(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-04
(45)【発行日】2023-09-12
(54)【発明の名称】圧縮収納袋
(51)【国際特許分類】
B65D 81/20 20060101AFI20230905BHJP
B65D 30/24 20060101ALI20230905BHJP
B65D 33/25 20060101ALI20230905BHJP
F16K 15/16 20060101ALI20230905BHJP
【FI】
B65D81/20 B
B65D30/24 Z
B65D33/25 A
F16K15/16 E
(21)【出願番号】P 2023045159
(22)【出願日】2023-03-22
【審査請求日】2023-03-22
(31)【優先権主張番号】P 2023034733
(32)【優先日】2023-03-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523083126
【氏名又は名称】友廣 誠二
(74)【代理人】
【識別番号】100146020
【氏名又は名称】田村 善光
(72)【発明者】
【氏名】友廣 誠二
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-143622(JP,A)
【文献】実開平06-010148(JP,U)
【文献】実開平04-135432(JP,U)
【文献】韓国公開特許第2003-0016524(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/20
B65D 30/24
B65D 33/25
F16K 15/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性及び非通気性を有する軟質部材からなる2枚の薄厚シートが重ね合わされた状態で、前記薄厚シートの周縁部に被収納物を挿入出可能な開口部を形成した袋状の圧縮収納袋であって、
前記圧縮収納袋は、
前記開口部を形成した部位の2枚の前記薄厚シートにそれぞれ融着された、前記開口部と同じ長さの凸状部と、前記凸状部を嵌装可能な凹状溝部とを有して前記開口部の封止を可能にする、可撓性及び非通気性を有する軟質部材からなるチャック部と、
前記薄厚シートの所定の位置に設けた、空気を流出入可能な孔の周縁部に気密接着で固定した、前記薄厚シートから突出状態で排気又は給気可能な、可撓性及び非通気性を有する軟質部材からなる排気・給気弁体部と、を備え、
前記排気・給気弁体部は、
上端部に半径方向で厚みのある円形状の開口部を形成し、下端部に前記薄厚シートに気密接着した平円環状のフランジ部を有する、略円筒状の円筒状枠体部と、
前記円筒状枠体部の内周壁部に、前記薄厚シート表面から離隔した高さで、かつ前記円筒状枠体部の外周面から指で摘まめる高さの部位に円周方向に沿って一体的に突設された、平面視で円環状の天井部支持部、及び、前記天井部支持部が形成する穴を半径方向で覆う、前記天井部支持部と一体的に形成され円周方向に沿って所定の範囲に切目を設けた天井部を有する弁体部と、を備え、
前記弁体部は、半径方向の挟圧により変形させて空気を流動可能に開状態にでき、前記挟圧の解放により元の形状に復帰して空気の流動を遮断可能に閉状態に可変できることを特徴とする圧縮収納袋。
【請求項2】
前記弁体部の形態が、
前記薄厚シート表面から離隔しかつ前記円筒状枠体部の外周面から指で摘まめる高さの部位に下端部を円周方向に沿って一体的に連結され、上方かつ内側に向かうにしたがって縮径
し、顎部から下方の高さで所定の大きさに縮径した略半円錐状の天井部支持部と、前記天井部支持部の上端部の開口部を半径方向で覆う、円周方向に沿って所定の範囲に切目を設け前記切目以外の部位は前記天井部支持部の上端部と一体的に形成した天井部とを有する略半円錐状形態、又は、前記薄厚シート表面から離隔し前記顎部の下方の高さで、かつ前記円筒状枠体部の外周面から指で摘まめる高さの部位に円周方向に沿って一体的に略水平方向に突設された、円環状の天井部支持部と、前記天井部支持部の開口部を半径方向で覆う、円周方向に沿って所定の範囲に切目を設け、前記切目以外の部位は前記天井部支持部の周縁部と一体的に形成した天井部とを有する略円板状形態であることを特徴とする請求項1に記載の圧縮収納袋。
【請求項3】
前記切目の箇所が前記天井部の周縁部の円周方向に沿って1又は2か所であり、
前記切目の側面視の傾きの形態が、
半径方向で外側から内側になるにしたがって下方に傾斜した形態、又は、略水平方向である形態であることを特徴とする請求項1又は2に記載の圧縮収納袋。
