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特許7343640LiDARセンサのトリガ信号を分離するための装置ならびに方法および試験システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-04
(45)【発行日】2023-09-12
(54)【発明の名称】LiDARセンサのトリガ信号を分離するための装置ならびに方法および試験システム
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/497 20060101AFI20230905BHJP
   G01S 7/481 20060101ALI20230905BHJP
【FI】
G01S7/497
G01S7/481 A
【請求項の数】 14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022039382
(22)【出願日】2022-03-14
(65)【公開番号】P2022141616
(43)【公開日】2022-09-29
【審査請求日】2022-03-23
(31)【優先権主張番号】10 2021 106 220.9
(32)【優先日】2021-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】506012213
【氏名又は名称】ディスペース ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】dSPACE GmbH
【住所又は居所原語表記】Rathenaustr.26,D-33102 Paderborn, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】グレゴア ズィーファース
(72)【発明者】
【氏名】フランク シュッテ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ヒムラー
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ラハマイアー
(72)【発明者】
【氏名】イェンス ハーゲマイアー
(72)【発明者】
【氏名】マルコ シュミット
【審査官】山下 雅人
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-513106(JP,A)
【文献】特開平09-318732(JP,A)
【文献】特開平07-134177(JP,A)
【文献】特表2018-513556(JP,A)
【文献】特開2015-111160(JP,A)
【文献】特開2020-183914(JP,A)
【文献】実開昭59-029781(JP,U)
【文献】独国特許出願公開第102019106129(DE,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0259628(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0191446(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00-17/95
H04B10/00-10/90
H04J14/00-14/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
LiDARセンサ(12)の試験システム(1)のためのトリガ信号を分離するための装置(10)であって、
前記装置(10)は、光伝送媒体(16)を介してトリガ検出器(14)に接続可能な収束レンズ(18)またはトリガ検出器(14)を有し、
前記収束レンズ(18)または前記トリガ検出器(14)は、LiDARセンサ(12)によって生成されたトリガ信号(TS)を受信するように構成されており、
前記装置(10)は、前記トリガ信号(TS)の信号経路(SP)において前記収束レンズ(18)または前記トリガ検出器(14)の上流に配置された光学素子(20a,20b)を有し、
前記光学素子(20a,20b)は、前記トリガ信号(TS)を通過させるように、かつ前記光学素子(20a,20b)を通過した前記トリガ信号(TS)の、前記光学素子(20a,20b)の表面(22)において反射された後方反射(RTS)を吸収するように構成されている、
装置(10)。
【請求項2】
前記光学素子(20a,20b)は、光アイソレータ(20a)、とりわけファラデーアイソレータによって構成されており、
前記光アイソレータ(20a)は、第1の偏光子(20a2)と第2の偏光子(20a3)との間に配置されたファラデー回転子(20a1)を有する、
