(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-05
(45)【発行日】2023-09-13
(54)【発明の名称】検体検査管理システム
(51)【国際特許分類】
G16H 10/40 20180101AFI20230906BHJP
【FI】
G16H10/40
(21)【出願番号】P 2023112753
(22)【出願日】2023-07-10
【審査請求日】2023-07-10
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】398036645
【氏名又は名称】株式会社グローバルビジョン
(74)【代理人】
【識別番号】100143111
【氏名又は名称】青山 秀夫
(72)【発明者】
【氏名】佐合 高幸
【審査官】今井 悠太
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-086231(JP,A)
【文献】特開平10-275150(JP,A)
【文献】特開2022-064700(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
依頼による検体検査を管理する検体検査管理システムにおいて、
処理手段と、記憶手段と、コード読取手段とを含み、前記処理手段が、第1検体番号発番手段と検体番号発番手段と、管理用番号発番手段と、管理コード発行手段として機能され、前記記憶手段が、依頼者と検査者とを夫々一意に特定させる属性のユニーク情報を予め記憶する検体検査管理システムであって、
前記処理手段が、前記記憶手段に記憶された前記ユニーク情報を読み出して、
前記第1検体番号発番手段が、依頼者から示された依頼管理番号と、依頼者をユニークに特定する前記ユニーク情報とをSQLにより結合させて第1検体管理番号を発番させ、
前記検体番号発番手段が、検査者が決定した検査管理番号と、検査者をユニークに特定する前記ユニーク情報とをSQLにより結合させて検体管理番号を発番させ、
前記管理用番号発番手段が、第1検体管理番号と前記検体管理番号とを1対1に関係付け、第1検体管理番号と前記検体管理番号とに一意に関係付けた管理用番号をSQLにより発番させ、
前記管理コード発行手段が、前記管理用番号に紐づけて二次元コードを発行させ、
前記二次元コードが、検体容器に貼付され、前記コード読取手段が、前記二次元コードを読み取って検体検査を一意に特定させる、
ことを特徴とする検体検査管理システム。
【請求項2】
前記属性が、手続主体番号、電話番号、国から保険医療機関の指定を受けた施設に付されている医療機関等コード、緯度経度情報、電子システムのMACアドレス、メールアドレスのいずれかとされる、
ことを特徴とする請求項1に記載の検体検査管理システム。
【請求項3】
依頼者のユニーク情報の属性と検査者のユニーク情報の属性とが、同一の属性とされている、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の検体検査管理システム。
【請求項4】
前記処理手段が、属性情報結合手段として機能され、
依頼者のユニーク情報の属性と検査者のユニーク情報の属性とが、異なる属性とされている場合には、前記属性情報結合手段が、依頼者のユニーク情報と、依頼者の属性の種別情報とをSQLにより結合させた情報を依頼者の前記ユニーク情報に置換し、検査者のユニーク情報と、検査者の属性の種別情報とをSQLにより結合させた情報を検査者の前記ユニーク情報に置換してから、前記管理用番号が発番される、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の検体検査管理システム。
【請求項5】
前記検体検査が、依頼伝票と病理標本とにより依頼された病理診断に適用され、
前記検体容器が病理標本とされ、前記依頼者が依頼元医側とされ、前記検査者が病理医側とされ、
前記二次元コードが、前記依頼伝票と前記病理標本とに、前記病理医側により示され、
前記コード読取手段が、前記二次元コードを読み取って、前記依頼伝票と前記病理標本とを一意に特定させる、
ことを特徴とする請求項3に記載の検体検査管理システム。
【請求項6】
前記検体検査が、依頼伝票と病理標本とにより依頼された病理診断に適用され、
前記検体容器が病理標本とされ、前記依頼者が依頼元医側とされ、前記検査者が病理医側とされ、
前記二次元コードが、前記依頼伝票と前記病理標本とに、前記病理医側により示され、
前記コード読取手段が、前記二次元コードを読み取って、前記依頼伝票と前記病理標本とを一意に特定させる、
ことを特徴とする請求項4に記載の検体検査管理システム。
【請求項7】
前記検体検査が、依頼伝票と病理標本とにより依頼された病理診断に適用され、
前記検体容器が病理標本とされ、前記依頼者が依頼元医側とされ、前記検査者が病理医側とされ、
前記病理診断の結果報告書と前記病理診断の根拠をなすバーチャルスライド画像とに、前記二次元コードが示され、
前記コード読取手段が、前記二次元コードを読み取って、前記結果報告書と前記バーチャルスライド画像とを一意に特定させる、
ことを特徴とする請求項3に記載の検体検査管理システム。
【請求項8】
前記検体検査が、依頼伝票と病理標本とにより依頼された病理診断に適用され、
前記検体容器が病理標本とされ、前記依頼者が依頼元医側とされ、前記検査者が病理医側とされ、
前記病理診断の結果報告書と前記病理診断の根拠をなすバーチャルスライド画像とに、前記二次元コードが示され、
前記コード読取手段が、前記二次元コードを読み取って、前記結果報告書と前記バーチャルスライド画像とを一意に特定させる、
ことを特徴とする請求項4に記載の検体検査管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の依頼者のいずれかの検体を、複数の検査者のいずれかが検体検査する場合でも、検体検査が正しく把握でき、取り違えられない検体検査管理システムに関する。検体は、血液、尿、唾液、便、粘膜等に限定されず、薄く切り出され染色された検体が固着されたプレパラートがなす病理標本が検体とされてもよい。
【0002】
生化学検査においては、検体が膨大な数であっても、依頼者及び検査者において検体検査が一意に特定でき、間違った統計調査が発生しない検体検査管理システムであり、病理診断を依頼する医療機関(以下、依頼元医側という)から病理診断をする医療機関(以下、病理医側という)に、病理標本と依頼伝票とが引き渡される病理診断においては、病理標本等が正しく把握され、取り違いが発生しにくい検体検査管理システムに関する。
