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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-04
(45)【発行日】2023-09-12
(54)【発明の名称】縦型加熱炉
(51)【国際特許分類】
   F27B 9/20 20060101AFI20230905BHJP
   F27B 9/24 20060101ALI20230905BHJP
   F27B 9/40 20060101ALI20230905BHJP
   F27D 19/00 20060101ALI20230905BHJP
   F27D 3/12 20060101ALI20230905BHJP
   F27B 9/06 20060101ALN20230905BHJP
   F27D 1/00 20060101ALN20230905BHJP
   F27B 9/38 20060101ALN20230905BHJP
   F27B 9/39 20060101ALN20230905BHJP
   F27D 11/02 20060101ALN20230905BHJP
【FI】
F27B9/20
F27B9/24 W
F27B9/40
F27D19/00 Z
F27D3/12 Z
F27B9/06
F27D1/00 G
F27B9/38
F27B9/39
F27D11/02 B
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022165220
(22)【出願日】2022-10-14
【審査請求日】2022-11-16
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004293
【氏名又は名称】株式会社ノリタケカンパニーリミテド
(74)【代理人】
【識別番号】100117606
【弁理士】
【氏名又は名称】安部 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(72)【発明者】
【氏名】岡島 上士
【審査官】櫻井 雄介
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-037806(JP,A)
【文献】特開2001-116464(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F27B 9/20
F27B 9/24
F27B 9/40
F27D 19/00
F27D 3/12
F27B 9/06
F27D 1/00
F27B 9/38
F27B 9/39
F27D 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高さ方向に沿って被搬送物が搬送される炉内空間を内部に有する炉体と、
前記炉内空間に設けられ、前記被搬送物が搬送される搬送領域の周囲に高さ方向に沿って回転軸が設定された複数の回転体と、
前記回転体を前記回転軸周りに回転させる回転装置と、
前記複数の回転体のうち少なくとも1つの回転体を前記回転軸に沿って昇降させる昇降装置と
を備え、
前記複数の回転体は、
前記被搬送物を支持する複数の支持部を有する第1部と、
前記第1部とは異なる位置に設けられた第2部と
をそれぞれ備え、
前記複数の支持部は、前記第1部において高さ方向に沿って予め定められた間隔で設けられており、
前記回転体が前記被搬送物を支持する時には、前記回転装置は、前記第1部の前記支持部が前記被搬送物を支持可能な位置に移動するように前記回転体を回転させ、かつ、前記昇降装置は、前記複数の回転体のうち、前記被搬送物を支持する前記回転体を上昇または下降させ、
前記回転体が前記被搬送物を支持しない時には、前記回転装置は、前記第2部を前記被搬送物の側面に向けるように前記回転体を回転させ、前記第2部は、前記被搬送物のずれを矯正する予め定められた位置であって、前記回転軸の周方向において前記被搬送物の前記側面と対向する位置に配置される、縦型加熱炉。
【請求項2】
前記第2部は、前記第1部が設けられている面とは反対側の面に設けられている、請求項1に記載された縦型加熱炉。
【請求項3】
前記第1部と前記第2部は、同一平面上に設けられている、請求項1に記載された縦型加熱炉。
【請求項4】
前記支持部は、前記被搬送物の下面を支持する水平な上端面を有している、請求項1~3のいずれか一項に記載された縦型加熱炉。
【請求項5】
前記複数の回転体は、それぞれ対角線上に配置された第1回転体群と、第2回転体群とを含み、前記第1回転体群は、同じタイミングで回転し、前記第2回転体群は、同じタイミングで回転するように構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載された縦型加熱炉。
【請求項6】
前記第1回転体群が前記被搬送物を支持しない時には、前記第1回転体群の第2部は、前記被搬送物の一対の第1側面に向けられ、
前記第2回転体群が前記被搬送物を支持しない時には、前記第2回転体群の第2部は、前記被搬送物の、前記一対の第1側面とは異なる一対の第2側面に向けられるように構成されている、請求項5に記載された縦型加熱炉。
【請求項7】
前記回転装置および前記昇降装置を制御する制御装置をさらに備え、
前記制御装置は、
前記第1回転体群の前記第2部が前記被搬送物の側面に向けられた状態で前記被搬送物を支持する前記第2回転体群を上昇または下降させる処理と、
前記第2回転体群の前記第2部が前記被搬送物の側面に向けられた状態で前記被搬送物を支持しない前記第2回転体群を上昇または下降させる処理と
が実行されるように構成された、請求項5に記載された縦型加熱炉。
【請求項8】
前記回転装置および前記昇降装置を制御する制御装置をさらに備え、
前記制御装置は、
前記第2回転体群の前記第2部が前記被搬送物の側面に向けられた状態で前記被搬送物を支持する前記第1回転体群を上昇または下降させる処理と、
前記第1回転体群の前記第2部が前記被搬送物の側面に向けられた状態で前記被搬送物を支持する前記第2回転体群を上昇または下降させる処理と、が実行されるように構成された、請求項5に記載された縦型加熱炉。
【請求項9】
前記昇降装置が前記被搬送物を昇降させる時には、前記被搬送物を支持しない前記回転体の前記第2部は、前記被搬送物のずれを矯正する予め定められた位置よりも前記被搬送物から離れた位置に配置される、請求項1~3のいずれか一項に記載された縦型加熱炉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、縦型加熱炉に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2022-037806号公報には、被搬送物を上下方向に搬送可能な縦型加熱炉についていくつかの形態が開示されている。このうち同公報の図18図21には、送り支持部材として、一対の第1ラック軸および一対の第2ラック軸が用いられている縦型加熱炉が開示されている。かかる形態では、第1ラック軸および第2ラック軸は、被搬送物を支持する複数の支持歯を有している。支持歯は、高さ方向に沿って一定の間隔で形成されている。被搬送物は、一対の第1ラック軸および一対の第2ラック軸によって四隅から支持される。一対の第1ラック軸および一対の第2ラック軸は、それぞれ垂直アクチュエータによって上下方向に駆動される。また、一対の第1ラック軸および一対の第2ラック軸は、それぞれロータリーアクチュエータによって回転軸線周りに90度回転駆動される。これによって、一対の第1ラック軸および一対の第2ラック軸では、被搬送物を支持する状態と被搬送物を支持しない状態とが切り替えられる。かかる縦型加熱炉によれば、一対の第1ラック軸および一対の第2ラック軸では、被搬送物を支持する状態と被搬送物を支持しない状態とが切り替えられつつ、被搬送物が縦方向に搬送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2022-037806号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特開2022-037806号公報に開示された上記形態の縦型加熱炉では、一対の第1ラック軸および一対の第2ラック軸では、被搬送物を支持する状態と被搬送物を支持しない状態とが切り替えられつつ、被搬送物が縦方向に搬送される。しかし、本発明者がさらに試行したところ、搬送が進むにつれて被搬送物の位置がずれる事象があることが分かった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ここで開示される縦型加熱炉は、高さ方向に沿って被搬送物が搬送される炉内空間を内部に有する炉体と、炉内空間に設けられ、被搬送物が搬送される搬送領域の周囲に高さ方向に沿って回転軸が設定された複数の回転体と、回転体を回転軸周りに回転させる回転装置と、複数の回転体のうち少なくとも1つの回転体を回転軸に沿って昇降させる昇降装置とを備えている。複数の回転体は、被搬送物を支持する複数の支持部を有する第1部と、第1部とは異なる位置に設けられた第2部とをそれぞれ備えている。複数の支持部は、第1部において高さ方向に沿って予め定められた間隔で設けられている。回転体が被搬送物を支持する時には、回転装置は、第1部の支持部が被搬送物を支持可能な位置に移動するように回転体を回転させ、かつ、昇降装置は、複数の回転体のうち、被搬送物を支持する回転体を上昇または下降させる。回転体が被搬送物を支持しない時には、回転装置は、第2部を被搬送物の側面に向けるように回転体を回転させ、第2部は、被搬送物のずれを矯正する予め定められた位置に配置される。かかる縦型加熱炉では、搬送時に被搬送物がずれる場合にも、位置が矯正されやすい。これによって、被搬送物の搬送ずれが抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、縦型加熱炉10の模式的な断面図である。
図2図2は、縦型加熱炉10の模式的な断面図である。
図3図3は、制御装置60による制御を示すタイムチャートである。
図4図4は、第1回転体群30および第2回転体群40の動作を示す模式図である。
図5図5は、第1回転体群30および第2回転体群40の動作を示す模式図である。
図6図6は、第1回転体群30および第2回転体群40の動作を示す模式図である。
図7図7は、制御装置60による制御を示すタイムチャートである。
図8図8は、他の実施形態にかかる制御装置60による制御を示すタイムチャートである。
