(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-05
(45)【発行日】2023-09-13
(54)【発明の名称】冷媒サイクルシステム
(51)【国際特許分類】
F25B 7/00 20060101AFI20230906BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20230906BHJP
F25B 13/00 20060101ALI20230906BHJP
F25B 5/04 20060101ALI20230906BHJP
【FI】
F25B7/00 Z
F25B1/00 331Z
F25B13/00 U
F25B5/04 B
(21)【出願番号】P 2019109414
(22)【出願日】2019-06-12
【審査請求日】2022-05-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】熊倉 英二
(72)【発明者】
【氏名】山田 拓郎
(72)【発明者】
【氏名】吉見 敦史
(72)【発明者】
【氏名】岩田 育弘
(72)【発明者】
【氏名】南田 知厚
【審査官】西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/235832(WO,A1)
【文献】特開2013-130357(JP,A)
【文献】特開平07-234027(JP,A)
【文献】特開2013-148330(JP,A)
【文献】特開平07-243711(JP,A)
【文献】特開2017-161182(JP,A)
【文献】特開平09-269155(JP,A)
【文献】特開平03-271659(JP,A)
【文献】特開2000-193339(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/00
F25B 5/04
F25B 6/04
F25B 7/00
F25B 13/00
F25B 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気圧縮式冷凍サイクルである第1冷媒回路(1)と、
蒸気圧縮式冷凍サイクルである第2冷媒回路(2)と、
前記第1冷媒回路(1)を流れる第1冷媒と、前記第2冷媒回路(2)を流れる第2冷媒と、の間で熱交換を行わせる第1カスケード熱交換器(21)と、
を備え、
前記第1冷媒回路(1)及び前記第2冷媒回路(2)の少なくともいずれか一方は、回路の冷媒の流路を切り替える切換機構(13、25)を有し、
前記第1カスケード熱交換器(21)は、第1メイン熱交換部(21a)と、前記第1メイン熱交換部(21a)を通過した前記第1冷媒を過熱状態にするための第1サブ熱交換部(21b)と、を有
し、
前記第1冷媒回路(1)において前記第1カスケード熱交換器(21)に流れる前記第1冷媒の量を調整する第1流量調整弁(22)と、
前記第1流量調整弁(22)の開度を調整する制御部(60)と、
をさらに備え、
前記第1冷媒回路(1)の前記第1カスケード熱交換器(21)が蒸発器となるとき、前記制御部(60)は、前記第1サブ熱交換部(21b)から出る前記第1冷媒が過熱状態になるように前記第1流量調整弁(22)の開度を調整し、
前記第1メイン熱交換部(21a)は、プレート熱交換器、又は、複数の扁平管を積層した熱交換器であって、
前記第1サブ熱交換部(21b)は、二重管、又は、配管を接触させた構造の熱交換部である、
冷媒サイクルシステム(100)。
【請求項2】
前記第1メイン熱交換部(21a)は、前記第1サブ熱交換部(21b)よりも熱交換能力が大きい、
請求項
1に記載の冷媒サイクルシステム(100)。
【請求項3】
蒸気圧縮式冷凍サイクルである第3冷媒回路(3)と、
前記第1冷媒回路(1)を流れる前記第1冷媒と、前記第3冷媒回路(3)を流れる第3冷媒と、の間で熱交換を行わせる第2カスケード熱交換器(41)と、
をさらに備え、
前記第2カスケード熱交換器(41)は、第2メイン熱交換部(41a)と、前記第2メイン熱交換部(41a)を通過した冷媒を過熱状態にするための第2サブ熱交換部(41b)と、を有し、
前記第1カスケード熱交換器(21)と、前記第2カスケード熱交換器(41)とは、前記第1冷媒回路(1)において並列に接続される、
請求項1
または2に記載の冷媒サイクルシステム(100)。
【請求項4】
前記第1冷媒及び前記第2冷媒は、HFC冷媒、HFO冷媒、自然冷媒のいずれか1つ、あるいは、HFC冷媒、HFO冷媒、自然冷媒、CF3I、のうちのいずれか2つ以上を含む混合冷媒である、
請求項1から
3のいずれかに記載の冷媒サイクルシステム(100)。
【請求項5】
前記第1冷媒、及び、前記第2冷媒は、R32である、
請求項1から
4のいずれかに記載の冷媒サイクルシステム(100)。
【請求項6】
前記第1冷媒はR32であって、前記第2冷媒は二酸化炭素である、
請求項1から
4のいずれかに記載の冷媒サイクルシステム(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
