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特許7343698匂い物質としての新規の芳香族モノチオケタール
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  • 特許-匂い物質としての新規の芳香族モノチオケタール 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-04
(45)【発行日】2023-09-12
(54)【発明の名称】匂い物質としての新規の芳香族モノチオケタール
(51)【国際特許分類】
   C11B 9/00 20060101AFI20230905BHJP
   A61Q 13/00 20060101ALI20230905BHJP
【FI】
C11B9/00 W
A61Q13/00 101
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022522865
(86)(22)【出願日】2019-10-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-21
(86)【国際出願番号】 EP2019078126
(87)【国際公開番号】W WO2021073736
(87)【国際公開日】2021-04-22
【審査請求日】2022-06-06
(73)【特許権者】
【識別番号】511008850
【氏名又は名称】シムライズ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100114904
【弁理士】
【氏名又は名称】小磯 貴子
(74)【代理人】
【識別番号】100134636
【弁理士】
【氏名又は名称】金高 寿裕
(72)【発明者】
【氏名】ゲルストマン,フランク
(72)【発明者】
【氏名】ヘルシャー,ベルント
【審査官】井上 恵理
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-316984(JP,A)
【文献】特表2009-542619(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0163572(US,A1)
【文献】特開2011-011982(JP,A)
【文献】CHOUDHURY, P. K. et al.,NEW HOMOLOGATION OF 2-HYDROXY AND 2-MERCAPTO BENZYLIC ALCOHOLS,TETRAHEDRON,1997年12月22日,(1997), Vol.53, Nr.51,pp.17373-17382,http://dx.doi.org/10.1016/S0040-4020(97)10161-2
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11B 9/00- 9/02
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
C07D327/06
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
FSTA(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
感覚有効量の式(I):
【化1】

の化合物、及びそれらの立体異性体、またはそれらの混合物を含む匂い物質または匂い物質混合物であって、式中、
はH、直鎖アルキル基C1~2、直鎖または分岐鎖のアルキル基C3~5、または直鎖または分岐鎖のアルケニル基 ~5 を表し、
はH、直鎖アルキル基C1~2、直鎖または分岐鎖のアルキル基C3~5、または直鎖または分岐鎖のアルケニル基 ~5 を表し、
はH、直鎖アルキル基C1~2、直鎖または分岐鎖のアルキル基Cを表し、
その際、R及びRの炭素原子の合計は5つの炭素原子を超えず、
は芳香族環の位置のうちの1つに配置される、前記匂い物質または匂い物質混合物。
【請求項2】
がRと等しくない、請求項1に記載の匂い物質または匂い物質混合物。
【請求項3】
式(I)の前記化合物では、RとRが水素原子であり、且つRがH、メチル基、イソプロピル基またはtert-ブチル基である、請求項1または2のいずれか1項に記載の匂い物質または匂い物質混合物。
【請求項4】
式(I)の前記化合物が
(i)4H-3,1-ベンゾオキサチイン、
(ii)2-メチル-4H-3,1-ベンゾオキサチイン、及び
(iii)2-イソプロピル-4H-3,1-ベンゾオキサチイン
から成る群から選択される請求項1、2または3のいずれか1項に記載の匂い物質または匂い物質混合物。
【請求項5】
先行請求項1~4のいずれかに記載の少なくとも1つの匂い物質または1つの匂い物質混合物と、1以上の追加の他の匂い物質とを含む、またはそれらから成る、香油。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか1項に記載の匂い物質または匂い物質混合物または請求項5に記載の香油がマイクロカプセル化される、噴霧乾燥される、封入複合体である、または押出製品である、改変された香油。
【請求項7】
請求項1~4または5に記載の匂い物質、匂い物質混合物または香油、または請求項6に記載の改変された香油を含み、少なくとも1つの補助剤、及び/または少なくとも1つの添加剤、及び/または少なくとも1つの機能剤を含む、香料組成物。
【請求項8】
請求項1~4のいずれか1項に記載の匂い物質または匂い物質混合物または請求項5に記載の香油または請求項6に記載の改変された香油または請求項7に記載の香料組成物を含み、さらにシャンプーまたはシャワージェルに好適な、且つ良識ある態度で使用される添加剤を含む、シャンプーまたはシャワージェル用の香油製剤。
【請求項9】
請求項1~4のいずれか1項に記載の匂い物質または匂い物質混合物または請求項5に記載の香油または請求項6に記載の改変された香油または請求項7に記載の香料組成物または請求項8に記載の香油製剤を含む、洗剤、衛生用品、パーソナルケア製品、シャンプーまたはシャワージェルから成る群から選択される香料入り製品。
【請求項10】
請求項1~4のいずれか1項に記載の式(I)の化合物の少なくとも1つの匂い物質または匂い物質混合物としての使用。
【請求項11】
不快な匂いを減らすもしくはマスキングするための、及び/またはプラスの匂い印象を増強するための、及び/または花のような、動物のもしくは皮革のような匂い印象を増強するための、請求項1~4のいずれか1項に記載の式(I)の化合物の少なくとも1つの使用。
【請求項12】
香料抽出物、オードパルファム、オードトワレ、髭剃り水、オーデコロン、髭剃り前製品、スプラッシュコロン及び香料入り清涼ワイプの調製のための、または
酸性、アルカリ性及び中性の、床洗浄剤、窓ガラス洗浄剤、皿洗い洗剤、風呂及びトイレ洗浄剤からなる群より選択される洗浄剤、汚れ落としミルク、固形及び液体のWC洗浄剤、粉末及び泡状のカーペット洗浄剤、液体洗濯洗剤、粉末洗濯洗剤、漂白剤、柔軟剤及び染み抜き剤からなる群より選択される洗濯前処理剤、洗濯柔軟剤、洗濯石鹸、洗濯錠剤、消毒剤、表面消毒剤、液体、ゲルまたは固体の形態での空気清浄剤、エアゾールスプレー、家具艶出し剤、床ワックス及び靴磨き剤からなる群より選択されるワックス及び艶出し剤、固形及び液状の石鹸、シャワージェル、シャンプー、髭剃り石鹸、シェービングフォーム、バスオイルからなる群より選択されるパーソナルケア製品、皮膚のクリーム及びローション、顔面のクリーム及びローション、日焼け止めのクリーム及びローション、日焼け後のクリーム及びローション、手のクリーム及びローション、足のクリーム及びローション、脱毛のクリーム及びローション、髭剃り後のクリーム及びローション、及び日焼けのクリーム及びローションからなる群より選択される水中油、油中水及び水中油中水の型の化粧品エマルション、毛髪スプレー、毛髪ジェル、毛髪ローション、ヘアコンディショナー、永続的な及び半永続的な毛髪染料からなる群より選択される毛髪ケア製品、コールドパーマ剤及び縮毛矯正剤、ヘアトニック、及び毛髪のクリーム及びローションからなる群より選択される毛髪成形製品、腋下スプレー、ロールオン、脱臭スティック及び脱臭クリームからなる群より選択される脱臭剤及び制汗剤、または装飾的な化粧製品の香りづけのための、
請求項1~4のいずれか1項に記載の匂い物質または匂い物質混合物または請求項5に記載の香油または請求項6に記載の改変された香油または請求項7に記載の香料組成物または請求項8に記載の香油製剤の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感覚有効量の式(I):
【化1】

の化合物を含む匂い物質または匂い物質混合物に関するものであり、式中、R及びRは水素原子、直鎖アルキル基C1~2、直鎖または分岐鎖のアルキル基C3~5、または直鎖または分岐鎖のアルケニル基 ~5 として定義される。その際、R及びRの炭素原子の合計は5つの炭素原子を超えない。ラジカルRは水素原子、直鎖アルキル基C1~2、直鎖または分岐鎖のアルキル基Cとして定義され、芳香族環の示される4つの位置のうちいずれに配置されてもよい。匂い物質または匂い物質混合物はさらに、式(I)の化合物の立体異性体、特にジアステレオマー及びエナンチオマー、またはそれらの混合物を含む。さらに、本発明は感覚有効量で式(I)の化合物の少なくとも1つを含む香油、改変された香油、香料組成物、香油製剤及び香料入り製品に関する。さらに、本発明は匂い物質としての、または匂い物質混合物と同様に香料入り製品における式(I)の化合物の少なくとも1つの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
芳香族化合物インドールは多数の精油及び香油の成分であり、主としてその匂いを特徴とし、それは純粋な形態または濃縮された形態では非常に不快であると認知されることが多い。しかしながら、微細な用量で使用すると、この窒素含有有機化合物は、ジャスミン花油、スイセン花油またはオレンジ花油にも見いだすことができる上品な花のような匂いを展開するので多数の花の匂いプロファイルの成分でもある。
【0003】
香料業界の側では、花のような及び皮革のような匂い物質、特にインドールに類似する匂いプロファイルを有する(S.Arctander,“Perfume and Flavor Chemicals(Aroma Chemicals),”2008,Vol.1,Allured Publishing Corporation)、且つホワイトフローラル組成物の成分として使用することができる香調に対する大きな需要がある。一方では前記匂い物質の毒性に起因して、且つ他方ではインドールを含有する香油に関連する変色の問題、と同様に他の香油成分との相互作用及びインドールの光感受性による芳香の変化に起因してインドールの代替物も望ましい。インドールの代用品は動物の、花のような、皮革のような、及びシベット様の匂いプロファイルを有する、例えば、Indoflor(登録商標)である。
【0004】
しかしながら、記載されている課題を回避するのでプラスの二次的特性を示す一方で同時にインドールに匹敵する匂いプロファイルを示す好適な化合物の検索は考えられる化合物が非常に多いこと及び対応する匂いプロファイルの予測不能性のせいで提供するのが非常に困難である。加えて、匂い物質または他の成分の嗅覚特性または他の機能的特性に悪影響を及ぼすことなく、これらの匂い物質を他の化合物、例えば、香油または消費者製品の製造のために他の匂い物質または他の成分と上手く混合することは可能なはずである。
【0005】
