IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フォアシー ファーマシューティカルズ ユーエスエー,インコーポレーテッドの特許一覧

特許7343571マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)阻害剤及びその使用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-04
(45)【発行日】2023-09-12
(54)【発明の名称】マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)阻害剤及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 405/04 20060101AFI20230905BHJP
   C07D 405/14 20060101ALI20230905BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230905BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20230905BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20230905BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20230905BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20230905BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20230905BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230905BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20230905BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20230905BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20230905BHJP
   A61K 31/4439 20060101ALI20230905BHJP
   A61K 31/4178 20060101ALI20230905BHJP
【FI】
C07D405/04
C07D405/14 CSP
A61P43/00 111
A61P11/06
A61P11/00
A61P21/00
A61P1/16
A61P19/02
A61P35/00
A61P9/00
A61P1/04
A61P13/12
A61K31/4439
A61K31/4178
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021514292
(86)(22)【出願日】2019-05-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-02
(86)【国際出願番号】 US2019032131
(87)【国際公開番号】W WO2019222157
(87)【国際公開日】2019-11-21
【審査請求日】2022-03-07
(31)【優先権主張番号】62/671,753
(32)【優先日】2018-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520447477
【氏名又は名称】フォアシー ファーマシューティカルズ ユーエスエー,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ウェンジン
(72)【発明者】
【氏名】チャン,カイ-ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】リュー,スイン
(72)【発明者】
【氏名】ツァイ,チェン-ハン
【審査官】水島 英一郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-510701(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0067996(US,A1)
【文献】REGISTRY STN Online, 2008, RN 1061319-03-6,2008年,RN 1061319-03-6
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(II)の化合物:
【化1】
又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物
(式中、
環Bは、場合により置換されているフラニルであり、
環Cは、アリール又はヘテロアリールであり、
環Dは、フェニル、ピリジニル、又はピリジニルN-オキシドであり、
Xは、Sであり、
Y及びZはそれぞれ、O、CH2、NRx及びS(O)qからなる群から独立して選択され、Rxは、水素又はアルキルであり、
R1は、水素又はアルキルであり、
R2はそれぞれ、水素、アルキル、ハロ、ヒドロキシル、ハロアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アミノ、アミド、アルキルアミン、アミノアルキル、シアノ、ヒドロキシアルキル、-(CH2)pC(O)OR6及び-(CH2)pOC(O)R6からなる群から独立して選択され、
R3はそれぞれ、水素、アルキル及びハロからなる群から独立して選択され、
R4は、水素又はアルキルであり、
R5は、水素であり、
R6はそれぞれ、水素及びアルキルからなる群から独立して選択され、アルキルは、無置換であるか、又はアミノ、ヒドロキシル、ハロ及びアルコキシからなる群から独立して選択される1つ以上の基により置換されており、
mは、1、2、3又は4であり、
nは、1、2、3、4又は5であり、
pは、0、1、2、3、4又は5であり、
qは、0、1又は2であり、
但し、環Dがフェニルである場合、
(i) R1は、アルキルである、
(ii) R2は、メトキシ、クロロ又はトリフルオロメチルではない、及び
(iii) 環Cは無置換フェニルではない
のうちの少なくとも1つが該当することを条件とし、
化合物は、
【化2】
でない)。
【請求項2】
環Cがフェニルである、請求項1に記載の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物。
【請求項3】
環Dがピリジニル又はピリジニルN-オキシドである、請求項1に記載の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物。
【請求項4】
R1がアルキルである、請求項1に記載の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物。
【請求項5】
XがSであり、ZがCH2である、請求項1に記載の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物。
【請求項6】
XがSであり、YがOであり、ZがCH2である、請求項1に記載の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物。
【請求項7】
式(III)の化合物:
【化3】
である、請求項1に記載の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物
(式中、
R1は、水素又はC1~4アルキルであり、
Xは、Sであり、
Yは、O、CH2、NH又はN(CH3)であり、
R2はそれぞれ、水素、アルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、アミド及びヒドロキシアルキルからなる群から独立して選択され、
R3はそれぞれ、水素、アルキル又はハロであり、
環Dは、フェニル、ピリジニル又はピリジニルN-オキシドであり、
R4及びR5はそれぞれ、水素であり、
R7は、水素又はメチルであり、
nは、1又は2である)。
【請求項8】
式(IV)の化合物:
【化4】
又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物
(式中、
R1は、水素又はアルキルであり、
R2は、アルキル、アミド、ヒドロキシル、アルコキシ及びヒドロキシルアルキルからなる群から選択され、
R4及びR5はそれぞれ、水素であり、
R7は、メチル又は水素である)。
【請求項9】
式(V)の化合物:
【化5】
又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物
(式中、
R1は、アルキルであり、
R2は、アルキル、アミド、アルコキシ、ヒドロキシル及びヒドロキシアルキルからなる群から選択され、
R4及びR5はそれぞれ、水素であり、
R7は、メチル又は水素である)。
【請求項10】
【化6】
からなる群から選択される化合物である、請求項1に記載の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物、及び少なくとも1種の薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項12】
クロファージエラスターゼ(MMP-12)を阻害するための請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
クロファージエラスターゼMMP-12によって媒介される疾患を処置するための請求項11に記載の医薬組成物であって、疾患が、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気腫、急性肺損傷、特発性肺線維症(IPF)、サルコイドーシス、全身性硬化症、肝線維症、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、関節炎、がん、心臓疾患、炎症性腸疾患(IBD)、急性腎臓損傷(AKI)、慢性腎疾患(CKD)、アルポート症候群及び腎炎からなる群から選択される、医薬組成物
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、35U.S.C.§119(e)の下、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、2018年5月15日に出願の米国仮特許出願第62/671,753号への優先権の権利がある。
【背景技術】
【0002】
マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)は、器官形成、成長及び正常組織の代謝回転の間、最も外側の細胞外マトリックスタンパク質の分解にとって重要な、プロテイナーゼ酵素のスーパーファミリーである。MMPはまた、結合組織の制御されない破壊において重要と考えられており、これは、いくつかの疾患過程、例えば、関節リウマチ、骨関節炎、胃潰瘍形成、喘息、気腫及び腫瘍転移に関連している。したがって、1つ以上のMMPの阻害は、これらの疾患において利益をもたらし得る。
【0003】
ヒトマクロファージエラスターゼ(MMP-12)は、独特のMMPである。MMP-12は、他のMMPの特徴のすべてを示すが、損傷又はリモデリングが起こる組織へ浸潤するマクロファージから優先的に生成され、細胞外マトリックスを分解する。例えば、気腫の発症中に、MMP-12のレベルの向上が観察される。さらに、MMP-12ノックアウトマウスモデルは、煙草の煙に長期間、曝露した後に気腫を発症しないことを示した(Hautamkaiら、Science、1997年、277巻:2002~2004頁)。これらのデータは、MMP-12が気腫の疾患進行において、ある役割を果たすことを示唆する。喘息のMMP12欠損モデルでの検討に基づいて、慢性喘息の発症におけるMMP-12の関与もまた示唆されている(Warnerら、Am J Pathol. 2004年;165巻(6号):1921~1930頁)。急性肺損傷のFas誘発モデルにおいて、MMP-12欠損マウスは、肺線維症の発症から保護される(Matute-Belloら、Am J Respir Cell Mol Biol. 2007年;37巻(2号):210~221頁)。マンソン住血吸虫感染によって誘発された肺及び肝線維症のモデルでは、MMP-12は、肺及び肝臓において、線維形成促進活性を有する(Madalaら J Immunol 2010年;184巻:3955~3963頁)。MMP-12によって生成するタイプIVコラーゲン断片のBALFレベルは、特発性肺線維症(IPF)を有する患者において増大するので、MMP-12はまた、細胞外マトリックス(ECM)タンパク質の切断によるIPF病因の一因である可能性があり(Sandら、PLoS One 2013年;8巻:e84934頁)、ヒトMMP-12は、いくつかのヒトECMタンパク質を、インビトロで切断することができる(Owenら(etal.) J Leukoc Biol 1999年;65巻:137~150頁)。まとめると、これらの結果は、MMP-12の阻害剤は、肺疾患、例えば慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気腫、喘息、急性肺損傷、特発性肺線維症(IPF)、サルコイドーシス、全身性硬化症、肝線維症及び非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の処置に有用となり得ることを示唆している。
【0004】
MMP-12は、アテローム性動脈硬化病変(Matsumotoら、Am. J. Pathol.、1998年、153巻:109頁)及び腎炎ラットモデル(Kanekoら、J. lmmunol.、2003年、170巻:3377頁)における泡沫細胞において、喫煙者の肺胞マクロファージから分泌されることが示されている(Shapiroら、Journal of Biological Chemistry、1993年、268巻:23824頁)。MMP-12はまた、冠動脈疾患においてある役割を果たす(Jormsjoら、Circulation Research、2000年、86巻:998頁)。MMP-12はまた、炎症性腸疾患(IBD)患者、及び大腸炎のT細胞媒介性モデルにおいて、上方調節されて、上皮の分解の一因になることが示されており、MMP-12-/-マウスは、TNBS誘発性大腸炎から保護された(Penderら、Ann N Y Acad Sci. 2006年、1072巻:386~8頁)。上皮及び間質MMP-12は、MMP-3及びMMP-7と共に、小児期発症性UCの嚢粘膜においてやはり上方調節され、長期間におけるMMP小児UC嚢の発現は、IBDと特徴を共有していることを示唆する(Makitaloら、World J Gastroenterol. 2012年、18巻(30号):4028~36頁)。まとめると、これらの観察は、MMP-12が、これらの疾患の処置に対する標的となり得ることを示唆している。
【0005】
いくつかの疾患におけるMMP-12の関与を鑑みて、MMP-12の阻害剤を調製する試みが行われている。いくつかのMMP-12阻害剤が知られている(例えば、国際特許出願公開第WO00/40577号、欧州特許出願公開第EP1288199A1号、米国特許第6,352,9761号及び米国特許出願公開第2004/0072871号、並びに欧州特許出願公開第EP1394159号を参照されたい)。
【0006】
記載されている特定のクラスのMMP阻害剤は、ヒダントイン誘導体である。例えば、国際特許出願公開第WO02/096426号は、以下の一般式であるヒダントイン誘導体:
【0007】
【化1】
を記載しており、これは、特に、腫瘍壊死因子-アルファ変換酵素(TACE)及びアグレカナーゼに対する、MMP阻害剤として活性であると開示されている。これらの誘導体の開示されている構造の特徴は、ヒダントイン環とその側鎖との間のスピロ-連結基である。米国特許出願公開第2004/0067996号、及び国際特許出願公開第WO2004/108086号は、以下の一般式である類似のヒダントイン誘導体:
【0008】
【化2】
を記載しており、これは、特にTACE及びアグレカナーゼに対する、MMP阻害剤として活性であるとやはり記載されている。
【0009】
国際特許出願公開第WO02/074752号は、MMP阻害剤の合成を記載しており、国際特許出願公開第WO2004/020415号は、MMP-12阻害剤を開示しており、これらは、それぞれ、以下の一般式であるヒダントイン誘導体:
【0010】
【化3】
である。開示化合物の一部は、MMP-12阻害活性を含めた、MMP阻害活性を示した。
【0011】
さらに最近、MMP-12の阻害剤は、米国特許第7,179,831号に記載されており、これは、以下の一般式であるヒダントイン誘導体:
【0012】
【化4】
である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ヒダントイン誘導体は、有用なクラスのMMP阻害剤である。しかし、特異性、効力及び薬理学的特性の改善されたヒダントイン誘導体を特定することが、当分野において必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本出願は、MMP、特にマクロファージエラスターゼ(MMP-12)に対して、高い活性及び特異性を有する、ヒダントイン誘導体を提供することによって、上記の必要性を満たす。
【0015】
一般的な態様では、本出願は、式(I)の化合物:
【0016】
【化5】
又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物
(式中、
環Bは、場合により置換されているフラニルであり、
環Cは、場合により置換されているアリール又は場合により置換されているヘテロアリールであり、
環Dは、場合により置換されているアリール又は場合により置換されているヘテロアリールであり、
X、Y及びZはそれぞれ、CH2、O、NRx及びS(O)qからなる群から独立して選択され、Rxは、水素又はアルキルであり、
R1は、水素又はアルキルであり、
R4は、水素又はアルキルであり、
R5は、水素であり、
qは、0、1又は2であり、
但し、環Dがフェニルである場合、
(i) R1は、アルキルである、
(ii) R2は、メトキシ、クロロ又はトリフルオロメチルではない、及び
(iii) 環Cは無置換フェニルではない
のうちの少なくとも1つが該当することを条件とする)
に関する。
【0017】
実施形態では、本出願は、式(II)の化合物:
【0018】
【化6】
又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物
(式中、
環Bは、場合により置換されているフラニルであり、
環Cは、アリール又はヘテロアリールであり、
環Dは、アリール又はヘテロアリールであり、
X、Y及びZはそれぞれ、CH2、O、NRx及びS(O)qからなる群から独立して選択され、Rxは、水素又はアルキルであり、
R1は、水素又はアルキルであり、
R2はそれぞれ、水素、アルキル、ハロ、ヒドロキシル、ハロアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アミノ、アミド、アルキルアミノ、アミノアルキル、シアノ、ヒドロキシアルキル、-(CH2)pC(O)OR6及び-(CH2)pOC(O)R6からなる群から独立して選択され、
R3はそれぞれ、水素、アルキル及びハロからなる群から独立して選択され、
R4は、水素又はアルキルであり、
R5は、水素であり、
R6はそれぞれ、水素及びアルキルからなる群から独立して選択され、アルキルは、無置換であるか、又はアミノ、ヒドロキシル、ハロ及びアルコキシからなる群から独立して選択される1つ以上の基により置換されており、
mは、1、2、3又は4であり、
nは、1、2、3、4又は5であり、
pは、0、1、2、3、4又は5であり、
qは、0、1又は2であり、
但し、環Dがフェニルである場合、
(i) R1は、アルキルである、
(ii) R2は、メトキシ、クロロ又はトリフルオロメチルではない、及び
(iii) 環Cは無置換フェニルではない
のうちの少なくとも1つが該当することを条件とする)
に関する。
【0019】
実施形態では、本出願は、環Cがフェニルである、式(II)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物に関する。
【0020】
実施形態では、本出願は、環Dが、ピリジニル又はピリジニルN-オキシドである、式(II)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物に関する。
【0021】
実施形態では、本出願は、R4が水素である、式(II)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物に関する。
【0022】
実施形態では、本出願は、R1がアルキルである、式(II)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物に関する。
【0023】
実施形態では、本出願は、XがSであり、ZがCH2である、式(II)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物に関する。
【0024】
実施形態では、本出願は、XがSであり、YがOであり、ZがCH2である、式(II)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物に関する。
【0025】
実施形態では、本出願は、nが1であり、R2がアルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル又はアミドである、式(II)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物に関する。
【0026】
実施形態では、本出願は、nが1であり、R2が-CH3、C1~4アルコキシ、-OH、-CH2OH又は-C(O)NH2である、式(II)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物に関する。
【0027】
実施形態では、本出願は、式(III)の化合物:
【0028】
【化7】
又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物
(式中、
R1は、水素又はC1~4アルキルであり、
Xは、Sであり、
Yは、O、CH2、NH又はN(CH3)であり、
R2はそれぞれ、水素、アルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、アミド及びヒドロキシアルキルからなる群から独立して選択され、
R3はそれぞれ、水素、アルキル又はハロであり、
環Dは、フェニル、ピリジニル又はピリジニルN-オキシドであり、
R4及びR5はそれぞれ、水素であり、
R7は、水素又はメチルであり、
nは、1又は2である)
に関する。
【0029】
実施形態では、本出願は、式(IV)の化合物:
【0030】
【化8】
又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物
(式中、
R1は、水素又はアルキルであり、
R2は、アルキル、アミド、ヒドロキシル、アルコキシ及びヒドロキシルアルキルからなる群から選択され、
R4及びR5はそれぞれ、水素であり、
R7は、メチル又は水素である)
に関する。
【0031】
実施形態では、本出願は、R2が、-CH3、C1~4アルコキシ、-OH、-CH2OH又は-C(O)NH2である、式(IV)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物に関する。
【0032】
実施形態では、本出願は、R1がC1~4アルキルである、式(IV)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物に関する。
【0033】
実施形態では、本出願は、式(V)の化合物、又は薬学的に許容されるその塩:
【0034】
【化9】
(式中、
R1は、アルキルであり、
R2は、アルキル、アミド、アルコキシ、ヒドロキシル及びヒドロキシアルキルからなる群から選択され、
R4及びR5はそれぞれ、水素であり、
R7は、メチル又は水素である)
に関する。
【0035】
実施形態では、本出願は、R2が、-CH3、C1~4アルコキシ、-OH、-CH2OH又は-C(O)NH2である、式(V)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物に関する。
【0036】
実施形態では、本出願は、R1がC1~4アルキルである、式(V)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物に関する。
【0037】
