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特許7343562レーダー探知機及びレーダー探知機を使用した干渉抑制方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-04
(45)【発行日】2023-09-12
(54)【発明の名称】レーダー探知機及びレーダー探知機を使用した干渉抑制方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 13/34 20060101AFI20230905BHJP
   H04B 1/10 20060101ALI20230905BHJP
   G01S 7/36 20060101ALI20230905BHJP
【FI】
G01S13/34
H04B1/10 A
G01S7/36
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021195815
(22)【出願日】2021-12-02
(65)【公開番号】P2022091707
(43)【公開日】2022-06-21
【審査請求日】2021-12-02
(31)【優先権主張番号】109143414
(32)【優先日】2020-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】512078904
【氏名又は名称】立積電子股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】RichWave Technology Corp.
【住所又は居所原語表記】3F, No.1, Alley 20, Lane 407, Section 2, Tiding Blvd., NeiHu District, Taipei City 114, Taiwan,
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】紀 翔峰
【審査官】佐藤 宙子
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-240947(JP,A)
【文献】特開2011-064558(JP,A)
【文献】国際公開第2011/111660(WO,A1)
【文献】特開平11-052051(JP,A)
【文献】特表2020-532211(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102015119482(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00- 7/42
G01S 13/00-13/95
H04B 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーダー探知機であって、当該レーダー探知機は、
第1の無線信号を送信するように構成されたレーダー送信装置と、
該レーダー送信装置に結合され、前記第1の無線信号の送信が抑制されていることに応答して、環境干渉の干渉成分の情報を示すアナログ基準信号を生成するために第2の無線信号を受信し、前記第1の無線信号の送信が抑制されていないことに応答して、物体の動き情報及び前記環境干渉の干渉成分の情報を示すアナログメイン信号を生成するために第3の無線信号を受信するように構成されたレーダー受信装置であって、前記第2の無線信号及び前記第3の無線信号には、干渉に対応する干渉成分が含まれる、レーダー受信装置と、
アナログ-デジタル変換器であって、その入力端が前記レーダー受信装置に結合され、前記アナログ基準信号に従ってデジタル基準信号を生成し、前記アナログメイン信号に従ってデジタルメイン信号を生成するアナログ-デジタル変換器と、
前記デジタル基準信号に従って干渉周波数成分の基本周波数及び高調波周波数を含む干渉パラメータを生成するように構成され、該干渉パラメータに従って前記デジタルメイン信号又は前記アナログメイン信号を調整し、それに応じて、前記デジタルメイン信号の前記干渉成分を抑制する、又は前記アナログメイン信号の前記干渉成分を抑制するように構成されたデジタル処理ユニットと、
減算器又は減算回路と、を含み、
前記デジタル処理ユニットは、ボルテラ(Volterra)フィルタを含み、
前記第1の無線信号の送信が抑制されていることに応答して、前記ボルテラフィルタは、前記デジタル基準信号を受信し、適応ボルテラアルゴリズムを用いて前記デジタル基準信号を計算して、前記干渉パラメータとして干渉推定信号を取得し、
前記第1の無線信号の送信が抑制されていないことに応答して、前記減算器又は減算回路は、前記干渉パラメータからの前記干渉推定信号に従って、前記デジタルメイン信号又は前記アナログメイン信号を調整する、
レーダー探知機。
【請求項2】
前記デジタル処理ユニットは、前記減算器又は減算回路を含み、
前記第1の無線信号の送信が抑制されていないことに応答して、前記減算器又は減算回路は、前記デジタルメイン信号から前記干渉推定信号を減算して、干渉抑制デジタル信号を生成する、請求項1に記載のレーダー探知機。
【請求項3】
動き検出器をさらに含み、
該動き検出器は、前記デジタルメイン信号及び前記干渉抑制デジタル信号のうちの1つに従って物体の動きを決定して、動き検出結果を生成し、
前記第1の無線信号の送信が抑制されていないことに応答して、前記第3の無線信号は、前記物体に当たって、該物体から反射される前記第1の無線信号である反射信号を含む、請求項に記載のレーダー探知機。
【請求項4】
クロストーク検出器をさらに含み、
該クロストーク検出器は、
前記デジタルメイン信号及び前記干渉抑制デジタル信号のうちの1つ、及び前記動き検出結果に従って更新重みパラメータを生成し、
前記ボルテラフィルタは、前記更新重みパラメータに従って、前記ボルテラフィルタの前記適応ボルテラアルゴリズムのボルテラ係数を調整する、請求項に記載のレーダー探知機。
【請求項5】
前記ボルテラフィルタは、前記デジタル基準信号及び前記干渉抑制デジタル信号に従って、前記ボルテラフィルタの前記適応ボルテラアルゴリズムのボルテラ係数を調整する、請求項に記載のレーダー探知機。
