(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-04
(45)【発行日】2023-09-12
(54)【発明の名称】ディスク形状の試料チャンバ及びディスク形状の試料チャンバを含むプローブ
(51)【国際特許分類】
G01N 1/10 20060101AFI20230905BHJP
【FI】
G01N1/10 S
(21)【出願番号】P 2022531361
(86)(22)【出願日】2020-12-11
(86)【国際出願番号】 EP2020085668
(87)【国際公開番号】W WO2021130027
(87)【国際公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-05-27
(31)【優先権主張番号】10-2019-0176990
(32)【優先日】2019-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】598083577
【氏名又は名称】ヘレーウス エレクトロ-ナイト インターナシヨナル エヌ ヴイ
【氏名又は名称原語表記】Heraeus Electro-Nite International N.V.
【住所又は居所原語表記】Centrum Zuid 1105, B-3530 Houthalen,Belgium
(73)【特許権者】
【識別番号】513281725
【氏名又は名称】ウジン エレクトロナイト インコーポレイテッド
【住所又は居所原語表記】172, Wonyulbuk-ro, Cheongbuk-myeon Pyeongtaek-si Gyeonggi-do 17796 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ハク、ポンキ
(72)【発明者】
【氏名】チュン、ヨンジン
(72)【発明者】
【氏名】キム、チョルチュン
【審査官】森口 正治
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-044955(JP,A)
【文献】米国特許第04067242(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00-1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融金属を収集するためのディスク形状の試料チャンバであって、
左側本体及び右側本体を有するチャンバ本体であって、前記左側本体と前記右側本体とが互いに接合されて、前記左側本体と前記右側本体との間にディスク形状の試料空間を画定している、チャンバ本体と、
前記チャンバ本体から上方に延びかつ、前記試料空間を外側に接続している試料入口と、
前記左側本体と前記右側本体とを互いに接合するために、前記チャンバ本体の少なくとも1つの側面上に配置されている溶接接合部分と、
を備え
、
溶接接合部分が、前記左側本体と前記右側本体との間の接合ラインの一部分に配置され、それによって、前記左側本体と前記右側本体とを互いに接合し、前記溶接接合部分が、レーザを使用したスポット溶接法で形成されている、ディスク形状の試料チャンバ。
【請求項2】
前記ディスク形状の試料チャンバが、40mm以上かつ57mm未満の垂直寸法を有する、請求項1に記載のディスク形状の試料チャンバ。
【請求項3】
前記チャンバ本体が、2つの部分に垂直に分割され、前記溶接接合部分が、前記2つの部分のうちの下側部分の両対向側面の各々の側面上に形成されている、請求項
2に記載のディスク形状の試料チャンバ。
【請求項4】
前記溶接接合部分が、前記下側部分の両対向側面の各々の湾曲部分上に形成されている、請求項
3に記載のディスク形状の試料チャンバ。
【請求項5】
前記ディスク形状の試料チャンバが、57mm以上かつ80mm未満の垂直寸法を有する、請求項1に記載のディスク形状の試料チャンバ。
【請求項6】
前記チャンバ本体が、2つの部分に垂直に分割され、前記溶接接合部分が
、3つの部分のうちの下側部分及び中間部分の各々の両対向側面の各々の側面上に形成されている、請求項
5に記載のディスク形状の試料チャンバ。
【請求項7】
前記溶接接合部分が、前記下側部分及び中間部分の各々の両対向側面の各々の湾曲部分上に形成されている、請求項
6に記載のディスク形状の試料チャンバ。
【請求項8】
溶融金属を収集するためのプローブであって、
開放前端部を有する中空構造を有する紙チューブと、
前記紙チューブの前端部分の内側に固定的に装着されたディスク形状の試料チャンバと、
前記紙チューブの前記開放
前端部を閉じるために前記紙チューブの前記
開放前端部に装着されたヘッド部材と、
前記ヘッド部材に装着されたセンサ部材と、
を備え、
前記ディスク形状の試料チャンバが、
