱圧着法により提供される接続部材を含んでよく、接続部材は、真空コンテナ内で接続部材に結合される結合部材を通じて真空ラッパーとの間で滅菌剤を供給及び排気するための経路として用いられてよい。接続部材は、真空コンテナ内で結合部材に結合されてよく、接続部材に隣接する真空ラッパーの一部は、滅菌剤の排気プロセス後に真空コンテナ内で熱圧着される、熱圧着部分を含んでよい。
【0048】
いくつかの実施形態では、導電層は、ホールアレイパターンをもつ放電領域と、放電領域から延びるパッド領域を含んでよい。上側フィルムは、パッド領域に面するように形成される開口部を有するように設けられてよく、接着剤フィルムが、開口部と位置合わせされるように配置されてよい。接着剤フィルムの一部は、開口部に隣接する上側フィルムと接触し、封止された空間を提供してよく、接着剤フィルムの別の部分は、パッド領域と接触し、封止された空間を提供してよい。
【0049】
発明の有利な効果
本発明概念のいくつかの実施形態によれば、滅菌剤を密封可能なラッピングパウチに直接注入し、これにより、滅菌プロセスの効率を改善するべく、不透過フィルムが用いられる。さらに、不透過フィルムの使用は、滅菌剤がパウチフィルムに吸収される又はパウチの表面上に残るときに起こり得るユーザの安全の問題を克服することを可能にし得る。
【0050】
本発明概念のいくつかの実施形態によれば、不透過フィルムは、滅菌プロセス後にラッピングパウチを真空化及び密封するのに用いられる。これは、従来の半透過フィルムを用いるラッピングパウチと比較して、ラッピングパウチの滅菌状態をより長時間にわたって維持することを可能にし得る。
【0051】
本発明概念のいくつかの実施形態によれば、パウチ内にプラズマを生成することが可能である。プラズマは、対象物品を効果的に加熱し、滅菌プロセス後にパウチ内に残っている滅菌剤を浄化するのに用いられ得る。したがって、効率的且つ安全な滅菌プロセスを実現することが可能である。
【0052】
本発明概念のいくつかの実施形態によれば、真空コンテナ及びパウチ内のプラズマ放電は、加熱ステップ及び浄化ステップを含む滅菌プロセスのプロセス効率を最大にするのに用いられる。これは、迅速且つ安全な滅菌のための滅菌器を提供することを可能にし得る。
【0053】
本発明概念のいくつかの実施形態によれば、真空コンテナは、従来の滅菌チャンバとは違って、真空パウチの容積を確保するのに用いられる。したがって、真空パウチに対して滅菌プロセスを行うのに必要とされる小空間の容積を減少させ、その結果、滅菌プロセスのために用いられる滅菌剤の量を減らすことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【
図1】本発明概念の例示的な実施形態に係る滅菌装置を例示する概略図である。
【
図2】
図1の滅菌装置を用いて行われる滅菌プロセスの例を示す図である。
【
図3A】真空ラッパーと、その上側及び下側のフィルムを例示する平面図である。
【
図3B】真空ラッパーと、その上側及び下側のフィルムを例示する平面図である。
【
図3C】真空ラッパーと、その上側及び下側のフィルムを例示する平面図である。
【
図3D】
図3Cの線I-I’に沿って見た真空ラッパーの断面図である。
【
図4】本発明概念の他の実施形態に係る滅菌装置を例示する概略図である。
【
図5】
図4の滅菌装置を用いて行われる滅菌プロセスの例を示す図である。
【
図6A】真空ラッパーと、その上側及び下側のフィルムを例示する平面図である。
【
図6B】真空ラッパーと、その上側及び下側のフィルムを例示する平面図である。
【
図6C】真空ラッパーと、その上側及び下側のフィルムを例示する平面図である。
【
図6D】
図6Cの線A-A’に沿って見た真空ラッパーの断面図である。
【
図6E】
図6Cの線B-B’に沿って見た真空ラッパーの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
一般に、滅菌剤を用いる化学滅菌プロセスは、ラッパーを対象物体と共に滅菌チャンバ内に配置することを含む場合があり、ここで、ラッパーは、滅菌剤を透過可能な選択透過フィルム(例えば、TIVEK)を含む場合がある。滅菌剤が滅菌チャンバに注入される場合、滅菌剤は、ラッパーを透過し、ラッパー内の対象物体を滅菌し得る。この滅菌方法では、滅菌の効率が、追加のラッパーにより急激に低下する場合がある。さらに、ラッパーに関して、滅菌プロセスにおいて吸着した滅菌剤を除去するのに追加の長時間の浄化プロセスが必要とされる場合がある。滅菌剤が滅菌チャンバに注入されるので、大量の滅菌剤が用いられる。滅菌剤は、環境汚染を引き起こす場合がある。また、滅菌剤を外部に排気する前に、排気浄化プロセスが行われる場合がある。排気浄化プロセスは、真空ポンプの性能の低下につながる場合がある。したがって、少量の滅菌剤を用いる新しい滅菌方法を開発する必要がある。
【0056】
本発明概念のいくつかの実施形態によれば、滅菌プロセスを続けるために、滅菌チャンバの代わりに真空ラッパーが用いられる。真空ラッパーは、滅菌プロセスが完了した後で、ユーザに直接送られてよく、又は長期貯蔵のために用いられてよい。滅菌剤が真空ラッパーに注入される場合、真空ラッパーにより画定される容積は、従来の滅菌チャンバの容積よりもはるかに小さくてよい。したがって、用いられる滅菌剤の量が顕著に低減され得る。
【0057】
真空ポンプを用いて真空ラッパーから空気を排気することにより、真空ラッパーは、大気圧よりも低い真空圧力を有することができ、次いで、滅菌剤が真空ラッパーに注入されてよい。真空ラッパーが大気圧環境にあるケースでは、内部空間と外部空間との圧力の差により真空ラッパーが収縮する場合があり、したがって、滅菌剤の拡散のためのスペースの確保が難しい場合がある。滅菌剤の拡散のためのスペースを確保するために、真空ラッパーは、その圧力が真空ラッパーの圧力よりも低い真空コンテナ内に配置されてよい。したがって、真空ラッパーは、低い外圧により拡大され、これにより、滅菌剤の拡散のためのスペースを提供し得る。このスペースは、滅菌剤の拡散を可能にする経路として用いられてよく、したがって、管腔などの対象物体を安定して滅菌することが可能である。真空コンテナは、真空ラッパーの外圧を制御するのに用いられてよく、真空コンテナの内面は、滅菌剤に曝されなくてよい。したがって、真空コンテナから排気される空気を浄化する必要性はないであろう。すなわち、真空ラッパーに注入される滅菌剤だけが排気及び浄化され得る。
【0058】
滅菌プロセス後に真空ラッパーから滅菌剤が排気される場合、滅菌剤の一部が真空ラッパーの中に残る場合がある。このような残留滅菌剤を効果的に除去するために、真空ラッパーは、誘電体バリア放電を行うように構成される誘電体バリアフィルムを含んでよく、その中に、接地層、誘電体層、及びホールアレイパターンをもつ導電層が設けられる。接地層と導電層との間に高電圧が印加される場合、真空ラッパー内で誘電体バリア放電が起こり得る。誘電体バリア放電は、滅菌剤を無害のガスに分解する浄化プロセスのために用いられてよい。すなわち、誘電体バリア放電を用いる浄化プロセスは、排気プロセス中にリアルタイムで及び滅菌プロセス後に行われてよい。
【0059】
本発明概念のいくつかの実施形態によれば、誘電体バリア放電は、注入される滅菌剤と共に又は注入される滅菌剤なしに、対象物体を加熱することを含んでよい。真空ラッパーが真空化される場合、対流に基づく伝熱は効率的でない場合がある。誘電体バリア放電は、対象物体を滅菌プロセスに関する最適化された温度に加熱するのに用いられてよい。誘電体バリア放電は、ガスを加熱された中性粒子、電子、及びイオンへ分解するのに用いられてよい。加熱された中性粒子又はイオンは、対象物体又は真空ラッパーの内面に入射し、したがって、そのエネルギーが対象物体及び真空ラッパーに伝達され得る。また、対象物体の加熱は、対象物体に残っている水を気化し得る。対象物体における水の存在は、滅菌プロセスの効率の低下につながる場合があり、真空圧力を安定して維持することを難しくし得る。