【請求項4】
前記円筒状枠体部の前記弁体部の上方の部位から突設させた、前記上端部の開口部に嵌挿可能な、前記開口部の直径より先端部は直径を小さく根元部は直径を大きくした側面が傾斜状態の略円柱状の嵌入栓部を略先端部に有する帯状の帯状体部と、を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の圧縮収納袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品等の被収納物を収納し真空状態で保管し、開封して被収納物を取り出すことができる可撓性を有する圧縮収納袋に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、収納物を出し入れする開口を開閉するファスナー付きの袋体に取り付けた状態で使用され、前記袋体の内部から外部への空気の流出を可能にしながら、前記袋体の外部から内部への空気の流入を防止する逆流防止機能を有する脱気弁であって、排気孔が中央部又は中央部近傍に形成された底板及び前記底板の端縁から立起する側板からなる基体と、凹凸嵌合部が中央下面に形成されるとともに、排気孔が形成され、前記基体の上端部に取り付けられる蓋体と、前記蓋体の凹凸嵌合部に嵌合する凹凸嵌合部が中央上面に形成された、可撓性を有する円盤状の開閉弁部を有する弁体とを備え、前記蓋体の凹凸嵌合部に前記弁体の凹凸嵌合部を嵌合させ、前記蓋体を前記基体の上端部に取り付けた状態では、前記弁体の開閉弁部が前記底板の排気孔の周囲に上方から当接して弾性変形した状態となり、前記開閉弁部により前記底板の排気孔が塞がれることを脱気弁が開示されている。
【0003】
特許文献2には、気密性の脱気包装袋に開口形成された装着口に固定され、脱気包装袋内の空気を吸引し、吸引後に止栓、密閉される吸気バルブであって、装着口内周縁に固定される取付盤に、脱気包装袋の内方に窪んでいて、外側に位置する大径の有底筒状の蓋押え筒と、この蓋押え筒の底部から脱気包装袋の外方へ突出していて、内側に位置する小径の有底筒状の吸気筒とを内外に二重筒状に配設し、天部がある吸気筒上部近傍には、そのほぼ横断方向に沿う開閉スリットを切目状に形成した脱気包装袋用の吸気バルブが開示されている。
【0004】
特許文献3には、外層シートと、マットと、マット内に充填された緩衝体との組み合わせにバルブを有する宅配便用物品梱包袋であって、前記外層シートは、マットの表面保護カバーであり、前記マットは、2つ折りに折曲して少なくとも1面が開放されたホルダーを形成するも のであり、マット内には緩衝体が充填され、前記緩衝体は、マット内の空気が抜き取られてマットの容積が減少したときに、ホルダーに格納された物品の形状になじんで充填密度が増大し、物品の表面形状を象って固化し、外部から受ける衝撃を緩和させる機能を有するものであり、 前記バルブは、逆止弁と吸気弁との組み合せであり、前記逆止弁は、マット内の脱気に際し、ポンプの吸引力が作用したときに開弁し、脱気 後は閉弁してマット内への外気の導入を阻止するものであり、前記吸気弁は、押しボタン操作により開弁し、脱気されたマット内への外気の導入を可能にするものであり、逆止弁と吸気弁とは、マットに取付けられた弁箱内に組み込まれ、弁箱は、ポンプまたはポンプに接続されたホースの吸い口に装着されたカプラーと脱着可能に結合される宅配便用物品梱包袋が開示されている。
【0005】
特許文献4には、上部を開口し下部に可動の底部とを有する円筒状の給排気部と、該給排気部の外側に可撓性を有する連結バンドを介して連結した栓部とから成り、袋体内に空気を注入、排出するための空気栓であって、前記栓部は、前記連結バンドに連結する円板状の頂面部と、該頂面部の裏面に設け封止時に前記給排気部内に挿入する円筒部と、前記頂面部の前記連結バンドからの接続個所に対して前記頂面部から直角方向であって、前記頂面部の表面と平行するように両側に耳状に張り出した一対の摘み片とを備えることを特徴とする空気栓が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】実用新案登録第3173542号公報
【文献】実開平5-35776号公報
【文献】特開2010-132323号公報
【文献】特開2017-46949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1及び特許文献2の発明は、袋内の空気を吸いだして真空状態にした後に袋を開封するときに、真空で2枚のシートが密着した部位を開くのは特に指の力が弱い高齢者や子供にとって無理で困難であるという問題があった。この場合にはハサミ等で袋を切断して被収納物を取り出すので袋の再利用ができないという問題があった。
