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特許7343617通信装置、産業機械及び通信品質判定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-04
(45)【発行日】2023-09-12
(54)【発明の名称】通信装置、産業機械及び通信品質判定方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 3/462 20150101AFI20230905BHJP
   H04L 1/00 20060101ALI20230905BHJP
   H04L 25/02 20060101ALI20230905BHJP
【FI】
H04B3/462
H04L1/00 D
H04L25/02 301B
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021570055
(86)(22)【出願日】2021-01-05
(86)【国際出願番号】 JP2021000111
(87)【国際公開番号】W WO2021141026
(87)【国際公開日】2021-07-15
【審査請求日】2022-08-19
(31)【優先権主張番号】P 2020001328
(32)【優先日】2020-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【弁理士】
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】林 拓朗
【審査官】大野 友輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-004144(JP,A)
【文献】特開2003-265810(JP,A)
【文献】特開2016-201687(JP,A)
【文献】特開2006-164425(JP,A)
【文献】国際公開第2002/095947(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 3/462
H04L 1/00
H04L 25/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリアル信号(D1)を送信する送信部(108)と、
前記送信部から送信される前記シリアル信号であるシリアル送信信号の1ビットの周期(ΔT1)と同じ周期を有する第1基準クロック信号(REFTCLK)と、前記送信部から送信された前記シリアル送信信号のエッジとの位相差である第1位相差(TPD1~TPD4)を判定する第1位相差判定部(114)と、
前記第1位相差が第1位相差閾値(PTH1)を超えた場合に、前記送信部から送信された前記シリアル送信信号に異常があると判定する判定部(116)と、
を備える、通信装置(100A)。
【請求項2】
請求項1に記載の通信装置において、
前記シリアル送信信号の1ビットの周期よりも短い時間(ΔT2)に対応する位相差を互いに有するとともに周期が互いに等しい複数のクロック信号(TCLK1~TCLK8)のうちのいずれかのクロック信号を前記第1基準クロック信号として決定する第1決定部(111)を更に有する、通信装置。
【請求項3】
請求項2に記載の通信装置において、
前記第1決定部は、前記複数のクロック信号のうちの前記シリアル送信信号のエッジの直前又は直後に位置するクロック信号を、前記第1基準クロック信号として決定する、通信装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の通信装置において、
前記判定部は、所定時間内に前記第1位相差が前記第1位相差閾値を超えた回数に基づいて、通信の異常の程度を判定する、通信装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の通信装置において、
前記第1位相差閾値は可変である、通信装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の通信装置において、
シリアル信号(D2)を受信する受信部(110)と、
前記受信部によって受信される前記シリアル信号であるシリアル受信信号の1ビットの周期(ΔT3)と同じ周期を有する第2基準クロック信号(REFRCLK)と、前記受信部によって受信された前記シリアル受信信号のエッジとの位相差である第2位相差(RPD1~RPD4)を判定する第2位相差判定部(120)と、
を更に備え、
前記判定部は、前記第2位相差が第2位相差閾値(PTH2)を超えた場合に、前記受信部によって受信された前記シリアル受信信号に異常があると判定する、通信装置。
【請求項7】
請求項6に記載の通信装置において、
前記シリアル受信信号の1ビットの周期よりも短い時間(ΔT4)に対応する位相差を互いに有するとともに周期が互いに等しい複数のクロック信号(RCLK1~RCLK8)のうちのいずれかのクロック信号を前記第2基準クロック信号として決定する第2決定部(118)を更に有する、通信装置。
【請求項8】
請求項7に記載の通信装置において、
前記第2決定部は、前記複数のクロック信号のうちの前記シリアル受信信号のエッジの直前又は直後に位置するクロック信号を前記第2基準クロック信号として決定する、通信装置。
【請求項9】
請求項6~8のいずれか1項に記載の通信装置において、
前記判定部は、前記第1位相差判定部による判定結果と前記第2位相差判定部による判定結果とに基づいて、通信の異常要因を判定する、通信装置。
【請求項10】
請求項9に記載の通信装置において、
前記判定部は、前記第1位相差が前記第1位相差閾値を超え、且つ、前記第2位相差が前記第2位相差閾値を超えた場合には、前記異常要因に外乱ノイズが含まれると判定する、通信装置。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の通信装置において、
前記判定部は、前記第1位相差が前記第1位相差閾値を超えず、且つ、前記第2位相差が前記第2位相差閾値を超えた場合には、前記異常要因がジッタであると判定する、通信装置。
【請求項12】
請求項6~11のいずれか1項に記載の通信装置において、
前記第2位相差閾値は可変である、通信装置。
【請求項13】
請求項6~12のいずれか1項に記載の通信装置において、
前記判定部は、所定時間内に前記第2位相差が前記第2位相差閾値を超えた回数に基づいて、通信の異常の程度を判定する、通信装置。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1項に記載の通信装置を備える産業機械(10)。
【請求項15】
シリアル信号を送信部から送信する送信ステップ(S11)と、
前記送信ステップにおいて送信される前記シリアル信号であるシリアル送信信号の1ビットの周期と同じ周期を有する第1基準クロック信号と、前記送信部から送信された前記シリアル送信信号のエッジとの位相差である第1位相差を判定する第1位相差判定ステップ(S12)と、
前記第1位相差が第1位相差閾値を超えた場合に、前記送信ステップにおいて送信された前記シリアル送信信号に異常があると判定する判定ステップ(S13、S14)と、
を有する、通信品質判定方法。
【請求項16】
請求項15に記載の通信品質判定方法において、
シリアル信号を受信部が受信する受信ステップ(S41)と、
前記受信ステップにおいて受信される前記シリアル信号であるシリアル受信信号の1ビットの周期と同じ周期を有する第2基準クロック信号と、前記受信部によって受信された前記シリアル受信信号のエッジとの位相差である第2位相差を判定する第2位相差判定ステップ(S42)と、
を更に有し、
前記判定ステップ(S43、S44)では、前記第2位相差が第2位相差閾値を超えた場合に、前記受信部によって受信された前記シリアル受信信号に異常があると判定する、通信品質判定方法。
【請求項17】