左側本体及び右側本体を有するチャンバ本体であって、前記左側本体と前記右側本体とが互いに接合されて、前記左側本体と前記右側本体との間にディスク形状の試料空間を画定している、チャンバ本体と、
前記チャンバ本体から上方に延び、かつ前記試料空間を外側に接続している試料入口と、
前記左側本体と前記右側本体とを互いに接合するために、前記チャンバ本体の少なくとも1つの側面上に配置されている溶接接合部分と、を備え
、
溶接接合部分が、前記左側本体と前記右側本体との間の接合ラインの一部分に配置され、それによって、前記左側本体と前記右側本体とを互いに接合し、前記溶接接合部分が、レーザを使用したスポット溶接法で形成されている、プローブ。
【請求項9】
前記ディスク形状の試料チャンバが、40mm以上及び57mm未満の垂直寸法を有し、
前記チャンバ本体は、2つの部分に垂直に分割され、前記溶接接合部分は、前記2つの部分のうちの下側部分の両対向側面の各々の側面上に形成されている、請求項
8に記載のプローブ。
【請求項10】
前記ディスク形状の試料チャンバが、57mm以上かつ80mm未満の垂直寸法を有し、
前記チャンバ本体は、2つの部分に垂直に分割され、前記溶接接合部分は
、3つの部分のうちの下側部分及び中間部分の各々の両対向側面の各々の側面上に形成されている、請求項
8に記載のプローブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスク形状の試料チャンバ及びディスク形状の試料チャンバを含むプローブに関する。より具体的には、本発明は、スポット溶接手法を使用して、チャンバ本体がチャンバ本体の少なくとも1つの側面上で互いに接合され、かつチャンバを含むプローブにも接合されている、ディスク形状の試料チャンバに関する。
【背景技術】
【0002】
鋼製造プロセスでは、鋼の品質を改善するために様々な努力がなされている。したがって、溶融鋼の純度に影響を及ぼす溶融金属の物理的特性を監視及び制御するために、溶融金属試料を収集及び分析する。
【0003】
最近、様々なデバイスを使用して溶融金属試料を収集するための努力がなされている。更に、温度測定及び溶融鋼試料収集機能を組み合わせて、作業時間を短縮して、デバイスを複合プローブに変換する。
【0004】
一般に、プローブは、鋼製造プロセスにおいてある特定の量の溶融金属を収集及び分析するために使用される。従来技術では、ディスク形状の試料チャンバを備えたプローブを電気炉に挿入することによって、溶融金属試料を収集する。
【0005】
一般に、先行技術のディスク形状の試料チャンバは、試料チャンバを固定するためのクリップを使用して組み立てられる。これらのクリップは、一般に、予荷重されたばねとして構成される。試料チャンバが充填されると、膨張ガスは、クリップが耐える必要がある過度の圧力を生成する。固定が十分に強力でないか、又は試料チャンバが完全に接続されていない場合、バリが試料上に形成され得、得られた試料の更なる処理及び分析において問題となる。
【0006】
更に、試料チャンバを固定するためのクリップを使用する連結構造は、試料チャンバの組み立て部品のコストの増加、及びクリップ連結による製造時間の追加の原因となる。更に、クリップは、試料を取得した後で分析の前に取り外す必要があり、これは主に特別な工具と組み合わせて手動で行われる。追加のプロセスステップにより、また、この試料閉鎖技術のコストが追加される。
【0007】
関連する先行技術文書には、溶融金属試料を収集及び測定するためのプローブについて記載している、韓国特許出願公開第10-2011/0138145号(2011年12月26日公開)が含まれる。
【発明の概要】
【0008】
この概要は、詳細な説明において以下に更に説明される簡略化された形態で概念の一部を紹介するために提供される。この概要は、特許請求の主題の全ての主要な特徴又は本質的な特徴を特定することを意図するものではなく、又、特許請求の主題の範囲を決定する際の助けとして単独で使用されることも意図するものではない。
【0009】
本発明の目的は、試料チャンバの組み立て作業及び分離を容易にし、試料チャンバの製造時間及びコストを低減するために、チャンバ本体が、チャンバ本体の少なくとも1つの側面上で、スポット溶接手法を使用して互いに接合されている、ディスク形状の試料チャンバを提供することである。更に、ディスク形状の試料チャンバを含むプローブが提供される。
【0010】
本発明の第1の実施形態は、溶融金属を収集するためのディスク形状の試料チャンバであって、左側本体及び右側本体を有するチャンバ本体であって、左側本体と右側本体とが互いに接合されて、左側本体と右側本体との間にディスク形状の試料空間を画定している、チャンバ本体と、チャンバ本体から上方に延び、かつ試料空間を外側に接続する試料入口と、左側本体と右側本体とを互いに接合するために、チャンバ本体の少なくとも1つの側面上に位置付けられた溶接接合部分と、を備える、ディスク形状の試料チャンバを提供する。