【0060】
或る実施形態では、誘電体バリア放電のために、酸素又はオゾンなどの滅菌剤を供給及び活性化するプロセスが行われてよい。
【0061】
本発明概念のいくつかの実施形態によれば、ラッピング材料の温度を高めるべくプラズマ放電が行われてよく、次いで、ラッピング材料が外圧よりも低い真空圧力に維持され得る。したがって、ラッピング材料が収縮する場合があり、これは、ラッピング材料を通じた直接熱伝導により対象物体を効果的に加熱することを可能にし得る。
【0062】
本発明概念のいくつかの実施形態によれば、滅菌剤は、真空密封のための不透過フィルムが用いられる真空ラッパーに直接注入されてよく、この場合、滅菌剤の拡散のためのスペースの制限により、滅菌プロセスの効率を向上させることが可能である。さらに、滅菌剤が真空ラッパーに吸収される又は真空ラッパーの外面上に残るときに起こり得るユーザの安全の問題を克服することが可能である。加えて、真空ラッパーが真空パックされるので、真空ラッパーは、滅菌状態での長期貯蔵のために用いられ得る。例えば、真空ラッパーは、真空ラッパーが汚染、高温、及び高湿度環境内に提供されるときであってもその滅菌状態を維持するように用いられてよい。滅菌剤注入ポート又は真空ラッパーの接続部材は、真空コンテナ内で行われる熱圧着プロセスによりリアルタイムで封止されてよい。
【0063】
本発明概念のいくつかの実施形態によれば、真空ラッパーの外部に配置される真空コンテナは、真空ラッパーの容積を確保する又は滅菌剤の拡散のためのスペースを提供するのに用いられてよく、したがって、エンボス加工パターンなどの導管を形成する必要がない。
【0064】
本発明概念のいくつかの実施形態によれば、滅菌剤を真空ラッパー内に効果的に拡散させ、滅菌剤を対象物品に供給するために、滅菌剤の真空ラッパーへの直接供給後に真空ラッパーの十分な容積を確保する必要がある。この目的のために、真空ラッパーの外部に配置される真空コンテナが、滅菌プロセスを行うのに用いられてよい。
【0065】
本発明概念のいくつかの実施形態によれば、対象物体が収容される真空ラッパーを封止し、真空ラッパーの真空化及び真空ラッパーの滅菌剤注入ポートを通じた直接の滅菌剤の供給を可能にするのにポリエチレン(PE)フィルムが用いられてよい。
【0066】
本発明概念のいくつかの実施形態によれば、真空ラッパーは、プラズマを発生させるための電極がその中に形成される、フィルムを含むように構成されてよい。この場合、真空ラッパーに電力を印加することにより、プラズマが真空ラッパー内に生成されてよく、プラズマは、対象物体の温度を効果的に増加させ、滅菌プロセス後に真空ラッパー内に残っている滅菌剤を浄化するのに用いられ得る。したがって、滅菌プロセスの効率を向上させ、ユーザの安全を保障することが可能である。
【0067】
本発明概念のいくつかの実施形態によれば、真空ラッパーは、誘電体障壁層、誘電体障壁層の表面に取り付けられるパターン形成された金属電極、及び誘電体障壁層の反対の表面に取り付けられる接地電極を含むラミネートフィルム構造を有するように構成されてよい。誘電体バリア放電を通じてプラズマを生成するべく真空ラッパーに電力が印加されてよい。プラズマは、加熱プロセス及び浄化プロセスのために用いられてよい。
【0068】
以下、本発明概念の例示的な実施形態を、添付図を参照しながら詳細に説明する。本発明概念の利点及び特徴、並びにこれらを達成する方法を、例示的な実施形態が示される添付図を参照しながらここでより十分に説明する。しかしながら、本発明概念の例示的な実施形態は、多くの異なる形態で具体化されてよく、本明細書に記載された実施形態に限定するものとして解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、この開示が十分且つ完全なものとなり、例示的な実施形態の概念を当該技術分野の当業者に十分に伝えることになるように提供される。本発明概念は請求項によってのみ定められる。
【0069】
本明細書の全体を通して同様の参照番号が同様の要素を指す。したがって、同じ参照番号又は同様の参照番号は図面に記載又は説明されないが、それらは他の図面を参照して説明される場合がある。さらに、参照番号が図示されない場合であっても、それらは他の図面を参照して説明される場合がある。
【0070】
図1は、本発明概念の例示的な実施形態に係る滅菌装置を例示する概略図である。
【0071】
図2は、
図1の滅菌装置を用いて行われる滅菌プロセスの例を示す図である。
【0072】
図3A~
図3Cは、真空ラッパーと、その上側及び下側のフィルムを例示する平面図である。
【0073】
図3Dは、
図3Cの線I-I’に沿って見た真空ラッパーの断面図である。
【0074】
図1~
図3を参照すると、滅菌装置100は、真空コンテナ110、真空ラッパー10、真空ポンプ140、滅菌剤提供部120、及び空気注入部130を含んでよい。ここで、真空ラッパー10は、真空コンテナ110にロードされてよく、対象物体を貯蔵及び密封するのに用いられてよく、真空ポンプ140は、真空コンテナ110及び真空ラッパー10から空気を排気するように構成されてよい。滅菌剤提供部120は、滅菌剤を真空ラッパー10に注入するように構成されてよく、空気注入部130は、空気を真空コンテナ110に注入するように構成されてよい。滅菌剤の真空ラッパー10への注入が終了するとき、真空コンテナ110は、ベース圧力P1の真空状態に維持されてよく、真空ラッパー10の圧力は、ベース圧力P1よりも高くてよい。
【0075】
真空コンテナ110は、固定の形状をもつ金属チャンバであってよい。真空コンテナ110は、真空ラッパー10をロードするのに用いられるドア(図示せず)と、真空コンテナ110内に配置され真空ラッパー10を加熱するのに用いられる下側ヒータ114と、真空コンテナ110を加熱するのに用いられる上側ヒータ112を含んでよい。
【0076】
真空コンテナ110の頂壁又は側壁にドアが設けられてよい。下側ヒータ114は、その上に真空ラッパー10をロードするのに用いられてよい。下側ヒータ114は、真空ラッパー10を約60℃の温度に加熱するのに用いられてよい。上側ヒータ112は、真空コンテナ110の頂壁上に設けられてよく、真空コンテナを約60℃の温度に加熱するのに用いられてよい。
【0077】
滅菌剤提供部120は、外部から供給される滅菌剤を加熱及び気化するのに用いられる気化器122、気化器122の出力端と真空ラッパー10の接続部材17との間に配置される第1の弁126、及び気化器122の出力端と真空ポンプ140の入力端との間に配置される第2の弁128を含んでよい。
【0078】
気化器122は、液体滅菌剤が一定注入デバイス(図示せず)を通じて気化器122に供給されるような方法で構成されてよい。滅菌剤が過酸化水素であるケースでは、気化器122は、約70℃~100℃の温度に加熱されてよい。液体滅菌剤は気化され得る。気化器122の出力端を通って気化された滅菌剤が第1の弁126を通じて真空ラッパー10に注入されてよい。真空ラッパー10は、真空ラッパー10に滅菌剤が供給されること及び真空ラッパーの内部空間からガスを排気することを可能にするように構成される接続部材17を含んでよい。接続部材17に結合される結合部材116が、真空コンテナ110内に配置されてよい。結合部材116は、ワンタッチフィッティング法により接続部材17に結合されてよい。