【請求項6】
前記干渉推定信号をデジタル形式からアナログ形式に変換するように構成されたデジタル-アナログ変換器をさらに含み、
前記減算器又は減算回路の第1の受信端が、前記レーダー受信装置の周波数ミキサーの出力端に結合され、前記減算器又は減算回路の第2の受信端が、前記干渉推定信号を前記アナログ形式で受信し、
前記第1の無線信号の送信が抑制されていないことに応答して、前記減算器又は減算回路の前記第1の受信端は、前記周波数ミキサーの前記出力端からアナログ受信信号を受信し、前記減算器又は減算回路は、前記アナログ形式の前記干渉推定信号を前記アナログ受信信号から減算して、処理したアナログ受信信号を前記アナログメイン信号として生成し、
前記アナログ-デジタル変換器は、前記アナログメイン信号を前記デジタルメイン信号に変換する、請求項1に記載のレーダー探知機。
【請求項7】
前記レーダー送信装置は、
搬送波周波数を含む無線周波数搬送波信号を生成するように構成された局部発振器と、
電力増幅器であって、該電力増幅器の受信端が、前記無線周波数搬送波信号を受信するために前記局部発振器に結合され、前記電力増幅器が変調信号を提供するように構成される、電力増幅器と、
前記電力増幅器に結合され、前記電力増幅器によって前記変調信号を前記第1の無線信号に変換し、該第1の無線信号を送信するべく制御されるように構成された送信アンテナ端部と、を含む、請求項1に記載のレーダー探知機。
【請求項8】
前記レーダー受信装置は、
前記第1の無線信号の送信が抑制されていることに応答して、前記第2の無線信号を第1のアナログ信号として受信し、前記第1の無線信号の送信が抑制されていないことに応答して、前記第3の無線信号を前記第1のアナログ信号として受信する受信アンテナ端部と、
該受信アンテナ端部に結合され、前記第1のアナログ信号を増幅して増幅したアナログ信号を形成する低ノイズ増幅器と、
前記レーダー送信装置内の前記低ノイズ増幅器及び前記局部発振器に結合された周波数ミキサーと、を含み、
該周波数ミキサーは、前記局部発振器からの前記第1の無線信号の搬送周波数に従って、前記増幅したアナログ信号に対してダウンコンバージョン周波数混合を実行し、前記第1の無線信号の送信が抑制されていることに応答して前記アナログ基準信号を生成し、前記第1の無線信号の送信が抑制されていないことに応答して前記アナログメイン信号を生成する、請求項に記載のレーダー探知機。
【請求項9】
前記周波数ミキサーと前記アナログ-デジタル変換器との間に結合され、プログラム可能なゲインに従って前記アナログ基準信号又は前記アナログメイン信号を増幅するように構成されたプログラム可能なゲイン増幅器(PGA)と、
前記プログラム可能なゲイン増幅器に結合された自動ゲイン制御装置(AGC)と、をさらに含み、
前記自動ゲイン制御装置は、信号強度、及び前記デジタルメイン信号における前記アナログ-デジタル変換器の過負荷又は前記アナログ-デジタル変換器の過負荷に従って前記プログラム可能なゲインを決定する、請求項に記載のレーダー探知機。
【請求項10】
レーダー送信装置及びレーダー受信装置を含むレーダー探知機に適合され、このレーダー探知機を使用する干渉抑制方法であって、当該干渉抑制方法は、
第1の無線信号の送信を抑制し、環境干渉の干渉成分の情報を示すアナログ基準信号を生成するために第2の無線信号を受信するステップであって、前記第1の無線信号は前記レーダー送信装置によって送信され、前記第2の無線信号は干渉に対応する干渉成分を含む、受信するステップと、
前記アナログ基準信号に従ってデジタル基準信号を生成するステップと、
前記デジタル基準信号に従って干渉パラメータを生成するステップと、
前記第1の無線信号の送信を抑制せず、物体の動き情報及び前記環境干渉の干渉成分の情報を示すアナログメイン信号を生成するために第3の無線信号を受信するステップであって、該第3の無線信号は、前記干渉に対応する干渉周波数成分の基本周波数及び高調波周波数を含む、受信するステップと、
前記アナログメイン信号に従ってデジタルメイン信号を生成するステップと、
前記干渉パラメータに従って前記デジタルメイン信号又は前記アナログメイン信号を調整し、それに応じて、前記デジタルメイン信号の前記干渉成分を抑制する、又は前記アナログメイン信号の前記干渉成分を抑制するステップと、を含み、
前記デジタル基準信号に従って前記干渉パラメータを生成するステップは、
適応ボルテラルゴリズムを用いて前記デジタル基準信号を計算して、前記干渉パラメータとして干渉推定信号を取得するステップを含み、
前記干渉パラメータに従って前記デジタルメイン信号又は前記アナログメイン信号を調整するステップは、
前記干渉推定信号に従って前記デジタルメイン信号又は前記アナログメイン信号を調整するステップを含む、
干渉抑制方法。
【請求項11】
前記第1の無線信号の送信を抑制するステップは、
前記レーダー送信装置を無効にするステップ、
前記第1の無線信号の送信強度を下げるステップ、又は
前記レーダー送信装置又は前記レーダー受信装置からの前記第1の無線信号を遮蔽するステップを含む、請求項10に記載の干渉抑制方法。
【請求項12】
当該干渉抑制方法は、
調整したデジタル信号に従って物体の動きを決定するステップをさらに含み、前記第1の無線信号の送信が抑制されていないことに応答して、前記第3の無線信号は、前記物体に当たって、該物体から反射される前記第1の無線信号である反射信号を含む、請求項10に記載の干渉抑制方法。
【請求項13】
前記干渉推定信号に従って、前記デジタルメイン信号又は前記アナログメイン信号を調整するステップは、
前記第1の無線信号の送信が抑制されていないことに応答して、前記デジタルメイン信号から前記干渉推定信号を減算して、干渉抑制デジタル信号を生成するステップと、
前記デジタルメイン信号及び前記干渉抑制デジタル信号の1つに従って物体の動きを決定し、動き検出結果を生成するステップを含む、請求項12に記載の干渉抑制方法。
【請求項14】
前記デジタルメイン信号及び干渉抑制デジタル信号の1つ、及び前記動き検出結果に従って更新重みパラメータを生成するステップと、