【0003】
詳細には、検体を受け入れる際に、依頼者の側の管理番号と検査者の側の管理番号とを夫々ユニーク情報と結合させると共に、それらを1対1に関係付けて管理番号を発番し、管理番号に紐付けた二次元コードを発行し、二次元コードを読み取って検体検査をすることにより検体検査を一意に特定させるようにした。
【0004】
ここで、ユニーク情報は、例えば行政手続等において個人・法人を識別するマイナンバー・法人番号等の手続主体番号(以下、手続主体番号という)、電話番号等であればよく限定されず、主体が一意に特定される情報であればよい。例えば、通信ネットワークルータのMACアドレス、医療機関等コード、緯度経度情報等であってもよく、数字以外の文字が含まれてもよいことは勿論のことである。電話番号とし、国コードを付与させておけば、外国からの検体検査にも適用できる。
【0005】
検体を依頼者又は検査者の主体が独自に発番した管理番号だけで管理させると、主体が複数である場合には管理番号の重複が発生する可能性があり、検体検査が取り違えられる可能性がある。そこで、検体検査管理システムを管理するデータベースの構造化問合せ言語(以下、SQLという)により、主体を一意に特定させるユニーク情報と主体が発行した管理番号とを結合して、依頼者の側、検査者の側、相互の間においても重複しない管理用番号を使って管理することにした。検体検査が一意に特定されることにより、統計調査においても重複・漏れが発生せず、人の生命を左右する病理診断においても、取り違えを発生しないようにすることができる。
【背景技術】
【0006】
新型コロナウイルスの蔓延により、多数のPCR検査が短期間に実施され、その統計結果が公表されていた。ところが検体検査が正しく把握できないため、統計結果が修正されることがあった。また、病理診断の分野においては、病理医の数が不足しているために、複数の病理医が所属している病理医側に、病理標本を集中させて、医療業務を効率化させる必要がある。
【0007】
病理医は経験と高度な診断技術を備えた有資格者であることが必要であり、その数が限られていることに加えて、病理医には多くの依頼元医側から様々なタイミングで病理標本が搬入される。病理診断は、人の病気の重要な治療方針の決定に係る業務であるため、複数の依頼元医側から病理診断を受け入れても、検体・依頼伝票・病理標本等の取り違えが発生しない技術の提供が必要とされていた。
【0008】
本出願人は、病理診断を効率的に実施させるために、複数の依頼元医側から病理診断を病理医側に集中させても、病理医側において病理診断の取り違いが防止される技術を特許文献1に開示している。特許文献1に記載の技術によれば、病理標本に貼付された標本コードを読取ることにより病理診断を把握するようにしている。
【0009】
具体的には、標本コードに紐付いた標本番号が、病理標本だけでなく、依頼元医の診断所見やシェーマ図等の依頼情報にも示されており、病理標本を診断する際に、依頼情報の画像データと文字データも表示手段に対比可能に表示し、病理診断の際に診断所見・シェーマ図も確認できるようにすることにより、病理診断を正しく把握させ、取り違いを防止させている。
【0010】
特許文献1に記載の技術によれば、独自の電子カルテシステム(以下、電子システムという)を有する病理医側と外部機関のいずれかにより、病理標本を作成する場合には、病理医側と外部機関の間で取り決めをしておいて、依頼番号および病理標本に関する発番に重複がないようにしておけばよかった。
【0011】
しかし、依頼元医側が病理標本を作成したうえで、病理診断だけを外部に依頼することもある。このような場合にも、依頼元医側は独自の電子システムによる病理標本番号の発番をすることが多く、病理医側が複数の依頼元医側から病理診断を受け入れるとすると、複数の依頼元医側の間で、又は、病理医側と依頼元医側の間で、発番された病理標本番号が同じになる可能性があった。
【0012】
依頼元医側の電子システムを改修して、病理標本番号が重複しないようにすればよいが、電子システムは夫々の病院の診断事情に適合するように、高度かつ複雑に構成されているため、外部に病理診断を依頼するためだけに、電子システムを改修することは困難であった。
【0013】
依頼元医側で病理標本を作成した場合でも、既に実施されている各々の医療機関の電子システムを変更しないで、複数の依頼元医側及び病理医側において、相互に病理標本依頼を取り違えないだけでなく、病理診断依頼に係る依頼伝票と病理標本とを取り違えにくい技術の提供が喫緊の課題となっている。
【0014】
特許文献2には、医療機関から外部機関に臨床検体検査を依頼する臨床検体検査システムの技術が開示されている。特許文献2に記載の技術によれば、電子カルテによるデータベースが登録された医療機関の医療管理サーバにおいて、外部検査機関へ依頼する総合依頼伝票を作成し、検査材料入り容器にはバーコードを貼付させておくとされている。
【0015】
外部検査機関は、容器に貼付されたバーコードを読取手段により取得すると共に,ネットワークを介して医療管理サーバからバーコードに紐づいた総合依頼伝票を受信し、医療機関と外部臨床検査機関との効果的な情報の伝達が図られるとされている。また複数の外部臨床検査機関を対象にしている場合には,総合依頼伝票に紐づくバーコードに、外部臨床検査機関コードを含めておくとよいとされている。
【0016】
医療機関側において、バーコードに夫々の外部臨床検査機関コードを含めておけば、その医療機関においては、どの外部臨床検査機関に依頼したのかが区別できる。ところが、外部臨床検査機関においては、同一の発番ルールを使用している複数の医療機関からの病理診断依頼が区別できない。外部臨床検査機関において、病理診断依頼が取り違えられ、病理診断結果も取り違えられる可能性があった。
【0017】
特許文献3には、外部機関への臨床検査を依頼する医療機関等において、検査指示や検査データを管理するための検査管理装置および検査管理システムの技術が開示されている。具体的には、依頼する医療機関内データ管理システムにおいて、輸送用識別番号を発番して、検体容器に輸送用識別番号のバーコードラベルを貼付し、輸送用識別番号は検査指示情報と共にデータサーバに記憶させておくとされている。
【0018】