実施形態では、本出願は、表1に一覧表示されている化合物からなる群から選択される化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物に関する。
【0038】
実施形態では、本出願は、表1に一覧表示されている化合物からなる群から選択される化合物、又は薬学的に許容されるその塩に関する。
【0039】
別の一般的な態様では、本出願は、本明細書に記載されている出願の化合物又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物、及び少なくとも1種の薬学的に許容される担体を含む医薬組成物に関する。
【0040】
本出願の他の一般的な態様は、それを必要とする対象において、マクロファージエラスターゼ(MMP-12)を阻害する方法、及びそれを必要とする対象におけるマクロファージエラスターゼ(MMP-12)によって媒介される疾患を処置する方法に関する。
【0041】
実施形態では、本出願は、それを必要とする対象における、マクロファージエラスターゼ(MMP-12)を阻害する方法であって、対象に本出願の化合物又は医薬組成物を投与するステップを含む方法に関する。
【0042】
実施形態では、本出願は、それを必要とする対象における、マクロファージエラスターゼ(MMP-12)によって媒介される疾患を処置する方法であって、対象に本出願の化合物又は医薬組成物を投与するステップを含む方法に関する。
【0043】
一部の実施形態では、疾患は、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気腫、急性肺損傷、及び特発性肺線維症(IPF)、サルコイドーシス、全身性硬化症、肝線維症、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、関節炎、がん、心臓疾患、炎症性腸疾患(IBD)、急性腎臓損傷(AKI)、慢性腎疾患(CKD)、アルポート症候群及び腎炎からなる群から選択される。
【0044】
同様に、マクロファージエラスターゼ(MMP-12)を阻害する方法又はマクロファージエラスターゼ(MMP-12)によって媒介される疾患を処置する方法において使用するための、本出願の化合物又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物、或いは本出願の組成物が本明細書において提供される。一部の実施形態では、疾患は、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気腫、急性肺損傷、及び特発性肺線維症(IPF)、サルコイドーシス、全身性硬化症、肝線維症、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、関節炎、がん、心臓疾患、炎症性腸疾患(IBD)、急性腎臓損傷(AKI)、慢性腎疾患(CKD)、アルポート症候群及び腎炎からなる群から選択される。
【0045】
同様に、マクロファージエラスターゼ(MMP-12)を阻害する医薬又はマクロファージエラスターゼ(MMP-12)によって媒介される疾患を処置する医薬の製造における、本出願の化合物又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物、或いは本出願の組成物の使用が本明細書において提供される。好ましくは、疾患は、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気腫、急性肺損傷、及び特発性肺線維症(IPF)、サルコイドーシス、全身性硬化症、肝線維症、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、関節炎、がん、心臓疾患、炎症性腸疾患(IBD)、急性腎臓損傷(AKI)、慢性腎疾患(CKD)、アルポート症候群及び腎炎からなる群から選択される。
【0046】
さらに別の一般的な態様では、本出願は、本出願の医薬組成物を調製する方法であって、本出願の化合物又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物、及び少なくとも1種の薬学的に許容される担体を一緒にするステップを含む方法に関する。
【0047】
上述の発明の概要、及び以下の発明を実施するための形態は、添付されている図面と関連付けて一読すると、よりよく理解されよう。本発明は、図面に示されている正確な実施形態に限定されないことが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1A~1K]実施例3に記載されている、特発性肺線維症(IPF)に関するブレオマイシン誘発性Sprague Dawley(SD)ラットの片側肺線維症モデルにおける、本出願の実施形態によるMMP-12阻害剤の治療的効力検討の結果を図示するグラフである。
図1A】表3.2及び3.3に説明されている診断基準に準拠して、線維コア及び線維板領域における細気管支及び肺細動脈損傷及び炎症細胞の浸潤をスコア化するために使用した、ヘマトキシリン及びエオシン(H&E)染色スライドを示す図である。
図1B】表3.4に説明されている診断基準による、肺線維症のスコア化に使用した、マッソントリクローム染色スライドを示す図である。肺線維症のスコア化に関する組織学的特徴の診断基準:パネルA:正常、パネルB:スコア1、パネルC:スコア2、パネルD:スコア3、パネルE:スコア4、パネルF:スコア5、パネルG:スコア6、パネルH:スコア7、パネルI:スコア8。
図1C】H&E染色による、×200の倍率での実験SDラットの線維コアにおける気管支及び細動脈損傷を示す図である。パネルA:シャム(群1)、パネルB:モデル(群2)、パネルC:FC-4(群4、10mg/kg/日)、パネルD:FC-4(群5、30mg/kg/日)、パネルE:FC-4(群6、100mg/kg/日);「a」とは、肺細動脈を指し、「b」とは、気管支を指す。
図1D】H&E染色による、×200の倍率での実験SDラットの線維の境界における気管支及び細動脈損傷を示す図である;パネルA:シャム(群1)、パネルB:モデル(群2)、パネルC:FC-4(群4、10mg/kg/日)、パネルD:FC-4(群5、30mg/kg/日)、パネルE:FC-4(群6、100mg/kg/日);「a」とは、肺細動脈を指し、「b」とは、気管支を指す。
図1E】実験SDラットの線維コアにおける気管支損傷スコア及び細動脈損傷スコアを示すグラフである。一元配置ANOVA:***p<0.001対モデル群。
図1F】線維の境界における気管支損傷スコア及び細動脈損傷スコアを示すグラフである。一元配置ANOVA:***p<0.001対モデル、**p<0.01対モデル。
図1G】マッソントリクローム染色による、実験SDラットの肺線維症の組織学的変化を示す図である;パネルA:シャム(群1)、パネルB:モデル(群2)、パネルC:FC-4(群4、10mg/kg/日)、パネルD:FC-4(群5、30mg/kg/日)、パネルE:FC-4(群6、100mg/kg/日)。
図1H】実験SDラットに関する、Ashcraftスコア化による左肺線維症スコアを示すグラフである。一元配置ANOVA:**p<0.01対モデル、***p<0.001対モデル。
図1I】実験SDラットに関する、Ashcraftスコア化による左肺線維症スコアの比を示すグラフである。二元配置ANOVA:***p<0.001対モデル。
図1J】×200倍率における、H&E染色による、実験SDラットのコラーゲン沈着、MMP-12発現、TGF-β1発現及びエラスチン発現の組織学的変化を示す図である。(I)は、矢印により示されている、線維コアにおける肺胞壁に沈着したコラーゲンIを示す。(II)は、矢印により示されている、線維コアに沈着したコラーゲンIVを示す。(III)は、線維コアにおけるMMP-12発現を示しており、矢印は、線維コアにおける肺胞壁及び炎症細胞表面にMMP-12が発現していることを示す。(IV)は、線維コアにおけるTGF-β1発現を示しており、矢印は、線維コアにおける炎症細胞表面にTGF-β1が発現していることを示す。(V)は、線維コアにおけるエラスチン発現を示しており、矢印は、線維コアにおける肺胞壁表面にエラスチンが発現していることを示す。(I)~(V)の各々に関して、パネルA:シャム(群1)、パネルB:モデル(群2)、パネルC:FC-4(群4、10mg/kg/日)、パネルD:FC-4(群5、30mg/kg/日)、パネルE:FC-4(群6、100mg/kg/日)。
図1K】実験SDラットのコラーゲンI沈着、コラーゲンIV沈着、MMP-12発現、TGF-β1発現及びエラスチン発現に関するポジティブ染色スコアを示す図である;(I)~(V)は、図1Jに記載されている(I)~(V)に相当する;(I)~(V)の各々に関して、パネルA~Fは、図1Jに記載されているパネルA~Fに相当する。#p<0.05対モデル;##p<0.01対モデル;###p<0.001対モデル;**p<0.01対シャム;***p<0.001対シャム。
【0049】
図2A~2H]実施例4に記載されている、片側尿管閉塞(UUO)によるSDラット腎線維症モデルに対するMMP-12阻害剤の有効性検討の結果を図示するグラフである。
図2A】実験SDラット群の各々に関する、手術前(OP前)に比べた、2週間時における血清BUNの変化を示すグラフである。
図2B】実験SDラット群の各々に関する、手術前(OP前)に比べた、2週間時における血清クレアチンの変化を示すグラフである。
図2C】×200倍率におけるH&E染色に由来する腎臓の組織学的画像である。パネルA:正常対照としての右腎臓、パネルB:ビヒクル処置動物、パネルC:FC-4処置動物(2mg/kg/日)、パネルD:FC-4処置動物(6mg/kg/日)、パネルE:FC-4処置動物(20mg/kg/日)。
図2D】実験SDラット群の各々に関する、腎尿細管損傷スコア(I)及び腎間質性炎症スコア(II)を示すグラフである;(I)におけるT検定:***p<0.05対モデル、##p<0.01対FC-4(2mg/kg/日);(II)におけるT検定:**p<0.05対モデル、***p<0.001対モデル、##p<0.01対FC-4(6mg/kg/日)、$$$p<0.001対FC-4(2mg/kg/日)。
図2E】×200の倍率における、マッソントリクローム染色に由来する、腎臓における組織学的画像である。パネルA~Hは、図2Cに記載されているパネルA~Hに相当する。
図2F】皮質における腎臓の間質性線維症に関する、間質性線維症スコアを示す図である。T検定:**p<0.01対モデル、***p<0.05対モデル、#p<0.05対FC-4(2mg/kg/日)。
図2G】×200倍率における、IHC染色による左腎臓の皮質領域における、コラーゲンI沈着(I)及びコラーゲンIV沈着(II)を示す図である。パネルA~Hは、図2Cに記載されているパネルA~Hに相当する。
図2H図2GにおけるIHC染色から決定した、左腎臓の皮質領域における、コラーゲンI沈着のポジティブ染色(%)(I)及びコラーゲンIV沈着のポジティブ染色(%)(II)を示す図である。一元配置ANOVA:***p<0.001対正常対照;T検定:#p<0.05対モデル、##p<0.01対モデル、###p<0.001対モデル。
【発明を実施するための形態】
【0050】
背景において、及び本明細書全体を通じて、様々な刊行物、論文及び特許が引用、又は記載されている。これらの参照文献の各々の全体が、参照により本明細書に組み込まれている。本明細書に含まれている文書、作用、物質、デバイス、論文などの議論は、本発明に関する背景を提供する目的のためのものである。このような議論は、これらの主題のいずれか又はすべてが、開示されている又は特許請求されているいかなる発明に関しても、先行技術の一部を形成することを認めるものではない。
【0051】
特に定義されない限り、本明細書において使用される技術的及び科学的用語はすべて、本発明が属する当業者に一般的に理解されるものと同じ意味を有する。そうでない場合、本明細書に使用されているある特定の用語は、本明細書において説明されている意味を有する。本明細書において引用されている特許、公開特許出願及び刊行物はすべて、本明細書においてあたかも完全に説明されているかのごとく、参照により組み込まれている。
【0052】
本明細書で使用する場合、及び添付の特許請求の範囲において、単数形「a」、「an」及び「the」は、その文脈が特に明白に示さない限り、複数の参照物を含むことに留意しなければならない。
【0053】
特に示さない限り、一連の要素の前に付く「少なくとも」という用語は、この一連のものにおいて、各要素を参照することを理解すべきである。当業者であれば、常套的な実験のみを使用して、本明細書に記載されている本発明の具体的な実施形態に対する多くの等価物を認識又は解明することができよう。このような均等物は、本発明によって包含されていることが意図されている。
【0054】
以下に続くこの明細書及び特許請求の範囲を通して、文脈上異なる解釈を要する場合を除き、「を含む(comprise)」という語、並びに変化形、例えば「を含む(comprises)」及び「を含むこと(comprising)」は、明記した整数若しくは工程、又は整数若しくは工程の群を含むことを意味するが、他のいかなる整数若しくは工程、又は整数若しくは工程の群を除外することを意味するものではないことが理解されよう。用語「含むこと(comprising)」は、本明細書において使用されている場合、用語「含有すること(containing)」又は「含むこと(including)」により、又は時として、本明細書において使用される場合、用語「有すること(having)」により置き換えることができる。
【0055】
「からなる(consisting of)」は、本明細書において使用されている場合、特許請求の範囲の要素に指定されていない、任意の要素、工程又は成分を除外する。「から実質的になる(consisting essentially of)」は、本明細書において使用される場合、特許請求の範囲の基礎的及び新規特徴に実質的に影響を及ぼさない、物質又は工程を除外しない。「含むこと」、「含有すること」、「含むこと」及び「有すること」という上述の用語のいずれも、本出願の態様又は実施形態の文脈において本明細書に使用されている場合は常に、本開示の範囲を変更するため、用語「からなる」又は「から実質的になる」により置き換えられ得る。
【0056】
本明細書で使用する場合、複数の引用されている要素間の接続用語「及び/又は」は、個々選択肢及び組合せ選択肢の両方を包含すると理解される。例えば、2つの要素が、「及び/又は」によって接続されている場合、第1の選択肢は、第2の要素を伴わないで第1の要素が適用されることを指す。第2の選択肢は、第1の要素を伴わないで第2の要素が適用されることを指す。第3の選択肢は、第1及び第2の要素が一緒に適用されることを指す。これらの選択肢のいずれか1つは、これらの意味の範囲内に収まり、したがって、本明細書において使用される用語「及び/又は」の要件を満足することが理解される。1つ超のこれらの選択肢が同時に適用されることは、この意味の範囲内に収まり、したがって、用語「及び/又は」の要件を満足することがやはり理解される。
【0057】
特に明記しない限り、任意の数値、例えば、本明細書に記載されている濃度又は濃度範囲は、すべての場合において、用語「約」により修飾されているものと理解すべきである。したがって、数値は、通常、引用されている値の±10%を含む。例えば、「10倍」と引用する場合、9倍及び11倍を含む。本明細書で使用する場合、文脈が特に明確に示さない限り、数値範囲の使用は、考えられるすべての部分範囲、これらの値のこのような範囲及び分数内の整数を含めたそのような範囲内の個々の数値のすべてを明示的に含む。
【0058】
本明細書で使用する場合、「対象」は、任意の動物、好ましくは、本出願の実施形態による方法によって処置されることになる、又は処置されている哺乳動物、最も好ましくはヒトを意味する。用語「哺乳動物」は、本明細書で使用する場合、いかなる哺乳動物も包含する。哺乳動物の例には、以下に限定されないが、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ネコ、イヌ、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、非ヒト霊長類(NHP)、例えば、サル又は類人猿、ヒトなど、より好ましくはヒトが含まれる。
【0059】
言い回し「薬学的に許容される塩」は、本明細書で使用する場合、哺乳動物において局所使用するのに安全かつ有効な、目的の化合物の塩であって、所望の生物活性を有する塩を意味する。薬学的に許容される塩は、指定された化合物中に存在する酸性基又は塩基性基の塩を含む。薬学的に許容される酸付加塩には、以下に限定されないが、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩(acid phosphate)、イソニコチン酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、酢酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、ピルビン酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、パントテン酸塩、酒石酸水素塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチジン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸、糖酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩及びパモ酸塩(すなわち、1,1'-メチレン-ビス-(2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸))が含まれる。本出願において使用されるある特定の化合物は、様々なアミノ酸を有する薬学的に許容される塩を形成することができる。好適な塩基塩には、以下に限定されないが、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、亜鉛、ビスマス及びジエタノールアミン塩が含まれる。薬学的に許容される塩に関する総説に関すると、参照により本明細書に組み込まれている、Bergeら、66巻、J. Pharm. Sci. 1~19頁(1977年)を参照されたい。
【0060】
本明細書で使用する場合、用語「アルキル」は、一価の非分岐状又は分岐状飽和炭化水素鎖を意味する。アルキル基は、無置換であっても、又は1つ以上の好適な置換基により置換されていてもよい。アルキル基の例には、以下に限定されないが、メチル(Me)、エチル(Et)、プロピル(例えば、n-プロピル、イソプロピル)、ブチル(例えば、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル)及びペンチル(例えば、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル)などが含まれる。アルキル基は、指定数の炭素原子を有することができる。記号「C」の後に、数が添字で出現する場合、その添字は、特定のアルキルが含有し得る、炭素原子の数を一層具体的に定義している。例えば、「C1~C10アルキル」又は「C1~10アルキル」は、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9及びC10アルキル基を含むことが意図されている。さらに、例えば、「C1~C6アルキル」又は「C1~6アルキル」は、1~6個の炭素原子を有するアルキルを表す。
【0061】
用語「アルコキシ」とは、本明細書で使用する場合、アルキルが上で定義されている通りである、-O-アルキル基を指す。アルコキシ基は、酸素原子を介して親分子に結合している。アルコキシ基は、指定数の炭素原子を有することができる。例えば、「C1~C10アルコキシ」又は「C1~10アルコキシ」は、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9及びC10アルコキシ基を含むことが意図されている。さらに、例えば、「C1~C6アルコキシ」又は「C1~6アルコキシ」は、1~6個の炭素原子を有するアルコキシを表す。アルコキシの例には、以下に限定されないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ(例えば、n-プロポキシ、イソプロポキシ)、ブトキシ(例えば、n-ブトキシ、イソブトキシ、tert-ブトキシ)、ペンチルオキシ(例えば、n-ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ)などが含まれる。アルコキシ基は、無置換であっても、又は1つ以上の好適な置換基により置換されていてもよい。同様に、「アルキルチオ」又は「チオアルコキシ」は、硫黄架橋を介して結合している、上で定義したアルキル基、例えば、-S-メチル、-S-エチルなどを表す。アルキルチオの代表例には、以下に限定されないが、-SCH3、-SCH2CH3などが含まれる。
【0062】
本明細書で使用する場合、用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を意味する。それに対応して、用語「ハロ」は、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードを意味する。
【0063】
「ハロアルキル」は、1つ以上のハロゲン原子により置換されている、分岐状及び直鎖状の飽和脂肪族炭化水素基の両方を含むことが意図される。ハロアルキルの例には、以下に限定されないが、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、ペンタフルオロエチル、ペンタクロロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル及びヘプタクロロプロピルが含まれる。
【0064】
用語「ヒドロキシ」及び「ヒドロキシル」は、互換的に使用することができ、-OHを指す。
【0065】
用語「カルボキシ」とは、-COOHを指す。
【0066】
用語「シアノ」とは、-CNを指す。
【0067】
用語「アミノ」とは、-NH2を指す。用語「アルキルアミノ」は、アミノ基であって、窒素に結合している水素原子の一方又は両方が、アルキル基により置換されているアミノ基を指す。例えば、アルキルアミノには、メチルアミノ(-NHCH3)、ジメチルアミノ(-N(CH3)2)、-NHCH2CH3などが含まれる。
【0068】
用語「アミノアルキル」は、本明細書で使用する場合、1つ以上のアミノ基により置換されている、分岐状及び直鎖状の飽和脂肪族炭化水素基の両方を含むことが意図される。例えば、「C1~4アミノアルキル」は、1つ以上のアミノ基により置換されている、C1、C2、C3及びC4アルキル基を含むことが意図されている。アミノアルキル基の代表例には、以下に限定されないが、-CH2NH2、-CH2CH2NH2及び-CH2CH(NH2)CH3が含まれる。
【0069】
本明細書で使用する場合、「アミド」とは、-C(O)N(R)2を指し、Rはそれぞれ独立して、アルキル基又は水素である。アミドの例には、以下に限定されないが、-C(O)NH2、-C(O)NHCH3及び-C(O)N(CH3)2が含まれる。
【0070】
用語「ヒドロキシルアルキル」及び「ヒドロキシアルキル」は、互換的に使用され、1つ以上のヒドロキシル基により置換されているアルキル基を指す。アルキルは、分岐状又は直鎖状の脂肪族炭化水素とすることができる。ヒドロキシルアルキルの例には、以下に限定されないが、ヒドロキシルメチル(-CH2OH)、ヒドロキシルエチル(-CH2CH2OH)などが含まれる。
【0071】
用語「アリール」は、本明細書で使用する場合、以下に限定されないが、フェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントラニルなどを含めた、任意の炭素をベースとする芳香族基を含有する基である。アリール部分は、周知であり、例えば、Lewis, R. J.(編)、Hawley's Condensed Chemical Dictionary、第13版、John Wiley & Sons, Inc.、New York(1997年)に記載されている。アリール基は、無置換であっても、又は1つ以上の好適な置換基により置換されていてもよい。アリール基は、単一環構造(すなわち、単環式)とすることができるか、又は縮合環構造である多環構造(すなわち、多環式)を含むことができる。好ましくは、アリール基は、単環式アリール基、例えばフェニルである。
【0072】