【0008】
特許文献3の発明は、袋内の排気と、空気を抜いた後に空気を給気可能な構造にしているので、袋の再利用ができるが、構造が複雑であるので、高価格になり手軽に活用できないという問題があった。
【0009】
特許文献4の発明は、収納袋内に空気を抜かずに収納した被収納物と収納袋のシートとが密着していない状態で使用する場合には弁部を指で摘まめるが、収納袋内に被収納物が収納されて、被収納物と収納袋のシートとが密着状態で使用する場合には、弁部が前記シートにほぼ接するので指で摘まめないので弁部を開にできないという問題があった。
【0010】
本発明はこうした問題に鑑み創案されたもので、被収納物を入れ開口部をチャックした袋内から空気を排気でき、袋を圧縮して真空状態にした後に容易に空気を袋内に給気でき容易にチャック部を開にすることができ、シンプルな構造の圧縮収納袋を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の圧縮収納袋は、可撓性及び非通気性を有する軟質部材からなる2枚の薄厚シートが重ね合わされた状態で、前記薄厚シートの周縁部に被収納物を挿入出可能な開口部を形成した袋状の圧縮収納袋であって、前記圧縮収納袋は、前記開口部を形成した部位の2枚の前記薄厚シートにそれぞれ融着された、前記開口部と同じ長さの凸状部と、前記凸状部を嵌装可能な凹状溝部とを有して前記開口部の封止を可能にする、可撓性及び非通気性を有する軟質部材からなるチャック部と、前記薄厚シートの所定の位置に設けた、空気を流出入可能な孔の周縁部に気密接着で固定した、前記薄厚シートから突出状態で排気又は給気可能な、可撓性及び非通気性を有する軟質部材からなる排気・給気弁体部と、を備え、前記排気・給気弁体部は、上端部に半径方向で厚みのある円形状の開口部を形成し、下端部に前記薄厚シートに気密接着した平円環状のフランジ部を有する、略円筒状の円筒状枠体部と、前記円筒状枠体部の内周壁部に、前記薄厚シート表面から離隔した高さで、かつ前記円筒状枠体部の外周面から指で摘まめる高さの部位に円周方向に沿って一体的に突設された、平面視で円環状の天井部支持部、及び、前記天井部支持部が形成する穴を半径方向で覆う、前記天井部支持部と一体的に形成され円周方向に沿って所定の範囲に切目を設けた天井部を有する弁体部と、を備え、前記弁体部は、半径方向の挟圧により変形させて空気を流動可能に開状態にでき、前記挟圧の解放により元の形状に復帰して空気の流動を遮断可能に閉状態に可変できることを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載の圧縮収納袋は、請求項1において、前記弁体部の形態が、前記薄厚シート表面から離隔しかつ前記円筒状枠体部の外周面から指で摘まめる高さの部位に下端部を円周方向に沿って一体的に連結され、上方かつ内側に向かうにしたがって縮径し、顎部から下方の高さで所定の大きさに縮径した略半円錐状の天井部支持部と、前記天井部支持部の上端部の開口部を半径方向で覆う、円周方向に沿って所定の範囲に切目を設け前記切目以外の部位は前記天井部支持部の上端部と一体的に形成した天井部とを有する略半円錐状形態、又は、前記薄厚シート表面から離隔し前記顎部の下方の高さで、かつ前記円筒状枠体部の外周面から指で摘まめる高さの部位に円周方向に沿って一体的に略水平方向に突設された、円環状の天井部支持部と、前記天井部支持部の開口部を半径方向で覆う、円周方向に沿って所定の範囲に切目を設け、前記切目以外の部位は前記天井部支持部の周縁部と一体的に形成した天井部とを有する略円板状形態であることを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の圧縮収納袋は、請求項1又は2において、前記切目の箇所が前記天井部の周縁部の円周方向に沿って1又は2か所であり、前記切目の側面視の傾きの形態が、半径方向で外側から内側になるにしたがって下方に傾斜した形態、又は、略水平方向である形態であることを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の圧縮収納袋は、請求項1又は2において、前記円筒状枠体部の前記弁体部の上方の部位から突設させた、前記上端部の開口部に嵌挿可能な、前記開口部の直径より先端部は直径を小さく根元部は直径を大きくした側面が傾斜状態の略円柱状の嵌入栓部を略先端部に有する帯状の帯状体部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の本発明の圧縮収納袋は、被収納物を入れた袋内から空気を排気でき、袋を圧縮して前記被収納物と前記圧縮収納袋を密着させて真空状態にした後に、前記被収納物と前記薄厚シートとが真空状態で密着した状態であっても、高齢者や小さい子供の指の力であっても、指で摘まむことにより前記排気・給気弁体部から容易に空気を袋内に給気できるので、前記被収納物と前記薄厚シートとを空気を送り込んで離隔させることができ、これにより容易にチャック部を開けることができる。さらにシンプルな構造であるので安価に製作できるという効果を奏する。
