(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-05
(45)【発行日】2023-09-13
(54)【発明の名称】紫外線照射装置
(51)【国際特許分類】
H01L 33/00 20100101AFI20230906BHJP
B01J 19/12 20060101ALI20230906BHJP
【FI】
H01L33/00 L
B01J19/12 C
(21)【出願番号】P 2019209841
(22)【出願日】2019-11-20
【審査請求日】2022-06-20
(73)【特許権者】
【識別番号】593069521
【氏名又は名称】株式会社大興製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100124648
【氏名又は名称】赤岡 和夫
(74)【代理人】
【識別番号】100060368
【氏名又は名称】赤岡 迪夫
(74)【代理人】
【識別番号】100154450
【氏名又は名称】吉岡 亜紀子
(72)【発明者】
【氏名】三上 仁
(72)【発明者】
【氏名】菊池 亮
【審査官】中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-027553(JP,A)
【文献】特開2009-266678(JP,A)
【文献】特開2003-197002(JP,A)
【文献】特開2016-085896(JP,A)
【文献】特開2014-179183(JP,A)
【文献】特開2019-103747(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/10、9/20
B01J 19/12
C02F 1/32
F21K 9/00
F21S 2/00
H01L 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内面及び/又は外面に紫外線を散乱させる微細な凹凸が形成された、紫外線を透過する材料からなる
中空の管と、
前記管の一の端部に設けられた紫外線発光LEDモジュールと、そして
前記管の他の端部に設けられた反射板と
からなる紫外線照射装置。
【請求項2】
前記管は、ガラス管である請求項1に記載の紫外線照射装置。
【請求項3】
前記ガラス管は、石英管である請求項2に記載の紫外線照射装置。
【請求項4】
微細な凹凸は、サンドブラスト処理により形成されたものである請求項1から3のいずれか1項に記載の紫外線照射装置。
【請求項5】
前記管は、その縦断面が円形である請求項1から4のいずれか1項に記載の紫外線照射装置。
【請求項6】
前記
紫外線発光LEDモジュールは、その背面および/または側面に第2の反射板を備えていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の紫外線照射装置。
【請求項7】
前記第2の反射板は、入射した照射光を表面で乱反射させる曲面形状を有している請求項6に記載の紫外線照射装置。
【請求項8】
前記
紫外線発光LEDモジュールは、その照射光が前記管の長手方向の中心軸と平行な光軸を含んでおり、且つ15°以下の広がり角を有していることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の紫外線照射装置。
【請求項9】
前記反射板は、入射した照射光を表面で乱反射させる曲面形状を有している請求項1から8のいずれか1項に記載の紫外線照射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は紫外線照射装置に関し、特に石英等の紫外線を透過する材料からなる管の一の端部に紫外線発光LEDモジュールを設け他の端部に反射板を配置することにより、管全面から紫外線の均質な照射を可能にした紫外線照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、水や空気、医療器具等の殺菌・消毒や装飾、紙幣や骨董品などの鑑定、樹脂やインクの硬化などに水銀灯など放電灯を用いたブラックライト蛍光ランプが用いられている。
【0003】
一方、近年では、省電力化に優れたLEDを光源とした照明装置が普及してきており、従来の紫外線ランプの代替としてLEDを利用する線状光源や、ブラックライト蛍光ランプに近い機能を有し且つLEDを利用した紫外線照射装置が提案されている。