図9図9は、第1回転体群30および第2回転体群40の模式図である。
図10図10は、他の実施形態にかかる制御装置60による制御を示すタイムチャートである。
図11図11は、他の実施形態にかかる縦型加熱炉10Aを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本開示における実施形態の1つについて、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の図面においては、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付して説明している。また、各図における寸法関係(長さ、幅、厚み等)は実際の寸法関係を反映するものではない。上、下、左、右、前、後の向きは、図中、U、D、L、R、F、Rrの矢印でそれぞれ表されている。ここで、上、下、左、右、前、後の向きは、説明の便宜上、定められているにすぎず、特に言及されない限りにおいて本願発明を限定しない。本明細書において、「高さ方向」は、図中の矢印で示される上下方向と一致している。
【0008】
〈縦型加熱炉10〉
図1および図2は、縦型加熱炉10の模式的な断面図である。図1では、縦型加熱炉10の高さ方向に沿った断面が示されている。なお、図1では、回転体に支持されている被搬送物Aの図示が一部省略されている。図2は、図1のII-II線に沿った炉体11の断面が示されている。図2では、被搬送物Aを支持しうる時の回転体31,32,41,42の位置は、実線で示されており、被搬送物Aを支持ない時の回転体31,32,41,42の位置は、二点鎖線で示されている。
【0009】
図1に示されているように、縦型加熱炉10は、炉体11と、搬送装置20とを備えている。縦型加熱炉10は、搬送装置20を制御する制御装置60をさらに備えている。縦型加熱炉10では、被搬送物Aが高さ方向に沿って搬送される。縦型加熱炉10は、被処理物を加熱処理するためのヒータ15を備えている。被処理物(図示省略)は、被搬送物Aに載せられた状態で炉体11内を搬送されつつ加熱処理される。
【0010】
この実施形態では、被搬送物Aは、板状である。かかる板状の被搬送物Aは、セッターとも称される。被搬送物Aとしては、特に限定されないが、所要の耐熱性および耐反応性を有する材料から構成されるものが適宜選択されうる。この実施形態では、セラミック製の被搬送物Aが用いられている。図2に示されているように、被搬送物Aは、平面視において略正方形状である。被搬送物Aは、一対の第1側面A1(以下、単に側面A1とも称する)と、一対の第2側面A2(以下、単に側面A2とも称する)と、上面A3と、下面A4(図1参照)とを有している。一対の第1側面A1は、互いに略平行に形成されている。一対の第2側面A2は、互いに略平行に形成されている。この実施形態では、被搬送物Aの上面A3には、縦型加熱炉10内で加熱処理される被処理物が載せられる。なお、被搬送物は、かかる形態に限定されない。被搬送物は、例えば、サヤまたは匣鉢とも称される箱状のものであってもよい。被搬送物には、蓋が載せられてもよい。また、被搬送物として、例えば、板状の被処理物が直接搬送されてもよい。
【0011】
〈炉体11〉
炉体11は、高さ方向に沿って被搬送物Aが搬送される炉内空間12を内部に有している。炉内空間12において、被搬送物Aが搬送される搬送領域12aが設定されている。搬送領域12aは、高さ方向に沿って搬送される被搬送物Aが通る領域である。搬送領域12aは、高さ方向において、被搬送物Aが搬入される高さから搬出される高さに設定されている(図1参照)。搬送領域12aは、炉体11の幅方向(左右方向および前後方向)において炉内空間12の略中央部に設定されている。搬送領域12aは、高さ方向に直交する平面において、被搬送物Aの平面形状に対応した形状(この実施形態では、略正方形状)でありうる。
【0012】
図1に示されているように、炉体11は、炉体11の幅方向と比較して炉体11の高さ方向(上下方向)に長く形成されている。炉体11は、側壁11a~11d(図1および図2参照)と、底面部11eと、天井部11fとを有している。炉内空間12は、側壁11a~11d、底面部11eおよび天井部11fに囲まれている。側壁11aおよび側壁11bは、左右方向において互いに対向している。側壁11cおよび側壁11dは、前後方向において互いに対向している(図2参照)。底面部11eおよび天井部11fは、上下方向において互いに対向している。側壁11a~11dの上部および下部には、段差11g,11hが設けられている。炉体11内の炉内空間12は、下部の段差11gよりも下方が狭くなっている。また、炉体11内の炉内空間12は、上部の段差11hよりも上方が狭くなっている。
【0013】
炉体11には、被搬送物Aを搬入するための搬入口13および被搬送物Aを搬出するための搬出口14が設けられている。この実施形態では、搬入口13は、炉体11の下部に設けられている。搬出口14は、炉体11の上部に設けられている。被搬送物Aは、炉内空間12内を下方から上方に向かって搬送される。
【0014】
搬入口13は、側壁11aに設けられている。搬入口13は、側壁11aの段差11gよりも下方を炉体11の厚み方向(左右方向)に沿って貫通して形成されている。搬入口13からは、搬入装置13aによって被搬送物Aが順次搬入される。詳細な説明は省略するが、搬入装置13aは、搬入口13を介して接続されている搬入室13bから炉体11内に被搬送物Aを搬入するための装置でありうる。
【0015】
搬出口14は、側壁11bに設けられている。搬出口14は、側壁11bの段差11hよりも上方を炉体11の厚み方向(左右方向)に沿って貫通して形成されている。搬出口14からは、搬出装置14aによって被搬送物Aが順次搬出される。詳細な説明は省略するが、搬出装置14aは、搬出口14を介して接続されている搬出室14bに炉体11内から被搬送物Aを搬出するための装置でありうる。
【0016】
炉体11の炉内空間12には、ヒータ15が設けられている。ヒータ15は、被処理物を加熱処理するための装置である。ヒータ15は、段差11gよりも上方および段差11hよりも下方の領域に配置されている。この実施形態では、ヒータ15は、円筒形状である。ヒータ15は、側壁11a~11dに形成された貫通孔から炉体11の内部に挿通されている。ヒータ15は、炉内空間12において、一方の側壁11a,11cから他方の側壁11b,11dに架け渡されている。ヒータ15は、高さ方向に沿って間欠的に配置されている。なお、ヒータ15の種類は、特に限定されない。例えば、ヒータは、セラミック製のヒータであってもよく、金属製のヒータであってもよい。ヒータは、円筒形状のものに限られず、例えば、板状のパネルヒータが用いられていてもよい。ヒータの種類および形状は、目的とする加熱温度等の加熱条件に応じて適宜選択されうる。炉体11の炉内空間12には、内部の温度を測定する温度センサが設けられうる。温度センサとしては、例えば、熱電対、赤外線温度計等が用いられうる。
【0017】
この実施形態では、炉体11の側壁11a~11dと、底面部11eと、天井部11fは、断熱材によって構成されている。断熱材としては、例えば、所定の形状に成形されたセラミックファイバーボードが用いられうる。セラミックファイバーボードは、いわゆるバルクファイバーに無機フィラーと無機・有機結合材とが添加されて板状に成形された板材である。炉体11は、例えば、セラミックファイバーボードが炉体11の厚み方向に重ねられて構成されうる。炉体11の側壁11a~11dと、底面部11eと、天井部11fの厚みは、炉内空間12の熱が十分に断熱される程度の所要の厚さに設定されている。
【0018】
炉体11は、基台16に載せられている。基台16は、炉体11が載せられている面とは反対側に、空間を有していてもよい。当該空間には、例えば、炉内空間12内に雰囲気ガスを給排気するための配管、後述する回転体を駆動する駆動装置等が配置されていてもよい。
【0019】
炉体11の側面および上面は、外壁17によって囲まれている。外壁17は、所要の耐熱性および強度を有する金属製の板によって構成されうる。外壁17は、例えば、ステンレス製の板でありうる。この実施形態では、外壁17は、略矩形の板である。炉体11の天井部11fには、外壁17aが取り付けられている。外壁17aは、天井部11fよりも幅広に形成されている。外壁17aの縁部は、炉体11よりも外側に突出している。炉体11の側面(側壁11a~11d)は、周囲を外壁17bに囲まれている。外壁17bの上方および下方の端部は、屈曲されている。外壁17bの当該屈曲された部分は、外壁17aの突出した部分および基台16に接続されている。外壁17bと側壁11a~11dとの間には、空間が形成されている。当該空間には、例えば、炉内空間12内に雰囲気ガスを給排気するための配管、ヒータ15の電極等が配置されうる。
【0020】
図示は省略するが、炉体11には、ガス供給管およびガス排気管が設けられていてもよい。ガス供給管は、炉体11内に雰囲気ガスを供給するための配管である。ガス供給管には、雰囲気ガスを供給するためのガスボンベが接続されうる。特に限定されないが、雰囲気ガスとしては、例えば、窒素、アルゴン、空気、酸素、二酸化炭素、水素等が用いられうる。雰囲気ガスは、被処理物の加熱条件等に応じて適宜選択される。ガス排気管は、炉体11内から雰囲気ガスを排気するための配管である。ガス排気管には、排気ポンプ等の排気装置が接続されうる。被処理物から反応ガスが発生した場合に、ガス排気管からは、当該反応ガスが排気される。炉体11にガス供給管およびガス排気管が設けられていることによって、炉体11内の雰囲気が調整されうる。
【0021】
〈搬送装置20〉
搬送装置20は、被搬送物Aを高さ方向に沿って搬送する装置である。この実施形態では、搬送装置20は、被搬送物Aを下方から上方に向かって順次搬送することができるように構成されている。搬送装置20は、複数の回転体31,32,41,42(図2参照)と、回転装置50と、昇降装置55とを備えている。
【0022】
〈複数の回転体31,32,41,42〉
複数の回転体31,32,41,42は、炉体11の内部の炉内空間12に設けられている。複数の回転体31,32,41,42は、それぞれ高さ方向に延びる略矩形の板状に形成されている。回転体31,32,41,42は、被搬送物が搬送される搬送領域12aの周囲に配置されており、高さ方向に沿って回転軸がそれぞれ設定されている。この実施形態では、回転体31,32は、被搬送物が搬送される搬送領域12aに対して互いに対角に配置されている。回転体41,42は、被搬送物が搬送される搬送領域12aに対して互いに対角に配置されている。回転体31,32,41,42は、回転装置50によって、回転軸周りに回転するように構成されている。回転体31,32,41,42の回転軸は、搬送領域12aの周囲に設定されている。