外部機関は、検体容器のバーコードラベルに紐づいた輸送用識別番号に基づいて、データサーバから検査指示情報を取得して検査を行う。外部機関は、輸送用識別番号と共に検査結果をデータサーバに記憶させる。そして、医療機関内データ管理システムは、輸送用識別番号に紐づいた検査結果をデータサーバから取得する技術とされている。
【0019】
特許文献3に記載の技術も、特許文献2に記載の技術と同様に、依頼元医側で病理標本を識別させる識別子を発番している。そのため複数の依頼元医側が、同一の発番ルールに基づいて、同じ識別子である輸送用識別番号を発番していた場合には、外部機関側で取り違いが発生するという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【文献】特許7253177号公報
【文献】特開2005-182507号公報
【文献】国際公開2002-052468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
そこで、本発明は、検体検査においては、新型コロナウイルスのパンデミックが発生した期間のように、膨大な数の検体が、複数の依頼者から短期間に検査者に持ち込まれる場合であっても、複数の検査者の間でも検体検査が一意に特定でき、間違った統計調査が発生しない検体検査管理システムを提供することを課題とした。
【0022】
病理診断においては、複数の依頼元医側が従来から使っている電子システムを改修しないでも適用でき、仮に検査者としての病理医側と、依頼者としての依頼元医側の病理診断の標本番号が同一になる場合であっても、病理診断が一意に特定でき、病理診断の取り違いが発生しない検体検査管理システムを提供することを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明の第1の発明は、依頼による検体検査を管理する検体検査管理システムにおいて、処理手段と、記憶手段と、コード読取手段とを含み、前記処理手段が、第1検体番号発番手段と検体番号発番手段と、管理用番号発番手段と、管理コード発行手段として機能され、前記記憶手段が、依頼者と検査者とを夫々一意に特定させる属性のユニーク情報を予め記憶する検体検査管理システムであって、前記処理手段が、前記記憶手段に記憶された前記ユニーク情報を読み出して、前記第1検体番号発番手段が、依頼者から示された依頼管理番号と、依頼者をユニークに特定する前記ユニーク情報とをSQLにより結合させて第1検体管理番号を発番させ、前記検体番号発番手段が、検査者が決定した検査管理番号と、検査者をユニークに特定する前記ユニーク情報とをSQLにより結合させて検体管理番号を発番させ、前記管理用番号発番手段が、第1検体管理番号と前記検体管理番号とを1対1に関係付け、第1検体管理番号と前記検体管理番号とに一意に関係付けた管理用番号をSQLにより発番させ、前記管理コード発行手段が、前記管理用番号に紐づけて二次元コードを発行させ、前記二次元コードが、検体容器に貼付され、前記コード読取手段が、前記二次元コードを読み取って検体検査を一意に特定させることを特徴としている。
【0024】
検体検査管理システムは、依頼者と検査者の主体のいずれもが複数であっても適用できるが、依頼者が複数であるだけでも好適に適用でき、検体は唾液・血液・尿・粘膜等に限定されず、病理標本を検体検査の対象として、本システムを適用してもよい。主体のいずれが複数であっても、コード読取手段により二次元コードを読み取れば、検体検査が一意に特定でき、複数の検体検査相互間での取り違えが発生しない。
【0025】
記憶手段に記憶されたユニーク情報は、通信連絡のために重複しないように発行されている情報である電話番号、行政手続きのために重複しないように発行されている手続主体番号であればよいが限定されない。更に、ユニーク情報は、一つの属性の情報に限定されず、依頼者と検査者との間で別の属性のユニークな情報とされている場合には、属性の種別を特定する種別情報とユニークな情報とが結合されて、依頼者と検査者とをユニークに特定するユニーク情報とされてもよい。
【0026】
依頼者から示された依頼管理番号とは、検査者から配布された依頼伝票の管理番号であってもよく、依頼者が発行した依頼伝票の管理番号でもよく限定されない。検査者が決定した検査管理番号とは、検査者の独自の電子システムにより決定し発行させた管理番号であればよく、検査者が複数である場合には、各検査者の独自の電子システムにより発行させた管理番号であればよい。
【0027】
依頼者におけるユニークな第1検体管理番号と、検査者におけるユニークな検体管理番号が発番され、夫々ユニークな第1検体管理番号と検体管理番号とがSQLにより、一つの検体検査に1対1に関係付けられて、第1検体管理番号と検体管理番号とに関係付けて管理用番号が発番される。管理用番号は第1検体管理番号又は検体管理番号のいずれかが選択されてもよく、それらに一意に関係付けられた異なる管理用番号が使用されてもよい。
【0028】
管理用番号は、従来、検査者により検体検査の管理にオートナンバーが使用されていた場合には、それを引き継いだオートナンバーとしてもよく、属性は限定されない。複数の主体の間で検体検査が管理用番号により一意に特定され、管理用番号に紐づけて二次元コードが発行される。換言すれば、二次元コードは、管理用番号を介して、依頼者の依頼管理番号と検査者の検査管理番号に紐づいている。
【0029】
検体容器は、検体に応じた容器であればよく、検体が病理標本である場合には、薄膜とされた検体が貼り付けられたプレパラートであってもよく、また、貼付とはシート状の二次元シートが貼り付けられるに限定されず、二次元コードは印刷されてもよい。コード読取手段は、周知のバーコードリーダであればよく、二次元コードがQRコード(登録商標)である場合には、周知のQRコード(登録商標)リーダであればよい。
【0030】
第1の発明によれば、感染症のパンデミック期間のように、検査依頼が短期間に集中し、且つ、外部機関により検査依頼が複数の検査者に振り分けられた場合であっても、検体検査を一意に、正しく把握できる。これにより、複数の検体検査を一括して管理し、統計調査をする場合であっても、統計データが誤ることがないという従来にない有利な効果を奏する。
【0031】
本発明の第2の発明は、第1の発明の検体検査管理システムであって、前記属性が、手続主体番号、電話番号、国から保険医療機関の指定を受けた施設に付されている医療機関等コード、緯度経度情報、電子システムのMACアドレス、メールアドレスのいずれかとされることを特徴としている。