本明細書で使用する場合、用語「ヘテロアリール」は、少なくとも1個のヘテロ原子環員、例えば、硫黄、酸素又は窒素を含有する、安定な単環式及び多環式芳香族炭化水素を含む。ヘテロアリールは、単環式又は多環式、例えば、二環式又は三環式とすることができる。ヘテロ原子を含有するヘテロアリール基の各環は、1個若しくは2個の酸素原子、又は硫黄原子及び/若しくは1~4個の窒素原子を含有することができ、但し、各環中のヘテロ原子の総数は、4個以下であり、各環は、少なくとも1個の炭素原子を有することを条件とする。二環式ヘテロアリール基の場合、二環式基を完成する縮合環は、炭素原子のみを含有することができ、飽和、部分飽和又は不飽和であり得る。多環式であるヘテロアリール基、例えば、二環式又は三環式は、少なくとも1つの完全芳香族環を含まなければならないが、他の縮合環(単数又は複数)は、芳香族又は非芳香族とすることができる。ヘテロアリール基は、任意の利用可能な窒素において、又はヘテロアリール基の任意の環の炭素原子において結合し得る。好ましくは、用語「ヘテロアリール」とは、環の少なくとも1つにおいて少なくとも1個のヘテロ原子(O、S又はN)を有する、5員若しくは6員の単環式基、及び9員若しくは10員の二環式基を指し、ヘテロ原子含有環は、O、S及び/又はNから選択される、1個、2個又は3個のヘテロ原子、より好ましくは1個又は2個のヘテロ原子を好ましくは有する。ヘテロアリール基は、無置換であっても、又は1つ以上の好適な置換基により置換されていてもよい。ヘテロアリールの窒素ヘテロ原子は、置換されていても、又は無置換であってもよい。ヘテロアリールの窒素ヘテロ原子及び硫黄ヘテロ原子は、場合により酸化され得る(すなわち、N→O及びS(O)rであり、rは、0、1又は2である)。
【0073】
例示的な単環式ヘテロアリール基には、以下に限定されないが、ピロリル、ピラゾリル、ピラゾリニル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、フラニル、チオフェニル、オキサジアゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル及びトリアジニルが含まれる。例示的な二環式ヘテロアリール基には、以下に限定されないが、インドリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチエニル、キノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、イソキノリニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾピラニル、インドリジニル、ベンゾフラニル、クロモニル、クマリニル、ベンゾピラニル、シンノリニル、キノキサリニル、インダゾリル、ピロロピリジニル、フロピリジニル、ジヒドロイソインドリル及びテトラヒドロキノリニルが含まれる。
【0074】
当分野において使用される慣例によれば:
【0075】
【化10】
は、コア構造又は主鎖構造への部分又は置換基の結合点となる結合を図示するために、本明細書における構造式に使用される。
【0076】
置換基への結合が、環中の2個の原子を連結する結合を交差して示されている場合、このような置換基は、この環上の任意の原子に結合し得る。
【0077】
本明細書において言及される通り、用語「置換されている」は、少なくとも1個の水素原子が、非水素基により置き換えられており、但し、正常な原子価がすべて維持されており、この置換が安定な化合物をもたらすことを条件とすることを意味する。具体的な基が、「置換されている」場合、その基は、置換基の一覧から独立して選択される、1つ以上の置換基、好ましくは1~5つの置換基、より好ましくは1~3つの置換基、最も好ましくは1~2つの置換基を有することができる。用語「独立して」は、置換基を参照して使用される場合、このような置換基の1つ超が可能である場合、このような置換基が同じとすることができるか、又は互いに異なり得ることを意味する。好適な置換基の例には、以下に限定されないが、アルキル、ハロゲン、アルコキシ、アミド、アルキルチオ、アミン、アルキルアミン、アミノアルキル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシル、カルボキシルなど、例えば、C1~4アルキル、C1~3アルコキシ、-OH、-COOH、-F、-Cl、-C(O)NHCH3、-C(O)N(CH3)2が含まれる。
【0078】
化合物に関して、なんらかの可変要素が、任意の構成又は式中に1回超で出現する場合、その定義は、出現ごとに、他のすべての出現時におけるその定義と無関係である。したがって、例えば、ある基が、0~3つのR基により置換されていると示されている場合、前記基は、最大で3つのR基により場合により置換されていてもよく、Rは、出現ごとに、Rの定義から独立して選択される。
【0079】
用語「任意選択の」又は「場合により」は、続いて記載されている事象又は状況が、必ずしもではないが、起こり得、このような記載は、この事象又は状況が起こる又は起こらない事態を含むことを意味する。例えば、「場合により置換されているアリール」は、置換基は、必ずしもではないが、存在することができ、このような記載は、アリール基が好適な置換基によって置換されている事態、及びアリール基がいかなる置換基によっても置換されていない事態を含むことを意味する。
【0080】
当業者は、ある種の実施形態では、本出願の化合物は、その構造中に1個以上の不斉炭素原子を有することができることを認識しているであろう。本明細書で使用する場合、実線の楔形結合でも点線の楔型結合でもなく、実線だけとして示されている結合を含む化学式、又は他には、1個以上の原子の周りに特定の立体配置(例えば、R又はS)を有するものとして示されている化学式のいずれも、可能な立体異性体のいずれも、又は2つ以上の立体異性体からなる混合物を企図する。言い換えると、構造の立体化学が指定されていない場合、この構造は、個々の立体異性体及びそれらの混合物のすべてを包含することが意図されている。立体異性体は、鏡像異性体及びジアステレオマーを含む。「鏡像異性体」は、互いに重なり合わない鏡像である立体異性体である。一対の鏡像異性体の1:1混合物が、ラセミ体又はラセミ混合物である。ジアステレオマー(又はジアステレオ異性体)は、鏡像異性体ではない立体異性体であり、すなわち、それらは、鏡像として関係付けられず、化合物の2つ以上の立体異性体が、等価な立体中心の1つ以上において異なる立体配置を有しており、互いに鏡像ではない場合に発生する。置換基(例えば、アルキル、ヘテロシクリルなど)は、R又はS立体配置のいずれか一方の立体中心を含むことができる。
【0081】
したがって、本発明の化合物の立体化学として純粋な異性体(すなわち、単一鏡像異性体又は単一ジアステレオマー)、及びそれらのラセミ体を含むそれらの混合物が、本発明の範囲内に含まれる。特定の立体異性体が特定される場合、これは、立体異性体が実質的に不含であること、すなわち他の立体異性体を50%未満、好ましくは20%未満、より好ましくは5%未満、特に2%未満、最も好ましくは1%未満のみ伴うことを意味する。例えば、化合物が、例えば、(R)として指定される場合、これは、本化合物が(S)異性体を実質的に含まないことを意味する。本明細書に記載されている出願の化合物は、ラセミ混合物、鏡像異性体として若しくはジアステレオマーとして富む混合物として、又は鏡像異性体として若しくはジアステレオマーとして純粋な個々の立体異性体として使用され得る。
【0082】
立体化学的に純粋な異性体は、本開示を鑑みて、当分野において公知の技法により得ることができる。例えば、ジアステレオ異性体は、物理的分離方法、例えば分別結晶化及びクロマトグラフィー技法によって分離することができ、鏡像異性体は、光学活性な酸又は塩基とのジアステレオマー塩の選択的結晶化によって、又はキラルクロマトグラフィーによって互いに分離することができる。純粋な立体異性体は、立体化学的に純粋な適切な出発原料から合成によって、又は立体選択的反応を使用することによって調製することもできる。
【0083】
本出願の化合物はまた、互変異性体を形成することができる。用語「互変異性体」とは、特定の化合物の構造の相互変換可能な形態である化合物であって、水素原子及び電子の置き換えが様々である、化合物を指す。互変異性体は、容易に相互変換する化学化合物の構成上の異性体であり、通常、プロトン(水素)の再配置をもたらす。したがって、2つの構造が、パイ電子及び原子(通常、水素)の移動を介して平衡の下にあり得る。本出願の化合物の互変異性体及びそれらの混合物のすべてが、本出願の範囲内に含まれる。
【0084】
本出願の化合物は、溶媒和形態及び非溶媒和形態で存在し得る。用語「溶媒和物」は、例えば、水素結合による、本出願の化合物と1つ以上の溶媒分子との物理的な会合を意味する。溶媒和物中の溶媒分子は、規則的な配列及び/又は非規則的な配列で存在し得る。溶媒和物は、化学量論量又は非化学量論量のどちらか一方の溶媒分子を含むことができる。「溶媒和物」は、溶液相と分離可能な溶媒和物の両方を包含する。本出願の化合物は、水(すなわち、水和物)又は一般有機溶媒との溶媒和物を形成することができる。例示的な溶媒和物には、以下に限定されないが、水和物、エタノレート、メタノレート及びイソプロパノレートが含まれる。溶媒和の方法は、一般に、当分野で公知である。
【0085】
同様に、本出願の化合物に起こる原子のすべての同位体が、本出願の範囲内に含まれる。同位体は、同一原子番号であるが、異なる質量数を有する、そのような原子を含む。一般例により、及び非限定的に、水素の同位体は、重水素及びトリチウムを含む。炭素の同位体は、13C及び14Cを含む。本発明の同位体標識化合物は、他で使用された非標識試薬の代わりに適切な同位体標識試薬を使用して、当業者に公知の従来の技法により、又は本明細書に記載されているものに類似した方法によって、一般に調製され得る。
【0086】
本明細書で使用する場合、化合物の名称は、本化合物の、存在する、考えられる異性体(例えば、光学異性体、鏡像異性体、ジアステレオマー、ラセミ体又はラセミ混合物)、互変異性体及び薬学的に許容される塩のすべてを包含することが意図されている。
【0087】
化合物
一般的な態様では、本出願は、式(I)の化合物:
【0088】
【化11】
又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物
(式中、
環Bは、場合により置換されているフラニルであり、
環Cは、場合により置換されているアリール又は場合により置換されているヘテロアリールであり、
環Dは、場合により置換されているアリール又は場合により置換されているヘテロアリールであり、
X、Y及びZはそれぞれ、CH2、O、NRx及びS(O)qからなる群から独立して選択され、Rxは、水素又はアルキルであり、
R1は、水素又はアルキルであり、
R4は、水素又はアルキルであり、
R5は、水素であり、
qは、0、1又は2であり、
但し、環Dがフェニルである場合、
(i) R1は、アルキルである、
(ii) R2は、メトキシ、クロロ又はトリフルオロメチルではない、及び
(iii) 環Cは無置換フェニルではない
のうちの少なくとも1つが該当することを条件とする)
に関する。
【0089】
実施形態では、式(II)の化合物:
【0090】
【化12】
又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物
(式中、
環Bは、場合により置換されているフラニルであり、
環Cは、アリール又はヘテロアリールであり、
環Dは、アリール又はヘテロアリールであり、
X、Y及びZはそれぞれ、O、CH2、NRx及びS(O)qからなる群から独立して選択され、Rxは、水素又はアルキルであり、
R1は、水素又はアルキルであり、
R2はそれぞれ、水素、アルキル、ハロ、ヒドロキシル、ハロアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アミノ、アミド、アルキルアミノ、アミノアルキル、シアノ、ヒドロキシアルキル、-(CH2)pC(O)OR6及び-(CH2)pOC(O)R6からなる群から独立して選択され、
R3はそれぞれ、水素、アルキル及びハロからなる群から独立して選択され、
R4は、水素又はアルキルであり、
R5は、水素であり、
R6はそれぞれ、水素及びアルキルからなる群から独立して選択され、アルキルは、無置換であるか、又はアミノ、ヒドロキシル、ハロ及びアルコキシからなる群から独立して選択される1つ以上の基により置換されており、
mは、1、2、3又は4であり、
nは、1、2、3、4又は5であり、
pは、0、1、2、3、4又は5であり、
qは、0、1又は2であり、
但し、環Dがフェニルである場合、
(i) R1は、アルキルである、
(ii) R2は、メトキシ、クロロ又はトリフルオロメチルではない、及び
(iii) 環Cは無置換フェニルではない
のうちの少なくとも1つが該当することを条件とする)
が提供される。
【0091】
実施形態では、環Cが、場合により置換されているアリール、好ましくは場合により置換されているフェニルである、式(II)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物が提供される。
【0092】
実施形態では、環Cが、場合により置換されているヘテロアリール、好ましくは場合により置換されているピリジニルである、式(II)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物が提供される。
【0093】
実施形態では、mが1であり、R3が、独立して、水素、アルキル又はハロ、好ましくは水素、-CH3、-F又は-Cl、より好ましくは水素である、式(II)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物が提供される。
【0094】
実施形態では、環Cがフェニルであり、mが1であり、R3が水素である、式(II)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物が提供される。
【0095】
実施形態では、環Dが、場合により置換されているアリール、好ましくは場合により置換されているフェニルである、式(II)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物が提供される。環Dがフェニルであるこのような実施形態では、以下の条件の少なくとも1つが満足される:(i)R1は、アルキルである、(ii)R2は、メトキシ、クロロ又はトリフルオロメチルではない、かつ/又は(iii)環Cは、無置換フェニルではない。
【0096】
実施形態では、環Dが、場合により置換されているヘテロアリールである、式(II)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物が提供される。
【0097】
実施形態では、環Dが、アルキル、ハロ、ハロアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アミノ、アミド、アルキルアミノ、アミノアルキル、シアノ、ヒドロキシアルキル、-(CH2)pC(O)OR6及び-(CH2)pOC(O)R6からなる群から独立して選択される、1つ、2つ、3つ、4つ又は5つの置換基、好ましくは1つ又は2つの置換基により場合により置換されており、pが、0、1、2、3、4又は5である、式(II)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物が提供される。置換基は、存在する場合、環Dの任意の位置において結合し得る。好ましくは、環Dは、1つの置換基により置換されている。
【0098】
実施形態では、環Dが、可変要素Zへの結合に対して、メタ位において、1つの置換基により置換されている単環式アリール基又は単環式ヘテロアリール基、好ましくはメタ位において置換されているフェニル又はピリジニルである、式(II)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物が提供される。特に、環Dに関する特に好ましい置換基には、メチル(-CH3)、アミド(-C(O)NH2)、メトキシ(-OCH3)、ヒドロキシル(-OH)及びヒドロキシルメチル(-CH2OH)が含まれる。
【0099】
特定の実施形態では、環Dは、フェニルである。
【0100】
別の特定の実施形態では、環Dは、ピリジニルである。
【0101】
別の特定の実施形態では、環Dは、ピリジニルN-オキシドである。
【0102】
実施形態では、nが1であり、R2が、C1~4アルコキシ(例えば、-OCH3、-OCH2CH2CH3、-OCH2CH3、-OCH(CH3)2、-OCH2CH(CH3)2)、C1~4アルキル(例えば、-CH3、-CH2CH3、-CH2CH(CH3)2)、-CH2OH、-OH、-COOH、-C(O)NH2、-C(O)NHCH3又は-CH2OC(O)CH(NH2)CH(CH3)2、-C(O)NH2、-C(O)NHCH3である、式(II)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物が提供される。好ましくは、R2は、-CH3、-C(O)NH2、-CH2OH、-OCH3又はOHである。
【0103】
実施形態では、環Dが、
【0104】
【化13】
である、式(II)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物が提供される。
【0105】
本出願の実施形態によれば、ヒダントイン部分の不斉炭素原子は、無置換であっても(すなわち、R1は水素である)、又は置換されていてもよい。R1置換基は、置換されている場合、好ましくはアルキルである。ヒダントイン部分の不斉炭素原子の置換のための好ましいアルキル基は、C1~4アルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチルなどを含む。
【0106】
実施形態では、R1が、水素、-CH3、-CH2CH3、-CH2CH2CH3、-CH(CH3)2又は-CH2CH(CH3)2である、式(II)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物が提供される。
【0107】
実施形態では、R1が水素である、式(II)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物が提供される。
【0108】
ヒダントイン部分の窒素原子の置換も可能である。本出願の実施形態によれば、R4及びR5は、それぞれ独立して、水素又はアルキルである。好ましいアルキル基には、メチルが含まれる。
【0109】
実施形態では、R4が水素又は-CH3であり、R5が-CH3である、式(II)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物が提供される。
【0110】
実施形態では、R4及びR5がそれぞれ、水素である、式(II)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物が提供される。
【0111】
本出願の実施形態によれば、X、Y及びZはそれぞれ、O、NRx、CH2及びS(O)qからなる群から独立して選択され、qは、0、1又は2であり、Rxは、水素又はアルキルである。したがって、リンカー単位X、Y及びZはそれぞれ、O、S、S(O)、SO2、NH、N-アルキル及びCH2から独立して選択される。好ましくは、X、Y及びZはそれぞれ、S、S(O)、S(O)2、CH2及びO、より好ましくはS、CH2及びOから独立して選択される。
【0112】
実施形態では、ZがCH2である、式(II)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物が提供される。
【0113】
実施形態では、XがSである、式(II)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物が提供される。
【0114】
実施形態では、XがSであり、YがO、CH2、NH又はNH(CH3)であり、ZがCH2である、式(II)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物が提供される。
【0115】
実施形態では、XがOであり、YがOであり、ZがCH2である、式(II)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物が提供される。
【0116】
実施形態では、XがSであり、YがSであり、ZがCH2である、式(II)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物が提供される。
【0117】
実施形態では、XがOであり、YがSであり、ZがCH2である、式(II)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物が提供される。
【0118】
実施形態では、XがSであり、YがOであり、ZがCH2である、式(II)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物が提供される。
【0119】
実施形態では、ZがOであり、YがCH2であり、XがSである、式(II)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物が提供される。
【0120】
実施形態では、ZがSであり、YがCH2であり、XがOである、式(II)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物が提供される。
【0121】
実施形態では、XがS(O)であり、YがOであり、ZがCH2である、式(II)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物が提供される。
【0122】
実施形態では、XがS(O)2であり、YがOであり、ZがCH2である、式(II)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物が提供される。
【0123】
実施形態では、XがSであり、YがNHであり、ZがCH2である、式(II)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物が提供される。
【0124】
実施形態では、XがSであり、YがN(CH3)であり、ZがCH2である、式(II)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物が提供される。
【0125】
好ましい実施形態では、X及びYの一方がSであり、もう一方がOである、式(II)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物が提供される。
【0126】
より好ましい実施形態では、XがSであり、YがOである、式(II)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物が提供される。
【0127】
本出願の実施形態によれば、環Bは、場合により置換されているフラニルである。フラニル環の任意の位置異性体(positional or regioisomer)を使用することができ、ヒダントイン部分及びXリンカーは、フラニル環上の任意の置換可能な炭素原子においてフラニルに結合され得ることを意味する。例えば、ヒダントイン部分及びXリンカーは、フラニル環の酸素ヘテロ原子に対して、2,3-置換パターン、2,4-置換パターン、2,5-置換パターン、3,4-置換パターンなどで、フラニル環に結合し得る。
【0128】
一部の実施形態では、環B(すなわち、フラニル環)が置換されている、式(II)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物が提供される。環B(すなわち、フラニル環)は、フラニル環の任意の置換可能な炭素原子上で置換されていてもよい。例えば、環Bは、アルキル基、例えばメチルにより置換されていてもよい。
【0129】
一部の実施形態では、環Bが無置換フラニル環である、式(II)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物が提供される。
【0130】
一部の実施形態では、環Bが、-CH3により置換されているフラニルである、式(II)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物が提供される。
【0131】
実施形態では、式(III)の化合物:
【0132】
【化14】
又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物
(式中、R7は、水素又はメチルであり、可変要素基の残りは、式(II)の化合物に関して、上で定義されている通りである)が提供される。
【0133】
実施形態では、R3が、水素、アルキル又はハロ、好ましくは水素、-CH3、-F又は-Cl、より好ましくは水素である、式(III)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物が提供される。
【0134】
実施形態では、環Dが、場合により置換されているフェニルであり、但し、(i)R1はアルキルである、(ii)R2は、メトキシ、クロロ又はトリフルオロメチルではない、かつ/又は(iii)環Cは、無置換フェニルではないことを条件とする、式(III)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物が提供される。