請求項16に記載の通信品質判定方法において、
前記判定ステップ(S43、S44)では、前記第1位相差判定ステップにおける判定結果と前記第2位相差判定ステップにおける判定結果とに基づいて、通信の異常要因を判定する、通信品質判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、産業機械及び通信品質判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2003-265810号公報には、主基板に備えられたノイズ検知器によってシリアル通信線における雑音レベルが検出され、ノイズ検知器によって検出された雑音レベルの程度に基づいてシリアル通信線のノイズ水準が判断部によって判定されることが開示されている。
【発明の概要】
【0003】
しかしながら、通信品質のより的確な評価に資する技術が待望されている。
【0004】
本発明の目的は、通信品質の的確な評価に資する通信装置、産業機械及び通信品質判定方法を提供することにある。
【0005】
本発明の一態様による通信装置は、シリアル信号を送信する送信部と、前記送信部から送信される前記シリアル信号であるシリアル送信信号の1ビットの周期と同じ周期を有する第1基準クロック信号と、前記送信部から送信された前記シリアル送信信号のエッジとの位相差である第1位相差を判定する第1位相差判定部と、前記第1位相差が第1位相差閾値を超えた場合に、前記送信部から送信された前記シリアル送信信号に異常があると判定する判定部と、を備える。
【0006】
本発明の他の態様による産業機械は、上記のような通信装置を備える。
【0007】
本発明の他の態様による通信品質判定方法は、シリアル信号を送信部から送信する送信ステップと、前記送信ステップにおいて送信される前記シリアル信号であるシリアル送信信号の1ビットの周期と同じ周期を有する第1基準クロック信号と、前記送信部から送信された前記シリアル送信信号のエッジとの位相差である第1位相差を判定する第1位相差判定ステップと、前記第1位相差が第1位相差閾値を超えた場合に、前記送信ステップにおいて送信された前記シリアル送信信号に異常があると判定する判定ステップと、を有する。
【0008】
本発明によれば、通信品質の的確な評価に資する通信装置、産業機械及び通信品質判定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態による産業機械を示すブロック図である。
図2】第1実施形態による通信装置を示すブロック図である。
図3】シリアル信号及びクロック信号の例を示すタイムチャートである。
図4】第1実施形態による通信装置の動作の例を示すフローチャートである。
図5】第1実施形態による通信装置の動作の例を示すフローチャートである。
図6】第1実施形態による通信装置の動作の例を示すフローチャートである。
図7】第2実施形態による通信装置を示すブロック図である。
図8】シリアル信号及びクロック信号の例を示すタイムチャートである。
図9】第2実施形態による通信装置の動作の例を示すフローチャートである。
図10】第2実施形態による通信装置の動作の例を示すフローチャートである。
図11】第2実施形態による通信装置の動作の例を示すフローチャートである。
図12】第2実施形態による通信装置の動作の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明による通信装置、産業機械及び通信品質判定方法について、好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照して以下に詳細に説明する。
【0011】
[第1実施形態]
第1実施形態による通信装置、産業機械及び通信品質判定方法について図1図6を用いて説明する。図1は、本実施形態による産業機械を示すブロック図である。本実施形態による産業機械10としては、例えば、工作機械、ロボット等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0012】
図1に示すように、産業機械10には、制御装置12が備えられている。制御装置12には、サーボアンプ18と、制御部20と、記憶部22と、表示制御部23とが備えられている。なお、制御装置12には、これらの構成要素以外の構成要素も備えられているが、説明の簡略化のため、これらの構成要素以外の構成要素については省略する。なお、ここでは、サーボアンプ18が産業機械10に備えられている場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、駆動モータとしてスピンドルモータが用いられている場合には、サーボアンプ18の代わりにスピンドルアンプ等が用いられるようにしてもよい。
【0013】
制御部20は、産業機械10の全体の制御を司る。制御部20は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等によって構成され得るが、これに限定されるものではない。
【0014】
記憶部22には、例えば、不図示の揮発性メモリと、不図示の不揮発性メモリとが備えられている。揮発性メモリとしては、例えばRAM(Random Access Memory)等が挙げられる。不揮発性メモリとしては、例えばROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等が挙げられる。プログラム、データ等が、記憶部22に記憶され得る。
【0015】
表示制御部23は、後述する表示部24に対する表示制御を行い得る。表示制御部23は、制御部20から供給される情報を、表示部24の表示画面に表示し得る。
【0016】
産業機械10には、サーボモータ14が更に備えられている。サーボモータ14は、サーボアンプ18から供給される駆動電流によって駆動され得る。図1においては、1つのサーボモータ14が図示されているが、産業機械10には、複数のサーボモータ14が備えられ得る。なお、ここでは、産業機械10に駆動モータとしてサーボモータ14が備えられている場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、サーボモータ14の代わりにスピンドルモータ等が用いられるようにしてもよい。
【0017】
サーボモータ14には、エンコーダ(アブソリュートエンコーダ)16が備えられている。エンコーダ16は、サーボモータ14の出力軸の回転位置を検知し得る。エンコーダ16には、サーボアンプ18に備えられた通信装置100Aとの間で通信を行うための通信装置100Bが備えられている。通信装置100Bは、サーボモータ14の出力軸の回転位置を示す信号を、通信装置100Aに出力し得る。サーボモータ14は、エンコーダ16から出力される信号、即ち、通信装置100Bから出力される信号に基づいて、フィードバック制御され得る。また、ここでは、エンコーダ16としてアブソリュートエンコーダが用いられる場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、エンコーダ16としてインクリメンタルエンコーダが用いられるようにしてもよい。
【0018】
サーボアンプ(サーボドライバ)18は、サーボモータ14を回転駆動するための駆動電流をサーボモータ14に供給し得る。サーボアンプ18には、通信装置100Bとの間で通信を行うための通信装置100Aが備えられている。通信装置100Aと通信装置100Bとの間では、シリアル通信が行われ得る。かかるシリアル通信の規格としては、例えばRS-485等が挙げられ得るが、これに限定されるものではない。
【0019】
制御装置12には、表示部(表示装置)24と、操作部26とが接続され得る。表示部24に備えられた不図示の表示画面には、産業機械10に対する操作入力を行うための操作画面が表示され得る。また、表示部24の表示画面には、後述する判定部116(図2参照)による判定結果を示す情報が表示され得る。表示部24としては、液晶表示装置等が用いられ得るが、これに限定されるものではない。