前記更新重みパラメータに従って、ボルテラフィルタのボルテラ係数を調整するステップと、をさらに含む、請求項12に記載の干渉抑制方法。
【請求項15】
干渉抑制デジタル信号に従って、ボルテラフィルタのボルテラ係数を調整するステップをさらに含む、請求項12に記載の干渉抑制方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ドップラーレーダー探知技術に関連するレーダー探知機、及びレーダー探知機を使用する干渉抑制方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、ドップラーレーダー探知技術は、例えば、車両近接検出のための動き検出に広く適用されている。ドップラーレーダーを使用した動き検出技術は、依然として、同一チャネル干渉、パルス圧縮の使用によって引き起こされるエイリアシングされた隣接チャネル干渉、及びベースバンド/IFバンド干渉等、様々な形態の外部干渉の影響を受ける。特に、一部の物体自体が、中間周波数帯域(例えば、50Hz~60Hz)のドップラー信号と同様の信号を放出するため、動き検出技術は、例えば、蛍光ランプによって放出される光波干渉、電子機器の回路基板自体等によって発生するノイズによって干渉される。従って、干渉及びノイズをどのように抑制又は除去するかは、ドップラーレーダーの動き検出技術の1つの課題である。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、レーダー探知機及びレーダー探知機を使用する干渉抑制方法を提供し、レーダー波信号の送信が抑制されているときに現在の環境の干渉成分が検出され、レーダー波信号が送信されているときに干渉成分が受信信号から適切に差し引かれ、それによって元の信号の干渉を低減又は抑制する。
【0004】
本開示の一実施形態によれば、レーダー探知機は、レーダー送信装置、レーダー受信装置、アナログ-デジタル変換器、及びデジタル処理ユニットを含む。レーダー送信装置は、第1の無線信号を送信するように構成される。レーダー受信装置は、レーダー送信装置に結合される。レーダー受信装置は、第1の無線信号の送信が抑制されていることに応答して、アナログ基準信号を生成するために第2の無線信号を受信し、第1の無線信号の送信が抑制されていないことに応答して、アナログメイン信号を生成するために第3の無線信号を受信するように構成される。第2の無線信号及び第3の無線信号は、干渉に対応する干渉成分を含む。アナログ-デジタル変換器の入力端は、レーダー受信装置に結合される。アナログ-デジタル変換器は、アナログ基準信号に従ってデジタル基準信号を生成し、アナログメイン信号に従ってデジタルメイン信号を生成する。デジタル処理ユニットは、デジタル基準信号に従って干渉パラメータを生成するように構成され、干渉パラメータに従ってデジタルメイン信号又はアナログメイン信号を調整し、それに応じて、デジタルメイン信号の干渉成分を抑制する、又はアナログメイン信号の干渉成分を抑制するように構成される。
【0005】
本開示の一実施形態によれば、レーダー探知機を使用する干渉抑制方法は、レーダー送信装置及びレーダー受信装置を含むレーダー探知機に適合される。干渉抑制方法には以下が含まれる。第1の無線信号の送信が抑制され、第2の無線信号が、アナログ基準信号を生成するために受信される。ここで、第1の無線信号は、レーダー送信装置によって送信され、第2の無線信号は、干渉に対応する干渉成分を含む。デジタル基準信号が、アナログ基準信号に従って生成される。干渉パラメータが、デジタル基準信号に従って生成される。第1の無線信号の送信が抑制されず、第3の無線信号が、アナログメイン信号を生成するために受信される。ここで、第3の無線信号は、干渉に対応する干渉成分を含む。デジタルメイン信号が、アナログメイン信号に従って生成される。デジタルメイン信号又はアナログメイン信号は、干渉パラメータに従って調整され、それに応じて、デジタルメイン信号の干渉成分を抑制する、又はアナログメイン信号の干渉成分を抑制する。
【0006】
上記をより理解し易くするために、図面を伴ういくつかの実施形態について以下で詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
添付の図面は、本開示の更なる理解を与えるために含まれており、本明細書に組み込まれ、その一部を構成する。図面は、本開示の例示的な実施形態を示し、詳細な説明とともに、本開示の原理を説明するのに役立つ。
図1】本開示の第1の実施形態によるレーダー探知機のブロック図である。
図2】本開示の第2の実施形態によるレーダー探知機の詳細な概略図である。
図3】本開示の第2の実施形態によるデジタル処理ユニットの機能ブロック図である。
図4】本開示の第2の実施形態によるデジタル基準信号の一例の概略図である。
図5】本開示の第2の実施形態による、デジタル基準信号から推定された干渉周波数及び高調波周波数の一例の概略図である。
図6】本開示の第2の実施形態による、デジタル基準信号及びデジタルメイン信号を処理している間の周期推定器及びフィルタの動作のタイミングを示す図である。
図7A】本開示の第3の実施形態によるレーダー探知機の詳細な概略図である。
図7B】本開示の一実施形態による、デジタル基準信号及びデジタルメイン信号を生成するタイミングを説明するための図である。
図8】本開示の第4の実施形態によるレーダー探知機の詳細な概略図である。
図9】本開示の一実施形態による、レーダー探知機を使用する干渉抑制方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、本開示の第1の実施形態によるレーダー探知機100のブロック図である。レーダー探知機100は、ドップラーレーダー探知技術を用いて、物体(例えば、歩行者102)の動きを検出することができる。レーダー探知機100は、主に、レーダー送信装置110、レーダー受信装置120、アナログ‐デジタル変換器(ADC)130、及びデジタル処理ユニット140を含む。
【0009】