【0023】
回転体31,32,41,42は、耐熱性に優れた材料によって形成されている。この実施形態では、回転体31,32,41,42は、セラミック製である。回転体31,32,41,42は、略同一形状に形成されている。回転体31,32は、上端部と下端部がそれぞれブラケット33a,34aに装着されて保持されている。回転体31,32の上端部および下端部には、高さ方向に沿った軸33,34が取り付けられている。回転体31,32の軸33,34は、ブラケット33a,34aから上方および下方にそれぞれ延びるように設けられている。回転体41,42は、上端部と下端部がそれぞれブラケット43a,44aに装着されて保持されている。回転体41,42の上端部および下端部には、高さ方向に沿った軸43,44が取り付けられている。回転体41,42の軸43,44は、ブラケット43a,44aから上方および下方にそれぞれ延びるように設けられている。回転体41,42の軸43,44は、ブラケット43a,44aに一体的に設けられていてもよい。図2において、回転体31,32,41,42の軸33,34,43,44に対応する位置は、それぞれ破線で描かれている。
【0024】
この実施形態では、ブラケット33a,34a,43a,44aおよび軸33,34,43,44は、回転体31,32,41,42の上端部と下端部に設けられている。回転体31,32,41,42の上端部と下端部は、炉体11の内部の温度が下げられる位置に配置されている。ブラケット33a,34a,43a,44aおよび軸33,34,43,44は、所要の耐熱性と機械強度を有する金属製の部材であるとよい。回転体31,32は、ブラケット33a,34aおよび軸33,34を介して、後述する回転装置50が取り付けられている。回転体41,42は、ブラケット43a,44aおよび軸43,44を介して、後述する回転装置50と昇降装置55が取り付けられている。
【0025】
回転体31,32は、適宜に、第1回転体群30と称される。回転体41,42は、回転体31,32とは異なる位置に配置されている。回転体41,42は、適宜に、第2回転体群40と称される。この実施形態では、図2に示されているように、複数の回転体31,32,41,42は、第1回転体群30と、第2回転体群40とを含んでいる。第1回転体群30および第2回転体群40は、それぞれ一対設けられている。第1回転体群30の回転体31,32は、搬送領域12aを挟んで対角線上に配置されている。第2回転体群40の回転体41,42は、搬送領域12aを挟んで対角線上に配置されている。この実施形態では、第1回転体群30および第2回転体群40は、前後方向および左右方向において略正方形状に設定された搬送領域12aの角部の外側にそれぞれの回転軸が設けられるように配置されている。以下では、第1回転体群30のことを、単に回転体群30とも称し、第2回転体群40のことを、単に回転体群40とも称する。
【0026】
複数の回転体31,32,41,42は、被搬送物Aを支持する複数の支持部30a1,40a1を有する第1部30a,40aと、第1部30a,40aとは異なる位置に設けられた第2部30b,40bとをそれぞれ備えている。複数の支持部30a1,40a1は、第1部30a,40aにおいて高さ方向に沿って予め定められた間隔で設けられている。以下、回転体31の形状について説明する。
【0027】
図1に示されているように、回転体31は、高さ方向に延びる略矩形の板状に形成されている。回転体31の高さは、回転体の幅D1(図2参照)および厚みD2(図2参照)と比べて長い。回転体31は、高さ方向において炉内空間12に収められる寸法である。回転体31の長さは、炉体11の底面部11eと天井部11fの間の距離よりも短く、かつ、高さ方向に沿った搬送領域の距離よりも長い。回転体31は、第1部30aと、第2部30bとを備えている(図2参照)。
【0028】
この実施形態では、第1部30aは、板状に形成された回転体31の一方の面に設定されている。第1部30aは、複数の支持部30a1を有している。支持部30a1は、被搬送物Aを支持するための部位である。支持部30a1は、第1部30aから突出している。複数の支持部30a1は、第1部30aにおいて高さ方向に沿って予め定められた間隔で設けられている。この実施形態では、支持部30a1の間隔は、被搬送物Aの厚みよりも広い間隔である。支持部30a1の間隔は、被搬送物Aの寸法等に応じて適宜選択されうる。
【0029】
図2に示されているように、支持部30a1は、平面視において、基端から先端に向かってわずかに幅が狭くなった略台形形状である。支持部30a1は、被搬送物Aを支持する上端面30a2を有している。支持部30a1の上端面30a2は、略水平な平面である。換言すると、支持部30a1の上端面30a2は、基端から先端に向かって傾斜していない。これによって、支持部30a1の上端面30a2に載せられた被搬送物Aがずれにくい。支持部30a1の上端面30a2とは反対側の面は、支持部30a1の先端から基端に向かって徐々に厚みが厚くなるように傾斜している。これによって、支持部30a1の強度が向上されている。例えば、縦型加熱炉10が長期使用に伴って支持部30a1に負荷がかかった場合にも、支持部30a1が折れにくい。このため、縦型加熱炉10の耐久性が良好でありうる。なお、支持部30a1の形状は、特に限定されない。
【0030】
第2部30bは、回転体31において第1部30aとは異なる位置に設けられている。この実施形態では、回転体31において、第2部30bは、第1部30aが設けられている面とは反対側の面に設けられている。第2部30bは、略平坦な面である。
【0031】
回転体32は、回転体31と同様、第1部30aおよび第2部30bを備えている。回転体32の第1部30aは、複数の支持部30a1を有している。回転体群40の回転体41,42は、回転体群30の第1部30aおよび第2部30bと同様の第1部40aおよび第2部40bを備えている。回転体41,42の第1部40aは、複数の支持部40a1を有している。支持部40a1は、被搬送物Aを支持する上端面40a2を有している。回転体41,42の支持部40a1の構成は、支持部30a1と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0032】
上述したように、回転体31,32には、高さ方向(回転体31,32の長さ方向)に沿って回転軸が設定されている。回転軸は、回転体31,32の幅方向において一方に偏った位置に設定されている(図2参照)。軸33,34は、回転体31,32に設定されている回転軸に沿って取り付けられている。この実施形態では、軸33,34は、回転体31,32の幅方向の端部に取り付けられている。軸33と軸34は、高さ方向において重なっている。軸33,34は、縦型加熱炉10の高さ方向に直交する平面において、搬送領域12aの周囲に設けられている。軸33,34は、高さ方向に垂直な平面が略正方形状である搬送領域12aの角部の外側に配置されている。回転体41,42と軸43,44の構成および配置は、回転体31,32と軸33,34の構成と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0033】
図1に示されているように、下方の軸34,44は、炉体11の底面部11eに形成されている貫通孔に挿通されている。貫通孔と軸34,44の間は、断熱性および耐熱性を有するシール材によって隙間が埋められていてもよい。底面部11eに挿通されている軸34,44は、基台16に取り付けられたガイド18に挿通されている。ガイド18は、基台16の裏面(炉体11が載せられている面とは反対側の面)に取り付けられている。ガイド18としては、例えば、ブッシュ等が用いられうる。
【0034】
上方の軸33,43は、炉体11の天井部11fに形成されている貫通孔に挿通されている。貫通孔と軸33,43の間は、断熱性および耐熱性を有するシール材によって隙間が埋められていてもよい。軸33,43は、炉体11の外部において、回転装置50に接続されている。この実施形態では、第1回転体群30の回転体31,32に取り付けられている軸33には、回転装置50が接続されている。第2回転体群40の回転体41,42に取り付けられている軸43には、回転装置50および昇降装置55が接続されている。
【0035】
〈回転装置50〉
回転装置50は、回転体31,32,41,42を回転軸周りに回転させる装置である。詳細な図示は省略するが、この実施形態では、回転装置50は、回転体31,32,41,42と同数設けられている。特に限定されないが、回転装置50は、第1回転体群30の回転体31,32それぞれに接続されている2つの回転装置50aと、第2回転体群40の回転体41,42それぞれに接続されている2つの回転装置50bとを含んでいる。回転装置50aは、第1回転体群30を回転軸周りに回転させる。回転装置50bは、第2回転体群40を回転軸周りに回転させる。
【0036】
回転装置50は、接続されているそれぞれの回転体31,32,41,42の回転角度を制御し、回転体31,32,41,42を予め定められた角度に回転させる。この実施形態では、回転装置50は、回転体31,32,41,42を回転させることによって、被搬送物Aを支持しうる支持姿勢と、被搬送物Aの位置を矯正しうる矯正姿勢とを切り替える。回転装置50は、例えば、サーボモータ、ロータリーアクチュエータ等によって実現されうる。
【0037】
回転装置50は、炉体11の外部に設けられている。回転装置50は、炉体11の上部の外壁17aに載せられていてもよい。なお、回転装置50は、必ずしも上方の軸33,43に接続されている必要はない。例えば、回転装置50は、下方の軸34,44に接続されていてもよい。このとき、回転装置50は、基台16の、炉体11が載せられている面とは反対側の空間に設けられうる。回転装置50は、上方の軸33,43および下方の軸34,44の両方に接続されていてもよい。
【0038】
回転装置50に接続されている回転体31,32,41,42には、回転軸が設定されている。この実施形態では、回転体31,32の回転軸は、円柱状の軸33,34の軸中心と一致している。回転体41,42の回転軸は、円柱状の軸43,44の軸中心と一致している。換言すると、回転体31,32,41,42それぞれの回転軸は、取り付けられている軸33,34,43,44によって定められている。