1,3-オキサチアン誘導体は匂い物質として文献(US4220561;US6559109B2;US8053466B2)で知られ、果実のような、青葉のような及びハーブのような香調を示すことが多い。この構造的な部類から商業化された匂い物質の例は匂い物質Oxanthia(DE2534162B2)である。言及された報告すべて(US4220561;US6559109B2;US8053466B2)では、芳香族で縮環されたオキサチアンは言及されていない。芳香族で縮合したオキサチアンの合成は文献(M.Yus et al.,Tetrahedron,1997,53(51),17373;GB645130A;GB640570A;Q.Wan et al,Angew.Chem.Int.ed.2015,58(48),14432)ですでに報告されている。しかしながら、一般式(I)のもとでグループ化することができる本発明の匂い物質の感覚刺激特性を記載している文献はない。香料の分野では、したがって、芳香族で縮合したオキサチアンには有意な適用が未だに見いだされていない。特に、香油の製造における特定の量比の呼称は知られておらず、他の匂い物質と組み合わせたときの嗅覚効果はなおさら知られていない。
【0006】
したがって、本発明は、動物のような及び皮革のようなプロファイルを有し、芳香組成物における花のような態様を加える、増強する、または修正するので、インドールのようになる芳香特性を示す新しい匂い物質を提供する一般的な課題に基づく。
【0007】
したがって、本発明は、我々の知る限りでは、文献で今までに報告されていない、且つインドールに匹敵する匂いプロファイルを有する匂い物質及び匂い物質混合物に関する。したがって、本発明は、プラスの且つ特徴的な匂い特性に加えて追加のプラスの二次的特性を示す匂い物質または匂い物質混合物を提供することを目的とする。
【0008】
追加の課題は、新しい本発明の匂い物質及びそれらの混合物による不快な匂いの低減もしくはマスキング、及び/またはプラスの匂い印象の増強、特に花のような、動物のような、皮革のような匂い印象の増強に関する。
【0009】
さらなる課題は、匂い物質として使用するための新しい化合物、好ましくは混合物、と同様に製剤、及びこれらの混合物及びそれらの製剤を含有する消費財の提供に関する。
【0010】
これらの課題は主クレームで定義されている特徴の組み合わせによって解決される。本発明の好ましい実施形態は下位クレームの主題であり、以下の説明及び実施形態の実施例に由来する。
【発明の概要】
【0011】
本発明の第1の目的は、感覚有効量の式(I):
【化2】

の化合物を含む匂い物質または匂い物質混合物に関するものであり、式中、Rは水素原子、直鎖アルキル基C1~2、直鎖または分岐鎖のアルキル基C3~5、または直鎖または分岐鎖のアルケニル基 ~5 を表し、Rは水素原子、直鎖アルキル基C1~2、直鎖または分岐鎖のアルキル基C3~5、または直鎖または分岐鎖のアルケニル基 ~5 を表し、RとRの炭素原子の合計は5つの炭素原子を超えない。さらにRは水素原子、直鎖アルキル基C1~2、または直鎖または分岐鎖のアルキル基Cを表し、Rは芳香族環の4つの印を付けた位置の1つに配置される。第1の主題に係る請求されている式(I)の化合物はさらに、立体異性体、特にジアステレオマー及びエナンチオマーまたはそれらの混合物を含む。
【0012】
第2の目的では、本発明は本発明に係る少なくとも1つの匂い物質または本発明に係る匂い物質混合物と1以上の追加の他の匂い物質とを含む、またはそれらから成る香油を含む。
【0013】
本発明の第3の目的は、本発明に係る匂い物質または本発明に係る匂い物質混合物または本発明に係る香油がマイクロカプセル化される、噴霧乾燥される、封入複合体または押出製品として存在する改変された香油である。
【0014】
第4の態様では、本発明は、本発明に係る匂い物質、本発明に係る匂い物質混合物、または本発明に係る香油、または本発明に係る改変された香油を含み、さらに少なくとも1つの補助剤(supplement)、特に担体及び/または少なくとも1つの添加剤、特に少なくとも1つの製剤化補助剤(formulation adjuvant)及び/または少なくとも1つの機能剤を含む香料組成物に関する。
【0015】
本発明のさらなる目的は、本発明に係る匂い物質または匂い物質混合物または香油または改変された香油または香料剤、と同様にシャンプーまたはシャワージェルに好適な且つ良識ある態度で(in a sensible manner)使用されるさらなる添加剤を含む、シャンプーまたはシャワージェル用の香油製剤である。
【0016】
さらに、別の主題では、本発明は、本発明に係る匂い物質または匂い物質混合物、香油、改変された香油、香料組成物または香油製剤を含む洗剤、衛生用品、ケア製品、シャンプーまたはシャワージェルから成る群から選択される香料入り製品に関する。
【0017】
最後に、さらなる態様では、本発明は匂い物質または匂い物質混合物としての式(I)の化合物の少なくとも1つの使用、ならびに不快な匂いを減らすもしくはマスキングするための及び/またはプラスの匂い印象を増強するための及び/または花のような、動物のようなもしくは皮革のような匂い印象を増強するための式(I)の化合物の少なくとも1つの使用に関する。
【0018】
本発明のこれらの及び他の態様、特徴及び利点は以下の詳細な説明及びクレームの検討から当業者に明らかであろう。この点で、本発明の態様に1つに由来する任意の特徴は本発明の別の態様で使用されてもよいし、または置き換えられてもよい。本出願に含有される実施例はそれを限定することなく本発明を説明している。特に、本発明はこれらの実施例に限定されない。
【0019】
特に明記しない限り、割合はすべて重量による。「x~y」で与えられる数的な例には所与の値が含まれる。複数の好ましい数的範囲がこの形式で与えられる場合、種々の端点の組み合わせから生じる範囲もすべて含まれる。
【0020】
本発明の有利なさらなる実施形態及び変異型は独立クレームにて与えられる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
第1の態様では、本発明は、感覚有効量の一般式(I):
【化3】

の化合物を含む新規の匂い物質または匂い物質混合物に関する。式中、ラジカルR及びRは水素原子、直鎖アルキル基C1~2、直鎖または分岐鎖のアルキル基C3~5、または直鎖または分岐鎖のアルケニル基 ~5 として定義される。R及びRの炭素原子の合計は5つの炭素原子を超えるべきではない。さらに、ラジカルRは水素原子、直鎖アルキル基C1~2、または直鎖または分岐鎖のアルキル基Cとして定義され、式(I)の化合物の芳香族環の4つの強調される位置のうちの1つに配置されてもよい。第1の主題に従って請求されている式(I)の化合物はさらに、その立体異性体、特にジアステレオマー及びエナンチオマーまたはそれらの混合物を含む。
【0022】
したがって、本発明の好ましい実施形態は、立体異性体、特にそれらのジアステレオマー及びエナンチオマー及びそれらの混合物と同様にそれらの位置異性体の形態すべてにおいて式(I)の化合物に関する。
【0023】
特に好ましくはRは水素原子であり、Rも水素原子であり、且つRはメチル基、イソ-プロピル基またはtert-ブチル基である。
【0024】
さらに、ラジカルR及びRは好ましくは同一であり、この場合、特に好ましくはメチル基である。
【0025】
式(I)の化合物は一般に1,3-オキサチアンに由来することができる。本明細書に記載されている芳香族で縮合されたオキサチアンは1,3-オキサチアンの基本骨格を有し、2つの共通する炭素原子を介してその環構造に芳香族6員環の環が連結される、すなわち、縮合される。驚くべきことに、残基の選択に応じて、これらの化合物は主に強烈な花の芳香を引き出し、皮革のような及び動物の匂いプロファイルを示すことが見いだされている。
【0026】
香料業界では、式(I)の化合物は今までのところ、特に匂い物質にてもしくは匂い物質として、または匂い物質混合物にてもしくは匂い物質混合物として、有意な適用が見いだされていない。
【0027】
驚くべきことに、式(I)の化合物を含む本発明に係る匂い物質及び匂い物質混合物は動物の、皮革の、花の、果実の及び専門的な(technical)匂いプロファイルを示す。
【0028】
式(I)の化合物は一般に新規の強い匂い物質及び/または匂い物質混合物を表し、匂い感覚は微妙に、すなわち、匂いプロファイルの個々の香調の重み付けにて、それぞれ化合物から化合物へ、すなわち、匂い物質から匂い物質へ、及び匂い物質混合物から匂い物質混合物へ変化する。
【0029】
したがって、感覚有効量の一般式(I)の化合物を含む本発明に係る匂い物質または匂い物質混合物は芳香組成物に花のような態様を加えながら動物のような、皮革のような強烈な匂いプロファイルを示すことが驚くべきことに見いだされている。さらに、本発明に係る匂い物質または匂い物質混合物は、低い匂い閾値と同様に高い化学的な及び物理的な安定性及び収率、他の匂い物質と同様に一般的な溶媒との非常に良好な溶解性及び混和性、ならびに他の匂い物質と反応する傾向の低さを示し、それによって、1以上の匂い物質との組み合わせにて個々の化合物の嗅覚特性及び/または化学特性が悪い方向に変化することはない。匂いプロファイルにおけるそのような変化は、例えば、個々の成分が互いに相互作用することに起因した匂い物質の分解もしくは副産物の形成から生じることが多く、または基礎となる化合物の不十分な安定性に起因する。本発明に係る化合物の別の利点は比較的低い濃度でのその高い芳香強度である。さらに、本明細書に記載されている本発明に係る匂い物質または匂い物質混合物の香油混合物への添加は組成物に有意に多い容量及び強度を与えることを観察することができ、これらはバランスが取れ、且つバランスが良いと思われ、異なる及び/または複雑な花のような香調を低い用量でさえ認知することができる。対応する製剤における匂い物質のこの低いレベルの使用はまた、これらの匂い物質を含有する香料入りの製品または製剤の製造にて資源が保存されることも保証する。
【0030】
強力な感覚特性に加えて、本明細書に記載されている式(I)の化合物はまた、例えば、使用の特定の条件下での高い安定性のような追加のプラスの二次的特性も示す。特に、例えば、洗剤のようなアルカリ性媒質、衛生用品、ケア製品、シャンプー、石鹸またはシャワージェルにおけるこの安定性によって広範囲の適用における使用及び加工についてそのような化合物が適格になる。本明細書で特に好ましいのは、シャンプー及びシャワージェルの製造におけるまたは製造のための本発明に係る匂い物質または匂い物質混合物の使用である。さらに好ましいのは、洗剤、衛生用品、ケア製品、シャンプーまたはシャワージェルにおける記載されている匂い物質の使用及びそれらのさらなる開発である。
【0031】
この文脈で、製剤は本明細書に記載されているような本発明に係る本匂い物質及び匂い物質混合物のさらなる開発のすべてとして理解されるべきである。
【0032】
本発明の文脈では、「式(I)の化合物」という用語は式(I)の個々の化合物及び任意の混合比での式(I)の化合物の混合物すべての双方を意味すると理解される。すなわち、「式(I)の化合物」に関する以下の説明における言及は式(I)の単一の化合物及び任意の混合比での式(I)の化合物から成るまたはそれを含む混合物の双方に適用される。
【0033】
本発明によれば、及び好ましくは、一般式(I)の化合物は、R、R及びRについて考えられる構造異性体(位置異性体)、と同様に個々に及び混合物での双方で式(I)の立体異性体に相当する種々の形態で存在することができる。これらの考えられる化合物のいくつかが以下で説明するように好ましい一方で、原則として本発明は式(I)に係る異性体のすべての形態、と同様にそれらの混合物を包含する。したがって、本発明はそのような化合物を個々に、または本発明に係る化合物の混合物を含む匂い物質及び匂い物質混合物に関する。
【0034】
上記で定義されたような、本発明に係る式(I)の化合物はまた立体異性体として存在してもよい。本発明の文脈では、立体異性体という用語は式(I)の化合物の考えられるジアステレオマーまたはエナンチオマーのすべてを含む。
【0035】
さらに、式(I)の化合物の定義はまた立体異性体の混合物、特に、ラセミ化合物またはエナンチオマーが濃縮された混合物、と同様にエナンチオマーの純粋な形態も含む。
【0036】
その結果、本発明は、それ自体個々に一般式(I)に相当する本発明に係る化合物に関し、または本発明に係る化合物の混合物にも関する。
【0037】
感覚有効量によって、上記効果をもたらすのに十分である、すなわち、心地よい匂いの香調を強調するもしくは際立たせる及び/または匂い物質混合物における不快な匂いの香調をマスキングする式(I)の化合物(単数)または化合物(複数)の比率を意味する。特に、これは、花のような、動物のような、皮革のような匂い印象を引き出すのに十分である、すなわち、それらが知覚可能な効果を展開する一般式(I)の化合物の比率として理解されるべきである。