【0011】
チャンバの一実施形態では、溶接接合部分は、左側本体と右側本体との間の接合ラインの一部分に位置付けられ、それによって、左側本体と右側本体とを互いに接合し、溶接接合部分は、レーザを使用したスポット溶接法で形成される。
【0012】
チャンバの一実施形態では、ディスク形状の試料チャンバは、30mm以上かつ100mm未満の垂直寸法を有する。
【0013】
好ましくは、垂直寸法は、試料入口の軸に沿って試料チャンバの反対側の端まで画定される。
【0014】
チャンバの一実施形態では、ディスク形状の試料チャンバは、30mm以上かつ40mm未満の垂直寸法を有する。
【0015】
チャンバの一実施形態では、ディスク形状の試料チャンバは、40mm以上かつ57mm未満の垂直寸法を有する。
【0016】
チャンバの一実施形態では、チャンバ本体は、2つの部分に垂直に分割され、溶接接合部分は、2つの部分のうちの下側部分の両対向側面の各々の側面上に形成される。
【0017】
チャンバの一実施形態では、溶接接合部分は、下側部分の両対向側面の各々の湾曲部分上に形成される。
【0018】
チャンバの一実施形態では、ディスク形状の試料チャンバは、57mm以上かつ80mm未満の垂直寸法を有する。
【0019】
チャンバの一実施形態では、チャンバ本体は、2つの部分に垂直に分割され、溶接接合部分は、3つの部分のうちの下側部分及び中間部分の各々の両対向側面の各々の側面上に形成される。
【0020】
チャンバの一実施形態では、溶接接合部分は、下側部分及び中間部分の各々の両対向側面の各々の湾曲部分上に形成される。
【0021】
本発明の第2の態様は、溶融金属を収集するためのプローブであって、開放前端部を有する中空構造を有する紙チューブと、紙チューブの前端部分の内側に固定的に装着されたディスク形状の試料チャンバと、紙チューブの開放上部を閉じるために紙チューブの前端部に取り付けられたヘッド部材と、ヘッド部材に取り付けられたセンサ部材を備え、ディスク形状の試料チャンバは、左側本体及び右側本体を有するチャンバ本体であって、左側本体と右側本体とが互いに接合されて、左側本体と右側本体との間にディスク形状の試料空間を画定している、チャンバ本体と、チャンバ本体から上方に延び、かつ試料空間を外側に接続する試料入口と、左側本体と右側本体とを互いに接合するために、チャンバ本体の少なくとも1つの側面上に位置付けられた溶接接合部分と、を備える、プローブを提供する。
【0022】
プローブの一実施形態では、ディスク形状の試料チャンバは、40mm以上かつ57mm未満の垂直寸法を有し、チャンバ本体は、2つの部分に垂直に分割され、溶接接合部分は、2つの部分のうちの下側部分の両対向側面の各々の側面上に形成される。
【0023】
プローブの一実施形態では、ディスク形状の試料チャンバは、57mm以上かつ80mmより小さい垂直寸法を有し、チャンバ本体は、2つの部分に垂直に分割され、溶接接合部分は、3つの部分のうちの下側部分及び中間部分の各々の両対向側面の各々の側面上に形成される。
【0024】
本発明による効果は、以下のとおりであり得るが、これらに限定されない。
【0025】
上述のように、本発明によれば、左側本体と右側本体との間の接合ラインの一部分のみが、レーザスポット溶接手法で互いに選択的に溶接されるので、クリップ固定手法が使用される場合と比較して、試料チャンバの組み立て時間及びコストが著しく低減される。
【0026】
更に、試料チャンバの右側本体と左側本体との間の連結手法は、クリップ固定手法ではないが、レーザを使用するスポット溶接手法である。したがって、試料チャンバの2つの本体の組み立て及び分離が容易であり、試料チャンバの製造時間及びコストを低減し得る。
【0027】
更に、溶接接合部分は、左側本体と右側本体との間の接合ライン全体にわたって形成されてはいないが、試料チャンバの垂直寸法に応じてチャンバ本体120の両対向側面上のそれぞれ2点又は4点にのみ選択的に置かれ、それによって、試料チャンバのチャンバ本体の右側本体と左側本体とが互いに容易に分離されることを可能にする。
【0028】
更に、本発明によれば、溶接接合部分のサイズ及び試料チャンバの2つの本体間の接合ラインのコントラスト測定値は、外観検査デバイスを使用して推定され、推定結果に基づいて非不良製品が決定され、それによって製造歩留まり率が向上する。
【0029】
上記の効果に加えて、本発明による特定の効果は、本発明を実施するための詳細な説明と共に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の一実施形態による、ディスク形状の試料チャンバの分解状態を示す正面斜視図である。
