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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-04
(45)【発行日】2023-09-12
(54)【発明の名称】空気供給システム
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/26 20060101AFI20230905BHJP
【FI】
B01D53/26 230
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022150295
(22)【出願日】2022-09-21
(62)【分割の表示】P 2018110642の分割
【原出願日】2018-06-08
(65)【公開番号】P2022176244
(43)【公開日】2022-11-25
【審査請求日】2022-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】510063502
【氏名又は名称】ナブテスコオートモーティブ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106781
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 稔也
(72)【発明者】
【氏名】板谷 将治
(72)【発明者】
【氏名】田中 克典
【審査官】山田 陸翠
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-209310(JP,A)
【文献】特開2017-144871(JP,A)
【文献】国際公開第2015/170737(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/067215(WO,A1)
【文献】特開2012-140107(JP,A)
【文献】特表2009-517611(JP,A)
【文献】米国特許第05592754(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0036162(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/26-53/28
B60T 15/00-17/22
F04B 41/00-41/06
F04B 39/00-39/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮空気を送出する負荷運転と前記圧縮空気を送出しない空運転とを切り替えることが可能なコンプレッサと、
前記コンプレッサの送出した前記圧縮空気から水分を除去する乾燥剤と、
前記コンプレッサと前記乾燥剤とを前記圧縮空気の流通可能に接続する接続通路と、
前記乾燥剤から前記コンプレッサとは反対方向に出力される空気の流れを許容するチェックバルブと、
前記コンプレッサの前記負荷運転と前記空運転とを切り替えさせる第1の電磁弁であって、駆動されることで前記コンプレッサを前記空運転に切り替えさせる一方、非駆動であることにより前記コンプレッサを前記負荷運転に切り換えさせる前記第1の電磁弁と、
前記接続通路の分岐通路に接続されたドレン排出弁であって、第2の電磁弁が非駆動であることにより空圧信号が入力されていない状態で閉弁し、前記第2の電磁弁が駆動されることで空圧信号が入力されると開弁する前記ドレン排出弁と、
前記第1の電磁弁の駆動/非駆動を切り替えること、及び、前記第2の電磁弁の駆動/非駆動を切り替えることができる制御装置と、
前記チェックバルブに並列なバイパス通路の途中に設けられた再生制御弁であって、閉弁により前記バイパス通路を封止し、開弁により前記バイパス通路を連通させる前記再生制御弁と、を備え、
前記制御装置は、前記第1の電磁弁を駆動して前記コンプレッサが非稼働状態であるとき、前記再生制御弁を開弁させるとともに、前記第2の電磁弁を非駆動として前記ドレン排出弁を閉弁させるコンプレッサアシスト動作を行う
空気供給システム。
【請求項2】
圧縮空気を送出する負荷運転と前記圧縮空気を送出しない空運転とを切り替えることが可能なコンプレッサと、
前記コンプレッサの送出した前記圧縮空気から水分を除去する乾燥剤と、
前記コンプレッサと前記乾燥剤とを前記圧縮空気の流通可能に接続する接続通路と、
前記乾燥剤から前記コンプレッサとは反対方向に出力される空気の流れを許容するチェックバルブと、
前記チェックバルブを通過した前記圧縮空気の湿度を測定する湿度測定部と、
前記コンプレッサの前記負荷運転と前記空運転とを切り替えさせる第1の電磁弁であって、駆動されることで前記コンプレッサを前記空運転に切り替えさせる一方、非駆動であることにより前記コンプレッサを前記負荷運転に切り替えさせる前記第1の電磁弁と、
前記接続通路の分岐通路に接続されたドレン排出弁であって、第2の電磁弁が非駆動であることにより空圧信号が入力されていない状態で閉弁し、前記第2の電磁弁が駆動されることで空圧信号が入力されると開弁する前記ドレン排出弁と、
前記第1の電磁弁の駆動/非駆動を切り替えること、及び、前記第2の電磁弁の駆動/非駆動を切り替えることができる制御装置と、
前記チェックバルブに並列なバイパス通路の途中に設けられた再生制御弁であって、閉弁により前記バイパス通路を封止し、開弁により前記バイパス通路を連通させる前記再生制御弁と、を備え、
前記制御装置は、前記湿度測定部で測定した湿度を加味して前記第2の電磁弁の駆動/非駆動を切り替え、前記第1の電磁弁を駆動して前記コンプレッサが非稼働状態であるとき、前記再生制御弁を開弁させるとともに、前記第2の電磁弁を非駆動として前記ドレン排出弁を閉弁させるコンプレッサアシスト動作を行う