請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記第1の偏光子(20a2)の光軸(A1)は、前記トリガ信号(TS)の偏光平面(E)に一致する方向性を有し、
前記ファラデー回転子(20a1)は、前記トリガ信号(TS)の偏光を所定の回転方向(D)に45°だけ回転させるように構成されており、
前記第2の偏光子の光軸(A2)は、前記所定の回転方向(D)において前記第1の偏光子(20a2)に対して45°だけ方向付けされている、
請求項2記載の装置。
【請求項4】
前記ファラデー回転子(20a1)は、前記光アイソレータ(20a)を通過した前記トリガ信号(TS)の前記後方反射(RTS)の偏光を前記所定の回転方向(D)に45°だけ回転させるように構成されており、
これにより、前記ファラデー回転子(20a1)を通過した前記後方反射(RTS)は、前記第1の偏光子の前記光軸(A1)に直交するように方向付けされている、
請求項3記載の装置。
【請求項5】
前記光学素子(20a,20b)は、遅延素子(20b)、とりわけλ/4波長板によって構成されており、
前記λ/4波長板は、前記LiDARセンサ(12)によって生成された、とりわけ直線偏光されたトリガ信号(TS)を円偏光させるように構成されている、
請求項1記載の装置。
【請求項6】
前記トリガ信号(TS)の前記信号経路(SP)において前記遅延素子(20b)の上流に偏光子(24)、とりわけ直線偏光子が配置されている、
請求項5記載の装置。
【請求項7】
前記光学素子(20a,20b)を2回目に通過した後の、前記光学素子(20a,20b)を通過した前記トリガ信号(TS)の前記後方反射(RTS)の光学出力は、前記LiDARセンサ(12)の受信機の検出閾値を下回る、
請求項1から6までのいずれか1項記載の装置。
【請求項8】
前記光学素子(20a,20b)は、
前記光学素子(20a,20b)を1回目に通過したときの前記トリガ信号(TS)の光学出力を50~70%減衰させるように構成されており、
前記トリガ信号(TS)と、前記光学素子(20a,20b)を改めて通過した前記トリガ信号(TS)の後方反射(RTS)と、の総減衰が99%超になるように構成されている、
請求項7記載の装置。
【請求項9】
前記光学素子(20a,20b)および前記収束レンズ(18)または前記トリガ検出器(14)は、
前記LiDARセンサ(12)の送信ユニット(12a)に取り付け可能なカバーフード(26)内に配置されているか、または
前記トリガ信号(TS)の前記信号経路(SP)に配置された支持体装置(28)上に配置されている、
請求項1から8までのいずれか1項記載の装置。
【請求項10】
前記トリガ検出器(14)は、所定数の感光性ダイオード(14a~14h)を有し、
前記感光性ダイオード(14a~14h)は、受信した前記トリガ信号(TS)を電気信号として信号発生器(30)に伝送するように構成されている、
請求項9記載の装置。
【請求項11】
前記光学素子(20a,20b)は、少なくとも、前記LiDARセンサ(12)の前記送信ユニット(12a)の開口角の領域に配置されている、
請求項9または10記載の装置。
【請求項12】
LiDARセンサ(12)のための試験システム(1)であって、前記試験システム(1)は、
トリガ信号(TS)を生成するLiDARセンサ(12)と、
請求項1から10までのいずれか1項記載の、前記トリガ信号(TS)を分離するための装置(10)と、
信号発生器(30)と、
を有し、
前記トリガ検出器(14)は、
試験されるべき前記LiDARセンサ(12)の前記トリガ信号(TS)を受信したことに応答して前記信号発生器(30)を制御し、
前記トリガ信号(TS)のシミュレートされた後方反射(RTS)を生成し、所定数の感光性ダイオード(14a~14h)を使用して、前記LiDARセンサ(12)の受信機(12b)に送出する、
ように構成されている、
試験システム(1)。
【請求項13】
前記LiDARセンサ(12)は、フラッシュLiDARまたは機械式に回転して走査するLiDARによって構成されている、
請求項12記載の試験システム(1)。
【請求項14】
LiDARセンサ(12)の試験システム(1)のためのトリガ信号を分離するための方法であって、前記方法は、
前記LiDARセンサ(12)によって生成されたトリガ信号(TS)を、光伝送媒体(16)を介してトリガ検出器(14)に接続された収束レンズ(18)によって、または前記トリガ検出器(14)によって受信するステップ(S1)と、
前記トリガ信号(TS)の信号経路(SP)において前記収束レンズ(18)または前記トリガ検出器(14)の上流に配置された光学素子を通るように前記トリガ信号(TS)を通過させるステップ(S2)と、