【0079】
第2の弁128は、気化器122の出力端と真空ポンプ140の入力端との間に配置されてよい。第2の弁128が開かれ、第1の弁126が閉じられるケースでは、気化器122により気化された滅菌剤の一部が真空ポンプ140により外部へ排気されてよい。液体の過酸化水素滅菌剤が気化器に供給されるケースでは、このプロセスは、気化した水分子を除去し、これにより、滅菌剤の濃度を増加させる、濃縮プロセスにおいて用いられてよい。
【0080】
空気注入部130は、外部から提供される空気をフィルタするのに用いられるエアフィルタ136、真空コンテナ110の入力/出力端と真空ポンプ140の入力端との間に配置される第3の弁132、及びエアフィルタ136と真空コンテナ110の入力/出力端との間に配置される第4の弁134を含んでよい。
【0081】
エアフィルタ136は、外部空気から粒子及び細菌を除去することができるHEPA(high efficiency particulate air filter)フィルタであってよい。第4の弁134は、真空コンテナ110の入力/出力端を通じて空気を真空コンテナ110へ供給し、これにより、真空コンテナ110の圧力を増加させるのに用いられてよい。第3の弁132は、真空コンテナ110の入力/出力端と真空ポンプ140の入力端との間に設けられてよい。第3の弁132が開かれ、他の弁が閉じられると、真空ポンプ140は、真空コンテナ110から真空コンテナ110の入力/出力端を通じてガスを排気し、これにより、真空コンテナ110の圧力をベース圧力P1へ減少させるのに用いられてよい。ベース圧力P1は、数十Torr未満であってよい。
【0082】
真空ポンプ140は、第3の弁132を通じて真空コンテナ110を排気する、及び、第1の弁126及び第2の弁128を通じて真空ラッパー10を排気するのに用いられてよい。真空ポンプ140は、ロータリーポンプ142及びミストトラップ141を含んでよい。
【0083】
真空ラッパー10は、真空ラッパー10に滅菌剤が供給されること及び真空ラッパー10の内部空間からガスを排気することを可能にするように構成される接続部材17を含んでよい。接続部材17は、真空ラッパー10に熱圧着されてよく、貫通穴17bを含んでよい。接続部材17に隣接する部分102は、滅菌剤を排気するプロセスの終了後に熱圧着されてよい。いくつかの実施形態では、真空ラッパー10は、熱圧着法により容易に封止することができるポリエチレンで形成されてよい又は含んでよい。或る実施形態では、真空ラッパー10は、熱圧着法により容易に封止することができる種々のプラスチック材料のうちの少なくとも1つで形成されてよい又は含んでよい。
【0084】
対象物体が真空ラッパー10内に配置されるとき、真空ラッパー10は、熱圧着法により真空密封されてよい。真空ラッパー10は、外部ガスが真空ラッパー10を透過するのを防ぐことができる不透過性材料で形成されてよい。例えば、真空ラッパー10は、ポリエチレンで形成されてよい。真空ラッパー10は、下側フィルム11及び上側フィルム15を含んでよい。下側フィルム11及び上側フィルム15は、縁部熱圧着19を通じて真空ラッパー10の内部空間を提供するのに用いられてよい。
【0085】
真空ラッパー10は、熱圧着法により真空ラッパー10内に形成される接続部材17を含んでよい。真空コンテナ110において、接続部材17は、滅菌剤が結合部材116を通じて真空ラッパー10に供給されること及び真空ラッパー10から排気されることを可能にする経路として用いられてよい。接続部材17は、真空コンテナ110内で結合部材116に結合されてよく、滅菌剤を排気するプロセスの後で、熱圧着法により真空コンテナ110内で接続部材17の近くに熱圧着部分が形成されてよい。熱圧着部分は、真空コンテナ110内に設けられた熱圧着デバイス101を用いて形成されてよい。
【0086】
接続部材17は、真空ラッパー10の内部空間を真空化する又は滅菌剤を真空ラッパー10に供給するのに用いられてよい。接続部材17は、真空ラッパー10の表面を通して形成される開口部へ挿入されてよく、熱圧着法により真空ラッパー10に固定されてよい。真空コンテナ110において、接続部材17は、結合部材116に結合されてよく、真空ラッパー10との間で滅菌剤を排気及び供給するための経路として用いられてよい。滅菌プロセス後に、接続部材17の近くの下側フィルム11及び上側フィルム15を封止するべく真空状態で熱圧着法が行われてよい。したがって、真空ラッパー10は真空パックされ得る。
【0087】
或る実施形態では、接続部材17は、真空ラッパー10を真空化するための接続部材及び滅菌剤を供給するための他の接続部材を含んでよい。
【0088】
以下、この滅菌装置を用いる滅菌プロセスを説明する。
【0089】
この滅菌方法は、対象物体を収容及び密封する真空ラッパー10を真空コンテナ110にロードすることと(S1において)、真空コンテナ110及び真空ラッパー10を排気することと(S2において)、真空コンテナ110内に配置され真空状態に維持される真空ラッパー10に滅菌剤を注入することと(S5において)、真空コンテナ110を大気圧となるようにベントすること(S8において)を含んでよい。真空ラッパー10は、外部ガスが真空ラッパー10へ透過するのを防ぐ材料で形成されてよい。
【0090】
例として、対象物体は医療器具であり得る。対象物体は、真空ラッパー10内に配置されてよく、次いで、真空ラッパー10の縁部領域19が熱圧着法により封止されてよい。封止された真空ラッパー10は、真空コンテナ110にロードされてよく、真空コンテナ110が密封されてよい(S1において)。この場合、内部空間と外部空間との圧力の差は存在しないので、真空ラッパー10は一定の容積を有し得る。真空ラッパー10は、真空コンテナ110内に設けられたヒータにより50℃~65℃の温度まで加熱されてよい。
【0091】
その後、真空コンテナ110及び真空ラッパー10が排気されてよい(S2において)。真空コンテナ110が、ベース圧力を有するように排気されてよく、真空ラッパー10が、大気圧よりも低い圧力を有するように排気されてよい。第4の弁134が閉じられてよく、第1~第3の弁126、128、及び132が開かれてよい。真空ラッパー10は、滅菌剤を真空ラッパー10に注入する又は真空ラッパー10から内部ガスを排気するのに用いられる接続部材17を含んでよい。真空コンテナ110と真空ラッパー10は同時に排気されてよい。真空コンテナ110の圧力は、真空ラッパー10の圧力に実質的に等しい又は僅かにより低い場合がある。この場合、真空ラッパー10の内部空間と外部空間との圧力の差が実質的に存在しないので、真空ラッパー10は一定の容積を有し得る。真空コンテナ110及び真空ラッパー10の圧力が所望の値に達した場合、第1~第3の弁126、128、及び132が閉じられてよい。
【0092】
次に、液体滅菌剤が、気化器122に供給されてよい(S3において)。滅菌剤は、過酸化水素であってよい。気化器122は、約70℃~100℃の温度まで加熱されてよい。したがって、供給される滅菌剤に含まれる水が事前に気化され得る。
【0093】
或る実施形態では、真空コンテナ110の圧力は、真空ラッパー10の圧力よりも高いレベルに維持されてよく、これは、加熱されたラッピング材料の熱が対象物体へより効率よく伝達されることを可能にし得る。ここで、真空コンテナ110に接続された第3の弁132が閉じられてよく、第4の弁134が開かれてよく、したがって、真空コンテナ110の圧力が、真空コンテナ110に注入される外部空気により増加され得る。
【0094】