空気供給システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記接続通路の空気圧が低圧閾値よりも低い場合には、前記コンプレッサアシスト動作を行う
請求項1又は2に記載の空気供給システム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記コンプレッサアシスト動作の後、前記再生制御弁及び前記第2の電磁弁をそれぞれ閉弁させるとともに、前記第1の電磁弁を開弁させるパージ無しのコンプレッサ停止動作を行う
請求項1~のいずれか一項に記載の空気供給システム。
【請求項5】
前記制御装置は、前記再生制御弁、前記第2の電磁弁、及び前記第1の電磁弁をそれぞれ開弁させて、前記乾燥剤に圧縮空気を逆流させる再生動作を行った後、前記コンプレッサアシスト動作を行う
請求項~4のいずれか一項に記載の空気供給システム。
【請求項6】
前記第1の電磁弁と前記第2の電磁弁とは、非駆動で接続先を大気開放する
請求項~4のいずれか一項に記載の空気供給システム。
【請求項7】
前記ドレン排出弁は、前記第2の電磁弁を非駆動とすることで前記分岐通路を大気開放する
請求項~6のいずれか一項に記載の空気供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器に圧縮空気を供給する空気供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
トラック、バス、建機等の車両においては、コンプレッサから送られる圧縮空気を利用して、ブレーキやサスペンション等の空気圧システムが制御されている。この圧縮空気には、大気中に含まれる水分やコンプレッサ内を潤滑する油分等の液状の不純物が含まれている。水分や油分を多く含む圧縮空気が空気圧システム内に入ると、錆の発生やゴム部材の膨潤等を招き、作動不良の原因となる。このため、コンプレッサの下流には、圧縮空気中の水分や油分等の不純物を除去する圧縮空気乾燥装置が設けられている。
【0003】
圧縮空気乾燥装置は、油水分を除去するロード運転(除湿動作)と、乾燥剤に吸着させた油水分を取り除き、油水分をドレンとして放出するアンロード運転(再生動作)とを行う。また、エアドライヤは、ドレンが路面に吐出されてしまうことを防ぐために、当該エアドライヤから排出されたドレンをオイルセパレータへ排出する。オイルセパレータでは、油水分を含んだ空気を衝突材に衝突させて気液分離を行うことで油分を回収し、清浄エアを排出する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-234632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
圧縮空気の供給量に応じて清浄機能が低下するエアドライヤから継続的に清浄エアを供給するためには、圧縮空気を逆流させてエアドライヤの清浄機能を回復させる再生動作やパージ動作が必要である。例えば、パージ動作はアンロード運転毎、再生動作はアンロード回数や経過時間に応じて実行される。こうしたパージ動作や再生動作は圧縮空気を消費することから、多少なりともエンジン負荷を増加させていることになる。ところで、近年、車両の燃費向上が求められている。
【0006】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、車両の燃費を向上させることのできる空気供給システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する空気供給システムは、圧縮空気を送出する負荷運転と前記圧縮空気を送出しない空運転とを切り替えることが可能なコンプレッサと、前記コンプレッサの送出した前記圧縮空気から水分を除去する乾燥剤と、前記コンプレッサと前記乾燥剤とを前記圧縮空気の流通可能に接続する接続通路と、前記乾燥剤から前記コンプレッサとは反対方向に出力される空気の流れを許容するチェックバルブと、前記チェックバルブを通過した前記圧縮空気の湿度を測定する湿度測定部と、前記コンプレッサの前記負荷運転と前記空運転とを切り替えさせる第1の電磁弁であって、駆動されることで前記コンプレッサを前記空運転に切り替えさせる一方、非駆動であることにより前記コンプレッサを前記負荷運転に切り替えさせる前記第1の電磁弁と、前記接続通路の分岐通路に接続されたドレン排出弁であって、第2の電磁弁の駆動/非駆動に応じて前記分岐通路を封止又は連通させる前記ドレン排出弁と、前記第1の電磁弁の駆動/非駆動を切り替えること、及び、前記第2の電磁弁の駆動/非駆動を切り替えることができる制御装置とを備え、前記制御装置は、前記湿度測定部で測定した湿度を加味して前記第2の電磁弁の駆動/非駆動を切り替える。
【0008】
コンプレッサを空運転(アンロード)させる電磁弁と、ドレン排出弁を切り替える電磁弁とが同一である場合、コンプレッサの空運転に応じて連絡通路内や乾燥剤中の空気が大気に開放される。このため、コンプレッサが供給した圧縮空気の一部が未使用のまま排出され、その分だけ圧縮空気が消費されていた。このような構成によれば、第1の電磁弁でコンプレッサの負荷運転と空運転とが切り替えられ、湿度測定部で測定された湿度に応じて第2の電磁弁でドレン排出弁の封止と連通とが切り替えられる。よって、コンプレッサが空運転になったとき、ドレン排出弁を封止させておくことができる。例えば、空気が乾燥しているとき、ドレン排出弁を封止させておけば、コンプレッサの供給した空気圧によって接続通路内の空気圧や乾燥剤中の空気圧を大気圧より高い圧力に維持できる。これにより、圧縮空気の消費量を抑制することができる。
【0009】
好ましい構成として、前記制御装置は、前記第1の電磁弁を駆動させたとき、前記測定した湿度が湿度閾値以上であることを条件に、前記第2の電磁弁で前記ドレン排出弁を操作して前記分岐通路を連通させ、前記湿度閾値未満であることを条件に、前記第2の電磁弁で前記ドレン排出弁を操作して前記分岐通路を封止する。