【0135】
実施形態では、環Dが、場合により置換されているヘテロアリールである、式(III)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物が提供される。
【0136】
実施形態では、環Dが、場合により置換されているピリジニル又はピリジニルN-オキシドである、式(III)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物が提供される。
【0137】
実施形態では、環Dが、アルキル、ハロ、ハロアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アミノ、アミド、アルキルアミノ、アミノアルキル、シアノ、ヒドロキシアルキル、-(CH2)pC(O)OR6及び-(CH2)pOC(O)R6からなる群から独立して選択される、1つ、2つ、3つ、4つ又は5つの置換基、好ましくは1つ又は2つの置換基により場合により置換されており、pが、0、1、2、3、4又は5である、式(III)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物が提供される。置換基は、存在する場合、環Dの任意の位置において結合し得る。好ましくは、環Dは、1つの置換基により置換されている(すなわち、nは1である)。
【0138】
実施形態では、環Dが、可変要素Zへの結合に対して、メタ位において、1つの置換基により置換されている単環式アリール基又は単環式ヘテロアリール基、好ましくはメタ位において置換されているフェニル又はピリジニルである、式(III)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物が提供される。特に、環Dに対する好ましい置換基には、メチル(-CH3)、アミド(-C(O)NH2)、メトキシ(-OCH3)、ヒドロキシル(-OH)及びヒドロキシルメチル(-CH2OH)が含まれる。
【0139】
特定の実施形態では、環Dは、フェニルである。
【0140】
別の特定の実施形態では、環Dは、ピリジニルである。
【0141】
別の特定の実施形態では、環Dは、ピリジニルN-オキシドである。
【0142】
実施形態では、nが1であり、R2が、C1~4アルコキシ(例えば、-OCH3、-OCH2CH2CH3、-OCH2CH3、-OCH(CH3)2、-OCH2CH(CH3)2)、C1~4アルキル(例えば、-CH3、-CH2CH3、-CH2CH(CH3)2)、-CH2OH、-OH、-COOH、-C(O)NH2、-C(O)NHCH3又は-CH2OC(O)CH(NH2)CH(CH3)2、-C(O)NH2、-C(O)NHCH3である、式(III)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物が提供される。好ましくは、R2は、-CH3、-C(O)NH2、-CH2OH、-OCH3又はOHである。
【0143】
実施形態では、環Dが、
【0144】
【化15】
である、式(III)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物が提供される。
【0145】
実施形態では、R1が水素又はC1~4アルキルである、式(III)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物が提供される。
【0146】
実施形態では、R1が、水素、-CH3、-CH2CH3、-CH2CH2CH3、-CH(CH3)2又は-CH2CH(CH3)2である、式(III)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物が提供される。
【0147】
実施形態では、R1が水素である、式(III)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物が提供される。
【0148】
実施形態では、R4が水素又は-CH3であり、R5が-CH3である、式(III)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物が提供される。
【0149】
実施形態では、R4及びR5がそれぞれ、水素である、式(III)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物が提供される。
【0150】
実施形態では、X及びYがそれぞれ、O、NRx、CH2及びS(O)qからなる群から独立して選択され、qが、0、1又は2であり、Rxが、水素又はアルキル、例えば、メチルである、式(III)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物が提供される。
【0151】
実施形態では、XがSである、式(III)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物が提供される。
【0152】
実施形態では、XがSであり、YがO、CH2、NH又はNH(CH3)である、式(III)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物が提供される。
【0153】
実施形態では、XがOであり、YがOである、式(III)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物が提供される。
【0154】
実施形態では、XがSであり、YがSである、式(III)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物が提供される。
【0155】
実施形態では、XがOであり、YがSである、式(III)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物が提供される。
【0156】
実施形態では、XがSであり、YがOである、式(III)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物が提供される。
【0157】
実施形態では、XがS(O)であり、YがOである、式(III)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物が提供される。
【0158】
実施形態では、XがS(O)2であり、YがOである、式(III)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物が提供される。
【0159】
実施形態では、XがSであり、YがNHである、式(III)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物が提供される。
【0160】
実施形態では、XがSであり、YがN(CH3)である、式(III)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物が提供される。
【0161】
好ましい実施形態では、X及びYの一方がSであり、もう一方がOである、式(III)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物が提供される。
【0162】
より好ましい実施形態では、XがSであり、YがOである、式(III)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物が提供される。
【0163】
実施形態では、
R1が、水素又はC1~4アルキルであり、
Xが、Sであり、
Yが、O、CH2、NH又はN(CH3)であり、
R2がそれぞれ、水素、アルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、アミド及びヒドロキシアルキルからなる群から独立して選択され、
R3がそれぞれ、水素、アルキル又はハロであり、
環Dが、フェニル、ピリジニル又はピリジニルN-オキシドであり、
R4及びR5がそれぞれ、水素であり、
R7が、水素又はメチルであり、
nが、1又は2である
式(III)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物が提供される。
【0164】
実施形態では、式(IV)の化合物:
【0165】
【化16】
又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物
(式中、R7が、水素又はメチルであり、可変要素基の残りは、式(II)又は式(III)の化合物に関して、上で定義されている通りである)
が提供される。
【0166】
実施形態では、R2が、C1~4アルコキシ(例えば、-OCH3、-OCH2CH2CH3、-OCH2CH3、-OCH(CH3)2、-OCH2CH(CH3)2)、C1~4アルキル(例えば、-CH3、-CH2CH3、-CH2CH(CH3)2)、-CH2OH、-OH、-COOH、-C(O)NH2、-C(O)NHCH3又は-CH2OC(O)CH(NH2)CH(CH3)2、-C(O)NH2、-C(O)NHCH3)である、式(IV)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物が提供される。
【0167】
実施形態では、R2が、-CH3、C1~4アルコキシ、-OH、-CH2OH又は-C(O)NH2である、式(IV)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物が提供される。好ましくは、R2は、-CH3、-C(O)NH2、-CH2OH、-OCH3又はOHである。
【0168】
実施形態では、R1がC1~4アルキルである、式(IV)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物が提供される。
【0169】
実施形態では、R1が水素である、式(IV)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物が提供される。
【0170】
実施形態では、R4が水素又は-CH3であり、R5が-CH3である、式(IV)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物が提供される。
【0171】
実施形態では、R4及びR5がそれぞれ、水素である、式(IV)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物が提供される。
【0172】
実施形態では、
R1が、水素又はアルキルであり、
R2が、アルキル、アミド、ヒドロキシル、アルコキシ及びヒドロキシルアルキルからなる群から選択され、
R4及びR5がそれぞれ、水素であり、
R7が、メチル又は水素である
式(IV)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物が提供される。
【0173】
実施形態では、式(V)の化合物:
【0174】
【化17】
又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物
(式中、R7が、水素又はメチルであり、可変要素基の残りは、式(II)又は式(III)の化合物に関して、上で定義されている通りである)
が提供される。
【0175】
実施形態では、R2が、C1~4アルコキシ(例えば、-OCH3、-OCH2CH2CH3、-OCH2CH3、-OCH(CH3)2、-OCH2CH(CH3)2)、C1~4アルキル(例えば、-CH3、-CH2CH3、-CH2CH(CH3)2)、-CH2OH、-OH、-COOH、-C(O)NH2、-C(O)NHCH3又は-CH2OC(O)CH(NH2)CH(CH3)2、-C(O)NH2、-C(O)NHCH3である、式(V)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物が提供される。
【0176】
実施形態では、R2が、-CH3、C1~4アルコキシ、-OH、-CH2OH又は-C(O)NH2である、式(V)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物が提供される。好ましくは、R2は、-CH3、-C(O)NH2、-CH2OH、-OCH3又はOHである。
【0177】
実施形態では、R1がC1~4アルキルである、式(V)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物が提供される。
【0178】
実施形態では、R1が水素である、式(V)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物が提供される。
【0179】
実施形態では、R4が水素又は-CH3であり、R5が-CH3である、式(V)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物が提供される。
【0180】
実施形態では、R4及びR5がそれぞれ、水素である、式(V)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物が提供される。
【0181】
実施形態では、
R1が、アルキルであり、
R2が、アルキル、アミド、アルコキシ、ヒドロキシル及びヒドロキシアルキルからなる群から選択され、
R4及びR5がそれぞれ、水素であり、
R7が、メチル又は水素である、
式(V)の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物が提供される。
【0182】
本出願の例示的な化合物は、以下に限定されないが、以下の表1に一覧表示されている化合物、及びその任意の互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩又は溶媒和物を含む。MMP-12のIC50値は、以下の実施例1に記載されているアッセイに準拠して決定した。IC50値は、以下の通り報告される:A=10nM未満、B=10nM~100nM、C=100nM~1000nM、D=1000nM超。
【0183】
【表1】
【0184】
本出願の化合物は、以下に一般に記載されている任意の数の方法によって調製することができ、より詳細には、本明細書の以下に続く、例示的な例によって例示される。例えば、本出願の化合物は、一般調製スキーム1~3のいずれか1つにより調製することができる。当業者は、一般調製スキーム1~3は、本出願の化合物を得るため、例示的な例及び当分野における一般的な知識に従って修正され得ることを認識していよう。
【0185】
一般調製スキーム1
【0186】
【化18】
1R3は、水素、アルキル又はハロである。R7は、水素又はアルキルである。環Dは、場合により置換されているアリール又はヘテロアリールである。Xはハロである。
【0187】
中間体AをLAD溶液に加え、この混合物を-78℃で約1時間、撹拌する。次に、中間体Bを加え、この混合物をさらに3時間、撹拌する。この反応物をクエンチして抽出する。有機層を洗浄して乾燥し、真空下で濃縮し、残留物をカラムクロマトグラフによって精製し、中間体Cを得る。中間体C及び中間体Dの混合物に、0℃でNaHを加え、この混合物を室温で一晩、撹拌する。次に、この混合物を濃縮し、HClを加えてpHを6に調節し、この混合物をろ過して、中間体Eを得る。中間体Eは、DEAD及びトリフェニルホスフィンの存在下で、中間体F1と反応させて、中間体Gを得る。代替的に、中間体Eは、炭酸カリウムの存在下で、中間体F2と反応させて、中間体Gを得る。そして、中間体Gを、次に、水性アルコール中、(NH4)2CO3及びシアン化カリウム(KCN)と一晩、反応させる。この反応混合物を溶媒蒸発させて、溶媒を除去し、次に、抽出する。有機層を乾燥して溶媒蒸発し、残留物をカラムクロマトグラフィーによって精製し、本出願の実施形態による化合物を得る。
【0188】
一般調製スキーム21
【0189】
【化19】
1R1は、アルキルである。R3は、水素、ハロ又はアルキルである。Xは、ハロである。環Dは、場合により置換されているアリール又は場合により置換されているヘテロアリールである。
【0190】
DMSO中の中間体Dを、窒素雰囲気下、80℃で撹拌する。この混合物を精製して、中間体Hを得る。中間体H、中間体F2及び炭酸カリウムからなる混合物を加熱下で撹拌する。この混合物を精製し、中間体Iを得て、この中間体をトリフェニルホスフィン、TBAB及び希塩酸と反応させて、カラム精製後に中間体Kを得る。中間体C及び中間体Kは、水素化ナトリウムの存在下で反応し、中間体Gを得る。そして、中間体Gを、次に、水性アルコール中、(NH4)2CO3及びシアン化カリウム(KCN)と一晩、反応させる。この反応混合物を溶媒蒸発させて、溶媒を除去し、次に、抽出する。有機層を乾燥して溶媒蒸発し、残留物をカラムクロマトグラフィーによって精製し、本出願の実施形態による化合物を得る。
【0191】
一般調製スキーム31
【0192】
【化20】
1R3は、水素、アルキル又はハロである。R7は、水素又はアルキルである。環Dは、場合により置換されているアリール又はヘテロアリールである。
【0193】
中間体Eは、(CF3SO2)2O及びTEAと反応し、精製後に中間体Lを得る。中間体L及び中間体Mの溶液に、キサントホス、Pd2(dba)3及びCs2CO3を加える。混合物の精製後、中間体Nが得られる。そして、中間体GNを、次に、水性アルコール中、(NH4)2CO3及びシアン化カリウム(KCN)と一晩、反応させる。この反応混合物を溶媒蒸発させて、溶媒を除去し、次に、抽出する。有機層を乾燥して溶媒蒸発し、残留物をカラムクロマトグラフィーによって精製し、本出願の実施形態による化合物を得る。
【0194】
本出願の化合物の薬学的に許容される塩は、慣用的な化学方法により、酸性部分又は塩基性部分を含有する親化合物から合成することができる。一般に、このような塩は、水中、若しくは有機溶媒中、又は上記2つの混合物中、遊離酸又は遊離塩基の形態のこれらの化合物を、化学量論量の適切な酸又は塩基と反応させることにより調製することができる。好適な有機溶媒の例には、以下に限定されないが、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール又はアセトニトリルが含まれる。
【0195】
組成物
本出願の別の態様は、本明細書に記載されている本出願の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物を含む医薬組成物に関する。
【0196】
本出願の組成物はまた、薬学的に許容される担体を含むことができる。薬学的に許容される担体は、非毒性であり、活性成分の有効性を妨害するべきではない。薬学的に許容される担体は、1種以上の賦形剤、例えば、結合剤、崩壊剤、膨潤剤、懸濁化剤、乳化剤、湿潤剤、滑沢剤、香味剤、甘味剤、保存剤、染料、可溶化剤及びコーティング剤を含むことができる。担体又は他の物質の正確な性質は、投与経路、例えば、筋肉内、皮内、皮下、経口、静脈内、経皮、経粘膜(例えば、消化管)、鼻内又は腹腔内経路に依存し得る。液状注射調製物、例えば、懸濁液剤及び溶液剤の場合、好適な担体及び添加物には、水、グリコール、油、アルコール、保存剤、着色剤などが含まれる。固形経口調製物、例えば、散剤、カプセル剤、カプレット剤、ゲルキャップ剤及び錠剤の場合、好適な担体及び添加物には、デンプン、糖、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤などが含まれる。点鼻噴霧剤/吸入混合物の場合、水溶液/懸濁液は、好適な担体及び添加物として、水、グリコール、油、エモリエント剤、安定化剤、湿潤剤、保存剤、芳香剤、風味剤などを含むことができる。
【0197】
本出願の組成物は、以下に限定されないが、経口(腸)投与及び非経口注射を含めた、投与を容易にし、有効性を改善するために、対象に投与するのに好適な任意の物質中で製剤化することができる。非経口注射には、静脈内注射又は注入、皮下注射、皮内注射及び筋肉内注射が含まれる。本出願の組成物はまた、経粘膜、眼、直腸、長期作用型インプラント、舌の下への舌下投与、門脈循環を迂回する口腔粘膜から、吸入又は鼻内を含めた、他の投与経路向けに製剤化され得る。
【0198】
特定の実施形態では、組成物は、経口投与向けに製剤化される。
【0199】
本出願のさらに別の態様は、医薬組成物を調製する方法であって、本出願の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物と少なくとも1種の薬学的に許容される担体とを一緒にするステップを含む方法に関する。医薬組成物は、本開示を鑑みると、当分野において公知の任意の方法によって調製することができ、当業者は、医薬組成物を調製するために使用されるこのような技法に精通していよう。例えば、本出願による医薬組成物は、以下に限定されないが、慣用的な混合法、溶解法、造粒法、乳化法、カプセル封入法、捕捉法又は凍結乾燥法を含めた、慣用的な医薬品のコンパウンディング技法に準拠して、本出願の化合物と1種以上の薬学的に許容される担体とを混合することによって調製することができる。
【0200】
使用方法
本出願はまた、本出願の化合物及び本出願の医薬組成物を使用する、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)を阻害する方法、及びMMPにより媒介される疾患を処置する方法を提供する。
【0201】
マトリキシンとしても知られている、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)は、器官形成、成長及び正常組織の代謝回転の間、最も外側の細胞外マトリックスタンパク質の分解を連携して担う酵素のグループである。MMPは、カルシウム依存性亜鉛含有エンドペプチダーゼであり、メトジンシンスーパーファミリーとして知られているプロテアーゼのより大きなファミリーに属する。MMPは、細胞外マトリックスタンパク質を分解することができるが、いくつかの生物活性分子をやはり処理することができ、例えば、細胞表面受容体の切断、アポトーシスリガンドの放出及びケモカイン/サイトカイン不活性化に関与することが知られている。MMPはまた、細胞挙動、例えば、細胞増殖、移動(接着/分散)、分化、血管新生、アポトーシス及び宿主防御において主な役割を果たすとやはり考えられている。MMPは、メタロプロテイナーゼ(TIMP)の特定の内因性組織阻害剤によって阻害され、これは、4つのプロテアーゼ阻害剤:TIMP-1、TIMP-2、TIMP-3及びTIMP-4のファミリーを含む。MMPの例には、以下に限定されないが、MMP-1(間質コラゲナーゼ)、MMP-2(ゼラチナーゼ-A)、MMP-3(ストロメリシン1)、MMP-7(マトリリシン)、MMP-8(好中球コラゲナーゼ)、MMP-9(ゼラチナーゼ-B)、MMP-10(ストロメリシン2)、MMP-11(ストロメリシン3)、MMP-12(マクロファージエラスターゼ)、MMP-13(コラゲナーゼ3)、MMP-14(MT1-MMP)などが含まれる。
【0202】
好ましい実施形態では、本出願の化合物は、マクロファージエラスターゼ(MMP-12)を阻害すること、及び/又はMMP-12により媒介される疾患を処置することが可能である。マクロファージメタロエラスターゼ(MME)又はマクロファージエラスターゼ(ME)としても知られているMMP-12は、ヒトにおける、MMP12遺伝子によってコードされる。他の実施形態では、本出願の化合物は、MMP-12を選択的に阻害することができる。用語「選択的な」、「選択性」及び「選択的に」は、特定のMMPへの結合又はその活性の阻害に言及して使用される場合、ある化合物が他のMMPに結合する、又はその活性を阻害するよりも高い程度に、前記化合物が特定のMMPに結合する、又はその活性を阻害することを意味する。例えば、MMP-12に対する選択性を有する化合物は、他のMMP、例えば、MMP-1、MMP-2、MMP-3、MMP-7、MMP-8、MMP-9、MMP-10、MMP-13、MMP-14などよりも高い程度に、MMP-12の活性を阻害する。
【0203】
本出願の実施形態によれば、MMP-12に対して選択性がある化合物は、1つ以上の他のMMPよりも、少なくとも約10倍、100倍又は1000倍高く、MMP-12の活性を阻害し、好ましくは、少なくとも1つの他のMMP、例えば、MMP-1又はMMP-7よりも少なくとも約1000倍高く、MMP-12の活性を阻害する。
【0204】
本出願はまた、MMP-12によって媒介される疾患を処置する方法を提供する。本発明の実施形態によれば、MMP-12によって媒介される疾患を処置する方法は、対象に、治療有効量の本出願の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物、或いは本出願の医薬組成物を投与するステップを含む。
【0205】