【0038】
この花のような、動物のような、皮革のような匂い印象はふつう、上記に記載されているような一般式(I)の化合物が0.00001重量%で匂い物質または匂い物質混合物に存在する場合に引き出される。
【0039】
本発明に係る匂い物質または本発明に係る匂い物質混合物の好ましいさらなる実施形態では、ラジカルR及びRは同じではなく、ラジカルR及びRは好ましくは少なくともその異性で異なる。
【0040】
この文脈では、式(I)の化合物のRまたはRの少なくとも一方は水素原子を表すことがさらに好ましい。
【0041】
本発明の別の好ましいさらなる実施形態は、一般式(I)の化合物、と同様にそれらの立体異性体、特にジアステレオマー及びエナンチオマー、と同様にそれらの混合物に関するものであり、その際、Rは水素原子、メチル基、イソ-プロピル基またはtert-ブチル基を表し、ラジカルR及びRはそれぞれ水素原子である。したがって、この好ましい実施形態は式(II):
【化4】

によって記載することができる。
【0042】
式中、Rラジカルは水素原子、直鎖アルキル基C1~2、直鎖または分岐鎖のアルキル基C3~5、または直鎖または分岐鎖のアルケニル基 ~5 を表す。
【0043】
本発明の別の好ましい実施形態は、Rがメチル基を表し、R及びRがそれぞれ水素原子を表す式(I)の化合物に関する。
【0044】
本発明のさらに好ましい実施形態は、Rがイソ-プロピル基を表し、R及びRがそれぞれ水素原子を表す式(I)の化合物に関する。
【0045】
本発明の代わりの好ましい実施形態は、R、R及びRが同じであり、本明細書では特に好ましくはR、R及びRがそれぞれ水素である式(I)の化合物に関する。
【0046】
本発明の文脈における式(II)の化合物は式(II)の考えられる立体異性体、特にエナンチオマーまたはジアステレオマーに相当する種々の形態で存在してもよい。したがって、本発明は、上記で定義されたような式(I)の化合物、特に式(II)の少なくとも1つの化合物、またはその立体異性体を含む匂い物質または匂い物質混合物に関する。
【0047】
特に好ましいのはRがメチル基である式(II)の化合物を含む匂い物質または匂い物質混合物である。
【0048】
さらに、式(II)の化合物の定義にはまた、立体異性体の混合物、特にラセミ化合物またはエナンチオマーの濃縮混合物、と同様にそのエナンチオマーの純粋な形態も含まれる。
【0049】
現行の本文では、「式(II)の化合物」という用語は個々の化合物及び任意の混合比での前述の化合物の混合物すべての双方を対象とする。
【0050】
したがって、「式(I)の化合物」という用語も式(II)の化合物及びそれらの立体異性体から成る群から選択される個々の化合物、と同様に任意の混合比での前述の化合物の混合物すべての双方を対象とする。
【0051】
好ましい実施形態では、本発明は
(i)4H-3,1-ベンゾオキサチイン、
(ii)2-メチル-4H-3,1-ベンゾオキサチイン、及び
(iii)2-イソプロピル-4H-3,1-ベンゾオキサチイン
から成る群から選択される感覚有効量の一般式(I)の化合物を含む匂い物質または匂い物質混合物に関する。
【0052】
特に好ましくは、本発明に係る匂い物質または匂い物質混合物は感覚有効量の化合物2-メチル-4H-3,1-ベンゾオキサチインを含む。
【0053】
本発明に係る化合物(i)~(iii)は個々に、混合物として、と同様に式(I)の前述の化合物との混合物として存在してもよい。本発明の文脈における化合物(i)、(ii)及び(iii)はしたがって、考えられる立体異性体、特にエナンチオマーまたはジアステレオマーに相当する種々の形態で存在してもよい。
【0054】
驚くべきことに、これらの化合物は、皮革のような・燻製のような匂いプロファイル(i)、インドール様の、クレゾール様の、及び動物のような匂いプロファイル(ii)、と同様にサリチル酸様の、薬品のような、果実のような、新鮮な、及びダイナスコン様の匂いプロファイルiii)を示し、本明細書に記載されているような匂い物質として及び匂い物質混合物における使用に好適となっている。加えて、それらは、使用の特定の条件下での高い安定性のようなプラスの二次的特性を持つ。このことは、消費財または他の匂い物質の製造のための成分のような他の化合物とこれらの匂い物質または匂い物質混合物を組み合わせる文脈で特に重要である。
【0055】
本発明に係る式(I)の化合物はその嗅覚特性のために香油での使用に見事に適している。化合物は単一の匂い物質として使用することができ、または多数の製品にて種々の他の匂い物質と組み合わせることができる。特に有利なことに、本発明に係る匂い物質及び匂い物質混合物は種々の異なる比率で他の構造的に区別できる匂い物質と組み合わせて新規の香油を形成することができる。
【0056】
したがって、本発明の別の態様は、本発明に係る少なくとも1つの匂い物質または本発明に係る匂い物質混合物と、一般式(I)の化合物ではない1以上の追加の他の匂い物質とを含む香油に関する。
【0057】
本発明に係る化合物は他の匂い物質にて非常に広い濃度比で特に可溶性及び/または混和性であり、他の匂い物質との低い化学的相互作用を示す。式(I)の化合物を含む本発明に係る匂い物質または匂い物質混合物は、これらの混合物にてバランスの良い、バランスの取れた効果を有し、天然の基礎となる嗅覚印象を改善し、強化し、特に花のような芳香の香調を際立たせる。上記で定義されているような本発明に係る式(I)の少なくとも1つの化合物の総質量は香油の総重量を基にして好ましくは0.00001~5重量%、好ましくは0.00001~1重量%、及び特に好ましくは0.0005~0.01重量%である。
【0058】
本発明に係る特に好ましい比率はまた、以下にさらに記載されている説明に、特に添付の実施例にも由来する。
【0059】
驚くべきことに、追加の匂い物質(複数可)の感覚特性は本発明に係る有効数の匂い物質または匂い物質混合物との組み合わせによって良い影響を受ける。
【0060】
個々の化合物の化学的特性、物理的特性または嗅覚特性に悪影響を与えることなく、本発明に係る匂い物質または匂い物質混合物の式(I)の化合物を、少なくとも1つの他の匂い物質を含む多数のさまざまな製剤、特に香油に永続的に且つ安定的に組み込むことができることも驚くべきことだった。
【0061】
本発明に係る匂い物質または匂い物質混合物の低い濃度でさえ、香油組成物の有意な匂い増強を達成するのに十分であることが観察された。
【0062】
香油にて本発明の匂い物質または匂い物質の物質混合物を使用することによって、製剤の感覚特性を改変することができ、低い濃度でさえ、花のような、動物のような、皮革のような、と専門家によって記載され、測定される匂い印象を惹起することができる。そのような香油は、所望の匂い印象、好ましくは何か他の方法で心地よいまたはプラスであると認知されるものを具体的に運ぶ、改変するまたは強化する目的に役立ち、好ましくはインドールの香調に匹敵する新しい興味深い匂いプロファイルを作り出すかもしれない。
【0063】
特に有利なことには、化合物4H-3,1-ベンゾオキサチイン、2-メチル-4H-3,1-ベンゾオキサチイン、2-イソプロピル-4H-3,1-ベンゾオキサチインを種々の異なる比率にて他の匂い物質と組み合わせて香油を形成することができる。
【0064】
特に好ましいのは、個々に、その立体異性体のあらゆる形態で、またはそれらの混合物にて少なくとも感覚有効量の化合物2-メチル-4H-3,1-ベンゾオキサチインを含む香油である。
【0065】
本発明に係る化合物を有利に組み合わせることができる匂い物質の例は、例えば、“S.Arctander,“Perfume and Flavor Chemicals”,Vol.I and II,Montclair,N.J.,1969,self-published”または“H.Surburg and J. Panten,“Common Fragrance and Flavor Materials”,5th ed.,Wiley-VCH,Weinheim,2006”に見いだすことができる。詳細には、天然の原材料由来の以下の抽出物及び単体匂い物質が言及されている:
【0066】
以下から成る群から選択される天然の原材料由来の抽出物:
【0067】
精油、コンクリート、アブソリュート、樹脂、樹脂状物質、バルサム、アンバーグリス油のようなチンキ剤;アミリス油;アンゼリカ種子油;アンゼリカ根油;アニス油;バレリアン油;バジル油;フロウソウアブソリュート;ベイ油;オウシュウヨモギ油;ベンゾイン樹脂(benzoeresin);ベルガモット油;蜜蝋アブソリュート;バーチタール油;ビターアーモンド油;セイボリー油;ブッコリーフ(bucco leaf)油;カブレウバ油;カデ油;ショイウブ油;ショウノウ油;カナンガ油;カルダモン油;カスカリラ油;カッシア油;カッシーアブソリュート;カストリウムアブソリュート;ニオイヒバ油;セダーウッド油;シスタス油;シトロネラ油;シトロン油;コパイババルム;コパイババルム油;コリアンダー油;コスタス根油;クミン油;イトスギ油;ダバナ油;ディルウッド油;ディル種子油;オーデブルーツ(Eau de brouts)アブソリュート;オークモスアブソリュート;エレミ油;タラゴン油;ユーカリレモン油;ユーカリ油;フェンネル油;スプルースニードル(Spruce needle)油;ガルバナム油;ガルバナム樹脂;ゼラニウム油;グレープフルーツ油;グアイアクウッド油;グルユンバルム;グルユンバルサム油;ヘリクリサムアブソリュート;ヘリクリサム油;ショウガ油;アヤメ根アブソリュート;アヤメ根油;ジャスミンアブソリュート;カラマス油;カモミール油ブルー;ローマンカモミール油;ニンジン種子油;カスカリラ油;松葉油;スペアミント油;キャラウエイ種子油;ラブダナム油;ラブダナムアブソリュート;ラブダナム樹脂;ラバンジンアブソリュート;ラバンジン油;ラベンダーアブソリュート;ラベンダー油;レモングラス油;ロベージ油;蒸留ライム油;圧搾ライム油;リナロエ油;アオモジ果実油;ローリエ油;マシス油;マジョラム油;マンダリン油;マソイリンド油;ミモザアブソリュート;ムスク種子油;ムスクチンキ;マスカット油;ミルラアブソリュート、ミルラ油;マートル油;クローブリーフ油;クローブフラワー油;ネロリ油;オリバナムアブソリュート;オリバナム油;オポパナクス油;オレンジフラワーアブソリュート;オレンジ油;オレガノ油;パルマローザ油;パチュリ油;エゴマ油;ペルーバルサム油;パセリ葉油;パセリ種子油;プチグレイン油;ペパーミント油;コショウ油;オールスパイス油;パイン油;ポレイ油;ローズアブソリュート;ローズウッド油;ローズ油;ローズマリー油;セージ油ダルマチアン;セージ油スパニッシュ;ビャクダン油;セロリ種子油;スパイクラベンダー油;スターアニス油;エゴノキ油;マリーゴールド油;ファーニードル油;ティーツリー油;テレビン油;タイム油;トルーバルサム;トンカアブソリュート;チュベローズアブソリュート;バニラ抽出物;バイオレットリーフアブソリュート;バーベナ油;ベチベル油;ジュニパーベリー油;ワイン酵母油;ニガヨモギ油;ウインターグリーン油;イーラン油;ヒソップ油;シベットアブソリュート;シナモン葉油;シナモン樹皮油;及びそれらの画分またはそれらから単離された成分;
【0068】
以下から成る群から選択される個々の匂い物質:
【0069】
例えば、3-カレン;α-ピネン;β-ピネン;α-テルピネン;γ-テルピネン;p-シメン;ビサボレン;カムフェン;カリオフィレン;セドレン;ファルネセン;リモネン;ロンギフォレン;ミルセン;オシメン;バレンス;(E,Z)-1,3,5-ウンデカトリエン;スチレン;ジフェニルメタンのような炭化水素;
【0070】
例えば、ヘキサノール;オクタノール;3-オクタノール;2,6-ジメチルヘプタノール;2-メチル-2-ヘプタノール;2-メチル-2-オクタノール;(E)-2-ヘキセノール;(E)-及び(Z)-3-ヘキセノール;1-オクテン-3-オール;3,4,5,6,6-ペンタメチル-3/4-ヘプテン-2-オールと3,5,6,6-テトラメチル-4-メチレンヘプタン-2-オールの混合物;(E,Z)-2,6-ノナジエノール;3,7-ジメチル-7-メトキシオクタン-2-オール;9-デセノール;10-ウンデセノール;4-メチル-3-デセン-5-オールのような脂肪族アルコール;