【0010】
このような構成によれば、コンプレッサが空運転であるとき、供給した圧縮空気の湿度が高いのであれば、乾燥剤による水分吸収量が多いので、ドレン排出弁に連通される接続通路や乾燥剤中から空気とともに油水分が排出されることで空気の清浄性が維持される。逆に、供給した圧縮空気の湿度が低いのであれば、乾燥剤の水分吸収量が少ないので、パージや再生処理が行われず、接続通路や乾燥剤中の空気圧が維持されるので圧縮空気の消費が抑制される。
【0011】
好ましい構成として、前記チェックバルブに並列なバイパス通路の途中に設けられた再生制御弁であって、閉弁により前記バイパス通路を封止し、開弁により前記バイパス通路を連通させる前記再生制御弁をさらに備える。
【0012】
このような構成によれば、再生制御弁を開弁することで乾燥した圧縮空気を、エアタンクから逆流させることが可能となるので、逆流した乾燥空気による乾燥剤の再生処理が可能になる。
【0013】
好ましい構成として、前記制御装置は、前記第2の電磁弁で前記ドレン排出弁を操作して前記分岐通路を連通させているとき、所定の期間だけ前記再生制御弁を開弁させる。
このような構成によれば、所定の期間だけ再生制御弁を開弁させる制御ができるので所定の期間の再生処理が可能になる。
【0014】
好ましい構成として、前記制御装置は、前記第2の電磁弁で前記ドレン排出弁を操作して前記分岐通路を連通させた後、前記再生制御弁を開弁させた状態で前記第2の電磁弁で前記ドレン排出弁を操作して前記分岐通路を封止する。
【0015】
このような構成によれば、再生処理が行われた後であっても、すみやかに接続通路内や乾燥剤中の空気圧が高い状態に維持される。いわゆる、コンプレッサアシストが可能になる。
【0016】
好ましい構成として、前記制御装置は、前記第2の電磁弁で前記ドレン排出弁を操作して前記分岐通路を連通させてから前記ドレン排出弁を操作して前記分岐通路を封止した後、前記再生制御弁を開弁させる。
【0017】
このような構成によれば、パージ処理が行われた後であっても、接続通路内や乾燥剤中の空気圧が高い状態に維持される。いわゆる、コンプレッサアシストが可能になる。
好ましい構成として、前記制御装置は、前記第1の電磁弁を非駆動に切り替えたとき、前記第2の電磁弁で前記ドレン排出弁を操作して前記分岐通路を連通するとともに、所定の期間経過後、前記第2の電磁弁で前記ドレン排出弁を操作して前記分岐通路を封止する。
【0018】
このような構成によれば、コンプレッサが所定の期間だけ供給された圧縮空気がドレン排出弁を通じて排出される。これにより、負荷運転中に圧縮空気に含まれているおそれがある油水分を排出することができる。例えば、空運転から負荷運転に切り替わった直後がよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、圧縮空気の消費量を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】空気供給システムの第1の実施形態の概略構成を示す構成図。
図2】同実施形態のエアドライヤの動作モードを示す図であって、(a)は第1動作モードを示す図、(b)は第2動作モードを示す図、(c)は第3動作モードを示す図、(d)は第4動作モードを示す図、(e)は第5動作モードを示す図、(f)は第6動作モードを示す図。
図3】同実施形態で圧縮空気を供給する手順の一例を示すフローチャート。
図4】同実施形態でエアドライヤや再生処理の手順の一例を示すフローチャート。
図5】同実施形態でコンプレッサを空運転させる手順の一例を示すフローチャート。
図6】同実施形態で接続通路の圧力調整を行う手順の一例を示すフローチャート。
図7】空気供給システムの第2の実施形態でオイルカットを有する手順の一例を示すフローチャート。
図8】同実施形態でオイルカット動作を行う手順の一例を示すフローチャート。
図9】空気供給システムの第3の実施形態で湿度に基づいて再生動作を行う手順の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1の実施形態)
図1図6を参照して、空気供給システムの第1の実施形態について説明する。空気供給システムは、トラック、バス、建機等の自動車に搭載されている。
【0022】
<空気供給システム10の構成>
図1を参照して空気供給システム10の構成について説明する。空気供給システム10は、コンプレッサ4と、空気乾燥回路11と、制御装置としてのECU80とを備える。
【0023】
空気供給システム10は、ECU80に複数の配線E61~E66が接続されている。ECU80は、演算部、揮発性記憶部、不揮発性記憶部を備えており、不揮発性記憶部に格納されたプログラムに従って、空気乾燥回路11に指令値を与えるようになっている。
【0024】
コンプレッサ4は、ECU80の指令値に基づいて、空気を圧縮して供給する稼働状態(負荷運転)と、空気の圧縮を行わない非稼働状態(空運転)とが切り替えられる。
空気乾燥回路11は、いわゆる、エアドライヤである。空気乾燥回路11は、ECU80に接続され、負荷運転中のコンプレッサ4から送られた圧縮空気を乾燥させる。空気乾燥回路11は、乾燥させた圧縮空気を供給回路12へ送出する。
【0025】
供給回路12は、空気乾燥回路11から送られた圧縮空気を、車両に搭載された図示しないエアタンクに貯留するとともに、図示しない各負荷に供給する。
空気乾燥回路11は、メンテナンス用ポートP12を有している。メンテナンス用ポートP12は、メンテナンスの際に空気乾燥回路11に空気を供給するためのポートである。
【0026】
<空気乾燥回路11の構成>