本明細書で使用する場合、用語「処置する」、「処置すること」及び「処置」はすべて、対象において必ずしも認識されないが、対象において認識可能な、MMP-12によって媒介される疾患に関連する少なくとも1つの測定可能な物理パラメータの改善又は反転を指すことが意図されている。用語「処置する」、「処置すること」及び「処置」はまた、MMP-12によって媒介される疾患の後退を誘発すること、この進行を予防すること、又はその進行を少なくとも減速させることを指すことができる。特定の実施形態では、「処置する」、「処置すること」及び「処置」は、MMP-12によって媒介される疾患に関連する1つ以上の症状の発達若しくは発症の緩和、予防、又はこの期間の短縮を指す。特定の実施形態では、「処置する」、「処置すること」及び「処置」は、MMP-12によって媒介される疾患の再発の予防を指す。特定の実施形態では、「処置する」、「処置すること」及び「処置」は、MMP-12によって媒介される疾患を有する対象の生存の増大を指す。特定の実施形態では、「処置する」、「処置すること」及び「処置」は、対象における、MMP-12によって媒介される疾患の排除を指す。
【0206】
本明細書で使用する場合、「治療有効量」は、研究者、獣医、医師又は他の条件によって求められている、組織系又は対象における生物学的応答又は医療的応答を誘発する組成物又は化合物の量を意味し、これは、処置されている疾患又は障害の症状の緩和を含むことができる。治療有効量は、様々な因子、例えば、対象の身体的状態、年齢、重量、健康など、及び処置されるべき特定の疾患に応じて、様々となり得る。治療有効量は、本開示を鑑みると、当業者によって容易に決定することができる。
【0207】
本出願の特定の実施形態では、治療有効量は、MMP-12を阻害する、又はMMP-12によって媒介される疾患を処置するのに十分な、本出願の組成物又は化合物の量を指す。本出願の方法により処置され得るMMP-12により媒介される疾患には、以下に限定されないが、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気腫、急性肺損傷、特発性肺線維症(IPF)、サルコイドーシス、全身性硬化症、肝線維症、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、関節炎、がん、心臓疾患、炎症性腸疾患(IBD)、急性腎臓損傷(AKI)、慢性腎疾患(CKD)、アルポート症候群及び腎炎が含まれる。
【0208】
実施形態
実施形態1は、式(I)の化合物:
【0209】
【化21】
又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物
(式中、
環Bは、場合により置換されているフラニルであり、
環Cは、場合により置換されているアリール又は場合により置換されているヘテロアリールであり、
環Dは、場合により置換されているアリール又は場合により置換されているヘテロアリールであり、
X、Y及びZはそれぞれ、CH2、O、NRx及びS(O)qからなる群から独立して選択され、Rxは、水素又はアルキルであり、
R1は、水素又はアルキルであり、
R4は、水素又はアルキルであり、
R5は、水素であり、
qは、0、1又は2であり、
但し、環Dがフェニルである場合、
(i) R1は、アルキルである、
(ii) R2は、メトキシ、クロロ又はトリフルオロメチルではない、及び
(iii) 環Cは無置換フェニルではない
のうちの少なくとも1つが該当することを条件とする)
である。
【0210】
実施形態2は、式(II)の化合物:
【0211】
【化22】
又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物
(式中、
環Bは、場合により置換されているフラニルであり、
環Cは、アリール又はヘテロアリールであり、
環Dは、アリール又はヘテロアリールであり、
X、Y及びZはそれぞれ、O、CH、NRx及びS(O)qからなる群から独立して選択され、Rxは、水素又はアルキルであり、
R1は、水素又はアルキルであり、
R2はそれぞれ、水素、アルキル、ハロ、ヒドロキシル、ハロアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アミノ、アミド、アルキルアミノ、アミノアルキル、シアノ、ヒドロキシアルキル、-(CH2)pC(O)OR6及び-(CH2)pOC(O)R6からなる群から独立して選択され、
R3はそれぞれ、水素、アルキル及びハロからなる群から独立して選択され、
R4は、水素又はアルキルであり、
R5は、水素であり、
R6はそれぞれ、水素及びアルキルからなる群から独立して選択され、アルキルは、無置換であるか、又はアミン、ヒドロキシル、ハロ及びアルコキシからなる群から独立して選択される1つ以上の基により置換されており、
mは、1、2、3又は4であり、
nは、1、2、3、4又は5であり、
pは、0、1、2、3、4又は5であり、
qは、0、1又は2であり、
但し、環Dがフェニルである場合、
(i) R1は、アルキルである、
(ii) R2は、メトキシ、クロロ又はトリフルオロメチルではない、及び
(iii) 環Cは無置換フェニルではない
のうちの少なくとも1つが該当することを条件とする)
である。
【0212】
実施形態3は、環Cがフェニルである、実施形態1又は実施形態2の化合物である。
【0213】
実施形態4は、環Cがピリジニルである、実施形態1又は実施形態2の化合物である。
【0214】
実施形態5は、R3が、水素、メチル、フルオロ及びクロロからなる群から選択される、実施形態2~4のいずれか1つの化合物である。
【0215】
実施形態6は、環Dがピリジニルである、実施形態1~5のいずれか1つの化合物である。
【0216】
実施形態7は、環Dがフェニルである、実施形態1~5のいずれか1つの化合物である。
【0217】
実施形態8は、R2が、メチル、-CH2OH、ヒドロキシル、-OC(O)CH(NH2)CH(CH3)2、-COOH、-CH2OC(O)CH(NH2)CH(CH3)2、-C(O)NH2、-C(O)NH(CH3)及びC1~4アルコキシからなる群から選択される、実施形態2~7のいずれか1つの化合物である。
【0218】
実施形態9は、R2が、-CH2OH、ヒドロキシル、-OC(O)CH(NH2)CH(CH3)2、-COOH、-CH2OC(O)CH(NH2)CH(CH3)2、-C(O)NH2、-C(O)NH(CH3)及びC2~4アルコキシからなる群から選択される、実施形態8の化合物である。
【0219】
実施形態10は、R2が、アルキル、アミド、ヒドロキシル、アルコキシ及びヒドロキシルアルキルからなる群から選択される、実施形態2~7のいずれか1つの化合物である。
【0220】
実施形態11は、nが1であり、R2が、-CH3、C1~4アルコキシ、-OH、-CH2OH又は-C(O)NH2である、実施形態10の化合物である。
【0221】
実施形態12は、環Dが、
【0222】
【化23】
である、実施形態1~5のいずれか1つの化合物である。
【0223】
実施形態13は、R4が水素である、実施形態1~12のいずれか1つの化合物である。
【0224】
実施形態14は、R4がアルキルである、実施形態1~12のいずれか1つの化合物である。
【0225】
実施形態15は、R4がメチルである、実施形態14の化合物である。
【0226】
実施形態16は、R1が水素である、実施形態1~15のいずれか1つの化合物である。
【0227】
実施形態17は、R1がアルキルである、実施形態1~15のいずれか1つの化合物である。
【0228】
実施形態18は、R1がC1~4アルキルである、実施形態17の化合物である。
【0229】
実施形態19は、R1が、-CH3、-CH2CH3、-CH2CH2CH3、-CH(CH3)2又は-CH2CH(CH3)2である、実施形態18の化合物である。
【0230】
実施形態20は、XがSである、実施形態1~19のいずれか1つの化合物である。
【0231】
実施形態21は、ZがCH2である、実施形態1~20のいずれか1つの化合物である。
【0232】
実施形態22は、XがSであり、YがOであり、ZがCH2である、実施形態1~19のいずれか1つの化合物である。
【0233】
実施形態23は、式(III)の化合物:
【0234】
【化24】
である、実施形態2の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物である
(式中、
R1は、水素又はC1~4アルキルであり、
Xは、Sであり、
Yは、O、CH2、NH又はN(CH3)であり、
R2はそれぞれ、水素、アルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、アミド及びヒドロキシアルキルからなる群から独立して選択され、
R3はそれぞれ、水素、アルキル又はハロであり、
環Dは、フェニル、ピリジニル又はピリジニルN-オキシドであり、
R4及びR5はそれぞれ、水素であり、
R7は、水素又はメチルであり、
nは、1又は2である)。
【0235】
実施形態24は、式(IV)の化合物:
【0236】
【化25】
又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物である
(式中、
R1は、水素又はアルキルであり、
R2は、アルキル、アミド、ヒドロキシル、アルコキシ及びヒドロキシルアルキルからなる群から選択され、
R4は、水素又はアルキルであり、
R5は、水素であり、
R7は、メチル又は水素である)。
【0237】
実施形態25は、R4が水素である、実施形態24の化合物である。
【0238】
実施形態26は、R2が、-CH3、C1~4アルコキシ、-OH、-CH2OH又は-C(O)NH2である、実施形態24又は25の化合物である。
【0239】
実施形態27は、R1がC1~4アルキルである、実施形態24~26のいずれか1つの化合物である。
【0240】
実施形態28は、式(V)の化合物:
【0241】
【化26】
又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物である
(式中、
R1は、アルキルであり、
R2は、アルキル、アミド、アルコキシ、ヒドロキシル及びヒドロキシアルキルからなる群から選択され、
R4は、水素又はアルキルであり、
R5は、水素であり、
R7は、メチル又は水素である)。
【0242】
実施形態29は、R4が水素である、実施形態28の化合物である。
【0243】
実施形態30は、R2が、-CH3、C1~4アルコキシ、-OH、-CH2OH又は-C(O)NH2である、実施形態28又は実施形態29の化合物である。
【0244】
実施形態31は、R1がC1~4アルキルである、実施形態28~30のいずれか1つの化合物である。
【0245】
実施形態32は、
【0246】
【化27】
ではない、実施形態1~31のいずれか1つの化合物である。
【0247】
実施形態33は、表1中の化合物からなる群から選択される化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物である。
【0248】
実施形態34は、実施形態1~33のいずれか1つの化合物、及び少なくとも1種の薬学的に許容される担体を含む医薬組成物である。
【0249】
実施形態35は、それを必要とする対象におけるマクロファージエラスターゼ(MMP-12)を阻害する方法であって、対象に実施形態34の医薬組成物を投与するステップを含む方法である。
【0250】
実施形態36は、それを必要とする対象におけるマクロファージエラスターゼ(MMP-12)によって媒介される疾患を処置する方法であって、対象に実施形態34の医薬組成物を投与するステップを含む方法である。
【0251】
実施形態37は、疾患が、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気腫、急性肺損傷、特発性肺線維症(IPF)、サルコイドーシス、全身性硬化症、肝線維症、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、関節炎、がん、心臓疾患、炎症性腸疾患(IBD)、急性腎臓損傷(AKI)、慢性腎疾患(CKD)、アルポート症候群及び腎炎からなる群から選択される、実施形態36の方法である。
【0252】
実施形態38は、マクロファージエラスターゼ(MMP-12)の阻害に使用するための、実施形態1~33のいずれか1つの化合物、又は実施形態34の医薬組成物である。
【0253】
実施形態39は、マクロファージエラスターゼ(MMP-12)によって媒介される疾患の処置に使用するための、実施形態1~33のいずれか1つの化合物、又は実施形態34の医薬組成物である。
【0254】
実施形態40は、疾患が、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気腫、急性肺損傷、特発性肺線維症(IPF)、サルコイドーシス、全身性硬化症、肝線維症、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、関節炎、がん、心臓疾患、炎症性腸疾患(IBD)、急性腎臓損傷(AKI)、慢性腎疾患(CKD)、アルポート症候群及び腎炎からなる群から選択される、実施形態39の使用のための化合物又は組成物である。
【0255】
実施形態41は、マクロファージエラスターゼ(MMP-12)を阻害するための医薬の製造における、実施形態1~33のいずれか1つの化合物、又は実施形態34の医薬組成物の使用である。
【0256】
実施形態42は、マクロファージエラスターゼ(MMP-12)によって媒介される疾患を処置するための医薬の製造における、実施形態1~33のいずれか1つの化合物、又は実施形態34の医薬組成物の使用である。
【0257】
実施形態43は、疾患が、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気腫、急性肺損傷、特発性肺線維症(IPF)、サルコイドーシス、全身性硬化症、肝線維症、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、関節炎、がん、心臓疾患、炎症性腸疾患(IBD)、急性腎臓損傷(AKI)、慢性腎疾患(CKD)、アルポート症候群及び腎炎からなる群から選択される、実施形態42の使用である。
【0258】
実施形態44は、化合物又は薬学的に許容されるその塩と少なくとも1種の薬学的に許容される担体とを一緒にするステップを含む、実施形態33の医薬組成物を調製する方法である。
【0259】
[実施例]
本出願の以下の実施例は、本出願の性質をさらに例示することである。以下の実施例は、本出願を限定するものではなく、本出願範囲は、添付の特許請求の範囲によって決定されるべきであることを理解すべきである。
【0260】
合成方法
特に示さない限り、化学試薬及び合成条件に関する略称は、以下の通り、当分野で公知のその通常の意味を有する:
「LDA」とは、リチウムジイソプロピルアミドを指す。
「EA」とは、酢酸エチルを指す。
「PE」とは、石油エーテルを指す。
「r.t.」及び「rt」とは、室温を指す。
「THF」とは、テトラヒドロフランを指す。
「DEAD」とは、ジエチルアゾジカルボキシレートを指す。
「TBAB」とは、臭化テトラブチルアンモニウムを指す。
「DCM」とは、ジクロロメタンを指す。
「HOBT」とは、ヒドロキシベンゾトリアゾールを指す。
「LAH」とは、水素化アルミニウムリチウムを指す。
「TLC」とは、薄層クロマトグラフィーを指す。
「分取TLC」とは、分取薄層クロマトグラフィーを指す。
「TMS-I」とは、ヨウ化トリメチルシリルを指す。
「Hex」とは、ヘキサンを指す。
「DMF」とは、ジメチルホルムアミドを指す。
「h」とは、時間を指す。
「EDCI」とは、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドを指す。
「DMAP」とは、4-ジメチルアミノピリジンを指す。
「分取HPLC」とは、分取高速液体クロマトグラフィーを指す。
「DHP」とは、ジヒドロピランを指す。
「DPPF」とは、1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンを指す。
「DIEA」とは、ジイソプロピルエチルアミンを指す。
【0261】
一般スキーム1:化合物FC-Iの調製
【0262】
【化28】
【0263】
化合物FI-2の調製に関する一般手順
【0264】
【化29】
【0265】
リチウムジイソプロピルアミド(LDA)(68mL、68.04mmol、1.0当量)のテトラヒドロフラン(THF)(100mL)溶液に、-78℃で、化合物FI-1(10g、68.04mmol、1.0当量)の溶液を加えた。この混合物を、-78℃で1時間、撹拌した。次に、化合物1aを加え、この混合物を-78℃で3時間、撹拌した。この反応物をNH4Clの飽和水溶液(100mL)によりクエンチし、酢酸エチル(EA)により3回(50mL×3)、抽出した。有機層をブライン及び水により洗浄し、Na2SO4で脱水し、真空下で濃縮した。残留物をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(PE:EA、10:1)によって精製し、化合物FI-2(6.3g、53%)を得た。
【0266】
化合物FI-3の調製に関する一般手順
【0267】
【化30】
【0268】
THF(100mL)中の化合物FI-2(5g、28.57mmol、1.0当量)、化合物2a(5.4g、42.86mmol、1.5当量)からなる混合物に、0℃でNaH(1.37g、57.15mmol、2.0当量)を加え、この混合物を窒素雰囲気下、室温(rt)で一晩、撹拌した。次に、この混合物を濃縮して溶媒量を半分にし、次に、2.0N HClを加えて、pH=6に調節し、ろ過して、化合物FI-3(2.5g、40%)を得て、これをさらに精製することなく、次の工程に使用した。
【0269】
化合物FC-1の調製:
【0270】
【化31】
【0271】
化合物FI-3(250mg、1.14mmol、1.0当量)のTHF(10mL)溶液に、0℃で化合物3-1(700mg、5.68mmol、5.0当量)、PPh3(600mg、2.28mmol、2.0当量)及びDEAD(396mg、2.28mmol、2.0当量)を加えた。この混合物を室温で一晩、撹拌した。次に、この混合物をH2O(10mL)でクエンチし、EA(10mL×2)により抽出した。有機層をNa2SO4により脱水し、濃縮した。残留物をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって精製し、化合物FI-4(50mg、14%)を得る。
【0272】
MeOH(10mL)中の化合物FI-4(80mg、0.24mmol、1.0当量)の混合物に、KCN(32mg、0.24mmol、2.0当量)及び(NH4)2CO3(92mg、0.48mmol、4.0当量)を加えた。この混合物を、窒素雰囲気下、40℃で一晩、撹拌した。次に、この混合物をH2O(10mL)でクエンチし、EA(10mL×2)により抽出した。有機層をNa2SO4により脱水し、濃縮した。残留物をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって精製し、化合物FC-1(5.6mg、12%)を得た。
【0273】
化合物FC-2、FC-3及びFC-4の調製:
【0274】
こうして、出発原料3-aを化合物3-2、3-3及び3-4によって置き換えた以外、FC-1と同じ手順を使用して、化合物FC-2、FC-3及びFC-4を合成した。
【0275】
【化32】
【0276】
化合物FC-5、FC-6及びFC-7の調製:
【0277】
こうして、出発原料3-aを中間体3-5、3-6及び3-7によって置き換えた以外、FC-1と同じ手順を使用して、化合物FC-5、FC-6及びFC-7を合成した。
【0278】
【化33】
【0279】
中間体3-5の調製:
【0280】
【化34】
【0281】
DCM(10mL)中の化合物3-3(1g、8.13mmol、1.0当量)の混合物に、m-CPBA(2.1g、12.195mmol、1.5当量)を加えた。この混合物を室温で16時間、撹拌した。次に、この混合物をろ過して、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、化合物3-5(0.7g、62%)を得た。
【0282】
中間体3-6及び3-7の調製:
こうして、出発原料を出発原料3-2及び3-4によって置き換えた以外、中間体3-5の合成と同じ手順を使用して中間体3-6及び3-7を合成した。
【0283】
一般スキーム2:化合物FC-IIの調製
【0284】
【化35】
【0285】
一般スキーム3:中間体4a-1の調製
【0286】
【化36】
【0287】
中間体FI-5の合成:
DMSO(500mL)中の化合物2a(68g、538.9mmol、1.0当量)の混合物を、窒素雰囲気下、80℃で一晩、撹拌した。次に、この混合物をH2O(1000mL)により希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインにより洗浄して、Na2SO4で脱水し、ろ過して濃縮し、化合物FI-5(67g、99%)を得た。
【0288】
中間体FI-6の合成:
アセトン(100mL)中の化合物FI-5(5g、19.97mmol、1.0当量)、化合物3b(7.39g、39.95mmol、2当量)及びK2CO3(11.04g、79.89mmol、4.0当量)からなる混合物を、窒素雰囲気下、60℃で4時間、撹拌した。次に、この混合物をH2O(1000mL)により希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインにより洗浄し、Na2SO4で脱水し、ろ過して濃縮した。残留物をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(PE/EA、10:1)によって精製し、化合物FI-6(8.7g、97%)を得た。
【0289】
化合物4a-1の合成:
THF(100mL)中の化合物FI-6(10.7g、23.33mmol、1.0当量)の混合物に、PPh3(6.11g、23.33mmol、1当量)、TBAB(15.04g、46.66mmol、2当量)及び5% HCl(5mL)を加えた。この混合物を、窒素雰囲気下、室温で12時間、撹拌した。次に、この混合物を濃縮した。残留物をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(PE/EA、2:1)によって精製し、化合物4a-1(6.6g、56%)を得た。
【0290】
化合物FC-8の調製:
【0291】
【化37】
【0292】
AlCl3(1.34g、10.2mmol、3.0当量)のDCM(15mL)溶液に、窒素雰囲気下、0℃でAcCl(0.8g、10.2mmol、3.0当量)のDCM(5mL)溶液をゆっくりと加えた。この混合物を0℃で30分間、撹拌した。次に、化合物FI-1(0.5g、3.4mmol、1.0当量)のDCM(5mL)溶液をゆっくりと加えた。この混合物を0℃で20分間、撹拌した。次に、この混合物を室温まで温め、10分間、撹拌した。この混合物を、氷冷水によりクエンチし、酢酸エチルで抽出した。有機層を無水Na2SO4により脱水し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、化合物FI-2a-1(0.6g、93%)を得た。
【0293】
THF(10mL)中の化合物FI-2a-1(0.2g、1.23mmol、1.0当量)及び化合物4a-1(0.43g、1.85mmol、1.5当量)からなる混合物に、0℃でNaH(60mg、2.47mmol、2.0当量)を加えた。この混合物を室温まで温め、窒素雰囲気下、16時間、撹拌した。次に、この混合物を濃縮して溶媒を半分にし、2N HClを加えて、pH=6に調節してろ過し、ろ液を濃縮した。残留物をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって精製し、化合物FI-7(0.3g、83%)を得た。
【0294】
MeOH(5mL)中の化合物FI-7(0.3g、0.888mmol、1.0当量)の混合物に、KCN(115mg、1.775mmol、2.0当量)及び(NH4)2CO3(341mg、3.550mmol、4.0当量)を加えた。この混合物を室温で12時間、撹拌した。次に、この混合物を水により希釈し、酢酸エチルにより抽出した。有機層を無水Na2SO4により脱水し、減圧下で濃縮した。残留物を分取TLCにより精製し、化合物FC-8(65mg、18%)を無色油状物として得た。
【0295】
中間体FI-2aを調製する代替経路:
【0296】
【化38】
【0297】
中間体FI-2a-2の調製:
【0298】
【化39】
【0299】
化合物FI-2(5g、30.9mmol、1.0当量)及びイソアミレン(9mL、77.2mmol、2.5当量)のtert-ブタノール(50mL)溶液に、H2O(70mL)中のNaClO2(8.1g、89.6mmol、3.0当量)及びNaH2PO4・2H2O(10.3g、67.9mmol、2.2当量)の溶液をゆっくりと加えた。この混合物を室温で16時間、撹拌した。この混合物を減圧下で濃縮し、H2Oで希釈した。次に、この混合物に1M HClを加えて、pH=1に調節し、ろ過して化合物FI-2.1(6.2g、100%)を得た。