冷媒サイクルシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特開2000-193339号公報)に示すように、蒸気圧縮式冷凍サイクルによる二元冷媒回路が知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1には、二元冷媒回路における冷媒の状態の制御について言及されていない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1観点の冷媒サイクルシステムは、第1冷媒回路と、第2冷媒回路と、第1カスケード熱交換器と、を備える。第1冷媒回路は、蒸気圧縮式冷凍サイクルである。第2冷媒回路は、蒸気圧縮式冷凍サイクルである。第1カスケード熱交換器は、第1冷媒回路を流れる第1冷媒と、第2冷媒回路を流れる第2冷媒と、の間で熱交換を行わせる。冷媒サイクルシステムは、切換機構を有す。切換機構は、第1冷媒回路及び第2冷媒回路の少なくともいずれか一方の回路の冷媒の流路を切り替える。第1カスケード熱交換器は、第1メイン熱交換部と、第1サブ熱交換部と、を有す。第1サブ熱交換部は、第1メイン熱交換部を通過した第1冷媒を過熱状態にするためのものである。
【0005】
これによって、第1サブ熱交換部において第1冷媒の過熱状態を制御することが可能であるため、第1冷媒の過熱状態の制御が行いやすくなる。
【0006】
第2観点の冷媒サイクルシステムは、第1観点のシステムであって、第1流量調整弁と、制御部と、をさらに備える。第1流量調整弁は、第1冷媒回路において第1カスケード熱交換器に流れる第1冷媒の量を調整する。制御部は、第1流量調整弁の開度を調整する。第1冷媒回路の第1カスケード熱交換器が蒸発器となるとき、制御部は、第1サブ熱交換部から出る第1冷媒が過熱状態になるように第1流量調整弁の開度を調整する。
【0007】
第3観点の冷媒サイクルシステムは、第1観点又は第2観点のシステムであって、第1メイン熱交換部は、第1サブ熱交換部よりも熱交換能力が大きい。
【0008】
第1冷媒の過熱状態の制御は、第1サブ熱交換部において行われる。これによって、第1メイン熱交換部の高い熱交換能力が損なわれることを抑制して第1冷媒の過熱状態の制御を行う事が可能である。
【0009】
第4観点の冷媒サイクルシステムは、第1観点から第3観点のいずれかのシステムであって、第1メイン熱交換部は、プレート熱交換器、又は、複数の扁平管を積層した熱交換器である。第1サブ熱交換部は、二重管、又は、配管を接触させた構造の熱交換部である。
【0010】
サブ熱交換部21bを上記のような熱交換器にすることで、サブ熱交換部21bを設けることによるコストの増加を抑制することが可能である。
【0011】
第5観点の冷媒サイクルシステムは、第1観点から第4観点のいずれかのシステムであって、第3冷媒回路と、第2カスケード熱交換器と、をさらに備える。第3冷媒回路は、蒸気圧縮式冷凍サイクルである。第2カスケード熱交換器は、第1冷媒回路を流れる第1冷媒と、第3冷媒回路を流れる第3冷媒と、の間で熱交換を行わせる。第2カスケード熱交換器は、第2メイン熱交換部と、第2サブ熱交換部と、を有す。第2サブ熱交換部は、第2メイン熱交換部を通過した冷媒を過熱状態にするためのものである。第1カスケード熱交換器と、第2カスケード熱交換器とは、第1冷媒回路において並列に接続される。
【0012】
これによって、接続可能な利用側熱交換器の台数が増加し、冷媒サイクルシステムを施工する施工時の自由度が高くなる。
【0013】
第6観点の冷媒サイクルシステムは、第1観点から第5観点のいずれかのシステムであって、第1冷媒及び第2冷媒は、HFC冷媒、HFO冷媒、自然冷媒のいずれか1つである。あるいは、第1冷媒及び第2冷媒は、HFC冷媒、HFO冷媒、自然冷媒、CF3I、のうちのいずれか2つ以上を含む混合冷媒である。
【0014】
第7観点の冷媒サイクルシステムは、第1観点から第6観点のいずれかのシステムであって、第1冷媒、及び、第2冷媒は、R32である。
【0015】
これによって、既存の冷媒サイクルシステムを流用することが可能である。
【0016】
第8観点の冷媒サイクルシステムは、第1観点から第6観点のいずれかのシステムであって、第1冷媒は、R32である。第2冷媒は、二酸化炭素である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【発明を実施するための形態】
【0018】
(1)空気調和装置の構成
図1に示すように、冷媒サイクル装置の一実施形態としての空気調和装置100は、蒸気圧縮式冷凍サイクルである第1冷媒回路1、第2冷媒回路2、第3冷媒回路3によって、ビル等の建物内の部屋の冷房や暖房を行う装置である。
【0019】
空気調和装置100は、主として、第1冷媒回路1に属する熱源側ユニット10と、第2冷媒回路2に属する複数の利用側ユニット30A、30B(本実施形態においては2つ)と、第3冷媒回路に属する複数の利用側ユニット50A、50B(本実施形態においては2つ)と、熱源側ユニット10と利用側ユニット30A、30Bとの間に配置される第1カスケードユニット20と、熱源側ユニット10と利用側ユニット50A、50Bとの間に配置される第2カスケードユニット40と、冷媒連絡管4a、4b、5a、5b、6a、6bと、制御部60と、を有している。
【0020】