【0020】
ユーザは、操作部26を操作することによって、産業機械10に対する操作入力を行い得る。操作部26としては、マウス等が用いられ得るが、これに限定されるものではない。表示部24にタッチパネルが備えられている場合には、当該タッチパネルは操作部26として機能し得る。
【0021】
産業機械10には、上記の構成要素以外の構成要素も備えられているが、ここでは、説明の簡略化のため、上記の構成要素以外の構成要素については説明を省略する。
【0022】
図2は、本実施形態による通信装置を示すブロック図である。
【0023】
通信装置100Aは、上述したように、サーボアンプ18に備えられている。通信装置100Bは、上述したように、エンコーダ16に備えられている。なお、ここでは、通信装置100Aがサーボアンプ18に備えられており、通信装置100Bがエンコーダ16に備えられている場合を例に説明するが、これに限定されるものではない。
【0024】
通信装置100Bには、受信部(受信回路)102と、送信部(送信回路)104とが備えられている。受信部102と送信部104とによって、トランシーバ106が構成されている。通信装置100Bには、これらの構成要素以外の構成要素も備えられているが、図2においては、説明の簡略化のため、これらの構成要素以外の構成要素が省略されている。
【0025】
通信装置100Aには、送信部(送信回路)108と、受信部(受信回路)110とが備えられている。送信部108と受信部110とによって、トランシーバ112が構成されている。送信部108は、シリアル信号(シリアル送信信号)D1、即ち、シリアルデータを、通信装置100Bに備えられた受信部102に送信し得る。受信部110は、通信装置100Bに備えられた送信部104から送信されるシリアル信号(シリアル受信信号)D2、即ち、シリアルデータを受信し得る。
【0026】
通信装置100Aには、クロック信号生成部(クロック信号生成回路)109が更に備えられている。クロック信号生成部109は、図3に示すように、複数のクロック信号TCLK1~TCLK8を生成し得る。図3は、シリアル信号及びクロック信号の例を示すタイムチャートである。送信部108から出力されたシリアル信号D1、より具体的には、後述する第1位相差判定部114に入力されるシリアル信号D1が図3には示されている。複数のクロック信号TCLK1~TCLK8の周期は、互いに等しく設定されている。クロック信号TCLK1~TCLK8の周期は、シリアル信号D1の1ビットの周期ΔT1と同等に設定されている。複数のクロック信号TCLK1~TCLK8の立ち上がりエッジのタイミングは、時間ΔT2ずつずらされている。即ち、複数のクロック信号TCLK1~TCLK8は、時間ΔT2に対応する位相差を互いに有している。シリアル信号D1の1ビットの周期ΔT1は、複数のクロック信号TCLK1~TCLK8間の位相差に対応する時間ΔT2の整数倍になっている。ここでは、シリアル信号D1の1ビットの周期ΔT1は、複数のクロック信号TCLK1~TCLK8間の位相差に対応する時間ΔT2の8倍になっている。このように、複数のクロック信号TCLK1~TCLK8は、シリアル信号D1の1ビットの周期ΔT1よりも短い時間ΔT2に対応する位相差を互いに有している。
【0027】
クロック信号TCLK1は、例えば、不図示の水晶発振器等を用いて生成され得る。クロック信号(位相シフトクロック信号)TCLK2~TCLK8は、例えば、不図示の位相シフト回路(クロック位相シフト回路)を用いてクロック信号TCLK1から生成され得る。クロック信号一般について説明する際には、符号TCLKを用い、個々のクロック信号について説明する際には、符号TCLK1~TCLK8を用いる。ここでは、8つのクロック信号TCLKがクロック信号生成部109によって生成される場合を例に説明するが、クロック信号生成部109によって生成されるクロック信号TCLKの数は8つに限定されるものではない。
【0028】
送信部108は、例えばクロック信号TCLK1に従ってシリアル信号D1を送信する。例えばクロック信号TCLK1の立ち上がりに従って送信部108からシリアル信号D1が出力される。送信部108から出力されたシリアル信号D1は、上述したように、通信装置100Bに備えられた受信部102によって受信される。また、送信部108から出力されたシリアル信号D1は、通信装置100Aに備えられた後述する第1位相差判定部114に入力される。より具体的には、送信部108から出力されたシリアル信号D1は、不図示の受信回路等を介して、第1位相差判定部114に入力される。
【0029】
図3からわかるように、クロック信号TCLK1の立ち上がりエッジのタイミングと、第1位相差判定部114に入力されるシリアル信号D1のエッジのタイミングとの間には、ある程度の遅延時間が存在する。かかる遅延時間は、量産される通信装置100Aの全てにおいて均一な値になるわけではない。また、かかる遅延時間は、周囲温度の変化等によっても変動し得る。このため、位相差を互いに有する複数のクロック信号TCLK1~TCLK8のうちの適切なクロック信号TCLKが、後述するようにして第1基準クロック信号REFTCLKとして決定される。そして、後述するように、送信部108から送信されたシリアル信号D1に異常があるか否かが、第1位相差判定部114に入力されるシリアル信号D1のエッジと第1基準クロック信号REFTCLKとの位相差に基づいて判定される。なお、シリアル信号D1のエッジには、立ち上がりエッジと立ち下がりエッジとがある。
【0030】
通信装置100Aには、第1決定部(第1決定回路)111が更に備えられている。第1決定部111と、後述する第1位相差判定部114と、後述する判定部116とは、1つ以上のプロセッサ(マイクロプロセッサ)によって構成され得るが、これに限定されるものではない。かかるプロセッサとしては、例えばCPU、DSP(Digital Signal Processor)等を用い得る。上述したように、クロック信号TCLK1の立ち上がりエッジのタイミングと、第1位相差判定部114に入力されるシリアル信号D1のエッジのタイミングとの間には、ある程度の遅延時間が存在する。送信部108から出力されたシリアル信号D1に異常があるか否かを的確に判定すべく、第1決定部111は、複数のクロック信号TCLK1~TCLK8のうちの適切なクロック信号TCLKを第1基準クロック信号REFTCLKとして決定する。第1決定部111は、例えば、シリアル信号D1のエッジの直前又は直後に位置するクロック信号TCLKを第1基準クロック信号REFTCLKとして決定し得る。第1基準クロック信号REFTCLKは、送信部108から出力されたシリアル信号D1に異常があるか否かを判定するためのものである。ここでは、シリアル信号D1のエッジの直後に位置するクロック信号TCLKが第1基準クロック信号REFTCLKとして決定される場合を例に説明する。図3に示す例においては、シリアル信号D1のエッジの直後に位置するクロック信号TCLKは、クロック信号TCLK4である。従って、図3に示す例においては、クロック信号TCLK4が第1基準クロック信号REFTCLKとして決定され得る。
【0031】