レーダー送信装置110は、第1の無線信号(例えば、レーダー波信号RWS1)を送信するように構成される。レーダー受信装置120は、レーダー送信装置110に結合される。レーダー受信装置120は、レーダー波信号RWS1の送信が抑制されているときに、アナログ基準信号を生成するために、第2の無線信号(例えば、レーダー波信号RWS2)を受信するように構成される。また、レーダー受信装置120は、レーダー波信号RWS1の送信が抑制されていないときに、アナログメイン信号を生成するために、第3の無線信号(例えば、レーダー波信号RWS3)を受信する。
【0010】
本明細書では、「レーダー波信号RWS1の送信が抑制されている(the radar wave signal RWS1 is subdued from being transmitted)」の説明及びそれに対応する具現化が提供される。この実施形態では、「レーダー波信号RWS1の送信が抑制されている」という具現化は、複数あり得る。例えば、レーダー送信装置110は、(例えば、レーダー送信装置110が作動されていないときに)レーダー波信号RWS1を送信するのを無効にされ得る;レーダー送信装置110は、レーダー波信号RWS1の送信強度を低減するように制御され得る;又は、レーダー送信装置110又はレーダー受信装置120は、レーダー波信号RWS1から遮蔽され得るため、レーダー受信装置120は、レーダー波信号RWS1の受信が容易ではないか、又は受信できない場合に、レーダー波信号RWS2を受信する。このようにして、レーダー波信号RWS2は、レーダー受信装置120が受信する信号であり、レーダー波信号RWS1の影響を殆ど受けない。従って、レーダー波信号RWS2は、主に、現在の環境の干渉に対応する干渉成分を含むはずである。すなわち、レーダー波信号RWS2は、アナログ基準信号を生成するための基礎として用いられ得、それによって、この実施形態のデジタル処理ユニット140は、現在の環境の干渉を認識することができる。相対的に、「レーダー波信号RWS1の送信が抑制されていない(the radar wave signal RWS1 is not subdued from being transmitted)」という具現化も複数あり得る。例えば、レーダー送信装置110は、(例えば、レーダー送信装置110が作動されたときに)レーダー波信号RWS1を送信するのを有効にし;レーダー送信装置110は、レーダー波信号RWS1の送信強度を増大させるように制御される;又は、レーダー送信装置110又はレーダー受信装置120は、レーダー波信号RWS1から遮蔽されていないため、レーダー受信装置120は、十分な強度でレーダー波信号RWS3を受信する。
【0011】
レーダー探知機100は、レーダー送信装置110を用いてレーダー波信号RWS1を送信し、レーダー波信号RWS3は、環境と相互作用するレーダー波信号RWS1によって生成され、次に、レーダー受信装置120によって受信される。例えば、物体(例えば、歩行者102)が環境内に存在する場合に、レーダー波信号RWS1は物体によって反射され、こうしてレーダー波信号RWS3が生成され、レーダー波信号RWS3は、レーダー受信装置120によって受信される。換言すると、レーダー波信号RWS3は、物体に当たって(contact)、物体から反射されるレーダー波信号RWS1である反射信号を含み得る。レーダー波信号RWS3は、物体の動き情報(例えば、ドップラー周波数オフセット情報)及び環境干渉の干渉成分の情報を含み得、レーダー波信号RWS2は、主に、環境干渉の干渉成分の情報を含み得る。
【0012】
ADC130の入力端Nadcが、レーダー受信装置120に結合される。ADC130は、アナログ基準信号に従ってデジタル基準信号を生成し、アナログメイン信号に従ってデジタルメイン信号を生成する。デジタル処理ユニット140は、ADC130に結合される。さらに、デジタル処理ユニット140は、デジタル基準信号に従って干渉パラメータを生成するように構成され、干渉パラメータに従ってデジタルメイン信号又はアナログメイン信号を調整して、それに応じて、デジタルメイン信号の干渉成分を抑制する、又はアナログメイン信号の干渉成分を抑制するように構成される。レーダー探知機100はまた、動き検出器150を選択的に含み得る。動き検出器150は、デジタル処理ユニット140に結合され、デジタル処理ユニット140によって提供される信号内の物体の動き情報に従って物体(例えば、歩行者102)の動きを決定する。図1の各構成要素の詳細について、以下の実施形態について参照を行うことにする。
【0013】
図2は、本開示の第2の実施形態によるレーダー探知機200の詳細な概略図である。図2のレーダー探知機200は、図1のレーダー探知機100の具現化であり、レーダー探知機200は、同様に、レーダー送信装置110、レーダー受信装置120、アナログ-デジタル変換器(ADC)130、デジタル処理ユニット140、及び選択的に動き検出器150を含む。
【0014】
レーダー送信装置110は、局部(local)発振器212、電力増幅器210、及び送信アンテナ端部216を含む。局部発振器212は、搬送周波数fcを含む無線周波数キャリア信号ONSを生成するように構成される。電力増幅器210の受信端N214は、無線周波数搬送波信号ONSを受信するために、局部発振器212に結合される。電力増幅器210は、レーダー波信号RWS1の送信が抑制されていないときに、変調信号MSを提供する。送信アンテナ端部216は、電力増幅器210に結合される。送信アンテナ端部216は、送信アンテナ217に結合される。送信アンテナ217は、送信アンテナ端部216を介して電力増幅器210からの出力を受信する。送信アンテナ217は、変調信号MSをレーダー波信号RWS1に変換し、レーダー波信号RWS1を送信するように構成される。この実施形態では、制御信号ENを介して、電力増幅器210を選択的に有効又は無効にし、さらに電力増幅器210の出力電力を調整し、それによってレーダー波信号RWS1の送信強度を調整することが可能である。
【0015】