第1カスケードユニット20と第2カスケードユニット40とは、第1冷媒回路1において、互いが並列に接続される。複数の利用側ユニット30A、30Bは、第2冷媒回路2において、互いが並列に接続される。複数の利用側ユニット50A、50Bは、第3冷媒回路3において、互いが並列に接続される。
【0021】
制御部60は、伝送線等を介して各ユニットの制御部と接続されている。制御部60は、空気調和装置100に含まれる各構成機器の制御と空気調和装置100全体の制御を行う。
【0022】
第1冷媒回路1、第2冷媒回路2、第3冷媒回路3には、それぞれ、第1冷媒、第2冷媒、第3冷媒としてR32が充填されている。
【0023】
(2)各ユニットの詳細構成
(2-1)利用側ユニット
利用側ユニット30A、30B、50A、50Bは、ビル等の室内に設置されている。
【0024】
第2冷媒回路2の一部を構成する複数の利用側ユニット30A、30Bは、冷媒連絡管としての液冷媒連絡管5aとガス冷媒連絡管5bとを介して、第1カスケードユニット20に接続されている。
【0025】
また、第3冷媒回路3の一部を構成する複数の利用側ユニット50A、50Bは、冷媒連絡管としての液冷媒連絡管6aとガス冷媒連絡管6bとを介して、第2カスケードユニット40に接続されている。
【0026】
次に、利用側ユニット30Aの構成について説明する。なお、利用側ユニット30Aと、利用側ユニット30B、50A、50Bとは、同様の構成であるため、ここでは利用側ユニット30Aの構成のみ説明し、利用側ユニット30B、50A、50Bの構成については、説明を省略する。
【0027】
利用側ユニット30Aは、主として、利用側熱交換器31aと、流量調整弁32aと、を有している。
【0028】
利用側熱交換器31aは、第2冷媒の蒸発器として機能して室内空気を冷却する、又は、第2冷媒の放熱器として機能して室内空気を加熱する熱交換器である。ここで、利用側ユニット30Aは、図示しない利用側ファンを有する。利用側ファンは、利用側熱交換器31aを流れる第2冷媒の冷却源又は加熱源としての室内空気を、利用側熱交換器31aに供給する。
【0029】
流量調整弁32aは、第2冷媒を減圧しながら利用側熱交換器31aを流れる第2冷媒の流量を調整することが可能な電動膨張弁である。流量調整弁32aは、利用側制御部64を介して、制御部60によって開度を調整される。
【0030】
利用側ユニット30Aには、図示しない各種のセンサが設けられている。各センサが検出した値は、利用側制御部64を介して制御部60に送られる。
【0031】
(2-2)熱源側ユニット
第1冷媒回路1の一部を構成する熱源側ユニット10は、ビル等の建物の室外、例えば屋上や地上に設置されている。熱源側ユニット10は、液冷媒連絡管4aとガス冷媒連絡管4bとを介して、第1カスケードユニット20または第2カスケードユニット40に接続されている。
【0032】
熱源側ユニット10は、主として、圧縮機11と、熱源側熱交換器12と、を有している。また、熱源側ユニット10は、熱源側熱交換器12を冷媒の放熱器として機能させる冷房運転状態と、熱源側熱交換器12を冷媒の蒸発器として機能させる暖房運転状態と、を切り換える冷暖切換機構としての切換機構13を有している。
【0033】
圧縮機11は、第1冷媒を圧縮するための機器であり、例えば、ロータリ式やスクロール式等の容積式の圧縮要素が圧縮機用モータによって回転駆動される、密閉式構造の圧縮機である。
【0034】
熱源側熱交換器12は、第1冷媒の放熱器として機能する、又は、第1冷媒の蒸発器として機能する熱交換器である。ここで、熱源側ユニット10は、図示しない熱源側ファンを有している。熱源側ファンは、熱源側ユニット10内に室外空気を吸入して、熱源側熱交換器12において第1冷媒と熱交換させた後に、外部に排出する。
【0035】
また、第1冷媒回路1には、熱源側熱交換器12の液側端寄りに膨張弁14が設けられている。膨張弁14は、暖房運転状態において第1冷媒を減圧する電動膨張弁である。膨張弁14は、熱源側制御部61を介して、制御部60によって開度を調整される。
【0036】
熱源側ユニット10には、図示しない各種のセンサが設けられている。各センサが検出した値は、熱源側制御部61を介して制御部60に送られる。
【0037】
(2-3)カスケードユニット
第1カスケードユニット20と第2カスケードユニット40とは、例えば、ビル等の建物の部屋の天井裏の空間に設置されている。
【0038】
第1カスケードユニット20は、利用側ユニット30A、30Bと熱源側ユニット10との間に介在しており、第1冷媒回路1の一部と第2冷媒回路2の一部を構成している。
【0039】
また、第2カスケードユニット40は、利用側ユニット50A、50Bと熱源側ユニット10との間に介在しており、第1冷媒回路1の一部と第3冷媒回路3の一部を構成している。
【0040】
次に、第1カスケードユニット20の構成について説明する。なお、第1カスケードユニット20と第2カスケードユニット40とは同様の構成であるため、ここでは、第1カスケードユニット20の構成のみ説明し、第2カスケードユニット40の構成については、説明を省略する。
【0041】