【0071】
例えば、ヘキサナール;ヘプタナール;オクタナール;ノナナール;デカナール;ウンデカナール;ドデカナール;トリデカナール;2-メチルオクタナール;2-メチルノナナール;(E)-2-ヘキセナール;(Z)-4-ヘプテナール;2,6-ジメチル-5-ヘプテナール;10-ウンデセナール;(E)-4-デセナール;2-ドデセナール;2,6,10-トリメチル-9-ウンデセナール;2,6,10-トリメチル-5,9-ウンデカジエナール;ヘプタナールジエチルアセタール;1,1-ジメトキシ-2,2,5-トリメチル-4-ヘキセン;シトロネリルオキシアセトアルデヒド;1-(1-メトキシ-プロポキシ)-(E/Z)-3-ヘキセンのような脂肪族アルデヒド及びそのアセタール;
【0072】
例えば、2-ヘプタノン;2-オクタノン;3-オクタノン;2-ノナノン;5-メチル-3-ヘプタノン;5-メチル-3-ヘプタノンオキシム;2,4,4,7-テトラメチル-6-オクテン-3-オン;6-メチル-5-ヘプテン-2-オンのような脂肪族ケトン及びそのオキシム;
【0073】
例えば、3-メチルチオヘキサノール;酢酸3-メチルチオヘキシル;3-メルカプトヘキサノール;酢酸3-メルカプトヘキシル;酪酸3-メルカプトヘキシル;酢酸3-アセチルチオヘキシル;1-メンテン-8-チオールのような脂肪族イオウ含有化合物;
【0074】
例えば、2-ノネン酸ニトリル;2-ウンデセン酸ニトリル;2-トリデセン酸ニトリル;3,12-トリデカジエン酸ニトリル;3,7-ジメチル-2,6-オクタジエン酸ニトリル;3,7-ジメチル-6-オクテン酸ニトリルのような脂肪族ニトリル;
【0075】
例えば、ギ酸(E)-及び(Z)-3-ヘキセニル;アセト酢酸エチル;酢酸イソアミル;酢酸ヘキシル;酢酸3,5,5-トリメチルヘキシル;酢酸3-メチル-2-ブテニル;酢酸(E)-2-ヘキセニル;酢酸(E)-及び(Z)-3-ヘキセニル;酢酸オクチル;酢酸3-オクチル;酢酸1-オクテン-3-イル;酪酸エチル;酪酸ブチル;酪酸イソアミル;酪酸ヘキシル;イソ酪酸(E)-及び(Z)-3-ヘキセニル;クロトン酸ヘキシル;イソ吉草酸エチル;2-メチルペンタン酸エチル;ヘキサン酸エチル;ヘキサン酸アリル;ヘプタン酸エチル;ヘプタン酸アリル;オクタン酸エチル;(E,Z)-2,4-デカジエン酸エチル;2-オクチン酸メチル;2-ノニン酸メチル;2-イソアミルオキシ酢酸アリル;3,7-ジメチル-2,6-オクタジエン酸メチル;クロトン酸4-メチル-2-ペンチルのような脂肪族カルボン酸のエステル;
【0076】
例えば、シトロネロール;ゲラニオール;ネロール;リナロール;ラバデュロール;ネロリドール;ファルネソール;テトラヒドロリナロール;テトラヒドロゲラニオール;2,6-ジメチル-7-オクテン-2-オール;2,6-ジメチルオクタン-2-オール;2-メチル-6-メチレン-7-オクテン-2-オール;2,6-ジメチル-5,7-オクタジエン-2-オール;2,6-ジメチル-3,5-オクタジエン-2-オール;3,7-ジメチル-4,6-オクタジエン-3-オール;3,7-ジメチル-1,5,7-オクタトリエン-3-オール;2,6-ジメチル-2,5,7-オクタトリエン-1-オール;及びそれらのギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、イソ酪酸塩、酪酸塩、イソバレリアン酸塩、ペンタン酸塩、ヘキサン酸塩、クロトン酸塩、チグリン酸塩及び3-メチル-2-ブタン酸塩のような非環式テルペンアルコール;
【0077】
例えば、ゲラニアル;ネラル;シトロネラール;7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナール;7-メトキシ-3,7-ジメチルオクタナール;2,6,10-トリメチル-9-ウンデセナール;ゲラニルアセトン;及びゲラニアル、ネラル、7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナールのジメチル及びジエチルアセタールのような非環式テルペンアルデヒド及びケトン;
【0078】
例えば、メントール;イソプレゴール;α-テルピネオール;テルピネノール-4;メンタン-8-オール;メンタン-1-オール;メンタン-7-オール;ボルネオール;イソボルネオール;酸化リナロール;ノポール;セドロール;アムブリノール;ベチベロール;グアイオール;ならびにそれらのギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、イソ酪酸塩、酪酸塩、イソバレリアン酸塩、ペンタン酸塩、ヘキサン酸塩、クロトン酸塩、チグリン酸塩及び3-メチル-2-ブタン酸塩のような環状テルペンアルコール;
【0079】
例えば、メントン;イソメントン;8-メルカプトメンタン-3-オン;カルボン;ショウノウ;フェンコン;α-イオノン;β-イオノン;α-n-メチルイオノン;β-n-メチルイオノン;α-イソメチルイオノン;β-イソメチル-イオノン;α-鉄;β-ダマセノン;δ-ダマセノン;γ-ダマセノン;1-(2,4,4-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテン-1-オン;1,3,4,6,7,8a-ヘキサヒドロ-1,1,5,5-テトラメチル-2H-2,4a-メタノ-ナフタレン-8(5H)-オン;2-メチル-4-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテナール;ノートカトン;ジヒドロノートカトン;4,6,8-メガスチグマトリエン-3-オン;α-シネンサール;β-シネンサール;アセチル化シダーウッド油(メチルセドリルケトン)のような環状テルペンアルデヒド及びケトン;
【0080】
例えば、4-tert-ブチルシクロヘキサノール;3,3,5-トリメチルシクロヘキサノール;3-イソカンフィルシクロヘキサノール;2,6,9-トリメチル-Z2,Z5,E9-シクロドデカトリエン-1-オール;2-イソブチル-4-メチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オールのような環状アルコール;
【0081】
例えば、α-3,3-トリメチルシクロヘキシルメタノール;1-(4-イソプロピルシクロヘキシル)エタノール;2-メチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペント-1-イル)ブタノール;2-メチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペント-1-イル)-2-ブテン-1-オール;2-エチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペント-1-イル)-2-ブテン-1-オール;3-メチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペント-1-イル)-ペンタン-2-オール;3-メチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペント-1-イル)-4-ペンテン-2-オール;3,3-ジメチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペント-1-イル)-4-ペンテン-2-オール;1-(2,2,6-トリメチルシクロヘキシル)ペンタン-3-オール;1-(2,2,6-トリメチルシクロヘキシル)ヘキサン-3-オールのような脂環式アルコール;
【0082】
例えば、シネロール;セドリルメチルエーテル;シクロドデシルメチルエーテル;1,1-ジメトキシシクロドデカン;(エトキシメトキシ)シクロ-ドデカン;α-セドレンエポキシド;3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロ-ナフト[2,1b]フラン;3a-エチル-6,6,9a-トリメチルドデカヒドロナフト[2,1b]フラン;1,5,9-トリメチル-13-オキサビシクロ[10.1.0]トリデカ-4,8-ジエン;ローズオキシド;2-(2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-イル)-5-メチル-5-(1-メチルプロピル)-1,3-ジオキサンのような環状及び脂環式エーテル;
【0083】
例えば、4-tert-ブチルシクロヘキサノン;2,2,5-トリメチル-5-ペンチルシクロペンタノン;2-ヘプチルシクロペンタノン;2-ペンチル-シクロペンタノン;2-ヒドロキシ-3-メチル-2-シクロペンテン-1-オン;3-メチル-cis-2-ペンテン-1-イル-2-シクロ-ペンテン-1-オン;3-メチル-2-ペンチル-2-シクロペンテン-1-オン;3-メチル-4-シクロペンタデセノン;3-メチル-5-シクロペンタデセノン;3-メチルシクロペンタデカノン;4-(1-エトキシビニル)-3,3,5,5-テトラメチルシクロヘキサノン;4-tert-ペンチルシクロヘキサノン;5-シクロヘキサデセン-1-オン;6,7-ジヒドロ-1,1,2,3,3-ペンタメチル-4(5H)-インダノン;8-シクロヘキサデセン-1-オン;9-シクロヘプタデセン-1-オン;シクロペンタデカノン;シクロヘキサデカノンのような環状及び大環状のケトン;
【0084】
例えば、2,4-ジメチル-3-シクロヘキセンカルボアルデヒド;2-メチル-4-(2,2,6-トリメチル-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテナール;4-(4-ヒドロキシ-4-メチルペンチル)-3-シクロヘキセンカルボアルデヒド;4-(4-メチル-3-ペンテン-1-イル)-3-シクロヘキセンカルボアルデヒドのような脂環式アルデヒド;
【0085】
例えば、1-(3,3-ジメチルシクロヘキシル)-4-ペンテン-1-オン;2,2-ジメチル-1-(2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-イル)-1-プロパノン;1-(5,5-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オン;2,3,8,8-テトラメチル-1,2,3,4,5,6,7,8-オクタヒドロ-2-ナフタルエニルメチルケトン;メチル-2,6,10-トリメチル-2,5,9-シクロドデカトリエニルケトン;tert-ブチル-(2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-イル)ケトンのような脂環式ケトン;
【0086】
例えば、酢酸2-tert-ブチルシクロヘキシル;酢酸4-tert-ブチルシクロヘキシル;酢酸2-tert-ペンチルシクロヘキシル;酢酸4-tert-ペンチル-シクロヘキシル;酢酸3,3,5-トリメチルシクロヘキシル;酢酸デカドロ-2-ナフチル;クロトン酸2-シクロ-ペンチルシクロペンチル;酢酸3-ペンチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル;酢酸デカヒドロ-2,5,5,8a-テトラメチル-2-ナフチル;4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-5、それぞれ、酢酸6-インデニル;プロピオン酸4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-5、または6-インデニル;イソ酪酸4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-5、または6-インデニル;酢酸4,7-メタノオクタヒドロ-5、または6-インデニルのような環状アルコールのエステル;
【0087】
例えば、クロトン酸1-シクロヘキシルエチルのような脂環式アルコールのエステル;
【0088】