レーダー受信装置120は、主に、受信アンテナ端部222、低ノイズ増幅器224、及び周波数ミキサー226を含む。受信アンテナ端部222は、受信アンテナ221に結合される。受信アンテナ221は、レーダー波信号RWS1の送信が抑制されているときに、受信アンテナ端部222を介して、アナログ信号AS1としてのRWS2レーダー波信号を受信する。また、受信アンテナ221は、レーダー波信号RWS1の送信が抑制されていないときに、受信アンテナ端部222を介して、アナログ信号AS1としてのレーダー波信号RWS3を受信する。低ノイズ増幅器224は、受信アンテナ端部222に結合される。低ノイズ増幅器224は、アナログ信号AS1を増幅して、増幅したアナログ信号AS2を形成するように構成される。周波数ミキサー226は、レーダー送信装置110内の低ノイズ増幅器224及び局部発振器212に結合される。周波数ミキサー226は、局部発振器212からのレーダー波信号RWS1の搬送周波数fcに従って、増幅したアナログ信号AS2に対してダウンコンバージョン周波数混合を実行し、それにより、レーダー波信号RWS1の送信が抑制されているときにアナログ基準信号を生成し、レーダー波信号RWS1の送信が抑制されていないときにアナログメイン信号を生成する。レーダー受信装置120は、レーダー送信装置110から、レーダー波信号RWS1の搬送周波数fcの局部発振器信号を取得し、搬送周波数fcを用いて増幅したアナログ信号AS2に対してダウンコンバージョン周波数混合を行い(これは、増幅したアナログ信号AS2の搬送周波数fcで実質的に情報を強化する)、それにより、物体の動き情報を含むレーダー波信号RWS3の取得を容易にし、受信した情報のゲインを強化する。
【0016】
ADC130は、アナログ基準信号に従ってデジタル基準信号Srを生成し、アナログメイン信号に従ってデジタルメイン信号Spを生成する。図2のデジタル処理ユニット140において、スイッチング装置141及びプロセッサ142が示されている。特に本明細書において、スイッチング装置141は、主に、レーダー波信号RWS1の送信が抑制されていないときに及びレーダー波信号RWS1の送信が抑制されているときにそれぞれ、デジタルメイン信号Sp及びデジタル基準信号Srが生成されることを説明するために使用され、この実施形態を具現化する場合に、スイッチング装置141を具現化する必要はない。この実施形態のアプリケーションは、ソフトウェア、ファームウェア、又はハードウェアを介して実現してもよい。また、スイッチング装置141は、デジタルメイン信号Sp及びデジタル基準信号Srを異なるタイムスロットで区別し(例えば、「レーダー波信号RWS1の送信が抑制されている」及び「レーダー波信号RWS1の送信が抑制されていない」ことは、2つの異なるスロットに割り当てられる)、デジタル処理を実行する。例えば、レーダー波信号は、パルス圧縮形式で動作することができ、レーダー波信号は、パルス形式で送受信することができる。また、ADC130は、スイッチング装置141を実現するための非連続ADCであり得、これは、異なるタイムスロットでレーダー波信号RWS3及びレーダー波信号RWS2に対してデジタル処理を行い、それぞれ異なるタイムスロットでデジタルメイン信号Sp及びデジタル基準信号Srを生成する。非連続ADCは、例えば、連続近似ADCであり得る。デジタル処理ユニット140内のプロセッサ142は、異なる実施形態に応じて異なる回路構造を含むことができ、そのため、以下の実施形態を参照することにする。
【0017】
図3は、本開示の第2の実施形態によるデジタル処理ユニット140の機能ブロック図である。デジタル処理ユニット140は、周期推定器(period estimator)310及びフィルタ320を含み得る。この実施形態における周期推定器310及びフィルタ320は、図2のプロセッサ142に統合され得る。レーダー波信号RWS1の送信が抑制されているときに、周期推定器310は、デジタル基準信号Srを受信して、デジタル基準信号Srの少なくとも1つの干渉周波数成分の基本周波数を推定し、それにより干渉パラメータIFSを生成する。また、レーダー波信号RWS1の送信が抑制されていないときに、フィルタ320は、デジタルメイン信号Spを取得し、干渉パラメータIFSに従って、デジタルメイン信号Spの推定基本周波数及び関連する高調波周波数での干渉成分を抑制して、フィルタリングしたデジタル信号Scを生成する。デジタル基準信号Srは、主に干渉成分を含み、デジタルメイン信号Spは、干渉成分と物体を同時に検出するための動き情報とを含む。この実施形態では、フィルタ320は、1つ又は複数のノッチフィルタによって実現することができる。ノッチフィルタは、基本周波数の干渉成分及び基本周波数の高調波周波数の干渉成分をフィルタリングするように構成することができる。干渉パラメータIFSに従って、ノッチフィルタは、アナログメイン信号又はデジタルメイン信号の推定基本周波数及び関連する高調波周波数での干渉に対応する信号成分を抑制して、フィルタリングしたデジタル信号Scを生成する。
【0018】
図4は、本開示の第2の実施形態によるデジタル基準信号Srの一例の概略図である。図5は、本開示の第2の実施形態による、デジタル基準信号Srから推定された干渉周波数及び高調波周波数の一例の概略図である。図4の横軸は、デジタル基準信号Srを受信する時間インデックスTを表し、図4の縦軸は、デジタル基準信号Srの時間インデックスTに対応する直流電圧値を表す。図5は、デジタル基準信号Srにおける干渉成分の周波数を示している。図5では、横軸は周波数Fをマークするために使用され、縦軸は対応するエネルギー強度を表す。ここで、図4に示されるデジタル基準信号Sr、及び図5に示されるような基本周波数「f0」及び高調波周波数「2×f0」及び「3×f0」を例として取り上げる。図3図5を一緒に参照すると、デジタル基準信号Sr(図4に示される)は主に複数の干渉成分を含むので、図5において、周期推定器310は、情報に対応する基本周波数及び高調波周波数(すなわち、干渉成分)を、基本周波数「f0」、高調波周波数「2×f0」及び「3×f0」等のデジタル基準信号Srにおける比較的強いエネルギー(例えば、ある値より大きいエネルギー強度)で評価し、周期推定器310は、フィルタ320に提供される干渉パラメータIFSとしての周波数を取得する。具体的には、図4において、主干渉成分410と420との間の発生周期がT0であるため、こうして図5の基本周波数「f0」及び周期T0は、互いに逆数である(つまり、T0=1/f0)。