第1カスケードユニット20は、主として、第1カスケード熱交換器21と、第1流量調整弁22と、圧縮機24と、膨張弁26と、を有している。また、第1カスケードユニット20は、第1カスケード熱交換器21を冷媒の放熱器として機能させる冷房運転状態と、第1カスケード熱交換器21を冷媒の蒸発器として機能させる暖房運転状態と、を切り換える冷暖切換機構としての切換機構25を有している。
【0042】
第1カスケード熱交換器21は、第1冷媒回路1において第1冷媒の放熱器として機能するとき、第2冷媒回路2では第2冷媒の蒸発器として機能する。また、第1カスケード熱交換器21は、第1冷媒回路1において第1冷媒の蒸発器として機能するとき、第2冷媒回路2では第2冷媒の放熱器として機能する。第1カスケード熱交換器21は、第1冷媒回路1を流れる第1冷媒と、第2冷媒回路2を流れる第2冷媒と、の間で熱交換させる熱交換器である。
【0043】
ここで、第1カスケード熱交換器21は、第1メイン熱交換部21aと、第1サブ熱交換部21bと、を有している。第1サブ熱交換部21bは、第1メイン熱交換部21aを通過した第1冷媒を過熱状態にするためのものである。なお、過熱状態とは、第1冷媒に過熱度が与えられた状態であって、与えられる過熱度は限定されず、多少の過熱度が与えられていればよい。
【0044】
第1メイン熱交換部21aは、第1サブ熱交換部21bよりも熱交換能力が大きい熱交換器である。例えば、第1メイン熱交換部21aはプレート熱交換器であって、第1サブ熱交換部21bは、二重管である。
【0045】
熱交換器の熱交換能力は、熱通過率等によって算出することが可能である。第1メイン熱交換部21aとして用いられるプレート熱交換器の熱交換能力は、一般的に第1サブ熱交換部21bとして用いられる二重管の熱交換能力よりも大きい。
【0046】
なお、熱交換器の熱交換能力を算出する算出方法は、特に限定されない。
【0047】
第1冷媒回路1には、第1メイン熱交換部21aの液側端寄りに第1流量調整弁22が設けられている。第1流量調整弁22は、冷房運転時に冷媒を減圧する電動膨張弁である。第1流量調整弁22は、第1サブ熱交換部21bから出る第1冷媒が加熱状態になるように、第1カスケード制御部62を介して、制御部60によって弁の開度を調整される。
【0048】
圧縮機24は、第2冷媒を圧縮するための機器であり、例えば、ロータリ式やスクロール式等の容積式の圧縮要素が圧縮機用モータによって回転駆動される密閉式構造の圧縮機が使用される。
【0049】
切換機構25は、第2冷媒回路2内における第2冷媒の流れを切り換えることが可能な機器であり、例えば、四路切換弁からなる。
【0050】
また、第2冷媒回路2には、第1メイン熱交換部21aの液側端寄りに膨張弁26が設けられている。膨張弁26は、暖房運転時に冷媒を減圧する電動膨張弁である。膨張弁26は、第1カスケード制御部62を介して、制御部60によって開度を調整される。
【0051】
さらに、第1カスケードユニット20には、
図1に示すように、入口温度センサ23aと、出口温度センサ23bと、が設けられている。入口温度センサ23aは、第1冷媒回路1において、第1メイン熱交換部21aの液側端における第1冷媒の温度(入口温度)を検出する。出口温度センサ23bは、第1冷媒回路1において、第1サブ熱交換部21bのガス側端における第1冷媒の温度(出口温度)を検出する。入口温度センサ23aと出口温度センサ23bとが、検出した値は、第1カスケード制御部62を介して制御部60に送られる。
【0052】
第1カスケードユニット20には、図示しないが、上記以外の各種のセンサも設けられている。
【0053】
(2-4)制御部
制御部60は、
図2に示すように、熱源側制御部61と、第1カスケード制御部62、第2カスケード制御部63、利用側制御部64、65、66、67と、を有している。各制御部60、61、62、63、64、65、66、67は、CPU又はGPUといったプロセッサと、メモリと等を含む。プロセッサは、メモリに記憶されているプログラムを読み出し、このプログラムに従って所定の処理を行う事が可能である。
【0054】
熱源側制御部61は、熱源側ユニット10に配置されている。熱源側制御部61は、熱源側ユニット10全体と、膨張弁14の開度と、を制御する。第1カスケード制御部62は、第1カスケードユニット20に配置されている。第1カスケード制御部62は、第1カスケードユニット20全体と、第1流量調整弁22、膨張弁26の開度と、を制御する。第2カスケード制御部63は、第2カスケードユニット40に配置されている。第2カスケード制御部63は、第2カスケードユニット40全体と、第2流量調整弁42、膨張弁46の開度とを制御する。利用側制御部64は、利用側ユニット30Aに配置されている。利用側制御部64は、利用側ユニット30A全体と、流量調整弁32aの開度と、を制御する。利用側制御部65は、利用側ユニット30Bに配置されている。利用側制御部65は、利用側ユニット30B全体と、流量調整弁32bの開度と、を制御する。利用側制御部66は、利用側ユニット50Aに配置されている。利用側制御部66は、利用側ユニット50A全体と、流量調整弁52aの開度と、を制御する。利用側制御部67は、利用側ユニット50Bに配置されている。利用側制御部67は、利用側ユニット50B全体と、流量調整弁52bの開度と、を制御する。