【0016】
前記排気・給気弁体部を前記薄厚シートから突出状態にし、前記排気・給気弁体部の内部にある弁体部を指で摘まみやすくなるように設けたので、前記被収納物と前記圧縮収納袋とが密着状態であっても指で摘まんで容易に弁体部を変形させて空気を流動可能に開状態にでき、給気が容易にできるという効果を奏する。
【0017】
請求項2に記載の圧縮収納袋は、前記弁体部の形態が略半円錐状形態の場合は、前記天井部が前記円筒状枠体部の内周壁面とは離隔状態であるので、前記円筒状枠体部が誤って挟圧がかかったときに容易には天井部が変形しにくいので、空気の流動の遮断状態を維持し易いという効果を奏し、前記円板状形態の場合は、前記天井部が前記円筒状枠体部の内周壁面と直接につながっているので、前記円筒状枠体部を指で摘まんで半径方向の挟圧をかけたときに前記天井部を変形させやすいという効果を奏する。
【0018】
請求項3に記載の圧縮収納袋は、前記天井部が閉状態のときには、しっかりと空気の流動を遮断できるという効果を奏する。
【0019】
請求項4の記載の圧縮収納袋は、前記排気・給気弁体部からの空気の流動の遮断を前記弁体部に加えて、孔に略円柱状の嵌入栓部を嵌挿させて空気の流動の遮断をするので、前記圧縮収納袋を被収納物を収納して真空にした状態を長期間維持できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の圧縮収納袋の平面視の概要説明図である。
【
図2】圧縮収納袋のチャック部を開状態にしたときの側面視の概要説明図である。
【
図3】
図2におけるA部拡大図で排気・給気弁体部が排気も給気もしないときの状態の説明図である。
【
図4】
図3におけるB矢視図で、円筒状枠体部の図示を省略した半円錐状の天井部支持部と弁体部の平面視の説明図である。
【
図5】
図2におけるA部に示す略半円錐状形態の弁体部を指で挟圧をかけて開にした状態の説明図である。
【
図6】
図5におけるC矢視図で、円筒状枠体部の図示を省略した半円錐状の天井部支持部と弁体部の平面視の説明図である。
【
図7】被収納物を圧縮収納袋に入れ、チャック部を閉状態にして内部の空気を排気し略真空状態の説明図である。
【
図8】被収納物を保管していた圧縮収納袋に外部の空気を給気した状態の説明図である。
【
図9】
図2におけるD部拡大図であり、チャック部が開の状態の説明図である。
【
図10】比較例として弁体部の取付高さが薄厚シートの表面とほぼ同じ高さの場合の形態の説明図である。
【
図11】弁体部の取付高さが薄厚シート表面から離隔した高さでかつ円筒状枠体部の外周面から指で摘まめる高さの部位で、弁体部が略円板状形態の説明図である。
【
図12】
図11の略円板状形態の弁体部を指で挟圧をかけて弁体部を開にした状態の説明図である。
【
図13】
図6において、切目を一つにした形態の場合における、円筒状枠体部の図示を省略した半円錐状の天井部支持部と弁体部の平面視の説明図である。
【
図15】切目が傾斜している形態の空気の流路の拡大説明図であり、(a)は
図3のM部の弁体部が閉状態の拡大説明図で、(b)は
図5のN部の弁体部が開状態の拡大説明図である。
【
図16】切目が水平の形態の空気流路の拡大説明図であり、(a)は
図3のM部の切目が水平であったとした場合の拡大説明図で、(b)は
図5のN部の切目が水平であったとした場合の拡大説明図である。
【
図17】切目の形態の種類の説明図で、(a)は切目が傾斜した形態の説明図で、(b)は天井部からやや下方の天井部支持部に切目を水平に入れた場合の形態の説明図で、(c)は天井部の底面と同じ高さで切目を水平に入れた場合の形態の説明図である。
【
図18】
図2におけるA部拡大図で、嵌入栓部の嵌入孔径を小さくした形態にした場合の排気・給気弁体部が指で摘ままれていないときの弁体部が閉の状態の説明図である。
【
図19】