【0019】
図6は、本開示の第2の実施形態による、デジタル基準信号Sr及びデジタルメイン信号Spを処理している間の周期推定器310及びフィルタ320の動作のタイミングを示す図である。時点T0は、レーダー探知機100が作動された時点を表す。このとき、レーダー波信号RWS1の送信が抑制されているため、こうして周期推定器310は、デジタル基準信号Srを受信し、それにより基本周波数「f0」、高調波周波数「2×f0」、及び「3×f0」等を評価し、干渉パラメータIFSを生成する。これは、本明細書では、干渉推定周波数の評価フェーズP1と呼ばれる。時点T1は、干渉推定周波数の評価フェーズP1の終了時点を表す。フェーズP2には、干渉推定周波数の評価フェーズP1の直後又は後で入ることができる。このとき、レーダー波信号RWS1の送信が抑制されていないため、こうしてフィルタ320は、干渉パラメータIFSの各推定干渉周波数に従って、デジタルメイン信号Spに対して干渉周波数でフィルタリング処理を行い、それにより干渉成分を抑制し、フィルタリングしたデジタル信号Scを生成する。すなわち、デジタルメイン信号Spの干渉成分は、周期推定器310及びフィルタ320の動作によって抑制又はさらに除去され得る。フェーズP2が終了した後に、評価フェーズP1には、干渉推定周波数を評価する直後又は後に再び入る。図1及び図2の動き検出器は、フィルタリングしたデジタル信号Scに従って物体の動きを決定する。
【0020】
本開示の第2の実施形態によれば、デジタル処理ユニット140及び動き検出器150は、集積回路によって実現することができ、デジタル処理ユニット140は、主に、図3のフィルタ320と組み合わされた周期推定器310によって、デジタルメイン信号Spの干渉成分を抑制又は除去する。この実施形態のアプリケーションでは、他の方法を用いて、デジタルメイン信号Sp又はアナログメイン信号の干渉成分を抑制又は除去することもできる。図7Aは、本開示の第3の実施形態によるレーダー実施形態700の詳細な概略図である。図7Aのレーダー探知機700と図2のレーダー探知機200との間の主な違いの1つは、デジタル基準信号Sr及びデジタルメイン信号Spのサンプリング時間インスタンスにある。図7A及び図8に示される本開示の実施形態では、デジタルメイン信号Spのサンプリング及びデジタル基準信号Srのサンプリングが交互に行われる。他の違いは、デジタル処理ユニット140の設計、及びプログラム可能なゲイン増幅器(PGA)760、自動ゲイン制御装置(AGC)770、及びクロストーク検出器780の追加にある。図7Bは、本開示の実施形態による、デジタル基準信号Sr及びデジタルメイン信号Spを生成するタイミングを説明するための図である。レーダー波信号RWS1の送信が抑制されているときに、ADC130は、対応するアナログ基準信号ASrに従ってデジタル基準信号Srを生成し、レーダー波信号RWS1の送信が抑制されていないときに、ADC130は、対応するアナログメイン信号ASpに従ってデジタルメイン信号Spを生成する。この実施形態では、説明のためにパルス圧縮レーダーの動作が用いられており、従って、レーダー波信号は、パルス形式で送受信される。非連続ADCは、アナログ基準信号ASr及びアナログメイン信号ASpをインターリーブ方式でデジタル化する。スイッチング装置は、デジタル基準信号Sr及びデジタルメイン信号Spの生成を交互に切り替えて、バックエンドデジタル信号処理ユニット(例えば、適応型線形フィルタ又はボルテラ(Volterra)フィルタを使用する干渉キャンセラ)のためのデジタル信号(すなわちSr及びSp)の2つの独立したチャネルを生成する。アナログ基準信号ASr又はアナログメイン信号ASpのADCサンプリング周期はPD1であり、基準信号Sr及びメイン信号SpのADCスイッチング周期はPD2であり、非連続ADCの動作周期はPD3である。さらに、非連続ADCは、時点TADCで、対応するデジタル基準信号Sr又は対応するデジタルメイン信号Spを出力する。
【0021】
図7Aのレーダー探知機700は、減算器742及び適応ボルテラフィルタ744を含む。ボルテラフィルタは、一般的な非線形フィルタであり、実現されると線形フィルタとして簡略化され得る。干渉キャンセレーションのシステム動作と同様に、ボルテラフィルタは、干渉キャンセラとして使用され、デジタル基準信号Srを入力として受け取り、デジタルメイン信号Spから差し引くように構成された干渉推定信号IISを生成することができる。パルス圧縮レーダーの一実施形態では、デジタル基準信号Sr及び干渉推定信号IISの生成、並びにデジタルメイン信号の生成は、2つの連続するレーダーパルスで発生し、スイッチング装置によって代替方法で切り替えられる。
【0022】
レーダー波信号RWS1の送信が抑制されているときに、ボルテラフィルタ744は、デジタル基準信号Srを受信し、以前に更新したボルテラ係数を使用して、干渉推定信号IISを生成する。干渉推定信号IISは、後で次のデジタルメイン信号Spから差し引くために保持される。レーダー波信号RWS1の送信が抑制されていないときに、減算器742は、デジタルメイン信号Sp又はアナログメイン信号から、保持された干渉推定信号IISを差し引くことにより、デジタルメイン信号Spの干渉成分又はアナログメイン信号の干渉成分を抑制する。この実施形態では、レーダー波信号RWS1の送信が抑制されていないときに、デジタルメイン信号Spは減算器742の正の受信端に入力され、以前に保持された干渉推定信号IISは減算器742の負の受信端に入力され、ボルテラ係数更新計算は実行されない。減算器742の出力端は、干渉抑制デジタル信号Sccであり、これは、レーダー波信号RWS1の送信が抑制されているときの次のタイムスロットで、ボルテラ係数更新計算のための推定誤差信号として保持され、使用される。レーダー波信号RWS1の送信が抑制されているときに、保持された干渉抑制デジタル信号Sccは、推定誤差信号として取り扱われ、デジタル基準信号Sr及びボルテラフィルタ内のバッファリングしたデータとともにボルテラ係数更新計算のために使用される。