【0004】
しかし、LEDモジュールから発光された紫外線はブラックライト蛍光ランプよりも輝度の指向性が強いため、例えば長尺管を紫外線照射装置として用いた場合、直下の照度、明るさ、光の広がりなどにおいて偏りを生じ、管の全面、全周から外部へ紫外線を均質に照射することができないという問題があった。
【0005】
このため、例えば特開2016-167589号公報(特許文献1)に記載されているように、上述したLEDモジュールによる光の指向性の問題を解消する目的で、複数のLEDモジュールを管の長手方向に並べて管の全長に亘り紫外線を外部へ照射する紫外線照射装置が開発されている。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のような紫外線照射装置は、LEDモジュールから照射された紫外線を管の長手方向に亘り照射することができるが、LEDモジュールの背面方向など、管の中心軸に対して放射方向の全方向(360°)へ紫外線を照射することができないという問題があった。また、特許文献1に記載のような紫外線照射装置は、複数のLEDモジュールを管の長手方向に並べなければならないため、LEDモジュールが1個の紫外線照射装置に比べて消費電力が大きくなり、さらに複数のLEDモジュールによる発熱対策としてヒートシンクを設けなければならず、紫外線照射装置自体の重量が大きく増加してしまうという問題があった。
【0007】
また、紫外線自体を外部へ照射するものではないが、例えば特開2006-040850号公報(特許文献2)や特開2016-126915号公報(特許文献3)には、上記LEDモジュールによる光の指向性の問題を解消するため、内面に紫外線で光る蛍光物質を塗布した長尺ガラス管の端部に、LED素子をその光軸が長尺ガラス管の中心軸と非平行となるように配置し、LED素子から発光される紫外線を蛍光物質へ照射することにより長尺ガラス管の全周・全面を発光させて可視光線を外部へ照射する蛍光LEDランプ(可視光照射装置)が開示されている。
【0008】
しかしながら、特許文献2,3に記載の蛍光型LEDランプは、LED素子から発光された紫外線を蛍光物質へ照射して可視光線へ変換するものであるため、紫外線自体を効率よく外部へ照射することができず、水や空気、医療器具等の殺菌や紙幣などの鑑定、樹脂などの硬化に用いる紫外線照射ランプとして適用することができないという問題があった。
【0009】
また、そもそも特許文献2,3に記載の蛍光型LEDランプは、蛍光物質を発光させることにより、初めてガラス管の全周・全面からの均質な可視光線の照射を可能にするものであるため、LED素子から発光された紫外線自体をガラス管の全周・全面から外部へ均質に照射するという技術的思想がない。このため、特許文献2,3に記載の蛍光型LEDランプは、透過率などを考慮して、LED素子から照射された紫外線を効率よく均質に外部へ透過するのに適した材料等についても検討されていないという課題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2016-167589号公報
【文献】特開2006-040850号公報
【文献】特開2016-126915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、本発明は、紫外線照射装置において、従来の紫外線照射装置と比べて構造が単純で省エネルギー化されており、それでいてLEDモジュールから発光された紫外線の明るさや広がりなどの偏りが緩和ないし解消されており、石英等の紫外線を透過する材料からなる管の略全面、全周から紫外線を均質に外部へ照射することが可能な紫外線照射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者等は、直管、屈曲管などの管において、紫外線を発光するLEDモジュールの配置や紫外線を透過する管の材料、表面性状などについて鋭意検討を重ねた。その結果、LEDモジュールと対抗する位置に紫外線を散乱させる反射板を設けることによりLEDモジュールから照射された紫外線を石英等の紫外線を透過する材料からなる管内において散乱させると共に、該管においても紫外線を散乱させる微細な加工を施すことにより、管の略全面、全周から紫外線を外部へ均質に照射できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち、本発明によれば、内面及び/又は外面に紫外線を散乱させる微細な凹凸が形成された、紫外線を透過する材料からなる管と、前記管の一の端部に設けられた紫外線発光LEDモジュールと、そして前記管の他の端部に設けられた反射板とからなる紫外線照射装置が提供される。