前記光学素子(20a,20b)を通過した前記トリガ信号(TS)の、前記光学素子(20a,20b)の表面(22)において反射された後方反射(RTS)を、前記光学素子(20a,20b)によって吸収するステップ(S3)と、
を有する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LiDARセンサの試験システムのためのトリガ信号を分離するための装置に関する。
【0002】
本発明はさらに、LiDARセンサのための試験システムに関する。
【0003】
本発明はさらに、LiDARセンサの試験システムのためのトリガ信号を分離するための方法に関する。
【背景技術】
【0004】
LiDAR(light detection and ranging[光による検知と測距]の略称)光測定システムは、さらなる用途に加えて、光学的に距離および速度を測定するために使用される。LiDAR光測定システムは、光を送出し、その光がオブジェクトで反射された後、LiDAR光測定システムに戻ってくるまでの所要時間を測定する。既知の光速から、LiDAR光測定システムからオブジェクトまでの距離が算出される。
【0005】
LiDAR光測定システムの用途分野の例は、光学的な距離測定のためのモバイル機器および自動車用途分野のための、すなわち運転者支援システムおよび自動運転のための、ならびに航空宇宙用途のためのLiDAR光測定システムである。
【0006】
独国特許出願公開第102007057372号明細書は、トリガユニットを有するLiDARセンサのための試験システムを開示しており、同試験システムによれば、試験されるべきLiDARセンサの信号を受信したことに応答して、所定の合成的に生成または記録された光学信号が信号発生器の信号生成ユニットによって出力されるように、信号発生器が制御される。
【0007】
独国特許出願公開第102017110790号明細書は、LiDAR光受信センサを有するLiDAR光測定システムのためのシミュレーション装置を開示しており、同シミュレーション装置では、LiDAR光受信センサの平面に光送信機が設けられており、LiDAR光受信センサの平面に、上記の光送信機に隣接してさらなる光送信機が配置されており、コンピュータが、LiDAR光受信センサの作動と、光送信機および/またはさらなる光送信機を介して光学信号を放出するための期間と、を監視し、光送信機またはさらなる光送信機からの光学信号の信号入力を記録する。
【0008】
信号発生器を使用してLiDARセンサを試験する際の問題は、LiDARセンサの送信ユニットから放出されたトリガ信号が、例えばトリガユニット、すなわちシミュレーション装置の受信機ユニットなどの周囲の表面において反射され、これにより、LiDARセンサの受信機ユニットによって検出可能になってしまうことにあり、このことは、望ましくない検出結果、または信号発生器によって生成された、トリガ信号の合成的な反射の歪曲をもたらす可能性がある。
【0009】
したがって、トリガ信号の効果的な分離が可能となるように、LiDARセンサを試験するための既存の装置および方法を改善することが必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の課題は、トリガ信号の効果的な分離を可能にするような、LiDARセンサのトリガ信号を分離するための装置および方法、ならびにそのような装置を使用する対応する試験システムを企図することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題は、本発明によれば、請求項1に記載の特徴を有するLiDARセンサの試験システムのためのトリガ信号を分離するための装置によって解決される。
【0012】
上記の課題は、本発明によればさらに、請求項12に記載の特徴を有するLiDARセンサのための試験システムによって解決される。
【0013】
上記の課題は、本発明によればさらに、請求項14に記載の特徴を有するLiDARセンサの試験システムのためのトリガ信号を分離するための方法によって解決される。
【0014】
本発明は、LiDARセンサの試験システムのためのトリガ信号を分離するための装置に関する。
【0015】
本装置は、光伝送媒体を介してトリガ検出器に接続可能な収束レンズまたはトリガ検出器を含み、収束レンズまたはトリガ検出器は、LiDARセンサによって生成されたトリガ信号、とりわけレーザパルスを受信するように構成されている。
【0016】
本装置は、トリガ信号の信号経路において収束レンズまたはトリガ検出器の上流に配置された光学素子をさらに含み、光学素子は、トリガ信号を通過させるように、かつ光学素子を通過したトリガ信号の、とりわけ表面において反射された後方反射を少なくとも部分的に吸収するように構成されている。