【0055】
制御部60及び各制御部61、62、63、64、65、66、67は、マイクロコンピュータやメモリ等の電装品が実装された制御基板を含んでおり、制御部60は、各制御部61、62、63、64、65、66、67を介して空気調和装置100全体の制御を行う。制御部60は、各制御部を介して、空気調和装置100に設けられた各センサの検知した値を受けとり、各構成機器に制御信号等を送ることが可能である。
【0056】
具体的には、制御部60は、第1カスケード制御部62を介して、第1カスケードユニット20に設けられた入口温度センサ23aが検出した入口温度と、出口温度センサ23bが検出した出口温度と、を受け取る。制御部60には、第1流量調整弁22の開度を調整するための開度調整アルゴリズムがあらかじめ具備されている。制御部60は、この開度調整アルゴリズムを用いて、入口温度と出口温度とから、第1サブ熱交換部21bから出る第1冷媒を適切な過熱度にするための制御信号を生成する。第1流量調整弁22は、この制御信号に基づいて第1流量調整弁22の開度を調整することで、第1サブ熱交換部21bから出る第1冷媒を適切な過熱度にすることが可能である。
【0057】
また、第2カスケードユニット40の有する第2流量調整弁42の開度の調整は、上記と同様である。制御部60が、第2カスケード制御部63を介して、第2カスケードユニット40の入口温度センサ43aが検出した入口温度と、出口温度センサ43bが検出した出口温度と、を受け取る。制御部60は、開度調整アルゴリズムを用いて、第2流量調整弁42の開度を調整する制御信号を第2流量調整弁42に送る。第2流量調整弁42は、制御信号に基づいての開度を調整する。
【0058】
なお、制御部60が、第1流量調整弁22または第2流量調整弁42の開度を調整する方法はこれに限られない。
【0059】
(3)空気調和装置の基本動作
次に、空気調和装置100の基本動作について説明する。空気調和装置100の基本動作には、冷房運転及び暖房運転がある。なお、以下に説明する空気調和装置100の基本動作は、空気調和装置100(熱源側ユニット10、利用側ユニット30A、30B、50A、50B、第1カスケードユニット20及び第2カスケードユニット40)の構成機器を制御する制御部60によって行われる。
【0060】
(3-1)冷房運転
例えば、利用側ユニット30A、30B、50A、50Bの全てが冷房運転(利用側熱交換器31a、31b、51a、51bの全てが冷媒の蒸発器として機能し、かつ、熱源側熱交換器12が冷媒の放熱器として機能する運転)を行う際には、切換機構13、25、45が冷房運転状態(
図1の実線で示された状態)に切り換えられる。
【0061】
(3-1-1)第1冷媒回路
冷房運転の際、第1冷媒回路1において、圧縮機11から吐出された高圧の第1冷媒は、切換機構13を通じて熱源側熱交換器12に送られる。熱源側熱交換器12に送られた第1冷媒は、第1冷媒の放熱器として機能する熱源側熱交換器12において、熱源側ファンによって供給される室外空気と熱交換を行って冷却されることによって凝縮する。この第1冷媒は、膨張弁14を通じて熱源側ユニット10から流出する。
【0062】
熱源側ユニット10から流出した第1冷媒は、第1カスケードユニット20または第2カスケードユニット40に送られる。
【0063】
第1カスケードユニット20に送られた第1冷媒は、第1流量調整弁22によって適切な圧力まで減圧された後に、第1カスケード熱交換器21に流入する。第1カスケード熱交換器21に送られた第1冷媒は、第1冷媒の蒸発器として機能する第1メイン熱交換部21aと第1サブ熱交換部21bとにおいて、第2冷媒回路2を流れる第2冷媒と熱交換を行って加熱されることによって、蒸発する。第1サブ熱交換部21bから出た第1冷媒には、適切な過熱度が付与されている。この第1冷媒は、第1カスケードユニット20から流出し、第2カスケードユニット40から流出した第1冷媒と合流した状態で圧縮機11に吸入される。
【0064】
また、第2カスケードユニット40に送られた第1冷媒は、第2流量調整弁42によって適切な圧力まで減圧された後に、第2カスケード熱交換器41に流入する。第2カスケード熱交換器41に送られた第1冷媒は、第1冷媒の蒸発器として機能する第2メイン熱交換部41aと第2サブ熱交換部41bとにおいて、第3冷媒回路3を流れる第3冷媒と熱交換を行って加熱されることによって、蒸発する。第2サブ熱交換部41bから出た第1冷媒には、適切な過熱度が付与されている。この第1冷媒は、第2カスケードユニット40から流出し、第1カスケードユニット20から流出した第1冷媒と合流した状態で圧縮機11に吸入される。
【0065】
(3-1-2)第2冷媒回路
第2冷媒回路2において、圧縮機24から吐出された高圧の第2冷媒は、切換機構25を通じて、第1カスケード熱交換器21に送られる。第1カスケード熱交換器21に送られた第2冷媒は、第2冷媒の放熱器として機能する第1サブ熱交換部21bと第1メイン熱交換部21aとにおいて、第1冷媒回路1を流れる第1冷媒と熱交換を行って冷却されることによって凝縮する。この第2冷媒は、膨張弁26を通じて第1カスケードユニット20から流出する。第1カスケードユニット20から流出した第2冷媒は、各利用側ユニット30A、30Bに送られる。
