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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-04
(45)【発行日】2023-09-12
(54)【発明の名称】警告メッセージを表示する方法
(51)【国際特許分類】
   B60L 58/12 20190101AFI20230905BHJP
   B60L 3/00 20190101ALI20230905BHJP
【FI】
B60L58/12
B60L3/00 S
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022503811
(86)(22)【出願日】2020-07-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-22
(86)【国際出願番号】 EP2020070374
(87)【国際公開番号】W WO2021013760
(87)【国際公開日】2021-01-28
【審査請求日】2022-01-27
(31)【優先権主張番号】102019119969.7
(32)【優先日】2019-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591037096
【氏名又は名称】フオルクスワーゲン・アクチエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】VOLKSWAGEN AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】ハイネマン・ローベルト・ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】ネマティ・イッサ
(72)【発明者】
【氏名】ザムゾン・シュテファン・カール
【審査官】清水 康
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102017206694(DE,A1)
【文献】特開2015-118789(JP,A)
【文献】特開2013-163434(JP,A)
【文献】特開2009-126258(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102013021640(DE,A1)
【文献】特開平05-111111(JP,A)
【文献】特開平03-074102(JP,A)
【文献】特開2013-184519(JP,A)
【文献】特開2017-013726(JP,A)
【文献】特開2007-295700(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00 - 3/12
B60L 7/00 - 13/00
B60L 15/00 - 58/40
B60K 6/20 - 6/547
B60W 10/00 - 20/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動車両において使用するための、十分に使用可能でない駆動出力についての警告のための警告メッセージ(4)を表示する方法であって、
-電動車両のエネルギー貯蔵部の実際の出力を検出ユニット(24)を用いて特定するために測定値を検出するステップ(32)と、
-検出された測定値に基づきエネルギー貯蔵部の実際のピーク出力及び/又は連続出力を処理ユニット(22)を用いて特定するステップ(34)と、
-処理ユニット(22)を用いて、実際のピーク出力及び/又は連続出力を、電動車両が所定の最小区間をまだ走行可能であるように設定されたピーク出力及び/又は連続出力の閾値と比較するステップ(36)と、
-ピーク出力及び/又は連続出力が閾値を下回る場合に表示手段(14)を用いて、警告シンボル(10)及び警告テキスト(12)の形態で形成された警告メッセージ(4)を表示するステップ(38)と
を含む前記方法において、
当該方法が、走行過程が開始されるときにのみ開始されることを特徴とする方法。
【請求項2】
エネルギー貯蔵部の実際の出力を特定するための測定値を検出するステップ(32)が、実際の電圧の検出及び/又は実際の電流の検出及び/又は実際の温度の検出及び/又は実際の充電状態の検出及び/又は実際の部材温度の検出及び/又は実際のエネルギー容量の検出を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