その後、気化器濃縮プロセスが行われてよい(S4において)。外部から供給される液体の過酸化水素は、50重量パーセント以下の濃度を有してよい。過酸化水素の濃度を増加させるべく気化器濃縮プロセスが行われてよい。例えば、気化器122内の気化した水蒸気を真空ポンプ140により外部へ排気するべく第2の弁128が開かれてよい。濃縮プロセスの結果として、過酸化水素の濃度が70重量パーセント以上に増加し得る。過酸化水素の濃度がより高くなれば、滅菌のためのプロセス時間がより短くなる。いくつかの実施形態では、滅菌剤は、濃度が50重量パーセント以上の過酸化水素であってよい。
【0095】
次に、濃縮された滅菌剤が真空ラッパー10に注入されてよい。例えば、第2の弁128が閉じられ、第1の弁126が開かれる場合、気化器122の中で気化された滅菌剤が真空ラッパー10に注入されてよい(S5において)。滅菌剤が真空ラッパー10に注入される場合、真空ラッパー10は、真空コンテナ110のベース圧力よりも高い圧力P2を有し得る。例えば、真空ラッパー10の圧力P2は、数Torr~数十Torrの範囲であり得る。この場合、真空ラッパー10の内部空間と外部空間との圧力の差により、真空ラッパー10は、滅菌剤の拡散のための十分な容積を有するように拡大し得る。気化された滅菌剤は、対象物体を滅菌するのに用いられてよい。滅菌剤の注入が終了するとき、真空ラッパーの圧力10は約数十Torrであり得る。所定量の滅菌剤が真空ラッパー10に注入される場合、第1の弁126が閉じられてよい。
【0096】
その後、真空ラッパー10内の滅菌剤が排気されてよい(S6において)。真空ラッパー10から滅菌剤が排気される場合、真空ラッパーの圧力10は、真空コンテナ110のベース圧力に等しくなり得る。この目的のために、第1の弁126及び第2の弁128が開かれてよい。真空ラッパー10内の滅菌剤は、真空ポンプ140により外部へ排気されてよい。このケースでは、真空ラッパーの圧力10が真空コンテナ110のベース圧力と同様のレベルに減少し得る。したがって、真空ラッパー10の内部空間と外部空間との圧力の差が実質的に存在しない場合があり、したがって、真空ラッパー10が収縮し得る。真空ラッパー10から滅菌剤を排気するステップが終了する場合、第1の弁126及び第2の弁128が閉じられてよい。
【0097】
次に、真空コンテナ110において、接続部材17に隣接する真空ラッパー10の部分102が熱圧着法により封止されてよい(S7において)。いくつかの実施形態では、対象物体がその中に配置される真空ラッパー10を封止するべく熱圧着法が行われてよい。真空ラッパー10は、真空ラッパー10から滅菌剤及び空気が排気されるときに封止されてよい。
【0098】
その後、真空コンテナ110の圧力が大気圧に達するまで外部空気が真空コンテナ110に注入されてよい(S8において)。例えば、第1~第3の弁126、128、及び132が閉じられてよく、第4の弁134が開かれてよい。したがって、外部空気が真空コンテナ110へ流入し得る。真空コンテナ110の圧力が大気圧に近づく際に、真空ラッパー10が圧力差により圧縮され得る。
【0099】
或る実施形態では、外部空気が真空コンテナ110に注入されるとき、外部空気は、真空ラッパー10にも注入され得る。このケースでは、真空ラッパー10の内部空間と外部空間との圧力の差が実質的に存在しない場合があり、したがって、真空ラッパー10は、大気圧の下で一定の容積に維持され得る。真空ラッパー10が低い内部圧力を有し、ゆえに、大気圧環境下で収縮するケースでは、圧力差が、真空ラッパー10内に配置された対象物体の損傷を引き起こし得る。この問題を回避するために、ベントするステップが真空コンテナ110に対して行われるときに、真空コンテナ110は、大気圧となるようにベントされてよい。
【0100】
次に、真空ラッパー10が、真空コンテナ110からアンロードされてよい(S9において)。
【0101】
本発明概念のいくつかの実施形態に係る滅菌方法では、真空ラッパー10における滅菌剤の拡散のためのスペースを確保するために、真空コンテナ110において真空ラッパー10が排気されてよく、真空ラッパー10に滅菌剤が供給されてよく、真空ラッパー10から滅菌剤が排気されてよい。さらに、真空ラッパー10に滅菌剤が供給される場合、真空ラッパー10は、真空コンテナ110の圧力よりも高い圧力を有し得る。このケースでは、小さい滅菌スペースにより、滅菌プロセスの効率を向上させ、用いられる滅菌剤の量を減らすことが可能である。加えて、真空ラッパー10の外側フィルムが滅菌剤で汚染されないので、ユーザの安全を向上させることができる。真空ラッパー10は、従来の透過性ラッパーと比較して長期貯蔵のために用いられ得る。
【0102】
図4は、本発明概念の他の実施形態に係る滅菌装置を例示する概略図である。
【0103】
図5は、
図4の滅菌装置を用いて行われる滅菌プロセスの例を示す図である。
【0104】
図6A~
図6Cは、真空ラッパーと、その上側及び下側のフィルムを例示する平面図である。
【0105】
図6Dは、
図6Cの線A-A’に沿って見た真空ラッパーの断面図である。
【0106】
図6Eは、
図6Cの線B-B’に沿って見た真空ラッパーの断面図である。
【0107】
図4、
図5、及び
図6A~
図6Eを参照すると、滅菌装置200は、真空コンテナ110、真空ラッパー10a、真空ポンプ140、滅菌剤提供部120、及び空気注入部130を含んでよい。ここで、真空ラッパー10aは、真空コンテナ110にロードされてよく、対象物体を貯蔵及び密封するのに用いられてよく、真空ポンプ140は、真空コンテナ110及び真空ラッパー10aから空気を排気するように構成されてよい。滅菌剤提供部120は、滅菌剤を真空ラッパー10aに注入するように構成されてよく、空気注入部130は、空気を真空コンテナ110に注入するように構成されてよい。滅菌剤の真空ラッパー10aへの注入が終了したとき、真空コンテナ110は、ベース圧力P1の真空状態に維持されてよく、真空ラッパー10aの圧力は、ベース圧力P1よりも高くてよい。
【0108】
真空コンテナ110は、固定の形状をもつ金属チャンバであってよい。真空コンテナ110は、真空ラッパー10aをロードするのに用いられるドア(図示せず)と、真空コンテナ110内に配置され真空ラッパー10aをロード及び加熱するのに用いられる下側ヒータ114と、真空コンテナ110を加熱するのに用いられる上側ヒータ112を含んでよい。
【0109】
真空コンテナ110の頂壁又は側壁にドアが設けられてよい。下側ヒータ114は、その上に真空ラッパー10aをロードするのに用いられてよい。下側ヒータ114は、真空ラッパー10aを約60℃の温度に加熱するのに用いられてよい。上側ヒータ112は、真空コンテナ110の頂壁上に設けられてよく、真空コンテナ110を約60℃の温度に加熱するのに用いられてよい。
【0110】
滅菌剤提供部120は、外部から供給される滅菌剤を加熱及び気化するのに用いられる気化器122、気化器122の出力端と真空ラッパー10aの接続部材17との間に配置される第1の弁126、及び気化器122の出力端と真空ポンプ140の入力端との間に配置される第2の弁128を含んでよい。
【0111】
気化器122は、液体滅菌剤が一定注入デバイス(図示せず)を通じて気化器122に供給されるような方法で構成されてよい。滅菌剤が過酸化水素であるケースでは、気化器122は、約70℃~100℃の温度に加熱されてよい。液体滅菌剤は気化され得る。気化器122の出力端を通って気化された滅菌剤が第1の弁126を通じて真空ラッパー10aに注入されてよい。真空ラッパー10aは、真空ラッパー10aに外部からの滅菌剤を供給する及び真空ラッパー10aの内部空間からガスを排気するのに用いられる接続部材17を含んでよい。接続部材17に結合される結合部材116が、真空コンテナ110内に配置されてよい。結合部材116は、ワンタッチフィッティング法により接続部材17に結合されてよい。