【0066】
利用側ユニット30Aに送られた第2冷媒は、流量調整弁32aによって適切な圧力まで減圧された後に、第2冷媒の蒸発器として機能する利用側熱交換器31aにおいて、利用側ファンによって供給される室外空気と熱交換を行って、蒸発する。この第2冷媒は、利用側ユニット30Aから流出し、利用側ユニット30Bから流出した第2冷媒と合流した状態で圧縮機24に吸入される。
【0067】
利用側ユニット30Bに送られた第2冷媒は、流量調整弁32bによって適切な圧力まで減圧された後に、第2冷媒の蒸発器として機能する利用側熱交換器31bにおいて、利用側ファンによって供給される室外空気と熱交換を行って、蒸発する。この第2冷媒は、利用側ユニット30Bから流出し、利用側ユニット30Aから流出した第2冷媒と合流した状態で圧縮機24に吸入される。
【0068】
一方、利用側熱交換器31a、31bにおいて冷却された室内空気は、室内に送られ、これにより、室内の冷房が行われる。
【0069】
(3-1-3)第3冷媒回路
第3冷媒回路3において、圧縮機44から吐出された高圧の第3冷媒は、切換機構45を通じて、第2カスケード熱交換器41に送られる。第2カスケード熱交換器41に送られた第3冷媒は、第3冷媒の放熱器として機能する第2サブ熱交換部41bと第2メイン熱交換部41aとにおいて、第1冷媒回路1を流れる第1冷媒と熱交換を行って冷却されることによって凝縮する。この第3冷媒は、膨張弁46を通じて第2カスケードユニット40から流出する。第2カスケードユニット40から流出した第3冷媒は、各利用側ユニット50A、50Bに送られる。
【0070】
利用側ユニット50Aに送られた第3冷媒は、流量調整弁52aによって適切な圧力まで減圧された後に、第3冷媒の蒸発器として機能する利用側熱交換器51aにおいて、利用側ファンによって供給される室外空気と熱交換を行って、蒸発する。この第3冷媒は、利用側ユニット50Aから流出し、利用側ユニット50Bから流出した第3冷媒と合流した状態で圧縮機44に吸入される。
【0071】
利用側ユニット50Bに送られた第3冷媒は、流量調整弁52bによって適切な圧力まで減圧された後に、第3冷媒の蒸発器として機能する利用側熱交換器51bにおいて、利用側ファンによって供給される室外空気と熱交換を行って、蒸発する。この第3冷媒は、利用側ユニット50Aから流出し、利用側ユニット50Bから流出した第3冷媒と合流した状態で圧縮機44に吸入される。
【0072】
一方、利用側熱交換器51a、51bにおいて冷却された室内空気は、室内に送られ、これにより、室内の冷房が行われる。
【0073】
(3-2)暖房運転
例えば、利用側ユニット30A、30B、50A、50Bの全てが暖房運転(利用側熱交換器31a、31b、51a、51bの全てが冷媒の放熱器として機能し、かつ、熱源側熱交換器12が冷媒の蒸発器として機能する運転)を行う際には、切換機構13、25、45が暖房運転状態(
図1の破線で示された状態)に切り換えられる。
【0074】
(3-2-1)第1冷媒回路
暖房運転の際、第1冷媒回路1において、圧縮機11から吐出された高圧の第1冷媒は、切換機構13を通じて熱源側ユニット10から流出する。
【0075】
熱源側ユニット10から流出した第1冷媒は、第1カスケードユニット20または第2カスケードユニット40に送られる。
【0076】
第1カスケードユニット20に送られた第1冷媒は、冷媒の放熱器として機能する第1サブ熱交換部21bと第1メイン熱交換部21aとにおいて、第2冷媒回路2を流れる第2冷媒と熱交換を行って冷却されることによって凝縮する。凝縮した第1冷媒は、第1流量調整弁22を通過し、第1カスケードユニット20から流出する。第1カスケードユニット20から流出した第1冷媒は、第2カスケードユニット40から流出した第1冷媒と合流した状態で熱源側ユニット10に送られる。
【0077】
また、第2カスケードユニット40に送られた第1冷媒は、冷媒の放熱器として機能する第2サブ熱交換部41bと第2メイン熱交換部41aとにおいて、第3冷媒回路3を流れる第3冷媒と熱交換を行って冷却されることによって凝縮する。凝縮した第3冷媒は、第2流量調整弁42を通過し、第1カスケードユニット20から流出する。第2カスケードユニット40から流出した第1冷媒は、第1カスケードユニット20から流出した第1冷媒と合流した状態で熱源側ユニット10に送られる。
【0078】
熱源側ユニット10に送られた第1冷媒は、膨張弁14に送られる。膨張弁14に送られた第1冷媒は、膨張弁14によって減圧された後に、熱源側熱交換器12に送られる。熱源側熱交換器12に送られた第1冷媒は、熱源側ファンによって供給される室外空気と熱交換を行って加熱されることによって、蒸発する。蒸発した第1冷媒は、切換機構13を通じて圧縮機11に吸入される。
【0079】
(3-2-2)第2冷媒回路
第2冷媒回路2において、暖房運転の際、圧縮機24から吐出された高圧の第2冷媒は、切換機構25を通じて第1カスケードユニット20から流出する。
【0080】
第1カスケードユニット20から流出した第2冷媒は、各利用側ユニット30A、30Bに送られる。
【0081】