【0023】
この実施形態では、減算器742は、デジタル回路又はデジタルチップ内に配置され、デジタルメイン信号Spから望ましくない成分を直接差し引くことができる。例えば、デジタルメイン信号Spから干渉推定信号IISを差し引いて、干渉抑制デジタル信号Sccが生成され、それにより、デジタルメイン信号Spの干渉成分が抑制される。図7Aの動き検出器150は、干渉抑制デジタル信号Sccに従って動き検出結果MRを生成する。
【0024】
クロストーク検出器780は、主に、デジタルメイン信号Sp及び干渉抑制デジタル信号Sccの一方又は両方、及び/又は動き検出結果MRに従って、ボルテラ係数更新の更新重みパラメータFP1を生成し、更新重みパラメータFP1をボルテラフィルタ744の係数調整更新ユニットに提供するように構成される。図7Aの実施形態では、例えば、第1のモード(一般的な場合)では、クロストーク検出器780は、干渉抑制デジタル信号Sccをボルテラ係数調整更新計算で使用するのを可能にするために、比較的大きな更新重みパラメータFP1を出力する;第2のモードでは、クロストーク検出器780が、物体が移動することを決定するか、又は干渉抑制デジタル信号Sccのエネルギーが動き検出結果MRに従った閾値より大きいことを検出するときに、クロストーク検出器780は、ボルテラ係数調整更新計算を実行しない。例えば、クロストーク検出器780は、更新重みパラメータFP1として0を出力することができる。
【0025】
ボルテラフィルタ744は、更新重みパラメータFP1に従ってボルテラ係数を調整し、それにより、デジタル基準信号Sr及び干渉抑制デジタル信号Sccに従った適応ボルテラ係数適応量で干渉推定信号IISを動的に調整し、さらにデジタルメイン信号Spを間接的又は直接的に調整する。この実施形態では、ボルテラ係数は、最小二乗平均(LMS)アルゴリズム又は最小二乗(LS)法によって更新することができる。図7Aの実施形態では、例えば、ボルテラフィルタ744は、更新重みパラメータFP1に従ってボルテラ係数を調整し、それにより、干渉抑制デジタル信号Sccに従って干渉推定信号IISを動的に調整し、さらにデジタルメイン信号Spを直接調整する。別の実施形態では、クロストーク検出器780を省略し、ボルテラフィルタ744が、干渉抑制デジタル信号Sccに従ってボルテラフィルタ744内のボルテラ係数を直接調整できるようにすることも可能である。
【0026】
PGA760は、周波数ミキサー226とADC130との間に結合される。PGA760は、プログラム可能なゲインGに従って、周波数ミキサーによってPGA760に提供されるアナログ基準信号又はアナログメイン信号を増幅するように構成される。自動ゲイン制御装置(AGC)770は、PGA760に結合される。自動ゲイン制御装置770は、ADC130の入力の干渉信号成分がADC130に過負荷をかけるのを防ぎ、ADC130の出力に良好な信号対量子化ノイズ比(SQNR)を提供するための適切な信号ダイナミックレンジを維持するように、PGA760のプログラム可能なゲインGを決定する。この実施形態では、PGA760は、レーダー探知機700のアナログ回路に配置される。また、自動ゲイン制御装置770が、様々な条件又はデジタル信号を介してPGA760内のプログラム可能なゲインGを適応的に調整するので、自動ゲイン制御装置770は、レーダー検出器700のアナログ回路又はデジタル回路に配置することができる。
【0027】
図7Aにおいて、減算器742は、レーダー探知機700のデジタル回路に配置される。それにもかかわらず、この実施形態のアプリケーションでは、減算器は、本明細書で図8に記載されているレーダー探知機700のアナログ回路にも配置され得る。図8は、本開示の第4の実施形態によるレーダー探知機800の詳細な概略図である。図8のレーダー探知機800と図7Aのレーダー探知機700との間の主な違いは、減算回路842が、デジタル回路ではなくアナログ回路に配置されていることである。その上、図8のレーダー探知機800は、デジタル-アナログ変換器(DAC)890をさらに含む。DAC890は、図8の干渉推定信号IISをデジタル形式からアナログ形式に変換して、アナログ干渉推定信号AIISを生成するように構成される。アナログ回路における干渉推定信号IISの減算は、干渉信号強度を低減するので、減算回路842の出力での信号ダイナミックレンジは、干渉信号によって支配されないであろう。自動ゲイン制御装置(AGC)770は、ADC130の入力の動作ダイナミックレンジに対応する信号ダイナミックレンジを有し、ADC130の出力に信号対量子化ノイズ比(SQNR)を提供するように、PGA760のプログラム可能なゲインGを適切に調整する。
【0028】
減算回路842の正の受信端IN1は、レーダー受信装置120の周波数ミキサー226の出力端に結合される。減算回路842の負の受信端IN2は、アナログ干渉推定信号AIISを受信する。この実施形態では、レーダー波信号RWS1の送信が抑制されているときに、減算回路842の正の受信端IN1は、周波数ミキサー226の出力端から直接デジタル基準信号を受信する。デジタル基準信号Srは、処理したアナログ受信信号PASに基づいて出力されたPGA760及びADC130からそれに応じて取得される。ボルテラフィルタ744は、デジタル基準信号Srを受信して干渉推定信号IISを生成し、対応するアナログ干渉推定信号AIISは、DAC890によって生成される。デジタル及びアナログ干渉推定信号IIS及びAIISは、レーダー波信号RWS1の送信が抑制されていないときの次のタイムスロットでの周波数ミキサー226の出力から後で減算されるために保持される。レーダー波信号RWS1の送信が抑制されていないときに、減算回路842の正の受信端IN1は、周波数ミキサー226の出力端からアナログ受信信号を受信し、減算回路842の負の受信端IN1は、以前に保持されたアナログ干渉推定信号AIISを受信する。