【0039】
図2に示されているように、回転装置50(図1参照)は、回転体31,32,41,42を回転させることによって、支持姿勢と矯正姿勢とを切り替える。なお、回転体31,32,41,42は、それぞれ独立に回転を制御可能に構成されていてもよい。回転体31,32,41,42のうち、いくつかの回転体が同時に回転するように回転が制御されていてもよい。
【0040】
被搬送物Aを支持する時には、回転装置50は、回転体31,32,41,42の第1部30a,40aの支持部30a1,40a1が被搬送物Aを支持可能な位置に移動させるように回転体31,32,41,42を回転させる。この実施形態では、第1回転体群30が被搬送物Aを支持する時には、第1回転体群30の第1部30aは、被搬送物Aの一対の第2側面A2に向けられるように配置される。第2回転体群40が被搬送物Aを支持する時には、第2回転体群40の第1部40aは、被搬送物Aの一対の第1側面A1に向けられるように配置される。これによって、被搬送物Aを支持する回転体は、支持姿勢をとる。
【0041】
この時、第1部30a,40aの支持部30a1,40a1の上端面30a2,40a2は、被搬送物Aの下面A4と対向する位置に配置される。これによって、回転体31,32,41,42は、被搬送物Aを支持可能になる。この時の回転体31,32,41,42の角度を、支持角度とも称する。
【0042】
回転体31,32,41,42が被搬送物Aを支持しない時には、回転装置50は、第2部30b,40bを被搬送物Aの側面A1,A2に向けるように回転体31,32,41,42を回転させる。この実施形態では、第1回転体群30が被搬送物Aを支持しない時には、第1回転体群30の第2部30bは、被搬送物Aの一対の第1側面A1に向けられるように配置される。第2回転体群40が被搬送物Aを支持しない時には、第2回転体群40の第2部40bは、被搬送物Aの一対の第2側面A2に向けられるように配置される。これによって、被搬送物Aを支持しない回転体は、矯正姿勢をとる。
【0043】
この時、第2部30b,40bは、被搬送物Aのずれを矯正する予め定められた位置に配置される。この時の回転体31,32,41,42の角度を、矯正角度とも称する。この実施形態では、第2部30b,40bは、隙間が開けられた状態で被搬送物Aの側面A1,A2と対向する位置に配置される。被搬送物Aの位置が横方向(高さ方向と直交する方向)にずれる場合には、第2部30b,40bが被搬送物Aの側面A1,A2に当たることによって、被搬送物Aの位置が矯正されうる。第2部30b,40bの位置は、被搬送物Aの寸法に合わせて適宜設定されうる。
【0044】
特に限定されないが、図2に示されている実施形態では、回転体31,32,41,42は、支持角度から時計回りに270度回転することによって、矯正角度に切り替えられる。回転体31,32,41,42は、矯正角度から反時計回りに270度回転することによって、支持角度に切り替えられる。なお、回転体の回転する向きおよび角度は、かかる形態に限定されない。回転体の回転する向きおよび角度は、回転体の数、形状、被搬送物の形状等によって適宜設定されうる。
【0045】
この実施形態では、回転体31,32が被搬送物Aを支持せず、かつ、回転体41,42が被搬送物Aを支持した状態で、被搬送物Aが搬送される。回転装置50bは、回転体41,42を、上述した被搬送物Aを支持可能な支持位置に移動させる。回転装置50aは、回転体31,32を、上述した被搬送物Aのずれを矯正する位置に移動させる。この状態で、回転体31,32,41,42のうち、被搬送物Aを支持する回転体41,42は、昇降装置55によって駆動される。これによって、被搬送物Aが上方に搬送される。
【0046】
〈昇降装置55〉
昇降装置55は、回転体を回転軸に沿って昇降させる装置である。昇降装置55は、複数の回転体31,32,41,42のうち、回転体41,42(第2回転体群40)を昇降させる。昇降装置55としては、例えば、シリンダ等が用いられうる。昇降装置55は、炉体11の上部の外壁17aに設けられている。特に限定されないが、昇降装置55は、第2回転体群40に接続された回転装置50aを介して第2回転体群40の上方の軸43に接続されている。この実施形態では、昇降装置55は、第2回転体群40および第2回転体群40が接続された回転装置50bを昇降させる。
【0047】
第2回転体群40は、昇降装置55によって予め設定された位置に昇降されるように構成されている。昇降装置55には、第2回転体群40の基準位置が設定されている。基準位置は、第2回転体群40を昇降させる基準となる位置である。この実施形態では、昇降しない第1回転体群30と第2回転体群40とが同じ高さに配置されるように、基準位置が設定されている。換言すると、第2回転体群40が基準位置にある時には、第1回転体群30と第2回転体群40が同じ高さに配置される。昇降装置55には、第2回転体群40を昇降させる際の昇降位置が設定されている。この実施形態では、第2回転体群40を上昇させる際の上位置が設定されている。上位置は、基準位置から支持部30a1,40a1のピッチ分高い位置に設定されている。昇降装置55は、第2回転体群40を、上述した基準位置および上位置よりもわずかに高い位置または低い位置に昇降させることができるように構成されている。これによって、一方の支持部に支持された被搬送物Aに対して他方の支持部が干渉しない位置に調整されうる。
【0048】
昇降装置55による第2回転体群40の昇降と、回転装置50による第1回転体群30および第2回転体群40の回転が組み合わせられることによって、被搬送物Aは、順次高さ方向に沿って搬送される。この実施形態では、被搬送物Aは、支持部30a1,40a1のピッチに相当する距離ずつ上方に搬送される。
【0049】
この実施形態では、図1に示されているように、昇降装置55は、炉体11上部の外壁17aの略中央部に載せられている。昇降装置55からは、上方に向かってロッド51が延びている。ロッド51には、支持板52が取り付けられている。支持板52には、回転装置50bが取り付けられている。この実施形態では、支持板52には、第2回転体群40の回転体41,42に接続された回転装置50bの両方が取り付けられている。これによって、第2回転体群40の回転体41,42それぞれに昇降装置55を設ける必要がない。また、一対の第2回転体群40が1つの昇降装置55に接続されていることによって、第2回転体群40を昇降させるタイミングを合わせやすい。
【0050】
なお、昇降装置55は、下方の軸44に接続されていてもよく、上方の軸43および下方の軸44の両方に接続されていてもよい。第2回転体群40には、それぞれ別の昇降装置55が接続されていてもよい。この実施形態では、第2回転体群40のみに昇降装置55が接続されているが、かかる形態に限定されない。第1回転体群30および第2回転体群40の両方に昇降装置55が接続され、それぞれ独立に昇降可能に構成されていてもよい。
【0051】
ところで、本発明者の試行では、被搬送物が高さ方向に沿って順次搬送される縦型加熱炉を用いて被搬送物を高さ方向に沿って搬送した場合に、被搬送物が横方向(高さ方向と直交する方向)にずれる事象が発生した。被搬送物を下方から上方に向かって順次搬送する縦型加熱炉において、このような被搬送物の横方向へのずれは、上方に向かうほど大きくなりうる。上方に向かうほど被搬送物の横方向へのずれが大きくなるこのような現象は、下方から上方に向かうに従って、被搬送物の横方向のずれが積み重なることに由来すると、本発明者は考えている。
【0052】
上述した実施形態では、縦型加熱炉10は、炉体11と、炉内空間12に設けられた複数の回転体31,32,41,42と、回転装置50と、昇降装置55とを備えている。炉体11は、高さ方向に沿って被搬送物Aが搬送される炉内空間12を内部に有している。複数の回転体31,32,41,42の回転軸は、被搬送物Aが搬送される搬送領域12aの周囲に高さ方向に沿って設定されている。回転装置50は、回転体31,32,41,42を回転軸周りに回転させる。昇降装置55は、回転体41,42を回転軸に沿って昇降させる。複数の回転体31,32,41,42は、被搬送物Aを支持する複数の支持部30a1,40a1を有する第1部30a,40aと、第1部30a,40aとは異なる位置に設けられた第2部30b,40bとをそれぞれ備えている。複数の支持部30a1,40a1は、第1部30a,40aにおいて高さ方向に沿って予め定められた間隔で設けられている。
【0053】
回転体が被搬送物Aを支持する時には、回転装置50は、第1部30a,40aの支持部30a1,40a1が被搬送物Aを支持可能な位置に移動するように回転体を回転させ、かつ、昇降装置55は、複数の回転体31,32,41,42のうち、被搬送物Aを支持する回転体を上昇させる。回転体が被搬送物Aを支持しない時には、回転装置50は、第2部30b,40bを被搬送物Aの側面A1,A2に向けるように回転体を回転させる。第2部30b,40bは、被搬送物Aのずれを矯正する予め定められた位置に配置される。
【0054】
かかる構成を有する縦型加熱炉10では、被搬送物Aが上昇する時には、被搬送物Aは、昇降装置55に接続された回転体群40の第1部40aの支持部40a1に支持されている。この時、被搬送物Aを支持しない回転体群30は、第2部30bが被搬送物Aの側面A1に向けられる。この状態で被搬送物Aが搬送されることによって、搬送の際に発生しうる被搬送物Aのずれは、回転体群30の第2部30bによって適宜矯正されつつ搬送される。このため、縦型加熱炉10内を搬送される被搬送物Aは、搬送ずれによる搬送トラブルが起こりにくい。
【0055】
また、上昇した第2回転体群40が下降する際には、第2回転体群40の第2部40bが被搬送物Aの側面A2に向けられる。これによって、被搬送物Aが側面A2の方向にずれた場合にも、第2回転体群40の第2部40bによってずれが矯正されうる。このため、縦型加熱炉10内を搬送される被搬送物Aは、ずれが矯正された状態で、搬送されやすい。
【0056】
上述した実施形態では、第1回転体群30が被搬送物Aを支持しない時には、第1回転体群30の第2部30bは、被搬送物Aの一対の第1側面A1に向けられるように配置されている。第2回転体群40が被搬送物Aを支持しない時には、第2回転体群40の第2部40bは、被搬送物Aの一対の第2側面A2に向けられるように配置されている。このため、被搬送物Aを支持しない時には、第1回転体群30と第2回転体群40は、互いに異なる方向から異なる側面A1,A2を矯正する位置に配置される。これによって、被搬送物Aは、両方の側面A1,A2から位置を矯正される。その結果、被搬送物Aの搬送ずれによる搬送トラブルが起こりにくくなる。