当該方法が、車両動作中に少なくとも部分的に定期的に実行され、当該方法が、好ましくは、設定された、及び/又は設定可能な周期的な部分において実行されることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
警告メッセージ(4)が、視覚的な信号及び/又は聴覚的な信号の形態で形成されることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
ピーク出力及び/又は連続出力を下回る場合の警告メッセージ(4)のほかに、閾値の設定された、又は設定可能な倍数を下回る場合に、事前警告メッセージが更になされ、前記倍数は、好ましくは閾値の少なくとも1.25倍であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
閾値が、個別に調整可能であり、好ましくは到達可能な機械回転数に依存して設定されることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
閾値を設定する際に、サブ消費機器の期待される消費が考慮されることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
警告メッセージ(4)の表示(38)中又は該表示後、解決提案が生成され、該解決提案が、好ましくはより大きな駆動出力を発生させる提案であることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
特に請求項1~8のいずれか1項に記載の方法を実行する、電動車両において使用するための、十分に使用可能でない駆動出力についての警告のための警告メッセージ(4)を表示するシステム(2)であって、
-電動車両のエネルギー貯蔵部の実際の出力を特定するために測定値を検出する(32)検出ユニット(24)と、
-検出された測定値に基づきエネルギー貯蔵部の実際のピーク出力及び/又は連続出力を特定し(34)、実際のピーク出力及び/又は連続出力をピーク出力及び/又は連続出力の閾値と比較する(36)処理ユニット(22)と、
-ピーク出力及び/又は連続出力が閾値を下回る場合に警告メッセージ(4)を表示する(38)表示手段(14)と
を含んでいるシステム。
【請求項10】
処理ユニット(22)がモータ制御機器の形態で形成されていることを特徴とする請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
表示手段(14)が、計器ディスプレイ及び/又はコンビネーション計器及び/又はヘッドアップディスプレイの形態で形成されていることを特徴とする請求項9又は10に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動車両において使用するための、十分に使用可能でない駆動出力についての警告のための警告メッセージを表示する方法及びシステムに関するものである。また、本発明は、同種のシステムを有する原動機付き車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電動車両の走行出力は、用いられる高電圧バッテリのセルケミストリー及び温度に決定的に依存している。ここで、高電圧バッテリの出力に関しては、低温時及び/又はわずかなエネルギー容量において部分的に大きく異なることがあり得るピーク出力及び/又は連続出力が区別される。当該バッテリ特性は、例えば低温時にわずかに充電されたバッテリにおいて運転者が高速道路を走行する場合に安全性に関連し得る。この理由から、このような状況について運転者へ適当に警告することが有意義である。
【0003】
状態、特に車両バッテリの容量を監視及び管理する方法並びにシステムが従来技術から、例えば特許文献1及び特許文献2から知られている。
【0004】
特許文献1は、車両におけるバッテリ要素の使用可能な容量を推定するシステム及び方法に関するものである。
【0005】
特許文献2は、バッテリの状態を監視及び管理するシステム並びに方法に関するものである。
【0006】
車両バッテリの状態を管理する従来技術から公知のシステムは危機的なバッテリ状態の検出時に警告を表示するものの、公知の方法及びシステムによれば、バッテリ状態自体のみが管理され、例えば、バッテリ状態に帰する使用可能な駆動出力は管理されないため、使用可能な駆動出力はしばしば十分正確には検出されない。加えて、検出される危機的なバッテリ状態を警告する公知の方法及びシステムは、継続的にのみ用いられ、必要な場合においてのみ用いられるものではないため、運転者は、警告メッセージによって、部分的に不必要に煩わされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】独国特許出願公開第102013220015号明細書