例えば、プロピオン酸アリル3-シクロヘキシル;シクロヘキシルオキシ酢酸アリル;ジヒドロジャスモン酸cis-及びtrans-メチル;ジャスモン酸cis-及びtrans-メチル;2-ヘキシル-3-オキソシクロペンタンカルボン酸メチル;2-エチル-6,6-ジメチル-2-シクロヘキセンカルボン酸エチル;2,3,6,6-テトラメチル-2-シクロヘキセンカルボン酸エチル;2-メチル-1,3-ジオキソラン-2-酢酸エチルのような脂環式カルボン酸のエステル;
【0089】
例えば、ベンジルアルコール;1-フェニルエチルアルコール;2-フェニルエチルアルコール;3-フェニルプロパノール;2-フェニルプロパノール;2-フェノキシエタノール;2,2-ジメチル-3-フェニルプロパノール;2,2-ジメチル-3-(3-メチルフェニル)プロパノール;1,1-ジメチル-2-フェニルエチルアルコール;1,1-ジメチル-3-フェニルプロパノール;1-エチル-1-メチル-3-フェニルプロパノール;2-メチル-5-フェニルペンタノール;3-メチル-5-フェニルペンタノール;3-フェニル-2-プロペン-1-オール;4-メトキシベンジルアルコール;1-(4-イソプロピルフェニル)エタノールのような芳香脂肪族アルコール;
【0090】
例えば、酢酸ベンジル;プロピオン酸ベンジル;イソ酪酸ベンジル;イソ吉草酸ベンジル;酢酸2-フェニルエチル;プロピオン酸2-フェニルエチル;イソ酪酸2-フェニルエチル;イソ吉草酸2-フェニルエチル;酢酸1-フェニルエチル;酢酸α-トリクロロメチルベンジル;酢酸α,α-ジメチルフェニルエチル;酪酸α,α-ジメチルフェニルエチル;酢酸シンナミル;イソ酪酸2-フェノキシエチル;酢酸4-メトキシベンジルのような芳香脂肪族アルコールと脂肪族カルボン酸のエステル;
【0091】
例えば、2-フェニルエチルメチルエーテル;2-フェニルエチル-イソアミルエーテル;2-フェニルエチル-1-エトキシエチルエーテル;フェニルアセトアルデヒドジメチルアセタール;フェニルアセトアルデヒドジエチルアセタール;ヒドロアトロパ酸アルデヒドジメチルアセタール;フェニルアセトアルデヒドグリセロールアセタール;2,4,6-トリメチル-4-フェニル-1,3-ジオキサン;4,4a,5,9b-テトラ-ヒドロインデノ[1,2-d]-m-ジオキシン;4,4a,5,9b-テトラヒドロ-2,4-ジメチルインデノ[1,2-d]-m-ジオキシンのような芳香脂肪族エーテル;
【0092】
例えば、ベンズアルデヒド;フェニルアセトアルデヒド;3-フェニルプロパナール;ヒドロアトロパ酸アルデヒド;4-メチルベンズアルデヒド;4-メチルフェニルアセトアルデヒド;3-(4-エチルフェニル)-2,2-ジメチルプロパナール;2-メチル-3-(4-イソプロピルフェニル)プロパナール;2-メチル-3-(4-tert-ブチルフェニル)プロパナール;2-メチル-3-(4-イソブチルフェニル)プロパナール;3-(4-tert-ブチル-フェニル)プロパナール;シンナムアルデヒド;α-ブチルシンナムアルデヒド;α-アミルシンナムアルデヒド;α-ヘキシルシンナムアルデヒド;3-メチル-5-フェニルペンタナール;4-メトキシベンズアルデヒド;4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズ-アルデヒド;4-ヒドロキシ-3-エトキシベンズアルデヒド;3,4-メチレンジオキシベンズアルデヒド;3,4-ジメトキシベンズアルデヒド;2-メチル-3-(4-メトキシフェニル)プロパナール;2-メチル-3-(4-メチレンジオキシフェニル)プロパナールのような芳香族及び芳香脂肪族のアルデヒド;
【0093】
例えば、アセトフェノン;4-メチルアセトフェノン;4-メトキシアセトフェノン;4-tert-ブチル-2,6-ジメチルアセトフェノン;4-フェニル-2-ブタノン;4-(4-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノン;1-(2-ナフタルエニル)エタノン;2-ベンゾフランイルエタノン;(3-メチル-2-ベンゾフランイル)エタノン;ベンゾフェノン;1,1,2,3,6-ヘキサメチル-5-インダニルメチルケトン;6-tert-ブチル-1,1-ジメチル-4-インダニルメチルケトン;1-[2,3-ジヒドロ-1,1,2,6-テトラメチル-3-(1-メチルエチル)-1H-5-インデニル]エタノン;5’,6’,7’,8’-テトラヒドロ-3’,5’,5’,6’,8’,8’-ヘキサメチル-2-アセトナフトンのような芳香族及び芳香脂肪族のケトン;
【0094】
例えば、安息香酸;フェニル酢酸;安息香酸メチル;安息香酸エチル;安息香酸ヘキシル;安息香酸ベンジル;酢酸メチルフェニル;酢酸エチルフェニル;酢酸ゲラニルフェニル;酢酸フェニルエチルフェニル;桂皮酸メチル;桂皮酸エチル;桂皮酸ベンジル;桂皮酸フェニルエチル;桂皮酸シンナミル;酢酸アリルフェノキシ;サリチル酸メチル;サリチル酸イソアミル;サリチル酸ヘキシル;サリチル酸シクロヘキシル;サリチル酸cis-3-ヘキセニル;サリチル酸ベンジル;サリチル酸フェニルエチル;2,4-ジヒドロキシ-3,6-ジメチル安息香酸メチル;3-フェニルグリシド酸エチル;3-メチル-3-フェニルグリシド酸エチルのような芳香族及び芳香脂肪族のカルボン酸及びそのエステル;
【0095】
例えば、2,4,6-トリニトロ-1,3-ジメチル-5-tert-ブチルベンゼン;3,5-ジニトロ-2,6-ジメチル-4-tert-ブチルアセトフェノン;桂皮酸ニトリル;3-メチル-5-フェニル-2-ペンテン酸ニトリル;3-メチル-5-フェニルペンタン酸ニトリル;アントラニル酸メチル;N-メチルアントラニル酸メチル;アントラニル酸メチルの7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナール、2-メチル-3-(4-tert-ブチル-フェニル)プロパナールまたは2,4-ジメチル-3-シクロヘキセンカルボアルデヒドとのSchiff塩基;6-イソプロピルキノリン;6-イソブチルキノリン;6-sec-ブチルキノリン;2-(3-フェニルプロピル)ピリジン;インドール;スカトール;2-メトキシ-3-イソプロピルピラジン;2-イソブチル-3-メトキシピラジンのような窒素含有芳香族化合物;
【0096】
例えば、タラゴール;アネトール;オイゲノール;オイゲニルメチルエーテル;イソオイゲノール;イソオイゲニルメチルエーテル;チモール;カルバクロール;ジフェニルエーテル;β-ナフチルメチルエーテル;β-ナフチルエチルエーテル;β-ナフチルイソブチルエーテル;1,4-ジメトキシベンゼン;酢酸オイゲニル;2-メトキシ-4-メチルフェノール;2-エトキシ-5-(1-プロペニル)フェノール;酢酸p-クレシルフェニルのようなフェノール、フェニルエーテル及びフェニルエステル;
【0097】
例えば、2,5-ジメチル-4-ヒドロキシ-2H-フラン-3-オン;2-エチル-4-ヒドロキシ-5-メチル-2H-フラン-3-オン;3-ヒドロキシ-2-メチル-4H-ピラン-4-オン;2-エチル-3-ヒドロキシ-4H-ピラン-4-オンのような複素環化合物;
【0098】
例えば、1,4-オクタノリド;3-メチル-1,4-オクタノリド;1,4-ノナノリド;1,4-デカノリド;8-デセン-1,4-オリド;1,4-ウンデカノリド;1,4-ドデカノリド;1,5-デカノリド;1,5-ドデカノリド;4-メチル-1,4-デカノリド;1,15-ペンタデカノリド;cis及びtrans-11-ペンタデセン-1,15-オリド;cis及びtrans-12-ペンタデセン-1,15-オリド;1,16-ヘキサデカノリド;9-ヘキサデセン-1,16-オリド;10-オキサ-1,16-ヘキサデカノリド;11-オキサ-1,16-ヘキサデカノリド;12-オキサ-1,16-ヘキサデカノリド;エチレン1,12-ドデカンジオエート;エチレン1,13-トリデカンジオエート;クマリン;2,3-ジヒドロクマリン;オクタヒドロクマリンのようなラクトン;
【0099】
と同様に前述の匂い物質の任意の混合物。
【0100】
本発明に係る化合物は多種多様な溶媒に容易に可溶性である。したがって、本発明のさらなる実施形態はさらに、本発明に係る少なくとも1つの匂い物質または本発明に係る匂い物質混合物と、1以上の追加の他の匂い物質または香油と、任意で1以上の無臭の溶媒とを含む香油に関する。本発明に係る化合物を特に溶解することができる好ましい溶媒はエタノール、イソプロパノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセロール、プロピレングリコール、1,2-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、フタル酸ジエチル、クエン酸トリエチル、ミリスチン酸イソプロピル、及びそれらの混合物から成る群から選択される。
【0101】
式(I)の化合物を含む本発明に係る匂い物質または匂い物質混合物は、特に最上位の香調、すなわち、その匂いが本発明に係る匂い物質または匂い物質混合物を含有する香油または製剤であると特に迅速に認知され得る香調を形成し、明らかにさらに強烈な且つ花のような特徴を組成物に付与する。驚くべきことに、加えた匂い物質(単数)または匂い物質(複数)の嗅覚特性は感覚有効量の本発明に係る匂い物質または匂い物質混合物との併用によって良い影響を受ける。個々の場合、感覚的な印象は、さらにボリュームの大きい、あまりドライではない、さらにバランスの良い、さらにバランスの取れた、明瞭にさらに強烈な皮革のような、花のような、動物のような等の方向に変わる。詳細な匂いの説明は以下の実施例に見いだすことができる。
【0102】
本発明のさらなる目的は、本発明に係る匂い物質、または本発明に係る匂い物質混合物、または本発明に係る香油がマイクロカプセル化されて、噴霧乾燥されて、封入複合体として、または押出製品として存在する改変された香油である。好ましくは、こうして改変された香油が本明細書に記載されている形態で香りづけされる(半)製品に加えられる。香油のそのような改変によってその取扱い及び調剤が円滑になる。
【0103】
このことは、所望の匂い印象を付与するまたは際立たせるのに必要とされる本発明に係る匂い物質または匂い物質混合物の低濃度を考慮すると特に有利である。
【0104】
したがって、本発明のさらなる実施形態は好ましくは先行する実施形態のいずれかに係る香油を含む改変された香油に関するものであり、その際、香油はマイクロカプセル化される、噴霧乾燥される、封入複合体である、または押出製品である。
【0105】
場合によっては、このように改変された香油の特性は、さらに標的とされる芳香の放出を目的とした、いわゆる「コーティング」、すなわち、好適な物質で覆うことによってさらに最適化される。好ましくは、ポリビニルアルコールのような蝋状プラスチックがこの目的に使用される。
【0106】
本発明に係る香油のマイクロカプセル化は、例えば、ポリウレタン様物質または軟質ゼラチンで出来たカプセル材を使用する、いわゆる液滴形成プロセスによって実施することができる。噴霧乾燥させた香油は、例えば、担体として修飾デンプン、タンパク質、デキストリン及び植物ゴムを使用する香油を含有するエマルションまたは分散液を噴霧乾燥させることによって調製することができる。
【0107】
封入複合体は、例えば、香油とシクロデキストリンまたは尿素誘導体の分散液を水のような好適な溶媒に導入することによって調製することができる。
【0108】
他方では、押出製品は香油を好適な蝋状物質と融合させ、任意で好適な溶媒、例えば、イソプロパノールにて押出し、その後、固化することによって得ることができる。
【0109】
本発明の第4の態様は、本発明に係る匂い物質、匂い物質混合物、香油または改変された香油を含み、さらに少なくとも1つの補助剤、特に担体、及び/または少なくとも1つの添加剤、特に少なくとも1つの製剤化補助剤及び/または少なくとも1つの機能剤を含む香料組成物に関する。
【0110】
好ましい実施形態では、本発明に係る香料組成物は合成のまたは天然の、好ましくは無味且つ無臭の補助剤を含む。そのような補助剤は、匂い物質または匂い物質混合物または(改変された)香油が吸着される、またはさもなければ(マイクロ)カプセル化された形態における担体に入れられる、好ましくは固体、特に好ましくは担体である。これによって、製品に含有される匂い物質の微細な且つ均一な分布及び使用中の匂い物質の制御放出が確保されるので、低濃度で強烈な嗅覚特性をすでに示す、本明細書に記載されている匂い物質及び匂い物質混合物にとってこれは特に好適である。