シリアル信号D1のエッジの直後に位置するクロック信号TCLKは、ジッタ等によって変動し得る。従って、第1基準クロック信号REFTCLKを決定する際には、シリアル信号D1のエッジの直後に位置する頻度が充分に高いクロック信号TCLKを第1基準クロック信号REFTCLKとして決定することが好ましい。より具体的には、かかる頻度が頻度閾値以上であるクロック信号TCLKを、第1基準クロック信号REFTCLKとして決定することが好ましい。頻度閾値は、例えば80%程度とすることができるが、これに限定されるものではない。例えば、シリアル信号D1の第n番目のエッジの直後に位置するクロック信号TCLKがクロック信号TCLK4であるものとする。シリアル信号D1の第n+1番目のエッジの直後に位置するクロック信号TCLKがクロック信号TCLK4であるものとする。シリアル信号D1の第n+2番目のエッジの直後に位置するクロック信号TCLKがクロック信号TCLK5であるものとする。シリアル信号D1の第n+3番目のエッジの直後に位置するクロック信号TCLKがクロック信号TCLK4であるものとする。シリアル信号D1の第n+4番目のエッジの直後に位置するクロック信号TCLKがクロック信号TCLK4であるものとする。頻度閾値が80%である場合、当該頻度閾値以上となるクロック信号TCLKはクロック信号TCLK4である。このような場合、第1決定部111は、クロック信号TCLK4を第1基準クロック信号REFTCLKとして決定し得る。
【0032】
なお、上記においては、シリアル信号D1のエッジの直後に位置する頻度が頻度閾値以上であるクロック信号TCLKを、第1基準クロック信号REFTCLKとして決定する場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。シリアル信号D1のエッジの直後に位置する頻度が最も高いクロック信号TCLKを第1基準クロック信号REFTCLKとして決定するようにしてもよい。
【0033】
上述したように、クロック信号TCLKの周期は、シリアル信号D1の1ビットの周期ΔT1と同等に設定されている。このため、第1基準クロック信号REFTCLKを頻繁に変更することは要しない。しかし、クロック信号TCLKの立ち上がりエッジのタイミングと第1位相差判定部114に入力されるシリアル信号D1のエッジのタイミングとの間に存在する遅延時間は、温度変化等によって変動し得る。このため、第1基準クロックREFTCLKとして過去に決定されたクロック信号TCLKとは異なるクロック信号TCLKが、シリアル信号D1のエッジの直後に位置するようになることが生じ得る。このような場合には、シリアル信号D1のエッジの直後に位置するようになったクロック信号TCLKが、第1基準クロック信号REFTCLKとして新たに決定される。このような第1基準クロックREFTCLKの変更は、ある程度の頻度で生じ得る。
【0034】
通信装置100Aには、第1位相差判定部(第1位相差判定回路)114が更に備えられている。第1位相差判定部114は、送信部108から送信されたシリアル信号D1のエッジと第1基準クロック信号REFTCLKとの位相差である第1位相差TPD1~TPD4を判定し得る。ここでは、シリアル信号D1のエッジと第1基準クロック信号REFTCLKの立ち上がりエッジとの位相差が判定される場合を例に説明するが、これに限定されるものではない。シリアル信号D1のエッジと第1基準クロック信号REFTCLKの立ち下がりエッジとの位相差が判定されるようにしてもよい。第1位相差一般について説明する際には、符号TPDを用い、個々の第1位相差について説明する際には、符号TPD1~TPD4を用いる。第1位相差判定部114は、判定することにより得られた第1位相差TPDを、後述する判定部116に供給し得る。
【0035】
通信装置100Aには、判定部(判定回路)116が更に備えられている。判定部116は、第1位相差TPDが第1位相差閾値PTH1を超えた場合に、送信部108から送信されたシリアル信号D1に異常があると判定し得る。判定部116は、送信部108から送信されたシリアル信号D1に異常があるか否かを示す情報を、制御部20に供給し得る。
【0036】
判定部116は、所定時間内に第1位相差TPDが第1位相差閾値PTH1を超えた回数に基づいて、通信の異常の程度を判定し得る。判定部116は、通信の異常の程度を示す情報を制御部20に供給し得る。
【0037】
第1位相差閾値PTH1は可変である。第1位相差閾値PTH1は、ユーザによって調整され得る。ユーザは、操作部26を介して、第1位相差閾値PTH1を調整し得る。
【0038】
送信部108から出力されるシリアル信号D1、即ち、第1位相差判定部114に入力されるシリアル信号D1が、図3に示すように変化する場合には、判定部116によって以下のような判定が行われる。
【0039】
タイミングt1は、シリアル信号D1の立ち上がりエッジのタイミングを示している。即ち、タイミングt1において、シリアル信号D1がローレベルからハイレベルに遷移する。
【0040】
タイミングt2は、第1基準クロック信号REFTCLKの立ち上がりエッジのタイミングを示している。より具体的には、タイミングt2は、タイミングt1の直近の第1基準クロック信号REFTCLKの立ち上がりエッジのタイミングを示している。タイミングt2において、第1基準クロック信号REFTCLKがローレベルからハイレベルに遷移する。
【0041】
シリアル信号D1の立ち上がりエッジのタイミングt1と第1基準クロック信号REFTCLKの立ち上がりエッジのタイミングt2との間の位相差、即ち、第1位相差TPD1は、図3に示す例においては、第1位相差閾値PTH1未満である。第1位相差TPDが第1位相差閾値PTH1未満である場合、判定部116は、送信部108から送信されたシリアル信号D1に異常がないと判定する。
【0042】
タイミングt3は、シリアル信号D1の立ち下がりエッジのタイミングを示している。即ち、タイミングt3において、シリアル信号D1がハイレベルからローレベルに遷移する。
【0043】
タイミングt4は、第1基準クロック信号REFTCLKの立ち上がりエッジのタイミングを示している。より具体的には、タイミングt4は、タイミングt3の直近の第1基準クロック信号REFTCLKの立ち上がりエッジのタイミングを示している。タイミングt4において、第1基準クロック信号REFTCLKがローレベルからハイレベルに遷移する。
【0044】
シリアル信号D1の立ち下がりエッジのタイミングt3と第1基準クロック信号REFTCLKの立ち上がりエッジのタイミングt4との間の位相差、即ち、第1位相差TPD2は、図3に示す例においては、第1位相差閾値PTH1未満である。上述したように、第1位相差TPDが第1位相差閾値PTH1未満である場合、判定部116は、送信部108から送信されたシリアル信号D1に異常がないと判定する。
【0045】
タイミングt5は、シリアル信号D1の立ち上がりエッジのタイミングを示している。即ち、タイミングt5において、シリアル信号D1がローレベルからハイレベルに遷移する。
【0046】
タイミングt6は、第1基準クロック信号REFTCLKの立ち上がりエッジのタイミングを示している。より具体的には、タイミングt6は、タイミングt5の直近の第1基準クロック信号REFTCLKの立ち上がりエッジのタイミングを示している。タイミングt6において、第1基準クロック信号REFTCLKがローレベルからハイレベルに遷移する。
【0047】
シリアル信号D1の立ち上がりエッジのタイミングt5と第1基準クロック信号REFTCLKの立ち上がりエッジのタイミングt6との間の位相差、即ち、第1位相差TPD3は、図3に示す例においては、第1位相差閾値PTH1未満である。上述したように、第1位相差TPDが第1位相差閾値PTH1未満である場合、判定部116は、送信部108から送信されたシリアル信号D1に異常がないと判定する。
【0048】
タイミングt7は、シリアル信号D1の立ち下がりエッジのタイミングを示している。即ち、タイミングt7において、シリアル信号D1がハイレベルからローレベルに遷移する。
【0049】
シリアル信号D1の立ち下がりエッジのタイミングt7の直近の第1基準クロック信号REFTCLKの立ち上がりエッジのタイミングはt6である。シリアル信号D1の立ち下がりエッジのタイミングt7と第1基準クロック信号REFTCLKの立ち上がりエッジのタイミングt6との間の位相差、即ち、第1位相差TPD4は、図3に示す例においては、第1位相差閾値PTH1以上である。図3に示す例において、第1位相差TPD4が第1位相差閾値PTH1以上となっているのは、送信部108と受信部102との間の伝送路が外乱ノイズの影響を受け、送信部108から送信されたシリアル信号D1に反転200が生じたためである。第1位相差TPDが第1位相差閾値PTH1以上である場合、判定部116は、送信部108から送信されたシリアル信号D1に異常があると判定する。