【文献】米国特許出願公開第2017/0254858号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の課題は、電動車両において使用するための、十分に使用可能でない駆動出力についての警告のための警告メッセージを表示する方法あるいはシステムの上述の欠点を少なくとも部分的に除去することにあり、特に、本発明の課題は、十分に使用可能でない駆動出力についての有効で同時にユーザフレンドリーな警告を特に容易かつ安価に生成する、十分に使用可能でない駆動出力について警告する方法及びシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題は、請求項1の特徴を有する方法及び請求項9によるシステムによって解決される。別の特徴及び詳細は、従属請求項、本明細書及び図面から明らかである。ここで、本発明による方法について開示される技術的な特徴は、本発明によるシステムに関連しても当てはまるとともに、またその逆でもあるため、個々の発明態様についての開示に関して、常に相互に関連し、あるいは関連し得る。本発明の合目的な形態は、各従属請求項において説明されている。
【0010】
警告メッセージを表示する具体的な方法は、好ましくは、ハイブリッド車両のような少なくとも部分的に電気的に動作される車両又は完全に電気的に動作される車両において用いられることが可能である。ここで、乗用車又は貨物自動車のような原動機付き車両における使用のほか、具体的な方法は、商用車、船舶又は飛翔体においても用いられることが可能である。ここで、電動車両において使用するための、十分に使用可能でない駆動出力についての警告のための警告メッセージを表示する本発明による方法は、電動車両のエネルギー貯蔵部の実際の出力を検出ユニットを用いて特定するために測定値を検出するステップと、検出された測定値に基づきエネルギー貯蔵部の実際のピーク出力及び/又は連続出力を処理ユニットを用いて特定するステップと、処理ユニットを用いて、実際のピーク出力及び/又は連続出力をピーク出力及び/又は連続出力の閾値と比較するステップと、ピーク出力及び/又は連続出力が閾値を下回る場合に表示手段を用いて警告メッセージを表示するステップとを含み、当該方法は、走行準備を生成しようとするときに開始される。
【0011】
本発明の範囲では、ピーク出力は、特に、好ましくは1~30秒の時間インターバルの間に提供され得る最大限達成可能な瞬時出力(一時出力)と理解される。本発明の範囲では、連続出力は、特に、好ましくは分から時間までの比較的長い時間インターバルの間に提供され得る継続的に最大限達成可能な出力と理解される。また、本発明によれば、閾値は、例えば、具体的な方法が実行される車両が所定の最小区間をまだ走行可能、例えば少なくとも操車可能であるか、又は充電ステーションへ到達可能であるように設定され得る、ピーク出力及び/又は連続出力の設定された、あるいは設定可能な値と理解される。走行準備を生成しようとするとは、本発明の範囲では、最終的に、特に走行過程が開始されることとなる過程と理解される。したがって、このような過程は、好ましくは、車両が移動しない車両の単なる始動とは異なる。このとき、走行準備の生成は、好ましくは、本発明による方法が一般に実行される基準あるいは必要条件とされるべきである。ここで、処理ユニットを用いた測定値の検出に基づくエネルギー貯蔵部の実際のピーク出力及び/又は連続出力の具体的な特定は、好ましくは検出された測定値の一時的な処理を含むことができる。このことは、例えば、個々の測定値の単なる平均又は重み付けを含み得るが、より複雑なデータ評価手法の形態で行われてもよい。
【0012】
本発明の範囲では、十分に使用可能でない駆動出力についての具体的に設定された警告を介して、特に、方法が、走行準備を生成しようとするときに開始されることに基づき、十分に使用可能でない駆動出力についての特にユーザフレンドリーな警告が保証されることが分かり、当該警告においては、運転者は、走行過程を開始しようとすることなく、充電過程中又は単なるモータの始動中には警告メッセージによって妨害されない。さらに、特に信頼性をもった態様で、十分に使用可能でない駆動出力を特定するための具体的に設定されたステップに基づき、走行過程がまだ実行可能であるか否かをチェックすることができ、その結果、警告が、このようにして必要な場合にのみ行われる。
【0013】