空気乾燥回路11は、内部11A(図2参照)にフィルタ17を備えている。本実施形態では、フィルタ17は、コンプレッサ4と供給回路12とを接続する空気供給通路18の途中に設けられている。なお、フィルタ17が乾燥剤に相当する。なお、空気供給通路18が接続通路として機能する。
【0027】
フィルタ17は、空気を乾燥剤に通過させることによって空気に含まれる水分を除去して乾燥させるとともに、空気に含まれる油分を濾過部によって除去して清浄化する。フィルタ17を通過した空気は、フィルタ17からみて下流側への空気の流れのみを許容する逆止弁としての下流チェックバルブ19を介して供給回路12側へ供給される。つまり、下流チェックバルブ19は、フィルタ17側を上流、供給回路12側を下流としたとき、上流から下流への空気の流れのみを許容する。なお、下流チェックバルブ19は、所定の開弁圧(封止圧)を有していることから、圧縮空気が流れるとき、上流の圧力は下流の圧力よりも開弁圧だけ高くなる。
【0028】
また、フィルタ17の下流には、下流チェックバルブ19を迂回する迂回路としてのバイパス流路20が下流チェックバルブ19に並列して設けられている。バイパス流路20には、再生制御弁21が接続されている。
【0029】
再生制御弁21は、ECU80から配線E64を介しての電源の入り切り(駆動/非駆動)で動作が切り換わる電磁弁である。再生制御弁21は、電源が切れた状態で閉弁してバイパス通路を封止し、電源が入った状態で開弁してバイパス回路を連通させる。ECU80は、例えば、エアタンク内の空気圧の値を受けて、空気圧の値が所定の範囲を越えたとき再生制御弁21を動作させる。
【0030】
バイパス流路20のうち、再生制御弁21とフィルタ17との間には、オリフィス22が設けられている。再生制御弁21が通電されると、供給回路12側の圧縮空気が、バイパス流路20を介してオリフィス22によって流量を規制された状態でフィルタ17に送られる。フィルタ17に送られた空気は、フィルタ17の下流側から上流側に向けてフィルタ17を逆流して通過する。このような処理は、フィルタ17を再生させる処理であり、ドライヤの再生処理という。このときフィルタ17に送られる圧縮空気は、空気供給通路18からフィルタ17を通過して供給回路12に供給された乾燥及び清浄化された空気であるため、フィルタ17に捕捉された水分及び油分をフィルタ17から除去させる。よって、再生制御弁21は、ECU80によって所定の期間だけ開弁させられる。所定の期間は、フィルタ17を再生させることのできる期間が論理、実験、又は経験に基づいて設定される。
【0031】
コンプレッサ4とフィルタ17との間には、ドレン排出弁25に接続される分岐通路16が設けられている。分岐通路16の末端にはドレン排出口27が設けられている。
フィルタ17から除去された水分及び油分を含むドレンは、圧縮空気とともにドレン排出弁25に送られる。ドレン排出弁25は、空気圧で駆動する空気圧駆動式の弁であって、空気供給通路18の分岐通路16において、フィルタ17とドレン排出口27との間に設けられている。ドレン排出弁25は、閉弁位置及び開弁位置の間で位置を変更する2ポート2位置弁である。ドレン排出弁25は、開弁位置でドレンをドレン排出口27へ送る。ドレン排出口27から排出されたドレンは、図示しないオイルセパレータによって回収されてもよい。
【0032】
ドレン排出弁25は、ガバナ26Aによって制御される。ガバナ26Aは、電磁弁であって、ECU80から配線E63を介して電源の入り切り(駆動/非駆動)が操作されて作動する。ガバナ26Aは、電源が入れられると、ドレン排出弁25に空圧信号を入力することで、ドレン排出弁25を開弁させる。また、ガバナ26Aは、電源が切られると、ドレン排出弁25に空気圧信号を入力せずに大気圧とすることで、ドレン排出弁25を閉弁させる。なお、ガバナ26Aが第2の電磁弁として機能する。
【0033】
ドレン排出弁25は、ガバナ26Aから空圧信号を入力していない状態で閉弁位置に維持され、ガバナ26Aから空圧信号を入力すると開弁位置となる。また、ドレン排出弁25のコンプレッサ4側の入力ポートが上限値を超えて高圧になった場合、ドレン排出弁25が強制的に開弁位置に切り替えられる。
【0034】
コンプレッサ4とフィルタ17との間であって、かつ、コンプレッサ4と分岐通路16の間には上流チェックバルブ15が設けられている。上流チェックバルブ15は、コンプレッサ4側を上流、フィルタ17側を下流としたとき、上流から下流への空気の流れのみを許容する。上流チェックバルブ15は、所定の開弁圧(封止圧)を有していることから、圧縮空気が流れるとき、上流の圧力は下流の圧力よりも開弁圧だけ高くなる。なお、上流チェックバルブ15の上流には、コンプレッサ4の出口のリード弁が設けられており、同下流には、分岐通路16やフィルタ17が設けられている。
【0035】
<コンプレッサ4>
コンプレッサ4は、アンロード制御弁26Bによって制御される。アンロード制御弁26Bは、電磁弁であって、ECU80から配線E62を介して電源が入り切り(駆動/非駆動)操作されることに応じて作動する。アンロード制御弁26Bは、電源が切られると、開放位置になって、コンプレッサ4との間の流路を大気開放する。また、アンロード制御弁26Bは、電源が入れられると、供給位置になって、コンプレッサ4に圧縮空気からなる空圧信号を送る。なお、アンロード制御弁26Bが第1の電磁弁として機能する。
【0036】
コンプレッサ4は、アンロード制御弁26Bから空圧信号を入力すると、非稼働状態(空運転)となる。例えば、供給回路12の圧力が上限圧に到達したとき、乾燥した圧縮空気の供給が不要である。供給回路12の圧力は、図示しない圧力センサで測定されてECU80に入力されている。アンロード制御弁26Bは、圧力センサの測定結果に基づいてECU80から電源が入れられる(駆動される)と供給位置になる。これにより、アンロード制御弁26Bから、コンプレッサ4に空圧信号が供給される。
【0037】
<センサ>