【0300】
化合物FI-2.1(5g、26.46mmol、1.0当量)及びTEA(8g、79.37mmol、3.0当量)の混合物に、N,O-ジメチルヒドロキシルアミン(5.16g、52.91mmol、2.0当量)、HOBT(3.93g、29.1mmol、1.1当量)及びEDCI(6.06g、31.75mmol、1.2当量)を加えた。この混合物を5時間、撹拌した。次に、この混合物を水により希釈し、酢酸エチルにより抽出した。有機層を無水Na2SO4により脱水し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、化合物FI-2.2(4.3g、67%)を得た。
【0301】
乾燥THF(10mL)中の化合物FI-2.2(1g、4.29mmol、1.0当量)の混合物に、窒素雰囲気下、0℃でEtMgBr(THF中の1.0mol/L、8.6mL、8.58mmol、2.0当量)を滴下して加えた。この混合物を、0℃で1時間、撹拌した。この反応物を飽和水性NH4Clによりクエンチし、酢酸エチル(3×50mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン及び水により洗浄し、Na2SO4で脱水し、真空下で濃縮した。残留物をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって精製し、化合物FI-2a-2(0.6g、69%)を得た。
【0302】
中間体FI-2a-3、FI-2a-4及びFI-2a-5の調製:
【0303】
【化40】
【0304】
こうして、FI-2a-3、FI-2a-4及びFI-2a-5を調製する手順は、EtMgBrをi-BuMgBr、PrMgBr及びi-PrMgBrで置き換えた以外、FI-2a-2の合成と同様である。
【0305】
化合物FC-9、FC-10、FC-11及びFC-12の調製:
【0306】
【化41】
【0307】
THF(10mL)中の化合物FI-2a-2(200mg、0.99mmol、1.0当量)及び化合物4a-1(343mg、1.49mmol、1.5当量)からなる混合物に、0℃でNaH(79mg、1.98mmol、2.0当量)を加えた。この混合物を室温まで温め、窒素雰囲気下、16時間、撹拌した。次に、この混合物を濃縮して溶媒を半分にし、次に、2N HClを加えて、pH=6に調節してろ過し、ろ液を濃縮した。残留物をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって精製し、化合物FI-7a(180mg、52%)を得た。
【0308】
化合物FI-7a(180mg、0.511mmol、1.0当量)のMeOH(5mL)溶液に、(NH4)2CO3(196mg、2.05mmol、4.0当量)及びKCN(66mg、1.02mmol、2.0当量)を加えた。この混合物を45℃で16時間、撹拌した。この反応物に3M HClを加え、pH=1~2に調節し、室温で1時間、撹拌し、次に、NaHCO3の飽和水溶液を加えてpH=6~7に調節し、酢酸エチルにより抽出した。有機層をブラインにより洗浄して無水Na2SO4により脱水し、減圧下で濃縮した。残留物を分取TLCにより精製し、FC-9(48mg、22%)を無色油状物として得た。
【0309】
こうして、FC-10、FC-11及びFC-12を調製する手順は、FI-2a-2をFI-2a-3、FI-2a-4及びFI-2a-5で置き換えた以外、FC-9の合成と同様である。
【0310】
化合物FC-13、FC-14、FC-15及びFC16を調製する一般スキーム:
【0311】
【化42】
【0312】
DMF(15mL)中の化合物3-8(750mg、3.876mmol、1.0当量)の混合物に、化合物FI-3(895mg、3.876mmol、1.0当量)及びK2CO3(2.14g、15.5mmol、4.0当量)を逐次、加えた。この混合物を、窒素雰囲気下、室温で16時間、撹拌した。次に、3M HClを加えて、pHを6~7に調節した。この混合物をEAにより抽出し、有機層をブラインにより洗浄してNa2SO4で脱水し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(PE/EA、1:1)によって精製し、化合物FI-8(610mg、36%)を得た。
【0313】
化合物FI-8(500mg、1.419mmol、1.0当量)のMeOH(6mL)溶液に、(NH4)2CO3(545mg、5.676mmol、4.0当量)及びKCN(185mg、2.838mmol、2.0当量)を加えた。この混合物を、45℃で16時間、撹拌した。次に、この反応物に3M HClを加え、pH=1~2に調節し、室温で1時間、撹拌し、次に、NaHCO3の飽和水溶液を加えてpH=6~7に調節し、酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインにより洗浄して無水Na2SO4により脱水し、減圧下で濃縮した。残留物を分取TLCにより精製し、FC-13(350mg、58%)を白色固体として得た。
【0314】
こうして、中間体3-8を中間体3-9、3-10又は3-11で置き換えた以外、FC-13と同じ手順によって、化合物FC-14、FC15及びFC-16を合成した。
【0315】
中間体3-8、3-9、3-10及び3-11の調製:
【0316】
【化43】
【0317】
中間体3-10の調製:
まず、2-メチル-1-プロパノール(75mL)中の2-フルオロイソニコチン酸(5g、35.5mmol、1.0当量)の混合物に、H2SO4(2.5mL)を加えた。この混合物を、115℃で16時間、撹拌した。この反応混合物のTLC分析により、所望の生成物への完全な変換が示された。この反応混合物を室温まで冷却し、減圧下で濃縮した。この残留物に飽和NaHCO3溶液を加え、pH=8に調節して、酢酸エチルにより抽出した。有機層をブラインにより洗浄して無水Na2SO4により脱水し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって精製し、化合物3I-1(5g、56%)を得た。
【0318】
乾燥THF(100mL)中の化合物3I-1(7g、25.8mmol、1.0当量)の混合物に、窒素雰囲気下、0℃でLAH(1.96g、51.6mmol、2当量)を素早く加えた。この混合物を0℃で1時間、撹拌した。この反応混合物のTLC分析により、所望の生成物への完全な変換が示された。この反応物をNa2SO4・10H2O(7g、21.7mmol、0.8当量)でクエンチし、この混合物を0.5時間、撹拌した。次に、この混合物をろ過して、有機層を真空下で濃縮した。残留物をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(PE:EA、3:1)によって精製し、化合物3I-2(3g、60%)を得た。
【0319】
DCM(100mL)中の化合物3I-2(4g、18.5mmol、1.0当量)の混合物に、窒素雰囲気下、0℃でSOCl2(2.7mL、37.1mmol、2.0当量)を滴下して加えた。この混合物を0℃で1時間、撹拌した。この反応混合物を減圧下で濃縮し、化合物3-10(4.2g、95%)を得た。
【0320】
2-メチル-1-プロパノールを、中間体3-8の合成ではメタノールで置き換え、中間体3-9の合成ではエタノールで置き換え、中間体3-11の合成ではi-プロパノールで置き換えた以外、中間体3-10と同じ手順によって、中間体3-8、3-9及び3-11を合成した。
【0321】
化合物FC-17及びFC-18の調製:
【0322】
【化44】
【0323】
DCM中の化合物SM-17(1.7g、0.01mol、1.0当量)の混合物に、0℃で(COCl)2(2.5g、0.02mol、2.0当量)を滴下して加えた。この溶液の濁りがなくなる間、この混合物を1時間、撹拌した。次に、この混合物を減圧下で濃縮した。DCM中の残留物の混合物に、-10℃において、NH3のTHF溶液を加えた。この混合物を0.5時間、撹拌し、次に、減圧下で濃縮し、化合物FI-17a(1.3g、77%)を得た。
【0324】
DMF(50mL)中の化合物FI-17a(1.36g、5.92mmol、1.0当量)の混合物に、化合物2a(1g、5.92mmol、1.0当量)及びK2CO3(2.45g、17.76mmol、3.0当量)を逐次、加えた。この混合物を、窒素雰囲気下、室温で16時間、撹拌した。この反応混合物のTLC分析により、所望の生成物への完全な変換が示された。次に、この混合物をH2O(100mL)により希釈し、EA(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層をNH4Clの飽和水溶液(3×100mL)、ブラインで洗浄し、無水Na2SO4により脱水し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(PE/EA、1:1)によって精製し、化合物FI-17b(850mg、30%)を得た。
【0325】
化合物FI-17b(850mg、2.41mmol、1.0当量)のMeOH(10mL)溶液に、(NH4)2CO3(934mg、9.64mmol、4.0当量)及びKCN(313mg、4.82mmol、2.0当量)を加えた。この混合物を45℃で16時間、撹拌した。次に、この反応物に3M HClを加えてpH=1~2に調節し、室温で1時間、撹拌し、次に、NaHCO3の飽和水溶液を加え、pH=6~7に調節し、この混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインにより洗浄して無水Na2SO4により脱水し、減圧下で濃縮した。残留物を分取TLCにより精製し、化合物FC-17(500mg、49%)を白色固体として得た。出発原料としてSM-17をSM-18で置き換えた以外、FC-17の調製と同じ手順によって、化合物FC-18を合成した。
【0326】
化合物FC-19の調製:
【0327】
【化45】
【0328】
化合物FC-13(500mg、1.21mmol、1.0当量)のCHCl3(30mL)溶液に、TMS-I(1.7mL、12.1mmol、10.0当量)を加えた。この混合物を55℃で16時間、撹拌した。この反応混合物を室温まで冷却し、減圧下で濃縮した。残留物を分取TLC(EA:MeOH、10:1)により精製し、化合物FC-19(100mg、21%)を白色固体として得た。
【0329】
中間体3-12、3-13及び3-14の調製
【0330】
【化46】
【0331】
3-(ヒドロキシメチル)フェノール(0.5g、4.0mmol)、ブロモエタン(0.86g、8mmol)及びK2CO3(2.2g、16mmol)のACN(20mL)溶液を室温で一晩、撹拌した。この反応混合物に水及びEAを加え、EAにより2回、抽出した。合わせた有機層をMgSO4により乾燥し、高真空下で溶媒蒸発させた。EA/Hex(EA/Hex=1:4)を用いるフラッシュクロマトグラフィーによって残留物を精製し、中間体3-12aを油状物(0.48g、79%)として得た。
【0332】
中間体3-12a(0.18g、1.1mmol)のDCM(20mL)溶液に、PBr3(0.15mL、1.5mmol、酢酸中33%)を加えた。この反応混合物を室温で1時間、撹拌し、DCM及び水を加え、DCMで2回、抽出した。合わせた有機層をMgSO4により乾燥し、高真空下で溶媒蒸発させた。EA/Hex(EA/Hex=1:4)を用いるフラッシュクロマトグラフィーによって残留物を精製し、白色固体の中間体3-12(0.16g、63%)を得た。出発原料としてブロモエタンを2-ブロモプロパン又は1-ブロモプロパンで置き換えた以外、中間体3-12の調製と同じ手順によって中間体3-13及び3-14を合成した。
【0333】
中間体3-15、3-16及び3-17の調製:
【0334】
【化47】
【0335】
1,4-ベンゼンジメタノール(0.14g、1mmol)のDCM(5mL)溶液に、HBr(酢酸中33%、0.18mL、1mmol)を滴下して加えた。この反応混合物を室温で1時間、撹拌した。TLCによって、出発原料(SM)のスポットが消失したと判定した。この反応混合物にEA及び水を加え、EAで2回、抽出した。合わせた有機層をMgSO4により乾燥し、高真空下で溶媒蒸発させた。EA/Hex(EA/Hex=1:10~1:4)を用いるフラッシュクロマトグラフィーによって残留物を精製し、白色固体の中間体3-15(0.4g、52%)を得た。出発原料として、中間体3-15aを中間体3-16a又は3-17aで置き換えた以外、同じ手順によって、中間体3-16及び3-17を合成した。
【0336】
化合物FC-20~FC-25を調製する一般スキーム:
【0337】
【化48】
【0338】
1-ブロモメチル-3-エトキシ-ベンゼン3-12(0.42g、1.96.mmol)、FI-3(0.43g、1.96.mmol)及びK2CO3(0.83g)のACN溶液を、室温で一晩、撹拌した。この反応をTLC(EA/Hex=1/3)により確認し、臭化ベンジルのスポットが消失したと判定した。この反応混合物にEA及び水を加え、EAで2回、抽出した。合わせた有機層をMgSO4で乾燥してシリカゲルカラムで精製し、中間体FI-20(0.52g、60%)を得た。こうして、出発原料3-12を出発原料3-13、3-14、3-15、3-16又は3-17で置き換えた以外、同じ手順を使用して、中間体FI-21、FI-22、FI-23、FI-24及びFI-25を合成した。
【0339】
FI-20(0.52g、1.41mmol)のEtOH/H2O(10mL/5mL)溶液に、(NH4)2CO3(2.01g、21.0mmol)及びKCN(0.16g、2.31mmol)を加えた。この反応混合物を室温で一晩、撹拌した。溶液を溶媒蒸発させて、溶媒の大部分を除去した。この混合物に水を加え、次に、EAにより2回、抽出した。有機層を一緒にして、MgSO4により乾燥し、溶媒蒸発させた。EA/ヘキサン(EA/ヘキサン=1:1)を用いるフラッシュクロマトグラフィーによって残留物を精製し、FC-20を明黄色固体(0.22g、38%)として得た。こうして、中間体FI-20を中間体FI-21、FI-22、FI-23、FI-24又はFI-25で置き換えた以外、同じ手順によって、化合物FC-21、FC-22、FC-23、FC-24及びFC-25を合成した。
【0340】
化合物FC-26の調製:
【0341】
【化49】
【0342】
氷浴中、3-ヒドロキシベンジルアルコール(1.5g、12.1mmol)のDCM(45mL)溶液に、PBr3(1.5mL、15.8mmol)を滴下して加えた。この混合物を室温で1時間、撹拌した。反応が進行して完了するのは、TLC(EA/Hex=1/10)によってモニタリングした。次に、この反応混合物にDCM及び水を加え、DCMで2回、抽出した。合わせた有機層をシリカゲル及びMgSO4でろ過し、高真空下で溶媒蒸発させた。白色固体の中間体3-18を、次の工程にさらに精製することなく使用した(1.27g、57%)。
【0343】
中間体3-18(1.27g、6.79mmol)及びイミダゾール(0.92g、13.58mmol)のDCM(30mL)溶液に、室温でTBSClのDCM(1.53g、10.2mmol、5mL)溶液を滴下して加えた。この反応混合物を室温で一晩、撹拌した。この反応混合物にDCM及び水を加え、DCMで2回、抽出した。合わせた有機層をMgSO4で乾燥し、シリカゲルでろ過して、高真空(vacumm)下で溶媒蒸発させた。油状化合物3-18aを、次の工程にさらに精製することなく使用した(1.7g、84%)。
【0344】
化合物3-18a(1.7g、5.8.mmol)、化合物FI-3(1.28mg、5.8mmol)及びK2CO3(3.5g、22mmol)のACN(10mL)溶液を室温で一晩、撹拌した。この反応混合物に水及びEAを加え、EAにより2回、抽出した。合わせた有機層をMgSO4により乾燥し、高真空下で溶媒蒸発させた。EA/Hex(EA/Hex=1:4)を用いるフラッシュクロマトグラフィーによって残留物を精製し、化合物FI-026a(1.2g、47%)を得た。
【0345】
化合物FI-026a(1.03g)のDCM(25mL)溶液に室温でTFA(1mL)を滴下して加えた。この反応混合物を一晩、撹拌し、次に、溶媒及びTFAを除去した。この褐色油状物に、NaHCO3及びMeOHを加えた。次に、この溶媒を再度、除去した。EA/Hex(EA/Hex=1:4)を用いるフラッシュクロマトグラフィーによって残留物を精製し、白色固体FI-026b(0.14g)を得た。
【0346】
化合物FI-026b(0.2g、0.61mmol)のEtOH/H2O(5mL/2.5mL)溶液に、(NH4)2CO3(0.35g、3.66mmol)及びKCN(47mg、0.74mmol)を加えた。この反応混合物を室温で一晩、撹拌した。溶液を溶媒蒸発させて、溶媒の大部分を除去した。この混合物に水及びEAを加え、次に、EAにより2回、抽出した。有機層を一緒にして、MgSO4により乾燥し、高真空下で溶媒蒸発させた。DCM/MeOH(DCM/MeOH=20:1)を用いるフラッシュクロマトグラフィーによって残留物を精製し、化合物FC-26を白色固体(0.11g、45%)として得た。
【0347】
化合物FC-27の調製:
【0348】
【化50】
【0349】
プロパルギルアルコール(0.6ml、103.82mmol)、DHP(1.2ml、13.5mmol)及びPPTS(21mg、0.1mmol、1mol%)からなる混合物を、0℃で1時間、撹拌した。反応混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Hex:Et2O、30:1)によって直接、精製し、FI-1b.1(11g、78%)を得た。
【0350】
THF(15mL)中のTHP保護プロパルギルアルコールFI-1b.1(0.52g、3mmol)の撹拌溶液に、-78℃でn-BuLi溶液(1.5mL、3.6mmol、ヘキサン中の2.5M)を加えた。この反応物を30分間、撹拌し、次いで、アセトアルデヒド(0.18mL、3.3mmol)を加えた。この混合物を2時間、次に、0℃で30分間、撹拌した。反応(reation)混合物をエーテル/NH4Cl(飽和)により抽出して濃縮し、油状FI-1b.2(0.12g、22%)を得た。
【0351】
DCM(5mL)中のFI-1b.2(0.12g、0.65mmol)の撹拌溶液に、0℃で一晩、MnO2(67mg、0.78mmol)を加えた。この反応のTLC評価により、出発原料が残存していることが示された。次に、追加のMnO2(0.15g)を加え、この溶液をさらに16時間、撹拌した。この反応混合物をMgSO4及びシリカゲルによりろ過した。EA/Hex(EA/Hex=1:4)を用いるフラッシュクロマトグラフィーによって残留物を精製し、油状FI-1b.3(0.1g、90%)を得た。
【0352】
MeOH(50mL)中のFI-1b.3(1.8g、10mmol)の撹拌溶液に、PPTS(0.5g)を加えた。この反応混合物を室温で一晩、撹拌した。この混合物をH2O及びEAにより希釈した。水相をEAにより抽出し、合わせた有機フラクションをブラインで洗浄し、溶媒を除去した。EA/Hex(EA/Hex=3:1)を用いるフラッシュクロマトグラフィーによって残留物を精製し、黄色液体FI-1b.4(1g、約100%)を得た。
【0353】
トルエン(5mL)中のFI-1b.4(0.1g、1mmol)の撹拌溶液に、室温でHBr(1mL、2M HBr(水性))を加えた。この混合物をトルエン及び水により希釈した。この水相をトルエンにより抽出した。合わせた有機フラクションをブラインにより洗浄した。トルエン溶液の粗製NMRを確認し、これにより、所望の生成物FI-1b(0.15g)が存在することが示された。FI-1bのトルエン溶液を、さらに精製することなく次の工程に使用した。
【0354】
室温でDMF(1mL)にPOCl3(0.1mL、1.1mmol)を滴下して加えた。撹拌しながら、DMF/POCl3溶液に、FI-1b(0.15g)のトルエン(5mL)溶液を加えた。2時間後、この反応混合物をNaHCO3(飽和水溶液)で中和し、30分間、撹拌した。水相をEAにより抽出し、有機相の液体を一緒にしてブラインで洗浄し、MgSO4で脱水して溶媒を除去した。粗製NMRを確認し、これにより、所望の生成物FI-2b(0.18g)が存在することが示された。FI-2bをさらに精製することなく次の工程に使用した。FI-2b(0.18g)のTHF(5mL)溶液に、NaOH(60mg)及び4-メルカプトフェノール(0.13g、1mmol)を加え、この反応混合物を一晩、撹拌した。この反応混合物をEA及び水により抽出し、ブラインで洗浄し、MgSO4で脱水して溶媒を除去した。EA/Hex(EA/Hex=1/4)を用いるフラッシュクロマトグラフィーによって残留物を精製し、FC-27及びFC-28を合成するための中間体として、所望の生成物FI-3b(0.14g、60%)を得た。
【0355】
FI-3b(0.3g、1.28mmol)、臭化3-メチルベンジル(0.3mg、1.92mmol)及びK2CO3(0.71g、5.12mmol)のACN(6mL)溶液を、室温で一晩、撹拌した。この反応混合物に水及びEAを加え、EAにより2回、抽出した。合わせた有機層をMgSO4により乾燥し、高真空下で溶媒蒸発させた。EA/Hex(EA/Hex=1:4)を用いるフラッシュクロマトグラフィーによって残留物を精製し、黄色油状物FI-027(0.34g、79%)を得た。
【0356】
FI-027(0.34g、1.0mmol)のEtOH/H2O(5mL/2.5mL)溶液に、(NH4)2CO3(0.58g、6mmol)及びKCN(78mg、1.2mmol)を加えた。この反応混合物を室温で一晩、撹拌した。溶液を溶媒蒸発させて、溶媒の大部分を除去した。この混合物に水及びEAを加え、次に、EAにより2回、抽出した。有機層を一緒にして、MgSO4により乾燥し、高真空下で溶媒蒸発させた。DCM/MeOH(DCM/MeOH=50:1~30:1)を用いるフラッシュクロマトグラフィーによって残留物を精製し、FC-27を黄色固体(105mg、25%)として得た。
【0357】
化合物FC-28の調製:
【0358】
【化51】
【0359】
FI-3b(0.3g、1.28mmol)、3-15(0.3mg、1.92mmol)、K2CO3(0.71g、5.12mmol)のACN(6mL)溶液を、室温で一晩、撹拌した。この反応混合物に水及びEAを加え、EAにより2回、抽出した。合わせた有機層をMgSO4により乾燥し、高真空下で溶媒蒸発させた。EA/Hex(EA/Hex=1:4)を用いるフラッシュクロマトグラフィーによって残留物を精製し、黄色油状物FI-028(0.34g、79%)を得た。
【0360】
FI-028(0.34g、1.0mmol)のEtOH/H2O(5mL/2.5mL)溶液に、(NH4)2CO3(0.58g、6mmol)及びKCN(78mg、1.2mmol)を加えた。この反応混合物を室温で一晩、撹拌した。溶液を溶媒蒸発させて、溶媒の大部分を除去した。この混合物に水及びEAを加え、次に、EAにより2回、抽出した。有機層を一緒にして、MgSO4により乾燥し、高真空下で溶媒蒸発させた。DCM/MeOH(DCM/MeOH=50:1~30:1)を用いるフラッシュクロマトグラフィーによって残留物を精製し、FC-28を黄色固体(105mg、25%)として得た。
【0361】
化合物FC-29の調製:
【0362】
【化52】
【0363】
化合物4-ピリジンメタノール(5g、45.82mmol、1.0当量)及びイミダゾール(7.97g、137.45mmol、3.0当量)のDCM(100mL)溶液に、0℃でTBSCl(13.8g、91.64mmol、2.0当量)を加えた。この混合物を室温で2時間、撹拌した。次に、この混合物を飽和NH4Cl溶液(100mL)でクエンチした。この混合物を酢酸エチル(50mL×3)により抽出した。合わせた有機相をブラインにより洗浄し、無水Na2SO4により脱水し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、化合物FI-29a(7.2g、70%)を得た。
【0364】
化合物FI-29a(10g、44.76mmol、1.0当量)のDCM(150mL)溶液に、室温でm-CPBA(11.58g、67.14mmol、1.5当量)を加えた。この混合物を室温で16時間、撹拌した。この反応混合物のTLC分析により、所望の生成物への完全な変換が示された。次に、この混合物を亜硫酸ナトリウムの飽和水溶液によりクエンチした。有機層をブラインにより洗浄して無水Na2SO4により脱水し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、化合物FI-29b(8.1g、75%)を得た。
【0365】