【0017】
本発明はさらに、LiDARセンサのための試験システムに関する。本試験システムは、トリガ信号を生成するLiDARセンサと、トリガ信号を分離するための本発明による装置と、を含む。
【0018】
本試験システムは、信号発生器をさらに含み、トリガ検出器は、試験されるべきLiDARセンサのトリガ信号を受信したことに応答して信号発生器を制御し、トリガ信号のシミュレートされた後方反射を生成し、所定数のダイオードまたは発光素子を使用して、LiDARセンサの受信機に送出するように構成されている。
【0019】
本発明はさらに、LiDARセンサの試験システムのためのトリガ信号を分離するための方法に関する。
【0020】
本方法は、LiDARセンサによって生成されたトリガ信号、とりわけレーザパルスを、光伝送媒体を介してトリガ検出器に接続された収束レンズによって、またはトリガ検出器によって受信することを含む。
【0021】
本方法は、トリガ信号の信号経路において収束レンズまたはトリガ検出器の上流に配置された光学素子を通るようにトリガ信号を通過させることをさらに含む。
【0022】
本方法は、光学素子を通過したトリガ信号の、とりわけ表面において反射された後方反射を、光学素子によって少なくとも部分的に吸収することをさらに含む。
【0023】
本発明の着想は、LiDAR Over-the-Air試験システムの、試験されるべきLiDARセンサへの適合を簡単にすることであり、すなわち、レーザパルスを遮蔽するためのセンサ固有のメカニズムが必要なくなる。光アイソレータまたは光学素子を使用することによって初めて、マルチレーザセンサおよびモノスタティックセンサアーキテクチャのLiDAR Over-the-Airシミュレーションを、センサの内部に介入することなく実現することが可能となる。本発明のさらなる実施形態は、さらなる従属請求項と図面を参照する以下の説明との対象である。
【0024】
本発明の好ましい発展形態によれば、光学素子は、光アイソレータ、とりわけファラデーアイソレータによって構成されており、光アイソレータは、第1の偏光子と第2の偏光子との間に配置されたファラデー回転子を有する。
【0025】
光アイソレータは、トリガ信号を、有利には第1の方向には通過させ、第1の方向とは反対である第2の方向へは大幅に遮断する。
【0026】
本発明のさらなる好ましい発展形態によれば、第1の偏光子の光軸は、トリガ信号の偏光平面に一致する方向性を有し、ファラデー回転子は、トリガ信号の偏光を所定の回転方向に45°だけ回転させるように構成されており、第2の偏光子の光軸は、所定の回転方向において第1の偏光子に対して45°だけ方向付けされている。
【0027】
トリガ信号の偏光平面の変化によって、有利には、トリガ信号の、所定の回転方向に45°だけ回転された偏光が、表面に当たるとLiDARセンサの方向へと戻るように反射されるようになり、これにより、光アイソレータから見て逆の回転偏光がもたらされる。
【0028】
本発明のさらなる好ましい発展形態によれば、ファラデー回転子は、光アイソレータを通過したトリガ信号の後方反射の偏光を所定の回転方向に45°だけ回転させるように構成されており、これにより、ファラデー回転子を通過した後方反射は、第1の偏光子の光軸に直交するように方向付けされている。
【0029】
トリガ信号の偏光が改めて所定の回転方向に45°だけ回転されることに起因して、トリガ信号の後方反射は、90°だけ回転された偏光を有することとなり、これにより、後方反射は、第1の偏光子に当たると実質的にブロックされる。
【0030】
本発明のさらなる好ましい発展形態によれば、光学素子は、遅延素子、とりわけλ/4波長板によって構成されており、λ/4波長板は、LiDARセンサによって生成された、とりわけ直線偏光されたトリガ信号を円偏光させるように構成されている。
【0031】
円偏光によって有利には、トリガ信号の後方反射は、遅延素子に改めて当たると大幅に減衰またはブロックされる。
【0032】
本発明のさらなる好ましい発展形態によれば、トリガ信号の信号経路において遅延素子の上流に偏光子、とりわけ直線偏光子が配置されている。LiDARセンサから放出されたトリガ信号が直線偏光されていない場合には、このことが必要である。
【0033】
本発明のさらなる好ましい発展形態によれば、光学素子を2回目に通過した後の、光学素子を通過したトリガ信号の後方反射の光学出力は、LiDARセンサの受信機の検出閾値を下回る。
【0034】
したがって、LiDARセンサの受信機が、信号発生器によって生成されたトリガ信号の合成的な後方反射だけを受信して、トリガ信号の実際の後方反射は受信しないことを保証することができる。
【0035】