利用側ユニット30Aに送られた第2冷媒は、冷媒の放熱器として機能する利用側熱交換器31aにおいて、利用側ファンによって供給される室外空気と熱交換を行って、凝縮する。凝縮した第2冷媒は、流量調整弁32aを通過し、利用側ユニット30Aから流出する。利用側ユニット30Aから流出した第2冷媒は、利用側ユニット30Bから流出した第2冷媒と合流した状態で第1カスケードユニット20に送られる。
【0082】
また、利用側ユニット30Bに送られた第2冷媒は、冷媒の放熱器として機能する利用側熱交換器31bにおいて、利用側ファンによって供給される室外空気と熱交換を行って、凝縮する。凝縮した第2冷媒は、流量調整弁32bを通過し、利用側ユニット30Bから流出する。利用側ユニット30Bから流出した第2冷媒は、利用側ユニット30Aから流出した第2冷媒と合流した状態で第1カスケードユニット20に送られる。
【0083】
一方、利用側熱交換器31a、31bにおいて加熱された室内空気は、室内に送られ、これにより、室内の暖房が行われる。
【0084】
第1カスケードユニット20に流入した第2冷媒は、膨張弁26に流入する。膨張弁26に流入した第2冷媒は、膨張弁26によって減圧された後に、第1カスケード熱交換器21に送られる。第1カスケード熱交換器21に流入した第2冷媒は第2冷媒の蒸発器として機能する第1メイン熱交換部21aと第1サブ熱交換部21bとにおいて、第1冷媒回路1を流れる第1冷媒と熱交換を行って加熱されることによって蒸発する。蒸発した第2冷媒は、切換機構25を通じて圧縮機24に吸入される。
【0085】
(3-2-3)第3冷媒回路
第3冷媒回路3において、圧縮機44から吐出された高圧の第3冷媒は、切換機構45を通じて第2カスケードユニット40から流出する。
【0086】
第2カスケードユニット40から流出した第3冷媒は、各利用側ユニット50A、50Bに送られる。
【0087】
利用側ユニット50Aに送られた第3冷媒は、冷媒の放熱器として機能する利用側熱交換器51aにおいて、利用側ファンによって供給される室外空気と熱交換を行って、凝縮する。凝縮した第3冷媒は、流量調整弁52aを通過し、利用側ユニット50Aから流出する。利用側ユニット50Aから流出した第3冷媒は、利用側ユニット50Bから流出した第3冷媒と合流した状態で第2カスケードユニット40に送られる。
【0088】
また、利用側ユニット50Bに送られた第3冷媒は、冷媒の放熱器として機能する利用側熱交換器51bにおいて、利用側ファンによって供給される室外空気と熱交換を行って、凝縮する。凝縮した第3冷媒は、流量調整弁52bを通過し、利用側ユニット50Bから流出する。利用側ユニット50Bから流出した第3冷媒は、利用側ユニット50Aから流出した第3冷媒と合流した状態で第2カスケードユニット40に送られる。
【0089】
一方、利用側熱交換器51a、51bにおいて加熱された室内空気は、室内に送られ、これにより、室内の暖房が行われる。
【0090】
第2カスケードユニット40に流入した第3冷媒は、膨張弁46に送られる。膨張弁46に流入した第3冷媒は、膨張弁46によって減圧された後に、第2カスケード熱交換器41に送られる。第2カスケード熱交換器41に流入した第3冷媒は第3冷媒の蒸発器として機能する第2メイン熱交換部41aと第2サブ熱交換部41bとにおいて、第1冷媒回路1を流れる第1冷媒と熱交換を行って加熱されることによって蒸発する。蒸発した第3冷媒は、切換機構45を通じて圧縮機44に吸入される。
【0091】
(4)変形例
(4-1)
空気調和装置100の第1メイン熱交換部21aと第2メイン熱交換部41aはプレート熱交換器であって、第1サブ熱交換部21bと第2サブ熱交換部41bとは、二重管である。各熱交換部はこれに限られない。
【0092】
例えば、第1メイン熱交換部21aと第2メイン熱交換部41aは、複数の扁平管を積層した熱交換器であってもよいし、第1サブ熱交換部21bと第2サブ熱交換部41bとは、配管を接触させた構造の熱交換器であってもよい。
【0093】
第1メイン熱交換部21aは、第1サブ熱交換部21bよりも熱交換能力が大きい。また、第2メイン熱交換部41aは、第2サブ熱交換部41bよりも熱交換能力が大きい。プレート熱交換器または複数の扁平管を積層した熱交換器の熱交換能力は、一般的に二重管または配管を接触させた構造の熱交換器の熱交換能力よりも大きい。
【0094】
(4-2)
空気調和装置100の第1冷媒回路1、第2冷媒回路2、第3冷媒回路3には、それぞれ、第1冷媒、第2冷媒、第3冷媒として、冷媒の安定性及び性能が高いR32が充填されている。
【0095】
(4-3)
本開示に示す冷媒サイクルシステムは、冷媒サイクルシステムの具体例として空気調和装置100を用いて説明を行っているが、冷媒サイクルシステムの形態はこれに限られない。例えば、冷媒サイクルシステムは、ヒートポンプ式の給湯機等であってもよい。
【0096】
(5)特徴
(5-1)