【0057】
〈制御装置60〉
制御装置60は、回転装置50および昇降装置55を制御している。制御装置60は、例えば、マイクロコンピュータによって実現されている。制御装置60には、回転装置50によって回転体31,32,41,42を回転させる角度およびタイミングがプログラムされている。制御装置60には、昇降装置55によって回転体31,32,41,42を昇降させる高さおよびタイミングがプログラムされている。なお、この実施形態では、昇降装置55は、回転体31,32,41,42のうち、回転体41,42(第2回転体群40)を昇降させる。
【0058】
制御装置60は、予め定められたプログラムに従って回転装置50を制御し、回転体31,32,41,42を回転させる。これによって、制御装置60は、回転体31,32,41,42の角度を、被搬送物Aを支持しうる支持角度と、被搬送物Aを支持せず被搬送物Aの位置を矯正する矯正角度とに切り替える。
【0059】
この実施形態では、一対の第1回転体群30の回転体31,32は、同じタイミングで回転し、一対の第2回転体群40の回転体41,42は、同じタイミングで回転するように構成されている。換言すると、制御装置60は、第1回転体群30を同じタイミングで回転させるように回転装置50aを制御している。制御装置60は、第2回転体群40を同じタイミングで回転させるように回転装置50bを制御している。被搬送物Aは、被搬送物Aを挟んで一対の第1回転体群30および一対の第2回転体群40のうち少なくともいずれかによって支持される。また、第1回転体群30または第2回転体群40によって、被搬送物Aを挟むように両側(この実施形態では、側面A1または側面A2)から矯正される。このため、被搬送物Aは、側面A1,A2のうち、相対する側面が略同時に支持および矯正される。このため、被搬送物Aが安定して支持されやすい。
【0060】
制御装置60は、予め定められたプログラムに従って昇降装置55を制御し、第2回転体群40を昇降させる。この実施形態では、制御装置60は、第2回転体群40を予め定められた位置に移動させるように、昇降装置55を制御している。基準位置は、上述したように、昇降装置55に接続されてない第1回転体群30と同じ高さになる位置に設定されている。第2回転体群40が基準位置に位置している時には、第1回転体群30と第2回転体群40の上端および下端は、略同一の高さに配置される。第2回転体群40が上位置に位置している時には、第2回転体群40は、基準位置よりも支持部30a1,40a1のピッチ分高い位置に配置される。第2回転体群40が移動する位置としては、上位置および基準位置の他に、上位置および基準位置とはわずかに異なる高さの位置も設定されている。第2回転体群40を上位置および基準位置よりも高い位置または低い位置に移動させることによって、一方の支持部に支持された被搬送物Aに対して他方の支持部が干渉することを抑制しうる。換言すると、第2回転体群40を上位置および基準位置よりもわずかに高い位置または低い位置に移動させることによって、第1回転体群30と第2回転体群40との間で被搬送物Aの受け渡しがスムーズになりうる。なお、回転体が昇降される位置は、かかる位置に限定されない。
【0061】
回転装置50による第1回転体群30および第2回転体群40の回転と、昇降装置55による第2回転体の昇降が組み合わせられることによって、被搬送物Aは、下方から上方に向かって順次搬送される。被搬送物Aは、第1回転体群30による支持と第2回転体群40による支持とが繰り返されながら搬送される。以下、制御装置60によって実現される回転装置50および昇降装置55の制御の一例を説明する。
【0062】
図3は、制御装置60による制御を示すタイムチャートである。図3では、制御装置60によって回転装置50および昇降装置55が制御されることによって実現される第1回転体群30および第2回転体群40の動作が時系列に沿って示されている。図3では、第1回転体群30の角度および位置は二点鎖線で示されており、第2回転体群40の角度および位置は実線で示されている。図4図6は、第1回転体群30および第2回転体群40の動作を示す模式図である。図4~6では、各ステップで回転体31,32,41,42が回転する方向は、矢印で示されている。
【0063】
〈ステップS0〉
ステップS0(図3参照)は、初期状態でありうる。ステップS0では、第1回転体群30および第2回転体群40の角度は、いずれも支持角度に設定されている。第1回転体群30の位置は、基準位置に設定されている。第2回転体群40の位置は、基準位置よりもわずかに低い位置に設定されている。この時、図4に示されているように、第1回転体群30の第1部30aは、被搬送物Aの第2側面A2に向けられている。第2回転体群40の第1部40aは、被搬送物Aの第1側面A1に向けられている。被搬送物Aは、第1回転体群30の支持部30a1によって支持されている。
【0064】
〈ステップS1〉
ステップS1(図3参照)では、制御装置60は、昇降装置55を制御し、第2回転体群40を上昇させる処理を実行する。昇降装置55は、第2回転体群40を基準位置よりも高い位置に上昇させる。昇降装置55は、第2回転体群40の支持部40a1が被搬送物Aを支持し、かつ、被搬送物A(または被搬送物Aに載せられた被処理物)が上方の第1回転体群30の支持部30a1に当たらない位置まで上昇させる。ここでは、昇降装置55は、第1回転体群30よりもわずかに高くなるように第2回転体群40を上昇させる。これによって、被搬送物Aは、第2回転体群40に支持された状態になる。このため、後の処理で第1回転体群30を回転させた場合にも支持部30a1が被搬送物Aの側面A2に当たりにくく、被搬送物Aのずれが生じにくくなる。
【0065】
〈ステップS2〉
ステップS2(図3参照)では、制御装置60は、回転装置50aを制御し、第1回転体群30を回転させる処理を実行する。回転装置50aは、第1回転体群30を270度時計回りに回転させる。図5に示されているように、第1回転体群30の第2部30bは、被搬送物Aの第1側面A1に向けられる。このとき、第1回転体群30の角度は、矯正角度に設定される。これによって、第1回転体群30の第2部30bは、被搬送物Aのずれを第1側面A1側から矯正する位置に配置される。第2回転体群40の角度は、支持角度のままである。
【0066】
〈ステップS3〉
ステップS3(図3参照)では、制御装置60は、昇降装置55を制御し、第2回転体群40を上昇させる処理を実行する。このとき、第1回転体群30の第2部30bは、被搬送物Aの第1側面A1に向けられた状態である。この実施形態では、昇降装置55は、支持部30a1,40a1のピッチ分、第2回転体群40を上昇させる。これによって、被搬送物Aを支持する第2回転体群40は、上位置よりも上方に持ち上げられる。被搬送物Aは、一段上方の支持部30a1よりも上方であり、かつ、後の処理で第1回転体群30が回転する際にも支持部30a1が被搬送物Aの側面A2に当たらない位置に持ち上げられる。
【0067】
〈ステップS4〉
ステップS4(図3参照)では、制御装置60は、回転装置50aを制御し、第1回転体群30を回転させる処理を実行する。回転装置50aは、第1回転体群30を270度反時計回りに回転させる。図4に示されているように、第1回転体群30の第1部30aは、再び被搬送物Aの第2側面A2に向けられる。第1回転体群30の角度は、支持角度に設定される。これによって、第1回転体群30の第1部30aの支持部30a1は、被搬送物Aを支持する位置に配置される。第1回転体群30の角度および第2回転体群40の角度は、いずれも支持角度に設定される。
【0068】
〈ステップS5〉
ステップS5(図3参照)では、制御装置60は、昇降装置55を制御し、第2回転体群40を下降させる処理を実行する。昇降装置55は、第2回転体群40を、第1回転体群30の支持部30a1が被搬送物Aを支持する位置まで下降させる。ここでは、昇降装置55は、第2回転体群40を上位置まで下降させる。これによって、被搬送物Aは、第2回転体群40から第1回転体群30に受け渡され、第1回転体群30に支持された状態になる。このため、後の処理で第2回転体群40を回転させた場合にも支持部40a1が被搬送物Aの側面A1に当たりにくく、被搬送物Aのずれが生じにくくなる。
【0069】
〈ステップS6〉
ステップS6(図3参照)では、制御装置60は、回転装置50bを制御し、第2回転体群40を回転させる処理を実行する。回転装置50bは、第2回転体群40を270度時計回りに回転させる。図6に示されているように、第2回転体群40の第2部40bは、被搬送物Aの第2側面A2に向けられる。このとき、第2回転体群40の角度は、矯正角度に設定されている。第2回転体群40の第2部40bは、被搬送物Aのずれを第2側面A2側から矯正する位置に配置される。第1回転体群30の角度は、支持角度に設定されている。
【0070】
〈ステップS7〉
ステップS7(図3参照)では、制御装置60は、昇降装置55を制御し、第2回転体群40を下降させる処理を実行する。このとき、第2回転体群40の第2部40bは、被搬送物Aの第2側面A2に向けられた状態である。昇降装置55は、被搬送物Aが第1回転体群30に支持される位置まで第2回転体群40を下降させる。昇降装置55は、第2回転体群40を、後の処理で第2回転体群40が回転する際にも支持部40a1が被搬送物Aの側面に当たらない位置まで下降させる。ここでは、昇降装置55は、第2回転体群40が基準位置よりもわずかに低くなるように、支持部30a1,40a1のピッチ分、第2回転体群40を下降させる。第2回転体群40は、第2部40bを被搬送物Aの側面A2に向けた状態で下降する。なお、被搬送物Aは、第1回転体群30に支持されているため、昇降されない。
【0071】
〈ステップS8〉
ステップS8(図3参照)では、制御装置60は、回転装置50bを制御し、第2回転体群40を回転させる処理を実行する。回転装置50bは、第2回転体群40を270度反時計回りに回転させる。図4に示されているように、第2回転体群40の第1部40aは、再び被搬送物Aの第1側面A1に向けられる。このとき、第1回転体群30の角度および第2回転体群40の角度は、支持角度に設定されている。
【0072】