【0111】
したがって、本発明に係る香料組成物はさらに好ましくは補足作用物質、特に担体作用物質を含み、その際、担体作用物質は、例えば、軽質硫酸塩、シリカゲル、ゼオライト、石膏、粘土、粘土顆粒、気泡コンクリート等のような多孔性無機物質、または、例えば、材木、セルロース系物質、糖類、またはPVC、酢酸ポリビニルもしくはポリウレタンのようなプラスチックのような有機物質から成る群から選択される1以上の物質を含む。
【0112】
本発明の文脈で特に有利なので好ましいのは、4H-3,1-ベンゾオキサチイン、2-メチル-4H-3,1-ベンゾオキサチイン、2-イソプロピル-4H-3,1-ベンゾオキサチインから成る群から選択される式(I)の以下の化合物の1つを含み、さらに補助剤、好ましくは担体を含む芳香剤であり、その際、担体は前述の物質の1以上を含む。
【0113】
さらに詳しくは、本発明は4H-3,1-ベンゾオキサチイン、2-メチル-4H-3,1-ベンゾオキサチイン、2-イソプロピル-4H-3,1-ベンゾオキサチインから成る群から選択される以下の化合物の1つを個々に、または混合物で、と同様に異性体の形態で含み、さらに補助剤、好ましくは担体を含む香料組成物に関するものであり、その際、担体は前述の物質の1以上を含む。
【0114】
特に好ましいのは、少なくとも感覚有効量の化合物2-メチル-4H-3,1-ベンゾオキサチインを個々に、立体異性体のあらゆる形態で、またはそれらの混合物で含む香料組成物である。
【0115】
本発明の好ましい実施形態によれば、担体に吸着させて使用される本発明に係る匂い物質、匂い物質混合物または(改変された)香油では、使用される本発明に係る式(I)の化合物の量はふつう、匂い物質または匂い物質混合物全体または(改変された)香油全体を基にして0.00001~5重量%、好ましくは0.00001~1重量%、特に好ましくは0.0005~0.01重量%である。
【0116】
本発明の別の好ましい実施形態は、本発明に係る式(I)の化合物を含む匂い物質または匂い物質混合物または(改変された)香油と、1以上の添加剤とを含む香料組成物に関する。
【0117】
したがって、本発明のさらなる実施形態は、上記に記載されているような本発明に係る匂い物質または匂い物質混合物または本発明に係る(改変された)香油を含み、さらに1以上の添加剤、特に、保存剤、研磨剤、抗ニキビ剤、老化防止剤、抗菌剤、抗蜂巣炎剤、フケ防止剤、抗炎症剤、抗刺激剤、抗刺激剤、抗微生物剤、抗酸化剤、収斂剤、制汗剤、防腐剤、帯電防止剤、結合剤、緩衝液、担体、キレート剤、細胞刺激剤、洗浄剤、調整剤、脱毛剤、洗剤、脱臭剤、制汗剤、皮膚軟化剤、乳化剤、酵素、精油、繊維、成膜剤、固定剤、発泡剤、発泡安定剤、消泡物質、発泡加速剤、殺真菌剤、ゲル化剤、ゲル形成剤、毛髪ケア剤、毛髪シャンプー剤、毛髪スムージング剤、保湿剤、湿潤物質、水分保持剤、漂白剤、補強剤、染み抜き剤、蛍光増白剤、含浸剤、土壌防虫剤、減摩剤、潤滑剤、保湿剤、軟膏、乳白剤、可塑剤、被覆剤、研磨剤、漂白剤、ポリマー、粉剤、タンパク質、加脂剤、研磨剤、シリコーン、皮膚緩和剤、皮膚洗浄剤、皮膚調整剤、皮膚治療剤、皮膚漂白剤、皮膚保護剤、皮膚軟化剤、冷却剤、皮膚冷却剤、加温剤、皮膚加温剤、安定剤、UV吸収剤、UVフィルター、洗剤、布地軟化剤、懸濁剤、皮なめし剤、増粘剤、ビタミン、油、ワックス、脂肪、リン脂質、飽和脂肪酸、モノ-またはポリ不飽和脂肪酸、α-ヒドロキシ酸、ポリヒドロキシ脂肪酸、液化剤、染料、色保護剤、顔料、防腐食剤、芳香剤、香味剤、匂い物質、ポリオール、洗剤、電解質、有機溶媒またはシリコーン誘導体から成る群から選択される少なくとも1つの製剤化補助剤及び/または少なくとも1つの機能剤を含む、香料組成物に関する。
【0118】
そのような添加剤はふつう、製剤化助剤及び/または機能剤として機能し、対応する消費財または香料入り製品の製造で特に使用される。匂い物質または匂い物質混合物が基づく式(I)の化合物の化学的な安定性のゆえに、これらの匂い物質または匂い物質混合物及びそれらから製造される香油、改変された香油及び芳香剤は香料入り製品及び消費財の製造での使用に好適なので、匂い物質または匂い物質混合物またはそれらから製造される香油も、補助剤及び/または添加剤もその特性で悪影響を受けない。
【0119】
さらに好ましいのは、4H-3,1-ベンゾオキサチイン、2-メチル-4H-3,1-ベンゾオキサチイン、2-イソプロピル-4H-3,1-ベンゾオキサチインから成る群から選択される式(I)の以下の化合物の1つを含み、さらに上記に記載されているような製剤化補助剤及び/または機能剤の分野から選択される1以上の添加剤を含む香料剤である。
【0120】
特に、本発明は4H-3,1-ベンゾオキサチイン、2-メチル-4H-3,1-ベンゾオキサチイン、2-イソプロピル-4H-3,1-ベンゾオキサチインから成る群から選択される以下の化合物の1つを個々に、または混合物で、と同様に異性体のあらゆる形態で含み、さらに上記に記載されているような製剤化補助剤及び/または機能剤の分野から選択される1以上の添加剤を含む香料入り組成物に関する。
【0121】
特に好ましいのは、少なくとも感覚有効量の2-メチル-4H-3,1-ベンゾオキサチインを個々に、立体異性体のあらゆる形態で、またはそれらの混合物で含む香料組成物である。
【0122】
本発明のさらなる実施形態はさらに、少なくとも1つの補助剤、好ましくは上記に記載されているような1以上の物質を含む担体、と同様に少なくとも1つの添加剤、特に上記に記載されているような少なくとも1つの製剤化補助剤及び/または少なくとも1つの機能剤を含む、先行する記載に係る香料組成物に関する。
【0123】
この文脈では、香り付け剤が4H-3,1-ベンゾオキサチイン、2-メチル-4H-3,1-ベンゾオキサチイン、2-イソプロピル-4H-3,1-ベンゾオキサチインから成る群から選択される化合物の少なくとも1つ、と同様に本発明に係る補助剤、特に担体、及びさらに1以上の添加剤を含むことは特に好ましい。
【0124】
特に、本発明は4H-3,1-ベンゾオキサチイン、2-メチル-4H-3,1-ベンゾオキサチイン、2-イソプロピル-4H-3,1-ベンゾオキサチインから成る群から選択される以下の化合物の少なくとも1つを個々に、または混合物で、と同様に異性体のあらゆる形態で含み、さらに補助剤、好ましくは担体、及びさらに本発明に係る1以上の添加剤を含む香料組成物に関する。特に好ましいのは、少なくとも感覚有効量の2-メチル-4H-3,1-ベンゾオキサチインを個々に、その立体異性体のあらゆる形態で、またはそれらの混合物で含む香料組成物である。
【0125】
式(I)の化合物を含む本発明の匂い物質または匂い物質混合物を含有する香料はそのようなものとして、または消費財を製造するために十分な化学的及び物理的安定性を有さなければならない。これを確保するために、使用される成分が互いに有害に反応しないことが重要である。本発明に係る匂い物質または匂い物質混合物の使用は式(I)の基本的な化合物の低い化学的反応性に起因して特に有利であり、且つ好ましいために、本発明に係る匂い物質または匂い物質混合物も、香料、香料入り製品または消費財の成分も化学的に、物理的にまたは嗅覚的に悪い方向に変化しないので、それらの物理化学的な特性は悪影響を受けない。このことは特に、本発明に係る強烈な匂い特性を達成するのに必要とされる、使用される式(I)の化合物の量の濃度の低さに起因する。
【0126】
本発明のさらなる態様は、本発明に係る態様または目的の1つに係る本発明に係る匂い物質、または本発明に係る匂い物質混合物、本発明に係る香油、本発明に係る改変された香油、または本発明に係る芳香剤を含み、さらにシャンプーまたはシャワージェルに好適で且つ良識的な方法で使用される添加剤を含むシャンプーまたはシャワージェル用の香油製剤に関する。そのような添加剤はさらに、シャンプーまたはシャワージェルでの使用に好適な記述された製剤化補助剤及び/または機能剤から選択されてもよい。
【0127】
上記に定義されているような匂い物質または匂い物質混合物、及びそれらの混合物、と同様に上記に定義されているような本発明の(改変された)香油、香料組成物及び香油製剤で使用される本発明の化合物は香料入り製品の製造に特に使用される。
【0128】
したがって、本発明の第6の目的は、先行する態様及び定義のいずれかに係る匂い物質または匂い物質混合物、香油、改変された香油、香料組成物または香油製剤を含む洗剤、衛生用品、パーソナルケア製品、シャンプーまたはシャワージェルから成る群から選択される香料入り製品を説明する。上記に定義されているような、好ましくは感覚有効量で本発明に係る化合物を含む本発明に係る香料入り製品または消費者製品。
【0129】
そのような製品は多数の化学成分を有することが多いので、望ましくない相互作用または分解に対抗するためにその製剤で使用される匂い物質も低い化学的反応性を有することが重要である。本発明に係る化合物は低い反応性及び高い安定性を示すので、本発明に係る化合物も、消費財または香料入り製品の成分も悪い方向に変化しないので、本発明に係る化合物の使用はしたがって特に有利である。この文脈では、所望の芳香効果を達成するのに必要であり、香料入り製品またはそれらの他の成分の特性での任意の有害な変化を回避する匂い物質の低い濃度が特に強調されるべきである。
【0130】
本発明はまた本発明に係る化合物の使用にも関する。したがって、本発明はさらに、匂い物質または匂い物質混合物としての本発明に係る式(I)の化合物の使用に関する。
【0131】
この文脈で特に好ましいのは、式(II)の上述の化合物、及び好ましくは化合物(i)~(iii)またはそれらの立体異性体、または上述の化合物もしくはそれらの立体異性体の混合物の匂い物質または匂い物質混合物としての使用である。
【0132】
感覚有効量の式(I)の化合物を含む、本明細書に記載されている匂い物質または匂い物質混合物は、容易に利用可能であり、または調製可能であり、低濃度でさえ高い嗅覚強度を示し、他の匂い物質に対して化学的に不活性であり、それによって1以上の匂い物質(複数可)との併用で匂いプロファイルは悪い方向に変化せず、種々の混合物または製剤にて高い安定性を保有する。したがって、これらの化合物は匂い物質(複数可)または匂い物質混合物(複数可)としてまたはそれにて、と同様にこれらの匂い物質(複数可)または匂い物質混合物(複数可)を含む製剤での使用にて見事に適する。
【0133】
特に、本発明は4H-3,1-ベンゾオキサチイン、2-メチル-4H-3,1-ベンゾオキサチイン、2-イソプロピル-4H-3,1-ベンゾオキサチインから成る群から選択される以下の化合物の1つの個々にて、または混合物での、と同様に異性体のあらゆる形態での匂い物質または匂い物質混合物としての使用に関する。特に好ましいのは、化合物2-メチル-4H-3,1-ベンゾオキサチインの立体異性体のあらゆる形態でのまたはそれらの混合物での個別の使用である。
【0134】
さらに、本発明は、不快な匂いを減らすもしくはマスキングするための、及び/またはプラスの匂い印象を増強するための、及び/または花のような、動物のような、皮革のような匂い印象を増強するための、先行する態様のいずれかに係る式(I)の化合物の少なくとも1つの使用に関する。この文脈での増強する、は、特定の匂いの香調を強調するまたは際立たせることを意味する。
【0135】
さらに詳しくは、本発明は、不快な匂いを減らすもしくはマスキングするための、及び/またはプラスの匂い印象を増強するための、及び/または花のような、動物のような、皮革のような匂い印象を増強するための、個々に、または混合物で、と同様に異性体のあらゆる形態で4H-3,1-ベンゾオキサチイン、2-メチル-4H-3,1-ベンゾオキサチイン、2-イソプロピル-4H-3,1-ベンゾオキサチインから成る群から選択される化合物を含む匂い物質または匂い物質混合物の使用に関する。この文脈で特に好ましいのは2-メチル-4H-3,1-ベンゾオキサチインの使用である。
【0136】