図18における略半円錐状形態の弁体部を指で挟圧をかけて開にした状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
一般的には、圧縮収納袋に、生魚等の固形物の飲食料品や、汁物等の液体が含まれた飲食料品などの被収納物Sを収納しチャックした圧縮収納袋内から真空ポンプ等で空気を排気して圧縮収納袋を圧縮して真空状態にした後に、被収納物Sと圧縮収納袋とを密着した状態にして保管などした後に、収納されている被収納物Sを取り出そうとチャック部10を開こうとしたときにチャック部10の内側が真空状態になっているため2枚の薄厚シート20が密着して貼り付いていてチャック部10を容易に開くことができにくいという問題があった。また、チャック部10が容易に開かないのでチャック部10の内側の2枚の薄厚シート20が密着している部位をハサミ等で切断して被収納物Sを取り出すので圧縮収納袋が再利用できないという問題があった。
【0022】
これに対して、本発明の圧縮収納袋1は、真空状態において容易に空気を圧縮収納袋1内に給気でき、チャック部10の内外の圧力を大気圧にすることができるのでチャック部10を容易に開けることができるという効果があり、かつシンプルな構造なので安価で造ることができ、何回でも圧縮収納袋1を再利用ができるという効果がある。
【0023】
本発明の圧縮収納袋1は、
図1~
図6、
図9、
図11~
図17に示すように、可撓性及び非通気性を有する軟質部材からなる2枚の薄厚シート20が重ね合わされた状態で、前記薄厚シート20の周縁部に被収納物Sを挿入出可能な開口部21を形成した袋状の圧縮収納袋1であって、前記圧縮収納袋1は、前記開口部21を形成した部位の2枚の前記薄厚シート20にそれぞれ融着された、前記開口部21と同じ長さの凸状部11と、前記凸状部11を嵌装可能な凹状溝部12とを有して前記開口部21の封止を可能にする、可撓性及び非通気性を有する軟質部材からなるチャック部10と、前記薄厚シート20の所定の位置に設けた、空気を流出入可能な孔32の周縁部に気密接着で固定した、前記薄厚シート20から突出状態で排気又は給気可能な、可撓性及び非通気性を有する軟質部材からなる排気・給気弁体部2と、を備え、前記排気・給気弁体部2は、上端部に半径方向で厚みのある円形状の開口部31を形成し、下端部に前記薄厚シート20に気密接着した平円環状のフランジ部14を有する、略円筒状の円筒状枠体部3と、前記円筒状枠体部3の内周壁部に、前記薄厚シート29表面から離隔した高さで、かつ前記円筒状枠体部3の外周面から指で摘まめる高さHの部位に円周方向に沿って一体的に突設された、平面視で円環状の天井部支持部17、18、及び、前記天井部支持部17、18が形成する穴を半径方向で覆う、前記天井部支持部17、18と一体的に形成され円周方向に沿って所定の範囲に切目7を設けた天井部5を有する弁体部4a、4bと、を備え、前記弁体部4a、4bは、半径方向の挟圧により変形させて空気を流動可能に開状態にでき、前記挟圧の解放により元の形状に復帰して空気の流動を遮断可能に閉状態に可変できる。
【0024】
本発明の圧縮収納袋1は、可撓性及び非通気性を有する軟質部材からなる、例えば、
図1又は
図2に示すように、四角形状の2枚の薄厚シート20が重ね合わされた状態で、前記薄厚シート20の周縁部が、被収納物Sを挿入出可能な開口部21を形成した部位と、2枚の前記薄厚シート20が融着された部位とを形成する袋状体の形態をしている。前記圧縮収納袋1が、例えば四角形状の場合は、一辺に前記開口部21が形成され、他の三つの辺は融着により気密性を有する接合がされている。
【0025】
前記圧縮収納袋1は、前記チャック部10と前記排気・給気弁体部2とを備えている。前記チャック部10について説明する。前記チャック部10は、前記開口部21を形成した部位の2枚の前記薄厚シート20にそれぞれ融着された、前記開口部21と同じ長さの凸状部11と、前記凸状部11を嵌装可能な凹状溝部12とを有し、前記開口部21の封止を可能にする、可撓性及び非通気性を有する軟質部材からなる。
【0026】
前記チャック部10は、
図9に示すように、前記凸状部11を前記凹状溝部12に嵌装させることにより、前記開口部21から空気の流動ができないように封止をすることができる。また、前記チャック部10の開により被収納物Sを前記圧縮収納袋1内に入れ、前記チャック部10の開により収納している被収納物Sを前記圧縮収納袋1内から取り出すことができる。
【0027】