ステップS8で第2回転体群40の角度が支持角度に設定された後は、再びステップS1の処理が実行される。制御装置60は、昇降装置55を制御し、第2回転体群40を基準位置よりも高い位置に上昇させる。ここでは、昇降装置55は、第2回転体群40を基準位置よりもわずかに高い位置に上昇させる。これによって、被搬送物Aは、第1回転体群30から第2回転体群40に受け渡され、第2回転体群40に支持された状態になる。
【0073】
このように、ステップS1~S8の処理によって、被搬送物Aは、一段ずつ上方の支持部30a1,40a1に搬送される。縦型加熱炉10では、制御装置60によって、ステップS1~S8の処理が繰り返し実行されうる。このとき、昇降装置55によって昇降される回転体は、第2回転体群40に限られている。このため、制御装置60による制御がシンプルになりうる。また、回転体31,32が昇降されないため、回転体31,32,41,42の駆動がシンプルになる。これによって、比較的簡易な装置構成が実現されうる。また、第1回転体群30の駆動が回転だけになるため、第1回転体群30に取り付けられている軸33,34と炉体11との間のシール材が劣化しにくくなる。これによって、耐久性やメンテナンス性が良好でありうる。
【0074】
また、上述した実施形態では、第1回転体群30の第2部30bが被搬送物Aの側面A1に向けられた状態で被搬送物Aを支持する第2回転体群40を上昇させる処理(ステップS3)と、第2回転体群40の第2部40bが被搬送物Aの側面A2に向けられた状態で被搬送物Aを支持しない第2回転体40の下降させる処理(ステップS7)とが実行されている。このため、被搬送物Aが搬送される際に、被搬送物Aは、第1側面A1側と第2側面A2側から交互に位置矯正される。被搬送物Aは、第1回転体群30の第2部30bによって横方向(前後方向および左右方向)へのずれが適宜矯正されつつ、第2回転体群40によって高さ方向に沿って順次搬送される。このため、被搬送物Aが搬送時にずれることによる搬送トラブルが起こりにくい。
【0075】
上述した実施形態では、第1回転体群30は昇降されず、第2回転体群40の昇降によって被搬送物Aが順次上方に搬送されている。しかしながら、縦型加熱炉10で実現される被搬送物Aの搬送および制御装置60による制御は、上述した形態に限定されない。例えば、第1回転体群30にも、第2回転体群40と同様に昇降装置が接続されていてもよい。第1回転体群30に接続される昇降装置は、第2回転体群40に接続されている昇降装置55とは異なるタイミングで昇降可能に構成されうる。以下、第1回転体群30および第2回転体群40の両方が昇降可能な形態について説明する。なお、以下で説明する形態では、第1回転体群30にも制御装置60によって制御される昇降装置55が接続されていること、および、制御装置60では上述した実施形態とは異なる制御が実行されること以外は、上述した実施形態と同様である。
【0076】
図7は、制御装置60による制御を示すタイムチャートである。図7では、他の実施形態にかかる制御装置60の制御が示されている。図7では、図3と同様に、第1回転体群30の角度および位置は二点鎖線で示されており、第2回転体群40の角度および位置は実線で示されている。
【0077】
〈ステップS0~S7〉
はじめに、上述した実施形態と同様に、ステップS0~S7(図7参照)の処理が実行される。これによって、被搬送物Aは、第2回転体群40によって一段上方の支持部30a1に搬送され、第1回転体群30によって支持される。このとき、第1回転体群30の角度は、支持角度に設定されている。第1回転体群30は、基準位置に配置されている。第2回転体群40の角度は、矯正角度に設定されている。第2回転体群40は、基準位置よりも低く、かつ、被搬送物Aと干渉しない位置に配置されている。この実施形態では、ステップ7以降のステップS11~S20では、上述した実施形態とは異なる制御が実行される。
【0078】
〈ステップS11〉
ステップS11(図7参照)では、制御装置60は、昇降装置55を制御し、第1回転体群30を上昇させる処理を実行する。ここでは、第2回転体群40の第2部40bは、被搬送物Aの側面A2に向けられた状態である。昇降装置55は、第1回転体群30を上位置よりも上方まで上昇させる。これによって、被搬送物Aは、一段上方の支持部40a1よりも上方であり、かつ、後の処理で第2回転体群40が回転する際にも支持部40a1が被搬送物Aの側面に当たらない位置に持ち上げられる。また、ステップS11では、制御装置60は、昇降装置55を制御し、第2回転体群40を基準位置まで上昇させる。
【0079】
〈ステップS12〉
ステップS12(図7参照)では、制御装置60は、回転装置50bを制御し、第2回転体群40を回転させる処理(図4参照)を実行する。これによって、第1回転体群30の角度および第2回転体群40の角度は、いずれも支持角度に設定される。
【0080】
〈ステップS13〉
ステップS13(図7参照)では、制御装置60は、昇降装置55を制御し、第1回転体群30を下降させる処理を実行する。昇降装置55は、第1回転体群30を、第2回転体群40の支持部40a1が被搬送物Aを支持し、かつ、第1回転体群30の支持部30a1が被搬送物Aに当たらない位置まで下降させる。ここでは、昇降装置55は、第1回転体群30を上位置よりもわずかに下方に下降させる。これによって、被搬送物Aは、第2回転体群40に支持される。
【0081】
〈ステップS14〉
ステップS14(図7参照)では、制御装置60は、回転装置50aを制御し、第1回転体群30を回転させる処理(図5参照)を実行する。これによって、第1回転体群30の第2部30bは、被搬送物Aのずれを第1側面A1側から矯正する位置に配置される。これによって、被搬送物Aがずれている場合にも、第1側面A1側から被搬送物Aの位置が矯正されうる。
【0082】
〈ステップS15〉
ステップS15(図7参照)では、制御装置60は、昇降装置55を制御し、第1回転体群30を下降させる処理を実行する。昇降装置55は、被搬送物Aが第2回転体群40に支持される位置まで第1回転体群30を下降させる。ここでは、昇降装置55は、第1回転体群30が基準位置よりもわずかに低くなるように、第1回転体群30を下降させる。これによって、被搬送物Aは、第2回転体群40に支持される。
【0083】
〈ステップS16〉
ステップS16(図7参照)では、制御装置60は、昇降装置55を制御し、第2回転体群40を上昇させる処理を実行する。ここでは、第1回転体群30の第2部30bは、被搬送物Aの側面A1に向けられた状態である。昇降装置55は、第2回転体群40を上位置よりも上方まで上昇させる。これによって、被搬送物Aは、一段上方の支持部30a1よりも上方であり、かつ、後の処理で第1回転体群30が回転する際にも支持部30a1が被搬送物Aの側面A2に当たらない位置に持ち上げられる。また、ステップS16では、制御装置60は、昇降装置55を制御し、第1回転体群30を基準位置まで上昇させる。
【0084】
〈ステップS17〉
ステップS17(図7参照)では、制御装置60は、回転装置50aを制御し、第1回転体群30を回転させる処理(図4参照)を実行する。第1回転体群30の角度および第2回転体群40の角度は、いずれも支持角度に設定される。
【0085】
〈ステップS18〉
ステップS18(図7参照)では、制御装置60は、昇降装置55を制御し、第1回転体群30を下降させる処理を実行する。昇降装置55は、第2回転体群40を、第1回転体群30の支持部30a1が被搬送物Aを支持し、かつ、第2回転体群40の支持部40a1が被搬送物Aに当たらない位置まで下降させる。ここでは、昇降装置55は、第2回転体群40を上位置よりもわずかに下方に下降させる。これによって、被搬送物Aは、第1回転体群30に支持される。
【0086】
〈ステップS19〉
ステップS19(図7参照)では、制御装置60は、回転装置50bを制御し、第2回転体群40を回転させる処理(図6参照)を実行する。これによって、第2回転体群40の第2部40bは、被搬送物Aのずれを第2側面A2側から矯正する位置に配置される。これによって、被搬送物Aがずれている場合にも、第2側面A2側から被搬送物Aの位置が矯正されうる。
【0087】
〈ステップS20〉
ステップS20(図7参照)では、制御装置60は、昇降装置55を制御し、第2回転体群40を下降させる処理を実行する。昇降装置55は、被搬送物Aが第1回転体群30に支持される位置まで第2回転体群40を下降させる。昇降装置55は、後の処理で第2回転体群40が回転する際にも支持部40a1が被搬送物Aの側面に当たらない位置まで下降させる。ここでは、昇降装置55は、第2回転体群40が基準位置よりもわずかに低くなるように、第2回転体群40を下降させる。これによって、被搬送物Aは、第1回転体群30に支持される。
【0088】
このように、ステップS11~S20の処理によって、被搬送物Aは、第1回転体群30および第2回転体群40に交互に持ち上げられる。これによって、被搬送物Aは、一段ずつ上方の支持部30a1,40a1に搬送される。縦型加熱炉10では、制御装置60によって、ステップS11~S20の処理が繰り返し実行されうる。ここでは、第2回転体群40の第2部40bが被搬送物Aの側面A2に向けられた状態で被搬送物Aを支持する第1回転体群30を上昇させる処理(ステップS11)と、第1回転体群30の第2部30bが被搬送物Aの側面A1に向けられた状態で被搬送物Aを支持する第2回転体群40を上昇させる処理(ステップS16)とが実行される。これによって、被搬送物Aは、第1回転体群30および第2回転体群40によって交互に一段ずつ搬送される。被搬送物Aは、同じ回転体群によって連続的に搬送されない。被搬送物Aは、第1回転体群30および第2回転体群40によって、交互に搬送および位置矯正される。このため、被搬送物Aの搬送ずれによる搬送トラブルが起こりにくい。
【0089】
また、制御装置60では、より簡潔な制御が実行されるように構成されていてもよい。図8は、他の実施形態にかかる制御装置60による制御を示すタイムチャートである。図8では、図3と同様に、第1回転体群30の角度および位置は二点鎖線で示されており、第2回転体群40の角度および位置は実線で示されている。図8に示されている実施形態では、図3に示されている実施形態とは異なり、第2回転体群40は、制御装置60によって基準位置および上位置のうちいずれかの位置に制御される。
【0090】
〈ステップS30〉