本出願の文脈における「強調する」または「際立たせる」という用語に関して、プラスの、心地よい匂い、特に花のようなタイプの匂いまたは匂いの香調の強度の増強を意味することが理解される。
【0137】
花のような匂い物質、すなわち、花のような香調を持つ匂い物質は香料業界では特に好ましいので、本発明に記載されている匂い物質及び匂い物質混合物ならびに式(I)の化合物を含むそれらから生じる組成物はそのような使用に特に好適である。不快な匂いを減らすまたはマスキングすることは調香師の一部では主要な難題であり、不快な匂い印象はふつう、実質的な量の心地よい香りがする匂い物質の助けによってマスキングされ得るにすぎないことが言及されるべきである。したがって、高品質の匂い物質または匂い物質混合物は、前述の匂い物質または匂い物質ブレンドが不快な匂いを減らすまたはマスキングする一方で同時に、プラスの嗅覚印象を際立たせるという事実を特徴とする。
【0138】
式(I)の化合物の少なくとも1つを含む本明細書に記載されている製剤は、低い用量ですでに花のような、動物のような、及び皮革のような芳香の香調の有意な増強を示し、このこと及び特に低濃度での高い芳香強度、すなわち、高い有効性に起因してそのような使用に見事に適している。
【0139】
その結果、本発明の文脈では、例えば、特定の(不快な臭い)物質の不快な匂いの香調をマスキングするまたは減らすことができ、同じ(心地よい臭い)物質の心地よい匂いの香調を増強することができる。
【0140】
加えて、本発明に係る匂い物質及び匂い物質混合物、と同様にこれらの匂い物質または匂い物質混合物を含有する組成物を使用して、香油及び上記を含有する消費者製品の匂い特性を完成させる、そのバランスを取る、及びそれを強化することができる。
【0141】
最終的に、本発明は、例えば、香料抽出物、オードパフューム、オードトワレ、髭剃り水、オーデコロン、髭剃り前製品、スプラッシュコロン及び香料入り清涼ワイプのような本発明の意味での消費財または香料入り製品の製造のための、と同様に酸性、アルカリ性及び中性の洗浄剤、例えば、床洗浄剤、窓ガラス洗浄剤、皿洗い洗剤、風呂及びトイレ洗浄剤、汚れ落としミルク、固形及び液体のWC洗浄剤、粉末及び泡状のカーペット洗浄剤、液体洗濯洗剤、粉末洗濯洗剤、洗濯前処理剤、例えば、漂白剤、柔軟剤及び染み抜き剤、洗濯柔軟剤、洗濯石鹸、洗濯錠剤、消毒剤、表面消毒剤、と同様に液体、ゲルまたは固体の形態での空気清浄剤、エアゾールスプレー、ワックス及び艶出し剤、例えば、家具艶出し剤、床ワックス、靴磨き剤、及びパーソナルケア製品、例えば、固形及び液状の石鹸、シャワージェル、シャンプー、髭剃り石鹸、シェービングフォーム、バスオイル、水中油、油中水及び水中油中水の型の化粧品エマルション、例えば、皮膚のクリーム及びローション、顔面のクリーム及びローション、サンクリーム及びサンローション、日焼け後クリーム及びローション、手のクリーム及びローション、足のクリーム及びローション、脱毛のクリーム及びローション、髭剃り後のクリーム及びローション、日焼けのクリーム及びローション、毛髪ケア製品、例えば、毛髪スプレー、毛髪ジェル、毛髪ローション、ヘアコンディショナー、永続的な及び半永続的な毛髪染料、毛髪成形製品、例えば、コールドパーマ剤及び縮毛矯正剤、ヘアトニック、毛髪のクリーム及びローション、脱臭剤及び制汗剤、例えば、腋下スプレー、ロールオン、脱臭スティック、脱臭クリームまたは装飾的な化粧製品の香り付けのための、濃縮形態での、溶液での、または他の改変された形態での式(I)の化合物を含む、本発明に係る匂い物質または匂い物質混合物、香油、改変された香油、または香油製剤の使用に関する。
【0142】
この文脈で特に好ましいのは、4H-3,1-ベンゾオキサチイン、2-メチル-4H-3,1-ベンゾオキサチイン、2-イソプロピル-4H-3,1-ベンゾオキサチインから成る群から選択される以下の化合物の1つを含む匂い物質または匂い物質混合物、(改変された)香油、香料組成物または香油製剤の使用である。この文脈で特に好ましいのは、2-メチル-4H-3,1-ベンゾオキサチインを含む匂い物質または匂い物質混合物、(改変された)香油、香料組成物または香油製剤である。
【図面の簡単な説明】
【0143】
図1図1は2-メチル-4H-3,1-ベンゾオキサチインのキラルカラムのGC匂い嗅ぎを示す。
【実施例
【0144】
本発明は実施形態の実施例を参照して以下でさらに詳細に記載されている。先ず、所与の実施例は一般式(I)の化合物及び特に好ましい化合物の調製に関する。さらに、IUPAC命名法は今まで使用されていた一般名と異なってもよいことが言及されるべきである。
【0145】
分光分析データについては、測定結果のさらに良好な明瞭性を確保するために数値データのセパレーターとしてのドットの使用に関して以下の英語の規則が適用される。この文脈では、書式「δ=7.12(dd,J=3.7,0.9Hz,2H)」のデータにて測定値は「δ=7,12」、「3,7」及び「0,9」と読まれるべきである。
【0146】
式(I)の化合物の調製のための一般的なプロセス
【0147】
以下では、式(III)の化合物から出発する一般式(I)のオキサチアンの合成について異なる調製方法が記載されている。
【0148】
以下でさらに詳細に説明されているように、一般式(I)の本発明の化合物は、及びしたがって式(II)の化合物も少なくとも工程(i)及び(ii)を含むプロセスによって調製することができる。この目的で、対応するチオサリチル酸(III)が仮定される。
【化5】
【0149】
式中、ラジカルR及びRは水素原子、直鎖アルキル基C1~2、直鎖または分岐鎖のアルキル基C3~5、または直鎖または分岐鎖のアルケニル基 ~5 として定義される。R及びRの合計は5つの炭素原子の合計を超えるべきではない。Rラジカルは水素原子、直鎖アルキル基C1~2、直鎖または分岐鎖のアルキル基Cとして定義され、対応する化合物の芳香族環の4つの強調される位置のうちのいずれかに配置されてもよい。感覚有効量の式(I)の化合物を含む本発明に係る匂い物質または匂い物質混合物は本発明に係る種々の位置異性体及び/または立体異性体として、特にジアステレオマー及びエナンチオマー、またはそれらの混合物として存在する。
【0150】
第1の工程(i)では、化合物(III)は対応するベンジルアルコール(IV)に還元される。この目的には一般的な還元剤を使用することができる。特に好ましいのはテトラヒドロフラン(THF)における還元剤、水素化リチウムアルミニウムである。
【0151】
第2の工程(ii)では、アルコール(IV)を酸縮合して本発明に係る式(I)の化合物を得る。これは酸における標準の反応条件下で実施される。この工程で特に好ましいのは縮合物の分離を伴うDean-Stark装置の使用である。
【0152】
本発明に係る一般式(I)の化合物へのもう1つの代わりのアクセス経路は対応するラクトン(V)の形成(特許明細書JP2009132630Aに記載されているプロセスに類似する)(工程iii)とその後の対応するベンジルアルコールへの均一水素化(工程iv)を介する。この好ましい反応経路を介して、危険物質である水素化リチウムアルミニウムの使用を回避することができる。
【0153】
第3の工程(ii)では、アルコール(IV)を酸縮合して本発明に係る式(I)の化合物を得る。これは酸における標準の反応条件下で実施される。この工程で特に好ましいのは縮合物の分離を伴うDean-Stark装置の使用である。
【0154】
本発明は実施形態の実施例を参照して以下に記載されている。以下でさらに詳細に説明されるように、本発明に係る式(I)の化合物は以下に記載されている以下の方法で合成することができる。
【0155】
出発材料(2-スルファニルフェニル)メタノール(式(IV)の化合物に相当する)はR.C.Hartley et al.(R.C.Hartley et al.,J.Org.Chem.2004,69(18),6145)の規定に従って調製した。
【0156】
式(IV)の化合物の式(I)の化合物への工程(ii)における変換はスルホン酸の存在下、特に上手く、すなわち、特に高い収率と短い時間で進むことが見いだされた。
【0157】
一般式(I)のベンゾオキサチアンの調製のための合成手順
【0158】
水分離器にて且つ窒素のもとで、カルボニル成分(2.0~3.0当量)をトルエンに導入し、溶解する。次いで(2-スルファニルフェニル)メタノール(1.0当量)を室温で加え、メタンスルホン酸(0.01~0.1当量)によって酸性化する。次いで変換を完了するまで反応混合物を加熱還流する。反応が完了した後、反応溶液を室温まで冷却し、メチルtert-ブチルエーテルで希釈し、重炭酸ナトリウム飽和溶液で慎重に洗浄する。相を分離し、有機相を蒸留水で洗浄する。このように得られた分離した有機相を次いで硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空で溶媒を除く。粗生成物であるベンゾオキサチアンを蒸留精製またはクロマトグラフィー精製に供する。
【0159】
調製例1:4H-3,1-ベンゾオキサチインの合成
【化6】
【0160】
合成手順に従って、191.96g(1.37mol)の(2-スルファニルフェニル)メタノールと86.56gのパラホルムアルデヒドを2.60g(13.69mmol)のパラ-トルエンスルホン酸一水和物の存在下で反応させた。粗生成物を充填塔(長さ40cm)にて蒸留した(3mbar、bp.95℃)。43.7g(227mmol、純度99.5%、収率21%)の4H-3,1-ベンゾオキサチインを得た。
【0161】
4H-3,1-ベンゾオキサチインの分光分析データ
EI-MSm/z(%):152(53,[M]),122(100),108(1),95(1),89(3),78(27),69(5),63(5),51(7),45(6),39(5),29(1)
H-NMR(400MHz,CDCl,300K):δ=7.12(dd,J=3.7,0.9Hz,2H),7.07(ddd,J=7.5,4.8,3.9Hz,1H),6.95(dp,J=7.5,0.9Hz,1H),5.09(s,2H),4.88(d,J=0.9Hz,2H)ppm
13C-NMR(101MHz,CDCl,300K):δ=131.17,130.26,127.91,127.14,126.07,124.89,69.10,68.89ppm
【0162】
4H-3,1-ベンゾオキサチインの匂いの説明:皮革のような、燻製様。
【0163】
実施例2:2-メチル-4H-3,1-ベンゾオキサチインの合成
【化7】
【0164】
合成手順に従って、295.82g(2.11mol)の(2-スルファニルフェニル)メタノールと501.75g(4.23mol)のアセトアルデヒドジエチルアセタールを2.02g(0.02mol)のメタンスルホン酸と145mLのトルエンの存在下で反応させた。粗生成物を充填塔(45cm)にて蒸留した(28mbar、bp.156℃)。273.55g(1.64mol、純度99.4%、収率78%)の2-メチル-4H-3,1-ベンゾオキサチインを得た。
【0165】
2-メチル-4H-3,1-ベンゾオキサチインの分光分析データ
EI-MSm/z(%):166(34,[M]),122(100),109(1),89(3),78(27),69(5),63(5),51(6),45(5),39(5),29(1)
H-NMR(400MHz,CDCl,300K):δ=7.16-7.02(m,3H),6.96(dq,J=7.6,0.8Hz,1H),5.26(q,J=6.1Hz,1H),4.96(d,J=15.7Hz,1H),4.91(d,J=15.7Hz,1H),1.64(d,J=6.1Hz,3H)ppm
13C-NMR(101MHz,CDCl,300K):δ=131.99,129.36,127.31,127.23,125.74,124.57,77.70,69.92,21.84ppm
【0166】
質量分光分析は、Agilent MSD5973Nシリーズの質量分光計と以下のパラメーターを使用して実施した。
イオン化:EI
温度:イオン源230℃;移送ライン230℃
質量範囲:25~300(全走査)、及び
イオン化エネルギー:70eV
【0167】
2-メチル-4H-3,1-ベンゾオキサチインの匂いの説明:インドール様、クレゾール様、動物様
【0168】