コンプレッサ4と上流チェックバルブ15との間には、圧力センサ50が設けられている。圧力センサ50は、接続された空気供給通路18の空気圧を測定して、測定した結果を配線E61を介してECU80に伝達する。
【0038】
下流チェックバルブ19と供給回路12との間には、湿度センサ51及び温度センサ52が設けられている。湿度センサ51及び温度センサ52はそれぞれ、フィルタ17の下流の圧縮空気の湿度、空気の温度を測定して、測定したそれぞれの結果を配線E65,E66を介してECU80に出力する。ECU80は、入力した圧縮空気の湿度及び圧縮空気の温度に基づいて露点を計算する。湿度センサ51、温度センサ52及びECU80で湿度計測部が構成される。例えば、コンプレッサ4の出力する圧縮空気の湿度が略100%であるとすると、100%と測定した湿度との差と、温度における飽和水蒸気量とに基づいてフィルタ17で除去された水分量が算出できる。
【0039】
<空気乾燥回路11の動作説明>
図2に示すように、空気乾燥回路11は、第1動作モード~第6動作モードの6つの動作モードを有している。
【0040】
図2(a)に示すように、第1動作モードは、供給処理のために通常のロード動作を行うモードであって、再生制御弁21、ガバナ26A及びアンロード制御弁26Bをそれぞれ上流側(供給回路12側)を閉弁する(図において「CLOSE」と記載)モードである。このとき、再生制御弁21、ガバナ26A及びアンロード制御弁26Bはそれぞれ、電源が供給されない。また、ガバナ26A及びアンロード制御弁26Bはそれらの下流に接続されるコンプレッサ4のポート及びドレン排出弁25のポートをそれぞれ大気開放する。第1動作モードは、コンプレッサ4から圧縮空気が供給されているとき(図において「ON」と記載)、乾燥剤で水分、油分を除去し、供給回路12に圧縮空気を供給する。
【0041】
図2(b)に示すように、第2動作モードは、パージ処理のためにコンプレッサ停止動作(パージ有り)を行うモードであって、再生制御弁21を閉弁し、ガバナ26A及びアンロード制御弁26Bをそれぞれ開弁する(図において「OPEN」と記載)モードである。このとき、ガバナ26A及びアンロード制御弁26Bはそれぞれ、電源が供給されるとともに、それらの下流に接続されるコンプレッサ4のポート及びドレン排出弁25のポートをそれぞれ上流側(供給回路12側)に接続する。第2動作モードは、コンプレッサ4が非稼働状態であるとき(図において「OFF」と記載)、フィルタ17の乾燥剤中や空気供給通路18にある圧縮空気を、ドレン排出口27から水分やオイル等とともに排出させて、フィルタ17の乾燥剤中や空気供給通路18の空気圧を大気圧にする。
【0042】
図2(c)に示すように、第3動作モードは、再生処理のための再生動作を行うモードであって、再生制御弁21、ガバナ26A及びアンロード制御弁26Bをそれぞれ開弁するモードである。このとき、再生制御弁21にも電源が供給される。第3動作モードは、コンプレッサ4を非稼働状態とさせるとともに、供給回路12の圧縮空気をフィルタ17(乾燥剤中)に逆流させて、ドレン排出口27から排出させることでフィルタ17の乾燥剤の水分を除去する。
【0043】
図2(d)に示すように、第4動作モードは、オイルカット動作を行うモードであって、再生制御弁21及びアンロード制御弁26Bをそれぞれ閉弁させるとともに、ガバナ26Aを一定期間開弁させた後に閉弁させるモードである。第4動作モードは、コンプレッサ4が稼働状態であるとき、一定期間、コンプレッサ4の供給する圧縮空気をドレン排出口27から排出させることで、例えば、非稼働状態から稼働状態に切り替わった直後であって、比較的多くの油分を含む圧縮空気がドレン排出口27から排出され、フィルタ17の劣化を軽減することができる。稼働状態でエンジン回転数が大きくなるときやエンジンの高負荷時等にコンプレッサ4からのオイルが増加する際には、オイルカット動作を行うこともできる。
【0044】
図2(e)に示すように、第5動作モードは、コンプレッサ停止動作(パージ無し)を行うモードであって、再生制御弁21及びガバナ26Aをそれぞれ閉弁させるとともに、アンロード制御弁26Bを開弁させるモードである。第5動作モードは、コンプレッサ4が非稼働状態であるとき、空気供給通路18やフィルタ17の乾燥剤中に残留する圧縮空気をドレン排出口27から排出させないことで空気圧を維持させる。
【0045】
図2(f)に示すように、第6動作モードは、与圧処理のためにアシスト動作を行うモードであって、再生制御弁21及びアンロード制御弁26Bをそれぞれ開弁させるとともに、ガバナ26Aを閉弁させるモードである。第6動作モードは、コンプレッサ4が非稼働状態であるとき、空気供給通路18やフィルタ17の乾燥剤中に供給回路12の圧縮空気を供給(逆流)することで大気圧よりも高い圧力にして、上流チェックバルブ15の背圧(空気圧)を大気圧よりも高い圧力に維持させる。
【0046】
<圧縮空気使用量適正化動作>
図3図6を参照して、圧縮空気使用量適正化動作について説明する。
フィルタ17の除湿性能を回復させるための再生動作やパージ動作は多少なりとも圧縮空気を消費するため、消費した圧縮空気を供給するためにコンプレッサ4の運転負荷を増加させる。詳述すると、エンジン等の回転駆動源から伝達される回転力で圧縮空気を生成するコンプレッサ4の運転負荷の増加は、回転駆動源の負荷を増加させて、燃料等のエネルギーの消費量を増加させる。そこで、再生動作やパージ動作の実行条件の設定により再生動作やパージ動作を行う回数等の適正化を図ることで、圧縮空気の使用量を適正化することができ、コンプレッサ4の負荷低減を図るようにしている。
【0047】
また、再生動作やパージ動作が実行されない場合で、コンプレッサ4が空運転しているとき、ドレン排出弁25が封止されて、コンプレッサ4の供給した圧縮空気でフィルタ17の乾燥剤中や空気供給通路18内の空気圧を大気圧より高い圧力に維持される。これにより、コンプレッサアシストに相当する効果が得られ、空運転しているコンプレッサ4の運転負荷の軽減を図ることができる。