【0032】
保険医療機関の指定を受けた施設には、公的にユニークな10桁の医療機関等コードが付されている。また、相当の規模を有している医療機関であれば、医療機関の緯度経度情報を重複させないように一意に特定することができる。また、医療機関のネットワークを機能させるサーバ機器を特定する12桁のMACアドレスも、メールアドレスもいずれも一意な情報と取り扱うことができる。
【0033】
緯度経度情報としておけば、検体検査を依頼した依頼者の所在する地の分布が確認しやすい。MACアドレスとしておくと、それだけでは依頼者が特定できないが、医療機関以外の組織、例えば、教育機関、官公署、外国の組織等が依頼者として依頼する場合でも、検査者は電子システムを変更しないで検体検査をすることができる。電話番号とし、国番号も付与しておけば、外国の依頼元医側であっても受け入れ可能となる。検体検査が病理診断に適用されてもよいことは勿論のことである。
【0034】
第2の発明によれば、検体検査の適用にあたって、中小規模の医療機関を対象とした検体検査に対応する、大規模の医療機関を対象とした検体検査に対応する、又は、国境を超えた地域の検体検査に対応する等の、いずれの態様の検体検査を対象とするかに適したユニーク情報を選択することができる。
【0035】
本発明の第3の発明は、第1又は第2の発明の検体検査管理システムにおいて、依頼者のユニーク情報の属性と検査者のユニーク情報の属性とが、同一の属性とされていることを特徴としている。第3の発明によれば、依頼者と検査者のユニーク情報の属性が、同一の属性とされているため、検体検査管理システムの構成が簡単になり、適用が容易であるという効果を奏する。
【0036】
本発明の第4の発明は、第1又は第2の発明の検体検査管理システムであって、前記処理手段が、属性情報結合手段として機能され、依頼者のユニーク情報の属性と検査者のユニーク情報の属性とが、異なる属性とされている場合には、前記属性情報結合手段が、依頼者のユニーク情報と、依頼者の属性の種別情報とをSQLにより結合させた情報を依頼者の前記ユニーク情報に置換し、検査者のユニーク情報と、検査者の属性の種別情報とをSQLにより結合させた情報を検査者の前記ユニーク情報に置換してから、前記管理用番号が発番されることを特徴としている。
【0037】
属性の種別情報は、属性の種別を識別できるように予め決定すればよい。例えば、属性が電話番号の場合には「電」の文字を、属性が法人番号である場合には「法」の文字を、夫々の種別情報とすればよい。各々の属性の種別情報を元のユニーク情報にSQLにより結合させて、例えば「電0311112222」というユニーク情報に置換すればよい。
【0038】
例えば、依頼者と検査者が共にユニーク情報の属性として、「法人番号」を使用して検体検査を行っており、個人を対象に事業を拡大する場合に、個人に対しては元のユニーク情報として電話番号を使用させ、種別情報「電」を結合させて置換させるユニーク情報とし、法人である依頼者と検査者とには、法人番号に種別情報「法」を結合させるようにすれば、検体検査の対象拡大にも対応することができる。
【0039】
第4の発明によれば、依頼者のユニーク情報の属性と検査者のユニーク情報の属性とが異なっている場合でも適用できるという効果を奏する。
【0040】
本発明の第5の発明は、第3の発明の検体検査管理システムであって、前記検体検査が、依頼伝票と病理標本とにより依頼された病理診断に適用され、前記検体容器が病理標本とされ、前記依頼者が依頼元医側とされ、前記検査者が病理医側とされ、前記二次元コードが、前記依頼伝票と前記病理標本とに、前記病理医側により示され、前記コード読取手段が、前記二次元コードを読み取って、前記依頼伝票と前記病理標本とを一意に特定させることを特徴としている。
【0041】
本発明の第6の発明は、第4の発明の検体検査管理システムであって、前記検体検査が、依頼伝票と病理標本とにより依頼された病理診断に適用され、前記検体容器が病理標本とされ、前記依頼者が依頼元医側とされ、前記検査者が病理医側とされ、前記二次元コードが、前記依頼伝票と前記病理標本とに、前記病理医側により示され、前記コード読取手段が、前記二次元コードを読み取って、前記依頼伝票と前記病理標本とを一意に特定させることを特徴としている。
【0042】
第5又は第6の発明によれば、ユニーク情報の属性が依頼者と検査者とで、同一か否かに拘わらず、依頼伝票と病理標本により依頼された病理診断に検体検査管理システムが適用され、検査者である病理医側により、依頼伝票と病理標本に、病理診断をユニークに特定させる二次元コードが示されて、病理診断が実施される。
【0043】
病理医側は、コード読取手段により、依頼伝票と病理標本とに示された二次元コードを読み取って、二次元コードの紐付けにより一意に特定された病理標本と依頼伝票に基づいて、依頼元医側の診断所見やシェーマ図等を確認しながら、病理標本を病理診断すればよく、病理診断が取り違えられないという効果を奏する。
【0044】
本発明の第7の発明は、第3の発明の検体検査管理システムであって、前記検体検査が、依頼伝票と病理標本とにより依頼された病理診断に適用され、前記検体容器が病理標本とされ、前記依頼者が依頼元医側とされ、前記検査者が病理医側とされ、前記病理診断の結果報告書と前記病理診断の根拠をなすバーチャルスライド画像とに、前記二次元コードが示され、前記コード読取手段が、前記二次元コードを読み取って、前記結果報告書と前記バーチャルスライド画像とを一意に特定させることを特徴としている。
【0045】
本発明の第8の発明は、第4の発明の検体検査管理システムであって、前記検体検査が、依頼伝票と病理標本とにより依頼された病理診断に適用され、前記検体容器が病理標本とされ、前記依頼者が依頼元医側とされ、前記検査者が病理医側とされ、前記病理診断の結果報告書と前記病理診断の根拠をなすバーチャルスライド画像とに、前記二次元コードが示され、前記コード読取手段が、前記二次元コードを読み取って、前記結果報告書と前記バーチャルスライド画像とを一意に特定させることを特徴としている。
【0046】
第7又は第8の発明によれば、ユニーク情報の属性が依頼者と検査者とで、同一か否かに拘わらず、病理診断管理に検体検査管理システムが適用され、病理診断の結果報告書とバーチャルスライド画像とに二次元コードが示され、二次元コードの紐付けにより結果報告書とバーチャルスライド画像とが一意に特定され、病理診断の取り違いが防止される。