【0112】
第2の弁128は、気化器122の出力端と真空ポンプ140の入力端との間に配置されてよい。第2の弁128が開かれ、第1の弁126が閉じられるケースでは、気化器122により気化された滅菌剤の一部が真空ポンプ140により外部へ排気されてよい。液体の過酸化水素滅菌剤が気化器に供給されるケースでは、このプロセスは、気化した水分子を除去し、これにより、滅菌剤の濃度を増加させる、濃縮プロセスにおいて用いられてよい。
【0113】
空気注入部130は、外部から提供される空気をフィルタするのに用いられるエアフィルタ136、真空コンテナ110の入力/出力端と真空ポンプ140の入力端との間に配置される第3の弁132、及びエアフィルタ136と真空コンテナ110の入力/出力端との間に配置される第4の弁134を含んでよい。
【0114】
エアフィルタ136は、外部空気から粒子及び細菌を除去することができるHEPA(high efficiency particulate air filter)フィルタであってよい。第4の弁134は、真空コンテナ110の入力/出力端を通じて空気を真空コンテナ110へ供給し、これにより、真空コンテナ110の圧力を増加させるのに用いられてよい。第3の弁132は、真空コンテナ110の入力/出力端と真空ポンプ140の入力端との間に設けられてよい。第3の弁132が開かれ、他の弁が閉じられるケースでは、真空ポンプ140は、真空コンテナ110から真空コンテナ110の入力/出力端を通じてガスを排気し、これにより、真空コンテナ110の圧力をベース圧力P1へ減少させるのに用いられてよい。ベース圧力P1は、数十Torr未満であってよい。
【0115】
真空ポンプ140は、第3の弁132を通じて真空コンテナ110を排気する、及び、第1の弁126及び第2の弁128を通じて真空ラッパー10aを排気するのに用いられてよい。真空ポンプ140は、ロータリーポンプ142及びミストトラップ141を含んでよい。
【0116】
真空ラッパー10aは、真空ラッパー10aに滅菌剤を供給する及び真空ラッパー10aの内部空間からガスを排気するのに用いられる接続部材17を含んでよい。接続部材17は、真空ラッパー10aに熱圧着されてよく、貫通穴17bを含んでよい。接続部材17に隣接する部分102は、滅菌剤を排気するプロセスの終了後に熱圧着されてよい。熱圧着部分102は、真空コンテナ110内に設けられた熱圧着デバイス101を用いて形成されてよい。熱圧着デバイス101は、熱圧着プロセスを行うべく真空コンテナ110の中で下降されてよい。いくつかの実施形態では、真空ラッパー10aは、熱圧着法により容易に封止することができるポリエチレンで形成されてよい又は含んでよい。或る実施形態では、真空ラッパー10aは、熱圧着法により容易に封止することができる種々のプラスチック材料のうちの少なくとも1つで形成されてよい又は含んでよい。
【0117】
対象物体が真空ラッパー10a内に配置されるとき、真空ラッパー10aは、縁部熱圧着法により真空密封されてよい。真空ラッパー10aは、外部ガスが真空ラッパー10aを透過するのを防ぐことができる不透過性材料で形成されてよい。例えば、真空ラッパー10aは、ポリエチレンで形成されてよい。真空ラッパー10aは、下側フィルム11a及び上側フィルム15を含んでよく、下側フィルム11a及び上側フィルム15は、縁部熱圧着19を通じて真空ラッパー10aの内部空間を提供するのに用いられてよい。
【0118】
真空ラッパー10aの下側フィルム11aは、順次にスタックされる、接地層12、誘電体層13、及びホールアレイパターンをもつ導電層14を含んでよい。接地層12は、真空ラッパー10aの外側フィルムとして用いられてよく、導電層14は、真空ラッパー10aの内側フィルムとして用いられてよい。導電層14は、ホールアレイパターンが形成される放電領域14aと、放電領域14aから延びるパッド領域14bを含んでよい。
【0119】
上側フィルム15は、パッド領域14bに面するように形成される開口部を含んでよい。接着剤フィルム16が、開口部と位置合わせされるように設けられてよい。接着剤フィルム16は、接着剤層16bを含んでよい。接着剤フィルム16は、パッド領域14bを露出する座金の形態で設けられてよい。接着剤フィルム16の一部は、開口部に隣接する上側フィルム15と接触し、これにより、真空ラッパー10aを封止し得る。或る実施形態では、接着剤フィルム16の別の部分は、パッド領域14bと接触し、これにより、真空ラッパー10aを封止し得る。
【0120】
交流(AC)電源150が、真空コンテナ110の外部に設けられてよく、接地層12と導電層14との間にAC電力を供給するのに用いられてよい。AC電源は、パワー電極接続部118aを通じてパッド領域14bに電気的に接続されてよい。真空コンテナ110において、パワー電極接続部118aは、接着剤フィルム16を貫通するように設けられてよく、パッド領域14bと電気接触してよい。
【0121】
圧着部118bが、パワー電極接続部118aの近く又は周りに設けられてよく、接着剤フィルム16をプレスするのに用いられてよい。或るケースでは、真空ラッパー10aの圧力は、真空コンテナ110の圧力よりも高い場合があり、このケースでは、真空ラッパー10aが拡大され得る。このケースであっても、封止及び電気接触は、圧着部118bにより安定して達成され得る。
【0122】
真空ラッパー10aは、上側フィルム15及び下側フィルム11aを含んでよい。下側フィルム11aは、順次にスタックされる、接地層12、誘電体層13、及びホールアレイパターンをもつ導電層14を含んでよい。上側フィルム15及び誘電体層13は、ポリエチレンフィルムであってよい。接地層12は、アルミニウムで形成されてよく、真空ラッパー10aの外側フィルムとして用いられてよく、導電層14は、アルミニウムで形成されてよく、真空ラッパー10aの内側フィルムとして用いられてよい。真空ラッパー10aは、熱圧着法により形成された接続部材17を含んでよい。真空コンテナ110において、接続部材17は、それに結合される結合部材116を通じて真空ラッパー10aに滅菌剤を供給するため及び真空ラッパー10aから滅菌剤を排気するための経路として用いられてよい。真空コンテナ110において、接続部材17は、結合部材116に結合されてよい。滅菌剤を排気するプロセスの後で、熱圧着法により真空コンテナ110内で接続部材17の近くに熱圧着部分102が形成され得る。
【0123】
導電層14は、ホールアレイパターンが形成される放電領域14aと、放電領域14aから延びるパッド領域14bを含んでよい。上側フィルム15は、パッド領域14bに面するように形成される開口部を含んでよい。接着剤フィルム16が、開口部と位置合わせされるように設けられてよい。接着剤フィルム16は、開口部に隣接する上側フィルム15の一部と接触し、封止された空間を提供する部分と、パッド領域14bと接触し、封止された空間を提供する別の部分を含んでよい。
【0124】
真空ラッパー10aは、熱圧着法により真空ラッパー10a内に形成される接続部材17を含んでよい。真空コンテナ110において、接続部材17は、滅菌剤を結合部材116を通じて真空ラッパー10aに供給する及び真空ラッパー10aから滅菌剤を排気するための経路として用いられてよい。接続部材17は、真空コンテナ110内で結合部材116に結合されてよく、滅菌剤を排気するプロセスの後で、熱圧着法により真空コンテナ110内で接続部材17の近くに熱圧着部分102が形成され得る。