【0050】
本実施形態による通信装置の動作の例について図4を用いて説明する。図4は、本実施形態による通信装置の動作の例を示すフローチャートである。第1基準クロック信号REFTCLKを決定するための動作が図4には示されている。
【0051】
ステップS1において、送信部108が、シリアル信号D1を送信する。この後、ステップS2に遷移する。
【0052】
ステップS2において、第1決定部111が、複数のクロック信号TCLKのうちのシリアル信号D1のエッジの直後に位置するクロック信号TCLKを第1基準クロック信号REFTCLKとして決定する。シリアル信号D1のエッジの直後に位置する頻度が頻度閾値以上であるクロック信号TCLKを第1基準クロック信号REFTCLKとして決定し得るが、これに限定されるものではない。シリアル信号D1のエッジの直後に位置する頻度が最も高いクロック信号TCLKを第1基準クロック信号REFTCLKとして決定するようにしてもよい。
【0053】
次に、本実施形態による通信装置の動作について図5を用いて説明する。図5は、本実施形態による通信装置の動作の例を示すフローチャートである。送信部108から送信されるシリアル信号D1に異常があるか否かの判定の例が図5には示されている。図5に示すような動作は、繰り返し行われる。
【0054】
ステップS11において、送信部108がシリアル信号D1を送信する。
【0055】
ステップS12において、第1位相差判定部114が、クロック信号TCLKの立ち上がりエッジのタイミングとシリアル信号D1のエッジのタイミングとの間の第1位相差TPDを判定する。
【0056】
ステップS13において、判定部116が、第1位相差TPDが第1位相差閾値PTH1を超えたか否かを判定する。第1位相差TPDが第1位相差閾値PTH1を超えた場合には(ステップS13においてYES)、ステップS14に遷移する。第1位相差TPDが第1位相差閾値PTH1以下である場合には(ステップS13においてNO)、ステップS15に遷移する。
【0057】
ステップS14において、判定部116は、送信部108から送信されたシリアル信号D1に異常があると判定する。
【0058】
ステップS15において、判定部116は、送信部108から送信されたシリアル信号D1に異常がないと判定する。こうして、図5に示す処理が行われる。
【0059】
次に、本実施形態による通信装置の動作の例について図6を用いて説明する。図6は、本実施形態による通信装置の動作の例を示すフローチャートである。所定時間内に第1位相差TPDが第1位相差閾値PTH1を超えた回数に基づいて通信の異常の程度を判定する例が図6には示されている。なお、ここでは、通信の異常の程度を、大、中、小の3つに区別する場合を例に説明するが、これに限定されるものではない。
【0060】
ステップS21において、判定部116は、所定時間内に第1位相差TPDが第1位相差閾値PTH1を超えた回数をカウントする。
【0061】
ステップS22において、判定部116は、所定時間内に第1位相差TPDが第1位相差閾値PTH1を超えた回数が第1回数閾値NTH1を超えたか否かを判定する。所定時間内に第1位相差TPDが第1位相差閾値PTH1を超えた回数が第1回数閾値NTH1を超えた場合には(ステップS22においてYES)、ステップS24に遷移する。所定時間内に第1位相差TPDが第1位相差閾値PTH1を超えた回数が第1回数閾値NTH1以下である場合には(ステップS22においてNO)、ステップS23に遷移する。
【0062】
ステップS23において、判定部116は、所定時間内に第1位相差TPDが第1位相差閾値PTH1を超えた回数が第2回数閾値NTH2を超えたか否かを判定する。第2回数閾値NTH2は、第1回数閾値NTH1より小さい。所定時間内に第1位相差TPDが第1位相差閾値PTH1を超えた回数が第2回数閾値NTH2を超えた場合には(ステップS23においてYES)、ステップS25に遷移する。所定時間内に第1位相差TPDが第1位相差閾値PTH1を超えた回数が第2回数閾値NTH2以下である場合には(ステップS23においてNO)、ステップS26に遷移する。
【0063】
ステップS24において、判定部116は、通信の異常の程度が大であると判定する。
【0064】
ステップS25において、判定部116は、通信の異常の程度が中であると判定する。
【0065】
ステップS26において、判定部116は、通信の異常の程度が小であると判定する。
【0066】
こうして、図6に示す処理が完了する。
【0067】
このように、本実施形態によれば、送信部108から送信されたシリアル信号D1のエッジとクロック信号TCLKとの位相差である第1位相差TPDが第1位相差閾値PTH1を超えた場合、送信部108から送信されたシリアル信号D1に異常があると判定する。本実施形態によれば、通信品質の的確な評価に資することができる。
【0068】
[第2実施形態]
第2実施形態による通信装置、産業機械、及び通信品質判定方法について、図7図12を用いて説明する。図7は、本実施形態による通信装置を示すブロック図である。図1乃至図6に示す第1実施形態による通信装置等と同一の構成要素には、同一の符号を付して説明を省略又は簡潔にする。
【0069】
本実施形態による通信装置100Aは、受信部110によって受信されるシリアル信号D2と第2基準クロックREFRCLKとの位相差である第2位相差RPD1~RPD4が第2位相差閾値PTH2を超えるか否かが、更に判定されるものである。第2位相差一般について説明する際には、符号RPDを用い、個々の第2位相差について説明する際には、符号RPD1~RPD4を用いる。
【0070】
図7に示すように、通信装置100Aには、クロック信号生成部(クロック信号生成回路)117が更に備えられている。クロック信号生成部117は、図8に示すように、複数のクロック信号RCLK1~RCLK8を生成し得る。図8は、シリアル信号及びクロック信号の例を示すタイムチャートである。受信部110に入力されるシリアル信号D2が図8には示されている。複数のクロック信号RCLK1~RCLK8の周期は、互いに等しく設定されている。クロック信号RCLK1~RCLK8の周期は、シリアル信号D2の1ビットの周期ΔT3と同等に設定されている。複数のクロック信号RCLK1~RCLK8の立ち上がりエッジのタイミングは、時間ΔT4ずつずらされている。即ち、複数のクロック信号RCLK1~RCLK8は、時間ΔT4に対応する位相差を互いに有している。シリアル信号D2の1ビットの周期ΔT3は、複数のクロック信号RCLK1~RCLK8間の位相差に対応する時間ΔT4の整数倍になっている。ここでは、シリアル信号D2の1ビットの周期ΔT3は、複数のクロック信号RCLK1~RCLK8間の位相差に対応する時間ΔT4の8倍になっている。このように、複数のクロック信号RCLK1~RCLK8は、シリアル信号D2の1ビットの周期ΔT3よりも短い時間ΔT4に対応する位相差を互いに有している。
【0071】
クロック信号RCLK1は、例えば、不図示の水晶発振器等を用いて生成され得る。クロック信号(位相シフトクロック信号)RCLK2~RCLK8は、例えば、不図示の位相シフト回路(クロック位相シフト回路)を用いてクロック信号RCLK1から生成され得る。クロック信号一般について説明する際には、符号RCLKを用い、個々のクロック信号について説明する際には、符号RCLK1~RCLK8を用いる。ここでは、8つのクロック信号RCLKがクロック信号生成部117によって生成される場合を例に説明するが、クロック信号生成部117によって生成されるクロック信号RCLKの数は8つに限定されるものではない。
【0072】