本発明のさらなる好ましい発展形態によれば、光学素子は、光学素子を1回目に通過したときのトリガ信号の光学出力を50~70%、とりわけ65%減衰させるように構成されており、かつトリガ信号と、光学素子を改めて通過したトリガ信号の後方反射と、の総減衰が99%超、とりわけ99.9%超になるように構成されている。
【0036】
これによって有利には、トリガ信号の後方反射の残りの部分がLiDARセンサの検出閾値を下回ることを達成することができる。
【0037】
本発明のさらなる好ましい発展形態によれば、光学素子および収束レンズまたはトリガ検出器は、LiDARセンサの送信ユニットに取り付け可能なカバーフード内に配置されているか、またはトリガ信号の信号経路に配置された支持体装置上に配置されている。
【0038】
カバーフードまたは支持体装置を設けることにより、有利には、トリガ信号を分離するための装置のコンパクトな配置が可能となり、さらには、トリガ信号が光学素子のみを通過すること、または光学信号の後方反射が光学素子に当たることが達成される。
【0039】
本発明のさらなる好ましい発展形態によれば、トリガ検出器は、所定数の感光性ダイオードを有し、感光性ダイオードは、受信したトリガ信号を電気信号として信号発生器に伝送するように構成されている。これにより、光学信号を効果的に電気信号に変換することを達成することができる。
【0040】
本発明のさらなる好ましい発展形態によれば、光学素子は、少なくとも、LiDARセンサの送信ユニットの開口角の領域に配置されている。
【0041】
これによって有利には、LiDARセンサから放出されたトリガ信号が光学素子を完全に通過することを保証することができる。
【0042】
本発明のさらなる好ましい発展形態によれば、LiDARセンサは、フラッシュLiDARまたは機械式に走査するLiDARによって構成されている。
【0043】
したがって、トリガ信号を分離するための本発明による装置は、LiDARセンサの全ての一般的な実施形態と共に使用可能である。
【0044】
本明細書に記載されたLiDARセンサのトリガ信号を分離するための装置の特徴は、LiDARセンサのトリガ信号を分離するための本発明による方法にも適用可能であり、その逆もまた同様である。
【0045】
図面の簡単な説明
本発明およびその利点をより良好に理解するために、添付の図面に関連して以下の説明が参照される。
【0046】
以下では、本発明を、図面の概略図に示されている例示的な実施形態に基づいてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1a】本発明の好ましい実施形態による、トリガ信号を分離するための装置を有するLiDARセンサのための試験システムの概略図である。
図1b】本発明のさらなる好ましい実施形態による、トリガ信号を分離するための装置を有するLiDARセンサのための試験システムの概略図である。
図2】本発明のさらなる好ましい実施形態による、トリガ信号を分離するための装置を有するLiDARセンサのための試験システムの概略図である。
図3】本発明のさらなる好ましい実施形態による、トリガ信号を分離するための装置を有するLiDARセンサのための試験システムの概略図である。
図4】本発明のさらなる好ましい実施形態による、トリガ信号を分離するための装置を有するLiDARセンサのための試験システムの概略図である。
図5】本発明の好ましい実施形態による、LiDARセンサの試験システムのためのトリガ信号を分離するための方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0048】
別段の指示がない限り、同じ参照符号は、各図の同じ要素を指している。
【0049】
図1aに示されている装置は、LiDARセンサ12の試験システム1のためのトリガ信号を分離するためであり、トリガ検出器14を含み、このトリガ検出器14は、LiDARセンサ12によって生成されたトリガ信号TS、とりわけレーザパルスを受信するように構成されている。
【0050】
本装置は、トリガ信号TSの信号経路SPにおいてトリガ検出器14の上流に配置された光学素子20bをさらに含み、この光学素子20bは、トリガ信号TSを通過させるように、かつ光学素子20bを通過したトリガ信号TSの、とりわけ表面22において反射された後方反射RTSを少なくとも部分的に吸収するように構成されている。
【0051】
光学素子20bは、遅延素子20b、とりわけλ/4波長板によって構成されており、このλ/4波長板は、LiDARセンサ12によって生成された、とりわけ直線偏光されたトリガ信号TSを円偏光させるように構成されている。
【0052】
光学素子20bを2回目に通過した後の、光学素子20bを通過したトリガ信号TSの後方反射RTSの光学出力は、LiDARセンサ12の受信機の検出閾値を下回る。