【0125】
接続部材17は、真空ラッパー10aの内部空間を真空化する又は滅菌剤を真空ラッパー10aに供給するのに用いられてよい。接続部材17は、真空ラッパー10aの表面を通して形成される開口部へ挿入されてよく、熱圧着法により真空ラッパー10aに固定されてよい。真空コンテナ110において、接続部材17は、結合部材116に結合されてよく、真空ラッパー10aとの間で滅菌剤を排気及び供給するための経路として用いられてよい。滅菌プロセス後に、接続部材17の近くの下側フィルム11及び上側フィルム15を封止するべく真空状態で熱圧着法が行われてよい。したがって、真空ラッパー10aは真空パックされ得る。
【0126】
第2の弁128の出力端にプラズマ浄化部144が設けられてよい。プラズマ浄化部144は、第2の弁128を通じて排気された滅菌剤を分解及び浄化するように構成されてよい。プラズマ浄化部144は、誘電体バリア放電、誘導結合プラズマ、又は容量結合プラズマを使用してよい。プラズマ浄化部144にAC又はRFパワーを供給するべく補助AC電源146が設けられてよい。プラズマ浄化部144により分解されたガスは、真空ポンプ140により外部へ排気されてよい。
【0127】
第1~第4の弁126、128、132、及び134を制御するため、及びAC電源150及び補助AC電源146を制御するために、制御ユニット160が用いられてよい。制御ユニット160は、圧力計から得られた圧力に関する情報に基づいて、真空コンテナ110の内部圧力及び真空ラッパー10aの圧力を制御してよい。
【0128】
以下、この滅菌装置を用いる滅菌プロセスを説明する。
【0129】
この滅菌方法は、対象物体と共に提供される封止された真空ラッパー10aを真空コンテナ110にロードすることと(SS1において)、真空コンテナ110及び真空ラッパー10aを排気することと(SS2において)、真空コンテナ110内に配置され真空状態に維持される真空ラッパー10aに滅菌剤を注入することと(SS5において)、真空コンテナ110を大気圧となるようにベントすること(SS10において)を含んでよい。真空ラッパー10aは、外部ガスの透過を防ぐ材料で形成されてよい。
【0130】
例として、対象物体は、医療器具であり得る。対象物体は、真空ラッパー10a内に配置されてよく、次いで、真空ラッパー10aの縁部領域19が熱圧着法により封止されてよい。封止された真空ラッパー10aは、真空コンテナ110にロードされてよく、真空コンテナ110が密封されてよい(SS1において)。この場合、真空ラッパー10aの内部空間と外部空間との圧力の差が存在しないので、真空ラッパー10aは一定の容積を有し得る。真空ラッパー10aは、真空コンテナ110内に設けられたヒータにより50℃~65℃の温度まで加熱されてよい。
【0131】
その後、真空コンテナ110及び真空ラッパー10aが排気されてよい(SS2において)。真空コンテナ110が、ベース圧力を有するように排気されてよく、真空ラッパー10aが、大気圧よりも低い圧力を有するように排気されてよい。第4の弁134が閉じられてよく、第1~第3の弁126、128、及び132が開かれてよい。真空ラッパー10aは、滅菌剤を真空ラッパー10aに注入する又は真空ラッパー10aから内部ガスを排気するのに用いられる接続部材17を含んでよい。真空コンテナ110と真空ラッパー10aは同時に排気されてよい。真空コンテナ110の圧力は、真空ラッパー10aの圧力に実質的に等しい又は僅かにより低い場合がある。この場合、真空ラッパー10aの内部空間と外部空間との圧力の差が実質的に存在しないので、真空ラッパー10aは一定の容積を有し得る。真空コンテナ110及び真空ラッパー10aの圧力が所望の値に達した場合、第1~第3の弁126、128、及び132が閉じられてよい。
【0132】
次に、液体滅菌剤が、気化器122に供給されてよい(SS3において)。滅菌剤は、過酸化水素であってよい。気化器122は、約70℃~100℃の温度まで加熱されてよい。したがって、供給される滅菌剤に含まれる水が事前に気化され得る。
【0133】
或る実施形態では、真空コンテナ110の圧力は、真空ラッパー10aの圧力よりも高いレベルに維持されてよく、これは、加熱されたラッピング材料の熱が対象物体へより効率よく伝達されることを可能にし得る。ここで、真空コンテナ110に接続された第3の弁132が閉じられてよく、第4の弁134が開かれてよく、したがって、真空コンテナ110の圧力が、真空コンテナ110に注入される外部空気により増加され得る。同時に、AC電源150から供給されたAC又はRFパワーにより真空ラッパー10a内にプラズマが生成されてよい。いくつかの実施形態では、プラズマは、誘電体バリア放電を通じて生成されてよく、プラズマは、真空ラッパー10a内のガスを活性化し、滅菌プロセスを行うのに用いられてよい。さらに、プラズマから発生した熱は、対象物体を加熱するのに用いられてよい。
【0134】
その後、気化器濃縮プロセスが行われてよい(SS4において)。外部から供給される液体の過酸化水素は、50重量パーセント以下の濃度を有してよい。過酸化水素の濃度を増加させるべく気化器濃縮プロセスが行われてよい。例えば、気化器122内の気化した水蒸気を真空ポンプ140により外部へ排気するべく第2の弁128が開かれてよい。濃縮プロセスの結果として、過酸化水素の濃度が70重量パーセント以上に増加し得る。過酸化水素の濃度がより高くなれば、滅菌のためのプロセス時間がより短くなる。いくつかの実施形態では、滅菌剤は、濃度が50重量パーセント以上の過酸化水素であってよい。
【0135】
次に、濃縮された滅菌剤が真空ラッパー10aに注入されてよい(SS5において)。例えば、第2の弁128が閉じられ、第1の弁126が開かれる場合、気化器122の中で気化された滅菌剤が真空ラッパー10aに注入されてよい(SS5において)。滅菌剤が真空ラッパー10aに注入される場合、真空ラッパー10aは、真空コンテナ110のベース圧力よりも高い圧力を有し得る。例えば、真空ラッパー10aの圧力は、数Torr~数十Torrの範囲であり得る。この場合、真空ラッパー10aの内部空間と外部空間との圧力の差により、真空ラッパー10aは、滅菌剤の拡散のための十分な容積を有するように拡大し得る。気化された滅菌剤は、対象物体を滅菌するのに用いられてよい。滅菌剤の注入が終了するとき、真空ラッパー10aの圧力は、約数十Torrであり得る。所定量の滅菌剤が真空ラッパー10aに注入される場合、第1の弁126が閉じられてよい。
【0136】
その後、真空コンテナ110が真空ラッパー10aの圧力よりも高い圧力を有するように、真空コンテナ110に空気が注入されてよい(SS6において)。真空コンテナ110の圧力が真空ラッパー10aの圧力よりも高く増加する際に、この圧力差は、真空ラッパー10aの収縮につながる場合があり、真空ラッパー10aの圧力が変わる場合がある。したがって、増加した圧力により、対象物体における滅菌剤の拡散長が増加し、滅菌プロセスの効率が向上し得る。空気を真空コンテナ110に注入するべく第4の弁134が開かれてよい。
【0137】
次に、真空コンテナ110に注入された空気が排気されてよい(SS7において)。真空コンテナ110に注入された空気の排気は、第3の弁132を開くことにより行われてよい。
【0138】