【0014】
本発明の紫外線照射装置では、紫外線を透過する管の一の端部に紫外線発光LEDモジュールを配置し、他の端部には反射板を設けているので、必要最小限の紫外線発光LEDモジュールにて、該LEDモジュールから発光された紫外線を反射板により管内に散乱させることができる。なお、本発明の紫外線照射装置で照射される紫外線は、水や空気、医療器具等の殺菌や紙幣などの鑑定、樹脂等の硬化などに用いるものであり、石英等の紫外線透過ガラスや紫外線透過樹脂を透過するものでなければならないので、その波長は200~450nmであることが好ましく、250~410nmであることがより好ましい。
【0015】
このため、本発明で用いられる紫外線発光LEDモジュールは、その照射光(紫外線)が管の長手方向の中心軸と平行な光軸を含んでおり、且つ15°以下の広がり角を有していることが好ましい。この場合、LEDモジュールから広角に発光された紫外線は反射板による乱反射がより増幅されて一層均質に管内に散乱させることができる。このように、照射光が所定の広がり角を有している紫外線発光LEDモジュールとしては、LED素子がTIRレンズや凸型レンズ、反射ミラーと一体となったタイプのLEDモジュールが挙げられる。なお、「光軸」とは、LED素子から放射される紫外線の照射方向のうちの中心方向を示しており、通常はLED素子の発光面に垂直な方向を示している。
【0016】
さらに、本発明では、紫外線発光LEDモジュールは、その背面に第2の反射板を備えていることが好ましい。LEDモジュールの背面に第2の反射板を設けると、LEDモジュール自体から発光された紫外線や、LEDモジュールと対向する位置に配置された反射板から反射された紫外線をさらに管内に拡散させることができるので、紫外線の散乱状態をより一層均質化することができる。
【0017】
このように、管の他の端部に配置された反射板や、紫外線発光LEDモジュールの背面に配置された第2の反射板は、LEDモジュールから発光された紫外線を管内に拡散させるものであるため、入射した照射光(紫外線)を表面で乱反射させる曲面形状を有していることが好ましい。
【0018】
本発明の紫外線照射装置では、内面及び/又は外面に紫外線を散乱させる微細な凹凸が形成された、紫外線を透過する材料からなる管を用いるので、上述したように管内で散乱された紫外線は、管を透過する際、微細な凹凸によってさらに均質に散乱され、管の略全面、全周から一様に放射させることができる。
【0019】
また、本発明の紫外線照射装置は、LEDモジュールから発光された紫外線を蛍光物質等を介して変換およびカット等することなく直接外部へ放出させるものであるので、エネルギー効率が極めて高く、必要最小限の紫外線発光LEDモジュールにて高輝度の紫外線を管から放射させることができるという優れた効果を奏する。
【0020】
紫外線を透過する材料としてはガラス材料やアクリルなどの樹脂材料が挙げられ、本発明ではいずれの材料も用いることができるが、一般的に樹脂材料はガラス材料よりも紫外線の透過率が低く、さらに紫外線により劣化する傾向があるのでガラス材料を用いることが好ましい。また、一般的なガラス材料の中には紫外線の透過性が良くないものもあるので、本発明で用いるガラス管は、紫外線の透過率に極めて優れている石英からできているものを用いることがより好ましく、合成石英または溶融石英のいずれからできているものであってもよい。
【0021】
なお、「管」とは、内部が中空になっている細長い筒状体を意味し、この概念には直管や屈曲管も含まれる。また、「管」はその縦断面が必ずしも円形である必要がなく、楕円形や多角形であってもよい。ただし、本発明では、管の端部に設けられたLEDモジュールから発せられる紫外線を管の略全面、全周から一様に放射させる観点から、管はその縦断面が円形であるものを用いることが好ましい。なお、管の「縦断面」とは、管の長手方向に伸びた管軸に対して非平行であり、且つ該管軸に対して垂直方向に交わる平面で切り取った管の断面を意味する。