【0048】
図3に示すように、空気供給システム10は、圧縮空気の供給を開始すると、コンプレッサ4の出力する圧縮空気を供給回路12に供給する空気供給工程を行う(図3のステップS10)。空気供給工程では、空気乾燥回路11が第1動作モードにあり、コンプレッサ4から供給された圧縮空気の水分や油分を取り除いて供給回路12に出力する。なお、空気供給工程は、供給回路12の空気圧、例えばエアタンク内の空気圧が上限値を越えると終了する。
【0049】
空気供給工程(図3のステップS10)で空気供給動作が終了すると、空気供給システム10は、コンプレッサ4を非稼働状態にさせるとともに、ドライヤ再生工程を行う(図3のステップS11)。ドライヤ再生工程では、フィルタ17を再生するドライヤ再生処理が行われる。
【0050】
図4に示すように、ドライヤ再生処理では、ECU80が湿度測定工程を行う(図4のステップS20)。湿度測定工程では、湿度センサ51が計測した湿度と、温度センサ52が計測した温度とに基づいて、ECU80で圧縮空気の湿度が計測される。
【0051】
続いて、ECU80は、湿度が「中」程度以上であるか否かを判定する(図4のステップS21)。ECU80は、圧縮空気の湿度が低湿度閾値以上であるとき、湿度が「中」程度以上であると判定し、圧縮空気の湿度が低湿度閾値未満であるとき、湿度が「中」程度以上ではないと判定する。
【0052】
そして、湿度が「中」程度以上であると判定した場合(図4のステップS21でYES)、ECU80は、空気乾燥回路11を第2動作モードとして、コンプレッサ停止動作(パージ有り)を行って(図4のステップS22)から、湿度が「高」程度以上であるか否かを判定する(図4のステップS24)。ECU80は、圧縮空気の湿度が高湿度閾値以上であるとき、湿度が「高」程度以上であると判定し、圧縮空気の湿度が高湿度閾値未満であるとき、湿度が「高」程度以上であると判定する。
【0053】
湿度が「高」程度以上であると判定した場合(図4のステップS24でYES)、ECU80は、空気乾燥回路11を第3動作モードとして、再生動作を行う(図4のステップS25)。そして、再生処理が終了すると、ECU80は、ドライヤ再生工程(図3のステップS11)を終了し、処理を次のステップに進める。
【0054】
一方、湿度が「高」程度未満であると判定した場合(図4のステップS24でNO)、ECU80は、ドライヤ再生工程(図3のステップS11)を終了し、処理を次のステップに進める。
【0055】
他方、湿度が「中」程度未満であると判定した場合(図4のステップS21でNO)、ECU80は、空気乾燥回路11を第5動作モードとして、コンプレッサ停止動作(パージ無し)を行う(図4のステップS23)。コンプレッサ停止動作(パージ無し)を行うことにより、コンプレッサ4の停止後、フィルタ17の乾燥剤中や空気供給通路18が大気解放されないため、コンプレッサアシストの効果が期待できる。これによっても、ドライヤ再生工程(図3のステップS11)が終了し、処理が次のステップに進む。
【0056】
これにより、コンプレッサ4が空運転であるとき、コンプレッサ4が供給した圧縮空気の湿度が高く、乾燥剤による水分吸収量が多いのであれば、ドレン排出弁に連通される空気供給通路18やフィルタ17の乾燥剤中から空気とともに油水分が排出されるので空気の清浄性が維持される(ステップS22,S25)。このとき、湿度が「高」程度以上であれば、供給回路12から逆流させた圧縮空気を使用する再生動作が行われ(ステップS25)、湿度が「中」程度以上であれば、空気乾燥回路11に残留している圧縮空気を使用するパージ動作が行われる(ステップS22)。逆に、コンプレッサ4が供給した圧縮空気の湿度が低く、乾燥剤の水分吸収量が少なく、さらに圧縮空気と共にコンプレッサ4から排出されるオイルの量が少ないのであれば、空気供給通路18やフィルタ17の乾燥剤中から空気が排出されないので圧縮空気の消費が抑制される(ステップS23)。
【0057】
続いて、図3に示すように、空気供給システム10は、空気非供給工程を行う(図3のステップS12)。ECU80は、空気非供給工程では、コンプレッサ停止動作中において、上流チェックバルブ15の背圧が高く維持されるように空気非供給処理を行う。
【0058】
詳述すると、図5に示すように、空気非供給処理では、ECU80は非供給時動作を行う(図5のステップS30)。非供給時動作では、ECU80は、圧力センサ50の測定値に基づいて圧力調整工程を行う(図6)。圧力調整工程では、ECU80が圧力調整処理を行う。例えば、圧力調整処理は、フィルタ17の乾燥剤中や空気供給通路18内の空気圧を必要に応じて調整する。
【0059】
図6に示すように、ECU80は、圧力調整処理では、フィルタ17の乾燥剤中や空気供給通路18内の空気圧が低いか否かを判定する(図6のステップS40)。ECU80は、圧力センサ50の測定値が低圧閾値以下であれば空気圧が低いと判定し、圧力センサ50の測定値が低圧閾値より大きければ空気圧が低くないと判定する。なお、本実施形態では、圧力センサ50の下流側に上流チェックバルブ15が設けられていることから圧力センサ50の値が安定し、アシスト動作やパージ動作の回数を少なく抑えることができる。
【0060】
空気圧が低いと判定した場合(図6のステップS40でYES)、ECU80は、空気乾燥回路11を第6動作モードとして、アシスト動作を行い(図6のステップS41)、その後、空気乾燥回路11を第5動作モードとして、コンプレッサ停止動作(パージ無し)を行う(図6のステップS42)。一方、空気圧が低くないと判定した場合(図6のステップS40でNO)、ECU80は、空気乾燥回路11を第5動作モードとして、コンプレッサ停止動作(パージ無し)を行う(図6のステップS42)。