【0047】
病理医側と依頼元医側は、診断報告書を表示させて診断結果を確認する際に、診断報告書に示された二次元コードを二次元コードリーダで読み取って、二次元コードに紐づいている病理診断の根拠をなすバーチャルスライド画像を表示させて、病理診断がされた対象が正しく把握されていたかを確認することができるという効果を奏する。
【発明の効果】
【0048】
・第1の発明によれば、検体検査を一意に、正しく把握できるため、複数の検体検査を一括して管理し、統計調査をする場合であっても、統計データが誤ることがないという従来にない有利な効果を奏する。
・第2の発明によれば、検体検査の適用にあたって、依頼者、検査者の規模や、検査対象の範囲に応じて、適正なユニーク情報を選択することができる。
・第3の発明によれば、依頼者と検査者のユニーク情報の属性が、同一の属性とされているため、検体検査管理システムの構成が簡単になり、適用が容易であるという効果を奏する。
・第4の発明によれば、依頼者のユニーク情報の属性と検査者のユニーク情報の属性とが異なっている場合でも適用できるという効果を奏する。
・第5又は第6の発明によれば、病理医側は、依頼元医側の診断所見やシェーマ図等を確認しながら、病理標本を病理診断すればよく、病理診断が取り違えられないという効果を奏する。
・第7又は第8の発明によれば、病理診断がされた対象が正しく把握されていたかを確認することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図1】検体検査管理システムのブロック図(実施例1)。
【
図3】業務管理データの構成の説明図(実施例1)。
【
図6】業務展開に伴う属性情報結合の説明図(実施例1)。
【
図7】病理診断に適用される検体検査管理システムのブロック図(実施例2)。
【発明を実施するための形態】
【0050】
依頼者から検体検査を受託する際に、依頼者のユニーク情報を依頼管理番号にSQLにより結合し、検査者のユニーク情報を検査管理番号にSQLにより結合して、それらを1対1に関係付けて、それらに一意に関係付けて管理用番号を発番し、その二次元コードを検体容器に貼付し、二次元コードを読み取ることにより、依頼者と検査者の管理番号の発番ルールに拘わらず、検体検査が一意に特定できる検体検査管理システムとした。
【実施例1】
【0051】
実施例1では、依頼者と検査者の双方が法人であり、ユニーク情報の属性として法人番号を使用する検体検査管理システム1を、
図1から
図5を参照して説明する。
図1は、検体検査管理システム1のブロック図を示している。
図2は検体検査の業務フローの説明図であり、
図3は検体検査管理データの構成の説明図であり、
図4は検体検査管理データのうちの検体検査表の構成を説明する図である。
【0052】
検体検査管理システム1は、処理手段と記憶手段をなす検査者PC100と、コード読取手段200を含んでいる。処理手段としては検査者PCの中央演算処理手段が機能され、記憶手段としては検査者PCのHDD、SSD等が機能されればよいが、複数の検査者PCが通信手段300を介して図示していないサーバに接続されている場合には、サーバの処理手段、記憶手段等が機能されてもよい。
【0053】
処理手段は、第1検体番号発番手段10、検体番号発番手段20、管理用番号発番手段30、管理コード発行手段40として機能される。更に、属性情報結合手段50、ユーザ認証手段60、その他処理手段70として機能する。記憶手段は、依頼者の情報として、依頼伝票80に示された依頼情報、依頼管理番号81、第1検体管理番号11、その他依頼情報82を記憶する。検査者の情報として検査結果報告書に示された検体検査結果情報90、検査管理番号91、検体管理番号21、その他検査情報92を記憶する。
【0054】
更に、記憶手段は、検体検査を一意に特定させる管理用番号31、元のユニーク情報110を記憶する。複数の属性のユニーク情報が、元のユニーク情報として混用される場合のために、ユニーク情報の種別を区別する種別情報111も記憶される。複数の属性のユニーク情報が混用される場合には、「元のユニーク情報」110に置換される「新しいユニーク情報」112もユニーク情報として記憶されればよい。併せて、ユニーク情報に紐づいた二次元コード41、全体の検体検査表93が記憶される。また、ログイン判定用ユーザ情報120、その他情報130が記憶される。検査用PCを機能させるための表示手段、入力手段も構成される。
【0055】
ここで依頼者から検査者が検体検査を受託してから、検体検査をするまでの業務フローを、
図2から
図4を参照して説明する。
図2は業務フロー図を示し、
図3は検体検査を一意に特定するためのユニーク情報の結合の構成の説明図を示し、
図4は検体検査が一意に決定される検体検査表の具体例を示している。
【0056】
まず、最初のステップ100として、依頼者は、採取した検体を検体容器に入れて、依頼管理番号81(
図3参照)が示されている依頼伝票80と共に検査者に引き継いで検体検査を依頼する(S100)。依頼管理番号81は、法人である依頼者の電子システムのルールに基づいて発行した依頼管理番号であってもよく、検査者から予め受領している依頼伝票に示された依頼管理番号を使用してもよく、依頼管理番号81の態様は限定されない。
【0057】
次のステップ200で、検査者は、依頼者から検体を受領してから、検査者の管理番号として検査管理番号91を決定する(S200)。検査管理番号91は、検査者の電子システムによる自社ルールに基づいて発行すればよいが、それまでの検体検査に付してきたオートナンバーに続けた番号としてもよく限定されない。
【0058】
ステップ300で、検体検査管理システム1において、記憶手段に予め記憶しておいた、依頼者と検査者のユニーク情報110としての法人番号を読み出す(S300)。ステップ400で、処理手段がなす第1検体番号発番手段10により、依頼者の依頼管理番号81とユニーク情報110をなす法人番号とをSQLにより結合させる(S400)。依頼管理番号と法人番号の先後の順は限定されない。
【0059】
ここで、理解を容易にするために、
図3を参照して、依頼管理番号81とユニーク情報110とによる、第1検体管理番号11のSQLによる結合を具体的に説明する。データベースのSQLによる結合は、例えば、『依頼者の[ユニーク情報]&[依頼管理番号]AS[第1検体管理番号]』のように、データベース言語に応じたSQLによればよい(