複数のクロック信号RCLKは通信装置100Bに備えられた送信部104から供給されるシリアル信号D2に同期しているわけではない。クロック信号RCLKの周期は、シリアル信号D2の1ビットの周期ΔT3と同等に設定されている。
【0073】
通信装置100Aには、第2決定部(決定回路)118が更に備えられている。第1決定部111と、第1位相差判定部114と、判定部116と、第2決定部118と、後述する第2位相差判定部120とは、1つ以上のプロセッサによって構成され得るが、これに限定されるものではない。かかるプロセッサとしては、例えばCPU、DSP等を用い得る。第2決定部118は、複数のクロック信号RCLKのうちのシリアル信号D2のエッジの直前又は直後に位置するクロック信号RCLKを第2基準クロック信号REFRCLKとして決定し得る。第2基準クロック信号REFRCLKは、シリアル信号D2の第2位相差RPDを判定するためのものである。上述したように、クロック信号生成部117によって生成される複数のクロック信号RCLKは、互いに位相をずらしたものであり、シリアル信号D2に同期しているわけではない。シリアル信号D2の第2位相差RPDを的確に判定することを可能とするため、第2決定部118は、シリアル信号D2のエッジの直前又は直後に位置するクロック信号RCLKを第2基準クロック信号REFRCLKとして決定する。図8に示す例においては、シリアル信号D2のエッジの直前又は直後に位置するクロック信号RCLKは、クロック信号RCLK7である。従って、図8に示す例においては、クロック信号RCLK7が第2基準クロック信号REFRCLKとして決定され得る。なお、シリアル信号D2のエッジには、立ち上がりエッジと立ち下がりエッジとがある。
【0074】
シリアル信号D2のエッジの直後に位置するクロック信号RCLKは、ジッタ等によって変動し得る。従って、第2基準クロック信号REFRCLKを決定する際には、シリアル信号D2のエッジの直後に位置する頻度が充分に高いクロック信号RCLKを、第2基準クロック信号REFRCLKとして決定することが好ましい。より具体的には、かかる頻度が頻度閾値以上であるクロック信号RCLKを、第2基準クロック信号REFRCLKとして決定することが好ましい。頻度閾値は、例えば80%程度とすることができるが、これに限定されるものではない。例えば、シリアル信号D2の第n番目のエッジの直後に位置するクロック信号RCLKがクロック信号RCLK7であるものとする。シリアル信号D2の第n+1番目のエッジの直後に位置するクロック信号RCLKがクロック信号RCLK7であるものとする。シリアル信号D2の第n+2番目のエッジの直後に位置するクロック信号RCLKがクロック信号RCLK8であるものとする。シリアル信号D2の第n+3番目のエッジの直後に位置するクロック信号RCLKがクロック信号RCLK7であるものとする。シリアル信号D2の第n+4番目のエッジの直後に位置するクロック信号RCLKがクロック信号RCLK7であるものとする。頻度閾値が80%である場合、当該頻度閾値以上となるクロック信号RCLKはクロック信号RCLK7である。このような場合、第2決定部118は、クロック信号RCLK7を第2基準クロック信号REFRCLKとして決定し得る。
【0075】
なお、上記においては、シリアル信号D2のエッジの直後に位置する頻度が頻度閾値以上であるクロック信号RCLKを、第2基準クロック信号REFRCLKとして決定する場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。シリアル信号D2のエッジの直後に位置する頻度が最も高いクロック信号RCLKを第2基準クロック信号REFRCLKとして決定するようにしてもよい。
【0076】
上述したように、クロック信号RCLKの周期は、シリアル信号D2の1ビットの周期ΔT3と同等に設定されている。このため、第2基準クロック信号REFRCLKを頻繁に変更することは要しない。しかし、クロック信号RCLKの周期と、シリアル信号D2の1ビットの周期との間には、若干の誤差が生じ得る。このため、第2決定部118によって過去に決定された第2基準クロック信号REFRCLKが、シリアル信号D2のエッジの直前又は直後に位置しなくなることが生じ得る。このような場合には、シリアル信号D2のエッジの直後に位置するようになったクロック信号RCLKが、第2基準クロック信号REFRCLKとして新たに決定される。このような第2基準クロックREFRCLKの変更は、ある程度の頻度で行われ得る。
【0077】
通信装置100Aには、第2位相差判定部(第2位相差判定回路)120が更に備えられている。第2位相差判定部120は、受信部110によって受信されたシリアル信号D2のエッジとクロック信号RCLK(図8参照)との位相差である第2位相差RPDを判定し得る。第2位相差判定部120は、判定することにより得られた第2位相差RPDを、判定部116に供給し得る。
【0078】
判定部116は、第2位相差RPDが第2位相差閾値PTH2を超えた場合に、受信部110によって受信されたシリアル信号D2に異常があると判定し得る。判定部116は、受信部110によって受信されたシリアル信号D2に異常があるか否かを示す情報を、制御部20に供給し得る。
【0079】
受信部110に入力されるシリアル信号D2が、図8に示すように変化する場合には、判定部116によって以下のような判定が行われる。
【0080】
タイミングt11は、シリアル信号D2の立ち上がりエッジのタイミングを示している。即ち、タイミングt11において、シリアル信号D2がローレベルからハイレベルに遷移する。
【0081】
タイミングt12は、第2基準クロック信号REFRCLKの立ち上がりエッジのタイミングを示している。より具体的には、タイミングt12は、タイミングt11の直近の第2基準クロック信号REFRCLKの立ち上がりエッジのタイミングを示している。タイミングt12において、第2基準クロック信号REFRCLKがローレベルからハイレベルに遷移する。なお、クロック信号RCLK7が第2基準クロックREFRCLKとして決定される場合の例が図8には示されている。
【0082】
シリアル信号D2の立ち上がりエッジのタイミングt11と第2基準クロック信号REFRCLKの立ち上がりエッジのタイミングt12との間の位相差、即ち、第2位相差RPD1は、図8に示す例においては、第2位相差閾値PTH2未満である。第2位相差RPDが第2位相差閾値PTH2未満である場合、判定部116は、受信部110によって受信されたシリアル信号D2に異常がないと判定する。
【0083】
タイミングt13は、シリアル信号D2の立ち下がりエッジのタイミングを示している。即ち、タイミングt13において、シリアル信号D2がハイレベルからローレベルに遷移する。
【0084】
タイミングt14は、第2基準クロック信号REFRCLKの立ち上がりエッジのタイミングを示している。より具体的には、タイミングt14は、タイミングt13の直近の第2基準クロック信号REFRCLKの立ち上がりエッジのタイミングを示している。タイミングt14において、第2基準クロック信号REFRCLKがローレベルからハイレベルに遷移する。
【0085】
シリアル信号D2の立ち下がりエッジのタイミングt13と第2基準クロック信号REFRCLKの立ち上がりエッジのタイミングt14との間の位相差、即ち、第2位相差RPD2は、図8に示す例においては、第2位相差閾値PTH2未満である。上述したように、第2位相差RPDが第2位相差閾値PTH2未満である場合、判定部116は、受信部110によって受信されたシリアル信号D2に異常がないと判定する。
【0086】
タイミングt15は、シリアル信号D2の立ち上がりエッジのタイミングを示している。即ち、タイミングt15において、シリアル信号D2がローレベルからハイレベルに遷移する。
【0087】