【0031】
【
図2】本発明の一実施形態による、ディスク形状の試料チャンバの組み立てられた状態を示す正面斜視図である。
【0032】
【
図3】本発明の一実施形態による、ディスク形状の試料チャンバの組み立てられた状態を示す側面断面図である。
【0033】
【
図4】本発明の別の実施形態による、ディスク形状の試料チャンバの組み立てられた状態を示す正面斜視図である。
【0034】
【
図5】本発明の別の実施形態による、ディスク形状の試料チャンバの組み立てられた状態を示す側面断面図である。
【0035】
【
図6】試料チャンバの溶接接合部分及び接合ラインの、外観検査デバイスを使った評価プロセスを説明する写真である。
【0036】
【
図7】本発明の一実施形態による、ディスク形状の試料チャンバを含むプローブを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
説明を簡単かつ明確にするために、図中の要素は、必ずしも縮尺どおりに描かれていない。異なる図における同じ参照番号は、同一又は同様の要素を表し、そのため、同様の機能を果たす。更に、周知のステップ及び要素の説明及び詳細については、説明を簡単にするために省略されている。更に、本発明の以下の詳細な説明では、本発明の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が記載されている。しかしながら、本発明は、これらの具体的な詳細なしで実施され得ることが理解されよう。他の例では、本発明の態様を不必要に不明瞭にしないように、周知の方法、手順、構成要素、及び回路は、詳細に説明されていない。
【0038】
様々な実施形態の例を、以下に更に例示及び説明する。本明細書の説明は、記載された特定の実施形態に特許請求の範囲を限定することを意図するものではないことが理解されよう。反対に、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の趣旨及び範囲内に含まれ得る代替、修正、及び等価物を包含することが意図されている。
【0039】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態のみを説明する目的のためであり、本発明を限定することを意図するものではない。本明細書においては、単数形「a」及び「an」は、文脈が別途明確に示されない限り、複数形も含むことが意図される。本明細書で使用される、「備える」、「備えている」、「含む」、及び「含んでいる」という用語は、記載された特徴、整数、動作、要素、及び/又は構成要素の存在を示すが、1つあるいはそれ以上の他の特徴、整数、動作、要素、構成要素、及び/又はそれらの一部分の存在又は追加を排除しないことが更に理解されるであろう。本明細書で使用される、「及び/又は」という用語は、関連する列挙された項目のうちの1つ以上のいずれか及び全ての組み合わせを含む。要素のリストに先行する「少なくとも1つ」などの表現は、要素のリスト全体を修飾し得るが、リストの個々の要素を修飾し得ない。
【0040】
「第1」、「第2」、「第3」などの用語は、様々な要素、構成要素、領域、層及び/又は区分を説明するために本明細書で使用され得るが、これらの要素、構成要素、領域、層、及び/又は区分は、これらの用語によって限定されるべきではないことが理解されよう。これらの用語は、1つの要素、構成要素、領域、層、又はセクションを別の要素、構成要素、領域、層、又はセクションから区別するために使用される。したがって、以下に記載される第1の要素、構成要素、領域、層、又はセクションは、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、第2の要素、構成要素、領域、層、又はセクションと称することができる。
【0041】
更に、第1の要素又は層が第2の要素又は層の「上」又は「下」に存在すると言及される場合、第1の要素は、第2の要素の上又は下に直接配置され得る、あるいは、第1及び第2の要素又は層の間に第3の要素又は層が配置されている状態で、第2の要素又は層の上又は下に間接的に配置され得ることが理解されよう。
【0042】
要素又は層が別の要素又は層に「接続される」又は「結合される」と言及される場合、それは、他の要素もしくは層上に直接、接続され、又は結合され得る、あるいは、1つ以上の介在要素又は層が存在し得ることが理解されよう。更に、要素又は層が2つの要素又は層の「間」にあると言及される場合、2つの要素又は層の間の唯一の要素又は層であり得る、あるいは、1つ以上の介在要素又は層が存在し得ることも理解されるであろう。
【0043】