次に、前記排気・給気弁体部2について説明する。前記排気・給気弁体部2は、前記圧縮収納袋1内の空気と外部の空気との間の流動、又は、空気の流動を遮断できる機能を有し、前記薄厚シート20の所定の位置に設けられた孔32に、空気の排気又は給気が可能に気密接着で固定されている。前記所定の位置とは、2枚の前記薄厚シート20のいずれか一方の平面視で、前記開口部21側であっても、前記融着された部位に近い部位であっても、前記開口部21や前記融着された部位から離れた部位であってもいずれの部位でもよい。
【0028】
前記排気・給気弁体部2は、
図2、
図3又は
図5に示すように、前記薄厚シート20の所定の位置に設けた、空気を流出入可能な孔32の周縁辺に気密接着で固定した、前記薄厚シート20から突出状態で排気又は給気が可能な、可撓性及び非通気性を有する軟質部材からなる。そして、前記排気・給気弁体部2は、前記円筒状枠体部3、前記弁体部4a、4b及び前記帯状体部8を備える。
【0029】
前記円筒状枠体部3について説明する。前記円筒状枠体部3は、
図3又は
図5に示すように、全体の外観の形態が略円筒形状で、内部が空気の流動が上下方向で可能になっており、上端部に円形状の開口部31を形成し、かつ下端部に前記薄厚シート20に気密接着した平円環状のフランジ部14を有する。前記平円環状のフランジ部14を前記孔32の周縁部に空気が流動可能に、前記フランジ部14の接着部が気密性を有するように融着されている。
【0030】
また、前記開口部31を形成する周壁は強度を持たすために厚みのある周壁にするのがよい。例えば、
図3又は
図5に示すように、前記円筒状枠体部3の外周面側に半径方向で拡大して前記開口部31の直径を変えずに周壁の厚みを厚くする形態、あるいは、
図18又は
図19に示すように、前記円筒状枠体部3の内周面側に半径方向で拡大して前記開口部31の直径を縮小させて周壁の厚みを厚くする形態がある。
【0031】
前記円筒状枠体部3の材質は可撓性及び非通気性を有する軟質部材からであるが、内部に前記弁体部4a、4bを内設し支えることができ、前記帯状体部8の嵌入栓部6を嵌入時には空気の流動を遮断できる厚みにする。すなわち、前記円筒状枠体部3の材質及び厚みは、指で挟圧Pで前記弁体部4a、4bとともに挟むと圧縮し指を離すと元の形状に素早く回復でき、嵌入栓部6を嵌入時には空気の流動を遮断できるように、前記材質と厚みを設定する。
【0032】
次に、前記弁体部4a、4bについて説明する。前記弁体部4a、4bの形態としては、
図3又は
図5に示すように、前記弁体部4aの形態が、前記薄厚シート20表面から離隔しかつ前記円筒状枠体部3の外周面から指で摘まめる高さHの部位に下端部を円周方向に沿って一体的に連結され、上方かつ内側に向かうにしたがって縮径し、所定の大きさに縮径した略半円錐状の天井部支持部17と、前記天井部支持部17の上端部の開口部を半径方向で覆う、円周方向に沿って所定の範囲に切目7を設け前記切目7以外の部位は前記天井部支持部17の上端部と一体的に形成した天井部5とを有する略半円錐状形態があり、あるいは、
図11又は
図12に示すように、前記弁体部4bの形態が、前記薄厚シート20表面から離隔し前記顎部13の下方の高さで、かつ前記円筒状枠体部3の外周面から指で摘まめる高さHの部位に円周方向に沿って一体的に略水平方向に突設された、円環状の天井部支持部18と、前記天井部支持部18の開口部を半径方向で覆う、円周方向に沿って所定の範囲に切目7を設け、前記切目7以外の部位は前記天井部支持部18の周縁部と一体的に形成した天井部5とを有する略円板状形態がある。
【0033】
前記弁体部4a、4bの材質は可撓性及び非通気性を有する軟質部材からであるが、前記天井部支持部17、18、及び、前記天井部5を指で挟むと圧縮し指を離すと元の形状に素早く回復できるように、前記材質と厚みを設定する。
【0034】
略半円錐状形態の前記弁体部4aについて説明する。
図3に示すように、略半円錐状形態の前記弁体部4aは、前記円筒状枠体部3の内部に、下端部を前記薄厚シート20表面から離隔した高さでかつ前記円筒状枠体部3の外周面から指で摘まめる高さHの部位に連結され、上方かつ内側に向かうにしたがって縮径し、所定の大きさに縮径した上端部を有する。前記上端部は平面視で円形状を形成し、円周方向に沿って所定の範囲に切目7を設け前記切目7以外の部位は前記周壁部の上端部を一体的に連結した天井部5を構成する。
【0035】
前記切目7について説明する。前記切目7の部位が前記天井部5の周縁部の円周方向に沿って、
図4又は
図6に示すように2か所、あるいは、
図13又は
図14に示すように1か所に設ける。また、前記切目7の側面視の傾きの形態が、
図15又は
図17(a)に示すように、半径方向で外側から内側になるにしたがって下方に傾斜した形態、あるいは、