タイミングt16は、第2基準クロック信号REFRCLKの立ち上がりエッジのタイミングを示している。より具体的には、タイミングt16は、タイミングt15の直近の第2基準クロック信号REFRCLKの立ち上がりエッジのタイミングを示している。タイミングt16において、第2基準クロック信号REFRCLKがローレベルからハイレベルに遷移する。
【0088】
シリアル信号D2の立ち上がりエッジのタイミングt15と第2基準クロック信号REFRCLKの立ち上がりエッジのタイミングt16との間の位相差、即ち、第2位相差RPD3は、図8に示す例においては、第2位相差閾値PTH2未満である。上述したように、第2位相差RPDが第2位相差閾値PTH2未満である場合、判定部116は、受信部110によって受信されたシリアル信号D2に異常がないと判定する。
【0089】
タイミングt17は、シリアル信号D2の立ち下がりエッジのタイミングを示している。即ち、タイミングt17において、シリアル信号D2がハイレベルからローレベルに遷移する。
【0090】
シリアル信号D2の立ち下がりエッジのタイミングt17の直近の第2基準クロック信号REFRCLKの立ち上がりエッジのタイミングはt16である。第2基準クロック信号REFRCLKの立ち上がりエッジのタイミングt16とシリアル信号D2の立ち下がりエッジのタイミングt17との間の位相差、即ち、第2位相差RPD4は、図8に示す例においては、第2位相差閾値PTH2以上である。図8に示す例において、第2位相差RPD4が第2位相差閾値PTH2以上となっているのは、受信部110と送信部104との間の伝送路が外乱ノイズの影響を受け、受信部110によって受信されたシリアル信号D2に反転202が生じたためである。第2位相差RPDが第2位相差閾値PTH2以上である場合、判定部116は、受信部110によって受信されたシリアル信号D2に異常があると判定する。
【0091】
判定部116は、所定時間内に第2位相差RPDが第2位相差閾値PTH2を超えた回数に基づいて、通信の異常の程度を判定し得る。判定部116は、通信の異常の程度を示す情報を制御部20に供給し得る。
【0092】
第2位相差閾値PTH2は可変である。第2位相差閾値PTH2は、ユーザによって調整され得る。ユーザは、操作部26を介して、第2位相差閾値PTH2を調整し得る。
【0093】
判定部116は、第1位相差判定部114による判定結果と、第2位相差判定部120による判定結果とに基づいて、通信の異常要因を判定し得る。第1位相差TPDが第1位相差閾値PTH1を超え、且つ、第2位相差RPDが第2位相差閾値PTH2を超えた場合には、判定部116は、通信の異常要因に外乱ノイズが含まれると判定し得る。第1位相差TPDが第1位相差閾値PTH1を超えず、且つ、第2位相差RPDが第2位相差閾値PTH2を超えた場合には、判定部116は、通信の異常要因がジッタであると判定し得る。
【0094】
本実施形態による通信装置の動作の例について図9を用いて説明する。図9は、本実施形態による通信装置の動作の例を示すフローチャートである。第2基準クロック信号REFRCLKを決定するための動作が図9には示されている。
【0095】
ステップS31において、受信部110が、シリアル信号D2を受信する。この後、ステップS32に遷移する。
【0096】
ステップS32において、第2決定部118が、複数のクロック信号RCLKのうちのシリアル信号D2のエッジの直後に位置するクロック信号RCLKを第2基準クロック信号REFRCLKとして決定する。シリアル信号D2のエッジの直後に位置する頻度が頻度閾値以上であるクロック信号RCLKを第2基準クロック信号REFRCLKとして決定し得るが、これに限定されるものではない。シリアル信号D2のエッジの直後に位置する頻度が最も高いクロック信号RCLKを第2基準クロック信号REFRCLKとして決定するようにしてもよい。
【0097】
次に、本実施形態による通信装置の動作について図10を用いて説明する。図10は、本実施形態による通信装置の動作の例を示すフローチャートである。受信部110によって受信されるシリアル信号D2に異常があるか否かの判定の例が図10には示されている。図10に示すような動作は、繰り返し行われる。
【0098】
ステップS41において、受信部110がシリアル信号D2を受信する。
【0099】
ステップS42において、第2位相差判定部120が、第2基準クロック信号REFRCLKの立ち上がりエッジのタイミングとシリアル信号D2のエッジのタイミングとの間の第2位相差RPDを判定する。
【0100】
ステップS43において、判定部116が、第2位相差RPDが第2位相差閾値PTH2を超えたか否かを判定する。第2位相差RPDが第2位相差閾値PTH2を超えた場合には(ステップS43においてYES)、ステップS44に遷移する。第2位相差RPDが第2位相差閾値PTH2以下である場合には(ステップS43においてNO)、ステップS45に遷移する。
【0101】
ステップS44において、判定部116は、受信部110によって受信されたシリアル信号D2に異常があると判定する。
【0102】
ステップS45において、判定部116は、受信部110によって受信されたシリアル信号D2に異常がないと判定する。こうして、図10に示す処理が行われる。
【0103】
次に、本実施形態による通信装置の動作の例について図11を用いて説明する。図11は、本実施形態による通信装置の動作の例を示すフローチャートである。所定時間内に第2位相差RPDが第2位相差閾値PTH2を超えた回数に基づいて通信の異常の程度を判定する例が図11には示されている。なお、ここでは、通信の異常の程度を、大、中、小の3つに区別する場合を例に説明するが、これに限定されるものではない。
【0104】
ステップS51において、判定部116は、所定時間内に第2位相差RPDが第2位相差閾値PTH2を超えた回数をカウントする。
【0105】
ステップS52において、判定部116は、所定時間内に第2位相差RPDが第2位相差閾値PTH2を超えた回数が第3回数閾値NTH3を超えたか否かを判定する。所定時間内に第2位相差RPDが第2位相差閾値PTH2を超えた回数が第3回数閾値NTH3を超えた場合には(ステップS52においてYES)、ステップS54に遷移する。所定時間内に第2位相差RPDが第2位相差閾値PTH2を超えた回数が第3回数閾値NTH3以下である場合には(ステップS52においてNO)、ステップS53に遷移する。
【0106】
ステップS53において、判定部116は、所定時間内に第2位相差RPDが第2位相差閾値PTH2を超えた回数が第4回数閾値NTH4を超えたか否かを判定する。第4回数閾値NTH4は、第3回数閾値NTH3より小さい。所定時間内に第2位相差RPDが第2位相差閾値PTH2を超えた回数が第4回数閾値NTH4を超えた場合には(ステップS53においてYES)、ステップS55に遷移する。所定時間内に第2位相差RPDが第2位相差閾値PTH2を超えた回数が第4回数閾値NTH4以下である場合には(ステップS53においてNO)、ステップS56に遷移する。
【0107】
ステップS54において、判定部116は、通信の異常の程度が大であると判定する。
【0108】
ステップS55において、判定部116は、通信の異常の程度が中であると判定する。
【0109】
ステップS56において、判定部116は、通信の異常の程度が小であると判定する。
【0110】
こうして、図11に示す処理が完了する。
【0111】
次に、本実施形態による通信装置の動作の例について図12を用いて説明する。図12は、本実施形態による通信装置の動作の例を示すフローチャートである。第1位相差判定部114による判定結果と、第2位相差判定部120による判定結果とに基づいて、通信の異常要因を判定する場合の例が図12には示されている。
【0112】
ステップS61において、判定部116は、第2位相差RPDが第2位相差閾値PTH2を超えたか否かを判定する。第2位相差RPDが第2位相差閾値PTH2を超えた場合には(ステップS61においてYES)、ステップS62に遷移する。第2位相差RPDが第2位相差閾値PTH2以下である場合には(ステップS61においてNO)、図12に示す処理が完了する。