図1は2-メチル-4H-3,1-ベンゾオキサチインのキラルカラムのGC匂い嗅ぎを示す。Agilent6890Aシリーズのガスクロマトグラフィーでの測定のために以下のパラメーターを選択した。
カラム:25mのHydrodex-g-TBDAc,内径0.25mm,膜厚0.25μm;
温度プログラム:開始40℃,速度2℃/分,終了180℃;
担体気体:ヘリウム1.8ml/分,カラム圧2.077bar,分離10;及び
注入器:KAS4,注入温度40℃,速度12℃/秒,終了180℃(5分間保持)
【0169】
測定(図1)は2-メチル-4H-3,1-ベンゾオキサチインの双方のキラル化合物の存在を示している。後の化合物のほうが強い匂いを有するが、双方の化合物は基本的に同じ匂いプロファイルを示す。匂いプロファイルは強い、酸っぱい、動物様及びインドール様として説明することができる。
【0170】
調製例3:2-イソプロピル-4H-3,1-ベンゾオキサチインの合成
【化8】
【0171】
合成手順に従って、2.00g(14.26mmol)の(2-スルファニルフェニル)メタノールと3.09g(42.78mmol)のイソブチルアルデヒドを272mg(1.43mmol)のパラ-トルエンスルホン酸一水和物と26mLのトルエンの存在下で反応させた。粗生成物をボールチューブにて蒸留した(1.1mbar、bp.125℃)。2.16g(11.12mmol、純度99.3%、収率78%)の2-イソプロピル-4H-3,1-ベンゾオキサチインを得た。
【0172】
2-イソプロピル-4H-3,1-ベンゾオキサチインの分光分析データ
EI-MSm/z(%):194(23,[M]),151(14),122(100),109(1),89(2),78(18),71(4),63(2),51(2),45(8),43(6),39(4),27(3)
H-NMR(400MHz,CDCl,300K):δ=7.09(dd,J=3.7,0.9Hz,2H),7.01(dt,J=7.5,4.0Hz,1H),6.94(dt,J=7.5,1.1Hz,1H),4.96(d,J=5.9Hz,1H),4.90(dd,J=14.7,0.8Hz,1H),4.89(dd,J=15.0,0.9Hz,1H),2.09(hept,J=6.8,5.8Hz,1H),1.08(d,J=6.8Hz,3H),1.06(d,J=6.8Hz,3H)ppm
13C-NMR(101MHz,CDCl,300K):δ=132.29,129.96,127.72,127.20,125.67,124.38,87.74,77.22,70.35,33.76,18.22,18.07ppm
【0173】
2-イソプロピル-4H-3,1-ベンゾオキサチインの匂いの説明:サリチル酸様、薬品様、果実のような、新鮮な、ダイナスコン様。
【0174】
調製例4:2-tert-ブチル-4H-3,1-ベンゾオキサチインの合成
【化9】
【0175】
合成手順に従って、2.45g(17.50mmol)の(2-スルファニルフェニル)メタノールと4.52g(52.50mmol)のピバリンアルデヒドを334mg(1.75mmol)のパラ-トルエンスルホン酸一水和物と32mLのトルエンの存在下で反応させた。粗生成物をボールチューブにて蒸留した(3mbar、bp.165℃)。2.36g(11.19mmol、純度98.5%、収率64%)の2-tert-ブチル-4H-3,1-ベンゾオキサチインを得た。
【0176】
2-tert-ブチル-4H-3,1-ベンゾオキサチインの分光分析データ
EI-MSm/z(%):208(23,[M]),151(37),122(100),109(1),91(2),78(16),71(3),63(2),57(14),51(3),45(8),41(6),39(4),29(5)
H-NMR(400MHz,CDCl,300K):δ=7.10(d,J=3.0Hz,2H),7.06-6.99(m,1H),6.97-6.93(m,1H),4.94(d,J=14.9Hz,1H),4.93(s,1H),4.87(d,J=14.8Hz,1H),1.08(s,9H)ppm
13C-NMR(101MHz,CDCl,300K):δ=132.60,130.00,127.83,127.15,125.59,124.26,91.40,70.82,35.94,25.69ppm
【0177】
2-tert-ブチル-4H-3,1-ベンゾオキサチインの匂いの説明:専門的
【0178】
調製例5:2,2-ジメチル-4H-3,1-ベンゾオキサチインの合成
【化10】
【0179】
合成手順に従って、2.45g(17.50mmol)の(2-スルファニルフェニル)メタノールと3.05g(52.50mmol)のアセトンを334mg(1.75mmol)のメタンスルホン酸と32mLのトルエンの存在下で反応させた。粗生成物をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(シクロヘキサン/酢酸エステル=97:3)によって精製した。0.99g(5.49mmol、純度99.2%、収率31%)の2,2-ジメチル-4H-3,1-ベンゾオキサチインを得た。
【0180】
2,2-ジメチル-4H-3,1-ベンゾオキサチインの分光分析データ
EI-MSm/z(%):180(19,[M]),122(100),109(1),91(2),89(1),78(19),69(3),63(2),51(3),43(5),39(4),27(1)
H-NMR(400MHz,CDCl,300K):δ=7.18-7.15(m,1H),7.13(dd,J=4.8,1.9Hz,1H),7.07(d,J=1.7Hz,1H),7.07-7.03(m,1H),4.88(s,2H),1.68(s,6H)ppm
13CNMR(101MHz,CDCl,300K):δ=206.99,192.78,191.80,191.67,163.50,133.88,132.25,132.13,131.98,130.04,129.15,128.86,128.60,128.56,127.95,127.26,126.32,125.51,124.50,123.52,86.16,82.02,70.23,64.25,63.17,63.15,30.92,29.47,29.12ppm
【0181】
2,2-ジメチル-4H-3,1-ベンゾオキサチインの匂いの説明:専門的
【0182】
応用例
【0183】
【表1】
【0184】
匂い認知の閾値、すなわち、ODT値(「匂い検出の閾値」)はTO8と呼ばれる動的嗅覚計と、匂いのある空気試料を清浄な空気で希釈するEN13725標準に従った専門家の一群を使用して決定した。評価のために希釈物を試験担当者(試験者)に提示する。匂いの説明は10人のメンバーを構成する一群の専門家が実施した。
【0185】
【表2】
【0186】
嗅覚計評価の結果は双方の化合物が明瞭に認知できる匂いを呈することを示している。しかしながら、2-メチル-4H-3,1-ベンゾオキサチインの匂い閾値の値は有意に低く、それはこの化合物が試験対象者によってさらに迅速に且つさらに強く認知されることを意味する。低い匂い閾値の値のせいで、さらに少ない用量の匂い物質または匂い物質混合物でさえ、認知できる匂いを作り出すのに十分である。
【0187】
したがって、少量の本発明に係る匂い物質または匂い物質混合物でさえ、それが基になる匂い印象を生成し、惹起することに見事に適する。
【0188】
したがって、式(I)の化合物は、不快な匂いを減らすもしくはマスキングする、及び/またはプラスの匂い印象を増強する、及び/または花のような、動物のような、もしくは皮革のような匂い印象を強化するのにも極めて好適である。
【0189】
実施形態の実施例1:香油組成物I(香油I)
【0190】
以下の指定された香油を使用してオードトワレに香りを付けることができる。
【0191】
【表3】
【0192】
調製した香油を2つの等しい部分に分けた。希釈効果を排除するために、香油の第1の部分を、香油の第1の部分の総重量に基づいて0.5重量%のジプロピレングリコール(DPG)と混合した。香油の第2の部分に香油のその部分の総重量に基づいて0.5重量%の4H-3,1-ベンゾオキサチイン10%DPG(すなわち、DPGにおける4H-3,1-ベンゾオキサチインの10%溶液)を加えた。得られた組成物を互いに嗅覚的に比較した。
【0193】
調香師によれば、0.5重量%の4H-3,1-ベンゾオキサチイン10%DPGの添加は組成物にさらに大きいボリュームと穏やかな皮革の香調を与える。これによって臭いがあまりドライにならず、さらにバランスの良いものとして認知される。
【0194】
実行実施例2:香油組成物II(香油II)
【0195】
以下の指定された香油を芳香石鹸に使用することができる。
【0196】
【表4】
【0197】
調製した香油を2つの等しい部分に分けた。希釈効果を排除するために、香油の第1の部分を、香油の第1の部分の総重量に基づいて0.1重量%のジプロピレングリコール(DPG)と混ぜた。香油の第2の部分に香油のその部分の総重量に基づいて0.1重量%の4H-3,1-ベンゾオキサチイン10%DPG(すなわち、DPGにおける4H-3,1-ベンゾオキサチインの10%溶液)を加えた。得られた組成物を互いに嗅覚的に比較した。
【0198】
調香師によれば、0.1重量%の4H-3,1-ベンゾオキサチイン10%DPGの添加は組成物に強い花のような複雑性を与える。特に、組成物全体のバランスを完全に取る月下香の香調が際立つ。
【0199】
実行実施例3:香油組成物III(香油III)
以下の指定された香油を使用してシャンプー及びシャワージェルに香りを付けることができる。
【0200】
【表5】
【0201】
調製した香油を2つの等しい部分に分けた。希釈効果を排除するために、香油の第1の部分を、香油の第1の部分の総重量に基づいて2.5重量%のジプロピレングリコール(DPG)と混合した。香油の第2の部分に香油のその部分の総重量に基づいて2.5重量%の4H-3,1-ベンゾオキサチイン10%DPG(すなわち、DPGにおける4H-3,1-ベンゾオキサチインの10%溶液)を加えた。得られた組成物を互いに嗅覚的に比較した。
【0202】
調香師によれば、2.5重量%の4H-3,1-ベンゾオキサチイン10%DPGの添加は組成物に独自性及び特別の特徴を与える。同時に、ホワイトフラワーの魅力的な態様は調和を完成させ、それは強度を有意に高める。
【0203】
実施形態の実施例4:香油組成物IV(香油IV)
以下の指定された香油を使用して布地柔軟剤に香りを付けることができる。
【0204】
【表6】
【0205】
調製した香油を2つの等しい部分に分けた。希釈効果を排除するために、香油の第1の部分を、香油の第1の部分の総重量に基づいて0.5重量%のジプロピレングリコール(DPG)と混合した。香油の第2の部分に香油のその部分の総重量に基づいて0.5重量%の2-メチル-4H-3,1-ベンゾオキサチイン1%DPG(すなわち、DPGにおける2-メチル-4H-3,1-ベンゾオキサチインの1%溶液)を加えた。得られた組成物を互いに嗅覚的に比較した。
【0206】
調香師によれば、0.5重量%の2-メチル-4H-3,1-ベンゾオキサチイン1%DPGの添加によって組成物は充足と特徴を得る。豊かな花のような香調が強調され、調和がはるかにさらに強く認知される。
【0207】
実施態様の実施例5:香油組成物V(香油V)
以下の指定された香油を使用してオードトワレに香りを付けることができる。
【0208】
【表7】
【0209】
調製した香油を2つの等しい部分に分けた。希釈効果を排除するために、香油の第1の部分を、香油の第1の部分の総重量に基づいて1.5重量%のジプロピレングリコール(DPG)と混合した。香油の第2の部分に香油のその部分の総重量に基づいて1.5重量%の2-メチル-4H-3,1-ベンゾオキサチイン1%DPG(すなわち、DPGにおける2-メチル-4H-3,1-ベンゾオキサチインの1%溶液)を加えた。得られた組成物を互いに嗅覚的に比較した。
【0210】
調香師によれば、1.5重量%の2-メチル-4H-3,1-ベンゾオキサチインの添加は組成物にイランイラン及びクレゾールを思い出させる非常に動物的な特徴を与える。加えて、添加はほのかな花のような香調とラクトンの香調を伴う生々しいアンバーグリスの相を作り出す。
図1