減算回路842は、周波数ミキサー226の出力端でアナログ受信信号から以前に保持されたアナログ干渉推定信号AIISを減算して、干渉成分がキャンセル又は抑制されるアナログメイン信号として処理したアナログ受信信号PASを生成する。アナログメイン信号は、PGA760によって増幅され、ADC130によって変換されて、デジタルメイン信号Spを形成することができる。ADC130は、レーダー波信号RWS1の送信が抑制されていないときに、アナログメイン信号(すなわち、処理したアナログ受信信号PAS)をデジタルメイン信号Spに変換し、それに応じて、デジタルメイン信号Spの干渉成分を抑制する、又はアナログメイン信号の干渉成分を抑制する。デジタルメイン信号Spは、干渉抑制信号であり、動き検出器150の入力として使用される。さらに、デジタルメイン信号Spは、後でボルテラ係数更新計算に使用される干渉推定誤差信号として保存される。レーダー波信号RWS1の送信が抑制されていないときの次のタイムスロットでは、デジタル基準信号Sr及び保存された推定誤差信号を使用して、ボルテラ係数を更新する。図8の実施形態では、例えば、第1のモード(一般的な場合)では、クロストーク検出器780は、非ゼロの更新重みパラメータFP1をボルテラフィルタ744に提供する;第2のモードでは、クロストーク検出器780が、物体が移動することを決定するか、又はデジタルメイン信号Spのエネルギーが動き検出結果MRに従った閾値より大きいことを検出すると、クロストーク検出器780は、ボルテラ係数更新計算を無効にし、例えば、クロストーク検出器780は、更新重みパラメータFP1として0を出力することができる。ボルテラフィルタ744は、更新重みパラメータFP1に従ってボルテラ係数を調整し、それにより、干渉抑制デジタルメイン信号Spに従って干渉推定信号IISを動的に調整し、さらに間接的に将来のデジタルメイン信号Spを調整する。デジタル基準信号Sr及びデジタルメイン信号Spを生成するタイミングを説明するための図としての図7Bは、この実施形態にも適用でき、主な違いは、レーダー波信号RWS1の送信が抑制されているときに、ADC130は、減算回路842によって出力された対応するアナログ基準信号ASrに従ってデジタル基準信号Srを生成し、レーダー波信号RWS1の送信が抑制されていないときに、ADC130は、減算回路842によって出力された対応するアナログメイン信号ASpに従ってデジタルメイン信号Spを生成する。この実施形態では、ADC130の過負荷の可能性が低減され、こうして、自動ゲイン制御装置770は、PGA760のゲインを低減する可能性が低い。環境干渉が所望のドップラー周波数オフセット情報よりも大きい場合であっても、ADC130の信号対量子化ノイズ比(SQNR)は依然として維持される。別の実施形態では、PGA760の配置を選択的に省略することも可能である。従って、図7AのADC130は、周波数ミキサー226に直接結合することができ、又は図8のADC130は、減算回路842に直接結合することができる。
【0029】
図9は、本開示の一実施形態による、レーダー探知機を使用する干渉抑制方法を説明するフローチャートである。図9の干渉抑制方法は、図1図2図7A、及び図8のレーダー探知機100、200、700、及び800に適用され得る。ここで、図1のレーダー探知機100及び図9の干渉抑制方法を、説明の例として用いる。ステップS910において、第1の無線信号(すなわち、レーダー波信号RWS1)の送信が抑制されており、第2の無線信号(すなわち、レーダー波信号RWS2)が、アナログ基準信号を生成するために、レーダー受信装置120を介して受信される。レーダー波信号RWS1は、レーダー送信装置110によって送信され、レーダー波信号RWS2は、干渉に対応する干渉成分を含む。ステップS920において、ADC130は、アナログ基準信号に従ってデジタル基準信号を生成する。ステップS930において、デジタル処理ユニット140は、デジタル基準信号に従って干渉パラメータを生成する。ステップS940において、レーダー波信号RWS1の送信が抑制されておらず、第3の無線信号(すなわち、レーダー波信号RWS3)が、アナログメイン信号を生成するために受信される。レーダー波信号RWS3は、物体の動き情報(例えば、ドップラー周波数オフセット情報)及び干渉に対応する干渉成分を含み得る。ステップS950において、デジタル処理ユニット140は、アナログメイン信号に従ってデジタルメイン信号を生成する。ステップS960において、デジタル処理ユニット140は、干渉パラメータに従ってデジタルメイン信号又はアナログメイン信号を調整して、それに応じて、デジタルメイン信号の干渉成分を抑制するか、又はアナログメイン信号の干渉成分を抑制する。ステップS910~S960の詳細については、前述の実施形態を参照することができる。
【0030】
以上をまとめると、本開示の実施形態によるレーダー探知機及びレーダー探知機を使用する干渉抑制方法において、レーダー波信号(すなわち、第1のレーダー波信号)の送信が抑制されているときに、現在の環境の干渉成分が検出され、干渉成分の干渉の程度を解析して、干渉パラメータが生成される。さらに、レーダー波信号(すなわち、第1のレーダー波信号)が送信されているときに、受信信号は、元の信号の干渉を低減又は抑制するために、干渉パラメータを介して適切に調整される。さらに、本開示において、ドップラーレーダーを適用する物体検出レーダー探知機では、AC狭帯域干渉の影響が低減されるだけでなく、消費電力が低減される一方で、レーダーの受信アンテナ端部でのアンテナゲインも増大される。
【0031】
本開示の範囲又は精神から逸脱することなく、開示した実施形態に対して様々な修正及び変形を行うことができることは当業者には明らかであろう。上記を考慮して、本開示は、それら修正及び変形が以下の特許請求の範囲及びそれらの均等物の範囲内にあるという条件で、修正及び変形をカバーすることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9