【0022】
本発明では、紫外線を散乱させるために、管の内面及び/又は外面に設けられる微細な凹凸は、例えば予め微細な凹凸を形成させたプラスチックフィルムなど管の表面に貼り付けることによっても達成される。しかし、例えば管がガラス材料からできているような場合、プラスチックフィルムなどは、一般的にガラス材料よりも紫外線の透過率が低く、さらに紫外線により劣化する傾向があることから、サンドブラスト処理などによりガラス管自体の表面に微細な凹凸加工を施すことが好ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、紫外線照射装置を、内面及び/又は外面に紫外線を散乱させる微細な凹凸が形成された、石英等の紫外線を透過する材料からなる管と、管の一の端部に設けられた紫外線発光LEDモジュールと、そして管の他の端部に設けられた反射板とから構成したことにより、LEDモジュールから発光された紫外線の明るさや広がりなどの偏りが緩和ないし解消されており、管の略全面、全周から紫外線を均質に外部へ照射することができるという優れた効果を奏する。
【0024】
また、本発明の紫外線照射装置は、LEDモジュールから発光された紫外線を蛍光物質等を介して変換およびカット等することなく直接外部へ放出させることができるので、エネルギー効率が極めて高く、必要最小限の紫外線発光LEDモジュールにて高輝度の紫外線を管から放射することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明に係る実施例1の紫外線照射装置の横断面を模式的に示した断面図である。
【
図2】
図1に示される実施例1の紫外線照射装置の縦断面を模式的に示した断面図である。
【
図3】実施例1の紫外線発光LEDモジュールの横断面を部分的に拡大して示した断面図である。
【
図4】実施例1の紫外線照射装置を発光させた際の紫外線放射状態を示す写真である。
【
図5】本発明の実施形態に係る紫外線照射装置を直列に2個連結した実施例2の紫外線照射装置の横断面を模式的に示した断面図である。
【
図6】実施例2の紫外線照射装置を発光させた際の紫外線放射状態を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の一実施形態に係る紫外線照射装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下に示される実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で各種の変更が可能である。
【実施例】
【0027】
[実施例1]
図1には、本発明の実施形態に係る実施例1の紫外線照射装置1の横断面が模式的に示されており、
図2には、
図1に示される紫外線照射装置1の縦断面が模式的に示されている。
【0028】
図1,2を参照して理解されるように、実施例1の紫外線照射装置1は、主として円筒状のガラス管2と、ガラス管2の一の端部21に取り付けられた紫外線発光LEDモジュール3と、そしてガラス管2においてLEDモジュール3と対向する他の端部22に取り付けられた反射板4とから構成される。
【0029】
実施例1で用いられるガラス管2は、紫外線5の透過率が極めて高い石英からできており、合成石英または溶融石英、若しくはそれらの接合材料からできているものであってもよい。また、図示しないが、本実施形態では、紫外線透過材料として、石英等のガラス材料の他にアクリル等の樹脂材料や、または該樹脂材料と該ガラス材料との接合材料を用いることもできる。
【0030】
ただし、合成石英や溶融石英などの石英材料は、紫外線5を透過するアクリルなどの樹脂材料や一般的なガラス材料よりも極めて高い紫外線透過率を有しており、樹脂材料のように紫外線5により劣化することもないので、ガラス管2の材料として石英を用いると、LEDモジュール3から発光された紫外線5を減ずることなく極めて高いエネルギー効率にて直接外部へ放出することができる。このため、後述する紫外線発光LEDモジュール3も、必要最小限の個数にて高輝度の紫外線5をガラス管2から放射することができる。
【0031】