エネルギー貯蔵部の実際の出力を容易かつ同時にできる限り正確な特定にあたって、具体的に、有利には、特に、エネルギー貯蔵部の実際の出力を特定するための測定値を検出するステップが、実際の電圧の検出及び/又は実際の電流の検出及び/又は実際の温度の検出及び/又は実際の充電状態の検出及び/又は実際の部材温度の検出及び/又は実際のエネルギー容量の検出を含むこととなっている。また、例えばエネルギー貯蔵部の劣化又はこれに類するような追加的なパラメータも共に考慮することが可能である。加えて、特にフレキシブルに適合可能な手法の範囲では、例えば実際の電圧及び/又は実際の電流のような個々のパラメータを基本的に特定することができる一方、実際の温度又はこれに類するもののような他のパラメータは、必要な場合にのみ、例えば所定の閾値への到達以降特定されることが可能である。
【0014】
十分に使用可能でない駆動出力についての継続的な警告に関して、有利には、具体的に、方法が、車両動作中に少なくとも部分的に定期的に実行され、当該方法が、好ましくは、設定された、及び/又は設定可能な周期的な部分において実行されるように構成されることができ、その結果、適当に規定された条件、特にピーク出力及び/又は連続出力が閾値を下回るという条件が満たされている限り、開始時のみならず車両の動作中にも警告メッセージが表示される。ここで、設定された、及び/又は設定可能な周期的な部分は、例えば500ms若しくは5分又はこれに類するような時間部分であってよく、又は例えば5km、10km若しくはこれに類するような行程の長さ部分であってもよい。別の態様によれば、例えば本発明による方法ステップの第1の実行後にも、どのくらいの時間の後、あるいはどのくらいの行程区間の後具体的な方法ステップの新たな実行が行われるべきかを毎回特定することが可能である。周期的に行われる方法ステップとは異なり、例えばエネルギー貯蔵部の実際のピーク出力及び/又は連続出力の特定のような個々の方法ステップは、処理ユニットにおいて定常的かつ連続的に進行することが可能である。
【0015】
十分に使用可能でない駆動出力についての特に効果的かつ効率的な警告に関して、有利には、具体的に、警告メッセージが視覚的な信号及び/又は聴覚的な信号の形態で形成されるように構成されることが可能である。ここで、視覚的な警告メッセージは、例えば警告シンボル又は警告テキストの形態で行われることができる。これに代えて、又はこれに加えて、振動による信号又はこれに類するもののような他の信号形態も用いられることが可能である。ここで、特に効果的な警告においては、特に、例えば視覚的な、聴覚的な、及び振動による警告メッセージのような複数の警告形態を互いに組み合わせることが可能である。
【0016】
十分に使用可能でない駆動出力についての特に早期かつ予測的な警告にあたっては、本発明の範囲において、有利には、ピーク出力及び/又は連続出力を下回る場合の警告メッセージのほかに、閾値の設定された、又は設定可能な倍数を下回る場合に、事前警告が更になされ、前記倍数は、好ましくは閾値の少なくとも1.25倍であるようになっている。このとき、事前警告が、その種類において警告メッセージとは異なっていれば有利である。したがって、例えば、事前警告メッセージは、他のシンボル、他の色、他の強さ又はこれらに類するものの形態で表されるように設定されることが可能である。したがって、事前警告メッセージが、黄色のシンボルの形態で形成され、かつ、つづく警告メッセージが赤色のシンボルの形態で形成されるか、又は事前警告メッセージが警告メッセージよりも小さな大きさを有していることが考えられる。
【0017】
十分に使用可能でない駆動出力についてのできる限りフレキシブルかつ適合可能な警告を保証するために、具体的には、更に、閾値が個別に調整可能であり、好ましくは到達可能な機械回転数に依存して設定されるように構成されることが可能である。ここで、到達可能な機械回転数は、特に、規定されるべき電気機械回転数の形態で形成されることが可能である。到達可能な機械回転数の決定を介して、特に最大限到達可能な速度を算出することが可能であり、その結果、閾値は、有利には、例えば15km/h又はこれに類する最大限到達可能な速度に設定可能であり得る。同様に、例えば500m若しくは数キロメートル又はこれに類する最大限進行可能な区間への閾値の適合を設定することが可能であり、その結果、警告以降も、充電ステーションに到達すること、又は車両が少なくとも選択された箇所へ駐車することがまだ可能となり得る。また、例えば5%の克服すべき勾配又はこれに類するものへの適合も設定されることが可能である。
【0018】