【0053】
光学素子20bは、光学素子20bを1回目に通過したときのトリガ信号TSの光学出力を50~70%、とりわけ65%減衰させるように構成されている。さらに、光学素子20bは、トリガ信号TSと、光学素子20bを改めて通過したトリガ信号TSの後方反射RTSと、の総減衰が99%超、とりわけ99.9%超になるように構成されている。
【0054】
光学素子20bおよびトリガ検出器14は、LiDARセンサ12の送信ユニット12aに取り付け可能なカバーフード26内に配置されている。代替的に、例えば、カバーフード26を省略してもよい。
【0055】
代替的に、例えば、光学素子20bおよびトリガ検出器14を、トリガ信号TSの信号経路SPに配置された支持体装置28上に配置してもよい。
【0056】
トリガ検出器14は、所定数の感光性ダイオード14a~14hを有し、これらの感光性ダイオード14a~14hは、受信したトリガ信号TSを電気信号として信号発生器30に伝送するように構成されている。
【0057】
光学素子20bは、少なくとも、LiDARセンサ12の送信ユニット12aの開口角の領域に配置されている。代替的に、光学素子20bは、信号発生器30の送信ユニット32の放射角の領域にも配置されている。
【0058】
LiDARセンサ12のための試験システム1は、信号発生器30をさらに有する。トリガ検出器14は、試験されるべきLiDARセンサ12のトリガ信号TSを受信したことに応答して信号発生器30を制御し、トリガ信号TSのシミュレートされた後方反射RTSを生成し、信号発生器30の送信ユニット32の所定数のダイオードを使用して、LiDARセンサ12の受信機12bに送出するように構成されている。
【0059】
LiDARセンサ12は、フラッシュLiDARによって構成されている。
【0060】
図1bは、本発明のさらなる好ましい実施形態による、トリガ信号を分離するための装置を有するLiDARセンサのための試験システムの概略図を示す。
【0061】
図1bに示されている配置は、トリガ信号TSの信号経路SPにおいて遅延素子20bの上流に偏光子24、とりわけ直線偏光子が配置されているという点で、図1aに示されている配置とは異なっている。なぜなら、図1bに示されている実施形態では、LiDARセンサが、偏光されていないトリガ信号TSを送出するからである。
【0062】
代替的に、トリガ信号TSが偏光されている場合には、光アイソレータの効率を回転によって最適化することができる。
【0063】
図2は、本発明のさらなる好ましい実施形態による、トリガ信号を分離するための装置を有するLiDARセンサのための試験システムの概略図を示す。
【0064】
LiDARセンサ12の試験システム1のためのトリガ信号を分離するための装置10は、光伝送媒体16を介してトリガ検出器14に接続可能な収束レンズ18を含み、収束レンズ18は、LiDARセンサ12によって生成されたトリガ信号TS、とりわけレーザパルスを受信するように構成されている。
【0065】
装置10は、トリガ信号TSの信号経路SPにおいて収束レンズ18の上流に配置された光学素子20bをさらに含み、この光学素子20bは、トリガ信号TSを通過させるように、かつ光学素子20a,20bを通過したトリガ信号TSの、とりわけ表面22において反射された後方反射RTSを少なくとも部分的に吸収するように構成されている。
【0066】
図3は、本発明のさらなる好ましい実施形態による、トリガ信号を分離するための装置を有するLiDARセンサのための試験システムの概略図を示す。
【0067】
光学素子20aは、光アイソレータ20a、とりわけファラデーアイソレータによって構成されており、この光アイソレータ20aは、第1の偏光子20a2と第2の偏光子20a3との間に配置されたファラデー回転子20a1を有する。
【0068】
第1の偏光子20a2の光軸A1は、トリガ信号TSの偏光平面Eに一致する方向性を有する。さらに、ファラデー回転子20a1は、トリガ信号TSの偏光を所定の回転方向Dに45°だけ回転させるように構成されている。さらに、第2の偏光子の光軸A2は、所定の回転方向Dにおいて第1の偏光子20a2に対して45°だけ方向付けされている。
【0069】
図3は、LiDARセンサ12の送信ユニット12aの送信領域における光学素子20aの配置を示す。代替的に、光学素子20aは、信号発生器30の送信ユニット32の放射領域にも同時に配置されている。視認性を高めるため、この変形例を図示することは省略した。
【0070】
図4は、本発明のさらなる好ましい実施形態による、トリガ信号を分離するための装置を有するLiDARセンサのための試験システムの概略図を示す。
【0071】