【0061】
また、ECU80は、空気圧が高いか否かを判定する(図6のステップS43)。ECU80は、圧力センサ50の測定値が高圧閾値以上であれば空気圧が高いと判定し、圧力センサ50の測定値が低圧閾値未満であれば空気圧が高くないと判定する。
【0062】
空気圧が高いと判定した場合(図6のステップS43でYES)、ECU80は、空気乾燥回路11を第2動作モードとして、コンプレッサ停止動作(パージ有り)を行う(図6のステップS44)とともに、空気乾燥回路11を第5動作モードとして、コンプレッサ停止動作(パージ無し)を行う(図6のステップS45)。一方、空気圧が高くないと判定した場合(図6のステップS43でNO)、ECU80は、空気乾燥回路11を第5動作モードとして、コンプレッサ停止動作(パージ無し)を行う(図6のステップS45)。これにより、上流チェックバルブ15の背圧が大気圧よりも高く維持されて、コンプレッサアシストが可能になる。つまり、空気圧の高さは、「大気圧<低圧閾値<高圧閾値」の関係を有している。次に、ECU80は、空気圧判定処理を行う(図6のステップS46)。空気圧判定処理では、圧力センサ50の測定値が高圧閾値未満、かつ、低圧閾値以上であれば空気圧が「適切」であると判定され、高圧閾値以上、又は、定圧閾値未満であれば空気圧が「不適切」であると判定される。
【0063】
そして、図5に示すように、圧力調整処理が終了すると非供給時動作(図5のステップS30)が終了して、次のステップに進む。
続いて、空気非供給処理を終了するか否かを判定する(図5のステップS31)。ECU80は、コンプレッサ4を負荷運転する必要がある場合、空気非供給処理を終了すると判定する一方、コンプレッサ4を負荷運転する必要がない場合、空気非供給処理を終了しないと判定する。
【0064】
すなわち、空気非供給処理を終了しないと判定した場合(図5のステップS31でNO)、ECU80は、引き続き非供給時動作(図5のステップS30)を行う。一方、空気非供給処理を終了すると判定した場合(図5のステップS31でYES)、空気非供給工程(図3のステップS13)を終了して、次のステップに進む。
【0065】
そして、図3に示すように、空気供給を終了するか否かが判定される(図3のステップS13)。空気供給は、例えば、車両のエンジン停止等に基づいて終了すると判定され、車両のエンジン回転の継続等に基づいて終了しないと判定される。
【0066】
空気供給を終了しないと判定した場合(図3のステップS13でNO)、ECU80は、ステップS10に処理を戻し、空気供給工程(図3のステップS10)以下の処理を実行する。一方、空気供給を終了すると判定した場合(図3のステップS13でYES)、空気の供給を停止する。
【0067】
以上説明したように、本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
(1)アンロード制御弁26Bでコンプレッサ4の負荷運転と空運転とが切り替えられ、湿度測定部で測定された湿度に応じてガバナ26Aでドレン排出弁25の封止と連通とが切り替えられる。よって、コンプレッサ4が空運転になったとき、ドレン排出弁25を封止させておくことができる。例えば、空気が乾燥しているとき、ドレン排出弁25を封止させておけば、コンプレッサ4の供給した空気圧によって空気供給通路18内の空気圧やドライヤのフィルタ17の乾燥剤中の空気圧を大気圧より高い圧力に維持できる。これにより、圧縮空気の消費量を抑制することができる。
【0068】
(2)コンプレッサ4が空運転であるとき、供給した圧縮空気の湿度が高いのであれば、フィルタ17の乾燥剤による水分吸収量が多いので、ドレン排出弁25に連通される空気供給通路18やフィルタ17の乾燥剤中から空気とともに油水分が排出されることで空気の清浄性が維持できる。逆に、供給した圧縮空気の湿度が低いのであれば、フィルタ17の乾燥剤の水分吸収量が少ないので、空気供給通路18やフィルタ17の乾燥剤中の空気圧が維持されるので圧縮空気の消費が抑制できる。
【0069】
(3)再生制御弁21を開弁することで乾燥した圧縮空気を、例えばエアタンクから逆流させることが可能となるので、例えば、逆流した乾燥空気によるフィルタ17の乾燥剤の再生処理が可能になる。
【0070】
(4)所定の期間だけ再生制御弁を開弁する制御ができるので所定の期間の再生処理が可能になる。
(5)圧力調整処理により、たとえ再生処理が行われた後であっても、空気供給通路18内の空気圧やフィルタ17の乾燥剤中の空気圧が高い状態に維持される。例えば、コンプレッサアシストが可能になる。
【0071】
(第2の実施形態)
図7及び図8を参照して、空気供給システムの第2の実施形態について説明する。本実施形態は、通常の負荷運転中にオイルカット処理が行われる点が第1の実施形態と相違する。ここでは、負荷運転が開始されるときにオイルカット処理を行う場合の実施例について説明する。
【0072】
図7に示すように、空気供給システム10は、空気の供給が開始されると、まず、オイルカット工程(図7のステップS83)でオイルカット処理を行う。
図8に示すように、オイルカット処理では、ECU80は、オイルカットを行うか否かを判定する(図8のステップS90)。オイルカットが必要であると判定した場合(図8のステップS90でYES)、ECU80は、空気乾燥回路11を第4の動作モード(図2(d)参照)にし、オイルカット動作を行う(図8のステップS91)。他方、オイルカットが必要ではないと判定した場合(図8のステップS90でNO)、又は、ステップS91のオイルカット動作が終了した場合、ECU80は、オイルカット工程(図7のステップS83)を終了する。
【0073】