図16、
図17(b)又は
図17(c)に示すように、略水平方向である形態がある。また、切目7の高さを前記天井部支持部17の上端部に設けた場合、例えば、
図17(b)に示すように切目7が前記天井部支持部17に形成された形態、又は、
図17(c)に示すように切目7が前記天井部5の底面の高さで水平に形成された形態がある。
【0036】
図3又は
図4に示すように前記円筒状枠体部3を指で摘まみ挟圧Pを加えると、
図5又は
図6に示すように、前記円筒状枠体部3及び前記天井支持部17が平面視で円形状から楕円形状に変形し、前記天井部5が上方に凸形状になるように変形することにより、前記切目7の部位において、前記天井部支持部17の上端と前記天井部5とが当接状態から離隔状態になって孔30ができ空気の流れRの発生が可能になる。
【0037】
前記切目7が、
図15に示すように傾斜している場合も、
図16に示すように水平にした場合も、前記円筒状枠体部3を指で摘まみ挟圧Pを加えると、
図15(b)又は
図16(b)に示すように、前記円筒状枠体部3が平面視で円形状から楕円形状に変形し、前記弁体部4a、4bの天井部5が上方に凸形状になるように変形することにより、前記切目7の部位において、前記天井部支持部17の上端と前記天井部5とが当接状態から離隔状態になって孔30ができ空気の流れRの発生が可能になる。
【0038】
空気の流れRの発生が可能になった状態で、例えば真空ポンプ(図示なし)を前記顎部13の孔31に嵌挿して前記圧縮収納袋1内の空気を抜き、前記圧縮収納袋1内を真空状態にすることができる。また、真空状態になった後に、例えば前記弁体部4a、4bを指で摘まむと空気が圧力が低い前記圧縮収納袋1内に外部の大気圧と等圧になるまで吸い込まれていき、前記圧縮収納袋1内を空気で膨らませて大気圧状態にすることができる。これにより、前記圧縮収納袋1の内外の圧力が同じ大気圧になり、前記チャック部10を指で開きやすくなる。
【0039】
指で摘まむ方向は、
図4に示すように、天井部5の周縁のうちで切目7が設けられていない部位を挟むように摘まむ方が、切目7の部位を摘まむより、前記円筒状枠体部3の楕円形状への変形及び前記天井部5の上方への凸形状の変形を大きくすることができ、空気が流動する孔30の大きさを大きくすることができる。
【0040】
次に、略円板状形態の前記弁体部4bについて説明する。
図11又は
図12に示すように、前記薄厚シート20表面から離隔した高さで、かつ前記円筒状枠体部3の外周面から指で摘まめる高さHの部位に円周方向に沿って一体的に略水平方向に突設された、円環状の天井部支持部18の中央部を半径方向で覆う、円周方向に沿って所定の範囲に切目7を設け、前記切目7以外の部位は前記天井部支持部18の周縁部と一体的に連結した天井部5を有する。
【0041】
前記略円板状形態の前記弁体部4bの前記天井支持部18の形態は、
図11又は
図12に示すように、円形状の前記天井部5の周縁部を下方から支持するために、平板状ではなくコーナー補強部分を設けた形状にする。前記コーナー補強部分は、前記円筒状枠体部3の縦壁と略水平状の前記天井部支持部18との接続部の略直角をなすコーナー部に、前記円筒状枠体部3と前記天井部支持部18に一体的に形成される。そして、形成される箇所は円環状の前記天井部支持部18の周方向の全周に亘って設ける形態、円環状の前記天井部支持部18の周方向の全周のうちの所定の1か所又は数か所に形成する形態があり、いずれでもよい。
【0042】
略円板状形態の前記弁体部4bは、略半円錐状形態の弁体部4aと同じように、前記円筒状枠体部3を指で摘まみ挟圧Pを加えると、
図6に示すように、前記円筒状枠体部3及び前記天井部支持部18が平面視で円形状から楕円形状に変形し、
図12に示すように前記天井部5が上方に凸形状になるように変形することにより、前記切目7の部位において、前記円筒状枠体部3から突出させた円環状の天井支持部18の周縁部と前記天井部5とが当接状態から離隔状態になって孔30ができ空気の流れRが発生可能になる。
【0043】
図8に示すように被収納物Sを挿入した前記チャック部10を嵌装して封止した後に、
図7に示すように、前記圧縮収納袋1の内部の空気が外部に吸い取られて、固形物である被収納物Sの表面に前記薄厚シート20が密着した状態で収納された後に、前記チャック部10を開にしようと引っ張っても前記チャック部10の内側の2枚の前記薄圧シート20が密着しているため、高齢者や子供等の指で摘まむ力が弱い人が指の力で開にするのが極めて困難であり、この場合には一般的にハサミ等の刃物を使用して前記チャック部10の内側の2枚の薄圧シート20が密着している部位を切断して被収納物Sを取り出すことをしている。すると、圧縮収納袋1は使い捨てになり、リサイクルで使用することができないという問題があった。