ステップS30(図8参照)は、初期状態でありうる。ステップS30では、第1回転体群30および第2回転体群40の角度は、いずれも支持角度に設定されている。第1回転体群30および第2回転体群40の位置は、いずれも基準位置に設定されている。この時、図4に示されているように、第1回転体群30の第1部30aは、被搬送物Aの第2側面A2に向けられている。第2回転体群40の第1部40aは、被搬送物Aの第1側面A1に向けられている。被搬送物Aは、第1回転体群30の支持部30a1および第2回転体群40の支持部40a1によって支持されうる。
【0091】
〈ステップS31〉
ステップS31(図8参照)では、制御装置60は、回転装置50aを制御し、第1回転体群30を回転させる処理を実行する。回転装置50aは、第1回転体群30を270度時計回りに回転させる。図5に示されているように、第1回転体群30の第2部30bは、被搬送物Aの第1側面A1に向けられる。このとき、第1回転体群30の角度は、矯正角度に設定される。これによって、第1回転体群30の第2部30bは、被搬送物Aのずれを第1側面A1側から矯正する位置に配置される。第2回転体群40の角度は、支持角度のままである。
【0092】
〈ステップS32〉
ステップS32(図8参照)では、制御装置60は、昇降装置55を制御し、第2回転体群40を上昇させる処理を実行する。このとき、第1回転体群30の第2部30bは、被搬送物Aの第1側面A1に向けられた状態である。この実施形態では、昇降装置55は、第2回転体群40を上位置まで上昇させる。被搬送物Aは、一段上方の支持部40a1の位置に持ち上げられる。
【0093】
〈ステップS33〉
ステップS33(図8参照)では、制御装置60は、回転装置50aを制御し、第1回転体群30を回転させる処理を実行する。回転装置50aは、第1回転体群30を270度反時計回りに回転させる。図4に示されているように、第1回転体群30の第1部30aは、再び被搬送物Aの第2側面A2に向けられる。第1回転体群30の角度は、支持角度に設定される。これによって、第1回転体群30の第1部30aの支持部30a1は、被搬送物Aを支持する位置に配置される。第1回転体群30の角度および第2回転体群40の角度は、いずれも支持角度に設定される。
【0094】
〈ステップS34〉
ステップS34(図8参照)では、制御装置60は、回転装置50bを制御し、第2回転体群40を回転させる処理を実行する。回転装置50bは、第2回転体群40を270度時計回りに回転させる。図6に示されているように、第2回転体群40の第2部40bは、被搬送物Aの第2側面A2に向けられる。このとき、第2回転体群40の角度は、矯正角度に設定されている。第2回転体群40の第2部40bは、被搬送物Aのずれを第2側面A2側から矯正する位置に配置される。第1回転体群30の角度は、支持角度に設定されている。被搬送物Aは、第1回転体群30によって支持されている。
【0095】
〈ステップS35〉
ステップS35(図8参照)では、制御装置60は、昇降装置55を制御し、第2回転体群40を下降させる処理を実行する。このとき、第2回転体群40の第2部40bは、被搬送物Aの第2側面A2に向けられた状態である。昇降装置55は、被搬送物Aが第1回転体群30に支持される位置まで第2回転体群40を下降させる。ここでは、昇降装置55は、第2回転体群40を基準位置まで下降させる。第2回転体群40は、第2部40bを被搬送物Aの側面A2に向けた状態で下降する。なお、被搬送物Aは、第1回転体群30に支持されているため、昇降されない。
【0096】
〈ステップS36〉
ステップS36(図8参照)では、制御装置60は、回転装置50bを制御し、第2回転体群40を回転させる処理を実行する。回転装置50bは、第2回転体群40を270度反時計回りに回転させる。図4に示されているように、第2回転体群40の第1部40aは、再び被搬送物Aの第1側面A1に向けられる。このとき、第1回転体群30の角度および第2回転体群40の角度は、支持角度に設定されている。
【0097】
ステップS36で第2回転体群40の角度が支持角度に設定された後は、再びステップS31の処理が実行される。これによって、被搬送物Aは、第1回転体群30によって被搬送物Aのずれが調整された状態で第2回転体群40によって一段上方の支持部30a1に受け渡され、一段ずつ上方に搬送される。また、この実施形態では、回転体(この実施形態では、第2回転体群40)が基準位置および上位置のいずれかに位置するように設定されている。これによって、より簡潔な制御によって被搬送物Aは、搬送方向に搬送されうる。
【0098】
また、制御装置60は、第1回転体群30および第2回転体群40の角度を、支持角度および矯正角度以外の角度に制御してもよい。図9は、第1回転体群30および第2回転体群40の模式図である。図9では、第1回転体群30および第2回転体群40には、退避角度が設定されている。退避角度では、第2部30b,40bは、矯正角度よりも被搬送物Aから離れた位置に配置される。図9では、回転体31,32,41,42が支持角度に設定されている場合は実線、矯正角度に設定されている場合は二点鎖線、退避角度に設定されている場合は破線で示されている。退避角度は、支持角度と矯正角度の間の角度に設定されている。この実施形態では、退避角度は、矯正角度よりも90度反時計回りに回転した位置であり、支持角度よりも180度時計回りに回転した位置である。なお、支持角度は、かかる角度に限定されず、矯正角度と支持角度の間の任意の角度に設定されうる。
【0099】
図10は、他の実施形態にかかる制御装置60による制御を示すタイムチャートである。図10では、回転装置50によって回転体31,32,41,42を回転させる角度として、退避角度が設定されている制御装置60の制御が示されている。図10では、図3と同様に、第1回転体群30の角度および位置は二点鎖線で示されており、第2回転体群40の角度および位置は実線で示されている。
【0100】
〈ステップS40〉
ステップS40(図10参照)は、初期状態でありうる。ステップS40では、第1回転体群30および第2回転体群40の角度は、いずれも支持角度に設定されている。第1回転体群30の位置は、基準位置に設定されている。第2回転体群40の位置は、基準位置よりもわずかに低い位置に設定されている。
【0101】
〈ステップS41〉
ステップS41(図10参照)では、制御装置60は、昇降装置55を制御し、第2回転体群40を上昇させる処理を実行する。昇降装置55は、第2回転体群40を基準位置よりも高い位置に上昇させる。ここでは、昇降装置55は、第1回転体群30よりもわずかに高くなるように第2回転体群40を上昇させる。これによって、被搬送物Aは、第2回転体群40に支持された状態になる。
【0102】
〈ステップS42〉
ステップS42(図10参照)では、制御装置60は、回転装置50aを制御し、第1回転体群30を回転させる処理を実行する。回転装置50aは、第1回転体群30を270度時計回りに回転させる。第1回転体群30の第2部30bは、被搬送物Aの第1側面A1に向けられる。このとき、第1回転体群30の角度は、矯正角度に設定される。これによって、第1回転体群30の第2部30bは、被搬送物Aのずれを第1側面A1側から矯正する位置に配置される。第2回転体群40の角度は、支持角度のままである。
【0103】
〈ステップS43〉
ステップS43(図10参照)では、制御装置60は、回転装置50aを制御し、第1回転体群30を回転させる処理を実行する。回転装置50aは、第1回転体群30を90度反時計回りに回転させる。これによって、第1回転体群30は、退避角度に設定される。第1回転体30の第2部30bは、被搬送物Aの側面A1から離される。
【0104】
〈ステップS44〉
ステップS44(図10参照)では、制御装置60は、昇降装置55を制御し、第2回転体群40を上昇させる処理を実行する。昇降装置55は、支持部30a1,40a1のピッチ分、第2回転体群40を上昇させる。これによって、被搬送物Aを支持する第2回転体群40は、上位置よりも上方に持ち上げられる。このとき、被搬送物Aは、第1回転体群30の第2部30bから離された状態で搬送される。
【0105】
〈ステップS45〉
ステップS45(図10参照)では、制御装置60は、回転装置50aを制御し、第1回転体群30を回転させる処理を実行する。回転装置50aは、第1回転体群30を180度反時計回りに回転させる。第1回転体群30の第1部30aは、再び被搬送物Aの第2側面A2に向けられる。第1回転体群30の角度は、支持角度に設定される。第1回転体群30の角度および第2回転体群40の角度は、いずれも支持角度に設定される。
【0106】
〈ステップS46〉
ステップS46(図10参照)では、制御装置60は、昇降装置55を制御し、第2回転体群40を下降させる処理を実行する。昇降装置55は、第2回転体群40を上位置まで下降させる。これによって、被搬送物Aは、第2回転体群40から第1回転体群30に受け渡され、第1回転体群30に支持された状態になる。
【0107】
〈ステップS47〉
ステップS47(図10参照)では、制御装置60は、回転装置50bを制御し、第2回転体群40を回転させる処理を実行する。回転装置50bは、第2回転体群40を270度時計回りに回転させる。第2回転体群40の第2部40bは、被搬送物Aの第2側面A2に向けられる。このとき、第2回転体群40の角度は、矯正角度に設定される。これによって、第2回転体群40の第2部40bは、被搬送物Aのずれを第2側面A2側から矯正する位置に配置される。第1回転体群30の角度は、支持角度のままである。
【0108】
〈ステップS48〉
ステップS48(図10参照)では、制御装置60は、回転装置50bを制御し、第2回転体群40を回転させる処理を実行する。回転装置50bは、第2回転体群40を90度反時計回りに回転させる。これによって、第2回転体群40は、退避角度に設定される。第2回転体40の第2部40bは、被搬送物Aの側面A2から離される。
【0109】
〈ステップS49〉
ステップS49(図10参照)では、制御装置60は、昇降装置55を制御し、第2回転体群40を下降させる処理を実行する。昇降装置55は、支持部30a1,40a1のピッチ分、第2回転体群40を下降させる。第2回転体群40の第2部40bは、被搬送物Aから離れた状態で下降する。
【0110】
〈ステップS50〉
ステップS50(図10参照)では、制御装置60は、回転装置50bを制御し、第2回転体群40を回転させる処理を実行する。回転装置50bは、第2回転体群40を180度反時計回りに回転させる。第2回転体群40の第1部40aは、再び被搬送物Aの第1側面A1に向けられる。このとき、第1回転体群30の角度および第2回転体群40の角度は、支持角度に設定されている。