TEA(40mL)中の化合物FI-29b(10.3g、43.4mmol、1.0当量)の混合物に、トリメチルシリルシアニド(13g、130.4mmol、3当量)を加えた。この混合物を、窒素雰囲気下、90℃で3時間、加熱した。次に、この混合物を減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、FI-29c(5.1g、47%)を得た。
【0366】
FI-29c(5.1g、20.53mmol、1.0当量)のエタノール/H2O(100/17mL)溶液に、NaOH(6.9g、172.5mmol、8.4当量)を加えた。この混合物を、90℃で2時間、撹拌した。次に、この混合物を室温まで冷却して水(100mL)により希釈し、酢酸エチルで抽出した。水層を酸性にしてpH=4~5にし、酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインにより洗浄して無水Na2SO4により脱水し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、FI-29d(3.2g、99%)を得た。
【0367】
FI-29d(2.2g、14.36mmol、1.0当量)のDMF(100mL)溶液に、NH4Cl(1.54g、28.73mmol、2.0当量)、HATU(5.46g、14.36mmol、1.0当量)及びDIEA(5.57g、43.08mmol、3.0当量)を逐次、加えた。この混合物を室温で16時間、撹拌した。この反応混合物を酢酸エチル(200mL)により希釈してブライン、水により洗浄し、無水Na2SO4により脱水して減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、FI-29e(0.6g、27%)を得た。
【0368】
DCM(50mL)中のFI-29e(0.53g、3.48mmol、1.0当量)の混合物に、窒素雰囲気下、0℃でSOCl2(0.83g、6.96mmol、2.0当量)を滴下して加えた。この混合物を室温で2時間、撹拌した。この反応混合物をDCM(50mL)により希釈して、NaHCO3の飽和水溶液、ブラインで洗浄し、無水Na2SO4により脱水して減圧下で濃縮し、FI-29f(0.47g、79%)を得た。
【0369】
FI-29f(470mg、2.75mmol、1.0当量)のDMF(20mL)溶液に、FI-3(607mg、2.75mmol、1.0当量)及びK2CO3(759mg、5.5mmol、2当量)を加えた。この混合物を室温で4時間、撹拌した。次に、この混合物を水(50mL)により希釈して、酢酸エチル(30mL×3)により抽出した。有機層をブラインにより洗浄して無水Na2SO4により脱水し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、FI-29g(210mg、22%)を得た。
【0370】
FI-29g(250mg、0.71mmol、1.0当量)のMeOH(7mL)溶液に、(NH4)2CO3(270mg、2.82mmol、4.0当量)及びKCN(91mg、1.41mmol、2.0当量)を加えた。この混合物を45℃で16時間、撹拌した。この反応物に3M HClを加え、pH=1~2に調節し、室温で1時間、撹拌し、次に、NaHCO3の飽和水溶液を加え、pH=7~8に調節して、酢酸エチルにより抽出した。有機層をブラインにより洗浄して無水Na2SO4により脱水し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、FC-29(75mg、25%)を白色固体として得た。
【0371】
化合物FC-30の調製:
【0372】
【化53】
【0373】
化合物FI-3(13.9g、63.11mmol、1.0当量)のDCM(500mL)溶液に、窒素雰囲気下、-78℃でTEA(20.63g、189.34mmol、3当量)、(CF3SO2)2O(19.59g、69.42mmol、1.1当量)を加えた。この混合物を、窒素雰囲気下、-78℃で2時間、撹拌した。次に、この混合物を0℃まで温めて、飽和Na2CO3(200mL)溶液でクエンチした。有機相をブラインにより洗浄し、無水Na2SO4により脱水し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、化合物FI-30a(9.7g、44%)を得た。
【0374】
FI-30a(2.5g、7.12mmol、1.0当量)のジオキサン/H2O(5/1、60mL)溶液に、窒素雰囲気下、4,4,5,5-テトラメチル-2-ビニル-1,3,2-ジオキサボロラン(1.2g、7.83mmol、1.1当量)、Pd(dppf)2Cl2(0.52g、0.71mmol、0.1当量)及びCsF(2.8g、15.45mmol、2当量)を逐次、加えた。この混合物を85℃で16時間、撹拌した。次に、この反応物を室温まで冷却し、H2O(50mL)でクエンチし、酢酸エチル(30mL×3)で抽出した。合わせた有機相をブラインにより洗浄し、無水Na2SO4により脱水し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、FI-30b(1.3g、79%)を得た。
【0375】
FI-30b(1.3g、5.65mmol、1.0当量)のDCM(50mL)溶液に、2-メチル-4-ビニルピリジン(0.74g、6.21mmol、1.1当量)及びHoveyda-Grubbs II試薬(354g、0.57mmol、0.1当量)を加えた。この混合物を、窒素雰囲気下、50℃で14時間、撹拌した。次に、この混合物をDCM(100mL)により希釈してブラインで洗浄し、無水Na2SO4で脱水して減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、FI-30c(0.3g、16%)を得た。
【0376】
FI-30cのメタノール溶液にPd/Cを加える。この混合物を水素雰囲気下(20psi)、室温で16時間、撹拌する。この混合物をろ過して、ろ液を濃縮して精製し、FI-30dを得る。
【0377】
FI-30dの溶液に(NH4)2CO3及びKCNを加える。この混合物を45℃で約16時間、撹拌する。次に、室温で1時間、3M HClを加えてpH=1~2に調節し、次に、NaHCO3の飽和水溶液を加えてpH=7~8に調節する。この混合物を抽出し、残留物をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、FC-30を得る。
【0378】
化合物FC-31の調製:
【0379】
【化54】
【0380】
出発原料である2-メチルイソニコチン酸メチル(20g、132.31mmol、1.0当量)をNH3/MeOH(100mL、500mmol、3.78当量、5M)に溶解し、窒素雰囲気下、室温で6時間、撹拌した。この混合物を減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、FI-31a(10.2g、56%)を得た。
【0381】
THF(250mL)中のFI-31a(7.65g、56.18mmol、1.0当量)の混合物に、窒素雰囲気下、0℃でLiAlH4(6.4g、168.56mmol、3当量)を加えた。この混合物を70℃で6時間、撹拌した。次に、この混合物を0℃まで冷却し、飽和Na2SO4溶液(100mL)でクエンチした。この混合物をろ過して、ろ液をDCM(3×30mL)により抽出した。合わせた有機相をブラインにより洗浄し、無水Na2SO4により脱水し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、FI-31b(0.9g、13%)を得た。
【0382】
FI-30a(400mg、1.13mmol、1.0当量)及びFI-31b(183mg、1.13mmol、1.0当量)のジオキサン(20mL)溶液に、窒素雰囲気下、キサントホス(65mg、0.11mmol、0.1当量)、Pd2(dba)3(103mg、0.11mmol、0.1当量)及びCs2CO3(1.1g、3.4mmol、3当量)を逐次、加えた。この混合物を、窒素雰囲気下、110℃で16時間、撹拌した。次に、この混合物をH2O(50mL)でクエンチし、酢酸エチル(100mL×3)により抽出した。合わせた有機相をブラインにより洗浄し、無水Na2SO4により脱水し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、FI-31c(80mg、22%)を得た。
【0383】
FI-31c(180mg、0.55mmol、1.0当量)のMeOH(5mL)溶液に、(NH4)2CO3(213mg、2.22mmol、4.0当量)及びKCN(72mg、1.11mmol、2.0当量)を加えた。この混合物を45℃で16時間、撹拌した。この反応物に3M HClを加え、pH=1~2に調節し、室温で1時間、撹拌し、次に、NaHCO3の飽和水溶液を加え、pH=7~8に調節して、酢酸エチルにより抽出した。有機層をブラインにより洗浄して無水Na2SO4により脱水し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、FC-31(33mg、15%)を黄色固体として得た。
【0384】
化合物FC-32の調製:
【0385】
【化55】
【0386】
THF(10mL)中のFI-2a2(600mg、2.97mmol、1.0当量)及び4-メルカプトフェノール(450mg、2.97mmol、1.0当量)からなる混合物に、0℃でNaH(143mg、3.56mmol、1.2当量)を加えた。この混合物を室温まで温め、窒素雰囲気下、16時間、撹拌した。次に、この混合物を濃縮して溶媒量を半分にして、次に、2N HClを加えてpH=6に調節し、ろ過してろ液を濃縮した。残留物をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって精製し、化合物FI-32a(750mg、99%)を得た。
【0387】
DMF(20mL)中のFI-32a(680mg、2.62mmol、1.0当量)及び4-(クロロメチル)-2-メチルピリジン(557mg、3.94mmol、1.5当量)からなる混合物に、K2CO3(1.08g、7.87mmol、3当量)を加えた。この混合物を、窒素雰囲気下、70℃で4時間、撹拌した。次に、この混合物をH2O(60mL)でクエンチし、酢酸エチル(40mL×3)により抽出した。合わせた有機相をブラインにより洗浄し、無水Na2SO4により脱水し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、FI-32b(740mg、80%)を得た。
【0388】
FI-32b(800mg、2.26mmol、1.0当量)のMeOH(20mL)溶液に、(NH4)2CO3(870mg、9.06mmol、4.0当量)及びKCN(294mg、4.5mmol、2.0当量)を加えた。この混合物を45℃で16時間、撹拌した。この反応物に3M HClを加えてpH=1~2に調節し、室温で1時間、撹拌し、次に、NaHCO3の飽和水溶液を加えてpH=7~8に調節して、酢酸エチルにより抽出した。有機層をブラインにより洗浄して無水Na2SO4により脱水し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、FC-32(720mg、75%)を白色固体として得た。
【0389】
化合物FC-33の調製:
【0390】
【化56】
【0391】
FI-30a(7.0g、19.87mmol、1.0当量)のトルエン(100mL)溶液に、エタン-1,2-ジオール(24.6g、397.3mmol、20当量)及びTsOH(0.16g、0.99mmol、0.05当量)を逐次、加えた。この混合物を、窒素雰囲気下、12時間、還流下で加熱した。次に、この混合物を減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって精製し、FI-33a(3.78g、48%)を得た。
【0392】
FI-33a(3.78g、9.53mmol、1.0当量)及びFI-31b(1.16g、9.53mmol、1.0当量)のジオキサン(100mL)溶液に、窒素雰囲気下、キサントホス(561mg、0.95mmol、0.1当量)、Pd2(dba)3(889mg、0.95mmol、0.1当量)及びCs2CO3(9.31g、28.59mmol、3当量)を逐次、加えた。この混合物を、窒素雰囲気下、110℃で16時間、撹拌した。次に、この混合物をH2O(50mL)でクエンチし、酢酸エチル(100mL×3)により抽出した。合わせた有機相をブラインにより洗浄し、無水Na2SO4により脱水し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、FI-33b(800mg、22%)を得た。
【0393】
FI-33b(800mg、2.17mmol、1.0当量)のギ酸(10mL、40%)溶液に、ホルムアルデヒド(13mg、4.34mmol、2.0当量)を加えた。この混合物を、窒素雰囲気下、100℃で16時間、撹拌した。次に、この混合物を減圧下で濃縮し、水性NaHCO3により希釈し、酢酸エチル(100mL*3)により抽出した。合わせた有機相をブラインにより洗浄し、無水Na2SO4により脱水し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、FI-33c(180mg、24%)を得た。
【0394】
FI-33c(300mg、0.89mmol、1.0当量)のMeOH(5mL)溶液に、(NH4)2CO3(340mg、3.54mmol、4.0当量)及びKCN(115mg、1.77mmol、2.0当量)を加えた。この混合物を45℃で16時間、撹拌した。この反応物に3M HClを加え、pH=1~2に調節し、室温で1時間、撹拌し、次に、NaHCO3の飽和水溶液を加えてpH=7~8に調節し、酢酸エチルにより抽出した。有機層をブラインにより洗浄して無水Na2SO4により脱水し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、FC-33(38mg、10%)を黄色固体として得た。
【0395】
化合物FC-34の調製:
【0396】
【化57】
【0397】
THF(100mL)中の3-ブロモフラン-2-カルボアルデヒド(5.0g、28.57mmol、1.0当量)及び4-メルカプト安息香酸メチル(4.8g、28.57mmol、1.0当量)からなる混合物に、0℃でNaH(1.14g、28.57mmol、1.0当量、60%w/w)を加えた。この混合物を室温まで温め、窒素雰囲気下、4時間、撹拌した。次に、この混合物を氷水(100mL)でクエンチし、2N HClを加えて、pH=7に調節し、EA(3×50mL)により抽出した。合わせた有機相をブラインにより洗浄し、無水Na2SO4により脱水し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、FI-34a(2.7g、36%)を得た。
【0398】
FI-34a(4.8g、18.3mmol、1.0当量)のトルエン(100mL)溶液に、エタン-1,2-ジオール(22.7g、36.6mmol、20当量)及びTsOH(0.16g、0.9mmol、0.05当量)を逐次、加えた。この混合物を、窒素雰囲気下、12時間、還流下で加熱した。次に、この混合物を減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって精製し、FI-34b(2.4g、36%)を得た。
【0399】
FI-34b(2.4g、7.83mmol、1.0当量)のTHF(80mL)溶液に、窒素雰囲気下、0℃でLiAlH4(0.89g、23.5mmol、3当量)を加えた。この混合物を室温で2時間、撹拌した。次に、この混合物を0℃まで冷却し、1N HCl(30mL)でクエンチした。この混合物をDCM(3×50mL)により抽出した。合わせた有機相をNaHCO3の飽和水溶液、ブラインにより洗浄し、無水Na2SO4で脱水して、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、FI-34c(2.0g、22%)を得た。
【0400】
FI-34c(1.0g、3.59mmol、1.0当量)のDCM(20mL)溶液に、窒素雰囲気下、0℃でSOCl2(0.85g、7.18mmol、2当量)を加えた。この混合物を室温で2時間、撹拌した。次に、この混合物を減圧下で濃縮し、FI-34d(1.01g、99%)を得て、これを次の工程に直接、使用した。
【0401】
FI-34d(0.7g、2.36mmol、1.0当量)のDMF(20mL)溶液に、4-アミノ-2-メチルピリジン(0.26g、2.36mmol、1.0当量)及びK2CO3(0.65g、4.7mmol、2当量)を加えた。この混合物を45℃で12時間、撹拌した。次に、この混合物を水(50mL)により希釈して、酢酸エチル(30mL×3)で抽出した。有機層をブラインにより洗浄して無水Na2SO4により脱水し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、FI-34e(0.5g、57%)を得た。
【0402】
HCl/THF(3.0M、3mL/3mL)中のFI-34e(0.8g、2.17mmol、1.0当量)の混合物を、80℃で16時間、撹拌した。この反応混合物を減圧下で濃縮した。この残留物に飽和NaHCO3溶液を加え、pH=8に調節して、酢酸エチルにより抽出した。有機層をブラインにより洗浄して無水Na2SO4により脱水し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、FI-34f(0.5g、70%)を得た。
【0403】
FI-34f(0.5g、1.54mmol、1.0当量)のMeOH(5mL)溶液に、(NH4)2CO3(0.59g、6.16mmol、4.0当量)及びKCN(0.2g、3.08mmol、2.0当量)を加えた。この混合物を45℃で16時間、撹拌した。この反応物に3M HClを加えてpH=1~2に調節し、室温で1時間、撹拌し、次に、NaHCO3の飽和水溶液を加えてpH=7~8に調節し、酢酸エチルにより抽出した。有機層をブラインにより洗浄して無水Na2SO4により脱水し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、FC-34(41mg、6%)を黄色固体として得た。
【0404】
生物学的試験
[実施例1]
MMP阻害アッセイ
組換えヒトMMP-12触媒ドメイン(Enzo、BML-SE138)による、蛍光性MMP基質(Enzo、BML-P128)の切断速度に及ぼす化合物の阻害作用を、当分野で公知の方法により行った。手短に述べると、96ウェル黒色不透明プレートの各ウェルに、ピペット操作によってすべての試薬を逐次、加え、最終反応物は、4nMの組換えヒトMMP-12触媒ドメイン、4μMの蛍光性MMP基質、並びに10mMのCaCl2、0.01%Brij(登録商標)35(ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル)及び0.1mg/mlのBSAを含有するHEPES緩衝液(pH7.5)中の様々な濃度(0.15nM~10,000nM)の試験化合物希釈液を含有した。
【0405】
酵素及び化合物を、振とう器上で予備インキュベートし、ウェル中で混合した。1時間の混合後、蛍光性基質を各ウェルに加えた。酵素を含まない反応は、プレート中のブランク対照として使用した。次に、このプレートをプレートリーダーに供給し、37℃で少なくとも1時間、10分ごとに340nm/440nmの励起/発光波長で蛍光強度を測定した。MMP-12阻害における各化合物のIC50は、時間点30分間において得られた読取値を使用して求めた。試験した各化合物の結果が表1に示されている。
【0406】
[実施例2]
選択性アッセイ
MMP選択性アッセイは、MMP-1、MMP-2、MMP-3、MMP-7、MMP-8、MMP-9、MMP-10、MMP-13及びMMP-14を含めた、他の組換えヒトMMPを使用することによって行った。他の組換えヒトMMPに関する化合物のIC50は、実施例1において上記の通りに求め、表2に示されている。
【0407】
【表2】
【0408】
上記の表2における結果は、本出願の実施形態による化合物は、MMP-1、MMP-2、MMP-3、MMP-7、MMP-8、MMP-9、MMP-10、MMP-13及びMMP-14を含めた他のMMPに比べて、MMP-12に対して高い選択性を有することを示している。
【0409】
[実施例3]
特発性肺線維症(IPF)の場合のSDラットのブレオマイシン誘発性片側肺線維症モデルにおける、MMP-12阻害剤の治療的効力の検討
この検討の目的は、Sprague Dawley(SD)ラットにおける、ブレオマイシン(BLM)誘発性片側肺線維症モデルに及ぼすFC-4の治療効果を評価することであった。雄SDラット(n=50)を以下の群に無作為に分けた:シャム群(n=10)、モデル群(n=10)、10mg/kg/日で投与したFC-4群(n=10)、30mg/kg/日で投与したFC-4群(n=10)、及び100mg/kg/日で投与したFC-4群(n=10)。試験薬物はすべて、モデル化の8日目から始めて14日間、経口送達した。シャム群及びモデル群の場合、生理食塩水溶液を1日1回、薬物処置群の場合、FC-4を1日2回摂取した。ラットに麻酔をかけ、気管を露出させた。生理食塩水をシャム群において、直接、気管内注射により投与し、他の群の動物は、1.0mg/kgの体積中、3mg/kgの用量でBLM注射を受けた。動物はすべて、モデル化前、並びにモデル化して3、7、11、14、18及び21日目に、EMMS全身プレチスモグラフィーシステムによる非侵襲性肺機能検査を使用して処置した。最後の薬物送達後の1日目に、すべての動物の左肺に10%ホルマリンを潅流して、病理分析のため処理した。
【0410】
すべての動物の肺機能は、一回換気量(TV)、呼吸速度、1分間あたりの吸気体積(MV)及びPenh指数を示すモデル化後に、最小限で変化した。FC-4処置は、肺機能に有意に影響を及ぼさず、各検査の時間点において、ビヒクル動物に比べて、有意な差異はなかった。組織学検査により、モデル群における線維性肺は、気管支管及び肺胞管における上皮細胞の過形成、気管支内腔における様々な量の粘液塊、及びとりわけ、外膜領域における炎症細胞の浸潤を示すことが明らかになった。線維コアにおける肺胞は、肺胞上皮細胞脱落及び再生成、肺胞壁炎症細胞の浸潤及び線維形成として損傷を受け、線維塊を伴う肺胞腔炎症細胞の浸潤が観察された。10mg/kg/日の投与量でFC-4により処置した動物は、モデル群と比べて、肺線維症に対して顕著な治療効果があることを示した。FC-4の用量を30mg/kg/日及び100mg/kg/日まで増加させるとやはり、顕著な治療効果を示したが、明確な用量依存的効果は観察されなかった。線維形成Ashcraftスコア化データは、線維症スコアにおいて、FC-4は、類似の有意な低下を有することを示した。免疫組織化学(IHC)を使用するバイオマーカー分析により、FC-4処置は、線維コアにおいて、類似したコラーゲンI及びコラーゲンIV沈着の低下を有することが示された。線維コアにおけるMMP-12、TGF-β1及びエラスチン発現もやはり、発現の明瞭な低下を有した。
【0411】
結論として、BLM誘発性片側肺線維症モデルの実現に成功した。肺線維症モデルの8日目から始めた2週間のFC-4の経口投与により、10mg/kg/日、30mg/kg/日又は100mg/kg/日の用量のいずれかで、顕著な治療効果が実現した。FC-4による処置はやはり、すべての投与群の場合に、モデル群に比べた、肺線維症に対する顕著な治療効果があることを示した。線維症関連バイオマーカー分析により、FC-4処置は、線維コアにおける関連バイオマーカー発現及びコラーゲン沈着を低減させることが示され、IPFに対するFC-4の治療機構が示唆された。
【0412】
詳細実験方法
動物:種及び質レベル:SDラット、SPFグレード。性別及び数:雄、93匹。購入体重範囲:260~280g。会社証明番号:SCXX(Jing)2012-001、Beijing Vital River Laboratory Animal Technology Co., Ltd.。動物の収容:ラットは、温度、湿度及び光制御システムに関して国際標準下で、Nanjing BioSciKin Co.Ltd.の動物収容施設に収容した。動物使用プロトコルを吟味し、KCI Biotech Inc.の施設内動物管理委員会(IACUC)によって承認を受けた。実験手順はすべて、KCI Biotech Inc.の制度ガイドラインに準拠して行った。
【0413】
モデル確立:この検討は、実験室用動物の世話及び使用に関するSOP制度ガイドラインに厳密に準拠して行った。50mg/kgの用量でペントバルビタールナトリウムを腹腔内注射することによって、ラットに麻酔をかけた。次に、ラット頸部の皮膚を消毒して、層に切開した。気管を慎重に露出させた。カニューレによって、ブレオマイシン(BLM)を、1.0ml/kgの体積中の3mg/kg体重の用量で、左主要気管支に直接、注射した。気管及び皮膚を層にして閉じた後、動物を37℃の電気式加熱パッドの上に移し、麻酔から目覚めるまで待った後に、収容ケージに戻し、水及び食物を自由摂取させた。