ファラデー回転子20a1は、光アイソレータ20aを通過したトリガ信号TSの後方反射RTSの偏光を所定の回転方向Dに45°だけ回転させるように構成されており、これにより、ファラデー回転子20a1を通過した後方反射RTSは、第1の偏光子の光軸A1に直交するように方向付けされている。
【0072】
図5は、本発明の好ましい実施形態による、LiDARセンサの試験システムのためのトリガ信号を分離するための方法のフローチャートを示す。
【0073】
本方法は、LiDARセンサ12によって生成されたトリガ信号TS、とりわけレーザパルスを、光伝送媒体16を介してトリガ検出器14に接続された収束レンズ18によって、またはトリガ検出器14によって受信することS1を含む。
【0074】
本方法は、トリガ信号TSの信号経路SPにおいて収束レンズ18またはトリガ検出器14の上流に配置された光学素子を通るようにトリガ信号TSを通過させることS2を含む。
【0075】
本方法は、光学素子20a,20bを通過したトリガ信号TSの、とりわけ表面22において反射された後方反射RTSを、光学素子20a,20bによって少なくとも部分的に吸収することS3をさらに含む。
【0076】
本明細書において特定の実施形態について例示および説明したが、当業者には、多数の代替および/または同等の実装形態が存在することが理解される。例示的な実施形態は、単なる例に過ぎず、範囲、適用可能性または構成を何らかの方法で制限するために使用されるのではないことに留意すべきである。
【0077】
むしろ、前述した概要および詳細な説明は、少なくとも1つの例示的な実施形態を実施するための便利な手引きを当業者に提供するものであり、添付の特許請求の範囲およびそれらの法的な均等物から逸脱することなく、機能の範囲および要素の配置における種々の変更を行ってもよいことを理解すべきである。
【0078】
一般に、本願は、本明細書に提示された実施形態の修正形態、適合形態または変形形態を網羅することを意図している。
【0079】
LiDARセンサは、例えば、機械式に回転して走査するLiDARによって構成可能である。この場合、LiDARセンサ12の試験システム1のためのトリガ信号を分離するための装置10は、LiDARセンサ12の周囲に360°の角度で配置されるであろう。
【0080】
さらに、図1a、図1b、図2図3図4に示されている実施形態のいくつかの態様は、それぞれ他の実施形態に転用可能である。例えば、光学素子20bを2回目に通過した後の、光学素子20bを通過したトリガ信号TSの後方反射RTSの光学出力が、LiDARセンサ12の受信機の検出閾値を下回るという図1aに関連して説明した特徴は、図1b、図2図3および図4に示されている実施形態に転用可能である。
【0081】
さらに、光学素子20bが、光学素子20a,20bを1回目に通過したときのトリガ信号TSの光学出力を50~70%、とりわけ65%減衰させるように構成されているという特徴がある。さらに、光学素子20bは、トリガ信号TSと、光学素子20bを改めて通過したトリガ信号TSの後方反射RTSと、の総減衰が99%超、とりわけ99.9%超になるように構成されているが、図1b、図2図3および図4に示されている実施形態に転用可能である。
【0082】
さらに、光学素子20bおよびトリガ検出器14が、LiDARセンサ12の送信ユニット12aに取り付け可能なカバーフード26内に配置されているという特徴、または光学素子20bおよびトリガ検出器14が、例えば、トリガ信号TSの信号経路SPに配置された支持体装置28上に配置されているという特徴は、図1b、図2図3および図4に示されている実施形態に転用可能である。
【0083】
さらに、トリガ検出器14が、所定数の感光性ダイオード14a~14hを有し、これらの感光性ダイオード14a~14hが、受信したトリガ信号TSを電気信号として信号発生器30に伝送するように構成されているという特徴および光学素子20a,20bが、少なくとも、LiDARセンサ12の送信ユニット12aの開口角の領域に配置されているという特徴は、図1b、図2図3および図4に示されている実施形態に適用可能である。
【符号の説明】
【0084】
1 試験システム
10 装置
12 LiDARセンサ
12a 送信ユニット
12b 受信機
14 トリガ検出器
14a~14h 感光性ダイオード
16 光伝送媒体
18 収束レンズ
20a,20b 光学素子
20a1 ファラデー回転子
20a2 第1の偏光子
20a3 第2の偏光子
22 表面
24 偏光子
26 カバーフード
28 支持体装置
30 信号発生器
32 信号発生器の送信ユニット
A1,A2 光軸
D 回転方向
E 偏光平面
RTS トリガ信号の後方反射
SP 信号経路
S1~S3 方法ステップ
TS トリガ信号
図1a
図1b
図2
図3
図4
図5