図3(A)参照)。より具体的には、依頼者の法人番号を「0111122223333」とし、依頼管理番号を「令2305-XXXXXX」とした場合には、第1検体管理番号を「0111122223333令2305-XXXXXX」として発番させればよい(
図3(B)図参照)。
【0060】
次に、ステップ500で、処理手段がなす検体番号発番手段20により、検査者の検査管理番号91とユニーク情報110をなす法人番号とをSQLにより結合させる(S500)。SQLによる結合は、依頼者の場合と同様にすればよく、例えば、検査者の法人番号「0444455556666」と検査管理番号「R123456789」とをSQLにより検体管理番号「0444455556666R123456789」とすればよい(
図3(A)図,
図3(B)図参照)。
【0061】
次に、ステップ600で、処理手段がなす管理用番号発番手段30が、第1検体管理番号11と検体管理番号21とを1対1にSQLにより関係付ける(S600)。1対1に結合づけられることにより検体検査が一意に決定される。具体的には、
図4に示した検体検査表93に示したように、オートナンバーで管理されている検体検査管理IDの一行のデータとして、依頼者の第1検体管理番号「0111122223333令2305-XXXXXX」と検査者の検体管理番号「0444455556666R123456789」が関係付けられる。
【0062】
また、管理用番号発番手段30は、第1検体管理番号11と検体管理番号21とに、一意に関係付けて管理用番号31を発番させる。管理用番号31は、第1検体管理番号11と検体管理番号21のいずれかを選択してもよく、その属性は限定されず、いずれかに紐づけたオートナンバーとしてもよく、ユニークで重複しない番号を付与すればよい。
【0063】
ステップ700で、処理手段がなす管理コード発行手段30が、管理用番号31に紐付けた二次元コード41を発行する(S700)。発行された二次元コード41は、検体検査表93の、その検体検査の行のデータとして管理用番号31と共に記憶手段に記憶される(
図1、
図4参照)。
【0064】
ステップ800で、二次元コードが検体容器に貼付される(S800)。シートに印刷された二次元コード41が検体容器に接着されてもよく、プリンターにより検体容器に直接印刷されてもよいことは勿論のことである。ステップ900で、検体検査の実施の際には、検体検査管理システム1をなすコード読取手段200(
図1参照)により、二次元コード41が読み取られる(S900)。
【0065】
検体容器に貼付された二次元コード41が読み取られると、記憶手段に記憶された検体検査表93(
図1、
図4参照)の二次元コード41に関係付けられた検体検査管理ID行の検体管理番号21、第1検体管理番号11、管理用番号31が特定され、二次元コード41に紐付けられた検体検査が一意に特定される。
【0066】
ここで、一の検査者の発番ルールだけで検体検査が実施されていた状態から、依頼者、検査者が順次参加し、検体検査業務の適用範囲が拡張される場合における、ユニーク情報の態様の変化の例を、
図5、
図6を参照して説明する。
図5は、依頼者と検査者の適用範囲の拡張を説明する図を示している。
図6は、適用範囲の拡張に応じて、属性情報結合手段によるユニーク情報が変化する態様を説明する図を示している。
【0067】
まず検査者法人の発番ルールだけに基づいて検体検査が行われていた状態から(
図5(A)図参照)、自社の発番ルールにより依頼をする依頼者法人が参加し(
図5(B)図参照)、更に、依頼者個人が参加し(
図5(C)図参照)、更に、検査者にも自社の発番ルールにより検査する検査者法人が参加し(
図5(D)図参照)、仲介機関が仲介して、夫々複数の依頼者法人、依頼者個人から複数の検査者法人に検体検査が依頼される状態となる。
【0068】
従来から、医療機関や衛生検査所等が、医療機関から受託して検体検査が実施されている。また、個人利用者が自ら採取した血液について、民間事業者に送られ、血糖値や中性脂肪等の生化学的検査が実施され、検査結果が通知されるという「簡易な検査」も実施されており、検体検査の態様が多様化しつつある。
【0069】
まず、依頼者も検査者も法人である医療機関の間において、従来から検体検査の受託業務が実施されていた。検査者法人(甲)は、依頼者法人(乙)から検体検査を受託し、検査者法人(甲)の電子システムに基づいて、検体検査を一意に特定できる検査管理番号91(
図1参照)を発番して検体検査を実施し、その結果を依頼者法人(乙)に通知していた(
図5(A)図参照)。その際には、検体検査は、検査者法人(甲)だけの電子システムにより管理され、依頼者法人(乙)は検査者法人(甲)の検体検査管理システムに管理を委ねていた。
【0070】
ところが、多くの医療機関に電子システムが普及し、医療機関の独自性に応じて電子システムが高度化された状況においては、病理診断を含めた検体検査を自己の電子システムで管理する必要性がある依頼者法人(丙)も存在する(
図5(B)図参照)。電子システムが簡易に改修できないという背景のもと、検査者法人(甲)・依頼者法人(乙)と、依頼者法人(丙)とが、夫々自己の電子システムにより検体検査を管理して、過去に実施した検体検査と重複が発生しないように管理する必要がある。
【0071】
更に、パンデミックの時期のように、個人である依頼者個人(a)が、薬局の店頭で自己採取した検体、例えば唾液検体が医療機関に引き継がれ「簡易な検査」が実施されることがある(
図5(C)図参照)。このような検査も含めて、検体検査が一意に特定されるようにする必要がある。
【0072】
また、保健所等が仲介機関(b)として、検体検査が検査者法人(甲)だけでなく、他の検査者法人(丁)で実施された場合でも、検体検査の結果を統計的に利用するためには、夫々電子システムが異なっている検査者法人(甲)と検査者法人(丁)の間でも検体検査が一意に特定されることが必要になる(
図5(D)図参照)。
【0073】
そこで、検体検査管理システム1では、主体が増えて検体検査の態様が変化した場合には、主体をユニークに特定する「元のユニーク情報」と、元のユニーク情報の属性の「種別情報」とをSQLにより結合させて、重複が発生しない「新しいユニーク情報」とし、「元のユニーク情報」を「新しいユニーク情報」に置換し、検体検査を一意に特定させることにした。