冷媒サイクルシステムとしての空気調和装置100は、第1冷媒回路1と、第2冷媒回路2と、第1カスケード熱交換器21と、を備える。第1冷媒回路1は、蒸気圧縮式冷凍サイクルである。第2冷媒回路2は、蒸気圧縮式冷凍サイクルである。第1カスケード熱交換器21は、第1冷媒回路1を流れる第1冷媒と、第2冷媒回路2を流れる第2冷媒と、の間で熱交換を行わせる。空気調和装置100は、切換機構13、25を有す。切換機構13、25は、第1冷媒回路1及び第2冷媒回路2の少なくともいずれか一方にあって、回路の冷媒の流路を切り替える。第1カスケード熱交換器21は、第1メイン熱交換部21aと、第1サブ熱交換部21bと、を有す。第1サブ熱交換部21bは、第1メイン熱交換部21aを通過した第1冷媒を過熱状態にするためのものである。
【0097】
また、空気調和装置100は、第1流量調整弁22と、制御部60と、をさらに備える。第1流量調整弁22は、第1冷媒回路1において第1カスケード熱交換器21に流れる第1冷媒の量を調整する。制御部60は、第1流量調整弁22の開度を調整する。第1冷媒回路1の第1カスケード熱交換器21が蒸発器となるとき、制御部60は、第1サブ熱交換部21bから出る第1冷媒が過熱状態になるように第1流量調整弁22の開度を調整する。 従来、蒸気圧縮式冷凍サイクルによる二元冷媒回路においては、プレート熱交換器、または、複数の扁平管を積層した熱交換器を用いる場合がある。これらの熱交換器は、熱交換能力が高く高性能であって、コンパクト性にも優れている。しかし、プレート熱交換器、または、複数の扁平管を積層した熱交換器において冷媒の過熱度を制御すると、熱交換能力が低下し、圧損が大きくなる。これによって、プレート熱交換器、または、複数の扁平管を積層した熱交換器の性能が損なわれる。
【0098】
しかし、本実施形態の空気調和装置100は、上記の構成によって、第1サブ熱交換部21bにおいて第1冷媒の過熱状態を制御することが可能であるため、第1メイン熱交換部21aの高い熱交換能力が損なうことなく第1冷媒の過熱状態の制御が行うことが可能である。
【0099】
(5-2)
空気調和装置100の第1メイン熱交換部21aは、第1サブ熱交換部21bよりも熱交換能力が大きい。
【0100】
また、空気調和装置100の第1メイン熱交換部21aは、プレート熱交換器、又は、複数の扁平管を積層した熱交換器である。第1サブ熱交換部21bは、二重管、又は、配管を接触させた構造の熱交換器である。
【0101】
第1サブ熱交換部21bは、二重管、又は、配管を接触させた構造の熱交換器にすることで、メイン熱交換部のコンパクト性を損なわないカスケード熱交換器を提供することが可能である。さらに、第1サブ熱交換部21bは、二重管、又は、配管を接触させた構造の熱交換器にすることで、第1サブ熱交換部21bを設けることによるコストの増加を抑制することが可能である。
【0102】
(5-3)
空気調和装置100は、第3冷媒回路3と、第2カスケード熱交換器41と、をさらに備える。第3冷媒回路3は、蒸気圧縮式冷凍サイクルである。第2カスケード熱交換器41は、第1冷媒回路1を流れる第1冷媒と、第3冷媒回路3を流れる第3冷媒と、の間で熱交換を行わせる。第2カスケード熱交換器41は、第2メイン熱交換部41aと、第2サブ熱交換部42bと、を有す。第2サブ熱交換部42bは、第2メイン熱交換部41aを通過した冷媒を過熱状態にするためのものである。第1カスケード熱交換器21と、第2カスケード熱交換器41とは、第1冷媒回路1において並列に接続される。
【0103】
本実施形態の空気調和装置100は、複数のカスケードユニットを有するマルチの二元冷媒回路においても適用が可能である。これによって、接続可能な利用側熱交換器の台数が増加し、空気調和装置100を施工する施工時の自由度が高くなる。
【0104】
(5-4)
空気調和装置100の第1冷媒回路1、第2冷媒回路2、第3冷媒回路3には、それぞれ、第1冷媒、第2冷媒、第3冷媒として、冷媒の安定性が高いR32が充填されている。しかし、本開示に示す冷媒サイクルシステムには、R32以外の冷媒が充填されていてもよい。例えば、第1冷媒はR32であって、第2冷媒及び第3冷媒は、二酸化炭素であることが好ましい。
【0105】
R32は、冷媒の安定性が高いことから既存の冷媒サイクルシステムに多く利用されている。本開示に示す冷媒サイクルシステムは、既存の冷媒サイクルシステムを流用することが可能である。
【0106】
冷媒サイクルシステムに充填される第1冷媒、第2冷媒、及び、第3冷媒は、HFC冷媒、HFO冷媒、自然冷媒のいずれか1つであることが好ましい。あるいは、第1冷媒及び第2冷媒は、HFC冷媒、HFO冷媒、自然冷媒、CF3I、のうちのいずれか2つ以上を含む混合冷媒であることが好ましい。HFC冷媒は、具体的には、R32、R125、R134a、R143a、R245fa等である。HFO冷媒は、R1234yf、R1234zd、R1123、R1132(E)等である。自然冷媒は、R744、R717、R290,R600a、R1270等である。
【0107】
(6)
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0108】
1 第1冷媒回路
2 第2冷媒回路
3 第3冷媒回路
13,25 切換機構
21 第1カスケード熱交換器
21a 第1メインカスケード熱交換部
21b 第1サブカスケード熱交換部
22 第1流量調整弁
41 第2カスケード熱交換器
41a 第2メインカスケード熱交換部
41b 第2サブカスケード熱交換部
60 制御部
100 冷媒サイクルシステム
【先行技術文献】
【特許文献】
【0109】