【0113】
ステップS62において、判定部116は、第1位相差TPDが第1位相差閾値PTH1を超えたか否かを判定する。第1位相差TPDが第1位相差閾値PTH1を超えた場合には(ステップS62においてYES)、ステップS63に遷移する。第1位相差TPDが第1位相差閾値PTH1以下である場合には(ステップS62においてNO)、ステップS64に遷移する。
【0114】
ステップS63において、判定部116は、通信の異常要因に外乱ノイズが含まれると判定する。
【0115】
ステップS64において、判定部116は、通信の異常要因がジッタであると判定する。こうして、図12に示す処理が完了する。
【0116】
このように、本実施形態によれば、受信部110によって受信されるシリアル信号D2における第2位相差RPDが第2位相差閾値PTH2を超えるか否かを更に判定する。通信の異常要因に外乱ノイズが含まれる場合には、第1位相差TPDが第1位相差閾値PTH1を超え得るのみならず、第2位相差RPDが第2位相差閾値PTH2を超え得る。通信の異常要因がジッタである場合には、第2位相差RPDが第2位相差閾値PTH2を超え得るが、第1位相差TPDは第1位相差閾値PTH1を超えない。このように、本実施形態によれば、通信の異常要因をも把握することが可能である。このように、本実施形態によれば、通信品質のより的確な評価に資することができる。
【0117】
本発明についての好適な実施形態を上述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改変が可能である。
【0118】
例えば、第2実施形態では、クロック信号生成部109とクロック信号生成部117とを別個に設ける場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。送信部108から送信されるシリアル信号D1の1ビットの周期ΔT1と、受信部110によって受信されるシリアル信号D2の1ビットの周期ΔT3とが同じである場合には、以下のようにし得る。即ち、クロック信号生成部109によって生成されたクロック信号TCLK1~TCLK8を、クロック信号RCLK1~RCLK8として用い得る。このような場合、クロック信号生成部109は、クロック信号生成部117を兼ね得る。
【0119】
上記実施形態をまとめると以下のようになる。
【0120】
通信装置(100A)は、シリアル信号(D1)を送信する送信部(108)と、前記送信部から送信される前記シリアル信号であるシリアル送信信号の1ビットの周期(ΔT1)と同じ周期を有する第1基準クロック信号(REFTCLK)と、前記送信部から送信された前記シリアル送信信号のエッジとの位相差である第1位相差(TPD1~TPD4)を判定する第1位相差判定部(114)と、前記第1位相差が第1位相差閾値(PTH1)を超えた場合に、前記送信部から送信された前記シリアル送信信号に異常があると判定する判定部(116)と、を備える。このような構成によれば、第1基準クロック信号とシリアル送信信号のエッジとの位相差が第1位相差閾値を超えた場合に、シリアル送信信号に異常があると判定するため、通信品質の的確な評価に資することができる。
【0121】
前記シリアル送信信号の1ビットの周期よりも短い時間(ΔT2)に対応する位相差を互いに有するとともに周期が互いに等しい複数のクロック信号(TCLK1~TCLK8)のうちのいずれかのクロック信号を前記第1基準クロック信号として決定する第1決定部(111)を更に有するようにしてもよい。
【0122】
前記第1決定部は、前記複数のクロック信号のうちの前記シリアル送信信号のエッジの直前又は直後に位置するクロック信号を、前記第1基準クロック信号として決定するようにしてもよい。
【0123】
前記判定部は、所定時間内に前記第1位相差が前記第1位相差閾値を超えた回数に基づいて、通信の異常の程度を判定するようにしてもよい。このような構成によれば、通信の異常の程度をより的確に把握することが可能となる。
【0124】
前記第1位相差閾値は可変であるようにしてもよい。
【0125】
シリアル信号(D2)を受信する受信部(110)と、前記受信部によって受信される前記シリアル信号であるシリアル受信信号の1ビットの周期(ΔT3)と同じ周期を有する第2基準クロック信号(REFRCLK)と、前記受信部によって受信された前記シリアル受信信号のエッジとの位相差である第2位相差(RPD1~RPD4)を判定する第2位相差判定部(120)と、を更に備え、前記判定部は、前記第2位相差が第2位相差閾値(PTH2)を超えた場合に、前記受信部によって受信された前記シリアル受信信号に異常があると判定するようにしてもよい。このような構成によれば、通信品質のより的確な評価に資することができる。
【0126】
前記シリアル受信信号の1ビットの周期よりも短い時間(ΔT4)に対応する位相差を互いに有するとともに周期が互いに等しい複数のクロック信号(RCLK1~RCLK8)のうちのいずれかのクロック信号を前記第2基準クロック信号として決定する第2決定部(118)を更に有するようにしてもよい。
【0127】
前記第2決定部は、前記複数のクロック信号のうちの前記シリアル受信信号のエッジの直前又は直後に位置するクロック信号を前記第2基準クロック信号として決定するようにしてもよい。
【0128】
前記判定部は、前記第1位相差判定部による判定結果と前記第2位相差判定部による判定結果とに基づいて、通信の異常要因を判定するようにしてもよい。このような構成によれば、通信の異常要因をより的確に把握することができる。
【0129】
前記判定部は、前記第1位相差が前記第1位相差閾値を超え、且つ、前記第2位相差が前記第2位相差閾値を超えた場合には、前記異常要因に外乱ノイズが含まれると判定するようにしてもよい。
【0130】
前記判定部は、前記第1位相差が前記第1位相差閾値を超えず、且つ、前記第2位相差が前記第2位相差閾値を超えた場合には、前記異常要因がジッタであると判定するようにしてもよい。
【0131】
前記第2位相差閾値は可変であるようにしてもよい。
【0132】
前記判定部は、所定時間内に前記第2位相差が前記第2位相差閾値を超えた回数に基づいて、通信の異常の程度を判定するようにしてもよい。
【0133】
産業機械(10)は、上記のような通信装置を備える。
【0134】
通信品質判定方法は、シリアル信号を送信部から送信する送信ステップ(S11)と、前記送信ステップにおいて送信される前記シリアル信号であるシリアル送信信号の1ビットの周期と同じ周期を有する第1基準クロック信号と、前記送信部から送信された前記シリアル送信信号のエッジとの位相差である第1位相差を判定する第1位相差判定ステップ(S12)と、前記第1位相差が第1位相差閾値を超えた場合に、前記送信ステップにおいて送信された前記シリアル送信信号に異常があると判定する判定ステップ(S13、S14)と、を有する。
【0135】
シリアル信号を受信部が受信する受信ステップ(S41)と、前記受信ステップにおいて受信される前記シリアル信号であるシリアル受信信号の1ビットの周期と同じ周期を有する第2基準クロック信号と、前記受信部によって受信された前記シリアル受信信号のエッジとの位相差である第2位相差を判定する第2位相差判定ステップ(S42)と、を更に有し、前記判定ステップ(S43、S44)では、前記第2位相差が第2位相差閾値を超えた場合に、前記受信部によって受信された前記シリアル受信信号に異常があると判定するようにしてもよい。
【0136】
前記判定ステップ(S43、S44)では、前記第1位相差判定ステップにおける判定結果と前記第2位相差判定ステップにおける判定結果とに基づいて、通信の異常要因を判定するようにしてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12