【0074】
例えば、結合される前の元のユニーク情報として、複数の異なる種別のユニーク情報が混用された場合、例えば、夫々10桁の数字だけからなる固定電話番号と医療機関等コードが混用された場合には、元のユニーク情報だけでは重複が発生する可能性があった。しかし、例えば、固定電話番号については「電」という種別情報を結合させ、医療機関等コードについて「医」という種別情報を結合させた新しいユニーク情報に置換すれば重複が発生することはない。
【0075】
図6を参照して、前記の
図5に示した検体検査の態様の変化に応じたユニーク情報の変化を説明する。
図5と
図6においては、同じ枝番号を付した図面が対応している。まず、依頼者法人(乙)と検査者法人(甲)との間では、依頼者法人(乙)の依頼管理番号として検査者法人(甲)の電子システムが発行した検査管理番号が使用されている(
図6(A)図破線参照)。この場合には、依頼管理番号と検査管理番号にユニーク情報を結合させなくても検体検査に重複は発生しない(
図6(A)図参照)。
【0076】
新たに、依頼者法人(丙)からの検体検査を検査者法人(甲)が受託した場合(
図6(B)図実線参照)には、依頼者法人(丙)が独自の電子システムで発行した依頼管理番号が、検査者法人(甲)が独自の電子システムで発行した検査管理番号と重複する可能性がある。
【0077】
そこで検査者法人(甲)も依頼者法人(丙)も共に法人であるため、法人をユニークに特定するユニーク情報として法人番号を依頼管理番号と検査管理番号に結合させるようにすればよい。依頼者法人(乙)が、甲の発番を従来通り使用する場合には、甲の電子システムが発番した検査管理番号に乙の法人番号を結合しておけばよい(
図6(B)図)。
【0078】
更に、個人が自ら採取した検体や、薬局等経由の「簡易な検査」も受け入れるように検体検査の対象を拡大した場合(
図6(C)図一点鎖線参照)には、依頼者個人(a)については、固定電話番号又はマイナンバーをユニーク情報として使用させればよい。依頼者個人(a)と依頼者法人(甲・乙)と依頼者法人(丙)のユニーク情報に重複が発生しないように、例えば、「電0300001111」、「法0111122223333」のように、ユニーク情報の属性の種別情報を、ユニーク情報にSQLにより結合させればよい。
【0079】
更に、検体検査に検査者法人(丁)が参加し、仲介機関(b)により、検体検査が検査者法人(甲)と検査者法人(丁)とに割り振られる場合には、既に依頼者個人(a)からも検体検査を受け入れているため、各依頼者法人と各検査者法人については、独自の電子システムで発行した依頼管理番号又は検査管理番号と、「元のユニーク情報」110としての法人番号と種別情報「法」とをSQLにより結合した「新しいユニーク情報」112(
図1参照)とを、SQLにより結合させて第1検体管理番号11又は検体管理番号21とすればよい。
【0080】
過去の検体検査のデータを使って、「ユニーク情報」又はユニーク情報の属性が複数になる場合には種別情報と結合した「新しいユニーク情報」と、依頼管理番号又は検査管理番号とをSQLにより結合すれば、従来からの検体検査の発番ルールに拘わらず、検体検査が重複せず、正しく統計調査をとることができる。
【実施例2】
【0081】
実施例2では、病理診断管理に適用される検体検査管理システム2を、
図7を参照して説明する。
図7は、検体検査管理システム2のブロック図を示している。検体検査管理システム2の構成は、検体検査管理システム1と同様の構成については、図面に同一の符合を付して説明を省略している。
【0082】
検体検査管理システム2では、依頼者PCの依頼管理コード発行手段211により発行した依頼管理コード220が、予め病理標本221と依頼伝票222とに貼付され病理診断の依頼がされた後、サーバの管理コード発行手段40により発行した二次元コード41が、病理標本221と依頼伝票222に貼付され病理診断がされる。そして病理診断の結果報告書224と病理診断の根拠をなすバーチャルスライド画像225にも、二次元コード41が示されて病理診断報告がされる例を、
図7を参照して説明する。
【0083】
検体検査管理システム2は、サーバ1000と通信手段300と依頼元医側PC400と病理医側PC500と、コード読取手段200とを含んでいる。外部機関PC600が、病理医側PC500の機能の一部を代行してもよい。依頼元医側PCにおいては、処理手段が依頼管理番号発番手段210、依頼管理コード発行手段211として機能し、記憶手段がシェーマ図等の画像データを含む伝票情報223、依頼管理番号81、依頼管理コード220等を記憶する。
【0084】
病理医側PC500の処理手段は、検査管理番号発番手段231、検査管理コード発行手段230として機能し、記憶手段はバーチャルスライド画像等と結果報告書を含む診断結果情報190、検査管理番号91、検査管理番号に紐づく検査管理コード240等を記憶する。病理医側PC500には、コード読取手段200が接続される。コード読取手段200は、検体容器に該当する病理標本等に、病理医側で貼付された二次元コード41を読み取って病理診断を特定させる。
【0085】
サーバの処理手段は、第1検体番号発番手段10、検体番号発番手段20、管理用番号発番手段30、管理コード発行手段40、属性情報結合手段50、診断結果処理手段180等として機能する。記憶手段は依頼元医側PC400と病理医側PC500の記憶手段に記憶された伝票情報223、依頼管理番号81、診断結果情報190、検査管理番号91等と、病理診断を一意に特定させる第1検体管理番号11、検体管理番号21、管理用番号31等を記憶する。
【0086】
また、サーバの記憶手段は、依頼元医側と病理医側の主体のユニーク情報110と、ユニーク情報の種別情報111を記憶する。ユニーク情報の詳細は検体検査管理システム1と同様であり、ユニーク情報110に複数の属性の情報が使用される場合には、「元のユニーク情報」110に、属性の種別情報111がSQLにより結合されて、元のユニーク情報に置換される新しいユニーク情報とされ、「新しいユニーク情報」112も記憶手段に記憶され、管理コード発行手段40により管理用番号に紐付けて発行した二次元コード41も記憶される。
【0087】