続いて、第1の実施形態で空気の供給が開始されたときと同様の工程を行う。つまり、空気供給システム10は、コンプレッサ4の出力する圧縮空気を供給回路12に供給する空気供給工程(図7のステップS80)、ドライヤ再生工程(図7のステップS81)、及び、空気非供給工程(図7のステップS82)を順次行う。
【0074】
そして、ECU80で空気供給を終了するか否かの判定する(図7のステップS84)。
空気供給を終了しないと判定した場合(図7のステップS84でNO)、ECU80は、処理をステップS83に戻して空気供給工程を継続する。他方、空気供給工程を終了すると判定した場合(図7のステップS84でYES)、空気の供給が停止される。
【0075】
以上説明したように、本実施形態によれば、第1の実施形態に記載の効果(1)~(5)に加えて、以下の効果が得られるようになる。
(6)比較的多くの油分を含む圧縮空気がドレン排出口27から排出されるので、フィルタ17が油水分によって劣化するおそれを軽減することができる。例えば、コンプレッサ4が非稼働状態から稼働状態に切り替わった直後に実施するとよい。
【0076】
(第3の実施形態)
図9を参照して、空気供給システムの第3の実施形態について説明する。本実施形態は、コンプレッサ4が負荷運転を行っている最中に強制再生処理を行う点が第1の実施形態と相違する。本実施形態では、コンプレッサ4が負荷運転を行っているとき、圧縮空気の湿度を測定し、測定された湿度に基づいて強制再生処理を行う。
【0077】
図9に示すように、空気供給が開始されると、ECU80は、コンプレッサ4の出力する圧縮空気を供給回路12に供給する空気供給動作を行う(図9のステップS100)。また、ECU80は、供給回路12に供給する圧縮空気の湿度を測定する湿度測定工程を行う(図9のステップS101)。
【0078】
そして、ECU80は、「再生処理」が必要か否かを判定する(図9のステップS102)。
「再生処理」が必要であると判定した場合(図9のステップS102でYES)、ECU80は、空気乾燥回路11を第3の動作モード(図2(c)参照)にし、強制的に再生動作を行う(図9のステップS103)。他方、「再生処理」が不要であると判定した場合(図9のステップS102でNO)、ECU80は、コンプレッサ4の負荷運転(第1動作モード)を維持したまま、空気供給を終了するか否かを判定する(図9のステップS104)。
【0079】
空気供給を終了しないと判定した場合(図9のステップS104でNO)、ECU80は、処理を図9のステップS100に戻して空気供給工程を継続する。他方、空気供給工程を終了すると判定した場合(図9のステップS104でYES)、空気の供給が停止される。
【0080】
以上説明したように、本実施形態によれば、第1及び第2の実施形態に記載の効果(1)~(6)に加えて、以下の効果が得られるようになる。
(7)空気供給中でも再生処理を行うことができるのでフィルタ17の劣化を抑制することができる。
【0081】
(他の実施形態)
なお、上記各実施形態は、以下のような形態をもって実施することもできる。
・上記各実施形態は、矛盾が生じない範囲で組み合わせてもよい。例えば、第1の実施形態に、第2及び第3の実施形態の少なくとも一方を組み合わせてもよい。
【0082】
・上記各実施形態では、圧力センサ50が上流チェックバルブ15の上流側に設けられている場合について例示した。しかしこれに限らず、圧力センサが上流チェックバルブの下流側に設けられていてもよい。これにより、分岐通路の空気圧を直に検出することができる。
【0083】
・上記各実施形態では、フィルタ17は、乾燥剤及び濾過部を有する構成としたが、それらのいずれか一方を有する構成であってもよい。
・上記各実施形態では、フィルタ17が設けられる場合について例示したが、これに限らず、フィルタ17の上流にオイルミストセパレータが設けられてもよい。
【0084】
オイルミストセパレータは、圧縮空気との衝突により気液分離を行うフィルタを備え、コンプレッサ4から送られる圧縮空気に含まれる油分を捕捉する。フィルタは、金属材を圧縮成形したものでもよいし、スポンジなどの多孔質材でもよい。このオイルミストセパレータが設けられることで圧縮空気の清浄性をより高めることができる。
【0085】
・ECU80は、空気乾燥回路11を第3動作モードで再生処理を行った後、第5動作モード又は第2動作モードを介さずに、ガバナ26Aを非駆動とさせてドレン排出弁25を閉じることで第6動作モードにしてコンプレッサアシストをすることができるようにしてもよい。これにより、再生処理が行われた後であっても、すみやかに接続通路内や乾燥剤中の空気圧が高い状態に維持される。いわゆる、コンプレッサアシストが可能になる。
【0086】
・上記各実施形態では、湿度センサ51、温度センサ52及びECU80で湿度計測部が構成される場合について例示した。しかしこれに限らず、湿度を計測することができれば、湿度計測部がセンサを含む装置で構成されていてもよい。例えば、ECUを利用しての演算を行うものではなくてもよい。
【0087】
・上記各実施形態では、空気供給システム10は、トラック、バス、建機等の自動車に搭載されるものとして説明した。これ以外の態様として、空気供給システムは、乗用車、鉄道車両等、他の車両に搭載されてもよい。
【符号の説明】
【0088】
4…コンプレッサ、10…空気供給システム、11…空気乾燥回路、11A…内部、12…供給回路、15…上流チェックバルブ、16…分岐通路、17…フィルタ、18…空気供給通路、19…下流チェックバルブ、20…バイパス流路、21…再生制御弁、22…オリフィス、25…ドレン排出弁、26A…ガバナ、26B…アンロード制御弁、27…ドレン排出口、50…圧力センサ、51…湿度センサ、52…温度センサ、80…ECU、E61~E66…配線、P12…メンテナンス用ポート。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9