さらに、有利には、本発明の範囲では、例えばあらかじめ規定された電気機械回転数又はこれに類するものを下回るような追加的なファクタに警告メッセージの発出が依存するように構成されることが可能である。したがって、ピーク出力及び/又は連続出力が下回るほか、例えば4000rpm(およそ50km/hに相当)の電気機械回転数の設定可能な閾値も下回るときにのみ警告メッセージを発出することが可能である。
【0019】
まだ使用可能な駆動出力をできる限り正確に推定するにあたって、閾値の設定時に、サブ消費機器の期待される消費(量)が考慮される。
【0020】
小さな駆動出力の場合にまだ使用可能な駆動出力に介入して影響を与えることができるように、本発明によれば、有利には、警告メッセージの表示中又は該表示後、解決提案が生成されるように更に構成されることが可能であり、該解決提案は、好ましくはより大きな駆動出力を発生させる提案である。ここで、解決提案は、特に、現在のエネルギー消費の適合のための提案又はサブ消費機器の動作の適合のための提案も含み得る。好ましくは、簡易な構成においては、解決提案は、第1の動作モードから第2の動作モードへの動作の適合も含み得る。加えて、2つより多くの動作モードを設けることが可能であることも考えられる。
【0021】
同様に、本発明の対象は、更に、電動車両において使用するための、十分に使用可能でない駆動出力についての警告のための警告メッセージを表示するシステムである。ここで、本発明によるシステムは、電動車両のエネルギー貯蔵部の実際の出力を特定するために測定値を検出する検出ユニットと、検出された測定値に基づきエネルギー貯蔵部の実際のピーク出力及び/又は連続出力を特定し、実際のピーク出力及び/又は連続出力をピーク出力及び/又は連続出力の閾値と比較する処理ユニットと、ピーク出力及び/又は連続出力が閾値を下回る場合に警告メッセージを表示する表示手段とを含んでいる。具体的な検出ユニットは、好ましくはエネルギー貯蔵部に統合されることができるか、又は当該エネルギー貯蔵部に配置されることが可能である。ここで、好ましくは、検出ユニットは、エネルギー貯蔵部の実際の出力を特定するための測定値を検出するセンサユニットあるいはセンサであり得る。ここで、センサは、システムに直接配置されることができるか、又は例えばシステムから離れて配置されることも可能である。
【0022】
具体的なシステムのコンパクトかつ安価な構成では、具体的に、更に、処理ユニットがモータ制御機器の形態で形成されているように構成されることが可能である。モータ制御機器は、いずれにしてもエネルギー貯蔵部に接続されており、したがって、あらかじめエネルギー貯蔵部の近傍に配置されているため、単純かつ複雑でないデータ伝達が可能である。
【0023】
わずかな駆動出力についての、容易に統合可能かつ同時に特に効果的な警告に関して、有利には、具体的に、更に、表示手段が計器ディスプレイ及び/又はコンビネーション計器及び/又はヘッドアップディスプレイの形態で形成されるように構成されることが可能である。同様に、ステアリングホイールから離間して配置された容量式のディスプレイ又はこれに類するものの形態の具体的な表示要素の構成も考えられる。さらに、特に効果的な警告に関して、上記表示形態のうち複数が用いられ、したがって複数の表示手段が車両内で同時に用いられることが考えられる。
【0024】
また、同様に、本発明の対象は、十分に使用可能でない駆動出力についての警告のための警告メッセージを表示する上述のシステムを含む原動機付き車両である。
【0025】
本発明の別の利点、特徴及び詳細は、図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する以下の説明から明らかである。ここで、請求項及び本明細書において言及される特徴は、それぞれ個別に、又は適宜の組合せにおいて本発明にとって本質的であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】電動車両において使用するための、十分に使用可能でない駆動出力についての警告のための警告メッセージを表示する本発明による方法の個別のステップを概略的に示す図である。
図2】電動車両において使用するための、十分に使用可能でない駆動出力についての警告のための警告メッセージを表示する本発明によるシステムの個別の本質的な構成要素を概略的に示す図である。
図3】警告メッセージを表示する本発明による方法が実行される原動機付き車両の内部空間を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1には、十分に使用可能でない駆動出力についての警告のための警告メッセージ4を表示する本発明による方法の個別のステップが概略的に図示されている。