更に、本明細書で使用される、層、膜、領域、プレートなどが別の層、膜、領域、プレートなどの「上」又は「上に」配置される場合、前者は、後者に直接接触し得る、あるいは、更に別の層、膜、領域、プレートなどが前者と後者との間に配置され得る。本明細書で使用される、層、膜、領域、プレートなどが別の層、膜、領域、プレートなどの「上」又は「上に」直接配置される場合、前者は、後者に直接接触し、更に別の層、膜、領域、プレートなどが、前者と後者との間に配置されない。更に、本明細書で使用される、層、膜、領域、プレートなどが別の層、膜、領域、プレートなどの「下」又は「下に」配置される場合、前者は、後者に直接接触し得、あるいは、さらに別の層、膜、領域、プレートなどが前者と後者の間に配置され得る。本明細書で使用される、層、膜、領域、プレートなどが別の層、膜、領域、プレートなどの「下」又は「下に」直接配置される場合、前者は後者に直接接触し、更に別の層、膜、領域、プレートなどは、前者と後者との間に配置されない。
【0044】
別途定義されない限り、本明細書で使用される技術用語及び科学用語を含む全ての用語は、本発明の概念が属する技術において当業者によって通常理解される意味と同じ意味を有する。一般的に使用される辞書で定義される用語は、関連技術の文脈におけるそれらの意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書で明示的にそのように定義されない限り、理想的又は過度に形式的な意味で解釈されるべきではないことが更に理解されるであろう。
【0045】
以下、本発明の好ましい実施形態によるディスク形状の試料チャンバ及びディスク形状の試料チャンバを含むプローブを、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0046】
図1は、本発明の一実施形態による、ディスク形状の試料チャンバの分解状態を示す正面斜視図である。
図2は、本発明の一実施形態による、ディスク形状の試料チャンバの組み立てられた状態を示す正面斜視図である。
図3は、本発明の一実施形態による、ディスク形状の試料チャンバの組み立てられた状態を示す側面断面図である。
【0047】
図1~
図3を参照すると、本発明の一実施形態によるディスク形状の試料チャンバ100は、チャンバ本体120、試料入口140、及び溶接接合部分160を備える。
【0048】
チャンバ本体120は、左側本体122及び右側本体124を含み、左側本体122と右側本体124とは互いに結合されて、左側本体122と右側本体124との間に、画定されたディスク形状の試料空間Sを画定する。したがって、チャンバ本体120は、左側本体122及び右側本体124に分割される。左側本体122及び右側本体124は、互いに接触しており、それによって、それらの間に画定されたディスク形状の試料空間Sを形成している。
【0049】
左側本体122及び右側本体124の各々は、ディスク形状の半円形構造を有する。左側本体122及び右側本体124は、好ましくは、互いに対して対称構造を有するように設計されている。
【0050】
試料入口140は、チャンバ本体120から上方に延び、かつ試料空間Sを外側と連通するように形成される。この試料入口140は、チャンバ本体120の上部から突出し得る。これに関連して、溶融金属試料を収集するとき、溶融金属試料は、試料入口140を介してディスク形状の試料空間Sに導入される。
【0051】
溶接接合部分160は、チャンバ本体120の少なくとも1つの側面上に形成されて、左側本体122及び右側本体124を互いに接着する。
【0052】
より具体的には、溶接接合部分160は、左側本体122と右側本体124との間の接合ラインの一部分に位置付けられて、左側本体122及び右側本体124を互いに接合し、部分160は、レーザを使用したスポット溶接法で形成される。
【0053】
レーザベースのスポット溶接手法は、レーザ発振器から、振動させたレーザビームを、レーザヘッドを使用して溶接目標点に照射することによって溶接を行う。これに関連して、レーザヘッドは、好ましくは、レーザビームを所定の走査領域に照射することができるスキャンヘッドであるが、これに限定されない。
【0054】
このようにして、左側本体122及び右側本体124の接合ラインの部分のみが、レーザスポット溶接手法で互いに選択的に溶接され、それによって、クリップ固定手法が使用される場合と比較して、試料チャンバの組み立て時間及びコストが著しく低減される。
【0055】
本発明の一実施形態によるディスク形状の試料チャンバ100は、57mm未満の垂直寸法を有し、より好ましくは、垂直寸法は、40mm~57mmの範囲内である。
【0056】
この場合、チャンバ本体120が上側部分と下側部分とに分割されると、溶接接合部分160は、好ましくは、下側部分の両対向側面の各々の側面上に形成されることである。これに関連して、溶接接合部分160は、より好ましくは、チャンバ本体120の下側部分の両対向側面の各々の湾曲部分上に形成される。