また、本実施形態では、ガラス管2は縦断面が円形の直管が用いられているが、ガラス管2の形状に特に限定はなく、例えば縦断面の形状は楕円形や多角形であってもよく、また長手方向の外形も屈曲管などの曲がった形状のものであっても、縦断面の形状や太さが長手方向に沿って変化しているものであってもよい。
【0032】
ただし、実施例1のように縦断面が円形の直管型ガラス管2を用いると、製造が容易でコスト的に安価であり、ガラス管2に端部に設けたLEDモジュール3から発せられる紫外線5をガラス管2の略全面、全周から一様に照射し易くなるという利点がある。
【0033】
実施例1では、紫外線5を散乱させるため、サンドブラスト処理によりガラス管2の内面及び/又は外面に微細な凹凸20が形成されている。実施例1では、ガラス管2自体の表面に微細な凹凸加工を施しているので、微細な凹凸を有するプラスチックフィルムをガラス管2の表面に貼り付ける場合などに比べて最終的な紫外線5の透過率を低下させることがない。
【0034】
このように、実施例1の紫外線照射装置1は、内面及び/又は外面に紫外線5を散乱させる微細な凹凸20が形成された、紫外線5を透過するガラス管2を用いているので、紫外線発光LED3から照射された紫外線5はガラス管2内で散乱し、ガラス管2を透過する際は、微細な凹凸20によってさらに散乱が助長され、ガラス管2の略全面、全周から一様に放射される。
【0035】
実施例1では、紫外線5を透過するガラス管2の一の端部21に紫外線発光LEDモジュール3を配置し、他の端部22には反射板4を設けている。このため、上述したガラス管2による散乱効果と相俟って、必要最小限の紫外線発光LEDモジュール3にて、該LEDモジュール3から発光された紫外線5を反射板4によりガラス管2内に散乱させることができる。
【0036】
図3には、実施例1の紫外線発光LEDモジュール3の横断面が部分的に拡大して示されている。
【0037】
実施例1で用いられる紫外線発光LEDモジュール3は、
図3に示されるように、紫外線5を発光するLED本体30と、該LED本体30を支持し、ガラス管2の一の端部21へ封止するように取り付けられるLEDキャップ31とを含んでいる。また、LED本体30は、主に紫外線5を発光するLED素子32と、該LED素子32へ電流を供給する回路部33と、そしてLED素子32および回路部33を覆うように形成されたレンズ部34とから構成されている。
【0038】
実施例1のLEDモジュール3は、レンズ部34により、紫外線5がガラス管2の長手方向の中心軸23(
図1)と平行な光軸35を含んでおり、且つ15°以下の広がり角を有している。ガラス管2内における紫外線5の拡散はガラス管2の長さや太さなどの形状や反射板4の形状にも影響されるが、広がり角が15°よりも大きくなると、LEDモジュール3から発せられた紫外線5が十分に反射板4へ到達せず、反射した紫外線5を効率よく均質に散乱させ難くなる傾向がある。
【0039】
このため、実施例1のLEDモジュール3では、LEDモジュール3からの紫外線5を所定の広がり角を有するように放射させるために、レンズ部34には、通称TIRレンズと呼ばれる反射ミラーと一体となったものが使用されている。また、図示しないが、レンズ部34には砲弾型、凸型や凹型レンズを備えているものも使用することができる。
【0040】
また、実施例1では、紫外線発光LEDモジュール3は、その背面に第2の反射板(図示せず)を備えていてもよい。LEDモジュール3の背面に第2の反射板を設けると、LEDモジュール3自体から発光された紫外線5や、LEDモジュール3と対向する位置に配置された反射板4から反射された紫外線5をさらにガラス管2内に拡散させることができるので、紫外線5の散乱状態をより一層均質化させることができる。
【0041】
実施例1において、ガラス管2の他の端部22には反射板4が配置されている。反射板4に用いられる反射材料としては、紫外線5に対する反射率が高いものであれが特に限定することなく使用することができる。好適な反射材料としては、例えば鉄、アルミニウム、チタン及びステンレスからなる群より選ばれる金属又はその金属を含む合金などを鏡面仕上げしたものが挙げられ、若しくはそれらを蒸着又はメッキ等した材料であってもよい。また、実施例1で用いられる反射板4は該反射板4を支持し、ガラス管2の他の端部22へ封止するように取り付けられる反射キャップ40を含んでいる。
【0042】