【0111】
ステップS50で第2回転体群40の角度が支持角度に設定された後は、再びステップS41の処理が実行される。このように、ステップS41~S50の処理によって、被搬送物Aは、一段ずつ上方の支持部30a1,40a1に搬送される。昇降装置55が被搬送物Aを上昇させる時には、被搬送物Aを支持しない第1回転体30の第2部30bは、被搬送物Aのずれを矯正する予め定められた位置よりも被搬送物Aから離れた位置に配置される。これによって、被搬送物Aが上方に搬送される際に被搬送物Aの側面A1,A2が回転体31,32,41,42に擦れるような不具合が発生しにくくなる。また、被搬送物Aが搬送されない時においても、第2回転体群40が下降する時には、第2回転体40の第2部40bは、被搬送物Aから離れた位置に配置された状態で下降するように構成されている。これによって、第2回転体群40が下降する際に被搬送物Aの側面A1,A2に擦れるような不具合が発生しにくくなる。
【0112】
以上、制御装置60による制御の例を複数挙げて被搬送物Aの搬送について説明したが、被搬送物Aの搬送は、上述した形態に限定されない。
【0113】
上述した実施形態では、縦型加熱炉10において、被搬送物Aが上方に向かって搬送されているが、かかる形態に限定されない。縦型加熱炉10では、炉体11の上方に搬入口、下方に搬出口が設定されており、上方から下方に向かって被搬送物Aが搬送されてもよい。かかる形態は、例えば、制御装置60にプログラムされている、回転装置50によって回転体31,32,41,42を回転させるタイミング、および、昇降装置55によって回転体31,32,41,42を昇降させるタイミングを変更することにより、実現されうる。
【0114】
上述した実施形態では、縦型加熱炉10において、被搬送物Aは、上下方向に並ぶ支持部30a1,40a1において一段ずつ搬送されているが、かかる形態に限定されない。縦型加熱炉10では、被搬送物Aを上下方向に並ぶ支持部30a1,40a1において複数段ずつ搬送されてもよい。かかる形態は、例えば、制御装置60によって、昇降装置55が回転体31,32,41,42を昇降させる高さを変更することにより、実現されうる。このように、制御装置60の制御プログラムを変更することによって、被搬送物Aの搬送の方向、速度、タイミング等の搬送条件は、適宜設定されうる。搬送条件は、被処理物の処理条件等に応じて設定されうる。
【0115】
また、回転体31,32,41,42の構成は、上述した実施形態に限定されず、種々の変更が可能である。図11は、他の実施形態にかかる縦型加熱炉10Aを示す模式図である。図11では、縦型加熱炉10Aの高さ方向を横切る断面が模式的に示されている。図11に示されている縦型加熱炉10Aは、回転体70を除いて縦型加熱炉10と同様の構成である。
【0116】
図11に示されているように、縦型加熱炉10Aは、複数の回転体70(この実施形態では、4つ)を備えている。回転体70は、高さ方向に延びる略矩形の板状に形成されている(図示省略)。回転体70の回転軸は、縦型加熱炉10の高さ方向に沿って設定されている。回転体70の回転軸は、高さ方向を横切る平面において、回転体70の略中央部に設定されている。複数の回転体70の回転軸は、それぞれ回転体31,32,41,42(図2参照)と同様、搬送領域12aの角部の外側に設定されている。
【0117】
この実施形態では、複数の回転体70は、第1部70aと、第2部70bとをそれぞれ備えている。第1部70aは、複数の支持部70a1を有している。第2部70bは、被搬送物Aのずれを矯正する位置に配置される部位である。第2部70bは、第1部70aとは異なる位置に設けられている。この実施形態では、第1部70aおよび第2部70bは、板状に形成された回転体70の一方の面(この実施形態では、被搬送物Aと対向する面)に設けられている。換言すると、第1部70aと第2部70bは、同一平面上に設けられている。第1部70aおよび第2部70bは、板状に形成された回転体70の一方の面の略半分に設定されている。第1部70aと第2部70bの境界は、高さ方向に沿って形成されている。
【0118】
複数の回転体70には、それぞれ回転装置50(図1参照)が接続されている。複数の回転体70は、回転装置50によって回転され、支持角度と矯正角度とを切り替えられる。図11では、支持角度に設定されている回転体70は実線で示されており、矯正角度に設定されている回転体70は、破線で示されている。図11に示されている実施形態では、回転体70は、支持角度から時計回りに90度回転することによって、矯正角度に切り替えられる。回転体70は、矯正角度から反時計回りに90度回転することによって、支持角度に切り替えられる。
【0119】
以上、具体的な実施形態を挙げて詳細な説明を行ったが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。このように、請求の範囲に記載の技術には、以上に記載した実施形態を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0120】
なお、本明細書は以下の項目1~9を含んでいる。以下の項目1~9は、上記した実施形態には限定されない。
【0121】
項目1は、縦型加熱炉に関する。項目1における、縦型加熱炉は、
高さ方向に沿って被搬送物が搬送される炉内空間を内部に有する炉体と、
前記炉内空間に設けられ、前記被搬送物が搬送される搬送領域の周囲に高さ方向に沿って回転軸が設定された複数の回転体と、
前記回転体を前記回転軸周りに回転させる回転装置と、
前記複数の回転体のうち少なくとも1つの回転体を前記回転軸に沿って昇降させる昇降装置と
を備え、
前記複数の回転体は、
前記被搬送物を支持する複数の支持部を有する第1部と、
前記第1部とは異なる位置に設けられた第2部と
をそれぞれ備え、
前記複数の支持部は、前記第1部において高さ方向に沿って予め定められた間隔で設けられており、
前記回転体が前記被搬送物を支持する時には、前記回転装置は、前記第1部の前記支持部が前記被搬送物を支持可能な位置に移動するように前記回転体を回転させ、かつ、前記昇降装置は、前記複数の回転体のうち、前記被搬送物を支持する前記回転体を上昇または下降させ、
前記回転体が前記被搬送物を支持しない時には、前記回転装置は、前記第2部を前記被搬送物の側面に向けるように前記回転体を回転させ、前記第2部は、前記被搬送物のずれを矯正する予め定められた位置に配置される。
【0122】
項目2は、項目1に記載された縦型加熱炉であって、
前記第2部は、前記第1部が設けられている面とは反対側の面に設けられている。
【0123】
項目3は、項目1に記載された縦型加熱炉であって、
前記第1部と前記第2部は、同一平面上に設けられている。
【0124】
項目4は、項目1~3のいずれかひとつに記載された縦型加熱炉であって、
前記支持部は、前記被搬送物の下面を支持する水平な上端面を有している。
【0125】
項目5は、項目1~4のいずれかひとつに記載された縦型加熱炉であって、
前記複数の回転体は、それぞれ対角線上に配置された第1回転体群と、第2回転体群とを含み、前記第1回転体群は、同じタイミングで回転し、前記第2回転体群は、同じタイミングで回転するように構成されている。
【0126】
項目6は、項目5に記載された縦型加熱炉であって、
前記第1回転体群が前記被搬送物を支持しない時には、前記第1回転体群の第2部は、前記被搬送物の一対の第1側面に向けられ、
前記第2回転体群が前記被搬送物を支持しない時には、前記第2回転体群の第2部は、前記被搬送物の、前記一対の第1側面とは異なる一対の第2側面に向けられるように構成されている。
【0127】
項目7は、項目5または6に記載された縦型加熱炉であって、
前記回転装置および前記昇降装置を制御する制御装置をさらに備え、
前記制御装置は、
前記第1回転体群の前記第2部が前記被搬送物の側面に向けられた状態で前記被搬送物を支持する前記第2回転体群を上昇または下降させる処理と、
前記第2回転体群の前記第2部が前記被搬送物の側面に向けられた状態で前記被搬送物を支持しない前記第2回転体群を上昇または下降させる処理と
が実行されるように構成されている。
【0128】
項目8は、項目5または6に記載された縦型加熱炉であって、
前記回転装置および前記昇降装置を制御する制御装置をさらに備え、
前記制御装置は、
前記第2回転体群の前記第2部が前記被搬送物の側面に向けられた状態で前記被搬送物を支持する前記第1回転体群を上昇または下降させる処理と、
前記第1回転体群の前記第2部が前記被搬送物の側面に向けられた状態で前記被搬送物を支持する前記第2回転体群を上昇または下降させる処理と
が実行されるように構成されている。
【0129】
項目9は、項目1~8のいずれかひとつに記載された縦型加熱炉であって、
前記昇降装置が前記被搬送物を昇降させる時には、前記被搬送物を支持しない前記回転体の前記第2部は、前記被搬送物のずれを矯正する予め定められた位置よりも前記被搬送物から離れた位置に配置される。
【符号の説明】
【0130】
A 被搬送物
A1,A2 側面
A3 上面
A4 下面
10,10A 縦型加熱炉
11 炉体
11a~11d 側壁
11e 底面部
11f 天井部
12 炉内空間
12a 搬送領域
13 搬入口
14 搬出口
20 搬送装置
30 第1回転体群
30a,40a 第1部
30b,40b 第2部
30a1,40a1 支持部
30a2,40a2 上端面
31,32,41,42 回転体
33,34,43,44 軸
40 第2回転体群
50,50a,50b 回転装置
55 昇降装置
60 制御装置
70 回転体
【要約】
【課題】被搬送物の搬送ずれを抑制する。
【解決手段】縦型加熱炉10は、炉体11と、複数の回転体31,32,41,42と、回転装置50と、昇降装置55とを備えている。複数の回転体は、被搬送物Aを支持する複数の支持部30a1,40a1を有する第1部30a,40aと、第1部とは異なる位置に設けられた第2部30b,40bとをそれぞれ備えている。回転体が被搬送物を支持する時には、回転装置は、第1部の支持部が被搬送物を支持可能な位置に移動するように回転体を回転させ、かつ、昇降装置は、複数の回転体のうち、被搬送物を支持する回転体を上昇させる。回転体が被搬送物を支持しない時には、回転装置は、第2部を被搬送物の側面に向けるように回転体を回転させる。第2部は、被搬送物のずれを矯正する予め定められた位置に配置される。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11