【0028】
ここで、具体的な方法は、走行準備を生成するステップ30と、これにつづく、電動車両のエネルギー貯蔵部の実際の出力を検出ユニット24を用いて特定するために測定値を検出するステップ32と、検出された測定値に基づきエネルギー貯蔵部の実際のピーク出力及び/又は連続出力を処理ユニット22を用いて特定するステップ34と、処理ユニット22を用いて、実際のピーク出力及び/又は連続出力をピーク出力及び/又は連続出力の閾値と比較するステップ36と、ピーク出力及び/又は連続出力が閾値を下回る場合に表示手段14を用いて警告メッセージ4を表示するステップ38とを含んでいる。
【0029】
ここで、エネルギー貯蔵部の実際の出力を特定するための測定値を検出するステップ32は、特に、実際の電圧の検出及び/又は実際の電流の検出及び/又は実際の温度の検出及び/又は実際の充電状態の検出及び/又は実際の部材温度の検出及び/又は実際のエネルギー容量の検出を含み得る。加えて、ステップ38により表示される警告メッセージ4は、視覚的な信号及び/又は聴覚的な信号の形態で、あるいは例えば振動による信号又はこれに類するもののような他の信号形態でも行われることが可能である。また、特に有効な警告にあたって、複数の警告形態を互いに組み合わせることも可能である。
【0030】
有利には、ステップ36において実際のピーク出力及び/又は連続出力と比較されるピーク出力及び/又は連続出力の閾値は、個別に調整可能であるとともに、例えば最大限到達可能な機械回転数又はこれに類するものに依存して設定されることが可能である。まだ使用可能な駆動出力をできる限り正確に推定するにあたって、閾値の設定時に、サブ消費機器の期待される消費(量)が考慮される。
【0031】
図2には、十分に使用可能でない駆動出力についての警告のための警告メッセージ4を表示する本発明によるシステム2の個別の本質的な構成要素が概略的に図示されている。ここで、具体的なシステム2は、電動車両のエネルギー貯蔵部の実際の出力を特定するために測定値を検出する32検出ユニット24と、検出された測定値に基づきエネルギー貯蔵部の実際のピーク出力及び/又は連続出力を特定し34、実際のピーク出力及び/又は連続出力をピーク出力及び/又は連続出力の閾値と比較する36処理ユニット22と、ピーク出力及び/又は連続出力が閾値を下回る場合に警告メッセージ4を表示する38表示手段14とを含んでいる。有利には、できる限り効果的な情報交換にあたって、具体的なシステム2の個々の構成要素は、ここでは不図示の制御ラインを用いて互いに接続されることが可能である。これに代えて、具体的なシステム2のできる限りフレキシブルで容易に統合可能な構成にあたっては、個々の構成要素は、ワイヤレスあるいは非接触式にBluetooth、WLAN、Zigbee又はこれらに類するものを介して通信することが可能である。
【0032】
具体的なシステムのコンパクトかつ安価な構成にあたっては、いずれにしてもエネルギー貯蔵部に接続され、したがって既にエネルギー貯蔵部の近傍に配置されており、その結果、容易かつ単純なデータ伝達が可能なモータ制御機器の形態で処理ユニット22を形成することが可能である。
【0033】
本発明によれば、表示手段14は、特に計器ディスプレイ及び/又はコンビネーションディスプレイ及び/又はヘッドアップディスプレイ又はこれらに類するものの形態で形成されることが可能である。同様に、具体的な表示手段は、ステアリングホイールから離間して配置された容量式のディスプレイ又はこれに類するものの形態で形成されることも可能である。さらに、特に効果的な警告に関して、上記表示形態のうち複数が用いられ、したがって複数の表示手段14が車両内で同時に用いられることが考えられる。
【0034】
図3には、十分に使用可能でない駆動出力についての警告のための警告メッセージ4を表示する本発明による方法が実行される原動機付き車両の内部空間が概略的に図示されている。
【0035】
ここで、ここでは警告シンボル10及び警告テキスト12の形態で形成された警告メッセージ4は、ステアリングホイール6の近傍に配置されたコンビネーションディスプレイにおいて、また、ステアリングホイール6から離間して配置された容量式のディスプレイを介して、運転者へ表示される。容量式のディスプレイにおいては、別のメッセージ16が示されていることが更に見て取れ、当該別のメッセージは、別の警告メッセージ又は警告メッセージ4に関して設定された解決提案であってもよい。
【0036】