病理診断においては、病理診断を依頼する依頼元医側で病理標本を作成すると共に独自の電子システムがなす依頼管理番号発番手段210により依頼管理番号81を発番して依頼伝票222を作成する。病理標本221と依頼伝票222には、依頼元医側における管理のために依頼管理コード220が貼付された状態とされる。依頼伝票には、依頼元医側のシェーマ図や診断所見の画像データが示され、病理標本に貼付された依頼管理コードが二次元コードリーダで読み取られ、依頼伝票のシェーマ図や診断所見の画像データが確認でき、依頼元医側において病理診断が正しく把握され実施されるようにされている。
【0088】
この検体検査管理システム2では、更に、検体検査者とされる病理診断医側において、サーバに通信して、サーバの処理手段がなす管理用番号発番手段30により検体検査を一意に特定させる管理用番号31を検体検査管理システム1と同様にして発番させ、管理コード発行手段40により管理用番号31に紐づけた二次元コード41を発行させる。
【0089】
サーバの処理手段がなす第1検体番号発番手段10により、記憶手段に記憶された依頼元医側のユニーク情報110が読み出され、依頼管理番号81と依頼元医側のユニーク情報110とがSQLにより結合され、第1検体管理番号11とされる。また、同様に検体番号発番手段20により、検査管理番号91と病理医側のユニーク情報110とがSQLにより結合され、検体管理番号21とされる。第1検体管理番号11と検体管理番号21とは、SQLにより1対1に関係付けられる。
【0090】
管理用番号発番手段30が、第1検体管理番号11又は検体管理番号21のいずれかとした管理用番号31、又は第1検体管理番号11又は検体管理番号21とに1対1に関係付けた管理用番号31を、SQLにより発番させ、管理コード発行手段40が、管理用番号31に紐づいた二次元コード41を発行する。そして二次元コード41が、依頼元医側において貼付された依頼管理コード220に置き換わって使用され、病理医側で検体検査管理、換言すれば、検体検査管理システム2においては病理診断管理がされる。
【0091】
二次元コード41は、病理標本221と依頼伝票222とに貼付され、病理医側の病理診断業務において、病理標本221と依頼伝票222が同一の病理診断に係るものであることを確認するために使用される。また、サーバの処理手段がなす診断結果処理手段180(
図7参照)が、病理診断の結果報告書224とバーチャルスライド画像225に、二次元コード41を示すように機能し、病理医が作成した結果報告書224とバーチャルスライド画像225についても二次元コード41が示される。
【0092】
病理診断結果を受領した依頼元医は、結果報告書224とバーチャルスライド画像225に示された二次元コード41を、二次元コードリーダで読み取ることにより、結果報告書224が、バーチャルスライド画像225として表示された病理標本221に基づいて、正しく病理診断されたものであることが確認される。病理医側においても、二次元コード41を二次元コードリーダで読み取ることにより、結果報告書224とバーチャルスライド画像225とが整合していることが確認されることは勿論のことである。
(その他)
【0093】
・実施例1では理解を容易にするため、ユニーク情報を法人番号として説明したが、医療機関等コード等が適用されてもよいことは勿論のことである。
・実施例2では理解を容易にするため、病理医側において従来から実施されていた病理診断において、病理標本に貼付されていた検査管理コード240の説明は省略している。依頼元医が病理標本を作成した病理診断については、従来から発行していた検査管理コード240は、二次元コード41に置換されればよい。
【0094】
・上記の説明では省略しているが、検体検査管理システムにログインするためにはログイン認証が必要とされセキュリティが図られること、サーバとPCが通信するネットワークに仮想専用ネットワークが適用されれば好適であることは勿論のことである。
・個人の電話番号の変更・消失に備えて、薬局等の医療事業者が代理し、薬局などの代表電話番号をユニーク情報として依頼してもよく、本発明は多様な態様の検体検査に適用できる。
・今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の技術的範囲は、上記した説明に限られず特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0095】
1,2…検体検査管理システム、
100…検査者PC、200…コード読取手段、300…通信手段、
1000…サーバ、
400…依頼元医側PC、500…病理医側PC、
10…第1検体番号発番手段、20…検体番号発番手段、30…管理用番号発番手段、
11…第1検体管理番号、21…検体管理番号、
31…管理用番号、41…二次元コード、
40…管理コード発行手段、50…属性情報結合手段、
60…ユーザ認証手段、70…その他処理手段、
80…依頼伝票(依頼情報)、81…依頼管理番号、82…その他依頼情報、
90…検体検査結果情報、91…検査管理番号、92…その他検査情報、
93…検体検査表、
110…元のユニーク情報、111…種別情報、112…新しいユニーク情報、
120…ログイン判定用ユーザ情報、130…その他情報、
180…診断結果処理手段、190…診断結果情報、
210…依頼管理番号発番手段、211…依頼管理コード発行手段、
220…依頼管理コード、221…病理標本、222…依頼伝票、223…伝票情報、
224…結果報告書、225…バーチャルスライド画像、
230…検査管理コード発行手段、231…検査管理番号発番手段、
240…検査管理コード
【要約】
【課題】複数の検査機関と、複数の依頼者との間で、検体検査が一意に、正しく把握できる検体検査管理システム、病理診断管理にも適用できる検体検査管理システムを提供すること。
【解決手段】
記憶手段に記憶された主体をユニークに特定するユニーク情報を読み出して、第1検体番号発番手段が、依頼者の依頼管理番号と依頼者のユニーク情報とをSQLにより結合させて第1検体管理番号を発番し、検体番号発番手段が、検査者の検査管理番号と検査者のユニーク情報とをSQLにより結合させて検体管理番号を発番し、管理用番号発番手段が、第1検体管理番号と検査管理番号とをSQLにより1対1に関係付け、それらに一意に関係付けて管理用番号を発番し、管理コード発行手段が、管理用番号に紐づけて二次元コードを発行し、二次元コードが検体容器に貼付され、コード読取手段が、二次元コードを読み取って検体検査を一意に特定させる検体検査管理システム。
【選択図】
図3