実施例1において、ガラス管2の他の端部22に取り付けられた反射板4や、上述した紫外線発光LEDモジュール3の背面に配置される第2の反射板は、LEDモジュール3から発光された紫外線5をガラス管2内に拡散させため、入射した紫外線5を表面で乱反射させる凸状の曲面形状(図示せず)を有していてもよい。
【0043】
図4の写真には、実施例1の紫外線照射装置1を発光させた際の紫外線照射状態が示されている。
図4に示されているように、実施例1の紫外線照射装置1は、紫外線発光LEDモジュール3から発光された紫外線5の明るさや広がりなどの偏りが緩和ないし解消されており、ガラス管2の略全面、全周から紫外線5を一様に外部へ放射できることが判った。
【0044】
また、実施例1の紫外線照射装置1では、反射板有無の効果を確かめるため、紫外線発光LEDモジュール3の背面には第2の反射板が設けなかった。その結果、ガラス管2の他の端部22の近傍では、反射板4の存在により拡散された紫外線5がガラス管2の他の端部22の近傍から一様に散乱し透過しているのに対して、ガラス管2の一の端部21の近傍では、LEDモジュール3から発せられた紫外線5が所定の広がり角を有しながら放射されるので、他の端部22の近傍と比較して紫外線5の散乱が一様でないことが判った。
【0045】
このため、LEDモジュール3の背面にも第2の反射板を設けると、他の端部22に取り付けた反射板4と同様に、LEDモジュール3自体から発光された紫外線5や、LEDモジュール3と対向する位置に配置された反射板4から反射された紫外線5をさらにガラス管2内に拡散させることができるので、紫外線5の散乱状態をより一層均質化できることが推察される。
【0046】
[実施例2]
図5には、本発明の他の実施形態に係る実施例2の紫外線照射装置1aの横断面が模式的に示されている。
【0047】
実施例2の紫外線照射装置1aは、上述した実施例1の紫外線照射装置1を直列に2個連結したものである。このため、実施例2の紫外線照射装置1aは、反射キャップ40の表裏面に反射板4を2個配置したこと以外は、それぞれの紫外線照射装置において実施例1の紫外線照射装置1と同じ構成を有しているので、ここでは、実施例1の紫外線照射装置1と同じ符号を用い、実施例2の紫外線照射装置1aの詳細な説明は省略する。
【0048】
実施例2の紫外線照射装置1aは、その両端部(一の端部21)のそれぞれにLEDキャップ31を介して紫外線発光LEDモジュール3が取り付けられている。また、実施例2の紫外線照射装置1aを構成するそれぞれの紫外線照射装置1の連結部(他の端部22)は、反射板4を表裏面に取り付けた反射キャップ40を介して直線状に連結されている。
【0049】
図6の写真には、実施例2の紫外線照射装置1aを発光させた際の紫外線照射状態が示されている。
図6に示されているように、実施例2の紫外線照射装置1aは、実施例2の紫外線照射装置1と同様に、紫外線発光LEDモジュール3から発光された紫外線5の明るさや広がりなどの偏りが緩和ないし解消されており、ガラス管2の略全面、全周から紫外線5を一様に外部へ放射できることが判った。
【0050】
特に実施例2の紫外線照射装置1aでは、2個の紫外線照射装置1の連結部を反射板4が配置された他の端部22側としたので、ガラス管2の連結部(他の端部22)の近傍では、反射板4の存在により拡散された紫外線5がガラス管2の連結部の近傍から一様に散乱し透過するので、該連結部の存在が殆ど認識できない程にガラス管2の略全面、全周に散乱することが判った。
【0051】
このため、実施例1の紫外線照射装置1においてLEDモジュール3の背面に第2の反射板を設け、これを直線状に連結すれば、殆ど連結部の存在を認識させることがなく、紫外線発光LEDモジュール3から発光された紫外線5をガラス管2の略全面、全周から一様に外部へ放射できる所望の長さを有する紫外線照射装置が得られることが判った。
【符号の説明】
【0052】
1,1a・・紫外線照射装置
2・・・・・ガラス管
20・・・・微細な凹凸
21・・・・一の端部
22・・・・他の端部
23・・・・中心軸
3・・・・・紫外線発光LEDモジュール
30・・・・LED本体
31・・・・LEDキャップ
32・・・・LED素子
33・・・・回路部
34・・・・レンズ部
35・・・・光軸
4・・・・・反射板
40・・・・反射キャップ
5・・・・・紫外線