【0057】
好ましくは、溶接接合部分160は、チャンバ本体120の下側部分の両対向側面上の2点A及びBの各々にのみ選択的に形成され、それによって、溶接時間及びコストを節約するとともに、左側本体122と右側本体124とを互いにしっかりと接合する。
【0058】
更なる実施形態では、溶接接合部分160は、左側本体122と右側本体124との間の接合ライン全体にわたって形成されてはいないが、チャンバ本体120の両対向側面上の2点A及びBの各々にのみ選択的に置かれ、それによって、試料チャンバ100のチャンバ本体の右側本体と左側本体とが互いに容易に分離されことを可能にする。
【0059】
更なる実施形態では、溶接接合部分160の直径は、チャンバ本体の側面の高さの15%以下であり、それによって、試料チャンバ100のチャンバ本体の右側本体と左側本体とが互いに容易に分離されることを可能にし、好ましくは10%以下、最も好ましくは5%以下である。
【0060】
上述のように、本発明によれば、試料チャンバ100の右側本体と左側本体との間の連結手法は、クリップ固定手法ではなく、レーザを使用したスポット溶接手法である。したがって、試料チャンバ100の2つの本体の組み立て及び分離は容易であり得、試料チャンバの製造時間及びコストを低減することができる。
【0061】
図4は、本発明の別の実施形態による、ディスク形状の試料チャンバの組み立てられた状態を示す正面斜視図である。
図5は、本発明の別の実施形態による、ディスク形状の試料チャンバの組み立てられた状態を示す側面断面図である。これに関連して、
図5は、ディスク形状の試料チャンバの左側面を示す。
【0062】
図4及び
図5に示すように、本発明の別の実施形態によるディスク形状の試料チャンバ100は、
図1~
図3に示される、ディスク形状の試料チャンバ100と実質的に同じ構成を有する。しかしながら、前者は、後者の垂直寸法よりも大きい垂直寸法を有する。したがって、それらの重複する説明は省略され、以下の説明は、それらの間の違いに焦点を当てている。
【0063】
すなわち、本発明の別の実施形態によるディスク形状の試料チャンバ100は、少なくとも57mmの垂直寸法を有してもよく、より好ましくは、57mm~80mmの範囲内であってもよい。これに関連して、チャンバ本体120が上側部分、中間部分、及び下側部分に分割されている場合、溶接接合部分160は、中間部分の両対向側面上の点上及び下側部分の両対向側面上の2点上に形成され得る。これに関連して、溶接接合部分160は、より好ましくは、チャンバ本体120の中間部分の両対向側面の各々の湾曲部分上と、チャンバ本体120の下側部分の両対向側面の各々の湾曲部分上に形成される。
【0064】
好ましくは、溶接接合部分160は、チャンバ本体120の中間部分の両対向側面上の2点A及びB、並びにチャンバ本体120の下側部分の両対向側面上の2点C及びDにのみ選択的に形成され、それによって、溶接時間及びそのコストを節約するとともに、左側本体122と右側本体124とを互いに確実に接合する。
【0065】
更に、溶接接合部分160は、左側本体122と右側本体124との間の接合ライン全体にわたって形成されてはいないが、チャンバ本体120の中間部分の両対向側面上の2点A及びB、並びにチャンバ本体120の下側部分の両対向側面上の2点C及びDにのみ選択的に置かれ、それによって、試料チャンバ100のチャンバ本体の右側本体と左側本体とが、互いに容易に分離されることを可能にする。
【0066】
更なる実施形態では、溶接接合部分160の直径は、チャンバ本体の側面の高さの15%以下であり、それによって、試料チャンバ100のチャンバ本体の右側本体と左側本体とが互いに容易に分離されることを可能にし、好ましくは10%以下、最も好ましくは5%以下である。
【0067】
上述のように、本発明によれば、試料チャンバ100の右側本体と左側本体との間の連結手法は、クリップ固定手法ではなく、レーザを使用したスポット溶接手法である。したがって、試料チャンバ100の2つの本体の組み立て及び分離は容易であり得、試料チャンバの製造時間及びコストを低減することができる。
【0068】
図6は、溶接接合部分及び試料チャンバの右側本体と左側本体との間の接合ラインを外観検査デバイスで評価するプロセスを説明する写真である。
【0069】
本発明によれば、
図6は、外観検査デバイスを使用して、溶接接合部分のサイズ及び2つの本体間の接合ラインのコントラストを示す。測定値が所定の範囲を満たす場合のみ、組み立てられた試料チャンバは、非不良製品として決定される。
【0070】
好ましくは、外観検査デバイスを使用して測定された溶接接合部分のサイズ及び試料チャンバの2つの本体間の接合ラインのコントラストが事前設定範囲内にあるとき、組み立てられた試料チャンバは、非不良製品として決定される。