【0044】
また、例えば、
図7に示すように、チャック部10と弁体部4a、4bを有する圧縮収納袋1の内部の空気が例えば真空ポンプ等を用いて外部に排出されて真空状態になり、固形物である被収納物Sの表面に前記薄厚シート20が密着した状態で収納されたときには、比較例として、
図10に示すように、弁体部40の取付高さが薄厚シート20と略同じ高さのときには前記弁体部40が前記固形物である被収納物Sと全面にわたって密着しているので、前記弁体部40を指で摘まむことが困難となることから空気を流入させることができない。このため、ハサミ等の刃物を使用して前記チャック部10の内側の前記薄圧シート20を切断して被収納物Sを取り出している。すると、圧縮収納袋1をリサイクルで使用することができない。
【0045】
本発明の圧縮収納袋1は、前記弁体部4a、4bの構成により、
図7に示すように、薄厚シート20が前記固形物である被収納物Sの全面にわたって密着している状態においても、前記弁体部4a、4bを前記円筒状枠体部3の外周面から指で摘まみやすいので、前記弁体部4a、4bを容易に変形させることができ、前記孔30を形成することができ、空気の流動を可能にさせることができる。これにより、前記圧縮収納袋1の内部に空気が流入できて、
図8に示すように前記内部の圧力が外部と同じ大気圧になるのでチャック部10の凸状部11と凹状溝部12とを容易に引き離すことができ、被収納物Sを取り出すことができる。これにより、前記圧縮収納袋1にダメージを与えていないので前記圧縮収納袋1をリサイクルで使用することができる。
【0046】
前記帯状体部8は、
図3又は
図5に示すように、前記円筒状枠体部3の前記弁体部4a、4bの上方の部位から突設させた、前記上端部の開口部31に嵌挿可能な、前記開口部31の直径より先端部は直径を小さく根元部は直径を大きくした側面が傾斜状態の略円柱状の嵌入栓部6を略先端部に有する。
【0047】
前記帯状体部8の縦断面形状が略台形状の傾斜面を周壁に形成した前記嵌入栓部6を、前記円筒状枠体部3の前記開口部31に嵌挿することにより、前記圧縮収納袋1内と外部との空気の流動を封止することができる。ここで、前記帯状体部8は可撓性及び非通気性を有する軟質部材からなり、前記開口部31の直径は、前記嵌入栓部6の先端部の直径よりわずかに大径であり、前記嵌入栓部6の帯状の部位を連結する部位である根本部の直径より小径であるので、空気を封止しやすい。
【0048】
よって、本発明の圧縮収納袋1は、薄厚シート20が前記固形物である被収納物Sに密着している状態においても、前記弁体部4a、4bを容易に変形させて前記孔30を形成させ空気の流入をさせることができる。これにより、前記薄厚シート20が前記固形物である被収納物Sに密着している状態の前記圧縮収納袋1の状態であっても、前記チャック部10の凸状部11と凹状溝部12とを容易に引き離して開にすることができ、被収納物Sを取り出すことができる。これにより、前記圧縮収納袋1にダメージを与えていないので前記圧縮収納袋1をリサイクルで使用することができるという効果を奏する。
【符号の説明】
【0049】
1 圧縮収納袋
2 排気・給気弁体部
3 円筒状枠体部
4a 弁体部
4b 弁体部
5 天井部
6 嵌入栓部
7 切目
8 帯状体部
10 チャック部
11 凸状部
12 凹状溝部
14 フランジ部
17 天井部支持部
18 天井部支持部
20 薄厚シート
21 開口部
30 孔
31 開口部
32 孔
40 弁体部
H 高さ
P 挟圧
R 空気の流れ
S 被収納物
【要約】
【課題】被収納物を入れた袋内から空気を排気でき、袋を圧縮して真空状態にした後に容易に空気を袋内に給気できるシンプルな構造の圧縮収納袋を提供することを課題とする。
【解決手段】開口部を形成するチャック部と、空気を流出入可能な孔の周縁辺に気密接着で固定した、排気又は給気可能な可撓性及び非通気性を有する軟質部材からなる排気・給気弁体部とを備え、排気・給気弁体部は、上端部に開口部を形成し下端部に薄厚シートに気密接着した平円環状のフランジ部を有する円筒状枠体部と、円筒状枠体部の内周壁部に、薄厚シート表面から離隔した高さで、かつ円筒状枠体部の外周面から指で摘まめる高さの部位に円周方向に沿って一体的に突設された、円周方向に沿って所定の範囲に切目を設けた天井部を支持する天井部支持部と、を備える圧縮収納袋により課題解決ができた。
【選択図】
図2