十分に使用可能でない駆動出力についての警告のための警告メッセージ4を表示する本発明による方法及びシステム2を用いて、十分に使用可能でない駆動出力についての特にユーザフレンドリーな警告が可能となり、運転者は、走行過程を開始しようとすることなく、充電過程中又は単なるモータの始動中には警告メッセージ4によって妨害されない。さらに、特に信頼性をもった態様で、十分に使用可能でない駆動出力を特定するための具体的に設定されたステップに基づき、走行過程がまだ実行可能であるか否かをチェックすることができ、その結果、警告が、このようにして必要な場合にのみ行われる。
なお、本発明は、以下の態様も包含し得る:
1.電動車両において使用するための、十分に使用可能でない駆動出力についての警告のための警告メッセージ(4)を表示する方法であって、
-電動車両のエネルギー貯蔵部の実際の出力を検出ユニット(24)を用いて特定するために測定値を検出するステップ(32)と、
-検出された測定値に基づきエネルギー貯蔵部の実際のピーク出力及び/又は連続出力を処理ユニット(22)を用いて特定するステップ(34)と、
-処理ユニット(22)を用いて、実際のピーク出力及び/又は連続出力をピーク出力及び/又は連続出力の閾値と比較するステップ(36)と、
-ピーク出力及び/又は連続出力が閾値を下回る場合に表示手段(14)を用いて警告メッセージ(4)を表示するステップ(38)と
を含む前記方法において、
当該方法が、走行準備を生成(30)しようとするときに開始されることを特徴とする方法。
2.エネルギー貯蔵部の実際の出力を特定するための測定値を検出するステップ(32)が、実際の電圧の検出及び/又は実際の電流の検出及び/又は実際の温度の検出及び/又は実際の充電状態の検出及び/又は実際の部材温度の検出及び/又は実際のエネルギー容量の検出を含むことを特徴とする上記1.に記載の方法。
3.当該方法が、車両動作中に少なくとも部分的に定期的に実行され、当該方法が、好ましくは、設定された、及び/又は設定可能な周期的な部分において実行されることを特徴とする上記1.又は2.に記載の方法。
4.警告メッセージ(4)が、視覚的な信号及び/又は聴覚的な信号の形態で形成されることを特徴とする上記1.~3.のいずれか1つに記載の方法。
5.ピーク出力及び/又は連続出力を下回る場合の警告メッセージ(4)のほかに、閾値の設定された、又は設定可能な倍数を下回る場合に、事前警告メッセージが更になされ、前記倍数は、好ましくは閾値の少なくとも1.25倍であることを特徴とする上記1.~4.のいずれか1つに記載の方法。
6.閾値が、個別に調整可能であり、好ましくは到達可能な機械回転数に依存して設定されることを特徴とする上記1.~5.のいずれか1つに記載の方法。
7.閾値を設定する際に、サブ消費機器の期待される消費が考慮されることを特徴とする上記1.~6.のいずれか1つに記載の方法。
8.警告メッセージ(4)の表示(38)中又は該表示後、解決提案が生成され、該解決提案が、好ましくはより大きな駆動出力を発生させる提案であることを特徴とする上記1.~7.のいずれか1つに記載の方法。
9.特に上記1.~8.のいずれか1つに記載の方法を実行する、電動車両において使用するための、十分に使用可能でない駆動出力についての警告のための警告メッセージ(4)を表示するシステム(2)であって、
-電動車両のエネルギー貯蔵部の実際の出力を特定するために測定値を検出する(32)検出ユニット(24)と、
-検出された測定値に基づきエネルギー貯蔵部の実際のピーク出力及び/又は連続出力を特定し(34)、実際のピーク出力及び/又は連続出力をピーク出力及び/又は連続出力の閾値と比較する(36)処理ユニット(22)と、
-ピーク出力及び/又は連続出力が閾値を下回る場合に警告メッセージ(4)を表示する(38)表示手段(14)と
を含んでいるシステム。
10.処理ユニット(22)がモータ制御機器の形態で形成されていることを特徴とする上記9.に記載のシステム。
11.表示手段(14)が、計器ディスプレイ及び/又はコンビネーション計器及び/又はヘッドアップディスプレイの形態で形成されていることを特徴とする上記9.又は10.に記載のシステム。
【符号の説明】
【0037】
2 警告メッセージを表示するシステム
4 警告メッセージ
6 ステアリングホイール
10 警告シンボル
12 警告テキスト
14 表示手段
16 別のメッセージ
20 フロントガラス
22 処理ユニット
24 検出ユニット
30 走行準備の生成
32 測定値の検出
34 実際のピーク出力及び/又は連続出力の特定
36 閾値との実際のピーク出力及び/又は連続の比較
38 警告メッセージの表示
図1
図2
図3