【0071】
逆に、外観検査デバイスを使用して測定された溶接接合部分のサイズ及び試料チャンバの2つの本体間の接合ラインのコントラスト測定値が事前設定範囲外である場合、組み立てられた試料チャンバは、不良製品として決定される。
【0072】
好ましくは、本発明によれば、溶接接合部分のサイズ及び試料チャンバの2つの本体間の接合ラインのコントラスト測定値は、外観検査デバイスを使用して推定され、推定結果に基づいて、非不良製品が決定され、それによって、製造歩留まり率を改善する。
【0073】
図7は、本発明の一実施形態による、ディスク形状の試料チャンバを含むプローブを示す断面図である。
【0074】
図7を参照すると、本発明の一実施形態によるディスク形状の試料チャンバ100を含むプローブ400は、紙チューブ300、ディスク形状の試料チャンバ100、ヘッド部材200、及びセンサ部材232を含む。
【0075】
紙チューブ300は、開放前端部を有する中空構造を有する。
【0076】
ディスク形状の試料チャンバ100は、紙チューブ300の前端部分の内側に固定的に装着されている。ディスク形状の試料チャンバ100は、左側本体と右側本体を有するチャンバ本体を含み、左側本体と右側本体とが互いに接合されて、左側本体と右側本体との間にディスク形状の試料空間を画定しており、試料入口は、チャンバ本体から上方に延び、かつ試料空間を外側に接続しており、溶接接合部分は、左側本体と右側本体とを互いに接合するために、チャンバ本体の少なくとも1つの側面上に配置されている。
【0077】
チャンバの一実施形態では、ディスク形状の試料チャンバは、30mm以上かつ100mm未満の垂直寸法を有する。
【0078】
好ましくは、垂直寸法は、試料入口の軸に沿って試料チャンバの反対側の端まで画定される。
【0079】
チャンバの一実施形態では、ディスク形状の試料チャンバは、30mm以上かつ40mm未満の垂直寸法を有する。
【0080】
これに関連して、本発明の一実施形態によるディスク形状の試料チャンバ100は、57mm未満の垂直寸法を有し、より好ましくは、垂直寸法は、40mm~57mmの範囲内である。
【0081】
チャンバ本体120が上側部分と下側部分とに分割されている場合、溶接接合部分160は、好ましくは、下側部分の両対向側面の各々の側面上に形成される。これに関連して、溶接接合部分160は、より好ましくは、チャンバ本体120の下側部分の両対向側面の各々の湾曲部分上に形成される。
【0082】
好ましくは、溶接接合部分160は、チャンバ本体120の下側部分の両対向側面上のそれぞれ2点A及びBの各々にのみ選択的に形成され、それによって、溶接時間及びコストを節約するとともに、左側本体122と右側本体124とを互いにしっかりと接合する。
【0083】
更に、溶接接合部分160は、左側本体122と右側本体124との間の接合ライン全体にわたって形成されてはいないが、チャンバ本体120の両対向側面上のそれぞれ2点A及びBの各々にのみ選択的に置かれ、それによって、試料チャンバ100のチャンバ本体の右側本体と左側本体とが互いに容易に分離されることを可能にする。
【0084】
上述のように、本発明によれば、試料チャンバ100の右側本体と左側本体との間の連結手法は、クリップ固定手法ではなく、レーザを使用したスポット溶接手法である。したがって、試料チャンバ100の2つの本体の組み立て及び分離は容易であり得、試料チャンバの製造時間及びコストを低減することができる。
【0085】
あるいは、本発明の別の実施形態によるディスク形状の試料チャンバ100は、少なくとも57mmの垂直寸法を有してもよく、より好ましくは、57mm~80mmの範囲内であってもよい。これに関連して、チャンバ本体120が上側部分、中間部分、及び下側部分に分割されている場合、溶接接合部分160は、中間部分の両対向側面上のそれぞれの点上及び下側部分の両対向側面上のそれぞれの2点上に形成され得る。これに関連して、溶接接合部分160は、より好ましくは、チャンバ本体120の中間部分の両対向側面の各々の湾曲部分上と、チャンバ本体120の下側部分の両対向側面の各々の湾曲部分上に形成される。
【0086】
好ましくは、溶接接合部分160は、チャンバ本体120の中間部分の両対向側面上の2点A及びB、並びにチャンバ本体120の下側部分の両対向側面上の2点C及びDに選択的に形成され、それによって、溶接時間及びコストを節約するとともに、左側本体122と右側本体124とを互いに確実に接合する。
【0087】
更に、溶接接合部分160は、左側本体122と右側本体124との間の接合ライン全体にわたって形成されてはいないが、チャンバ本体120の中間部分の両対向側面上の2点A及びB、並びにチャンバ本体120の下側部分の両対向側面上の2点C及びDにのみ選択的に置かれ、それによって、試料チャンバ100のチャンバ本体の右側本体と左側本体とが、互いに容易に分離されることを可能にする。