【0414】
実験の群分け:ラットは、5つの群に割り当てた:シャム(群-1、n=10)、モデル(群-2、n=10)、FC-4-低用量(群-3、10mg/kg/日、n=10)、FC-4-中用量(群-4、30mg/kg/日、n=10)、FC-4-高用量(群-5、100mg/kg/日、n=10)(表1)。薬物投与:試験物品であるFC-4を胃潅流による経口投与として設計した。FC-4を、モデル化して8日目から開始して、14日間、1日2回、送達した。(表3.1)。
【0415】
エンドポイント:a)非侵襲性肺機能検査:すべての動物に、IPFモデル化前、IPFの3日目、投与前のIPFの7日目、IPFの11日目、IPFの14日目、IPFの18日目、及び動物を犠牲にする前のIPFの21日目を含めた、検討期間の間の複数の時間点において、一回換気量(TV)、呼吸速度、1分間あたりの吸気体積(MV)及びPenh指数であるパラメータに着目した、EMMS全身プレチスモグラフィー(WBP)システムにより、非侵襲肺機能検査を施した。b)病理分析のための左の肺採集:肺機能の最後の検査の後に、すべての動物を、KCIにおける標準SOPに準拠して安楽死させた。動物の死亡を確認した後、各動物に10%ホルムアルデヒド溶液を用いて全身潅流を施し、次に、左肺を採取し、等量の10%ホルムアルデヒド溶液を用いて再度、潅流した(各肺に3ml)。肺病理の処理を肺固定化後に行った。c)左肺の病理アッセイ:左肺全体を脱水し、KCIによる病理SOP後にワックスで埋包し、次に、厚さ3μmで薄片化した。KCI病理標準染色SOP後に、ヘマトキシリン及びエオシン(H&E)、並びにマッソントリクローム染色の処理を行い、次に、染色後、スライド全体を、Hamamatsu NanoZoomerデジタルパソロジーS210スライド式スキャナーによって走査した。線維コア及び線維板領域における細気管支及び肺細動脈の損傷並びに炎症細胞の浸潤は、表3.2及び表3.3に説明されている診断基準に準拠して、H&E染色済みスライドを用いてスコア化した(図1Aも参照されたい)。図3.4及び図1Bに説明されている診断基準に準拠し、マッソントリクローム染色済みスライドを用いて、BLM誘発させた左肺損傷領域及び病理的線維症スコアを評価した。同様に、IHC法、例えば、コラーゲンI(Abcam、カタログ番号ab34710)、コラーゲンIV(Abcam、カタログ番号ab6586)、MMP-12(LSBio、カタログ番号LS-C497709)、TGF-β1(Invitrigen、カタログ番号MA5-16949)及びエラスチン(Abcam、カタログ番号GR134273-29)を使用するバイオマーカー分析のために、各群から5匹の動物(シャム群からは3匹の動物)を無作為に選択した。IHC染色は、KCIにおけるIHCの標準プロトコルに準拠して処理
した。染色済みスライドを次に、Hamamatsu NanoZoomerデジタルパソロジーS210スライド式スキャナーによって走査し、ソフトウェアを使用して分析し、ポジティブ染色領域/分析領域(%)を得た。d)統計解析:統計解析は、Graphpad prism5.0ソフトウェアを使用して行った。記載結果は、平均値±標準誤差又は平均値±標準偏差として表した。統計学的比較は、T検定、一元配置分散分析又は二元配置分散分析による検定を使用して行った。p<0.05は、統計的有意性があると見なした。
【0416】
【表3】
【0417】
【表4】
【0418】
【表5】
【0419】
【表6】
【0420】
結果:
a)実験間のすべての試験ラットにおける、明白な物理的変化及び挙動の異常変化はなかった。
b)ラットの体重はすべて、実験期間の間、群-1のラットを除き、手術後、最初の6日目~7日目にわたり、わずかに低下した。次に、ラット体重はすべて、実験の経過に伴い徐々に回復し始めた。CPD処置群とモデル群との間で、身体回復に有意な差異はなかった。
c)非侵襲性肺機能の変化:肺機能に関する検査パラメータは、片側肺線維症モデル化の最初の週にわたり、TV、MV、呼吸速度及びPenhの変化は最小限であることを示した。FC-4の処置の場合、処置動物におけるこれらの検査パラメータは、ビヒクル処置動物に比べて、なんら有意な変化を示さなかった。
d)左肺における気管支及び細動脈の病理分析:左肺の組織学は、明瞭な損傷板を伴う顕著な肺損傷があることを表し、これは、様々な程度の気管支過形成として、終末微細気管支(terminal fine bronchus)及び肺胞管上皮細胞過形成、並びに気管支内腔における様々な量の粘膜を示した。とりわけ、外膜領域における気管支壁表面の様々な程度の炎症細胞の浸潤、及び顆粒組織を有する部分気管支壁の肥厚が観察された。線維コアにおける肺胞損傷は、肺胞上皮の露出、再生成、肺胞壁炎症細胞の浸潤及び線維形成として表れた。線維塊を伴う肺胞腔内の炎症性滲出もまた、広く認識された。線維コア及び線維板の両方において、外膜領域に大部分が位置する様々な程度の炎症細胞の浸潤を伴う、様々な程度の細動脈内皮細胞の露出及び増殖が見られた(図1C及び1D)。FC-4処置の用量はすべて、線維コア及び線維の境界の両方において、気管支及び細動脈損傷の軽減に対して顕著な治療効果を有した(表3.7、図1E及び1F)。
【0421】
【表7】
e)左肺線維コアの病理分析:マッソントリクローム染色により、Ashcraftスコア化法に従い、左肺線維症をスコア化した。線維形成を伴う深刻な肺胞損傷が認識された(図1G)。Ashcraftスコア化データにより、FC-4処置後に線維形成の有意な低下が示された(表3.8、図1H)。Ashcraftスコア化診断基準に基づいて、線維症スコアを、元々の肺胞構造に様々な損傷及び線維形成が維持されていることを意味するスコア≦3である項目Iとして、並びに肺胞構造が様々な損傷及び線維形成により一部が又は完全に損傷を受けていることを意味するスコア≧4である項目IIとして、2つの項目に分けた。このデータは、モデル群において、Ashcraftスコアの60パーセント(60%)を超えるものが、≧4のスコアとなることを示した。すべての薬物処置群の場合に、Ashcraftスコアの約80パーセント(80%)が、≦3のスコアとなった。統計解析により、FC-4処置群とモデル群との間に有意な差異があることが示された(図1J)。
【0422】
【表8】
f)左肺線維コアにおける複数のバイオマーカーの病理分析:1)コラーゲンI:FC-4により処置された動物の場合の線維コアにおけるIHC染色の分析は、コラーゲンI沈着の顕著な投与量依存的低下を示し、各用量処置において有意な差異があることを示した(p<0.05)(図1J(I)及び図1K(I))。コラーゲンIV:コラーゲンIVのIHC分析は、FC-4処置動物のどちらも、線維コアにおいてコラーゲンIVの沈着に顕著な用量依存的低下があることを示した(p<0.05)(図1J(II)及び図1K(II))。3)MMP-12:MMP-12のIHC分析は、FC-4処置動物において、線維コアに、明確な用量依存的低下を伴って、MMP-12発現の有意な低下があることを示した(p>0.05)(図1J(III)及び図1K(III))。4)TGF-β1:TGF-β1のIHC分析は、FC-4処置動物において、線維コアにTGF-β1発現の有意な低下があることを示した(p<0.05)(図1J(IV)及び図1K(IV))。5)エラスチン:エラスチンのIHC分析は、FC-4処置動物において、線維コアにエラスチン発現の有意な低下があることを示した(p<0.05)(図1J(V)及び図1K(パネル(V))。
【0423】
[実施例4]
片側尿管閉塞(UUO)によるSDラット腎線維症モデルに及ぼすMMP-12阻害剤の有効性検討
この検討は、片側尿管閉塞(UUO)による腎線維症モデルに及ぼす、MMP-12阻害剤であるFC-4の治療的効力を評価するためのものであった。雄のSprague Dawley(SD)ラット(180~220g、n=71)をこの検討に使用した。動物は無作為に4つの群に分けた:ビヒクル群(群-1、n=8)、FC-4 2mg/kg/日の群(群-2、n=9)、FC-4 6mg/kg/日の群(群-3、n=9)、FC-4 20mg/kg/日の群(群-4、n=9)。動物は、2.5%イソフルラン吸入を用いて麻酔にかけた。左尿管をライゲーションして、片側尿管閉塞(UUO)モデルを作製して、腎線維症を誘発させた。試験物品FC-4は、14日間、モデル化後に経口送達により1日2回、投与した。末梢血液血清を、モデル化前及び15日目(最後の投与後の1日目)に調製した。動物はすべて、左腎臓の病理検討を行うため、安楽死させて処置した。
【0424】
20mg/kg/日の用量でのFC-4処置は、ビヒクル群と比べると、血中ウレア窒素(BUN)向上をわずかに制限したが、データはすべて、モデル群と比べると、統計学的に有意な差異を示さなかった。血清クレアチニンレベルは、BUNと同様の、類似した変化を示した。
【0425】
組織学的に、左腎臓は、骨盤拡張、腎髄質及び皮質の萎縮(atropsy)、尿細管上皮細胞平坦化及び尿細管拡張、炎症及び壊死を含めた、UUOに比べて有意な形態学的変化があることを示した。間質性線維症が、骨盤壁、髄質及び皮質においてはっきりと観察された。FC-4処置は、明確な用量依存的効果を示し、20mg/kg/日の用量は、2mg/kg/日の用量よりも効果的であった(p<0.01)。皮質における間質性炎症の半定量的評価は、FC-4の処置による有意な低下を示し、FC-4の用量依存的有効性を示した。皮質における間質性線維症の半定量的評価は、すべての用量群において、FC-4の処置による線維症スコアの有意な低下を示した。FC-4処置群の両方において、明確な用量依存的効果が存在した。
【0426】
FC-4により処置した動物の場合の左腎臓の皮質領域における免疫組織化学(IHC)染色の分析により、FC-4処置による用量依存的低下の傾向を伴って、20mg/kg/日(FC-4の場合、P<0.001)の用量におけるコラーゲンI沈着が有意に低下することが示された。上記の免疫組織化学染色はまた、FC-4 6mg/kg/日(P<0.05)、20mg/kg/日(p<0.001)の用量において、用量依存的低下の傾向を伴って、コラーゲンIV沈着の有意な低下があることを示した。
【0427】
結論として、UUOは、モデル化の15日目以内に、深刻な腎臓皮質損傷、炎症及び間質性線維症を誘発した。FC-4の処置は、腎臓損傷、間質性炎症又は間質性線維症のいずれかに限定的に明確な用量依存的有効性を示した。線維症関連バイオマーカー分析により、FC-4による処置は、損傷した腎臓の皮質領域において、関連したコラーゲン沈着(コラーゲンI及びIV)を低下させることが示された。
【0428】
詳細実験方法
動物:性別:雄のSDラット、180~220g、合計71匹。証明書:11400700272659、Beijing Vital River Laboratory Animal Technology Co., Ltd.、中国。動物保持:動物は、12時間の明/12時間の暗サイクルを有する温度管理環境に維持し、食物及び水を自由摂取させた。実験手順は、KCI(SuZhou)Biotech Inc.(KCI)動物研究施設におけるIACUCガイドラインに準拠して行った。モデル生成:合計で36匹の雄SDラットをこの検討に使用した。2.5%イソフルラン吸入による麻酔後、動物の腹部を外科的に開腹した。左尿管を露出させて、膀胱近くでライゲーションし、UUOモデルを作製した。出血がないことを確認した後、腹壁を層にして閉じた。動物は、麻酔からの回復の間、温度制御パッド(37℃)下に維持し、次に、いつもの食物及び水を備える保持用ケージに移した。
【0429】
実験の群分け:UUOモデル化動物は、無作為に、ビヒクル(群-1、n=9)、FC-4 2mg/kg/日(群-2、n=9)、FC-4 6mg/kg/日(群-3、n=9)、FC-4 20mg/kg/日(群-4、n=9)(表4.1)として、4つの群に分けた。投与レジメン:試験物品はすべて、胃潅流によって経口投与として設計した。試験物品は、モデル化した日と同日に開始して、14日間、1日2回、送達されるよう設計した(表4.1)。エンドポイント:1)血液採集:各群におけるすべての動物から末梢血液を採取し、モデル化前及び15日目(最後の投与の1日後)に血清を調製し、-80℃で保管した。動物はすべて、KCI SOPに従い安楽死させた。呼吸及び心臓鼓動がなく動物が死亡したことを確認した後、左腎臓を冷PBS、次いで、10%中性ホルマリンにより潅流し、さらなる病理検討のために採取した。2)血清BUN及びクレアチニンの検出:血清BUN及びクレアチニンレベルは、Hitachi7060自動生化学分析器及び関連試験キットを用いて検出した。3)腎臓病理検査:3a)腎臓H&E染色及び分析:KCIの病理学的SOPの後に、左腎臓のすべてを10%ホルマリン中、室温で少なくとも24時間、固定化した。固定化後、腎臓を縦方向に切込み、最大表面を得て、等級化エタノール(graded ethanol)中で脱水し、キシレン中で洗い、パラフィンに埋包した。薄層区域(3μm)をスライドガラスにマウントし、ワックスを除去して、蒸留水に再度水和させ、ヘマトキシリン及びエオシン(H&E)で染色した。すべての染色済みスライドをNanoZoomerデジタルパソロジー(S210、Hamamaci、日本)スキャナーにより走査した。尿細管上皮平坦化及び拡張の程度の半定量的評価を、尿細管関与の百分率に準拠して、0~5にグレード化した:スコア0=損傷はない。スコア1=1~10%の損傷。スコア2=10~25%の損傷。スコア3=25~50%の損傷。スコア4=50~75%の損傷。スコア5=75~100%の損傷。尿細管壊死の半定量的評価は、尿細管関与の百分率に準拠して、0~3にグレード化する:スコア0=壊死はない。スコア1=<25%の壊死。スコア2=25~50%の壊死。スコア3=>50%の壊死。全尿細管損傷としての尿細管平坦化及び拡張及び壊死の平均を示した。間質性炎症の半定量的評価は、炎症細胞の浸潤の程度に準拠して、0~4にグレード化した:スコア0=炎症細胞はない。スコア1=軽度の炎症細胞の浸潤。スコア2=中度の炎症細胞の浸潤。スコア3=重症な炎症細胞の浸潤。スコア4=広範囲な炎症細胞の浸潤。3b)腎臓マッソントリクローム染色及び分析:薄層区域(3μm)をスライドガラスにマウントし、ワックスを除去して、蒸留水に再度水和させ、マッソントリクロームで染色した。すべての染色済みスライドをNanoZoomerデジタルパソロジー(S210、Hamamaci、日本)スキャナーにより走査した。×10倍率における5つの異なる視野による、皮質間質性線維症の半定量的評価は、腎臓皮質から無作為に選択し、間質性線維症関与の百分率に従い、以下のスコア化システムを使用して0~4として推定した:スコア0=線維形成はない。スコア1=<10%の線維形成。スコア2=10~25%の線維形成。スコア3=25~75%の線維形成。スコア4=>75%の線維形成。3c)腎臓IHC染色及び分析:IHC法、例えば、コラーゲンI(Abcam、カタログ番号ab34710)、コラーゲンIV(Abcam、カタログ番号ab6586)を使用する、バイオマーカー分析のため、各群からの左腎臓のすべて(モデル群から8つの右腎臓)を処理した。IHC染色は、KCIにおけるIHCの標準プロトコルに準拠して処理した。染色済みスライドを次に、Hamamatsu NanoZoomerデジタルパソロジーS210スライド式スキャナーによって走査し、ソフトウェアを使用して分析し、ポジティブ染色領域/分析領域(%)を得た。4)統計解析:Graphpad、prism5.0を、すべての統計解析に使用し、P値<0.05を有意と見なした。データはすべて、平均値±標準誤差として報告した。群間の差異は、ボンフェローニ検定又はスチューデントT検定のどちらかによるANOVA検定を使用して求めた。
【0430】
【表9】
【0431】
結果:
a)実験期間中の動物の生理的変化:実験期間中に数匹の動物は死亡し、これは、モデルの不具合、例えば、腹膜炎を誘発した手術中の尿管の破裂と考えられた。
b)血清BUN及びクレアチニンの変化:UUO後、15日目に、モデル化前と比べて、すべての動物の血清BUNが向上した(P<0.001)。20mg/kg/日の用量でのFC-4処置は、ビヒクル群と比べると、BUN向上をわずかに制限したが、モデル群と比べると、統計学的に有意な差異を示さなかった。血清クレアチニンレベルは、BUNと同様の、類似した変化を示した(図2B)。
c)左腎臓損傷の変化 - 尿細管損傷:UUOの15日後、左腎臓は、すべての動物において、骨盤腔の拡張を示した。腎臓皮質は、様々な程度の尿細管上皮細胞平坦化、尿細管拡張及び間質性炎症細胞の浸潤及びほとんどない尿細管壊死の病巣を伴う、有意な萎縮を示した(図2C)。FC-4処置は、明確な用量依存的効果を示し、20mg/kg/日となる用量は、2mg/kg/日の用量よりも有効であった(p<0.01)(図2D(I))。
d)左腎臓損傷の変化 - 間質性炎症:皮質における間質性炎症の半定量的評価は、FC-4の処置による有意な低下を示し、用量依存的有効性を示した(図2D(II))。
e)左腎臓損傷の変化 - 皮質間質性線維症:UUOの15日後、左腎臓は、すべての動物において、深刻な間質性線維症を伴う、骨盤腔、髄質領域及び皮質領域を示した。皮質領域における間質性線維症を分析し、試験CPDの処置の場合、程度が異なることが示された(図2E)。皮質における間質性線維症の半定量的評価は、20mg/kg/日の用量でのFC-4の処置の場合、線維症スコアの有意な低下を示した(p<0.001)。FC-4処置群において、明確な用量依存的効果があった(図2F)。
f)左腎臓における複数のバイオマーカーの病理分析:コラーゲンI:FC-4により処置した動物の場合の左腎臓の皮質領域におけるIHC染色の分析により、20mg/kg/日の用量において、処置群における、用量依存的低下のトランスを伴う、コラーゲンI沈着の有意な低下(p<0.05)があることが示された(図2G(I)及び図2H(I))。コラーゲンIV:FC-4により処置した動物の場合の左腎臓の皮質領域におけるIHC染色により、用量依存的低下のトランスを伴って、20mg/kg/日の用量におけるコラーゲンIV沈着が顕著に低下(p<0.001)することが示された(図2G(II)及び図2H(II))。
【0432】
参考文献
1. US 7179831
2. WO 02/096426
3. US 2004/0067996
4. WO 2004/108086
5. WO 02/074752
6. WO 2004/020415
(付記)
(付記1)
式(II)の化合物:
【化58】
又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物
(式中、
環Bは、場合により置換されているフラニルであり、
環Cは、アリール又はヘテロアリールであり、
環Dは、アリール又はヘテロアリールであり、
X、Y及びZはそれぞれ、O、CH 2 、NR x 及びS(O) q からなる群から独立して選択され、R x は、水素又はアルキルであり、
R 1 は、水素又はアルキルであり、
R 2 はそれぞれ、水素、アルキル、ハロ、ヒドロキシル、ハロアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アミノ、アミド、アルキルアミン、アミノアルキル、シアノ、ヒドロキシアルキル、-(CH 2 ) p C(O)OR 6 及び-(CH 2 ) p OC(O)R 6 からなる群から独立して選択され、
R 3 はそれぞれ、水素、アルキル及びハロからなる群から独立して選択され、
R 4 は、水素又はアルキルであり、
R 5 は、水素であり、
R 6 はそれぞれ、水素及びアルキルからなる群から独立して選択され、アルキルは、無置換であるか、又はアミノ、ヒドロキシル、ハロ及びアルコキシからなる群から独立して選択される1つ以上の基により置換されており、
mは、1、2、3又は4であり、
nは、1、2、3、4又は5であり、
pは、0、1、2、3、4又は5であり、
qは、0、1又は2であり、
但し、環Dがフェニルである場合、
(i) R 1 は、アルキルである、
(ii) R 2 は、メトキシ、クロロ又はトリフルオロメチルではない、及び
(iii) 環Cは無置換フェニルではない
のうちの少なくとも1つが該当することを条件とする)。
(付記2)
環Cがフェニルである、付記1に記載の化合物。
(付記3)
環Dがピリジニル又はピリジニルN-オキシドである、付記1に記載の化合物。
(付記4)
R 4 が水素である、付記1に記載の化合物。
(付記5)
R 1 がアルキルである、付記1に記載の化合物。
(付記6)
XがSであり、ZがCH 2 である、付記1に記載の化合物。
(付記7)
XがSであり、YがOであり、ZがCH 2 である、付記1に記載の化合物。
(付記8)
nが1であり、R 2 が、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル又はアミドである、付記1に記載の化合物。
(付記9)
nが1であり、R 2 が、-CH 3 、C 1~4 アルコキシ、-OH、-CH 2 OH又は-C(O)NH 2 である、付記1に記載の化合物。
(付記10)
式(III)の化合物:
【化59】
である、付記1に記載の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物
(式中、
R 1 は、水素又はC 1~4 アルキルであり、
Xは、Sであり、
Yは、O、CH 2 、NH又はN(CH 3 )であり、
R 2 はそれぞれ、水素、アルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、アミド及びヒドロキシアルキルからなる群から独立して選択され、
R 3 はそれぞれ、水素、アルキル又はハロであり、
環Dは、フェニル、ピリジニル又はピリジニルN-オキシドであり、
R 4 及びR 5 はそれぞれ、水素であり、
R 7 は、水素又はメチルであり、
nは、1又は2である)。
(付記11)
式(IV)の化合物:
【化60】
又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物
(式中、
R 1 は、水素又はアルキルであり、
R 2 は、アルキル、アミド、ヒドロキシル、アルコキシ及びヒドロキシルアルキルからなる群から選択され、
R 4 及びR 5 はそれぞれ、水素であり、
R 7 は、メチル又は水素である)。
(付記12)
R 2 が、-CH 3 、C 1~4 アルコキシ、-OH、-CH 2 OH又は-C(O)NH 2 である、付記11に記載の化合物。
(付記13)
R 1 がC 1~4 アルキルである、付記11に記載の化合物。
(付記14)
式(V)の化合物:
【化61】
又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物
(式中、
R 1 は、アルキルであり、
R 2 は、アルキル、アミド、アルコキシ、ヒドロキシル及びヒドロキシアルキルからなる群から選択され、
R 4 及びR 5 はそれぞれ、水素であり、
R 7 は、メチル又は水素である)。
(付記15)
R 2 が、-CH 3 、C 1~4 アルコキシ、-OH、-CH 2 OH又は-C(O)NH 2 である、付記14に記載の化合物。
(付記16)
R 1 がC 1~4 アルキルである、付記14に記載の化合物。
(付記17)
【化62】
からなる群から選択される化合物である、付記1に記載の化合物、又はその互変異性体、立体異性体、薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物。
(付記18)
付記17に記載の化合物、又は薬学的に許容されるその塩。
(付記19)
付記1から18のいずれか一項に記載の化合物及び少なくとも1種の薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
(付記20)
それを必要とする対象におけるマクロファージエラスターゼ(MMP-12)を阻害する方法であって、対象に付記19に記載の医薬組成物を投与するステップを含む方法。
(付記21)
それを必要とする対象におけるマクロファージエラスターゼMMP-12によって媒介される疾患を処置する方法であって、付記19に記載の医薬組成物を対象に投与するステップを含み、疾患が、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気腫、急性肺損傷、特発性肺線維症(IPF)、サルコイドーシス、全身性硬化症、肝線維症、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、関節炎、がん、心臓疾患、炎症性腸疾患(IBD)、急性腎臓損傷(AKI)、慢性腎疾患(CKD)、アルポート症候群及び腎炎からなる群から選択される、方法。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図1H
図1I
図1J
図1K
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図2H