その後、真空ラッパー10a内の滅菌剤が排気されるときにプラズマが生成されてよい(SS8において)。プラズマは、誘電体バリア放電により生成されてよく、滅菌剤を無害のガスに分解するのに用いられてよい。したがって、滅菌剤除去プロセスと浄化プロセスは同時に行われてよい。真空ラッパー10aから滅菌剤が排気されるケースでは、真空ラッパー10aの圧力は、真空コンテナ110のベース圧力に等しくなり得る。この目的のために、第1の弁126及び第2の弁128が開かれてよい。真空ラッパー10a内の滅菌剤は、真空ポンプ140により外部へ排気されてよい。このケースでは、真空ラッパー10aの圧力が真空コンテナ110のベース圧力と同様のレベルに減少し得る。したがって、真空ラッパー10aの内部空間と外部空間との圧力の差が実質的に存在しない場合があり、したがって、真空ラッパー10aが収縮し得る。真空ラッパー10aから滅菌剤を排気するステップが終了する場合、第1の弁126及び第2の弁128が閉じられてよい。
【0139】
次に、真空コンテナ110において、接続部材17に隣接する真空ラッパー10aの部分102が熱圧着法により真空コンテナ110において封止されてよい(SS9において)。いくつかの実施形態では、対象物体がその中に配置される真空ラッパー10aを封止するべく熱圧着法が行われてよい。真空ラッパー10aは、真空ラッパー10aから滅菌剤及び空気が排気されるときに封止されてよい。
【0140】
その後、真空コンテナ110の圧力が大気圧に達するまで外部空気が真空コンテナ110に注入されてよい(SS10において)。例えば、第1~第3の弁126、128、及び132が閉じられてよく、第4の弁134が開かれてよい。したがって、外部空気が真空コンテナ110へ流入し得る。真空コンテナ110の圧力が大気圧に近づく際に、真空ラッパー10aが圧力差により圧縮され得る。
【0141】
或る実施形態では、外部空気が真空コンテナ110に注入されるとき、外部空気は、真空ラッパー10aにも注入され得る。このケースでは、真空ラッパー10aの内部空間と外部空間との圧力の差が実質的に存在しない場合があり、したがって、真空ラッパー10aは、大気圧の下で一定の容積に維持され得る。真空ラッパー10aが低い内部圧力を有し、ゆえに、大気圧環境下で収縮するケースでは、圧力差が、真空ラッパー10a内に配置された対象物体の損傷を引き起こし得る。この問題を回避するために、ベントするステップが真空コンテナ110に対して行われるときに、真空コンテナ110は、大気圧となるようにベントされてよい。
【0142】
次に、真空ラッパー10aが、真空コンテナ110からアンロードされてよい(SS11)。
【0143】
本発明概念のいくつかの実施形態に係る滅菌方法では、真空ラッパー10aにおける滅菌剤の拡散のためのスペースを確保するために、真空コンテナ110において真空ラッパー10aが排気されてよく、真空ラッパー10aに滅菌剤が供給されてよく、真空ラッパー10aから滅菌剤が排気されてよい。さらに、真空ラッパー10aに滅菌剤が供給される場合、真空ラッパー10aは、真空コンテナ110の圧力よりも高い圧力を有し得る。この場合、小さい滅菌スペースにより、滅菌プロセスの効率を向上させ、用いられる滅菌剤の量を減らすことが可能である。加えて、真空ラッパー10aの外側フィルムが滅菌剤で汚染されないので、ユーザの安全を向上させることができる。真空ラッパー10aは、従来の透過性ラッパーと比較して長期貯蔵のために用いられ得る。
【0144】
以下、本発明概念の他の実施形態に係る滅菌プロセスを説明する。
【0145】
本発明概念のいくつかの実施形態によれば、滅菌方法は、対象物体と共に封止された真空ラッパー10aを真空コンテナ110にロードすることと(SS1において)、真空コンテナ110及び真空ラッパー10aを排気することと(SS2において)、真空コンテナ110内に配置され真空状態に維持される真空ラッパー10a内にプラズマを生成することと(SS9において)、真空コンテナ110を大気圧となるようにベントすること(SS10において)を含んでよい。滅菌方法は、真空コンテナ110内に配置され真空状態に維持される真空ラッパー10aに滅菌剤を注入することをさらに含んでよい(SS5において)。
【0146】
真空コンテナ110内に配置され真空状態に維持される真空ラッパー10aにおけるプラズマの生成は、滅菌剤(例えば、酸素又はオゾン)が供給される又は供給されない条件下で行われてよい。真空ラッパー10a内に残っている酸素及び窒素は、プラズマにより活性化されてよく、対象物体を滅菌するのに用いられてよい。プラズマの生成は、誘電体バリア放電により滅菌剤の供給なしに行われてよく、又は滅菌剤の供給後に行われてよい。
【0147】
本発明概念のいくつかの実施形態によれば、滅菌剤を密封可能なラッピングパウチに直接注入し、これにより、滅菌プロセスの効率を改善するべく、不透過フィルムが用いられる。さらに、不透過フィルムの使用は、滅菌剤がパウチフィルムに吸収される又はパウチの表面上に残るときに起こり得るユーザの安全の問題を克服することを可能にし得る。
【0148】
本発明概念のいくつかの実施形態によれば、不透過フィルムは、滅菌プロセス後にラッピングパウチを真空化及び密封するのに用いられる。これは、従来の半透過フィルムを用いるラッピングパウチと比較して、ラッピングパウチの滅菌状態をより長時間にわたって維持することを可能にし得る。
【0149】
本発明概念のいくつかの実施形態によれば、パウチ内にプラズマを生成することが可能である。プラズマは、対象物品を効果的に加熱し、滅菌プロセス後にパウチ内に残っている滅菌剤を浄化するのに用いられ得る。したがって、効率的且つ安全な滅菌プロセスを実現することが可能である。
【0150】
本発明概念のいくつかの実施形態によれば、真空コンテナ及びパウチ内のプラズマ放電は、加熱ステップ及び浄化ステップを含む滅菌プロセスのプロセス効率を最大にするのに用いられる。これは、迅速且つ安全な滅菌のための滅菌器を提供することを可能にし得る。
【0151】
本発明概念のいくつかの実施形態によれば、真空コンテナは、従来の滅菌チャンバとは違って、真空パウチの容積を確保するのに用いられる。したがって、真空パウチに対して滅菌プロセスを行うのに必要とされる小空間の容積を減少させ、その結果、滅菌プロセスのために用いられる滅菌剤の量を減らすことが可能である。
【0152】
本発明概念の例示的な実施形態が具体的に示され説明されているが、付属の請求項の精神及び範囲から逸脱することなくそこに形態及び細部の変化が加えられてよいことが当業者に理解されるであろう。
(付記)
(付記1)
滅菌方法であって、
対象物体を収容及び密封する真空ラッパーを真空コンテナの中にロードすることと、
前記真空コンテナ及び前記真空ラッパーを排気することと、
前記真空コンテナ内に配置され真空状態に維持される前記真空ラッパーに滅菌剤を注入することと、
前記真空コンテナを大気圧となるようにベントすることと、
を含む、方法。
(付記2)
前記真空コンテナ内に配置された前記真空ラッパーから前記滅菌剤を排気することをさらに含む、付記1に記載の方法。
(付記3)
前記真空ラッパーが外部ガスの透過を防ぐ材料で形成される、付記1に記載の方法。
(付記4)
前記対象物体がその中に配置される前記真空ラッパーが、熱圧着法により封止される、付記1に記載の方法。
(付記5)
前記真空ラッパーが、前記真空ラッパーに前記滅菌剤を注入する及び前記真空ラッパーからガスを排気するのに用いられる接続部材を備える、付記1に記載の方法。
(付記6)
前記真空ラッパーの圧力が、前記真空ラッパーに前記滅菌剤が注入されるときに前記真空コンテナのベース圧力よりも高い、付記1に記載の方法。
(付記7)
前記真空ラッパーの圧力が、前記真空ラッパーから前記滅菌剤が排気されるときに前記真空コンテナのベース圧力に実質的に等しい、付記1に記載の方法。
(付記8)
前記真空ラッパーが、前記真空コンテナ内に配置されたヒータにより50℃~65℃に加熱される、付記1に記載の方法。
(付記9)
前記真空コンテナと前記真空ラッパーが同時に排気される、付記1に記載の方法。