【0088】
上述のように、本発明によれば、試料チャンバ100の右側本体と左側本体との間の連結手法は、クリップ固定手法ではなく、レーザを使用したスポット溶接手法である。したがって、試料チャンバ100の2つの本体の組み立て及び分離は容易であり得、試料チャンバの製造時間及びコストを低減することができる。
【0089】
ヘッド部材200は、紙チューブ300の開放端部を閉じるために、紙チューブ300の前端部に装着されている。ヘッド部材200は、試料チャンバ100及びセンサ部材232を外側から保護するために、その前端部に位置付けられた保護キャップ240を更に含み得る。これに関連して、試料チャンバ100は、コネクタ部材222を介してヘッド部材200に固定され得る。コネクタ部材222は、試料チャンバ100の試料入口及びヘッド部材200の開口部に挿入され得る。
【0090】
センサ部材232は、ヘッド部材200に装着されている。センサ部材232は、溶融金属の温度及び酸素含有量を測定するために、ヘッド部材200上に固定的に設置され得る。
【0091】
上述の本発明の実施形態によるディスク形状の試料チャンバを含むプローブ400は、様々な種類の溶融金属を収集するために使用され得る。特に、プローブは、主に、浸漬される方法で電気炉からの溶融金属の収集に使用され得る。
【0092】
上述のように、本発明によれば、左側本体と右側本体との間の接合ラインの一部分のみが、レーザスポット溶接手法で選択的に互いに溶接され、それによって、クリップ固定手法が使用される場合と比較して、試料チャンバの組み立て時間及びコストが著しく低減される。
【0093】
好ましくは、試料チャンバの右側本体と左側本体との間の連結手法は、クリップ固定手法ではなく、レーザを使用したスポット溶接手法である。したがって、試料チャンバの2つの本体の組み立て及び分離は容易であり、試料チャンバの製造時間及びコストを低減し得る。
【0094】
更に、溶接接合部分は、左側本体と右側本体との間の接合ライン全体にわたって形成されてはいないが、試料チャンバの垂直寸法に応じてチャンバ本体120の両対向側面上にそれぞれ2点又は4点の各々にのみ選択的に置かれ、それによって、試料チャンバのチャンバ本体の右側本体と左側本体とが互いに容易に分離されることを可能にする。
【0095】
好ましくは、本発明によれば、溶接接合部分のサイズ及び試料チャンバの2つの本体間の接合ラインのコントラスト測定値は、外観検査デバイスを使用して推定され、推定結果に基づいて、非不良製品が決定され、それによって、製造歩留まり率を改善する。
【0096】
以上のように、本発明を、図面を参照して説明する。しかしながら、本発明は、本明細書に開示される実施形態及び図面に限定されない。本発明の範囲内で、様々な修正が当業者によってそれに対して行われ得ることは明らかであろう。更に、本発明の特徴から生じる効果は、本発明の実施形態の説明に明示的に記載されていないが、本発明の特徴から生じる予測可能な効果が認識されるべきであることは明らかである。
【0097】
以下では、本発明による例示的な条件が与えられる。
【0098】
図2による鋼から作製された、長さ60mm、幅32mm、高さ12mmの2つの試料チャンバ本体の半体を含む試料チャンバを2点で一緒に溶接した。溶接点は、1,3mmの直径を有していた。
【0099】
溶接接合部の接合強度の試験及び評価
【0100】
剪断強度
【0101】
溶接接続の強度を剪断試験で評価した。組み立てられた試料チャンバを、試料チャンバ本体半体間の接合ラインと平行に、1.5mm/分の一定のクロスヘッド速度の引張試験機(タイプTiniusOlsen H10KT)内に置いた。溶接されたシームを切断するための最大の力を測定した。
【0102】
剪断力は、本発明による試料チャンバに対して100~450Nの範囲であった。
【0103】
破断抵抗
【0104】
溶接接続の強度を試験するための代替的な方法では、試料チャンバの溶接接続を破断する最小落下高さを測定した。未充填の溶接試料チャンバを、コンクリート表面上方のある特定の高さに置き、表面上に落下させた。落下後の試料の接続を破断するために必要な最小落下高さは、接続の強度の代表的な尺度である。この最小落下高さが高いほど、接続が強いことになる。
【0105】
例示的な試料チャンバの場合、この高さは40cmであった。比較すると、クリップを有する従来の試料チャンバは、そのような試験で開くことはない。
【0106】
20cmの最小落下高さが、破損することなく保証される必要があり、40cmは、溶融金属試料を充填した後の更なる処理に適した試料チャンバの代表的な高さと見なされる。