(付記10)
前記真空ラッパーに前記滅菌剤を注入すること及び前記真空ラッパーから前記滅菌剤を排気することが、前記真空ラッパー内に配置された接続部材を用いて行われる、付記1に記載の方法。
(付記11)
前記滅菌剤が、濃度が50重量パーセント以上の過酸化水素である、付記1に記載の方法。
(付記12)
滅菌方法であって、
対象物体を収容及び密封する真空ラッパーを真空コンテナの中にロードすることと、
前記真空コンテナ及び前記真空ラッパーを排気することと、
前記真空コンテナ内に配置され真空状態に維持される前記真空ラッパー内にプラズマを生成することと、
前記真空コンテナを大気圧となるようにベントすることと、
を含む、方法。
(付記13)
前記真空コンテナ内に配置され真空状態に維持される前記真空ラッパーに滅菌剤を注入することをさらに含む、付記12に記載の方法。
(付記14)
前記プラズマが誘電体バリア放電により生成される、付記12に記載の方法。
(付記15)
前記真空コンテナ内に配置された前記真空ラッパーから前記滅菌剤を排気することをさらに含む、付記13に記載の方法。
(付記16)
前記真空ラッパーが外部ガスの透過を防ぐ材料で形成される、付記12に記載の方法。
(付記17)
前記対象物体がその中に配置される前記真空ラッパーが、熱圧着法により封止される、付記12に記載の方法。
(付記18)
前記真空ラッパーが、前記真空ラッパーに前記滅菌剤を注入する及び前記真空ラッパーからガスを排気するのに用いられる接続部材を備える、付記13に記載の方法。
(付記19)
前記真空ラッパーの圧力が、前記真空ラッパーに前記滅菌剤が注入されるときに前記真空コンテナのベース圧力よりも高い、付記13に記載の方法。
(付記20)
前記真空ラッパーの圧力が、前記真空ラッパーから前記滅菌剤が排気されるときに前記真空コンテナのベース圧力に実質的に等しい、付記15に記載の方法。
(付記21)
前記真空ラッパーが、前記真空コンテナ内に配置されたヒータにより50℃~65℃に加熱される、付記12に記載の方法。
(付記22)
前記真空コンテナと前記真空ラッパーが同時に排気される、付記12に記載の方法。
(付記23)
前記真空ラッパーに前記滅菌剤を注入すること及び前記真空ラッパーから前記滅菌剤を排気することが、前記真空ラッパー内に配置された接続部材を用いて行われる、付記12に記載の方法。
(付記24)
前記滅菌剤が、濃度が50重量パーセント以上の過酸化水素である、付記13に記載の方法。
(付記25)
滅菌装置であって、
真空コンテナと、
対象物体を収容及び密封するべく前記真空コンテナの中にロードされる真空ラッパーと、
前記真空コンテナ及び前記真空ラッパーを排気する真空ポンプと、
前記真空ラッパーに滅菌剤を注入する滅菌剤提供部と、
前記真空コンテナに空気を注入する空気注入部と、
を備え、前記真空ラッパーに前記滅菌剤が注入された後で、前記真空コンテナがベース圧力の真空状態に維持され、前記真空ラッパーの圧力が前記ベース圧力よりも高い、滅菌装置。
(付記26)
前記真空ラッパーが、順次にスタックされる、接地層、誘電体層、及びホールアレイパターンをもつ導電層を備え、前記接地層が前記真空ラッパーの外側フィルムとして用いられ、前記導電層が前記真空ラッパーの内側フィルムとして用いられる、付記25に記載の滅菌装置。
(付記27)
前記真空コンテナの外部に設けられ、前記接地層及び前記導電層にAC電力を供給するのに用いられる、交流(AC)電源をさらに備える、付記26に記載の滅菌装置。
(付記28)
前記滅菌剤提供部が、外部から供給される滅菌剤を加熱及び気化するように構成された気化器と、
前記気化器の出力端と前記真空ラッパーの接続部材との間の第1の弁と、
前記気化器の出力端と前記真空ポンプの入力端との間の第2の弁と、
を備える、付記25に記載の滅菌装置。
(付記29)
前記空気注入部が、
外部空気をフィルタするのに用いられるエアフィルタと、
前記真空コンテナの入力/出力端と前記真空ポンプの入力端との間の第3の弁と、
前記エアフィルタと前記真空コンテナの前記入力/出力端との間の第4の弁と、
を備える、付記25に記載の滅菌装置。
(付記30)
前記真空コンテナが、
前記真空ラッパーをロードするのに用いられるドアと、
前記真空コンテナ内に配置され前記真空ラッパーをロード及び加熱するのに用いられる下側ヒータと、
前記真空コンテナを加熱するのに用いられる上側ヒータと、
のうちの少なくとも1つを備える、付記25に記載の滅菌装置。
(付記31)
前記真空ラッパーが、前記真空ラッパーに外部からの前記滅菌剤を供給する及び前記真空ラッパーの内部空間からガスを排気するのに用いられる接続部材を備え、前記接続部材が、前記真空ラッパーに熱圧着され、貫通穴を有し、前記接続部材に隣接する前記真空ラッパーの一部が、前記滅菌剤の排気プロセス後に熱圧着される、付記25に記載の滅菌装置。
(付記32)
前記真空ラッパーが、熱圧着プロセスを通じて内部空間を提供するのに用いられる、下側フィルム及び上側フィルムを備え、前記導電層が、ホールアレイパターンをもつ放電領域と、前記放電領域から延びるパッド領域を備え、前記上側フィルムは、前記パッド領域に面するように形成される開口部を備え、接着剤フィルムが前記開口部と位置合わせされるように配置され、前記接着剤フィルムの一部が、前記開口部に隣接する前記上側フィルムと接触し、封止された空間を提供し、前記接着剤フィルムの別の部分が、前記パッド領域と接触し、封止された空間を提供する、付記26に記載の滅菌装置。
(付記33)
前記真空コンテナ内に設けられ、前記接着剤フィルムを通り、前記パッド領域と電気接触する、パワー電極接続部と、
前記パワー電極接続部の周りに設けられ、前記接着剤フィルムをプレスするのに用いられる、圧着部と、
をさらに備える、付記32に記載の滅菌装置。
(付記34)
接続部材を備える真空ラッパーであって、前記接続部材が熱圧着法により前記真空ラッパー内に設けられ、
前記接続部材が、前記真空コンテナ内で前記接続部材に結合される結合部材を通じて前記真空ラッパーとの間で滅菌剤を供給及び排気するための経路として用いられ、
前記接続部材が、前記真空コンテナ内で前記結合部材に結合され、
前記接続部材に隣接する前記真空ラッパーの一部が、前記滅菌剤の排気プロセス後に前記真空コンテナ内で熱圧着される、熱圧着部分を備える、真空ラッパー。
(付記35)
上側フィルム及び下側フィルムを備える真空ラッパーであって、前記下側フィルムが、順次にスタックされる、接地層、誘電体層、及びホールアレイパターンをもつ導電層を備え、
前記接地層が、前記真空ラッパーの外側フィルムとして用いられ、
前記導電層が、前記真空ラッパーの内側フィルムとして用いられ、
前記真空ラッパーが、熱圧着法により提供される接続部材を備え、
前記接続部材が、前記真空コンテナ内で前記接続部材に結合される結合部材を通じて前記真空ラッパーとの間で滅菌剤を供給及び排気するための経路として用いられ、
前記接続部材が、前記真空コンテナ内で前記結合部材に結合され、
前記接続部材に隣接する前記真空ラッパーの一部が、前記滅菌剤の排気プロセス後に前記真空コンテナ内で熱圧着される、熱圧着部分を備える、
真空ラッパー。
(付記36)
前記導電層が、ホールアレイパターンをもつ放電領域と、前記放電領域から延びるパッド領域を備え、
前記上側フィルムが、前記パッド領域に面するように形成される開口部を有するように設けられ、
接着剤フィルムが、前記開口部と位置合わせされるように配置され、
前記接着剤フィルムの一部が、前記開口部に隣接する前記上側フィルムと接触し、封止された空間を提供し、
前記接着剤フィルムの別の部分が、前記パッド領域と接触し、封止された空間を提供する、付記35に記載の真空ラッパー。